JP2017190388A - ジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩、並びにこれを含んだ顔料組成物 - Google Patents

ジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩、並びにこれを含んだ顔料組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】有機顔料含有組成物を、凝集、沈降、粘度の経時増加を起こすことなく微粒子、高濃度化した、カラーフィルター用レジスト等の着色剤として安定な顔料組成物を提供。【解決手段】下記式(1)で表されるジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩。(nは1又は2;R1はH、C1〜4のアルキル基又はハロゲン原子;R2、R3及びR4はH又はC1〜4のアルキル基;X、Y及びZはO、S又はR4−NR4−)【選択図】なし

Description

本発明は、液晶ディスプレイや撮像素子などの製造に使用されるカラーフィルター用レジストやインクジェット用インクに用いられるジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩、並びに該化合物を含有する流動性や透明性に優れる顔料組成物に関する。
塗料や印刷インキ、近年ではカラーフィルター用レジストやインクジェット用インクの着色剤として、顔料が利用されている。顔料は、耐熱性、耐候性、耐マイグレーション等の諸特性で、染料と比較して堅牢性の面で優れるが、一方で組成物にした際の凝集、沈降、経時的な粘度の増加、異種顔料と混合した際の色分かれ等の潜在的な問題を有している。
また最近では、液晶ディスプレイの高コントラスト化や撮像素子の微細化、インクジェット用インクの高着色や高鮮明化等を達成するために、顔料の微粒子化および顔料組成物中における顔料の高濃度化の要求が高まっているが、粒子径の微細化や顔料の高濃度化に伴って凝集が起こりやすくなり、安定な分散体を得ることが困難となっている。
こうした問題を解決するために、顔料自体の改良検討(顔料表面処理)や、顔料に対して良好な吸着性を有する分散剤、界面活性剤の開発、および顔料誘導体等の提案がこれまでに行われてきた。顔料誘導体とは微粒子化する顔料と同構造あるいは類似構造の顔料に、酸性や塩基性等の置換基を導入した化合物で、顔料との親和性や吸着性を有し、且つ酸・塩基相互作用により分散剤とも強い結合力を有する為、顔料の微粒子化・分散安定化を向上させる性質を有するもので、顔料の粉砕・分散微粒子化工程等において使用されている。カラーフィルター用レジストやインクジェット用インクに用いられる顔料としては、フタロシアニン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アンスラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾ系顔料、染料レーキ顔料等が挙げられ、特にフタロシアニン系顔料、アンスラキノン系顔料、キナクリドン系顔料を中心に数々の顔料誘導体が報告されてきた。例えば、顔料のスルホン化物あるいはその金属塩を顔料と混和する方法(特許文献1〜3)、置換アミノメチル誘導体を混和する方法(特許文献4)フタルイミドメチル誘導体を混和する方法(特許文献5)等が知られている。
これらの方法は、特定の骨格を有する顔料に対する効果は認められるものの、スルホン基、アミノメチル基、フタルイミドメチル基などを導入することが構造上難しい顔料に対しては、導入する置換基の数や位置の制御が難しく、その結果として分散剤としての効果が不充分となり、更には色調に悪影響を及ぼす副生成物が多量に生成することにより、顔料分散液の品質が安定しない等の課題を有する。
また、これまでカラーフィルターのレッド用の顔料として広く使用されているピグメントレッド254を用いた顔料組成物は、透過率の向上が課題であった。
特公昭41−2466号公報 特開昭63−172772号公報 特公昭50−4019号公報 特公昭39−16787号公報 特開昭55−108466号公報 米国特許第4749795号 特開2013−125037号公報
本発明が解決しようとする課題は、C.I.ピグメントレッド254をはじめとするレッド系等の有機顔料を含む顔料組成物(顔料分散液)を、凝集、沈降、経時的な粘度の増加を引き起こすことなく顔料の微粒子化及び高濃度化することであり、カラーフィルター用レジストやインクジェット用インクの着色剤として、安定な組成物(分散体)を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、ジケトピロロピロールスルホン酸誘導体からなる化合物を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、
(1)下記式(1)
Figure 2017190388
(式(1)中、複数あるnは独立に1又は2の整数を表す。R1は水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基又はハロゲン原子を表す。R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。X、Y及びZはそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子又は二価の連結基−NR4−を表す。R4は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。)で表されるジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩、
(2)X、Y及びZが二価の連結基−NR4−であって、かつR4が水素原子である前項(1)に記載のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩、
(3)nが1であり、R2及びR3が水素原子である前項(1)又は(2)に記載のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩、
(4)R1が水素原子、メチル基、塩素原子又は臭素原子である前項(1)乃至(3)のいずれか一項に記載のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩、
(5)前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩、有機顔料及び樹脂分散剤を含有する顔料組成物、
(6)樹脂分散剤がカチオン系の樹脂分散剤である前項(5)に記載の顔料組成物、
(7)有機顔料100質量部に対するジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩の添加量が1乃至50質量部である前項(5)又は(6)に記載の顔料組成物、
(8)有機顔料がジケトピロロピロール骨格を有する有機顔料である前項(5)乃至(7)のいずれか一項に記載の顔料組成物、
(9)前項(5)乃至(8)のいずれか一項に記載の顔料組成物、バインダー樹脂及び重合性化合物を含有するカラーレジスト、
(10)前項(1)乃至(4)のいずれか一項に記載のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩を含有するインクジェット用インク組成物、
(11)更に、少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する前項(10)に記載のインクジェット用インク組成物、
に関する。
本発明の式(1)で示されるジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩は製造が極めて容易であり、該化合物を使用することにより、C.I.ピグメントレッド254等の顔料を含む顔料組成物を、凝集、沈降、経時的な粘度の増加を引き起こすことなく微粒子化・高濃度化することが可能となり、カラーフィルター用レジストやインクジェット用インクの着色剤として、安定な分散体を得ることができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩は下記式(1)で表される構造を有する。
Figure 2017190388
本発明のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩は、カラーフィルター用レジストやインクジェット用インクの着色剤として好適に用いることができる。以下、便宜上、「本発明のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩」を含めて、単に「本発明の化合物」と簡略して記載する。
式(1)中、nは式(1)で表される本発明の化合物が有するスルホン酸基の数を意味し、複数あるnは独立に1又は2の整数を表す。スルホン酸基は本発明の化合物に親水性を付与する役割を果たすものであり、その導入数(nの値)は本発明の顔料組成物に用いられる有機顔料や樹脂分散剤、任意に用いられる有機溶媒等との相性により選択すればよいがn=1が好ましい。
式(1)中、スルホン酸基の導入位置は特に限定されないが、nが1の場合は下記式(2)中のナフタレン環上に1乃至8で示した炭素原子のうちの6の炭素原子であることが好ましく、nが2の場合は6及び8の炭素原子であることが好ましい。尚、式(2)中のn、R1乃至R3、X、Y及びZは式(1)におけるn、R1乃至R3、X、Y及びZと同じ意味を表す。
Figure 2017190388
式(1)中、R1は水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基又はハロゲン原子を表す。R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。
式(1)のR1乃至R3が表す炭素数1乃至4のアルキル基は、直鎖、分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖であることが好ましく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基又はエチル基である。
式(1)のR1が表すハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられ、塩素原子又は臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
1の置換位置は、特に制限されないが、ベンゼン環上のジケトピロロピロール構造と結合している炭素原子に対するメタ位又はパラ位であることが好ましく、パラ位であることがより好ましい。
式(1)のR1としては、水素原子、炭素数1若しくは2のアルキル基又はハロゲン原子であることが好ましく、水素原子、メチル基、塩素原子又は臭素原子であることがより好ましく、水素原子、塩素原子又は臭素原子であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
式(1)のR2及びR3としては、水素原子又は炭素数1若しくは2のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
式(1)中、X、Y及びZはそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子又は二価の連結基−NR4−を表す。R4は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。
式(1)のR4が表す炭素数1乃至4のアルキル基としては、式(1)のR1乃至R3が表す炭素数1乃至4のアルキル基と同じものが挙げられる。
式(1)のR4としては水素原子又はメチル基であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式(1)のX、Y及びZとしては酸素原子又は二価の連結基−NR4−であって、かつR4が水素原子又はメチル基であることが好ましく、二価の連結基−NR4−であって、かつR4が水素原子又はメチル基であることがより好ましく、2価の連結基−NR4−であって、かつR4が水素原子であることが更に好ましい。
式(1)で表されるジケトピロロピロール化合物の塩は、無機又は有機の陽イオンの塩である。無機の陽イオンの塩の具体例としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が挙げられ、リチウム、ナトリウム又はカリウムの塩が好ましい。また有機の陽イオンの塩の具体例としては、下記式(3)で表される4級アンモニウム塩が挙げられるがこれに限定されるものではない。
Figure 2017190388
式(3)中、Z1乃至Z4はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基およびヒドロキシアルコキシアルキル基よりなる群から選択される基を表す。
式(3)のZ1乃至Z4が表すアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの炭素数1乃至4のアルキル基が挙げられる。
式(3)のZ1乃至Z4が表すヒドロキシアルキル基の具体例としてはヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシ炭素数1乃至4のアルキル基が挙げられる。
式(3)のZ1乃至Z4が表すヒドロキシアルコキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシエトキシメチル基、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−ヒドロキシエトキシプロピル基、2−ヒドロキシエトキシプロピル基、4−ヒドロキシエトキシブチル基、3−ヒドロキシエトキシブチル基、2−ヒドロキシエトキシブチル基等のヒドロキシ炭素数1乃至4アルコキシ炭素数1乃至4アルキル基が挙げられ、ヒドロキシエトキシ炭素数1乃至4アルキル基であることが好ましい。
1乃至Z4の特に好ましいものとしては、水素原子;メチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、3−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシブチル基等のヒドロキシC1−C4アルキル基;及びヒドロキシエトキシメチル基、2−ヒドロキシエトキシエチル基、3−ヒドロキシエトキシプロピル基、2−ヒドロキシエトキシプロピル基、4−ヒドロキシエトキシブチル基、3−ヒドロキシエトキシブチル基、2−ヒドロキシエトキシブチル基等のヒドロキシエトキシ炭素数1乃至4アルキル基が挙げられる。
式(3)で表される4級アンモニウム塩におけるZ1乃至Z4の好ましい組み合わせの具体例を下記表1に示す。
Figure 2017190388
また前記式(1)で表される本発明の化合物の塩は、遊離酸やその互変異性体、およびそれら各種の塩の混合物であってもよい。例えばナトリウム塩とアンモニウム塩の混合物、遊離酸とナトリウム塩の混合物、リチウム塩、ナトリウム塩およびアンモニウム塩の混合物など、いずれの組み合わせを用いても良い。塩の種類によって溶解性などの物性値が異なる場合も有り、必要に応じて適宜塩の種類を選択したり、複数の塩などを含む場合にはその比率を変化させることにより、目的に適う物性を有する混合物を得ることもできる。
本発明の化合物は、例えば次のようにして製造することができる。すなわち、特許文献6に記載の方法により、下記式(4)で表される化合物を合成した後に、該式(4)で表される化合物と下記式(5)で表される化合物とを縮合反応させて下記式(6)で表される化合物を合成する。更に、該式(6)で表される化合物と下記式(7)で表される化合物とを、通常60乃至120℃、好ましくは90乃至110℃で常法により縮合反応させることにより、式(1)で表される本発明の化合物を得ることが出来る。
Figure 2017190388
Figure 2017190388
Figure 2017190388
Figure 2017190388
式(4)及至(7)中、n、R1乃至R3X、Y及びZは式(1)におけるのと同じ意味を表す。
本発明の化合物の具体例を以下に示す。
Figure 2017190388
Figure 2017190388
Figure 2017190388
本発明の顔料組成物は、本発明の化合物、有機顔料及び樹脂分散剤を含有する。
本発明の顔料組成物が含有する有機顔料としては、カラーインデックスに記載されたものなど従来公知のものであれば特に限定されないが、本発明の式(1)で表される顔料誘導体自体がレッド系の色相を有するため、有機顔料本来の色相を損なわない意味ではレッド系の有機顔料を用いるのが好ましく、カラーインデックスでピグメントレッドに分類される有機顔料を用いるのがより好ましく、C.I.ピグメントレッド254が好ましい。
また、本発明の化合物がジケトピロロポロール骨格を有することから、顔料組成物が含有する有機顔料は、ジケトピロロピロール骨格を有する有機顔料であることが好ましい。
本発明の顔料組成物が含有する樹脂分散剤としては、公知の樹脂分散剤であれば特に限定されないが、本発明の顔料誘導体のスルホン酸誘導体部位との親和性を考慮した場合、カチオン系の樹脂分散剤が好ましい。カチオン系の樹脂分散剤としては、例えば、ビッグケミージャパン株式会社のBYK112、116、140、142、161、162、164、166、182、2000、2001、2050、2070、2150、エフカ社のEFKA4010、4015、4020、4050、4055、4060、4300、4330、4400、4406、日本ルーブリゾール株式会社のソルスパース、24000、32500、味の素ファインテクノ社のアジスパーPB711、821、822、881などが挙げられる。樹脂分散剤の添加量は、有機顔料100質量部に対して通常5乃至100質量部、好ましくは10乃至50質量部である。樹脂分散剤の添加量が5質量部よりも少ない場合は、良好な分散安定性を得ることができない。
本発明の顔料組成物には、必要により有機溶剤を加えることができる。用い得る有機溶剤は特に限定されないが、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。有機溶剤は顔料組成物中に90質量%以下を占める量が用いられる。
本発明の顔料組成物には、必要によりバインダー樹脂を加えることができる。用い得るバインダー樹脂は特に限定されないが、例えば、スチレン系(共)重合体、(メタ)アクリル酸エステル系(共)重合体、スチレン−マレイン酸エステル系共重合体、セルロースアセテート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂などが挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。バインダー樹脂は顔料組成物中に50質量%以下を占める量が用いられる。
本発明の顔料組成物に必要により加えることのできるその他の添加剤としては、例えばチクソ付与剤、重合性を持つ樹脂及び重合開始剤や硬化剤、硬化促進剤、重合禁止剤、有機又は無機フィラー、カップリング剤等が挙げられるが、これらは顔料組成物の具体的な目的用途によって選択すればよく上記に限定されない。また、その添加量も、具体的な目的用途に合わせて選択すれば良い。
本発明の顔料組成物は、例えば次のような方法で調製することができる。すなわち、有機顔料および本発明の化合物の配合の方法としては、従来公知の種々の方法、例えば、それぞれの乾燥粉末やプレスケーキを単に混合する方法やニーダー、ビーズミル、ディゾルバー、アトライター等の各種分散機により機械的に混合する方法、水又は有機溶剤中に有機顔料を懸濁させ、その中に本発明の化合物を添加混合して有機顔料の表面に均一に沈着する方法などが挙げられる。次に、得られた有機顔料および本発明の化合物の混合物に、樹脂分散剤と必要に応じて各種有機溶剤、バインダー樹脂、各種添加剤等を配合して、サンドミル、アニュラー型ビーズミル、アトライター等で分散することにより、所望の顔料組成物を製造することができる。或いは簡便的には、有機顔料、本発明の化合物及び樹脂分散剤と必要に応じてその他の成分を、一括で混合及び分散しても構わない。なお、本発明の顔料組成物における本発明の化合物の添加量は、有機顔料100質量部に対して通常0.1乃至70質量部であり、好ましくは0.5乃至60質量部、より好ましくは1乃至50質量部である。本発明の化合物の配合割合が少なすぎると、目的とする分散安定性および有機顔料の微粒子化が達成されず、また配合割合を増やしすぎても分散安定性の低下が認められるため、配合量の最適化が必要である。
本発明の顔料組成物の用途は特に限定されず、例えばグラビア印刷インキなどの各種印刷インキ、塗料、電子写真用乾式トナー又は湿式トナー、インクジェット記録用インキ、カラーフィルター用レジスト着色剤などの種々の用途が挙げられる。特に、本発明の顔料組成物は、顔料の微粒子化および高い安定性が要求されるカラーフィルター用レジスト着色剤、インクジェット記録用インキとして有用である。
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。尚、本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。実施例における極大吸収波長は分光光度計「(株)島津製作所製UV−3150」で測定した値であり、酸価はJIS K−0070:1992に準拠した測定方法で測定した値である。また、重量平均分子量はゲルパーミエイションクロマトグラフィーの測定結果に基づいて、ポリスチレン換算で算出した値である。
実施例1(上記具体例化合物No.1で示される化合物の合成)
(工程1)
反応容器1にtert−アミルアルコール100部及び60%水素化ナトリウム15.5部を加えて95℃にて加熱撹拌した。一方で、反応容器2にtert−アミルアルコール75部、特許文献7の方法により合成した下記式(8)で表される化合物37.5部、3−アミノベンゾニトリル17.7部を加熱溶解させ、これを反応容器1に30分間掛けて滴下した。100℃で10時間反応させた後、40℃まで冷却し、メタノール260部及び酢酸56部を加えてからろ別及びメタノール洗浄した後乾燥することにより、下記式(9)で表される化合物25部を得た。
Figure 2017190388
Figure 2017190388
(工程2)
2−アミノナフタレン−6−スルホン酸45.2部を水500部に加え25%水酸化ナトリウム水溶液でpH5乃至6にすることにより「水溶液1」を得た。攪拌下、氷水250部に塩化シアヌル18.4部を加えて懸濁し、反応温度0乃至5℃で先に得られた「水溶液1」を全量添加した。この間、反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を2.5乃至3.5に保持し、同温度で1時間攪拌したあと、温度60乃至70℃で反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を6.5乃至7.5に保持し、同温度で1時間攪拌して下記式(10)で表される化合物を含む「水溶液2」を750部得た。
Figure 2017190388
(工程3)
反応容器に、N−メチル−2−ピロリドン20部、工程1で得られた式(9)で表される化合物2.0部及び工程2で得られた式(10)で表される化合物を含む水溶液70部を加え、100℃で10時間反応させた後、40℃まで冷却し、ろ別およびメタノール洗浄した後乾燥することにより、具体例化合物No.1で表される化合物1.0部を得た。該化合物の極大吸収波長λmaxは507nm(NMP)であった。
合成例1(バインダー樹脂Aの調製)
500mlの四つ口フラスコにメチルエチルケトン160g、メタクリル酸10g、ベンジルメタクリレート33g、α,α’−アゾビス(イソブチロニトリル)1gを仕込み、攪拌しながら30分間窒素ガスをフラスコ内に流入した。その後、80℃まで昇温し、80乃至85℃でそのまま4時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、無色透明で均一な共重合体溶液を得た。これをイソプロピルアルコールと水の1:1混合溶液中で沈殿させ、濾過し、固形分を取り出し、乾燥させ、バインダー樹脂Aを得た。得られたバインダー樹脂Aのポリスチレン換算重量平均分子量は18000であり、酸価は152であった。
実施例2(本発明の顔料組成物の調製)
有機顔料としてC.I.ピグメントレッド254 10.0部、本発明の化合物として実施例1で得られた化合物1.0部、バインダー樹脂として合成例1で得られたバインダー樹脂A1.8部、樹脂分散剤としてアジスパーPB881(味の素ファインテクノ社製)、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート82部を配合し、プレミキシングの後、0.3mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで60分間分散した。得られた分散液を5μmのフィルタでろ過することにより顔料組成物を調製した。
比較例1(比較用の顔料組成物の調製)
実施例1で得られたNo.1で表される化合物を用いなかったこと以外は実施例2と同じ方法で顔料組成物を調製した。
上記実施例2及び比較例1の顔料組成物について、B型粘度計を用い、室温(25℃)10rpmの条件で粘度の測定を行い、下記の基準で評価した。尚、保存安定性を確認するために、初期(調製直後)の他に40℃で3日放置後の粘度も測定及び評価した。結果を表2に示した。
・評価基準
初期粘度:20mPa・s未満○、20mPa・s以上×
40℃×3日後粘度増加率:20%未満○、20%以上×
尚、調製直後にゲル化したものについては、40℃で3日放置後の粘度は「測定不能」とした。
Figure 2017190388
表2の結果から明らかなように、実施例2の顔料組成物は、本顔料誘導体を添加しない比較例1と比べて初期粘度が低く抑えられており、実際に使用する際の作業性並びにレジストやインクの品質を損なわないものである。更に保存安定性についても、比較例と比べて良好な結果を示した。
具体的には、比較例1がゲル化により分散不可であったのに対し、実施例2は初期の分散が良好であり、しかも40℃×3日後の粘度増加率も20%以下であった。
本発明のジケトピロロピロール化合物を用いることにより、凝集、沈降、経時的な粘度の増加をすることなく、微粒子化・高濃度化することが可能であり、顔料誘導体は、カラーフィルター用レジストやインクジェット用インクの着色剤として、安定な分散体を得るために非常に有用である。


Claims (11)

  1. 下記式(1)
    Figure 2017190388
    (式(1)中、複数あるnは独立に1又は2の整数を表す。R1は水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基又はハロゲン原子を表す。R2およびR3はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。X、Y及びZはそれぞれ独立に酸素原子、硫黄原子又は二価の連結基−NR4−を表す。R4は水素原子又は炭素数1乃至4のアルキル基を表す。)で表されるジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩。
  2. X、Y及びZが二価の連結基−NR4−であって、かつR4が水素原子である請求項1に記載のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩。
  3. nが1であり、R2及びR3が水素原子である請求項1又は2に記載のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩。
  4. 1が水素原子、メチル基、塩素原子又は臭素原子である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩、有機顔料及び樹脂分散剤を含有する顔料組成物。
  6. 樹脂分散剤がカチオン系の樹脂分散剤である請求項5に記載の顔料組成物。
  7. 有機顔料100質量部に対するジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩の添加量が1乃至50質量部である請求項5又は6に記載の顔料組成物。
  8. 有機顔料がジケトピロロピロール骨格を有する有機顔料である請求項5乃至7のいずれか一項に記載の顔料組成物。
  9. 請求項5乃至8のいずれか一項に記載の顔料組成物、バインダー樹脂及び重合性化合物を含有するカラーレジスト。
  10. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のジケトピロロピロール化合物又はそれらの塩を含有するインクジェット用インク組成物。
  11. 更に、少なくとも一種以上の有機溶媒を含有する請求項10に記載のインクジェット用インク組成物。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109755580A (zh) * 2018-12-29 2019-05-14 桑德集团有限公司 一种锂硫电池粘结剂及其制备方法、正极材料

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