JP5999992B2 - 光拡散フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、近年、携帯電話や車載用テレビ等の普及により、液晶表示画面を室外で見る機会が増加しており、それにともない、内部光源からの光強度が外光に負けてしまい、所定画面を視認しにくくなるという問題が生じている。
また、携帯電話等のモバイル用途においては、液晶表示装置の内部光源による消費電力が、全消費電力に対して大きな割合を占めるため、内部光源を多用した場合、バッテリーの持続時間が短くなってしまうという問題が生じている。
かかる反射型液晶表示装置であれば、光源の一部として外光を利用することから、外光が強い程、鮮明な画像を認識することができるとともに、内部光源の電力消費についても、効果的に抑えることができる。
より具体的に説明すると、特許文献1には、図29(a)〜(b)に示すように、上基板1103と下基板との間に液晶層1105を挟んでなる液晶セルと、下基板1107の側に設けられた光反射板1110と、液晶層1105と光反射板1110との間に設けられた光制御板(光拡散フィルム)1108とを有した液晶装置1112が開示されている。
そして、所定角度で入射する光を選択的に散乱させるとともに所定角度以外の角度で入射する光を透過させるための光制御板1108が設けてあり、かかる光制御板1108は、所定角度で入射する光を選択的に散乱する方向を光制御板1108の表面に投影した散乱軸方向1121が、液晶セル内面でほぼ6時方向の方向となるように液晶セルに配置されている。
すなわち、特許文献2には、重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物を複数種含む膜状組成物に特定方向から紫外線を照射して、該組成物を硬化させて得られ、特定角度範囲の入射光のみを選択的に散乱する光制御膜(光拡散フィルム)において、該組成物に含まれる少なくとも1種の化合物が、複数の芳香環と1つの重合性炭素−炭素二重結合とを分子内に有する化合物であることを特徴とする光制御膜が開示されている。
すなわち、特許文献4には、光硬化性化合物を含む組成物をシート状に設け、このシートに所定の方向Pから平行光線を照射して組成物を硬化させて、シート内部に方向Pに平行に延在している複数の棒状硬化領域の集合体を形成せしめる拡散媒体(光拡散フィルム)の製造方法であって、線状光源とシートとの間に、方向Pに平行に配置した筒状物の集合を介在させ、この筒状物を通して光照射を行うことを特徴とする拡散媒体の製造方法が開示されている。
また、特許文献1〜6には、ルーバー構造領域を単独で、あるいはカラム構造領域を単独で有する光拡散フィルムが開示されているのみであることから、単一のフィルム内にこれら2種類の構造領域を共に有するような光拡散フィルムの製造方法については、言うまでも無く、何ら記載も示唆も為されていない。
さらに、ルーバー構造領域を形成するための第1の活性エネルギー線照射と、カラム構造領域を形成するための、照射光平行化部材を介して行う第2の活性エネルギー線照射と、を順次行うことにより、線状光源によって容易に上述した特性を有する光拡散フィルムを得ることができることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の目的は、光の透過と拡散において良好な入射角度依存性を有するとともに、光拡散入射角度領域が広い光拡散フィルムを、線状光源によって容易に得ることができる製造方法を提供することにある。
(a)光拡散フィルム用組成物を準備する工程
(b)光拡散フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)塗布層の露出面に対して、直接第1の活性エネルギー線照射を行い、塗布層の下方部分に第1の構造領域としての、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に交互に配置してなるルーバー構造領域を形成するとともに、塗布層の上方部分にルーバー構造未形成領域を残す工程
(d)塗布層の露出面側を紫外線透過性を有する剥離フィルムによりラミネートした後、塗布層に対して、剥離フィルム越しにさらに第2の活性エネルギー線照射を行い、ルーバー構造未形成領域に第2の構造領域としての、屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造領域を形成する工程であって、第2の活性エネルギー線照射として、塗布層に対し、線状光源からの照射光を、照射光平行化部材を介して照射する工程
すなわち、本発明の光拡散フィルムの製造方法であれば、ルーバー構造領域を形成するための第1の活性エネルギー線照射と、カラム構造領域を形成するための、照射光平行化部材を介した第2の活性エネルギー線照射と、を順次行うことにより光拡散フィルムを製造する。
したがって、第1および第2の活性エネルギー線照射において、共に線状光源を用いた場合であっても、フィルム内において、入射光を異方性光拡散させるための第1の構造領域としてのルーバー構造領域と、入射光を等方性光拡散させるための第2の構造領域としてのカラム構造領域とを、単一のフィルム内において、それぞれ効率良く形成することができる。
その結果、それぞれの構造領域が有する入射角度依存性を重複させることで、光拡散特性のばらつきを抑制した光拡散フィルムを容易に得ることができる。
また、それぞれの構造領域が有する入射角度依存性を異ならせることで、光拡散入射角度領域を効果的に広げた光拡散フィルムについても、容易に得ることができる。
なお、本発明において、「光拡散入射角度領域」とは、異方性光拡散フィルムに対して、点光源からの入射光の角度を変化させた場合に、拡散光を出光するのに対応する入射光の角度範囲を意味する。かかる光拡散入射角度領域の詳細については、後述する。
また、「良好な入射角度依存性」とは、入射光の光拡散が生じるフィルムに対する入射角度領域(光拡散入射角度領域)と、光拡散が生じないその他の入射角度領域との間の区別が、明確に制御されていることを意味する。
さらに、本発明における「異方性」とは、拡散光の広がりの形状が異方性を有することを意味し、「等方性」とは、拡散光の広がりの形状が等方性を有することを意味するが、これらについても、詳細は後述する。
このように実施することにより、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源からの照射光を、容易に所定の平行度を有する平行光に変換することができる。
このように実施することにより、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源からの照射光を、より効率的に所定の平行度を有する平行光に変換することができる。
このように実施することにより、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源からの照射光を、さらに効率的に所定の平行度を有する平行光に変換することができる。
このように実施することにより、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源からの照射光を、より容易に所定の平行度を有する平行光に変換することができる。
このように実施することにより、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源からの照射光を、より効率的に所定の平行度を有する平行光に変換することができる。
このように実施することにより、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源からの照射光を、さらに効率的に所定の平行度を有する平行光に変換することができる。
このように実施することにより、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源からの照射光を、より一段と効率的に所定の平行度を有する平行光に変換することができる。
このように実施することにより、第2の活性エネルギー線照射において、所定の平行度を有する平行光を、塗布層に対してより効率的に照射することができる。
このように実施することにより、第2の構造領域としてのカラム構造領域を、より安定的に形成することができる。
(a)光拡散フィルム用組成物を準備する工程
(b)光拡散フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)塗布層に対して第1の活性エネルギー線照射を行い、塗布層の下方部分に第1の構造領域としての、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に交互に配置してなるルーバー構造領域を形成するとともに、塗布層の上方部分にルーバー構造未形成領域を残す工程
(d)塗布層に対して、さらに第2の活性エネルギー線照射を行い、ルーバー構造未形成領域に第2の構造領域としての、屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造領域を形成する工程であって、第2の活性エネルギー線照射として、塗布層に対し、線状光源からの照射光を、照射光平行化部材を介して照射する工程
以下、本発明の実施形態を、図面を適宜参照して、具体的に説明するが、かかる説明の理解を容易にするため、まず、光拡散フィルムにおけるルーバー構造領域による光拡散およびカラム構造領域による光拡散についての基本原理について説明する。
(1)ルーバー構造による光拡散
図1(a)には、ルーバー構造領域のみを有し、入射光を異方性光拡散させるための第1の構造領域10の上面図(平面図)が示してあり、図1(b)には、図1(a)に示す第1の構造領域10を、点線A−Aに沿って垂直方向に切断して、切断面を矢印方向から眺めた場合の第1の構造領域10の断面図が示してある。
なお、本発明において、異方性とは、図2(a)〜(b)に示すように、光がフィルムによって拡散された場合に、拡散された出射光におけるフィルムと平行な面内での、その光の拡散具合(拡散光の広がりの形状)が、同面内での方向によって異なる性質を有することを意味する。
より具体的には、第1の構造領域10の場合、主に、拡散された出射光はフィルムと平行な面内において、フィルム面に沿った任意の一方向に沿って延びるルーバー構造の方向とは垂直な方向に光が拡散されるため、拡散光の広がりの形状は略楕円状になる。
また、図1(b)の断面図に示すように、屈折率が比較的高い板状領域12と、屈折率が比較的低い板状領域14は、それぞれ所定厚さを有しており、第1の構造領域10の垂直方向においても、交互に平行配置された状態を保持している。
これにより、図2(a)〜(b)に示すように、入射角が光拡散入射角度領域内である場合には、入射光が第1の構造領域10によって拡散されることになると推定される。
すなわち、図1(b)に示すように、第1の構造領域10に対する入射光の入射角が、ルーバー構造13の境界面13´に対し、平行から所定の角度範囲内の値、すなわち、光拡散入射角度領域内の値である場合には、入射光(52、54)は、ルーバー構造領域内の高屈折率の板状領域12内を、方向を変化させながら膜厚方向に沿って通り抜けることにより、出光面側での光の進行方向が一様でなくなるものと推定される。
その結果、入射角が光拡散入射角度領域内である場合には、入射光が第1の構造領域10によって拡散されると推定される(52´、54´)。
また、ルーバー構造領域内の高屈折率の板状領域12内における入射光の方向変化は、図1(b)に示すような全反射により直線状にジグザグに方向変化するステップインデックス型となる場合のほか、曲線状に方向変化するグラディエントインデックス型となる場合も考えられる。
一方、第1の構造領域10に対する入射光の入射角が、光拡散入射角度領域から外れる場合の入射光56は、第1の構造領域10によって拡散されることなく、そのまま第1の構造領域10を透過するものと推定される(56´)。
また、図2(a)〜(b)に示すように、第1の構造領域は、入射光の入射角が光拡散入射角度領域に含まれる場合には、その入射角が異なる場合であっても、出光面側においてほぼ同様の光拡散をさせることができる。
すなわち、図3(a)には、横軸に第1の構造領域に対する入射光の入射角(°)を採り、縦軸に第1の構造領域によって拡散された拡散光の開き角度(°)を採ってなる特性曲線が示してある。
また、図4に示すように、入射角θ1とは、第1の構造領域10に対して垂直に入射する角度を0°とした場合の角度(°)を意味する。
より具体的には、上述したように、異方性光拡散に寄与する入射光の成分は、主に、フィルム面に沿った任意の一方向に延びるルーバー構造の向きに垂直な成分であることから、本発明において入射光の「入射角θ1」と言った場合、フィルム面に沿った任意の一方向に延びるルーバー構造の向きに垂直な成分の入射角を意味するものとする。また、このとき、入射角θ1は、光拡散フィルムの入射側表面の法線に対する角度を0°とした場合の角度(°)を意味するものとする。
また、拡散光の開き角度θ2とは、文字通り拡散光の開き角度(°)を意味するものとする。
そして、拡散光の開き角度が大きい程、そのときの入射角にて入射した光が第1の構造領域によって有効に拡散したことを意味する。
逆に、拡散光の開き角度が小さい程、そのときの入射角にて入射した光が第1の構造領域をそのまま透過し、拡散しなかったことを意味する。
なお、かかる拡散光の開き角度の具体的な測定方法については、実施例において記載する。
一方、入射角度依存性を有さないフィルムの場合、図3(b)に示すように、入射角の変化が光の透過と拡散の度合いに対して明確な影響を与えることがなく、光拡散入射角度領域を認定することができない。
また、図5(a)には、カラム構造領域のみを有し、入射光を等方性光拡散させるための第2の構造領域20の上面図(平面図)が示してあり、図5(b)には、図5(a)に示す第2の構造領域20を、点線A−Aに沿って垂直方向に切断して、切断面を矢印方向から眺めた場合の第2の構造領域20の断面図が示してある。
なお、本発明において、等方性とは、図6(a)〜(b)に示すように、光がフィルムによって拡散された場合に、拡散された出射光におけるフィルムと平行な面内での、その光の拡散具合(拡散光の広がりの形状)が、同面内での方向によって変化しない性質を有することを意味する。
より具体的には、第2の構造領域20の場合、拡散された出射光の拡散具合は、フィルムと平行な面内において円状になる。
また、図5(b)の断面図に示すように、第2の構造領域20の垂直方向においては、屈折率が相対的に高い柱状物22と、屈折率が相対的に低い領域24は、それぞれ所定の幅を有して交互に配置された状態となっている。
これにより、図6(a)〜(b)に示すように、入射角が光拡散入射角度領域内である場合には、入射光が第2の構造領域20によって拡散されることになると推定される。
すなわち、図5(b)に示すように、第2の構造領域20に対する入射光の入射角が、カラム構造23の境界面23´に対し、平行から所定の角度範囲内の値、すなわち、光拡散入射角度領域内の値である場合には、入射光(62、64)は、カラム構造領域内の高屈折率の柱状物22内を、方向を変化させながら膜厚方向に沿って通り抜けることにより、出光面側での光の進行方向が一様でなくなるものと推定される。
その結果、入射角が光拡散入射角度領域内である場合には、入射光が第2の構造領域20によって拡散されると推定される(62´、64´)。
一方、第2の構造領域20に対する入射光の入射角が、光拡散入射角度領域から外れる場合の入射光66は、第2の構造領域20によって拡散されることなく、そのまま第2の構造領域20を透過するものと推定される(66´)。
なお、第2の構造領域に対する入射光の入射角と、第2の構造領域によって拡散された拡散光の開き角度との関係は、上述した第1の構造領域における場合と同様であるため、再度の説明を省略する。
次いで、図面を用いて、本発明の製造方法により得られる光拡散フィルムの基本的構成について説明する。
図7(a)〜(b)に示すように、本発明の製造方法により得られる光拡散フィルム30は、入射光を異方性光拡散させるためのルーバー構造領域(第1の構造領域)10と、入射光を等方性光拡散させるためのカラム構造領域(第2の構造領域)20とを有することを特徴としており、好ましくは、これらの構造領域を、膜厚方向に沿って順次に上下方向に含む構成である。
したがって、本発明の製造方法により得られる光拡散フィルムであれば、例えば、図7(a)に示すように、第1および第2の構造領域が有する入射角度依存性を重複させることで、光拡散特性のばらつきを抑制し、良好な入射角度依存性を得ることができる。
また、本発明の製造方法により得られる光拡散フィルムであれば、例えば、図7(b)に示すように、第1および第2の構造領域が有する入射角度依存性をずらすことで、光拡散入射角度領域を効果的かつ容易に広げることができる。
工程(a)は、所定の光拡散フィルム用組成物を準備する工程である。
より具体的には、屈折率が異なる少なくとも2つの重合性化合物、光重合開始剤および所望によりその他の添加剤を混合する工程であることが好ましい。
また、混合に際しては、室温下でそのまま撹拌してもよいが、均一性を向上させる観点からは、例えば、40〜80℃の加温条件下にて撹拌することが好ましい。
また、塗工に適した所望の粘度となるように、希釈溶剤を更に加えることも好ましい。
以下、工程(a)について、より具体的に説明する。
(1)−1 種類
屈折率が異なる2つの重合性化合物のうち、屈折率が相対的に高い方の重合性化合物(以下、(A)成分と称する場合がある。)の種類は、特に限定されないが、その主成分を複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステルとすることが好ましい。
この理由は、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、(A)成分の重合速度を、屈折率が相対的に低い方の重合性化合物(以下、(B)成分と称する場合がある。)の重合速度よりも速くして、これらの成分間における重合速度に所定の差を生じさせ、両成分の共重合性を効果的に低下させることができるものと推定されるためである。
その結果、光硬化させた際に、(A)成分に由来した部分および(B)成分に由来した部分からなるルーバー構造領域およびカラム構造領域を効率よく形成することができる。
また、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、単量体の段階では(B)成分と十分な相溶性を有しつつも、重合の過程において複数繋がった段階では(B)成分との相溶性を所定の範囲にまで低下させて、ルーバー構造領域およびカラム構造領域をさらに効率よく形成することができるものと推定される。
さらに、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、ルーバー構造領域およびカラム構造領域における(A)成分に由来した部分の屈折率を高くして、(B)成分に由来した部分の屈折率との差を、所定以上の値に調節することができる。
したがって、(A)成分として、特定の(メタ)アクリル酸エステルを含むことにより、後述する(B)成分の特性と相まって、屈折率の異なる部分からなるルーバー構造領域およびカラム構造領域を備えた光拡散フィルムを効率的に得ることができる。
なお、「複数の芳香環を含有する(メタ)アクリル酸エステル」とは、(メタ)アクリル酸エステルのエステル残基部分に複数の芳香環を有する化合物を意味する。
また、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸の両方を意味する。
また、ルーバー構造領域およびカラム構造領域における(A)成分に由来した部分の屈折率を高くして、(B)成分に由来した部分の屈折率との差を、所定以上の値に、より容易に調節することができる。
この理由は、かかる炭素数が4を超えた値となると、(A)成分の重合速度が低下したり、(A)成分に由来した部分の屈折率が低くなり過ぎたりして、ルーバー構造領域およびカラム構造領域を効率的に形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、一般式(1)におけるR1〜R10が、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、およびカルボキシアルキル基のいずれかを含む場合には、そのアルキル部分の炭素数を1〜3の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、光拡散フィルムを焼却等する際に、ダイオキシンが発生することを防止して、環境保護の観点から好ましいためである。
なお、従来のルーバー構造領域等を備えた光拡散フィルムにおいては、所定のルーバー構造領域等を得るにあたり、モノマー成分を高屈折率化する目的で、モノマー成分においてハロゲン置換が行われることが一般的であった。
この点、一般式(1)で表わされるビフェニル化合物であれば、ハロゲン置換を行わない場合であっても、高い屈折率とすることができる。
したがって、本発明における光拡散フィルム用組成物を光硬化してなる光拡散フィルムであれば、ハロゲンを含まない場合であっても、良好な入射角度依存性を発揮することができる。
この理由は、一般式(2)で表わされる置換基の位置を、R1およびR10以外の位置とすることにより、光硬化させる前の段階において、(A)成分同士が配向し、結晶化することを効果的に防止することができるためである。
さらに、光硬化させる前のモノマー段階で液状であり、希釈溶媒等を使用しなくとも、見掛け上(B)成分と均一に混合することができる。
これにより、光硬化の段階において、(A)成分および(B)成分の微細なレベルでの凝集・相分離を可能とし、ルーバー構造領域およびカラム構造領域を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
さらに、同様の観点から、一般式(1)におけるR3、R5、R6およびR8のいずれか一つが、一般式(2)で表わされる置換基であることが特に好ましい。
この理由は、繰り返し数mが10を超えた値となると、重合部位と、ビフェニル環とをつなぐオキシアルキレン鎖が長くなりすぎて、重合部位における(A)成分同士の重合を阻害する場合があるためである。
したがって、一般式(2)で表わされる置換基における繰り返し数mを、1〜4の整数とすることがより好ましく、1〜2の整数とすることが特に好ましい。
なお、同様の観点から、一般式(2)で表わされる置換基における炭素数nを、通常1〜4の整数とすることが好ましい。
また、重合部位である重合性炭素−炭素二重結合の位置が、ビフェニル環に対して近すぎて、ビフェニル環が立体障害となり、(A)成分の重合速度が低下する場合をも考慮すると、一般式(2)で表わされる置換基における炭素数nを、2〜4の整数とすることがより好ましく、2〜3の整数とすることが特に好ましい。
また、(A)成分の分子量を、200〜2,500の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の分子量を所定の範囲とすることにより、(A)成分の重合速度をさらに速くして、(A)成分および(B)成分の共重合性をより効果的に低下させることができるものと推定されるためである。
その結果、光硬化させた際に、(A)成分に由来した部分および(B)成分に由来した部分からなるルーバー構造領域およびカラム構造領域を、より効率的に形成することができる。
すなわち、(A)成分の分子量が200未満の値となると、立体障害により重合速度が低下して、(B)成分の重合速度に近くなり、(B)成分との共重合が生じ易くなる場合があるためである。一方、(A)成分の分子量が2,500を超えた値となると、(B)成分との分子量の差が小さくなるのにともなって、(A)成分の重合速度が低下して(B)成分の重合速度に近くなり、(B)成分との共重合が生じ易くなるものと推定され、その結果、ルーバー構造領域およびカラム構造領域を効率よく形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の分子量を、240〜1,500の範囲内の値とすることがより好ましく、260〜1,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、(A)成分の分子量は、分子の組成と、構成原子の原子量から得られる計算値から求めることができ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて重量平均分子量として測定することもできる。
また、本発明における光拡散フィルム用組成物は、ルーバー構造領域およびカラム構造領域における屈折率が相対的に高い部分を形成するモノマー成分として、(A)成分を含むことを特徴とするが、(A)成分は一成分で含まれることが好ましい。
この理由は、このように構成することにより、(A)成分に由来した部分、つまり屈折率が相対的に高い部分における屈折率のばらつきを効果的に抑制して、ルーバー構造領域およびカラム構造領域を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、(A)成分における(B)成分に対する相溶性が低い場合、例えば、(A)成分がハロゲン系化合物等の場合、(A)成分を(B)成分に相溶させるための第3成分として、他の(A)成分(例えば、非ハロゲン系化合物等)を併用する場合がある。
しかしながら、この場合、かかる第3成分の影響により、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い部分における屈折率がばらついたり、低下し易くなったりすることがある。
その結果、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い部分との屈折率差が不均一になったり、過度に低下し易くなったりする場合がある。
したがって、(B)成分との相溶性を有する高屈折率なモノマー成分を選択し、それを単独の(A)成分として用いることが好ましい。
なお、例えば、(A)成分としての式(3)で表わされるビフェニル化合物であれば、低粘度であることから、(B)成分との相溶性を有するため、単独の(A)成分として使用することができる。
また、(A)成分の屈折率を1.5〜1.65の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の屈折率をかかる範囲内の値とすることにより、(A)成分に由来した部分の屈折率と、(B)成分に由来した部分の屈折率との差を、より容易に調節して、ルーバー構造領域およびカラム構造領域を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、(A)成分の屈折率が1.5未満の値となると、(B)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、所望の入射角度依存性を得ることが困難になる場合があるためである。一方、(A)成分の屈折率が1.65を超えた値となると、(B)成分の屈折率との差は大きくなるものの、(B)成分との見かけ上の相溶状態さえも形成困難になる場合があるためである。
したがって、(A)成分の屈折率を、1.52〜1.62の範囲内の値とすることがより好ましく、1.56〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述した(A)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(A)成分の屈折率を意味する。
また、屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
また、光拡散フィルム用組成物における(A)成分の含有量を、後述する相対的に屈折率が低い重合性化合物である(B)成分100重量部に対して、25〜400重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(A)成分の含有量が25重量部未満の値となると、(B)成分に対する(A)成分の存在割合が少なくなって、(A)成分に由来した部分の幅、つまり、板状領域の幅や柱状物の幅が、(B)成分に由来した部分の幅と比較して過度に小さくなり、良好な入射角度依存性を有するルーバー構造領域およびカラム構造領域を得ることが困難になる場合があるためである。また、光拡散フィルムの厚さ方向におけるルーバー構造領域およびカラム構造領域の厚さが不十分になり、光拡散性を示さなくなる場合があるためである。一方、(A)成分の含有量が400重量部を超えた値となると、(B)成分に対する(A)成分の存在割合が多くなって、(A)成分に由来した部分の幅が、(B)成分に由来した部分の幅と比較して過度に大きくなり、逆に、良好な入射角度依存性を有するルーバー構造領域およびカラム構造領域を得ることが困難になる場合があるためである。また、光拡散フィルムの厚さ方向におけるルーバー構造領域およびカラム構造領域の厚さが不十分になり、光拡散性を示さなくなる場合があるためである。
したがって、(A)成分の含有量を、(B)成分100重量部に対して、40〜300重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、50〜200重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)−1 種類
屈折率が異なる2つの重合性化合物のうち、屈折率が相対的に低い方の重合性化合物((B)成分)の種類は、特に限定されず、その主成分として、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、側鎖に(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー、(メタ)アクリロイル基含有シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられるが、特に、ウレタン(メタ)アクリレートとすることが好ましい。
この理由は、ウレタン(メタ)アクリレートであれば、(A)成分に由来した部分の屈折率と、(B)成分に由来した部分の屈折率との差を、より容易に調節できるばかりか、(B)成分に由来した部分の屈折率のばらつきを有効に抑制し、ルーバー構造領域およびカラム構造領域を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
したがって、以下においては、(B)成分としてのウレタン(メタ)アクリレートについて、主に説明する。
なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびメタクリレートの両方を意味する。
なお、(B)成分には、ウレタン結合の繰り返し単位を有するオリゴマーも含むものとする。
このうち、(B1)成分であるイソシアナート基を少なくとも2つ含有する化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアナート、2,6−トリレンジイソシアナート、1,3−キシリレンジイソシアナート、1,4−キシリレンジイソシアナート等の芳香族ポリイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等の脂肪族ポリイソシアナート、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアナート等の脂環式ポリイソシアナート、およびこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体(例えば、キシリレンジイソシアナート系3官能アダクト体)等を挙げることができる。
この理由は、脂環式ポリイソシアナートであれば、脂肪族ポリイソシアナートと比較して、立体配座等の関係で各イソシアナート基の反応速度に差を設けやすいためである。
これにより、(B1)成分が(B2)成分とのみ反応したり、(B1)成分が(B3)成分とのみ反応したりすることを抑制して、(B1)成分を、(B2)成分および(B3)成分と確実に反応させることができ、余分な副生成物の発生を防止することができる。
その結果、ルーバー構造領域およびカラム構造領域における(B)成分に由来した部分、すなわち、低屈折率部分の屈折率のばらつきを効果的に抑制することができる。
さらに、脂環式ポリイソシアナートであれば、芳香族ポリイソシアナートと比較して、得られる(B)成分の屈折率を小さくすることができることから、(A)成分の屈折率との差を大きくし、入射角度依存性に優れたルーバー構造領域およびカラム構造領域をさらに効率良く形成することができる。
また、このような脂環式ポリイソシアナートの中でも、イソシアナート基を2つのみ含有する脂環式ジイソシアナートが好ましい。
この理由は、脂環式ジイソシアナートであれば、(B2)成分および(B3)成分と定量的に反応し、単一の(B)成分を得ることができるためである。
このような脂環式ジイソシアナートとしては、イソホロンジイソシアナート(IPDI)であることが、特に好ましく挙げることができる。
この理由は、2つのイソシアナート基の反応性に有効な差異を設けることができるためである。
この理由は、ポリプロピレングリコールであれば、粘度が低いことから無溶剤で取り扱うことができるためである。
また、ポリプロピレングリコールであれば、(B)成分を硬化させた際に、当該硬化物における良好なソフトセグメントとなり、光拡散フィルムのハンドリング性や実装性を、効果的に向上させることができるためである。
なお、(B)成分の重量平均分子量は、主に、(B2)成分の重量平均分子量により調節することができる。ここで、(B2)成分の重量平均分子量は、通常、2,300〜19,500であり、好ましくは4,300〜14,300であり、特に好ましくは6,300〜12,300である。
また、得られるウレタン(メタ)アクリレートの重合速度を低下させ、所定のルーバー構造領域およびカラム構造領域をより効率的に形成する観点から、特に、ヒドロキシアルキルメタクリレートであることがより好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレートであることがさらに好ましい。
このとき(B1)〜(B3)成分の配合割合を、モル比にて(B1)成分:(B2)成分:(B3)成分=1〜5:1:1〜5の割合とすることが好ましい。
この理由は、かかる配合割合とすることにより、(B2)成分の有する2つの水酸基に対してそれぞれ(B1)成分の有する一方のイソシアナート基が反応して結合し、さらに2つの(B1)成分がそれぞれ有するもう一方のイソシアナート基に対して、(B3)成分の有する水酸基が反応して結合したウレタン(メタ)アクリレートを効率的に合成することができるためである。
したがって、(B1)〜(B3)成分の配合割合を、モル比にて(B1)成分:(B2)成分:(B3)成分=1〜3:1:1〜3の割合とすることがより好ましく、2:1:2の割合とすることがさらに好ましい。
また、(B)成分の重量平均分子量を、3,000〜20,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)成分の重量平均分子量を所定の範囲とすることにより、(A)成分および(B)成分の重合速度に所定の差を生じさせ、両成分の共重合性を効果的に低下させることができるためである。
その結果、光硬化させた際に、(A)成分に由来した部分および(B)成分に由来した部分からなるルーバー構造領域およびカラム構造領域を効率よく形成することができる。
すなわち、(B)成分の重量平均分子量が3,000未満の値となると、(B)成分の重合速度が速くなって、(A)成分の重合速度に近くなり、(A)成分との共重合が生じ易くなる結果、ルーバー構造領域およびカラム構造領域を効率よく形成することが困難になる場合があるためである。一方、(B)成分の重量平均分子量が20,000を超えた値となると、(A)成分および(B)成分に由来した部分からなるルーバー構造領域およびカラム構造領域を形成することが困難になったり、(A)成分との相溶性が過度に低下して、塗布段階で(A)成分が析出したりする場合があるためである。
したがって、(B)成分の重量平均分子量を、5,000〜15,000の範囲内の値とすることがより好ましく、7,000〜13,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、(B)成分の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
また、(B)成分は、分子構造や重量平均分子量が異なる2種以上を併用してもよいが、ルーバー構造領域およびカラム構造領域における(B)成分に由来した部分の屈折率のばらつきを抑制する観点からは、1種類のみを用いることが好ましい。
すなわち、(B)成分を複数用いた場合、(B)成分に由来した屈折率が相対的に低い部分における屈折率がばらついたり、高くなったりして、(A)成分に由来した屈折率が相対的に高い部分との屈折率差が不均一になったり、過度に低下する場合があるためである。
また、(B)成分の屈折率を1.4〜1.55の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)成分の屈折率をかかる範囲内の値とすることにより、(A)成分に由来した部分の屈折率と、(B)成分に由来した部分の屈折率との差を、より容易に調節して、ルーバー構造領域およびカラム構造領域を備えた光拡散フィルムを、より効率的に得ることができるためである。
すなわち、(B)成分の屈折率が1.4未満の値となると、(A)成分の屈折率との差は大きくなるものの、(A)成分との相溶性が極端に悪化し、ルーバー構造領域およびカラム構造領域を形成することができないおそれがあるためである。一方、(B)成分の屈折率が1.55を超えた値となると、(A)成分の屈折率との差が小さくなり過ぎて、所望の入射角度依存性を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、(B)成分の屈折率を、1.45〜1.54の範囲内の値とすることがより好ましく、1.46〜1.52の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、上述した(B)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(B)成分の屈折率を意味する。
そして、屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
この理由は、かかる屈折率の差を所定の範囲内の値とすることにより、光の透過と拡散におけるより良好な入射角度依存性、およびより広い光拡散入射角度領域を有する光拡散フィルムを得ることができるためである。
すなわち、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光がルーバー構造領域およびカラム構造領域内で全反射する角度域が狭くなることから、光拡散における開き角度が過度に狭くなる場合があるためである。一方、かかる屈折率の差が過度に大きな値となると、(A)成分と(B)成分の相溶性が悪化しすぎて、ルーバー構造領域およびカラム構造領域を形成できないおそれがあるためである。
したがって、(A)成分の屈折率と、(B)成分の屈折率との差を、0.05〜0.5の範囲内の値とすることがより好ましく、0.1〜0.2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ここでいう(A)成分および(B)成分の屈折率とは、光照射により硬化する前の(A)成分および(B)成分の屈折率を意味する。
また、光拡散フィルム用組成物における(B)成分の含有量を、光拡散フィルム用組成物の全体量100重量%に対して、10〜80重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、(B)成分の含有量が10重量%未満の値となると、(A)成分に対する(B)成分の存在割合が少なくなって、(B)成分に由来した部分の幅が、(A)成分に由来した部分の幅と比較して過度に小さくなり、良好な入射角度依存性を有するルーバー構造領域およびカラム構造領域を得ることが困難になる場合があるためである。また、光拡散フィルムの厚さ方向におけるルーバー構造領域およびカラム構造領域の厚さが不十分になる場合があるためである。一方、(B)成分の含有量が80重量%を超えた値となると、(A)成分に対する(B)成分の存在割合が多くなって、(B)成分に由来した部分の幅が、(A)成分に由来した部分の幅と比較して過度に大きくなり、逆に、良好な入射角度依存性を有するルーバー構造領域およびカラム構造領域を得ることが困難になる場合があるためである。また、光拡散フィルムの厚さ方向におけるルーバー構造領域およびカラム構造領域の厚さが不十分になる場合があるためである。
したがって、(B)成分の含有量を、光拡散フィルム用組成物の全体量100重量%に対して、20〜70重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜60重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本発明における光拡散フィルム用組成物においては、所望により、(C)成分として、光重合開始剤を含有させることが好ましい。
この理由は、光重合開始剤を含有させることにより、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射した際に、効率的にルーバー構造領域およびカラム構造領域を形成することができるためである。
ここで、光重合開始剤とは、紫外線等の活性エネルギー線の照射により、ラジカル種を発生させる化合物をいう。
なお、光重合開始剤を含有させる場合の含有量としては、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対し、0.2〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜15重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜、上述した化合物以外の添加剤を添加することができる。
このような添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、重合促進剤、重合禁止剤、赤外線吸収剤、可塑剤、希釈溶剤、およびレベリング剤等が挙げられる。
なお、このような添加剤の含有量は、一般に、(A)成分および(B)成分の合計量100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲内の値とすることが好ましく、0.02〜3重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜2重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
工程(b)は、図8(a)に示すように、準備した光拡散フィルム用組成物を、工程シート2に対して塗布して塗布層1を形成する工程である。
工程シートとしては、プラスチックフィルム、紙のいずれも使用することができる。
このうち、プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステル系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム、トリアセチルセルロースフィルム等のセルロース系フィルム、およびポリイミド系フィルム等が挙げられる。
また、紙としては、例えば、グラシン紙、コート紙、およびラミネート紙等が挙げられる。
また、後述する工程を考慮すると、工程シート2としては、熱や活性エネルギー線に対する寸法安定性に優れたフィルムであることが好ましい。
このようなフィルムとしては、上述したもののうち、ポリエステル系フィルム、ポリオレフィン系フィルムおよびポリイミド系フィルムが好ましく挙げられる。
かかる剥離層は、シリコーン系剥離剤、フッ素系剥離剤、アルキッド系剥離剤、オレフィン系剥離剤等、従来公知の剥離剤を用いて形成することができる。
なお、工程シートの厚さは、通常、25〜200μmの範囲内の値とすることが好ましい。
なお、このとき、塗布層の厚さを、100〜700μmの範囲内の値とすることが好ましい。
工程(c)は、塗布層に対して第1の活性エネルギー線照射を行い、塗布層の下方部分に第1の構造領域としての屈折率が異なる複数の板状領域がフィルム面に沿った任意の一方向に交互に配置してなるルーバー構造領域を形成するとともに、塗布層の上方部分にルーバー構造未形成領域を残す工程である。
すなわち、図8(b)に示すように、工程シート2の上に形成された塗布層1に対し、照射角度の制御された直接光のみからなる活性エネルギー線50を照射する。
より具体的には、例えば、図9(a)に示すように、線状の紫外線ランプ125に集光用のコールドミラー122が設けられた紫外線照射装置120(例えば、市販品であれば、アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX等)に、熱線カットフィルター121および遮光板123を配置することにより、照射角度の制御された直接光のみからなる活性エネルギー線50を取り出し、工程シート2の上に形成された塗布層1に対し、照射する。
なお、線状の紫外線ランプは、塗布層1を有する工程シート2の長手方向と直行する方向を基準(0°)として、通常−80〜80°の範囲内の値、好ましくは−50〜50°の範囲内の値、特に好ましくは−30〜30°の範囲内の値になるように設置される。
ここで、線状光源を用いる理由は、屈折率が異なる板状領域が交互に、かつ、膜厚方向に対して一定の傾斜角にて平行配置してなる第1の構造領域としてのルーバー構造領域を、効率的、かつ、安定的に製造することができるためである。
より具体的には、線状光源を用いることにより、線状光源の軸線方向から見た場合には実質的に平行光であり、線状光源の軸線方向とは垂直な方向から見た場合には非平行な光を照射することができる。
このとき、照射光の照射角度としては、図9(b)に示すように、塗布層1の表面に対する法線の角度を0°とした場合の照射角度θ3を、通常、−80〜80°の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、照射角度が−80〜80°の範囲外の値となると、塗布層1の表面での反射等の影響が大きくなって、十分なルーバー構造領域を形成することが困難になる場合があるためである。
また、照射角度θ3は、1〜80°の幅(照射角度幅)θ3´を有していることが好ましい。
この理由は、かかる照射角度幅θ3´が1°未満の値となると、ルーバー構造領域の間隔が狭くなり過ぎて、所望の第1の構造領域を得ることが困難になる場合があるためである。一方、かかる照射角度幅θ3´が80°を超えた値となると、照射光が分散し過ぎて、ルーバー構造領域を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、照射角度θ3の照射角度θ3´を2〜45°の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20°の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、電子線の場合、重合速度が非常に速いため、重合過程で(A)成分と(B)成分が十分に相分離できず、ルーバー構造領域を形成することが困難になる場合があるためである。一方、可視光等と比較した場合、紫外線の方が、その照射により硬化する紫外線硬化樹脂や、使用可能な光重合開始剤のバリエーションが豊富であることから、(A)成分および(B)成分の選択の幅を広げることができるためである。
また、紫外線の照射条件としては、塗布層表面におけるピーク照度を0.01〜50mW/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ピーク照度が0.01mW/cm2未満の値となると、ルーバー構造未形成領域を十分に形成することができるものの、ルーバー構造領域を明確に形成することが困難になる場合があるためである。一方、ピーク照度が50mW/cm2を超えた値となると、(A)成分および(B)成分の相分離が進む前に硬化してしまい、逆に、ルーバー構造領域を明確に形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、塗布層表面における紫外線のピーク照度を0.05〜20mW/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく。0.1〜10mW/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ここでいうピーク照度とは、塗布層表面に照射される活性エネルギー線が最大値を示す部分での測定値を意味する。
この理由は、かかる速度が0.1m/分未満の値となると、量産性が過度に低下する場合があるためである。一方、かかる速度が10m/分を超えた値となると、塗布層の硬化、言い換えれば、ルーバー構造領域の形成よりも速く、塗布層に対する紫外線の入射角度が変化してしまい、ルーバー構造領域の形成が不十分になる場合があるためである。
したがって、工程シート上に形成された塗布層を、0.2〜5m/分の範囲内の速度で移動させて、紫外線照射装置による紫外線照射部分を通過させることがより好ましく、0.5〜3m/分の範囲内の速度にて通過させることがさらに好ましい。
工程(d)は、塗布層に対して、さらに第2の活性エネルギー線照射を行い、ルーバー構造未形成領域に第2の構造領域としての、屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造領域を形成する工程であって、第2の活性エネルギー線照射として、塗布層に対し、線状光源からの照射光を、照射光平行化部材を介して照射する工程である。
すなわち、例えば、図10(a)〜(b)に示すように、線状光源125からの照射光50を、照射光平行化部材200(200a、200b)によって平行度の高い平行光60とし、これを工程シート2の上に形成された塗布層(10、10´)に対して照射する。
また、該平行光の照射に際しては、塗布層に直接照射しても良いが、露出している塗布層表面に剥離フィルムを積層して、剥離フィルム越しに照射することも好ましい。
このとき、剥離フィルムとしては、上述した工程シートとして記載されているもののうち、紫外線透過性を有するものを適宜選択することができる。
これに対し、カラム構造領域を形成するための第2の活性エネルギー線照射としての、照射光平行化部材を介して照射される線状光源による照射光は、発せられる光の方向が、いずれの方向から見た場合であっても広がりを持たない略平行な光、すなわち平行光である。
なお、図10(c)に示すように、照射光平行化部材200は、線状光源125による直接光のうち、光の向きがランダムとなる線状光源125の軸線方向と平行な方向において、例えば、板状部材210aや筒状部材210b等の遮光部材210を用いて光の向きを統一することにより、線状光源125による直接光を平行光に変換することができる。
より具体的には、線状光源125による直接光のうち、板状部材210aや筒状部材210b等の遮光部材210に対する平行度が低い光は、これらに接触し、吸収される。
したがって、板状部材210aや筒状部材210b等の遮光部材210に対する平行度が高い光、すなわち平行光のみが、照射光平行化部材200を通過することになり、結果として、線状光源125による直接光が、照射光平行化部材200により平行光に変換されることになる。
この理由は、このような照射光平行化部材200aであれば、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源125からの照射光を、容易に所定の平行度を有する平行光に変換することができるためである。
すなわち、複数の板状部材210aを単に平行配置することで、簡易に線状光源125による直接光を平行光に変換することができるためである。
この理由は、複数の板状部材210aにおける間隔L1をかかる範囲内の値とすることにより、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源125からの照射光を、より効率的に所定の平行度を有する平行光に変換することができるためである。
すなわち、複数の板状部材210aにおける間隔L1が1mm未満の値となると、板状部材210aの数が過度に多くなって、線状光源125からの照射光が塗布層(10、10´)にまで到達するのを阻害する場合があるためである。一方、複数の板状部材210aにおける間隔L1が100mmを超えた値となると、線状光源125からの照射光の進行方向を統一する作用が過度に低下して、所定の平行度を有する平行光への変換が困難になる場合があるためである。
したがって、複数の板状部材210aにおける間隔L1を5〜75mmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜50mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、図11(a)は、図10(a)に示す照射光平行化部材200aをフィルム上方から眺めた上面図(平面図)である。
なお、線状光源125の軸線方向における直径は、通常、5〜100mmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、板状部材210aの厚さについても、特に制限されるものではなく、通常、0.1〜5mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜2mmの範囲内の値とすることがより好ましい。
さらに、板状部材210aの材料物質についても、板状部材210aに対する平行度の低い光を吸収できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、耐熱黒塗装を施したアルスター鋼板等を用いることができる。
さらには、図11(a)に示すように、フィルム上方から眺めた場合に、板状部材210aが、線状光源125の軸線方向と直交する向き、すなわち、θ4=90°となる向きに照射光平行化部材200aを配置することがより好ましい。
この理由は、照射光平行化部材200aをこのように配置することにより、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源125からの照射光を、さらに効率的に所定の平行度を有する平行光に変換することができるためである。
すなわち、照射光平行化部材200aをこのように配置することにより、線状光源125による直接光のうち、光の向きがランダムとなる線状光源125の軸線方向と平行な方向において、より効率的に光の向きを統一することができるためである。
この理由は、このような照射光平行化部材200bであれば、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源125からの照射光を、より容易に所定の平行度を有する平行光に変換することができるためである。
すなわち、線状光源125による照射光の進行方向は、線状光源125の軸線方向と垂直は方向においては、基本的に略平行に統一されているが、多少の広がりを有する場合もある。
この点、このような照射光平行化部材200bであれば、線状光源125の軸線方向と垂直な方向においても、光の向きを統一することができることから、線状光源125による直接光を、より平行度の高い平行光に変換することができるためである。
この理由は、筒状部材210bにおける最大径L3をかかる範囲内の値とすることにより、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源125からの照射光を、より効率的に所定の平行度を有する平行光に変換することができるためである。
すなわち、筒状部材210bにおける最大径L3が1mm未満の値となると、筒状部材210bの数が過度に多くなって、線状光源125からの照射光が塗布層(10、10´)にまで到達するのを阻害する場合があるためである。一方、筒状部材210bにおける最大径L3が100mmを超えた値となると、線状光源125からの照射光の進行方向を統一する作用が過度に低下して、所定の平行度を有する平行光への変換が困難になる場合があるためである。
したがって、筒状部材210bにおける最大径L3を5〜75mmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜50mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、図12(a)は、図10(b)に示す照射光平行化部材200bをフィルム上方から眺めた上面図(平面図)である。
また、図12(a)は、照射光平行化部材200bをフィルム上方から眺めた場合に、筒状部材210bの開口部の平面形状が四角形の場合(210b´)を示している。
一方、図12(b)〜(d)は、照射光平行化部材200bをフィルム上方から眺めた場合に、筒状部材210bの開口部の平面形状が、それぞれ六角形、三角形、および円形の場合(210b´´、210b´´´、210b´´´´)を示している。
なお、筒状部材210bの開口部の平面形状について、平行光への変換性能に方位角方向において差が生じないという観点からは図12(d)に示すような円形が望ましいが、開口率が低下するという問題が生じる場合がある。
このため、平行光への変換性能に方位角方向における差が小さく、かつ、開口率を大きくできる図12(b)に示すような六角形とすることが最も好ましい。
また、筒状部材210bにおける筒状部分の隔壁の厚さについても、特に制限されるものではなく、通常、0.1〜5mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜2mmの範囲内の値とすることがより好ましい。
さらに、筒状部材210bの材料物質についても、特に制限されるものではなく、例えば、耐熱黒塗装を施したアルスター鋼板等を用いることができる。
この理由は、かかる照射光平行化部材の上端から下端までの長さL5を10〜1000mmの範囲内の値とすることにより、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源125からの照射光を、さらに効率的に所定の平行度を有する平行光に変換することができるためである。
すなわち、かかる長さL5が10mm未満の値となると、線状光源125からの照射光が、照射光平行化部材200の内部をそのまま透過し易くなり、線状光源125からの照射光の進行方向を統一する作用が過度に低下して、所定の平行度を有する平行光への変換が困難になる場合があるためである。一方、かかる長さL5が1000mmを超えた値となると、線状光源125と、塗布層(10、10´)との距離が過度に大きくなって、塗布層(10、10´)の表面において、十分な照度を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、照射光平行化部材の上端から下端までの長さL5を20〜750mmの範囲内の値とすることがより好ましく、50〜500mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、図11(b)は、図10(a)に示す照射光平行化部材200aを、線状光源125の軸線方向から眺めた側面図である。
この理由は、かかる距離L6を0〜1000mmの範囲内の値とすることにより、第2の活性エネルギー線照射において、線状光源125からの照射光を、より一段と効率的に所定の平行度を有する平行光に変換することができるためである。
すなわち、かかる距離L6が1000mmを超えた値となると、線状光源125の軸線方向と平行な方向における照射光の広がりが過度に大きくなって、照射光平行化部材200を介した場合であっても、所定の平行光を得ることが困難になる場合があるためである。
また、線状光源125と、塗布層(10、10´)との距離が過度に大きくなって、塗布層(10、10´)の表面において、十分な照度を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、かかる距離L6が過度に小さな値となると、板状部材が線状光源からの熱エネルギーを過度に吸収しやすくなり、熱による照射光平行化部材の劣化を防止するための対策が必要になる場合がある。
したがって、照射光平行化部材200の上端と、線状光源125の下端と、の間の距離L6を0.1〜500mmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜100mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、かかる距離L7を0〜1000mmの範囲内の値とすることにより、第2の活性エネルギー線照射において、所定の平行度を有する平行光を、塗布層(10、10´)に対してより効率的に照射することができるためである。
すなわち、かかる距離L7が1000mmを超えた値となると、所定の平行度にまで統一した照射光であっても、塗布層(10、10´)に到達するまでに過度に広がってしまう場合があるためである。
また、線状光源125と、塗布層(10、10´)との距離が過度に大きくなって、塗布層(10、10´)の表面において、十分な照度を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、かかる距離L7が過度に小さな値となると、照射時のわずかな振動により照射光平行化部材の下端と塗布層の表面とが接触してしまう場合がある。
したがって、照射光平行化部材200下端と、塗布層(10、10´)の表面と、の間の距離L7を0.1〜500mmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜100mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
照射光の平行度をかかる範囲内の値とすることにより、複数の柱状物が膜厚方向に対して一定の傾斜角にて林立してなる第2の構造領域としてのカラム構造領域を、効率的、かつ、安定的に形成することができる。
かかる平行度が10°を超えた値となると、カラム構造領域を形成することができない場合がある。
したがって、照射光平行化部材は、照射光の平行度を5°以下の値とする部材であることがより好ましく、2°以下の値とする部材であることがさらに好ましい。
また、紫外線の照射条件としては、塗布層表面におけるピーク照度を0.01〜30mW/cm2の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ピーク照度が0.01mW/cm2未満の値となると、カラム構造領域を明確に形成することが困難になる場合があるためである。一方、ピーク照度が30mW/cm2を超えた値となると、(A)成分および(B)成分の相分離が進む前に硬化してしまい、逆に、カラム構造領域を明確に形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、塗布層表面における紫外線のピーク照度を0.05〜20mW/cm2の範囲内の値とすることがより好ましく。0.1〜10mW/cm2の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、塗布層の移動速度や照射光の照射角度については、第1の活性エネルギー線照射工程と同様とすることができる。
また、塗布層が十分に硬化する積算光量となるように、第1および第2の活性エネルギー線照射とは別に、さらに活性エネルギー線を照射することも好ましい。
このときの活性エネルギー線は、塗布層を十分に硬化させることを目的とするものであるため、平行光等ではなく、進行方向がランダムな光とすることが好ましい。
また、光硬化工程後の光拡散フィルムは、工程シートを剥離することによって、最終的に使用可能な状態となる。
(1)第1の構造領域
本発明の製造方法により得られる光拡散フィルムは、入射光を異方性光拡散させるための第1の構造領域として、屈折率が異なる複数の板状領域、すなわち、屈折率が相対的に高い板状領域(高屈折率部)および屈折率が相対的に低い板状領域(低屈折率部)が、フィルム面に沿った任意の一方向に交互に平行配置してなるルーバー構造領域を有することを特徴とする。
以下、第1の構造領域について具体的に説明する。
第1の構造領域において、屈折率が異なる板状領域間の屈折率の差、すなわち、高屈折率部の屈折率と、低屈折率部の屈折率との差を0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差を0.01以上の値とすることにより、第1の構造領域としてのルーバー構造領域内において入射光を安定的に反射させて、第1の構造領域に由来した入射角度依存性および拡散光の開き角度をより向上させることができるためである。
より具体的には、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光がルーバー構造内で全反射する角度域が狭くなることから、入射角度依存性が過度に低下したり、拡散光の開き角度が過度に狭くなったりする場合があるためである。
したがって、第1の構造領域における屈折率が異なる板状領域間の屈折率の差を0.05以上の値とすることがより好ましく、0.1以上の値であることがさらに好ましい。
なお、高屈折率部の屈折率と、低屈折率部の屈折率との差は大きい程好ましいが、ルーバー構造領域を形成可能な材料を選定する観点から、0.3程度が上限であると考えられる。
この理由は、高屈折率部の屈折率が1.5未満の値となると、低屈折率部との差が小さくなり過ぎて、所望のルーバー構造領域を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、高屈折率部の屈折率が1.7を超えた値となると、光拡散フィルム用組成物における材料物質間の相溶性が過度に低くなる場合があるためである。
したがって、第1の構造領域における高屈折率部の屈折率を1.52〜1.65の範囲内の値とすることがより好ましく、1.55〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、高屈折率部の屈折率は、JIS K0062に準じて測定することができる。
この理由は、かかる低屈折率部の屈折率が1.4未満の値となると、得られる光拡散フィルムの剛性を低下させる場合があるためである。
一方、かかる低屈折率部の屈折率が1.5を超えた値となると、高屈折率部の屈折率との差が小さくなり過ぎて、所望のルーバー構造領域を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、第1の構造領域における低屈折率部の屈折率を1.42〜1.48の範囲内の値とすることがより好ましく、1.44〜1.46の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、低屈折率部における屈折率は、例えば、JIS K0062に準じて測定することができる。
また、図13(a)〜(b)に示すように、第1の構造領域において、屈折率が異なる高屈折率部12および低屈折率部14の幅(Sa、Sb)を、それぞれ0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、これらの板状領域の幅を0.1〜15μmの範囲内の値とすることにより、第1の構造領域としてのルーバー構造領域内において入射光をより安定的に反射させて、第1の構造領域に由来した入射角度依存性および拡散光の開き角度をさらに向上させることができるためである。
すなわち、かかる板状領域の幅が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度にかかわらず、光拡散性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、かかる幅が15μmを超えた値となると、ルーバー構造領域内を直進する光が増加し、光拡散の均一性が悪化する場合があるためである。
したがって、第1の構造領域において、屈折率が異なる板状領域の幅を、それぞれ0.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ルーバー構造領域を構成する板状領域の幅や長さ等は、光学デジタル顕微鏡にて観察することにより算出することができる。
また、図13(a)〜(b)に示すように、第1の構造領域において、屈折率が異なる高屈折率部12および低屈折率部14の厚さ(長さ)Laを、それぞれ5〜495μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる厚さが5μm未満の値となると、ルーバー構造領域の厚さが不足して、ルーバー構造領域内を直進してしまう入射光が増加し、十分な入射角度依存性および拡散光の開き角度を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、かかる厚さが495μmを超えた値となると、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射してルーバー構造領域を形成する際に、初期に形成されたルーバー構造領域によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望のルーバー構造領域を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、第1の構造領域において、かかる屈折率が異なる板状領域の厚さを、それぞれ40〜310μmの範囲内の値とすることがより好ましく、95〜255μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、図13(b)に示すように、ルーバー構造領域は、第1の構造領域において膜厚方向における上下端部分にまでは形成されていなくてもよい。
すなわち、ルーバー構造領域が形成されない上下端部分の幅Lbは、第1の構造領域の厚さにもよるが、一般に、0〜100μmの範囲内の値であることが好ましく、0〜50μmの範囲内の値であることがより好ましく、0〜5μmの範囲内の値であることがさらに好ましい。
また、図13(a)〜(b)に示すように、第1の構造領域において、屈折率が異なる高屈折率部12および低屈折率部14が、膜厚方向に対して一定の傾斜角θaにて延在してなることが好ましい。
この理由は、板状領域の傾斜角を一定とすることにより、第1の構造領域としてのルーバー構造領域内において入射光をより安定的に反射させて、第1の構造領域に由来した入射角度依存性および拡散光の開き角度をさらに向上させることができるためである。
また、図13(c)に示すように、ルーバー構造領域が屈曲していることも好ましい。
この理由は、ルーバー構造領域が屈曲していることにより、ルーバー構造領域内を直進してしまう入射光を減少させて、光拡散の均一性を向上させることができるためである。
また、θaはフィルム面に沿った任意の一方向に沿って延びるルーバー構造領域に対して垂直な面でフィルムを切断した場合の断面において測定されるフィルム表面の法線に対する角度を0°とした場合の板状領域の傾斜角(°)を意味する。
より具体的には、図13に示す通り、入射光照射側のフィルム面の法線と板状領域との為す角度のうち狭い側の角度を意味する。なお、図8(a)に示すとおりルーバーが右側に傾いているときの傾斜角を基準とし、ルーバーが左側に傾いているときの傾斜角をマイナスで表記する。
本発明の光拡散フィルムは、入射光を等方性光拡散させるための第2の構造領域として、屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立してなるカラム構造領域を有することを特徴とする。
以下、第2の構造領域について、具体的に説明する。
第2の構造領域において、柱状物の屈折率と、屈折率が比較的低い領域の屈折率との差を0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる屈折率の差を0.01以上の値とすることにより、第2の構造領域としてのカラム構造領域内において入射光を安定的に反射させて、第2の構造領域に由来した入射角度依存性および拡散光の開き角度をより向上させることができるためである。
すなわち、かかる屈折率の差が0.01未満の値となると、入射光がカラム構造領域内で全反射する角度域が狭くなることから、入射角度依存性が過度に低下したり、拡散光の開き角度が過度に狭くなったりする場合があるためである。
したがって、第2の構造領域における柱状物の屈折率と、媒体物の屈折率との差を0.05以上の値とすることがより好ましく、0.1以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、屈折率の差は大きい程好ましいが、カラム構造領域を形成可能な材料を選定する観点から、0.3程度が上限であると考えられる。
また、図14(a)に示すように、第2の構造領域において、柱状物の断面における最大径Scを0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる最大径を0.1〜15μmの範囲内の値とすることにより、第2の構造領域としてのカラム構造領域内において入射光をより安定的に反射させて、第2の構造領域に由来した入射角度依存性および拡散光の開き角度をさらに向上させることができるためである。
すなわち、かかる最大径が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度にかかわらず、光拡散性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、かかる最大径が15μmを超えた値となると、カラム構造領域内を直進する光が増加し、光拡散の均一性が悪化する場合があるためである。
したがって、第2の構造領域において、柱状物の断面における最大径を0.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、柱状物の断面形状については、特に限定されるものではないが、例えば、円、楕円、多角形、異形等とすることが好ましい。
また、柱状物の断面とは、フィルム表面と平行な面によって切断された断面を意味する。
なお、柱状物の最大径や長さ等は、光学デジタル顕微鏡にて観察することにより算出することができる。
また、第2の構造領域において、柱状物の厚さ(長さ)Lcを5〜495μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる厚さが5μm未満の値となると、柱状物の厚さが不足して、カラム構造領域内を直進してしまう入射光が増加し、十分な入射角度依存性および拡散光の開き角度を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、かかる厚さが495μmを超えた値となると、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射してカラム構造領域を形成する際に、初期に形成されたカラム構造領域によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望のカラム構造領域を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、第2の構造領域において、柱状物の厚さを40〜310μmの範囲内の値とすることがより好ましく、95〜255μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、図14(c)に示すように、カラム構造領域は、第2の構造領域において膜厚方向における上下端部分にまで形成されていなくてもよい。
すなわち、カラム構造領域が形成されない上下端部分の幅Ldは、第2の構造領域の厚さにもよるが、一般に、0〜50μmの範囲内の値であることが好ましく、0〜5μmの範囲内の値であることがさらに好ましい。
また、図14(a)に示すように、第2の構造領域において、柱状物間における距離、すなわち、隣接する柱状物におけるスペースPを0.1〜15μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる距離を0.1〜15μmの範囲内の値とすることにより、第2の構造領域としてのカラム構造領域内において入射光をより安定的に反射させて、第2の構造領域に由来した入射角度依存性および拡散光の開き角度をさらに向上させることができるためである。
すなわち、かかる距離が0.1μm未満の値となると、入射光の入射角度にかかわらず、光拡散性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、かかる距離が15μmを超えた値となると、カラム構造内を直進する光が増加し、光拡散の均一性が悪化する場合があるためである。
したがって、第2の構造領域において、柱状物間における距離を0.5〜10μmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜5μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、図14(b)〜(c)に示すように、第2の構造領域において、柱状物22が膜厚方向に対して一定の傾斜角θbにて林立してなることが好ましい。
この理由は、柱状物の傾斜角を一定とすることにより、第2の構造領域としてのカラム構造領域内において入射光をより安定的に反射させて、第2の構造領域に由来した入射角度依存性および拡散光の開き角度をさらに向上させることができるためである。
また、図14(d)に示すように、柱状物が屈曲していることも好ましい。
この理由は、柱状物が屈曲していることにより、カラム構造領域内を直進してしまう入射光を減少させて、光拡散の均一性を向上させることができるためである。
なお、このような屈曲した柱状物は、第2の実施形態において記載する第2の活性エネルギー線照射を行う際に、照射光の照射角度を変化させながら光を照射することによって得ることができるが、カラム構造領域を形成する材料物質の種類にも大きく依存する。
また、θbはフィルム面に垂直な面であって、1本の柱状物全体を軸線に沿って2つに切断する面によってフィルムを切断した場合の断面において測定されるフィルム表面に対する法線の角度を0°とした場合の柱状物の傾斜角(°)(該法線と柱状物の為す角度のうち狭い側の角度)を意味する。なお、図14(b)に示すとおりカラムが右側に傾いているときの傾斜角を基準とし、カラムが左側に傾いているときの傾斜角をマイナスで表記する。
また、本発明の光拡散フィルムの総膜厚を50〜500μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、光拡散フィルムの総膜厚が50μm未満の値となると、カラム構造領域およびルーバー構造領域内を直進する光が増加し、光拡散性を示すことが困難になる場合があるためである。一方、光拡散フィルムの総膜厚が500μmを超えた値となると、光拡散フィルム用組成物に対して活性エネルギー線を照射してカラム構造領域およびルーバー構造領域を形成する際に、初期に形成されたカラム構造領域およびルーバー構造領域によって光重合の進行方向が拡散してしまい、所望のカラム構造領域およびルーバー構造領域を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、光拡散フィルムの総膜厚を80〜350μmの範囲内の値とすることがより好ましく、100〜260μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、第1の構造領域と、第2の構造領域は、光拡散フィルムの膜厚方向に沿って順次に、上下方向に設けてあれば良く、その順番や数については特に制限されるものではない。
また、本発明の光拡散フィルムであれば、第1の構造領域における膜厚方向に対する板状領域の傾斜角度θaと、第2の構造領域における膜厚方向に対する柱状物の傾斜角度θbとを、それぞれ調節することにより、その光拡散特性を変化させることができる。
例えば、それぞれの構造領域が有する入射角度依存性を重複させることで、光拡散特性のばらつきを抑制、良好な入射角度依存性を得ることができるばかりか、拡散光の開き角度についても、効果的に広げることができる。
この場合、第1の構造領域において、膜厚方向に対する板状領域の傾斜角度θaを−80〜80°の範囲内の値とするとともに、第2の構造領域において、膜厚方向に対する柱状物の傾斜角度θbを−80〜80°の範囲内の値とし、かつ、θa−θbの絶対値を0〜80°の範囲内の値とすることが好ましく、θa−θbの絶対値を5〜20°の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、ここでのθaおよびθbの内容は、既に説明した通りである。
この場合、第1の構造領域において、膜厚方向に対する板状領域の傾斜角度θaを−80〜80°の範囲内の値とするとともに、第2の構造領域において、膜厚方向に対する柱状物の傾斜角度θbを−80〜80°の範囲内の値とし、かつθa−θbの絶対値を5〜60°の範囲内の値とすることが好ましく、θa−θbの絶対値を20〜45°の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、図15に示すように、本発明の製造方法により得られる光拡散フィルムを、反射型液晶表示装置100に用いることが好ましい。
この理由は、本発明の製造方法により得られる光拡散フィルムであれば、外光を集光し効率的に透過させて液晶表示装置の内部に取り込み、かつ、その光を光源として利用できるように、効率的に拡散させることができるためである。
したがって、本発明の光拡散フィルムは、ガラス板(104、108)および液晶106、並びに、鏡面反射板107等からなる液晶セル110の上面、あるいは下面に配置して、反射型液晶表示装置100における光拡散板103として使用することが好ましい。
なお、本発明の光拡散フィルムは、偏光板101や位相差板102に提供することで、広視野角偏光板や広視野位相差板を得ることもできる。
1.(B)成分の合成
容器内に、(B2)成分としての重量平均分子量9,200のポリプロピレングリコール(PPG)1モルに対して、(B1)成分としてのイソホロンジイソシアナート(IPDI)2モル、および(B3)成分としての2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)2モルを収容した後、常法に従って反応させ、重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレートを得た。
・GPC測定装置:東ソー(株)製、HLC−8020
・GPCカラム :東ソー(株)製(以下、通過順に記載)
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒 :テトラヒドロフラン
・測定温度 :40℃
次いで、得られた(B)成分としての重量平均分子量9,900のポリエーテルウレタンメタクリレート100重量部に対し、(A)成分としての下記式(3)で表わされる重量平均分子量268のo−フェニルフェノキシエトキシエチルアクリレート(新中村化学(株)製、NKエステル A−LEN−10)100重量部と、(C)成分としての2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン10重量部とを添加した後、80℃の条件下にて加熱混合を行い、光拡散フィルム用組成物を得た。なお、(A)成分及び(B)成分の屈折率は、アッベ屈折計[アタゴ社製、品名「アッベ屈折計DR−M2」、Na光源、波長:589nm]によりJIS K0062に準じて測定したところ、それぞれ1.58および1.46であった。
次いで、得られた異方性光拡散フィルム用組成物を、工程シートとしてのフィルム状の透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETと称する。)に対して塗布し、膜厚200μmの塗布層を得た。
(1)第1の紫外線照射
次いで、図9(a)に示すような線状の高圧水銀ランプ(直径25mm)に集光用のコールドミラーが付属した紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX)を準備した。
次いで、熱線カットフィルター枠上に遮光板を設置し、塗布層の表面に照射される紫外線が、線状の紫外線ランプの長手方向から見たときの塗布層およびPETからなる積層体の法線方向を0°とした場合に、ランプからの直接の紫外線の照射角度(図9(b)のθ3)が−35°となるように設定した。
このとき、塗布層からのランプの高さは500mmとし、ピーク照度は1.7mW/cm2となるように設定した。
また、遮光板等での反射光が、照射装置内部で迷光となり、塗布層の光硬化に影響を及ぼすことを防ぐため、コンベア付近にも遮光板を設け、ランプから直接発せられる紫外線のみが塗布層に対して照射されるように設定した。
次いで、コンベアにより、塗布層を図9(a)における右方向に、0.2m/分の速度にて移動させながら紫外線を照射した。
次いで、第1の紫外線照射工程を経た後、塗布層の露出面側を厚さ38μmの紫外線透過性を有する剥離フィルム(リンテック(株)製、SP−PET382050)によりラミネートした。
次いで、図9(a)に示すような線状の高圧水銀ランプ(直径25mm)に集光用のコールドミラーが付属した紫外線照射装置(アイグラフィックス(株)製、ECS−4011GX)を準備した。
次いで、線状の紫外線ランプと、塗布層との間に、図10(a)に示すような、複数の板状部材がそれぞれ平行配置してなる照射光平行化部材を配置した。
このとき、フィルム上方から眺めた場合に、板状部材が、線状の紫外線ランプの軸線方向と直交する向き、すなわち、図11(a)におけるθ4=90°となる向きに照射光平行化部材を配置した。
次いで、照射光平行化部材を介して線状の紫外線ランプから紫外線を照射することにより、平行度が2°以下の平行光を、照射角(図9(b)のθ3)がほぼ0°となるように剥離フィルム越しに塗布層に照射させ、その結果、総膜厚195μmの光拡散フィルムが得られた。
その際のピーク照度は1.84mW/cm2、ランプ高さは500mmとし、塗布層の移動速度は1m/分とした。
なお、光拡散フィルムの膜厚は、定圧厚さ測定器(宝製作所(株)製、テクロック PG−02J)を用いて測定した。
さらに、照射光平行化部材の上端から下端までの長さ(図11(b)におけるL5)は200mm、照射光平行化部材の上端と、線状の紫外線ランプの下端と、の間の距離(図11(b)におけるL6)は200mm、照射光平行化部材の下端と、塗布層の表面と、の間の距離(図11(b)におけるL7は100mmであった。
なお、図16に、ルーバー構造における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面の模式図を示す。
また、第1の構造領域の膜厚は120μmであり、第2の構造領域の膜厚は75μmであった。
さらに、得られた光拡散フィルムの断面写真を、図17(a)〜(b)に示す。図17(a)は、ルーバー構造における板状領域に垂直な面でフィルムを切断した場合の断面写真であり、図17(b)は、図17(a)における切断面に対して垂直な面でフィルムを切断した場合の断面写真である。
また、図17(a)および(b)から、後述する参考例に示すような平行度の高い紫外線スポット光源の代わりに、線状の高圧水銀ランプと、複数の板状部材がそれぞれ平行配置してなる照射光平行化部材を用いた場合であっても、参考例と同様にルーバー構造領域およびカラム構造領域の積層構造が得られることが分かる。
なお、データは示さないものの、参考例1において後述するように、実施例1においても変角測色計(スガ試験機(株)製、VC−2)を用いて光拡散フィルムの光拡散特性を測定した。
その結果、入射光の入射角θ1=−20°前後では、光の拡散が生じにくくなるものの、入射角θ1=−10〜0°の範囲では、カラム構造領域による等方性光拡散が生じ、入射角θ1=−60〜−30°の範囲では、ルーバー構造領域による異方性光拡散が生じており、二つの構造領域による光拡散入射角度依存性をずらすことにより、光拡散入射角度領域を有効に拡大できていることが確認された。
実施例2では、照射光平行化部材を、図10(b)に示すような、複数の筒状部材の集合体としての照射光平行化部材に変えるとともに、塗布層の移動速度を0.5m/分に変え、塗布層表面のピーク照度を1.22mW/cm2としたほかは、実施例1と同様にして、ルーバー構造の傾斜角が−23°であり、柱状物の傾斜角が3°である光拡散フィルムを得た。
なお、図18に、ルーバー構造における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面の模式図を示す。
また、第1の構造領域の膜厚は120μmであり、第2の構造領域の膜厚は75μmであった。
このとき、照射光平行化部材における筒状部材の開口部の平面形状は六角形であり、筒状部材の最大径(図12(b)におけるL3´´)は10mm、複数の筒状部材の集合体の幅(図12(a)におけるL4)は30mm、筒状部材における筒状部分の隔壁の厚さは0.2mmであり、材料は耐熱黒塗装を施したアルスター鋼材であった。
また、図19(a)および(b)から、後述する参考例に示すような平行度の高い紫外線スポット光源の代わりに、線状の高圧水銀ランプと、複数の筒状部材がそれぞれ集合配置してなる照射光平行化部材と、からなる、所謂、擬似平行光源を用いた場合であっても、参考例と同様にルーバー構造領域およびカラム構造領域の積層構造が得られることが分かる。
なお、データは示さないものの、参考例1において後述するように、実施例2においても変角測色計を用いて光拡散フィルムの光拡散特性を測定した。
その結果、入射光の入射角θ1=−20°前後では、光の拡散が生じにくくなるものの、入射角θ1=−10〜0°の範囲では、カラム構造領域による等方性光拡散が生じ、入射角θ1=−60〜−30°の範囲では、ルーバー構造領域による異方性光拡散が生じており、二つの構造領域による光拡散入射角度依存性をずらすことにより、光拡散入射角度領域を有効に拡大できていることが確認された。
1.光拡散フィルムの製造
参考例1では、第1の紫外線照射のθ3を−40°に変更するとともに、第2の紫外線照射を以下の様に実施した以外は実施例1と同様にして光拡散フィルムを得た。
すなわち、紫外線スポット光源(山下電装(株)製、HYPERCURE 200)にオプションの均一露光アダプタを取り付けることによって平行度を2°以下とした装置を用い、平行光の入射角(図9のθ3)が40°となるように剥離フィルム越しに照射することで、総膜厚195μmの光拡散フィルムを得た。
その際のピーク照度は5mW/cm2、ランプ高さは800mmとし、塗布層の移動速度は0.5m/分とした。
なお、図20(a)に、ルーバー構造における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面の模式図を示す。
また、第1の構造領域の膜厚は120μmであり、第2の構造領域の膜厚は75μmであった。
さらに、得られた光拡散フィルムの断面写真を、図21(a)〜(b)に示す。図21(a)は、ルーバー構造における板状領域に垂直な面でフィルムを切断した場合の断面写真であり、図21(b)は、図21(a)における切断面に対して垂直な面でフィルムを切断した場合の断面写真である。
変角測色計を用いて、図20(a)に示すように、得られた光拡散フィルムの上方より、当該フィルムに対して、入射角θ1=60°にて、光を入射させた(C光源、視野角2°)。
次いで、光拡散フィルムにより拡散された拡散光の広がりと、その明度(%)の分布を測定した。かかる測定結果は、図20(c)に示す散布図の縦軸の値が0°の横軸上に示されている。
すなわち、横軸の値が拡散光の広がり角度(°)の範囲を示し、プロットの色がその角度に拡散された拡散光の明度(%)を示す。
ここで、プロットの色と、明度(%)との関係は、プロットの色が赤に近い程、明度が100%に近いことを示し、プロットの色が緑に近い程、明度が50%に近いことを示し、プロットの色が紺色に近い程、明度が0%に近いことを示す。なお、詳細については図20(b)に示す。
また、さらに、入射光の幅方向における拡散光の広がりと、その明度(%)の分布についても測定すべく、光拡散フィルムの面上における所定の一点を中心として、光拡散フィルムを同一平面内において−80〜80°の範囲で回転させつつ、同様の測定を行った。
なお、かかる回転の角度は、上述した測定時における光拡散フィルムの角度を0°とした場合の回転の角度を意味する。例えば、光拡散フィルムを20°回転させた場合の測定結果は、図20(c)に示す散布図の縦軸の値が20°の横軸上に示されることになる。
したがって、図20(c)に示す散布図の場合、例えば、明度が30%以上の拡散光が分布する領域は、図20(c)における点線で囲まれた領域となる。
図20(c)〜(k)に示すように、参考例1の光拡散フィルムでは、入射光の入射角θ1=0°前後の範囲では、光の拡散が生じにくくなるものの、入射角θ1=30〜60°の範囲では、カラム構造領域による等方性光拡散が生じていた。
また、入射角θ1=−60〜−30°の範囲では、ルーバー構造領域による異方性光拡散が生じていた。
したがって、二つの構造領域による光拡散入射角度依存性をずらすことにより、光拡散入射角度領域を有効に拡大できていることが分かる。
参考例2では、塗布層を硬化させる際に、第1の紫外線照射のθ3を40°に変更した以外は、参考例1と同様にして、ルーバー構造の傾斜角が27°、柱状物の傾斜角が27°である光拡散フィルムを得た。
なお、図22に、ルーバー構造における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面の模式図を示す。
また、光拡散フィルムに対する入射角θ1を、それぞれ25°、35°、45°、55°としたほかは、参考例1と同様に拡散光の広がりと、その明度(%)の分布について測定した。
その結果、参考例2の光拡散フィルムでは、ルーバー構造領域およびカラム構造領域における光拡散入射角度依存性がほぼ重なっているため、光拡散入射角度領域が、入射角θ1=25〜55°の範囲という比較的狭い範囲となった。
しかしながら、参考例2の光拡散フィルムは、後述する比較例1および2と比較して拡散光の均一性が高く、比較例3および4と比較して入射光の幅方向における拡散光の広がりが大きいことが確認された。
参考例3では、第1の紫外線照射のθ3を40°に変更し、第2の紫外線照射の平行光の入射角を0°に変更した以外は、参考例1と同様にして、ルーバー構造の傾斜角が27°、柱状物の傾斜角が0°の光拡散フィルムを得た。
なお、図23(a)に、ルーバー構造における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面の模式図を示す。
また、図23(b)〜(h)に示すように、光拡散フィルムに対する入射角θ1を、それぞれ0°、10°、20°、30°、40°、50°、60°としたほかは、参考例1と同様に拡散光の広がりと、その明度(%)の分布について測定した。
その結果、図23(b)〜(h)に示されているように、参考例3の光拡散フィルムでは、入射光の入射角θ1=20°前後では、光の拡散が生じにくくなるものの、入射角θ1=0〜10°の範囲では、カラム構造領域による等方性光拡散が生じ、入射角θ1=30〜60°の範囲では、ルーバー構造領域による異方性光拡散が生じており、二つの構造領域による光拡散入射角度依存性をずらすことにより、光拡散入射角度領域を有効に拡大できていることが分かる。
参考例4では、第1の紫外線照射のθ3を40°に変更し、第2の紫外線照射の平行光の入射角を20°に変更した以外は、参考例1と同様にして、ルーバー構造の傾斜角が27°、柱状物の傾斜角が14°の光拡散フィルムを得た。
なお、図24(a)に、ルーバー構造における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面の模式図を示す。
また、図24(b)〜(g)に示すように、光拡散フィルムに対する入射角θ1を、それぞれ5°、15°、25°、35°、45°、55°としたほかは、参考例1と同様に拡散光の広がりと、その明度(%)の分布について測定した。
その結果、図24(b)〜(g)に示されているように、参考例4の光拡散フィルムでは、入射光の入射角θ1=5〜25°の範囲では、カラム構造領域による等方性光拡散が生じ、入射角θ1=25〜55°の範囲では、ルーバー構造領域による異方性光拡散が生じており、二つの構造領域による光拡散入射角度依存性をずらしつつも一部重複させることにより、光拡散入射角度領域を有効に拡大できていることが分かる。
比較例1では、ルーバー構造領域を形成するための第1の紫外線照射を行わず、カラム構造領域を形成するための第2の紫外線照射の平行光の入射角を0°に変更した以外は、参考例1と同様にして、第1の構造領域および第2の構造領域に相当する領域全体に傾斜角が0°のカラム構造のみを有する光拡散フィルムを得た。
なお、図25(a)に、ルーバー構造における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面の模式図を示す。
また、図25(b)〜(j)に示すように、光拡散フィルムに対する入射角θ1を、それぞれ20°、15°、10°、5°、0°、−5°、−10°、−15°、−20°としたほかは、参考例1と同様に拡散光の広がりと、その明度(%)の分布について測定した。
その結果、図25(b)〜(j)に示されているように、比較例1の光拡散フィルムでは、カラム構造のみを有するため、光拡散入射角度領域が、θ1=−15〜15°の範囲という比較的狭い範囲となった。
また、拡散光の中心部が、その他の部分と比較して特に明度が高く、拡散光の均一性が低いことが分かる。
比較例2では、ルーバー構造領域を形成するための第1の紫外線照射を行わず、カラム構造領域を形成するための第2の紫外線照射の平行光の入射角を40°に変更した以外は、参考例1と同様にして、第1の構造領域および第2の構造領域に相当する領域全体に傾斜角が27°のカラム構造のみを有する光拡散フィルムを得た。
なお、図26(a)に、ルーバー構造における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面の模式図を示す。
また、図26(b)〜(k)に示すように、光拡散フィルムに対する入射角θ1を、それぞれ15°、20°、25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°としたほかは、参考例1と同様に拡散光の広がりと、その明度(%)の分布について測定した。
その結果、図26(b)〜(k)に示されているように、比較例2の光拡散フィルムは、カラム構造のみを有するため、光拡散入射角度領域が、θ1=25〜60°の範囲という比較的狭い範囲となった。
また、拡散光の中心部が、その他の部分と比較して特に明度が高く、拡散光の均一性が低いことが分かる。
比較例3では、第1の紫外線照射のθ3を0°に変更し、第2の紫外線照射として、ピーク照度13.7mW/cm2、積算光量213.6mJ/cm2の散乱光を照射した以外は、参考例1と同様にして、第1の構造領域としての傾斜角が0°のルーバー構造領域と、その上方にルーバー構造未形成領域とを有する光拡散フィルムを得た。
なお、図27(a)に、ルーバー構造における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面の模式図を示す。
また、図27(b)〜(h)に示すように、光拡散フィルムに対する入射角θ1を、それぞれ20°、15°、10°、5°、0°、−5°、−10°としたほかは、参考例1と同様に拡散光の広がりと、その明度(%)の分布について測定した。
その結果、図27(b)〜(h)に示されているように、比較例3の光拡散フィルムは、ルーバー構造のみを有するため、光拡散角度領域が、θ1=−5〜15の範囲という比較的狭い範囲となった。
また、拡散光の異方性が大きく、入射光の幅方向における拡散光の広がりが小さいことが分かる。
比較例4では、第1の紫外線照射のθ3を40°に変更し、第2の紫外線照射として、ピーク照度13.7mW/cm2、積算光量213.6mJ/cm2の散乱光を照射した以外は、参考例1と同様にして、第1の構造領域としての傾斜角が27°のルーバー構造領域と、その上方にルーバー構造未形成領域とを有する光拡散フィルムを得た。
なお、図28(a)に、ルーバー構造における板状領域に垂直な面で切断した場合のフィルムの断面の模式図を示す。
また、図28(b)〜(i)に示すように、光拡散フィルムに対する入射角θ1を、それぞれ25°、30°、35°、40°、45°、50°、55°、60°としたほかは、参考例1と同様に光拡散フィルムを製造した。
また、図28(b)〜(i)に示されているように、比較例4の光拡散フィルムは、ルーバー構造のみを有するため、光拡散角度領域が、θ1=30〜60°という比較的狭い範囲となった。
また、拡散光の異方性が大きく、入射光の幅方向における拡散光の広がりが小さいことが分かる。
さらに、ルーバー構造領域を形成するための第1の活性エネルギー線照射と、カラム構造領域を形成するための、照射光平行化部材を介して行う第2の活性エネルギー線照射と、を順次行うことにより、線状光源によって容易に上述した特性を有する光拡散フィルムを得ることができるようになった。
したがって、本発明の製造方法により得られる光拡散フィルムは、反射型液晶装置における光制御膜の他、視野角制御フィルム、視野角拡大フィルム、さらにはプロジェクション用スクリーンにも提供することができ、これらの高品質化、および製造効率の向上に著しく寄与することが期待される。
Claims (10)
- 入射光を異方性光拡散させるための第1の構造領域と、入射光を等方性光拡散させるための第2の構造領域とを有する光拡散フィルムの製造方法であって、
下記工程(a)〜(d)を含むことを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。
(a)光拡散フィルム用組成物を準備する工程
(b)前記光拡散フィルム用組成物を工程シートに対して塗布し、塗布層を形成する工程
(c)前記塗布層の露出面に対して、直接第1の活性エネルギー線照射を行い、前記塗布層の下方部分に第1の構造領域としての、屈折率が異なる複数の板状領域をフィルム面に沿った任意の一方向に交互に配置してなるルーバー構造領域を形成するとともに、前記塗布層の上方部分にルーバー構造未形成領域を残す工程
(d)前記塗布層の露出面側を紫外線透過性を有する剥離フィルムによりラミネートした後、前記塗布層に対して、前記剥離フィルム越しにさらに第2の活性エネルギー線照射を行い、前記ルーバー構造未形成領域に第2の構造領域としての、屈折率が相対的に低い領域中に屈折率が相対的に高い複数の柱状物を林立させてなるカラム構造領域を形成する工程であって、
前記第2の活性エネルギー線照射として、前記塗布層に対し、線状光源からの照射光を、照射光平行化部材を介して照射する工程 - 前記照射光平行化部材が、複数の板状部材からなるとともに、フィルム上方から眺めた場合に、前記複数の板状部材がそれぞれ平行配置してなることを特徴とする請求項1に記載の光拡散フィルムの製造方法。
- 前記複数の板状部材における隣接する板状部材同士の間隔を1〜100mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項2に記載の光拡散フィルムの製造方法。
- フィルム上方から眺めた場合に、前記板状部材が、前記線状光源の軸線方向と交差する向きに前記照射光平行化部材を配置することを特徴とする請求項2または3に記載の光拡散フィルムの製造方法。
- 前記照射光平行化部材が、複数の筒状部材の集合体であることを特徴とする請求項1に記載の光拡散フィルムの製造方法。
- 前記筒状部材における最大径を1〜100mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項5に記載の光拡散フィルムの製造方法。
- 前記照射光平行化部材における上端から下端までの長さを10〜1000mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光拡散フィルムの製造方法。
- 前記照射光平行化部材の上端と、前記線状光源の下端と、の間の距離を0〜1000mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光拡散フィルムの製造方法。
- 前記照射光平行化部材の下端と、前記塗布層表面と、の間の距離を0〜1000mmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の光拡散フィルムの製造方法。
- 前記第2の活性エネルギー線照射において、前記照射光平行化部材を介して平行化された照射光の平行度を10°以下の値とすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の光拡散フィルムの製造方法。
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