JP6250648B2 - ディスプレイ用光拡散フィルムおよびそれを用いた反射型表示装置 - Google Patents
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Description
特に、反射型表示装置に適用した場合に、広範囲の角度から入射して来る外光を、効率的に画像として表示装置の正面に拡散出射することができるディスプレイ用光拡散フィルムおよびそれを用いた反射型表示装置に関する。
近年、携帯電話や車載用テレビ等の普及により、表示装置を室外で見る機会が増加しているが、室外で表示装置を見る際には、内部光源からの光強度が外光の光強度以下になってしまい、所定画像を認識しにくくなる場合が多いという問題が生じている。
また、携帯電話等のモバイル用途においては、表示装置の内部光源による消費電力が、全消費電力に対して大きな割合を占めるため、内部光源を多用した場合、バッテリーの持続時間が短くなってしまうという問題が生じている。
かかる反射型表示装置であれば、光源として外光を利用することから、外光が強い程、鮮明な画像を表示することができるとともに、内部光源の消費電力についても、効果的に抑えることができる。
かかる光拡散フィルムとしては、フィルム表面(フィルムの端面以外の面の表面を意味する。以下において同じ。)に凹凸を設けたフィルム、あるいはフィルム内に微粒子を分散させたフィルム等が知られている。
しかしながら、これらの光拡散フィルムを用いた場合、拡散光の出射角は、外光の入射角に単純に依存するのみであることから、広範囲の角度から入射して来る外光を、効率的に画像表示光として表示装置の正面に対して出射することが困難になるという問題が見られた。
より具体的には、屈折率が異なる2種以上の重合性化合物を相分離させながら光硬化させてなるフィルムであって、フィルム内において屈折率が相対的に高い領域と、屈折率が相対的に低い領域とが、所定のパターンにて形成されてなる所定の内部構造を備えたフィルムを用いた反射型表示装置が開示されている。
ここで、用いられる積層構造拡散フィルムとは、屈折率の異なる複数の樹脂層が交互に積層され、さらにこれら樹脂層間の界面が、フィルム表面(または裏面)に対し所定の角度で傾斜して形成されたものであることが開示されている。
また、併せて用いられる柱状構造拡散フィルムとは、屈折率が高い樹脂層内に屈折率が低い柱状樹脂層が複数設けられ、さらにこれら樹脂層間の界面がフィルム表面(または裏面)に対し所定の角度で傾斜して形成されたものであることが開示されている。
ここで、用いられる異方性散乱フィルムとは、屈折率の互いに異なる2種類の領域からなるルーバー構造や柱状構造を有するフィルムであることが開示されている。
それ故、積層枚数や貼合工程が多くなって経済的に不利であるばかりか、光拡散フィルムの積層により膜厚が厚くなってしまうため、表示画像にボケが生じ易くなり、さらには層間剥離や表示パネルにおける反りの発生といった物理的な問題も生じ易くなると言った問題が見られた。
したがって、単一層からなる光拡散フィルムを用いているにもかかわらず、広範囲の角度から入射して来る外光を、効率的に画像表示光として表示装置の正面に拡散出射することができる反射型表示装置が求められていた。
すなわち、本発明の目的は、特に、反射型表示装置に適用した場合に、広範囲の角度から入射して来る外光を、効率的に画像表示光として表示装置の正面に拡散出射することができるディスプレイ用光拡散フィルムおよびそれを用いた反射型表示装置を提供することにある。
すなわち、本発明のディスプレイ用光拡散フィルムであれば、所定の膜厚を有する単一層からなる光拡散フィルムであることから、複数の光拡散フィルムを積層させた場合と比較して、貼合工程を減らすことができ、経済的に有利であるばかりか、表示画像におけるボケの発生や層間剥離の発生についても効果的に抑制することができる。
その一方で、当該光拡散フィルムが、所定の光拡散フィルム用組成物を光硬化させてなるとともに、所定の光拡散特性を有することから、フィルムが単一層からなるにもかかわらず、特に、反射型表示装置に適用した場合に、広範囲の角度から入射して来る外光を、効率的に画像表示光として表示装置の正面に拡散出射することができる。
なお、「単一層」とは、複数枚の光拡散フィルムが積層されていないことを意味し、一枚の光拡散フィルム内に内部構造が複数層形成されている場合も「単一層」に含まれる。
また、このように構成することにより、光拡散フィルムに対して、より安定的に所定の光拡散特性を付与することができる。
このように構成することにより、光拡散フィルムに対して、さらに安定的に所定の光拡散特性を付与することができる。
このように構成することにより、光拡散フィルムに対して、一段と安定的に所定の光拡散特性を付与することができる。
このように構成することにより、光拡散フィルムに対して、一段と安定的に所定の光拡散特性を付与することができるばかりか、得られる光拡散特性を効率的に制御することができる。
このように構成することにより、(A)成分と、(B)成分とを効率的に相分離させながら光硬化させることができることから、光拡散フィルムに対して、より一段と安定的に所定の光拡散特性を付与することができる。
すなわち、本発明の反射型表示装置であれば、所定の光拡散フィルムを備えることから、広範囲の角度から入射して来る外光を、効率的に画像表示光として表示装置の正面に拡散出射することができる。
すなわち、本発明の反射型表示装置であれば、反射板が反射型表示パネルの非表示面側に別体として設けられていることから、反射型表示パネルの内部に設けた場合と比較して、製造が容易であり、安価に製造することができる。
このように構成することにより、広範囲の角度から入射して来る外光を、効率的に画像表示光として表示装置の正面に拡散出射することができる反射型表示装置を得ることができる。
このように構成することにより、広範囲の角度から入射して来る外光を、効率的に画像表示光として表示装置の正面に拡散出射することができる一方で、外光が不十分な環境下であっても、バックライトを利用して画像を表示することができる半透過型表示装置を得ることができる。
このように構成することにより、反射板を反射型表示パネルの別体として設けた場合であっても、2重像の発生が問題になりにくい一方、高コントラストの表示画像を得ることができる。
このように構成することにより、これらの用途であれば、モノクロの低解像度画像でも十分な機能を果たすことができ、反射板を反射型表示パネルの別体として設けた場合であっても、2重像の発生がさらに問題になりにくい一方、高コントラストの表示画像を得ることができる。
また、本発明の別の実施形態は、上述したディスプレイ用光拡散フィルムを用いた反射型表示装置である。
以下、これらの実施形態を、図面を適宜参照して、具体的に説明する。
但し、基本的には本発明の反射型表示装置について説明し、本発明のディスプレイ用光拡散フィルムについては、反射型表示装置の一構成要素として説明する。
また、説明の便宜のため、反射型表示パネルとして液晶表示パネルを用いた場合を主として説明する。
最初に、本発明の反射型表示装置の基本構成を説明する。
図1に示すように、反射型表示装置1は、液晶表示パネル10と、液晶表示パネル10の上に積層された光学積層体20と、映像信号に応じて液晶表示パネル10を駆動する駆動回路30とを備えている。
かかる反射型表示装置1において、光学積層体20の表面のうち、液晶表示パネル10とは反対側の表面が画像表示面となっている。
また、液晶表示パネル10は、画像表示面側から入射した外光を反射することにより画像を表示する反射型表示パネルであることから、液晶表示パネル10の背後には、バックライトは、基本的に配置されていない。
但し、本発明の反射型表示装置を半透過型表示装置として構成する場合には、バックライトが配置されていてもよい。
図1に示すように、反射型表示パネルとしての液晶表示パネル10は、例えば、所定の間隙を介して互いに対向するTFT(Thin Film Transistor)基板11および対向基板12と、TFT基板11と対向基板12との間に設けられた液晶層13とを備えている。
かかる液晶層13は、例えば、ネマティック(Nematic)液晶を含んで構成され、後述するように、駆動回路30からの印加電圧により、液晶層13に入射する光を画素ごとに透過または遮断する変調機能を有しており、液晶の光透過レベルを変えることにより、画素ごとの階調が調整される。
かかる画素回路は、例えば、TFTや容量素子等を含んで構成されている。
また、TFT基板11は、配向膜を有しており、さらに、液晶層13の側から入射した光を反射する反射板14を有している。
また、対向基板12は、例えば、ガラス基板等からなる基板であり、TFT基板11に対向する側の表面上に、共通電極を有している。
かかる対向基板12は、配向膜を有しており、さらに、画素電極と対向する領域にカラーフィルタを有し、画素電極と非対向の領域に遮光膜を有している。
また、共通電極は、各画素電極と対向するように、対向基板12において2次元配置されている。
これらの画素電極および共通電極は、駆動回路30によって電圧が印加されると、画素電極および共通電極の電位差に応じた電界を、画素電極と共通電極との間に発生させ、その電界の大きさに応じて液晶層13を駆動するようになっている。
なお、液晶表示パネル10において、画素電極と共通電極とが互いに対向する部分を画素といい、かかる画素が液晶層を部分的に駆動することが可能な最小単位となる。
反射板14が画素電極からなる場合は、画素電極は、可視光を反射する導電性材料からなり、反射板14が画素電極とは別個に設けられている場合は、画素電極は、可視光を反射する導電性材料からなってもよいし、可視光を透過させるITO等の導電性材料からなってもよい。
一方、共通電極は、可視光を透過させるITO等の導電性材料からなる。
かかる配向膜は、例えば、ポリイミド等の高分子材料からなり、例えば、塗布したポリイミド等に対してラビング処理を施すことにより形成することができる。
また、カラーフィルタを有する基板とは、反射板14側から液晶層13を透過してきた光を、例えば、赤、緑および青の三原色にそれぞれ色分離するためのカラーフィルタを、画素に対応させて配列したものである。
また、遮光膜は、例えば、可視光を吸収する機能を有しており、画素と画素との間に形成される。
また、液晶表示パネルの動作モードについても、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、IPS(In−Plane Ewiching)モード、super−IPSモード、MVA(Multidomain Vertical Alingement)モード等の全ての動作モードが利用可能である。
この理由は、これらの表示パネルであれば、上述した液晶表示パネルと同様に、駆動回路からの印加電圧により、パネルに入射する光を画素ごとに透過または遮断することができ、その光透過レベルを変えることにより、画素ごとの階調を調整することができるためである。
かかる電子ペーパーは、駆動回路からの印加電圧により、各層に収容された粒子を液体の中で横方向に移動させる、所謂、横電界方式を採っていることが好ましく、これにより、真っ黒な状態、透明な状態、カラー表示の状態を、適宜、切り替えることができる。
より具体的には、全ての粒子を画面端の電極の下に移動させると透明な表示となり、全ての粒子を画面内に拡散させると黒表示になり、それぞれの粒子の位置を制御することでカラー表示も可能になる。
また、かかる横電界方式では、画面全体が一つの画素になっているかのように画面全体の光透過レベルを制御することができる。
また、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッター方式表示パネルとは、微小なシャッターを1画素として面上に配列させたものである。
かかるMEMSシャッター方式表示パネルでは、駆動回路からの印加電圧により、微小なシャッターを高速に開閉することで、各画素の光透過レベルを制御している。
また、エレクトロウェッティング方式表示パネルとは、微小かつ透明なマイクロカプセル中に、水と着色された油滴を収容し、1つのマイクロカプセルを1画素として面上に配列させたものである。
かかるエレクトロウェッティング方式表示パネルでは、駆動回路からの印加電圧により、着色された油滴の水和性を変化させることにより油滴の形状を変化させることで、各画素の光透過レベルを制御している。
この理由は、半透過型表示パネルを用いることにより、広範囲の角度から入射してくる外光を、効率的に画像表示光として表示装置の正面に拡散出射することができる一方で、外光が不十分な環境下であっても、バックライトを利用して画像を表示することができる半透過型表示装置を得ることができるためである。
ここで、半透過型液晶表示パネルは、室内でも屋外でも良好な画像を視認可能とするために考案された方式であり、一般に、一つの画素の中に透過領域と反射領域とを有している。
このうち、透過領域は、透明電極を有し、そこでバックライトから発せられる光を透過させることで、透過型液晶表示装置としての機能を発揮させる。
一方、反射領域は、反射電極を有し、そこで外光を反射させて、反射型液晶表示装置としての機能を発揮させる。
また、画素を透過領域と反射領域に区切るのではなく、反射型偏光板による光の透過と反射を利用した半透過型液晶表示パネルも存在するが、これを適用することもできる。
図1に示すように、光学積層体20は、光拡散フィルム100、λ/4板21、λ/2板22および偏光板23を液晶表示パネル10の側から順に有している。
但し、かかる積層順は一例であり、光拡散フィルム100は、λ/4板21とλ/2板22の間に配置してもよいし、λ/2板22と偏光板23の間に配置してもよいし、偏光板23の上に配置してもよい。
また、光学積層体20と、液晶表示パネル10とは、例えば、互いに粘着剤や接着剤で貼り合わされており、光学積層体20を構成する各部材同士も同様である。
なお、反射型表示パネルが液晶表示パネル以外の表示パネルの場合には、λ/4板、λ/2板および偏光板を使用する必要はない。
位相差板であるλ/4板21は、例えば、シクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の一軸延伸フィルムを用いることができる。
また、そのリタデーションは、例えば、0.14μmであり、可視光で最も視感度が高い緑色光波長の約1/4に相当する。
したがって、λ/4板21は、偏光板23の側から入射してきた直線偏光光を円偏光に変換する機能を有している。
別の位相差板であるλ/2板22は、例えば、ポリカーボネート樹脂の一軸延伸フィルムである。
また、そのリタデーションは、例えば、0.27μmであり、可視光で最も視感度が高い緑色光波長の約1/2に相当する。
ここで、λ/4板21およびλ/2板22は、これらλ/4板21およびλ/2板22の全体として、偏光板23側から入射して来る直線偏光光を円偏光に変換する機能を有しており、広範囲の波長に対して円偏光板として機能する。
偏光板23は、所定の直線偏光成分を吸収し、それ以外の偏光成分を透過させることから、外部から入射して来た外光を直線偏光に変換する機能を有している。
かかる偏光板23は、例えば、ヨウ素等のハロゲン物質や二色性染料を吸着させたPVA(ポリビニルアルコール)の高分子フィルムを延伸したものを、TAC(トリアセチルセルロース)で挟み込むことで構成することができる。
光拡散フィルム100は、広範囲の角度から入射して来る外光を、反射板14を介して、画像表示光として表示装置の正面に拡散出射する機能を有している。
また、本発明の反射型表示装置は、かかる光拡散フィルムに特徴を有している。
すなわち、本発明における光拡散フィルムは、所定の光拡散フィルム用組成物を光硬化させてなる単一層の光拡散フィルムであるとともに、所定の膜厚を有し、かつ、所定の光拡散特性を有することを特徴とする。
以下、本発明における光拡散フィルムについて、具体的に説明する。
本発明における光拡散フィルムは、屈折率が異なる2種以上の重合性化合物を含む光拡散フィルム用組成物を光硬化させてなる光拡散フィルムである。
したがって、本発明における光拡散フィルムは、フィルム内において屈折率が相対的に高い領域と、屈折率が相対的に低い領域とが、所定のパターンにて形成されてなる所定の内部構造を備えた光拡散フィルムとなる。
最初に、図2〜3を用いて、このような光拡散フィルムの基本原理について説明する。
まず、図2(a)には、光拡散フィルム100の上面図(平面図)が示してあり、図2(b)には、図2(a)に示す光拡散フィルム100を、点線A−Aに沿って垂直方向に切断して、切断面を矢印に沿った方向から眺めた場合の光拡散フィルム100の断面図が示してある。
また、図3(a)には、光拡散フィルム100の全体図を示し、図3(b)には、図3(a)の光拡散フィルム100をX方向から見た場合の断面図を示す。
かかる図2(a)の平面図に示すように、光拡散フィルム100は、屈折率が相対的に高い柱状物112と、屈折率が相対的に低い領域114とからなるカラム構造113を有している。
また、図2(b)の断面図に示すように、光拡散フィルム100の垂直方向においては、屈折率が相対的に高い柱状物112と、屈折率が相対的に低い領域114は、それぞれ所定の幅を有して交互に配置された状態となっている。
すなわち、図2(b)に示すように、光拡散フィルム100に対する入射光の入射角が、カラム構造113の境界面113aに対し、平行から所定の角度範囲の値、つまり、光拡散入射角度領域内の値である場合には、入射光(152、154)は、カラム構造内の相対的に高屈折率の柱状物112の内部を、方向を変化させながら膜厚方向に沿って通り抜けることにより、出光面側での光の進行方向が一様でなくなるものと推定される。
その結果、入射角が光拡散入射角度領域内である場合には、入射光が光拡散フィルム100によって拡散され、拡散光(152´、154´)になると推定される。
一方、光拡散フィルム100に対する入射光の入射角が、光拡散入射角度領域から外れる場合には、図2(b)に示すように、入射光156は、光拡散フィルムによって拡散されることなく、そのまま光拡散フィルム100を透過し、透過光156´になるものと推定される。
なお、本発明において、「光拡散入射角度領域」とは、光拡散フィルムに対し、点光源からの入射光の角度を変化させた場合に、拡散光を出光するのに対応する入射光の角度範囲を意味する。
また、かかる「光拡散入射角度領域」は、図3(a)に示すように、光拡散フィルムにおけるカラム構造の屈折率差や傾斜角等によって、その光拡散フィルムごとに決定される角度領域である。
また、図2〜図3に示すように、カラム構造113を有する光拡散フィルムは、通常、「等方性」を有することになる。
ここで、本発明において「等方性」とは、図3(a)に示すように、入射光がフィルムによって拡散された場合に、拡散された出射光におけるフィルムと平行な面(フィルムの端面以外の面と平行な面を意味する。以下において同じ。)内での、その光の拡散具合(拡散光の広がりの形状)が、同面内での方向によって変化しない性質を有することを意味する。
より具体的には、図3(a)に示すように、入射光がフィルムによって拡散された場合に、拡散された出射光の拡散具合は、フィルムと平行な面内において円状になる。
また、本発明において、「光拡散角度領域」とは、光拡散フィルムに対して、入射光が最も拡散される角度に点光源を固定し、この状態で得られる拡散光の角度範囲を意味するものとする。
さらに、本発明において、「拡散光の開き角」とは、上述した「光拡散角度領域」の角度幅(°)であり、図3(b)に示すように、フィルムの断面を眺めた場合における拡散光の開き角θ2を意味するものとする。
なお、光拡散角度領域の角度幅(°)と、光拡散入射角度領域の幅は、略同一になることが確認されている。
したがって、得られた光拡散フィルムは、光を所定箇所に集中させる集光作用を有すると言うことができる。
なお、カラム構造内の柱状物112の内部における入射光の方向変化は、図2(b)に示すような全反射により直線状にジグザグに方向変化するステップインデックス型となる場合の他、曲線状に方向変化するグラディエントインデックス型となる場合も考えられる。
また、図2(a)および(b)では、相対的に屈折率が高い柱状物112と、相対的に屈折率が低い領域114と、の境界面を簡単のために直線で表わしたが、実際には、界面は僅かに蛇行しており、それぞれの柱状物は分岐や消滅を伴った複雑な屈折率分布構造を形成している。
その結果、一様でない光学特性の分布が光拡散性を高めているものと推定される。
また、本発明における光拡散フィルムは、単一層であることを特徴とする。
この理由は、複数の光拡散フィルムを積層させた場合と比較して、貼合工程を減らすことができ、経済的に有利であるばかりか、表示画像におけるボケの発生や層間剥離の発生についても効果的に抑制することができるためである。
なお、複数の光拡散フィルムを直接積層させた場合のほか、他のフィルム等を介して複数の光拡散フィルムを積層させた場合も、複数の光拡散フィルムを積層させた場合に含まれるものとする。
また、本発明における光拡散フィルムは、図4(a)〜(c)に示すように、フィルム面の法線に対する入射角θ1を、光拡散フィルム用組成物を膜状に塗布してなる塗布層101を光硬化する際の当該塗布層101の移動方向Bに沿って、−70〜70°の範囲で変えた場合に、図5に示すように、各入射角θ1に対するヘイズ値が70%以上の値であることを特徴とする。
この理由は、光拡散フィルムがかかる所定の光拡散特性を有することにより、当該フィルムが単一層からなるにもかかわらず、広範囲の角度から入射して来る外光を、効率的に画像表示光として表示装置の正面に拡散出射することができるためである。
すなわち、かかるヘイズ値が70%未満の値となると、対応する入射角θ1にて入射して来る外光を、画像表示光として表示装置の正面に拡散出射することが困難になる場合があるためである。
したがって、フィルム面の法線に対する入射角θ1を、光拡散フィルム用組成物を膜状に塗布してなる塗布層を光硬化する際の当該塗布層の移動方向に沿って、−70〜70°の範囲で変えた場合に、各入射角θ1に対するヘイズ値を75%以上の値とすることがより好ましく、80%以上の値とすることがさらに好ましい。
また、上述した光拡散特性は、通常、フィルムの一方の面において満足する場合は、もう一方の面においても満足することが確認されているが、仮に一方の面のみしか満足しない場合であっても、本発明の効果が得られることが確認されており、言うまでもなく、本発明の範囲内である。
また、図4(b)は、光源310および積分球320を用いて、フィルム面の法線に対する入射角θ1を、塗布層の移動方向Bに沿って−70〜70°の範囲で変えながら、各入射角θ1に対するヘイズ値を測定している様子を示す側面図である。
また、図4(c)は、フィルム面の法線に対する入射角θ1を−70〜70°の範囲で変えた様子を、フィルムを固定した状態で示した側面図である。
さらに、図5は、横軸に入射角θ1(°)を採り、縦軸にヘイズ値(%)を採った特性曲線(イメージ図)を示す。
最初、これらの図面の概要を説明すると、図6(a)には、実施例1の光拡散フィルム100に対し、入射角θ1にて光を入射し、1回拡散させた様子が示してある。
また、図6(b)には、図6(a)の入射角θ1を変化させた場合における、各入射角θ1(°)に対するヘイズ値(%)を測定した入射角−ヘイズ値チャートが示してある。
さらに、図6(c)には、図6(a)の入射角θ1を変化させた場合における、各入射角θ1の範囲に対する1回拡散された光の拡散具合(コノスコープ画像の模式図)が示してある。
また、図7(b)には、図7(a)の入射角θ1を変化させた場合における、各入射角θ1(°)に対するフィルム正面の輝度(cd/m2)を測定した入射角−輝度チャートが示してある。
さらに、図7(c)には、図7(a)の入射角θ1を変化させた場合における、各入射角θ1に対する2回拡散された光の拡散具合(コノスコープ画像)が示してある。
また、図8(b)には、図8(a)の入射角θ1を変化させた場合における、各入射角θ1(°)に対するヘイズ値(%)を測定した入射角−ヘイズ値チャートが示してある。
さらに、図8(c)には、図8(a)の入射角θ1を変化させた場合における、各入射角θ1の範囲に対する1回拡散された光の拡散具合(コノスコープ画像の模式図)が示してある。
また、図9(b)には、図9(a)の入射角θ1を変化させた場合における、各入射角θ1(°)に対するフィルム正面の輝度(cd/m2)を測定した入射角−輝度チャートが示してある。
さらに、図9(c)には、図9(a)の入射角θ1を変化させた場合における、各入射角θ1に対する2回拡散された光の拡散具合(コノスコープ画像)が示してある。
また、図6(b)の入射角−ヘイズ値チャートにおける入射角θ1=−70〜−18°、−18〜−2°、−2〜34°、34〜44°および44〜70°の範囲に対する1回拡散された光の拡散具合は、それぞれ図6(c)のコノスコープ画像の模式図に示す通りである。
すなわち、実施例1の光拡散フィルム100は、入射角θ1を−70〜70°の範囲で変えた場合に、各入射角θ1に対するヘイズ値が70%以上の値であることから、図6(c)に示すように、入射角θ1=−70〜70°の全範囲において、直線透過光の少ない均一な拡散光を得ることができることが分かる(直線透過光が多い程、ヘイズ値は小さくなる)。
より具体的には、入射角θ1=−2〜34°の範囲においては、入射角θ1が図3(a)等を用いて説明した光拡散入射角度領域に該当することから、図6(c)に示すように円形の等方性光拡散が生じていることが分かる。
一方、入射角θ1=−70〜−18°、−18〜−2°、34〜44°および44〜70°の範囲においては、入射角θ1が図3(a)等を用いて説明した光拡散入射角度領域の範囲外に該当することから、円形の等方性光拡散が生じずに、図6(c)に示すように三日月型の光拡散が生じていることが分かる。
しかしながら、かかる説明は、等方性光拡散が生じる光拡散入射角度領域を分かりやすく説明するための便宜的なものであり、実際には、三日月型の拡散光も、透過光ではなく、文字通り、拡散光である点に留意されたい。
いずれにしても、実施例1の光拡散フィルム100は、入射角θ1を−70〜70°の範囲で変えた場合に、各入射角θ1に対するヘイズ値が70%以上の値であることから、等方性光拡散または三日月型の光拡散の違いはあるものの、入射角θ1=−70〜70°の全範囲において、直線透過光の少ない均一な拡散光が得られることが分かる。
すなわち、図7(b)の入射角θ1−輝度チャートに示すように、入射角θ1を0〜60°の範囲で変えた場合に、各入射角θ1に対するフィルム表面の輝度が、少なくとも入射角θ1=0〜50°の範囲で0cd/m2を超えた値となっており、広い範囲の入射光を、反射板14の反射を介した合計2回の拡散により効率的にフィルム正面に拡散出射できることが分かる。
これは、実施例1の光拡散フィルムであれば、1回目の拡散において入射光を均一に拡散させることができることから、反射板での反射を介した2回目の拡散が、反射角と内部構造の傾斜角との関係で不均一になったとしても、結果的に均一な拡散光をフィルム面側に出射することができるためであると考えられる。
また、図7(a)に示す合計2回拡散させるモデルは、光拡散フィルムを反射型表示装置に適用した場合の光拡散特性を測定するためのモデルである。
すなわち、0cd/m2〜各コノスコープ画像における最大の輝度の値までの輝度分布を、青色から赤色までの14段階に分けて表し、0cd/m2が青色であり、0cd/m2を超えた値〜各コノスコープ画像における最大の輝度の値までを13等分し、0cd/m2〜最大の輝度の値に近づくのに伴い、青色〜水色〜緑色〜黄色〜オレンジ色〜赤色と13段階で変化するように表している。
また、各コノスコープ画像における放射状に引かれた線は、それぞれ方位角方向0〜180°、45〜225°、90〜270°、135〜315°を示し、同心円状に引かれた線は、内側から順に極角方向18°、38°、58°、78°を示す。
したがって、各コノスコープ画像における各同心円の中心部分における色が、フィルム正面に拡散出射された拡散光の相対的な輝度を表しており、各同心円の中心部分における絶対的な輝度が、図7(b)の各プロットの縦軸の値に対応している。
また、図8(b)の入射角−ヘイズチャートにおける入射角θ1=−70〜−17°、−17〜−7°、−7〜16°、16〜36°および36〜70°の範囲に対する1回拡散された光の拡散具合は、それぞれ図8(c)のコノスコープ画像の模式図に示す通りである。
すなわち、比較例1の光拡散フィルム100は、入射角θ1を−70〜70°の範囲で変えた場合に、入射角θ1の値によってはヘイズ値が70%未満の値をとる場合があることから、図8(c)に示すように、そのような入射角θ1の範囲においては、直線透過光が多くなり、均一な拡散光を得ることができないことが分かる。
より具体的には、入射角θ1=−7〜16°の範囲においては、入射角θ1が図3(a)等を用いて説明した光拡散入射角度領域に該当し、かつ、ヘイズ値が70%以上の値であることから、図8(c)に示すように円形の等方性光拡散が生じていることが分かる。
一方、入射角θ1=−17〜−7°および16〜36°の範囲においては、入射角θ1が図3(a)等を用いて説明した光拡散入射角度領域の範囲外に該当し、かつ、ヘイズ値が70%以上の値であることから、円形の等方性光拡散が生じずに、図8(c)に示すように三日月型の光拡散が生じていることが分かる。
他方、入射角θ1=−70〜−17°および36〜70°の範囲においては、入射角θ1が図3(a)等を用いて説明した光拡散入射角度領域の範囲外に該当し、かつ、ヘイズ値が70%未満の値であることから、輪郭としては三日月型の光拡散が生じつつも、その中央部分に直進透過光が強く現れた不均一な光拡散が生じていることが分かる。
したがって、比較例1の光拡散フィルム100は、入射角θ1を−70〜70°の範囲で変えた場合に、入射角θ1の値によってはヘイズ値が70%未満の値をとる場合があることから、そのような入射角θ1の範囲においては、輪郭としては三日月型の光拡散が生じるものの、直進透過光が多くなり、均一な拡散光を得ることができないことが分かる。
すなわち、図9(b)の入射角θ1−輝度チャートに示すように、入射角θ1を0〜60°の範囲で変えた場合に、各入射角θ1に対するフィルム表面の輝度が、入射角θ1=0〜30°の範囲でしか0cd/m2を超えた値をとることができず、広い範囲の入射光を、反射板14の反射を介した2回の拡散により効率的にフィルム正面に拡散出射できないことが分かる。
また、入射角θ1を20°から30°に変化させた際のフィルム表面の輝度の落差が著しいため、実質的に、入射角θ1=0〜20°という狭い範囲でしか効率的にフィルム正面に拡散出射できないことも分かる。
これは、比較例1の光拡散フィルムでは、1回目の拡散において、特に入射角θ1の絶対値が大きい場合に、入射光を均一に拡散させることができないことから、反射板での反射を介した2回目の拡散が、反射角と内部構造の傾斜角との関係で不均一になった場合に、均一な拡散光をフィルム面側に出射することができないためであると考えられる。
つまり、フィルム面側に出射される拡散光が不均一になった場合には、通常、フィルム正面以外の角度に拡散光が比較的高い輝度で出射することになるため、フィルム正面の輝度が相対的に低下しやすくなるものと考えられる。
なお、図9(c)には、実際の様子をより具体的に示すべく、入射角θ1=0°、20°、40°および60°に対する2回拡散された光の拡散具合(コノスコープ画像)が示してある。
したがって、図7(c)の場合と同様に、各コノスコープ画像における各同心円の中心部分における色が、フィルム正面に拡散出射された拡散光の相対的な輝度を表しており、各同心円の中心部分における絶対的な輝度が、図9(b)の各プロットの縦軸の値に対応している。
本発明における光拡散フィルムは、フィルム内において屈折率が相対的に高い領域と、屈折率が相対的に低い領域とが、所定のパターンにて形成されてなる所定の内部構造を備えた光拡散フィルムとなるが、当該所定の内部構造は、特に限定されるものではない。
但し、上述した所定の光拡散特性を安定的に発揮させる観点からは、本発明における光拡散フィルムが、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物をフィルム膜厚方向に林立させてなるカラム構造を有する光拡散フィルムであるとともに、光拡散フィルムにおける一方の面を第1の面とし、他方の面を第2の面とした場合に、柱状物が、第1の面から第2の面に向かって形状変化してなる変形柱状物であることが好ましい。
この理由は、例えば、フィルム内において、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に沿って交互に配合してなるルーバー構造や、第1の面から第2の面に向かって形状変化しない通常の柱状物からなるカラム構造を備えた光拡散フィルムの場合、上述した所定の光拡散特性を安定的に得られないことが確認されているためである。
これに対し、第1の面から第2の面に向かって形状変化してなる変形柱状物からなるカラム構造を備えた光拡散フィルムの場合、上述した所定の光拡散特性を安定的に得られることが確認されているためである。
以下、変形柱状物からなるカラム構造について、具体的に説明する。
この理由は、このような変形柱状物を有するカラム構造を形成することにより、光拡散フィルムに対して、より安定的に所定の光拡散特性を付与することができるためである。
すなわち、このような変形柱状物であれば、通常の柱状物と比較して、柱状物の軸線方向と平行な光であっても直進透過しにくいため、光拡散フィルムに対して、より安定的に所定の光拡散特性を付与することができるためである。
この理由は、このような変形柱状物を有するカラム構造を形成することにより、光拡散フィルムに対して、一段と安定的に所定の光拡散特性を付与することができるためである。
すなわち、このような変形柱状物であれば、通常の柱状物と比較して、光が直進透過しにくいだけでなく、拡散光の開き角を拡大できることから、光拡散フィルムに対して、一段と安定的に所定の光拡散特性を付与することができるためである。
この理由は、このような変形柱状物を有するカラム構造を形成することにより、光拡散フィルムに対して、一段と安定的に所定の光拡散特性を付与することができるばかりか、得られる光拡散特性を効率的に制御することができるためである。
すなわち、このような変形柱状物であれば、通常の柱状物と比較して、光が直進透過しにくいだけでなく、拡散光の開き角を拡大できることから、光拡散フィルムに対して、一段と安定的に所定の光拡散特性を付与することができるためである。
また、第2の柱状物の上端部と、第1の柱状物の下端部とが、後述する実施例3の光拡散フィルムのように、互い違いに重なり合うことで形成される重複カラム構造領域を有することも好ましい。
この理由は、かかる重複カラム構造領域を有することにより、第1および第2の柱状物の間の柱状物未形成部分における散乱光の発生を抑制して、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を、さらに向上させることができるためである。
カラム構造において、屈折率が相対的に高い柱状物の屈折率と、屈折率が相対的に低い領域の屈折率との差を0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差を0.01以上の値とすることにより、カラム構造内において入射光を安定的に反射させて、カラム構造に由来した入射角度依存性をより高め、光拡散入射角度領域と、非光拡散入射角度領域との区別を明確に制御することができるためである。
より具体的には、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光がカラム構造内で全反射する角度域が狭くなることから、入射角度依存性が過度に低下する場合があるためである。
したがって、カラム構造における屈折率が相対的に高い柱状物の屈折率と、屈折率が相対的に低い領域の屈折率との差を0.05以上の値とすることがより好ましく、0.1以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、屈折率が相対的に高い柱状物の屈折率と、屈折率が相対的に低い領域の屈折率との差は大きい程好ましいが、屈曲カラム構造を形成可能な材料を選定する観点から、0.3程度が上限であると考えられる。
また、図11(a)に示すように、カラム構造において、柱状物の断面における最大径Sを0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる最大径を0.1〜15μmの範囲内の値とすることにより、カラム構造内において入射光をより安定的に反射させて、カラム構造に由来した入射角度依存性を、より効果的に向上させることができるためである。
すなわち、かかる最大径が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度にかかわらず、光拡散性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、かかる最大径が15μmを超えた値となると、カラム構造内を直進する光が増加し、拡散光の均一性が悪化する場合があるためである。
したがって、カラム構造において、柱状物の断面における最大径を0.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、柱状物の断面形状については、特に限定されるものではないが、例えば、円、楕円、多角形、異形等とすることが好ましい。
また、柱状物の断面とは、フィルム表面と平行な面によって切断された断面を意味する。
なお、柱状物の最大径や長さ等は、光学デジタル顕微鏡にて観察することにより測定することができる。
また、図11(a)に示すように、カラム構造において、柱状物間における距離、すなわち、隣接する柱状物におけるスペースPを0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる距離を0.1〜15μmの範囲内の値とすることにより、カラム構造内において入射光をより安定的に反射させて、カラム構造に由来した入射角度依存性を、さらに向上させることができるためである。
すなわち、かかる距離が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度にかかわらず、光拡散性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、かかる距離が15μmを超えた値となると、カラム構造内を直進する光が増加し、拡散光の均一性が悪化する場合があるためである。
したがって、カラム構造において、柱状物間における距離を0.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、カラム構造の厚さ、すなわち、図11(b)に示すように、フィルム面の法線方向における柱状物の長さLを50〜700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、カラム構造の厚さをかかる範囲内の値とすることにより、膜厚方向に沿った柱状物の長さを安定的に確保して、カラム構造内において入射光をより安定的に反射させて、カラム構造に由来した光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性をさらに向上させることができるためである。
すなわち、かかるカラム構造の厚さLが50μm未満の値となると、柱状物の長さが不足して、カラム構造内を直進してしまう入射光が増加し、光拡散角度領域内における拡散光の強度の均一性を得ることが困難になる場合があるためである。一方、かかるカラム構造の厚さLが700μmを超えた値となると、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射してカラム構造を形成する際に、初期に形成されたカラム構造によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望のカラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、カラム構造の厚さLを70〜400μmの範囲内の値とすることがより好ましく、80〜300μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本発明の光拡散フィルムは、図11(b)に示すように膜厚方向全体にカラム構造(膜厚方向長さL)が形成されていてもよいし、フィルムの上端部、下端部の少なくともいずれか一方にカラム構造未形成部分を有していてもよい。
なお、図10(a)〜(b)に示すような変形柱状物を有するカラム構造の場合には、上方部分(光拡散フィルムを製造する際に活性エネルギー線が照射される側の部分)における柱状物の長さと、下方部分における柱状物の長さとの比を、通常、7:1〜1:50の範囲内とすることが好ましい。
また、図11(b)に示すように、カラム構造において、柱状物112が光拡散フィルムの膜厚方向に対して一定の傾斜角θaにて林立してなることが好ましい。
この理由は、柱状物の傾斜角を一定とすることにより、カラム構造内において入射光をより安定的に反射させて、カラム構造に由来した入射角度依存性をさらに向上させることができるためである。
また、傾斜角θaを0〜50°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、カラム構造によって発現する光拡散角度領域を任意の方向に調整するためである。つまり、ディスプレイを設置する位置、視認者がディスプレイを視認する角度を考慮し、拡散光を視認者の方向へ集光するためである。
より具体的には、モバイル機器やTVなどであれば、視認者が映像をおよそディスプレイの正面で視認することになるため、フィルムの正面が光拡散角度領域となるように柱状物の傾斜角θaを制御する。一方、デジタルサイネージ用途など、視認者がディスプレイを下方等から視認することになるため、その方向が光拡散角度領域となるように柱状物の傾斜角θaを制御する。
但し、傾斜角θaが50°を超えた値となると、フィルムの正面に対して拡散光を出射することが困難になる場合がある。
したがって、傾斜角θaを0〜40°の範囲内の値とすることがより好ましく、0〜30°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、傾斜角θaは、フィルム面に垂直な面であって、1本の柱状物全体を軸線に沿って2つに切断する面によってフィルムを切断した場合の断面において測定されるフィルム表面に対する法線の角度を0°とした場合の柱状物の傾斜角(°)を意味する。
より具体的には、図11(b)に示す通り、傾斜角θaは、カラム構造の上端面の法線と、柱状物の最上部との為す角度のうち狭い側の角度を意味する。
また、図11(b)に示す通り、柱状物が左側に傾いているときの傾斜角を基準とし、柱状物が右側に傾いているときの傾斜角をマイナスで表記する。
なお、図10(a)〜(b)に示すような変形柱状物を有するカラム構造の場合は、通常、上方部分における柱状物(光の入射側の柱状物)の傾斜角を0〜50°の範囲内の値とするとともに、下方部分における柱状物(光の出射側の柱状物)の傾斜角を0〜50°の範囲内の値とすることが好ましい。
また、本発明における光拡散フィルムの膜厚を60〜700μmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、光拡散フィルムの膜厚が60μm未満の値となると、カラム構造内を直進する入射光が増加し、所定の光拡散特性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、光拡散フィルムの膜厚が700μmを超えた値となると、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射してカラム構造を形成する際に、初期に形成されたカラム構造によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望のカラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。また、表示画像にボケが生じ易くなる場合があるためである。
したがって、光拡散フィルムの膜厚を80〜450μmの範囲内の値とすることがより好ましく、100〜250μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本発明における光拡散フィルムは、その片面または両面に、被着体に対して積層するための粘着剤層を備えていることが好ましい。
かかる粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限されるものではなく、従来公知のアクリル系、シリコーン系、ウレタン系、ゴム系等の粘着剤を使用することができる。
本発明における光拡散フィルムは、下記工程(a)〜(c)を含む製造方法により製造することが好ましい。
(a)(A)成分としての複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルと、(B)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートと、(C)成分としての光重合開始剤と、を含む光拡散フィルム用組成物を準備する工程
(b)光拡散フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)塗布層に対して活性エネルギー線を照射する工程
以下、各工程について、図面を参照しつつ、具体的に説明する。
かかる工程は、所定の光拡散フィルム用組成物を準備する工程である。
より具体的には、(A)〜(C)成分および所望によりその他の添加剤を混合する工程である。
また、混合に際しては、室温下でそのまま撹拌してもよいが、均一性を向上させる観点からは、例えば、40〜80℃の加温条件下にて撹拌して、均一な混合液とすることが好ましい。
また、塗工に適した所望の粘度となるように、希釈溶剤をさらに加えることも好ましい。
以下、光拡散フィルム用組成物について、より具体的に説明する。
(種類)
本発明における光拡散フィルム用組成物は、(A)成分として、複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましい。
この理由は、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、(A)成分の重合速度を、(B)成分の重合速度よりも速くして、これらの成分間における重合速度に所定の差を生じさせ、両成分の共重合性を効果的に低下させることができるものと推定されるためである。
その結果、光硬化させた際に、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域中に、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造を効率よく形成することができる。
また、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、単量体の段階では(B)成分と十分な相溶性を有しつつも、重合の過程において複数繋がった段階では(B)成分との相溶性を所定の範囲にまで低下させて、カラム構造をさらに効率よく形成することができるものと推定される。
さらに、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、カラム構造における(A)成分に由来した領域の屈折率を高くして、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、所定以上の値に調節することができる。
したがって、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、後述する(B)成分の特性と相まって、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い領域と、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域とからなるカラム構造を効率的に得ることができる。
なお、「複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステル」とは、(メタ)アクリル酸エステルのエステル残基部分に複数の芳香環を有する化合物を意味する。
また、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味する。
また、カラム構造における(A)成分に由来した領域の屈折率を高くして、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、所定以上の値に、より容易に調節することができる。
この理由は、かかる炭素数が4を超えた値となると、(A)成分の重合速度が低下したり、(A)成分に由来した領域の屈折率が低くなり過ぎたりして、カラム構造を効率的に形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、一般式(1)におけるR1〜R10が、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、およびカルボキシアルキル基のいずれかを含む場合には、そのアルキル部分の炭素数を1〜3の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、光拡散フィルムを焼却等する際に、ダイオキシンが発生することを防止して、環境保護の観点から好ましいためである。
なお、従来の光拡散フィルムにおいては、所定のカラム構造を得るにあたり、モノマー成分を高屈折率化する目的で、モノマー成分においてハロゲン置換が行われることが一般的であった。
この点、一般式(1)で表わされるビフェニル化合物であれば、ハロゲン置換を行わない場合であっても、高い屈折率とすることができる。
したがって、本発明における光拡散フィルム用組成物を光硬化してなる光拡散フィルムであれば、ハロゲンを含まない場合であっても、良好な入射角度依存性を発揮することができる。
この理由は、一般式(2)で表わされる置換基の位置を、R1およびR10以外の位置とすることにより、光硬化させる前の段階において、(A)成分同士が配向し、結晶化することを効果的に防止することができるためである。
さらに、光硬化させる前のモノマー段階で液状であり、希釈溶媒等を使用しなくとも、見掛け上(B)成分と均一に混合することができる。
これにより、光硬化の段階において、(A)成分および(B)成分の微細なレベルでの凝集・相分離を可能とし、カラム構造を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
さらに、同様の観点から、一般式(1)におけるR3、R5、R6およびR8のいずれか一つが、一般式(2)で表わされる置換基であることが特に好ましい。
この理由は、繰り返し数mが10を超えた値となると、重合部位と、ビフェニル環とをつなぐオキシアルキレン鎖が長くなりすぎて、重合部位における(A)成分同士の重合を阻害する場合があるためである。
したがって、一般式(2)で表わされる置換基における繰り返し数mを、1〜4の整数とすることがより好ましく、1〜2の整数とすることが特に好ましい。
なお、同様の観点から、一般式(2)で表わされる置換基における炭素数nを、通常1〜4の整数とすることが好ましい。
また、重合部位である重合性炭素−炭素二重結合の位置が、ビフェニル環に対して近すぎて、ビフェニル環が立体障害となり、(A)成分の重合速度が低下する場合をも考慮すると、一般式(2)で表わされる置換基における炭素数nを、2〜4の整数とすることがより好ましく、2〜3の整数とすることが特に好ましい。
また、(A)成分の分子量を、200〜2,500の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の分子量を所定の範囲とすることにより、(A)成分の重合速度をさらに速くして、(A)成分および(B)成分の共重合性をより効果的に低下させることができるものと推定されるためである。
その結果、光硬化させた際に、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域中に、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造を、より効率よく形成することができる。
すなわち、(A)成分の分子量が200未満の値となると、立体障害が小さくなるため(B)成分との共重合が生じ易くなるものと推定され、その結果、カラム構造を効率よく形成することが困難になる場合があるためである。一方、(A)成分の分子量が2,500を超えた値となると、(B)成分との分子量の差が小さくなるのにともなって、(A)成分の重合速度が低下して(B)成分の重合速度に近くなり、(B)成分との共重合が生じ易くなるものと推定され、その結果、カラム構造を効率よく形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の分子量を、240〜1,500の範囲内の値とすることがより好ましく、260〜1,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、(A)成分の分子量は、分子の組成と、構成原子の原子量から得られる計算値から求めることができ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて重量平均分子量として測定することもできる。
また、本発明における光拡散フィルム用組成物は、カラム構造における屈折率が相対的に高い領域を形成するモノマー成分として、(A)成分を含むが、(A)成分は単独成分で構成されることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、(A)成分に由来した領域における屈折率のばらつきを効果的に抑制して、カラム構造を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、(A)成分における(B)成分に対する相溶性が低い場合、例えば、(A)成分がハロゲン系化合物等の場合、(A)成分を(B)成分に相溶させるための第3成分として、他の(A)成分(例えば、非ハロゲン系化合物等)を併用する場合がある。
しかしながら、この場合、かかる第3成分の影響により、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い領域における屈折率がばらついたり、低下し易くなったりすることがある。
その結果、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域との屈折率差が不均一になったり、過度に低下し易くなったりする場合がある。
したがって、(B)成分との相溶性を有する高屈折率なモノマー成分を選択し、それを単独の(A)成分として用いることが好ましい。
なお、例えば、(A)成分としての式(3)で表わされるビフェニル化合物であれば、低粘度であることから、(B)成分との相溶性を有するため、単独の(A)成分として使用することができる。
また、(A)成分の屈折率を1.5〜1.65の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の屈折率をかかる範囲内の値とすることにより、(A)成分に由来した領域の屈折率と、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、より容易に調節して、カラム構造を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、(A)成分の屈折率が1.5未満の値となると、(B)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、有効な光拡散角度領域を得ることが困難になる場合があるためである。一方、(A)成分の屈折率が1.65を超えた値となると、(B)成分の屈折率との差は大きくなるものの、(B)成分との見かけ上の相溶状態さえも形成する事が困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の屈折率を、1.52〜1.62の範囲内の値とすることがより好ましく、1.56〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述した(A)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(A)成分の屈折率を意味する。
また、屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
また、光拡散フィルム用組成物における(A)成分の含有量を、後述する(B)成分100重量部に対して、25〜400重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の含有量が25重量部未満の値となると、(B)成分に対する(A)成分の存在割合が少なくなって、図2(b)の断面図に示すカラム構造における(A)成分に由来した柱状物の幅が過度に小さくなり、良好な入射角度依存性を有するカラム構造を得ることが困難になる場合があるためである。また、光拡散フィルムの厚さ方向における柱状物の長さが不十分になり、所定の光拡散特性を示さなくなる場合があるためである。一方、(A)成分の含有量が400重量部を超えた値となると、(B)成分に対する(A)成分の存在割合が多くなって、(A)成分に由来した柱状物の幅が過度に大きくなり、逆に、良好な入射角度依存性を有するカラム構造を得ることが困難になる場合があるためである。また、光拡散フィルムの厚さ方向における柱状物の長さが不十分になり、所定の光拡散特性を示さなくなる場合があるためである。
したがって、(A)成分の含有量を、(B)成分100重量部に対して40〜300重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、50〜200重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(種類)
本発明における光拡散フィルム用組成物は、(B)成分として、ウレタン(メタ)アクリレートを含むことが好ましい。
この理由は、ウレタン(メタ)アクリレートであれば、(A)成分に由来した領域の屈折率と、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、より容易に調節できるばかりか、(B)成分に由来した領域の屈折率のばらつきを有効に抑制し、カラム構造を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味する。
なお、(B)成分には、ウレタン結合の繰り返し単位を有するオリゴマーも含むものとする。
このうち、(B1)成分であるイソシアナート基を少なくとも2つ含有する化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアナート等の脂環式ポリイソシアナート、およびこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体(例えば、キシリレンジイソシアナート系3官能アダクト体)等を挙げることができる。
この理由は、脂環式ポリイソシアナートであれば、脂肪族ポリイソシアナートと比較して、立体配座等の関係で各イソシアナート基の反応速度に差を設けやすいためである。
これにより、(B1)成分が(B2)成分とのみ反応したり、(B1)成分が(B3)成分とのみ反応したりすることを抑制して、(B1)成分を、(B2)成分および(B3)成分と確実に反応させることができ、余分な副生成物の発生を防止することができる。
その結果、カラム構造における(B)成分に由来した領域、すなわち、低屈折率領域の屈折率のばらつきを効果的に抑制することができる。
さらに、脂環式ポリイソシアナートであれば、芳香族ポリイソシアナートと比較して、得られる(B)成分の屈折率を小さくすることができることから、(A)成分の屈折率との差を大きくし、光拡散性をより確実に発現するとともに、光拡散角度領域内における拡散光の均一性の高いカラム構造をさらに効率よく形成することができる。
また、このような脂環式ポリイソシアナートの中でも、脂肪族環を介してイソシアナート基を2つ含有する化合物が好ましい。
この理由は、このような脂環式ジイソシアナートであれば、(B2)成分および(B3)成分と定量的に反応し、単一の(B)成分を得ることができるためである。
このような脂環式ジイソシアナートとしては、イソホロンジイソシアナート(IPDI)を特に好ましく挙げることができる。
この理由は、2つのイソシアナート基の反応性に有効な差異を設けることができるためである。
この理由は、ポリプロピレングリコールであれば、(B)成分を硬化させた際に、当該硬化物における良好なソフトセグメントとなり、光拡散フィルムのハンドリング性や実装性を、効果的に向上させることができるためである。
なお、(B)成分の重量平均分子量は、主に、(B2)成分の重量平均分子量により調節することができる。ここで、(B2)成分の重量平均分子量は、通常、2,300〜19,500であり、好ましくは4,300〜14,300であり、特に好ましくは6,300〜12,300である。
また、得られるウレタン(メタ)アクリレートの重合速度を低下させ、カラム構造をより効率的に形成する観点から、特に、ヒドロキシアルキルメタクリレートであることがより好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレートであることがさらに好ましい。
このとき(B1)〜(B3)成分の配合割合を、モル比にて(B1)成分:(B2)成分:(B3)成分=1〜5:1:1〜5の割合とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合割合とすることにより、(B2)成分の有する2つの水酸基に対してそれぞれ(B1)成分の有する一方のイソシアナート基が反応して結合し、さらに2つの(B1)成分がそれぞれ有するもう一方のイソシアナート基に対して、(B3)成分の有する水酸基が反応して結合したウレタン(メタ)アクリレートを効率的に合成することができるためである。
したがって、(B1)〜(B3)成分の配合割合を、モル比にて(B1)成分:(B2)成分:(B3)成分=1〜3:1:1〜3の割合とすることがより好ましく、2:1:2の割合とすることがさらに好ましい。
また、(B)成分の重量平均分子量を、3,000〜20,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)成分の重量平均分子量を所定の範囲とすることにより、(A)成分および(B)成分の重合速度に所定の差を生じさせ、両成分の共重合性を効果的に低下させることができると推定されるためである。
その結果、光硬化させた際に、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域中に、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造を効率よく形成することができる。
すなわち、(B)成分の重量平均分子量が3,000未満の値となると、(B)成分の重合速度が速くなって、(A)成分の重合速度に近くなり、(A)成分との共重合が生じ易くなる結果、カラム構造を効率よく形成することが困難になる場合があるためである。一方、(B)成分の重量平均分子量が20,000を超えた値となると、カラム構造を形成することが困難になったり、(A)成分との相溶性が過度に低下して、塗布段階で(A)成分が析出したりする場合があるためである。
したがって、(B)成分の重量平均分子量を、5,000〜15,000の範囲内の値とすることがより好ましく、7,000〜13,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、(B)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
また、(B)成分は、分子構造や重量平均分子量が異なる2種以上を併用してもよいが、カラム構造における(B)成分に由来した領域の屈折率のばらつきを抑制する観点からは、1種類のみを用いることが好ましい。
すなわち、(B)成分を複数用いた場合、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域における屈折率がばらついたり、高くなったりして、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い領域との屈折率差が不均一になったり、過度に低下する場合があるためである。
また、(B)成分の屈折率を1.4〜1.55の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)成分の屈折率をかかる範囲内の値とすることにより、(A)成分に由来した領域の屈折率と、(B)成分に由来した領域の屈折率との差を、より容易に調節して、カラム構造を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、(B)成分の屈折率が1.4未満の値となると、(A)成分の屈折率との差は大きくなるものの、(A)成分との相溶性が極端に悪化し、カラム構造を形成することができないおそれがあるためである。一方、(B)成分の屈折率が1.55を超えた値となると、(A)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、所望の入射角度依存性を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、(B)成分の屈折率を、1.45〜1.54の範囲内の値とすることがより好ましく、1.46〜1.52の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述した(B)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(B)成分の屈折率を意味する。
そして、屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
この理由は、かかる屈折率の差を所定の範囲内の値とすることにより、光の透過と拡散におけるより良好な入射角度依存性、およびより広い光拡散入射角度領域を有する光拡散フィルムを得ることができるためである。
すなわち、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光がカラム構造内で全反射する角度域が狭くなることから、光拡散における開き角が過度に狭くなる場合があるためである。一方、かかる屈折率の差が過度に大きな値となると、(A)成分と(B)成分の相溶性が悪化しすぎて、カラム構造を形成できないおそれがあるためである。
したがって、(A)成分の屈折率と、(B)成分の屈折率との差を、0.05〜0.5の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜0.2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ここでいう(A)成分および(B)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(A)成分および(B)成分の屈折率を意味する。
また、光拡散フィルム用組成物における(B)成分の含有量を、光拡散フィルム用組成物の全体量100重量部に対して、10〜75重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)成分の含有量が10重量部未満の値となると、(A)成分に対する(B)成分の存在割合が少なくなって、(B)成分に由来した領域が、(A)成分に由来した領域と比較して過度に小さくなり、良好な入射角度依存性を有するカラム構造を得ることが困難になる場合があるためである。一方、(B)成分の含有量が75重量部を超えた値となると、(A)成分に対する(B)成分の存在割合が多くなって、(B)成分に由来した領域が、(A)成分に由来した領域と比較して過度に大きくなり、逆に、良好な入射角度依存性を有するカラム構造を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、(B)成分の含有量を、光拡散フィルム用組成物の全体量100重量部に対して、20〜70重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜60重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(種類)
また、本発明における光拡散フィルム用組成物は、(C)成分として、光重合開始剤を含有させることが好ましい。
この理由は、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射した際に、効率的に、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い領域中に、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造を形成することができるためである。
ここで、光重合開始剤とは、紫外線等の活性エネルギー線の照射により、ラジカル種を発生させる化合物をいう。
また、光拡散フィルム用組成物における(C)成分の含有量を、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、0.2〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(C)成分の含有量が0.2重量部未満の値となると、十分な入射角度依存性を有する光拡散フィルムを得ることが困難になるばかりか、重合開始点が過度に少なくなって、フィルムを十分に光硬化させることが困難になる場合があるためである。一方、(C)成分の含有量が20重量部を超えた値となると、塗布層の表層における紫外線吸収が過度に強くなって、かえってフィルムの光硬化が阻害されたり、臭気が過度に強くなったり、あるいはフィルムの初期の黄色味が強くなったりする場合があるためである。
したがって、(C)成分の含有量を、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、0.5〜15重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(種類)
また、本発明における光拡散フィルム用組成物は、特に図10(a)に示すような柱状物の途中において屈曲部を有する変形柱状物112´を有するカラム構造を形成する場合に、(D)成分として、紫外線吸収剤を含むことが好ましい。
この理由は、(D)成分として、紫外線吸収剤を含むことにより、活性エネルギー線を照射した際に、所定波長の活性エネルギー線を、所定の範囲で選択的に吸収することができるためである。
その結果、光拡散フィルム用組成物の硬化を阻害することなく、図10(a)に示すように、フィルム内に形成されるカラム構造に屈曲を生じさせることができ、これにより、得られる光拡散フィルムに対し、より安定的に所定の光拡散特性を付与することができる。
また、光拡散フィルム用組成物における(D)成分の含有量を、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、2重量部未満(但し、0重量部を除く。)の値とすることが好ましい。
この理由は、(D)成分の含有量をかかる範囲内の値とすることにより、光拡散フィルム用組成物の硬化を阻害することなく、フィルム内に形成されるカラム構造に屈曲を生じさせることができ、これにより、得られる光拡散フィルムに対し、より安定的に所定の光拡散特性を付与することができるためである。
すなわち、(D)成分の含有量が2重量部以上の値となると、光拡散フィルム用組成物の硬化が阻害されて、フィルム表面に収縮シワが生じたり、全く硬化しなくなったりする場合があるためである。一方、(D)成分の含有量が過度に少なくなると、フィルム内に形成される所定の内部構造に対し、十分な屈曲を生じさせることが困難になり、得られる光拡散フィルムに対し、所定の光拡散特性を安定的に付与することが困難になる場合があるためである。
したがって、(D)成分の含有量を、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、0.01〜1.5重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.02〜1重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜、上述した化合物以外の添加剤を添加することができる。
このような添加剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、重合促進剤、重合禁止剤、赤外線吸収剤、可塑剤、希釈溶剤、およびレベリング剤等が挙げられる。
なお、このような添加剤の含有量は、一般に、(A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して、0.01〜5重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.02〜3重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜2重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
かかる工程は、図12(a)に示すように、光拡散フィルム用組成物を工程シート102に対して塗布し、塗布層101を形成する工程である。
工程シートとしては、プラスチックフィルム、紙のいずれも使用することができる。
このうち、プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム、トリアセチルセルロースフィルム等のセルロース系フィルム、およびポリイミド系フィルム等が挙げられる。
また、紙としては、例えば、グラシン紙、コート紙、およびラミネート紙等が挙げられる。
また、後述する工程を考慮すると、工程シート102としては、熱や活性エネルギー線に対する寸法安定性に優れたプラスチックフィルムであることが好ましい。
このようなプラスチックフィルムとしては、上述したもののうち、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルムおよびポリイミド系フィルムが好ましく挙げられる。
かかる剥離層は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アルキッド系剥離剤、オレフィン系剥離剤等、従来公知の剥離剤を用いて形成することができる。
なお、工程シートの厚さは、通常、25〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
なお、このとき、塗布層の膜厚を60〜700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
かかる工程は、図12(b)に示すように、塗布層101に対して活性エネルギー線照射を行い、フィルム内にカラム構造を形成し、光拡散フィルムとする工程である。
より具体的には、活性エネルギー線の照射工程においては、工程シートの上に形成された塗布層に対し、光線の平行度が高い平行光を照射する。
より具体的には、例えば、図13(a)に示すように、点光源202からの照射光50をレンズ204によって平行光60とした後、塗布層101に照射したり、図13(b)〜(c)に示すように、線状光源125からの照射光50を、照射光平行化部材200(200a、200b)によって平行光60とした後、塗布層101に照射したりすることが好ましい。
より具体的には、線状光源125による直接光のうち、板状部材210aや筒状部材210b等の遮光部材210に対する平行度が低い光は、これらに接触し、吸収される。
したがって、板状部材210aや筒状部材210b等の遮光部材210に対する平行度が高い光、すなわち、平行光のみが、照射光平行化部材200を通過することになり、結果として、線状光源125による直接光が、照射光平行化部材200により平行光に変換されることになる。
なお、板状部材210aや筒状部材210b等の遮光部材210の材料物質としては、遮光部材210に対する平行度の低い光を吸収できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、耐熱黒塗装を施したアルスター鋼板等を用いることができる。
この理由は、照射光の平行度をかかる範囲内の値とすることにより、カラム構造を効率的、かつ、安定的に形成することができるためである。
したがって、照射光の平行度を5°以下の値とすることがより好ましく、2°以下の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、照射角が−80〜80°の範囲外の値となると、塗布層101の表面での反射等の影響が大きくなって、十分なカラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。
この理由は、電子線の場合、重合速度が非常に速いため、重合過程で(A)成分と(B)成分が十分に相分離できず、カラム構造を形成することが困難になる場合があるためである。一方、可視光等と比較した場合、紫外線の方が、その照射により硬化する紫外線硬化樹脂や、使用可能な光重合開始剤のバリエーションが豊富であることから、(A)成分および(B)成分の選択の幅を広げることができるためである。
この理由は、かかるピーク照度が0.1mW/cm2未満の値となると、カラム構造を明確に形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかるピーク照度が10mW/cm2を超えた値となると、(A)成分および(B)成分の相分離が進む前に硬化してしまい、逆に、カラム構造を明確に形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、紫外線照射における塗布層表面のピーク照度を0.3〜8mW/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜6mW/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかる積算光量が5mJ/cm2未満の値となると、カラム構造を上方から下方に向けて十分に伸長させることが困難になる場合があるためである。一方、かかる積算光量が200mJ/cm2を超えた値となると、得られる光拡散フィルムに着色が生じる場合があるためである。
したがって、紫外線照射における塗布層表面における積算光量を7〜150mJ/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく、10〜100mJ/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、フィルム内に形成する内部構造により、ピーク照度および積算光量を最適化することが好ましい。
この理由は、かかる速度が0.1m/分未満の値となると、量産性が過度に低下する場合があるためである。一方、かかる速度が10m/分を超えた値となると、塗布層の硬化、言い換えれば、カラム構造の形成よりも速く、塗布層に対する紫外線の入射角度が変化してしまい、カラム構造の形成が不十分になる場合があるためである。
したがって、紫外線照射の際に、工程シート上に形成された塗布層を、0.2〜5m/分の範囲内の速度にて移動させることがより好ましく、0.3〜3m/分の範囲内の速度にて移動させることがさらに好ましい。
なお、紫外線照射工程後の光拡散フィルムは、工程シートを剥離することによって、最終的に使用可能な状態となる。
すなわち、最初に第1の紫外線照射を行い、塗布層の下部、すなわち第2の面側に第2の柱状物を形成し、塗布層の上部、すなわち第1の面側にカラム構造未形成領域を残す。
このとき、安定的にカラム構造未形成領域を残す観点からは、第1の紫外線照射を、酸素阻害の影響を利用すべく、酸素存在雰囲気下で行うことが好ましい。
次いで、第2の紫外線照射を行い、第1の面側に残されたカラム構造未形成領域に第1の柱状物を形成する。
このとき、安定的に第1の柱状物を形成する観点からは、酸素阻害の影響を抑制すべく、第2の紫外線照射を、非酸素雰囲気下で行うことが好ましい。
以上においては、本発明の反射型表示装置を、図1に示すような、反射板14を備えた反射型表示パネル10の表示面側に光拡散フィルム100を積層してなる反射型表示装置1を例に挙げて説明したが、これとは別の態様として、図15に示すような反射型表示装置1´とすることもできる。
すなわち、図15には、反射型表示パネル10´として液晶表示パネルを用いた場合の反射型表示装置1´を一例として示しており、反射板14を反射型表示パネル10´の非表示面側に別体として備えるとともに、反射板14と、反射型表示パネル10´と、の間に光拡散フィルム100を積層してなる反射型表示装置1´が示してある。
かかる2重像とは、正常であれば、反射型表示パネルにおける明表示部に入射した光は、反射板により反射して、再び明表示部を通過して視認者側に出射されるのに対し、例えば、暗表示部に入射した光が反射板により反射して、暗反射部ではなく明表示部を透過して出射することにより、明表示部から出射された光に暗表示部の影が生じる現象である。
なお、暗表示部とは、明表示部よりも相対的に透過率が低くなっている画素を意味し、明表示部とは、暗表示部よりも相対的に透過率が高くなっている画素を意味する。
したがって、外光の入射角度が大きくなるに伴い、図15に示す反射型表示体1´の方が、図1に示す反射型表示体1と比較して、2重像が発生しやすくなる。
また、カラーフィルタを用いる高解像度のパネルにおいては、さらに2重像が発生しやすくなる。
逆に、図15に示す反射型表示装置1´の場合、反射板14が反射型表示パネル10´の非表示面側に別体として設けられていることから、図1に示すように反射板14が反射型表示パネル10の内部に設けた反射型表示装置1と比較して、製造が容易であり、安価に製造することができるという利点がある。
また、通常の反射板14としての平面ミラー反射板を、他の反射板14としての半透過反射板や、DBEF(Dual Brightness Enhancement Film)およびワイヤーグリッド偏光板等の反射型偏光板に容易に設計変更することができるという利点もある。
なお、光拡散フィルム100の詳細については、上述した内容と重複することから、省略する。その他、偏光板23等の光学フィルム類および反射型表示パネル10´等の反射型表示装置を構成する各部材の詳細については、図1に示す反射型表示装置における内容に準じることができ、また、λ/4板やλ/2板等を適宜用いてもよい。
また、非表示面側の偏光板は、有っても無くてもよく、表示面側の偏光板についても、ゲストホスト液晶等、偏光板を不要とする方式の場合には必須ではない。
また、図15に示す反射型表示装置1´における反射型表示パネル10´は、液晶表示パネル以外にも、電気泳動式表示パネル、MEMSシャッター方式表示パネルおよびエレクトロウェッティング方式表示パネル等とすることができる。
この理由は、モノクロの、特に低解像度画像を表示する場合には、高コントラストの表示画像が得られる一方、上述したように、反射板が反射型表示パネルの表示面側に別体として設けられていることに起因した2重像の発生が実際上問題にならず、製造容易や安価といったメリットの方が大きくなるためである。
すなわち、反射型表示装置において表示光を拡散出射していない表示部分、つまり、デジタル時計でいえば数字が表示されている部分は黒色になる一方、反射型表示装置において表示光を拡散出射している背景部分、つまり、数字が表示されている部分以外の部分が、所定の光拡散フィルムの優れた光拡散特性により白色になる。
したがって、背景部分が白色になることに起因して、表示部分の黒色とのコントラストが著しく高くなり、時刻の表示具合が非常に見やすくなる(実施例4参照)。
他方、従来のデジタル時計であれば、数字が表示されている部分は黒色になる一方、数字が表示されている部分以外の部分は暗いグリーングレイ色であることから、表示部分の黒色とのコントラストが低くなり、時刻の表示具合が非常に見にくくなる(比較例3参照)。
なお、用途との関連で、表示画像の劣化が実際上問題にならない場合であれば、反射型表示パネル内にカラーフィルタを設けることにより、カラー表示パネルとすることも好ましい。
また、上述した高コントラストという効果は、所定の光拡散フィルムに起因して得られる効果であることから、図15に示す反射型表示装置ばかりでなく、図1に示す反射型表示装置においても得られる効果である。
また、上述した内容においては、デジタル時計において数字が表示されている部分は黒色になる一方、背景部分が白色になることによりコントラストが著しく高くなる旨を説明したが、言うまでもなく、白黒を反転させた場合であっても優れたコントラストが得られる。
これらの用途であれば、その目的上、モノクロの低解像度画像で十分である。
そして、本実施態様に係る反射型表示装置であれば、高コントラストの表示画像が得られる一方、反射板が反射型表示パネルの表示面側に別体として設けられていることに起因した2重像の発生が問題にならず、製造容易や安価といったメリットの方が確実に大きくなる。
なお、プライスタグとは、スーパーマーケット等において、陳列棚に取り付けられ、商品の値段等を表示するために使用される小型の反射型表示装置である。
また、図15に示す反射型表示装置のその他の好ましい用途としては、例えば、電卓、車載パネル、家電のパネル、測定機器のパネル等が挙げられる。
かかるバイステイブル液晶表示パネルでは、液晶分子は2つの安定な配向状態を持ち、2つの配向状態を切り替える時にのみ電圧印加が必要で、表示を維持するために電圧を印加し続ける必要はない。
したがって、かかる表示原理では、消費電力は表示の切り替え回数に比例することになり、切り替え周期が長くなればなるほど消費電力は0に近づいていくことになる。
そのため、低消費電力が要求されるようなプライスタグ等の用途に非常に有用である。
1.光拡散フィルムの作成
(1)低屈折率重合性化合物(B)成分の合成
容器内に、(B2)成分としての重量平均分子量9,200のポリプロピレングリコール(PPG)1モルに対して、(B1)成分としてのイソホロンジイソシアナート(IPDI)2モル、および(B3)成分としての2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)2モルを収容した後、常法に従って反応させ、重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレートを得た。
・GPC測定装置:東ソー(株)製、HLC−8020
・GPCカラム :東ソー(株)製(以下、通過順に記載)
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒 :テトラヒドロフラン
・測定温度 :40℃
次いで、得られた(B)成分としての重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレート100重量部に対し、(A)成分としての前記式(3)で表わされる分子量268のo−フェニルフェノキシエトキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、NKエステル A−LEN−10)150重量部と、(C)成分としての2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン20重量部((A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して8重量部)とを添加した後、80℃の条件下にて加熱混合を行い、光拡散フィルム用組成物を得た。
なお、(A)成分および(B)成分の屈折率は、アッベ屈折率(アタゴ(株)製、アッベ屈折計DR−M2、Na光源、波長589nm)を用いてJIS K0062に準じて測定したところ、それぞれ1.58および1.46であった。
次いで、得られた光拡散フィルム用組成物を、工程シートとしてのフィルム状の透明ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称する。)に対して塗布し、膜厚170μmの塗布層を形成した。
次いで、塗布層を図12(b)におけるB方向に移動させながら、中心光線平行度を±3°以内に制御した紫外線スポット平行光源(ジャテック(株)製)を用い、平行度が2°以下の平行光(主ピーク波長365nm、その他254nm、303nm、313nmにピークを有する高圧水銀ランプからの紫外線)を、照射角(図14のθ3)がほぼ10°となるように塗布層に照射した。
その際のピーク照度は2.00mW/cm2、積算光量は53.13mJ/cm2、ランプ高さは240mmとし、塗布層の移動速度は0.2m/分とした。
次いで、剥離フィルムの上から、上述した平行光の進行方向をランダムにした散乱光をピーク照度10mW/cm2、積算光量150mJ/cm2となるように照射して塗布層を完全硬化させ、工程シートと剥離フィルムを除いた状態での膜厚が170μmである光拡散フィルムを得た。
なお、上述したピーク照度および積算光量は、受光器を取り付けたUV METER(アイグラフィックス(株)製、アイ紫外線積算照度計UVPF−A1)を塗布層の位置に設置して測定した。
また、得られた光拡散フィルムの膜厚は、定圧厚さ測定器(宝製作所(株)製、テクロック PG−02J)を用いて測定した。
また、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かつフィルム面と直交する面で切断した断面の模式図を図16(a)に示し、その断面写真を図16(b)に示す。
また、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に垂直かつフィルム面と直交する面で切断した断面の断面写真を図16(c)に示す。図16(b)および(c)より、得られた光拡散フィルムにおける内部構造が、図3(a)に示すような変形柱状物を有するカラム構造であることが分かる。
なお、光拡散フィルムの切断は剃刀を用いて行い、断面の写真の撮影はデジタルマイクロスコープ(キーエンス(株)製、VHX−2000)を用いて反射観察により行った。
(5)−1 ヘイズ値の測定
得られた光拡散フィルムのヘイズ値を測定した。
すなわち、図4(b)に示すように、得られた光拡散フィルムを回転させることにより、フィルム面の法線に対する入射角θ1を、塗布層の移動方向Bに沿って、−70〜70°の範囲で変えながら、各入射角θ1に対するヘイズ値(%)をBYK(株)製の装置を改造したものを用いて、ASTM D 1003に準じて測定した。
また、その際の光拡散フィルムに対する光の入射は、図17(a)に示すように、光拡散フィルムの裏側、すなわち光拡散フィルムを製造する際の活性エネルギー線を照射した側の反対側から行った。
また、以降の実施例および比較例においても、柱状物の傾斜と同じ側の傾きを有する入射角θ1をプラスの値として表記し、柱状物の傾斜と逆の側の傾きを有する入射角θ1をマイナスの値として表記する。得られた入射角−ヘイズ値チャートを図18に示す。
なお、ヘイズ値(%)は、下記数式(1)にて算出される値を意味し、下記数式(1)中、拡散透過率(%)とは、全線透過率(%)から平行光透過率(%)を引いた値であり、平行光透過率(%)とは、直進透過光の進行方向に対し、±2.5°までの広がりを有する光の透過率(%)を意味する。
得られた光拡散フィルムを反射型表示装置に適用した場合に相当する光拡散特性を測定した。
すなわち、図19に示すように、得られた光拡散フィルム100を反射板14に対して貼合し、測定用試験片とした。
次いで、図19に示すように、コノスコープ(autronic−MELCHERS GmbH社製)400の反射モードを用いて、試験片(100、14)に対して可動式の光源アーム410から光を入射した。
また、その際の光拡散フィルムに対する光の入射は、図17(b)に示すように、光拡散フィルムの裏側、すなわち光拡散フィルムを製造する際の活性エネルギー線を照射した側の反対側から行った。
また、以降の実施例および比較例においても、柱状物の傾斜と同じ側の傾きを有する入射角θ1をプラスの値として表記し、柱状物の傾斜と逆の側の傾きを有する入射角θ1をマイナスの値として表記する。得られたコノスコープ画像を図20(a)〜(g)に示す。
なお、反射板は、JDSU(株)製のBV2であり、測定用試験片は、かかる反射板のアルミ蒸着面に対し厚み15μmの粘着剤層を介して光拡散フィルムを貼合して得た。
また、各コノスコープ画像における放射状に引かれた線は、それぞれ方位角方向0〜180°、45〜225°、90〜270°、135〜315°を示し、同心円状に引かれた線は、内側から順に極角方向18°、38°、58°、78°を示す。
したがって、各コノスコープ画像における各同心円の中心部分における色が、フィルム正面に拡散出射された拡散光の相対的な輝度を表している。
また、図21に、入射角θ1と、図20(a)〜(g)における各同心円の中心部分における輝度(cd/m2)との関係を示す入射角−輝度チャートを示す。かかる図21より、入射角θ1=0〜50°の広い範囲の入射光を、効率的にフィルム正面に拡散出射できることが分かる。
次いで、図1に示すように、得られた光拡散フィルムを偏光板の上に貼合して、反射型表示装置を製造した。
得られた反射型表示装置を用いて、所定画像を表示させ、その視認具合を評価したところ、図22に示すように良好な視認具合であることが確認された。
また、図22に示す実際の反射型表示装置における表示画像の視認具合と、上述した試験片を試料としてコノスコープを用いて測定した図20(a)〜(g)に示す光拡散フィルムの光拡散特性とは、互いに相関があり、矛盾するものでないことを確認した。
実施例2では、光拡散フィルム用組成物を調製する際に、さらに(D)成分としての上記式(10)で表わされる紫外線吸収剤(BSF(株)製、TINUVIN 384−2)を(B)成分100重量部に対して、0.5重量部((A)成分および(B)成分の合計量(100重量部)に対して0.2重量部)添加したほかは、実施例1と同様に光拡散フィルムを製造し、評価した。得られた結果を、図23〜27に示す。
ここで、図23(a)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かつフィルム面と直交する面で切断した断面の模式図であり、図23(b)は、その断面写真である。
また、図23(c)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に垂直かつフィルム面と直交する面で切断した断面の写真である。
また、図24(a)は、図23(b)の断面写真における柱状物の屈曲部付近を拡大した写真であり、図24(b)は、柱状物の屈曲部より下方部分をさらに拡大した写真である。図23(b)〜(c)および図24(a)〜(b)より、得られた光拡散フィルムにおける内部構造が、図10(a)に示すような変形柱状物を有するカラム構造であることが分かる。
また、図25は、得られた光拡散フィルムにおける入射角−ヘイズ値チャートである。
また、図26(a)〜(g)は、得られた光拡散フィルムを反射型表示装置に適用した場合に相当する光拡散具合を示す写真である。
なお、得られた光拡散フィルムを実際に適用した反射型表示装置における表示画像の視認具合と、図26(a)〜(g)に示す光拡散フィルムの光拡散特性とは、互いに相関があり、矛盾するものでないことを確認した。
また、図27は、入射角θ1と、図26(a)〜(g)における各同心円の中心部分における輝度(cd/m2)との関係を示す入射角−輝度チャートである。かかる図27より、入射角θ1=0〜60°の広い範囲の入射光を、効率的にフィルム正面に拡散出射できることが分かる。
実施例3では、塗布層の膜厚を210μmに変えるとともに、活性エネルギー線照射の際に、平行光を照射した後に、塗布層の露出面側に剥離フィルムをラミネートした状態で、散乱光を照射する代わりに、中心光線平行度を±3°以内に制御した紫外線スポット平行光源(ジャテック(株)製)を用い、平行度が2°以下の平行光を、照射角(図14のθ3)ほぼ25°となるように塗布層に照射したほかは、実施例1と同様に光拡散フィルムを製造し、評価した。得られた光拡散フィルムの膜厚は210μmであった。得られた結果を、図28〜32に示す。
ここで、図28(a)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かつフィルム面と直交する面で切断した断面の模式図であり、図28(b)は、その断面写真である。
また、図28(c)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に垂直かつフィルム面と直交する面で切断した断面の断面写真である。
また、図29(a)は、図28(b)の断面写真における第1の柱状物および第2の柱状物が重複している重複カラム構造領域付近を拡大した写真であり、図29(b)は、重複カラム構造領域より下方部分をさらに拡大した写真である。図28(b)〜(c)および図29(a)〜(b)より、得られた光拡散フィルムにおける内部構造が、図10(b)に示すような変形柱状物を有するカラム構造であることが分かる。
また、図30は、得られた光拡散フィルムにおける入射角−ヘイズ値チャートである。
また、図31(a)〜(g)は、得られた光拡散フィルムを反射型表示装置に適用した場合に相当する光拡散具合を示す写真である。
なお、得られた光拡散フィルムを実際に適用した反射型表示装置における表示画像の視認具合と、図31(a)〜(g)に示す光拡散フィルムの光拡散特性とは、互いに相関があり、矛盾するものでないことを確認した。
また、図32は、入射角θ1と、図31(a)〜(g)における各同心円の中心部分における輝度(cd/m2)との関係を示す入射角−輝度チャートである。かかる図32より、入射角θ1=0〜60°の広い範囲の入射光を、効率的にフィルム正面に拡散出射できることが分かる。
比較例1では、紫外線スポット平行光源の代わりに、図33(a)に示すような線状の高圧水銀ランプ(直径25mm、長さ2.4m、出力28.8kW)に集光用のコールドミラーが付属した紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、小型実験機)を準備した。
次いで、線状の紫外線ランプと、塗布層との間に、図33(b)に示すように、複数の板状部材がそれぞれ平行配置してなる照射光平行化部材を配置した。
この時、塗布層の上方から眺めた場合に、塗布層の移動方向と、板状部材の延び方向と、が為す鋭角、すなわち、図34(a)におけるθ4が45°となるように照射光平行化部材を配置した。
さらに、図33(a)に示すように、塗布層と照射光平行化部材との間に、2枚の遮光部材を介在させた。
また、照射光平行化部材における複数の板状部材における間隔(図34(a)におけるL1)は23mm、板状部材の幅(図34(a)におけるL2)は510mm、板状部材の厚さは1.6mmであり、材料は耐熱黒塗料を施したアルスター鋼材であった。
さらに、照射光平行化部材の上端から下端までの長さ(図34(b)におけるL3)は200mm、照射光平行化部材の上端と、線状の紫外線ランプの下端と、の間の距離(図34(b)におけるL4)は100mm、照射光平行化部材の下端と、塗布層の表面と、の間の距離(図34(c)におけるL5)は1700mmであった。
また、塗布層において活性エネルギー線が照射される領域における塗布層の移動方向の長さWは、図33(a)に示す通り2枚の遮光部材123aおよび123bの間の長さであり、360mmであった。
また、線状の紫外線ランプは、塗布層の移動方向と、線状の紫外線ランプの長軸方向と、が直交するように配置した。
その際の剥離フィルム表面のピーク照度は1.05mW/cm2、積算光量は22.6mJ/cm2であり、塗布層の移動速度は1.0m/分とした。得られた結果を、図35〜38に示す。
ここで、図35(a)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に平行かつフィルム面と直交する面で切断した断面の模式図であり、図35(b)は、その断面写真である。
また、図35(c)は、得られた光拡散フィルムを、塗布層の移動方向に垂直かつフィルム面と直交する面で切断した断面の写真である。
また、図36は、得られた光拡散フィルムにおける入射角−ヘイズ値チャートである。
また、図37(a)〜(g)は、得られた光拡散フィルムを反射型表示装置に適用した場合に相当する光拡散具合を示す写真である。
なお、得られた光拡散フィルムを実際に適用した反射型表示装置における表示画像の視認具合と、図37(a)〜(g)に示す光拡散フィルムの光拡散特性とは、互いに相関があり、矛盾するものでないことを確認した。
また、図38は、入射角θ1と、図37(a)〜(g)における各同心円の中心部分における輝度(cd/m2)との関係を示す入射角−輝度チャートである。かかる図38より、入射角θ1=0〜30°の狭い範囲の入射光しか、フィルム正面に拡散出射できないことが分かる。
比較例2では、アクリル酸ブチルおよびアクリル酸を、重量比95:5の割合で用い、常法に従って重合してなる重量平均分子量180万のアクリル系共重合体100重量部に対し、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成(株)製、アロニックスM−315、分子量423、3官能型)15重量部と、光重合開始剤としてのベンゾフェノンと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの重量比1:1の混合物(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア500)1.5重量部と、イソシアネート系架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン(株)製、コロネートL)0.3重量部と、シランカップリング剤としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−403)0.2重量部と、真球状シリコーン微粒子(GE東芝シリコーン(株)製、トスパール145、平均粒径4.5μm)18.6重量部を加えるとともに、酢酸エチルを加え、混合し、粘着性材料の酢酸エチル溶液(固形分14重量%)を調製した。
次いで、剥離シートとしての厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製の剥離フィルム(リンテック(株)製、SP−PET3811)の剥離層と、得られた粘着性材料層とを貼合し、貼合してから30分後に、Hバルブ使用の無電極ランプ(フュージョン(株)製)を用いて、照度600mW/cm2、光量150mJ/cm2となるように、剥離フィルム側から粘着性材料層に紫外線を照射した。
そして、得られた紫外線硬化後の粘着性材料層を比較例2の光拡散フィルムとして、実施例1と同様に評価した。得られた結果を、図39〜41に示す。
ここで、図39は、得られた光拡散フィルムにおける入射角−ヘイズ値チャートである。
また、図40(a)〜(g)は、得られた光拡散フィルムを反射型表示装置に適用した場合に相当する光拡散具合を示す写真である。
なお、得られた光拡散フィルムを実際に適用した反射型表示装置における表示画像の視認具合と、図40(a)〜(g)に示す光拡散フィルムの光拡散特性とは、互いに相関があり、矛盾するものでないことを確認した。
また、図41は、入射角θ1と、図40(a)〜(g)における各同心円の中心部分における輝度(cd/m2)との関係を示す入射角−輝度チャートである。かかる図41より、入射角θ1=0〜30°の狭い範囲の入射光しか、フィルム正面に拡散出射できないことが分かる。
実施例4では、図42に示すように、反射板を反射型モノクロTN液晶表示パネルの非表示面側に別体として備える反射型表示装置における、反射板と、反射型モノクロTN液晶表示パネルと、の間に実施例1で得られた光拡散フィルムを積層した。
次いで、そのようにして得られた反射型表示装置をデジタル時計に適用し、デジタル時計における時刻の表示具合を目視にて確認した。
その結果、図42(a)に示すように、反射型表示装置において表示光を拡散出射していない表示部分、つまり、数字が表示されている部分が黒色になっている一方、反射型表示装置において表示光を拡散出射している背景部分、つまり、数字が表示されている部分以外の部分が白色になっていることが分かる。
そして、背景部分が白色になっていることに起因して、表示部分の黒色とのコントラストが著しく高くなり、時刻の表示具合が、図42(b)に示す従来のデジタル時計(後述する比較例3)と比較して非常に見やすくなっていることが分かる。
比較例3では、光拡散フィルムを使用する代わりに、反射板として平面ミラータイプではなく、表面を荒らしたタイプの反射板を用いたほかは、実施例4と同様にデジタル時計を作成し、評価した。つまり、比較例3では従来のデジタル時計を作成し、評価した。
その結果、図42(b)に示すように、反射型表示装置において表示光を拡散出射していない表示部分、つまり、数字が表示されている部分が黒色になっている一方、反射型表示装置において表示光を拡散出射している背景部分、つまり、数字が表示されている部分以外の部分が暗いグリーングレイ色になっていることが分かる。
そして、背景部分が暗いグリーングレイ色になっていることに起因して、表示部分の黒色とのコントラストが低くなり、時刻の表示具合が、図42(a)に示す本発明の光拡散フィルムを用いたデジタル時計(実施例4)と比較して非常に見にくくなっていることが分かる。
したがって、本発明のディスプレイ用光拡散フィルムおよびそれを用いた反射型表示装置は、スマートフォン、屋外用テレビ、デジタルサイネージ等、屋外で使用される製品に適用することができ、これらの高品質化に著しく寄与することが期待される。
Claims (11)
- 屈折率が異なる2種以上の重合性化合物を含む光拡散フィルム用組成物を光硬化した単一層の光拡散フィルムであって、
前記光拡散フィルムが、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物をフィルム膜厚方向に対して一定の傾斜角にて林立させてなるカラム構造を有する光拡散フィルムであるとともに、前記光拡散フィルムにおける一方の面を第1の面とし、他方の面を第2の面とした場合に、前記柱状物が、前記第1の面から第2の面に向かって形状変化してなる変形柱状物であり、
前記光拡散フィルムの膜厚が60〜700μmの範囲内の値であり、かつ、
フィルム面の法線に対する入射光の入射角を、前記光拡散フィルム用組成物を膜状に塗布してなる塗布層を光硬化する際の当該塗布層の移動方向に沿って、−70〜70°の範囲で変えた場合に、各入射角に対するヘイズ値が70%以上の値であることを特徴とするディスプレイ用光拡散フィルム。 - 前記変形柱状物において、前記第1の面から第2の面に向かって直径が増加することを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用光拡散フィルム。
- 前記変形柱状物が、当該柱状物の途中において屈曲部を有していることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ用光拡散フィルム。
- 前記変形柱状物が、前記第1の面側に位置する第1の柱状物と、前記第2の面側に位置する第2の柱状物と、からなることを特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ用光拡散フィルム。
- 前記光拡散フィルム用組成物が、(A)成分としての複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルと、(B)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートと、(C)成分としての光重合開始剤と、を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のディスプレイ用光拡散フィルム。
- 反射板を備えた反射型表示パネルの表示面側に光拡散フィルムを積層してなる反射型表示装置であって、
前記光拡散フィルムが、屈折率が異なる2種以上の重合性化合物を含む光拡散フィルム用組成物を光硬化した単一層の光拡散フィルムであり、かつ、
前記光拡散フィルムが、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物をフィルム膜厚方向に対して一定の傾斜角にて林立させてなるカラム構造を有する光拡散フィルムであるとともに、前記光拡散フィルムにおける一方の面を第1の面とし、他方の面を第2の面とした場合に、前記柱状物が、前記第1の面から第2の面に向かって形状変化してなる変形柱状物であり、
前記光拡散フィルムの膜厚が60〜700μmの範囲内の値であり、かつ、
フィルム面の法線に対する入射光の入射角を、前記光拡散フィルム用組成物を膜状に塗布してなる塗布層を光硬化する際の当該塗布層の移動方向に沿って、−70〜70°の範囲で変えた場合に、各入射角に対するヘイズ値が70%以上の値であることを特徴とする反射型表示装置。 - 反射板を反射型表示パネルの非表示面側に別体として備えるとともに、前記反射板と、前記反射型表示パネルと、の間に光拡散フィルムを積層してなる反射型表示装置であって、
前記光拡散フィルムが、屈折率が異なる2種以上の重合性化合物を含む光拡散フィルム用組成物を光硬化した単一層の光拡散フィルムであり、かつ、
前記光拡散フィルムが、屈折率が相対的に低い領域中に、屈折率が相対的に高い複数の柱状物をフィルム膜厚方向に対して一定の傾斜角にて林立させてなるカラム構造を有する光拡散フィルムであるとともに、前記光拡散フィルムにおける一方の面を第1の面とし、他方の面を第2の面とした場合に、前記柱状物が、前記第1の面から第2の面に向かって形状変化してなる変形柱状物であり、
前記光拡散フィルムの膜厚が60〜700μmの範囲内の値であり、かつ、
フィルム面の法線に対する入射光の入射角を、前記光拡散フィルム用組成物を膜状に塗布してなる塗布層を光硬化する際の当該塗布層の移動方向に沿って、−70〜70°の範囲で変えた場合に、各入射角に対するヘイズ値が70%以上の値であることを特徴とする反射型表示装置。 - 前記反射型表示パネルが液晶表示パネル、電気泳動方式表示パネル、MEMSシャッター方式表示パネルおよびエレクトロウェッティング方式表示パネルからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項6または7に記載の反射型表示装置。
- 前記反射型表示パネルが、半透過型表示パネルであることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の反射型表示装置。
- 前記反射型表示パネルが、モノクロ表示パネルであることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の反射型表示装置。
- プライスタグまたは時計の表示装置として適用されることを特徴とする請求項10に記載の反射型表示装置。
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