JP6223842B2 - 対象物の温度維持方法、船舶の機関室内の対象物の温度維持方法、及び、船舶 - Google Patents

対象物の温度維持方法、船舶の機関室内の対象物の温度維持方法、及び、船舶 Download PDF

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Description

本発明は、冷却装置などを特別に設ける必要がなく、対象物の温度を予め設定した温度範囲内に維持できる対象物の温度維持方法、船舶の機関室内の対象物の温度維持方法、及び、船舶に関する。
近年、船舶の喫水調整等に使用されるバラスト水の移動に伴う微生物などの海域間での移動を防止するために、バラスト水の放出時には、バラスト水に含まれていた微生物等を殺しておくために、バラスト水処理装置を船舶に備えることが要求されてきている。
このバラスト水処理装置の中に、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム等の塩素殺菌剤の薬品を使用するものがあり(例えば、特許文献1〜3参照)、この薬品の保管場所として、薬品を使用する機器まで、台車、クレーン、チェーンブロック等で容易に運搬することができる機関室内の場所が適している。
しかしながら、この薬品の保管時の温度管理では、薬品の分解を抑制するために上限温度(例えば、次亜塩素酸カルシウムでは、35℃)が規定されているが、機関室内は、主機関や発電機など補機が発生する熱で機関室内の温度は上昇している。一般商船の機関室内の温度の上限は船級規則などでは45℃とされており、機関室内の空気の温度は、薬品の保管の上限温度を超えている場合が多い。
そのため、機関室内で保管する場合は、例えば、バラスト水処理用の薬品を予め冷却しておき、貯留槽断熱装置を備えた貯留槽で貯留したり、冷媒として冷却水を用いた冷却熱交換器を用いたり(例えば、特許文献1参照。)、または、熱交換器及びチラーユニット等の冷却装置、及び加温装置等を用いたりする(例えば、特許文献2参照)ことが提案されている。しかしながら、これらの場合には、バラスト水処理用の薬品を保管するために、熱交換器などの新たな設備が必要になり、コストが増加するという問題がある。
一方、薬品の置き場所として、機関室の上方に配置されている上部構造内の居住区に保管することが考えられる。しかしながら、この場合には、スペース的に厳しい要求がある居住区画の一部を、薬品保管室に変更する必要があり、また、居住区の薬品保管室から機関室までの間には、荷役設備は通常設けられていないので、1ケースが20Kg・fを超える重さとなる薬品容器を機関室まで人力で運搬することになるという問題がある。
特開2007−144391号公報(段落〔0019〕、〔0020〕) 特開2013−39516号公報(段落〔0021〕、〔0040〕) 特開2012−217914号公報(段落〔0015〕)
本発明は、上記の状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、冷却装置等を必要とせずに、機関室内の空気等の周囲のガス体からバラスト水処理用の薬品等の対象物への熱の移動を抑制して、対象物の温度を予め設定した温度範囲内に維持できる対象物の温度維持方法、船舶の機関室内の対象物の温度維持方法、及び、船舶を提供することにある。
上記のような目的を達成するための本発明の対象物の温度維持方法は、当該対象物の周囲の第1ガス体からの当該対象物への熱移動を抑制して当該対象物の温度を予め設定された温度範囲内に維持する対象物の温度維持方法において、前記第1ガス体の温度とは異なる温度で、かつ、当該対象物が維持する前記温度範囲内の温度の温度維持用ガス体を当該対象物の表面に流して、前記温度維持用ガス体で当該対象物を覆うことにより、前記第1ガス体と当該対象物との間の熱移動を抑制して、当該対象物の温度を維持することを特徴とする方法である。
この方法によれば、対象物が維持する温度範囲内の温度の温度維持用ガス体で対象物を覆うので、この温度維持用ガス体のシールド効果により、高温又は低温の第1ガス体と対象物との間の熱移動を抑制できるので対象物の温度が第1ガス体の温度に近づくことを防止でき、さらに、温度維持用ガス体との間の熱交換により対象物の温度を温度維持用ガス体の温度に近づけることができるので、対象物の温度を目標の温度範囲内に維持できる。
つまり、対象物よりも温度の高い第1ガス体によって対象物が温められたり、あるいは、対象物よりも低温の第1ガス体によって対象物が冷やされたりするのを防止でき、しかも、単に温度維持用ガス体で対象物を覆うだけなので、冷却装置等の複雑な装置が不要であり、非常に簡単な装置で、かつ、低コストで、対象物が加熱されたり冷却されたりするのを防止できる。
上記の対象物の温度維持方法において、前記第1ガス体が、船舶の機関室内の空気であり、前記温度維持用ガス体が、機関室の外から導入した外気、又は、空調があるエリアから導入する空気である場合には、通常、機関室には、主機関や補機のための燃焼用空気や冷却用の空気を外気から導入しているので、この導入される外気又は空調された空気を利用することで非常に簡単な機構で、機関室内に置かれた対象物の温度を維持目標の温度範囲内に維持することができる。
なお、この「機関室の外から導入した外気」は、船外から直接導入した外気のみでなく、船外から機関室とは別の船内エリアを経て導入した外気も含む。
つまり、機関室内の温度は主機関や補機等の運転により生じる熱のために上昇し、機関室内の空気の温度は45℃度近くにもなるので、内部に置いた物はそのままでは45℃近くの空気に晒された場合は、機関室内の空気と熱交換して、機関室内の空気に近い温度になるが、この機関室内の温度よりも低い外気又は空調された空気で対象物を覆うことで、対象物の温度を外気又は空調された空気の温度の近傍に維持することができる。
上記の対象物の温度維持方法において、当該対象物が、船舶のバラスト水を処理するバラスト水処理装置で使用する薬品を入れた薬品容器である場合には、この35℃以下に維持する必要がある次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムなどのバラスト水処理で使用する薬品の温度を、外気などの温度維持用ガス体の温度の近傍に維持することができる。
また、上記の目的を達成するための船舶の機関室内の対象物の温度維持方法は、船舶の機関室内に置かれた温度を予め設定された温度範囲内に維持する対象物に対して、前記機関室外からの外気、又は、空調があるエリアから導入する空気を導入して、導入した外気又は空気を前記対象物の表面に流して覆うことにより、前記対象物の温度を維持することを特徴とする方法である。
この方法によれば、冷却装置などを必要とせずに、単に外気又は空調された空気を対象物に流すという非常に簡単な方法で、船舶の機関室内に置かれた対象物の温度を外気又は空調された空気の温度の近傍に維持することができる。
また、上記の目的を達成するための船舶は、船舶の機関室内に、温度維持の対象物を置く対象物配置場所と、該対象物配置場所に配置された前記対象物の表面に前記機関室外から導入した外気、又は、空調があるエリアから導入する空気を流す外気導入機構を備えて構成される。
この構成によれば、空気が45℃近くなる機関室内においても、対象物配置場所に置かれた対象物の温度を外気温度又は空調された空気の温度の近傍に維持することができる。
上記の船舶において、前記外気導入機構が、前記機関室内の機関を冷却するための外気導入ダクトからの外気を分岐して前記対象物配置場所の近傍に導く分岐ダクトと、該分岐ダクトに設けた、外気を前記対象物配置場所に放出する開口部を備えて構成されると、非常に簡単な機構で、対象物配置場所に置かれた対象物の温度を外気温度の近傍に維持することができる。
なお、この場合に、開口部を対象物配置場所の上方に設けると、外気の温度は、機関室内の空気の温度よりも低く、外気の密度は機関室内の空気の密度よりも大きく、外気は機関室内の空気よりも重いので、開口部を設けるだけで、下降流が生じ、特別な送風機構を設けることなく、外気を対象物配置場所に流すことができる。
上記の船舶において、前記対象物が、当該船舶のバラスト水を処理するバラスト水処理装置で使用する薬品である場合には、空気が45℃近くなる機関室内においても、対象物配置場所に置かれたバラスト水処理装置用の薬品の温度を外気温度の近傍に維持することができ、高温に弱い薬品の品質を維持できる。
本発明の対象物の温度維持方法、船舶の機関室内の対象物の温度維持方法、及び、船舶によれば、対象物が維持すべき目標の温度範囲内の温度の温度維持用ガス体で対象物を覆うので、対象物よりも高温又は低温の第1ガス体と対象物との間の熱移動を抑制できると共に、目標の温度範囲内の温度の温度維持用ガス体との間で熱交換することができるので、対象物の温度を維持するべき目標の温度範囲内に維持できる。
この方法等では、対象物よりも高温の第1ガス体によって対象物が温められたり、あるいは、対象物よりも低温の第1ガス体によって対象物が冷やされたりするのを防止でき、しかも、単に、温度維持用ガス体で対象物を覆うだけなので、冷却装置等の複雑な装置が不要であり、非常に簡単な装置で、かつ、低コストで、対象物が周囲の第1ガス体により加熱されたり冷却されたりするのを防止できる。
言い換えれば、保管に際して温度条件が規定されている薬品等の対象物に対して、これを保管する場所の周囲が、この規定の上限温度以上の温度の空気で囲まれている、船舶の機関室内等の環境下で保管することを目的に、保管温度と同等若しくは上限温度以下の温度の温度維持用ガス体、例えば、外気を、保管場所のある環境の外部から保管場所に導入できる構成にして、この外気等の温度維持用ガス体を利用することで、環境温度が薬品容器などの対象物の規定温度以上であっても、薬品容器等の対象物の周囲の温度を保管温度と同等若しくは上限温度以下に保つことが可能であり、薬品容器等の対象物の保管の温度条件を満たすことが可能となる。
本発明の実施の形態の船舶における対象物配置場所と、外気導入機構を示す、機関室の模式的な側面断面図である。 本発明の実施の形態の船舶における対象物配置場所と、外気導入機構を示す、機関室の模式的な平面図である。 図2の対象物配置場所の近傍の拡大図である。
以下、本発明に係る実施の形態の対象物の温度維持方法、船舶の機関室内の対象物の温度維持方法、及び、船舶について、図面を参照しながら説明する。ここでは、船舶の機関室内に対象物を配置する保管場所を設ける場合を例にして、また、対象物としてバラスト水処理装置の薬品容器を例にして説明するが、本発明の対象物の温度維持方法は、必ずしも、船舶の機関室内に限定されず、適当な温度維持用ガス体であればよく、対象物も薬品容器に限らず、特定の温度範囲内に維持する必要のある物であればよく、本発明は、船舶の機関室内以外の他の環境や薬品容器以外の対象物にも適用できる。
最初に、本発明の対象物の温度維持方法、及び、船舶の機関室内の対象物の温度維持方法が実施される船舶について説明する。図1〜図3に示すように、本発明の実施の形態の船舶1は、機関室2、プロペラ3、舵4等を備えて構成され、この機関室2には、主機関5、ディーゼル発電機等の補機(図示しない)や各種機器(図示しない)が配置されている。
そして、本発明の船舶1では、バラスト水処理装置に使用する薬品容器(対象物)20を機関室2内に保管して置く場所である、薬品保管場所(対象物配置場所)Sと、この薬品保管場所Sに配置された薬品容器20に機関室2の外から導入した外気G2を流す外気導入機構10を備えて構成される。なお、この「機関室の外から導入した外気」G2は、船外から機関室2内に直接導入した外気のみでなく、船外から機関室2とは別の船内エリア(例えば、舵取機室7)を経て導入した外気も含む。また、機関室2の外から導入した外気G2の替りに、空調があるエリア(例えば、居住区8や機関制御室等)から導入する空気を使用してもよい。
この薬品容器20は、例えば、保管時は35℃以下に維持する必要がある次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウム等のバラスト水処理で使用する薬品の容器である。 この薬品容器20は、例えば、直径325mm、高さ460mm程度の大きさの25kLの缶等であり、6〜7個程度、薬品保管場所Sに、覆いなどせずに、そのままの状態で載置され保管される。
そして、機関室2内の空気G1の温度Taの上限は、船級規則などで45℃とされており、機関室2内の空気G1は比較的高い温度Ta(例えば35℃〜45℃)で維持されている。ここでは、この機関室2内の空気G1が第1ガス体となる。また、船舶1の場合には、海上(水上を含む)にあるため、外気G2の温度Tbは、一般的に、−20℃〜35℃程度を想定して計画されるので、この外気G2を、薬品容器20の温度Tcを保管の上限温度(例えば35℃)以下に維持するための温度維持用ガス体として使用することができる。
図1〜図3に示すように、外気導入機構10は、機関室2内に外気G2を導入するための外気導入ダクト11を分岐して薬品保管場所Sの近傍に導く分岐ダクト12と、この分岐ダクト12に設けた、外気G2を薬品保管場所Sに放出する開口部13を備えて構成される。
この外気導入ダクト11では、機関室通風用ファン11aを駆動することにより、機関室2の外部から外気G2を吸引して、主機関5と発電機等の補機に対して、燃焼用空気、及び、放熱の冷却用として供給している。この外気G2の温度Tbは、機関室2内の空気G1の温度Taよりも低く、また、薬品容器20の温度Tcを維持すべき温度範囲Rt(−20℃〜35℃)内の温度となっている。
この機関室通風用ファン11aは、主機関5が作動している間は、勿論のこと、補機が作動している間も作動しており、殆んど全時間作動している。そして、この機関室通風用ファン11aが停止するときは、主機関5が停止しているときであり、この主機関5の停止中は主機関5の発熱がなく、機関室2内の空気G1の温度Taも高くならないので、機関室2内の空気G1から薬品容器20への熱移動も無くなるので、特に問題は生じない。
また、外気G2は、機関室通風用ファン11aにより、分岐ダクト12内では所定の流速で流れているので、開口部13からはある程度の流速で外気G2が流出するので、開口部13は、薬品保管場所Sの側方や底面に設けてもよいが、薬品保管場所Sの上方に設けることが好ましい。
なお、通常は開口部13では、流量や流向を制御する必要がないので、特に、流速を制御する流れの絞り機構(絞り弁)や流向を制御する羽やフィンを設ける必要はないが、薬品容器20の保管個数の変化が大きい場合や薬品保管場所Sが広い場合には、これら流れの絞り機構や羽やフィンを設けると、効率よくかつ確実に薬品容器20の保管時の温度管理ができる。
外気G2の温度Tbは、機関室2内の空気G1の温度Taよりも低いので、外気G2の密度ρbは機関室2内の空気G1の密度ρaよりも大きくなり、外気G2は機関室2内の空気G1よりも重い。そのため、開口部13を上方に設けるだけで、下降流が生じ、特別な送風機構を設けることなく、外気G2を薬品保管場所Sに流すことができる。さらに開口部13が上方にあると、薬品保管場所S全体に外気G2を均等に流すことが容易にできる。この開口部13における外気G2の下降風速は2m/s〜10m/s程度でよく、この薬品保管場所Sのための送風用ファンを特に必要としない。
なお、この導入された外気G2は、薬品保管場所Sに保管された薬品容器20を覆った後、この薬品保管場所Sのある保管区域2c、即ち、機関室2の隔壁2aと、通気性があり、外から内部が見える金網などの仕切り2bとで区切られた空間(図1〜図3の構成では、第2甲板6に設けられたエンジンストア)2c等から機関室2内全体に拡散していき、排気口により、機関室2の外部に放出される。
この構成によれば、空気が45℃を超えるような機関室2内においても、従来機関室2に備えらえている外気導入ダクト11に開口部13を有する分岐ダクト12を設けて構成した外気導入機構10という非常にシンプルでかつ低コストの機構で、薬品保管場所Sに置かれた薬品容器20の温度Tcを外気G2の温度Tbの近傍に維持することができる。
次に、本発明の実施の形態の対象物の温度維持方法について説明する。上記の薬品容器20の温度維持方法は、薬品容器20の周囲の空気G1からの薬品容器20への熱移動を抑制して薬品容器20の温度Tcを予め設定された温度範囲Rt内に維持する薬品容器20の温度維持方法であり、空気G1の温度Taとは異なる温度Tbで、かつ、薬品容器20が維持する温度範囲Rt内の温度Tbの外気G2を薬品容器20の表面に流して、外気G2で薬品容器20の表面を覆うことにより、空気G1と薬品容器20との間の熱移動を抑制して、薬品容器20の温度を維持する方法である。
ここで、船舶1の機関室2内の空気G1を第1ガス体G1とし、機関室2の外から導入した外気G2を温度維持用ガス体G2とし、船舶1のバラスト水を処理するバラスト水処理装置で使用する薬品の薬品容器20を対象物20として置き換えて表現すると次のようになる。
この対象物20の温度維持方法は、対象物20の周囲の第1ガス体G1からの対象物20への熱移動を抑制して対象物20の温度Tcを予め設定された温度範囲Rt内に維持する対象物20の温度維持方法であり、第1ガス体G1の温度Taとは異なる温度Tbで、かつ、対象物20が維持する温度範囲Rt内の温度Tbの温度維持用ガス体G2を対象物20の表面に流して、温度維持用ガス体G2で対象物20の表面を覆うことにより、第1ガス体G1と対象物20との間の熱移動を抑制して、対象物20の温度を維持する方法である。
この方法によれば、薬品容器20が維持する温度範囲Rt内の温度Tbの外気G2で薬品容器20を覆うので、高温の空気G1と薬品容器20との間の熱移動を抑制できると共に、外気G2と薬品容器20の間の熱交換により薬品容器20の温度Tcを維持するべき目標の温度範囲Rt内に維持することができる。
つまり、機関室2内の空気G1の温度Taは主機関5や補機等の運転により発熱を受けて上昇し、45℃度近くにもなる。そのため、機関室2の内部に置いた薬品容器20はそのままでは45℃近くの空気に晒されるので、機関室2内の空気G1と熱交換して、機関室2内の空気G1に近い温度になるが、外気G2で薬品容器20を覆うことで、容易に薬品容器20の温度Tcを外気G2の温度Tbの近傍に維持することができる。
その結果、高温の空気G1によって薬品容器20が温められるのを防止でき、しかも、単に外気G2で薬品容器20を常時覆うだけなので、冷却装置等の複雑な装置が不要であり、非常に簡単な装置で、かつ、低コストで、薬品容器20が加熱されるのを防止できる。
なお、この温度維持方法は、薬品容器20内の薬品Lを熱交換などにより外気G2で冷却する方法ではなく、薬品容器20の温度Tcよりも高い温度Taの機関室2内の空気G1が薬品容器20と直接接触して、この空気G1と薬品容器20との間で熱移動が生じるのを、外気G2で薬品容器20を覆うことで、熱伝導率の低い外気G2のシールド効果を利用して抑制する方法である。
そのため、薬品容器20が機関室2内に搬送された当初や、万一、外気G2の導入が一時停止した場合等で、薬品容器20の温度Tcが外気G2の温度Tbよりも高い状態になった場合でも、機関室通風用ファン11aの駆動後には、薬品保管場所Sでは、外気G2が薬品容器20と直接接触している状態になるので、外気G2の量が少ない量であっても、この外気G2と薬品容器20との間で常時熱移動が生じていることになるので、薬品容器20の温度Tc及び薬品Lの温度Tdは徐々に外気G2の温度Tbと同じかその近傍の温度になり、薬品Lの温度Tdを保管時に維持すべき温度範囲Rt内に維持することができる。
従って、薬品容器20においても冷却を促進するための冷却フィン等は不要であり、薬品容器20の形状も特に工夫する必要はなく、既存の形状でよい。また、冷却用ではないので、開口部13から放出される外気G2の流量も少なくてよく、外気G2の流速も高くする必要はない。
本発明の、対象物の温度維持方法、船舶の機関室内の対象物の温度維持方法、及び、船舶によれば、対象物が維持するべき目標の温度範囲内の温度の温度維持用ガス体で対象物を覆うので、対象物の温度よりも高温又は低温の第1ガス体と対象物との間の熱移動を抑制できると共に、目標の温度範囲内の温度の温度維持用ガス体との間の熱交換により対象物の温度を目標の温度範囲内に維持できるので、バラスト水処理装置に使用する薬品等を機関室内に保管する船舶に利用することができる。
1 船舶
2 機関室
2a 隔壁
2b 仕切り
2c 区画(エンジンストア)
3 プロペラ
4 舵
5 主機関
6 第2甲板
7 舵取機室
8 居住区
10 外気導入機構
11 外気導入ダクト
11a 機関室通風用ファン
12 分岐ダクト
13 開口部
20 薬品容器(対象物)
G1 機関室内の空気(第1ガス体)
G2 外気(温度維持用ガス体)
L 薬品
Rt 維持すべき温度範囲
S 薬品保管場所(対象物配置場所)
Ta 機関室内の空気の温度
Tb 外気の温度
Tc 薬品容器の温度
Td 薬品の温度

Claims (7)

  1. 当該対象物の周囲の第1ガス体からの当該対象物への熱移動を抑制して当該対象物の温度を予め設定された温度範囲内に維持する対象物の温度維持方法において、前記第1ガス体の温度とは異なる温度で、かつ、当該対象物が維持する前記温度範囲内の温度の温度維持用ガス体を当該対象物の表面に流して、前記温度維持用ガス体で当該対象物を覆うことにより、前記第1ガス体と当該対象物との間の熱移動を抑制して、当該対象物の温度を前記温度範囲内に維持することを特徴とする対象物の温度維持方法。
  2. 前記第1ガス体が、船舶の機関室内の空気であり、前記温度維持用ガス体が、機関室の外から導入した外気、又は、空調があるエリアから導入する空気であることを特徴とする請求項1に記載の対象物の温度維持方法。
  3. 当該対象物が、船舶のバラスト水を処理するバラスト水処理装置で使用する薬品を入れた薬品容器であることを特徴とする請求項1又は2に記載の対象物の温度維持方法。
  4. 船舶の機関室内に置かれた温度を予め設定された温度範囲内に維持する対象物に対して、前記機関室外からの外気、又は、空調があるエリアから導入する空気を導入して、導入した外気又は空気を前記対象物の表面に流して覆うことにより、前記対象物の温度を維持することを特徴とする船舶の機関室内の対象物の温度維持方法。
  5. 船舶の機関室内に、温度維持の対象物を置く対象物配置場所と、該対象物配置場所に配置された前記対象物の表面に前記機関室外から導入した外気、又は、空調があるエリアから導入する空気を流す外気導入機構を備えたことを特徴とする船舶。
  6. 前記外気導入機構が、前記機関室内の機関を冷却するための外気導入ダクトからの外気を分岐して前記対象物配置場所の近傍に導く分岐ダクトと、該分岐ダクトに設けた、外気を前記対象物配置場所に放出する開口部を備えて構成されることを特徴とする請求項5に記載の船舶。
  7. 前記対象物が、当該船舶のバラスト水を処理するバラスト水処理装置で使用する薬品であることを特徴とする請求項5又は6に記載の船舶。
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