JP6247136B2 - 成形用包装材 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、ノートパソコン用、携帯電話用、車載用、定置型の二次電池(リチウムイオン二次電池)のケースとして好適に用いられ、また食品の包装材、医薬品の包装材として好適に用いられる成形用包装材および成形ケースに関する。
リチウムイオン二次電池等の電池は、装着対象の電気機器等の機器の外観と色彩を統一させるために、着色することを要求されることが多くなってきている。例えば、重厚感、高級感の付与のために、機器を黒色とすることが多く、この場合には電池も黒色にすることが多くなってきている。
この種の包装材は金属箔の両面に樹脂層を積層した積層体が一般的であり、電池を黒色等に着色するには、包装材に使用されている樹脂層を着色する、基材樹脂層の下に印刷層を設ける、基材樹脂層と遮蔽用金属層との間の接着剤層を着色する、基材樹脂層が複数層で構成されている場合は層間の接着剤層を着色する、等の手段がある。
例えば、電池用包装材の基材層(樹脂層)、接着剤層、金属箔層のいずれかの層に識別標識を含んだ層を設ける例があり、基材層の下層に設けた印刷層や基材層の接着剤層を全体に着色し、包装材全体を着色できるものがある。(特許文献1、2参照)
また、電池用包装材の放熱促進のために金属箔層と外層フィルムとの間に黒体材料層を有するものがある(特許文献3参照)
国際公開 WO 2011/016506 A1号公報 特開2011−054563号公報 特開2011−096552号公報
上述した包装材を黒色に着色する場合はカーボンブラック等の顔料を含む印刷インキで印刷層を設けることが一般的である。
しかしながら、電池を黒色に着色するべく、電池包装材を構成する外側樹脂層の内面にカーボンブラックを顔料として含む印刷層を設けた場合には次のような問題があった。
即ち、上記黒色包装材を深絞り成形や張り出し成形により容器(ケース)形状に成形する際に、カーボンブラック含有印刷層が部分的に割れて剥離してしまい、下地層(黒色ではない)が外観されることにより、均一な黒着色が損なわれるという問題があった。
このような印刷層の部分的剥離は、電極や電解液を封入した後の黒色包装材のシール時や、黒色包装材で包装された電池が高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時にも発生する。
また、カーボンブラックを用いた黒色包装材に限らず、他の顔料で着色した包装材においても同様の問題が発生する。
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、成形時およびシール時において、また高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、着色層が部分的に割れて剥離することのない成形用包装材を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、[1]〜[7]に記載の構成を有する。
[1]外側層としての耐熱性樹脂層と、内側層としての熱可塑性樹脂層と、これら両層間に配設された金属箔層と、前記金属箔層と耐熱性樹脂層との間に配設された第1接着剤層と、前記金属箔層と熱可塑性樹脂層との間に配設された第2接着剤層とを含む成形用包装材であって、
前記第1接着剤層は、着色顔料と、主剤としてのポリエステル樹脂と硬化剤としての多官能イソシアネート化合物とによる二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂を含む接着剤とを含む着色接着剤組成物からなり、
前記ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が8,000〜25,000、重量平均分子量(Mw)が15,000〜50,000であり、これらの比率(Mw/Mn)が1.3〜2.5であり、
前記多官能イソシアネート化合物は50モル%以上の芳香族系イソシアネートを含んでいることを特徴とする成形用包装材。
[2]前記二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂において、主剤としての前記ポリエステル樹脂がジカルボン酸およびジアルコールを原料とし、
前記ジカルボン酸は、メチレン鎖のメチレン数が偶数の脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とを含み、これらの合計量に対する芳香族ジカルボン酸の含有率が40〜80モル%である前項1に記載の成形用包装材。
[3]前記着色接着剤組成物において、着色顔料とポリエステル樹脂の合計量に対する着色顔料の含有率が5〜60質量%である前項1または2に記載の成形用包装材。
[4]前記二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂の硬化膜は引張試験(JIS K7162)によるヤング率が70〜400MPaである前項1〜3のいずれかに記載の成形用包装材。
[5]前記金属箔層の少なくとも一方の面に化成皮膜を有する前項1〜4のいずれかに記載の成形用包装材。
[6]前項1〜5のいずれか1項に記載の成形用包装材を深絞り成形または張り出し成形してなることを特徴とする成形ケース。
[7]電池ケースとして用いられる前項6に記載の成形ケース。
[1]の発明では、第1接着剤層によって成形用包装材の外面側に色が付与され、かつ特定の二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂を含む接着剤を用いることで、接着剤塗膜に適性な強度と伸び、優れた耐熱性が得られ、さらに接着剤塗布適性(分子量分布が広い)と性能(分子量分布が狭い)のバランスを保つことができる。耐熱性樹脂層と金属箔層とが第1接着剤層によって接合されているので、包装材に深絞り成形、張り出し成形等の成形を行った時、封止のために包装材をシールした時に、耐熱性樹脂層が剥離することがない。また、高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、耐熱性樹脂層が剥離することがない。
[2][3][4]の各発明では、上記効果が特に優れている。
[5]の発明では、金属箔層は表面に化成皮膜を有しているから、金属箔の腐食を防止して耐食性の高い成形用包装材が提供される。
[6]の発明では、シール時は勿論のこと、高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、耐熱性樹脂層が剥離することのない成形ケースが提供される。
[7]の発明では、シール時は勿論のこと、高温多湿等のやや苛酷な環境下で使用された時であっても、耐熱性樹脂層が部分的に割れて剥離することのない電池ケースが提供される。
本発明に係る成形用包装材の一実施形態を示す断面図である。 二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂接着剤の硬化膜のS−S曲線図である。 本発明に係る成形用包装材の他の実施形態を示す断面図である。 本発明に係る成形用包装材のさらに他の実施形態を示す断面図である。
[成形用包装材の基本的な構造]
図1に、本発明の一実施形態であり、基本的な積層構造を有する成形用包装材1を示す。この成形用包装材1は、リチウムイオン2次電池ケース用包材として用いられるものである。即ち、前記成形用包装材1は、深絞り成形等の成形に供されて2次電池ケースとして用いられるものである。
前記成形用包装材1は、金属箔層4の上面に第1接着剤層5を介して耐熱性樹脂層(外側層)2が積層一体化されるとともに、前記金属箔層4の下面に第2接着剤層6を介して熱可塑性樹脂層(内側層)3が積層一体化された構成からなる。
以下に各層について詳述する。
(耐熱性樹脂層)
前記耐熱性樹脂層(外側層)2としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等が挙げられ、これらの延伸フィルムが好ましく用いられる。中でも、前記耐熱性樹脂層2としては、成形性および強度の点で、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムまたは二軸延伸ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムを用いるのが特に好ましい。前記ポリアミドフィルムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、6ナイロンフィルム、6,6ナイロンフィルム、MXDナイロンフィルム等が挙げられる。なお、前記耐熱性樹脂層2は、単層で形成されていても良いし、或いは、例えばPETフィルム/ポリアミドフィルムからなる複層で形成されていても良い。
前記耐熱性樹脂層2の厚さは、9μm〜50μmであるのが好ましい。ポリエステルフィルムを用いる場合には厚さは9μm〜50μmであるのが好ましく、ポリアミドフィルムを用いる場合には厚さは10μm〜50μmであるのが好ましい。上記好適下限値以上に設定することで包装材として十分な強度を確保できるとともに、上記好適上限値以下に設定することで張り出し成形時や絞り成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。
(熱可塑性樹脂層)
前記熱可塑性樹脂層(内側層)3は、リチウムイオン二次電池等で用いられる腐食性の強い電解液などに対しても優れた耐薬品性を具備させるとともに、包材にヒートシール性を付与する役割を担うものである。
前記熱可塑性樹脂層3としては、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂未延伸フィルム層であるのが好ましい。前記熱可塑性樹脂未延伸フィルム層3は、特に限定されるものではないが、耐薬品性およびヒートシール性の点で、ポリエチレン、ポリプロピレン、オレフィン系共重合体、これらの酸変性物およびアイオノマーからなる群より選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂からなる未延伸フィルムにより構成されるのが好ましい。
前記熱可塑性樹脂層3の厚さは、20μm〜80μmに設定されるのが好ましい。20μm以上とすることでピンホールの発生を十分に防止できるとともに、80μm以下に設定することで樹脂使用量を低減できてコスト低減を図り得る。中でも、前記熱可塑性樹脂層3の厚さは30μm〜50μmに設定されるのが特に好ましい。なお、前記熱可塑性樹脂層3は、単層であってもよいし、複層であってもよい。複層フィルムとして、ブロックポリプロピレンフィルムの両面にランダムポリプロピレンフィルムを積層した三層フィルムを例示できる。
(金属箔層)
前記金属箔層4は、成形用包装材1に酸素や水分の侵入を阻止するガスバリア性を付与する役割を担うものである。前記金属箔層4としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ステンレス箔等が挙げられ、アルミニウム箔が一般的に用いられる。前記金属箔層4の厚さは、20μm〜100μmであるのが好ましい。20μm以上であることで金属箔を製造する際の圧延時のピンホール発生を防止できるとともに、100μm以下であることで張り出し成形時や絞り成形時の応力を小さくできて成形性を向上させることができる。
(第1接着剤層)
前記第1接着剤層5は、金属箔4と外側層である耐熱性樹脂層2との接合を担うとともに成形用包装材1の外面側に色(無彩色を含む)を付与する層であり、着色顔料と特定の接着剤とを含む着色接着剤組成物からなる。
前記着色接着剤組成物において、着色顔料の種類は限定されず、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、縮合多環系顔料、無機系顔料等を使用できる。また、黒色顔料としてはカーボンブラックを推奨できる。また、着色顔料は平均粒径が0.1〜5μmのものを使用することが好ましく、特に好ましい平均粒径は0.5〜2.5μmである。顔料分散に際しては顔料分散機を用いることで顔料分散する事が好ましく、顔料分散に際しては界面活性剤等の顔料分散剤を使用する事も出来る。
前記着色接着剤組成物において、接着剤は、主剤としてのポリエステル樹脂と硬化剤としての多官能イソシアネート化合物とによる二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂を含む接着剤で構成されている。本発明においては、前記二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂の主剤であるポリエステル樹脂の分子量を規定するとともに、硬化剤である多官能イソシアネート化合物の種類を規定することによって、接着強度および成形性を高めて深い成形を行った時の層間剥離を抑制する。
前記ポリエステル樹脂はジカルボン酸およびジアルコールを原料とする共重合体であり、好ましい材料および組成は以下のとおりである。
前記ジカルボン酸として脂肪族ジカルボン酸の芳香族ジカルボン酸の両方を用いることが好ましい。また、脂肪族ジカルボン酸のメチレン鎖のメチレン数の奇偶は樹脂の結晶性に影響を及ぼす因子であり、偶数のメチレンを有するジカルボン酸は結晶性の高い硬い樹脂を生成するので、偶数のメチレンを有する脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましい。メチレン数が偶数の脂肪族ジカルボン酸として、コハク酸(メチレン数2)、アジピン酸(メチレン数4)、スベリン酸(メチレン数6)、セバシン酸(メチレン数8)を例示できる。
芳香族ジカルボン酸として、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸を例示できる。
また、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸の合計量に対する芳香族ジカルボン酸の含有率を40〜80モル%の範囲とすることにより、換言すると、脂肪族ジカルボン酸の含有率を20〜60モル%の範囲にとどめることにより、接着強度が高くかつ成形性の良い樹脂を生成し、成形性が良く側壁の高いケースへの成形が可能であり、かつ金属箔層4と耐熱性樹脂層2との層間剥離を抑制しうる成形用包装材となし得る。また、芳香族ジカルボン酸の含有率が40モル%未満では膜物性が低下して凝集剥離が発生しやすくなるので、層間剥離が発生し易くなる。一方、芳香族ジカルボン酸の含有率が80%を超えると樹脂が硬くなって密着性能が低下する傾向がある。特に好ましい芳香族ジカルボン酸の含有率は50〜70モル%である。
前記ジアルコールはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールを例示できる。
前記ポリエステル樹脂の分子量は、数平均分子量(Mn)を8,000〜25,000、重量平均分子量(Mw)を15,000〜50,000の範囲にそれぞれ規定し、さらにこれらの比率(Mw/Mn)を1.3〜2.5とする。数平均分子量(Mn)が8,000以上であり、重量平均分子量(Mw)が15,000以上であることで適性な塗膜強度と耐熱性が得られ、数平均分子量(Mn)が25,000以下であり、重量平均分子量(Mw)が50,000以下であることで硬くなり過ぎずに適性な塗膜伸びが得られる。また、これの比率(Mw/Mn)が1.3〜2.5であることで適性な分子量分布となり接着剤塗布適性(分布が広い)と性能(分布が狭い)のバランスを保つことができる。前記ポリエステル樹脂の特に好ましい数平均分子量(Mn)は10,000〜23,000であり、特に好ましい重量平均分子量(Mw)は20,000〜40,000であり、特に好ましい(Mw/Mn)は1.5〜2.3である。
前記ポリエステル樹脂の分子量は、多官能性であるイソシアネートで鎖伸長することで調整することができる。即ち、主剤中のポリエステル成分をNCOで連結すると末端が水酸基のポリマーが生成され、イソシアネート基とポリエステルの水酸基との当量比の調整によりポリエステル樹脂の分子量を調整することができる。本発明においては、これらの当量比(OH/NCO)が1.01〜10となるように連結したものを用いることが好ましい。また、他の分子量調整方法として、ジカルボン酸とジアルコールの縮重合反応の反応条件(ジカルボン酸とジアルコールの配合モル比の調整)の変更を挙げることができる。
さらに、接着主剤の添加剤としてエポキシ系樹脂やアクリル系樹脂を添加しても良い。
前記硬化剤としての多官能イソシアネート化合物は、芳香族系、脂肪族系、脂環族系の各種イソシアネート化合物を使用できる。具体例としては、脂肪族系のヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、芳香族系のトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等のジイソシアネートの1種類又は2種類以上からの多官能イソシアネート変性体が挙げられる。変性手段として水、グリセリン、トリメチロールプロパン等の多官能活性水素化合物とのアダクト体の他に、イソシアヌレート化、カルボジイミド化、ポリメリック化等の多量化反応による多官能イソシアネート変性体が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用いることもできる。しかし、硬化後の接着強度を増大させて耐熱性樹脂層2の剥離防止効果を得るために、芳香族系イソシアネート化合物を50モル%以上含有していることが必要である。好ましい芳香族系イソシアネート化合物の含有率は70モル%以上である。
前記二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂において、主剤と硬化剤との配合割合はポリオール水酸基(−OH)1モルに対してイソシアネート官能基(−NCO)2〜25モルの割合で配合されていることが好ましい。これらのモル比(−NCO)/(−OH)が2未満でイソシアネート官能基(−NCO)が少なくなると、十分な硬化反応が行われずに適性な塗膜強度および耐熱性が得られなくなるおそれがある。一方、(−NCO)/(−OH)が25を超えてイソシアネート官能基(−NCO)が多くなると、ポリオール以外の官能基との反応が進み過ぎて塗膜が硬くなりすぎて適性な伸びが得られなくなるおそれがある。特に好ましいポリオール水酸基とイソシアネート官能基のモル比(−NCO)/(−OH)は5〜20である。
前記二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂は、反応後の硬化膜が以下の物性を有していることが好ましい。前記硬化膜は、成形用包装材1の良好な成形性と層間の接合強度とを確保するために、引張試験(JIS K7162)によるヤング率が70〜400MPaであることが好ましい。特に好ましいヤング率は100〜300MPaである。また破断強度が20〜70MPaであり、破断伸びが50〜400%であることが好ましい。特に好ましい破断強度は30〜50MPaであり、特に好ましい破断伸びは100〜300%である。さらに、引張応力−歪み曲線(S−S曲線)が破断前に強度低下を示さないことが好ましい。図2はS−S曲線の3つのパターンを示している。引張応力に対してパターンAは歪み量が小さくパターンBは歪み量が大きいがいずれも引張応力の増加に伴って歪み量が増加しており、破断前の強度低下は見られない。一方、パターンCは歪み量の増加の過程で引張応力が低下しており、破断前に強度低下を示している。本発明においては、二液硬化型接着剤の硬化膜がS−S曲線において強度低下がないことが好ましい。さらに好ましくは、S−S曲線において強度が急激に変化する屈曲点がないことが好ましい。
前記二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂を含む接着剤は、ポリエステル樹脂の原料であるジカルボン酸およびジアルコールを縮重合し、要すればさらに多官能性であるイソシアネートで鎖伸長し、溶媒及びウレタン化反応触媒、接着力向上の為のカップリング剤やエポキシ樹脂、消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤を混合して流動状のポリエステル樹脂溶液とし、これに硬化剤である多官能イソシアネート化合物あるいはさらに溶媒を配合して低粘度流動状物として調製する。
前記着色接着剤組成物を構成する成分の好ましい条件は以下のとおりである。なお、以下に記載する含有率には溶媒を含まない固形成分の割合である。
前記着色顔料とポリエステル樹脂(二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂の主剤)の合計量に対する着色顔料の好ましい含有率は5〜60質量%である。着色顔料の含有率が5質量%未満では、金属箔層4を隠蔽する効果が小さく金属光沢が視認されて重厚感が損なわれるおそれがある。またケース形状に成形する際に部分的な色ムラを生じるおそれがある。一方、着色顔料の含有率が60質量%を超えると、第1接着剤層5が硬く、脆くなり、金属箔層4に対する接着力が低下するおそれがある。接着力の低下は、ケース形状への成形時に耐熱性樹脂層2が剥離する原因となり、また第1接着層5の凝集破壊の発生原因となる。
着色接着剤組成物は、着色顔料および上述した方法で調製した二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂を含む接着剤(溶媒、各種添加剤を含む)を所定割合で配合して調製される。金属箔層4と耐熱性樹脂層2との貼り合わせ方法は限定されないが、ドライラミネートと呼ばれる方法を推奨できる。具体的には、金属箔層4の上面または耐熱性樹脂層2の下面、あるいはこれらの両方の面に調製した着色接着剤組成物を塗布し、溶媒を蒸発させて乾燥皮膜とした後に金属箔層4と耐熱性樹脂層2を貼り合わせる。その後さらに二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂の硬化条件に従って硬化させる。これにより、金属箔層4と耐熱性樹脂層2とが第1接着剤層5を介して接合される。なお、着色接着剤組成物の塗布手法は、グラビアコート法、リバースロールコート法、リップロールコート法等を例示できる。
前記第1接着剤層5の硬化後の厚みは0.1〜10μmの範囲が好ましい。0.1μm以上であることで着色顔料の色調に透明感が残ることがなく、金属箔層4の色、光沢を十分に隠蔽できる。また、10μm以下であることで、良好な成形性を保ち、かつ第1接着剤層5が部分的に割れてしまうことを十分に防止できる。
(第2接着剤層)
前記第2接着剤層6としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリオレフィン系接着剤、エラストマー系接着剤、フッ素系接着剤、酸変性ポリプロピレン接着剤等により形成された接着剤層が挙げられる。中でも、アクリル系接着剤、ポリオレフィン系接着剤を用いるのが好ましく、この場合には、包装材1の耐電解液性および水蒸気バリア性を向上させることができる。
金属箔層4と熱可塑性樹脂層3との貼り合わせ方法は限定されないが、上述した金属箔層4と耐熱性樹脂層2との貼り合わせと同じく、第2接着剤層を構成する接着剤を塗布して乾燥させた後に貼り合わせるドライラミネート法を例示できる。
(成形用包装材の作製)
金属箔層4の上面に上述した第1接着剤層5(着色接着剤組成物)を介して耐熱性樹脂層2を貼り合わせ、下面に第2接着剤層6を介して熱可塑性樹脂層3を貼り合わせて積層物とする。この積層物を使用する二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂の硬化条件に従って所定温度で保持することにより、金属箔層4の両面に、それぞれ第1接着剤層5および第2接着剤層6を介して耐熱性樹脂層2および熱可塑性樹脂層3が接合されて成形用包装材1が作製される。
なお、本発明の成形用包装材は各層の貼り合わせ方法および貼り合わせの工程を上記の方法および工程に限定するものではなく、他の方法や工程によって作製した場合も本発明に含まれる。
[成形用包装材の他の形態]
本発明の成形用包装材は図1に示した積層構造に限定されるものではなく、層を追加して包装材として機能を向上させることができる。図3に示した成形用包装材10は、金属箔層4の両面に化成皮膜11a、11bを形成したものである。また、図4に示した成形用包装材20は、前記化成皮膜11a、11bに加えて耐熱性樹脂層2の外面にマットコート層21を形成したものである。
(金属箔層の化成皮膜)
成形用包装材の外側層および内側層は樹脂からなる層であり、これらの樹脂層には極微量ではあるが、ケースの外部からは光、酸素、液体が入り込むおそれがあり、内部からは内容物(電池の電解液、食品、医薬品等がしみ込むおそれがある。これらの侵入物が金属箔層に到達すると金属箔層の腐食原因となる。本発明の成形用包装材においては、金属箔層4の表面に耐食性の高い化成皮膜11a、11bを形成することにより、金属箔層4の耐食性向上を図ることができる。
化成皮膜は金属箔表面に化成処理を施すことによって形成される皮膜であり、例えば、金属箔にクロメート処理、ジルコニウム化合物を用いたノンクロム型化成処理を施すことによって形成することができる。例えば、クロメート処理の場合は、脱脂処理を行った金属箔の表面に下記1)〜3)のいずれかの混合物の水溶液を塗工した後乾燥させる。
1)リン酸と、クロム酸と、フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩のうちの少なくとも一方と、の混合物
2)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂およびフェノール系樹脂のうちのいずれかと、クロム酸およびクロム(III)塩のうちの少なくとも一方と、の混合物
3)リン酸と、アクリル系樹脂、キトサン誘導体樹脂、フェノール系樹脂のうちのいずれかと、クロム酸およびクロム(III)塩のうちの少なくとも一方と、フッ化物の金属塩およびフッ化物の非金属塩のうちの少なくとも一方と、の混合物
前記化成皮膜11a、11bはクロム付着量として0.1〜50mg/mが好ましく、特に2〜20mg/mが好ましい。かかる厚さまたはクロム付着量の化成皮膜によって高耐食性の成形用包装材となし得る。
なお、図3の成形用包装材10は金属箔層4の両面に化成皮膜11a、11bを形成した例であるが、どちらか一方の面に化成皮膜を有する包装材も本発明に含まれる。
(マットコート層)
マットコート層21は耐熱性樹脂層2の外面に形成され、成形用包装材20の表面に良好な滑り性を付与して成形性を向上させる層である。
前記マットコート層21は、耐熱性樹脂成分中に無機微粒子が分散含有された樹脂組成物からなるマットコート層である。中でも、前記マットコート層21は、二液硬化型の耐熱性樹脂に、平均粒径が1μm〜10μmの無機微粒子が0.1質量%〜1質量%含有された樹脂組成物からなる構成であるのが好ましい。前記耐熱性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられるが、耐熱性、耐薬品性に優れる点で、テトラフルオロエチレンまたはフルオロエチレンビニルエーテルをベースにしたフッ素系樹脂を用いるのが好ましい。前記無機微粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム等が挙げられ、中でもシリカを用いるのが好ましい。
前記マットコート層21の形成は、上述した無機微粒子と耐熱性樹脂とを含むマットコート組成物を耐熱性樹脂層2の表面に塗布して硬化させることにより行う。
前記マットコート層21の硬化後の厚さは0.5〜5μmが好ましい。前記下限値よりも薄い層では滑り性向上効果が少なく、上限値よりも厚い層ではコストアップとなる。特に好ましい厚さは1〜3μmの範囲である。
前記マットコート層21の表面のグロス値は、JIS Z8741に基づく60°反射角測定値で1%〜15%に設定されるのが好ましい。前記グロス値は、例えばBYK社製のグロス測定器「micro−TRI−gloss−s」により60°反射角で測定して得られる。
前記マットコート層21を形成する工程の時期は限定されないが、金属箔層4に第1接着剤層5を介して耐熱性樹脂層2を貼り合わせる工程に続いて行うことが好ましい。
なお、図4の成形用包装材20は図1の基本構成に化成皮膜11a、11bおよびマットコート層21の両方を追加した例を示しているが、これらを同時に具備することを要さず、図1の基本構成にマットコート層21のみを追加した包装材も本発明に含まれる。
[成形ケース]
本発明の成形用包装材1、10、20を成形(深絞り成形、張り出し成形等)することにより、成形ケース(電池ケース等)を得ることができる。
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
以下の実施例1〜6よび比較例1〜5において、図3または図4に示した積層構造の成形用包装材10、20を作製した。これらは第1接着剤層5の組成およびマットコート層21の有無のみが異なり、その他の材料は共通である。共通材料は以下のとおりである。
金属箔層4は厚さ40μmのA8079からなるアルミニウム箔4であり、このアルミニウム箔の両面に、ポリアクリル酸、三価クロム化合物、水、アルコールからなる化成処理液を塗布し、150℃で乾燥を行って化成皮膜11a、11bを形成した。この化成皮膜11a、11bによるクロム付着量は10mg/mである。
外側層である耐熱樹脂層2は厚さ25μmの二軸延伸ナイロンフィルムであり、内側層である熱可塑性樹脂層3は厚さ40μmの未延伸ポリプロピレンフィルムである。また、第2接着剤層6にはポリアクリル接着剤を使用した。
〈実施例1〉
まず、二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂の主剤であるポリエステル樹脂(ポリエステルポリオール)を作製する。主剤は、ネオペンチルグリコール30モル部、エチレングリコール30モル部、1,6−ヘキサンジオール40モル部を80℃で溶融し、攪拌しながら脂肪族ジカルボン酸であるアジピン酸(メチレン数4)30モル部、芳香族ジカルボン酸であるイソフタル酸70モル部を210℃で20時間縮重合反応させてポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオールは、数平均分子量(Mn)12,000、重量平均分子量(Mw)20,500、これらの比率(Mw/Mn)1.71である。さらに、このポリエステルポリオール40質量部に酢酸エチル60質量部を加えて流動状のポリエステルポリオール樹脂溶液とした。また、水酸基価は2.2mgKOH/g(溶液値)であった。
次に、平均粒子径1.0μmのカーボンブラック13.3質量部、上記のポリエステルポリオール樹脂溶液100質量部、酢酸エチル64.4質量部を配合後、顔料分散機を使用しカーボンブラック顔料を分散して、固形成分の含有率が30質量%で着色顔料を固形分中25%含む接着主剤を得た。前記着色顔料を含む接着主剤100質量部に対して、硬化剤として芳香族イソシアネート化合物であるトリレンジイソシアネート(TDI)(芳香族系)とトリメチロールプロパンとのアダクト体(NCO%13.0%、固形分75%)7.1質量部を配合し、さらに酢酸エチルを34.1質量部配合して良く撹拌することによって着色接着剤組成物を得た。
前記着色接着剤組成物において、イソシアネート官能基(−NCO)とポリエステルポリオール水酸基(−OH)のモル比(−NCO)/(−OH)は10である。
次に、化成皮膜11a、11bを形成したアルミニウム箔4の一方の面に前記着色接着剤組成物を塗布して乾燥させて第1接着剤層5を形成した。この第1接着剤層5の乾燥後の重量は4.2g/mであり、厚みは4.5μmである。前記第1接着剤層5に耐熱性樹脂層2を貼り合わせるとともに、他方の面に第2接着剤層6としてポリアクリル接着剤を塗布し、熱可塑性樹脂層3を貼り合わせた。この積層体を40℃環境下で5日間放置することによって、図3に示す成形用包装材10を得た。
〈実施例2〉
第1接着層5を構成する着色接着剤組成物の主剤として、実施例1と同じ出発材料を用い、ジカルボン酸全量に対するジオール成分全量の配合モル比を実施例1より多く調整することにより、分子量の異なるポリエステルポリオールを作製した。このポリエステルポリオールの数平均分子量(Mn)は8,900、重量平均分子量(Mw)は15,000、Mw/Mnは1.69である。更に着色接着剤組成物におけるポリエステルポリオール水酸基(−OH)と硬化剤NCO基のモル比(−NCO)/(−OH)を5として配合した以外は実施例1と同様にして、図3に示す成形用包装材10を得た。
〈実施例3〉
第1接着層5を形成する着色接着剤組成物の硬化剤として、実施例1の硬化剤のジイソシアネート成分を芳香族のトリレンジイソシアネート(TDI)70モル%と脂肪族イソシアネート化合物であるヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)30モル%に変更したトリレンジイソシアネート(TDI)とヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)とトリメチロールプロパンとのアダクト体である多官能イソシアネート化合物(NCO%13.0%、固形分75%)としたこと以外は、実施例1と同様にして、図3に示す成形用包装材10を得た。
〈実施例4〉
第1接着層5を構成する着色接着剤組成物の着色顔料を含む接着主剤として、実施例1のカーボンブラック4.4質量部、ポリエステルポリオール樹脂溶液100質量部、酢酸エチル43.6質量部を用い、着色顔料を固形分中10%含む接着主剤としたこと以外は、実施例1と同様にして、図3に示す成形用包装材10を得た。
〈実施例5〉
第1接着層5を構成する着色接着剤組成物において、実施例1の着色顔料を含む接着主剤100質量部に対して、硬化剤として芳香族イソシアネート化合物であるトリレンジイソシアネート(TDI)(芳香族系)とトリメチロールプロパンとのアダクト体(NCO%13.0%、固形分75%)3.6質量部、酢酸エチルを31質量部配合したことによりポリエステルポリオール水酸基(−OH)のモル比(−NCO)/(−OH)を5とした以外は、実施例1と同様にして、図3に示す成形用包装材10を得た。
〈実施例6〉
マットコート層21用に、耐熱性樹脂としてフルオロエチレンビニルエステルを80質量部と無機微粒子として硫酸バリウム10質量部、粉状シリカ10質量部を混合してマットコート組成物を調製した。このマットコート組成物を、実施例1の工程における耐熱性樹脂層2の貼り合わせに続いて、乾燥後の厚みが2μmとなるように耐熱性樹脂層2に塗布した。その後は実施例1と同様にして、図4に示す成形用包装材20を得た。
作製した成形用包装材20のマットコート層21について、BYK社製のグロス測定器「micro−TRI−gloss−s」により60°反射角により光沢度を測定したところ、グロス値は1.9%であった。
〈比較例1〉
第1接着層5を構成する着色接着剤組成物の主剤として、実施例1と同じ出発材料を用い、反応条件を変えることにより分子量の異なるポリエステルポリオールを作製した。このポリエステルポリオールの数平均分子量(Mn)は6,700、重量平均分子量(Mw)は8,400、Mw/Mnは1.25である。分子量の異なるポリエステルポリオールを用いたことによりポリエステルポリオール水酸基(−OH)のモル比(−NCO)/(−OH)を4とした以外は実施例1と同様にして、図3に示す成形用包装材10を得た。
〈比較例2〉
第1接着層5を形成する着色接着剤組成物の硬化剤として、実施例1の硬化剤のジイソシアネート成分を芳香族のトリレンジイソシアネート(TDI)30モル%と脂肪族イソシアネート化合物であるヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)70モル%に変更したトリレンジイソシアネート(TDI)とヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)とトリメチロールプロパンとのアダクト体である多官能イソシアネート化合物(NCO%13.0%、固形分75%)としたこと以外は、実施例1と同様にして、図3に示す成形用包装材10を得た。
〈比較例3〉
第1接着層5を形成する着色接着剤組成物の硬化剤として、実施例2の硬化剤のジイソシアネート成分を芳香族のトリレンジイソシアネート(TDI)30モル%と脂肪族イソシアネート化合物であるヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)70モル%に変更したトリレンジイソシアネート(TDI)とヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)とトリメチロールプロパンとのアダクト体である多官能イソシアネート化合物(NCO%13.0%、固形分75%)としたこと以外は、実施例2と同様にして、図3に示す成形用包装材10を得た。
表1に、各例で使用した着色接着剤組成物を構成する成分の詳細を再掲するとともに、成形用包装材の概略構成を示す。表1において、カーボンブラック含有率とはカーボンブラックとポリエステルポリオールの合計量に対するカーボンブラックの含有率である。
上記のようにして得られた各成形用包装材について下記評価法に基づいて評価を行った。それらの結果を表1に示す。
〈成形品の外観(色むら)の評価法〉
各実施例毎、各比較例毎に、それぞれ30個の成形用包装材を製造し、パンチとダイス等を用いて、内側の熱可塑性樹脂層3をパンチと接触させる態様で、縦50mm×横35mm×深さ5.5mmの直方体形状に深絞り成形を行って、周囲にフランジ部を有する成形ケースを作製した。なお、深絞り成形に用いた成形用包装材は、いずれも耐熱性樹脂層3がアルミニウム箔4から剥離していないことを肉眼で確認したものである。
作製した成形ケースの外観を耐熱性樹脂層2の側から目視観察し、色むらの有無を下記判定基準に基づいて評価した。
「○」…色むらなし
「△」…色むら小
「×」…色むら大
〈剥離の有無の評価法〉
各実施例毎、各比較例毎に、それぞれ30個の成形用包装材を製造し、これらについて、耐熱性樹脂層のアルミニウム箔から剥離の有無を肉眼で、下記a)、b)、c)の3つの状態時において調べ、下記判定基準に基づいて評価した。
(判定基準)
「◎」…耐熱性樹脂層がアルミニウム箔から剥離したものが、30個中0個である
「○」…耐熱性樹脂層がアルミニウム箔から剥離したものが、30個中、1個または2個である
「△」…耐熱性樹脂層がアルミニウム箔から剥離したものが、30個中、3個〜5個である
「×」…耐熱性樹脂層がアルミニウム箔から剥離したものが、30個中、6個〜30個である。
a)深絞り成形した直後の成形用包装材。即ち、上記の成形品の色むらに関する外観目視検査を実施した成形用包装材。
b)a)の成形ケースと同一材質の成形用包装材からフラットな蓋材を作製した。一方、a)の成形ケースから耐熱性樹脂層に剥離の無かったもののみを選び出し、剥離の無い成形ケースのフランジ部に蓋材を重ね、200℃×0.3MPa×6secの条件でヒートシールを行った。このヒートシール直後の成形用包装材。
c)a)の成形ケースから耐熱性樹脂層に剥離の無かったもののみを選び出し、剥離の無い成形ケースを、60℃×95%RHの高温高湿試験機の中に72時間入れ続けた後、取り出して常温で5日放置経過後の成形用包装材。
〈硬化膜の物性〉
実施例1〜6、比較例1〜3で使用した二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂接着剤(表1参照)の硬化膜、即ち、第1接着剤層の組成から着色顔料を除外した組成の硬化膜を作成してその物性を評価した。
非接着性の未処理PPフィルムに乾燥後の厚みが50μmとなるように二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂接着剤を塗布し、溶媒を乾燥させた後、残存イソシアネートが5%以下になるまで60℃でエージングを行って硬化させた。硬化膜を未処理PPフィルムから剥離し、15mm幅に切断したものを試験片とした。
作製した試験片を標点距離50mm、引張速度200mm/minの条件で引張試験を行い、ヤング率、破断強度および破断伸びを測定した。測定結果を表1に示す。
また、この引張試験におけるS−S曲線を求めたところ、そのパターンは実施例1〜6は図2に示したパターンAであり、比較例1〜3はパターンBであった。
Figure 0006247136
表1から明らかなように、本発明の実施例1〜6の成形用包装材は、深絞り成形を行った後、成形ケースをヒートシールしても耐熱可塑性樹脂層が剥離することがないし、高温多湿の環境下においても殆ど剥離することがない。
これに対し、分子量の小さいポリオールを使用した比較例1や芳香族系の含有率の低いイソシアネートを用いた比較例2、3はヒートシールや高温多湿の環境下において耐熱性樹脂層に剥離が生じた。
本発明に係る成形用包装材は、ノートパソコン用、携帯電話用、車載用、定置型のリチウムイオンポリマー二次電池等の電池のケースとして好適に用いられ、これ以外にも、食品の包装材、医薬品の包装材として好適であるが、特にこれらの用途に限定されるものではない。中でも、電池ケース用として特に好適である。
1、10、20…成形用包装材
2…耐熱性樹脂層(外側層)
3…熱可塑性樹脂層(内側層)
4…金属箔層(アルミニウム箔)
5…第1接着剤層(着色接着剤組成物)
6…第2接着剤層
11a、11b…化成皮膜
21…マットコート層

Claims (7)

  1. 外側層としての耐熱性樹脂層と、内側層としての熱可塑性樹脂層と、これら両層間に配設された金属箔層と、前記金属箔層と耐熱性樹脂層との間に配設された第1接着剤層と、前記金属箔層と熱可塑性樹脂層との間に配設された第2接着剤層とを含む成形用包装材であって、
    前記第1接着剤層は、着色顔料と、主剤としてのポリエステル樹脂と硬化剤としての多官能イソシアネート化合物とによる二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂を含む接着剤とを含む着色接着剤組成物からなり、
    前記ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が8,000〜25,000、重量平均分子量(Mw)が15,000〜50,000であり、これらの比率(Mw/Mn)が1.3〜2.5であり、
    前記多官能イソシアネート化合物は50モル%以上の芳香族系イソシアネートを含んでいることを特徴とする成形用包装材。
  2. 前記二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂において、主剤としての前記ポリエステル樹脂がジカルボン酸およびジアルコールを原料とし、
    前記ジカルボン酸は、メチレン鎖のメチレン数が偶数の脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸とを含み、これらの合計量に対する芳香族ジカルボン酸の含有率が40〜80モル%である請求項1に記載の成形用包装材。
  3. 前記着色接着剤組成物において、着色顔料とポリエステル樹脂の合計量に対する着色顔料の含有率が5〜60質量%である請求項1または2に記載の成形用包装材。
  4. 前記二液硬化型ポリエステルウレタン樹脂の硬化膜は引張試験(JIS K7162)によるヤング率が70〜400MPaである請求項1〜3のいずれかに記載の成形用包装材。
  5. 前記金属箔層の少なくとも一方の面に化成皮膜を有する請求項1〜4のいずれかに記載の成形用包装材。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の成形用包装材を深絞り成形または張り出し成形してなることを特徴とする成形ケース。
  7. 電池ケースとして用いられる請求項6に記載の成形ケース。
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