図1は、本発明を適用したアクチュエーターを例示する斜視図である。図2は、図1に例示したアクチュエーターの平面図である。両図および以下の図では、アクチュエーターの長手方向をX方向とし、アクチュエーターの幅方向をY方向(X方向に直交する)とし、アクチュエーターの厚み方向をZ方向(X方向およびY方向に直交する)とするXYZ直交座標軸を適宜示す。また、各座標軸の矢印側を正側と適宜称し、各座標軸の矢印の反対側を負側と適宜称する。
このアクチュエーター1は、単一の回転軸2と、回転軸2の回転に伴って移動する移動体3とを備えた単軸ロボットである。アクチュエーター1は、例えばステンレス鋼等の合金鋼あるいはアルミニウム等の金属(軽金属)で構成された筐体10を備える。筐体10は、X方向に長尺な形状を有しており、X方向の両側に開口する。さらに、筐体10は、Z方向正側にも開口している。これによって、アクチュエーター1の構成部品を、Z方向から開口を介して筐体10に取り付けることができ、アクチュエーター1の組立の容易化が図られている。
回転軸2は、X方向に平行な軸方向へ直線状に延びるネジであり、筐体10のY方向の中央に配置されている。アクチュエーター1は、筐体10のX方向の両端部にそれぞれ固定された2個の軸受部材4を備えており、回転軸2のX方向の各端部は、軸受部材4によって回転可能に支持されている。さらに、アクチュエーター1は、X方向正側における筐体10の端部に固定されたモーターM2を備えており、X方向正側の軸受部材4は、モーターM2と回転軸2とを相互に結合する。したがって、モーターM2で回転軸2を駆動することで、回転軸2をその中心線の周りで回転させることができる。
移動体3は、ナットによって回転軸2に螺合しており、回転軸2の回転に伴って回転軸2に沿ってX方向へ移動する。この移動体3の移動は、回転軸2に平行に配置されたガイドレール5によって案内される。つまり、筐体10では、回転軸2のY方向の両側それぞれにガイドレール5が固定されており、移動体3は、Y方向の両端部でガイドレール5に係合しつつ、ガイドレール5に沿ってX方向へ移動する。
また、アクチュエーター1は、回転軸2に係合しつつ回転軸2を支持する支持部材6を備える。具体的には、筐体10内では、X方向において両端の軸受部材4それぞれと移動体3との間に、2個の支持部材6が設けられている。こうして、移動体3よりもX方向正側およびX方向負側のそれぞれにおいて、2個の支持部材6が回転軸2に沿って並ぶ。各支持部材6は、回転軸2を支持しつつ回転軸2に沿って移動可能であり、例えば図1および図2の移動体3よりX方向正側に示すように移動体3に連結された状態で、移動体3に伴って移動する。ただし、支持部材6の可動範囲は、支持部材6毎に異なっている。この点について、移動体3よりX方向正側に設けられた支持部材6と、移動体3よりX方向負側に設けられた支持部材6とについて、それぞれ説明する。
まず、移動体3よりX方向正側に設けられた2個の支持部材6について説明する。アクチュエーター1は、回転軸2のY方向負側においてX方向に並ぶ2個のストッパー7を備える。これらストッパー7は、X方向において互いに異なる停止位置Ps(1)、Ps(2)に各支持部材6を停止させるために、停止位置Ps(1)、Ps(2)に対して配置されている。なお、停止位置Ps(1)はX方向正側に位置し、停止位置Ps(2)はX方向負側に位置する。
停止位置Ps(1)に対応するストッパー7は、2個の支持部材6のうちX方向正側の支持部材6の可動範囲を停止位置Ps(1)からX方向正側に制限する。したがって、X方向正側の支持部材6は、停止位置Ps(1)からX方向正側の可動範囲(停止位置Ps(1)を含む)では移動体3に伴って移動できるが、移動体3が当該可動範囲よりX方向負側へ出ると、移動体3から外れて停止位置Ps(1)に停止する。また、停止位置Ps(2)に対応するストッパー7は、2個の支持部材6のうちX方向負側の支持部材6の可動範囲を停止位置Ps(2)からX方向正側に制限する。したがって、X方向負側の支持部材6は、停止位置Ps(2)からX方向正側の可動範囲(停止位置Ps(2)を含む)では移動体3に伴って移動できるが、移動体3が当該可動範囲よりX方向負側へ出ると、移動体3から外れて停止位置Ps(2)に停止する。
かかる構成では、各支持部材6は、停止位置Ps(1)、Ps(2)で停止して移動体3を支持できる一方、移動体3の移動の妨げとならないように、停止位置Ps(1)、Ps(2)から軸受部材4側の可動範囲でX方向へ移動できる。つまり、移動体3が停止位置Ps(1)、Ps(2)に対して可動範囲の反対側を移動している間は、支持部材6は停止位置Ps(1)、Ps(2)に停止して回転軸2を支持する。一方、移動体3が可動範囲に進入している間は、支持部材6は移動体3に伴って移動して、可動範囲における移動体3の移動を妨げない。こうして、移動体3の移動を妨げることなく、支持部材6によって回転軸2を支持して回転軸2の振動を抑えることができる。
次に、移動体3よりX方向負側に設けられた2個の支持部材6について説明する。アクチュエーター1は、回転軸2のY方向正側においてX方向に並ぶ2個のストッパー7を備える。これらストッパー7は、X方向において互いに異なる停止位置Ps(3)、Ps(4)に各支持部材6を停止させるために、停止位置Ps(3)、Ps(4)に対して配置されている。なお、停止位置Ps(3)はX方向負側に位置し、停止位置Ps(4)はX方向正側に位置する。
停止位置Ps(3)に対応するストッパー7は、2個の支持部材6のうちX方向負側の支持部材6の可動範囲を停止位置Ps(3)からX方向負側に制限する。したがって、X方向負側の支持部材6は、停止位置Ps(3)からX方向負側の可動範囲(停止位置Ps(3)を含む)では移動体3に伴って移動できるが、移動体3が当該可動範囲よりX方向正側へ出ると、移動体3から外れて停止位置Ps(3)に停止する。また、停止位置Ps(4)に対応するストッパー7は、2個の支持部材6のうちX方向正側の支持部材6の可動範囲を停止位置Ps(4)からX方向負側に制限する。したがって、X方向正側の支持部材6は、停止位置Ps(4)からX方向負側の可動範囲(停止位置Ps(4)を含む)では移動体3に伴って移動できるが、移動体3が当該可動範囲よりX方向正側へ出ると、移動体3から外れて停止位置Ps(4)に停止する。
かかる構成では、各支持部材6は、停止位置Ps(3)、Ps(4)で停止して移動体3を支持できる一方、移動体3の移動の妨げとならないように、停止位置Ps(3)、Ps(4)から軸受部材4側の可動範囲でX方向へ移動できる。こうして、移動体3の移動を妨げることなく、支持部材6によって回転軸2を支持して回転軸2の振動を抑えることができる。
このように移動体3は、支持部材6を適宜伴いつつ、回転軸2に沿って移動できる。アクチュエーター1は、このような移動体3の移動範囲を制限するためにストッパー8を備える。このストッパー8は、筐体10のX方向の両端部それぞれに設けられており、軸受部材4より内側で筐体10に固定されている。したがって、X方向の端部まで移動してきた移動体3は、ストッパー8に当接して停止する。
以上がアクチュエーター1の概要である。続いては、支持部材6の詳細構成について説明する。なお、4個の支持部材6は、概ね同様の構成を具備するため、ここでは、移動体3のX方向負側に設けられた2個の支持部材6のうち、X方向負側に設けられた支持部材6で代表して説明する。
図3は、支持部材およびその周辺の構成を例示する斜視図である。図4は、支持部材およびその周辺の構成を例示する平面図である。なお、図4では、部材60に隠れて見えない部材64が一点鎖線で示されている。図5は、支持部材およびその周辺の構成を例示する部分断面図であり、回転軸2の中心線を通るZX断面を例示する。
支持部材6は、フレーム60に対して軸接触部62およびガイド係合部64を取り付けた概略構成を具備する。フレーム60は、例えばステンレス鋼等の合金鋼あるいはアルミニウム等の金属(軽金属)で構成され、Z方向正側およびY方向の両側から回転軸2を囲む軸対向部601と、Z方向正側からガイドレール5に対向するガイド対向部602とを有する。そして、軸接触部62は、フレーム60の軸対向部601のZ方向負側に固定され、ガイド係合部64は、フレーム60のガイド対向部602の負側に固定されている。
軸接触部62は、X方向の両側から軸対向部601にネジ止めされた2個の分割ブッシュ622により構成されている。各分割ブッシュ622は、一対の半円部材624で構成されており、各半円部材624は、樹脂で構成されており、半円状に切り欠けられた接触部分624aを有する。こうして対を成す2個の半円部材624は、接触部分624aで回転軸2に接触しつつ、Z方向の両側から回転軸2に係合する。このように、軸接触部62は、2個の分割ブッシュ622それぞれの接触部分624aで回転軸2に接触しつつ、回転軸2に沿ってX方向へ移動可能となっている。ちなみに、分割ブッシュ622と回転軸2の間には若干のクリアランス(遊び)が設けられている。
このように構成された軸接触部62は、回転軸2に沿ってX方向に長さL1を有する。ここで、長さL1は、軸接触部62が回転軸2に接触する接触部分624aが設けられた範囲のX方向における両端間の距離として求めることができる。したがって、ここの例では、長さL1は、X方向正側の分割ブッシュ622が回転軸2に接触する接触部分624aのX方向正側の端と、X方向負側の分割ブッシュ622が回転軸2に接触する接触部分624aのX方向負側の端とのX方向における距離として求めることができる。
ガイド係合部64は、X方向に平行に延びる溝状に切り欠けられた係合部分64aを有し、係合部分64aでガイドレール5に係合する。こうして、ガイド係合部64は、係合部分64aでガイドレール5に係合しつつ、ガイドレール5に沿ってX方向へ移動可能となっている。このように構成されたガイド係合部64は、回転軸2に沿ってX方向に長さL1より長い長さL2を有する(L2>L1)。ここで、長さL2は、ガイド係合部64がガイドレール5に係合する係合部分64aが設けられた範囲のX方向における両端間の距離として求められる。したがって、ここの例では、長さL2は、X方向における係合部分64aの両端間の距離として求められる。
このように、支持部材6は、ガイドレール5(ガイド部材)に係合するガイド係合部64と、回転軸2に接して回転軸2を支持する軸接触部62とを有しており、X方向(軸方向)において、ガイド係合部64が軸接触部62よりも長い(L2>L1)。つまり、支持部材6は、比較的狭い軸接触部62で回転軸2に接しつつ、比較的広いガイド係合部64でガイドレール5に係合する。したがって、狭い軸接触部62で支持部材6を回転軸2に接させて、回転軸2と支持部材6の間の摩擦力を低減できるとともに、広いガイド係合部64で支持部材6をガイドレール5にしっかりと係合させて、支持部材6を安定的に支持できる。その結果、回転軸2と支持部材6の間の摩擦力を低減してモーターM2(駆動源)の負荷を抑えつつも、支持部材6を安定的に支持して回転軸2の共振を効果的に抑制することが可能となっている。
つまり、ガイド係合部64は、回転軸2の軸方向(X方向)に軸接触部62よりも長く、軸接触部62に対してX方向の正側に突出する突出部分64bを有する。これに対応して、ガイド係合部64が取り付けられたガイド対向部602は、軸接触部62が取り付けられた軸対向部601よりもX方向に長く、軸対向部601に対してX方向の正側に突出する突出部分602bを有する。なお、ここの例では、ガイド対向部602は、ガイド係合部64よりもX方向に若干長い。
このように支持部材6は、ガイド係合部64でガイドレール5に係合しつつ、軸接触部62で回転軸2を支持する。この際、ガイド係合部64はガイドレール5に沿ってX方向へ移動可能であり、軸接触部62は回転軸2に沿ってX方向へ移動可能である。したがって、支持部材6は、全体としてX方向へ移動可能となっている。
さらに、支持部材6は、Y方向に平行な回転中心の周りで回転可能なローラー66を、軸対向部601のZ方向正側の端部に有する。かかるローラー66は、バネ等の弾性部材によってZ方向正側に付勢されており、支持部材6を移動体3に係合するために用いられる。また、支持部材6は、軸対向部601に対してZ方向負側に突出した当接部603を有する。かかる当接部603は、ストッパー7に当接することで、支持部材6を移動体3から分離するために用いられる。
続いては、移動体3の詳細構成と併せて支持部材6について説明する。図6は、移動体およびその周辺の構成を例示する斜視図である。図7は、移動体およびその周辺の構成を例示する部分断面図であり、回転軸2の中心線を通るZX断面を例示する。図6および図7では、移動体3がX方向正側の2個の支持部材6に係合した状態が例示されている。
移動体3は、X方向およびY方向に平行な平面を有する矩形状のテーブル30と、テーブル30のZ方向下側に固定されて回転軸2に螺合するナット31とを有する。ちなみに、回転軸2とナット31とでボールネジが構成されている。さらに、移動体3は、支持部材6のローラー66に係脱自在に係合するフック32を備える。フック32は、テーブル30に対してX方向の両側に設けられており、テーブル30に対してX方向に突出しつつ回転軸2のZ方向上側に位置している。移動体3を構成するテーブル30、ナット31およびフック32は、例えばステンレス鋼等の合金鋼あるいはアルミニウム等の金属(軽金属)で構成されている。
そして、移動体3の各フック32は、最大2個の支持部材6に一括して係合することができる。この際、フック32に係合する2個の支持部材6は、互い違いに配置されており、X方向において部分的に重複して収まるように構成されている。移動体3よりX方向正側の2個の支持部材6で代表して、この点について説明する。
2個の支持部材6は、それぞれの突出部分64b、602bを互いに向けて突出させた状態でX方向に対向する。すなわち、一方の支持部材6の突出部分64b、602bは、他方の支持部材6側へ突出するとともに、他方の支持部材6の突出部分64b、602bは、一方の支持部材6側へ突出する。この際、2個の支持部材6は、互いに異なるガイドレール5に係合しつつX方向に相互に対向しており、各支持部材6の突出部分64b、602bは、Y方向に相互に外れている。すなわち、一方の支持部材6の突出部分64b、602bは、Y方向において他方の支持部材6から外れるとともに、他方の支持部材6の突出部分64b、602bは、Y方向において一方の支持部材6から外れる。したがって、2個の支持部材6が近づいた際には、一方の支持部材6の突出部分64b、602bは、他方の支持部材6の軸接触部62、軸対向部601にX方向において重複するとともに、他方の支持部材6の突出部分64b、602bは、一方の支持部材6の軸接触部62、軸対向部601にX方向において重複する。こうして、2個の支持部材6は、X方向において互いに部分的に重複しつつフック32へ係合することができる。
こうして、回転軸2に沿って隣り合う2個の支持部材6が互いに近づいた際には、一方の支持部材6のガイド係合部64の突出部分602bが他方の支持部材6の軸接触部62にX方向において重複するとともに、他方の支持部材6のガイド係合部64の突出部分602bが一方の支持部材6の軸接触部62にX方向において重複する。つまり、隣り合う2個の支持部材6をX方向において重複させることができる。そのため、これら支持部材6を軸方向にコンパクトに収めることができ、移動体3のストロークの長尺化を図ることができる。
図8は、アクチュエーターの動作を模式的に例示する動作説明図である。ステップ1〜ステップ5を順に追って、移動体3がX方向負側の端部からX方向正側の端部まで移動する場合について説明する。ステップ1では、移動体3は、その移動範囲のX方向負側に位置しており、その移動範囲においてX方向正側の軸受部材4から最も遠ざかった位置にある。この際、移動体3よりX方向負側の2個の支持部材6はいずれも移動体3に係合しており、移動体3よりX方向正側の2個の支持部材6はストッパー7に当接してそれぞれの停止位置Ps(1)、Ps(2)に停止している。
ステップ1に示す状態においては、軸受部材4、当該軸受部材4から最も遠ざかった移動体3、および当該軸受部材4と移動体3との間の支持部材6について、それぞれの間の回転軸2に沿った間隔C1、C2、C3が、回転軸2の最高回転数に対して所定の条件を満たす。ここで、最高回転数はアクチュエーター1を使用するにあたって許容される回転軸2の回転数の最高値であり、一般的にアクチュエーターのカタログ、仕様書あるいは取扱説明書等に定められている。このように最高回転数が定められているため、実際の使用においては、回転軸2は最高回転数以下で回転する。したがって、回転軸2にて生じ得る振動モードにおいては、節の間の距離が、回転軸2の最高回転数の回転に共振する回転軸2の基本振動の半波長よりも長くなる。これに対して、間隔C1、C2、C3はいずれも、回転軸2の最高回転数の回転に共振する回転軸2の基本振動の半波長よりも短く設定されている。したがって、軸受部材4、支持部材6および移動体3によって回転軸2の振動を抑え込んで、騒音や回転軸2の破損を抑制することが可能となっている。
さらに、間隔C1、C2、C3の相互の関係も設定されており、具体的には、間隔C2および間隔C3は、間隔C1よりも長く設定されている。この際、間隔C2、C3については、これらが互いに等しくても、一方が他方より長くても構わない。
ちなみに、間隔C1は、互いに隣り合う軸受部材4と支持部材6との回転軸2に沿った間隔である。かかる間隔C1は、軸受部材4が回転軸2に接触する部分が設けられた範囲の支持部材6側の端と、支持部材6が回転軸2に接触する接触部分624aが設けられた範囲の軸受部材4側の端(長さL1の軸受部材4側の端)との回転軸2に沿った距離として求めることができる。間隔C2は、互いに隣り合う2個の支持部材6の回転軸2に沿った間隔である。かかる間隔C2は、一方支持部材6が回転軸2に接触する接触部分624aが設けられた範囲の他方支持部材6側の端(長さL1の他方支持部材6側の端)と、他方支持部材6が回転軸2に接触する接触部分624aが設けられた範囲の一方支持部材6側の端(長さL1の一方支持部材6側の端)との回転軸2に沿った距離として求めることができる。間隔C3は、互いに隣り合う支持部材6と移動体3との回転軸2に沿った間隔である。かかる間隔C3は、支持部材6が回転軸2に接触する接触部分624aが設けられた範囲の移動体3側の端(長さL1の移動体3側の端)と、移動体3(のナット31)が回転軸2に接触する部分が設けられた範囲の支持部材6側の端との回転軸2に沿った距離として求めることができる。
ステップ1の状態からモーターM2の駆動を受けて回転軸2が回転を開始し、移動体3がX方向正側へ向けて移動を開始すると、移動体3よりX方向負側の2個の支持部材6は移動体3に伴ってX方向正側へ移動する。続いて、ステップ2に示すように、移動体3が停止位置Ps(3)をX方向正側へ向けて通過する過程で、移動体3に係合する2個の支持部材6のうちX方向負側の支持部材6(の当接部603)が停止位置Ps(3)に対応するストッパー7に当接する。なお、これら支持部材6のうち、X方向負側の支持部材6の当接部603は、X方向正側の支持部材6の当接部603よりもストッパー7側に突出しており、停止位置Ps(3)に対応するストッパー7に当接する一方、X方向正側の支持部材6は当該ストッパー7に当接せずに当該ストッパー7を通過する。したがって、ステップ3に示すように、X方向負側の支持部材6が移動体3から外れて停止位置Ps(3)に停止する一方、X方向正側の支持部材6は移動体3に伴って移動する。
ステップ3に示すように、移動体3が停止位置Ps(2)に停止する支持部材6に衝突すると、当該支持部材6は移動体3に係合して移動体3に伴って移動する。また、ステップ4に示すように、移動体3が停止位置Ps(4)をX方向正側へ向けて通過する過程で、移動体3に係合する支持部材6(の当接部603)が停止位置Ps(4)に対応するストッパー7に当接する。したがって、ステップ5に示すように、この支持部材6は、移動体3から外れて停止位置Ps(3)に停止する。続いて、ステップ5に示すように、移動体3が停止位置Ps(1)に停止する支持部材6に衝突すると、当該支持部材6は移動体3に係合して移動体3に伴って移動し、移動体3はストッパー8に当接することで停止する。なお、移動体3がストッパー8に当接した状態において移動体3に係合する軸受部材4と支持部材6との間に隙間Δが開くように、ストッパー8は設けられている。
また、上記とは逆に、移動体3がX方向負側の端部からX方向正側の端部まで移動する場合には、ステップ5〜1がこの順番で実行される。この際、ステップ5に示す状態においては、軸受部材4、当該軸受部材4から最も遠ざかった移動体3、および当該軸受部材4と移動体3との間の支持部材6について、それぞれの間の回転軸2に沿った間隔C4、C5、C6が、上述の間隔C1、C2、C3と同様の条件を満たしている。つまり、間隔C1、C2、C3はいずれも、回転軸2の最高回転数の回転に共振する回転軸2の基本振動の半波長よりも短く設定されており、軸受部材4、支持部材6および移動体3によって回転軸2の振動を抑え込んで、騒音や回転軸2の破損を抑制することが可能となっている。さらに、間隔C4、C5、C6の相互の関係も設定されており、具体的には、間隔C5および間隔C6は、間隔C4よりも長く設定されている。なお、間隔C5、C6については、これらが互いに等しくても、一方が他方より長くても構わない。そして、かかる状態から、ステップ4〜1が順に実行されつつ、移動体3がX方向負側へ向けて移動する。
以上のような構成を具備するアクチュエーター1では、回転軸2の共振を抑えつつ移動体3の移動範囲の拡大を図ることが可能となっている。この点について、図8のステップ1の状態を例示しつつ説明する。つまり、かかるアクチュエーター1では、支持部材6と軸受部材4の間隔C1や支持部材6と移動体3の間隔C3が広くなるほど、回転軸2の共振周波数が低下して、回転軸2が共振を起こしやすくなる。したがって、移動体3が軸受部材4から最も遠ざかって、これらの間隔C1、C3が広がった状況では、回転軸2の共振が生じるおそれが極めて高くなる。換言すれば、移動体3が軸受部材4から最も遠ざかった状況において、回転軸2の共振を抑えることが重要となる。ただし、移動体3の移動範囲を拡大すれば、移動体3が軸受部材4から最も遠ざかった際における支持部材6と軸受部材4の間隔C1や支持部材6と移動体3の間隔C3も拡大し、回転軸2の共振周波数が低下すると考えられていたため、移動体3の移動範囲の拡大は容易ではなかった。
しかしながら、本願の発明者等は、回転軸2の支持態様について詳細に検討した結果、回転軸2の共振を抑えつつ移動体3の移動範囲の拡大を図ることができる構成に到達した。つまり、本実施形態では、X方向に隣り合う軸受部材4と支持部材6とによって、回転軸2は実質的に固定支持されることとなるため、この支持部材6に対して軸受部材4の反対側(停止位置Ps(1)よりX方向負側)では、このような固定支持によって回転軸2がしっかりと支持される。その結果、(回転軸2のX方向正側の端部を1個の部材で単純支持した場合に対して)支持部材6と移動体3の間における回転軸2の共振周波数は比較的高く、支持部材6と移動体3との間隔C3を比較的長くとっても、支持部材6と移動体3の間における回転軸2の共振を抑えることが可能であるといった知見を得た(この点については、発明者等によって行われた実験によっても併せて確認されている)。そこで、移動体3が軸受部材4から最も遠ざかった際(例えば、ステップ1に示す状態となった際)に、支持部材6と移動体3との回転軸2に沿った間隔C3が、支持部材6と軸受部材4との回転軸2に沿った間隔C1よりも長くなるように構成している(C3>C1)。その結果、特許文献1のように、支持部材が移動体と軸受部材の中心に設けられて、支持部材と移動体の間隔が支持部材と軸受部材の間隔に等しい構成と比較して、本実施形態では、支持部材6と移動体3との回転軸2に沿った間隔C3を長くした分、移動体3の移動範囲の拡大を図ることができる。こうして、回転軸2の共振を抑えつつ移動体3の移動範囲の拡大を図ることが可能となっている。ちなみに、ここでは、ステップ1の状態を例示しつつ説明したが、ステップ5の状態においても同様に構成されており(C6>C4)、回転軸2の共振を抑えつつ移動体3の移動範囲の拡大を図ることが可能となっている。
さらに、本実施形態では、複数(2個)の支持部材6が移動体3と軸受部材4の間に設けられ、移動体3が軸受部材4から最も遠ざかった際に、X方向に隣り合う支持部材6どうしの回転軸2に沿った間隔C2、C5が、支持部材6と軸受部材4との回転軸2に沿った間隔C1、C4よりも長くなるように(C2>C1、C5>C4)、アクチュエーター1が構成されている。こうして複数(2個)の支持部材6で回転軸2を支持した構成では、軸受部材4とこれに隣り合う支持部材6によって、回転軸2は実質的に固定支持されることとなるため、この支持部材6に対して軸受部材4の反対側(例えばステップ1の状態では、停止位置Ps(1)よりX方向負側)では、このような固定支持によって回転軸2がしっかりと支持される。そのため、X方向に隣り合う支持部材6と軸受部材4との回転軸2に沿った間隔C1、C4よりも、X方向に隣り合う支持部材6どうしの回転軸2に沿った間隔C2、C5を長くしても構わない。特に、このように構成することによって、支持部材6どうしの間隔C2、C5を広くとることができ、例えば、支持部材6の個数を抑えつつ移動体3の移動範囲の拡大を図るといった設計が容易になる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、ストッパー7によって支持部材6を停止位置Ps(1)〜Ps(4)に適宜停止させていた。しかしながら、次に説明するような連動機構100、200によって、移動体3の移動に連動して支持部材6を移動させても良い。
続いては、これら連動機構100、200について順番に説明する。なお、以下は、連動機構100、200の一例を示すものであり、連動機構100、200以外の構成は上記実施形態と共通する。そこで、上記実施形態との差異点を中心に説明を行い、上記実施形態との共通点は相当符号を付して説明を省略する。なお、移動体3と軸受部材4の間に設けられた2個の支持部材のうち、移動体3側の支持部材に符号6aを付するとともに、軸受部材4側の支持部材に符号6bを付する。また、以下の説明は、連動機構100、200の構成例の説明を主とするものであるため、図9〜図14では、軸受部材4の図示を省略する。
図9は、連動機構の第1例を備えるアクチュエーターを模式的に例示する斜視図である。図10は、図9中のA−A線矢視図である。このアクチュエーター1は、移動体3に連動して各支持部材6a、6bをX方向へ移動させる連動機構100を備える。連動機構100は、筐体10のX方向の両端部のそれぞれに設けられた多段プーリー110を有する。各多段プーリー110は、3個のプーリー112、114、116と、これらに共通に設けられたプーリー軸118とを有する。プーリー112、114、116は、それぞれの回転中心線Cを一致させた状態でZ方向に積層されており、プーリー軸118がプーリー112、114、116の回転中心をZ方向に貫いて、プーリー112、114、116を相互に固定する。プーリー軸118の一端は、筐体10の底面に設けられた軸受孔11に嵌っており、プーリー軸118は、軸受孔11によって回転自在に支持されている。そして、プーリー軸118が回転すると、プーリー112、114、116が一体的に回転する。この際、プーリー112の周速度V112、プーリー114の周速度V114、プーリー116の周速度V116の比は、プーリー112の径D112、プーリー114の径D114、プーリー116の径D116の比と等しくなる(V112:V114:V116=D112:D114:D116)。
プーリー112の径D112、プーリー114の径D114、プーリー116の径D116は、この順に大きい(D112>D114>D116)。したがって、プーリー112の周速度V112に対するプーリー114の周速度V114の比R11(=V114/V112=D114/D112)は1より小さく、換言すれば、プーリー112の回転が減速比R11(<1)でプーリー114に伝達される。また、プーリー112の周速度V112に対するプーリー116の周速度の比R12(=V116/V112=D116/D112)は1より小さいとともに減速比R11よりも小さく、換言すれば、プーリー112の回転が減速比R12(<R11<1)でプーリー116に伝達される。
連動機構100では、X方向の両端にそれぞれ設けられた同径の2個のプーリーでプーリー対が形成され、各プーリー対にベルト122、124、126が架け渡されている。具体的には、2個のプーリー112、112にベルト122が架け渡されており、2個のプーリー114、114にベルト124が架け渡されており、2個のプーリー116、116にベルト126が架け渡されている。ちなみに、プーリー112、114、116はいずれも歯付プーリーであり、ベルト122、124、126はいずれも歯付ベルトである。このように歯付プーリーを用いた場合、プーリーの径はピッチ円の径として求めれば良い。
そして、移動体3が取付具132によりベルト122に固定され、移動体3のX方向の両側(両外側)に設けられた2個の支持部材6aが所定の支持部材間隔LaをX方向に空けてそれぞれ取付具134によりベルト124に固定され、これら支持部材6aのX方向の両側(両外側)に設けられた2個の支持部材6bが所定の支持部材間隔Lb(=2×La>La)を空けてそれぞれ取付具136によりベルト126に固定されている。なお、移動体3、支持部材6a、支持部材6bは、それぞれが対応するベルト122、ベルト124、ベルト126のY方向の同一側(負側)に固定されている。
かかる連動機構100は、移動体3に連動して支持部材6a、6bを移動させる。具体的には、モーターM2の駆動力を受けて移動体3が速度V3でX方向へ移動すると、移動体3が取り付けられたベルト122が回転して、プーリー112を速度V3に等しい周速度V112で回転させる。同時にプーリー114、116のそれぞれが速度V3(=V112)を減速比R11、R12で減速した周速度V114、V116で回転して、ベルト124、126を周速度V114、V116で回転させる。その結果、各支持部材6aは、速度V3を減速比R11で減速した速度V114で移動し(V114=V3×R11)、各支持部材6bは、速度V3を減速比R12で減速した速度V116で移動する(V116=V3×R12)。この際、移動体3、支持部材6a、支持部材6bは、それぞれが対応するベルト122、ベルト124、ベルト126のY方向の同一側に取り付けられているため、いずれもX方向の同じ側へ移動する。
このように、移動体3がX方向にストロークの一端から他端へ移動するのに伴って、支持部材6a、6bがX方向の一端側から他端側へ移動する。この際、支持部材6aは、移動体3の移動速度V3よりも遅い速度V114で移動し、支持部材6bは、支持部材6aよりも遅い速度V116で移動する。したがって、移動体3がストロークS3の一端から他端を移動する間、各支持部材6aは移動体3のストロークS3より短い移動範囲(=S3×V114/V3)を移動し、各支持部材6bは支持部材6aより短い移動範囲(=S3×V116/V3)を移動する。この際、モーターM2の回転方向を切り換えることで、移動体3をX方向へ往復移動させることができ、支持部材6a、6bのそれぞれも移動体3に連動してX方向に往復移動させることができる。かかる連動機構100は、移動体3、支持部材6aおよび支持部材6bそれぞれの間隔の比を保ったまま、移動体3の移動に連動して支持部材6a、6bを移動させる。
図11は、連動機構の第2例を備えるアクチュエーターを模式的に例示する斜視図である。図12は、図11に例示したアクチュエーターの平面図である。図13は、図11に例示したアクチュエーターの底面図である。図14は、図11に例示したアクチュエーターの部分拡大斜視図である。
このアクチュエーター1に設けられた連動機構200では、それぞれX方向に延びる3個のベルト回転機構210、220、230が並列に並ぶ。ベルト回転機構210は、筐体10のX方向の両端部のそれぞれに設けられたプーリー211、211にベルト213を架け渡した構成を具備している。ここで、プーリー211は歯付プーリーであり、ベルト213は歯付ベルトである。各プーリー211は、筐体10によって回転自在に支持されており、ベルト回転機構210は、各プーリー211の回転とベルト213との回転が互いに連動する構成を具備する。同様に、ベルト回転機構220はX方向に設けられたプーリー221、221、にベルト223を架け渡して、これらの回転が連動する構成を具備し、ベルト回転機構230はX方向に設けられたプーリー231、231にベルト233を架け渡して、これらの回転が連動する構成を具備する。なお、プーリー211、221、231は、互いに等しい径(ピッチ円の径)を有する。
そして、移動体3が取付具214によりベルト213に固定され、移動体3のX方向の両側(両外側)に設けられた2個の支持部材6aが支持部材間隔LaをX方向に空けてそれぞれ取付具224によりベルト223に固定され、これら支持部材6aのX方向の両側(両外側)に設けられた2個の支持部材6bが支持部材間隔Lb(=2×La>La)を空けてそれぞれ取付具234によりベルト233に固定されている。なお、移動体3、支持部材6a、支持部材6bは、それぞれが対応するベルト213、ベルト223、ベルト233のY方向の同一側(正側)に固定されている。
X方向正側のプーリー211、221、231のそれぞれには、ギヤ215、225、235がZ方向負側から固定されている。ギヤ215、225、235のそれぞれのギヤ軸217、227、237は、対応するプーリー211、221、231の回転中心線に一致しており、ギヤ215、225、235と対応するプーリー211、221、231との回転中心は一致している。また、ギヤ215、225、235それぞれの間には伝達ギヤ245、255が設けられており、これらのギヤ215、245、225、255、235がこの順番で並んでギヤ列を構成する。したがって、ギヤ215の回転が伝達ギヤ245によってギヤ225に伝達され、さらにギヤ225の回転が伝達ギヤ255によってギヤ235に伝達される。
このようなギヤ列が構成されているため、ギヤ215が回転すると、ギヤ225、235もギヤ215と同じ方向に回転する。この際、ギヤ215の角速度W215とギヤ225の角速度W225の比と、ギヤ215の径D215とギヤ225の径D225の比の間には、次の関係
W215:W225=D225:D215
が成立し、ギヤ215の角速度W215とギヤ235の角速度W235の比と、ギヤ215の径D215とギヤ235の径D235の比の間には、次の関係
W215:W235=D235:D215
が成立する。なお、ギヤの径D215、D225、D235はそれぞれ、対応するギヤ215、225、235のピッチ円の径として求めることができる。
ギヤ215の径D215、ギヤ225の径D225、ギヤ235の径D235は、この順に小さい(D215<D225<D235)。したがって、ギヤ215の角速度W215に対するギヤ225の角速度W225の比R21(=W225/W215=D215/D225)は1より小さく、換言すれば、ギヤ215の回転が減速比R21(<1)でギヤ225に伝達される。また、ギヤ215の角速度W215に対するギヤ235の角速度W235の比R22(=W235/W215=D215/D235)は1より小さいとともに減速比R21よりも小さく、換言すれば、ギヤ215の回転が減速比R22(<R11<1)でギヤ235に伝達される。
かかる連動機構200は、移動体3に連動して支持部材6a、6bを移動させる。具体的には、モーターM2の駆動力を受けて移動体3が速度V3でX方向へ移動すると、移動体3が取り付けられたベルト213が回転して、プーリー211を周速度V3で回転させる。その結果、プーリー211に取り付けられたギヤ215は、速度V3をプーリー211の半径rで除した角速度W215(=V3/r)で回転する。また、ギヤ215の回転と同時に、ギヤ225、235のそれぞれが角速度215を減速比R21、R22で減速した角速度W225、W235で回転して、それぞれに取り付けられたプーリー221、231を角速度W225、W235させる。その結果、ベルト223は、各支持部材6aを伴って、角速度W223(=R21×V3/r)にプーリー221の半径rを乗じた周速度(=R21×V3)で回転し、ベルト233は、各支持部材6bを伴って、角速度W235(=R22×V3/r)にプーリー231の半径rを乗じた周速度(=R22×V3)で回転する。すなわち、各支持部材6aは、移動体3の速度V3を減速比R21で減速した速度(=R21×V3)で移動し、各支持部材6bは、移動体3の速度V3を減速比R22で減速した速度(=R22×V3)で移動する。この際、移動体3、支持部材6a、支持部材6bは、それぞれが対応するベルト213、ベルト223、ベルト233のY方向の同一側に取り付けられているため、いずれもX方向の同じ側へ移動する。
このように、移動体3がX方向にストロークの一端から他端へ移動するのに伴って、支持部材6a、6bがX方向の一端側から他端側へ移動する。この際、支持部材6aは、移動体3の移動速度V3よりも遅い速度(=R21×V3)で移動し、支持部材6bは、支持部材6aよりも遅い速度(=R22×V3)で移動する。したがって、移動体3がストロークS3の一端から他端を移動する間、各支持部材6aは移動体3のストロークS3より短い移動範囲(=S3×R21)を移動し、各支持部材6bは支持部材6aより短い移動範囲(=S3×R22)を移動する。この際、モーターM2の回転方向を切り換えることで、移動体3をX方向へ往復移動させることができ、支持部材6a、6bのそれぞれも移動体3に連動してX方向に往復移動させることができる。かかる連動機構200は、移動体3、支持部材6aおよび支持部材6bそれぞれの間隔の比を保ったまま、移動体3の移動に連動して支持部材6a、6bを移動させる。
そして、このような第1例および第2例の連動機構100、200も、移動体3、支持部材6aおよび支持部材6bそれぞれの回転軸2に沿った間隔を上記実施形態と同様に規定する(図15)。図15は、第1例および第2例の連動機構によって規定された移動体および各支持部材の間隔を模式的に示す図である。同図の上段では、移動体3がその移動範囲(ストローク)の一方側(X方向の負側)の端に位置し、他方側(X方向正側)にある軸受部材4から最も遠ざかった状態が示されており、他方側の端にある軸受部材4と支持部材6bとの間隔C11、支持部材6a、6bの間隔C12、および支持部材6aと移動体3との間隔C13がそれぞれ示されている。また、同図の下段では、移動体3がその移動範囲の他方側の端に位置し、一方側の端にある軸受部材4から最も遠ざかった状態が示されており、一方側の端にある軸受部材4と支持部材6bの間隔C14、支持部材6a、6bの間隔C15、および支持部材6aと移動体3との間隔C16がそれぞれ示されている。
同図の上段に示すように、移動体3がその移動範囲の端に位置して、移動体3と逆側の端にある軸受部材4から最も遠ざかった状態において、X方向に隣り合う当該軸受部材4と支持部材6bとの間の間隔C11、X方向に隣り合う支持部材6a、6bどうしの間隔C12、およびX方向に隣り合う支持部材6aと移動体3との間隔C13はいずれも、回転軸2の最高回転数の回転に共振する回転軸2の基本振動の半波長よりも短く設定されている。さらに、間隔C11、C12、C13の相互の関係も設定されており、具体的には、間隔C12および間隔C13は、間隔C11よりも長く設定されている。この際、間隔C12、C13については、これらが互いに等しくても、一方が他方より長くても構わない。そして、間隔C11、C12、C13の大小関係は、移動体3が端からの移動を開始した後も維持される。また、間隔C14、C15、C16についても、間隔C11、C12、C13と同様に規定されている。なお、これらの間隔C11〜C16は、上述の間隔C1〜C6と同様にして求めることができる。
かかる連動機構100、200を備えた構成では、移動体3に連動して、支持部材6a、6bが移動する。つまり、移動体3が一方の軸受部材4に対して遠ざかると、移動体3と当該軸受部材4の間の支持部材6a、6bは当該軸受部材4に対して遠ざかり、移動体3が一方の軸受部材4に対して近づくと、移動体3と軸受部材4の間の支持部材6a、6bは当該軸受部材4に対して近づく。この際、外側の2個の支持部材6bは、移動体3の移動速度の概ね3分の1の速度で移動し、内側の2個の支持部材6aは、移動体3の移動速度の概ね3分の2の速度で移動する。こうして支持部材6a、6bが移動体3に連動して移動体3の移動する側へ向けて移動するため、移動体3の移動を妨げることなく、支持部材6a、6bによって回転軸2を支持して回転軸2の振動を抑えることができる。
このように、本変形例においても、X方向に隣り合う軸受部材4と支持部材6bとによって、回転軸2は実質的に固定支持されることとなるため、この支持部材6bに対して軸受部材4の反対側では、このような固定支持によって回転軸2がしっかりと支持される。その結果、(回転軸2の端部を1個の部材で単純支持した場合に対して)支持部材6aと移動体3の間における回転軸2の共振周波数は比較的高く、支持部材6aと移動体3との間隔C13、C16を比較的長くとっても、当該支持部材6aと移動体3の間における回転軸2の共振を抑えることが可能であるといった知見を得た(この点については、発明者等によって行われた実験によっても併せて確認されている)。そこで、移動体3が軸受部材4から最も遠ざかった際に、支持部材6aと移動体3との回転軸2に沿った間隔C13、C16が、支持部材6bと軸受部材4との回転軸2に沿った間隔C11、C14よりも長くなるように構成している(C13>C11、C16>C14)。その結果、特許文献1のように、支持部材が移動体と軸受部材の中心に設けられて、支持部材と移動体の間隔が支持部材と軸受部材の間隔に等しい構成と比較して、本変形例では、支持部材6aと移動体3との回転軸2に沿った間隔C13、C16を長くした分、移動体3の移動範囲の拡大を図ることができる。こうして、回転軸2の共振を抑えつつ移動体3の移動範囲の拡大を図ることが可能となっている。
さらに、本変形例では、複数(2個)の支持部材6a、6bが移動体3と軸受部材4の間に設けられ、移動体3が軸受部材4から最も遠ざかった際に、X方向に隣り合う支持部材6a、6bどうしの回転軸2に沿った間隔C12、C15が、支持部材6bと軸受部材4との回転軸2に沿った間隔C11、C14よりも長くなるように(C12>C11、C15>C14)、アクチュエーター1が構成されている。こうして複数(2個)の支持部材6a、6bで回転軸2を支持した構成では、軸受部材4とこれに隣り合う支持部材6bによって、回転軸2は実質的に固定支持されることとなるため、この支持部材6bに対して軸受部材4の反対側(各外側の支持部材6bより移動体3側)では、このような固定支持によって回転軸2がしっかりと支持される。そのため、X方向に隣り合う支持部材6bと軸受部材4との回転軸2回転軸に沿った間隔C11、C14よりも、X方向に隣り合う支持部材6a、6bどうしの回転軸2に沿った間隔C12、C15を長くしても構わない。特に、このように構成することによって、支持部材6a、6bどうしの間隔C12、C15を広くとることができ、例えば、支持部材6a、6bの個数を抑えつつ移動体3の移動範囲の拡大を図るといった設計が容易になる。
ちなみに、移動体3へ連動する支持部材6a、6bの移動速度は適宜設定することができ、例えば支持部材6a、6bの移動速度Vsを移動体3の移動速度Vmに比例させても良い。この際の比例定数は、軸受部材4と移動体3との間に設けられた支持部材6a、6bの個数(本変形例では2個)に1を加えた値Mに基づいて設定することができる。そこで、軸受部材4と隣り合う支持部材6b(端部支持部材6b)の移動速度Vs1を、移動体3の移動速度Vmに対してM分の1以下(本変形例では1/3以下)に設定しても良い(Vs1≦Vm/3)。さらには、端部支持部材6bの移動速度Vm1を、移動体3の移動速度Vmに対して非整数分の1(例えば、1/3.1あるいは1/3.2等)に設定しても良い。
また、端部支持部材6b以外の支持部材6aの移動速度については、軸受部材4から移動体3側に順に支持部材6a、6bを数えた個数「N」を端部支持部材6bの移動速度Vs1に乗じた速度に設定すれば良い。つまり、本変形例で、端部支持部材6bと移動体3との間の支持部材6aの移動速度Vs2を、「2×Vs1」に設定すれば良い。
もちろん、図9〜図15に示した以外の変形を行うことも可能である。そこで、支持部材6の具体的構成についても種々の変形を行うことができる。例えば、上記実施形態では、ガイド係合部64の突出部分64bは、軸接触部62に対してX方向の一方側にのみ突出していた。しかしながら、ガイド係合部64の突出部分64bを、軸接触部62に対してX方向の両側に突出させて、T字状に構成しても構わない。
あるいは、上記実施形態では、軸接触部62とガイド係合部64とをフレーム60を介して相互に取り付けていた。しかしながら、フレーム60を介さずに、例えばネジ止め等によって軸接触部62とガイド係合部64とを取り付けたり、軸接触部62とガイド係合部64とを一体的に構成したりしても構わない。
また、軸接触部62やガイド係合部64の具体的構成についても上記の構成に限られない。したがって、軸接触部62を1個あるいは3個以上の分割ブッシュ622で構成しても良いし、軸接触部62を分割ブッシュ622以外の部品で構成しても構わない。
また、上記実施形態では、移動体3のフック32と支持部材6のローラー66とが接した状態において、ローラー66がフック32へ向けて弾性力により付勢されていた。しかしながら、フック32がローラー66へ向けて弾性力により付勢されるように構成しても構わない。
また、上記実施形態では、移動体3にフック32が設けられ、支持部材6にローラー66が設けられていた。しかしながら、移動体3にローラー66が設けられ、支持部材6にフック32が設けられても構わない。
また、図1に示したアクチュエーター1において、移動体3と支持部材6とを連結させる構成も、上述のフック32とローラー66によるものに限られず、例えば磁力等によって吸着する構成でも構わない。
また、軸受部材4と移動体3の間に設ける支持部材6の個数は2個に限られず、1個あるいは3個以上でも構わない。
また、支持部材6を連動させるための具体的構成も上記の第1例および第2例の構成に限られず、支持部材6の位置や移動速度も適宜変更することができる。