JP6276281B2 - 混合溶液の処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、混合溶液の処理方法に係り、特に、リチウム電池等の電解液として使用される混合溶液を有利に処理すること出来る方法に関するものである。
従来より、炭酸エステル類を溶媒とし、ヘキサフルオロ燐酸リチウム等の電解質を含む混合溶液は、リチウム電池やリチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタ等において、電解液として広く用いられており、かかる混合溶液は、リチウムイオン電池等の製造工程において、或いは、製造品種の切替や不良品の発生等の際に、廃液として大量に排出されている。
ここで、上記電解液に含まれる、ヘキサフルオロ燐酸リチウム等の電解質(以下、フッ素含有電解質という)は、熱的及び化学的に不安定な化合物であるため、これを含む混合溶液をそのまま焼却処分に供すると、有毒で腐食性の高いフッ化水素ガスが発生する。それにもかかわらず、現在のところ、焼却処分の他に有効な処分(処理)方法が存在していないことから、電解液の廃液等として排出される、フッ素含有電解質を含む混合溶液にあっては、他の廃液や燃料等と混合した状態にて少量ずつ焼却処分に供されているのである。
そのような現状の焼却処分においては、フッ化水素ガスの処理能力がボトルネック(隘路)となるため、例えば一度に多量の混合溶液が発生した際においては、受入制限等によって全量を処理することが出来ない場合や、代替となる処理先が見つからない等の問題が発生していた。また、フッ素含有電解質を含む混合溶液を、他の廃液や燃料等と混合した状態にて少量ずつ焼却処分に供する場合にあっても、発生するフッ化水素ガスによる設備(焼却炉等)の腐蝕や劣化等を避けることは出来ないため、通常に比べて短期間で設備が傷むという問題があった。
その一方で、フッ化水素ガスに耐性のある焼却炉として、フッ素化合物を含んだ汚泥を固形燃料として利用できるタイプのものが知られており、セメントメーカー等において採用されている。そのような焼却炉を使用する場合には、フッ素含有電解質及び炭酸エステル類を含む混合溶液を固形燃料とするために、かかる混合溶液を消石灰で処理して、反応性の低い安定な塩の形態に変える必要がある。
しかしながら、上述の如き消石灰を用いた処理は、混合溶液中のフッ素含有電解質だけではなく、その溶媒である炭酸エステル類までもが極めて急速に分解し、その反応熱により高温状態となって引火等の危険性が高まるため、取扱いが非常に難しいという問題を内在している。また、消石灰を用いた処理方法においては、前述の分解反応によるエネルギーの放出ロスが大きく、燃料としての熱量が小さいフッ化カルシウムや炭酸カルシウムが反応生成物として得られるのであり、エネルギー回収という観点から鑑みると、消石灰を用いて、フッ素含有電解質及び炭酸エステル類を含む混合溶液を処理することについては、その利用価値が極めて低いと言わざるを得ないのである。
他方で、フッ素含有電解質は、水との接触によっても分解し、水溶性のフッ化水素酸を発生する。この性質を利用して、フッ素含有電解質を含む混合溶液を処理することも考えられるが、かかる処理においては、発生するフッ化水素酸を消石灰等のアルカリで固定化して、無害化処理を実施する必要がある。また、一般的に、水との接触によるフッ素含有電解質の分解速度は遅く、多量の水と時間が必要とされるため、コスト的にも問題がある。
また、特許文献1(特開平6−170380号公報)には、フルオロリン酸イオンを含む廃液のフッ素固定方法として、硫酸とカルシウム化合物とを併用する方法が提案されている。しかしながら、上述したように、カルシウム化合物を使用した、フッ素含有電解質及び炭酸エステル類を含む混合溶液の処理方法は、得られる生成物が燃料として使用し難いという問題を内在しているのであり、かかる混合溶液の処理方法として、焼却処分以外の、安全で、且つ経済的な方法の確立が望まれているのが現状である。
特開平6−170380号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決すべき課題とするところは、リチウム電池等の廃液として排出される、特定のフッ素含有電解質及び炭酸エステル類を含む混合溶液を、安全に、且つ経済的に処理することが可能な方法を提供することにある。
そして、本発明者等が、特定のフッ素含有電解質及び炭酸エステル類を含む混合溶液の処理方法について鋭意検討したところ、かかる混合溶液に所定のテトラメチルアンモニウム化合物を添加することにより、炭酸エステル類の分解を抑制しつつ、混合溶液に含まれるフッ素含有電解質を、安定なフルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩の固体として析出せしめ得ることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。即ち、本発明は、ヘキサフルオロ燐酸リチウム、テトラフルオロ硼酸リチウム、ヘキサフルオロ燐酸ナトリウム、ヘキサフルオロ砒酸リチウム及びヘキサフルオロアンチモン酸リチウムからなる群より選ばれる一種以上の化合物と、炭酸エステル類とを含む混合溶液に、テトラメチルアンモニウム化合物(但し、フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を除く。)を添加し、フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を析出せしめた後に、かかる析出物を除去することを特徴とする混合溶液の処理方法を、その要旨とするものである。
なお、そのような本発明に従う混合溶液の処理方法における好ましい第一の態様においては、前記テトラメチルアンモニウム化合物が強塩基性化合物であり、かかる強塩基性化合物を、pHが14未満に調製された水溶液の形態にて前記混合溶液に添加する。
また、本発明に従う混合溶液の処理方法における好ましい第二の態様においては、前記テトラメチルアンモニウム化合物が強塩基性化合物であり、かかる強塩基性化合物を、水と1:1(体積比)の割合にて混合せしめた際の水相のpHが14未満となるように調製された、有機溶媒を溶媒とする溶液の形態にて添加する。
ここで、上記した本発明の好ましい各態様においては、有利には、前記強塩基性化合物が水酸化テトラメチルアンモニウムである。
また、本発明に従う混合溶液の処理方法における好ましい第三の態様においては、前記テトラメチルアンモニウム化合物が添加された前記混合溶液を加熱しながら、前記フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を析出せしめ、析出した該フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を濾過処理によって除去する一方、該濾過処理によって得られるろ液を蒸留することにより前記炭酸エステル類を回収する。
加えて、本発明に従う混合溶液の処理方法における好ましい第四の態様においては、析出した前記フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を濾過処理によって除去する一方、該濾過処理によって得られるろ液を加熱し、かかる加熱後のろ液を蒸留することにより前記炭酸エステル類を回収する。
このように、本発明に従う混合溶液の処理方法においては、特定のフッ素含有電解質及び炭酸エステル類を含む混合溶液に、所定のテトラメチルアンモニウム化合物を添加せしめるものであり、炭酸エステル類についてはその分解が抑制される一方で、フッ素含有電解質にあっては、安定なフルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩の固体として析出することとなる。従って、かかる固体の析出物を除去することにより、被処理物たる混合溶液より、フッ素含有電解質に由来するフッ素成分が効果的に除去されることとなるのであり、従来の少量ずつ焼却処理を行なう方法と比較して、本発明の処理方法は、安全で、且つ経済的なものとなっているのである。
また、固体として析出するフルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩、及び、特定のフッ素含有電解質に由来するフッ素成分が除去された混合溶液(主成分は炭酸エステル類)にあっては、両者とも燃料としての熱量が比較的高いものであるところから、それらは、何れも燃料として有効利用が可能である。このように、本発明に従う混合溶液の処理方法は、エネルギーの再利用という観点からも非常に優れているのである。
ところで、本発明に従う混合溶液の処理方法において、その処理対象である溶液は、特定のフッ素含有電解質及び炭酸エステル類を含む混合溶液(以下、適宜「被処理溶液」ともいう。)である。
ここで、被処理溶液に含まれるフッ素含有電解質は、ヘキサフルオロ燐酸リチウム(LiPF6 )、テトラフルオロ硼酸リチウム(LiBF4 )、テトラフルオロ燐酸ナトリウム(NaPF6 )、ヘキサフルオロ砒酸リチウム(LiAsF6 )及びヘキサフルオロアンチモン酸リチウム(LiSbF6 )からなる群より選ばれる一種以上の化合物である。また、被処理溶液に含まれる炭酸エステル類としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、n−プロピル−i−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルメチルカーボネート、i−ブチルメチルカーボネート、t−ブチルメチルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート、n−ブチルエチルカーボネート、i−ブチルエチルカーボネート、t−ブチルエチルカーボネート等を、例示することが出来る。本発明においては、特定のフッ素含有電解質及び炭酸エステル類をそれぞれ一種以上含む混合溶液が処理対象となる。より具体的に、かかる混合溶液としては、リチウム電池やリチウムイオン電池、リチウムイオンキャパシタ等において、電解液として広く使用されているものが例示され、それら電池等の製造過程や廃棄処理等の際に排出された混合溶液に対して、本発明の処理方法を有利に適用することが出来る。
なお、特定のフッ素含有電解質及び炭酸エステル類以外の成分を含む混合溶液であっても、かかる成分が本発明の効果を阻害するものではなく、また、その含有量が本発明の効果を阻害するものではない限りにおいて、本発明の処理方法に従って処理することが可能である。
そして、本発明に係る混合溶液の処理方法にあっては、上述の如き被処理溶液に対して、フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を除くテトラメチルアンモニウム化合物を添加するところに、大きな技術的特徴が存するのである。即ち、被処理溶液に、テトラメチルアンモニウム化合物(但し、フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を除く。)を添加すると、炭酸エステル類の分解は抑制される一方で、特定のフッ素含有電解質は、上記した所定のテトラメチルアンモニウム化合物と容易に中和反応又は塩交換反応を起こし、安定なフルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩の固体を析出する。この析出物を除去することにより、フッ素含有電解質に由来するフッ素成分が被処理溶液中より有利に除去され得ることとなるのである。
本発明に係る混合溶液の処理方法においては、テトラメチルアンモニウム化合物として、上記した特定のフッ素含有電解質との間で反応を生じないフルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩(例えば、ヘキサフルオロ燐酸テトラメチルアンモニウムやテトラフルオロ硼酸テトラメチルアンモニウム等)を除く、全てのテトラメチルアンモニウム化合物を使用することが可能である。本発明において使用可能なテトラメチルアンモニウム化合物としては、水酸化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、硝酸テトラメチルアンモニウム、硫酸テトラメチルアンモニウム、燐酸テトラメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム等を、例示することが出来る。
また、そのようなテトラメチルアンモニウム化合物の被処理溶液への添加量は、かかる被処理溶液中の特定のフッ素含有電解質の含有量に応じて、適宜に決定されることとなるが、被処理溶液に含まれるフッ素含有電解質のモル量に対して1当量(モル比)未満の場合は、処理後の被処理溶液中に、フッ素含有電解質に由来するフッ素成分が残留することとなる。従って、被処理溶液よりフッ素成分を十分に除去するためには、被処理溶液に含まれるフッ素含有電解質のモル量に対して、1当量(モル比)以上、好ましくは1.1当量(モル比)以上の量的割合において、テトラメチルアンモニウム化合物が添加されることとなる。
本発明において、上述の如き所定のテトラメチルアンモニウム化合物は、被処理溶液に対して、固体状のものをそのまま添加可能であることは勿論のこと、水に溶解せしめた水溶液の形態にて、或いは、所定の有機溶媒に溶解せしめた溶液の形態にて、添加することも可能である。なお、酢酸テトラメチルアンモニウムの如き、塩基性度が強くないテトラメチルアンモニウム化合物を使用する場合、水溶液の形態で使用するよりも、固体状のものをそのまま使用する方が好ましい。何故ならば、固体状のテトラメチルアンモニウム化合物を使用することによって、処理後に得られる、フッ素成分が除去されて炭酸エステル類を主成分とする被処理溶液においては、水分の含有量が低く抑えられるのであり、そのような水分含有量が低い被処理溶液は、水分含有量が多いものと比較して発熱量が大きいだけではなく、蒸留再生して溶媒(炭酸エステル類)を回収する際のコスト削減や収率向上に大きく寄与するからである。
一方、被処理溶液に添加するテトラメチルアンモニウム化合物が、水酸化テトラメチルアンモニウム等の強塩基性化合物である場合には、pHが14未満に調製された水溶液の形態にて、或いは、水と1:1(体積比)の割合にて混合せしめた際の水相のpHが14未満に調製された、有機溶媒を溶媒とする溶液の形態にて、被処理溶液に添加することが好ましい。また、特に好ましくは、pHが13未満に調製された水溶液の形態にて、或いは、水と1:1(体積比)の割合にて混合せしめた際の水相のpHが13未満に調製された、有機溶媒を溶媒とする溶液の形態にて、被処理溶液に添加する。なお、テトラメチルアンモニウム化合物を溶液の形態にて使用する場合、かかる溶液を調製する際に使用される有機溶媒としては、メチルアルコール等が例示される。
このように塩基性度を低くせしめた状態でテトラメチルアンモニウム化合物を添加することにより、被処理溶液に含まれる炭酸エステル類の分解が効果的に抑制され、フッ素含有量が低減された炭酸エステル類を効率良く回収することが可能となる。なお、テトラメチルアンモニウム化合物が強塩基性化合物である場合、これを固体の形態にて、或いは、pHが14以上である水溶液の形態にて、或いは、水と1:1(体積比)の割合にて混合せしめた際の水相のpHが14以上である、有機溶媒を溶媒とする溶液の形態にて、被処理溶液に添加すると、炭酸エステル類の分解反応が著しく進行し、炭酸エステル類の回収量が低下したり、分解反応の際の反応熱で液温が上昇する恐れがある。また、炭酸エステル類の分解により、引火点の低いアルコール類が発生し、引火や発火の危険性が増大する恐れがある。
上述の如く、強塩基性のテトラメチルアンモニウム化合物を水溶液又は溶液の形態にて使用する際には、その塩基性度を低減させるための化合物が、水溶液又は溶液に添加されることが好ましい。そのような化合物としては、強塩基性化合物であるテトラメチルアンモニウム化合物の塩基性度を低減させることが可能なものであれば、本発明の目的を阻害しない限りにおいて、如何なるものであっても使用可能である。具体的には、無機酸や有機酸、及びこれらに準ずるものを挙げることが出来、例えば、無機酸又は有機酸としては、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸、酢酸や蓚酸等を、また、これらの酸に準ずるものとしては、o−トルイル酸クロライド、カプロン酸クロライド、ステアリン酸クロライド等の、塩基との反応により分解して酸を生ずる化合物等を、挙げることが出来る。特に、後述する手法に従って、被処理溶液に含まれる、特定のフッ素含有電解質に由来するリチウムを回収するに際しては、酢酸又は硝酸を、強塩基性のテトラメチルアンモニウム化合物の塩基性度を低減させるために用いることが好ましい。
なお、上記した特定のフッ素含有電解質と積極的に反応して安定な塩を形成する化合物としては、上述した所定のテトラメチルアンモニウム化合物の他にも、例えば、テトラエチルアンモニウム化合物等の四級アンモニウム化合物、トリメチルアミン等の三級アンモニウム化合物、及び、無機アンモニウム化合物等を挙げることが出来る。しかしながら、上記の所定のテトラメチルアンモニウム化合物以外の四級アンモニウム化合物を使用すると、フッ素含有電解質との反応によって生成するフルオロ錯体の四級アンモニウム塩が炭酸エステル類に多量に溶け込んでしまい、被処理溶液よりフッ素成分を十分に除去することが出来ない。また、三級アンモニウム化合物や無機アンモニウム化合物を使用すると、フッ素含有電解質との反応が十分に進行しない恐れがあり、また、フッ素含有電解質との反応によって生成するフルオロ錯体のアンモニウム塩が炭酸エステル類に多量に溶け込んでしまい、被処理溶液よりフッ素成分を十分に除去することが出来ない。
また、本発明に係る処理方法において、被処理溶液に所定のテトラメチルアンモニウム化合物を添加し、かかるテトラメチルアンモニウム化合物と特定のフッ素含有電解質とを反応せしめ、フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を析出させるために要する時間は、被処理溶液に含まれるフッ素含有電解質の量によって適宜、変動することとなるが、一般には、両者を混合してから数分〜数時間経過後に析出は完了する。
本発明に係る混合溶液の処理方法は、例えば、以下の手順に従って実施される。先ず、反応槽(反応容器)内に、被処理溶液である、特定のフッ素含有電解質及び炭酸エステル類を含む混合溶液が投入される。次いで、所定のテトラメチルアンモニウム化合物が、固体状のまま、或いは、pHが調製された水溶液の形態にて、或いは、所定の有機溶媒を溶媒として用いた溶液の形態にて、反応槽内に投入され、所定のテトラメチルアンモニウム化合物が添加された被処理溶液(以下、反応液ともいう)を撹拌することにより、特定のフッ素含有電解質とテトラメチルアンモニウム化合物とを反応させる。そして、かかる反応によって析出した生成物(フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩)を含む被処理溶液を、従来より公知の手法に従って濾過することにより、濾液と固形物(生成物)とに分離し、それぞれを回収するのである。
濾過処理によって固形物として回収される、フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩にあっては、通常の取扱い条件下においては安定した化合物であり、また、燃料として一定の熱量を有するものであるところから、固体燃料として利用することが出来る。なお、本発明に係る処理方法において使用される、所定のテトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液としては、例えば半導体等の洗浄工程にて排出される廃液を利用することが可能であり、かかる廃液を利用することによって、より一層、フッ素含有電解質及び炭酸エステル類を含む混合溶液の処理コストを低減せしめることが可能となる。
一方、濾過処理によって回収される濾液は、被処理溶液より特定のフッ素含有電解質に由来するフッ素成分が十分に除去された、処理前の被処理溶液から存在する炭酸エステル類を主成分とするものであり、また、炭酸エステル類の分解も効果的に抑制されているところから、燃料として有効利用することが可能である。なお、濾液が水を多量に含むものであっても、種々の水溶性溶剤や界面活性剤等を含む混合液と混ぜることにより、代替燃料として利用可能である。
このように、濾過処理によって回収される濾液は、炭酸エステル類を主成分とするものであるところから、かかる濾液を蒸留精製することによって、炭酸エステル類を回収することが可能である。
ここで、本発明者等が知得したところによると、濾過処理によって得られる濾液(フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩が除去された反応液)が、被処理溶液である混合溶液の種類によっては、非常に強い酸性度を有する場合がある。被処理溶液であるリチウム電池等の廃液(電解液)には、電解液としての特性向上のために、フッ素含有電解質や炭酸エステル類以外の他の成分が添加されていることが多く、かかる成分の存在によって、上記した濾液が非常に強い酸性度を示すと、本発明者等は理解している。
そのような非常に強い酸性度を示す濾液に対して、蒸留処理を実施すると、強い酸性度を示す、処理液(濾液)及び/又は処理後に装置内に残留する釜残によって、蒸留装置が腐食する恐れがある。処理液(濾液)及び/又は釜残の酸性度を効果的に低減させ、蒸留装置の腐食等を防止するためには、i)所定のテトラメチルアンモニウム化合物が添加された被処理溶液(反応液)を加熱しながら、かかるテトラメチルアンモニウム化合物と所定のフッ素含有電解質とを反応させて、フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を析出せしめ、析出物を濾過処理によって除去する一方で、かかる濾過処理によって得られる濾液に対して蒸留処理を実施すること、ii)所定のテトラメチルアンモニウム化合物が添加された被処理溶液より、析出したフルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を濾過処理によって除去する一方、濾液については加熱し、かかる加熱後の濾液に対して蒸留処理を実施することが、好ましい。なお、上記i)における反応液の加熱条件、及び上記ii)における濾液の加熱条件は、各々、被処理溶液である混合溶液に含まれる成分等に応じて適宜に決定されることとなるが、一般には、加熱温度としては40〜80℃、加熱時間としては1〜10時間程度が採用される。また、強塩基性のテトラメチルアンモニウム化合物の塩基性度を低減させるために、酸性水溶液を使用した場合にあっては、濾液に多くの水が含まれているところから、例えば、所定の加熱後の濾液を静置して、有機相と水相とに分液した後、得られた有機相に対して蒸留処理を実施することが好ましい。
一方、フッ素含有電解質としてリチウム塩(ヘキサフルオロ燐酸リチウム、テトラフルオロ硼酸リチウム、ヘキサフルオロ砒酸リチウム及びヘキサフルオロアンチモン酸リチウムからなるより選ばれる一種以上の化合物)を含む混合溶液を、本発明に従って、強塩基性のテトラメチルアンモニウム化合物の塩基性度を低減させるために酢酸又は硝酸を使用して、処理することにより、フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩が除去された反応液(濾液)の水相中に、フッ素含有電解質としてのリチウム塩に由来するリチウムを、酢酸又は硝酸との間で生成される水溶性の酢酸リチウム又は硝酸リチウムとして、有利に回収することが可能である。ここで、強塩基性のテトラメチルアンモニウム化合物の塩基性度を低減させるための酸を使用しないと、炭酸エステル類が加水分解することによって発生する炭酸とリチウムとが反応して、水への溶解度が低い炭酸リチウムを生成し、水相中に回収することが困難となる。また、強塩基性のテトラメチルアンモニウム化合物の塩基性度を低減させるために燐酸を用いても、水への溶解度が低い燐酸リチウムを生成し、水相中に回収することが困難となる。なお、水溶液中からのリチウムの回収方法としては、従来より公知の各種手法の中から、適宜に選択して、採用することが可能である。水溶液中からのリチウムの回収方法としては、特公平4−23577号公報に開示のリチウム吸着剤や、特開2001−224957号公報に開示の選択的リチウム分離剤を用いる手法や、特開2007−122885号公報に開示の回収方法等を、例示することが出来る。
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加え得るものであることが、理解されるべきである。
−実施例1−
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを溶媒とし、ヘキサフルオロ燐酸リチウム(LiPF6 )を10重量%(ヘキサフルオロ燐酸リチウムとして0.26molに相当し、フッ素濃度として7.5重量%に相当)含有する混合溶液の400gを、被処理溶液として準備した。一方、テトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液として、濃度既知の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(pH14以上)に適量の酢酸を加えて、pHを13.0に調整した水溶液を180g、準備した。なお、かかる水溶液は、0.29molに相当する量のテトラメチルアンモニウムイオンを含有している。
被処理溶液の全量及び水溶液の全量を、撹拌機を備えた反応容器内(容量:1L程度)にそれぞれ投入し、室温下で5分間、容器内を撹拌し、処理を行なった。その後、容器内の反応液を濾過し、濾液と固形物とを分離回収した。
回収した濾液を容器内で静置して、有機相と水相との2液相に分離せしめた後、それら各相のフッ素含有量を、JIS−K−0102:2008「工場排水試験方法」に規定されている定量分析法に従って測定し、各相のフッ素濃度(重量%)及びフッ素除去率(%)を算出した。なお、フッ素除去率は、下記式(I)より算出した。その結果、濾液の有機相中のフッ素濃度は0.2重量%、水相中のフッ素濃度は0.2重量%であり、フッ素除去率は97%であった。また、被処理溶液中の炭酸エステル類含有量(g)と、濾液の有機相中の炭酸エステル類含有量(g)とを測定し、下記式(II)より、炭酸エステル類の回収率を算出した。これらの結果を、下記表1に示す。
Figure 0006276281
Figure 0006276281
−実施例2−
ヘキサフルオロ燐酸リチウムに代えてテトラフルオロ硼酸リチウム(LiBF4 )を含有する、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを溶媒とする混合溶液の400g(テトラフルオロ硼酸リチウムとして0.26molに相当する量を含有する)を被処理溶液とした以外は、実施例1と同様の条件に従って、被処理溶液の処理を行なった。処理後の濾液の有機相中のフッ素濃度は0.1重量%、水相中のフッ素濃度は0.2重量%であり、フッ素除去率は98%であった。
−実施例3〜実施例5−
テトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液として、下記表1に示す各テトラメチルアンモニウム(TMA)塩の水溶液を使用した以外は、実施例1と同様の条件に従って、被処理溶液の処理を行なった。なお、使用した各水溶液は、テトラメチルアンモニウムイオンとして0.29molに相当する量を含有するものである。実施例3〜実施例5の何れにおいても、処理後の濾液の有機相中のフッ素濃度は0.2重量%、水相中のフッ素濃度は0.2重量%であり、フッ素除去率は97%であった。
−実施例6、実施例7−
テトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液として、実施例6においては、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(pH14以上)に適量の酢酸を加えて、pHを13.0に調整した水溶液を167g使用し、また、実施例7においては、同水溶液を245g使用した以外は、実施例1と同様の条件に従って、被処理溶液の処理を行なった。処理後の濾液の有機相中のフッ素濃度は、実施例6が0.4重量%、実施例7が0.1重量%、水相中のフッ素濃度は、実施例6及び実施例7の何れも0.2重量%であり、フッ素除去率は、実施例6が95%、実施例7が98%であった。
−実施例8、実施例9−
テトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液として、実施例8においては、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(pH14以上)に適量の酢酸を加えてpHを13.5に調整した水溶液を、また、実施例9においては、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(pH14以上)に適量の酢酸を加えてpHを12.0に調整した水溶液を、各々、使用した以外は、実施例1と同様の条件に従って、被処理溶液の処理を行なった。実施例8及び実施例9において、処理後の濾液の有機相中のフッ素濃度は何れも0.2重量%、水相中のフッ素濃度は何れも0.2重量%であり、フッ素除去率は何れも97%であった。
−実施例10、実施例11−
テトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液の使用量を、実施例10においては131gとし、実施例11においては82gとした以外は、実施例1と同様の条件に従って、被処理溶液の処理を行なった。処理後の濾液の有機相中のフッ素濃度は、実施例10が1.8重量%、実施例11が4.4重量%、水相中のフッ素濃度は、実施例6及び実施例7の何れも0.2重量%であり、フッ素除去率は、実施例10が78%、実施例11が49%であった。
−実施例12−
テトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液として、水酸化テトラメチルアンモニウムのメタノール溶液(水と1:1(体積比)の割合で混合せしめた際の水相のpHは14以上)に酢酸を加えて、塩基性度を下げた溶液Aの130gを使用した以外は、実施例1と同様の条件に従って、被処理溶液の処理を行なった。なお、溶液Aは、水と1:1(体積比)の割合で混合せしめた際の水相のpHは13.0であり、テトラメチルアンモニウムイオンとして0.29molに相当する量を含有するものである。処理後の濾液の有機相中のフッ素濃度は0.1重量%であり、フッ素除去率は98%であった。
−実施例13−
テトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液に代えて、固体状の酢酸テトラメチルアンモニウムを39g(テトラメチルアンモニウムイオンとして0.29molに相当する量)使用し、反応容器内の撹拌時間を30分間とした以外は、実施例1と同様の条件に従って、被処理溶液の処理を行なった。処理後の濾液の有機相中のフッ素濃度は0.5重量%であり、フッ素除去率は94%であった。
−実施例14−
テトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液として、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(pH14以上)をそのまま使用した以外は実施例1と同様の条件に従って、被処理溶液の処理を行なった。なお、使用した水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液は、テトラメチルアンモニウムイオンとして0.40molに相当する量を含有するものである。処理後の濾液の有機相中のフッ素濃度は0.2重量%、水相中のフッ素濃度は0.2重量%であり、フッ素除去率は97%であった。なお、処理の過程において、エチレンカーボネート及びジメチルカーボネートの分解による発熱が認められ、炭酸エステル類の回収率が、実施例1〜実施例13と比較して低いものであった。
−実施例15−
テトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液として、水酸化テトラメチルアンモニウムのメタノール溶液(水と1:1(体積比)の割合で混合せしめた際の水相のpHは14以上)をそのまま使用した以外は実施例1と同様の条件に従って、被処理溶液の処理を行なった。なお、使用した水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液は、テトラメチルアンモニウムイオンとして0.40molに相当する量を含有するものである。処理後の濾液の有機相中のフッ素濃度は0.1重量%であり、フッ素除去率は98%であった。なお、処理の過程において、エチレンカーボネート及びジメチルカーボネートの分解による発熱が認められ、炭酸エステル類の回収率が、実施例1〜実施例13と比較して低いものであった。
−実施例16−
ヘキサフルオロ燐酸リチウムに代えてヘキサフルオロ燐酸ナトリウム(NaPF6 )を含有する、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを溶媒とする混合溶液の400g(ヘキサフルオロ燐酸ナトリウムとして0.26molに相当する量を含有する)を被処理溶液とした以外は、実施例1と同様の条件に従って、被処理溶液の処理を行なった。処理後の濾液の有機相中のフッ素濃度は0.2重量%、水相中のフッ素濃度は0.2重量%であり、フッ素除去率は97%であった。
上記した実施例において得られた固形物(フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩)及び濾液について、各々、燃料としての評価を行なった。具体的には、固形物及び濾液が有する燃料としての発熱量を、燃研式自動ボンベ熱量計CA−4AJ型(株式会社島津製作所製)を用いて、JIS−M−8814、JIS−K−2279に準じて測定した。その結果、実施例において得られた固形物(フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩)の何れも3000cal/gの発熱量を、また、濾液の何れも4200cal/gの発熱量を有していることが確認され、燃料として有効利用可能なものであることが認められた。
−比較例1−
ヘキサフルオロ燐酸リチウムに代えてトリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)を含有する、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを溶媒とする混合溶液の400g(トリフルオロメタンスルホン酸リチウムとして0.26molに相当する量を含有する)を被処理溶液とした以外は、実施例1と同様の条件に従って、被処理溶液の処理を行なった。なお、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムは、主に1次電池向けの電解液において使用される代表的な電解質である。しかしながら、反応容器内を撹拌した後においても、固体物の析出は認められなかった。また、被処理溶液中のフッ素成分の大部分は有機相中に残留していると考えられるため、フッ素除去率を0%とした。
−比較例2〜比較例4−
テトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液に代えて、下記表1に示す別種のアンモニウム化合物を使用した以外は実施例1と同様の条件に従って、被処理溶液の処理を行なった。具体的には、比較例2においては、水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液に適量の酢酸を加えてpHを13.0に調整した水溶液を、比較例3においては、トリメチルアミン水溶液に適量の酢酸を加えてpHを13.0に調製した水溶液を、比較例4においては塩化アンモニウム水溶液を、各々、使用した。また、それら各水溶液は、何れもアンモニウム化合物として0.29molに相当する量を含有するものである。しかしながら、比較例2〜比較例4の何れにあっても、反応容器内を撹拌した後に固体物の析出は認められなかった。また、被処理溶液中のフッ素成分の大部分は有機相中に残留していると考えられるため、フッ素除去率を0%とした。
Figure 0006276281
表1の結果からも明らかなように、本発明に従う混合溶液の処理方法にあっては、処理対象である混合溶液に含まれる炭酸エステル類の分解を抑制しつつ、特定のフッ素含有電解質に由来するフッ素成分を、安全に除去せしめ得るものであることが、認められるのである。
本発明に従い、析出したフルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を濾過処理によって除去する一方で、濾液より炭酸エステル類を回収すべく、以下の実験を行なった。
先ず、被処理溶液として、以下に示す2種類の電解液(リチウム電池の廃液)を、それぞれ400g、準備した。また、テトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液として、濃度既知の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(pH14以上)に適量の酢酸を加えて、pHを13.0に調製した水溶液を180g、準備した。なお、かかる水溶液は、0.29molに相当する量のテトラメチルアンモニウムイオンを含有している。
・電解液A:エチレンカーボネート及びエチルメチルカーボネート(EM
C)を溶媒とし、ヘキサフルオロ燐酸リチウム(LiPF6
を10重量%(ヘキサフルオロ燐酸リチウムとして0.26
molに相当し、フッ素濃度として7.5重量%に相当)含
有する電解液。
・電解液B:プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びエチル
メチルカーボネート(EMC)を溶媒とし、ヘキサフルオロ
燐酸リチウム(LiPF6)を10重量%(ヘキサフルオロ燐
酸リチウムとして0.26molに相当し、フッ素濃度とし
て7.5重量%に相当)含有する電解液。
−実施例17−
電解液Aの全量及び上記水溶液の全量を、撹拌機を備えた反応容器内(容量:1L程度)にそれぞれ投入し、室温下で5分間、容器内を撹拌し、処理を行なった。その後、容器内の反応液を濾過し、濾液と固形物とを分離回収した。
回収した濾液を、60℃に加熱した状態で4時間、撹拌した。かかる加熱撹拌の後に、濾液を容器内で静置し、有機相と水相との2液相に分離せしめた。それら各相のフッ素含有量を上記した定量分析法に従って測定し、フッ素除去率を算出したところ、97%であった。得られた有機相を蒸留し、エチルメチルカーボネート(EMC)を留分として回収した。蒸留前の有機相、留分及び釜残のpH、並びに、留分におけるEMCの純度(重量%)を測定した結果を、下記表2に示す。なお、留分には、痕跡量のアルコールが認められた。
−実施例18−
電解液Aの400gと上記水溶液の180gとを、撹拌機を備えた反応容器内(容量:1L程度)にそれぞれ投入し、反応液を60℃に加熱した状態で4時間、容器内を撹拌することにより、処理を行なった。その後、容器内の反応液を濾過し、濾液と固形物とを分離回収した。
回収した濾液を容器内で静置し、有機相と水相との2液相に分離せしめた。それら各相のフッ素含有量を上記した定量分析法に従って測定し、フッ素除去率を算出したところ、97%であった。得られた有機相を蒸留し、エチルメチルカーボネート(EMC)を留分として回収した。蒸留前の有機相、留分及び釜残のpH、並びに、留分におけるEMCの純度(重量%)を測定した結果を、下記表2に示す。なお、留分には、痕跡量のアルコールが認められた。
−実施例19−
電解液Aの400gに代えて、電解液Bの400gを用いた以外は実施例17と同様の手法に従い、最終的にエチルメチルカーボネート(EMC)を留分として回収した。なお、フッ素除去率は98%であった。蒸留前の有機相、留分及び釜残のpH、並びに、留分におけるEMCの純度(重量%)を測定した結果を、下記表2に示す。なお、留分には、痕跡量のアルコールが認められた。
−実施例20−
回収した濾液に加熱処理を施すことなく、容器内に静置することにより有機相と水相との2液相に分離せしめた以外は実施例17と同様の手法に従い、最終的にエチルメチルカーボネート(EMC)を留分として回収した。なお、フッ素除去率は97%であった。蒸留前の有機相、留分及び釜残のpH、並びに、留分におけるEMCの純度(重量%)を測定した結果を、下記表2に示す。なお、留分には、痕跡量のアルコールが認められた。
Figure 0006276281
かかる表2から明らかなように、濾液を加熱処理した後に有機相と水相とに分離し、かかる有機相を蒸留した実施例17及び実施例19、並びに、反応液を加熱撹拌しながら中和処理を進行させた実施例18においては、蒸留前の有機相、及び、蒸留操作後の装置内に残存する釜残の何れも、酸性度が極端に強いものではないことが認められた。これに対して、上記した加熱処理を一切、実施していない実施例20においては、留分におけるEMCの純度は高いものの、蒸留前の有機相及び釜残が強い酸性度を示しており、蒸留装置の腐食等を引き起こす恐れがあることが認められた。
次いで、本発明に従い、析出したフルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を濾過処理によって除去する一方で、濾液よりリチウムを回収すべく、以下の実験を行なった。
−実施例21〜実施例23−
被処理溶液として、上記した電解液Aを準備した。また、テトラメチルアンモニウム化合物を含む溶液として、濃度既知の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液(pH14以上)に、a)適量の酢酸を加えてpHを13.0に調製した水溶液aと、b)適量の硝酸を加えてpHを13.0に調製した水溶液bと、c)適量の燐酸を加えてpHを13.0に調製した水溶液cとを、それぞれ180g、準備した。なお、水溶液a〜水溶液cの何れも、0.29molに相当する量のテトラメチルアンモニウムイオンを含有している。
実施例21においては400gの電解液Aと水溶液aの全量を、また、実施例22においては400gの電解液Aと水溶液bの全量を、更には、実施例23においては400gの電解液Aと水溶液cの全量を、撹拌機を備えた反応容器内(容量:1L程度)にそれぞれ投入し、室温下で5分間、容器内を撹拌し、処理を行なった。その後、容器内の反応液を濾過し、濾液と固形物とを分離回収した。
回収した濾液を、容器内で静置し、有機相と水相との2液相に分離せしめた。それら各相のフッ素含有量を上記した定量分析法に従って測定し、フッ素除去率を算出したところ、実施例21におけるフッ素除去率は97%、実施例22におけるフッ素除去率は97%、実施例23におけるフッ素除去率は97%であった。得られた水相のリチウム濃度(重量%)を,JIS−K−0121に規定される「原子吸光分析通則」に準じて測定した。また、水相中のリチウム含有量について、被処理溶液である電解液Aに含まれるリチウムに対する回収率(%)を算出した。水相におけるリチウム濃度(Li濃度)及び回収率(Li回収率)を、下記表3に示す。
Figure 0006276281
かかる表3の結果からも明らかなように、pH調整剤として酢酸又は硝酸を用いた場合(実施例21、実施例22)にあっては、pH調整剤として燐酸を用いた場合(実施例23)と比較して、より効果的にリチウムを回収可能であることが、認められたのである。

Claims (6)

  1. ヘキサフルオロ燐酸リチウム、テトラフルオロ硼酸リチウム、ヘキサフルオロ燐酸ナトリウム、ヘキサフルオロ砒酸リチウム及びヘキサフルオロアンチモン酸リチウムからなる群より選ばれる一種以上の化合物と、炭酸エステル類とを含む混合溶液に、テトラメチルアンモニウム化合物(但し、フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を除く。)を添加し、フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を析出せしめた後に、かかる析出物を除去することを特徴とする混合溶液の処理方法。
  2. 前記テトラメチルアンモニウム化合物が強塩基性化合物であり、かかる強塩基性化合物を、pHが14未満に調製された水溶液の形態にて前記混合溶液に添加する請求項1に記載の混合溶液の処理方法。
  3. 前記テトラメチルアンモニウム化合物が強塩基性化合物であり、かかる強塩基性化合物を、水と1:1(体積比)の割合にて混合せしめた際の水相のpHが14未満となるように調製された、有機溶媒を溶媒とする溶液の形態にて添加する請求項1に記載の混合溶液の処理方法。
  4. 前記強塩基性化合物が水酸化テトラメチルアンモニウムである請求項2又は請求項3に記載の混合溶液の処理方法。
  5. 前記テトラメチルアンモニウム化合物が添加された前記混合溶液を加熱しながら、前記フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を析出せしめ、析出した該フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を濾過処理によって除去する一方、該濾過処理によって得られるろ液を蒸留することにより前記炭酸エステル類を回収する請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の混合溶液の処理方法。
  6. 析出した前記フルオロ錯体のテトラメチルアンモニウム塩を濾過処理によって除去する一方、該濾過処理によって得られるろ液を加熱し、かかる加熱後のろ液を蒸留することにより前記炭酸エステル類を回収する請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の混合溶液の処理方法。
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