JP6280914B2 - バーハンドル車両用ブレーキ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、バーハンドル車両用ブレーキ装置に係り、詳しくは、前輪ブレーキと後輪ブレーキの少なくとも一方を液圧式ブレーキとし、第1ブレーキ操作子の操作によって、液圧マスタシリンダとレバー機構とを組み合わせて形成されるマスタシリンダユニットを介して液圧式ブレーキを作動させるバーハンドル車両用ブレーキ装置に関する。
従来、前輪ブレーキと後輪ブレーキの少なくとも一方を液圧式ブレーキとし、第1ブレーキ操作子の操作によって、液圧マスタシリンダとレバー機構とを組み合わせて形成されるマスタシリンダユニットを介して液圧式ブレーキを作動させるものがある。このマスタシリンダユニットとして、マスタシリンダとレバー機構とを組み合わせたものがあり、レバー機構は、第1回動レバー,第2回動レバー,ノッカー及びイコライザレバーの4個のレバーを備え、第1ブレーキ操作子の作動によって回動する第1回動レバーとノッカーとで、一方の液圧式ブレーキを作動させ、第2ブレーキ操作子の作動によって回動するイコライザレバーと第2回動レバーとノッカーとで、双方のブレーキを連動して作動させるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
特許第4532753号公報
第1ブレーキ操作子の操作によって、マスタシリンダユニットを介して、液圧式ブレーキを単独で作動させ、第2ブレーキ操作子の操作によって、マスタシリンダユニットを介して、液圧式ブレーキと機械式ブレーキとを連動して作動させるものでは、ハンドルの左右転舵によるブレーキワイヤの張りによって、誤って液圧マスタシリンダが作動することがないように、マスタシリンダの無効ストロークを適正な距離に設定する必要があった。上述の特許文献1のものでは、ノッカーと、マスタシリンダのボディ本体側面とを当接させることによって、ピストンの後退限が規制されると共に、無効ストロークが設定されているが、ノッカー及びボディ本体側面の公差を考慮する必要があり、液圧マスタシリンダやノッカーを精度良く製造しなければならないことから、生産性が良くなかった。
そこで本発明は、マスタシリンダユニットの製造の精度を必要以上に厳しくしなくても、ピストンの後退限の規制と無効ストロークとを適正に設定することができるバーハンドル車両用ブレーキ装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明のバーハンドル車両用ブレーキ装置は、前輪ブレーキと後輪ブレーキのいずれか一方を液圧式ブレーキ、他方を機械式ブレーキとし、第1ブレーキ操作子の操作によって、液圧マスタシリンダとレバー機構とを組み合わせて形成されるマスタシリンダユニットを介して前記液圧式ブレーキを作動させるバーハンドル車両用ブレーキ装置において、前記液圧マスタシリンダは、前記ピストンを内挿するシリンダ孔の開口部に、前記ピストンの後退限を規制するピストン規制手段が取り付けられ、
前記レバー機構は、少なくとも第1回動レバーとノッカーと第2回動レバーとイコライザレバーとを備え、前記第1ブレーキ操作子に繋がる第1ブレーキ連繋手段を、前記第1回動レバーに連結し、前記第1ブレーキ操作子の操作によって、前記第1回動レバーが押動する前記ノッカーを介して、前記液圧マスタシリンダのピストンを作動させて前記液圧式ブレーキを単独で作動させ、前記イコライザレバーに、第2ブレーキ操作子に繋がる第2ブレーキ連繋手段と、前記機械式ブレーキに繋がる機械式ブレーキ用連繋手段と、前記第2回動レバーとを連結し、前記第2ブレーキ操作子の操作によって、前記イコライザレバーを介して前記機械式ブレーキ用連繋手段を牽引して前記機械式ブレーキを作動させると共に、前記イコライザレバーが前記第2回動レバーを回動させることにより前記液圧マスタシリンダのピストンを作動させて、前記液圧式ブレーキを連動して作動させ、前記第1回動レバーと前記ノッカーのいずれか一方にアジャストボルトを装着し、該アジャストボルトの突出量を調整することにより、前記第1ブレーキ操作子の操作開始から前記ノッカーを介して前記ピストンを押動するまでの無効ストロークを調整することを特徴としている。
また、前記マスタシリンダユニットは、バーハンドル車両のカウル内に配置されると好適である。さらに、前記液圧式ブレーキを前輪に、前記機械式ブレーキを後輪にそれぞれ設けると好ましい。
本発明のバーハンドル車両用ブレーキ装置によれば、液圧マスタシリンダのピストンは、シリンダ孔開口部に設けられたピストン規制手段によって、後退限が規制されていることから、シリンダボディの側面の公差を考慮することなく、マスタシリンダユニットを製造することができ、生産性を向上させることができる。また、ピストンの後退限を確実に設定することができることから、ピストンの無効ストロークも良好に設定することができ、常に、良好な操作フィーリングを得ることができる。
また、レバー機構は、少なくとも第1回動レバーとノッカーとを備え、第1ブレーキ操作子に繋がる第1ブレーキ連繋手段を、第1回動レバーに連結し、第1ブレーキ操作子の操作によって、第1回動レバーが押動するノッカーを介して、液圧マスタシリンダのピストンを作動させて液圧式ブレーキを作動させることにより、レバー機構と液圧マスタシリンダとが、前記第1ブレーキ連繋手段を介して離れた位置に配置されても、シリンダ孔開口部に設けられたピストン規制手段によって、後退限が規制されていることから、第1ブレーキ操作子の公差や伸び等に関係なく、ピストンの無効ストロークを良好に設定することができ、常に良好な操作フィーリングを得ることができる。さらに、前輪ブレーキと後輪ブレーキのいずれか一方を前記液圧式ブレーキ、他方を機械式ブレーキとし、レバー機構は、少なくとも第2回動レバーとイコライザレバーとを備え、イコライザレバーに、第2ブレーキ操作子に繋がる第2ブレーキ連繋手段と、機械式ブレーキに繋がる機械式ブレーキ用連繋手段と、第2回動レバーとを連結し、第1ブレーキ操作子の操作によって、液圧式ブレーキを単独で作動させ、第2ブレーキ操作子の操作によって、イコライザレバーを介して前記機械式ブレーキ用連繋手段を牽引して機械式ブレーキを作動させると共に、イコライザレバーが前記第2回動レバーを回動させることにより、液圧マスタシリンダのピストンを作動させて液圧式ブレーキを連動して作動させることにより、連動式のブレーキ装置においても、良好な操作フィーリングを得ることができる。また、マスタシリンダユニットを、車両のカウル内に配置することにより、ユーザーが不用意に連動状態の設定を変更する虞がない。さらに、液圧式ブレーキを前輪に、機械式ブレーキを後輪にそれぞれ設けたことにより、ブレーキワイヤや液圧配管の取り回しが良好になる。
本発明の第1形態例を示すバーハンドル車両用ブレーキ装置の概略図である 。 同じくマスタシリンダユニットを運転者側から見た一部断面正面図である。 同じくマスタシリンダユニットの左側面図である。 同じくマスタシリンダユニットの右側面図である。 同じくマスタシリンダユニットの背面図である。 図4のVI−VI断面図である。 図2のVII−VII断面図である。 本発明の第1形態例を示すマスタシリンダユニットの斜視図である。 同じくマスタシリンダユニットの斜視図である。 同じくマスタシリンダユニットの分解斜視図である。 同じくマスタシリンダユニットを搭載した車両の一部断面正面図である。 同じく第1操作レバーのみを操作し、液圧式ブレーキのみを作動させた状 態のマスタシリンダユニットの説明図である。 同じく第2操作レバーのみを操作し、連動状態となった際のマスタシリン ダユニットの説明図である。 同じくさらに第2操作レバーのみを操作し、液圧式ブレーキの作動を規制 した状態のマスタシリンダユニットの説明図である。 同じくさらに第2操作レバーのみを操作し、機械式ブレーキのみを作動さ せた状態のマスタシリンダユニットの正面方向の説明図である。 同じくさらに第2操作レバーのみを操作し、機械式ブレーキのみを作動さ せた状態のマスタシリンダユニットの背面方向の説明図である 同じく双方の操作レバーを操作した際のマスタシリンダユニットの説明図 である。 本発明の第2形態例を示すマスタシリンダユニットの一部断面正面図であ る。
図1乃至図17は、本発明の第1形態例を示すもので、図1及び図2に示すように、本形態例のバーハンドル車両用のブレーキ装置1は、前輪ブレーキ2及び後輪ブレーキ3と、前輪ブレーキ用操作子4(本発明の第1ブレーキ操作子)と、後輪ブレーキ用操作子5(本発明の第2ブレーキ操作子)とを備え、前輪ブレーキ2と前輪ブレーキ用操作子4と後輪ブレーキ3と後輪ブレーキ用操作子5との間には、マスタシリンダユニット20が介装されている。
尚、以下のマスタシリンダユニットの説明で、左側及び右側とは、図1に示すような運転者側から見た正面視に対しての左側、右側であり、後輪ブレーキ用操作子5側を左側、前輪ブレーキ用操作子4側を右側として説明する。また、時計回り及び反時計回りの記載についても、同様に正面視に対しての方向として説明する。
前輪ブレーキ2は、前輪と一体に回転するディスクロータ2aに、ピストンを備えたキャリパボディ2bを組み合わせた液圧式のディスクブレーキが用いられている。後輪ブレーキ3は、バックプレート3aに一対のブレーキシュー3b,3bを拡開可能に対向配置し、両ブレーキシュー3b,3bをアンカーピン3cを支点に拡開させる機械式のドラムブレーキが用いられている。
前輪ブレーキ用操作子4は、ハンドルバー6に取り付けられた操作レバー4aを操作することにより、第1ブレーキワイヤ7(本発明の第1ブレーキ連繋手段)が牽引され、マスタシリンダユニット20の液圧マスタシリンダ21を作動させて、液圧配管8を介して、前輪ブレーキ2に液圧を供給して、該前輪ブレーキ2を単独で作動させる。
後輪ブレーキ用操作子5は、ハンドルバー6に取り付けられた操作レバー5aを操作することにより、第2ブレーキワイヤ9(本発明の第2ブレーキ連繋手段)が牽引され、マスタシリンダユニット20を介して、後輪ブレーキ3を作動させる後輪用ブレーキワイヤ10(本発明の機械式ブレーキ用連繋手段)を牽引して後輪ブレーキ3を作動させると共に、マスタシリンダユニット20の液圧マスタシリンダ21を作動させて、液圧配管8を介して、前輪ブレーキ2に液圧を供給して、前輪ブレーキ2を連動して作動させる。
マスタシリンダユニット20は、前輪ブレーキ2に液圧を供給する前記液圧マスタシリンダ21と、レバー機構40とを組み合わせたもので、レバー機構40は、第1回動レバー41と、第2回動レバー42と、ノッカー43と、イコライザレバー44とを備えている。また、このマスタシリンダユニット20は、図11に示されるように、バーハンドル車両50のカウル51内に配置されている。
液圧マスタシリンダ21は、シリンダボディ21aに有底のシリンダ孔21bが下端を開口して設けられ、シリンダ孔21bにはピストン22が移動可能に内挿され、シリンダボディ21aの上壁部とピストン22との間には、液圧室23が画成されている。液圧室23には戻しスプリング24が縮設され、該戻しスプリング24の弾発力によりピストン22を常時シリンダ孔21bの開口側に付勢している。また、シリンダ孔21bは、下端側に大径部21cが形成され、該大径部21cに嵌着されたサークリップ25(本発明のピストン規制手段)と、ピストン22の軸方向中間部に形成されたフランジ部22aとの当接により、ピストン22の後退限が規制され、ピストン22のフランジ部22aよりも下端側をシリンダボディ21aの下端開口よりも下方に突出させている。
シリンダボディ21aの上部壁には、出力ポート21dが液圧室23に連通して設けられ、該出力ポート21dに液圧配管8を連結して液圧室23と前輪ブレーキ2とを連通させている。シリンダボディ21aの周壁の上面には、隆起部21eがシリンダ軸方向に設けられ、該隆起部21eの略中央部にボス孔21fがシリンダ孔21bに連通して設けられ、該ボス孔21fに液通管26を連結して、シリンダ孔21bとリザーバ27とを連通させている。さらに、隆起部21eのシリンダ孔開口側には、第1ブレーキワイヤ7をガイドする第1ワイヤガイド部21gが右側(前輪ブレーキ用操作子4側)に突出して設けられ、隆起部21eの中央には、第2ブレーキワイヤ9をガイドする第2ワイヤガイド部21hが背面側(車体前方側)に突出して設けられている。また、前記ボス孔21fを挟んで上部壁側とシリンダ孔開口側とには、車体取付ボルトを装着するボルト孔21i,21iが、シリンダ軸と直交する方向に形成されている。
さらに、シリンダボディ21aの上部壁側正面には、ディレイスプリング28の係合片21jが突設されている。また、シリンダボディ21aの、シリンダ孔開口部近傍の背面側と正面側とには、一対のレバーホルダ21k,21mが突設され、該レバーホルダ21k,21mには、固定ピン29を装着する通孔21nと雌ねじ孔21pとが同軸上に形成されている。
さらに、シリンダボディ21aのシリンダ孔開口側には、ストッパボルト装着ボス部21qが、レバーホルダ21k,21mよりも左側(後輪ブレーキ用操作子5側)に、シリンダ軸CL1に対して鋭角な方向(図2に示すL2方向)に突出して形成され、該ストッパボルト装着ボス部21qには、ストッパボルト30が取り付けられている。また、ストッパボルト装着ボス部21qの下部は、正面視下向きの断面三角形状に形成され、右側斜面に、第2回動レバー42と当接して、第2回動レバー42の初期位置を設定する第2回動レバー当接面21rが設けられている。さらに、シリンダボディ21aのシリンダ孔開口側の背面下部には、後輪用ブレーキワイヤガイド部21sが突設されている。
ストッパボルト30は、雄ねじ部30aを備えた軸部30bと、大径の座面30cを備えた頭部30dとを備え、雄ねじ部30aを上方に、頭部30dを下方にそれぞれ向けた状態で、ストッパボルト装着ボス部21qに螺着され、ナット部材30eを用いて固定されている。
レバー機構40は、レバーホルダ21k,21m間の正面側に第1回動レバー41の第1回動基部41aを、背面側に第2回動レバー42の第2回動基部42aを、第1回動基部41aと第2回動基部42aとの間にノッカー43の第3回動基部43aをそれぞれ配置して、レバーホルダ21k,21m,第1回動基部41a,第2回動基部42a,第3回動基部43aに亘って、前記固定ピン29を挿通して、ナット部材29aを用いて固定することにより、レバーホルダ21k,21mに第1回動レバー41と第2回動レバー42とノッカー43とが回動可能に連結され、第2回動レバー42の右側端部に設けられた連結腕42bに、イコライザレバー44の右端部に設けた第2回動レバー連結部44aが、連結ピン31を介して回動可能に軸支される。
第1回動レバー41は、固定ピン29の挿通孔41bを備えた前記第1回動基部41aからアジャストボルト取付部41cが延設され、該アジャストボルト取付部41cの雌ねじ部41dに、ノッカー43に当接するアジャストボルト32が、ナット部材32aを用いて突出量を調整可能に取り付けられている。さらに、アジャストボルト取付部41cの正面側には、第1ブレーキワイヤ7の端部を連結する第1ブレーキワイヤ連結部41eが設けられている。
第2回動レバー42は、中央部に、固定ピン29の挿通孔42cを備えた前記第2回動基部42aが、上方に突出した正面視略三角形状に形成され、第2回動基部42aの背面側に、第2回動基部42aの左右方向に延出する腕部42dが設けられている。腕部42dの右端側には、前記連結腕42bが設けられ、連結腕42bには、連結ピン31の挿通孔42eが形成され、左端側には、前記ストッパボルト30を挟持する一方の挟持片42fが形成されている。
第2回動基部42aの左側端部正面には、略立方体状のジョイント部42gが第2回動基部42aの傾斜に沿って突設され、該ジョイント部42gの左上側面に、前記シリンダボディ21aの第2回動レバー当接面21rと当接するボディ当接面42hが形成され、右下側面に、ノッカー43に当接してノッカー43を押動させるノッカー押動面42iが形成されている。また、ジョイント部42gの左側には、前記一方の挟持片42fと平行に、他方の挟持片42jが一体に突設され、他方の挟持片42jの正面先端側に、ディレイスプリング28の係合突起42kが突設されている。
ディレイスプリング28は、両端部に設けられる取付部28a,28aと、中間部上方に設けられる巻き線部28bと、中間部下方に設けられる直線部28cとを備えた引張型のコイルスプリングで形成されている。
ノッカー43は、固定ピン29の挿通孔43bを備えた前記第3回動基部43aの右側に、ピストン押動部43cが形成されている。ピストン押動部43cは、上部にピストン22の下端部に常時当接するピストン当接部43dが設けられ、ピストン押動部43cの下面に、前記アジャストボルト32と当接するアジャストボルト当接面43eが形成されている。また、第3回動基部43aの下方には、前記ノッカー押動面42iに押動される受け面43fが形成されている。
イコライザレバー44は、シリンダボディ21aの背面側に配置され、一端部には、後輪用ブレーキワイヤ10を連結する後輪用ブレーキワイヤ連結部44bが、中央部には、第2ブレーキワイヤ9を連結する第2ブレーキワイヤ連結部44cが、他端部には、第2回動レバー42の連結腕42bと連結される前記第2回動レバー連結部44aとがそれぞれ形成されている。第2回動レバー連結部44aは、連結ピン31の挿通孔44dを備えた二股状に形成され、該第2回動レバー連結部44aの間に、連結腕42bを挿入し、挿通孔44d,42fに連結ピン31を挿通して止め輪31aで止めることにより、第2回動レバー連結部44aが連結腕42bに回動可能に連結される。
前述の第1回動レバー41と、第2回動レバー42と、ノッカー43とは、レバーホルダ21k,21m間に回動可能にそれぞれ連結されると共に、第2回動レバー42の連結腕42bに連結ピン31を介して、イコライザレバー44の第2回動レバー連結部44aが連結され、イコライザレバー44の後輪用ブレーキワイヤ連結部44bに、後輪用ブレーキワイヤガイド部21sを介して引き込まれた後輪用ブレーキワイヤ10が、第2ブレーキワイヤ連結部44cに、第2ワイヤガイド部21hを介して引き込まれた第2ブレーキワイヤ9がそれぞれ連結される。また、第1回動レバー41の第1ブレーキワイヤ連結部41eに、第1ワイヤガイド部21gを介して引き込まれた第1ブレーキワイヤ7が連結される。さらに、シリンダボディ21aの係合片21jと、第2回動レバー42の係合突起42kとに、ディレイスプリング28の取付部28a,28aがそれぞれ取り付けられる。
また、ストッパボルト30は、レバーホルダ21k,21mの近傍に配置されると共に、第2回動レバー42の挟持片42f,42jの間に軸部30bが配置されている。さらに、ストッパボルト30とディレイスプリング28とは平行で、且つ、正面視においては重なる隣接した位置に(図2)に配置され、ストッパボルト30のナット部材30eは、ディレイスプリング28の直線部28cと対応する位置に配置されている。
上述のように形成されたマスタシリンダユニット20は、非作動状態では、図1乃至図9に示されるように、液圧マスタシリンダ21のピストン22は、戻しスプリング24の弾発力により、シリンダ孔開口部方向へ付勢された状態となっており、ピストン22のフランジ部22aとサークリップ25との当接により、ピストン22は、後退限の位置に配置されている。
また、第1回動レバー41は、第1ブレーキワイヤ連結部41eに連結された第1ブレーキワイヤ7のテンションによって初期位置が保持され、第2回動レバー42は、ディレイスプリング28の弾発力により、ジョイント部42gのボディ当接面42hに第2回動レバー当接面21rが当接している。さらに、ノッカー43は、アジャストボルト当接面43eがアジャストボルト32の先端部と当接し、受け面43fがノッカー押動面42iに僅かなクリアランスを持って接すると共に、ピストン当接部43dがピストン22と当接している。また、イコライザレバー44は、第2回動レバー連結部44aが連結腕42bと連結された状態で、第2ブレーキワイヤ9のテンションと後輪用ブレーキワイヤ10のテンションとが釣り合った状態となっていて、水平状態に保持されている。
非作動状態から、前輪ブレーキ用操作子4が操作されると、図12に示されるように、第1ブレーキワイヤ7が牽引され、第1回動レバー41の第1ブレーキワイヤ連結部41eが上方に牽引され、第1回動レバー41が第1回動基部41aを中心に反時計回りに回動する。これに伴って、アジャストボルト32が、ノッカー43のアジャストボルト当接面43eを押動し、ノッカー43を、第3回動基部43aを中心に反時計回りに回動させ、ピストン当接部43dがピストン22を押動する。これにより、昇圧した作動液が、液圧配管8を介して、前輪ブレーキ2に液圧を供給し、前輪ブレーキ2を単独で作動させる。
また、後輪ブレーキ用操作子5が操作されると、まず、図13に示されるように、第2ブレーキワイヤ9が牽引され、イコライザレバー44の第2ブレーキワイヤ連結部44cを介してイコライザレバー全体が上方に牽引される。これに伴って、後輪用ブレーキワイヤ連結部44bに連結している後輪用ブレーキワイヤ10が牽引され、後輪ブレーキ3を作動し始めると共に、イコライザレバー44の第2回動レバー連結部44aに連結している第2回動レバー42の連結腕42bも上方に牽引され、第2回動レバー42が、ディレイスプリング28の弾発力に抗して、第2回動基部42aを中心に反時計回りに回動し、ノッカー押動面42iがノッカー43の受け面43fに当接して押動することにより、ピストン22が押動され、昇圧した作動液が、液圧配管8を介して、前輪ブレーキ2に液圧を供給し、前輪ブレーキ2を連動して作動させる。
後輪ブレーキ用操作子5が、さらに操作されると、図14に示されるように、イコライザレバー44がさらに上方に牽引されると共に、第2回動レバー42が第2回動基部42aを中心に反時計回りに回動し、一対の挟持片42f,42jが、ストッパボルト30の座面30cに当接して回動が規制されると共にノッカー43の回動が停止し、前輪ブレーキ2への液圧の供給が規制される。
後輪ブレーキ用操作子5が、さらに強く操作すると、図15及び図16に示されるように、一対の挟持片42f,42jが、ストッパボルト30の座面30cに当接して、第2回動レバー42の回動が規制された状態となっており、連結ピン31の位置が固定されていることから、イコライザレバー44が連結ピン31を中心に時計回りに回動し、後輪用ブレーキワイヤ10のみを牽引し、後輪ブレーキ3をさらに強く作動させる。
また、図17に示されるように、前輪ブレーキ用操作子4と後輪ブレーキ用操作子5とを同時に強く入力すると、第1回動レバー41は、第1ブレーキワイヤ7に牽引されることにより単独で回動して、ピストン22を押動し、前輪ブレーキ2を強く作動させると共に、第2ブレーキワイヤ9に牽引されるイコライザレバー44の移動により、第2回動レバー42が、上述のように、挟持片42f,42jがストッパボルト30の座面30cに当接して回動が規制された状態となった後、イコライザレバー44が連結ピン31を中心に回動して、後輪用ブレーキワイヤ10を牽引し、後輪ブレーキ3を強く作動させる。
本形態例は、液圧マスタシリンダ21のピストン22が、シリンダ孔開口部に設けられたサークリップ25によって、後退限が規制されていることから、従来のように、ノッカー43やシリンダボディ21aを精度良く形成しなくても、ピストン22の後退限を確実に規制することができ、生産性の向上を図ることができる。また、ピストン22の後退限を確実に設定することができることから、ピストン22の無効ストロークも良好に設定することができ、常に、良好な操作フィーリングを得ることができる。
また、第1回動レバー41はアジャストボルト32を介してノッカー43と当接していることから、アジャストボルト32を調整することにより、前輪ブレーキ用操作子4の操作開始からノッカー43を介してピストン22を押動するまでの無効ストロークを、工場で、簡単に調整することができる。一方、マスタシリンダユニット20がバーハンドル車両50のカウル51内に配置されていることから、アジャストボルト32の調整をユーザーは行うことができず、連動状態がユーザーにより不用意に変更される虞がない。
図18は、本発明の第2形態例を示すもので、第1形態例と同様の構成要素を示すものには、同一の符号をそれぞれ付して、その詳細な説明は省略する。
本形態例の第1回動レバー41には、ノッカー43のピストン押動部43cに対応して延出する当接片41fが設けられると共に、ノッカー43のピストン押動部43cには、当接片41fに対応してアジャストボルト装着部43gが形成され、該アジャストボルト装着部43gの雌ねじ部43hに、当接片41fに向けてアジャストボルト32がナット部材32aを用いて突出量を調整可能に取り付けられている。
尚、本発明は、上述の各形態例に限るものではなく、マスタシリンダユニットの取付位置は任意であり、また、マスタシリンダユニットの取り付け方向も任意である。さらに、後輪ブレーキを液圧式ブレーキ、前輪ブレーキを機械式ブレーキとしたものでも差し支えない。さらに、また、本発明の第2ブレーキ連繋手段や機械式ブレーキ用連繋手段は、上述の形態例のようにブレーキワイヤに限るものではない。さらに、連動ブレーキ用のブレーキ装置でなくても適用することができる。また、上述の形態例ではマスタシリンダユニットが第1ブレーキ操作子から離れた位置に配置されているが、本発明は、第1ブレーキ操作子にマスタシリンダユニットが直接取り付けられているものでも差し支えない。
1…ブレーキ装置、2…前輪ブレーキ、2a…ディスクロータ、2b…キャリパボディ、3…後輪ブレーキ、3a…バックプレート、3b…ブレーキシュー、3c…アンカーピン、4…前輪ブレーキ用操作子、4a…操作レバー、5…後輪ブレーキ用操作子、5a…操作レバー、6…ハンドルバー、7…第1ブレーキワイヤ、8…液圧配管、9…第2ブレーキワイヤ、10…後輪用ブレーキワイヤ、20…マスタシリンダユニット、21…液圧マスタシリンダ、21a…シリンダボディ、21b…シリンダ孔、21c…大径孔、21d…出力ポート、21e…隆起部、21f…ボス部、21g…第1ワイヤガイド部、21h…第2ワイヤガイド部、21i…ボルト孔、21j…係合片、21k,21m…レバーホルダ、21n…通孔、21p…雌ねじ孔、21q…ストッパボルト装着ボス部、21r…第2回動レバー当接面、21s…後輪用ブレーキワイヤガイド部、22…ピストン、22a…フランジ部、23…液圧室、24…戻しスプリング、25…サークリップ、26…液通管、27…リザーバ、28…ディレイスプリング、28a…取付部、29…固定ピン、30…ストッパボルト、30a…雄ねじ部、30b…軸部、30c…座面、30d…頭部、30e…ナット部材、31…連結ピン、31a…止め輪、32…アジャストボルト、32a…ナット部材、40…レバー機構、41…第1回動レバー、41a…第1回動基部、41b…挿通孔、41c…アジャストボルト取付部、41d…雌ねじ部、41e…第1ブレーキワイヤ連結部、41f…当接片、42…第2回動レバー、42a…第2回動基部、42b…連結腕、42c…挿通孔、42d…腕部、42e…挿通孔,42f…挟持片、42g…ジョイント部、42h…ボディ当接面、42i…ノッカー押動面、42k…係合突起、43…ノッカー、43a…第3回動基部、43b…挿通孔、43c…ピストン押動部、43d…ピストン当接部、43e…アジャストボルト当接面、43f…受け面、43g…アジャストボルト装着部、43h…雌ねじ部、44…イコライザレバー、44a…第2回動レバー連結部、44b…後輪用ブレーキワイヤ連結部、44c…第2ブレーキワイヤ連結部、44d…挿通孔、50…バーハンドル車両、51…カウル

Claims (3)

  1. 前輪ブレーキと後輪ブレーキのいずれか一方を液圧式ブレーキ、他方を機械式ブレーキとし、第1ブレーキ操作子の操作によって、液圧マスタシリンダとレバー機構とを組み合わせて形成されるマスタシリンダユニットを介して前記液圧式ブレーキを作動させるバーハンドル車両用ブレーキ装置において、
    前記液圧マスタシリンダは、前記ピストンを内挿するシリンダ孔の開口部に、前記ピストンの後退限を規制するピストン規制手段が取り付けられ、
    前記レバー機構は、少なくとも第1回動レバーとノッカーと第2回動レバーとイコライザレバーとを備え、前記第1ブレーキ操作子に繋がる第1ブレーキ連繋手段を、前記第1回動レバーに連結し、前記第1ブレーキ操作子の操作によって、前記第1回動レバーが押動する前記ノッカーを介して、前記液圧マスタシリンダのピストンを作動させて前記液圧式ブレーキを単独で作動させ、
    前記イコライザレバーに、第2ブレーキ操作子に繋がる第2ブレーキ連繋手段と、前記機械式ブレーキに繋がる機械式ブレーキ用連繋手段と、前記第2回動レバーとを連結し、前記第2ブレーキ操作子の操作によって、前記イコライザレバーを介して前記機械式ブレーキ用連繋手段を牽引して前記機械式ブレーキを作動させると共に、前記イコライザレバーが前記第2回動レバーを回動させることにより前記液圧マスタシリンダのピストンを作動させて、前記液圧式ブレーキを連動して作動させ、
    前記第1回動レバーと前記ノッカーのいずれか一方にアジャストボルトを装着し、該アジャストボルトの突出量を調整することにより、前記第1ブレーキ操作子の操作開始から前記ノッカーを介して前記ピストンを押動するまでの無効ストロークを調整する
    ことを特徴とするバーハンドル車両用ブレーキ装置。
  2. 前記マスタシリンダユニットは、バーハンドル車両のカウル内に配置されることを特徴とする請求項記載のバーハンドル車両用ブレーキ装置。
  3. 前記液圧式ブレーキを前輪に、前記機械式ブレーキを後輪にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のバーハンドル車両用ブレーキ装置。
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