JP2011190847A - ソレノイドバルブ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ソレノイドバルブ及びその製造方法に係り、コイル部を固定する専用の冶具を設けるのを不要とする。
【解決手段】内部に可動部16が挿入される円筒状のスリーブ12と、コイル20を有し、円筒状に空いたコイル穴26内にスリーブ12が配置されるコイル部18と、を備え、コイル20への通電によりスリーブ12内で可動部16を変位させるソレノイドバルブ10において、スリーブ12の外周面に切欠部を、また、コイル部18のコイル穴26内の内周面に突起部を、それぞれ設け、突起部と切欠部とを嵌合させることで、スリーブ12とコイル部18とを互いに固定させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ソレノイドバルブ及びその製造方法に係り、特に、内部に可動部が挿入される円筒状のスリーブと、コイルを有し、円筒状に空いたコイル穴内にスリーブが配置されるコイル部と、を備え、コイルへの通電によりスリーブ内で可動部を変位させるうえで好適なソレノイドバルブ、及び、そのソレノイドバルブを製造する方法に関する。
従来、スリーブの外周側に配置されるコイル部の有するコイルに通電することで、スリーブ内に挿入された可動部を変位させるソレノイドバルブが知られている。このソレノイドバルブにおいて、コイル部は、カバーに固定されると共に、スリーブは、コイル部に設けられたコイル穴内に配置されるように組み付けられる。この組み付け過程においては、まず、コイル部がカバーに固定され、その固定後、そのコイル部とスリーブとが、コイル穴にスリーブが挿入されるように取り付けられる(例えば、特許文献1の図1参照)。
特表平8−509683号公報
しかしながら、上記した特許文献1記載のソレノイドバルブでは、コイル部を固定するカバーが設けられる。この場合には、コイル部を固定する専用の冶具を設けることが必要であるので、専用の冶具の製作やその冶具へコイル部を固定する作業などの手間が生ずる。また、上記のソレノイドバルブの組み付けでは、コイル部をカバーに固定させた後にそのコイル部をコイル穴にスリーブが挿入されるように取り付けられる。このため、コイル穴へのスリーブの挿入作業が行われる際に作業者がカバーに隠れたコイル穴を目視するのが困難であるので、その挿入の作業を容易にするためにコイル穴とスリーブとの部品公差を大きくすることが必要となる。更に、上記のソレノイドバルブでは、カバーに固定されたコイル部とスリーブとを適切な位置関係で互いに固定させるために、カバーへのコイル部の固定とは別途に、コイル部自体をかしめや圧入にてスリーブ側に対して固定し或いはコイル部を固定したカバーをボルト締結などによりスリーブ側に対して所望の位置で固定することが必要である。この点、コイル部をスリーブに対して固定する作業が増大するので、その作業性が低下してしまう。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、コイル部を固定する専用の冶具を設けるのを不要としたソレノイドバルブ及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的は、内部に可動部が変位可能に挿入される円筒状のスリーブと、コイルを有し、円筒状に空いたコイル穴内に前記スリーブが配置されるコイル部と、を備え、前記コイルへの通電により前記スリーブ内で前記可動部を変位させるソレノイドバルブであって、前記スリーブの外周面及び前記コイル部の前記コイル穴内の内周面の一方に突起部をかつ他方に切欠部をそれぞれ設け、前記突起部と前記切欠部とが嵌合することで、前記スリーブと前記コイル部とが互いに固定されたソレノイドバルブにより達成される。
また、上記の目的は、内部に可動部が変位可能に挿入される円筒状のスリーブと、コイルを有し、円筒状に空いたコイル穴内に前記スリーブが配置されるコイル部と、を備え、前記コイルへの通電により前記スリーブ内で前記可動部を変位させるソレノイドバルブを製造する方法であって、前記スリーブの外周面及び前記コイル部の前記コイル穴内の内周面の一方に設けられた突起部と他方に設けられた切欠部とを嵌合させることで、前記スリーブと前記コイル部とを互いに固定させたソレノイドバルブの製造方法により達成される。
これらの態様の発明においては、スリーブの外周面及びコイル部のコイル穴内の内周面の一方に突起部がかつ他方に切欠部がそれぞれ設けられる。スリーブとコイル部とは、これらの突起部と切欠部とが嵌合することにより互いに固定される。この場合、コイル部を固定する専用の冶具を設けることは不要である。
尚、上記したソレノイドバルブにおいて、前記切欠部が設けられた前記他方に、前記突起部を該切欠部の位置まで誘導する溝を設けることとしてもよい。
本発明によれば、コイル部を固定する専用の冶具を設けるのを不要とすることができる。
本発明の一実施例であるソレノイドバルブの斜視図である。 本実施例のソレノイドバルブの縦断面図である。 本実施例のソレノイドバルブが有するコイルと外部リード端子との接続手法を説明するための図である。 本実施例のソレノイドバルブが有するコイルと外部リード端子との接続手法の効果を説明するための図である。 本実施例のソレノイドバルブが有するコイル部の縦断面図である。 本実施例のソレノイドバルブが有するコイル部の上面視である。 本実施例のソレノイドバルブが有するスリーブの斜視図である。 本実施例のソレノイドバルブが有するコイルとスリーブとを互いに固定する手法を説明するための図である。 本発明の変形例であるソレノイドバルブが有するコイルとスリーブとを互いに固定する手法を説明するための図である。 本発明の変形例であるソレノイドバルブが有するスリーブの斜視図である。 本発明の変形例であるソレノイドバルブが有するスリーブの斜視図である。 本発明の変形例であるソレノイドバルブが有するスリーブの斜視図である。
以下、図面を用いて、本発明に係るソレノイドバルブ及びその製造方法の具体的な実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施例であるソレノイドバルブ10の斜視図を示す。図2は、本実施例のソレノイドバルブ10の縦断面図を示す。図3は、本実施例のソレノイドバルブ10が有するコイルと外部リード端子との接続手法を説明するための図を示す。また、図4は、本実施例のソレノイドバルブ10が有するコイルと外部リード端子との接続手法の効果を説明するための図を示す。
本実施例のソレノイドバルブ10は、例えば車両に搭載されるABS装置の有する電磁弁組立体などに用いられる電磁弁であって、例えばマスタシリンダとホイルシリンダとの間の油路の導通・遮断を切り替えるバルブである。尚、ソレノイドバルブ10は、一つの電磁弁組立体に対して複数設けられていてもよい。
ソレノイドバルブ10は、円筒状のスリーブ12を備えている。スリーブ12は、一端(図1における上端)が閉じかつ他端(図1における下端)が開口する試験管状に形成された非磁性材料により構成されている。スリーブ12は、ダイカストやフライスなどを用いた切削によりケース14に形成される。ケース14内には、ソレノイドバルブ10により導通・遮断される油路(図示せず)が形成されている。
スリーブ12の内部には、可動部16が挿入されて配置されている。可動部16は、スリーブ12に対して変位可能に保持されている。可動部16は、磁性材料により構成されたプランジャ(図示せず)と、非磁性材料により構成されたロッド(図示せず)と、を有している。可動部16のプランジャとロッドとは、互いに固定されて一体化されている。プランジャは、スリーブ12内で図1における上下方向へロッドと共に変位することが可能である。
可動部16のロッドの先端は、スリーブ12の開口から突出している。ケース14内には、可動部16のロッドの先端が着座可能な弁座(図示せず)が設けられている。可動部16のプランジャは、電磁力によりロッド先端を弁座に着座させ或いは弁座から離座させるように変位される。ケース14内の油路は、可動部16のロッド先端が弁座に着座することで遮断され、そのロッド先端が弁座から離座することで導通される。
ソレノイドバルブ10は、また、円筒状のコイル部18を備えている。コイル部18は、コイル20と、コイルが装着される樹脂製のボビン22と、ボビン22を保持するヨーク24と、からなる。コイル部18は、上記したスリーブ12の外周を囲むように配設されている。すなわち、コイル部18には、その中心に軸方向に貫通する円筒状のコイル穴26が形成されている。コイル穴26は、スリーブ12の外径と略同じ或いは僅かに大きな径を有している。コイル穴26内には、スリーブ12が配置されている。
コイル部18の軸方向端面には、端子穴28が形成されている。端子穴28内には、コイル20に電気接続する電気接続端子30が配設されている。電気接続端子30には、突起状の外部リード端子32の先端が挿入される隙間34が形成されている。外部リード端子32は、コイル20の通電を制御するために設けられた基板に電気接続されている。外部リード端子32の先端は、常態では隙間34の幅よりも大きい横幅を有する一方で、隙間34への挿入後に圧縮されてその隙間34の両端側にある電気接続端子30に挟持される弾性部材である。電気接続端子30と外部リード端子32とは、端子穴28に挿入された外部リード端子32の先端が隙間34に挿入されることで電気接続される。コイル部18は、外部リード端子32が端子穴28に挿入されることで電気接続端子30と電気接続される半田レスのプレスフィット型コイルである。
端子穴28の入口には、電気接続端子30に隣接して樹脂部材36が設けられている。すなわち、端子穴28には、入口側から順に樹脂部材36及び電気接続端子30が並んで配置されている。樹脂部材36には、突起状の外部リード端子32の先端が挿入される隙間38が形成されている。隙間38の入口側は外部リード端子32の先端の常態での横幅よりも大きな幅を有し、また、その奥側は上記した隙間34の幅と略同一の幅を有している。すなわち、樹脂部材36は、入口側が幅広に形成されかつ奥側が幅狭に形成された断面テーパ状の隙間38を有している。樹脂部材36の断面テーパ面は、外部リード端子32の先端が端子穴28の奥へ挿入され易くして電気接続端子30に電気接続し易くするガイド機能を有している。
上記した構造を有するソレノイドバルブ10において、コイル20が外部リード端子32側から電気接続端子30を介して通電されていない場合は、可動部16にその可動部16をスリーブ12内で変位させる電磁力が作用しないので、スプリング(図示せず)などの付勢力により可動部16のロッド先端とケース14内の弁座との間に所定のギャップが形成される。この場合には、ケース14内の油路は導通される。一方、コイル20が外部リード端子32から電気接続端子30を介して通電されると、可動部16にその可動部16をスリーブ12内で変位させる電磁力が作用するので、可動部16のロッド先端がケース14内の弁座に着座する。この場合には、ケース14内の油路が遮断される。従って、ソレノイドバルブ10は、コイル20への通電状態に応じて油路の導通・遮断を切り替えることが可能である。
次に、上記した図2と共に図5〜図7を参照して、本実施例のソレノイドバルブ10のコイル部18とスリーブ12とを互いに固定するうえで必要な構造について説明する。図5は、本実施例のソレノイドバルブ10が有するコイル部18の縦断面図を示す。図6は、本実施例のコイル部18の上面視を示す。図7は、本実施例のスリーブ12の斜視図を示す。また、図8は、本実施例のコイル部18とスリーブ12とを互いに固定する手法を説明するための図を示す。尚、図8(A)には両者の相対回転前の状態を横方向から見た際の図を、図8(B)には両者の相対回転中の状態を横方向から見た際の図を、また、図8(C)には両者の相対回転後の嵌合部位を軸に垂直に切断した際の横断面図を、それぞれ示す。また、図2には相対回転後の軸に沿って切断した際の縦断面図を示す。
本実施例において、ソレノイドバルブ10は、コイル部18のコイル穴26内にスリーブ12が挿入されて配置される構造を有すると共に、そのコイル部18とスリーブ12とを互いに固定するロック機構を有する。このロック機構として、コイル部18に略円柱状に空けられたコイル穴26内の内周面には、内径側に突起する突起部40が設けられている。突起部40は、コイル穴26内の内周面の軸方向所定位置に設けられており、例えばコイル穴26の入口から離れた奥側の軸方向位置で軸中心を挟んだ二箇所に設けられている(図5及び図6参照)。突起部40は、樹脂製のボビン22に一体的に形成されていればよい。
また、上記のロック機構として、スリーブ12の外周面には、内径側に窪んだ、周方向一部に軸に平行に延びる縦溝42が形成されていると共に、軸方向一部に軸回り全体に切られた横溝44が設けられている。縦溝42及び横溝44は共に、コイル部18の突起部40を後述の切欠部の位置まで誘導する溝である。スリーブ12の縦溝42の窪み及び横溝44の窪みはそれぞれ、軸方向から見てコイル部18の突起部40の形状に対応したものとなるように、具体的には、コイル部18の突起部40の径方向先端に底面が当接しない径方向の深さを有するように形成されている。また、縦溝42は、コイル部18の突起部40に側面(具体的には、周方向に面した側面)が当接しない幅を有するように形成されている。横溝44は、コイル部18の突起部40に側面(具体的には、軸方向に面した側面)が当接しない幅を有するように形成されている。
縦溝42は、スリーブ12がコイル穴26内に挿入される過程でコイル部18の突起部40がスリーブ12の外周面に接触してそのスリーブ12の挿入が妨げられるのを防止する役割を有している。また、横溝44は、スリーブ12がコイル穴26内で所定の軸方向位置まで挿入された後に、スリーブ12とコイル部18とが相対回転される過程でコイル部18の突起部40がスリーブ12の外周面に接触してその相対回転が妨げられるのを防止する役割を有している。すなわち、スリーブ12とコイル部18とは、スリーブ12をコイル部18のコイル穴26内に所定の軸方向位置まで挿入してその挿入後に回転させることが可能な構造を有している。
横溝44は、周方向において略均一の深さ(径方向)を有するように形成されている。すなわち、横溝44全体は、軸方向から見て略真円状の断面形状を有している。また、横溝44は、周方向において縦溝42に近い位置から離れるほどコイル部18の挿入側(図8における上側)とは反対側(図8における下側)に傾斜するように形成されている。すなわち、スリーブ12は、横溝44にコイル部18挿入側の軸方向で隣接する部位(以下、隣接部位)12aが、縦溝42から離れた周方向位置ほど軸方向(下方)に垂れるように形成されている。コイル部18の突起部40がコイル穴26内でスリーブ12の縦溝42に沿って挿入された後、スリーブ12とコイル部18とが相対回転される前は、突起部40は、スリーブ12の横溝44の、縦溝42に最も近い周方向位置において、コイル部18が挿入される側の最も軸方向端部に対向する(図8(A)参照)。
かかる状態からスリーブ12とコイル部18との相対回転が行われると、その相対回転の際、突起部40は、隣接部位12aによりコイル部18挿入側とは反対側の軸方向へ押圧される。この隣接部位12aによる軸方向への押圧力は、縦溝42から離れた周方向位置ほど増大する。このため、コイル部18の突起部40はスリーブ12との相対回転に伴って変形し、その変形はその相対回転が進むに従って大きくなる(図8(B)参照)。
スリーブ12の横溝44の隣接部位12a側の側面(軸方向下方を向く面)には、横溝44に連なって内径側に窪んだ切欠部46が形成されている。切欠部46は、側方から見てコイル部18挿入側の軸方向へ切り欠いた形状を有している。切欠部46の周方向位置は、縦溝42からある程度離れた位置(例えば縦溝42から周方向に略90°の位置)である。切欠部46の軸方向位置は、コイル部18の突起部40がコイル穴26内でスリーブ12の縦溝42に沿って挿入された後、スリーブ12とコイル部18とが相対回転される前での突起部40の軸方向位置とほぼ同じ位置或いは若干横溝44側の位置である。また、切欠部46は、横溝44の窪みと同様に、軸方向から見てコイル部18の突起部40の形状に対応したものとなるように、具体的には、コイル部18の突起部40の径方向先端に底面が当接しない径方向の深さを有するように形成されている。より詳細には、切欠部46は、コイル部18の突起部40と嵌合可能な形状を有している。
スリーブ12とコイル部18との相対回転が進んで突起部40全体が切欠部46と軸方向で対向する位置まで達すると、隣接部位12aによる軸方向への押圧力が無くなることで突起部40の変形が解除される。この場合、突起部40は、図8(C)に示す如く、切欠部46に嵌合する。かかる嵌合が行われると、以後、スリーブ12とコイル部18とは、相対回転が不能になると共に、軸方向(上下方向)への相対変位が不能になる。
従って、本実施例のソレノイドバルブ10の構造によれば、スリーブ12とコイル部18との組み付け時、コイル部18の内周面にある突起部40をスリーブ12の外周面にある縦溝42に挿入しその後に横溝44に挿入して、突起部40とスリーブ12の外周面にある切欠部46とを嵌合させることにより、コイル部18とスリーブ12とを互いに固定させることができる。この場合、コイル部18とスリーブ12との相対回転及び軸方向への相対変位は共に防止される。
かかる構造においては、コイル部18とスリーブ12との組み付け後の相対位置関係を所望のものとするうえで、コイル部18とスリーブ12とを直接に嵌合固定するので、コイル部18をスリーブ12に対して固定するための専用の冶具を設けることは不要であると共に、かかる嵌合固定以外の作業は不要である。このため、コイル部18の固定のための専用の冶具の製作やその冶具へコイル部を固定する作業などの手間を省くことができ、コイル部18をスリーブ12に対して固定する作業の簡素化すなわち製造工程の簡素化を図ることができる。また、コイル部18とスリーブ12とが突起部40と切欠部46との嵌合により互いに固定されるので、他の部品を用いることなく、コイル部18とスリーブ12との相対位置の精度を確保することが可能である。
また、本実施例において、上記の如く、コイル部18は、外部リード端子32が端子穴28に挿入されることで電気接続端子30と電気接続するプレスフィット型コイルである。かかる構造においては、作業者は、コイル部18単体だけを手に持って、コイル穴26内にスリーブ12が挿入されるようにコイル部18とスリーブ12とを組み付けることが可能である。このため、組み付け過程で作業者にスリーブ12が挿入されるコイル穴26を目視させることが可能であるので、その挿入作業性を向上させることができる。また逆に、その挿入作業を容易にするうえでコイル穴26の内径とスリーブ12の外径とについて部品公差を大きくすることは不要であるので、ソレノイドバルブ10のコイル部18側とスリーブ12の可動部16側との間で効率よく電磁力を発生させることができ、電磁力の発生ロスや伝達ロスを抑制することができる。
また、上記したプレスフィット構造においては、組み付け過程で、作業者は、コイル部18とスリーブ12とを嵌合により互いに固定させた後に、そのコイル部18に空いた端子穴28に外部リード端子32を挿入して、コイル部18の電気接続端子30に外部リード端子32を電気接続させることが可能である。このため、組み付け過程で、作業者に、スリーブ12に対して固定されているコイル部18の端子穴28を目視させつつ、その端子穴28に外部リード端子32を挿入させることが可能であるので、その接続作業性を向上させることが可能である。また、組み付け過程でコイル部18の端子穴28へ外部リード端子32を挿入するうえで、その挿入時点では既にコイル部18がスリーブ12に対して固定されているので、その挿入時点でコイル部18がスリーブ12に対して相対回転可能である構造のものとは異なり、スリーブ12やコイル部18が配設されたケース14側と外部リード端子32が電気接続された基板側との位置決めを容易にし、かつ、コイル20と外部リード端子32との電気接続を容易にすることが可能である。
また、かかるプレスフィット構造においては、ケース14で外部リード端子32が電気接続される基板を取り付ける位置を規定すれば、外部リード端子32が電気接続される基板と、コイル部18が取り付けられるケース14と、の組み付け位置関係を予め一つに固定することができるので、ケース14の基板取り付け位置に基板を適切に取り付けることで、基板側の外部リード端子32の位置とケース14側のコイル部18の端子穴28の位置とを容易に対応させることができ、基板側の外部リード端子32とケース14側のコイル20とを容易かつ適切に電気接続させることが可能である。
更に、上記したプレスフィット構造においては、外部リード端子32が挿入されるコイル部18の端子穴28に、断面テーパ状に形成された樹脂部材36が設けられている。このため、外部リード端子32の、コイル部18の端子穴28への組み付け挿入時に、樹脂部材36のガイド機能により、外部リード端子32の先端を端子穴28の奥へ挿入し易くしてコイル部18の電気接続端子30に電気接続させ易くすることが可能である。
尚、上記の実施例においては、縦溝42及び横溝44が特許請求の範囲に記載した「溝」に相当している。
また、上記の実施例においては、コイル部18とスリーブ12とを互いに固定するうえで、スリーブ12に周方向において略均一の深さを有する横溝44を設け、その横溝44の隣接部位12a側の側面に切欠部46を設けると共に、コイル部18とスリーブ12との相対回転時にコイル部18の突起部40を軸方向へ押圧して変形させて、その突起部40を切欠部46に嵌合させることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、スリーブ102に周方向において略均一の深さを有する横溝104を設け、その横溝104の底面に切欠部106を設けると共に、コイル部18とスリーブ102との相対回転時にコイル部18の突起部40を径方向へ押圧して変形させて、その突起部40を切欠部106に嵌合させることとしてもよい。
図9は、本変形例のコイル部18とスリーブ102とを互いに固定する手法を説明するための図を示す。尚、図9(A)には両者の相対回転前の状態を横方向から見た際の図を、図9(B)には両者の相対回転中の嵌合部位を図9(A)に示すIII−III断面図を、また、図9(C)には両者の相対回転後の嵌合部位を図9(A)に示すIII−III断面図を、それぞれ示す。
本変形例のソレノイドバルブ100において、コイル部18とスリーブ102とを互いに固定するロック機構として、スリーブ102の外周面には、内径側に窪んだ、上記の縦溝42と共に、軸方向一部に軸回り全体に切られた横溝104が設けられている。横溝104は、突起部40を縦溝42への挿入後に後述の切欠部の位置まで誘導する溝である。横溝104は、スリーブ102がコイル穴26内で所定の軸方向位置まで挿入された後に、スリーブ102とコイル部18とが相対回転される過程でコイル部18の突起部40がスリーブ12の外周面に接触してその相対回転が妨げられるのを防止する役割を有している。
横溝104の窪みは、軸方向から見てコイル部18の突起部40の形状に対応したものとなるように形成されている。横溝104は、コイル部18の突起部40に側面(具体的には、軸方向に面した側面)が当接しない幅を有するように形成されている。横溝104は、軸回り全体に略同じ軸方向位置に形成されている。また、横溝104全体は、軸方向から見て略楕円状の断面形状を有している。横溝104は、縦溝42に近い周方向位置で最も深く、その位置から遠くに離れるほど浅くなるように形成されている。横溝104の縦溝42に近い位置での深さは、コイル部18の突起部40と径方向で対向した際にその突起部40の先端に当接しない程度のものである。すなわち、スリーブ102は、横溝104の底面が縦溝42に近い周方向位置ほど深く縦溝42から遠い周方向位置ほど浅くなるように形成されている。
コイル部18の突起部40がコイル穴26内でスリーブ102の縦溝42に沿って挿入された後、スリーブ102とコイル部18とが相対回転される前は、突起部40は、スリーブ102の横溝104の、縦溝42に最も近い周方向位置で対向する(図9(A)及び(B)参照)。かかる状態からスリーブ102とコイル部18との相対回転が行われると、突起部40は、横溝104の底面により径方向外側へ押圧される。この横溝104の底面による径方向外側への押圧力は、縦溝42から離れた周方向位置ほど増大する。このため、コイル部18の突起部40はスリーブ102との相対回転に伴って変形し、その変形はその相対回転が進むに従って大きくなる。
スリーブ102の横溝104の底面(軸に垂直な面)には、横溝104に連なって内径側に窪んだ切欠部106が形成されている。切欠部106は、軸中心側へ穴を空けた形状を有している。切欠部106の周方向位置は、縦溝42からある程度離れた位置(例えば縦溝42から周方向に略90°の位置)である。また、切欠部106は、横溝104の窪みと同様に、軸方向から見てコイル部18の突起部40の形状に対応したものとなるように、すなわち、その突起部40の先端に底面が当接しない径方向の深さを有するように形成されている。より詳細には、切欠部106は、コイル部18の突起部40と嵌合可能な形状を有している。
スリーブ102とコイル部18との相対回転が進んで突起部40全体が切欠部106と径方向で対向する位置まで達すると、横溝104の底面による径方向外側への押圧力が無くなることで突起部40の変形が解除される。この場合、突起部40は、図9(C)に示す如く、切欠部106に嵌合する。かかる嵌合が行われると、以後、スリーブ102とコイル部18とは、相対回転が不能になると共に、軸方向(上下方向)への相対変位が不能になる。
従って、本変形例のソレノイドバルブ100の構造においても、スリーブ102とコイル部18との組み付け時、コイル部18の内周面にある突起部40をスリーブ102の外周面にある縦溝42に挿入しその後に横溝104に挿入して、突起部40と横溝104の底面にある切欠部106とを嵌合させることにより、コイル部18とスリーブ102とを互いに固定させることができる。この場合、コイル部18とスリーブ102との相対回転及び軸方向への相対変位は共に防止される。このため、本変形例においても、上記した実施例のソレノイドバルブ10と同様の効果を得ることができる。尚、この変形例においては、縦溝42及び横溝104が特許請求の範囲に記載した「溝」に相当する。
また、上記の実施例においては、コイル部18の内周面に突起部40を軸中心を挟んだ二箇所設けることとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、一箇所或いは三箇所以上設けることとしてもよい。尚、突起部40を二箇所以上設ける場合は、コイル部18とスリーブ12との周方向の位置関係をある特定の位置で固定するうえで、その突起部40の大きさを異ならせ或いは相対的な角度位置や軸方向位置を異ならせることとすればよい。かかる変形例によれば、コイル部18とスリーブ12との組み付け時に両者の相対的な周方向位置を一つに固定することができ、その結果として、コイル部18とスリーブ12との誤組み付けを防止することができる。
また、上記の実施例においては、スリーブ12の外周面に形成される横溝44を軸回り全体に設けることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、軸回りの一部だけに、具体的には図10に示す如く、縦溝42から一方の周方向だけに延びるように(例えば90°分だけ)設けることとしてもよい。かかる変形例によれば、コイル部18の突起部40をスリーブ12の縦溝42に挿入した後に横溝44に挿入する際に、コイル部18とスリーブ12との相対回転が許容される方向を一方向に限定することができるので、コイル部18とスリーブ12との誤組み付けを防止することができる。
また、上記の実施例においては、スリーブ12の外周面に形成される縦溝42を、図7に示す如く、コイル部18の突起部40の挿入側から軸方向へ横溝44の軸方向位置を超えて設けることとしているが、図11に示す如く、コイル部18の突起部40の挿入側から軸方向へ横溝44の軸方向位置まで設けることとすればよい。かかる変形例によれば、コイル部18の突起部40の軸方向への移動をスリーブ12の横溝44の軸方向位置までに制限することができるので、その突起部40をスリーブ12の縦溝42側から横溝44側へ移すのを容易にすることができる。
また、上記の実施例においては、スリーブ12の外周面に形成される横溝44を、図7に示す如く、その底面が段差を有するように設けることとしているが、図12に示す如く、その底面が縦溝42の底面と一体となるように円柱状に設けることとしてもよい。
更に、上記の実施例においては、径方向外側のコイル部18の内周面に内径側に突起する突起部40を、また、径方向内側のスリーブ12の外周面に内径側に窪んだ切欠部46を、それぞれ設けることとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、逆に、径方向外側のコイル部18の内周面に外径側に窪んだ切欠部を、また、径方向内側のスリーブ12の外周面に外径側に突起する突起部を、それぞれ設けることとしてもよい。かかる変形例においても、上記した実施例のソレノイドバルブ10と同様の効果を得ることができる。
10,100 ソレノイドバルブ
12,102 スリーブ
16 可動部
18 コイル部
20 コイル
22 ボビン
26 コイル穴
40 突起部
42 縦溝
44,104 横溝
46,106 切欠部

Claims (3)

  1. 内部に可動部が変位可能に挿入される円筒状のスリーブと、コイルを有し、円筒状に空いたコイル穴内に前記スリーブが配置されるコイル部と、を備え、前記コイルへの通電により前記スリーブ内で前記可動部を変位させるソレノイドバルブであって、
    前記スリーブの外周面及び前記コイル部の前記コイル穴内の内周面の一方に突起部をかつ他方に切欠部をそれぞれ設け、
    前記突起部と前記切欠部とが嵌合することで、前記スリーブと前記コイル部とが互いに固定されたことを特徴とするソレノイドバルブ。
  2. 前記切欠部が設けられた前記他方に、前記突起部を該切欠部の位置まで誘導する溝を設けたことを特徴とする請求項1記載のソレノイドバルブ。
  3. 内部に可動部が変位可能に挿入される円筒状のスリーブと、コイルを有し、円筒状に空いたコイル穴内に前記スリーブが配置されるコイル部と、を備え、前記コイルへの通電により前記スリーブ内で前記可動部を変位させるソレノイドバルブを製造する方法であって、
    前記スリーブの外周面及び前記コイル部の前記コイル穴内の内周面の一方に設けられた突起部と他方に設けられた切欠部とを嵌合させることで、前記スリーブと前記コイル部とを互いに固定させたことを特徴とするソレノイドバルブの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013108517A (ja) * 2011-11-17 2013-06-06 Toyota Motor Corp コイル固定構造
CN104759741A (zh) * 2015-04-20 2015-07-08 南通江中光电有限公司 一种自动焊机刹车装置

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