JP6221612B2 - 顔料分散剤、顔料組成物、重合性組成物および変性顔料 - Google Patents

顔料分散剤、顔料組成物、重合性組成物および変性顔料 Download PDF

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Description

本発明は、ペリレン骨格を有し、有機顔料やカーボンブラック等の無機顔料に対しても分散安定性に優れる重合可能な顔料分散剤、これを含む顔料組成物、重合性組成物および変性顔料に関する。
一般に顔料は、塗料やインキビヒクル中で分散されると、凝集を生じて流動性を悪化させ、他の顔料との混合時の色分れ、塗面光沢の低下等、各種の好ましくない現象を生じることが多い。このような顔料の欠陥を改良し安定な分散性を付与するために、界面活性剤や樹脂型分散剤、金属石けん、各種樹脂などによる顔料の表面処理や、顔料誘導体(シナジスト及びシナージストともいう)の利用などが提案されている。
この中で顔料誘導体とは、顔料または顔料と類似する化学構造の化合物に、塗料やインキビヒクル等の媒体への親和性を有する官能基を導入した化合物であり、顔料分散剤として使用される化合物の総称である。知られた例としては、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、インジゴ顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、ジケトピロロピロール顔料等の縮合多環系顔料やアゾ系顔料に、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、アルキルアミノ基、フタルイミド基等を導入した顔料誘導体がある。
(以下本発明においては、顔料を分散させる目的で顔料または顔料と類似する化学構造の化合物に、塗料やインキビヒクル等の媒体への親和性を有する官能基を導入した化合物を、単に顔料分散剤と称する場合がある。)
顔料のうちペリレン顔料やジケトピロロピロール顔料等の有機顔料は、ペリレン骨格にスルホン酸基等を導入した顔料誘導体や(例えば特許文献1〜2参照)、ペリレン骨格にポリマーを導入した顔料分散剤により分散安定性を付与できることが知られている。
例えば特許文献3では、ペリレン骨格に、有利にバインダー又は溶剤に対する親和性を有する基として、立体安定化置換基と称する、アルキレンオキシドベースのポリマー、ポリエステルベースのポリマー、ポリアクリレートベースのポリマー、アルキルスルフィドベースのポリマー及びアルキル化合物ベースのポリマー等を反応させてなる顔料誘導体が記載されている。
また特許文献4では、有機顔料の結晶化調節剤として、ペリレン骨格の両末端にC1〜C18−アルキル、C5〜C7−シクロアルキル、アリール又はC1〜C6−アルコキシを有していてもよい顔料誘導体が記載されている。
また特許文献5では、幹鎖に、ペリレン系等の有機色素の部分骨格および/または複素環有機色素の部分骨格および/または複素環を含む繰り返し単位を有するグラフト共重合体を使用した顔料分散剤が知られている。
一方、無機顔料であるカーボンブラックは、塗料やインキ用途としては勿論、ブラックマトリックスやトナー、エレクトロウエッティング等の電子材料等、様々な分野で利用されている。カーボンブラックは一次凝集体が集まってなる二次凝集体を有することは有機顔料と同様であるが、カーボンブラックの一次粒子が集まってなる一次凝集体(ストラクチャー)を持つことが有機顔料とは異なる特徴である(例えば特許文献7,8参照)。このように有機顔料とは異なり、ストラクチャーを有するため、分散体の着色性やレオロジー適正等を向上するためにカーボンブラックの分散を改善する様々な方法が検討されている。
前記カーボンブラックの分散安定性を改善する目的でも、顔料誘導体は使用されている。例えば特許文献6では、フタロシアニン系顔料、キクリドン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、インジゴ系、ジオキサジン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、ジケトピロロピロール系等の縮合多環系顔料及びアゾ系顔料に、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、アルキルアミノ基、フタルイミド基等を導入した顔料誘導体が使用し、被覆カーボンブラック粒子の粒子表面に顔料誘導体及び/又は有機顔料が存在する黒色複合粒子粉末からなるブラックマトリックス用黒色着色材料が開示されている。
しかし特許文献6はブラックマトリックスに関する発明であり、バインダーとしてアルカリ現像液に可溶な酸性基を有する樹脂を使用している。即ち分散媒として酸性基を有する樹脂に、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基、アルキルアミノ基、フタルイミド基等を導入した顔料誘導体が効果を発揮することが記載されているが、その他の分散媒についてはなんら記載がない。
更に、前述の特許文献1〜5に記載の顔料誘導体や顔料分散体は、いずれも有機顔料の分散性を目的としたものであり、カーボンブラック等の無機顔料の想定はなされていなかった。また前述の特許文献1〜6に記載の顔料誘導体や顔料分散体は、分散媒が極性溶媒または非極性溶媒のいずれかを想定しており、極性溶媒と非極性溶媒のいずれであって容易な分散が可能となる方法については記載されていない。
このように、カーボンブラック等の無機顔料について、分散媒が極性溶媒と非極性溶媒のいずれであっても容易に分散することが可能であり、長期的に安定な顔料分散体を得る方法については、いまだ満足のいくものが得られていないのが現状である。
特開平1−217076号公報 特開2000−297224号公報 特開2004−285326号公報 特表2004−502647号公報 特開2003−26950号公報 特開2006−126387号公報 特開2005−120353号公報 特開2008−282803号公報
本発明の課題は、有機顔料やカーボンブラック等の分散安定性に乏しい顔料であっても容易に分散することが可能であり、様々な分散媒への親和性が高く、長期的に安定な顔料分散体を得ることができる顔料分散剤及びそれを使用した顔料分散組成物を提供することにある。
本発明者らは、ペリレン骨格に、重合性官能基、及び分散媒に親和性を有する基を導入することで、前記課題を解決することを見出した。
本発明者らは、顔料骨格の中で、特にペリレン骨格が有機顔料やカーボンブラックとの親和性に優れることを見出した。更にペリレン骨格の特定の位置にそれぞれ重合性官能基、及び分散媒に親和性を有するポリマー鎖を導入することで、カーボンブラック等を始め各種顔料が良好に分散できることを見出した。
即ち本発明は、一般式(1)で表される顔料分散剤を提供する。
Figure 0006221612
(1)
(一般式(1)中、Aは(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、マレイミド基、エポキシ基、アセチレン基、及びチオール基からなる群から選ばれる重合性官能基を表し、
及びRは各々独立して単結合、炭素原子数1〜16の2価の炭化水素基(但し該炭化水素基は置換基を有していてもよく、分岐あるいは環構造を形成してもよく、また途中にエーテル結合、エステル結合、フェニレン基を介してもよい)を表し、
は単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CONH−、−NHCO−、−N(R11)−、−N(R12)CON(R13)−、−N(R14)COO−、又は−OCON(R15)−を表し(但し前記R11〜R15は各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基を表す)、
〜R10は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族複素環基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、又はカルボキシル基を表し(ただしR〜R10は、それらの内の2つで互いに結合して飽和若しくは不飽和の5員環又は6員環を形成してもよい)、
Bは、ビニル系ポリマー鎖、ポリシロキサン鎖、ロジン変性フェノール樹脂鎖、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリウレタン鎖、メラミン鎖、エポキシ鎖、ポリシラン鎖、ポリカーボネート鎖、ポリイミド鎖、ポリウレア鎖、ポリペプチド鎖からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー鎖を表す。)
また本発明は、前記一般式(1)で表される顔料分散剤、顔料、及び液媒体を含有する顔料組成物を提供する。
また本発明は、一般式(1)で表される顔料分散剤、顔料、及び液媒体を含有する重合性組成物を提供する。
また本発明は、一般式(1)で表される顔料分散剤、顔料、及び液媒体を含有する重合性組成物を硬化してなる硬化物を提供する。
また本発明は、顔料表面に請求項1〜3のいずれかに記載の一般式(1)で表される顔料分散剤の重合皮膜を有する事を特徴とする変性顔料を提供する。
本発明により、有機顔料やカーボンブラック等の分散安定性に乏しい顔料であっても容易に分散することが可能であり、様々な分散媒への親和性が高く、長期的に安定な顔料分散体を得ることができる。
例えば分散媒が非極性溶媒であった場合、極性の低いポリマー鎖を導入することで、非極性溶媒に対する分散安定性の高い顔料分散体を得ることができる。また分散媒が極性溶媒であった場合には、極性の高いポリマー鎖を導入することで、極性溶媒に対する分散安定性の高い顔料分散体を得ることができる。
更に有機顔料やカーボンブラック等の様々な顔料に対し、顔料を分散させる目的として顔料への親和性の高いペリレン骨格を導入しているため、顔料表面からの顔料分散剤の脱離を抑制し、長期的に分散安定性の高い顔料分散体を得ることができる。
更にペリレン骨格には、前記ポリマー鎖とはペリレン骨格を挟んで反対側の位置に重合性官能基が導入されている。従って、親和性の高いペリレン骨格が顔料に吸着したとき、重合性官能基は顔料表面近傍に存在することとなる。そのため本発明の顔料分散剤と顔料とを共存させた状態で重合させたとき、顔料表面で重合反応が進行するので、顔料表面に強固に重合皮膜を作成することが可能であると推定する。この時ポリマー鎖は前述の通り重合性官能基とはペリレン骨格を挟んで反対側の位置に導入されているため、分散媒への親和性や長期的な安定性を維持することができると推定される。
従って、本発明の顔料分散剤を使用した重合性組成物は、顔料と顔料分散剤の親和性に優れるうえ顔料表面に近い箇所での重合反応が進むため、塗膜から顔料等の溶出の少ない重合膜を得ることが可能となる。また、本発明の顔料分散剤を使用して得た変性顔料は、分散媒との親和性が維持されているので、分散媒との親和性に優れ且つ堅牢で分散安定性に優れる。
(一般式(1)で表される顔料分散剤)
本発明の一般式(1)においてAは重合性官能基を表す。重合性官能基としては、熱または活性エネルギー線により重合可能な官能基であれば特に限定はなく、具体的には(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチレン基等のビニル基、ビニルオキシ基、マレイミド基、エポキシ基、アセチレン基、チオール基等があげられる。中でも、反応の容易さから、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、エポキシ基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基が最も好ましい。これらの構造は、具体的には、下記一般式で示される。
Figure 0006221612

上記式において、(A−1)はアクリロイルオキシ基を表し、(A−2)はメタクリロイルオキシ基を表し、(A−3)はアクリルアミド基を表し、(A−4)はメタクリルアミド基を表し、(A−5)はビニル基を表し、(A−6)はビニルオキシ基を表し、(A−7)はアセチレン基を表し、(A−8)はチオール基を表し、(A−9)はマレイミド基を表し、(A−10)はエポキシ基を表す。
前記一般式(1)において、R及びRは各々独立して単結合、炭素原子数1〜16の2価の炭化水素基(但し該炭化水素基は置換基を有していてもよく、分岐あるいは環構造を形成してもよく、また途中にエーテル結合、エステル結合、フェニレン基を介してもよい)を表す。
炭素原子数1〜16の2価の炭化水素基(但し該炭化水素基は置換基を有していてもよく、分岐あるいは環構造を形成してもよく、また途中にエーテル結合、エステル結合、フェニレン基を介してもよい)は、具体的には、炭素原子数1〜16の直鎖状アルキレン基、炭素原子数1〜16の分岐状アルキレン基、置換基等を有していてもよいp−フェニレン基等のフェニレン基等が挙げられる。これらは途中にエーテル結合や、エステル結合を介したり、ポリエーテル構造や、ポリエステル構造であってもよい。
好ましくは、炭素原子数1〜10のアルキレン基や、炭素原子数3〜12の分岐状アルキレン基等が、挙げられる。
また、置換基としては、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基や、アミノ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。
前記一般式(1)において、Xは単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CONH−、−NHCO−、−N(R11)−、−N(R12)CON(R13)−、−N(R14)COO−、又は−OCON(R15)−を表す(但し前記R11〜R15は各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基を表す)。
中でも、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CONH−、−NHCO−が好ましく、−O−、−CO−、−CO−O−、−CONH−が最も好ましい。
前記一般式(1)において、R〜R10は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族複素環基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、又はカルボキシル基を表す。ただしR〜R10は、それらの内の2つで互いに結合して飽和若しくは不飽和の5員環又は6員環を形成してもよい。
中でも、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換の脂肪族炭化水素基が好ましい。
前記一般式(1)において、Bは、ビニル系ポリマー鎖、ポリシロキサン鎖、ロジン変性フェノール樹脂鎖、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリウレタン鎖、メラミン鎖、エポキシ鎖、ポリシラン鎖、ポリカーボネート鎖、ポリイミド鎖、ポリウレア鎖、ポリペプチド鎖からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー鎖を表す。
例えばビニル系ポリマー鎖は、各種公知のビニル系モノマーを重合または共重合させたポリマー鎖である。
ビニル系モノマーとして具体的には、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等の脂肪族ビニル系炭化水素や、シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン等;テルペン類、例えばピネン、リモネン、インデン等の脂環式ビニル系炭化水素や、スチレンおよびそのハイドロカルビル(アルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体、例えばα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル系炭化水素や、
酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメタクリレート、メチル4−ビニルベンゾエート、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アミル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、ノニル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロヘキシル、ベンジル、メトキシエチル、ブトキシエチル、フェノキシエチル、ノニルフェノキシエチル、グリシジル、アミノメチル、ジメチルアミノエチル、ジエチルアミノエチル、イソボルニル、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、ジシクロペンテニロキシエチル等の置換基を有する(メタ)アクリレート等のビニルエステルや、
各種官能基を有するビニル系モノマー、例えば(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、フマル酸モノアルキルエステル、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノアルキルエステル、イタコン酸グリコールモノエーテル、シトラコン酸、シトラコン酸モノアルキルエステル、桂皮酸等のカルボキシル基含有ビニル系モノマーやビニルスルホン酸等のスルホン基含有ビニル系モノマー、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール等のヒドロキシル基含有ビニル系モノマー、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4ービニルピリジン、2ービニルピリジン等、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチルN−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアクリレート等の含窒素ビニル系モノマー、塩化ビニル等を使用することができる。
これらのビニル系モノマーは、公知の重合方法、例えばラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、またはリビングラジカル重合、リビングカチオン重合、リビングアニオン重合等を適用することができる。またこれのビニル系モノマーは、単独重合であっても共重合であってもよい。
例えば、前記エチレンやプロピレン等の脂肪族ビニル系炭化水素を単独もしくは共重合させたポリアルキレン鎖や、ブタジエンを単独もしくは共重合させたブタジエン樹脂鎖や、前記(メタ)アクリレートを単独もしくは共重合させた(メタ)アクリレート樹脂鎖や、前記(メタ)アクリレートと前記スチレン等の芳香族ビニル系炭化水素を共重合させたスチレン−(メタ)アクリレート樹脂鎖や、前記スチレン等の芳香族ビニル系炭化水素と前記酢酸ビニルを共重合させたスチレン−酢酸ビニル樹脂鎖や、塩化ビニルを単独もしくは共重合させたポリ塩化ビニル樹脂鎖、等が好ましく使用できる。
また、ポリシロキサン鎖としては、鎖状のポリシロキサン鎖は、環状シロキサンの塩基又は酸によるアニオン開環重合又はカチオン開環重合により、環状シロキサン鎖は、環状三量体及び環状四量体をモノマーに使用した共重合により、ジクロロシランやジアルコキシシランの加水分解又は重縮合により得られる、ジメチルポリシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサン、メチルヒドロゲンポリシロキサン等があげられる。
また、ロジン変性フェノール樹脂鎖としては、ロジン、n−アルキルフェノール及びパラホルムアルデヒドの合成から得られる、オフセット印刷用インキや塗料用インク等の印刷インキに一般的に使用されるロジン変性フェノール樹脂があげられる。
また、ポリエステル鎖としては、例えばエチレングリコールやプロピレングリコール等のジオールとテレフタル酸ジメチルエステル等のジアミン類のエステル交換反応によって得られるポリエチレンテレフタラート鎖やポリプロピレンテレフタラート鎖や、ビスフェノールA等のビスフェノールと、m−フタル酸ジクロライド等のカルボン酸ジクロライドの縮合反応によって得られるポリアリレート鎖等があげられる。
またポリエステルであるアルキッド樹脂鎖も好ましく使用できる。アルキッド樹脂鎖としては、例えば無水フタル酸、グリセリン等を加熱溶融させて脱水反応を行いながら進める方法や、油脂とグリセリン及び無水フタル酸を2段階のエステル化反応を進める方法等から得られる、オフセット印刷用インキや塗料用インク等の印刷インキに一般的に使用される鉱物油変性アルキッド樹脂や植物油変性アルキッド樹脂等があげられる。
また、ポリエーテル鎖としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロロヒドリン、トリオキサン、オキセタン等の開環重合により得られるポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール、ポリエピクロロヒドリン、ポリオキシメチレン、ポリオキセタン等があげられる。
また、ポリウレタン鎖としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネートと、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクタンポリオール等のポリオールの縮合反応で得られる、ポリ炭酸エステル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン、ポリラクトン系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタンがあげられる。
また、メラミン鎖としては、メラミンとホルムアルデヒドを加熱混合して得られるメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチレン化反応やジメチレンエーテル化反応等の付加縮合反応で得られるメラミン鎖があげられる。
また、エポキシ鎖としては、ビスフェノールAとエピクロリドンの付加縮合反応や、前記反応を経て得られたクレゾール型ノボラック樹脂とエピクロリドンの付加縮合反応で得られるエポキシ鎖があげられる。
このほか、ポリシラン鎖、ポリカーボネート鎖、ポリイミド鎖、ポリウレア鎖、ポリペプチド鎖等も、公知のものを使用することができる。
前記一般式(1)で表される顔料分散剤として、具体的には、以下(I−1)〜(VII−6)の化合物があげられる。
Figure 0006221612
(I−1)
Figure 0006221612
(I−2)
Figure 0006221612
(I−3)
Figure 0006221612
(I−4)
Figure 0006221612
(I−5)
Figure 0006221612
(I−6)
Figure 0006221612
(II−1)
Figure 0006221612
(II−2)
Figure 0006221612
(II−3)
Figure 0006221612
(II−4)
Figure 0006221612
(II−5)
Figure 0006221612
(II−6)
Figure 0006221612
(III−1)
Figure 0006221612
(III−2)
Figure 0006221612
(III−3)
Figure 0006221612
(III−4)
Figure 0006221612
(III−5)
Figure 0006221612
(III−6)
Figure 0006221612
(IV−1)
Figure 0006221612
(IV−2)
Figure 0006221612
(IV−3)
Figure 0006221612
(IV−4)
Figure 0006221612
(IV−5)
Figure 0006221612
(IV−6)
Figure 0006221612
(V−1)
Figure 0006221612
(V−2)
Figure 0006221612
(V−3)
Figure 0006221612
(V−4)
Figure 0006221612
(V−5)
Figure 0006221612
(V−6)
Figure 0006221612
(VI−1)
Figure 0006221612
(VI−2)
Figure 0006221612
(VI−3)
Figure 0006221612
(VI−4)
Figure 0006221612
(VI−5)
Figure 0006221612
(VI−6)
Figure 0006221612
(VII−1)
Figure 0006221612
(VII−2)
Figure 0006221612
(VII−3)
Figure 0006221612
(VII−4)
Figure 0006221612
(VII−5)
Figure 0006221612
(VII−6)
Figure 0006221612
(VIII−1)
Figure 0006221612
(VIII−2)
Figure 0006221612
(IX−1)
Figure 0006221612
(IX−2)
本発明の、着色液体に使用される一般式(1)で表される化合物である顔料分散剤は、ペリレン骨格の片末端に重合性官能基、及びもう一方の片末端にポリマー鎖が導入されている。一般式(1)におけるBで表されるポリマー鎖は、着色液体に使用する溶媒に親和性を有するポリマー鎖を適宜選択することができる。該ポリマー鎖がペリレン骨格の片末端に導入されているので、ポリマー鎖と分散溶媒との親和性を低下させることなく、分散安定化に寄与させることができる。例えば、着色液体に使用する溶媒が直鎖状および/または分枝状または環状の炭素原子数4〜30のアルカン等の非極性溶媒の場合は、溶媒に親和性を有するポリマー鎖としてビニル系ポリマー鎖の中でもポリアルキレン鎖等が、着色液体に使用する溶媒がポリジメチルシロキサン、テトラフェニルテトラメチルトリシロキサン、ポリ(3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン)、3,5,7−トリフェニルノナメチルペンタシロキサン、3,5−ジフェニルオクタメチルテトラシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−1,3,3,5−テトラメチル−トリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン等の非極性溶媒の場合は、溶媒に親和性を有するポリマー鎖としてポリシロキサン鎖が、着色液体に使用する溶媒が水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール等の極性溶媒の場合は、溶媒に親和性を有するポリマー鎖としてポリエーテル鎖等好ましい。
ポリマー鎖とペリレン骨格との比率は、着色液体に使用する溶媒への溶解性と、顔料への吸着性とのバランスにより決定されるが、一般的には前記一般式(1)で表される顔料分散剤の全重量に対する前記Bの重量%が30.0〜99.5%の範囲内であればよく、好ましくは60.0%〜97.0%の範囲であればよく、より好ましくは70.0〜93.0%の範囲であればなおよい。
(一般式(1)で表される化合物の製造方法)
本発明における顔料分散剤として使用される一般式(1)で表される化合物は、公知の方法(例えば特許文献:特開昭56−139477、特開昭56−169691、特開昭61−238853、特開平11−286489、特開2000−297224等)に従い得ることができる。以下に具体例を挙げる。
(一般式(1)で表される化合物の製造方法1)
一般式(1)で表される化合物は、例えば、式(P1)
Figure 0006221612

(P1)
のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物と、式(P2)
Figure 0006221612

(P2)
の、重合性基Aとアミノ基が一分子中に含まれる化合物(Aは、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、スチレン基等のビニル基、ビニルオキシ基、マレイミド基、エポキシ基、アセチレン基、チオール基からなる群から選ばれる重合性官能基を表す)と、式(P3)
Figure 0006221612

(P3)
の、ポリマー(B)に直接アミンが導入されたポリマーアミン(Bは、ポリアルキレン鎖、ポリシロキサン鎖、ポリアクリレート鎖、ロジン変性フェノール樹脂鎖、アルキッド樹脂鎖、ポリエステル鎖、エポキシ鎖、メラミン鎖、ポリウレタン鎖、ポリエーテル鎖、ポリブタジエン鎖、ポリスチレン鎖、ポリスチレン−酢酸ビニル鎖、ポリ塩化ビニル鎖、ポリシラン鎖、ポリカーボネート鎖、ポリアミド鎖、ポリイミド鎖、ポリウレア鎖、又はポリペプチド鎖であるポリマー鎖を表す)とを公知の方法で反応させることで調整でき、その化合物は式(P4)
Figure 0006221612

(P4)
のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸モノポリマーイミドモノイミド重合性基付加物として調整することができる。
(一般式(1)で表される顔料分散剤の製造方法2)
また例えば、式(P1)と一当量の式(P5)
Figure 0006221612

(P5)
のアミノアルコール(nは2以上)の合成は、公知の方法で調製することができ、その反応物は、式(P6)
Figure 0006221612

(P6)
のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸一無水物モノアミノアルコールイミドで表すことが出来る。式(P6)と、式(P3)のポリマーアミンの合成は、公知の方法で調整することで得ることができ、その反応物は、式(P7)
Figure 0006221612

(P7)
のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸モノポリマーイミドモノアミノアルコールイミドで表すことができる。式(P7)と、式(P8)
Figure 0006221612

(P8)
の、末端塩化物の重合性基(Aは(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、マレイミド基、エポキシ基、アセチレン基、及びチオール基からなる群から選ばれる重合性官能基を表す)を公知の方法(参考文献:特開昭61−246157)で反応させることができ、その反応物は式(P9)
Figure 0006221612

(P9)
のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸モノポリマーイミドモノアミノアルコールイミド重合性基付加物として調整することができる。
(一般式(1)で表される化合物の製造方法3)
また例えば、式(P1)と二当量の式(P5)のアミノアルコール(nは2以上)の合成は、公知の方法で調製することができ、その反応物は、式(P10)
Figure 0006221612

(P10)
のペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸アミノアルコールジイミドで表すことができる。例えば式(P10)と式(P11)
Figure 0006221612

(P11)
の、ポリマー(B)にエポキシ基が導入されたエポキシ変性ポリマー(Bは、ポリアルキレン鎖、ポリシロキサン鎖、ポリアクリレート鎖、ロジン変性フェノール樹脂鎖、アルキッド樹脂鎖、ポリエステル鎖、エポキシ鎖、メラミン鎖、ポリウレタン鎖、ポリエーテル鎖、ポリブタジエン鎖、ポリスチレン鎖、ポリスチレン−酢酸ビニル鎖、ポリ塩化ビニル鎖、ポリシラン鎖、ポリカーボネート鎖、ポリアミド鎖、ポリイミド鎖、ポリウレア鎖、又はポリペプチド鎖であるポリマー鎖を表す。)とを公知の方法で反応させることで調整でき、その化合物は式(P12)
Figure 0006221612

(P12)
で表すことができる。式(P12)と(P8)で表される末端塩化物の重合性基は、公知の方法で調整することができ、その反応物は式(P13)
Figure 0006221612

(P13)
で表すことができる。
(一般式(1)で表される化合物の製造方法4)
一般式(1)で表される化合物は、例えば、式(P6)と一当量の式(P11)のポリマー(B)にエポキシ基が導入された変性ポリマーの合成は、公知の方法で反応させる方法で調整することができ、その化合物は式(P14)
Figure 0006221612

(P14)
で表すことができる。式(P14)と(P2)で表される重合性基Aとアミノ基が一分子中に含まれる化合物の合成は、公知の方法で反応させることで得ることができ、その反応物は、式(P15)
Figure 0006221612


(P15)
で表すことができる。
(一般式(1)で表される化合物の製造方法5)
また、例えば製造方法2で用いた末端塩化物の重合性基(P8)の代わりに、式(P16)
Figure 0006221612

(P16)
の、末端がエポキシ基の重合性基(Aは(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、ビニル基、ビニルオキシ基、マレイミド基、エポキシ基、アセチレン基、及びチオール基からなる群から選ばれる重合性官能基を表す)と式(P7)を公知の方法(参考文献:特開昭61−246157)で反応させることができ、その反応物は式(P17)
Figure 0006221612

(P17)
で表すことができる。
(一般式(1)で表される化合物の製造方法6)
また、例えば製造方法3で用いたポリマー(B)にエポキシ基が導入されたエポキシ変性ポリマー(P11)の代わりに、式(P18)
Figure 0006221612

(P18)
のポリマー(B)にカルボキシル基が導入されたカルボキシル基変性ポリマー(Bは、ポリアルキレン鎖、ポリシロキサン鎖、ポリアクリレート鎖、ロジン変性フェノール樹脂鎖、アルキッド樹脂鎖、ポリエステル鎖、エポキシ鎖、メラミン鎖、ポリウレタン鎖、ポリエーテル鎖、ポリブタジエン鎖、ポリスチレン鎖、ポリスチレン−酢酸ビニル鎖、ポリ塩化ビニル鎖、ポリシラン鎖、ポリカーボネート鎖、ポリアミド鎖、ポリイミド鎖、ポリウレア鎖、又はポリペプチド鎖であるポリマー鎖を表す)と、式(P10)を公知の方法で反応させることで調整することができる(式(P18)中のカルボキシル基はカルボン酸クロライド等でもよい)。その化合物は式(P19)
Figure 0006221612

(P19)
で表すことができる。式(P19)と、式(P8)で表される末端塩化物の重合性基は、公知の方法で調整することができ、その反応物は式(P20)
Figure 0006221612


(P20)
で表すことができる。
前記製造方法1〜6は、公知の一般的な製造方法で調整することができるが、反応は、水性、有機、または水性−有機媒体中、250度まで、好ましくは180度までの温度で行うことができる。好適な有機媒体としては、不活性有機溶媒が挙げられ、好ましくは沸点が水より高温であるものであり、例としてDMSO、NMP、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン類、トリクロロベンゼン類、比較的高沸点のアルコール類、カルボキサミド類、キノリン、イミダゾール、ナフタレン、フェノール、および比較的高沸点のエーテル類が挙げられる。アミンは同時に溶媒としての役割をすることもできる。水性または水性−有機媒体のpHは、酸性、中性、またはアルカリ性でもよく、好ましくはpH3〜14の間である。生成する式(I)の生成物は、好ましくはろ過または一般的なカラム分離によって反応混合物から分離される。
また、縮合反応は、水溶液中、アルカリ性pH条件において、50〜180度の範囲の温度で行うことが特に好ましい。縮合は、過剰のアミンを使用することが適切であり、適切には8倍まで、好ましくは4倍までのモル過剰にする。生成する式(I)の生成物は、好ましくはろ過または一般的なカラム分離によって反応混合物から分離される。
前記Aで表される重合性官能基を導入する方法としては、例えば、前記式(P1)で表されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物の、ペリレン骨格の両端に存在する2つのアシル基に挟まれて酸無水物を形成する酸素原子と反応する基、例えばアミノ基と、重合性官能基とを1分子中に持つ化合物を使用し、前記アミノ基を前記酸素原子と反応させる方法があげられる。
このようなアミノ基と重合性官能基を1分子中に持つ化合物の例としては、アミノメチルアクリレートやアミノメチルメタクリレート、N−アミノメチルーアクリルアミド、1−メタクリロイルウレア、ビニルアミド、3−アミノ−1−プロペン、ビニルオキシメタナミン、1−ビニルオキシエタナミン、グリシジルアミン、2−プロピン1−アミン、2−アミノベンゼンチオール、2−アミノ−1−エタンチオール、3−アミノ−1−プロパンチオール等が挙げられる。
例えば(メタ)アクリロイルオキシ基を導入するのであれば、アミノメチルアクリレートやアミノメチルメタクリレート等を、(メタ)アクリルアミド基を導入するのであれば、N−アミノメチルーアクリルアミド、1−メタクリロイルウレア等を、スチレン基等のビニル基を導入するのであれば、3−アミノ−1−プロペン等を、ビニルオキシ基を導入するのであれば、ビニルオキシメタナミン、1−ビニルオキシエタナミン等を、エポキシ基を導入するのであれば、グリシジルアミン、オキシランメチルアミン、2−オキシランカルボキシアミド等を、チオール基を導入するのであれば、2−アミノベンゼンチオール、2−アミノ−1−エタンチオール、3−アミノ−1−プロパンチオールを、アセチレン基を導入するのであれば、2−プロピン−1−アミン等を反応させることで得ることができる。
また、前記式(P1)で表されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物の、ペリレン骨格の両端に存在する2つのアシル基に挟まれて酸無水物を形成する酸素原子と、アミノ基及び他の反応性官能基例えばヒドロキシル基とを有する化合物を反応させた後、該反応性官能基と反応しうる反応性基、及び重合性官能基とを1分子中に持つ化合物を反応させることによっても、前記Aで表される重合性官能基を導入することができる。
前記アミノ基及び他の反応性官能基とを有する化合物としては、例えば、タウリン(2−アミノエタンスルホン酸)、β−アラニン、4−アミノ酪酸、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、ペンタノールアミン、ヘキサノールアミン、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、ジメチルアミノメチルアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジブチルアミノプロピルアミン、ジエチルアミノブチルアミン、ジエチルアミノヘキシルアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−(3−アミノプロポキシ)エトキシ)エタノール、3,3’−オキシビス(エチレンオキシ)ビス(プロピルアミン)、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、トリプロピレンテトラミン、または(3−(2−アミノエチル)アミノプロピルアミンが挙げられる。
また、前記反応性官能基と反応しうる反応性基及び重合性官能基とを1分子中に持つ化合物としては、例えば反応性官能基がヒドロキシル基である場合、(メタ)アクリル酸クロライド等があげられる。
また、前記Bで表されるポリマー鎖は、前記式(P1)で表されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物の、ペリレン骨格の両端に存在する2つのアシル基に挟まれて酸無水物を形成する酸素原子と反応する基、例えばアミノ基と、前記Bで表されるポリマー鎖とを有する化合物を使用するのが好ましい。
アミノ基と、前記Bで表されるポリマー鎖とを有する化合物としては、例えば、ポリアルキレン鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリアルキレン鎖を、ポリエステル鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリエステル鎖を、ポリエーテル鎖を導入するのであれば、モノアミン変性ポリエーテル鎖を、ポリアクリレート鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリアクリレート鎖を、ポリブタジエン鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリブタジエン鎖を、ポリスチレン鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリスチレン鎖を、ポリスチレン−酢酸ビニル鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリスチレン−酢酸ビニル鎖を、ポリ塩化ビニル鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリ塩化ビニル鎖を、ポリシラン鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリシラン鎖を、ポリシロキサン鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリシロキサン鎖を、ポリカーボネート鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリカーボネート鎖を、ポリアミド鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリアミド鎖を、ポリイミド鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリイミド鎖を、ポリウレタン鎖を導入するのであればアミン変性ポリウレタン鎖を、ポリウレア鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリウレア鎖を、ポリペプチド鎖を導入するのであれば、アミン変性ポリペプチド鎖を反応させることで得られる。ポリマー中のアミンの位置はポリマー鎖の末端でも側鎖でも良い。
また、前記式(P1)で表されるペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物の、ペリレン骨格の両端に存在する2つのアシル基に挟まれて酸無水物を形成する酸素原子と、アミノ基及び他の反応性官能基、例えばヒドロキシル基とを有する化合物を反応させた後、該反応性官能基と反応しうる反応性基、及びポリマー鎖を有する化合物を反応させることによっても、前記Bで表されるポリマー鎖を導入することができる。
アミノ基及び他の反応性官能基を有する化合物は、前記Aで表される重合性官能基を導入する際に使用した化合物と同じ化合物を使用することができる。
また、前記反応性官能基と反応しうる反応性基、及びポリマー鎖を有する化合物としては、例えば反応性官能基がヒドロキシル基の場合は、カルボン酸基を有するポリマー鎖、C(=O)−Cl基を有するポリマー鎖、エポキシ基を有するポリマー鎖、イソシアナト基を有するポリマー鎖、等があげられる。
このような材料は、ここに挙げた材料だけではなく、前記のアミノ基を含む化合物と、一般的な公知の方法で反応することができる材料であればよい。
このとき、得られる顔料分散剤において、Bのポリマー鎖は、アミノ基−(R−X)−基を介して結合する。
また、Bのポリマー鎖の分子量は、一般的な顔料分散剤と同様に特に限定されないが、重量平均分子量に換算して500〜30000の範囲が好ましく、1000〜20000の範囲がより好ましく、1500〜15000の範囲が更に好ましい。
((I―1)〜(I−6)で示される顔料分散剤の製造方法)
前記(I―1)〜(I−6)で示される化合物である顔料分散剤は、前記の一般式(1)で表される顔料分散剤の製造方法1を用いて製造することができる。
例えば(I―1)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P2)としてアミノメチルアクリレート、前記(P3)としてポリイソブチレンアミンとを反応して得ることができる。
また(I―2)で示される、末端にアクリルアミド基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P2)としてN−アミノメチル−アメタクリルアミド、前記(P3)としてポリイソブチレンアミンとを反応して得ることができる。
また(I―3)で示される末端にビニル基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P2)として3−アミノ−1−プロペン、前記(P3)としてポリイソブチレンアミンとを反応して得ることができる。
また(I―4)で示される末端にビニルオキシ基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P2)としてビニルオキシメタナミン、前記(P3)としてポリイソブチレンアミンとを反応して得ることができる。
また(I―5)で示される末端にエポキシ基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P2)としてグリシジルアミン、前記(P3)としてポリイソブチレンアミンとを反応して得ることができる。
また(I―6)で示される、末端にチオール基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P2)として2−アミノ−1−エタンチオール、前記(P3)としてポリイソブチレンアミンとを反応して得ることができる。
((II―1)〜(VI−6)で示される顔料分散剤の製造方法)
(II―1)〜(VI−6)で示される化合物である顔料分散剤は、前記の(一般式(1)で表される顔料分散剤の製造方法2)を用いて製造することができる。
(II―1)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてエタノールアミン、前記(P3)としてポリイソブチレンアミン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得られた、
また(II―2)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてエタノールアミン、前記(P3)としてポリイソブチレンアミン、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(II―3)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてプロパノールアミン、前記(P3)としてポリイソブチレンアミン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(II―4)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてプロパノールアミン、前記(P3)としてポリイソブチレンアミン、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(II―5)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてヘキサノールアミン、前記(P3)としてポリイソブチレンアミン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(II―6)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてヘキサノールアミン、前記(P3)としてポリイソブチレンアミン、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(III―1)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリアクリレート鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてエタノールアミン、前記(P3)として末端にアミンを有する、アミノエチルアクリレートとエチルアクリレートとメチルメタクリレートとブチルアクリレートのアクリル共重合体、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(III―2)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリアクリレート鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてエタノールアミン、前記(P3)として末端にアミンを有する、アミノエチルアクリレートとエチルアクリレートとメチルメタクリレートとブチルアクリレートのアクリル共重合体、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(III―3)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリアクリレート鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてプロパノールアミン、前記(P3)として末端にアミンを有する、アミノエチルアクリレートとエチルアクリレートとメチルメタクリレートとブチルアクリレートのアクリル共重合体、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(III―4)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリアクリレート鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてプロパノールアミン、前記(P3)として末端にアミンを有する、アミノエチルアクリレートとエチルアクリレートとメチルメタクリレートとブチルアクリレートのアクリル共重合体、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(III―5)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリアクリレート鎖を有する顔料分散剤は、(P1)に、(P5)としてヘキサノールアミン、(P3)として末端にアミンを有する、アミノエチルアクリレートとエチルアクリレートとメチルメタクリレートとブチルアクリレートのアクリル共重合体、(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(III―6)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリアクリレート鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてヘキサノールアミン、前記(P3)として末端にアミンを有する、アミノエチルアクリレートとエチルアクリレートとメチルメタクリレートとブチルアクリレートのアクリル共重合体、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(IV―1)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、(P1)に、(P5)としてエタノールアミン、(P3)として側鎖にプロピルアミンを有するポリジメチルシロキサン、(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(IV―2)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてエタノールアミン、前記(P3)として側鎖にプロピルアミンを有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(IV―3)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてプロパノールアミン、前記(P3)として側鎖にプロピルアミンを有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(IV―4)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、(P1)に、(P5)としてプロパノールアミン、(P3)として側鎖にプロピルアミンを有するポリジメチルシロキサン、(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(IV―5)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記P5)としてヘキサノールアミン、前記(P3)として側鎖にプロピルアミンを有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(IV―6)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてヘキサノールアミン、前記(P3)として側鎖にプロピルアミンを有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(V―1)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてエタノールアミン、前記(P3)としてプロピルアミンを有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(V―2)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてエタノールアミン、前記(P3)としてプロピルアミンを有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(V―3)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてプロパノールアミン、前記(P3)としてプロピルアミンを有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(V―4)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてプロパノールアミン、前記(P3)としてプロピルアミンを有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(V―5)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてヘキサノールアミン、前記(P3)としてプロピルアミンを有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(V―6)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてヘキサノールアミン、前記(P3)としてプロピルアミンを有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(VI―1)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリアルキレングリコール鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてエタノールアミン、前記(P3)として末端にアミンを有するポリアルキレングリコール、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(VI―2)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリアルキレングリコール鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてエタノールアミン、前記(P3)として末端にアミンを有するポリアルキレングリコール、(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(VI―3)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリアルキレングリコール鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてプロパノールアミン、前記(P3)として末端にアミンを有するポリアルキレングリコール、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(VI―4)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリアルキレングリコール鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてプロパノールアミン、前記(P3)として末端にアミンを有するポリアルキレングリコール、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(VI―5)末端にアクリロイルオキシ基及びポリアルキレングリコール基を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてヘキサノールアミン、前記(P3)として末端にアミンを有するポリアルキレングリコール、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(VI―6)で示される、末端にメタクリロイルオキシ基及びポリアルキレングリコール基を有する顔料分散剤は、前記(P1)に、前記(P5)としてヘキサノールアミン、前記(P3)として末端にアミンを有するポリアルキレングリコール、前記(P8)としてメタクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
((VII―1)〜(VII−2)で示される顔料分散剤の製造方法)
((VII―1)〜(VII−2)で示される化合物である顔料分散剤は、前記の(一般式(1)で表される顔料分散剤の製造方法3)を用いて製造することができる。
(VII―1)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P10)中の前記(P5)としてエタノールアミンを使用した前記(P10)と、前記(P11)としてエポキシ基を有するポリイソブチレン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(VII―2)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P10)中の前記(P5)としてヘキサノールアミンを使用した前記(P10)と、前記(P11)としてエポキシ基を有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
((VIII―1)〜(VIII−2)で示される顔料分散剤の製造方法)
((VIII―1)〜(VIII−2)で示される化合物である顔料分散剤は、前記の(一般式(1)で表される顔料分散剤の製造方法4)を用いて製造することができる。
(VIII−1)で示される末端にビニル基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に前記(P5)としてエタノールアミンを、前記(P2)として3−アミノ−1−プロペンを、前記(P11)としてエポキシ基を有するポリジメチルシロキサンとを反応して得ることができる。
また(VIII−2)で示される末端にマレイミド基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に前記(P5)としてエタノールアミンを、前記(P2)としてN−(2−アミノエチル)マレイミドを、前記(P11)としてエポキシ基を有するポリジメチルシロキサンとを反応して得ることができる。
((IX―1)〜(IX−2)で示される顔料分散剤の製造方法)
((IX―1)〜(IX−2)で示される化合物である顔料分散剤は、前記の(一般式(1)で表される顔料分散剤の製造方法5)を用いて製造することができる。
(IX−1)で示される末端にメタクリロイルオキシ基及びポリイソブチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に前記(P5)としてエタノールアミンを、前記(P16)としてグリシジルメタクリレートを、前記(P11)としてアミノ基を有するポリイソブチレンとを反応して得ることができる。
また(IX−2)で示される末端にメタクリロイルオキシ基及びポリアルキレングリコール鎖を有する顔料分散剤は、前記(P1)に前記(P5)としてエタノールアミンを、前記(P16)としてグリシジルメタクリレートを、前記(P11)としてアミノ基を有するポリアルキレングリコールとを反応して得ることができる。
((VII―3)〜(VII−6)で示される顔料分散剤の製造方法)
((VII―3)〜(VII−6)で示される化合物である顔料分散剤は、前記の(一般式(1)で表される顔料分散剤の製造方法6)を用いて製造することができる。
また(VII―3)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリアルキレングリコール鎖を有する顔料分散剤は、前記(P10)中の前記(P5)としてエタノールアミンを使用した前記(P10)と、前記(P18)としてカルボン酸基を有するポリアルキレングリコール、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(VII―4)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P10)中の前記(P5)としてヘキサノールアミンを使用した前記(P10)と、前記(P18)としてカルボン酸基を有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(VII―5)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリエチレン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P10)中の前記(P5)としてプロパノールアミンを使用した前記(P10)と、前記(P18)としてカルボン酸基を有するポリエチレン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
また(VII―6)で示される、末端にアクリロイルオキシ基及びポリシロキサン鎖を有する顔料分散剤は、前記(P10)中の前記(P5)としてブタノールアミンを使用した前記(P10)と、前記(P11)としてカルボン酸基を有するポリジメチルシロキサン、前記(P8)としてアクリル酸クロライドとを反応して得ることができる。
(顔料組成物)
本発明の顔料組成物は、前記一般式(1)で表される顔料分散剤、顔料、及び液媒体を含有する。
(顔料)
本発明の顔料分散剤は、前述の通り、有機顔料やカーボンブラックの分散性に特に優れる。有機顔料やカーボンブラックとしては特に限定はなく、いずれも分散が可能である。本発明の顔料分散剤は、カーボンブラック以外の他の無機顔料についても分散可能である。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、硫化亜鉛、鉛白、亜鉛華、リトボン、アンチモンホワイト、塩基性硫酸鉛、塩基性ケイ酸鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、石膏、シリカ、カーボンブラック、鉄黒、チタンブラック、コバルトバイオレット、バーミリオン、モリブデンオレンジ、鉛丹、ベンガラ、黄鉛、カドミウムイエロー、ジンククロメート、イエローオーカー、酸化クロム、群青、紺青、コバルトブルー等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、ペリレン・ペリノン系化合物顔料、キナクリドン系化合物顔料、フタロシアニン系化合物顔料、アントラキノン系化合物顔料、フタロン系化合物顔料、ジオキサジン系化合物顔料、イソインドリノン系化合物顔料、イソインドリン系化合物顔料、ジケトピロロピロール系化合物顔料、不溶性アゾ系化合物顔料、溶性アゾ系化合物顔料、縮合アゾ系化合物顔料、アニリンブラック顔料等が挙げられる。有機顔料の具体例を挙げると、例えば次の通りである。
ペリレン・ペリノン系化合物顔料としては、例えばC.I.PigmentViolet 29、C.I.Pigment Red 123、同149、同178、同179、C.I.Pigment Black 31、同32、C.I.Pigment Orange 43等の顔料が挙げられる。
キナクリドン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Violet 19、同42、C.I.Pigment Red 122、同202、同206、同207、同209、C.I.Pigment Orange 48、同49等の顔料が挙げられる。
フタロシアニン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、C.I.Pigment Green 7、同36等の顔料が挙げられる。
アントラキノン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Yellow 24、同108、C.I.Pigment Red 168、同177、C.I.Pigment Orange 40等の顔料が挙げられる。
フタロン系化合物顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 138等の顔料が挙げられる。
ジオキサジン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Violet 23、同37等の顔料が挙げられる。
イソインドリノン系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Yellow 109、同110、同173、C.I.Pigment Orange 61等の顔料が挙げられる。
イソインドリン系化合物顔料としては、例えばC.I.PigmentYellow 139、同185、C.I.Pigment Orange 66、C.I.Pigment Brown 38等の顔料が挙げられる。
ジケトピロロピロール系化合物顔料としては、例えばC.I.PigmentRed 254、同255等の顔料がある。
不溶性アゾ系化合物顔料としては、例えば C.I.Pigment Yellow 1、同3、同12、同13、同14、同17、同55、同73、同74、同81、同83、同97、同130、同151、同152、同154、同156、同165、同166、同167、同170、同171、同172、同174、同175、同176、同180、同181、同188、C.I.Pigment Orange 16、同36、同60、C.I.Pigment Red5、同22、同31、同112、同146、同150、同171、同175、同176、同183、同185、同208、同213、C.I.PigmentViolet 43、同44、C.I.Pigment Blue 25、同26等の顔料が挙げられる。
溶性アゾ系化合物顔料としては、例えばC.I.Pigment Red 53:1、同57:1、同48等の顔料がある。
縮合アゾ系化合物顔料としては、例えば C.I.Pigment Yellow 93、同94、同95、同128、同166、C.I.PigmentOrange 31C.I.Pigment Red 144、同166、同214、同220、同221、同242、同248、同262、C.I.Pigment Brown 41、同42等の顔料がある。
アニリンブラック顔料としては、C.I.Pigment Black 1があげられる。
本発明の顔料分散剤は、前記顔料100に対して1重量%〜300重量%の割合で使用することが好ましい。より好ましくは15重量%〜200重量%であり、なお好ましくは20重量%〜170重量%の割合である。
(分散媒)
本発明で使用する液媒体は特に限定はないが、使用する液媒体(非極性溶媒または極性溶媒)に応じて前記一般式(1)で表される顔料分散剤が有するポリマー鎖Bを選択する。
(非極性溶媒)
前記非極性溶媒は、例えば、非水性の直鎖状および/または分枝状または環状の炭素原子数4〜30のアルカン、好ましくは、ペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロへプタン、シクロオクタン、メチルシクロへキサン、特に好ましくは、デカン、テトラデカン、ウンデカンおよびドデカンまたはこれらの任意の比率の混合物;直鎖状および/または分枝状および/または環状の炭素原子数1〜30のハロアルカン、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロシクロヘキサン、およびそれらの位置異性体;炭素原子数6〜22の芳香族化合物、好ましくは、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、またはこれらの任意の比率の混合物;あるいは水素添加された炭素原子数10〜22の芳香族化合物、好ましくは、テトラリン、シス−デカリンおよびトランス−デカリン、またはこれらの任意の比率の混合物、特に好ましくは、シス−デカリンおよびトランス−デカリン;
ハロゲン化炭素原子数6〜22の芳香族化合物、好ましくは、クロロベンゼン、フルオロベンゼン、ジクロロベンゼンまたはジフルオロベンゼン、トリクロロベンゼンまたはトリフルオロベンゼン、クロロナフタレンまたはフルオロナフタレン、およびそれらの位置異性体;直鎖状および/または分枝状および/または環状の炭素原子数4〜22のアルコール、好ましくは、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、またはシクロオクタノール、およびそれらの位置異性体;直鎖状および/または分枝状および/または環状のエーテル、好ましくは、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、tert−アミルメチルエーテル、tert−アミルエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、ジグリム、トリグリム、フラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロメチルフラン、ジオキソラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、メトキシベンゼン、メチルチオベンゼン、エトキシベンゼン、およびそれらの位置異性体;
直鎖状および/または分枝状および/または環状のケトン、好ましくは、アセトン、トリクロロアセトン、ブタノン、ペンタノン、ヘキサノン、ヘプタノン、オクタノン、ノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、アセチルアセトン、およびそれらの位置異性体;
直鎖状および/または分枝状および/または環状のニトロアルカン、好ましくは、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロシクロへキサン、およびそれらの位置異性体;
炭素原子数6〜22のニトロ芳香族化合物、好ましくはニトロベンゼン;直鎖状および/または分枝状および/または環状のアミン、好ましくは、tert−ブチルアミン、ジアミノエタン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルアニリン、およびN,N−ジメチルアニリン、およびそれらの位置異性体;ヘキサメチルジシラン、ジフェニルジメチルシラン、クロロフェニルトリメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、フェネチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、フェニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、ポリジメチルシロキサン、テトラフェニルテトラメチルトリシロキサン、ポリ(3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサン)、3,5,7−トリフェニルノナメチルペンタシロキサン、3,5−ジフェニルオクタメチルテトラシロキサン、1,1,5,5−テトラフェニル−1,3,3,5−テトラメチル−トリシロキサン、およびヘキサメチルシクロトリシロキサン等のシリコーンオイル;ハイドロフルオロエーテル、クロロジフルオロメタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、オクタフルオロプロパン、または上記溶媒の任意の比率での混合物が包含される。
(極性溶媒)
また、前記極性溶媒としては、例えば水、グリコール、アルコール、ポリオール、エーテル、エステル、ケトン、アセタール、ケタール、ラクトン類、炭酸塩、ラクタム、ウレタン(カルバメート)、尿素、ピロリジン、ピロリドン、スルホン、スルホキシド、アミド等であり、具体的には例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、1,2−シクロヘキサンカーボネート、グリセリンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトン、アセトフェノン、ピリジン、ジメチルマロン酸、ジアセトンアルコール、ヒドロキシプロピルカルバメート、β−ヒドロキシエチルカルバメート、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、アセトアセトン、シクロヘキサノン、エチルアセトアセテート、エチル−L−乳酸、ピロール、N−メチルピロール、N−エチルピロール、4H−ピラン−4−オン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、モルホリン、N−エチルモルホリン、N −ホルミルモルホリン、β−プロピオラクトン、β−バレロラクトン、β−ヘキサラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、δ−バレロラクトン、δ−ヘキサラクトン、δ−ヘプタラクトン、δ−オクタラクトン、δ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、およびそれらの任意の組み合わせ等が挙げられる。
(その他の添加物)
本発明の顔料組成物には、その他、本発明の効果を損なわない範囲において、界面活性剤、分散剤、湿潤剤、増粘剤、保存料、粘度安定剤、粉砕助剤、充填剤、沈殿防止剤、光保護剤、酸化防止剤、殺生物剤、脱気剤/消泡剤、発泡抑制剤、ベーキング防止剤等添加剤を加えても良い。例えば使用可能な界面活性剤としては、ポリアルキレングリコール及びそれらの誘導体等が挙げられる。また分散剤としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、polyvinyloxazolidones、ポリスチレン、ポリエポキシド、ポリウレタン、およびポリビニルハロゲン等が挙げられる。市販の分散剤としては、LUBRIZOL社のソルスパース、EVONIK社のTegosperse、BASF社のEFKA、ビックケミー社のDISPERBYK等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(顔料組成物の製造方法)
本発明の顔料組成物は、公知の顔料組成物の製造方法によって得ることができる。一例を挙げると、前記顔料、液媒体、必要に応じ前記添加剤を加えた混合物をビーズミル等の通常の分散機を用いて前記樹脂で被覆された色素を分散することで得ることができる。また、予め、ビーズミル等の通常の分散機を用いて高濃度の分散液(ミルベース)を作製後、更に非極性溶媒で所望の粘度に混合攪拌して、希釈することで調整できる。添加剤の添加のタイミングは、種類によって分散する前や分散する後等、適宜選択することができる。
顔料を分散させるための攪拌・分散装置としては、ビーズミルの他、たとえばプラネタリーミキサー、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザーなど、公知慣用の各種分散機を使用することができる。
(重合性組成物)
本発明の顔料組成物は、本発明の顔料分散剤が重合性官能基を有しているため、そのままで、あるいは重合性モノマーやオリゴマーを組み合わせた組成物を、熱や活性エネルギー線により硬化重合させることが可能である。
使用できる重合性モノマーやオリゴマーとしては特に限定はなく、本発明の顔料分散剤が有する重合性官能基や、所望される用途に応じて適宜選択される。例えば、本発明の顔料分散剤が有する重合性官能基が(メタ)アクリロイルオキシ基である場合は、(メタ)アクリロイルオキシ基と反応性の高い公知の(メタ)アクリルモノマーおよび/または(メタ)アクリルオリゴマー等のラジカル重合性モノマーを使用することが好ましい。また例えば、本発明の顔料分散剤が有する重合性官能基がビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基等である場合は、カチオン重合性モノマーを併用し、カチオン重合により硬化させることも可能である。
(ラジカル重合 重合性モノマー)
ラジカル重合性モノマーである(メタ)アクリルモノマーとしては、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル−、シクロアルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、ベンジル−、フェノキシ−(メタ)アクリレート、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットテトラ(メタ)アクリレートなど、(メタ)アクリルアミド又はその誘導体、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基でモノ置換又はジ置換された(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−アルキレンビス(メタ)アクリルアミドなど、アリル化合物、例えばアリルアルコール、アリルイソシアネート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート、
エチレングリコール単位を分子内にもつポリエチレングリコール(nは3以上であり、およそ14以下)ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO変性(nは3以上であり、およそ14以下)トリ(メタ)アクリレート、フェノールEO変性(nは3以上であり、およそ14以下)変性(メタ)アクリレートや、水酸基を分子内にもつ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
これらの(メタ)アクリルモノマーは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、硬化収縮が支障となる用途の場合には、例えばイソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテノキシプロピル(メタ)アクリレートなど、ジエチレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、ポリオキシエチレン若しくはポリプロピレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルなど、ジシクロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフマレート又はジフマレートなど、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ−、ジアクリレート又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいはこれらのスピログリコールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加重合体のモノ−、ジアクリレート、又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいは前記モノ(メタ)アクリレートのメチルエーテル、1−アザビシクロ[2,2,2]−3−オクテニル(メタ)アクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステルなど、ジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレートなどのラジカル重合性モノマーを用いることができる。
これらのラジカル重合性モノマーは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリルオリゴマーとしては、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応生成物、グリシジルジ(メタ)アクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メタクリル酸二量体とポリオールとのエステル、アクリル酸と無水フタル酸とプロピレンオキシドから得られるポリエステル、ポリビニルアルコールとN−メチロールアクリルアミドとの反応生成物、ポリエチレングリコールと無水マレイン酸とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物などのような不飽和ポリエステル系プレポリマーや、ポリビニルアルコールを無水コハク酸でエステル化した後、グリシジルメタクリレートを付加させたものなどのようなポリビニルアルコール系プレポリマー、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマーなど、そのほか、ウレタン結合を介してポリオキシアルキレンセグメント又は飽和ポリエステルセグメントあるいはその両方が連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタン系プレポリマーなどを挙げることができる。
(ラジカル重合 光重合開始剤)
活性エネルギー線によりラジカル重合させる場合には、ラジカル光重合開始剤を使用することが好ましい。ラジカル光重合性化合物としては具体的には、ベンゾインイソブチルエーテル、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等が好適に用いられ、さらにこれら以外の分子開裂型のものとして、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オンおよび2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等を併用しても良いし、さらに水素引き抜き型光重合開始剤である、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、イソフタルフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルスルフィド等も併用できる。
また上記光重合開始剤に対し、増感剤として例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミンおよび4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等の、前述重合性成分と付加反応を起こさないアミン類を併用することもできる。
(カチオン重合 重合性モノマー)
またカチオン重合性モノマーとしては、例えばビニルエーテル化合物があげられる。ビニルエーテル化合物としては、例えば、モノビニルエーテル化合物、ジまたはトリビニルエーテル化合物が挙げられ、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジまたはトリビニルエーテル化合物;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジまたはトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。更に、ジビニルエーテル化合物の中でも、粘度、揮発性の点から、トリエチレングリコールジビニルエーテルが好ましい。
その他、エポキシ化合物、オキセタン化合物等のカチオン重合性化合物も併用可能である。エポキシ化合物としては、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物;少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られるシクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物等の脂環式エポキシ化合物;脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物等が挙げられる。
オキセタン化合物としては、オキセタン環を有する化合物であり、特開2001−220526号公報、特開2001−310937号公報などに記載されているような公知のオキセタン化合物等が挙げられる。 環式エポキシドの例は、グリコール、ポリオールなどのエポキシドとヒドロキシル成分の付加体、あるいは3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートなどのビニルエーテル、ビス(3,4−エポキシ−シクロヘキシルメチル)アジペート、リモネンモノエポキシド、リモネンジエポキシド、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエーテル、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサン、エポキシ化ジシクロペンチルアルコール、あるいはそれらの混合物である。このタイプの好ましい脂環式エポキシドは、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、1,3−ビス(2−(7−オキサビシクロ(4.1.0)ヘプタ−3−イル)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンである。脂環式エポキシドに加えて、ジ−またはトリ−グルシジルエーテル、アルコキシル化ビスフェノールA、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、ネオペンチルグリコール、またはトリメチロールプロパンなどの一種以上の非脂環式エポキシドが存在することが可能である。エポキシ希釈剤は同様に、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、アルファ−オレフィンエポキシド、Novalacエポキシド、エポキシ化アマニ油、大豆油、エポキシ化ポリブタジエン、1,2−エポキシデカン、カプロラクトントリオール、グリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、エポキシ化シラン、グリシドキシ−メトキシシラン、グリシドキシ−エトキシシラン、2−エチルヘキシルグリシジルエーテルであることが可能である。
(カチオン重合 光重合開始剤)
また、活性エネルギー線によりカチオン重合させる場合には、カチオン光重合開始剤を使用することが好ましい。カチオン光重合開始剤は、例えばアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウムホスフェート、トリアリールスルホニウムアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどの特にトリアリールスルホニウム塩、およびジアリールスルホニウム塩、ならびにジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビスドデシルジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのアリール−ヨードニウム塩などである。こうしたカチオン光開始系は、適するインキ硬化を行うために個々に、あるいは組合せで用いることができる。ジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートおよび(n5−2,4−シクロペンタジエニル−イル)[1,2,3,4,5,6−n)(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄*−ヘキサフルオロホスフェート(−1)は好ましい。
本発明の硬化性組成物には、ラジカル重合であってもカチオン重合であっても、保存安定性を高めるため、ハイドロキノン、メトキノン、ジ−t−ブチルハイドロキノン、P−メトキシフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ニトロソアミン塩等の重合禁止剤をインク中に0.01〜2質量%の範囲で添加しても良い。
また、光重合開始剤の含有量は特に限定はないが、通常は2〜20質量%程度配合させる。
本発明で使用する活性エネルギー線とは、紫外線、電子線、X線、α線、β線、γ線のような電離放射線、マイクロ波、高周波等を言うが、ラジカルあるいはカチオン性活性種を生成させ得るならば、いかなるエネルギー種でも良く、可視光線、赤外線、レーザー光線でもよい。紫外線を発生するものとしては、例えば超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアークランプ、ヘリウム・カドミニウムレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、アルゴンレーザーなどがある。
また、光源としてLEDを使用する場合には、LEDの発光ピーク波長を加味して光重合開始剤を選択することが好ましい。例えばUV−LEDを使用する場合に適した光重合開始剤としては、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン)、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
また電子線による硬化方法としては、必ずしもラジカルやカチオンの重合開始剤の使用を必要とはしない。使用できる電子線の例としては、コツクロフトワルトン型、バンデグラフ型あるいは共振変圧器型などであり、50keV〜1000keV、好ましくは、100keV〜300keVなる範囲内のエネルギーを有する電子線を用いることができる。
(変性顔料)
本発明の変性顔料は、本発明の顔料分散剤と顔料とを共存させた状態、即ち本発明の顔料分散剤が顔料に吸着した状態を保ちながら重合させることで得ることができる。これはより顔料表面に近い場所で重合反応が進行するので、顔料表面に強固に重合皮膜を作成することが可能となる。この時ポリマー鎖は前述の通り重合性官能基とはペリレン骨格を挟んで反対側の位置に導入されているため前記重合皮膜に巻き込まれる確率は低く、分散安定性は維持できると推定される。
変性顔料の製造方法の一例としては、例えば、顔料、本発明の顔料分散剤とを適当な重合溶媒に分散させる。分散方法としては、例えば、ホモジナイザー、ディスパー、ビーズミル、ペイントシェーカー、ニーダー、ロールミル、ボールミル、アトライター、サンドミル等を使用することが可能である。本発明においては、使用する顔料の形態は問わず、スラリー、ウエットケーキ、粉体のいずれの形態でもかまわない。即ち、本発明の製造方法においては、ウエットケーキのような水を含む顔料であっても使用可能である。
重合方法は公知の重合方法によって行えばよいが、通常は重合開始剤の存在下で行う。かかる重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチル−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルハイドロパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、またはクメンハイドロパーオキシドなどのラジカル発生重合触媒が単独で、あるいは2種以上の併用の形で用いられる。
重合開始剤は、重合温度に達した状態で滴下法により加えることもできるが、昇温前の常温の状態で加え、充分に混合された後に昇温し、重合させる方法が安定であり好ましい。重合温度は通常60度〜130度の範囲である。また顔料が有機顔料の場合、重合温度があまり高温では該顔料の変質や結晶成長などの形態変化が著しい場合があるため、その場合は70〜100度で重合することが好ましい。
重合後、ろ過により重合に使用した溶媒を除去し、さらに乾燥、粉砕を行う事で粉体の変性顔料として得ることができる。ろ過方法には、ヌッチェ、フィルタープレス等を使用できる。また乾燥には、箱型乾燥機、真空乾燥機、バンド乾燥機、スプレードライヤー等の公知の乾燥装置により乾燥することができる。また粉砕には、乳鉢、ハンマーミル、ディスクミル、ピンミル、ジェットミル等の公知の粉砕装置を使用することができる。ただし、得られた変性顔料の形態は問わず、液媒体、ウエットケーキ、粉体のいずれの形態でもかまわない。
本発明の着色組成物は、塗料、プラスチック材料、印刷インキ、インクジェット記録用インキ、熱転写インキ等として利用可能なほか、遮光膜、カラーフィルター、ブラックマトリックス、画像形成材料の光学的状態を変調または変化させる表示ディスプレイ等、例えば、電気泳動、電気毛管、エレクトロウェッティング、エレクトロクロミックディスプレイデバイス、あるいは光学シャッタ、光ピックアップ装置、液体光学レンズ等の光学素子等の電子部品材料としても使用可能である。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、下記実施例に何ら制限されるものではない。なお、以下実施例中にあるg、%は質量換算である。
(顔料)
顔料としては以下の黒色顔料を使用した。
カーボンブラック「MA−8」:三菱化学(株)製
(分散媒)
分散媒としては以下の材料を使用した。
シリコンオイル「KF96−2CS」:信越化学(株)製
テトラデカン特級:和光純薬(株)製
(重合性基及びポリマー鎖を有する顔料分散剤(Z)の製造方法)
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、還流管を備えた反応フラスコ内にペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物19.6g、水200ml及び85%水酸化カリウム13.29gから成る混合物を仕込み90度に加熱し、pHを10〜11に調整した。約2時間かけて31%塩酸18.0gを滴下し、pH4.5〜5.0に調整した。90度で1時間攪拌後、析出物を、ブフナーロートでろ過し、5Lの熱水で洗浄した。乾燥後、暗赤色生成物(Z1)を21.4g得た。
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、還流管を備えた反応フラスコ内に水100mlと5.5gのエタノールアミンと、8.98gの暗赤色生成物(Z1)を仕込み、20−30度で2時間攪拌した後昇温し、90−95度で2、5時間攪拌した。加熱停止後、常温まで内容物の温度を下げた後、酸性化により反応生成物を析出させた。これをブフナーロートでろ過し、4Lの水で洗浄し、ろ液が中性になっていることを確認した。ろ紙上残渣物を乾燥後、暗赤色生成物(Z2)を8.54g得た。
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコ内に、0.86gの暗赤色生成物(Z2)と2.0gのイミダゾール、100.0gの1−メチル−2ピロリドンを仕込み、80度で攪拌30分後、生成物Bが溶解していることを確認後、24.8gの側鎖プロピルアミン変性ポリジメチルシロキサン(KF−865:信越化学社製)を追加し、80度のまま23時間攪拌した。その後、105gのメタノールを加え、ろ過し、生成物(Z3)を得た。生成物(Z3)をトルエンにイソブタノールを5%混合した混合溶液を展開溶媒としたシリカゲルカラムにより単離し、エバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行い、11.4gの赤色粘調液(Z4)を得た。
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、塩化カルシウム乾燥管及び還流管を備えた反応フラスコ内に11.4gの赤色粘調液(Z4)と87.0gのテトラヒドロフランを仕込み溶解させた後、室温で攪拌しながら、2.0gのピリジンと、2.0gのアクリル酸クロライドを添加し、8.5時間攪拌し反応を続け、反応生成物(Z5)を得た。この反応生成物(Z5)をエバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行った後、トルエン/イソブタノール/テトラヒドロフラン=1/1/1展開溶媒としたシリカゲルカラムにより分取し、真空ポンプで脱溶剤を行い、顔料分散剤(Z)7.3gを得た。
Figure 0006221612

(顔料分散剤(Z)の構造)
HNMR(CDCl)測定結果
ペリレン:δ8.5〜8.7ppm、アクリロイル:5.5〜6.23ppm、ヒドロキシエチル:3.25ppm、シロキサンのメチル:0.02〜0.05ppm、シロキサンのプロピレン:0.44〜1.53ppm
(重合性基及びポリマー鎖を有する顔料分散剤(Y)の製造方法)
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、還流管を備えた反応フラスコ内にペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物19.6g、水200ml及び85%水酸化カリウム13.29gから成る混合物を仕込み90度に加熱し、pHを10〜11に調整した。約2時間かけて31%塩酸18.0gを滴下し、pH4.5〜5.0に調整した。90度で1時間攪拌後、析出物を、ブフナーロートでろ過し、5Lの熱水で洗浄した。乾燥後、暗赤色生成物(Y1)を21.4g得た。
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、還流管を備えた反応フラスコ内に水100mlと5.5gのエタノールアミンと、8.98gの暗赤色生成物(Y1)を仕込み、20−30度で2時間攪拌した後昇温し、90−95度で2、5時間攪拌した。加熱停止後、常温まで内容物の温度を下げた後、酸性化により反応生成物を析出させた。これをブフナーロートでろ過し、4Lの水で洗浄し、ろ液が中性になっていることを確認した。ろ紙上残渣物を乾燥後、暗赤色生成物(Y2)を8.54g得た。
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコ内に、14.0gの末端アミン変性ポリエーテル(JEFFAMINE M−1000:HUNTSMAN社製)と、4.0gのイミダゾール及び30.0gの1−メチル−2ピロリドンを仕込み、完全溶解確認後、4.0gの暗赤色生成物(Y2)を追加した。110℃のオイルバスで17時間攪拌し、生成物(Y3)を得た。生成物(Y3)をテトラヒドロフランを展開溶媒としたシリカゲルカラムにより単離し、エバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行い、6.4gの赤色粘調液(Y4)を得た。
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、塩化カルシウム乾燥管及び還流管を備えた反応フラスコ内に6.4gの赤色粘調液(Y4)と400.0gのテトラヒドロフランを仕込み溶解させた後、室温で1時間攪拌し、3.6gのトリエチルアミン(和光純薬工業(株)製)と、3.0gのアクリル酸クロライドを添加し、8時間攪拌し反応を続け、反応生成物(Y5)を得た。この反応生成物(Y5)をエバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行った後、トルエン/イソブタノール/メタノール=1/1/1を展開溶媒としたシリカゲルカラムにより生成物(Y6)を得た。生成物(Y6)をエバポレーターで減圧濃縮し、シクロヘキサン(和光純薬工業(株)製)を加え、目的化合物を沈殿させ、上澄みを除去する工程を3回繰り返し、その後真空ポンプで脱溶剤を行い、顔料分散剤(Y)4.3gを得た。
Figure 0006221612

(顔料分散剤(Y)の構造)
HNMR(CDCl)測定結果
ペリレン構造:δ8.60〜8.70ppm、アクリロイル基:δ5.75〜6.40ppm、ポリエーテル基:δ3.30〜3.63ppm
(重合性基及びポリマー鎖を有する顔料分散剤(X)の製造方法)
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、還流管を備えた反応フラスコ内にペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物19.6g、水200ml及び85%水酸化カリウム13.29gから成る混合物を仕込み90度に加熱し、pHを10〜11に調整した。約2時間かけて31%塩酸18.0gを滴下し、pH4.5〜5.0に調整した。90度で1時間攪拌後、析出物を、ブフナーロートでろ過し、5Lの熱水で洗浄した。乾燥後、暗赤色生成物(X1)を21.4g得た。
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、還流管を備えた反応フラスコ内に水100mlと5.5gのエタノールアミンと、8.98gの暗赤色生成物(X1)を仕込み、20−30度で2時間攪拌した後昇温し、90−95度で2、5時間攪拌した。加熱停止後、常温まで内容物の温度を下げた後、酸性化により反応生成物を析出させた。これをブフナーロートでろ過し、4Lの水で洗浄し、ろ液が中性になっていることを確認した。ろ紙上残渣物を乾燥後、暗赤色生成物(X2)を8.54g得た。
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコ内に、11.0gの末端アミン変性ポリイソブチレン(KerocomPIBA03:BASF社製)と、60.0gのテトラヒドロフラン(和光純薬製)を仕込み、完全溶解確認後、2.0gの暗赤色生成物(X2)を追加した。室温のまま15時間攪拌し、生成物(X3)を得た。生成物(X3)をトルエン/テトラヒドロフラン=1/1を展開溶媒としたシリカゲルカラムにより単離し、エバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行い、9.00gの赤色粘調液(X4)を得た。
温度計、攪拌機、窒素導入口、滴下ロート、塩化カルシウム乾燥管及び還流管を備えた反応フラスコ内に4.2gの赤色粘調液(X4)と150.0gのテトラヒドロフランを仕込み溶解させた後、室温で攪拌しながら、4.0gのピリジン(東京化成製)と、4.0gのアクリル酸クロライド(和光純薬製)を添加し、8時間攪拌し反応を続け、反応生成物(X5)を得た。この反応生成物(X5)をエバポレーターで減圧濃縮し脱溶剤を行った後、トルエン/テトラヒドロフラン=1/1を展開溶媒としたシリカゲルカラムにより分取し、真空ポンプで脱溶剤を行い、顔料分散剤(X)2.6gを得た。
Figure 0006221612

(顔料分散剤(X)の構造)
HNMR(CDCl)測定結果
ペリレン:δ8.5〜8.7ppm、アクリロイル:5.79〜6.41ppm、ヒドロキシエチル:4.22〜4.57ppm、ポリイソブチレン由来の脂肪族水素:0.68〜1.43ppm
(実施例1)
100mlポリエチレン瓶に、カーボンブラックを1.5g、顔料分散剤(Z)を2.52g、シリコンオイル25.98g、0.5mmジルコニアビーズを180g加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社)で120分分散混合し、顔料組成物(Z)を得た。この顔料組成物(Z)の分散粒子径を、前記に示す方法で測定を行った。
(比較例1)
100mlポリエチレン瓶に、カーボンブラックを1.5g、シリコンオイル28.5g、0.5mmジルコニアビーズを180g加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社)で120分分散混合し、顔料組成物(H1)を得た。この顔料組成物(H1)の分散粒子径を、前記に示す方法で測定を行った。
(実施例2 重合性組成物及び硬化物)
10ml遮光バイアル瓶に顔料組成物(Z)0.5gを、モノマーとしてIBXA(大阪有機化学社製)1.36gを、重合開始剤としてイルガキュア184(BASF社製)0.1gとルシリンTPO(BASF社製)0.04gを加え攪拌し、重合性組成物(Z)を得た。
重合性組成物(Z)をスピンコーターを用いて基材であるガラスプレート上に塗布した。その塗膜をUV照射機(日本電池社製S250−C1、120w/cm水銀メタルハライドランプ)で積算光量600mJ/cm2のエネルギー量で硬化させた所、その塗膜が完全に硬化することを確認した。
(実施例3)
(変性顔料(Z)の製造方法)
実施例1で得た顔料組成物(Z)の30gを温度計、攪拌機、還流冷却機及び窒素ガス導入管を備えたセパラブルフラスコに仕込んだ後、室温で30分窒素パージ攪拌を実施した。その後、メタクリル酸メチルの1.05g及びエチレングリコールジメタクリレートの1.95gの重合性単量体組成物に2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.12gを溶解したものを加え、室温で30分攪拌を続けた後、80度に昇温し、同温度で15時間反応を続けた。降温後、この重合顔料分散組成物を、熱風乾燥機により135度で5時間、真空乾燥機で5時間乾燥後、粉砕機にて粉砕を行う事で、変性顔料(Z)を得た。
100mlポリエチレン瓶に、変性顔料(Z)を4.02g、シリコンオイル25.98g、0.5mmジルコニアビーズを180g加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社)で120分分散混合し、顔料組成物(Z1)を得た。この顔料組成物(Z1)の分散粒子径を、前記に示す方法で測定を行った。
実施例1及び実施例3、比較例1の粒子径測定結果を表1に示す。なお表中「○」は、顔料としてカーボンブラック及び変性顔料(Z)、顔料分散剤(Z)あるいは溶媒を含有していることを示しており、「−」は含有していないことを示している。
Figure 0006221612

この結果から、顔料としてカーボンブラックを使用した場合において、顔料分散剤(Z)を使用すると、平均粒子径D50が小さく分散性に優れた顔料組成物が得られた。また、顔料として変性顔料(Z)を使用すると、平均粒子径D50が小さく分散性に優れた顔料組成物が得られた。
(実施例4)
100mlポリエチレン瓶に、カーボンブラックを1.5g、顔料分散剤(Y)を1.5g、水27.0g、0.5mmジルコニアビーズを180g加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で120分分散混合し、顔料組成物(Y)を得た。この顔料組成物(Y)の分散粒子径を、前記に示す方法で測定を行った。
(比較例2)
100mlポリエチレン瓶に、カーボンブラックを1.5g、水28.5g、0.5mmジルコニアビーズを180g加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社)で120分分散混合し、顔料組成物(H2)を得た。この顔料組成物(H2)の分散粒子径を、前記に示す方法で測定を行った。
(実施例5)
30mlポリエチレン瓶に、カーボンブラックを1.0g、顔料分散剤(Y)を1.0g、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)8.0g、0.5mmジルコニアビーズを60g加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で120分分散混合し、顔料組成物(Y1)を得た。この顔料組成物(Y1)の分散粒子径を、前記に示す方法で測定を行った。
10ml遮光バイアル瓶に顔料組成物(Y1)6gを、モノマーとしてジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)33g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)5g、イソオクチルアクリレート(IOA)12gを、重合開始剤としてイルガキュア819(BASF社製)4gとルシリンTPO(BASF社製)6gを加え攪拌し重合性組成物(Y)を得た。
重合性組成物(Y)を、スピンコーターを用いて基材であるガラスプレート上に塗布した。その塗膜をUV照射機(日本電池社製S250−C1、120w/cm水銀メタルハライドランプ)で積算光量200mJ/cm2のエネルギー量で硬化させた所、その塗膜が完全に硬化することを確認した。
(比較例3)
30mlポリエチレン瓶に、カーボンブラックを1.0g、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)9.0g、0.5mmジルコニアビーズを60g加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社)で120分分散混合し、顔料組成物(H3)を得た。この顔料組成物(H3)の分散粒子径を、前記に示す方法で測定を行った。
実施例4及び実施例5、比較例2及び比較例3の粒子径測定結果を表2に示す。なお表中「○」は、顔料としてカーボンブラック、顔料分散剤(Y)あるいは溶媒を含有していることを示しており、「−」は含有していないことを示している。
Figure 0006221612
この結果から、顔料としてカーボンブラックを使用した場合において、顔料分散剤(Y)を使用すると、平均粒子径D50が小さく分散性に優れた顔料組成物が得られた。
(実施例6)
100mlポリエチレン瓶に、カーボンブラックを1.5g、顔料分散剤(X)を1.5g、テトラデカン(和光純薬工業(株)製)27.0g、0.5mmジルコニアビーズを180g加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で120分分散混合し、顔料組成物(X)を得た。この顔料組成物(X)の分散粒子径を、前記に示す方法で測定を行った。
(比較例4)
100mlポリエチレン瓶に、カーボンブラックを1.5g、テトラデカン28.5g、0.5mmジルコニアビーズを180g加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社)で120分分散混合し、顔料組成物(H4)を得た。この顔料組成物(H4)の分散粒子径を、前記に示す方法で測定を行った。
(実施例7)
30mlポリエチレン瓶に、カーボンブラックを1.0g、顔料分散剤(X)を2.0g、ラウリルアクリレート(LA)7.0g、0.5mmジルコニアビーズを60g加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社製)で120分分散混合し、顔料組成物(X1)を得た。この顔料組成物(X1)の分散粒子径を、前記に示す方法で測定を行った。
10ml遮光バイアル瓶に顔料組成物(X1)5gを、モノマーとしてイソボルニルアクリレート35g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート5gを、重合開始剤としてイルガキュア819(BASF社製)2gとルシリンTPO(BASF社製)3gを加え攪拌し、重合性組成物(X)を得た。
重合性組成物(X)をスピンコーターを用いて基材であるガラスプレート上に塗布した。その塗膜をUV照射機(日本電池社製S250−C1、120w/cm水銀メタルハライドランプ)で積算光量200mJ/cm2のエネルギー量で硬化させた所、その塗膜が完全に硬化することを確認した。
(比較例5)
30mlポリエチレン瓶に、カーボンブラックを1.0g、ラウリルアクリレート(LA)9.0g、0.5mmジルコニアビーズを60g加えて、ペイントコンディショナー(東洋精機株式会社)で120分分散混合し、顔料組成物(H5)を得た。この顔料組成物(H5)の分散粒子径を、前記に示す方法で測定を行った。
実施例6及び実施例7、比較例4及び比較例5の粒子径測定結果を表3に示す。なお表中「○」は、顔料としてカーボンブラック、顔料分散剤(X)あるいは溶媒を含有していることを示しており、「−」は含有していないことを示している。
Figure 0006221612

この結果から、顔料としてカーボンブラックを使用した場合において、顔料分散剤(X)を使用すると、平均粒子径D50が小さく分散性に優れた顔料組成物が得られた。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で表されることを特徴とする顔料分散剤。
    Figure 0006221612
    (1)

    (一般式(1)中、Aはアクリロイルオキシ基である重合性官能基を表し、
    及びRは各々独立して単結合、炭素原子数1〜16の2価のアルキレン基を表し、
    は単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−CONH−、−NHCO−、−N(R11)−、−N(R12)CON(R13)−、−N(R14)COO−、又は−OCON(R15)−を表し(但し前記R11〜R15は各々独立して、水素原子、炭素原子数1〜6のアルキル基またはフェニル基を表し、
    〜R10は各々独立して水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基、置換若しくは無置換の芳香族複素環基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、又はカルボキシル基を表し(ただしR〜R10は、それらの内の2つで互いに結合して飽和若しくは不飽和の5員環又は6員環を形成してもよい)、
    Bは、ポリシロキサン鎖、ポリエーテル鎖、ポリイソブチレン鎖からなる群から選ばれる少なくとも1つのポリマー鎖を表す。)
  2. 請求項1に記載の一般式(1)で表される顔料分散剤、顔料、及び液媒体を含有することを特徴とする顔料組成物。
  3. 請求項1に記載の一般式(1)で表される顔料分散剤、顔料、及び液媒体を含有することを特徴とする重合性組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の一般式(1)で表される顔料分散剤を硬化してなる硬化物。
  5. 顔料表面に、請求項1〜3のいずれかに記載の一般式(1)で表される顔料分散剤の重合皮膜を有することを特徴とする変性顔料。
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