JP6233084B2 - 微細発泡成形体の製造方法及び微細発泡成形体 - Google Patents
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Description
前記海相を形成する樹脂(A)がポリカーボネートを含有し、
前記島相を形成する樹脂(B)が、結晶性樹脂であり、当該結晶性樹脂が結晶性ポリエステル、結晶性ポリオレフィン及び結晶性ポリアミドから選択される少なくとも一種であり、
前記海相を形成する樹脂(A)のポリカーボネートの含有量を100質量部としたとき、前記島相を形成する樹脂(B)を10〜60質量部の範囲内で含有し、
少なくとも下記工程(1)〜(4)を経て形成することを特徴とする微細発泡成形体の製造方法。
(1)前記海相を形成する樹脂(A)と前記島相を形成する樹脂(B)とを混練して海島構造の樹脂組成物を作製する工程
(2)前記樹脂組成物を、射出成形機内で溶融・混練して、前記海相を形成する樹脂(A)中に前記島相を形成する樹脂(B)を個数平均粒径10μm以下の粒子状物として分散する工程
(3)溶融状態の当該樹脂組成物中に超臨界ガスを注入する工程
(4)前記超臨界ガスが注入された前記樹脂組成物を射出成形することにより、成形体内の島相内部に微細発泡セルを形成する工程
2.前記島相を形成する樹脂(B)が、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする第1項に記載の微細発泡成形体の製造方法。
前記海相を形成する樹脂(A)がポリカーボネートを含有し、
前記島相を形成する樹脂(B)が、結晶性樹脂であり、当該結晶性樹脂が結晶性ポリエステル、結晶性ポリオレフィン及び結晶性ポリアミドから選択される少なくとも一種であり、
前記海相を形成する樹脂(A)のポリカーボネートの含有量を100質量部とした
とき、前記島相を形成する樹脂(B)を10〜60質量部の範囲内で含有し、
少なくとも下記工程(1)〜(4)を経て形成されることを特徴とする微細発泡成形体。
(1)前記海相を形成する樹脂(A)と前記島相を形成する樹脂(B)とを混練して海島構造の樹脂組成物を作製する工程
(2)前記樹脂組成物を、射出成形機内で溶融・混練して、前記海相を形成する樹脂(A)中に前記島相を形成する樹脂(B)を個数平均粒径10μm以下の粒子状物として分散する工程
(3)溶融状態の当該樹脂組成物中に超臨界ガスを注入する工程
(4)前記超臨界ガスが注入された前記樹脂組成物を射出成形することにより、成形体内の島相内部に微細発泡セルを形成する工程
5.前記島相を形成する樹脂(B)が、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする第4
項に記載の微細発泡成形体。
(1)前記海相を形成する樹脂(A)と前記島相を形成する樹脂(B)とを混練して海島構造の樹脂組成物を作製する工程
(2)前記樹脂組成物を、射出成形機内で溶融・混練して、前記海相を形成する樹脂(A)中に前記島相を形成する樹脂(B)を個数平均粒径10μm以下の粒子状物として分散する工程
(3)溶融状態の当該樹脂組成物中に超臨界ガスを注入する工程
(4)前記超臨界ガスが注入された前記樹脂組成物を射出成形することにより、成形体内の島相内部に微細発泡セルを形成する工程
この特徴は、請求項1から請求項6までの請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
とき、前記島相を形成する樹脂(B)を10〜60質量部の範囲内で含有し、少なくとも下記工程(1)〜(4)を経て形成されることを特徴とする。
(1)前記海相を形成する樹脂(A)と前記島相を形成する樹脂(B)とを混練して海島構造の樹脂組成物を作製する工程
(2)前記樹脂組成物を、射出成形機内で溶融・混練して、前記海相を形成する樹脂(A)中に前記島相を形成する樹脂(B)を個数平均粒径10μm以下の粒子状物として分散する工程
(3)溶融状態の当該樹脂組成物中に超臨界ガスを注入する工程
(4)前記超臨界ガスが注入された前記樹脂組成物を射出成形することにより、成形体内の島相内部に微細発泡セルを形成する工程
また、本発明の効果発現の観点から、前記島相を形成する樹脂(B)が、結晶性ポリエステルを含有することが好ましい。前記島相を形成する樹脂(B)が、結晶性ポリエステルを含有する樹脂であると、ポリカーボネート中で結晶性ポリエステルが微粒子状に分散されやすく射出成形時に微細な発泡セルを形成することができる。
本発明の微細発泡成形体は、海相を形成する連続相と島相を形成する独立相からなる海島構造を有し、前記島相内部に形成された微細発泡セルを有する微細発泡成形体であって、前記海相を形成する樹脂(A)がポリカーボネートを含有し、前記島相を形成する樹脂(B)が、結晶性樹脂であり、当該結晶性樹脂が結晶性ポリエステル、結晶性ポリオレフィン及び結晶性ポリアミドから選択される少なくとも一種であり、前記海相を形成する樹脂(A)のポリカーボネートの含有量を100質量部とした
とき、前記島相を形成する樹脂(B)を10〜60質量部の範囲内で含有し、少なくとも下記工程(1)〜(4)を経て形成されることを特徴とする。
(1)前記海相を形成する樹脂(A)と前記島相を形成する樹脂(B)とを混練して海島構造の樹脂組成物を作製する工程
(2)前記樹脂組成物を、射出成形機内で溶融・混練して、前記海相を形成する樹脂(A)中に前記島相を形成する樹脂(B)を個数平均粒径10μm以下の粒子状物として分散する工程
(3)溶融状態の当該樹脂組成物中に超臨界ガスを注入する工程
(4)前記超臨界ガスが注入された前記樹脂組成物を射出成形することにより、成形体内の島相内部に微細発泡セルを形成する工程
図1は、本発明に係る海島構造を有する樹脂組成物の断面の模式図である。ここで、Aは海相を構成する樹脂(A)を表し、Bは島相を構成する樹脂(B)を表し、これらが海島構造を有している。図2は、微細発泡セルが形成された微細発泡成形体の断面の模式図であり、Bの島相を形成する樹脂(B)中に微細発泡セルCが形成されていることを表している。
本発明に係る樹脂組成物は、海相を形成する樹脂(A)が、ポリカーボネートを含有し、当該ポリカーボネートの含有量を100質量部としたとき、島相を形成する樹脂(B)が、ポリエステル、ポリオレフィン及びポリアミドから選択される少なくとも一種を10〜60質量部の範囲内で含有しており、前記海相を形成する樹脂(A)中に、前記島相を形成する樹脂(B)が、粒子状物として分散された海島構造を有する樹脂組成物である。この樹脂組成物を用いて射出成形を行うことにより、島相内部に形成された微細発泡セルを有する微細発泡成形体を製造することができる。
本発明に係る海相を形成する樹脂(A)はポリカーボネートを含有する。
本発明で使用するポリカーボネートとは、脂肪族又は芳香族のポリカーボネートであり、芳香族ポリカーボネートとしては、芳香族二価フェノール系化合物とホスゲン又は炭酸ジエステルとを反応させることにより得られる芳香族ホモ又はコポリカーボネートなどの芳香族ポリカーボネートが挙げられ、示差熱量計で測定されるガラス転移温度が100〜155℃の範囲にあるものが好ましく用いられる。
本発明において、島相を形成する樹脂(B)は、ポリエステル、ポリオレフィン及びポリアミドから選択される少なくとも一種の樹脂を含有する。これらの樹脂は、結晶性樹脂であることが好ましく、結晶性樹脂であることによって、ポリカーボネート中に微細な結晶核として存在させることができ、この微細な結晶核が射出成形時に発泡の起点となることによって、微細、かつ均一な発泡セルを形成することができる。
本発明に用いられるポリエステルとしては、主鎖にエステル結合を有する高分子量の熱可塑性樹脂であり、結晶性ポリエステルであることが好ましい。具体的にはカルボン酸又はそのエステル誘導体を主成分とする酸成分とジオール成分の重縮合物、ヒドロキシカルボン酸又はそのエステル誘導体の重縮合物、カルボン酸又はそのエステル誘導体を主成分とする酸成分と環状エーテル化合物から得られる重縮合物又は環状エステル化合物の開環重合物などが挙げられる。
本発明に用いられるポリオレフィンとは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘプテン−1及びオクテン−1などのα−オレフィンの単独重合体、ランダム又はブロックなどの形態をなす相互共重合体、これらα−オレフィンと他の不飽和単量体とのランダム、ブロック若しくはグラフトなどの共重合体化したものを指し、ここで他の不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、グリシジルメタクリル酸、アリールマレイン酸イミド、アルキルマレイン酸イミドなどの不飽和有機酸並びにその誘導体、あるいは酢酸ビニル、酪酸ビニルなどのビニルエステル、あるいはスチレン、メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物、あるいはビニルトリメチルメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどのビニルシラン、あるいはジシクロペンタジエン、4−エチリデン−2−ノルボルネンなどの非共役ジエンなどを用いることができ、共重合の場合には、α−オレフィンや他の単量体は、二種に限らず、複数種からなるものであってもよい。また、本発明においては、ポリオレフィンは結晶性ポリオレフィンであることが好ましい。
本発明に用いられるポリアミドとは、アミノ酸、ラクタム又はジアミンとジカルボン酸を出発原料としたアミド結合を有する熱可塑性樹脂である。アミノ酸としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸及びパラアミノメチル安息香酸などが挙げられ、ラクタムとしてはε−カプロラクタム及びω−ラウロラクタムなどが挙げられる。また、本発明においては、ポリアミドとしては結晶性ポリアミドであることが好ましい。
本発明においては、さらに相溶化剤(C)を添加しても良い。本発明における相溶化剤(C)とは、ポリカーボネートを主成分とする海相を形成する樹脂(A)、島相を形成する樹脂(B)及びその他の熱可塑性樹脂との相溶化を促進させるものであり、(A)成分及び(B)成分とを微分散化させる作用を有するものである。また、海相と島相との界面を相溶化させることによって、成形体としたときに、衝撃強度を高くする効果を有する。
本発明では、さらに難燃剤(D)を添加してもよい。使用する難燃剤(D)とは、樹脂に難燃性を付与する目的で添加される物質であれば特に限定されるものではなく、具体的には、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤及びその他の無機系難燃剤などが挙げられ、これら少なくとも一種以上を選択して用いることができる。
本発明においては、さらに可塑剤(E)を配合することができ、可塑剤としては、一般に樹脂の可塑剤として用いられる公知のものを特に制限なく用いることができ、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤及びエポキシ系可塑剤などを挙げることができる。
本発明においては、さらに結晶核剤を配合することができ、結晶核剤としては、公知の窒化物などの無機系核剤、有機カルボン酸金属塩などの有機系核剤、ソルビトール類、及び高分子核剤などが挙げられ、一種のみでもよくまた二種以上の併用を行ってもよい。本発明においては、可塑剤と結晶核剤とを各々単独で用いてもよいが、両者を併用して用いることが成形性の点において好ましい。
本発明においては、さらに、カーボンブラック、酸化チタン、ベンガラ、群青、焼成イエロー及びさらに種々の色の顔料や染料を一種以上配合することにより種々の色に樹脂を調色、耐候(光)性、及び導電性を改良することも可能であり、顔料や染料の配合量は、海相を形成する樹脂(A)と島相を形成する樹脂(B)の合計量100質量部に対し、0.01〜10質量部、好ましくは0.02〜9質量部、より好ましくは0.03〜8質量部である。
本発明の樹脂組成物に対しては、本発明の目的を損なわない範囲で、安定剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、耐光剤、紫外線吸収剤、及び銅害防止剤など)、離型剤(脂肪酸、脂肪酸金属塩、オキシ脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族部分ケン化エステル、パラフィン、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪族ケトン、脂肪酸低級アルコールエステル、脂肪酸多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、及び変成シリコーン)、又は加水分解抑制剤(エポキシ化合物、カルボジイミド化合物、オキサゾリン化合物及びイソシヌレート化合物)などを必要に応じて添加することができる。
本発明に係る樹脂組成物には本発明の効果を損なわない範囲で、他の充填材、他種ポリマーなどを添加することができる。これらは、任意の時期に添加してよい。充填材としては一般に樹脂用フィラーとして用いられる公知のものが用いられ、本発明のポリエステル樹脂組成物の強度、剛性、耐熱性、寸法安定性などを改良できる。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、タルク、クレー、パイロフィライト、アスベスト、アルミノシリケート、アルミナ、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化ケイ素、及びシリカなどが挙げられる。これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填材を二種類以上用いることも可能である。また、これら充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、又はエポキシ化合物などのカップリング剤で処理して使用してもよい。本発明のポリエステル樹脂組成物を効果的に補強するには、前記充填材の中でも、特にガラス繊維、及び炭素繊維を添加することもできる。
本発明の微細発泡成形体の製造方法は、海相を形成する連続相と島相を形成する独立相からなる海島構造を有し、前記島相内部に形成された微細発泡セルを有する微細発泡成形体の製造方法であって、前記海相を形成する樹脂(A)がポリカーボネートを含有し、前記島相を形成する樹脂(B)が、結晶性樹脂であり、当該結晶性樹脂が結晶性ポリエステル、結晶性ポリオレフィン及び結晶性ポリアミドから選択される少なくとも一種であり、前記海相を形成する樹脂(A)のポリカーボネートの含有量を100質量部としたとき、前記島相を形成する樹脂(B)を10〜60質量部の範囲内で含有し、少なくとも下記工程(1)〜(4)を経て形成することを特徴とする。
(1)前記海相を形成する樹脂(A)と前記島相を形成する樹脂(B)とを混練して海島構造の樹脂組成物を作製する工程
(2)前記樹脂組成物を、射出成形機内で溶融・混練して、前記海相を形成する樹脂(A)中に前記島相を形成する樹脂(B)を個数平均粒径10μm以下の粒子状物として分散する工程
(3)溶融状態の当該樹脂組成物中に超臨界ガスを注入する工程
(4)前記超臨界ガスが注入された前記樹脂組成物を射出成形することにより、成形体内の島相内部に微細発泡セルを形成する工程
次に、上記樹脂組成物の製造方法及び射出成形方法について説明する。
(混練方法)
本発明に係る海島構造の樹脂組成物は、海相を形成する樹脂(A)、島相を形成する樹脂(B)、及び必要に応じて、相溶化剤(C)、難燃剤(D)並びに可塑剤(E)の各成分を混練性に優れる二軸押出機などの溶融混練機で混練することにより得ることができる。
本発明の微細発泡成形体は、射出成形によって作製することができ、さらに詳しくは、微細射出発泡成形(MuCell)によって作製することができる。
微細射出発泡成形とは、成形機のシリンダー内の溶融した成形用原料樹脂に高圧下で、発泡剤である窒素や二酸化炭素などの超臨界ガスを大量に溶解させ、次いで、金型内に原料樹脂を注入することにより急激に減圧させることによって、多数の微細な気泡を発生させる成形方法である。
超臨界ガスとは、気体の流動性と液体の溶解性を併せ持つ物質の状態であり、気体の拡散性と液体の溶解性を持ち溶融樹脂内へ高溶解と高分散が可能となる。金型中に溶融樹脂を射出すると樹脂は急激に減圧され溶融樹脂内に溶解されたガスは、過飽和状態となり結晶核を起点として急激に気泡となる。
微細発泡成形体の製造方法としては、超臨界ガスを成形材料である樹脂組成物に浸透させる工程(相溶させる工程)と、ガスが浸透した成形材料を脱ガスさせる工程を有する方法であればよく、特に制限されず、例えば米国特許第4473665号明細書、米国特許第5158986号明細書などに記載されている方法を用いることができるが、以下に示す方法により、所望の微細発泡成形体を効率よく製造することができる。
本発明においては、上述のように、溶融した樹脂組成物を金型内に射出充填し、樹脂が減圧されることによって、樹脂中に溶解されていたガスが発泡して微細な発泡セルを形成する。このとき、島相を形成する樹脂(B)が、発泡の起点となる。そのため、微細発泡セルの粒径を微細、かつ均一なものとするためには、発泡の起点となる島相を形成する樹脂(B)が射出成形機内で溶融・混練したときに、個数平均粒径10μm以下の粒子状に分散されていることが必要である。
評価装置:走査型電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子(株)製)
評価試料:(切片の厚さ100〜200nm)
加速電圧:30kV
倍率 :5000倍
(島相の粒径の測定試料 作製法及び識別方法)
〔島相の粒径の測定試料の作製法〕
ダイヤモンド歯を備えたミクロトーム「ウルトラカットE」((株)ファインテック製)を用い、未発泡の成形体から厚さ100〜200nmの薄片状のサンプルを切り出す。
下記の基準にて成形体内の樹脂成分を識別する。
・明るく観察される:ポリカーボネート系樹脂
(島相の個数平均粒径の測定)
評価装置:画像処理解析装置「LUZEX(登録商標) AP」((株)ニレコ製)
〔測定方法〕
上記透過型顕微鏡の画像から50個の島相の粒径を測定する。
評価装置:レーザー顕微鏡「VK9510」((株)キーエンス製)
評価試料:発泡成形体
倍率 :200倍
〔セル径の測定試料の作製法〕
JIS K7110(1999)のノッチ付き試験片形状の発泡成形体を液体窒素で冷却する。冷却した未発泡成形体を万能衝撃試験機((株)安田精機製作所製)にセットしハンマーで破壊する。得られた破片を断面観察用のサンプルとする。
評価装置:画像処理解析装置「LUZEX(登録商標) AP」((株)ニレコ製)
〔測定方法〕
上記レーザー顕微鏡の200倍画像から50個のセル径を測定する。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、射出成形により、所望の形状に成形でき、特に自動車部品、電子・電気部品、事務用オフィス機器などに好適に使用することができる。
以下の実施例及び比較例において使用した材料は以下のとおりである。
(2)PC2:ポリカーボネート「ユーピロンH−2000」(三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)
(3)ポリエステル1:ポリエステル「ダイヤナイトMA521H−D25」(三菱レイヨン(株)製)
(4)ポリエステル2:ポリエステル「トレコン4210X10」(東レ(株)製)
(5)ポリオレフィン:「プライムポリプロJ704UG」((株)プライムポリマー製)
(6)ポリアミド:「アミランCM3001」(東レ(株)製)
(7)ABS:ABS樹脂「トヨラック700−314」(東レ(株)製)
(8)PS:ポリスチレン「トーヨースチロールGPMW2C」(東洋スチレン(株)製)
(9)フィラー:タルク「MICRO ACE P−6」(日本タルク(株)製)
ポリカーボネート「タフロンA−1900」(出光興産(株)製)100質量部とポリエステル「ダイヤナイトMA521 H−D25」(三菱レイヨン(株)製)30質量部とをダブルコーンミキサーを用いて予備混合した混合物を二軸押出混練機「KTX−30」((株)神戸製鋼所製)にて溶融・混練した。溶融・混練条件は、シリンダー温度260℃、スクリュー回転数250rpmで行った。
樹脂組成物1の作製において、海相を構成する樹脂(A)、島相を構成する樹脂(B)及び混練条件を表1に記載のようにした他は同様にして、樹脂組成物2〜15を作製した。
上記のようにして作製した樹脂組成物1を80℃で4時間乾燥させた後、射出成形機「J140AD−110H Mucell仕様」((株)日本製鋼所製)を用い、JIS K7110(1999)に準じた形状(長さ80mm×幅10mm×厚さ4mm)の衝撃試験用、軽量化率測定用及び島相の個数平均粒径測定用の未発泡成形体1の試験片を得た。成形条件は、シリンダー温度(成形温度)260℃、金型温度50℃、射出成形速度30mm/sec、保圧80MPaとした。
樹脂組成物2〜15を用い、成形条件を表2に記載したようにした他は未発泡成形体1と同様にして、未発泡成形体2〜15を作製し、後述する衝撃強度低下率、軽量化率及び島相の個数平均粒径の評価に用いた。
≪評価方法≫
<海島状態の観察>
樹脂組成物1〜15の射出成形機内で溶融・混練状態での島相の個数平均粒径の測定の代用として、未発泡成形体1〜15をミクロトームでスライスし、走査型透過電子顕微鏡「JSM−7401F」(日本電子(株)製)を用いて前述のようにして島相の個数平均粒径を測定した。結果を表3に示した。
◎:海島構造となっており、島相の個数平均粒径が5μm以下
○:海島構造となっており、島相の個数平均粒径が5μmより大きく、10μm以下
△:海島構造となっており、島相の個数平均粒径が10μmより大きい
×:海島構造となっていない
未発泡成形体の作製と同じ成形条件、同じ金型を用いて、射出成形の計量工程中に超臨界状態の窒素を成形機シリンダー内に樹脂質量に対して0.3質量%、注入圧力17MPa注入した。シリンダー温度260℃、金型温度50℃、射出速度30mm/sec、保圧0MPaで成形し、微細発泡成形体1を作製した。
微細発泡射出成形体1の作製において、樹脂組成物、超臨界ガス及び成形条件を表4のようにした他は同様にして微細発泡成形体2〜16を作製した。
≪評価方法≫
<発泡状態の観察>
微細発泡成形体1〜16の発泡状態をレーザー顕微鏡「VK9510」((株)キーエンス製)を用いて前述のようにし発泡セルの個数平均セル径を測定した。
◎:発泡セルの個数平均セル径が5μm以下
○:発泡セルの個数平均セル径が5μmより大きく10μm以下
△:発泡セルの個数平均セル径が10μmより大きく20μm以下
×:発泡セルの個数平均セル径が20μmより大きい
<衝撃強度試験>
微細発泡成形体1〜16、それらに対応する樹脂組成物1〜15を用いて作製した未発泡成形体1〜15について、JIS K7110(1999)に準じた形状の衝撃強度試験を実施した。
評価装置 :万能衝撃試験機 ((株)安田精機製作所製)
試験片形状:JIS K7110 ノッチ付き試験片
試験方法 :アイゾット
重り :5.5J
上記のようにして衝撃強度を測定し、以下の式(1)により、衝撃強度低下率を求めた。
[衝撃強度低下率](%)={([未発泡成形体の衝撃強度]−[微細発泡成形体の衝撃強度])/[未発泡成形体の衝撃強度]}×100
(評価基準)
◎:衝撃強度低下率 10%以下
○:衝撃強度低下率 10%より大きく50%以下
△:衝撃強度低下率 50%より大きく90%以下
×:衝撃強度低下率 90%より大きい
<軽量化>
微細発泡成形体1〜16、それらに対応する樹脂組成物1〜15を用いて作製した未発泡成形体1〜15について、成形体1ショットの質量を測定し、以下の式(2)により軽量化率を求めた。
[軽量化率](%)={([未発泡成形体の1ショット質量]−[微細発泡成形体の1ショット質量])/[未発泡成形体の1ショット質量]}×100
(評価基準)
◎:軽量化率 10%以上
○:軽症化率 5%以上10%未満
△:軽量化率 3%以上5%未満
×:軽量化率 3%未満
以上の評価結果を表5に示した。
B 島相を形成する樹脂(B)
C 微細発泡セル
Claims (6)
- 海相を形成する連続相と島相を形成する独立相からなる海島構造を有し、前記島相内部に形成された微細発泡セルを有する微細発泡成形体の製造方法であって、
前記海相を形成する樹脂(A)がポリカーボネートを含有し、
前記島相を形成する樹脂(B)が、結晶性樹脂であり、当該結晶性樹脂が結晶性ポリエステル、結晶性ポリオレフィン及び結晶性ポリアミドから選択される少なくとも一種であり、
前記海相を形成する樹脂(A)のポリカーボネートの含有量を100質量部としたとき、前記島相を形成する樹脂(B)を10〜60質量部の範囲内で含有し、
少なくとも下記工程(1)〜(4)を経て形成することを特徴とする微細発泡成形体の製造方法。
(1)前記海相を形成する樹脂(A)と前記島相を形成する樹脂(B)とを混練して海島構造の樹脂組成物を作製する工程
(2)前記樹脂組成物を、射出成形機内で溶融・混練して、前記海相を形成する樹脂(A)中に前記島相を形成する樹脂(B)を個数平均粒径10μm以下の粒子状物として分散する工程
(3)溶融状態の当該樹脂組成物中に超臨界ガスを注入する工程
(4)前記超臨界ガスが注入された前記樹脂組成物を射出成形することにより、成形体内の島相内部に微細発泡セルを形成する工程 - 前記島相を形成する樹脂(B)が、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする請求項1に記載の微細発泡成形体の製造方法。
- 前記超臨界ガスが、窒素ガスであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微細発泡成形体の製造方法。
- 海相を形成する連続相と島相を形成する独立相からなる海島構造を有し、前記島相内部に形成された微細発泡セルを有する微細発泡成形体であって、
前記海相を形成する樹脂(A)がポリカーボネートを含有し、
前記島相を形成する樹脂(B)が、結晶性樹脂であり、当該結晶性樹脂が結晶性ポリエステル、結晶性ポリオレフィン及び結晶性ポリアミドから選択される少なくとも一種であり、
前記海相を形成する樹脂(A)のポリカーボネートの含有量を100質量部とした
とき、前記島相を形成する樹脂(B)を10〜60質量部の範囲内で含有し、
少なくとも下記工程(1)〜(4)を経て形成されることを特徴とする微細発泡成形体。
(1)前記海相を形成する樹脂(A)と前記島相を形成する樹脂(B)とを混練して海島構造の樹脂組成物を作製する工程
(2)前記樹脂組成物を、射出成形機内で溶融・混練して、前記海相を形成する樹脂(A)中に前記島相を形成する樹脂(B)を個数平均粒径10μm以下の粒子状物として分散する工程
(3)溶融状態の当該樹脂組成物中に超臨界ガスを注入する工程
(4)前記超臨界ガスが注入された前記樹脂組成物を射出成形することにより、成形体内の島相内部に微細発泡セルを形成する工程 - 前記島相を形成する樹脂(B)が、結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする請求項4に記載の微細発泡成形体。
- 前記超臨界ガスが、窒素ガスであることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の微細発泡成形体。
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