JP2014148199A - 保持機構およびこれを備えるパーキング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】限られたスペースへの配置が良好で且つ作動不良などの不都合を抑制する保持機構およびこれを備えるパーキング装置を提案する。
【解決手段】軸部材40の切欠部52に嵌合するカム60を、図中右半分については円筒形状に、左半分の上方については円筒形状の頂部から斜め左下側に突出する凸部61が形成された形状に、左半分の下方については矩形形状の角を丸めた形状の凸部62が形成された形状に形成する。切欠部52にカム60を嵌合させた状態で油圧ピストン32への油圧が低下すると、バネ36による付勢力により凸部61に力が作用する。この力の水平成分は、凸部62と当接部63に作用する力との和によって釣り合い、その垂直成分は、カム60の底部と頂部に作用する力との和によって釣り合う。このため、移動部材58には軸方向に直交する力は作用しない。
【選択図】図6
【解決手段】軸部材40の切欠部52に嵌合するカム60を、図中右半分については円筒形状に、左半分の上方については円筒形状の頂部から斜め左下側に突出する凸部61が形成された形状に、左半分の下方については矩形形状の角を丸めた形状の凸部62が形成された形状に形成する。切欠部52にカム60を嵌合させた状態で油圧ピストン32への油圧が低下すると、バネ36による付勢力により凸部61に力が作用する。この力の水平成分は、凸部62と当接部63に作用する力との和によって釣り合い、その垂直成分は、カム60の底部と頂部に作用する力との和によって釣り合う。このため、移動部材58には軸方向に直交する力は作用しない。
【選択図】図6
Description
本発明は、保持機構およびこれを備えるパーキング装置に関し、詳しくは、バネ部材による付勢力に抗して油圧ピストンの油圧により軸方向のうち一方向に移動する軸部材を前記油圧ピストンの油圧により前記一方向に移動した保持位置で保持する保持機構およびこの保持機構を備えるパーキング装置に関する。
従来、この種の保持機構としては、図12および図12におけるX−X断面図である図13に示すように、ソレノイド856のプランジャに嵌装された円筒状のテーパ部材858を油圧ピストン832と同一軸線上に設け、このテーパ部材858がスプリング859で油圧ピストン832側に付勢されることにより、その周囲に設けられた3枚のプレート860からなる爪部862がテーパ部材858により押し拡げられて解除状態となり、油圧ピストン832の移動によりテーパ部材858がスプリング859の付勢力に抗して押圧されると、爪部862が内側に閉じて油圧ピストン832の引っ掛かり部834に係合し、テーパ部材858の位置をソレノイド856で固定することにより、油圧ピストン832の位置をロックするロック機構が提案されている(例えば、特許文献1参照)。こうしたロック機構をパーキングロック解除状態を保持する機構として用いれば、アイドルストップ時にエンジン駆動の機械ポンプが停止したことによって油圧ピストン装置の油圧が低下したときでも、パーキングロック解除状態を保持することができる。
しかしながら、上述のロック機構は、油圧ピストンと同一軸線上に設けられているため、油圧ピストンの軸方向にスペースが必要となり、限られたスペースに配置する場合には不向きとなる。特にFF(フロントエンジンフロントドライブ)式の車両のパーキング装置に組み込まれるものとした場合には、その搭載性が重要な課題となる。こうした課題に対して、図14および図15に示すように、油圧ピストンの軸に対して直交する方向に作動するロック機構も提案されている。図14はロック機構によるロックが解除されている状態を示し、図15はロック機構によりロックされている状態を示す。このロック機構では、油圧ピストン932の端部にフック部934が形成されていると共に、油圧ピストン932の軸の側部に取り付けられたソレノイド956により油圧ピストン932の軸の方向と直交する方向に作動する作動部材958の端部には爪部960が形成されている。そして、バネ936の付勢力に抗して油圧により油圧ピストン932を図中右方向に移動させた状態でフック部934に爪部960を嵌合させてロック状態とする(図15参照)。このロック状態では、フック部934と爪部960との嵌合により、油圧ピストン932への油圧が低下しても、油圧ピストン932の位置が保持される。ロック状態の解除は、油圧ピストン932の油圧の解除と、ソレノイドにより作動部材958を図中下側に作動させることによる爪部960とフック部934との嵌合の解除とによって行なわれる。こうしたロック機構は、ロック状態で油圧ピストン932への油圧が低下したときには、バネ936の付勢力が作動部材958に軸方向に直交する力として作用するため、作動部材958に変形が生じやすく、作動部材958の作動不良などの不都合が生じる場合がある。
本発明の保持機構およびこれを備えるパーキング装置は、限られたスペースへの配置が良好で且つ作動不良などの不都合を抑制する保持機構およびこれを備えるパーキング装置を提案することを主目的とする。
本発明の保持機構およびこれを備えるパーキング装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の保持機構は、
バネ部材による付勢力に抗して油圧ピストンの油圧により軸方向のうち一方向に移動する軸部材を前記油圧ピストンの油圧により前記一方向に移動した保持位置で保持する保持機構であって、
前記軸部材を内包する筐体と、
前記軸部材の軸方向の側面に形成された切欠部と、
前記保持位置に移動したときの前記軸部材の前記切欠部に嵌合し、前記筐体の前記軸部材の軸と直交する方向から連通する連通通路内を当該直交する方向に移動する移動部材と、
前記切欠部に嵌合可能に且つ回転軸により回転可能に前記移動部材の端部に取り付けられたカムと、
を備え、
前記カムは、前記切欠部に嵌合しているときに、前記軸部材が前記一方向とは逆の他方向に移動するときに前記切欠部の前記一方向側の側面に当接する第1の当接部と、前記第1の当接部と前記切欠部との当接によって回転したときに回転を規制するように前記連通通路の前記一方向側の壁面に当接する第2の当接部および前記連通通路の前記他方向側の壁面に当接する第3の当接部と、が形成されている、
ことを特徴とする。
バネ部材による付勢力に抗して油圧ピストンの油圧により軸方向のうち一方向に移動する軸部材を前記油圧ピストンの油圧により前記一方向に移動した保持位置で保持する保持機構であって、
前記軸部材を内包する筐体と、
前記軸部材の軸方向の側面に形成された切欠部と、
前記保持位置に移動したときの前記軸部材の前記切欠部に嵌合し、前記筐体の前記軸部材の軸と直交する方向から連通する連通通路内を当該直交する方向に移動する移動部材と、
前記切欠部に嵌合可能に且つ回転軸により回転可能に前記移動部材の端部に取り付けられたカムと、
を備え、
前記カムは、前記切欠部に嵌合しているときに、前記軸部材が前記一方向とは逆の他方向に移動するときに前記切欠部の前記一方向側の側面に当接する第1の当接部と、前記第1の当接部と前記切欠部との当接によって回転したときに回転を規制するように前記連通通路の前記一方向側の壁面に当接する第2の当接部および前記連通通路の前記他方向側の壁面に当接する第3の当接部と、が形成されている、
ことを特徴とする。
この本発明の保持機構では、油圧ピストンの油圧により軸部材が一方向に移動して保持位置にいるときに、移動部材を軸部材の方向に移動させて移動部材の端部に取り付けられたカムを軸部材の切欠部に嵌め込む。この状態で油圧ピストンの油圧が何らかの理由により低下すると、バネ部材の付勢力により軸部材は他方向に移動しようとする。すると、カムの第1の当接部が切欠部の一方向側の側面に当接し、この当接により、軸部材の他方向への若干の移動に伴ってカムが回転する。カムが回転すると、この回転を規制するようにカムの第2の当接部が連通通路の一方向側の壁面に当接すると共にカムの第3の当接部が連通通路の他方向側の壁面に当接する。このとき、軸部材の切欠部の一方向側の側面からカムの第1の当接部に作用する軸部材の軸方向の力は、第2の当接部と当接する連通通路の一方向側の壁面から第2の当接部に作用する反力と第3の当接部と当接する連通通路の他方向側の壁面から第3の当接部に作用する反力とにより打ち消される。このため、移動部材には、その軸方向(連通通路内の移動方向)に直交する力は作用しない。したがって、移動部材の軸方向に直交する力が作用することによる移動部材の変形などによる不都合を抑制することができる。もとより、軸部材の軸方向とは直交する方向の連通通路に移動部材やカムを配置するから、軸部材の軸方向の移動範囲内であれば何処でも配置することができるため、軸部材と同軸方向に配置するものに比して、限られたスペースへの配置を良好なものとすることができる。
こうした本発明の保持機構において、前記カムは、円筒形状に対して前記第1の当接部として第1の凸部と前記第2の当接部として第2の凸部を有する形状に形成されており、前記カムと前記回転軸のクリアランスは、前記第1の凸部と前記切欠部との当接によって前記第2の凸部と前記連通通路の前記一方向側の壁面とが当接したときに、前記カムの前記他方向側の円筒形状部の一部が前記第3の当接部として前記連通通路の前記他方向側の壁面に当接する際に、前記カムと前記回転軸が接触しないように形成されている、ことを特徴とするものとすることもできる。こうすれば、カムと回転軸のクリアランスにより、移動部材には、その軸方向(連通通路内の移動方向)に直交する力を作用しないようにすることができる。ここで、カムは、例えば、円筒形状のうち中心より一方向側を矩形形状とした形状に近似することができ、この近似では、矩形形状の一方向側の2つの角が第1の凸部および第2の凸部に相当し、カムの回転により他方向側の円筒形状のうち連通通路の他方向側の壁面に当接する部位が第3の当接部となる。
また、本発明の保持機構において、前記切欠部の前記他方向側の側面は、前記カムが前記連通通路に押されるように傾斜面により形成されている、ものとすることもできる。こうすれば、油圧ピストンの油圧を解除すると共に移動部材からカムを切欠部に押し込む力を解除するだけで、カムの切欠部との嵌合を解除することができ、軸部材を他方向側に移動させることができる。
本発明のパーキング装置は、上述のいずれかの態様の保持機構を備えるパーキング装置、即ち、基本的には、バネ部材による付勢力に抗して油圧ピストンの油圧により軸方向のうち一方向に移動する軸部材を前記油圧ピストンの油圧により前記一方向に移動した保持位置で保持する保持機構であって、前記軸部材を内包する筐体と、前記軸部材の軸方向の側面に形成された切欠部と、前記保持位置に移動したときの前記軸部材の前記切欠部に嵌合し、前記筐体の前記軸部材の軸と直交する方向から連通する連通通路内を当該直交する方向に移動する移動部材と、前記切欠部に嵌合可能に且つ回転軸により回転可能に前記移動部材の端部に取り付けられたカムと、を備え、前記カムは、前記切欠部に嵌合しているときに、前記軸部材が前記一方向とは逆の他方向に移動するときに前記切欠部の前記一方向側の側面に当接する第1の当接部と、前記第1の当接部と前記切欠部との当接によって回転したときに回転を規制するように前記連通通路の前記一方向側の壁面に当接する第2の当接部および前記連通通路の前記他方向側の壁面に当接する第3の当接部と、が形成されている、ことを特徴とする保持機構を備えるパーキング装置であって、前記軸部材が前記一方向に移動したときにパーキングロック解除状態を形成し、前記軸部材が前記他方向に移動したときにパーキングロック状態を形成することを要旨とする。
この本発明のパーキング装置では、油圧ピストンの油圧により軸部材が一方向に移動したときにパーキングロック解除状態となり、油圧ピストンの油圧が解除されて軸部材が他方向に移動したときにパーキングロック状態となる。そして、パーキングロック解除状態のときにカムが軸部材の切欠部に嵌合するように移動部材を移動させることにより、油圧ピストンの油圧が何らかの理由(例えば、アイドルストップによって油圧を発生するエンジン駆動の機械ポンプが停止したこと)により油圧が低下しても、パーキングロック解除状態を保持することができる。もとより、本発明の保持機構の効果、即ち、移動部材の軸方向に直交する力が作用することによる移動部材の変形などによる不都合を抑制することができる効果や、軸部材の軸方向とは直交する方向の連通通路に移動部材やカムを配置することによる限られたスペースへの配置を良好なものとすることができる効果などを奏することができる。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての保持機構50を備えるパーキング装置20のパーキングロック状態における構成の概略を示す構成図であり、図2は、パーキングロック状態の保持機構50の要部を拡大して示す拡大構成図であり、図3は、図2におけるA−A面の拡大断面図であり、図4は、実施例のパーキング装置20のパーキングロック解除状態における構成の概略を示す構成図であり、図5は、パーキングロック解除状態の保持機構50の要部を拡大して示す拡大構成図である。
実施例のパーキング装置20は、車両に搭載され、図示しないパーキングロックギヤに図示しないパーキングロックポールを回動させて噛み合わせることによりパーキングロック状態としたり、パーキングロックポールを逆に回動させて噛み合いを解除することによってパーキングロック解除状態とする装置であり、図1および図4に示すように、パーキングロックポールに係合するカム部材24が一端に取り付けられたパーキングロッド22と、パーキングロッド22の他端に一端が回転可能に取り付けられ回動軸28を中心に回動する回動部材26と、ケース10と回動部材26の回動軸28より一端側(パーキングロッド22が取り付けられた端部側)とに取り付けられてパーキングロッド22を図中左側に押す力を付勢するバネ36と、回動部材26の他端が2つの移動ピン42,44で比較的大きな余裕をもって保持されるように取り付けられて軸方向に移動する軸部材40と、軸部材40と一体形成された油圧ピストン32と、油圧ピストン32を収納すると共に油圧を導入する油圧入排孔34が形成されたシリンダ30と、パーキングロック解除状態における軸部材40の位置を保持する保持機構50と、を備える。保持機構50の詳細については後述するが、この保持機構50が作動していない状態を考えれば、実施例のパーキング装置20は、図1のパーキングロック状態で油圧入排孔34に油圧を導入すると、バネ36の付勢力に抗して油圧ピストン32および軸部材40が図中左方向(一方向)に移動し、これに伴って回動部材26が回動軸28を中心にして図中時計回りに回動すると共にパーキングロッド22が図中右方向に移動し、図4のパーキングロック解除状態となり、このパーキングロック解除状態で油圧ピストン32への油圧を解除(低下)すると、バネ36の付勢力により回動部材26が回動軸28を中心にして図中反時計回りに回動し、これに伴ってパーキングロッド22が図中左方向に移動すると共に軸部材40および油圧ピストン32が図中右方向(他方向)に移動し、図1のパーキングロック状態となる。
保持機構50は、軸部材40に形成された切欠部52と、シリンダ30と一体の筐体に軸部材40の軸方向に対して直交する方向に形成された連通通路54と、この連通通路54に取り付けられたソレノイド56と、ソレノイド56のプランジャに取り付けられて連通通路54内を移動する移動部材58と、移動部材58の端部に回転軸59により回転可能に取り付けられたカム60と、を備える。切欠部52は、図4のパーキングロック解除状態に至ったときに連通通路54に整合する位置に、図中左側(一方向側)の壁面は図中下側に広がる傾斜壁面53aにより、図中右側(他方向側)の壁面は垂直壁面53bにより、断面が台形形状となるように形成されている。カム60は、図2および図5に示すように、図中右半分については円筒形状に、図中左半分の上方については円筒形状の頂部から斜め左下側に突出する凸部61が形成された形状に、図中左半分の下方については矩形形状の角を丸めた形状の凸部62が形成された形状に、形成されている。カム60は、図3に示すように、比較的大きなクリアランス(余裕)をもって回転軸59に軸支されている。
次に、保持機構50の動作および機能について説明する。図6は、パーキングロック解除状態で保持機構50を作動したとき状態の構成の概略を示す構成図であり、図7は、パーキングロック解除状態で保持機構50を作動したときの保持機構50の要部を拡大して示す拡大構成図である。パーキングロック解除状態のときに(図4および図5)、ソレノイド56に通電するとプランジャに取り付けられた移動部材58が図中上方向に移動するため、カム60は切欠部52に嵌合する(図6および図7参照)。このとき、切欠部52の図7中左側(一方向側)の壁面にカム60の凸部61が当接するため、凸部61に力が作用し、カム60が図7中右側に押されて回転軸59のクリアランスの範囲内で移動すると共に図7中時計回りに回転する。カム60の右方向の移動は、カム60の右側の円筒形状の一部(当接部63)が連通通路54の右側(他方向側)の壁面に当接することによって規制され、カム60の回転は、カム60の凸部62が連通通路54の左側(一方向側)の壁面に当接することによって規制される。この状態のカム60に作用する力を図8に示す。図示するように、ソレノイド56の通電により移動部材58を介してカム60の底部に力P4が作用し、この力P4の反作用として切欠部52からカム60の頂部と凸部61に力P5と力P1が作用する。凸部61に作用する力P1は切欠部52の傾斜壁面53aが傾斜しているため、この傾斜壁面53aの法線方向に作用する。この力P1の垂直成分については力P4と力P5との和により釣り合う。力P1の水平成分は、カム60を右側に移動させる力として作用すると共にカム60を時計回りに回転させる力として作用し、凸部62に作用する力P2と当接部63に作用する力P3との和により釣り合う。
上述した保持機構50を作動させた状態で油圧ピストン32への油圧が低下した場合を考える。油圧ピストン32への油圧が低下すると、バネ36による付勢力により軸部材40が右側(他方向側)に移動しようとするが、カム60が切欠部52に嵌合しているため、軸部材40は保持され、バネ36による付勢力に相当する力のうち油圧の低下による力の差分がカム60の凸部61に作用する。このときにカム60に作用する力を図9に示す。この凸部61に作用する力P11の水平成分は、凸部62に作用する力P21と当接部63に作用する力P31との和によって釣り合い、力P11の垂直成分は、ソレノイド56の通電により移動部材58を介してカム60の底部に作用する力P4とカム60の頂部に作用する力P51との和によって釣り合う。このように、力P11の水平成分は、凸部62に作用する力P21と当接部63に作用する力P31との和によって釣り合うから、移動部材58には軸方向に直交する力は作用しない。このため、移動部材58の軸方向に直交する力が作用することによって移動部材58が変形し、これによって生じる作動不良などの不都合を抑制することができる。
次に、保持機構50を作動させた状態で油圧ピストン32への油圧を解除し、更にソレノイド56の通電を遮断した場合を考える。このときの保持機構50の状態を図10に示す。ソレノイド56への通電が遮断されたことにより、移動部材58はソレノイド56側に戻ろうとする。油圧ピストン32への油圧の解除によってバネ36による付勢力により軸部材40は右側(他方向側)に移動しようとして、バネ36の付勢力に相当する力がカム60の凸部61に作用する。凸部61に作用する力は、上述したように、傾斜壁面53aの法線方向に作用するから、その垂直成分はカム60を連通通路54側に押し出すものとなり、カム60と切欠部52との嵌合を解除する。これにより、容易に保持機構50による保持を解除することができる。
こうした保持機構50を備えるパーキング装置20では、パーキングロック解除状態のときには常に保持機構50を作動させてパーキングロック解除状態を保持するように保持機構50を制御してもよいし、油圧ピストン32への油圧が低下する可能性があるときにのみ保持機構50を作動させるよう保持機構50を制御するものとしてもよい。油圧ピストン32への油圧が低下する可能性があるときにのみ保持機構50を作動させる具体的な例としては、油圧ピストン32への油圧を図示しないエンジンの動力を用いて発生させる機械ポンプを用いており、赤信号などで一時停止しているときにエンジンをアイドルストップする車両に実施例のパーキング装置20が用いられている場合、アイドルストップする直前に保持機構50を作動させてパーキングロック解除状態を保持し、アイドルストップにより停止したエンジンが始動されたときに保護機構50の作動を解除するものを考えることができる。
以上説明した実施例のパーキング装置20の保持機構50によれば、パーキングロック解除状態でソレノイド56に通電することにより、移動部材58を軸部材40側に移動させて移動部材58の端部に取り付けられたカム60を軸部材40に形成された切欠部52に嵌合させることにより、油圧ピストン32への油圧が低下してもパーキングロック解除状態を保持することができる。油圧ピストン32への油圧が低下すると、バネ36による付勢力によりカム60の凸部61に切欠部52の傾斜壁面53aの法線方向からの力P11が作用するが、凸部61に作用する力P11の水平成分は、凸部62に作用する力P21と当接部63に作用する力P31との和によって釣り合うから、移動部材58には軸方向に直交する力は作用しない。このため、移動部材58の軸方向に直交する力が作用することによって移動部材58が変形し、これによって生じる作動不良などの不都合を抑制することができる。また、保持機構50は、軸部材40の軸方向であれば如何なる位置にも配置することができるから、限られたスペースへの配置を良好なものとすることができる。
実施例の保護機構50では、軸部材40に形成された切欠部52は傾斜壁面53aと垂直壁面53bとにより形成されているものとしたが、図11の変形例の保持機構150に例示するように、傾斜壁面53aを用いずに、2つの垂直壁面153a,153bにより切欠部152を形成するものとしてもよい。この場合、油圧ピストン132への油圧が低下すると、カム160の凸部162が連通通路154の左側(一方向側)の壁面に当接すると共に当接部163が連通通路154の右側(他方向側)の壁面に当接するまで回転するため、その分だけ軸部材140が右側(他方向側)に移動するが、カム160の凸部161に作用する力(水平成分の力)は、凸部162と当接部163に作用する力の和により釣り合うから、移動部材158には軸方向に直交する力は作用しない。
実施例のパーキング装置20では、パーキングロック解除状態のときに保持機構50を作動させるものとしたが、逆にパーキングロック状態のときに保持機構が作用するように構成し、パーキングロック状態のときに保持機構を作動させるものとしてもよい。
実施例の保持機構50は、パーキング装置20のパーキングロック解除状態を保持するものとして用いたが、バネの付勢力に抗して油圧ピストンの油圧により軸方向のうち一方向に移動する軸部材を油圧ピストンの油圧により一方向に移動した保持位置で保持するものであれば如何なる装置に用いるものとしてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、バネ36が「バネ部材」に相当し、油圧ピストン32が「油圧ピストン」に相当し、軸部材40が「軸部材」に相当し、切欠部52が「切欠部」に相当し、連通通路54が「連通通路」に相当し、移動部材58が「移動部材」に相当し、回転軸59が「回転軸」に相当し、カム60が「カム」に相当し、凸部61が「第1の当接部」および「第1の凸部」に相当し、凸部62が「第2の当接部」および「第2の凸部」に相当し、当接部63が「第3の当接部」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、保持機構やパーキング装置の製造産業などに利用可能である。
10 ケース、20 パーキング装置、22 パーキングロッド、24 カム部材、26 回動部材、28 回動軸、30 シリンダ、32 油圧ピストン、34 油圧入排孔、36 バネ、40 軸部材、42,44 移動ピン、50,150 保持機構、52,152 切欠部、53a 傾斜壁面、53b,153a,153b 垂直壁面、54,154 連通通路、56 ソレノイド、58,158 移動部材、60,160 カム、61,161 凸部、62,162 凸部、63,163 当接部、832 油圧ピストン、856 ソレノイド、858 テーパ部材、859 スプリング、860 プレート、862 爪部、932 油圧ピストン、934 フック部、936 バネ、956 ソレノイド、958 作動部材、960 爪部。
Claims (4)
- バネ部材による付勢力に抗して油圧ピストンの油圧により軸方向のうち一方向に移動する軸部材を前記油圧ピストンの油圧により前記一方向に移動した保持位置で保持する保持機構であって、
前記軸部材を内包する筐体と、
前記軸部材の軸方向の側面に形成された切欠部と、
前記保持位置に移動したときの前記軸部材の前記切欠部に嵌合し、前記筐体の前記軸部材の軸と直交する方向から連通する連通通路内を当該直交する方向に移動する移動部材と、
前記切欠部に嵌合可能に且つ回転軸により回転可能に前記移動部材の端部に取り付けられたカムと、
を備え、
前記カムは、前記切欠部に嵌合しているときに、前記軸部材が前記一方向とは逆の他方向に移動するときに前記切欠部の前記一方向側の側面に当接する第1の当接部と、前記第1の当接部と前記切欠部との当接によって回転したときに回転を規制するように前記連通通路の前記一方向側の壁面に当接する第2の当接部および前記連通通路の前記他方向側の壁面に当接する第3の当接部と、が形成されている、
ことを特徴とする保持機構。 - 請求項1記載の保持機構であって、
前記カムは、円筒形状に対して前記第1の当接部として第1の凸部と前記第2の当接部として第2の凸部を有する形状に形成されており、
前記カムと前記回転軸のクリアランスは、前記第1の凸部と前記切欠部との当接によって前記第2の凸部と前記連通通路の前記一方向側の壁面とが当接したときに、前記カムの前記他方向側の円筒形状部の一部が前記第3の当接部として前記連通通路の前記他方向側の壁面に当接する際に、前記カムと前記回転軸とが接触しないように形成されている、
ことを特徴とする保持機構。 - 請求項1または2記載の保持機構であって、
前記切欠部の前記他方向側の側面は、前記カムが前記連通通路に押されるように傾斜面により形成されている、
ことを特徴とする保持機構。 - 請求項1ないし3のうちのいずれか1つの請求項に記載の保持機構を備えるパーキング装置であって、
前記軸部材が前記一方向に移動したときにパーキングロック解除状態を形成し、前記軸部材が前記他方向に移動したときにパーキングロック状態を形成する、
パーキング装置。
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