JP2017225945A - 水処理方法及びその装置 - Google Patents

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耕太 原
Kota Hara
耕太 原
勇祐 下野
Yusuke Shimono
勇祐 下野
雅則 長藤
Masanori Nagafuji
雅則 長藤
岡本 幸彦
Yukihiko Okamoto
幸彦 岡本
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Abstract

【課題】海水処理用の殺菌剤である塩素系殺菌剤を製造する際に、塩素ガスの発生を抑制し、塩素ガスの悪影響を低減することである。【解決手段】ホッパーH内から取り出された原料固形物msを真水wsと混合し、撹拌することにより、塩素系殺菌剤Asを製造する際、ホッパーH内の温度Thを、それが摂氏39度以下、望ましくは摂氏38度以下になるように設定又は制御する。【選択図】 図4

Description

本発明は、船舶のバラストに用いる水(以下「バラスト水」という場合がある)を塩素系殺菌剤により殺菌するための水処理技術に関し、より詳しくは、塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物と真水から製造された塩素系殺菌剤をバラスト水に注入することにより、そのバラスト水の殺菌を行う水処理方法及び水処理装置に関する。
塩素化イソシアヌル酸化合物は、固形状で流通しており(特許文献1)、水への溶解度は小さいものの、水に溶解して次亜塩素酸を生成し、殺菌作用を有する塩素の供給源となることが知られている。そのため、塩素系殺菌剤は殺菌剤として使用されている(特許文献2)。
一方、この塩素系殺菌剤は、船舶のバラストに用いる水を殺菌するための殺菌剤としても使用されている。その代表例は、船舶内で製造された塩素系殺菌剤を、船外から導入され、バラストタンクに向かって移送される水に注入することにより、当該水に殺菌処理を施すバラスト水処理である(特許文献3)。塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物を原料とする塩素系殺菌剤を用いるバラスト水処理には、その塩素系殺菌剤を、塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物を海水に混合し溶解することにより製造するものもあれば(特許文献4)、海水ではなく真水に混合し溶解することにより製造するものもある(特許文献5)。
特開2003-89607号公報 特公昭63-63527号公報 特開2011-92899号公報 特開2012-254402号公報 特開2011-92898号公報
ここで、塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物は、摂氏40度以上になると自己分解を起こし始め、摂氏45度以上になると、塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物の自己分解は顕著に進む。そして、そのような自己分解により発生する水と別の塩素化イソシアヌル酸化合物とが反応すると、塩素ガスが発生する。水分を含んだ塩素ガスは強い腐食性を有し、刺激臭を帯びているので、バラスト水処理に使用する塩素系殺菌剤を船舶内で製造する際に塩素ガスが発生すると、塩素系殺菌剤を製造し、海水に供給するための装置を構成する配管、計測機器等における金属腐食や材質劣化を引き起こし、保守費用の増加を招来する。また、当該塩素ガスが当該装置外に漏洩すると、船員の不快感や不安感の原因となり、船内作業環境を悪化させる。そのため、バラスト水処理に使用する塩素系殺菌剤の原料として塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物を船内に保管する場合には、通常、これを密閉可能なコンテナ容器に入れて、摂氏40度未満(たとえば摂氏25度程度)に温度設定された場所で保管し、塩素系殺菌剤を船舶内で製造する必要の都度、コンテナ容器から塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物を取り出し、ホッパーのような一時的貯蔵用容器に移し、当該一時的貯蔵用容器から取り出された当該固形物を水と混合し攪拌することで、水に溶解させている。
ところが、船舶の機関室や甲板に近い場所は摂氏40度以上になるケースがあることが知られており、赤道近くの低緯度を航行する船舶の機関室は摂氏55度又はそれ以上の温度になるといわれている。そのような場合であっても、塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物を密閉可能なコンテナ容器に入れて摂氏40度未満で保管しているのであれば問題はない。しかし、当該固形物を水に溶解させることにより塩素系殺菌剤を船内で製造する場合には、(1)当該固形物を当該コンテナ容器から一時的貯蔵用容器内に移し替えた時点から塩素系殺菌剤の原料として使用するまでの間、一時的であれ、当該一時的貯蔵用容器内で摂氏40度以上の温度に晒すことになりかねない。また、(2)当該一時的貯蔵用容器内に当該固形物の一部が、最終的に塩素系殺菌剤の原料として使い尽くされずに、未使用のまま残留することもあれば、使い尽くされたはずの当該固形物が当該一時的貯蔵用容器の内表面に僅かながら付着して残留することもあるので、それらの残留物が当該一時的貯蔵用容器内で摂氏40度以上の温度に晒されるケースが起こり得る。
上記(1)及び(2)のいずれの事態であれ、実際に起こると、塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物は塩素ガスの発生源となり、金属腐食や材質劣化の原因あるいは船内作業環境の悪化の原因となる。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、海水処理用の殺菌剤である塩素系殺菌剤を製造する際に、塩素ガスの発生を抑制することにより、塩素ガスの悪影響を低減することを目的とする。
<水処理方法>
上記目的を解決するための、本発明の第1の形態に係る水処理方法は、船舶のバラストに用いる水を船外から導入し、その水を当該船舶が具備するバラストタンクに向かって移動させる過程で殺菌する水処理方法であって、塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物と該固形物を一時的に貯蔵するための一時的貯蔵用容器を用意する準備段階と、前記固形物を一時的貯蔵用容器内に装入する工程を有する第一段階と、前記一時的貯蔵用容器内から取り出された前記固形物を真水と混合し、撹拌することにより、塩素系殺菌剤を製造する工程を有する第二段階と、船舶のバラストに用いる水として船外から導入した水に前記塩素系殺菌剤を注入する工程を有する第三段階と、を有するとともに、前記第一段階は、前記一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定する工程を有することを特徴とする。
本発明の第2の形態に係る水処理方法は、第1の形態に係る水処理方法であって、前記第一段階は、前記一時的貯蔵用容器が設置されている場所の温度が摂氏39度未満であるとき、前記一時的貯蔵用容器内の温度を、前記一時的貯蔵用容器が設置されている場所の温度以上に設定する工程を有することを特徴とする。
本発明の第3の形態に係る水処理方法は、第1の形態に係る水処理方法であって、前記第一段階は、前記固形物を前記一時的貯蔵用容器内に装入している間のみならず、装入前及び/又は装入後も前記一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定する工程を有することを特徴とする。
本発明の第4の形態に係る水処理方法は、第1及至第3のいずれか1つの形態に係る水処理方法であって、前記固形物と混合される前の前記真水の温度は、摂氏5度以上、摂氏39度以下の範囲内に予め設定されている、ことを特徴とする。
本発明の第5の形態に係る水処理方法は、第1乃至第4のいずれか1つの形態に係る水処理方法であって、前記第三段階は、摂氏5度以上、摂氏39度以下の温度範囲内で前記固形物を前記真水と混合する工程を有する、ことを特徴とする。
本発明の第6の形態に係る水処理方法は、第5の形態に係る水処理方法であって、前記第三段階は、前記固形物を前記真水に溶解させてできる塩素系殺菌剤の温度を摂氏39度以下に設定する工程を有する、ことを特徴とする。
本発明の第7の形態に係る水処理方法は、第1の形態に係る水処理方法であって、前記一時的貯蔵用容器が設置されている場所の温度が、摂氏39度以下に予め設定されている基準温度を超えたとき、前記一時的貯蔵用容器内の温度を下げる工程を有することを特徴とする。
本発明の第8の形態に係る水処理方法は、第2の形態に係る水処理方法であって、前記一時的貯蔵用容器が設置されている場所の温度が、摂氏0度以上に予め設定されている基準温度を下回ったとき、前記一時的貯蔵用容器内の温度を上げる工程を有することを特徴とする。
本発明の第9の形態に係る水処理方法は、第4の形態に係る水処理方法であって、前記塩素系殺菌剤の温度が、摂氏39度以下に予め設定されている基準温度を超えたとき、前記一時的貯蔵用容器内の温度及び/又は前記固形物と混合される前の前記真水の温度を下げる工程を有する、ことを特徴とする。
本発明の第10の形態に係る水処理方法は、第1乃至第9のいずれか1つの形態に係る水処理方法であって、前記第一段階は、前記第二段階の実行中及び実行後少なくとも一定期間、前記一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定する工程を有する、ことを特徴とする。
本発明の第11の形態に係る水処理方法は、第1乃至第9のいずれか1つの形態に係る水処理方法であって、前記第一段階は、前記第三段階の実行中及び実行後少なくとも一定期間、前記一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定する工程を有する、ことを特徴とする。
本発明の第12の形態に係る水処理方法は、第11の形態に係る水処理方法であって、前記第一段階は、前記固形物を前記一時的貯蔵用容器に補給する工程を有することを特徴とする。
<水処理装置>
本発明の第13の形態に係る水処理装置は、船舶のバラストに用いる水として船外から導入された水に殺菌剤を注入するために、当該船舶に搭載される水処理装置であって、塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物と真水を混合し撹拌することにより、塩素系殺菌剤を製造する溶液製造部と、前記固形物を一時的に貯蔵し、前記溶液製造部に供給するホッパーと、前記真水を前記溶液製造部に供給する水供給部と、船舶のバラストに用いる水として船外から導入された水に前記塩素系殺菌剤を注入する殺菌剤注入部を備えており、前記ホッパー内の温度は摂氏39度以下に設定されている、ことを特徴とする。
本発明の第14の形態に係る水処理装置は、第13の形態に係る水処理装置であって、前記ホッパー内の前記固形物を前記溶液製造部に供給する原料供給機を更に備えており、前記原料供給機は、前記ホッパー内の前記固形物を少量又は所定量に小分けにするための計量機構と該計量機構を駆動する駆動機構を具備しており、前記計量機構内の温度は摂氏39度以下に設定されている、ことを特徴とする。
本発明の第15の形態に係る水処理装置は、第13又は第14の形態に係る水処理装置であって、前記ホッパー内から前記溶液製造部に供給される前記固形物の移動経路内の温度は、摂氏39度以下に設定されている、ことを特徴とする。
本発明の第16の形態に係る水処理装置は、第13及至第15のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記真水の温度は、摂氏5度以上、摂氏39度以下の範囲内に予め設定されている、ことを特徴とする。
本発明の第17の形態に係る水処理装置は、第13及至第16のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記溶液製造部は、摂氏5度以上、摂氏39度以下の温度範囲内で前記固形物を前記真水と混合するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第18の形態に係る水処理装置は、第13及至第16のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記溶液製造部は、前記固形物を前記真水と混合し、攪拌し、前記真水に溶解させるためのタンクを備えており、前記タンク内の温度は、摂氏5度以上、摂氏39度以下の範囲内に設定されている、ことを特徴とする。
本発明の第19の形態に係る水処理装置は、第13及至第16のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記溶液製造部は、前記固形物を前記真水と混合する混合部と、該混合部の下流に配置し、前記固形物の前記真水への溶解を促進する溶解促進部とを具備しており、前記溶解促進部は、前記固形物と前記真水の混合物及び/又は前記塩素系殺菌剤が移動し循環する循環配管経路を具備しており、前記循環配管経路は、ポンプと、該ポンプの出側と接続する第一の配管経路と、該第一の配管経路の出側と接続する固液分離装置と、該固液分離装置と前記ポンプの入側とを接続する第二の配管経路と、該第二の配管経路と前記混合部とが接続する接続部とを具備しており、前記殺菌剤注入部は、前記固液分離装置が排出する前記塩素系殺菌剤を、船舶のバラストに用いる水として船外から導入された水に注入するように構成されており、前記固液分離装置が排出する前記塩素系殺菌剤の温度又は前記固液分離装置内の温度が、摂氏5度以上、摂氏39度以下になるように、前記水供給部における前記真水の温度が設定されている、ことを特徴とする。
本発明の第20の形態に係る水処理装置は、第13及至第15のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記ホッパーが設置されている場所の温度が、摂氏39度以下に予め設定されている基準温度を超えたとき、前記ホッパー内の温度が下がるように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第21の形態に係る水処理装置は、第16の形態に係る水処理装置であって、前記ホッパーが設置されている場所の温度が、摂氏0度以上に予め設定されている基準温度を下回ったとき、前記真水の温度が上がるように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第22の形態に係る水処理装置は、第19の形態に係る水処理装置であって、前記固液分離装置が排出する前記塩素系殺菌剤の温度又は前記固液分離装置内の温度が、摂氏39度以下に予め設定されている基準温度を超えたとき、前記水供給部における前記真水の温度及び/又は前記ホッパー内の温度が下がるように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第23の形態に係る水処理装置は、第13及至第15のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記溶液製造部における前記塩素系殺菌剤の製造中及びその製造終了後少なくとも一定期間、前記ホッパー内の温度が摂氏39度以下に設定されている、ことを特徴とする。
本発明の第24の形態に係る水処理装置は、第13及至第15のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記殺菌剤注入部における前記船舶のバラストに用いる水として導入された水への前記塩素系殺菌剤の注入中及びその注入の終了後少なくとも一定期間、前記ホッパー内の温度が摂氏39度以下になるように設定されている、ことを特徴とする。
本発明の第25の形態に係る水処理装置は、第13及至第15のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記ホッパーの周囲を冷却又は加熱する温度調節装置を備えている、ことを特徴とする。
本発明の第26の形態に係る水処理装置は、第25の形態に係る水処理装置であって、前記温度調節装置は、前記ホッパーが設置されている場所の空気調和を行うための空気調和装置を更に備えている、ことを特徴とする。
本発明の第27の形態に係る水処理装置は、第13及至第15のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記ホッパーの周囲に断熱材が取り付けられている、ことを特徴とする。
本発明の第28の形態は、第17乃至第19のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記溶解製造部は、断熱材により囲われた空間内に設置されている、ことを特徴とする。
本発明の第29の形態に係る水処理装置は、第13及至第15のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記殺菌剤注入部における前記船舶のバラストに用いる水として導入された水への前記塩素系殺菌剤の注入の終了前に前記塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物と前記真水の混合物と接触していた前記溶液製造部の表面の少なくとも一部が、その注入中及びその注入の終了後あるいはその注入の終了後、前記水供給部から供給される前記真水と接触するように構成されている、ことを特徴とする。
本発明の第30の形態に係る水処理装置は、第13及至第15のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記殺菌剤注入部における前記船舶のバラストに用いる水として導入された水への注入に使用されずに残留した前記塩素系殺菌剤又は前記塩素系殺菌剤の製造に使用されずに残留した、前記塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物と前記真水の混合物を、貯蔵する残留物貯蔵用タンクを更に備えている、ことを特徴とする。
本発明の第31の形態に係る水処理装置は、第13及至第15のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記ホッパー内から前記溶液製造部に供給される前記固形物の移動経路内に、前記固形物の移動方向に沿って移動する気体を供給する気体供給装置を備えている、ことを特徴とする。
本発明の第32の形態に係る水処理装置は、第13乃至15のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記ホッパーから前記溶液製造部に原料固形物が供給されていないとき、前記ホッパー内から前記溶液製造部に供給される前記固形物の移動経路を遮断する機構を備えている、ことを特徴とする。
本発明の第33の形態に係る水処理装置は、第13及至第15のいずれか1つの形態に係る水処理装置であって、前記ホッパーは、少なくとも、その胴体側面を複数個の断熱パネルで囲われていることを特徴とする。
<用語の定義・解釈>
本発明において、次に掲げる用語の定義又は解釈は、以下のとおりとする。
(1) 船舶のバラストに用いる水、つまり「バラスト水」は、海水、汽水及び淡水のうちいずれでもよい。
(2) 「真水」は、海水よりも塩素濃度が低い水をいい、純水や淡水が代表例である。「真水」には、海水から製造した淡水が含まれる。
(3) 「塩素化イソシアヌル酸化合物」は、殺菌作用を有する塩素の供給源であり、一般に溶解度はあまり大きくない(特公昭63-63527第二欄)。その代表例としては、ジクロロイソシアヌル酸(1,3−ジクロロイソシアヌル酸)塩及びトリクロロイソシアヌル酸(1,3,5−イソシアヌル酸)が挙げられる。たとえば、溶解速度を重視するのであれば(早く溶解させたいのであれば)前者のジクロロイソシアヌル酸塩を選択し、長期保存や長期塩素供給を重視するのであれば、後者のトリクロロイソシアヌル酸を選択することはよく知られているが(特許5290983/特表2010-509038の段落0005、再公表2012-124039の段落0024、0025参照)、実際にいずれを選択するかは用途、使用条件、入手容易性などによる。本発明における塩素化イソシアヌル酸化合物は、ジクロロイソシアヌル酸塩、トリクロロイソシアヌル酸等の塩素化イソシアヌル酸化合物のいずれか一つ又はいくつかの組み合わせである。
(4) 「固形状」とは、常温において固体であること、たとえば、常温において塊、顆粒、粉末及び微小錠剤のいずれかの状態にあることをいう。
(5) 「固形物」とは、常温において固形状の物質、たとえば、常温において塊、顆粒、粉末及び微小錠剤のいずれかの状態にある物質をいう。ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(無水塩)、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(二水塩)、トリクロロイソシアヌル酸(無水塩)などの塩素化イソシアヌル酸化合物が常温において固形物であることはよく知られている(再公表2012-124039の段落0025参照)。
(6) 船舶に搭載すること及び搭載されることは、それぞれ、船舶内又は船舶上に設置すること及び設置されることを意味する。
(7) 温度の「設定」には、温度の「制御」が含まれる。同様に、温度を「設定する」ことには、温度を「制御」することが含まれ、温度が「設定される」ことには、温度が「制御される」ことが含まれる。
(8) 「塩素系殺菌剤」とは、塩素の殺菌作用を利用して殺菌を行う殺菌剤をいう。本発明における塩素系殺菌剤は、塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物の水への溶解により製造される、塩素の殺菌作用を呈する成分を含有する液体である。
(9) 塩素系殺菌剤の「海水の殺菌に必要な量」には、海水に塩素系殺菌剤を注入するために必要になる配管内を行き渡らせるに足る、塩素系殺菌剤の余分な量が含まれる。
(10) 「一時的所蔵用容器」の代表例はホッパーであり、内容物を装入するための装入部と、装入された内容物を収容する収容部と、内容物の排出を行う排出部とを備えている。排出部は、通常、一時的所蔵用容器の内容物を排出先に供給するための原料供給機(フィーダー)を備えている。原料供給機は、多くの場合、一時的所蔵用容器の内容物を排出先に供給する前に予め、当該内容物を少量又は所定量に小分けするための計量機構とそれを駆動する駆動機構を備えている。その場合、内容物は、計量機構により小分けにされた後、複数回にわたり、排出先に供給される。
(11) 「還元剤」とは、固形であると否とを問わず、塩素系殺菌剤に由来する遊離有効塩素を還元する物質である。還元剤の代表例は、亜硫酸ナトリウム又はその水和物、チオ硫酸ナトリウム又はその水和物、あるいは、それらの水溶液である。
<発明の原理及び効果>
(1) まず、本発明の第1及び第13の各形態においては、塩素系殺菌剤を製造する際、その原料である塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物(以下「原料固形物」という場合がある)を海水ではなく真水と混合する。海水中にはより多くの塩素成分が含まれているので、原料固形物を海水と混合すると、真水と混合する場合に比べて、より多くの塩素ガスが発生するおそれがあるからである。
なお、当該真水は、船舶が搭載されている海水淡水化装置を使用して製造した淡水で賄うことができる。このようにすれば、当該真水を貯蔵するためのタンクを狭い船舶内に追加で設置する必要がなくなる。
加えて、本発明の第1及び第13の各形態によれば、原料固形物が一時的に貯蔵されているホッパーその他の一時的貯蔵用容器内の温度の上限(以下「容器内温度上限」という)を摂氏39度に設定するので、一時的貯蔵用容器内に貯蔵される又は未使用のままもしくは一時的貯蔵用容器の内表面に付着して残留している当該原料固形物の温度を、その自己分解温度(摂氏約40度)よりも低い摂氏39度以下に収めることができ、従って一時的貯蔵用容器内からの塩素ガスの発生を抑制することができ、既述の塩素ガスの悪影響を低減することができる。
容器内温度上限を、原料固形物の自己分解温度(摂氏約40度)ではなく、摂氏39度にしているのは、当該自己分解温度と容器内温度上限との差の絶対値が小さく、従って温度制御の幅に余裕がないと、たとえば温度制御の遅延又はオーバーシュートにより、一時的に摂氏40度以上になるケースが生じるおそれがあるからである。尤も、原料固形物の自己分解をより確実に防止する必要があるのであれば、容器内温度上限を原料固形物の自己分解温度(摂氏約40度)より、2度低い温度(摂氏38度)に設定するのが望ましく、より確実に防止する必要があるのであれば、3度低い温度(摂氏37度)又はより低い温度(摂氏37度未満)に設定するのが望ましい。
(2) 一時的貯蔵用容器であるホッパー内から供給される原料固形物を溶液製造部に供給するための原料供給機(フィーダー)においては、当該原料固形物と接触する、原料供給機を構成する部材の壁面は確実に存在する。たとえば、原料供給機が、当該原料固形物を少量又は所定量に小分けにするための計量機構を具備している場合には、計量機構を構成する部材の壁面の中には、当該原料固形物とかなり強く接触するものがある。その場合、当該壁面又はその周囲には、原料固形物が残留する可能性が高い。そのような残留物は、摂氏約40度を超えると、自己分解を起こして塩素ガスの発生源となる。これに対して、本発明の第14の形態によれば、計量機構内の温度を容器内温度上限以下に設定するので、計量機構内からの塩素ガスの発生を抑制することができ、既述の塩素ガスの悪影響を低減することができる。
(3) ホッパー内から前記溶液製造部に供給される原料固形物は、その移動経路を構成する部材の表面と接触し、その表面に付着して残留するおそれがある。そして、そのような残留物は、摂氏約40度を超えると、自己分解を起こして塩素ガスの発生源となる。これに対して、本発明の第15の形態によれば、当該移動経路内の温度を容器内温度上限以下に設定するので、当該移動経路内からの塩素ガスの発生を抑制することができ、既述の塩素ガスの悪影響を低減することができる。
(4) 本発明の第2の形態によれば、一時的貯蔵用容器が設置されている室内、空間その他の場所の温度(以下「環境温度」という)が摂氏39度未満であるとき、環境温度を下回る水準まで一時的貯蔵用容器内の温度を下げる必要がなくなるので、一時的貯蔵用容器内の温度の設定又は制御に要する消費エネルギーを節約できる。
なお、環境温度が摂氏0度以下になるケースが想定される場合には、一時的貯蔵用容器内の温度を環境温度以上に設定するのではなく、一時的貯蔵用容器内の温度の下限(以下「容器内温度下限」という)を設けて、その容器内温度下限を摂氏0度より高い温度に設定するのが望ましい。容器内温度下限が摂氏0度未満になると、原料固形物が摂氏0度未満になり、原料固形物と溶媒となる真水を混合したときにおこる真水の氷結により、原料固形物の真水への溶解を妨げる又はその溶解に時間がかかり過ぎてしまう、おそれがあるからである。また、たとえば一時的貯蔵用容器内の温度の制御の際にアンダーシュートが起こると、一時的貯蔵用容器内の温度が摂氏0度未満になる事態が起こり得るところ、容器内温度下限を摂氏0度より高い温度に設定すれば、そのような事態の発生を防止することができる。
一時的貯蔵用容器内の温度の制御の際に起こり得る、摂氏0度以下へのアンダーシュートが懸念される場合には、容器内温度下限を摂氏0度よりも2度高い摂氏2度に設定するのがより望ましく、摂氏0度よりも3度高い摂氏3度に設定するのが更に望ましい。
(5) 本発明の第3の形態によれば、原料固形物を一時的貯蔵用容器内に装入している間のみならず、装入前及び/又は装入後も当該一時的貯蔵用容器内の温度を容器内温度上限以下に設定するので、一時的貯蔵用容器内に貯蔵される又は残留している原料固形物の温度は摂氏40度以上になり難くなり、一時的に摂氏40度以上になることがあったとしても、摂氏40度以上になっている時間を短く抑えることができ、従って、一時的貯蔵用容器内からの塩素ガスの発生をより効果的に抑制することができ、既述の塩素ガスの悪影響をより低減することができる。
(6) 本発明の第4及び第16の各形態においては、原料固形物と混合される前の真水の温度を、摂氏5度以上、摂氏39度以下の範囲内(以下「特定温度範囲内」という場合がある)になるように予め設定する。
ここで、図44は、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを純水に溶解させたときの有効塩素濃度と溶解時間との関係、より具体的には、所定の有効塩素濃度に達する溶解時間は、純水の温度が高いほど短くなる関係を示す図である。摂氏3度の純水にジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを溶解させた場合については、溶解開始から7%の有効塩素濃度の達成までの時間がかかり過ぎたので計測をしていない。
塩素系殺菌剤として使用するために必要な有効塩素濃度は概ね7%である。そして、海水殺菌処理に用いる塩素系殺菌剤の製造時間として船内作業者が甘受できる時間が30分であるとすると、溶解開始から7%の有効塩素濃度の達成までの時間は30分以内であることが求められる。すると、この図44によれば、有効塩素濃度7%の溶液を30分以内で得るために求められる純水の温度は摂氏5度以上であることが分かる。この知見に基づき、原料固形物と混合される前の真水の温度を摂氏5度以上にした。
一方、真水の温度が摂氏40度以上になると、当該真水と接触した原料固形物の温度が高まり、自己分解温度以上となり、自己分解を契機とする塩素ガスの発生が起こるおそれがある。この塩素ガスは、既述のとおり、金属腐食や材質劣化の原因になり得るし、ホッパーその他の容器に移動し、外部に漏れると、船内作業環境を悪化させる原因となり得る。また、真水から放出される熱が、一時的貯蔵用容器内の温度の設定に悪影響を与える場合もあり得る(この悪影響は、当該一時的貯蔵用容器と真水の流通経路が近接している場合に特に顕著になる)。それ故、原料固形物と混合される前の真水の温度は摂氏39度以下にした。
かくして、上記各形態によれば、(i)バラスト水処理用殺菌剤として必要な有効塩素濃度を有する水溶液を得ることができるとともに、(ii)真水と接触した原料固形物の自己分解を防止することができ、原料固形物が一時的に貯蔵されている容器内の温度制御も行い易くなるので、本発明の第1及び第13の各形態の作用効果がより顕著になる。
なお、船内作業環境の安全を重視するのであれば、(a)真水の温度を、原料固形物の自己分解温度(摂氏約40度)である上限よりも2度以上の余裕を持たせた、摂氏38度以下になるよう設定するのが安全であり、船内作業環境の安全をより重視するのであれば、(b)真水の温度を、当該上限よりも3度以上の余裕を持たせた、摂氏37度以下になるように設定するのがより安全である。言うまでもなく、前者(a)の場合であれば、特定温度範囲内は、摂氏5度以上、摂氏38度以下の範囲内となり、後者(b)の場合であれば、特定温度範囲内は、摂氏5度以上、摂氏39度以下の範囲内となる。
(7) 本発明の第5及び第17の各形態においては、特定温度範囲内で原料固形物と真水とを混合するので、その混合物の温度も特定温度範囲内に収まって行く。当該混合物の真水の温度を摂氏5度以上にするのは、それ未満であると、原料固形物の真水に対する溶解度が低すぎて、殺菌剤として必要な有効塩素濃度の水溶液を得ることができない、又は得るのに時間がかかり過ぎるからである。
一方、当該混合物の温度が摂氏40度以上になると、混合物中の未溶解の原料固形物の温度が高まり、自己分解温度以上となり、自己分解を契機とする塩素ガスの発生が起こるおそれがある。この塩素ガスは、金属腐食や材質劣化の原因に、ホッパーその他の容器に移動し外部に漏れると船内作業環境を悪化させる原因になりうる。また、当該混合物から放出される熱が、原料固形物が一時的貯蔵容器内の温度の設定に悪影響を与えるおそれもある(この悪影響は大きなものではないが、当該一時的貯蔵用容器と当該混合物とが近接している場合に比較的顕著になる)。そこで、塩素系殺菌剤を製造する船内作業環境の安全を重視して、原料固形物と真水とを混合する際の温度は摂氏39度以下にする。
かくして、上記各形態によれば、真水と混合した原料固形物の自己分解を防止することができ、原料固形物が一時的に貯蔵されている容器の温度の設定も行い易くなり、総じて、本発明の第1及び第13の各形態の作用効果がより顕著になる。なお、船内作業環境の安全を重視するのであれば、原料固形物と真水とを混合する際の温度を、摂氏38度以下になるように(つまり、特定温度範囲内を、摂氏5度以上、摂氏38度以下の範囲内に)設定するのが安全であり、摂氏37度以下になるように(つまり、特定温度範囲内を、摂氏5度以上、摂氏37度以下の範囲内に)設定するのがより安全である。
(8) 本発明の第6の形態によれば、原料固形物を真水に溶解させてできる塩素系殺菌剤の温度を摂氏39度以内にするので、当該塩素系殺菌剤に原料固形物が未溶解のまま紛れ込んでいても、その未溶解の原料固形物の自己分解を契機とする塩素ガスの発生を抑制又は防止することができる。また、塩素系殺菌剤から原料固形物と真水との混合物へ熱が伝わっても、当該混合物中の未溶解の原料固形物が摂氏40度以上になることも防止することができる。
(9) 本発明の第7及び第20の各形態によれば、環境温度が高いとき、一時的貯蔵用容器内の温度を確実に容器内温度上限以下に抑えることができる。特に、この各形態によれば、上昇傾向にある環境温度の影響を受けて一時的貯蔵用容器内の温度が上昇し、容器内温度上昇を超えることを未然に防ぐことができる。
なお、摂氏39度以下に予め設定されている基準温度は、一時的貯蔵用容器内の温度に対する環境温度の影響の強弱や程度を考慮して決定する。たとえば、その影響が大きいのであれば、摂氏39度との差を大きく設定し、逆の場合は小さく設定する。
(10) 本発明の第8及び第21の各形態によれば、環境温度が低いとき、一時的貯蔵用容器内の温度を確実に容器内温度下限以上に高めることができる。特に、この各形態によれば、下降傾向にある環境温度の影響を受けて一時的貯蔵用容器内の温度が低下し、容器内温度下限を下回ることを未然に防ぐことができる。
なお、摂氏0度以上に予め設定されている基準温度は、一時的貯蔵用容器内の温度に対する環境温度の影響の強弱や程度を考慮して決定する。たとえば、その影響が大きいのであれば、摂氏0度との差を大きく設定し、逆の場合は小さく設定する。
(11) 本発明の第9及び第23の各形態によれば、塩素系殺菌剤の温度が高いとき、一時的貯蔵用容器内の温度を確実に容器内温度上限以下に抑えることができる。特に、この各形態によれば、上昇傾向にある環境温度の影響を受けて一時的貯蔵用容器内の温度が上昇し、容器内温度上昇を超えることを未然に防ぐことができる。
また、塩素系殺菌剤の温度が高いとき、原料固形物と混合される前の真水の温度を確実に摂氏39度以下に抑えることができ、それにより、原料固形物と真水との混合物の温度や塩素系殺菌剤の温度の更なる上昇を避けることができる。真水から放出される熱が、一時的貯蔵用容器内の温度の設定に悪影響を与えることも避けることができる。
なお、摂氏39度以下に予め設定されている基準温度は、一時的貯蔵用容器内の温度や原料固形物と真水との混合物の温度に対する、塩素系殺菌剤の温度の影響の有無及び強弱や程度を考慮して決定する。
(12) 本発明の第7乃至第9ならびに第20、第21及び第23の各形態によれば、水処理の条件に応じて基準温度を柔軟に設定し、水処理方法や水処理装置をカスタマイズすることができる。
(13) 本発明の第18の形態によれば、タンク内の温度が特定温度範囲内に設定され、故に当該タンク内の原料固形物と真水の混合物の温度は特定温度範囲内に収まって行くので、本発明の第5及び第17の各形態が奏するものと同じ効果を得ることができる。
一方、タンク内の温度が摂氏40度以上になると、そのタンクに収容されている原料固形物と真水の混合物、更にはその混合物中の未溶解の原料固形物が摂氏40度以上になり、当該未溶解の原料固形物の自己分解を契機とする塩素ガスの発生が起こり易くなる。
また、原料固形物が真水に溶解してできる水溶液、つまり塩素系殺菌剤も同一のタンク内に収容されているので、当該混合物の攪拌の過程で当該塩素系殺菌剤に原料固形物が未溶解のまま紛れ込むケースも起こり得る。そのようなケースにおいては、タンク内の温度が摂氏40度以上になることに伴い、当該塩素系殺菌剤が摂氏40度以上になり、そこに紛れ込んだ、未溶解の原料固形物の自己分解を契機とする塩素ガスの発生も起こるおそれがある。
更に、タンクの液面と一時的貯蔵用容器との距離が近いときは、タンクの内容物から放出される熱が一時的貯蔵用容器に及び、一時的貯蔵用容器内に存在する原料固形物の自己分解を契機とする塩素ガスの発生を助長するおそれもある。
これに対し、本発明の第18の形態によれば、タンク内に存在する塩素系殺菌剤の温度が特定温度範囲内に収まって行くので、未溶解の原料固形物の自己分解を契機とする塩素ガスの発生を防止又は抑制することができる。
(14) 本発明の第19の形態においては、固液分離装置が排出する塩素系殺菌剤の温度又は固液分離装置内の温度を、摂氏5度以上、摂氏39度以下の温度範囲内になるように設定する。
固液分離装置内の温度又は固液分離装置が排出する水溶液の温度が摂氏10度未満であると、原料固形物の真水に対する溶解度が低すぎて、一度溶解した塩素化イソシアヌル酸化合物又はこれに由来する成分が析出してくるおそれがあるからである。
一方、固液分離装置内の温度又は固液分離装置が排出する水溶液の温度が摂氏40度以上になると、当該水溶液中の未溶解の原料固形物の温度が高まり、自己分解温度以上となり、自己分解を契機とする塩素ガスの発生が起こるおそれがある。この塩素ガスは、固液分離装置に接続している溶解促進部(特に循環配管経路)を通じて、混合部へ、混合部からホッパーへ移動し、ホッパーから外部に漏れ出ることにより、あるいはその移動の途中で外部に漏れ出ることにより、船内作業環境を悪化させる原因となる。また、固液分離装置が排出する塩素系殺菌剤の温度又は固液分離装置内の温度が摂氏40度以上になっている状況では、溶解促進部から放出される熱が、混合部、ホッパーに及ぶおそれがあり、混合部やホッパー内に存在する原料固形物の自己分解を契機とする塩素ガスの発生を助長するおそれがある(この問題は大きなものではないが、たとえば、バラスト水処理装置をよりコンパクトに設計した結果、固液分離装置や固液分離装置からの当該水溶液の流通経路(循環配管経路を含む)が混合部やホッパーに近接するに至った場合に顕在化するケースがありうる)。そこで、塩素系殺菌剤を製造する船内作業環境の安全を重視して、当該温度は摂氏39度以下にする。
かくして、第19の形態によれば、塩素系殺菌剤中の未溶解の原料固形物の自己分解を防止することができ、本発明の第1及び第13の各形態の作用効果がより顕著になる。
なお、船内作業環境の安全を重視するのであれば、固液分離装置内の温度又は固液分離装置が排出する水溶液の温度は、原料固形物の自己分解温度(摂氏約40度)である上限から2度以上の余裕を持たせた、摂氏38度以下になるように、より安全を重視するのであれば当該上限から3度以上の余裕を持たせた、摂氏37度以下になるように設定するのが好ましい。
(15) 本発明の第22の形態によれば、塩素系殺菌剤の温度又は固液分離装置内の温度が高いとき、原料固形物と混合される前の真水の温度を確実に摂氏39度以下に抑えることができ、それにより、原料固形物と真水との混合物の温度や塩素系殺菌剤の温度の更なる上昇を避けることができる。真水から放出される熱が、一時的貯蔵用容器内の温度の設定に悪影響を与えることも避けることができる。
なお、摂氏39度以下に予め設定されている基準温度は、一時的貯蔵用容器内の温度ならびに原料固形物と真水との混合物の温度及び塩素系殺菌剤の温度のうち少なくとも一方に対する、塩素系殺菌剤の温度又は固液分離装置内の温度の影響の有無及び強弱や程度を考慮して決定する。
本発明の第22の形態によれば、水処理の条件に応じて基準温度を柔軟に設定し、水処理方法や水処理装置をカスタマイズすることができる。
(16) 原料固形物の自己分解を契機とする塩素ガスは、塩素系殺菌剤を製造するために使用されることなく一時的貯蔵用容器内に残留する原料固形物(当該一時的貯蔵用容器の内壁面に付着して残留するものを含む)からも発生する。そのため、塩素ガスの発生を十分抑制するためには、塩素系殺菌剤の製造中のみにおいて、当該一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定するだけでは足りないケースが起こり得る。
これに対し、本発明の第10及び第23の各形態によれば、塩素系殺菌剤の製造中のみならず、その製造終了後少なくとも一定期間、また、本発明の第11及び第25の各形態によれば、塩素系殺菌剤のバラスト水として用いる水への注入中のみならず、その注入終了後少なくとも一定期間、当該一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定するので、一時的貯蔵用容器内に残留する原料固形物の自己分解を契機とする塩素ガスの発生をも防止又は抑制することができる。
なお、本発明の第7及び第18の各形態の場合、「一定期間」とは、塩素系殺菌剤の製造終了後から、当該一時的貯蔵用容器内に未使用のまま残留している原料固形物の自己分解を契機とする塩素ガスの発生量が、当該原料固形物の自己分解を契機として発生する塩素ガスの悪影響を防止又は低減する効果が発揮されたといえる程度まで減少するまでの期間をいう。本発明の第7及び第18の各形態の場合、「一定期間」とは、塩素系殺菌剤の海水への注入終了後から、当該一時的貯蔵用容器内に未使用のまま残留している原料固形物の自己分解を契機とする塩素ガスの発生量が、当該原料固形物の自己分解を契機として発生する塩素ガスの悪影響を防止又は低減する効果が発揮されたといえる程度まで減少するまでの期間をいう。いずれの場合であれ、「一定期間」は、短期間であるケースもあれば、長時間であるケースもある。
また、当該一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定する期間は「少なくとも」一定期間であるので、上記の塩素ガスの悪影響を防止又は低減する効果が発揮されたといえる程度に達した後も引き続き、当該一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定してもよい。
殺菌剤の製造の時間帯は使用の時間帯と重複してもよいが、重複している必要はない。
本発明の第10及び第23の各形態における「塩素系殺菌剤の製造終了後少なくとも一定期間」と、本発明の第11及び第24の各形態における「塩素系殺菌剤の海水への注入終了後少なくとも一定期間」とは、多くの場合、重複するが、重複している必要はない。
たとえば、本発明の第1の形態に係る水処理方法を最初に実行してから、次に実行するまでの間継続して、当該一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定してもよい。
(17) 本発明の第12の形態によれば、原料固形物を容器に補給するので、当該固形物の使い尽くし、つまり第一段階の終了を先延ばしでき、海水処理を継続することができる。
(18) 本発明の第25の形態によれば、温度調節装置を用いて、ホッパー内の温度の設定又は制御を行うことができる。
本発明の第26の形態によれば、ホッパーの設置場所の空気調和とともに、ホッパーの周囲の冷却又は加熱を行なうことができるので、合理的である。
本発明の第27の形態においては、ホッパーの周囲に断熱材が取り付けられているので、環境温度がホッパー内の温度の設定に悪影響する又はそのおそれがある場合であっても、その悪影響をなくす又は軽減することができる。なお、この形態においては、ホッパーの周囲に取り付けられている断熱材は、ホッパーの外表面の少なくとも一部に接触していてもよく、ホッパーの外表面に接触せずに、その外表面から離隔していてもよい。
本発明の第28の形態においては、溶解製造部が断熱材により囲われた空間内に設置されているので、環境温度が溶解製造部内の温度や容器製造部から排出される内容物の温度の設定に悪影響する又はそのおそれがある場合であっても、その悪影響をなくす又は軽減することができる。なお、この形態においては、溶解製造部が設置されている空間を囲っている断熱材は、溶解製造部を構成するタンク、配管などの外表面の少なくとも一部に接触していてもよく、当該外表面から離隔していてもよい。
本発明の第29の形態においては、バラスト水への塩素系殺菌剤の注入中及びその注入の終了後あるいはその注入の終了後、原料固形物と真水の混合物が接触していた溶液製造部の表面の少なくとも一部が水供給部から供給される真水と接触するので、乾燥しない。それ故、この形態によれば、当該表面の少なくとも一部における、溶質である塩素化イソシアヌル酸化合物やその組成成分の析出、堆積又は固化を抑制又は防止することができ、延いては保守点検を軽減し、その頻度を低減させることができる。なお、溶液製造部内に原料固形物が残留している場合があるので、水供給部から供給される真水の温度及び/又は当該真水が供給された後の溶液製造部内の温度を、摂氏39度以下に設定又は制御することが望ましい。
本発明の第30の形態によれば、バラスト水の殺菌に使用されずに残留した塩素系殺菌剤や塩素系殺菌剤の製造に使用されずに残留した原料固形物と真水の混合物を貯蔵する残留物貯蔵用タンクを備えているので、水処理装置を構成する容器内、配管経路内等における溶質である塩素化イソシアヌル酸化合物やその組成成分の析出、堆積又は固化を抑制又は防止することができ、延いては保守点検を軽減し、その頻度を低減させることができる。
本発明の第31の形態によれば、気体供給装置から供給される気体の流れにより、溶液製造部に供給される真水に由来する水分が、ホッパー内に到達することを抑制又は防止することができる。
本発明の第32の形態によれば、ホッパーから溶液製造部に原料固形物が供給されていないときは、ホッパーと溶液製造部との間の原料固形物の移動経路がバルブなどの機構により遮断されるので、溶液製造部に供給される真水に由来する水分が、ホッパー内に到達することを抑制又は防止することができる。
本発明の第33の形態によれば、ホッパーの、少なくともその胴体の側面を断熱パネルにより囲うので、ホッパーの断熱構造を比較的容易に構築することができる。
本発明に係る水処理方法の基本形の説明図である。 本発明に係る水処理方法の基本形の変形例1の説明図である。 本発明に係る水処理方法の基本形の変形例2の説明図である。 本発明に係る水処理方法の基本形の総括的説明図である。 本発明に係る水処理方法の実施例1の説明図である。 本発明に係る水処理方法の実施例2の説明図である。 本発明に係る水処理方法の実施例3の説明図である。 本発明に係る水処理方法の実施例4の説明図である。 本発明に係る水処理方法の実施例5の説明図である。 水処理装置の基本構成の説明図である。 ホッパー部の基本構成の説明図である。 原料供給機の説明図である。 計量機構の原理説明図である。 計量機構の主要部品の説明図である。 排出支援機構の一例の説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Aの説明図である。 本発明に係る水処理装置のホッパー部の温度設定機構の変形例1の説明図である。 本発明に係る水処理装置のホッパー部の温度設定機構の変形例2の説明図である。 本発明に係る水処理装置のホッパー部の温度設定機構の変形例3の説明図である。 図19に示されている変形例3の派生例1の説明図である。 図19に示されている変形例3の派生例2の説明図である。 図19に示されている変形例3の派生例3の説明図である。 本発明に係る水処理装置のホッパー部の温度設定機構の変形例4の説明図である。 本発明に係る水処理装置のホッパー部の温度設定機構の変形例5の説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Bの説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Cの説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Dの説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Eの説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Fの説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Gの説明図である。 水処理装置の基本構成の変形例の説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Hの説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Iの説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Jの説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Kの説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Lの説明図である。 本発明に係る水処理装置の実施例-Mの説明図である。 ホッパー部における断熱材の取り付け構造の説明図である。 ホッパー部の改良例2の説明図である。 ホッパー部の改良例3の説明図である。 バラスト水処理装置を搭載する船舶の基本構成の説明図である。 図41に示されている船舶において実行される殺菌処理の説明図である。 図41に示されている船舶において実行される還元処理の説明図である。 ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを純水に溶解させたときの有効塩素濃度と溶解時間との関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態又は実施例を示し、本発明を詳細に説明する。その際、必要に応じて図表を参照しつつ説明するが、各図表において同じ部分又は相当する若しくは共通する部分にはこれと同じ符号を付す。いうまでもなく、本発明は、図面に記載された実施の形態や実施例に限定されるものではない。
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1)基本形の概要
(1) 図1は、本発明に係る水処理方法の基本形の説明図である。基本形は、図1(a)に示されているように、塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物(原料固形物)msと原料固形物msを一時的に貯蔵するための一時的貯蔵用容器H(以下「容器H」と略称する)を用意する準備段階S0と、原料固形物msを容器H内に装入し、容器H内から取り出す前に一時的に貯蔵する工程S11を有する第一段階S1と、容器H内から取り出された原料固形物msを真水wsと混合し、撹拌することにより、塩素化イソシアヌル酸化合物の水溶液である塩素系殺菌剤Asを製造する工程S21を有する第二段階S2と、塩素系殺菌剤Asを船舶VSLの外部から導入した海水Woに注入する工程S31を有する第三段階S3を有するとともに、第一段階S1は、容器H内の温度Thを容器内温度上限以下に設定する工程(以下「温度設定工程S12」という)を有している。容器内温度上限は、既述のとおり、摂氏39度であるが、温度制御の幅に余裕を持たせるため、これを摂氏38度、摂氏37度又は更に低い温度に設定してもよい。
温度設定工程S12は、図1(b)に示されているように、容器H内の温度Thを容器内温度上限以下に設定することに加え、容器内温度下限以上に設定する温度設定工程S12*であってもよい。容器内温度下限は、既述のとおり、摂氏0度超であるが、温度制御の幅に余裕を持たせるため、これを摂氏2度、摂氏3度又は更に高い温度に設定してもよい。
図2は、本発明に係る水処理方法の基本形の変形例1の説明図である。変形例1は、図2(a)に示されているように、基本形と同様に、準備段階、第一段階S1、第二段階S2及び第三段階S3を有するとともに、第一段階S1は温度設定工程S12を有している。しかし、基本形と異なり、第二段階S2が、原料固形物msと混合する前の真水wsの温度Twsを特定温度範囲内に予め設定しておく工程S22、原料固形物msと真水wsとを混合させる際に特定温度範囲内でその混合を行う(より具体的には混合物Csの温度Tcsを特定温度範囲内に設定する)工程S23、製造された塩素系殺菌剤Asの温度Tasを特定温度範囲内に設定する工程S24のうち少なくとも一つの工程を有している。温度設定工程S12は、図2(b)に示されているように、温度設定工程S12*であってもよい。
図3は、本発明に係る水処理方法の基本形の変形例2の説明図である。変形例2は、図3(a)に示されているように、基本形と同様に、準備段階、第一段階S1、第二段階S2及び第三段階S3を有するとともに、第一段階S1が温度設定工程S12を有している。しかし、基本形と異なり、第三段階S3が、製造された塩素系殺菌剤Asの温度Tas*を特定温度範囲内に設定する工程S32を有している。温度設定工程S12は、図3(b)に示されているように、温度設定工程S12*であってもよい。
(2) 第二段階S2において真水と混合すべき原料固形物を予め少量又は所定量に小分けにする場合には、温度設定工程S12は、その小分けにするための装置(後述の計量機構に相当する装置)内の温度Th(fdr)を容器内温度上限以下に設定する工程S12-1を有していてもよい。この工程S12-1は、温度Th(fdr)を容器内温度上限以下に設定することに加え、容器内温度下限以上に設定する温度設定工程S12-1*であってもよい。
第二段階S2において真水と混合するための原料固形物を一時的貯蔵用容器内から取り出す際には、温度設定工程S12は、当該原料固形物の移動経路(たとえば後述の原料供給路Cms)内の温度Th(cms)を容器内温度上限以下に設定する工程S12-2を有していてもよい。この工程S12-2は、温度Th(cms)を容器内温度上限以下に設定することに加え、容器内温度下限以上に設定する温度設定工程S12-2*であってもよい。
なお、以下においては、特に区別して説明する場合を除き、工程S12-1及び工程S12-2のそれぞれを工程S12により代表させ、工程S12-1*及び工程S12-2*のそれぞれを工程S12により代表させる。工程S12の説明を工程S12-1及び工程S12-2のそれぞれの説明として又は工程S12*の説明を工程S12-1*及び工程S12-2*のそれぞれの説明として取り扱う際には、温度Thを温度Th(fdr)及び温度Th(cms)のそれぞれに読み替えるものとする。
(3) 総じて、本発明に係る水処理方法の基本形は、図4(a)に示されているように、準備段階、第一段階S1、第二段階S2及び第三段階S3を有すること、ならびに、第一段階S1が温度設定工程S12を有することを必須としている。そして、この基本形は、その変形例として、工程S22、S23及びS24ならびに工程S32のうち少なくとも一つの工程を有していてもよく、図4(b)に示されているように、温度設定工程S12は温度設定工程S12*であってもよい。
(4) 本発明に係る水処理方法の代表例は、塩素系殺菌剤を使用するバラスト水処理方法である。バラスト水処理方法は、本発明に係る水処理方法に該当するものである限り、上記の基本形及び変形例に基づき説明することができる。
2)各工程の説明
図4を参照しつつ、各工程について説明する。
2.1)準備段階
準備段階S0は、原料固形物msを一時的に貯蔵するための容器Hを用意する工程S01と塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物(原料固形物)msを用意する工程S02を有している。工程S01は、通常、長期間又は複数回使用可能な装置を用意する工程であり、当該装置を新設して用意する工程であってもよいし、既存の当該装置を用意する工程であってもよい。工程S02は、塩素系殺菌剤Asの原料である原料固形物msを用意する工程であり、原料固形物msを補給する工程を有していてもよい。
工程S01は、船舶VSL内に容器Hを新設する場合には、その新設の容器Hを用意することを意味し、船舶VSL内に容器Hが既設である場合には、その既設の容器Hを用意することを意味する。工程S01の開始時点t[s01s]には特に制限はないが、その終了時点t[s01e]は、遅くとも第二段階S2の開始時点t[s1s]である。
工程S02は、具体的には、容器Hへの原料固形物の装入に備えて、船舶VSL内の所定の場所に原料固形物msを用意する工程であり、たとえば、船舶VSLが備える空調設備付きの倉庫内に、原料固形物msを収容したコンテナを格納することを意味する。工程S02の開始時点t[s02e]には特に制限はなく、通常は、t[s01s]以後の時点であり、多くの場合、t[so1e]以後の時点である。工程S02は、遅くとも、後述の貯蔵工程S11の開始時点t[s11s]以前に終了している必要がある。
原料固形物msを容器Hに最初に貯蔵した後、容器Hに補給する場合には、その補給のための原料固形物msの用意は、t[s11s]より前に終了しているか、t[s11e]より前の補給時までに完了している必要がある。
2.2)第一段階S1
(1) 第一段階S1は、原料固形物msを容器H内に装入し、容器H内から取り出す前に一時的に貯蔵する工程(以下「貯蔵工程S11」という)と、温度設定工程S12を有する段階である。温度設定工程S12は、温度設定工程S12*であってもよい。温度設定工程S12は、既述のとおり、工程S12-1や工程S12-2を有する場合があり、工程S12-1及び工程S12-2は、それぞれ、工程S12-1*及び工程S12-2*であってもよい。
(2) 貯蔵工程S11は、容器H内に原料固形物msが装入された時点t[s11s]から開始し、容器H内に一時的に貯蔵されている原料固形物msが容器H内からすべて取り出された時点t[s11e]で終了する工程である。容器H内への原料固形物msの装入には、容器H内への原料固形物msの補給、つまり容器H内の原料固形物msが容器H内からすべて取り出される前に行う原料固形物msの装入が含まれる。従って、容器H内に一時的に貯蔵されている原料固形物msには、補給された原料固形物msが含まれる。
塩素系殺菌剤Asの製造に使用されずに残った原料固形物msを容器H内に引き続き貯蔵し続ける場合は、貯蔵工程S11の実行を継続させる必要があるので、t[s11e]は、より遅い時点となる。
(3) 温度設定工程S12又はS12*の開始時点t[s12s]は、貯蔵工程S11の開始時点t[s11s]以前の時点である。容器H内の温度Thは、容器H内に原料固形物msが装入される前に、容器内温度上限以下に設定されていることが望ましいので、t[s12s]は、通常、t[s11s]より前の時点である。
一方、温度設定工程S12又はS12*の終了時点t[s12e]は、貯蔵工程S11の終了時点t[s11e]より後の時点である。なぜならば、貯蔵工程S11の終了後も、容器Hの内表面に付着する原料固形物msが残留している場合があり、その残留物の自己分解を契機として発生する塩素ガスの悪影響が懸念されるからである。ただし、容器Hの内表面に残留する原料固形物msの除去やその残留物が発生源である塩素ガスへの対策が功を奏して、当該塩素ガスの悪影響が一定水準以下に低減されている場合には、t[s12e]は、t[s11e]より後の時点である必要はない。
(4) t[s12e]がt[s11e]より後の時点である場合には、温度設定工程S12又はS12*は、第二段階S2の実行中及び実行後少なくとも一定期間、継続的に実行される工程であってよく、第三段階S3の実行中及び実行後少なくとも一定期間、継続的に実行される工程であってもよい。また、温度設定工程S12は、貯蔵工程S11の終了後、次の貯蔵工程S11の開始時点まで継続的に実行される工程であってよく、次の温度設定工程S12又はS12*の開始時点まで継続的に実施される工程であってもよく、原則として常時実行される工程であってもよい。
2.3)第二段階S2
(1) 第二段階S2は、容器H内から取り出された原料固形物msを真水wsと混合し、撹拌することにより、塩素系殺菌剤Asを製造する工程S21を有する段階である。
(2) 容器H内から原料固形物msを取り出す際には、少量又は所定量の小分けにして複数回にわたり取り出するのが望ましい。なぜならば、容器H内から一度に大量の原料固形物msを取り出して真水wsに混合し攪拌すると、攪拌効果が行き渡らず、未溶解の原料固形物msが少なからず残ってしまうところ、容器H内から、少量又は所定量に小分けされた原料固形物ms*を複数回にわたり取り出し、その取り出す都度、真水wsと混合し攪拌すれば、その真水wsに確実に溶解させることができ、これを繰り返せば、海水処理用殺菌剤として必要な有効塩素濃度を有する塩素系殺菌剤Asの必要量を、確実に製造することができるからである。
(3) 第二段階S2では、原料固形物msと真水wsとの混合と、その混合物Csの攪拌を、同時に及び/又は同じ空間内で行ってもよく、別々の時間に及び/又は異なる空間で行ってもよい。たとえば、原料固形物msと真水wsを槽内に装入し、その槽内に設置してあるインペラにより混合と攪拌を同時に行い、その槽内で塩素系殺菌剤Asを製造してもよく(図11乃至図16参照)、原料固形物msと真水wsを、混合を主目的とする槽内に装入し、その槽内で混合した後、その槽内から取り出された混合物Csを、攪拌及び固液分離を主目的とする装置内に装入し、その装置内で攪拌することで塩素系殺菌剤Asを製造してもよい(図19乃至図23参照)。
(4) 第二段階S2は、工程S22、S23、S24のうち少なくとも一つを有していてもよい。工程S22、S23、S24は、いずれも、原料固形物msの真水wsに対する溶解度を一定水準以上に保つと同時に、真水wsと接触する、混合物Cs中のあるいは塩素系殺菌剤As中に残留する原料固形物msの自己分解を契機とする塩素ガスの発生を抑制又は防止することを主たる目的として実行される工程である。
(5) 第三段階S3の実行開始の頃合を見計らって、事前に工程S21を開始する。その開始時点t[s21s]は、貯蔵工程S11の開始時点t[s11s]以降であり、且つ、温度設定工程S12の開始時点t[s12s]以降である。工程S21の終了時点t[s21e]は、(i)海水Woの殺菌に必要な量の塩素系殺菌剤Asを製造し終えた時点、(ii)その製造が不可能になった時点ならびに(iii)その製造が無用になった時点のうち、最も早いものである。
(6) 工程S22を実行する場合、その開始時点t[s22s]は、工程S21の開始時点t[s21s]と同時又はそれより前の時点である。工程S22の終了時点t[s22e]は、原則としてt[s21e]と同時点であるが、t[s21e]より後の時点であってもよい。
工程S23を実行する場合、その開始時点t[s23s]は、原料固形物msと真水wsとの混合開始時点である。工程S23の終了時点t[s23e]は、(i)海水Woの殺菌に必要な量の塩素系殺菌剤Asを製造するために必要な、原料固形物msと真水wsとの混合を終えた時点、(ii)その混合が不能になった時点ならびに(iii)その混合が不要になった時点のうち、最も早いものである。しかしながら、混合物Cs中の未溶解の原料固形物msの自己分解を契機として発生する塩素ガスの悪影響が一定水準以下に低減されていない限り又は当該塩素ガスへの別段の対策が講じられない限り、工程S23を終了させる必要はない(むしろ継続して実行するのが望ましい)。
工程S24を実行する場合、その開始時点t[s24s]は、通常、塩素系殺菌剤Asが製造され始めた時点である。工程S24の終了時点t[s24e]は、(i)塩素系殺菌剤Asを製造し終えた時点、(ii)その製造が不能になった時点ならびに(iii)その製造が不要になった時点のうち、最も早いものである。しかしながら、塩素系殺菌剤As 中の未溶解の原料固形物msの自己分解を契機として発生する塩素ガスの悪影響が一定水準以下に低減されていない限り又は当該塩素ガスへの別段の対策が講じられない限り、t[s24e]は、より遅い時点となる。
(7) 原料固形物msと真水wsの混合を特定温度範囲内で行うためには、比熱の大きな真水wsの温度を特定温度範囲内に予め設定しておいた方が効果があり、効率も良い。それ故、工程S22の開始時点t[s22s]は、工程S21の開始時点t[s21s]より前の時点であることが望ましい。また、工程S23を実行する場合には、工程S22も実行することが望ましい。
(8) 真水wsから放出される熱が容器H内の原料固形物msの温度Thを容器内温度上限以下に設定することを妨げるおそれがある場合、たとえば真水wsを流通させる配管が容器Hに近接しており、当該配管から放出される熱が温度Thに影響するおそれが場合は、そのおそれがなくなるまで工程S22を実行するのが望ましい。その場合、t[s22s]は、t[s21s]より前の時点とするのが望ましい。
混合物Csから放出される熱が温度Thを容器内温度上限以下に設定することを妨げるおそれがある場合、たとえば混合物Csが容器Hに近接しており、混合物Csから放出される熱が温度Thに影響するおそれがある場合には、そのおそれがなくなるまで工程S23を実行するのが望ましい。
塩素系殺菌剤Asから放出される熱が、混合物Csの温度Tcsを特定温度範囲内に設定する工程23の実行を妨げるおそれがある場合、たとえば塩素系殺菌剤Asと混合物Csとの接触面積が大きいために塩素系殺菌剤Asから放出される該熱が混合物Csに及ぶおそれがある場合は、工程23に加えて工程24を実行するのが望ましい。
塩素系殺菌剤Asから放出される熱が温度Thを容器内温度上限以下に設定することを妨げるおそれがある場合、たとえば塩素系殺菌剤Asが容器Hに近接しているために塩素系殺菌剤Asから放出される熱が直接容器Hに及び、その結果温度Thに影響するおそれがある場合や、塩素系殺菌剤Asから放出される熱が混合物Csに及び、その混合物Csから放出される熱が容器Hに及び、その結果温度Thに影響するおそれがある場合には、そのおそれがなくなるまで工程S24を実行するのが望ましい。
2.4)第三段階S3
(1) 第三段階S3は、塩素系殺菌剤Asを船舶VSLの外部から導入した海水Woに注入する工程S31を有する段階である。バラスト水処理の場合であれば、工程S31は、船舶VSLが具備するバラストタンクBTに向かって、船外で取水した海水WoをバラストタンクBTに向けて船内を移動させる過程で、その海水Woに塩素系殺菌剤Asを注入することにより殺菌処理を施す工程に相当する。
(2) 第三段階S3は、工程S32を有していてもよい。工程S32は、原料固形物msの真水wsに対する溶解度を一定水準以上に保つと同時に、塩素系殺菌剤As中に残留する原料固形物msの自己分解を契機とする塩素ガスの発生を防止することを主たる目的として実行される工程である。
(3) 第三段階S3の開示時点t[s3s]は、船舶VSLの外部から導入した海水Woが塩素系殺菌剤Asの注入口に到達した時点といって差し支えない。
塩素系殺菌剤Asを残さず海水Woに注入する場合であれば、第三段階S3の終了時点t[s3e]は、概ね、船舶VSLの外部からの海水Woの導入を終えた時点である。しかし、海水Woに注入されずに塩素系殺菌剤Asが残留し(たとえば、未注入の塩素系殺菌剤Asが注入口に接続する配管内に残留し)、放置すると実害がある場合には、後述の隔離、無害化等の処置が講じられない限り、工程S32の実行を継続させる必要があるので、t[s3e]は、より遅い時点となる。
(4) 工程S32は、工程S24とは別の工程として説明しているが、工程S24と同様に、製造された塩素系殺菌剤Asの温度Tas*を特定温度範囲内に設定する工程である。本発明に係る水処理方法を実行するための装置の構成にも拠るが、(i)工程S24における温度設定のために必要な機器・装置類の一部又は全部を、工程S32において用いることができるケースがあり、(ii)第二段階S2において製造される塩素系殺菌剤Asと第三段階S3において海水Woに注入される塩素系殺菌剤Asが同じ場所に存在する又は、異なる場所ではあるが、一方から他方への熱伝導が起こるにように構成されている場合には、工程S24及び工程S32を単一の工程とみなすことができるケースもある。後者(ii)の場合、工程S32の実行期間の少なくとも一部は、工程S24の実行期間の少なくとも一部と重なることになる。
3)基準温度の設定
(1) 温度設定工程S12においては、予め設定してある、摂氏39度以下の基準温度Tm(h)を超えたときに、容器H内の温度Thを下げることで、温度Thを容器内温度上限以下に設定する制御を行ってもよい。また、温度設定工程S12*においては、温度設定工程S12と同様の温度制御に加えて、予め設定してある、摂氏0度より高い基準温度Tl(h)を下回ったときに、容器H内の温度Thを高める下げることで、温度Thを容器内温度下限以上に設定する制御を行ってもよい。
(2) 第二段階S2が工程S22を有する場合には、予め設定してある、摂氏39度以下の基準温度Tm(ws)を超えたときに、真水wsの温度Twsを下げ、予め設定してある、摂氏5度以上の基準温度Tl(ws)を下回ったときに、真水wsの温度Twsを上げることで、温度Twsを特定温度範囲内に設定する制御を行ってもよい。
第二段階S2が工程S23を有する場合には、予め設定してある、摂氏39度以下の基準温度Tm(cs)を超えたときに、混合物Csの温度Tcsを下げ、予め設定してある、摂氏5度以上の基準温度Tl(cs)を下回ったときに、混合物Csの温度Tcsを上げることで、温度Tcsを特定温度範囲内に設定する制御を行ってもよい。
第二段階S2が工程S24を有する場合には、予め設定してある、摂氏39度以下の基準温度Tm(as)を超えたときに、塩素系殺菌剤Asの温度Tasを下げ、予め設定してある、摂氏5度以上の基準温度Tl(as)を下回ったときに、塩素系殺菌剤Asの温度Tasを上げることで、温度Tasを特定温度範囲内に設定する制御を行ってもよい。
第三段階S3が工程S32を有する場合には、予め設定してある基準温度Tm(as*)を超えたときに、塩素系殺菌剤Asの温度Tas*を下げ、予め設定してある、摂氏5度以上の基準温度Tl(as*)を下回ったときに、塩素系殺菌剤Asの温度Tas*を上げることで、温度Tas*を特定温度範囲内に設定する制御を行ってもよい。
(3) 基準温度Tm(h)、Tm(ws)、Tm(cs)、Tm(as)及びTm(as)*は、たとえば、摂氏38度に設定し、船内作業環境の安全をより重視するのであれば、たとえば摂氏37度(又は更に低い温度)に設定してもよい。ケースによっては、基準温度の値を分散させて設定してもよい(たとえば、基準温度Tm(h)を摂氏36度、基準温度Tm(ws)及びTm(cs)を摂氏37度、残りの基準温度Tm(as)及びTm(as)*を摂氏38度にする)。
(4) 基準温度Tl(h)は、容器内温度下限と同じ温度に設定し、ケースによっては、容器内温度下限よりも高い温度(たとえば、0.5度高い温度)に設定してもよい。
基準温度Tl(ws)、Tl(cs)、Tl(as)及びTl(as)*は、たとえば摂氏6度に設定し、温度制御の際に起こり得るアンダーシュートの影響を懸念するのであれば、たとえば摂氏7度(又は更に高い温度)に設定してもよい。ケースによっては、基準温度の値を分散させて設定してもよい(たとえば、基準温度Tl(ws)を摂氏7度、基準温度Tl(cs)を摂氏6度、残りの基準温度Tm(as)及びTm(as)*を摂氏5度に設定する)。
4)実施例
4.1) 図5及至図9は、それぞれ、本発明に係る水処理方法の実施例1及至実施例5に関する説明図である。いずれの実施例においても、別段の説明がある場合を除き、基準温度Tm(h)は摂氏38度とする。
(1)工程S11、S12、S21及びS31について
(実施例1)
実施例1では、図5に示されているとおり、準備段階S0の終了後、温度設定工程S12→貯蔵工程S11→工程S21→工程S31の順で開始させ、貯蔵工程S11→工程S21→温度設定工程S12→工程S31の順に終了させる。また、工程S11の終了時点t[s11e]及び工程S21の終了時点t[s21e]は、いずれも工程S31の開始時点t[s31s]よりも後の時点とする。
従って、実施例1では、(i)工程S11の実行期間中、ならびに(ii)工程S21の実行期間中及びその後一定期間(t[s21e]からt[s12e]までの期間)継続して、温度設定工程S12を実行し、これにより温度Thを容器内温度上限以下に設定する。
実施例1では、工程S11、S21をt[s21s]からt[s11e]の期間中同時に実行し、工程S11、S21、S31のすべてをt[s11e]からt[s31s]までの期間中同時に実行する。このような各工程の実行方法は、原料固形物msと真水wsから塩素系殺菌剤Asを製造しながら、海水Woに注入するケースに適している。このケースでは、当該塩素系殺菌剤Asを一時的に貯蔵してもよいし、一時的に貯蔵することなく直接海水Woに注入してもよい。
(実施例2)
実施例2では、図6に示されているとおり、準備段階S0の終了後、温度設定工程S12→貯蔵工程S11→工程S21→工程S31の順で開始させ、貯蔵工程S11→工程S21→工程S31→温度設定工程S12の順に終了させる。また、工程S31の開始時点t[s31s]は工程S11の終了時点t[s11e]の後であり、工程S21の終了時点t[s21e]は工程S31の開始時点t[s31s]の後とする。
従って、実施例2では、(i)工程S11の実行期間中、(ii)工程S21の実行期間中及びその後一定期間(t[s21e]からt[s12e]までの期間)継続して、ならびに(iii)工程31の実行期間中及びその後一定期間(t[s31e]からt[s12e]までの期間)継続して、温度設定工程S12を実行し、これにより温度Thを容器内温度上限以下に設定する。
実施例2では、実施例1と同様、工程S11、S21をt[s21s]からt[s11e]の期間中同時に実行し、工程S21、S31をt[s31s]からt[s21e]までの期間中同時に実行するが、実施例1と異なり、工程S11、S21、S31のすべてを同時に実行することはない(特に工程S11、S31を同時に実行することはない)。とはいえ、このような各工程の実行方法は、実施例1と同様、原料固形物msと真水wsから塩素系殺菌剤Asを製造しながら、海水Woに注入するケースに適している。このケースでも、当該塩素系殺菌剤Asを一時的に貯蔵してもよいし、一時的に貯蔵することなく直接海水Woに注入してもよい。
(実施例3)
実施例3は、図7に示されているとおり、また実施例1と同様、準準備段階S0の終了後、温度設定工程S12→貯蔵工程S11→工程S21→工程S31の順で開始させ、貯蔵工程S11→工程S21→温度設定工程S12→工程S31の順に終了させる。また、工程S11の終了時点t[s11e]及び工程S21の終了時点t[s21e]は、いずれも工程S31の開始時点t[s31s]よりも後の時点とする。
従って、実施例3では、(i)工程S11の実行期間中、ならびに(ii)工程S21の実行期間中及びその後一定期間(t[s21e]からt[s12e]までの期間)継続して、温度設定工程S12を実行し、これにより温度Thを容器内温度上限以下に設定する。
実施例3では、実施例1と同様、工程S11、S21をt[s21s]からt[s11e]の期間中同時に実行するが、実施例1と異なり、工程S11、S21、S31のすべてを同時に実行することはない(特に工程S21、S31を同時に実行することはない)。このような各工程の実行方法は、原料固形物msと真水wsから塩素系殺菌剤Asを製造した後一時的に貯蔵し、その後貯槽されている当該塩素系殺菌剤Asを取り出して海水Woに注入するケースに適している。
(実施例4)
実施例4では、図8に示されているとおり、準備段階S0(特に工程S02)の終了前から温度設定工程S12を開始させ、引き続き、貯蔵工程S11→工程S21→工程S31の順で開始させる。また、温度設定工程S12開始後、貯蔵工程S11開始前に工程S02を終了させ、引き続き、貯蔵工程S11→工程S21→工程S31→温度設定工程S12の順に終了させる。工程S31の開始時点t[s31s]は工程S21の終了時点t[s21e]の後とする。
従って、実施例4では、(i)工程S11の実行期間中、(ii)工程S21の実行期間中及びその後一定期間(t[s21e]からt[s12e]までの期間)継続して、ならびに(iii)工程31の実行期間中及びその後一定期間(t[s31e]からt[s12e]までの期間)継続して、温度設定工程S12を実行し、これにより温度Thを容器内温度上限以下に設定する。
実施例4では、実施例3と同様、工程S11、S21をt[s21s]からt[s11e]の期間中同時に実行するが、工程S11、S21、S31のすべてを同時に実行することはない(特に工程S21、S31を同時に実行することはない)。このような各工程の実行方法は、実施例3と同様、原料固形物msと真水wsから塩素系殺菌剤Asを製造した後一時的に貯蔵し、その後貯槽されている当該塩素系殺菌剤Asを取り出して海水Woに注入するケースに適している。
(実施例5)
実施例5は、実施例2に相当する海水処理を二回以上連続して実行するものと同じであり、図9に示されているとおり、一回目の温度設定工程S12をt[s12s]から t[s12e]までの期間実行後直ちに二回目の温度設定工程S12*をt[s12s]*から t[s12e]*までの期間実行し、三回目以降も同様に連続して実行するものである。この場合、t[s12e]とt[s12s]*ならびにt[s12e]*と三回目の温度設定工程S12#の開始時点t[s12s]#は、それぞれ、同じ時点となり、以降も同様となる。
なお、複数回の温度設定工程S12が連続する場合、隣接する温度設定工程S12の境界時点(たとえばt[s12e]とt[s12s]*、t[s12e]*とt[s12s]#)と二回目以降の準備工程S0*、S0#や二回目以降の貯蔵工程S11*、S11#との先後関係を厳密に設定する実益は希薄になる。そのような場合には、二回目の実施例2におけるt[s02e]*、t[s11s]*及びt[s12s]*ならびに三回目の実施例2におけるt[s02e]#、t[s11s]#及びt[s12s]#は同じ時点とみなしてよく、四回目以降も同様である。
実施例5では、第二段階S2、S2*、…のそれぞれの終了後一定期間Pa、Pa*、…継続して温度設定工程S12、S12*、…を実行し、第三段階S3、S3*、…のそれぞれの終了後一定期間Pb、Pb*、…を実行し、温度Thを容器内温度上限以下に設定する。
実施例5がバラスト水処理方法の実施例である場合、準備工程S0、S0*、S0#、…を考慮しないで簡明に説明すると、図9中のP1は、船舶VSLが第一の港において、船外から取水した海水WoをバラストタンクBTに向けて移送する過程で塩素系殺菌剤Asを用いて殺菌処理を実行する段階であり、P2は、船舶VSLが第一の港を出港し、第二の港に向かって航行し、第二の港に到着し、その後第二の港において、バラストタンクBTから船外に向けて流通する海水に還元剤を加えて、当該海水中に残存する、塩素系殺菌剤Asに起因する遊離有効塩素を還元し、当該海水を船外排水が許される水準に至るまで無害化する還元処理を実行し、引き続く二回目の殺菌処理に備える段階であり、P1*は、第二の港において、二回目の殺菌処理を実行する段階であり、P2*は、船舶VSLが第二の港を出港し、別の港(第一の港を含む)に向かって航行し、当該別の港に到着し、その後当該別の港において、バラストタンクBTから船外に向けて流通する海水に還元剤を加える上記の還元処理を実行し、引き続く二回目の殺菌処理に備える段階である(その後の段階の描写は、図9では省略されている)。
なお、バラストタンクBTから船外に向けて流通する海水が、還元剤を加えるまでもなく、既に船外排水が許される水準にある場合には、上記の還元処理の実行は省略される。
(2)工程S22、S23、S24及びS32について
既述のとおり、本発明に係る水処理方法において、工程S22、S23、S24及びS32は必須の工程ではない。それ故、工程S22がない場合には、通常、t[s2s]とt[s21s]及びt[s2e]とt[s21e]はそれぞれ同じ時点になり、工程S32がない場合には、通常、t[s3s]とt[s31s]及びt[s3e]とt[s31e]はそれぞれ同じ時点になる。
他方、実施例1乃至4において工程S22、S23、S24及びS32がある場合には、次のように設定する。
(a) いずれの実施例においても、工程S22の開始時点t[s22s]を、工程S21の開始時点t[s21s]以前とし、好ましくは、t[s22s]をt[s21s]より前の時点とする。
(b) いずれの実施例においても、好ましくは、工程S32の開始時点t[s32s]を、工程S31の開始時点t[s31s]以前とし、より好ましくは、t[s32s]をt[s31s]より前の時点とする。ただし、第二段階S2において製造される塩素系殺菌剤Asと第三段階S3において海水Woに注入される塩素系殺菌剤Asが同じ場所に存在する又は、異なる場所ではなるが、一方から他方への熱伝導が起こるにように構成されている場合には、工程S24、S32を単一の工程とみなすことができるケースもある。そのようなケースでは、工程S24と工程S32を区別する実益は余りなく、t[s32s]を工程S24の開始時点t[s24s]とみなすことができる。
(c) 工程S22、S23、S24の終了時点t[s22e]、t[s23e]、t[s24e]は、いずれも、好ましくは、工程S21の終了時点t[s21e]以後の時点とする。t[s22e]、t[s23e]、t[s24e]は、いずれか二つ又はすべてが同じ時点であってもよく、すべて異なる時点であってもよい。
(d) 工程S32の終了時点t[s32e]は、好ましくは、工程S31の終了時点t[s31e]以後の時点とする。
4)残留物の取扱い
(1) t[s11e]の時点で、容器H内から取り出されることなく残留した原料固形物msを放置すると、原料固形物msの自己分解を契機として発生する塩素ガスが船内作業環境に悪影響を及ぼす。特に、そのようにして発生した塩素ガスが容器H内の水分と混ざると、強い腐食性を呈し、刺激臭の原因となる。それ故、(i)t[s11e]の時点で、容器H内に原料固形物msが残留することなく、塩素系殺菌剤Asの製造のために使い尽くされているように、原料固形物msの容器H内への装入を厳格に管理し、上記の問題の発生を未然に防止する、(ii)t[s11e]の時点で、容器H内に原料固形物msが残留してしまった場合又はそのような事態に備えて、工程S12は継続し、必要に応じて、容器H内の除湿を行い、(iii)t[s11e]の時点又はその後早期に、容器H内に残留した原料固形物msを貯蔵用のコンテナ容器に移して保管する、混合物Cs又は塩素系殺菌剤Asの製造に使い切った後、当該混合物Cs又は塩素系殺菌剤Asを別途用意したタンクに移して隔離する、そのタンク内で薬剤を加えて無害化するなどの処置を講じる、ことが望ましい。
(2) t[s23e]の時点で、塩素系殺菌剤Asの製造に供されずに残留した混合物Csを放置すると、水wsの蒸発により混合物Csが固化する現象が起こる。この現象は、混合物Csが残留している配管の閉塞、圧損増加その他の流通障害、配管に取り付けてバルブ、ポンプ等の付属物の機能不全などの不具合の原因となり、次の、別の第二段階S2の実行の阻害要因となるおそれがある。また、混合物Cs中に残留する未溶解の原料固形物msの自己分解を契機として発生する塩素ガスが船内作業環境に悪影響を及ぼす可能性もある。そのような事態が懸念される場合には、t[s23e]の時点で又はその後早期に、残留した混合物Csを別途用意したタンクに移して隔離する、そのタンク内で薬剤を加えて無害化するなどの処置を講じる、ことが望ましい。
(3) t[s24e]の時点又はt[s3e]の時点で、海水Woに注入されずに、つまり殺菌剤として未使用のままで残留した塩素系殺菌剤Asを放置すると、溶媒である水の蒸発により溶質が濃化し、塩素化イソシアヌル酸化合物の成分が析出し、堆積し、固化する現象が起こる。当該水溶液Asの水温が低下し、塩素化イソシアヌル酸化合物の水に対する溶解度が低下すると、その低下した水温の下では溶解しきれなかった塩素化イソシアヌル酸化合物の成分が析出し、堆積し、固化する現象が起こる場合もある。これらの現象は、配管の閉塞、圧損増加その他の流通障害、配管に取り付けられているバルブ、ポンプ等の付属物の機能不全などの不具合の原因となり、次の、別の第三段階S3の実行の阻害要因となるおそれがある。そのような事態が懸念される場合には、t[s24e]の時点もしくはt[s3e]の時点で又はその後早期に、未使用のままで残留した塩素系殺菌剤Asを別途用意したタンクに移して隔離する、そのタンク内で薬剤を加えて無害化するなどの処置を講じる、ことが望ましい。
<補 遺>
(1) 本発明に係る水処理方法における温度の設定又は制御は、常時実行される必要はない。たとえば、一時的貯蔵用容器内の温度を容器内温度上限以下にする設定又は制御は、一時的貯蔵用容器内の温度が容器内温度上限以下であるときは、行う必要はない。同様に、一時的貯蔵用容器内の温度を容器内温度下限以上にする設定又は制御は、一時的貯蔵用容器内の温度が容器内温度下限以上であるときは、行う必要はない。また、第4の形態及び第16の形態は、いずれも、真水の温度を摂氏5度以上に設定することを必須の構成としているが、真水の温度が摂氏5度以上であるときは、その設定を行う必要はない。第5の形態及び第17の形態は、いずれも、原料固形物を真水と混合する温度を摂氏5度以上に設定することを必須の構成としているが、原料固形物を真水と混合する温度が摂氏5度以上であるときは、その設定を行う必要はない。第18の形態は、溶解製造部のタンク内の温度を摂氏5度以上に設定することを必須の構成としているが、溶解製造部のタンク内の温度が摂氏5度以上であるときは、その設定を行う必要はない。第19の形態は、固液分離装置が排出する塩素系殺菌剤の温度又は固液分離装置内の温度が摂氏5度以上になるように、真水の温度を設定することを必須の構成としているが、その温度が摂氏5度以上であるときは、その設定を行う必要はない。
(2) 「摂氏5度」は、第4、第5ならびに第16乃至第19の各形態における温度の数値限定の臨界値になっている。この臨界値は、図44に基づき説明したとおり、海水殺菌処理に用いる塩素系殺菌剤の製造時間として船内作業者が甘受できる時間は30分であるとの仮定に基づき、定められている。しかし、海水殺菌処理に用いる塩素系殺菌剤の製造時間として船内作業者が甘受できる時間は、状況によって変わる。それ故、たとえば、船内作業者が甘受できる時間が15分であれば、当該臨界値は「摂氏10度」が相応しく、それが60分であれば、当該臨界値は「摂氏3度」が相応しい。
<< 水処理装置の実施形態 >>
図10乃至図26に基づき本発明に係る水処理装置の実施形態1について説明し、図27乃至図38に基づきその実施形態2について説明し、図39乃至図41に基づきその実施形態3について説明する。
図10ならびに図20乃至図33では、(i)ホッパーは正面図で描かれており、(ii)いずれのバルブも、水処理装置の動作に応じて開閉動作を行うものであるが、開状態で描かれている。図面の複雑化を避けるため、図39及至図41では、バルブ(逆止弁Vcmは除く)の描写は省略されており、いずれの図においても、計測機器(流量計、TRO計測装置、温度計及び液位計を含む)の描写は省略されている。
<実施形態1>
1)基本構成
図10は、本発明を適用する前の、水処理装置D1の基本構成の説明図である。この水処理装置D1は、図10に示されているとおり、原料固形物msと真水wsとの混合により塩素系殺菌剤Asを製造するための溶液製造部S[pr]と、混合攪拌槽Ts内に原料固形物msを供給するためのホッパー部S[hp]と、混合攪拌槽Ts内に真水wsを供給するための水供給部S[ws]と、原料固形物msが真水wsに溶解することにより製造される塩素系殺菌剤Asを、船外から導入され、バラスト水取水用配管経路Lfを流通する水Woに注入するための殺菌剤注入部S[is]とを備えている。ホッパー部S[hp]は、図示されていない支持機構により位置決めされている。
1.1)溶解製造部S[pr]
溶液製造部S[pr]は、原料固形物msを真水wsに混合させる(つまり、原料固形物msと真水wsの混合物Csを製造する)混合部S[mx]と、混合物Csを攪拌することにより原料固形物msを真水wsに溶解させる(つまり、混合物Csから塩素系殺菌剤Asを製造する)溶解促進部S[st]とから構成されている。尤も、原料固形物msと真水wsの混合及び両者の混合物Csの攪拌は、溶液製造部S[pr]が具備する混合攪拌槽Ts内で行われるので、混合部S[mx]と溶解促進部S[st]との境界は曖昧であり、両者を明確に区別することは難しい。
溶液製造部S[pr]は、混合攪拌槽Tsのほか、ホッパー部S[hp]から供給される原料固形物ms(又はms*)を混合攪拌槽Ts内に供給するための原料供給路Cmsの吐出開口部と、水供給部S[ws]から供給される真水wsを混合攪拌槽Ts内に供給するための給水導管Cwsの吐出開口部と、混合攪拌槽Ts内で混合物Csを攪拌するための攪拌手段と、混合物Csの上方の空間から混合攪拌槽Ts外への気体Gvの排出を行うための排気手段と、混合攪拌槽Tsの槽内の露出を防止するための上蓋Ts1とを備えている。
攪拌手段は、インペラIpと、インペラIpが取り付けられた回転軸Axiと、回転軸Axiを回転させる駆動モータMtiとを備えている。
排気手段は、混合物Csの上方の空間と混合攪拌槽Ts外とを連通させ、その空間からの気体Gvの移動を可能にする排気用配管Cvを伴う排気装置(図示されていない)を具備しており、気体Gvの無害化するための無害化処理装置(図示されていない)を具備していてもよい。
混合攪拌槽Tsの下部Rbpは漏斗状をなしており、混合攪拌槽Tsに収容されている内容物(混合物Csや塩素系殺菌剤As)が重力により下降したとき、漏斗状の下部Rbpに集まり、最下部にある排出口Dbpに向かって流れ込むように構成されている。
1.2)ホッパー部S[hp]
図11は、ホッパー部S[hp]の基本構造の説明図であり、図11(a)はその正面図、図11(b)はその側面図である。図11(b)の側面図に描かれているz−zに沿って紙面右側から左側の方向に眺めたものが、図11(a)の正面図に概ね相当する。
1.2.1) ホッパー部S[hp]は、図11に示されているとおり、原料固形物msを収容するためのホッパーHと、ホッパーHの下部に配置する原料供給機(フィーダー)Fdrと、原料供給機Fdrの下部に配置する原料供給路Cmsを備えている。ホッパーHは、原料固形物msを収容するための貯蔵部(図示されていない)と、貯蔵部に原料固形物msを装入するための原料補給口Crfを備えるとともに、その下部が、原料供給機Fdrの一部を構成する計量機構Mvfに接続されている。貯蔵部は、ホッパーH内に存在する、原料固形物msを収容する容器として機能する部分である。
原料補給口Crfの端部開口部には、普段は蓋が取り付けられており、ホッパーHの貯蔵部に原料固形物msを装入又は補給する際には、蓋が取り外され、補給用管(図示されていない)が取り付けられる。補給用管は、ホッパーHの上方に配置している原料固形物msの保管室から延伸する管状体であってよく、その場合、作業者は、原料固形物msを保管室から補給用管及び原料補給口Crfを通じて、ホッパーHの貯蔵部に装入又は補給することができる。また、補給用管は、伸縮自在な蛇腹部を有する連結パイプであってもよい。
原料供給機Fdrは、ホッパーHの貯蔵部から移動してきた原料固形物msを少量又は所定量に小分けにし、小分けにされた原料固形物ms*が原料供給路Cmsへ移送するように構成されている。
原料供給路Cmsは、原料供給機Fdrから移動してきた原料固形物ms*を、下端の吐出開口部から混合攪拌槽Ts内へ供給する。
総じて、原料固形物msは、原料補給口CrfからホッパーH内に装入又は補給され、ホッパーHの貯蔵部に収容され、その貯蔵部の下部から原料供給機Fdrに移動し、原料供給機Fdrで小分けにされ、小分けにされた原料固形物ms*として原料供給路Cmsに移動し、原料供給路Cmsを通じて混合攪拌槽Ts内に装入される。
1.2.2) 図12は、原料供給機Fdrの説明図であり、図12(a)に示されている一点鎖線の楕円内にある原料供給機Fdrの主要部の部分断面図が図12(b)である。
(1) 原料供給機Fdrは、ホッパーHの貯蔵部から移動してきた原料固形物msを少量又は所定量に小分けにするための計量機構Mvfと、計量機構Mvfを駆動する駆動部Ss[mga]を備えており、計量機構Mvfにより小分けにされた原料固形物ms*が原料供給路Cmsへ移動するように構成されている。
計量機構Mvfは、図12(b)に示されているとおり、筐体上部Ym1、筐体下部Ym2及び筐体側部Ym3を備える筐体Ymvf内に、ホッパーHの貯蔵部から下降してきた原料固形物msを通過させる受入口Dinと、水平の主面Btを有する台座と、台座の主面Bt上で回転する回転テーブルRtfと、回転テーブルRtfとともに回転する回転軸Axfと、小分けにされた原料固形物ms*を原料供給路Cmsへ移動させる排出口Doutとを備えている。なお、図12(b)中、符号Haは、ホッパーHの貯蔵部の底部を受入口Dinに向かって漏斗状に形成する傾斜面である。
回転テーブルRtfは、上下の厚さ方向に貫通する孔Opを少なくとも一つ備えている。孔Opは、複数個の孔の群であってもよい。受入口Dinは、ホッパーH内と筐体Ymvf内を連通させる、筐体上部Ym1に形成された貫通孔であり、従って回転テーブルRtfの上側に配置している。排出口Doutは、筐体Ymvf内と原料供給路Cmsを連通させる、筐体下部Ym2に形成された貫通孔であり、従って回転テーブルRtfの下側に配置している。回転軸Axfは、筐体下部Ym2を貫通する回転軸であり、後述のとおり、駆動部Ss[mga]の一部でもある。
(2) 図13は、計量機構Mvfの原理説明図である。回転テーブルRtfが具備する孔(又は個々の孔)Opは、排出口Doutの位置にあるときを除き、その内壁面が台座の主面Btとともに凹部Uを形成し(図13(a)参照)、排出口Doutの位置にあるときは、凹部Uを形成せずに排出口Doutに連通する(図13(b)参照)。そのため、凹部Uは、受入口Dinから下降してきた原料固形物msの一定量(原料供給物ms*)を収容することができ、回転テーブルRtfの回転に伴い排出口Doutまで移動させることができ、一定量の原稿固形物ms*を排出口Doutへ排出し、原料供給路Cmsへ移動させることができる(図12(b)参照)。
図14は、計量機構Mvfの主要部品の説明図であり、図14(a)は回転テーブルRtfの平面図であり、図14(b)は台座の主面Btの平面図である。図14(a)に示されている回転テーブルRtfは、その周方向(回転方向)に沿って四半周(90度)ごとに配列している合計四つの孔Op1、Op2、Op3、Op4を具備している。当該四つの孔のそれぞれは、略扇形をしているが、孔Opの数、形状、大きさ、位置、配列等は、図14(a)に示されているものに限定されない。たとえば、四つの孔Op1、Op2、Op3、Op4のうち少なくとも一つは孔の群であってもよい。
受入口Din及び排出口Doutは、互いに、回転テーブルRtfの回転軸周りに180度ずれた位置に配置している(図14(b)参照)。そのため、孔Op1、Op2、Op3、Op4は、それぞれ、排出口Doutの位置にあるときを除き、その内壁面が台座の主面Btとともに、上側に開口する凹部U1、U2、U3、U4を形成し、排出口Doutの位置にあるときは、排出口Doutに連通する。
孔Op1が受入口Dinの直下の位置にあるとき、受入口Dinから下降してくる原料固形物msのうちの一定量の原料固形物ms*を、凹部U1に収容させる。次に回転テーブルRtfを回転させ、凹部U1を移動させ、それに伴い当該一定量の原料固形物ms*を移動させる。回転テーブルRtfを受入口Dinの位置から180度回転させ、孔Op1 を排出口Doutの位置に到達させる。これにより、孔Op1が排出口Doutに連通するので、凹部U1に収容されている当該一定量の原料固形物ms*を排出口Doutへ下降させ、原料供給路Cmsへ移動させることができる。
凹部U1に収容させた後は、回転テーブルRtfを90度回転させるたびに、凹部U2、凹部U3、凹部U4、凹部U1、…をその順に、受入口Dinの直下に位置させることができ、受入口Dinから下降してくる原料固形物msのうちの一定量の原料固形物ms*を、凹部U2、凹部U3、凹部U4、凹部U1、…の順に収容させることができる。凹部U1から排出口Doutを通じて原料供給路Cmsへ移動させた後は、回転テーブルRtfを90度回転させるたびに、Op2、Op3、Op4、Op1、…をその順に排出口Doutに連通させること、従って、凹部U2、凹部U3、凹部U4、凹部U1、…のそれぞれが収容している一定量の原料固形物Ms*を排出口Doutへ下降させ、原料供給路Cmsへ移動させることができる。
総じて、この計量機構Mvfによれば、ホッパーHの貯蔵部から移動してくる原料化合物msを定量又は少量に小分けにし、小分けにされた原料化合物ms*を複数回に分けて原料供給路Cmsへ移動させることができる。
なお、計量機構Mvfは、受入口Dinを必要時に封じる蓋を備えていてもよく、排出口Doutを必要時に封じる蓋を備えていてもよい(いずれの蓋も 図示はされていない)。
計量機構Mvfは、図12(b)に示されているように、受入口Dinに移動してきた原料固形物msを粉砕し、粒度を調節する上下一対のブレードBru、Brdを備えていてもよい。下側ブレードBrdは筐体側部Ym3に固定されており、上側ブレードBruは回転軸Axfとともに回転するので、想定外に大きな粒径の原料固形物msは、上下のブレードBru、Brd間に挟まれたときに受けるせん断力により粉砕され、小粒化される。ただし、想定外に大きな粒径の原料固形物msがホッパーH内に存在することを懸念する配する必要がない場合には、ブレードBru、Brdにより構成されるような粒度調整機構は不要である。
計量機構Mvfは、原料固形物ms*を回転テーブルRtfの孔Opから排出させ、排出口Doutへの移動を補助する排出支援機構を具備していてもよい。図15は、排出支援機構の一例の説明図である。この図15に示されている排出支援機構は、孔Opが排出口Doutに連通しているとき、孔Opの上方から下方に向けて気体sを噴出させ、そのときの気体A1に圧力により、孔Opから排出口Doutを通じて原料供給路Cmsへ移動させる機構である。気体A1の代表例は、除湿された空気である。気体A1の噴出範囲を広げれば、孔Opの壁面や回転テーブルRtfの表面に付着している原料固形物msの細粒も一緒に原料供給路Cmsへ移動させることができる。なお、原料供給路Cmsを通じて、溶解製造部S[pr]へ移動した気体A1は、溶解製造部S[pr]が備える排気手段により、外部に排出される。
(4) 駆動機構Ss[mga]は、回転テーブルRtfが直接又はギア、ベルト等の公知の動力伝達機構を介して取り付けられている回転軸Axfと、回転軸Axfの回転の駆動力を生み出すためのモータMthと、その駆動力をモータMthから回転軸Axfへ伝達するための、ギア、ベルト等の公知の動力伝達機構Gbxとを備えている。なお、モータMthの回転軸を回転軸Axfに同軸に取り付ける場合には、その取り付けに用いる器具が駆動力伝達機構Gbxである。モータMthの動作を制御することにより、回転テーブルRtfの動作も制御することができる。
図12及び図15に示されているとおり、駆動機構Ss[mga]の一部である動力伝達機構Gbx及びモータMthの各筐体は、計量機構Mvfの筐体の外部に配置するように構成されている。
1.3)水供給部S[ws]
水供給部S[ws]は、真水wsの供給源(図示されていない)と、当該供給源から混合攪拌槽Ts内への真水wsの供給を行うための給水導管Cwsを備えている。給水導管Cwsは、混合攪拌槽Ts内に開口し、真水wsを吐出するための吐出開口部と、真水wsの供給源から当該吐出開口部への真水wsの移送を駆動するためのポンプ(図示されていない)と、真水wsの移送と停止を切り替えるためのバルブ(図示されていない)を備えている。
真水wsは、船舶が搭載されている海水淡水化装置を使用して製造した淡水で賄うことができる。
1.4)殺菌剤注入部S[is]
殺菌剤注入部S[is]は、混合攪拌槽Tsの下部Rbpの最下部に配置し、混合攪拌槽Ts内からの塩素系殺菌剤Asの排出を行うための排出口Dbpと、バラスト水取水用配管内に開口し、流通する海水Woに塩素系殺菌剤Asを注入する殺菌剤注入口Isと、排出口Dbpと殺菌剤注入口Isを接続する殺菌剤配管経路Lsを備えている。殺菌剤配管経路Lsは、混合攪拌槽Ts内から排出口Dbpへの塩素系殺菌剤Asの移動と停止を切り替えるためのバルブVbpと、殺菌剤注入口Isからバラスト水取水用配管経路Lfへの塩素系殺菌剤Asの注入と停止を切り替えるためのバルブVsと、バルブVbpの下流、バルブVsの上流において殺菌剤配管経路Lsに沿った塩素系殺菌剤Asの移動を駆動するポンプPsを備えている。
ポンプPsは、混合攪拌槽Ts内に塩素系殺菌剤Asが存在し、両バルブVbp、Vsがいずれも開であるとき、混合攪拌槽Ts内からの塩素系殺菌剤Asの排出を助け、その塩素系殺菌剤Asを殺菌剤注入口Isから水Woに注入する。
なお、図10に示されている殺菌剤配管経路Lsは、バルブVbpとポンプPsの間及びポンプPsとバルブVsとの間で描写が省略されてはいるものの、混合攪拌槽Ts内から排出される混合物Csを一時的に貯留する槽や、そのような混合物Csを混合攪拌槽Tsへ帰還させる帰還用配管経路を具備していてもよい。
1.5)動作
図10に示されている水処理装置D1においては、まず、ホッパーHから原料固形物msが、給水導管Cwsから真水wsが、それぞれ混合攪拌槽Ts内に供給され、原料固形物msと真水wsの混合物Csが収容されるに至る。その後、混合攪拌槽Ts内でインペラIpにより混合物Csが攪拌され、これにより原料固形物msと真水wsの混合及び原料固形物msの真水wsへの溶解が進み、塩素系殺菌剤Asが製造される。混合攪拌槽Ts内で製造された塩素系殺菌剤Asは、混合攪拌槽Ts内から排出され、殺菌剤配管経路Lsを通じて移動し、殺菌剤注入口Isからバラスト水取水用配管経路Lfを流通する水Woに注入され、水Woを殺菌する。なお、塩素系殺菌剤Asが注入された水Woは、ミキサーMxsを通過した後、殺菌剤注入済みの水WsとしてバラストタンクBTに向かって移動して行き、バラストタンクBTに収容される。
1.6)各工程との関係
工程S01は水処理装置D1、特にホッパーHを準備する工程であり、工程S02は、ホッパーHに装入するための原料固形物msを準備する工程である。工程S11はホッパー部S[hp]で実行され、工程S21は溶液製造部S[pr]、特に混合攪拌槽Ts内で実行され、工程S31は殺菌剤注入部S[is]で実行される。
2)実施例
(実施例-A)
2.A.1)構成の特徴
図16は、本発明に係る水処理装置Dの実施例-Aの説明図である。実施例-Aの構成及び動作は、ホッパー部S[hp]が温度設定機構を備えている点を除き、図10に示されている水処理装置D1のそれらと基本的に同じである。
2.A.2)ホッパー部S[hp]が備える温度設定機構
ホッパー部S[hp]が備える温度設定機構は、ホッパーHの外表面を、距離をおくことなく覆う断熱材InsH、InsH*を備えている。原料供給機Fdr及び原料供給路Cmsの各外表面は断熱材により覆われていない。計量機構Mvfの筐体と駆動機構Ss[mga]の少なくとも一部の筐体(モータMtfの筐体及び/又は動力伝達機構Gbxの筐体の少なくとも一部)の間には断熱材は存在しない。断熱材InsH*は、原料補給口Crfの上部外表面を、距離をおこくとなく覆う断熱材であり、頂部の開口部からの原料固形物msの導入又は補給の際には取り外せるように構成されている。
この温度設定機構によれば、ホッパーHの外表面、従ってホッパーH内と外部との間の熱伝達が断熱材InsH、InsH*により遮断されるので、環境温度が容器内温度上限より高いときや、容器内温度下限より低いときに、環境温度の影響がホッパーH内の温度Thに及び難くすることができる。
ホッパーH内の温度Thは、ホッパーHに隣接する原料供給機Fdrの温度の影響を受け、原料供給機Fdrの温度は環境温度の影響を受けるので、間接的に環境温度の影響を受ける。それ故、ホッパーH内の温度Thから環境温度の影響をより多く除去する必要がある場合には、その必要性の程度に応じて、ホッパー部S[hp]が備える温度設定機構を、変形例1乃至5のように変形することが望ましい。
なお、排出支援機構を用いて計量機構Mvf内に気体A1を供給し、原料供給路Cmsを流通させる場合には(図15参照)、気体A1の温度は環境温度が容器内温度上限以下とする。また、望ましくは、計量機構Mvf内に供給される気体A1の湿度はできるだけ低く設定する。これらにより、計量機構Mvf内や原料供給路Cms内に残留する原料固形物msが塩素ガスの発生源になる危険を低減することができる。
(A−1)変形例1
図17は、ホッパー部S[hp]が備える温度設定機構の変形例1の説明図であり、図17(a)は、その正面図であり、図17(b)は、その側面図である。
変形例1は、図17に示されているとおり、ホッパーHの外表面を、距離をおいて囲う断熱材Ins1と、(ii)原料補給口Crfの上部外表面を、距離をおこくとなく覆う断熱材Ins1*と、(iii)ホッパーHの外表面と断熱材Ins1との間の空間W[hi]内の温度を調節する温度調節装置CL1を具備している。
断熱材Ins1は、ホッパーHと計量機構Mvfとの境界まで達しているが、計量機構Mvf)の側面までは囲っておらず、覆ってもいない。また、計量機構Mvfを収容する筐体と駆動機構Ss[mga]の少なくとも一部の筐体(モータMtfの筐体及び/又は動力伝達機構Gbxの筐体の少なくとも一部)の間には断熱材は存在しない。
温度調節装置CL1は、冷熱発生機能と温熱発生機能の両方を備える装置である。ただし、船舶の種類、航路、ホッパーHの設置場所などの条件によっては、温熱発生機能は不可欠ではない。
冷熱発生機能を発揮する装置の代表例は、ボルテックス・チューブの原理を応用した冷熱発生装置である。この冷熱発生装置は、断熱材Ins1の外部で発生させた冷風を、空間W[hi]へ導入し、ホッパーHの外周に沿って(たとえば巡回するように)移動させ、その過程で空間W[hi]内の空気を冷却させ、その後空間W[hi]から排出させる。
温熱発生機能を発揮する装置の代表例は、伝熱ヒータを備える温熱発生装置である。この温熱発生装置は、伝熱ヒータを空間W[hi]内に設置し、伝熱ヒータにより温熱を発生させて空間W[hi]内の空気を直接暖めるか、ホッパーHの外部に設置した伝熱ヒータにより発生させた温風を、空間W[hi]へ導入し、ホッパーHの外周に沿って(たとえば巡回するように)移動させ、その過程で空間W[hi]内の空気を温め、その後空間W[hi]から排出させる。なお、ボルテックス・チューブの原理を応用した冷熱発生装置を用いる場合には、その冷熱発生装置において冷風と同時に発生する温風を、空間W[hi]の空気の暖めることに活用してもよい。
温度調節装置CL1は、船舶が備えている熱源又は船外にある熱源と熱交換を行なった熱搬送物質を利用して、ホッパー内の温度の設定又は制御を行うように構成することができる。その場合、船舶が備える熱源は、船舶の外部から取水した海水であってよく、その海水と熱交換した蓄熱物質又は熱搬送物質であってもよく、空気調和装置であってもよい。熱搬送物質の代表例は空気や水であり、蓄熱物質の代表例は水である。
変形例1によれば、断熱材Ins1に加えて空間W[hi]を設けているので、図16に示されているホッパー部に比べて、ホッパーH内の温度Thへの環境温度の影響を、より効果的に抑制又は防止することができる。
また、温度調節装置CL1によれば、(a.1)環境温度がホッパーH内の温度Thよりも高いとき、冷熱発生機能を動作させ、空間W[hi]内の温度を環境温度よりも低くなるように設定し、それにより温度Thを維持する又は下げることができ、(a.2)環境温度が温度Thよりも低いとき、温熱発生機能を動作させ、空間W[hi]内の温度を環境温度よりも高くなるように設定し、それにより、温度Thを維持する又は上げることができる。それ故、変形例1によれば、冷熱発生機能の動作と温熱発生機能の動作を適宜切り替えることにより、空間W[hi]の温度を調節し、温度Thを容器内温度上限以下にし、容器内温度下限以上に設定することができる。
上記(a.1)及び(a.2)のいずれの場合であれ、環境温度と同じ温度の空間W[hi]に比べて、環境温度とは異なる温度に設定される空間W[hi]は、より有効な熱伝達の障壁になる。それ故、変形例1によれば、環境温度の温度Thへの影響を更に効果的に抑制又は防止することができる。
なお、原料補給口Crfの上部外表面を、断熱材Ins1*により覆うのではなく、当該上部外表面を、距離をおいて断熱材Ins1により囲ってもよい。その場合、空間W[hi]は、原料補給口Crfの上部外表面と断熱材Ins1との間の空間と連結するので、空間W[hi]の温度の調節の効果を、後者の空間にも及ぼすことができる。
ホッパーH内の温度Thが原料供給機Fdrを介して環境温度の影響を間接的に受ける場合であっても、その影響がそれほど大きくないときは、この変形例1で足りる。しかし、その影響を無視できないときは、別の変形例を採用するのが妥当である。
(A−2)変形例2
図18は、ホッパー部S[hp]が備える温度設定機構の変形例2の説明図であり、図18(a)は、その正面図であり、図18(b)は、その側面図である。変形例2は、図18に示されているとおり、ホッパーH内の温度Thを調節する温度調節装置CL1*を具備している。変形例2のその余の構成は、変形例1と同じであるので、その説明は省略する。
ホッパーH内の温度Thを下げるための温度調節装置CL1*の代表例は、空間W[hi]の温度を下げるための温度調節装置CLのそれと同じ、ボルテックス・チューブの原理を応用した冷風発生装置である。また、ホッパーH内の温度Thを上げるための温度調節装置CL1*の代表例は、当該空間の温度を上げるための温度調節装置CLのそれと同じ、伝熱ヒータを備える温熱発生装置である。ボルテックス・チューブの原理を応用した冷熱発生装置を用いる場合には、その冷風発生装置において冷風と同時に発生する温風を、空間W[hi]の温度を上げるために活用してもよい。
温度調節装置CL1*は、船舶が備えている熱源又は船外にある熱源と熱交換を行なった熱搬送物質を利用して、ホッパー内の温度の設定又は制御を行うように構成することができる。その場合、船舶が備える熱源は、船舶の外部から取水した海水であってよく、その海水と熱交換した蓄熱物質又は熱搬送物質であってもよく、空気調和装置であってもよい。熱搬送物質の代表例は空気や水であり、蓄熱物質の代表例は水である。
変形例1は、温度調節装置CL1のみにより、ホッパーH内の温度Thを制御又は設定する。一方、変形例2は、二つの温度調節装置CL1、CL1*により、温度Thを制御又は設定する。それ故、変形例2によれば、変形例1よりも効果的に温度Thを制御又は設定することができる。従って、温度Thが原料供給機Fdrを介して環境温度の影響を受ける場合には、変形例1より、変形例2を採用するのが妥当である。
一方、変形例2は、変形例1と同様、計量機構Mvfを収容する筐体と駆動機構Ss[mga]の少なくとも一部の筐体(モータMtfの筐体及び/又は動力伝達機構Gbxの筐体の少なくとも一部)に断熱材を具備していない。そのような場合には、モータMtf及び/又は動力伝達機構Gbxが外部から受けた熱や内部で発生させる熱が、近接する計量機構Mvfに向かって放出され、その放熱が計量機構Mvfを介してホッパーH内に伝わり、温度Thに影響することがある。それ故、その影響を無視することができないときは、更に別の変形例を採用するのが望ましい。
(A−3)変形例3
図19は、ホッパー部S[hp]が備える温度設定機構の変形例3の説明図であり、図19(a)は、その正面図であり、図19(b)は、その側面図であり、図19(c)及び(d)は、それぞれ、図19(a)及び(b)に示されている変形例3の部分拡大図である。図20(a)及び(b)は、変形例3の派生形1の部分拡大図であり、それぞれ、正面図及び側面図である。図21(a)及び(b)は、変形例3の派生形2の部分拡大図であり、それぞれ、正面図及び側面図である。図22(a)及び(b)は、変形例3の派生形3の部分拡大図であり、それぞれ、正面図及び側面図である。
変形例3は、図19に示されているとおり、(b.1)断熱材Ins1が、計量機構Mvfの側面を、距離をおいて囲むように延伸しており、そのため計量機構Mvfの周囲に、空間W[hi]に連結する空間W[fi]を具備しており、(b.2)計量機構Mvfの(駆動部Ss[mga]の側の)筐体外表面を、距離をおくことなく覆う断熱材Ins2を具備している。そして、(b.3)断熱材Ins2は、計量機構Mvfの筐体と駆動機構Ss[mga]の筐体の少なくとも一部(原料供給機Fdrの筐体及び/又は動力伝達機構Gbxの筐体の少なくも一部)の間に配置する断熱材でもある。変形例3のその余の構成は、変形例1と同じであるので、その説明は省略する。
変形例3によれば、上記(b.1)及び(b.2)の構成を具備するので、計量機構Mvfを外部から断熱することができ、それにより環境温度の影響が計量機構Mvfを介してホッパーH内に及ぶことを抑制又は防止することができる。また、上記(b.3)の構成を具備するので、駆動機構Ss[mga]が外部から受けた熱や内部で発生させた熱を計量機構Mvfに向かって放出しても、断熱材Ins2により遮断することができ、その放熱が計量機構Mvfを介してホッパーHに及ぶことを抑制又は防止することができる。
断熱材Ins2のみでは、駆動機構Ss[mga]からの放熱がホッパーHに及ぶことを十分抑制又は防止することができない場合には、計量機構Mvfの筐体と駆動機構Ss[mga]の筐体の少なくとも一部(原料供給機Fdrの筐体及び/又は動力伝達機構Gbxの筐体の少なくも一部)の間に断熱材Ins[sf]を設置するのが望ましい(図20参照)。また、断熱材Ins2と駆動機構Ss[mga]のの筐体との間を離隔させ、それにより空間W[fi]*を設け、駆動機構Ss[mga]のからの放熱の影響が計量機構Mvfを介してホッパーHに及び難くしてもよい(図21参照)。この間隙の効果が十分であれば、断熱材Ins[st]を断熱材Ins2に追加して設ける必要はない。しかし、この間隙の効果が十分でない場合には、断熱材Ins2と断熱材Ins[st]との間を離隔させ、それにより空間W[2i]を設け、駆動機構Ss[mga]のからの放熱の影響が計量機構Mvfを介してホッパーHに、更に及び難くしてもよい(図22参照)。
駆動機構Ss[mga]と計量機構Mvfの間には回転軸Axfが配置しているので、駆動機構Ss[mga]が外部から受けた熱や内部で発生させた熱が、回転軸Axfを経由して計量機構Mvfに、さらにはホッパーH内に伝わり、温度Thに影響を与える可能性がある。しかし、変形例3では、計量機構Mvfの周囲に、空間W[hi]に連結する空間W[fi]を確保し(図19(c)(d)参照)、温度調節装置CL1による空間W[hi]の温度を調節の効果を空間W[fi]に及ぼすので、それらの熱が回転軸Axfを経由して計量機構Mvfに伝わっても、温度Thへの影響を小さくすることができる。
断熱材Ins2は、駆動機構Ss[mga]の動作を妨げない場所に設置される。断熱材Ins2は、断熱材Ins1と別の断熱材であってもよいが(図19(c)(d)参照)、断熱材Ins1と一体の断熱材であってもよい。図21に示されているように、計量機構Mvfの底部と断熱材Ins2との間には空間W[fi]*を設け、それを空間W[hi]及び空間W[fi]に連結するように構成し、温度調節装置CL1による空間W[hi]の温度を調節の効果が空間W[fi]*にも及ぶようにしてもよい。
断熱材Ins[sf]の設置は、断熱材2と駆動機構の筐体との間に、断熱材Ins[sf]を設置するに足りる空間があることが前提となる。断熱材Ins[sf]は、断熱材Ins2と一体のものであっても別体であってもよい。図22に示されているように、断熱材Ins[sf]と断熱材Ins2との間には空間W[2i]を設ける場合には、空間W[2i]を空間W[hi]及び空間W[fi]に(場合によっては空間W[fi]*にも)連結するように構成し、温度調節装置CL1による空間W[hi]の温度を調節の効果が空間W[2i]にも及ぶようにしてもよい。
(A−4)変形例4
図23は、ホッパー部S[hp]が備える温度設定機構の変形例4の説明図であり、図23(a)は、その正面図であり、図23(b)は、その側面図である。変形例4は、図23に示されているとおり、ホッパーH内の温度Thを調節する温度調節装置CL1*を具備している。変形例4のその余の構成は、変形例3と同じであるので説明は省略する。変形例3の派生形1(図20参照)、派生形2(図21参照)及び派生形3(図22参照)についての説明は、変形例4についてもそのまま当てはまる。温度調節装置CL1*は、変形例2と同じであるので説明は省略する。
変形例3は、温度調節装置CL1のみにより、ホッパーH内の温度Thを制御又は設定する。一方、変形例4は、二つの温度調節装置CL1、CL*により、温度Thを制御又は設定する。それ故、変形例4によれば、変形例3よりも効果的に温度Thを制御又は設定することができる。従って、温度Thへの環境温度の影響をより小さくするためには、変形例3より、変形例4を採用するのが妥当である。
一方、変形例4は、変形例1及至3と同様、原料供給路Cmsの外表面と外部との熱伝達を遮断する断熱材を具備していない。そのような場合には、原料供給路Cmsが外部から受けた熱が、近接する計量機構Mvfに向かって伝わり、計量機構Mvfを介してホッパーH内に伝わり、温度Thに影響する可能性がある。それ故、その影響を無視することができないときは、変形例5を採用するのが妥当である。
(A−5)変形例5
図24は、ホッパー部S[hp]が備える温度設定機構の変形例5の説明図であり、図24(a)は、その正面図であり、図24(b)は、その側面図である。変形例5は、図24に示されているとおり、原料供給路Cmsの外表面を、距離をおくことなく覆う断熱材Ins2*を具備している。断熱材Ins2*は、距離をおいて囲う断熱材であってもよい。
変形例5によれば、原料供給路Cmsの外表面と外部との間の熱伝達を遮断することができるので、原料供給路Cmsが外部から受けた熱が、原料供給路Cmsを介して計量機構Mvfに、計量機構MvfからホッパーH内に伝わり、温度Thに影響する現象を抑制又は防止することができる。
変形例5の構成は、断熱材Ins2*以外は変形例4のそれと同じなので説明を省略する。変形例4の構成は、温度調整装置CL1*以外は変形例3のそれと同じであり、変形例3の構成は、(c.1)計量機構Mvfの側面を囲むように断熱材Ins1が延伸しており、そのため計量機構Mvfの周囲に、空間W[hi]に連結する空間W[fi]を具備していること(上記(b.1)参照)、(c..2)計量機構Mvfの(駆動部Ss[mga]の側の)筐体外表面を、距離をおくことなく覆う断熱材Ins2を具備していること(上記(b.2)参照)、(c.3)計量機構Mvfの筐体と駆動機構Ss[mga]の筐体の少なくとも一部(原料供給機Fdrの筐体及び/又は動力伝達機構Gbxの筐体の少なくも一部)の間に、断熱材Ins2に加えて断熱材Ins[sf]を具備していてもよいこと(上記(b.3)参照)の三つ以外は変形例1のそれと同じである。変形例3の派生形1(図20参照)、派生形2(図21参照)及び派生形3(図22参照)についての説明は、変形例5についてもそのまま当てはまる。
なお、図25乃至図30ならびに図32乃至図37の各図では、ホッパー部S[hp]が備える温度設定機構は、すべて変形例5としている。このことは、本発明を限定することを意図するものではない。ホッパー部S[hp]が備える温度設定機構は変形例5に限定されず、例えば、図16に示されているホッパー部の温度設定機構及びその変形である変形例1乃至4のうちのいずれかであってよく、断熱材の取り付け構造が改良されたもの(後述の3.5参照)及び改良例1乃至3のいずれか(後述の3.6参照)を伴うもの、のうちのいずれであってもよい。
2.A.3)工程S12との関係
実施例-Aにおいて、ホッパー部S[hp]は、工程S12が実行される領域R[s12]である。このことは、以下で言及される他の実施例に共通する。
(実施例-B)
図25は、本発明に係る水処理装置Dの実施例-Bの説明図である。実施例-Bの構成及び動作は、ホッパー部S[hp]の温度設定機構が変形例5である点を除き、図16に示されている実施例-Aのそれらと基本的に同じである。ホッパー部S[hp]が、工程S12が実行される領域R[s12]になる点も、実施例-Aと同じである。
(実施例-C)
2.C.1)構成の特徴
図26は、本発明に係る水処理装置Dの実施例-Cの説明図である。実施例-Cの構成及び動作は、水供給部S[ws]が温度設定機構を備える点を除き、図25に示されている実施例-Bのそれらと基本的に同じである。
2.C.2)水供給部S[ws]が備える温度設定機構
水供給部S[ws]が備える温度設定機構は、少なくとも、(i)給水導管Cwsの外表面に取り付けられた伝熱管と当該伝熱管内に熱媒体(h1、h1*)を流通させる温度調節装置CL2と、(ii)給水導管Cwsの外表面と伝熱管を覆う断熱材Ins3を備えている。
h1*は、伝熱管の管材及び給水導管Cws を介して真水wsと熱交換する前の熱媒体であり、h1は、その熱交換後の熱媒体である。熱媒体(h1、h1*)として利用できる物質は種々あるが、当該温度設定機構に求められる機能を阻害しない物質であることが不可欠である。熱媒体(h1、h1*)の代表例は、パラフィンや代替フロンである。
給水導管Cwsの外表面を断熱材Ins3で覆うので、真水wsの温度Twsへの環境温度の影響を低減することができる。また、熱媒体h1*の温度を適切に設定又は制御することにより、真水wsの温度を特定温度範囲内に設定することができる。
なお、温度調節装置CL2はコイルヒータを具備していてもよく、真水wsの温度を上げる必要があるときは、当該コイルヒータにより、給水導管Cwsを介して真水wsの温度を上げるようにしてもよい。
2.C.3)各工程との関係
実施例-Cでは、温度設定機構を備える水供給部S[ws]は、工程S22が実行される領域R[s22]である。
水供給部S[ws]が備える温度設定機構により真水wsの温度Twsを特定温度範囲内に設定し、その真水wsを混合攪拌槽Ts内に装入すると、混合攪拌槽Ts内に収容されている混合物Csや塩素系殺菌剤Asが真水wsの影響を受けて、混合物Csの温度Tcs及び/又は塩素系殺菌剤Asの温度Tasが特定温度範囲内に収まるケースが生じ得る。そのようなケースでは、後述の実施例-D乃至Fのように溶液製造部S[pr]が温度設定機構を備えていない場合であっても、溶液製造部S[pr]が、工程S23が実行される領域R[s23]及び/又は工程S24が実行される領域R[s24]になる。
(実施例-D)
2.D.1)構成の特徴
図27は、本発明に係る水処理装置Dの実施例-Dの説明図である。実施例-Dの構成及び動作は、溶液製造部S[pr]に温度設定機構を備えている点を除き、図26に示されている実施例-Cのそれらと基本的に同じである。
2.D.2)溶液製造部S[pr]が備える温度設定機構
溶液製造部S[pr]が備える温度設定機構は、少なくとも、(i)混合攪拌槽Tsの及びその上蓋Ts1のそれぞれの外表面を、距離をおいて囲む断熱材Ins4及び断熱材Ins4uと、(ii)混合攪拌槽Tsの外表面と断熱材Ins4との間の空間とこれに連結する、上蓋Ts1の外表面と断熱材Ins4uとの間の空間W[ti]に、混合攪拌槽Tsの胴体外表面に巻き付けられた給水導管Cwsを具備している。混合攪拌槽Tsの胴体外表面に巻き付けられた給水導管Cwsは、その給水導管Cws内を流通する真水wsを熱媒体とする伝熱管として機能する。水供給部S[ws]が備える温度設定機構によりある温度Tws0に設定又は制御された真水wsは、給水導管Cwsを通じて混合攪拌槽Tsの胴周りを移動する過程で、給水導管Cwsの管材及び混合攪拌槽Tsの構成部材を介して混合攪拌槽Ts内に収容されている混合物Cs及び/又は塩素系殺菌剤Asと熱交換を行い、熱交換後の真水ws*として混合攪拌槽Ts内に装入され、原料固形物ms*の溶媒として利用される。
この溶液製造部S[pr]が備える温度設定機構によれば、まず、混合攪拌槽Ts及びその上蓋Ts1をそれぞれ断熱材Ins4及び断熱材Ins4uで囲うとともに空間W[ti]を設けるので、しかも空間W[ti]の温度を給水導管Cwsにより真水wsの温度の水準に調整するので、混合攪拌槽Ts内に収容されている混合物Csの温度Tcsや塩素系殺菌剤Asの温度Tasへの環境温度の影響を低減することができる。また、水供給部S[ws]が備える温度設定機構により真水wsの温度Tws0を適切に(より具体的には、溶液製造部S[pr]内の温度が特定温度範囲内になるように)設定又は制御し、熱交換後の真水ws*の温度Tws1を特定温度範囲内にすることにより、混合攪拌槽Ts内に収容されている混合物Csの温度Tcs及び塩素系殺菌剤Asの温度Tasも、特定温度範囲内に設定することができる。
なお、図27に示されている給水導管Cwsは、混合攪拌槽Tsの胴体外表面に上から下に向けて、そしれ最後に上に戻るように巻き付けられいる。しかし、これは、下から上に巻き付けられていてもよい。
溶液製造部S[pr]が備える温度設定機構は、水処理装置Dの設置場所の床面と混合攪拌槽Tsの底部との間に設置され、混合攪拌槽Tsの底部の床面側への露出を防止する断熱材Ins4dを具備していてもよい。その場合、断熱材Ins4dと混合攪拌槽Tsの底部との間の空間W[ti]bを空間W[ti]に連結するように構成すれば、上記の溶液製造部S[pr]が備える温度設定機構による空間W[ti] の温度の調節の効果を、を空間W[ti]bにも及ぼすことができる。
2.D.3)各工程との関係
実施例-Dでは、温度設定機構を備える水供給部S[ws]は、工程S22が実行される領域R[s22]である。温度設定機構を備える溶液製造部S[pr]は、工程S23が実行される領域R[s23]であり、工程S24が実行される領域R[s24]でもある。
(実施例-E)
2.E.1)構成の特徴
図28は、本発明に係る水処理装置Dの実施例-Eの説明図である。実施例-Eの構成及び動作は、溶液製造部S[pr]に温度設定機構の構成が異なる点を除き、図27に示されている実施例-Dのそれらと基本的に同じである。
2.E.2)溶液製造部S[pr]が備える温度設定機構
実施例-Eの溶液製造部S[pr]が備える温度設定機構は、温度調節装置CL3により、空間W[ti]の温度を調節する。温度調節装置CL3は、空間W[ti]内で熱媒体(h2、h2*)を流通させることにより、空間W[ti]の温度を調節する装置である。
h2は、混合攪拌槽Tsの上部の空間W[it]内に外部から供給され、混合攪拌槽Tsの壁面を介して、混合攪拌槽Ts内に収容されている内容物(混合物Cs及び塩素系殺菌剤As)と熱交換する熱媒体である。h2は、上蓋Ts1を介して、当該内容物の上方にある、混合攪拌槽Ts内の空気と熱交換する熱媒体でもある。h2*は、混合攪拌槽Tsの下部の空間W[it]内又は底部の空間W[ti]b内から外部に排出される、熱交換後の熱媒体h2である。
図28に示されている熱媒体(h2、h2*)は、外部→混合攪拌槽Tsの上部の空間W[it]→混合攪拌槽Tsの下部の空間W[it]又は底部の空間W[ti]b→外部の順に流れているが、この逆方向の流れであってもよい。いずれの場合であれ、熱媒体(h2、h2*)は、混合攪拌槽Tsの内容物の概ね上下全体の温度の調整に寄与する。
熱媒体(h2、h2*)として利用できる物質は種々あるが、言うまでもなく、溶液製造部S[pr]が備える温度設定機構に求められる機能を阻害しない物質であることが不可欠である。熱媒体(h2、h2*)の代表例は、空気である。ホッパーHの設置場所の空気調和を行うための空調装置から送り出される空気(つまり送風される空気)を熱媒体(h2、h2*)として利用してもよい。
この溶液製造部S[pr]が備える温度設定機構によれば、真水wsを熱媒体として使用する必要がない。たとえば、環境温度が容器内温度上限よりもかなり高いときは、真水wsの温度をより低くしないと、温度Tcsや温度Tasを特定温度範囲内に収めることができなくなるので、温度調整装置CL2にかかる負荷が大きくなる。これに対して、温度調節装置CL3を用いて、熱媒体(h2、h2*)により空間W[ti]の温度を調節すれば、温度調節装置CL2にかかる負荷を軽減することができる。
2.E.3)各工程との関係
実施例-Eでは、実施例-Dの場合と同様に、温度設定機構を備える溶液製造部S[pr]は、工程S23が実行される領域R[s23]であり、工程S24が実行される領域R[s24]でもある。
(実施例-F)
2.F.1)構成の特徴
図29は、本発明に係る水処理装置Dの実施例-Fの説明図である。実施例-Fの構成及び動作は、後述の連結空間に対する温度設定機構を備えている点を除き、実施例-Eのそれらと基本的に同じである。
2.F.2)連結空間に対する温度設定機構
(1)連結空間
殺菌剤配管経路Lsは、図29に示されているとおり、ポンプPs及びその近傍の領域(以下「Ps近傍範囲」という)以外の外表面が断熱材Ins5により距離をおいて囲われている。そのため、殺菌剤配管経路Lsの外表面と断熱材Ins5との間の空間は、Ps近傍範囲により上流側の空間(以下、「上流側空間W[bp]1」という)と下流側の空間(以下、「下流側空間W[bp]2」という)に分断されて見える。しかし、上流側空間及び下流側空間は、Ps近傍範囲を迂回するバイパス管Ctにより連結されている。
加えて、上流側空間W[bp]1は、混合攪拌槽Tsの底部の外表面と断熱材Ins4dとの間の空間W[ti]bに連結されている。空間W[ti]bは空間W[ti]に連結されているので、上流側空間W[bp]1は、空間W[ti]に連結されていることになる。
それ故、空間W[ti]、空間W[ti]b、上流側空間W[bp]1、バイパス管Ct及び下流側空間W[bp]2は、全体として、連結された空間(以下「連結空間」という)を構成する。なお、バイパス管Ctの外表面は、図示しない断熱材により覆われていてもよい。
(2)温度調節装置CL4
実施例-Fは、連結空間に熱媒体(h3、h3*)を流通させるための温度調節装置CL4を備えている。h3は、混合攪拌槽Tsの上部の空間W[it]内に外部から供給され、混合攪拌槽Tsの壁面を介して、混合攪拌槽Ts内及び殺菌剤配管経路Ls内に収容されている内容物(混合物Cs及び塩素系殺菌剤As)と熱交換する熱媒体である。h3は、上蓋Ts1を介して、混合攪拌槽Ts内の内容物の上方にある空気と熱交換する熱媒体でもある。h3*は、混合攪拌槽Tsの下部又は底部→上流側空間W[bp]1→バイパス管Ct→下流側空間W[bp]2の順に流れた後、下流側空間W[bp]2内から外部に排出される、熱交換後の熱媒体h3である。
図29に示されている熱媒体(h32、h3*)は、外部→混合攪拌槽Tsの上部の空間W[it]→混合攪拌槽Tsの下部の空間W[it]又は底部の空間W[ti]b→上流側空間W[bp]1→バイパス管Ct→下流側空間W[bp]2の順、つまり連結空間の上流から下流に向かって流れているが、この逆方向の流れであってもよい。いずれの場合であれ、熱媒体(h3、h3*)は、混合攪拌槽Ts内及び殺菌剤配管経路Ls内の内容物の概ね全体の温度の調整に寄与する。熱媒体(h3、h3*)の代表例は、空気であり、ホッパーHの設置場所の空調を行うための空気調和装置から送り出される空気(つまり送風される空気)であってもよい。
温度調節装置CL4によれば、熱媒体h3の温度を適切に(より具体的には連結空間内の温度が特定温度範囲内になるように)設定又は制御することにより、連結空間内の混合物Csの温度Tcs及び塩素系殺菌剤Asの温度Tasならびに殺菌剤配管経路Ls内の塩素系殺菌剤Asの温度Tas*のうち少なくとも一つを特定温度範囲内に設定することができる。
(3)温度設定機構
連結空間に対する温度設定機構は、少なくとも、(i)連結空間の内外を画する断熱材Ins4u、Ins4、Ins4d及びIns5と、(ii)温度調節装置CL4を備えている。連結空間は空間W[ti]を含み、且つ、温度調節装置CL4は空間W[ti]内の温度を調節する装置でもあるので、連結空間に対する温度設定機構は、溶液製造部S[pr]が備える温度設定機構として機能する。また、連結空間は上流側空間W[bp]1及び下流側空間W[bp]2を含み、且つ、温度調節装置CL4はそれらの空間内の温度を調節する装置でもあるので、殺菌剤注入部S[is]が備える温度設定機構としても機能する。総じて、連結空間に対する温度設定機構は、殺菌剤注入部S[is]が備える温度設定機構と溶液製造部S[pr]が備える温度設定機構を兼ねる。
連結空間に対する温度設定機構によれば、連結空間を断熱材Ins4u、Ins4、Ins4d及びIns5で囲うので、加えて混合攪拌槽Tsや殺菌剤配管経路Lsとの間に空間W[ti]、W[bp]1及びW[bp]2が設けられているので、混合攪拌槽Ts内の混合物Csの温度Tcsや塩素系殺菌剤の温度Tasならびに殺菌剤配管経路Ls内の塩素系殺菌剤Asの温度Tas*への環境温度の影響を低減することができる。また、熱媒体h3の温度を適切に(より具体的には、連結空間内の温度を特定温度範囲内になるように)設定又は制御すれば、混合攪拌槽Ts内に収容されている混合物Cs及び塩素系殺菌剤Asのそれぞれの温度の温度Tcs 及びTasを、特定温度範囲内に設定することができ、必要があれば、殺菌剤配管経路Ls内の塩素系殺菌剤Asの温度Tas*も、特定温度範囲内に設定することができる。
2.F.3)各工程との関係
溶液製造部S[pr]は、工程S23が実行される領域R[s23]及び工程S24が実行される領域R[s24]に相当する。殺菌剤注入部S[is]、より詳しくは殺菌剤注入部S[is]のうち上流側空間W[bp]1及び下流側空間W[bp]2がある範囲は、工程S32が実行される領域R[s32]である。
(実施例-G)
図30は、本発明に係る水処理装置の実施例-Gの説明図であり、その説明は、水処理装置Dの本体内に残留する原料固形物msに由来する物質(以下「残留物」という)Reに対する後処理に関する。
残留物Reの代表例は、塩素系殺菌剤Asの製造に使用されずに混合攪拌槽Ts内に残留した混合物Cs及び水Woに注入されずに混合攪拌槽Ts内や殺菌剤配管経路Ls内に残留した塩素系殺菌剤Asである。これらを放置すると、残留物Reから溶媒(真水ws)が蒸発し、その結果原料固形物ms又はその組成物が析出し、(i)塩素ガスの発生源になる、(ii)析出物が成長して物質移動を阻害するなどの問題が生じる。残留物Reからの溶媒(真水ws)の蒸発は、水処理装置が船舶VSLに搭載されている限り多かれ少なかれ起こり、温度Thが容器内温度上限以下に設定されている場合であっても、また温度Tws、温度Tcs、温度Tas及び温度Tas*のうち少なくとも一つが特定温度範囲内に設定されている場合であっても、その設定温度がより高い(たとえば摂氏25度以上)のであれば、あるいは水処理装置Dが設定されている場所の湿度がより低いほど、起こり易く、船舶VSLの航海時間が長いほど蒸発の累積量は多くなるので、当該問題への対策が必要になってくる。実施例-Gは、残留物Reの後処理を実行する機構を具備し、これにより当該問題の発生の抑制又は予防を行うものである。
以下、図30を参照しつつ、実施例-Gにおいて実行される残留物Reの後処理、つまり(i)残留物の減容・除去と、(ii)内表面の乾燥防止について説明する。なお、図30に描かれている水処理装置Dの本体は、実施例-Bに相当するものであるが、これは例示に過ぎない。実施例-Gにおける水処理装置Dの本体は実施例-B以外の実施例に相当するものであってもよい。
2.G.1)残留物の減容・除去
(工程G1)
まず、予め、残留物貯蔵用タンクTsrを用意しておく。残留物貯蔵用タンクTsrは、残留物貯蔵用タンクTsr内へ残留物Reを供給するための配管Lsrと、残留物貯蔵用タンクTsrからその内容物を排出するための配管Lptと、残留物貯蔵用タンクTsr内の上方に溜まった気体の排気を行うための配管Cv*を伴う排気装置(図示されていない)を具備している。配管Lsrは、位置Qsrにおいて、殺菌剤配管経路Ls上のバルブVsの下流側にある位置Qsに接続している。配管Lptは、位置Qptと位置Qdrの間にバルブVaとポンプPptを備えている。
なお、残留物貯蔵用タンクTsrは、低濃度の中和剤An#を注入する装置を具備していてもよい。低濃度の中和剤An#の注入は、(i)残留物Re中に存在する又は残留物に由来して発生する遊離有効塩素の無害化に役立つとともに、(ii)当該遊離有効塩素と中和剤An*との反応の際に発生する発熱の量を低く抑えるのに役立つ。
残留物貯蔵用タンクTsrは、低濃度の中和剤An#を注入する装置を具備している場合、インペラのような公知の攪拌手段を具備していてもよい。
(工程G2)
次に、混合攪拌槽Ts内及びこれに接続する位置Qsまでの殺菌剤配管経路Ls内の何れかの場所に存在する残留物Reを、バルブVbpを開、バルブVa及びVsを閉にした状態でポンプPsにより付勢して、Qs→Lsr→Tsrの経路に沿って移動させ、残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させる。その場合、水供給部S[ws]から真水wsを混合攪拌槽Tsに追加供給し、当該何れかの場所に存在する残留物Reを真水wsで希釈する又は洗浄もしくは押し流してもよい(ただし、残留物貯蔵用タンクTsrの容量には上限があるので、必要に応じて残留物貯蔵用タンクTsrの内容物を別の場所に移動させたうえで、真水wsの追加供給を行う)。なお、この残留物Reの残留物貯蔵用タンクTsrへの移動は、たとえば第三段階S3の終了後、特に第三段階S3の終了後のできるだけ早い時期(たとえば一時間以内)に行うのが望ましい。
(工程G3)
次に、残留物貯蔵用タンクTsr内に収容されている残留物Reに対し、後述の処理1乃至処理3のいずれかを行うことにより、残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵する。そして、残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵されている残留物Reに対し、処理5を行う。状況が許すのであれば処理5の前に処理4を行う。
(処理1)
バルブVa及びVsを閉にしたままで所定期間、残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵する。ここで、所定期間とは、残留物Reを、残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させた後、次の処理を開始するまでの期間を意味し、当該次の処理の種類や内容により、(i)数秒間、数分間などのかなり短い期間である場合もあれば、(ii)数十分、数時間などの中程度の長さの時間が経過するまでの期間である場合もあれば、(iii)数日、数週間などの比較的長い時間が経過するまでの期間である場合もある。
(処理2)
工程G2の実行により残留物貯蔵用タンクTsr内に収容された残留物Reを、バルブVa及びVsを開にした状態でポンプPptにより付勢して、Tsr→Lpt→Qdr→Ldr1→Tsの経路に沿って移動させ、混合攪拌槽Ts内へ還流させる。その後、混合攪拌槽Ts内に還流された残留物Reを、Ts→Dbp→Ls→Qs→Lsr→Tsrの経路に沿って移動させる。その際には、バルブVbpを開、バルブVsを閉にした状態でポンプPsにより残留物Reを付勢する。これにより、残留物Reを混合攪拌槽Tsから排出させ、再び残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させ、総じて残留物貯蔵用タンクTsr内と混合攪拌槽Tsとの間を循環させる。
上記の循環を少なくとも一回行なった後、最終的に、残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させ、バルブVa及びVsを閉にし、所定期間、残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵する。ここで、所定期間は、処理1における所定期間と同義である。一般に、上記の循環の回数が多いほど、混合攪拌槽Ts及び殺菌剤配管経路Lsからの残留物Reの減容又は除去の効果は高くなるので、二回以上循環させるのが望ましい。
なお、混合攪拌槽Ts内に還流された残留物Reを再び残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させる際には、(a)水供給部S[ws]から真水wsを混合攪拌槽Tsに追加供給し、混合攪拌槽Ts内及びこれに接続する位置Qsまでの殺菌剤配管経路Ls内の何れかの場所に存在する残留物Reを真水wsで希釈する又は洗浄もしくは押し流してもよい。これにより、当該何れかの場所に存在する残留物Reの減容又は除去を、より効果的に行うことができる(ただし、残留物貯蔵用タンクTsrの容量には上限があるので、必要に応じて残留物貯蔵用タンクTsrの内容物を別の場所に移動させたうえで、真水wsの追加供給を行う)。
また、その際には、(b)給水導管Cwsの途中の位置Qnから、低濃度の中和剤An*を注入し、真水wsで希釈された状態で混合攪拌槽Ts内に供給してもよい。低濃度の中和剤An*の供給は、(i)残留物Re中に存在する又は残留物に由来して発生する遊離有効塩素の無害化に役立つ、または、中和剤An*と当該遊離有効塩素との反応の過程で、混合攪拌槽Ts内及び殺菌剤配管経路Ls内の何れかの場所に析出、堆積又は固化した残留物Reの溶解や剥離を促進し、当該何れかの場所に存在する残留物Reの減容又は除去の効果をより高めるとともに、(ii)当該遊離有効塩素と中和剤An*との反応の際に発生する発熱の量を低く抑えるのに役立つ。
(処理3)
残留物Reを、バルブVaを開、バルブVbp及びVsを閉にした状態でポンプPpt及びPsにより付勢して、Tsr→Lpt→Qdr→Ldr2→Qs2→Ls→Qs→Qsr→Lsr→Tsrの経路に沿って移動させる。位置Qs2は、殺菌剤配管経路Ls上の、バルブVbpの下流、ポンプPsの上流の位置である。これにより、残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsr外に排出させ、殺菌剤配管経路Lsを経由して、再び残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させ、総じて、残留物Reを、残留物貯蔵用タンクTsr内と混合攪拌槽Tsとの間で循環させる。
上記の循環を少なくとも一回行なった後、最終的に、残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させ、バルブVa及びVsを閉にし、所定期間、残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵する。ここで、所定期間は、処理1における所定期間と同義である。一般に、上記の循環の回数が多いほど、殺菌剤配管経路Lsからの残留物Reの減容又は除去の効果は高くなるので、二回以上循環させるのが望ましい。
(処理4)
残留物貯蔵用タンクTsrが、そのタンクTsr内に低濃度の中和剤An#を注入する装置及びそのタンクTsr内を攪拌する攪拌手段を具備している場合には、残留物貯蔵用タンクTsr内の残留物Reに低濃度の中和剤An#を注入しつつ攪拌を行い、残留物Reを無害化する。
(処理5)
残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵されている残留物Reを、バルブVaを開にした状態でポンプPptにより付勢して、Tsr→Lpt→Qdr→Vb3の経路Ldr3に沿って移動させて、残留物貯蔵用タンクTsr外へ排出させる。無害化された残留物Reの排出先は、(i)船舶VSLが搭載するバラストタンクBT、(ii)ビルジタンク(図示されていない)であってもよく、(iii)船舶VSL外であってもよい。
なお、船舶VSLが搭載するバラストタンクBTや船舶VSL外へ排出させる場合には、水Woがバラスト水取水用配管Lf内をバラストタンクBT又は船外に向かって流通しているとき、無害化された残留物ReをTsr→Lpt→Qdr→Vb3→Vs→Isの経路に沿って移動させて、開状態のバルブVs を経由させて殺菌剤注入口Isから水Woに注入してもよい。その場合、無害化された残留物Reが位置QsからポンプPsの側に流れ込まないように(たとえば、ポンプPsの下流側に逆止弁を予め設けておく)手当てを済ませておく。
また、無害化された残留物Reを船舶VSL外へ排出する場合には、後述の還元剤供給装置Nが動作しているとき、還元剤供給経路Lnの、還元剤注入口Inより上流、ポンプPnの下流の位置から、その無害化された残留物Reが注入されるように構成してもよい。
残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵する場合には、処理1の後、処理5を行なってもよく、処理1の後、状況が許せば処理4を行い、最後に処理5を行なってもよい。また、処理2乃至処理4のうち少なくとも二つを組み合わせて行ってもよい。たとえば、(i)処理2又は処理3を実行した後あるいは処理2及び処理3のいずれか一方を先に実行し次に他方を実行した後、状況が許せば処理4を行い、最後に処理5を行う、(ii)処理2及び処理3のいずれか一方を先に実行した後他方を実行することを繰り返し、状況が許せば処理4を行い、最後に処理5を行う、といった組み合わせも採用できる。
2.G.2)内表面の乾燥防止
混合攪拌槽Tsや殺菌剤配管経路Lsの内表面が溶媒(真水ws)の蒸発により乾燥しないようにするため、残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsmへ移動させると否とにかかわらず、水供給部S[ws]から混合攪拌槽Ts内に真水wsを供給し、その真水wsにより混合攪拌槽Ts内を満たし、必要があれば追加で給水して、混合攪拌槽Tsの内容物の液位を維持する。その場合、必要があれば、バルブVbpを開状態にする。バルブVbpを開状態にすると、混合攪拌槽Tsの下部に接続している殺菌剤配管経路Ls内も真水wsで満たすことができ、殺菌剤配管経路Lsの内表面の乾燥も防止することができる。
混合攪拌槽Tsへの真水wsの供給とその停止により、混合攪拌槽Tsの内容物の液位を維持するための液位調整機構の代表例は、混合攪拌槽Tsの内容物の液位を計測する液位計と、給水導管Cwsに取り付けられ、液位計により計測される液位と、予め設定されている液位上限値との差に応じて自動開閉を行う弁体との組み合わせである。このような液位調整機構によれば、混合攪拌槽Tsの内容物は液位上限値まで満ちることになるので、液位上限値以下にある、混合攪拌槽Tsや殺菌剤配管経路Lsの内表面の乾燥を防止することができる。
また、この液位調整機構は、ボールタップ式の定水位弁であってもよい。ボールタップ式の定水位弁を給水導管Cwsの吐出口又はその近傍に取り付け、定水位弁を構成するボールを混合攪拌槽Tsの内容物に浮かせる。定水位弁は、ボールの上昇に連動して閉状態となり、下降に連動して開状態になるので、当該内容物の液位は一定レベルに維持される。そして、その一定レベル以下にある、混合攪拌槽Tsや殺菌剤配管経路Lsの内表面の乾燥を防止することができる。
混合攪拌槽Ts内で塩素系殺菌剤Asを製造しているときの、混合攪拌槽Tsの内表面と接触する混合物Cs又は塩素系殺菌剤Asの液位の最上位置をLmとすると、水供給部S[ws]から混合攪拌槽Ts内に供給された真水wsの液位Lpは、Lmと同じ又はLmより高い液位であることが望ましい。このようなLmとLpの関係であれば、混合物Cs又は塩素系殺菌剤Asと接触していた混合攪拌槽Tsの内表面は必ず水没することになり、乾燥することがないからである。
<実施形態2>
1)基本構成
図31は、本発明を適用する前の、水処理装置D1の変形例である水処理装置D2の基本構成の説明図である。この水処理装置D2は、図10に示されている水処理装置D1と同様、原料固形物msと真水wsとの混合により塩素系殺菌剤Asを製造する溶液製造部S[pr]と、混合攪拌槽Ts内に原料固形物msを供給するためのホッパー部S[hp]と、混合攪拌槽Ts内に真水wsを供給するための水供給部S[ws]と、原料固形物msが真水wsに溶解することにより製造される塩素系殺菌剤Asを、船外から導入され、バラスト水取水用配管経路Lfを流通する水Woに注入するための殺菌剤注入部S[is]とを備えている。ホッパー部S[hp]は、図示されていない支持機構により位置決めされている。
1.1)溶解製造部S[pr]
(1) 溶液製造部S[pr]は、原料固形物msを真水wsに混合させる(つまり、原料固形物msと真水wsの混合物Csを製造する)混合部S[mx]と、混合物Csを攪拌することにより原料固形物msを真水wsに溶解させる(つまり、混合物Csから塩素系殺菌剤Asを製造する)溶解促進部S[st]とから構成されている。
(2) 混合部S[mx]は、バッファタンクTcsと、ホッパー部S[hp]から供給される原料固形物ms(又はms*)をバッファタンクTcs内に供給するための原料供給路Cmsの吐出開口部と、水供給部S[ws]から供給される真水wsを混合攪拌槽Ts内に供給するための給水導管Cwsの吐出開口部と、混合物Csの上方の空間から混合攪拌槽Ts外への気体Gvの排出を行うための排気手段と、混合攪拌槽Tsの槽内の露出を防止するための上蓋Tcs1とを備えている。排気手段は、水処理装置D1が備える廃棄手段と基本的に同じであるので、その説明は省略する。
バッファタンクTcsの下部は略漏斗状をなしており、バッファタンクTcsに収容されている内容物(主に混合物Cs)が下降したとき、略漏斗状の最下部にある排出口Dcbpから、排出口Dcbpと一端が接続されている配管Lc0を通じて後述の投入位置Qc1に向かって移動するように構成されている。
(3) 溶解促進部S[st]は、排出口Dcbpと一端が接続されている配管Lc0の他端が接続する投入位置Qc1と、投入位置Qc1の下流にあるポンプPcと、ポンプPcの下流にある固液分離装置Spと、投入位置Qc1、ポンプPc及び固液分離装置Spとを順に接続するとともに、固液分離装置Spと投入位置Qc1とを接続する循環配管経路Lcとを備えている。
混合部S[mx]から配管Lc0を通じて投入位置Qc1に投入される、バッファタンクTcsの内容物は、ポンプPcにより付勢されるとともに攪拌され、循環配管経路Lcに沿って固液分離装置Spに向かって移動する。その移動の過程で、当該内容物は、その少なくとも一部が溶液(原料固形物msが真水wsに溶解してできる塩素系殺菌剤As)になり、混合物Csと塩素系殺菌剤Asが混ざった状態になり、固液分離装置Spにおいて、(A)塩素系殺菌剤Asの一部と、(B)当該塩素系殺菌剤Asの残部又は真水wsと、真水wsに溶解しなかった原料固形物msとの混合物に分離される。前者(A)は、固液分離装置Spの液体排出口Qc2から後述の殺菌剤注入部S[is]へ移動し、残部の後者(B)は、固体排出口Qc3から、循環配管経路Lcに沿って、投入位置Qc1に向かって移動する。後者(B)は、投入位置Qc1に向かって移動する過程で攪拌されるので、その少なくとも一部が塩素系殺菌剤Asになり、投入位置Qc1において、殺菌剤注入部S[is]への前者(A)の移動量を補充するに足るだけの量のバッファタンクTcsの内容物が投入を受け、補充されたバッファタンクTcsの内容物とともに、再びポンプPcにより付勢され、攪拌され、循環配管経路Lcに沿って固液分離装置Spに向かって移動する。
溶解促進部S[st]は、上記のようなに構成されているので、投入又は補充されたバッファタンクTcsの内容物が循環配管経路Lcに沿って循環する過程で塩素系殺菌剤Asを連続的に製造することができ、製造された塩素系殺菌剤Asを固液分離装置Spにより分離することができる。
なお、固液分離装置Spの代表例は、液体サイクロンである。固液分離装置Spが液体サイクロンである場合は、液体サイクロンの内容物の液位は、バッファタンクTcsの内容物の液位よりも下に配置させる。バッファタンクTcsの内容物の混合部S[mx]から投入位置Qc1への移動は、重力及びポンプPcによる負圧の作用による。
1.2)ホッパー部S[hp]
ホッパー部S[hp]は、図10に示されている水処理装置D1のそれと変わらないので、説明は省略する。
1.3)水供給部S[ws]
水供給部S[ws]は、図10に示されている水処理装置D1のそれと変わらないので、説明は省略する。
1.4)殺菌剤注入部S[is]
殺菌剤注入部S[is]は、固液分離装置Spの液体排出口Qc2と、バラスト水取水用配管内に開口し、流通する海水Woに塩素系殺菌剤Asを注入する殺菌剤注入口Isと、液体排出口Qc2と殺菌剤注入口Isを接続する殺菌剤配管経路Lsを備えている。殺菌剤配管経路Lsは、殺菌剤注入口Isからバラスト水取水用配管経路Lfへの塩素系殺菌剤Asの注入と停止を切り替えるためのバルブVsと、液体排出口Qc2の下流、バルブVsの上流において殺菌剤配管経路Lsに沿った塩素系殺菌剤Asの移動を駆動するポンプPsを備えている。
ポンプPsは、液体排出口Qc2から排出される塩素系殺菌剤Asが存在し、バルブVsが開であるとき、固液分離装置Sp内からの塩素系殺菌剤Asの排出を助け、その塩素系殺菌剤Asを殺菌剤注入口Isから水Woに注入する。
なお、殺菌剤注入部S[is]は、固液分離装置Sp内から排出される塩素系殺菌剤Asを一時的に貯留する槽や、そのような塩素系殺菌剤Asを循環配管経路Lcへ帰還させる帰還用配管経路を具備していてもよい。
1.5)動作
図31に示されている水処理装置D2においては、まず、ホッパーHから原料固形物msが、給水導管Cwsから真水wsが、それぞれバッファタンクTcs内に供給され、バッファタンクTcsに原料固形物msと真水wsの混合物Csが収容されるに至る。その後、混合物CsがバッファタンクTcsから配管Lc0を通じて循環配管経路Lcへ移動し、ポンプPcの付勢を受けて循環配管経路Lcに沿って循環し、その循環の過程で攪拌を受ける。その攪拌により、原料固形物msの真水wsへの溶解が進み、塩素系殺菌剤Asが製造される。製造された塩素系殺菌剤Asは、固液分離装置Sp内から排出され、殺菌剤配管経路Lsを通じて移動し、殺菌剤注入口Isからバラスト水取水用配管経路Lfを流通する水Woに注入され、水Woを殺菌する。なお、塩素系殺菌剤Asが注入された水Woは、ミキサーMxsを通過した後、殺菌剤注入済みの水WsとしてバラストタンクBTに向かって移動して行き、バラストタンクBTに収容される。
1.6)各工程との関係
工程S01は水処理装置D2、特にホッパーHを準備する工程であり、工程S02は、ホッパーHに装入するための原料固形物msを準備する工程である。工程S11はホッパー部S[hp]で実行され、工程S21は溶液製造部S[pr]、特に混合は混合部S[mx]で、攪拌は溶解促進部S[st]で実行され、工程S31は殺菌剤注入部S[is]で実行される。
2)実施例
(実施例-H)
図32は、本発明に係る水処理装置の実施例-Hの説明図である。実施例-Hの構成及び動作は、ホッパー部S[hp]が温度設定機構を備えている点を除き、図31に示されている水処理装置D2のそれらと基本的に同じである。また、ホッパー部S[hp]の温度設定機構の構成及び動作は、図24に示されているホッパー部S[hp]の温度設定機構の変形例5のそれらと同じである。
(実施例-I)
2.I.1)構成の特徴
図33は、本発明に係る水処理装置の実施例-Iの説明図である。実施例-Iの構成及び動作は、水供給部S[ws]及び混合部S[mx]のそれぞれが温度設定機構を備えている点を除き、図32に示されている水処理装置D(実施例-H)のそれらと基本的に同じである。
2.I.2)水供給部S[ws]の温度設定機構
水供給部S[ws]が備える温度設定機構は、少なくとも、(i)給水導管Cwsの外表面に取り付けられた温度調節装置CL2*と、(ii)給水導管Cwsの外表面と伝熱管を覆う断熱材Ins3を備えている。温度調節装置CL2*の代表例は、ペルチエ冷却ユニットである。温度調節装置CL2*は、実施例-C乃至実施例-Fが備える温度調節装置CLと同じものであってよく、温度調節装置CL2*はコイルヒータを具備していてもよく、真水wsの温度を上げる必要があるときは、当該コイルヒータにより、給水導管Cwsを介して真水wsの温度を上げるようにしてもよい。
給水導管Cwsの外表面を断熱材Ins3で覆うので、真水wsの温度Twsへの環境温度の影響を低減することができる。また、温度調節装置CL2*により、真水wsの温度を特定温度範囲内に設定することができる。
2.I.3)混合部S[mx]の温度設定機構
混合部S[mx]の温度設定機構は、少なくとも、バッファタンクTcs、その上蓋Tcs1及びその底部のそれぞれを、距離をおくことなく覆う断熱材Ins4*、Ins4u*及びIns4d*を備えている。
この温度設定機構によれば、バッファタンクTcsの外表面、従ってバッファタンクTcs内と外部との間の熱伝達が断熱材Ins4*、Ins4u*及びIns4d*により遮断されるので、環境温度が容器内温度上限より高いときや、容器内温度下限より低いときであっても、バッファタンクTcs内の混合物Csの温度Tcsや原料固形物msが真水wsに溶解してできる塩素系殺菌剤Asの温度Tasへの、環境温度の影響を小さくすることができる。また、環境温度の影響の影響により温度Tcsや温度Tasが上昇し難くなるので、ホッパーH内の温度Thへの、バッファタンクTcsの内容物の温度の影響を小さくすることができる。
2.I.4)各工程との関係
水供給部S[ws]は、工程S22が実行される領域R[s22]であり、混合部S[mx]は、工程S23が主に実行される領域R[s23]である。なお、混合部S[mx]では、溶解促進部S[st]内ほどではないが、多少、工程S24が実行されるので、混合部S[mx]は、工程S24が実行される領域R[s24]でもある。
(実施例-J)
2.J.1)構成の特徴
図34は、本発明に係る水処理装置の実施例-Jの説明図である。実施例-Jの構成及び動作は、混合部S[mx]の温度設定機構の構成が異なる点を除き、図33に示されている水処理装置D(実施例-I)のそれらと基本的に同じである。
2.J.2)混合部S[mx]の温度設定機構
混合部S[mx]の温度設定機構の機能は、少なくとも、(i)バッファタンクTcs、その上蓋Tcs1及びその底部のそれぞれを、距離をおいて囲む断熱材Ins4、Ins4u及びIns4dと、(ii)バッファタンクTcs、その上蓋Tcs1及びその底部のそれぞれと左記断熱材との間の空間W[ti]内で熱媒体(h2、h2*)を流通させることにより、空間W[ti]の温度を調節する温度調整装置CL3*を具備している。
混合部S[mx]の温度設定機構の機能は、実施例-Eの溶液製造部S[pr]の温度設定機構のそれと同じである。
実施例-Eにおける熱媒体(h2、h2*)についての説明は、混合攪拌槽Ts及びその上蓋Ts1をそれぞれバッファタンクTcs及びその上蓋Tcs1に読み替えれば、熱媒体(h4、h4*)に当てはまる。つまり、h4は、バッファタンクTcsの上部の空間W[it]内に外部から供給され、バッファタンクTcsの壁面を介して、バッファタンクTcs内に収容されている内容物(主に混合物Cs)と熱交換する熱媒体である。h4は、上蓋Tcs1を介して、当該内容物の上方にある、バッファタンクTcs内の空気と熱交換する熱媒体でもある。h4*は、バッファタンクTcsの下部の空間W[it]内から外部に排出される、熱交換後の熱媒体h4である。図34に示されている熱媒体(h4、h4*)は、外部→バッファタンクTcsの上部の空間W[it]→バッファタンクTcsの下部又は底部の空間W[it]→外部の順に流れているが、この逆方向の流れであってもよい。いずれの場合であれ、熱媒体(h4、h4*)は、バッファタンクTcsの内容物の概ね上下全体の温度の調整に寄与する。熱媒体(h4、h4*)の代表例は、空気である。ホッパーHの設置場所の空気調和を行うための空調装置から送り出される空気(つまり送風される空気)を熱媒体(h4、h4*)として利用してもよい。
この混合部S[mx]が備える温度設定機構によれば、まず、バッファタンクTcs及びその上蓋Tcs1をそれぞれ断熱材Ins4及び断熱材Ins4uで囲うとともに空間W[ti]を設けるので、バッファタンクTcs内に収容されている主たる内容物である混合物Csの温度Tcsへの環境温度の影響を低減することができる。また、温度調節装置CL3*により空間W[ti]の温度を適切に(より具体的には、混合部S[mx]内の温度が特定温度範囲内になるように)設定又は制御することにより、温度Tcsも、特定温度範囲内に設定することができる。
2.J.3)各工程との関係
実施例-Jでは、実施例-Iの場合と同様に、水供給部S[ws]は、工程S22が実行される領域R[s22]であり、混合部S[mx]は、工程S23が主に実行される領域R[s23]である。なお、混合部S[mx]では、溶解促進部S[st]内ほどではないが、多少、工程S24が実行されるので、混合部S[mx]は、工程S24が実行される領域R[s24]でもある。
(実施例-K)
2.K.1)構成の特徴
図35は、本発明に係る水処理装置の実施例-Jの説明図である。実施例-Jの構成及び動作は、溶解促進部S[st]及び殺菌剤注入部S[is]のそれぞれが温度設定機構を備えている点を除き、図34に示されている水処理装置D(実施例-J)のそれらと基本的に同じである。
2.K.2)溶解促進部S[st]の温度設定機構
溶解促進部S[st]の温度設定機構は、図35に示されているとおり、少なくとも、配管Lc0、ポンプPcと固液分離装置Spとの間(ポンプPc及びその近傍の領域は除く)をつなぐ配管及び固液分離装置Spと投入位置Qc1との間をつなぐ配管のそれぞれの外表面を、距離をおかずに覆う断熱材Ins5*を具備している。この温度設定機構は、固液分離装置Spの外表面を覆う断熱材を具備していてもよい。
この温度設定機構によれば、バッファタンクTcs内から配管Lc0を通じて投入位置Qc1に向かって移動する混合物Csの温度Tcsへの環境温度の影響を小さくすることができる。また、循環配管経路Lcに沿って移動する混合物Cs及び塩素系殺菌剤Asのそれぞれの温度Tcs及び温度Tasへの環境温度の影響を小さくすることができる。
2.K.3)殺菌剤注入部S[is]の温度設定機構
殺菌剤注入部S[is]の温度設定機構は、図35に示されているとおり、少なくとも、固液分離装置SpとポンプPsとの間(Ps近傍範囲を除く)をつなぐ殺菌剤配管経路Lsの外表面を、距離をおかずに覆う断熱材Ins6*を具備している。この温度設定機構は、ポンプPsとバルブVsとの間(Ps近傍範囲ならびにバルブVs及びその近傍の領域を除く)をつなぐ殺菌剤配管経路Lsの外表面を覆う断熱材を具備していてもよい。
この温度設定機構によれば、殺菌剤配管経路Lsに沿って移動する塩素系殺菌剤Asの温度Tas*への環境温度の影響を小さくすることができる。
2.K.3)各工程との関係
水供給部S[ws]は、工程S22が実行される領域R[s22]であり、混合部S[mx]は、工程S23が主に実行される領域R[s23]である。なお、混合部S[mx]では、溶解促進部S[st]内ほどではないが、多少、工程S24が実行されるので、混合部S[mx]は、工程S24が実行される領域R[s24]でもある。溶解促進部S[st]は、工程S24が実行される領域R[s24]である。殺菌剤注入部S[is]は、工程S32が実行される領域R[s32]である。
(実施例-L)
図36は、本発明に係る水処理装置の実施例-Lの説明図であり、その説明は、水処理装置Dの本体内に残留する残留物Reに対する後処理に関する。実施例-Lの構成及び動作は、水処理装置Dが実施形態2の水処理装置Dである点を除き、図30に示されている実施形態1の実施例-Gのそれらと基本的に同じである。
以下、図36を参照しつつ、実施例-Lにおいて実行される残留物Reの後処理、つまり(i)残留物の減容・除去と、(ii)内表面の乾燥防止について説明する。なお、図36に描かれている水処理装置Dの本体は、実施例-Hに相当するものであるが、これは例示に過ぎない。実施例-Hにおける水処理装置Dの本体は実施例-H以外の実施例に相当するものであってもよい。
2.L.1)残留物の減容・除去
(工程L1)
まず、予め、残留物貯蔵用タンクTsrを用意しておく。残留物貯蔵用タンクTsrは、残留物貯蔵用タンクTsr内へ残留物Reを供給するための配管Lsrと、残留物貯蔵用タンクTsrからその内容物を排出するための配管Lptと、残留物貯蔵用タンクTsr内の上方に溜まった気体の排気を行うための配管Cv*を伴う排気装置(図示されていない)を具備している。配管Lsrは、位置Qsrにおいて、殺菌剤配管経路Ls上のバルブVsの下流側にある位置Qsに接続している。配管Lptは、位置Qptと位置Qdrの間にバルブVaとポンプPptを備えている。
なお、実施例-Gの場合と同様に、残留物貯蔵用タンクTsrは、低濃度の中和剤An#を注入する装置を具備していてもよく、低濃度の中和剤An#を注入する装置を具備している場合、インペラのような公知の攪拌手段を具備していてもよい。
(工程L2)
次に、バッファタンクTcs内、配管Lc0内、循環配管経路Lc内ならびに固液分離装置Spと位置Qsとの間をつなぐ殺菌剤配管経路Ls内の何れかの場所に存在する残留物Reを、バルブVa及びVsを閉にした状態でポンプPc及びポンプPsにより付勢して、Qs→Lsr→Tsrの経路に沿って移動させ、残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させる。その場合、水供給部S[ws]から真水wsをバッファタンクTcsに追加供給し、当該何れかの場所に存在する残留物Reを真水wsで希釈する又は洗浄もしくは押し流してもよい(ただし、残留物貯蔵用タンクTsrの容量には上限があるので、必要に応じて残留物貯蔵用タンクTsrの内容物を別の場所に移動させたうえで、真水wsの追加供給を行う)。なお、この残留物Reの残留物貯蔵用タンクTsrへの移動は、たとえば第三段階S3の終了後、特に第三段階S3の終了後のできるだけ早い時期(たとえば一時間以内)に行うのが望ましい。
(工程L3)
次に、残留物貯蔵用タンクTsr内に収容されている残留物Reに対し、後述の処理1乃至処理3のいずれかを行うことにより、残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵する。そして、残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵されている残留物Reに対し、処理5を行う。状況が許すのであれば処理5の前に処理4を行う。
(処理1)
バルブVa及びVsを閉にしたままで所定期間、残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵する。ここで、所定期間とは、残留物Reを、残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させた後、次の処理を開始するまでの期間を意味し、当該次の処理の種類や内容により、(i)数秒間、数分間などのかなり短い期間である場合もあれば、(ii)数十分、数時間などの中程度の長さの時間が経過するまでの期間である場合もあれば、(iii)数日、数週間などの比較的長い時間が経過するまでの期間である場合もある。
(処理2)
工程H2の実行により残留物貯蔵用タンクTsr内に収容された残留物Reを、バルブVa及びVsを開にした状態でポンプPptにより付勢して、Tsr→Lpt→Qdr→Ldr1→Tcsの経路に沿って移動させ、バッファタンクTcs内へ還流させる。その後、バッファタンクTs内に還流された残留物Reを、Tcs→Dcbp→Lc0→Qc1→Lc→Sp→Qc2→Ls→Qs→Lsr→Tsrの経路に沿って移動させる。その際には、バルブVbpを開、バルブVsを閉にした状態でポンプPsにより残留物Reを付勢し、必要に応じて循環配管経路Lcを一回又は複数回循環させる。これにより、残留物ReをバッファタンクTcsから排出させ、再び残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させ、総じて残留物貯蔵用タンクTsr内とバッファタンクTcsとの間を循環させる。
上記の循環を少なくとも一回行なった後、最終的に、残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させ、バルブVa及びVsを閉にし、所定期間、残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵する。ここで、所定期間は、処理1における所定期間と同義である。一般に、上記の循環の回数が多いほど、バッファタンクTcs、配管Lc0、循環配管経路Lc及び位置Qc2から位置Qsまでの殺菌剤供給経路Lsからの残留物Reの減容又は除去の効果は高くなるので、二回以上循環させるのが望ましい。
なお、バッファタンクTcs内に還流された残留物Reを再び残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させる際には、(a)水供給部S[ws]から真水wsをバッファタンクTcsに追加供給し、これによりバッファタンクTcs内、配管Lc0内、循環配管経路Lc内及び位置Qc2から位置Qsまでの殺菌剤供給経路Ls内に存在する残留物Reを真水wsで希釈する又は洗浄もしくは押し流してもよい。これにより、当該残留物Reの減容又は除去を、より効果的に行うことができる(ただし、残留物貯蔵用タンクTsrの容量には上限があるので、必要に応じて残留物貯蔵用タンクTsrの内容物を別の場所に移動させたうえで、真水wsの追加供給を行う)。
また、その際には、(b)給水導管Cwsの途中の位置Qnから、低濃度の中和剤An*を注入し、真水wsで希釈された状態でバッファタンクTcs内に供給してもよい。低濃度の中和剤An*の供給は、(i)残留物Re中に存在する又は残留物に由来して発生する遊離有効塩素の無害化に役立つ、または、中和剤An*と当該遊離有効塩素との反応の過程で、バッファタンクTcs内、配管Lc0内、循環配管経路Lc内及び位置Qc2から位置Qsまでの殺菌剤供給経路Ls内の何れかの場所に存在する残留物Re内の何れかの場所に析出、堆積又は固化した残留物Reの溶解や剥離を促進し、当該何れかの場所に存在する残留物Reの減容又は除去の効果をより高めるとともに、(ii)当該遊離有効塩素と中和剤An*との反応の際に発生する発熱の量を低く抑えるのに役立つ。
(処理3)
残留物Reを、バルブVaを開、バルブVbp及びVsを閉にした状態でポンプPpt及びPsにより付勢して、Tsr→Lpt→Qdr→Ldr2→Qs2→Lc→Sp→Qc2→Ls→Qs→Lsr→Tsrの経路に沿って移動させる。位置Qs2は、殺菌剤配管経路Ls上の、バルブVbpの下流、ポンプPsの上流の位置である。これにより、残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsr外に排出させ、循環配管経路Lc及び殺菌剤配管経路Lsを経由して、再び残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させ、総じて残留物Reを、残留物貯蔵用タンクTsr内と混合攪拌槽Tsとの間で循環させる。
上記の循環を少なくとも一回行なった後、最終的に、残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsr内に収容させ、バルブVa及びVsを閉にし、所定期間、残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵する。ここで、所定期間は、処理1における所定期間と同義である。一般に、上記の循環の回数が多いほど、循環配管経路Lc及び殺菌剤配管経路Lsからの残留物Reの減容又は除去の効果は高くなるので、二回以上循環させるのが望ましい。
なお、位置Qs2は、配管Lc0上にあってもよい。その場合には、位置Qs2と位置Qc1の間をつなげる配管Lc0内に存在する残留物Reの減容又は除去も実現できる。上記の循環の回数が多いほど、その残留物Reの減容又は除去の効果も高くなる。
(処理4)
残留物貯蔵用タンクTsrが、そのタンクTsr内に低濃度の中和剤An#を注入する装置及びそのタンクTsr内を攪拌する攪拌手段を具備している場合には、残留物貯蔵用タンクTsr内の残留物Reに低濃度の中和剤An#を注入しつつ攪拌を行い、残留物Reを無害化する。
(処理5)
残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵されている残留物Reを、バルブVaを開にした状態でポンプPptにより付勢して、Qpt→Qdr→Vb3の経路Ldr3に沿って移動させて、残留物貯蔵用タンクTsr外へ排出させる。無害化された残留物Reの排出先は、(i)船舶VSLが搭載するバラストタンクBT、(ii)ビルジタンク(図示されていない)であってもよく、(iii)船舶VSL外であってもよい。
なお、船舶VSLが搭載するバラストタンクBTや船舶VSL外へ排出させる場合には、水Woがバラスト水取水用配管Lf内をバラストタンクBT又は船外に向かって流通しているとき、無害化された残留物ReをTsr→Lpt→Qdr→Ldr3→Vb3→Vs→Isの経路に沿って移動させて、開状態のバルブVs を経由させて殺菌剤注入口Isから水Woに注入してもよい。その場合、無害化された残留物Reが位置QsからポンプPsの側に流れ込まないように(たとえば、ポンプPsの下流側に逆止弁を予め設けておく)手当てを済ませておく。
また、無害化された残留物Reを船舶VSL外へ排出する場合には、後述の還元剤供給装置Nが動作しているとき、還元剤供給経路Lnの、還元剤注入口Inより上流、ポンプPnの下流の位置から、その無害化された残留物Reが注入されるように構成してもよい。
残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsr内に貯蔵する場合には、処理1の後、処理5を行なってもよく、処理1の後、状況が許せば処理4を行い、最後に処理5を行なってもよい。また、処理2乃至処理4のうち少なくとも二つを組み合わせて行ってもよい。たとえば、(i)処理2又は処理3を実行した後あるいは処理2及び処理3のいずれか一方を先に実行し次に他方を実行した後、状況が許せば処理4を行い、最後に処理5を行う、(ii)処理2及び処理3のいずれか一方を先に実行した後他方を実行することを繰り返し、状況が許せば処理4を行い、最後に処理5を行う、といった組み合わせも採用できる。
2.L.2)内表面の乾燥防止
バッファタンクTcs、配管Lc0及び循環配管経路Lcの内表面、特にバッファタンクTcsの内表面が溶媒(真水ws)の蒸発により乾燥しないようにするため、残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsrへ移動させると否とにかかわらず、水供給部S[ws]からバッファタンクTcs内に真水wsを供給し、その真水wsによりバッファタンクTcs内を満たし、必要があれば追加で給水して、バッファタンクTcsの内容物の液位を維持する。バッファタンクTcs内の真水の液位を維持しているときには、配管Lc0内及び循環配管経路Lc内は真水wsが入り込んでいるので、それらの内表面の乾燥は、バッファタンクTcsの内表面の乾燥とともに防止することができる。
混合攪拌槽Tsへの真水wsの供給とその停止により、混合攪拌槽Tsの内容物の液位を維持するための液位調整機構の代表例は、実施形態1の実施例-Gの場合において説明したものと同じである。また、この液位調整機構は、実施例-Gの場合と同様に、ボールタップ式の定水位弁であってもよい。
バッファタンクTcsが混合物Csを収容しているときの、バッファタンクTcsの内表面と接触する内容物(主に混合物Cs)の液位の最上位置をLmとすると、水供給部S[ws]からバッファタンクTcs内に供給された真水wsの液位Lpは、Lmと同じ又はLmより高い液位であることが望ましい。このようなLmとLpの関係であれば、混合物Cs又は塩素系殺菌剤Asと接触していた混合攪拌槽Tsの内表面は必ず水没することになり、乾燥することがないからである。
<補 遺>
1)実施形態1について
1.1)駆動モータMtiから放出される熱への対策
図16ならびに図25乃至図30において描かれている駆動モータMtiは、図10に示されている駆動モータMtiと同様に、その筐体が上蓋Ts1の外表面に直に接触している。そのような場合、駆動モータMtiから放出される熱が、上蓋Ts1を伝って、原料供給路Cms及び計量機構Mvfを経て、ホッパーH内へ伝わり、温度Thを上昇させるおそれがある。また、その熱が、混合攪拌槽Ts上方の空気の温度を高め、その空気を介して又は混合攪拌槽Tsの側壁を経て、内容物(混合物Cs及び塩素系殺菌剤As)に伝わり、温度Tcsや温度Tasを上昇させるおそれがあり、間接的に温度Thを上昇させるおそれもある。
それ故、駆動モータMtiを設置するときは、駆動モータMtiの筐体と上蓋Ts1の外表面との間に断熱材を介在させる、(ii)駆動モータMtiの筐体を、熱伝導性が低い材料で作られた支持機構を用いて、上蓋Ts1の外表面から上方に離隔した位置に固定する、(iii)左記(ii)の場合、上蓋Ts1の外表面と、そこ上方に離隔した位置に固定されている駆動モータMtiの筐体との間に断熱材を介在させる、などの工夫を施して、駆動モータMtiから放出される熱が、できる限り、上蓋Ts1に伝わらないようにする。
2)実施形態2についての補遺
2.1)実施例-Lにおける残留物の更なる除去
実施例-Lの場合、残留物Reを、殺菌剤配管経路Ls上の位置Qsから取り出して、残留物貯蔵用タンクTsrへ移動させているので、固液分離装置Spから殺菌剤配管経路Lsの側に移動させることができなかった残留物Reが、循環配管経路Lcの一部(たとえば図36に示されている位置Qc3から位置Qc1までの循環配管経路Lc)に残留するケースが生じる。そこで、残留物Reを、循環配管経路Lc上の位置Qsa(図36参照)から取り出して、それを残留物貯蔵用タンクTsrへ移動させることができる構成にする。このようにすれば、より多くの残留物Reを残留物貯蔵用タンクTsrへ移動させることができる。
残留物Reを位置Qsaから取り出して残留物貯蔵用タンクTsrへ移動させる手順の具体例は、次のとおりである。
まず、位置Qsaと残留物貯蔵用タンクTsrとの間を接続する、循環配管経路Lcの分岐配管Lsraを用意する。分岐配管Lsarは、それが具備するバルブVsarの開閉により、位置Qsaから残留物貯蔵用タンクTsrへの残留物Reの移動の可否を変更できるものである。
(具体例1)
ポンプPc及びPsにより付勢された残留物Reを、殺菌剤配管経路Ls上の位置Qsから取り出して、残留物貯蔵用タンクTsrへ移動させる工程の実行中に、ポンプPcにより付勢されて循環配管経路Lcを循環している残留物Reの一部を、バルブVsarを開状態にしたままの分岐配管Lsarを通じて位置Qsaから残留物貯蔵用タンクTsrへ移動させる。これにより、循環配管経路Lcの一部に残留し得る残留物Reの量を減らす。
(具体例2)
バルブVsarを閉状態にして、循環配管経路Lcから残留物Reが分岐配管Lsarに移動しない状態にしたうえで、ポンプPc及びPsにより付勢された残留物Reを、殺菌剤配管経路Ls上の位置Qsから取り出して、残留物貯蔵用タンクTsrへ移動させる工程を実行する。その工程の実行を終えた後、ポンプPsを停止させ、殺菌剤配管経路Lsが具備するバルブ(図示されていない)を閉じることで位置Qc2から殺菌剤配管経路Lsに残留物Reが流れ込まない状態にしたうえで、バルブVsarを開状態にして、ポンプPcにより付勢されて循環配管経路Lcを循環している残留物Reを、分岐配管Lsarを通じて位置Qsaから残留物貯蔵用タンクTsrへ移動させる。これにより、循環配管経路Lcの一部に残留し得る残留物Reの量を減らす。
3)実施形態1及び実施形態2に共通する補遺
3.1)断熱材
保守点検を行う作業者によるホッパーH、混合攪拌槽Ts、バッファタンクTcs、循環配管経路Lc、殺菌剤配管経路Ls等へのアクセスの便のため、断熱材(Ins1、Ins1*、Ins2、Ins2*、Ins3、Ins4、Ins4u、Ins4d、Ins5、Ins6*、Ins7等)はいずれも、その少なくとも一部が取り外せるように構成されている。
3.2)真水wsの過剰供給への対策
上記2.G.2)で言及した液位調整機構が故障すると、混合攪拌槽Tsから内容物が溢れ出て、水処理装置Dの設置場所の作業環境を悪化させるおそれがある。そこで、液位調整機構の故障という万が一の事態に備えて、混合攪拌槽Tsにオーバーフロー管を取り付け、混合攪拌槽Ts及びバッファタックTcsの内容物の液位が上限を超えたとき、当該上限を超えた分の内容物が、当該オーバーフロー管を通じて混合攪拌槽Ts外に排出されるようにする。
上記2.H.2)で言及した液位調整機構についても同様であり、これが故障すると、バッファタンクTcsから内容物が溢れ出て、水処理装置Dの設置場所の作業環境を悪化させるおそれがある。そこで、液位調整機構の故障という万が一の事態に備えて、バッファタンクTcsにオーバーフロー管を取り付け、バッファタンクTcsの内容物の液位が上限を超えたとき、当該上限を超えた分の内容物が、当該オーバーフロー管を通じてバッファタンクTcs外に排出されるようにする。
3.3)溶解製造部S[pr]の断熱設計
図37は、本発明に係る水処理装置の実施例-Mの説明図である。実施例-Mは、船舶VSL内の設置場所ERにおいて、床面Bvに配置した台座Bpの上に設置された水処理装置Dであり、実施例-H乃至実施例-Lと同様に、(i)ホッパー部S[hp]と、水供給部S[ws]と、混合部S[mx]及び溶解促進部S[st]を備える溶解製造部S[pr]と、殺菌剤注入部S[is]を備えている。
実施例-Mは、実施例-H乃至実施例-Lと異なり、混合部S[mx]及び溶解促進部S[st]が温度設定機構を共有しており、具体的には、(i)溶解製造部S[pr]全体、従って混合部S[mx]及び溶解促進部S[st]の両方が単一の断熱空間W[u]内に設置されており、(ii)断熱空間W[u]内の温度を調節することにより、温度Tcs及び温度Tasを特定温度範囲内に設定又は制御するための温度調節装置CL(u)を備えている。なお、ホッパー部S[hp]が備える温度設定機構は、図24に示されている変形例5に限定されない。温度調節装置CL(u)は、少なくとも冷熱発生機能を有する公知の装置であり、望ましくは、冷熱発生機能と温熱発生機能の両方を有する公知の装置である。
実施例-Mの場合、混合部S[mx]及び溶解促進部S[st]の両方が、断熱空間W[u]内に設置されているので、断熱空間W[u]内の温度を調整することにより、主として混合部S[mx]内に多い混合物Csの温度Tcs及び溶解促進部S[st]内に多い塩素系殺菌剤Asの温度Tasを同時に設定することができる。
図37に描かれている断熱空間W[u]内に、実施形態1における溶解製造部S[pr]を設置することもできる。その場合、断熱空間W[u]の上部の断熱材Ins7に貫通孔を設け、回転軸Axiを挿入可能にし、当該上部の断熱材Ins7の上方に駆動モータMtiを設置すればよい。このようにして構成される水処理装置Dの代表例は、実施例-Eである。
3.4)空気調和装置
水処理装置Dの設置場所ERには、空気調和装置を設置するのが好ましい。図37に示されている空気調和装置CL(ac)は、設置場所ER外との熱交換を通じて、設置場所ER内の空気h(a)の温度や湿度を調節し、調温後又は調湿後の空気h(a)*を設置場所ER内へ送り出すことにより、環境温度のみならず、湿度の調節を行う機能を有している。
空気調和装置CL(ac)を用いることにより、ホッパー部S[hp]、溶液製造部S[pr]、水供給部S[ws]等のそれぞれが備える温度設定機構や連結空間に対する温度設定機構の役割を補完し、軽減することができる。また、原料固形物msの自己分解を契機に発生する塩素ガスが水分を含むと、強い腐食性を呈し、刺激臭の原因となる等の問題が生じるところ、空気調和装置CL(ac)を用いれば設置場所ERの除湿を行うことができるので、それらの問題の発生を未然に抑制又は防止することができる。
空気調和装置CL(ac)の設置は、実施例-Mの場合に限られない。実施例-A乃至実施例-Lのいずれにおいても、設置することができる。
3.5)ホッパー部における断熱材の取り付け構造
(1) 図38は、ホッパー部S[hp]への断熱材の取り付け構造の説明図であり、図38(a)は、その正面図であり、図38(b)は、その側面図である。
図38に示されている、ホッパー部S[hp]への断熱材の取り付け構造は、ホッパーHを断熱パネルで囲うものであり、より詳しくは、(i)ホッパー部S[hp]の支持機構(図示されていない)のうち剛性の高い箇所ならびに水処理装置Dの筐体を構成する剛性の高い箇所のうち少なくとも一方に固定された一対の支持柱Frと(図37も参照)、(ii)前記一対の支持柱Frに距離をおいて並行に配置する一対の補助支持柱Fr*と、(iii)前記一対の支持柱Frと前記一対の補助支持柱Fr*の下端側を四隅とする四角形の各辺の位置にあり、当該四隅を固定する、合計四本の下段水平フレーム材Xdと、(iv)前記一対の支持柱Frと前記一対の補助支持柱Fr*の上端側を四隅とする四角形の各辺の位置にあり、当該四隅を固定する、合計四本の上段水平フレーム材Xuと、(v)前記一対の支持柱Frに一端が固定され、前記一対の補助支持柱Fr*の下端部間を固定する下段水平フレーム材Xdに他端が固定され、それにより当該下段水平フレームの上下方向の位置を固定する補剛部材Bmと、(vi)支持柱Frと、それに隣接する補助支持柱Fr*と、当該支持柱Frと当該支持柱Fr*との間を上部と下部で固定する上段水平フレーム材Xuと下段水平フレーム材Xdとにより構成される四角形の枠に直接又は補助部材(図示されていない)を介して取り付けられる側面断熱パネルIP(1)、IP(1)*と、(vii)当該一対の支持柱Frと、当該一対の支持柱Frの間を上部と下部で固定する上段水平フレーム材Xuと下段水平フレーム材Xdとにより構成される四角形の枠に直接又は補助部材(図示されていない)を介して取り付けられる側面断熱パネルIP(2)と、(viii)当該一対の補助支持柱Fr*と、当該一対の補助支持柱Fr*の間を上部と下部で固定する上段水平フレーム材Xuと下段水平フレーム材Xdとにより構成される四角形の枠に直接又は補助部材(図示されていない)を介して取り付けられる側面断熱パネルIP(2)*と、(ix)合計四本の上段水平フレーム材Xuにより構成される四角形の枠に直接又は補助部材(図示されていない)を介して取り付けられる上面断熱パネルIP(u)と、(x)合計四本の下段水平フレーム材Xdのそれぞれにより構成される四角形の枠に直接又は補助部材(図示されていない)を介して取り付けられる下面断熱パネルと、(xi)上面断熱パネルIP(u)の上に着脱可能に設置される最上断熱パネルIP(t)と、を備えている。ホッパーHを囲む、支持柱Fr、補助支持柱Fr*、上段水平フレーム材Xu、下段水平フレーム材Xd、パネル板などは断熱材(図示されていない)で覆われており、また、それらの部材間の境界部分はシールラップにより密封されたうえで、断熱材(図示されていない)で覆われており、それらにより外部への露出が防止されている。
断熱パネルIP(1)、IP(1)*、IP(2)、IP(2)*、IP(u)、IP(d)、IP(t)は、いずれも、パネル板P上に取り付けられた断熱材を具備しており、特に、側面断熱パネルIP(1)、IP(1)*、IP(2)、IP(2)*及び上面断熱パネルIP(u)の断熱材は断熱材Ins1であり、下面断熱パネルIP(d)の断熱材は断熱材Ins2であり、最上断熱パネルIP(t)の断熱材は断熱材Ins1*である。
上面断熱パネルIP(u)は、図38に示されているように、取り付け前は二つに分割されている。これは取り付けを容易にするためである。それ故、取り付けが難しくなければ、上面断面パネルIP(u)は、分割されていない一体物であってもよい。
上面断熱パネルIP(u)は、ホッパーHが備える原料補給口Crfの端部開口部に取り付けられている蓋への作業者のアクセスの便のため、当該蓋に対応する位置に開口を有する。上面断熱パネルIP(u)の上に最上断熱パネルIP(t)を取り付ける場合には、パネル板Pに取り付けられた断熱材Ins1*を、上面断面パネルが有する当該開口に差し込む。上面断熱パネルIP(u)の上から最上断熱パネルIP(t)を取り外す場合には、断熱材Ins1*を、当該開口から引き抜く。
なお、最上断熱パネルIP(t)を用いることは、断熱材Ins1*を上面断面パネルが有する開口に差し込む又は当該開口から引き抜くために必須ではない。パネル板Pに取り付けられていない断熱材そのものを断熱材Ins1*として用いて、当該開口を埋める又は当該開口から取り出してもよい。
下面断熱パネルIP(d)は、計量機構Mvfの筐体の底部と駆動部Ss[mga]の筐体の少なくとも一部との間に設置されるので、回転軸Axf及び原料供給路Cmsを通す開口を有する。下面断熱パネルIP(d)は、取り付けを容易にするため、図38に示されているように、取り付け前は二つに分割されている。
図38に示されている断熱材の取り付け構造は、いずれの実施例のホッパー部S[hp]にも適用できる。たとえば図24に示されている変形例5の場合、側面断熱パネルIP(1)、IP(1)*は温度調節装置CL1、CL1*の熱媒体を流通させるための導管を通すための孔を具備しているが、その描写は省略されている。
図38に示されている、支持柱Fr、補助支持柱Fr*、上段水平フレーム材Xu及下段水平フレーム材XdがホッパーHを稜線とし、ホッパーHを囲む多面体は、直方体である。しかし、ホッパーHを断熱材で囲むことができるものである限り、当該多面体は、直方体や六面体に限定されない。
(2) 図38に示されている断熱材の取り付け構造は、たとえば、次の手順により製作することができる。
[1] ホッパー部S[hp]の支持機構(図示されていない)のうち剛性の高い箇所ならびに水処理装置Dの筐体を構成する剛性の高い箇所のうち少なくとも一方に、一対の支持柱Frを固定する。その際必要に応じて、一対の支持柱Frの距離を保つとともに、それらを補強する補強部材Zaを取り付ける。
[2] 一対の支持柱Frに補剛部材Bmを取り付ける。
[3] 一部の下段水平フレーム材Xdを補剛部材Bmにより支えながら、一対の支持柱Fr、一対の補助支持柱Fr*、上段水平フレーム材Xu及び下段水平フレーム材Xdを、ホッパーHを囲うように組み立てる。一対の支持柱Fr、一対の補助支持柱Fr*、上段水平フレーム材Xu及び下段水平フレーム材Xdの接続の順序には、特に制限はなく、その接続のために必要であれば、締め付け具、固定具・取付具などの接続補助部材を用いてもよい。
[4] 一対の支持柱Frと、対向する上段水平フレーム材Xu及び下段水平フレーム材Xdにより構成される四角形の枠に直接又は補助部材を介して、予め用意しておいた側面断熱パネルIP(2)を取り付ける。一対の補助支持柱Fr*と、対向する上段水平フレーム材Xu及び下段水平フレーム材Xdにより構成される四角形の枠に直接又は補助部材を介して、予め用意しておいた側面断熱パネルIP(2)*を取り付ける。支持柱Frと、それに隣接する補助支持柱Fr*と、対向する上段水平フレーム材Xu及び下段水平フレーム材Xdにより構成される四角形の枠に直接又は補助部材を介して、予め用意しておいた側面断熱パネルIP(1)、IP(1)*を取り付ける。上段水平フレーム材Xuにより構成される四角形の枠に直接又は補助部材を介して、予め用意しておいた上面断熱パネルIP(u)を取り付ける。下段水平フレーム材Xdにより構成される四角形の枠に直接又は補助部材を介して、予め用意しておいた下面断熱パネルIP(d)を取り付ける。上面断熱パネルIP(u)を取り付けた後、最上断熱パネルX(t)を取り付ける。側面断熱パネルIP(1)、IP(1)*、IP(2)、IP(2)*、上面断熱パネルIP(u)及び下面断熱パネルIP(d)の取り付けの順序には、特に制限はない。上記の四角形の枠は、必要に応じてそのコーナー部分にアングル材を取り付けて補強してもよい。
[5] 支持柱Fr、補助支持柱Fr*、上段水平フレーム材Xu、下段水平フレーム材Xd、パネル板Pなどの露出部分を、断熱材(図示されていない)で覆う。また、それらの部材間の境界部分はシールラップにより密封したうえで断熱材(図示されていない)で覆う。
(3) 上記のようなホッパー部S[hp]への断熱材の取り付け構造は、枠内に断熱パネルを取り付ける構成なので、構築が容易である。このような断熱材の取り付け構造は、船舶VSL内に既に設置されている水処理装置Dのホッパー部S[hp]に断熱材を事後的に取り付ける作業を容易にするものであり、有益である。
3.6)ホッパー部S[hp]の改良例
ホッパーH内の温度Thを容器内温度上限以下に設定又は制御する際には、ホッパーH内の湿度をより低く維持することが望ましい。ホッパーH内の湿度が低いと、何らかの事情によりホッパーH内で塩素ガスが発生しても、金属腐食が起こり難くなり、刺激臭が生じ難くなるからである。一方、ホッパー部S[hp]から原料固形物ms(ms*)が装入される溶解製造部S[pr]には、水供給部S[ws]から真水wsも供給されるので、供給された真水wsに由来する水分が、原料供給路Cms及び計量機構Mvfを通じて上昇し、ホッパーHにまで到達し、ホッパーH内の湿度を高めるおそれがある。そこで、以下、溶解製造部S[pr]に供給される真水wsに由来する水分を、ホッパーH内に到達させない又は到達し難くさせる、ホッパー部S[hp]の改良例について説明する。
(1)改良例1
図15に示されている、排出支援機構を用いて、気体A1の単位時間当たりの供給量を増やす。これにより、原料供給路Cmsを通じて溶解製造部S[pr]内に流入する気体A1の流れを創り出し、真水wsに由来する水分のホッパー部S[hp]への侵入を阻止する。なお、既述のとおり、気体A1の温度は環境温度が容器内温度上限以下とする。また、もしくは、計量機構Mvf内に供給される気体A1の湿度はできるだけ低く設定する。これらにより、計量機構Mvf内や原料供給路Cms内に残留する原料固形物msが塩素ガスの発生源になる危険や、発生した塩素ガスが水分を含んで強い腐食性を呈し、刺激臭の原因となる危険を低減することができる。
(2)改良例2
図39は、ホッパー部S[hp]の改良例2の説明図である。この改良例2では、気体A2を、供給口Din側から計量機構Mvf内に供給し、排出口Doutから原料供給路Cmsに移動させ、原料供給路Cmsを通じて溶解製造部S[pr]内に流入させることにより、真水wsに由来する水分のホッパー部S[hp]への侵入を阻止する。改良例1の場合、気体A2の供給量を増やすと、排出口Doutから原料供給路Cmsに移動せずに計量機構Mvf内に留まる流れが形成され、計量機構Mvf内に残留する原料固形物msが増えるおそれがある。これに対し、気体A2を供給すれば、供給口Din の側から排出口Doutの側への気体の流れが形成されるので、計量機構Mvf内に残留する原料固形物msの量の増加を抑制又は防止することができる。
改良例2では、更に、気体A3を、原料供給路Cmsに供給し、原料供給路Cmsを通じて、溶解製造部S[pr]内に流入させることにより、真水wsに由来する水分のホッパー部S[hp]への侵入を阻止する。
真水wsに由来する水分をホッパーH内に到達させない又は到達し難くさせるためには、気体A2及び気体A3のうち少なくとも一方の供給を行えばよい。
気体A2及び気体A3の代表例は、除湿された空気である。気体A2及び気体A3の各温度は環境温度が容器内温度上限以下とする。また、望ましくは、計量機構Mvf内に供給される気体A1の湿度はできるだけ低く設定する。これらにより、計量機構Mvf内や原料供給路Cms内に残留する原料固形物msが塩素ガスの発生源になる危険を低減することができる。
(3)改良例3
(3−1) 図40は、ホッパー部S[hp]の改良例3の説明図であり、図40(a)はその正面図であり、図40(b)はその側面図である。この改良例3では、原料供給路Cmsの途中又は溶解製造部S[pr]側の先端にバルブVblを設け、ホッパー部S[hp]から溶解製造部S[pr]への原料固形物ms(ms*)の装入を停止しているときは、バルブVblを閉状態にして、真水wsに由来する水分のホッパー部S[hp]への侵入を阻止する。バルブVblの代表例は、締切性能が非常に高いことで知られているボールバルブである。水処理装置Dの自動化の程度を高めるのであれば、電動ボールバルブの採用が好ましい。
(3−2) 図40(c)及び図40(d)は、それぞれ、図40(a)(b)に示されているホッパー部S[hp]の改良例3の派生例1及び派生例2の説明図であり、いずれも側面図である。改良例3の派生例1では、気体A4をバルブVblの側面から原料供給路Cmsに供給し、原料供給路Cmsを通じて溶解製造部S[pr]内に流入させることにより、真水wsに由来する水分のホッパー部S[hp]への侵入を阻止する。改良例3の派生例2では、バルブVblを上蓋Ts1(又はTcs1)から離隔した位置に設置する場合において、気体A5を、バルブVblと上蓋Ts1(又はTcs1)との間の原料供給路Cmsに供給し、原料供給路Cmsを通じて溶解製造部S[pr]内に流入させることにより、真水wsに由来する水分のホッパー部S[hp]への侵入を阻止する。
真水wsに由来する水分をホッパーH内に到達させない又は到達し難くさせるためには、気体A4及び気体A5のうち少なくとも一方の供給を行えばよい。気体A4及び気体A5の代表例は、除湿された空気である。気体A4及び気体A5の各温度は容器内温度上限以下にする。
真水wsに由来する水分のホッパー部S[hp]への侵入を阻止するためには、上記の改良例1乃至3(改良例3の派生例1及び2を含む)のうち少なくとも一つを採用すればよいが、全部を同時に採用するのが望ましい。
<実施形態3>
バラスト水処理装置を搭載する船舶
図41は、バラスト水処理装置を搭載する船舶VSLの基本構成説明図であり、図42は、船舶VSLにおいて実行される殺菌処理の説明図であり、図43は、船舶VSLにおいて実行される還元処理の説明図である。
1.1)基本構成
図41に示されているとおり、船舶VSLは、取水口又はシーチェストITと、バラストポンプPmと、バラストタンクBTと、排水口DOとを備え、シーチェストIT、バラストポンプPm及びバラストタンクBTを連結し、取水口ITを通じて船外から取水した海水WoをバラストタンクBTに向かって流通させ、その途中で塩素系殺菌剤Asを注入して、塩素系殺菌剤Asが注入された海水Wsにして、バラストタンクBTに排出するバラスト水取水用配管経路Lfと、バラストタンクBT、バラストポンプPm及び排水口DOを連結し、バラストタンクBTから取水したバラスト水Wtを排水口DOに向かって流通させ、排水口DOを通じて船外へ排出するバラスト水排水用配管経路Lrと、バラスト水取水用配管経路Lfを流通する海水Woをろ過するフィルタ装置Fと、フィルタ装置Fの下流においてバラスト水取水用配管経路Lfに塩素系殺菌剤Asを注入する殺菌剤注入口Isを具備する殺菌剤供給装置Dを備えている。
船舶VSLは、更に、バラスト水排水用配管経路Lrに還元剤Anを注入する還元剤注入口Inを具備する還元剤供給装置Nを備えており、バラスト水排水用配管経路Lrの途中でバラストタンクBTから取水したバラスト水Wtに還元剤Anを注入して、バラスト水Wtに残留している殺菌剤Asの影響を低減させ、バラスト水Wtを船外への排水が許容されるバラスト水Wnにし、そのバラスト水Wnを排水口DOから船外へ排出することを可能にしている。バラストポンプPmの吐出側には、通常、ポンプの停止、故障等の異常時に起こり得る逆流を防止するための逆止弁Vcmが設置してある。
バラスト水取水用配管経路Lfは、図42中で太字により描写されているIT→Qa→Pm→Vcm→Qb→F→Qc→Is→Mxc→Qe→BTの配管経路であり、殺菌剤注入口Isの下流、バラストタンクBTの上流に、船外から取水した海水Woと塩素系殺菌剤Asとの混合を促進するためのミキサーMxsを備えている。バラスト水排水用配管経路Lrは、図43中で太字により描写されている、BT→Qa→Pm→Vcm→Qb→Qd→Qc→In→Mxc→Qe→DOの配管経路である。
バラストポンプPm、図示されていない複数個のバルブ、殺菌剤供給装置D、還元剤供給装置Nなどの機器・装置等の操作や調整は、当該操作や調整の一部又は全部を手動で行う場合を除き、制御装置PLC又は、図示されていないその他の制御装置に予めインストールしてある制御プログラムに従って自動で行われる。たとえば、バラスト水取水用配管経路Lf及びバラスト水排水用配管経路Lrのうちのいずれか一つを選択するための複数個の開閉バルブの開閉の設定、設定した配管経路から他の配管経路への変更ならびにバラストポンプPmの運転モードの切り換え、ならびに殺菌剤供給装置D及び還元剤供給装置Nのそれぞれの動作及び停止の切り換えは、当該設定、変更及び切り換えの操作の一部又は全部を手動で行う場合を除き、制御装置PLCに予めインストールしてある制御プログラムに従って自動で行われる。
制御装置PLCは、バラスト水取水用配管経路Lf及びバラスト水排水用配管経路Lrのうちのいずれか又はすべてに取り付けてある計測機器の出力Smを受信し、記録し、監視し、その出力Smに基づき、他のいずれかの機器・装置等を制御するための制御信号Saを生成し、その機器・装置等に向けて発信する機能を有する監視制御装置であってもよい。出力Smは、たとえば流量計の出力F(i)、TRO計測装置の出力Sn(j)及び温度計の出力T(k)であり、図示されていないその他の計測装置の出力であってもよい。制御信号Saは、たとえば図示されていないバルブの開閉や開度を変更するためのモータの制御信号V(l)、バラストポンプPmを初めとするポンプ装置を駆動するモータの制御信号P(m)ならびに温度調節装置CL1、CL2、CL3、…の動作を制御するための制御信号C(n)であり、その他の機器・装置類の動作を制御する信号であってもよい。機器・装置類の動作を計測装置の出力に基づき直接制御する場合には、制御装置PLCによる当該動作の制御は行われない。
1.2)殺菌処理及び還元処理
バラスト水処理のうち殺菌処理とは、バラスト水取水用配管経路Lfを流通する海水Woに対して、当該海水WoがバラストタンクBTに収容される前に、殺菌剤供給装置Dから塩素系殺菌剤Asを殺菌剤注入口Isから注入する処理をいい、殺菌された海水Wsとして当該海水WoをバラストタンクBTに収容させることを可能にするものである。
バラスト水処理のうち還元処理とは、バラスト水排水用配管経路Lrを流通する、バラストタンクBTから取り出された海水Wtに対して、当該海水Wtが船外に排水される前に、還元剤供給装置Nから還元剤Anを注入する還元剤注入口Inから注入することにより、当該Wt中に残留している、塩素系殺菌剤Asに由来する遊離有効塩素を還元し、当該海水Wtを船外排水が許される水準に至るまで無害化する処理をいう。海水Wtは、還元処理により、無害化された海水Wnとして船外へ排水することができるようになる。
なお、バラスト水処理において殺菌処理は不可欠であるが、還元処理は不可欠とまではいえない。海水Wt中の塩素系殺菌剤Asに由来する遊離有効塩素が十分少なく、海水Wtが既に船外排水が許される水準に達している場合には、海水Wtに対して還元剤を加える必要はなく、従って還元処理を実行する必要はない。
1.3)バラスト水処理装置
バラスト水処理装置は、船舶VSLに搭載されることにより、図41に示されている船舶VSLの基本構成を実現し、且つ、図42及び図43にそれぞれ示されている殺菌処理及び還元処理を実行する装置であり、具体的には、フィルタ装置F、殺菌剤供給装置D、還元剤供給装置N、ミキサーMxc、ならびに位置Qbとフィルタ装置Fとを接続する配管経路及びフィルタ装置Fと位置Qcとを接続する配管経路がバラスト水処理装置を構成する要素とする装置である。本発明に係る水処理装置は、バラストタンクBTを具備する船舶VSLの外部から当該バラストタンクBTに向かって移動する海水Woに塩素系殺菌剤Asを注入することにより殺菌処理を施す装置、つまり殺菌剤供給装置Dにほかならない。
1.4)実施例
貨物船VSLが第一の港から空荷で出港する際、第一の港で海水WoをバラストタンクBTに積み込み、貨物を積載する第二の港でバラストタンクBTから海水Wtを船外へ排出し、その後貨物を積載して第一の港に戻る。そして貨物を荷卸しした第一の港から再び空荷で、第二の港に向かって出航する際、第一の港で海水WoをバラストタンクBTに積み込む場合、まず、第一の港において、船内に海水Woを取水し、バラスト水出用配管経路Lfに流通させる際に、本発明に係る水処理装置を殺菌剤供給装置Dとして用いて塩素系殺菌剤Asを殺菌剤注入口Isから、流通する海水Woに注入する。これにより、海水Woに対して殺菌処理を施し、塩素系殺菌剤Asが注入された海水Wo(つまり海水Ws)をバラストタンクBTに収容させる。その後、貨物船VSLは、第一の港を出港し、航行し、貨物を搭載するために第二の港に向かう。
次に、第二の港において、バラストタンクBTから海水Wtを船外へ排出させるために、バラスト水排水用配管経路Lrに流通させる際に、海水Wt中に残留している遊離有効塩素濃度が排水許容レベルより高いときは、還元剤供給装置Nを用いて還元剤Anを還元剤注入口Inから、流通する海水Wtに注入し、これにより海水Wtに還元処理を施し、無害化された海水Wt(つまり海水Wn)を船外へ排水する。海水Wt中に残留している遊離有効塩素濃度が排水許容レベル以下であるときは、還元剤供給装置Nを用いて還元剤Anを注入することなく、海水Wtをそのまま船外へ排水する。その後、貨物船VSLは、貨物を積載して第二の港を出港し、航行し、貨物を荷卸しするために第一の港に向かう。
第一の港で荷卸しを終えると、貨物船VSLは空荷状態になる。それ故、貨物船VSLが、再び、第一の港から空荷で出港する際は、最初のとおり、本発明に係る水処理装置を殺菌剤供給装置Dとして用いて、海水Woに対して殺菌処理を施し、塩素系殺菌剤Asが注入された海水Wo(つまり海水Ws)をバラストタンクBTに収容させる。
本発明に係る水処理装置を殺菌剤供給装置Dとして用いる殺菌処理の実行例は、図6及び図9にそれぞれ示されている、本発明に係る水処理方法の実施例2及び実施例5である。
図6及び図9中に示されている期間Paは、第一の港における殺菌処理のために第二段階S2を実行した後、出港先の第二の港から第一の港に戻ってきた後に、第一の港において再度の殺菌処理を開始するまでの期間に概ね等しい。期間Pa*についても同様のことがいえる。
図6及び図9中に示されている期間Pbは、第一の港における殺菌処理のために第二段階S3を実行した後、出港先の第二の港から第一の港に戻ってきた後に、第一の港において再度の殺菌処理を開始するまでの期間に概ね等しい。期間Pb*についても同様のことがいえる。
本発明の技術的範囲は、均等の範囲にまで及ぶものである。本明細書における各用語の意味又は解釈は、本発明の技術的範囲が均等の範囲にまで及ぶことを妨げるものではない。
S0…準備段階、S1…第一段階、S2…第二段階、S3…第三段階、S12…温度設定工程、H…一時的貯蔵用容器(ホッパー)、ms…原料固形物、ws…真水、Cs…混合物、As…塩素系殺菌剤、Wo…殺菌剤注入前の水、Ws…殺菌剤注入後の水、船舶(貨物船)…VSL、D, D1, D2…水処理装置(殺菌剤供給装置)、N…還元剤供給装置、Mxs, Mxc…ミキサー、F…フィルタ装置、Lf…バラスト水取水用配管経路、Lr…バラスト水排水用配管経路、Ls…殺菌剤配管経路、Pm…バラストポンプ、BT…バラストタンク、S[pr]…溶液製造部、S[hp]…ホッパー部、S[ws]…水供給部、 S[is]…殺菌剤注入部、S[mx]…混合部、S[st]…溶解促進部

Claims (33)

  1. 船舶のバラストに用いる水を船外から導入し、その水を当該船舶が具備するバラストタンクに向かって移動させる過程で殺菌する水処理方法であって、
    塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物と該固形物を一時的に貯蔵するための一時的貯蔵用容器を用意する準備段階と、
    前記固形物を前記一時的貯蔵用容器内に装入する工程を有する第一段階と、
    前記一時的貯蔵用容器内から取り出された前記固形物を真水と混合し、撹拌することにより、塩素系殺菌剤を製造する工程を有する第二段階と、
    船舶のバラストに用いる水として船外から導入した水に前記塩素系殺菌剤を注入する工程を有する第三段階と、を有するとともに、
    前記第一段階は、前記一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定する工程を有する、
    ことを特徴とする水処理方法。
  2. 前記第一段階は、前記一時的貯蔵用容器が設置されている場所の温度が摂氏39度未満であるとき、前記一時的貯蔵用容器内の温度を、前記一時的貯蔵用容器が設置されている場所の温度以上に設定する工程を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の水処理方法。
  3. 前記第一段階は、前記固形物を前記一時的貯蔵用容器内に装入している間のみならず、装入前及び/又は装入後も前記一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定する工程を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の水処理方法。
  4. 前記固形物と混合される前の前記真水の温度は、摂氏5度以上、摂氏39度以下の範囲内に予め設定されている、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水処理方法。
  5. 前記第二段階は、摂氏5度以上、摂氏39度以下の温度範囲内で前記固形物を前記真水と混合する工程を有する、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の水処理方法。
  6. 前記第二段階は、前記固形物を前記真水に溶解させてできる塩素系殺菌剤の温度を摂氏39度以下の温度範囲内に設定する工程を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の水処理方法。
  7. 前記一時的貯蔵用容器が設置されている場所の温度が、摂氏39度以下に予め設定されている基準温度を超えたとき、前記一時的貯蔵用容器内の温度を下げる工程を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の水処理方法。
  8. 前記一時的貯蔵用容器が設置されている場所の温度が、摂氏0度以上に予め設定されている基準温度を下回ったとき、前記一時的貯蔵用容器内の温度を上げる工程を有する、ことを特徴とする請求項2に記載の水処理方法。
  9. 前記塩素系殺菌剤の温度が、摂氏39度以下に予め設定されている基準温度を超えたとき、前記一時的貯蔵用容器内の温度及び/又は前記固形物と混合される前の前記真水の温度を下げる工程を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の水処理方法。
  10. 前記第一段階は、前記第二段階の実行中及び実行後少なくとも一定期間、前記一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定する工程を有する、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の水処理方法。
  11. 前記第一段階は、前記第三段階の実行中及び実行後少なくとも一定期間、前記一時的貯蔵用容器内の温度を摂氏39度以下に設定する工程を有する、ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の水処理方法。
  12. 前記第一段階は、前記固形物を前記一時的貯蔵用容器に補給する工程を有する、ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の水処理方法。
  13. 船舶のバラストに用いる水として船外から導入された水に殺菌剤を注入するために、当該船舶に搭載される水処理装置であって、
    塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物と真水を混合し撹拌することにより、塩素系殺菌剤を製造する溶液製造部と、前記固形物を一時的に貯蔵し、前記溶液製造部に供給するホッパーと、前記真水を前記溶液製造部に供給する水供給部と、船舶のバラストに用いる水として船外から導入された水に前記塩素系殺菌剤を注入する殺菌剤注入部を備えており、
    前記ホッパー内の温度は摂氏39度以下に設定されている、
    ことを特徴とする水処理装置。
  14. 前記ホッパー内の前記固形物を前記溶液製造部に供給する原料供給機を更に備えており、前記原料供給機は、前記ホッパー内の前記固形物を少量又は所定量に小分けにするための計量機構と該計量機構を駆動する駆動機構を具備しており、前記計量機構内の温度は摂氏39度以下に設定されている、ことを特徴とする請求項13に記載の水処理装置。
  15. 前記ホッパー内から前記溶液製造部に供給される前記固形物の移動経路内の温度は、摂氏39度以下に設定されている、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の水処理装置。
  16. 前記真水の温度は、摂氏5度以上、摂氏39度以下の範囲内に予め設定されている、ことを特徴とする請求項13乃至15のいずれか1項に記載の水処理装置。
  17. 前記溶液製造部は、摂氏5度以上、摂氏39度以下の温度範囲内で前記固形物を前記真水と混合するように構成されている、ことを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載の水処理装置。
  18. 前記溶液製造部は、前記固形物を前記真水と混合し、攪拌し、前記真水に溶解させるためのタンクを備えており、前記タンク内の温度は、摂氏5度以上、摂氏39度以下の範囲内に設定されている、ことを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載の水処理装置。
  19. 前記溶液製造部は、前記固形物を前記真水と混合する混合部と、該混合部の下流に配置し、前記固形物の前記真水への溶解を促進する溶解促進部とを具備しており、
    前記溶解促進部は、前記固形物と前記真水の混合物及び/又は前記塩素系殺菌剤が移動し循環する循環配管経路を具備しており、
    前記循環配管経路は、ポンプと、該ポンプの出側と接続する第一の配管経路と、該第一の配管経路の出側と接続する固液分離装置と、該固液分離装置と前記ポンプの入側とを接続する第二の配管経路と、該第二の配管経路と前記混合部とが接続する接続部とを具備しており、
    前記殺菌剤注入部は、前記固液分離装置が排出する前記塩素系殺菌剤を、船舶のバラストに用いる水として船外から導入された水に注入するように構成されており、
    前記固液分離装置が排出する前記塩素系殺菌剤の温度又は前記固液分離装置内の温度が、摂氏5度以上、摂氏39度以下になるように、前記水供給部における前記真水の温度が設定されている、
    ことを特徴とする請求項13乃至16のいずれか1項に記載の水処理装置。
  20. 前記ホッパーが設置されている場所の温度が、摂氏39度以下に予め設定されている基準温度を超えたとき、前記ホッパー内の温度が下がるように構成されている、ことを特徴とする請求項13及至15のいずれか1項に記載の水処理装置。
  21. 前記ホッパーが設置されている場所の温度が、摂氏0度以上に予め設定されている基準温度を下回ったとき、前記真水の温度が上がるように構成されている、ことを特徴とする請求項16に記載の水処理装置。
  22. 前記固液分離装置が排出する前記塩素系殺菌剤の温度又は前記固液分離装置内の温度が、摂氏39度以下に予め設定されている基準温度を超えたとき、前記水供給部における前記真水の温度及び/又は前記ホッパー内の温度が下がるように構成されている、ことを特徴とする請求項19に記載の水処理装置。
  23. 前記溶液製造部における前記塩素系殺菌剤の製造中及びその製造終了後少なくとも一定期間、前記ホッパー内の温度が摂氏39度以下に設定されている、ことを特徴とする請求項13及至15のいずれか1項に記載の水処理装置。
  24. 前記殺菌剤注入部における前記船舶のバラストに用いる水として導入された水への前記塩素系殺菌剤の注入中及びその注入の終了後少なくとも一定期間、前記ホッパー内の温度が摂氏39度以下になるように設定されている、ことを特徴とする請求項13及至15のいずれか1項に記載の水処理装置。
  25. 前記ホッパーの周囲を冷却又は加熱する温度調節装置を備えている、ことを特徴とする請求項13及至15のいずれか1項に記載の水処理装置。
  26. 前記温度調節装置は、前記ホッパーが設置されている場所の空気調和を行うための空気調和装置を更に備えている、ことを特徴とする請求項25に記載の水処理装置。
  27. 前記ホッパーの周囲に断熱材が取り付けられている、ことを特徴とする請求項13及至15のいずれか1項に記載の水処理装置。
  28. 前記溶解製造部は、断熱材により囲われた空間内に設置されている、ことを特徴とする請求項17乃至19のいずれか1項に記載の水処理装置。
  29. 前記殺菌剤注入部における前記船舶のバラストに用いる水として導入された水への前記塩素系殺菌剤の注入の終了前に前記塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物と前記真水の混合物と接触していた前記溶液製造部の表面の少なくとも一部が、その注入中及びその注入の終了後あるいはその注入の終了後、前記水供給部から供給される前記真水と接触するように構成されている、ことを特徴とする請求項13及至15のいずれか1項に記載の水処理装置。
  30. 前記殺菌剤注入部における前記船舶のバラストに用いる水として導入された水への注入に使用されずに残留した前記塩素系殺菌剤又は前記塩素系殺菌剤の製造に使用されずに残留した、前記塩素化イソシアヌル酸化合物の固形物と前記真水の混合物を、貯蔵する残留物貯蔵用タンクを更に備えている、ことを特徴とする請求項13及至15のいずれか1項に記載の水処理装置。
  31. 前記ホッパー内から前記溶液製造部に供給される前記固形物の移動経路内に、前記固形物の移動方向に沿って移動する気体を供給する気体供給装置を備えている、ことを特徴とする特徴とする請求項13及至15のいずれか1項に記載の水処理装置。
  32. 前記ホッパーから溶液製造部に原料固形物が供給されていないとき、前記ホッパー内から前記溶液製造部に供給される前記固形物の移動経路を遮断する機構を備えている、ことを特徴とする請求項13及至15のいずれか1項に記載の水処理装置。
  33. 前記ホッパーは、少なくとも、その胴体側面を複数個の断熱パネルで囲われている、ことを特徴とする請求項13及至15のいずれか1項に記載の水処理装置。
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