JP6205708B2 - 硬化物、有機el素子用基板及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1には、ガラス基板上にエッチング液を塗布することによってガラス基板に溝や凹凸構造を形成した後、凹凸構造の間隙を充填するように高屈折率材料層をゾルゲル法により形成して凹凸構造を平坦化し、その上に第1電極、有機発光材料を含む有機固体層及び第2電極を形成した有機EL素子が提案されている。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤は、光を効率的に吸収させるため、芳香環を含む化合物が多く用いられる。しかし、この芳香環が原因で、得られる硬化物が黄変してしまうという課題を有する。
また、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤は、重合反応を効率的に開始させるために、低分子量化合物が通常用いられる。しかし、硬化時の重合熱により、低分子量化合物である活性エネルギー線ラジカル重合開始剤が揮発し、硬化時に悪臭を発生してしまうという課題を有する。
更に、得られる硬化物中に、未反応の活性エネルギー線ラジカル重合開始剤や活性エネルギー線ラジカル重合開始剤の分解物が残存するため、硬化物に光が照射されると、硬化物の黄変や悪臭に繋がる。
酸化チタンを除く遷移酸化金属微粒子を含み、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤及び活性エネルギー線ラジカル重合開始剤の分解物を含まない硬化物に関する。
また、本発明は、酸化チタンを除く遷移酸化金属微粒子を含み、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤を含まない組成物に、活性エネルギー線を照射して硬化させた硬化物に関する。
また、前記有機EL素子用基板を含む有機EL素子に関する。
また、酸化チタンを除く遷移金属酸化物微粒子を含み、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤を含まない組成物に、活性エネルギー線を照射して硬化させる、硬化物の製造方法に関する。
更に、凹凸構造を有する基材の凹凸構造を有する表面に、酸化チタンを除く遷移金属酸化物微粒子を含み、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤を含まない組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させる、有機EL素子用基板の製造方法に関する。
本発明の有機EL素子用基板の製造方法は、基板の平坦化が容易であり、有機EL素子の各層を均一に形成しやすい。
本発明の有機EL素子用基板は、有機EL素子に用いることにより、有機EL素子の光取り出し効率に優れる。
本発明の有機EL素子は、光取り出し効率に優れる。
本発明の硬化物は、活性エネルギー線を照射して硬化させた硬化物において、酸化チタンを除く遷移酸化金属微粒子を含み、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤及び活性エネルギー線ラジカル重合開始剤の分解物を含まないものであり、酸化チタンを除く遷移酸化金属微粒子を含み、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤を含まない組成物に、活性エネルギー線を照射して硬化させたものである。
本発明の組成物は、酸化チタンを除く遷移酸化金属微粒子を含み、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤を含まない。
遷移金属酸化物微粒子は、活性エネルギー線を照射することでラジカルを発生し、遷移金属酸化物微粒子同士が結合し、硬化物となる。
尚、本明細書において、遷移金属は、周期表で第3族元素から第11族元素の間に存在する元素で構成された金属を指す。
組成物中の遷移金属酸化物微粒子の含有率は、有機EL素子の光取り出し効率に優れることから、組成物100質量%中、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が好ましく、70質量%以上が好ましい。
尚、本明細書における遷移金属酸化物微粒子の屈折率は、以下のように測定した値とする。
カーギル標準屈折液の膜をガラスプレート上に作成し、膜内に遷移金属酸化物微粒子を添加し、他のガラスプレートを被せ、ガラスプレートで挟み込んで固定し、これをサンプルとして、ヘーズメータを用いて全光線透過率を測定する。カーギル標準屈折液の屈折率を変更しながら、前記と同様に全光線透過率を測定する。測定した全光線透過率の中から、最も大きい全光線透過率が得られたときのカーギル標準屈折液の屈折率を遷移金属酸化物微粒子の屈折率とする。
遷移金属酸化物微粒子は、必要に応じて、表面処理を施してもよい。
遷移金属酸化物微粒子の表面処理方法としては、例えば、界面活性剤で表面処理する方法、オルガノシラン化合物で表面処理する方法等が挙げられる。これらの遷移金属酸化物微粒子の表面処理方法の中でも、遷移金属酸化物微粒子同士の結合がしやすいことから、オルガノシラン化合物で表面処理する方法が好ましく、下記一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物で表面処理する方法がより好ましい。
(R1)m−Si−(X)4−m (1)
尚、一般式(1)中、R1 は、水素原子、アルキル基若しくはアリール基又は不飽和結合を有する置換基で置換されたアルキル基若しくはアリール基を表し、Xは、水酸基又は加水分解可能な基を表し、mは、1〜3のいずれかの整数を表す。
mが2又は3の場合には、R1が複数存在し、mが1又は2の場合には、Xが複数存在する。R1又はXが複数する場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
加水分解可能な基としては、例えば、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等が挙げられ、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。)、ハロゲン原子(例えば、Cl、Br、I等)、R2COO(R2は、例えば、水素原子、メチル基、エチル基等が挙げられ、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。)等が挙げられる。これらの加水分解可能な基の中でも、遷移金属酸化物微粒子との反応性に優れることから、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。これらのアルキル基の中でも、遷移金属酸化物微粒子の分散安定性に優れることから、メチル基、エチル基が好ましい。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらのアリール基の中でも、遷移金属酸化物微粒子の分散安定性に優れることから、フェニル基が好ましい。
不飽和結合を有する置換基としては、例えば、ビニル重合性の置換基、アレン置換基、イソシアネート置換基等が挙げられる。これらの不飽和結合を有する置換基の中でも、組成物の硬化性に優れることから、ビニル重合性の置換基が好ましい。
尚、一般式(2)中、R10は、水素原子、メチル基、メトキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、フッ素原子又は塩素原子を表し、Yは、単結合、エステル基、アミド基、エーテル基又はウレア基を表し、Lは、2価の連結鎖を表し、R3は、アルキル基、アリール基を表し、nは、0又は1を表す。
アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。
2価の連結鎖としては、例えば、置換又は無置換のアルキレン基、置換又は無置換のアリーレン基、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド等が挙げられる。)を有する置換又は無置換のアルキレン基、内部に連結基を有する置換又は無置換のアリーレン基が挙げられる。
これらのLの中でも、組成物の硬化性に優れることから、置換又は無置換の炭素数2〜10のアルキレン基、置換又は無置換の炭素数6〜20のアリーレン基、内部に連結基を有する炭素数3〜10のアルキレン基が好ましく、無置換のアルキレン基、無置換のアリーレン基、内部にエーテル又はエステル連結基を有するアルキレン基がより好ましく、無置換のアルキレン基、内部にエーテル又はエステル連結基を有するアルキレン基が更に好ましい。
置換基としては、例えば、ハロゲン、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。これらの置換基は、更に置換されていてもよい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
Xが複数する場合、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
前記オルガノシラン化合物量が15質量部以上であると、活性エネルギー線で硬化させた際に十分な架橋反応が進行し、良好な膜を得ることができる。前記オルガノシラン化合物量が50質量部以下であると、硬化物の屈折率を高めることができる。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤は、活性エネルギー線を照射することによりラジカルを発生させ、ラジカル重合性化合物の重合を開始させる化合物を指す。この活性エネルギー線ラジカル重合開始剤は、硬化物の黄変や悪臭の原因となることから、硬化前の組成物や硬化物中に含んではならない。
活性エネルギー線ラジカル重合開始剤の分解物は、活性エネルギー線の照射や加熱、経時劣化等により、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤が分解した化合物を指す。
本発明の組成物は、必要に応じて、ラジカル重合性化合物を含んでもよい。組成物にラジカル重合性化合物を含むことで、得られる硬化物の硬度を向上することができる。
組成物中のラジカル重合性化合物の含有率は、有機EL素子の光取り出し効率に優れることから、組成物100質量%中、70質量%以下が好ましく、50質量%以下が好ましく、30質量%以下が好ましい。
ラジカル重合性化合物としては、例えば、分子中にラジカル重合性結合を単数有する単官能モノマー、分子中にラジカル重合性結合を複数有する多官能モノマー等が挙げられる。
尚、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートをいう。
本発明の組成物は、遷移金属酸化物微粒子、ラジカル重合性化合物以外にも、必要に応じて、他の成分を含んでもよい。
組成物中の他の成分の含有率は、有機EL素子の光取り出し効率に優れることから、組成物100質量%中、70質量%以下が好ましく、50質量%以下が好ましく、30質量%以下が好ましい。
他の成分としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、セルロース系樹脂、熱可塑性エラストマー等の樹脂;帯電防止剤、防汚性向上剤等の各種添加剤等が挙げられる。
本発明の組成物は、活性エネルギー線を照射する前に、一旦分散媒や溶媒に分散・溶解させ、その後溶剤を揮発させてもよい。組成物を一旦分散媒や溶媒に分散・溶解させることで、凹凸構造の細部まで組成物を塗布することができ、塗布した組成物の表面が平坦化され、組成物の硬化後に、凹凸構造と凹凸構造を包埋した硬化物の中での気泡の発生を抑制することができ、硬化物の表面が容易に平坦化される。
有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族類;メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ブチルアルコールブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチル酢酸等のエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの分散媒や溶媒の中でも、遷移金属酸化物微粒子の分散性に優れることから、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
分散媒や溶媒の揮発温度は、分散媒や溶媒の種類に応じて適宜設定すればよいが、分散媒や溶媒を充分に揮発させることができ、硬化物の分解を抑制できることから、40〜180℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。
分散媒や溶媒の揮発時間は、分散媒や溶媒の種類に応じて適宜設定すればよいが、分散媒や溶媒を充分に揮発させることができ、硬化物の分解を抑制できることから、1〜60分が好ましく、3〜30分がより好ましい。
本発明の組成物は、活性エネルギー線により硬化させることで、硬化物が得られる。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線が挙げられる。これらの活性エネルギー線は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
活性エネルギー線の波長は、組成物の硬化性に優れることから、500nm以下が好ましく、300nm以下が好ましい。
活性エネルギー線の積算光量は、組成物の種類に応じて適宜設定すればよいが、組成物の硬化性に優れ、硬化物の黄変や悪臭を抑制することから、100〜5000mJ/cm2が好ましく、200〜4000mJ/cm2がより好ましい。
本発明の硬化物は、凹凸構造を有する基材の凹凸構造を包埋して、有機EL素子用基板として好適に用いることができる。
以下、本発明の有機EL素子用基板について図1を用いて説明するが、図1に示す有機EL素子用基板1に限定されるものではない。
支持基材11は、可視光や活性エネルギー線を透過する基材が好ましい。
支持基材11の材料として樹脂を用いる場合、支持基材11の表面にSiOx膜、SiO/SiNの多重積層膜、樹脂系バリア膜に各種バリア膜設けてもよい。
支持基材11は、予め表面処理されていてもよい。表面処理方法としては、例えば、紫外線処理、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
接着層としては、支持基材11と凹凸構造を有する層21とを光学密着できれば特に限定されないが、例えば、公知の接着剤からなる層が挙げられる。接着剤としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシランカップリング剤を含む接着剤が好ましい。
凹凸構造を有する基材21は、図1のように支持基材11の上に凹凸構造を有する基材21が積層されていてもよく、支持基材11と凹凸構造を有する基材21とが一体化されていてもよいが、凹凸構造の形成のしやすさから、図1のように支持基材11の上に凹凸構造を有する基材21が積層された基材が好ましい。
モールドとしては、例えば、フォトリソグラフィーを用いたEUV露光により作製したモールド、3次元描画装置等のレーザー描画により作製したモールド、陽極酸化ポーラスアルミナからなるモールド、針状金属メッキ膜からなるモールド、切削バイトにより作製したプリズムモールド、ブラスト処理したモールドが挙げられる。これらのモールドの中でも、低コストであり、凹凸構造を大面積で形成でき、連続賦型が容易であることから、陽極酸化ポーラスアルミナからなるモールド、針状金属メッキ膜からなるモールド、切削バイトにより作製したプリズムモールド、ブラスト処理したモールドが好ましく、針状金属メッキ膜からなるモールドがより好ましい。
レプリカモールドの製造方法としては、例えば、前記モールドの上に重合性化合物を塗布し、硬化させてモールドの凹凸構造を転写させて製造する方法、凹凸構造を有する上述のモールドに樹脂を加熱加圧して接触させて、モールドの凹凸構造を転写させて製造する方法等が挙げられる。
硬化物31は、凹凸構造を有する基材21の凹凸構造を包埋し、本発明の硬化物を用いることで、有機EL素子の光取り出し効率に優れる。
硬化物31の屈折率は、凹凸構造を有する基材21が屈折率1.49程度のアクリル樹脂で、第1電極51が屈折率2.12のインジウム・スズ・オキサイド(ITO)である場合、1.55〜2.10が好ましく、1.60〜2.05がより好ましく、1.65〜2.00が更に好ましい。硬化物31の屈折率が1.55以上であると、第1電極51と硬化物31の界面での光の全反射を抑制できる。硬化物31の屈折率が2.10以下であると、凹凸構造を有する基材21と硬化物31の界面での光の全反射を抑制できる。
尚、本明細書における硬化物の屈折率は、フィルム状にした硬化物を、20℃の条件下で、He−Neレーザを光源とし、プリズムカプラを用いて測定した値とする。
凹凸構造のピッチが200nm以上1μm未満の場合、第1電極51や発光層61に閉じ込められていた光を、回折効果によって外部に取り出すことができ、有機EL素子の光の取り出し効率に優れる。
凹凸構造のピッチが1μm以上50μm以下の場合、第1電極51や発光層61に閉じ込められていた光を、散乱によって外部に取り出すことができ、有機EL素子の光の取り出し効率に優れる。
本発明の有機EL素子用基板は、有機EL素子として好適に用いることができる。
以下、本発明の有機EL素子について図2及び図3を用いて説明するが、図2及び図3に示す有機EL素子用基板2及び3に限定されるものではない。
図3に示す有機EL素子は、有機EL素子用基板の硬化物31側の上に、第1電極51と、第1電極51と離間して設けられた第2電極71と、第1電極51と第2電極71との間に設けられた発光層61と、第2電極上に封止材81とを有し、有機EL素子用基板の支持基材11側の上に、光取り出し部材91を有するものである。
第1電極51の材料としては、例えば、導電性を有する金属酸化物、光透過性を有し金属薄膜を形成し得る金属、導電性を有する有機高分子等が挙げられる。
導電性を有する金属酸化物としては、例えば、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド(IZO)等が挙げられる。
光透過性を有し金属薄膜を形成し得る金属としては、例えば、金、白金、銀、銅、アルミニウム等が挙げられる。
導電性を有する有機高分子としては、例えば、ポリアニリン、その誘導体、ポリチオフェン、PEDOT−PSS(ポリ(3, 4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルフォネート))、その誘導体等が挙げられる。
第1電極51の厚さは、光透過性及び導電性を両立する観点から、10〜1000nmが好ましく、50〜500nmがより好ましい。
第1電極は、陽極であってもよく、陰極であってもよい。第1電極は、通常、陽極とされる。
発光層61は、有機化合物の発光材料を含む層である。
発光層61の厚さは、有機EL素子の光取り出し効率に優れることから、1〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。
第1電極51と発光層61との間の他の機能層としては、第1電極51の側から順に、正孔注入層、正孔輸送層が挙げられる。
発光層61と第2電極71との間の他の機能層としては、発光層の側から順に、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層が挙げられる。
正孔注入材料としては、例えば、銅フタロシアニン(CuPc);酸化バナジウム;導電性を有する有機高分子;公知の正孔注入材料等が挙げられる。
正孔注入層の厚さは、有機EL素子の光取り出し効率に優れることから、1〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。
正孔輸送性材料としては、例えば、トリフェニルジアミン類(4,4'−ビス(m−トリルフェニルアミノ)ビフェニル(TPD)等);公知の正孔輸送性材料等が挙げられる。
正孔輸送層の厚さは、有機EL素子の光取り出し効率に優れることから、1〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。
正孔阻止材料としては、例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP);公知の正孔阻止材料等が挙げられる。
正孔阻止層の厚さは、有機EL素子の光取り出し効率に優れることから、1〜100nmが好ましく、5〜50nmがより好ましい。
電子輸送性材料としては、例えば、8−ヒドロキシキノリン又はその誘導体の金属錯体(Alq3等);オキサジアゾール誘導体;公知の電子輸送性材料等が挙げられる。
電子輸送層の厚さは、有機EL素子の光取り出し効率に優れることから、1〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。
電子注入材料としては、例えば、アルカリ金属化合物(フッ化リチウム等);アルカリ土類金属化合物(フッ化マグネシウム等);金属(ストロンチウム等);公知の電子注入材料等が挙げられる。
電子注入層の厚さは、有機EL素子の光取り出し効率に優れることから、1〜100nmが好ましく、10〜50nmがより好ましい。
第2電極71の材料としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属;前記金属のうち2つ以上を組み合わせた合金;前記金属のフッ化物等の金属塩類;前記金属のうち1つ以上と前記金属のうち1つ以上との合金等が挙げられる。
合金の具体例としては、例えば、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
第2電極71の厚さは、耐久性及び導電性を両立する観点から、5〜1000nmが好ましく、10〜300nmがより好ましい。
第1電極は、陽極であってもよく、陰極であってもよい。第1電極は、通常、陰極とされる。
封止材81は、酸素や異物混入による有機EL素子の劣化を防ぐためのものであり、例えば、公知の封止材等が挙げられる。
光取り出し部材91は、支持基材11から取り出せない光を取り出すためのものであり、例えば、マイクロレンズアレイシート等が挙げられる。
光取り出し部材91は、支持基材11と光学密着させるため、支持基材11と光取り出し部材91との間に接着層を有することが好ましい。
接着層としては、支持基材11と光取り出し部材91とを光学密着できれば特に限定されないが、例えば、公知の接着剤からなる層が挙げられる。接着剤としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシランカップリング剤を含む接着剤が好ましい。
実施例1〜4、比較例1〜2及び参考例で得られた硬化物の表面を指で触り、以下の基準で評価を行った。
○:ベタつきが認められなかった。
×:ベタつきが認められた。
尚、ベタつきが認められたものは、組成物が硬化されていない又は組成物の硬化が充分
でないことを示す。
実施例2〜4、比較例1〜2及び参考例で用いた組成物及び得られた硬化物を、フーリエ変換赤外分光光度計(機種名「NEXUS470」、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)で測定し、以下の基準で硬化前後の炭素−炭素二重結合の吸収(1625〜1650cm−1付近)の減少を評価した。
○:減少が認められた。
×:減少が認められなかった。
組成物の分散液として、酸化ジルコニウム微粒子(体積平均粒子径60nm、屈折率2.40)分散プロピレングリコールモノメチルエーテル液(CIKナノテック社製、酸化ジルコニウム100質量部に対しプロピレングリコールモノメチルエーテル250質量部)を、バーコート法によりポリエチレンナフタレートフィルム(商品名「テオネックス」、帝人デュポンフィルム(株)製)に塗布し、大気中、150℃で10分加熱して分散媒を揮発させて、組成物の塗膜を得た。
得られた組成物の塗膜に、高圧水銀ランプ(機種名「HB100A−1」、セン特殊光源社製)を用いて、2000mJ/cm2の積算光量の紫外線を照射し、硬化物を得た。得られた硬化物は、黄変や悪臭がなく、ベタつきが認められなかった。
組成物の分散液として、酸化ジルコニウム微粒子(体積平均粒子径60nm、屈折率2.40)分散プロピレングリコールモノメチルエーテル液(CIKナノテック社製、酸化ジルコニウム100質量部に対しプロピレングリコールモノメチルエーテル250質量部)を固形分換算で76質量%及び下記一般式(3)で表されるメタクリレート(商品名「アクリエステルPBOM」、三菱レイヨン(株)製)24質量%の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
組成物の分散液として、酸化ジルコニウム微粒子(体積平均粒子径60nm、屈折率2.40)分散プロピレングリコールモノメチルエーテル液(CIKナノテック社製、酸化ジルコニウム100質量部に対しプロピレングリコールモノメチルエーテル250質量部)を固形分換算で76質量%及び下記一般式(4)で表されるメタクリレート(商品名「KBM503」、信越化学工業(株)製)24質量%の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
組成物の分散液として、酸化チタン微粒子(体積平均粒子径60nm、屈折率2.52)分散プロピレングリコールモノメチルエーテル液(CIKナノテック社製、チタニア100質量部に対しプロピレングリコールモノメチルエーテル250質量部)を固形分換算で76質量%及び一般式(4)で表されるメタクリレート24質量%の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
組成物の分散液として、前記一般式(2)において、Xがメトキシ基、R10がメチル基、Yがエステル基、Lがプロピレン基、n=0である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理をした酸化ジルコニウム微粒子(体積平均粒子径60nm、屈折率2.40)分散プロピレングリコールモノメチルエーテル液(CIKナノテック社製、酸化ジルコニウム成分:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン成分=76:24(質量比)、表面処理をした酸化ジルコニウム100質量部に対し及びプロピレングリコールモノメチルエーテル250質量部)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で行った。
組成物の分散液として、酸化亜鉛微粒子(体積平均粒子径60nm、屈折率1.95)分散プロピレングリコールモノメチルエーテル液(CIKナノテック社製、亜鉛酸化物微粒子100質量部に対しプロピレングリコールモノメチルエーテル250質量部)を固形分換算で76質量%及び一般式(3)で表されるメタクリレート24質量%の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
組成物の分散液として、酸化亜鉛微粒子(体積平均粒子径60nm、屈折率1.95)分散プロピレングリコールモノメチルエーテル液(CIKナノテック社製、亜鉛酸化物微粒子100質量部に対しプロピレングリコールモノメチルエーテル250質量部)を固形分換算で76質量%及び一般式(4)で表されるメタクリレート24質量%の混合物を用いた以外は、実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
実施例2で用いた組成物及び得られた硬化物のフーリエ変換赤外分光光度計による測定スペクトルを図4及び図5に、比較例2で用いた組成物及び得られた硬化物のフーリエ変換赤外分光光度計による測定スペクトルを図6及び図7に示す。
PBOM:「アクリエステルPBOM」(商品名、三菱レイヨン(株)製)
KBM :「KBM503」(商品名、信越化学工業(株)製)
また、図4〜7からも分かるように、実施例2における組成物は、硬化前後で炭素−炭素二重結合の吸収の減少が認められ、ラジカル重合による硬化が確認できたのに対し、比較例2における組成物は、硬化前後で炭素−炭素二重結合の吸収の減少が認められず、ラジカル重合による硬化が確認できなかった。
ポリブチレングリコールジメタクリレート(商品名「アクリルエステルPBOM」、三菱レイヨン(株)製)50質量部、トリメチロールエタン/アクリル酸/コハク酸(2/4/1(質量比))の縮合物50質量部、ベンゾイルエチルエーテル3質量部を混合し、ベンゾイルエチルエーテルが溶解するまで攪拌し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
5cm×5cmの針状ニッケル合金メッキモールド(ヱビナ電化工業(株)製、モールド基材:アルミニウム)の表面に、得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を滴下し、その上にポリエステル樹脂フィルム(商品名「HK−31」、東山フィルム(株)製)を被せ、ハンドロールで活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を押し広げた。ポリエステル樹脂フィルム越しに、積算光量1000mJ/cm2の紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた。その後、モールド及びポリエステル樹脂フィルムを剥離し、レプリカモールドを得た。
25cm×25cmのガラス基材(商品名「イーグルXG」、コーニング社製、厚さ0.7mm)と得られたレプリカモールドの間に、得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を挟み、積算光量1000mJ/cm2の紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた。その後、レプリカモールドを剥離し、ガラス基材上に凹凸構造を有する基材を得た。
得られたガラス基材上に凹凸構造を有する基材の凹凸構造を平坦化するように、実施例1で用いた組成物を、厚さ1.5μmになるようスリットコート法により塗布し、大気中、150℃で10分加熱して分散媒を揮発させた。その後、高圧水銀ランプ(機種名「HB100A−1」、セン特殊光源社製)を用いて、2000mJ/cm2の積算光量の紫外線を照射し、有機EL素子用基板を得た。
2 有機EL素子
3 有機EL素子
11 支持基材
21 凹凸構造を有する基材
31 硬化物
51 第1電極
61 発光層
71 第2電極
81 封止材
91 光取り出し部材
Claims (8)
- 活性エネルギー線を照射して硬化させた硬化物において、
遷移酸化金属微粒子(酸化チタンを除く)を含み、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤及び活性エネルギー線ラジカル重合開始剤の分解物を含まない硬化物。 - 遷移酸化金属微粒子(酸化チタンを除く)を含み、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤を含まない組成物に、活性エネルギー線を照射して硬化させた硬化物。
- 前記組成物が、更にラジカル重合性化合物を含む、請求項2に記載の硬化物。
- 遷移酸化金属微粒子(酸化チタンを除く)が、下記一般式(1)で表されるオルガノシラン化合物で表面処理されている、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化物。
(R1)m−Si−(X)4−m (1)
(一般式(1)中、R1は、水素原子、アルキル基若しくはアリール基又は不飽和結合
を有する置換基で置換されたアルキル基若しくはアリール基を表し、Xは、水酸基又は加水分解可能な基を表し、mは、1〜3の整数を表す。) - 凹凸構造を有する基材に、凹凸構造を包埋する層が積層された有機EL素子用基板であって、凹凸構造を包埋する層が、請求項1〜4のいずれかに記載の硬化物からなる層である有機EL素子用基板。
- 請求項5に記載の有機EL素子用基板を含む有機EL素子。
- 遷移金属酸化物微粒子(酸化チタンを除く)を含み、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤を含まない組成物に、活性エネルギー線を照射して硬化させる、硬化物の製造方法。
- 凹凸構造を有する基材の凹凸構造を有する表面に、遷移金属酸化物微粒子(酸化チタンを除く)を含み、活性エネルギー線ラジカル重合開始剤を含まない組成物を塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させる、有機EL素子用基板の製造方法。
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