本願発明は少なくとも1つのメソゲン基と、当該メソゲン基に直接若しくはスペーサー基及び/又は連結基を介して結合する少なくとも1つの反応性基と、当該メソゲン基に直接結合する少なくとも1つの反応性基を有さない末端基とを有し、当該反応性基を有さない末端基に1つの炭素−炭素三重結合を有する化合物を提供し、併せて当該化合物を含有する組成物、当該組成物を重合させることにより得られる重合体及び当該重合体を用いた光学異方体を提供する。ここで、メソゲン基とは、1つの環構造から構成されるか、又は、2つ以上の環構造と該環構造間を連結する連結基とから構成される部分を意味する。
本願発明における化合物として、一般式(I)
(式中、Pは重合性基を表し、S1及びS2は各々独立して、スペーサー基又は単結合を表すが、S1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよく、X1及びX2は各々独立して−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−(C(Y1)2)n1−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CY1=CY1−(式中、Y1は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表し、n1は1から6の整数を表すが、Y1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。)又は単結合を表すが、X1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよく、A1及びA2は各々独立して1,4−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル、1,4−シクロヘキセニレン、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、ピペリジン−2,5−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル又はフルオレン−2,7−ジイルを表すが、これらの基は無置換又は1つ以上のLによって置換されても良く、これらの環構造における1つ以上の=CH−基は=N−に置換されても良く、若しくはこれらの基における1つ以上の連続しない−CH2−基は各々独立して−O−又は−S−に置換されても良く、A1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、Zは単結合、連結基として−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−(C(Y2)2)n1−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CY2=CY2−又は−C≡C−を表し(式中、Y2は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表し、n1は1から6の整数を表すが、Y2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。)、Zが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよく、Rは水素原子、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基若しくは1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−又は−CY3=CY3−(式中、Y3は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)によって置換されても良い炭素原子数1から25の直鎖又は分岐アルキル基を表し、mは0から8の整数を表し、nは0から5の整数を表し、Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、−N(Y4)2、−Si(Y4)3、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基(式中、Y4は各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、Y4が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。)、ヒドロキシル基又はメルカプト基を表す。)で表される化合物が好ましい。
また、一般式(I)においてPは重合性基を表すが、下記の式(P−1)から式(P−20)
から選ばれる基を表すことが好ましく、これらの重合性基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合及びアニオン重合により重合する。特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−4)、式(P−5)、式(P−7)、式(P−11)、式(P−13)、式(P−15)又は式(P−18)が好ましく、式(P−1)、式(P−2)、式(P−7)、式(P−11)又は式(P−13)がより好ましく、式(P−1)、式(P−2)又は式(P−3)がさらに好ましく、式(P−1)又は式(P−2)が特に好ましい。
S1及びS2は各々独立してスペーサー基又は単結合を表すが、S1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。また、スペーサー基としては、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基が好ましく、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10のアルキレン基がさらに好ましい。また、S1が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く、S1が各々独立して1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10のアルキレン基又は単結合を表しS2が単結合を表すことがより好ましく、S1が炭素原子数1から10のアルキレン基又は単結合を表しS2が単結合を表すことがさらに好ましく、S1が炭素原子数1から10のアルキレン基を表しS2が単結合を表すことが特に好ましい。
X1及びX2は各々独立して−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−(C(Y1)2)n1−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CY1=CY1−(式中、Y1は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表し、n1は1から6の整数を表すが、Y1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。)又は単結合を表すが、X1が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良い。また、X1及びX2は、各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−CY1=CY1−(式中、Y1は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表し、n1は1から6の整数を表すが、Y1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。)又は単結合を表すことが好ましく、各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表すことがより好ましい。さらに、X1が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表しX2が単結合を表すことが特に好ましい。
A1及びA2は、A1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよいが、各々独立して1,4−フェニレン、ナフタレン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル、1,4−シクロヘキセニレン、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、ピペリジン−2,5−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、インダン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル又はフルオレン−2,7−ジイルを表すが、これらの基は無置換又は1つ以上のLによって置換されても良く、これらの環構造における1つ以上の=CH−基は=N−に置換されても良く、若しくはこれらの基における1つ以上の連続しない−CH2−基は各々独立して−O−又は−S−に置換されても良いが、A1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。また、A1及びA2は、各々独立して1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル、インダン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル又はフルオレン−2,7−ジイルを表すが、これらの基は無置換又は1つ以上のLによって置換されても良く、これらの基における1つ以上の連続しない−CH2−基は各々独立して−O−に置換されても良い場合が好ましく、A1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。さらに、A1及びA2は、各々独立して1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイルを表すが、これらの基は無置換又は1つ以上のLによって置換されても良い場合がより好ましく、A1及びA2が各々独立して下記の式(a−1)から式(a−11)
(式中、Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、−N(Y4)2、−Si(Y4)3、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基(式中、Y4は各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。)
から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
Zは単結合、−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−(C(Y2)2)n1−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CY2=CY2−又は−C≡C−を表す(式中、Y2は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表し、n1は1から6の整数を表すが、Y2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。)が、Zが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。また、Zは単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CF2O−、−OCF2−、−CF2S−、−SCF2−、−CH2CH2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−CY2=CY2−又は−C≡C−を表す(式中、Y2は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表し、n1は1から6の整数を表すが、Y2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。)ことがより好ましく、Zが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。そして、Zは単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−CY2=CY2−又は−C≡C−を表す(式中、Y2は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表し、n1は1から6の整数を表すが、Y2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。)ことがさらに好ましく、Zが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。Zは単結合、−OCH2−、−CH2O−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−C≡C−を表すことがさらにより好ましく、Zが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。Zは単結合、−COO−、−OCO−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−C≡C−を表すことが特に好ましく、Zが複数存在する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
Rは水素原子、シアノ基、ニトロ基、イソシアノ基、チオイソシアノ基若しくは1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−又は−CY3=CY3−(式中、Y3は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)によって置換されても良い炭素原子数1から25の直鎖又は分岐アルキル基を表すが、水素原子、シアノ基、ニトロ基若しくは1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−によって置換されても良い炭素原子数1から25の直鎖又は分岐アルキル基を表すことが好ましく、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−によって置換されても良い炭素原子数1から25の直鎖又は分岐アルキル基を表すことがより好ましく、炭素原子数1から20の直鎖アルキル基を表すことがさらにより好ましく、炭素原子数1から10の直鎖アルキル基を表すことが特に好ましい。
mは0から8の整数を表すが、0から4の整数を表すことが好ましく、0から2の整数を表すことがより好ましく、0又は1を表すことがさらに好ましく、1を表すことが特に好ましい。
nは0から5の整数を表すが、0から4の整数を表すことが好ましく、1から4の整数を表すことがより好ましく、1、2又は3を表すことが特に好ましい。
Lはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、−N(Y4)2、−Si(Y4)3、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基(式中、Y4は各々独立して水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルフラニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すが、Y4が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていてもよい。)、ヒドロキシル基又はメルカプト基を表すが、
Lはフッ素原子、塩素原子、シアノ基、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から5の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことがより好ましく、フッ素原子、塩素原子、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から5の直鎖状アルキル基を表すことがさらに好ましく、フッ素原子、塩素原子、メチル基、メトキシ基を表すことが特に好ましい。
一般式(I)で表される化合物として、X2及びS2が単結合を表すことが、原料の入手容易さ及び合成の容易さの点から好ましい。
また、一般式(I)で表される化合物として、Rが炭素原子数1から20の直鎖アルキル基を表すことが、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの点から好ましい。
さらに、一般式(I)で表される化合物として、S1が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く各々独立して1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10のアルキレン基又は単結合を表すことが、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの点から好ましい。
そして、一般式(I)で表される化合物として、X1が複数現れる場合は各々同一であっても異なっていても良く各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表すことが、液晶性、原料の入手容易さ及び合成の容易さの点から好ましい。
重合性組成物を重合させ得られた重合体をディスプレイ用途の光学フィルムとして使用する場合には、ディスプレイの設計自由度及びデザインの観点から当該光学フィルムの膜圧がなるべく薄いことが好ましい。その場合、添加する重合性化合物の屈折率異方性がなるべく高いことが好ましく、この観点からA2が芳香族基を表し、X2及びS2が単結合を表すことが好ましい。
一般式(I)で表される化合物として具体的には、下記の式(I−1)から式(I−105)で表される化合物が好ましい。
本願発明の化合物は以下の製法で製造することができる。
(製法1)下記式(S−8)で表される化合物の製造
(式中、P、S1、X1、L、Rは各々独立して一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、rは各々独立して0から4の整数、sは各々独立して0から3の整数を表し、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表し、PGは保護基を表す。)
一般式(S−1)で表される化合物を一般式(S−2)で表される化合物と薗頭クロスカップリングさせることにより一般式(S−3)で表される化合物を得る。反応条件としては例えば、Metal−Catalyzed Cross−Coupling Reactions(Armin de Meijere、Francois Diedrich共著、Wiley−VCH)、Palladium Reagents and Catalysts:New Perspectives for the 21st Century(Jiro Tsuji著、Wiley & Sons,Ltd.)、Cross−Coupling Reactions:A Practical Guide(Topics in Current Chemistry)(S.L.Buchwald、K.Fugami、T.Hiyama、M.Kosugi、M.Miura、N.Miyaura、A.R.Muci、M.Nomura、E.Shirakawa、K.Tamao著、Springer)等の文献に記載の方法が好ましい。パラジウム触媒としては例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド等が挙げられる。銅触媒としては例えばヨウ化銅(I)が挙げられる。塩基としては例えばトリエチルアミンが挙げられる。
一般式(S−3)で表される化合物を保護基PGにより水酸基を保護された一般式(S−4)で表される化合物と反応させることにより一般式(S−5)で表される化合物を得る。反応条件としては例えば、縮合剤を用いる方法又は、一般式(S−4)で表される化合物を酸クロリド、混合酸無水物又はカルボン酸無水物とした後、一般式(S−3)で表される化合物と塩基存在下反応させる方法が挙げられる。縮合剤を用いる場合、縮合剤として例えばN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等が挙げられる。
一般式(S−5)で表される化合物の保護基(PG)を脱保護する。脱保護の反応条件としては、反応過程において一般式(S−6)で表される化合物を与えるものであれば特に制限は無いが、例えば、GREENE’S PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIG SYNTHESIS((Fourth Edition)、PETER G.M.WUTS、THEODORA W.GREENE共著、A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)に挙げられている反応条件が好ましい。
一般式(S−6)で表される化合物を前記一般式(S−7)で表される化合物と反応させることにより一般式(S−8)で表される化合物を得る。反応条件としては例えば、縮合剤を用いる方法又は、一般式(S−7)で表される化合物を酸クロリド、混合酸無水物又はカルボン酸無水物とした後、一般式(S−6)で表される化合物と塩基存在下反応させる方法が挙げられる。縮合剤を用いる場合は上記と同様なものが挙げられる。
前記以外の反応条件として、例えば、実験化学講座(日本化学会編、丸善株式会社発行)、Organic Syntheses(A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)、Beilstein Handbook of Organic Chemistry(Beilstein−Institut fuer Literatur der Organischen Chemie、Springer−Verlag Berlin and Heidelberg GmbH & Co.K)、Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis(John Wiley & Sons,Inc.)等の文献若しくはSciFinder又はReaxys等のデータベースに収録されている条件が挙げられる。
各工程において適宜反応溶媒を用いることができる。溶媒としては目的の化合物を与えるものであれば制限は無い。溶媒としては、例えばtert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、イソペンチルアルコール、シクロヘキサノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−オクタノール、2−メトキシエタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メタノール、メチルシクロヘキサノール、エタノール、プロパノール、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、1−クロロブタン、二硫化炭素、アセトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、o−ジクロロベンゼン、キシレン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、クロロベンゼン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸2−メトキシエチル、ヘキサメチルリン酸トリアミド、トリス(ジメチルアミノ)ホスフィン、シクロヘキサノン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、スチレン、テトラクロロエチレン、テトラヒドロフラン、ピリジン、1−メチル−2−ピロリジノン、1,1,1−トリクロロエタン、トルエン、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、シクロペンタン、ヘプタン、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、tert−ブチルメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチルブチルケトン、ジエチルケトン、ガソリン、コールタールナフサ、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレビン油、ミネラルスピリット等が挙げられる。有機溶媒及び水の二相系で反応を行う場合、相間移動触媒を添加することも可能である。相間移動触媒としては、例えば、テトラブチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリド等が挙げられる。
また、各工程において必要に応じて精製を行うことができる。精製方法としてはクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華、再沈殿、吸着、分液処理等が挙げられる。精製剤を用いる場合、精製剤としてシリカゲル、アルミナ、活性炭、活性白土、セライト、ゼオライト、メソポーラスシリカ、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、備長炭、木炭、グラフェン、イオン交換樹脂、酸性白土、二酸化ケイ素、珪藻土、パーライト、セルロース、有機ポリマー、多孔質ゲルが挙げられる。当該精製剤は一般的に入手可能なものが使用可能である。
(製法2)下記式(S−12)で表される化合物の製造
(式中、P、S1、L、Rは各々独立して一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、rは各々独立して0から4の整数、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表す。)
一般式(S−3)で表される化合物を例えばトリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)と反応させることにより一般式(S−9)で表される化合物を得る。
式(S−9)で表される化合物を式(S−10)で表される化合物と反応させることにより式(S−11)で表される化合物を得ることができる。反応例として例えば金属触媒及び塩基存在下、クロスカップリングさせる方法が知られている。金属触媒、塩基及び反応条件としては例えば製法1記載の物が挙げられる。
一般式(S−11)で表される化合物を一般式(S−12)で表される化合物と反応させることにより式(S−13)で表される化合物を得る。反応条件としては例えば、光延反応又は、一般式(S−12)で表される化合物をスルホン酸等と反応させスルホン酸エステルとするか、ハロゲン化試薬と反応させハロゲン化合物とした後、一般式(S−11)で表される化合物と塩基存在下反応させる方法が挙げられる。光延反応を用いる場合、アゾジカルボン酸としては例えばアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル等が挙げられる。ホスフィンとしては例えばトリフェニルホスフィンが挙げられる。また、シアノメチレントリブチルホスホラン等の角田試薬を用いてもよい。スルホン酸エステルを経由する場合、スルホン酸としてフルオロスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。塩基としては前記の物が挙げられる。製法1と同様、適宜反応溶媒、反応条件、精製方法を選択できる。
(製法3)下記式(S−20)で表される化合物の製造
(式中、P、S1、X2、L、Rは各々独立して一般式(I)で定義されたものと同一のものを表し、rは各々独立して0から4の整数、halogenはハロゲン原子又はハロゲン等価体を表し、Sa及びSbは各々独立して1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は−OCO−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20のアルキレン基を表す。)
式(S−14)で表される化合物を式(S−15)で表される化合物と塩基存在下反応させることにより式(S−16)で表される化合物を得ることができる。塩基としては製法1又は製法2記載のものが使用可能であるが、その他に水素化リチウム、水素化ナトリウム等が使用可能である。
一般式(S−16)で表される化合物をトリメチルシリルアセチレンと薗頭クロスカップリングさせることにより一般式(S−17)で表される化合物を得る。反応条件としては製法1記載の文献に記載の方法が好ましい。パラジウム触媒としては製法1記載のものが使用可能である。塩基としては製法1記載のものが使用可能である。また、トリメチルシリルアセチレンの代わりに、2−メチル−3−ブチン−2−オール、アセチレン等を使用してもよい。
一般式(S−17)で表される化合物を脱保護することにより一般式(S−18)で表される化合物を得る。反応条件としては例えば製法1記載の文献に挙げられているものが好ましい。
一般式(S−18)で表される化合物を一般式(S−1)で表される化合物と薗頭クロスカップリングさせることにより一般式(S−19)で表される化合物を得る。反応条件としては製法1記載の文献に記載の方法が好ましい。パラジウム触媒及び塩基としては製法1記載のものが使用可能である。
一般式(S−19)で表される化合物を一般式(S−12)で表される化合物と反応させることにより式(S−20)で表される化合物を得る。反応条件としては例えば、光延反応又は、一般式(S−12)で表される化合物をスルホン酸等と反応させスルホン酸エステルとするか、ハロゲン化試薬と反応させハロゲン化合物とした後、一般式(S−19)で表される化合物と塩基存在下反応させる方法が挙げられる。反応方法としては例えば製法2記載のものが挙げられる。製法1と同様、適宜反応溶媒、反応条件、精製方法を選択できる。
本願発明の化合物は、ネマチック液晶組成物、スメクチック液晶組成物、キラルスメクチック液晶組成物及びコレステリック液晶組成物に使用することが好ましい。本願発明の反応性化合物を用いる液晶組成物において本願発明以外の化合物を添加しても構わない。
本願発明の反応性化合物と混合して使用される他の反応性化合物としては、具体的には一般式(II)
(式中、P1及びP2はそれぞれ重合性基を表し、S3及びS4は各々独立して単結合又は炭素原子数1〜20個のアルキレン基を表すが、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、X3及びX4は各々独立して、単結合、−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−OCOOCH2−、−CH2OCOO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CH=N−、−SCH2−、−CH2S−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CF2−、−CF2O−、−OCF2−、−CY4=CY4−(式中、Y4は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)又は−C≡C−を表し、Z1は各々独立して、単結合、−O−、−S−、−OCH2−、−CH2O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−OCOOCH2−、−CH2OCOO−、−CO−NH−、−NH−CO−、−SCH2−、−CH2S−、−CH=N−、−SCH2−、−CH2S−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH2CH2−、−OCO−CH2CH2−、−CH2CH2−COO−、−CH2CH2−OCO−、−COO−CH2−、−OCO−CH2−、−CH2−COO−、−CH2−OCO−、−CF2−、−CF2O−、−OCF2−、−CY5=CY5−(式中、Y5は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)又は−C≡C−を表し、A3及びA4は各々独立して、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基又は1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基を表すが、A3及びA4は各々独立して無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、m1は0、1、2又は3を表し、m1が2又は3を表す場合、2個あるいは3個存在するA3及び/又はZ1は同一であっても異なっていても良いが、一般式(I)で表される化合物を除く。)で表される化合物で表される化合物が好ましく、一般式(II)のP1及びP2は、下記の式(P−1)から式(P−20)
から選ばれる基を表すことが好ましく、これらの重合性基はラジカル重合、ラジカル付加重合、カチオン重合及びアニオン重合により重合する。一般式(II)のP1及びP2は、特に重合方法として紫外線重合を行う場合には、式(P−1)、式(P−2)、式(P−3)、式(P−4)、式(P−5)、式(P−7)、式(P−11)、式(P−13)、式(P−15)又は式(P−18)が好ましく、式(P−1)、式(P−2)、式(P−7)、式(P−11)又は式(P−13)がより好ましく、式(P−1)、式(P−2)又は式(P−3)がさらに好ましく、式(P−1)又は式(P−2)が特に好ましい。
具体的には、一般式(III)
(式中、R1及びR2は各々独立して水素又はメチル基を表し、S5及びS6は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基、X5及びX6は各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表し、Z2及びZ3は各々独立して−COO−又は−OCO−を表し、A5、A6及びA7は各々独立して無置換或いはフッ素原子、塩素原子又は炭素原子数1から4のアルキル基又はアルコキシ基によって置換された1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物が好ましく、下記式(III−1)から式(III−8)で表される化合物が特に好ましい。
(式中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表し、S5は一般式(III)におけるS5と同じ意味を表し、S6は一般式(III)におけるS6と同じ意味を表す。)上記式(III−1)から式(III−8)において、S5及びS6が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物がさらに好ましい。
また、一般式(IV)
(式中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表し、S7及びS8は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基、X7及びX8は各々独立して−O−、−COO−、−OCO−又は単結合を表し、Z4は−COO−又は−OCO−を表し、A8、A9及びA10は各々独立して無置換或いはフッ素原子、塩素原子又は炭素原子数1から4のアルキル基又はアルコキシ基によって置換された1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物が好ましく、下記式(IV−1)から式(IV−8)で表される化合物が特に好ましい。
(式中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表し、S7は一般式(IV)におけるS7と同じ意味を表し、S8は一般式(IV)におけるS8と同じ意味を表す。)上記式(IV−1)から式(IV−8)において、耐熱性及び耐久性の観点から、式(IV−2)、式(IV−5)、式(IV−6)、式(IV−7)及び式(IV−8)で表される化合物が好ましく、式(IV−2)で表される化合物がさらに好ましく、S7及びS8が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物が特に好ましい。
この他、好ましい2官能重合性化合物としては下記一般式(V−1)から式(V−8)で表される化合物が挙げられる。
(式中、R1及びR2は水素原子又はメチル基を表し、S9及びS10は各々独立して炭素原子数2から18のアルキレン基を表す。)上記式(V−1)から式(V−8)において、式(V−2)、式(V−3)、式(V−4)、式(V−6)、式(V−7)及び式(V−8)で表される化合物が好ましく、S9及びS10が各々独立して炭素原子数2から8のアルキレン基である化合物が特に好ましい。
好ましい単官能重合性化合物としては下記一般式(VI−1)から式(VI−9)で表される化合物が挙げられる。
(式中、P3は重合性基を表し、好ましい重合性基は、前記一般式(II)のP1及びP2と同様なものが挙げられ、S11は単結合又は炭素原子数1から20個のアルキレン基を表すが、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−は−O−、−COO−、−OCO−、−OCOO−に置き換えられても良く、X9は単結合、−O−、−COO−、−OCO−を表し、Z5は単結合、−COO−、−OCO−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CY6=CY6−(式中、Y6は各々独立して水素原子、炭素原子数1から12のアルキル基、フッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)又は−C≡C−を表し、A11は1,4−フェニレン基又はナフタレン−2,6−ジイル基を表すが、A11は無置換であるか又はアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基又はニトロ基に置換されていても良く、L1はフッ素原子、塩素原子、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、rは0から4の整数を表し、R1は水素原子、フッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、1個の−CH2−又は隣接していない2個以上の−CH2−が各々独立して−O−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表す。)
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物には、当該組成物の液晶性を大きく損なわない程度に、液晶性を示さない重合性化合物を添加することも可能である。具体的には、この技術分野で高分子形成性モノマーあるいは高分子形成性オリゴマーとして認識される化合物であれば特に制限なく使用可能である。
また、本願発明の化合物は光重合開始剤を使用しなくても重合させることが可能であるが、目的により光重合開始剤を添加しても構わない。その場合は光重合開始剤の濃度は、本願発明の化合物に対し0.1質量%から15質量%が好ましく、0.2質量%から10質量%がより好ましく、0.4質量%から8質量%がさらに好ましい。光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類、アシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられる。光重合開始剤としては、具体的には2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(DAROCUR 1173)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)等が挙げられる。熱重合開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物等が挙げられる。熱重合開始剤としては、具体的には2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)等が挙げられる。また、1種類の重合開始剤を用いても良く、2種類以上の重合開始剤を併用して用いても良い。
また、本発明の液晶組成物には、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、組成物に対して0.005質量%から1質量%の範囲が好ましく、0.02質量%から0.8質量%がより好ましく、0.03質量%から0.5質量%がさらに好ましい。また、1種類の安定剤を用いても良く、2種類以上の安定剤を併用して用いても良い。安定剤としては、具体的には式(VII−1)から式(VII−36)
(式中、nは0から20の整数を表す。)で表される化合物が好ましい。
また、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物をフィルム類、光学素子類、機能性顔料類、医薬品類、化粧品類、コーティング剤類、合成樹脂類等の用途に利用する場合には、その目的に応じて金属、金属錯体、染料、顔料、色素、蛍光材料、燐光材料、界面活性剤、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等を添加することもできる。
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合することにより得られるポリマーは種々の用途に利用できる。例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、配向させずに重合することにより得られるポリマーは、光散乱板、偏光解消板、モアレ縞防止板として利用可能である。また、配向させた後に重合することにより得られるポリマーは、光学異方性を有しており有用である。このような光学異方体は、例えば、本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を、布等でラビング処理した基板、有機薄膜を形成した基板又はSiO2を斜方蒸着した配向膜を有する基板に担持させるか、基板間に挟持させた後、当該重合性液晶組成物を重合することによって製造することができる。
重合性液晶組成物を基板上に担持させる際の方法としては、スピンコーティング、ダイコーティング、エクストルージョンコーティング、ロールコーティング、ワイヤーバーコーティング、グラビアコーティング、スプレーコーティング、ディッピング、プリント法等を挙げることができる。またコーティングの際、重合性液晶組成物に有機溶媒を添加しても良い。有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、非プロトン性溶媒等を使用することができるが、例えば炭化水素系溶媒としてはトルエン又はヘキサンを、ハロゲン化炭化水素系溶媒としては塩化メチレンを、エーテル系溶媒としてはテトラヒドロフラン、アセトキシ−2−エトキシエタン又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、アルコール系溶媒としてはメタノール、エタノール又はイソプロパノールを、ケトン系溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、γ−ブチルラクトン又はN−メチルピロリジノン類を、エステル系溶媒としては酢酸エチル又はセロソルブを、非プロトン性溶媒としてはジメチルホルムアミド又はアセトニトリルを挙げることができる。これらは単独でも、組み合わせて用いても良く、その蒸気圧と重合性液晶組成物の溶解性を考慮し、適宜選択すれば良い。添加した有機溶媒を揮発させる方法としては、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥を用いることができる。重合性液晶材料の塗布性をさらに向上させるためには、基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設けることや、重合性液晶材料にレベリング剤を添加する事も有効である。基板上にポリイミド薄膜等の中間層を設ける方法は、重合性液晶材料を重合することにより得られるポリマーと基板との密着性を向上させるために有効である。
上記以外の配向処理としては、液晶材料の流動配向の利用、電場又は磁場の利用を挙げることができる。これらの配向手段は単独で用いても、また組み合わせて用いても良い。さらに、ラビングに代わる配向処理方法として、光配向法を用いることもできる。基板の形状としては、平板の他に、曲面を構成部分として有していても良い。基板を構成する材料は、有機材料、無機材料を問わずに用いることができる。基板の材料となる有機材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、トリアセチルセルロース、セルロース、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられ、また、無機材料としては、例えば、シリコン、ガラス、方解石等が挙げられる。
本願発明の化合物を含有する重合性液晶組成物を重合させる際、迅速に重合が進行することが望ましいため、紫外線又は電子線等の活性エネルギー線を照射することにより重合させる方法が好ましい。紫外線を使用する場合、偏光光源を用いても良く、非偏光光源を用いても良い。また、液晶組成物を2枚の基板間に挟持させて状態で重合を行う場合、少なくとも照射面側の基板は活性エネルギー線に対して適当な透明性を有していなければならない。また、光照射時にマスクを用いて特定の部分のみを重合させた後、電場や磁場又は温度等の条件を変化させることにより、未重合部分の配向状態を変化させて、さらに活性エネルギー線を照射して重合させるという手段を用いても良い。また、照射時の温度は、本発明の重合性液晶組成物の液晶状態が保持される温度範囲内であることが好ましい。特に、光重合によって光学異方体を製造しようとする場合には、意図しない熱重合の誘起を避ける意味からも可能な限り室温に近い温度、即ち、典型的には25℃での温度で重合させることが好ましい。活性エネルギー線の強度は、0.1mW/cm2〜2W/cm2が好ましい。強度が0.1mW/cm2以下の場合、光重合を完了させるのに多大な時間が必要になり生産性が悪化してしまい、2W/cm2以上の場合、重合性液晶化合物又は重合性液晶組成物が劣化してしまう危険がある。
重合によって得られた当該光学異方体は、初期の特性変化を軽減し、安定的な特性発現を図ることを目的として熱処理を施すこともできる。熱処理の温度は50〜250℃の範囲であることが好ましく、熱処理時間は30秒〜12時間の範囲であることが好ましい。
このような方法によって製造される当該光学異方体は、基板から剥離して単体で用いても、剥離せずに用いても良い。また、得られた光学異方体を積層しても、他の基板に貼り合わせて用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を更に記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
(実施例1)式(I−1)で表される化合物の製造
滴下ロートを備えた反応容器に、式(I−1−1)で表される化合物50.0g(0.46モル)、ヨウ化カリウム84.4g(0.51モル)、メタノール500mLを加えた。氷冷しながら濃硫酸68.0g(0.69モル)を滴下した。さらに30%過酸化水素水104.8g(0.93モル)を滴下した。50℃で5時間加熱撹拌した。水、酢酸エチルを加え希釈し、分液処理した。食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−1−2)で表される化合物90.5g(0.39モル)を得た。
反応容器に式(I−1−2)で表される化合物50.0g(0.21モル)、1−ペンチン29.1g(0.43モル)、ヨウ化銅(I)0.81g(4.3ミリモル)、エタノールアミン26.1g(0.43モル)、テトラヒドロフラン200mL、水200mLを加えた。系内を窒素置換した後、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド1.5g(2.1ミリモル)を加え、5時間加熱還流させた。酢酸エチルで希釈し、5%塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製を行い、式(I−1−3)で表される化合物23.1g(0.13モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−1−3)で表される化合物23.1g(0.13モル)、式(I−1−4)で表される化合物24.6g(0.11モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン1.3g(10.7ミリモル)、ジクロロメタン150mLを加えた。氷冷しながらN,N−ジイソプロピルカルボジイミド16.2g(0.13モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、濾過し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−1−5)で表される化合物17.0g(0.044モル)を得た。
反応容器に式(I−1−5)で表される化合物17.0g(0.044モル)、トルエン40mL、テトラヒドロフラン40mL、プロピルアミン3.1g(0.052モル)を加えた。室温で10時間撹拌した後、塩酸、食塩水で洗浄した。濃縮、乾燥し、式(I−1−6)で表される化合物13.6g(0.039モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−1−6)で表される化合物13.6g(0.039モル)、式(I−1−7)で表される化合物9.9g(0.040モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.48g(3.9ミリモル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらN,N−ジイソプロピルカルボジイミド6.0g(0.048モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、濾過し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−1)で表される化合物14.7gを得た。
相転移温度:C 91 N >200 I
1H NMR(CDCl3)δ 1.06(t,3H),1.64(m,2H),2.24(m,5H),2.39(t,2H),4.18(t,2H),4.40(t,2H),5.86(dd,1H),6.15(dd,1H),6.43(dd,1H),7.01(d,2H),7.12(d,1H),7.31(d,1H),7.35(s,1H),7.47(dd,1H),7.78(d,1H),7.93(d,1H),8.06(d,1H),8.21(m,3H),8.81(s,1H)ppm.
13C NMR(CDCl3)δ 13.6,16.2,21.4,22.2,28.6,61.2,64.7,77.2,80.1,90.1,114.4,118.9,121.6,122.0,122.0,122.6,126.2,126.4,128.2,128.3,130.3,130.4,130.5,131.0,131.1,131.8,132.5,134.4,136.6,149.0,151.0,163.3,164.8,166.2ppm.
(実施例2)式(I−2)で表される化合物の製造
反応容器に式(I−2−1)で表される化合物20.0g(0.066モル)、1−ヘキシン5.7g(0.070モル)、ヨウ化銅(I)0.25g(1.3ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド120mL、トリエチルアミン40mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.77g(0.66ミリモル)を加え、3時間加熱撹拌した。ヘキサンで希釈し、5%塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)で精製を行い、式(I−2−2)で表される化合物12.2g(0.048モル)を得た。
反応容器に式(I−2−2)で表される化合物12.2g(0.048モル)、式(I−2−3)で表される化合物6.6g(0.048モル)、炭酸カリウム9.9g(0.072モル)、テトラヒドロフラン100mL、水100mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.55g(0.48ミリモル)を加え、7時間加熱還流させた。酢酸エチルで希釈し、5%塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−2−4)で表される化合物10.8g(0.040モル)を得た。
反応容器に式(I−2−4)で表される化合物10.8g(0.040モル)、式(I−2−5)で表される化合物10.0g(0.052モル)、炭酸カリウム8.3g(0.060モル)、ジメチルスルホキシド100mLを加え、90℃で12時間加熱撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、水、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−2)で表される化合物11.3gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:422
HRMS:422.23
(実施例3)式(I−3)で表される化合物の製造
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−2−4)で表される化合物10.0g(0.039モル)、式(I−1−7)で表される化合物9.8g(0.039モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.48g(3.9ミリモル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらN,N−ジイソプロピルカルボジイミド6.0g(0.048モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、濾過し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−3)で表される化合物12.6gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:486
HRMS:486.18
(実施例4)式(I−4)で表される化合物の製造
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−2−4)で表される化合物10.0g(0.039モル)、ピリジン4.0g(0.051モル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらトリフルオロメタンスルホン酸無水物13.3g(0.047モル)を滴下した。室温で10時間撹拌した後、塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−4−1)で表される化合物14.0g(0.036モル)を得た。
反応容器に式(I−4−1)で表される化合物14.0g(0.036モル)、式(I−2−3)で表される化合物5.0g(0.036モル)、炭酸カリウム7.5g(0.054モル)、テトラヒドロフラン100mL、水100mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.42g(0.36ミリモル)を加え、7時間加熱還流させた。酢酸エチルで希釈した後、塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−4−2)で表される化合物9.2g(0.028モル)を得た。
反応容器に式(I−4−2)で表される化合物9.2g(0.028モル)、式(I−2−5)で表される化合物6.9g(0.036モル)、炭酸カリウム5.8g(0.042モル)、ジメチルスルホキシド60mLを加え、90℃で12時間加熱撹拌した。ジクロロメタンで希釈し、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−4)で表される化合物9.0gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:484
HRMS:484.24
(実施例5)式(I−5)で表される化合物の製造
反応容器に式(I−5−1)で表される化合物10.0g(0.037モル)、1−ペンチン3.0g(0.045モル)、ヨウ化銅(I)0.14g(0.74ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド120mL、トリエチルアミン40mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.43g(0.37ミリモル)を加え、90℃で12時間加熱撹拌した。トルエンで希釈した後、塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−5−2)で表される化合物6.4g(0.025モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器にジイソプロピルアミン3.8g(0.037モル)、テトラヒドロフラン20mLを加えた。−20℃で1.6モル/Lブチルリチウム/ヘキサン溶液20.3mL(0.032モル)を滴下した。−20℃で1時間撹拌した後、式(I−5−2)で表される化合物6.4g(0.025モル)をテトラヒドロフラン20mLに溶解させた溶液を滴下した。−20℃で2時間撹拌した後、ホウ酸トリイソプロピル7.0g(0.037モル)のテトラヒドロフラン溶液10mLを滴下した。室温で2時間撹拌した後、10%塩酸50mLを加えた。分液処理し、食塩水で洗浄した後、濃縮、乾燥させることにより、式(I−5−3)で表される化合物6.9g(0.023モル)を得た。
反応容器に式(I−5−3)で表される化合物6.9g(0.023モル)、式(I−5−1)で表される化合物6.2g(0.023モル)、炭酸カリウム4.8g(0.034モル)、エタノール80mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.27g(0.23ミリモル)を加えた。12時間加熱還流させた後、トルエンで希釈し食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−5−4)で表される化合物8.2g(0.018モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器にジイソプロピルアミン2.8g(0.028モル)、テトラヒドロフラン10mLを加えた。−20℃で1.6モル/Lブチルリチウム/ヘキサン溶液14.9mL(0.024モル)を滴下した。−20℃で1時間撹拌した後、式(I−5−4)で表される化合物8.2g(0.018モル)をテトラヒドロフラン40mLに溶解させた溶液を滴下した。−20℃で2時間撹拌した後、ホウ酸トリイソプロピル4.5g(0.024モル)のテトラヒドロフラン溶液10mLを滴下した。室温で2時間撹拌した後、10%塩酸20mLを加えた。分液処理し、食塩水で洗浄した後、30%過酸化水素水20mLを滴下した。50℃で5時間加熱撹拌した後、分液処理し、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−5−5)で表される化合物7.4g(0.016モル)を得た。
反応容器に式(I−5−5)で表される化合物7.4g(0.016モル)、式(I−5−6)で表される化合物3.1g(0.021モル)、炭酸カリウム3.4g(0.024モル)、ジメチルスルホキシド50mLを加えた。90℃で12時間加熱撹拌した後、ジクロロメタンで希釈し食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−5)で表される化合物6.3gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:572
HRMS:572.20
(実施例6)式(I−6)で表される化合物の製造
反応容器に式(I−6−1)で表される化合物10.0g(0.053モル)、式(I−6−2)で表される化合物15.0g(0.053モル)、炭酸カリウム11.0g(0.080モル)、テトラヒドロフラン70mL、水70mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.61g(0.53ミリモル)を加えた。3時間加熱還流させた後、酢酸エチルで希釈し、5%塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−6−3)で表される化合物13.5g(0.045モル)を得た。
反応容器に式(I−6−3)で表される化合物13.5g(0.045モル)、3−クロロプロパノール5.6g(0.059モル)、炭酸セシウム22.1g(0.068モル)、ジメチルスルホキシド100mLを加えた。60℃で7時間加熱撹拌した後、ジクロロメタンで希釈し食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−6−4)で表される化合物14.2g(0.040モル)を得た。
反応容器に式(I−6−4)で表される化合物14.2g(0.040モル)、1−ペンチン3.5g(0.052モル)、ヨウ化銅(I)0.15g(0.80ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド120mL、トリエチルアミン40mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.46g(0.40ミリモル)を加え、90℃で12時間加熱撹拌した。酢酸エチルで希釈した後、塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−6−5)で表される化合物9.9g(0.029モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−6−5)で表される化合物9.9g(0.029モル)、トリエチルアミン4.3g(0.043モル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながら塩化メタクリロイル3.9g(0.037モル)を滴下した。室温で7時間撹拌した後、5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−6)で表される化合物8.3gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:412
HRMS:412.20
(実施例7)式(I−7)で表される化合物の製造
反応容器に式(I−7−1)で表される化合物10.0g(0.052モル)、1−ペンチン4.6g(0.067モル)、ヨウ化銅(I)0.20g(1.0ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド120mL、トリエチルアミン40mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.60g(0.52ミリモル)を加え、90℃で12時間加熱撹拌した。トルエンで希釈した後、塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−7−2)で表される化合物7.0g(0.039モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器にジイソプロピルアミン5.9g(0.058モル)、テトラヒドロフラン20mLを加えた。−20℃で1.6モル/Lブチルリチウム/ヘキサン溶液31.6mL(0.051モル)を滴下した。−20℃で1時間撹拌した後、式(I−7−2)で表される化合物7.0g(0.039モル)をテトラヒドロフラン20mLに溶解させた溶液を滴下した。−20℃で2時間撹拌した後、ホウ酸トリイソプロピル11.0g(0.058モル)のテトラヒドロフラン溶液10mLを滴下した。室温で2時間撹拌した後、10%塩酸50mLを加えた。分液処理し、食塩水で洗浄した後、濃縮、乾燥させることにより、式(I−7−3)で表される化合物7.4g(0.033モル)を得た。
反応容器に式(I−7−3)で表される化合物7.4g(0.033モル)、式(I−6−2)で表される化合物9.3g(0.033モル)、炭酸カリウム6.8g(0.050モル)、エタノール80mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.38g(0.33ミリモル)を加えた。4時間加熱還流させた後、トルエンで希釈し食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−7−4)で表される化合物10.1g(0.030モル)を得た。
反応容器に式(I−7−4)で表される化合物10.1g(0.030モル)、トリメチルシリルアセチレン3.8g(0.039モル)、ヨウ化銅(I)0.11g(0.60ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド120mL、トリエチルアミン40mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.35g(0.30ミリモル)を加え、90℃で12時間加熱撹拌した。トルエンで希釈した後、塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−7−5)で表される化合物8.5g(0.024モル)を得た。
反応容器に式(I−7−5)で表される化合物8.5g(0.024モル)、炭酸カリウム6.6g(0.048モル)、メタノール200mLを加えた。室温で12時間撹拌した後、トルエンで希釈し5%塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−7−6)で表される化合物6.6g(0.024モル)を得た。
反応容器に4−ヨードフェノール20.0g(0.091モル)、3−クロロプロパノール11.2g(0.12モル)、炭酸セシウム44.4g(0.14モル)、ジメチルスルホキシド200mLを加えた。60℃で7時間加熱撹拌した後、ジクロロメタンで希釈し5%塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−7−7)で表される化合物23.5g(0.085モル)を得た。
反応容器に式(I−7−7)で表される化合物6.6g(0.024モル)、式(I−7−6)で表される化合物6.6g(0.024モル)、ヨウ化銅(I)0.090g(0.47ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド60mL、トリエチルアミン20mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.27g(0.24ミリモル)を加え、90℃で5時間加熱撹拌した。トルエンで希釈した後、塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−7−8)で表される化合物7.8g(0.018モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−7−8)で表される化合物7.8g(0.018モル)、トリエチルアミン2.8g(0.027モル)、ジクロロメタン60mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル2.1g(0.024モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−7)で表される化合物6.6gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:484
HRMS:484.19
(実施例8)式(I−8)で表される化合物の製造
反応容器に式(I−8−1)で表される化合物20.0g(0.063モル)、1−ペンチン5.6g(0.082モル)、ヨウ化銅(I)0.24g(1.3ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド120mL、トリエチルアミン40mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.73g(0.63ミリモル)を加え、90℃で5時間加熱撹拌した。トルエンで希釈した後、塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−8−2)で表される化合物13.3g(0.052モル)を得た。
反応容器に式(I−8−2)で表される化合物13.3g(0.052モル)、式(I−2−3)で表される化合物7.1g(0.052モル)、炭酸カリウム10.7g(0.078モル)、テトラヒドロフラン100mL、水100mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.60g(0.052モル)を加え、10時間加熱還流させた。酢酸エチルで希釈し、5%塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−8−3)で表される化合物11.9g(0.044モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−8−3)で表される化合物11.9g(0.044モル)、ピリジン5.2g(0.066モル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらトリフルオロメタンスルホン酸無水物16.1g(0.057モル)を滴下した。室温で7時間撹拌した後、塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−8−4)で表される化合物17.2g(0.043モル)を得た。
反応容器に式(I−8−4)で表される化合物17.2g(0.043モル)、式(I−8−5)で表される化合物9.7g(0.043モル)、酢酸ナトリウム5.2g(0.064モル)、N,N−ジメチルアセトアミド100mLを加えた。系内を窒素置換した後、trans−ジ(μ−アセタト)ビス[o−ジ−o−トリルホスフィノ)ベンジル]ジパラジウム(II)0.80g(0.85モル)を加え、140℃で60時間加熱撹拌した。塩酸、食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−8−6)で表される化合物11.7g(0.024モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−8−6)で表される化合物11.7g(0.024モル)、トリエチルアミン3.78g(0.036モル)、ジクロロメタン60mLを加えた。氷冷しながら塩化アクリロイル2.9g(0.032モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−8)で表される化合物11.0gを得た。
IR:3060−3030,2975−2920,1725,1630,1200,1160,1130,750,690cm−1.
LRMS:534
HRMS:534.20
(実施例9)式(I−9)で表される化合物の製造
滴下ロートを備えた反応容器にプロピルトリフェニルホスホニウムブロミド38.5g(0.10モル)、テトラヒドロフラン100mLを加えた。−20℃でカリウムtert−ブトキシド10.4g(0.092モル)を加えた。−20℃で1時間撹拌した後、式(I−9−1)で表される化合物20.0g(0.077モル)のテトラヒドロフラン溶液80mLを滴下した。室温で3時間撹拌した後、5%塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−9−2)で表される化合物19.4g(0.068モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−9−2)で表される化合物19.4g(0.068モル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながら臭素11.9g(0.074モル)を滴下した。3時間室温で撹拌した後、チオ硫酸ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−9−3)で表される化合物29.3g(0.066モル)を得た。
反応容器に式(I−9−3)で表される化合物29.3g(0.066モル)、テトラヒドロフラン200mLを加えた。氷冷しながらカリウムtert−ブトキシド11.0g(0.098モル)を加えた。室温で12時間撹拌した後、ジクロロメタンで希釈し、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−9−4)で表される化合物17.7g(0.062モル)を得た。
反応容器に式(I−9−4)で表される化合物17.7g(0.062モル)、トリメチルシリルアセチレン8.0g(0.081モル)、ヨウ化銅(I)0.24g(1.2ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド180mL、トリエチルアミン60mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.72g(0.62ミリモル)を加え、90℃で5時間加熱撹拌した。トルエンで希釈した後、塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−9−5)で表される化合物11.7g(0.046モル)を得た。
反応容器に式(I−9−5)で表される化合物11.7g(0.046モル)、炭酸カリウム12.8g(0.092モル)、メタノール200mLを加えた。室温で12時間撹拌した後、トルエンで希釈し5%塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−9−6)で表される化合物8.2g(0.045モル)を得た。
反応容器に式(I−9−6)で表される化合物8.2g(0.045モル)、式(I−9−7)で表される化合物12.0g(0.045モル)、ヨウ化銅(I)0.17g(0.90ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド90mL、トリエチルアミン30mLを加えた。系内を窒素置換した後、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.52g(0.45ミリモル)を加え、90℃で12時間加熱撹拌した。トルエンで希釈し塩酸、食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−9−8)で表される化合物13.4g(0.037モル)を得た。
反応容器に式(I−9−8)で表される化合物13.4g(0.037モル)、エタノール300mL、15%水酸化ナトリウム水溶液19.5g(0.073モル)を加えた。5時間加熱還流させた後、酢酸エチルで希釈し、塩酸、食塩水で洗浄した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−9−9)で表される化合物11.3g(0.035モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−9−9)で表される化合物11.3g(0.035モル)、3−エチル−3−オキセタンメタノール4.4g(0.038モル)、トリフェニルホスフィン11.0g(0.042モル)、テトラヒドロフラン100mLを加えた。氷冷しながらアゾジカルボン酸ジイソプロピル9.1g(0.045モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−9)で表される化合物10.5gを得た。
LRMS:422
HRMS:422.22
(実施例10)式(I−10)で表される化合物の製造
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−10−1)で表される化合物20.0g(0.098モル)、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム1.2g(4.9ミリモル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながら3,4−ジヒドロ−2H−ピラン9.9g(0.12モル)を滴下した。室温で10時間撹拌した後、飽和重曹水、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い、式(I−10−2)で表される化合物27.4g(0.095モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器にプロピルトリフェニルホスホニウムブロミド43.9g(0.11モル)、テトラヒドロフラン150mLを加えた。−20℃でカリウムtert−ブトキシド11.7g(0.10モル)を加えた。−20℃で1時間撹拌した後、式(I−10−2)で表される化合物27.4g(0.095モル)のテトラヒドロフラン溶液100mLを滴下した。室温で2時間撹拌した後、トルエンで希釈し食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(アルミナ)により精製を行い、式(I−10−3)で表される化合物25.7g(0.082モル)を得た。
反応容器に式(I−10−3)で表される化合物25.7g(0.082モル)、テトラヒドロフラン70mL、メタノール70mL、濃塩酸1mLを加え、室温で10時間撹拌した。酢酸エチルで希釈し食塩水で洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−10−4)で表される化合物18.1g(0.078モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−10−4)で表される化合物18.1g(0.078モル)、ジクロロメタン200mLを加えた。氷冷しながら臭素12.8g(0.080モル)を滴下した。3時間撹拌した後、チオ硫酸ナトリウム水溶液、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行うことにより、式(I−10−5)で表される化合物29.1g(0.074モル)を得た。
反応容器に式(I−10−5)で表される化合物29.1g(0.074モル)、テトラヒドロフラン300mLを加えた。カリウムtert−ブトキシド20.9g(0.19モル)を加え、10時間加熱還流させた。酢酸エチルで希釈し5%塩酸、食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)により精製を行い、式(I−10−6)で表される化合物13.8g(0.060モル)を得た。
滴下ロートを備えた反応容器に式(I−10−6)で表される化合物13.8g(0.060モル)、2−(トリフルオロメチル)アクリル酸9.3g(0.066モル)、N,N−ジメチルアミノピリジン0.74g(6.0ミリモル)、ジクロロメタン100mLを加えた。氷冷しながらN,N−ジイソプロピルカルボジイミド9.9g(0.079モル)を滴下した。室温で5時間撹拌した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル)及び再結晶により精製を行い、式(I−10)で表される化合物12.6gを得た。
LRMS:350
HRMS:350.15
実施例1から実施例10と同様の方法、公知の方法及び公知の方法に準拠した方法を用いて、下記式(I−11)から式(I−105)で表される化合物を製造した。
(実施例11〜20、比較例1〜3)
実施例1から実施例10記載の式(I−1)から式(I−10)で表される化合物及び、特許文献1記載の化合物(R−1)、特許文献2記載の化合物(R−2)並びに非特許文献1記載の化合物(R−3)を評価対象の化合物とした。
保存安定性を評価するために、評価対象の化合物の安定保存濃度を測定した。安定保存濃度は、母体液晶に評価対象となる化合物を10%から50%まで10%刻みで添加した組成物を各々調製し、調製した組成物を18.5℃で4週間放置した後に、結晶の析出が起こらない当該化合物の最大添加濃度と定義する。最大添加濃度が大きい化合物は安定保存濃度が大きく、長期間の保存によっても結晶の析出が発生しないことを意味する。
安定保存濃度を測定するために、下記化合物(X−1):40%、化合物(X−2):30%及び化合物(X−3):30%からなる液晶組成物を母体液晶(X)とした。測定結果を表1に示す。
表1より、実施例11から実施例20の本願発明の式(I−1)から式(I−10)で表される化合物はいずれも比較例1から比較例3の化合物(R−1)から化合物(R−3)と比較して、結晶の析出の起こらない最大添加濃度が同等若しくはそれ以上であり、高い保存安定性を示すことがわかる。
(実施例21〜30、比較例4〜6)
母体液晶(X)70gに評価対象となる化合物を30g添加することにより調製した組成物各々に対し、光重合開始剤Irgacure907(BASF社製)を3g添加した後シクロペンタノンに溶解させ25%の溶液とした。この溶液をガラス基板にスピンコート法で塗布し、65℃で3分乾燥した。得られた塗膜を60℃のホットプレート上に置き、紫外線を20mW/cm2の強度で60秒間照射した。得られた重合体について、偏光顕微鏡を用いてクロスニコル状態で観察したところ暗視野であった。また、波長550nmの光を重合体面に対し90度から減少させながらリタデーションを測定し、そのプロファイルによって、得られた重合体はホメオトロピック配向を有していることを確認した。リタデーションの測定にはシンテック社製OPTIPRO偏光解析装置を使用した。得られた重合体について、目視及び偏光顕微鏡観察によって配向状態を評価した。配向に欠陥が無く均一であれば◎、欠陥がごくわずかであれば〇、欠陥がやや多ければ△、欠陥が非常に多ければ×とした。また、得られた重合体について、表面硬度(JIS K5600−5−4塗料一般試験方法)を測定した。評価結果を表2に示す。
表2より、実施例21から実施例30の本願発明の式(I−1)から式(I−10)で表される化合物はいずれも比較例4から比較例6の化合物(R−1)から化合物(R−3)と比較して、配向に欠陥が生じにくく、高いホメオトロピック配向性を有することがわかる。また、実施例21から実施例30の本願発明の式(I−1)から式(I−10)で表される化合物はいずれも表面硬度が十分高いことがわかる。
以上の結果から、実施例1から実施例10記載の本願発明である式(I−1)から式(I−10)で表される化合物は、重合性組成物を構成した場合に保存安定性が高く、本願発明の化合物を用いた光学異方体はホメオトロピック配向性が高く、表面硬度の低下が起こりにくいことがわかる。従って、本願発明の化合物は、重合性組成物の構成部材として有用である。また、本願発明の化合物を含有する組成物を用いた光学異方体は光学フィルム等の用途に有用である。