JP2019156770A - ベンゾアゾール化合物、並びにこれを含んだ顔料組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
また、これまでカラーフィルターのレッド用の顔料として広く使用されているピグメントレッド254を用いた顔料組成物は、透過率の向上が課題であった。
すなわち、本発明は、
(1)下記式(1)
(2)Yが二価の連結基−SO2−であり、かつZが炭素数1乃至6のアルキレン基である前項(1)に記載のベンゾアゾール化合物、
(3)R1乃至R8のいずれか1つが式(2)で表される置換基で、残りの7つが水素原子であり、かつXが硫黄原子又は二価の連結基−NH−である前項(1)又は(2)に記載のベンゾアゾール化合物、
(4)前項(1)乃至(3)のいずれか一項に記載のベンゾアゾール化合物、有機顔料及び樹脂分散剤を含有する顔料組成物、
(5)樹脂分散剤が酸性基を有する樹脂分散剤である前項(4)に記載の顔料組成物、
(6)有機顔料100質量部に対するベンゾアゾール化合物の添加量が1乃至50質量部である前項(4)又は(5)に記載の顔料組成物、
(7)有機顔料がジケトピロロピロール骨格を有する顔料である前項(4)乃至(6)のいずれか一項に記載の顔料組成物、
(8)前項(4)乃至(7)のいずれか一項に記載の顔料組成物及び重合性化合物を含有するカラーレジスト、
(9)前項(1)乃至(3)のいずれか一項に記載のベンゾアゾール化合物を含有するインクジェット用インク組成物、及び
(10)少なくとも一種以上の有機溶剤を含有する前項(9)に記載のインクジェット用インク組成物、
に関する。
本発明のベンゾアゾール化合物は下記式(1)で表される構造を有する。
式(1)のR1乃至R8が表す炭素数1乃至4のアルコキシ基は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよく、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基及びtert−ブトキシ基等が挙げられる。
式(1)のR1乃至R8が表すハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、好ましくは臭素原子又は塩素原子である。
式(1)におけるR1乃至R8としては、R1乃至R8のいずれか1つが式(2)で表される置換基であって、残りの7つが水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、ニトロ基又はハロゲン原子であることが好ましく、R1乃至R8のいずれか1つが式(2)で表される置換基であって、残りの7つが水素原子であることがより好ましい。
式(1)中のR9が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例としては、式(1)中のR1乃至R8が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例と同じものが挙げられる。
式(1)におけるXとしては酸素原子、硫黄原子又は二価の連結基−NR9−であって、R9が水素原子又はメチル基であることが好ましく、硫黄原子又は二価の連結基−NR9−であって、R9が水素原子であることがより好ましい。
式(2)中のR10が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例としては、式(1)中のR1乃至R8が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例と同じものが挙げられる。
式(2)におけるR10としては、水素原子であるか又はR10と後述するR11が結合して環を形成することが好ましく、該形成する環はピペラジン環であることが好ましい。
式(2)中のR11及びR12が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例としては、式(1)中のR1乃至R8が表す炭素数1乃至4のアルキル基の具体例と同じものが挙げられる。
式(2)におけるR11及びR12としては、炭素数1乃至3のアルキル基が好ましい。
式(2)におけるYとしては、二価の連結基−SO2−であることが好ましい。
式(2)中のZが表す炭素数1乃至6のアルキレン基は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよく、その具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、2−メチルプロピレン基等が挙げられる。
式(2)中のZが表すアリーレン基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ピリジル基等が挙げられる。
式(2)におけるZとしては、炭素数1乃至6のアルキレン基が好ましく、炭素数1乃至6の直鎖のアルキレン基がより好ましい。
式(2)のR11とR12が互いに結合して形成する環は、窒素原子を少なくとも一つ含む複素環であれば特に限定されないが、例えばピロリジン環、ピペリジン環及びモルホリン環等が挙げられる。
尚、式(2)におけるZが側鎖を有するアルキレン基の場合には、該側鎖とR10又はR11が互いに結合して環を形成してもよく、またZがアリーレン基の場合には、該アリーレン基が有する芳香環上の水素原子とR10又はR11が互いに結合して環を形成してもよい。これらZとR10又はR11が互いに結合して形成する環は、窒素原子を少なくとも一つ含む複素環であれば特に限定されないが、例えばピロリジン環及びピペリジン環等が挙げられる。
すなわち、まずは下記式(3)で示される化合物と下記式(4)で表される化合物を縮合反応させることにより、下記式(5)で表される化合物が得られる。下記式(3)乃至(5)において、R1乃至R8は水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表し、Xは上記式(1)におけるXと同じ意味を表す。
次に前記で得られた式(5)で表される化合物をクロロスルホン酸等でクロロスルホン化し、その後アミノ化によりスルファモイル基を形成することにより一般式(1)に表される所望の化合物を合成することが出来る。
本発明の顔料組成物が含有する有機顔料は、カラーインデックスに記載されたものなど従来公知のものであれば特に限定されない。例えば、アゾ系、アンサンスロン系、アントラキノン系、イソインドリノン系、イソインドリン系、インダンスロン系、キナクリドン系、キノフタロン系、ジオキサジン系、ジケトピロロピロール系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、ペリレン系及びベンズイミダゾロン系等の顔料が挙げられ、ジケトピロロピロール系の顔料(ジケトピロロピロール骨格を有する顔料)が好ましい。
本発明の顔料組成物における本発明の化合物の含有量は、有機顔料100質量部に対して通常0.1乃至70質量部であり、好ましくは0.5乃至60質量部、より好ましくは1乃至50質量部である。有機顔料に対する本発明の化合物の添加量を前記の範囲とすることにより、顔料組成物の分散安定性及び有機顔料の微粒子化が達成される。
樹脂分散剤の市販品としては、例えば、ビッグケミージャパン株式会社のBYK102、106、111、118、170、174、BASFジャパン社のジョンクリル586、611、804、819などが挙げられるが、これらに限定されない。樹脂分散剤の添加量は、有機顔料100質量部に対して通常5乃至100質量部、好ましくは10乃至50質量部である。有機顔料に対する樹脂分散剤の添加量を前記の範囲とすることにより、分散安定性の良好な顔料組成物が得られる。
本発明のカラーフィルターレジストに用い得る重合性化合物としては、光重合モノマー、エポキシ化合物及びメラミン系化合物等が挙げられる。これらの重合性化合物の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコー(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ビスフェノール−A型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−F型エポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール−フルオレン型エポキシジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、9,9−ビス〔4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル〕フルオレン、カヤラッドRP−1040(日本化薬製)、カヤラッドDPCA−30(日本化薬製)、UA−33H(新中村化学製)、UA−53H(新中村化学製)及びM−8060(東亞合成製)等の(メタ)アクリレートモノマー;TEMPIC(堺化学製)、TMMP(堺化学製)、PEMP(堺化学製)及びDPMP(堺化学製)等のチオール系重合モノマー;日本化薬製品のNC−6000、NC−6300、NC−6300H、NC−3000、EOCN−1020、XD−1000、EPPN−501H、BREN−S、NC−7300L、ダイセル化学製品のセロキサイト2021P、EHPE3150、サイクロマーM100、エポリードPB3600、ジャパンエポキシレジン製品のエピコート828、エピコートYX8000、エピコートYX4000、プリンテック製品のVG−3101L、サイラエースS510(チッソ)、TEPIC(日産化学工業)等のエポキシ化合物;並びにメチロール化メラミン及びMw−30(三和ケミカル)等のメラミン系化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの重合性化合物には、必要により重合開始剤や硬化促進剤等を併用することが好ましい。
重合性化合物は本発明のカラーレジスト中に1乃至50質量%を占める量が用いられる。
尚、これらの添加剤のうち、チクソ付与剤、有機又は無機フィラー及びカップリング剤等は、必要により本発明の顔料組成物に加えることも出来る。
また本発明のカラーレジストは、前記で得られた顔料組成物にさらに重合性化合物及び各種添加剤等を配合して、サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散することにより製造することができる。或いは簡便的には、有機顔料、本発明の化合物及び樹脂分散剤と必要に応じてその他の成分を、一括で混合及び分散しても構わない。
(工程1)
反応容器に2−メチルベンゾイミダゾール50部、無水フタル酸126部、安息香酸14部及びスルホラン750部を加え、180℃で14時間反応させた後、40℃まで冷却し、この反応液をメタノール2000部中に加え、「懸濁液1」を得た。「懸濁液1」をろ過して得られた「ウェットケーキ1」111部を80℃の熱風乾燥機で乾燥させることにより、下記式(11)で表される化合物を84部得た。
クロロスルホン酸200部中に、工程1で得られた式(11)で表される化合物40部を5乃至10℃でゆっくり添加した後、室温で24時間反応させた。この反応液を2000部の氷中に約20分間で滴下し、析出した固体をろ過分離した。さらに得られた固体を氷200部、水800部中で懸濁洗浄し、ろ過分離することにより、下記式(12)で表される化合物を含む「ウェットケーキ2」201部を得た。
工程2で得られた式(12)で表される化合物を含む「ウェットケーキ2」201部を水520部に懸濁させた後、N,N−ジエチルエチレンジアミンを89部加え室温で三時間撹拌した。懸濁液をろ過して得られた固体を水500部で懸濁洗浄し、「懸濁液2」を得た。「懸濁液2」をろ過分離することにより得た「ウェットケーキ3」193部を80℃の熱風乾燥機で乾燥させることにより、具体例化合物No.1で示される化合物54部を得た。該化合物の極大吸収波長λmaxは354nm(NMP)であった。
(工程4)
クロロスルホン酸100部中に、下記式(13)で表される化合物10部を5乃至10℃でゆっくり添加した後、チオニルクロリド21部を加え、室温で22時間反応させた。その後50℃でさらに12時間反応させ、この反応液を520部の氷中に約15分間で滴下し、析出した固体をろ過分離し、下記式(14)で表される化合物を含む「ウェットケーキ4」56.4部を得た。
工程4で得られた式(14)で表される化合物を含む「ウェットケーキ4」56.4部を水200部に懸濁させた後、N,N−ジエチルエチレンジアミンを20部加え室温で2時間撹拌した。懸濁液をろ過して得られた固体を水200部で懸濁洗浄し、「懸濁液2」を得た。「懸濁液3」をろ過分離することにより得た「ウェットケーキ5」54部を80℃の熱風乾燥機で乾燥させることにより、下記式(15)で表される比較用化合物(特許文献7の式(1)に包含される化合物)10.7部を得た。
1Lの四つ口フラスコにシクロペンタノン235部、メタクリル酸14.7部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル13.3部、メタクリル酸ベンジル72部、パーブチルRTMO(日本油脂株式会社製)3部を仕込み、窒素ガス注入下80℃まで昇温し、78乃至80℃でそのまま4時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、無色透明で均一な樹脂分散剤溶液Aを得た。得られた樹脂分散剤のポリスチレン換算重量平均分子量は18600であり、酸価は98であった。尚、本明細書において上付きのRTMは登録商標を意味する。
有機顔料としてC.I.ピグメントレッド254 2.0部、本発明の化合物として実施例1で得られたNo.1で示される化合物0.3部、樹脂分散剤として合成例2で得られた樹脂分散剤溶液A2.7部、溶剤としてシクロヘキサノン15部を配合し、プレミキシングの後、0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで60分間分散した。
実施例1で得られたNo.1で示される化合物の代わりに合成例1で得られた式(15)で表される比較用化合物を用いたこと以外は実施例2と同じ方法で顔料組成物を調製した。
実施例1で得られたNo.1で示される化合物を用いず、かつシクロヘキサノンの量を15.3部に変更したこと以外は実施例2と同じ方法で顔料組成物を調製した。
上記実施例2及び比較例1、2の顔料組成物について、得られた分散液20部をシクロヘキサノン20部で希釈し、250μmのポリプロピレン製のメッシュでろ過して、下記の評価基準で顔料組成物の微細化度合いを評価した。結果を表1に示した。
・評価基準
ろ過完結まで5分未満:○
ろ過完結まで5分以上30分以下:△
30分経ってもろ過完結せず:×
Claims (10)
- 下記式(1)
で表される置換基を、残りの7つは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、炭素数1乃至4のアルコキシ基、ニトロ基又はハロゲン原子を表す。Xは酸素原子、硫黄原子又は二価の連結基−NR9−を表す。R9は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。)で表される構造を有するベンゾアゾール化合物。 - Yが二価の連結基−SO2−であり、かつZが炭素数1乃至6のアルキレン基である請求項1に記載のベンゾアゾール化合物。
- R1乃至R8のいずれか1つが式(2)で表される置換基で、残りの7つが水素原子であり、かつXが硫黄原子又は二価の連結基−NH−である請求項1又は2に記載のベンゾアゾール化合物。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のベンゾアゾール化合物、有機顔料及び樹脂分散剤を含有する顔料組成物。
- 樹脂分散剤が酸性基を有する樹脂分散剤である請求項4に記載の顔料組成物。
- 有機顔料100質量部に対するベンゾアゾール化合物の添加量が1乃至50質量部である請求項4又は5に記載の顔料組成物。
- 有機顔料がジケトピロロピロール骨格を有する顔料である請求項4乃至6のいずれか一項に記載の顔料組成物。
- 請求項4乃至7のいずれか一項に記載の顔料組成物及び重合性化合物を含有するカラーレジスト。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のベンゾアゾール化合物を含有するインクジェット用インク組成物。
- 少なくとも一種以上の有機溶剤を含有する請求項9に記載のインクジェット用インク組成物。
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