JP6201120B2 - 光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製造方法 - Google Patents

光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6201120B2
JP6201120B2 JP2013042389A JP2013042389A JP6201120B2 JP 6201120 B2 JP6201120 B2 JP 6201120B2 JP 2013042389 A JP2013042389 A JP 2013042389A JP 2013042389 A JP2013042389 A JP 2013042389A JP 6201120 B2 JP6201120 B2 JP 6201120B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
trifluoro
methylpropionic acid
hydroxy
acid amide
optically active
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013042389A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014168431A (ja
Inventor
浅野 泰久
泰久 浅野
賢一 冨宿
賢一 冨宿
哲郎 西井
哲郎 西井
石井 章央
章央 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Central Glass Co Ltd
Toyama Prefectural University
Original Assignee
Central Glass Co Ltd
Toyama Prefectural University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Central Glass Co Ltd, Toyama Prefectural University filed Critical Central Glass Co Ltd
Priority to JP2013042389A priority Critical patent/JP6201120B2/ja
Publication of JP2014168431A publication Critical patent/JP2014168431A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6201120B2 publication Critical patent/JP6201120B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

本発明は、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製造方法に関する。
光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸は、種々の医農薬中間体として重要な化合物である。これまでに、化学的な方法では、ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸に光学分割剤を作用させて、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造する方法が報告されている。一方、化学的な方法とは別に、生物学的な方法により光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造する方法も知られており、例えば、ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エステルに生物の酵素を作用させて立体選択的に加水分解する方法(特許文献1〜7、非特許文献1)、ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸ニトリルに生物の酵素を作用させて立体選択的に加水分解する方法(特許文献8)が開示・報告されている。
同様に、ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを立体選択的に加水分解する方法についても生物学的な方法が知られており、特許文献9に、Klebsiella属、Pseudomonas属、Rhodococcus属、Arthrobacter属又はBacillus属の微生物を用いた方法が、特許文献10に、Klebsiella属又はPseudomonas属の微生物を用いた方法が開示され、非特許文献2と非特許文献3ではKlebsiella属の微生物を用いた方法が開示・報告されている。
特開2003−079392号公報 DE19725802号明細書 特開平11−075889号公報 特開2000−014397号公報 特開2000−509254号公報 特開2006−67962号公報 特開平11−313695号公報 特表2009−543571号公報 特開2008−148694号公報 特開2000−513942号公報
Tetrahedron:Asymmetry 10(1999)679−687 Organic Process Research & Development 2002、6、497−504 Tetrahedron 60(2004)、747−752
ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドに生物の酵素を作用させて立体選択的に加水分解し、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造する方法は知られていたが、使用される微生物は限られていた。
本発明の課題は、これまでに使用されていない微生物菌体を用いて、ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを立体選択的に加水分解することにより、より経済的に且つ簡便に、高い光学純度で、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意検討した結果、ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを立体選択的に加水分解する新規微生物を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明では、以下の[発明1]〜[発明12]に記載する発明を提供する。
[発明1]
ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドに、微生物菌体としてのシネラ・エスピー(Shinella sp.)もしくはその細胞抽出物、および/または微生物菌体としてのアルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)もしくはその細胞抽出物を作用させて、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造する方法。
ここで、上記ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドは、下記式[1]で表されるものであり、上記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸は、下記式[2]で表されるものである。
Figure 0006201120
Figure 0006201120
[発明2]
シネラ・エスピー(Shinella sp.)は、受番号がNITE −1527である微生物菌体であり、
アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)は、受番号がNITE −1526である微生物菌体である、
発明1に記載の方法。
[発明3]
前記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸とともに、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドも製造される、発明1または2に記載の方法。
ここで、上記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドは、下記式[3]で表されるものである。
Figure 0006201120
[発明4]
前記ラセミ体にシネラ・エスピー(Shinella sp.)もしくはその細胞抽出物を作用させたときは、前記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸として、(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸が製造され、
前記ラセミ体にアルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)を作用させたときは、前記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸として、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸が製造される、
発明1〜3のいずれか1つに記載の方法。
ここで、上記(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸は、下記式[4]で表されるものであり、上記(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸は、下記式[5]で表されるものである。
Figure 0006201120
Figure 0006201120
[発明5]
前記ラセミ体にシネラ・エスピー(Shinella sp.)もしくはその細胞抽出物を作用させたときは、前記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドとして、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドが製造され、
前記ラセミ体にアルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)もしくはその細胞抽出物を作用させたときは、前記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドとして、(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドが製造される、
請求項3に記載の方法。
ここで、上記(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドは、下記式[6]で表されるものであり、上記(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドは、下記式[7]で表されるものである。
Figure 0006201120
Figure 0006201120
[発明6]
発明3に記載の方法により得られた光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドに、微生物菌体としてのシネラ・エスピー(Shinella sp.)もしくはその細胞抽出物、または微生物菌体としてのアルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)もしくはその細胞抽出物を作用させて、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造する方法。
[発明7]
前記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドが(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドであるときは、アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)もしくはその細胞抽出物を作用させて、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造し、
前記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドが(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドであるときは、シネラ・エスピー(Shinella sp.)もしくはその細胞抽出物を作用させて、(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造する、
発明6に記載の方法。
ここで、上記(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、および上記(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸は、前記式[5]および式[4]と同じである。
[発明8]
前記微生物菌体は、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを主要な窒素源として含む培地を用いた集積培養により単離されたものである、発明1〜7のいずれか1つに記載の方法。
[発明9]
前記微生物菌体またはその細胞抽出物を含む液体に対し、該微生物菌体またはその細胞抽出物を作用させるラセミ体または光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを、0.1〜40%(w/v)の濃度で添加する、発明1〜8のいずれか1つに記載の方法。
[発明10]
前記作用させる際の反応温度が20〜30℃である、発明1〜9のいずれか1つに記載の方法。
[発明11]
受託番号がNITE −1526である微生物菌体。
[発明12]
受託番号がNITE −1527である微生物菌体。
前述したように、ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドに微生物を作用させて立体選択的に加水分解し、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造する方法は従来から知られていたが、使用される微生物種は限られていた。そこで本発明者らは、高い立体選択性で該アミドを加水分解するシネラ・エスピー(Shinella sp.)及びアルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)を新たに見出し、経済的に且つ簡便に、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸(すなわち、(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸、又は(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸)を製造する方法を新たに見出した。
本発明では、微生物は培養した菌体をそのまま用いることが出来るのは勿論、超音波やガラスビーズで破砕した菌体、アクリルアミド等で固定化した菌体、アセトンやグルタルアルデヒドなどの有機化合物で処理した菌体、アルミナ、シリカ、ゼオライト及び珪藻土等の無機担体に担持した菌体、該微生物より調製した無細胞抽出液や精製酵素、該微生物よりクローニングした遺伝子を導入した遺伝子組換え体も用いることが出来る。
医農薬中間体として重要な光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を経済的に且つ簡便に製造することが出来る。
Arthrobacter sp. S−2株(受託番号:NITE P−152)を用いた光学分割(基質濃度:0.2% (w/v))の経時変化(基質として添加したラセミ体のアミドを100%としたときのアミド(未反応物)の回収率とカルボン酸の収率)の結果を示す図である。
Shinella sp. R−6株(受託番号:NITE P−152)を用いた光学分割(基質濃度0.2%)の経時変化(基質として添加したラセミ体のアミドを100%としたときのアミド(未反応物)の回収率とカルボン酸の収率)の結果を示す図である。
Shinella sp. R−6株(受託番号:NITE P−152)を用いた光学分割(2段階目)の経時変化(基質として添加した、Arthrobacter sp. S−2株(受託番号:NITE P−152)を用いて光学分割した(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを100%としたときのアミド(未反応物)の回収率とカルボン酸の収率)の結果を示す図である。
Arthrobacter sp. S−2株(受託番号:NITE P−152)を用いた光学分割の各種濃度における経時変化(基質として添加したラセミ体のアミドを100%としたときのカルボン酸の収率)の結果を示す図である。
Shinella sp. R−6株(受託番号:NITE P−152)を用いた光学分割の各種濃度における経時変化(基質として添加したラセミ体のアミドを100%としたときのカルボン酸の収率)の結果を示す図である。
以下に、本発明について詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
本発明において、「ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド」とは、「ラセミ体である3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド」を意味する。また、「光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸」および「光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド」とは、それぞれ、「光学活性を有する3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸」および「光学活性を有する3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド」を意味する。
本発明において基質として用いるラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドは、公知の化合物であり、従来技術(Journal of the Chemical Society(1954),366−374.)に基づいて当業者が適宜調製しても良いし、市販されているものを用いても良い。
本発明において、ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドそのもの自体は当然、それ以外に水又は炭素数1〜4のアルコールとの混合物も同等に用いることが出来る。本発明において、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を得るために使用することの出来る微生物菌体は、高い立体選択性を有する微生物菌体が好ましく、R体の立体選択性を有する微生物菌体としては、シネラ・エスピー(Shinella sp.)(より具体的には、受番号がNITE −1527である微生物菌体が好ましい)、S体の立体選択性を有する微生物菌体としては、アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)(より具体的には、受番号がNITE −1526である微生物菌体が好ましい)である。
上記シネラ・エスピー(Shinella sp.)およびアルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)は、後述の単離方法にて土壌より単離を行い、生物学的分類を行った。
単離されたシネラ・エスピー(Shinella sp.)(受番号:NITE −1527)は16SrDNA塩基配列解析の結果、Shinella zoogloeoidesと99.9%の相同性を示したが、明確な相違点も確認され、また、生理・生化学的性状試験の結果においてS. zoogloeoidesの性状に類似点が多く認められたものの、ウレアーゼ活性や4%塩化ナトリウム存在下で生育した点は、S. zoogloeoidesの性状と異なり、これまでに知られていない微生物であると言える。以下に、シネラ・エスピー(Shinella sp.)(受番号:NITE −1527)の生理・生化学的性状を示す。
<シネラ・エスピー(Shinella sp.)(受番号:NITE −1527)>
細胞形態:桿菌(0.7-0.8×1.5-2.0 μm)
グラム染色性:−
胞子の有無:−
運動性:+
コロニー形態:淡黄色円形レンズ状
カタラーゼ反応:+
オキシダーゼ反応:+
グルコースからの酸/ガス産生(酸産生/ガス産生):−/−
O/Fテスト(酸化/発酵):−/−
同様に、アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)(受番号:NITE −1526)についてはArthrobacter属の16S rDNA塩基配列に対し高い相同性を示したが、基準株に由来する16S rDNA塩基配列を見出すことは出来ず、また、生理・生化学性状試験の結果においてArthrobacter属の性状に類似点が多く認められたものの、性状の一致する既知主を見出すことが出来ず、これまでに知られていない微生物であると言える。以下に、アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)(受番号:NITE −1526)の生理・生化学的性状を示す。
<アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)(受番号:NITE −1526)>
細胞形態:桿菌(24時間:0.7-0.8×1.5-2.5 μm、72時間:0.7-0.8×1.0-1.2 μm) rod coccus cycle あり
グラム染色性:+
胞子の有無:−
運動性:−
コロニー形態:淡黄色円形レンズ状
カタラーゼ反応:+
オキシダーゼ反応:−
グルコースからの酸/ガス産生(酸産生/ガス産生):−/−
O/Fテスト(酸化/発酵):−/−
ここで、受番号が「NITE −1527」である微生物菌体は、「Shinella sp. R−6」と称し2013年2月5日付で、また受番号が「NITE −1526」である微生物菌体は、「Arthrobacter sp. S−2」と称し2013年2月5日付で、いずれも、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター(〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に寄託されたものである。なお、これら微生物菌体は、一般に市販されているものであり、当業者が容易に入手できる。
3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを立体選択的に加水分解する微生物菌体は、通常の微生物学的方法を用いて土壌、汚泥、排水又は動植物といった環境中から単離することが出来るが、ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを主要な窒素源として含む培地を用いた集積培養を実施することで、より効率的に当該加水分解反応に適した微生物菌体を単離することが出来る。
単離された微生物菌体の培養には、通常、微生物菌体の培養に用いられる栄養成分を含む培地(固体培地又は液体培地)が使用出来るが、水溶性である3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの加水分解を行う場合には、液体培地が好ましい。培地は、炭素源としてグルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール、デキストロース等の糖類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、グリセロール等のアルコール類、クエン酸、グルタミン酸、リンゴ酸等の有機酸類が、そして窒素源としてアンモニウム塩、ペプトン、ポリペプトン、カザミノ酸、アミノ酸、尿素、酵母エキス、麦芽エキス、コーンスティープリカー等が用いられる。さらに、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等の無機塩類や、イノシトール、ニコチン酸等のビタミン類等の培地組成が適宜添加出来る。
これらの炭素源、窒素源、その他培地組成のうち、炭素源については微生物菌体が十分に増殖する量であり且つ増殖を阻害しない量を加えることが好ましく、通常、培地1Lに対して5〜80g、好ましくは10〜40g加える。窒素源についても同様で、微生物菌体が十分に増殖する量且つ増殖を阻害しない量を加えることが好ましく、通常、培地1Lに対して5〜60g、好ましくは10〜50g、培地組成としての無機塩類やビタミン類については微生物菌体の増殖に必要な種類を加える必要があるが、高い濃度の場合には増殖が阻害されるため、通常、培地1Lに対して0.000000001〜10g加える。なお、これらは微生物に応じて複数の種類を組み合わせて使用することが出来る。
培地におけるpHは、微生物菌体の増殖に好適な範囲で調整する必要があり、通常4.0〜10.0、好ましくは6.0〜9.0で行う。培養における温度範囲は微生物菌体の増殖に好適な範囲で調整する必要があり、通常10〜50℃、好ましくは20〜40℃で行う。培養を円滑に進めるためには培地を攪拌することが好ましく、試験管やフラスコ等の小規模な器具の場合には振盪機を用いて、好ましくは50〜500rpm、より好ましくは100〜400rpmで行う。培養時間は微生物の増殖が収束する時間であれば良く、6〜96時間、好ましくは12〜72時間で行う。
基質である3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドに微生物を作用させるには、通常、微生物菌体を培養した懸濁液をそのまま反応に使用することが出来る。培養中に生じる成分が還元反応に悪影響を与える場合には、遠心分離等の操作で培養液から微生物菌体を1度回収して得られた菌体(静止菌体)を用いて、再び懸濁液を調製して反応に使用しても良い。また、培養した微生物菌体の細胞を破砕等して得られたものや、培養した微生物菌体から調製した酵素などの、各種細胞抽出物も反応に使用することも出来る。
反応を効率的に進めるには、該懸濁液中の微生物菌体の密度を高める必要があるが、密度が高過ぎると自己溶解酵素の産生や終末代謝産物の蓄積等により反応が阻害される場合があり、通常106〜1012cfu/mL(「cfu」は寒天培地上に形成されるコロニーの数を意味する、colony forming units)、好ましくは107〜1011cfu/mL、より好ましくは108〜1010cfu/mLで行う。
該懸濁液への3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの添加量は、該加水分解反応が進む濃度であれば量は問わないが、懸濁液に対して0.05〜50%(w/v)が好ましく、0.1〜40%(w/v)がより好ましい。また、該懸濁液への3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの添加方法については、加水分解反応をモニタリングしながら好ましい範囲を維持する様に、逐次的に添加するのが好ましい。
反応温度は微生物菌体の酵素反応に好適な範囲を維持する必要があり、通常5〜50℃、好ましくは10〜40℃、より好ましくは20〜30℃で行う。また、反応時のpHも微生物菌体の酵素反応に好適な範囲を維持する必要があり、通常4.0〜10.0、好ましくは6.0〜9.0で行う。
該懸濁液が静置状態にあると微生物菌体が沈降して反応効率が低下するため、反応時は懸濁液を攪拌しながら行う。反応時間は目的物の生成具合によって決定され、通常1〜312時間で行う。
生成された光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を反応終了液から回収するには、有機合成における一般的な単離方法が採用出来る。反応終了後、有機溶媒による抽出等の通常の後処理操作を行うことにより、粗生成物を得ることが出来る。得られた粗生成物は、必要に応じて、脱水、活性炭、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の精製操作を行うことが出来、得られた生成物の光学純度をより高めるための操作(キラルカラムクロマトグラフィー、光学分割剤、再結晶(特許第4105797号に記載の方法など)を行うことも可能である。
以上に述べた本発明の製造方法によれば、ラセミ体の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドから、特定の微生物菌体またはその細胞抽出物を用いることにより、立体選択的な加水分解反応を行い、光学活性を有する3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を90%ee以上(好ましくは、95%ee以上、さらに好ましくは99%ee以上)の光学純度で製造することができる。具体的には、シネラ・エスピー(Shinella sp.)もしくはその細胞抽出物を用いた場合は、(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を、上記光学純度で製造することができ、アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)を用いた場合は、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を、上記光学純度で製造することができる。
また本発明の製造方法においては、目的生成物である光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸とともに、未反応基質としての光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドも併せて得ることができる。具体的には、(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸が生成された場合は、未反応基質として(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを得ることができ、他方、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸が生成された場合は、未反応基質として(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを得ることができる。
さらに、上記の反応(先の反応)で得られた光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドは、さらにこれを基質として用いる加水分解反応(後の反応)を行うことにより、結果として、先の反応で生成された光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸とは逆の光学活性を有する3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸も併せて得ることができる。すなわち、先の反応と後の反応とで、逆の立体選択性を有する微生物菌体(つまり、シネラ・エスピー(Shinella sp.)とアルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.))を用いることで、R体とS体の両方の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を併せて生成することができ、さらに加水分解前の3,3,3−トリフルオロメチルプロピオン酸アミドよりも高い光学純度で3,3,3−トリフルオロメチルプロピオン酸を得ることができる。なお、上記の後の反応においては、例えば、鉱酸などの加水分解活性を有する公知の物質を用いることもできるが、この場合、光学純度は加水分解前と同等である。
本発明においては、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸(生成物)の製造に用いた微生物菌体(シネラ・エスピー(Shinella sp.)、アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.))は、該生成物を反応終了液から回収後、再度、新たに光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製造に利用することができる。この再利用は、例えば、少なくとも3回行うことができる。このように、微生物菌体を繰り返し生成反応に用いることにより、微生物菌体の1回の培養から、複数回の生成反応を行うことができるため、経済的にも優れるほか、基質となる3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの濃度が低い条件下であっても、生成反応の回数でその条件を補うことができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを加水分解する微生物の単離]
蒸留水1000mLにグリセロール5.0g、リン酸二水素カリウム2.0g、リン酸水素二カリウム2.0g、塩化ナトリウム1.0g、酵母エキス0.5g、硫酸マグネシウム七水和物0.2g、ビタミン混合溶液1.0mL、微量元素溶液1.0mLを添加し、pHを7.0に調整した後、試験管に2.5mLずつ分注し、高圧蒸気滅菌を行い単離用培地を調製した。ビタミン混合溶液は次の組成から成る、蒸留水100mL、イノシトール20mg、ニコチン酸4.0mg、パントテン酸カルシウム4.0mg、ピリドキシン塩酸塩4.0mg、チアミン塩酸塩4.0mg、p−アミノ安息香酸2.0mg、リボフラビン2.0mg、葉酸0.1mg、ビオチン0.02mg。微量元素溶液は以下の組成から成る、蒸留水100mL、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N、N、N’、N’−四酢酸一水和物500mg、硫酸鉄七水和物200mg、ホウ酸七水和物30mg、塩化コバルト六水和物20mg、硫酸亜鉛七水和物10mg、塩化マンガン七水和物3.0mg、モリブデン酸ナトリウム3.0mg、塩化ニッケル六水和物2.0mg塩化銅二水和物1.0mg。滅菌後の培地2.5mLにフィルター滅菌(0.2μm)した3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの10%水溶液を50μL添加した。任意の量の土壌サンプルを基質添加後の単離用培地に添加し、300rpm、30℃で3〜4日間振盪培養を行った。培養後の培養液50μLを再度同一の培地に添加し、同様に振盪培養を行った。この操作を4回繰り返して微生物を集積後、培養液10μLを寒天により固化した同じ組成の培地(φ9cmシャーレ内)に塗布し、30℃で1〜2日間静置培養を行った。培養後の寒天培地から単一コロニーを採取し、同様の寒天培地に30℃で1〜2日間培養後、4℃で保存した。
[静止菌体を用いた3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの加水分解反応]
高圧蒸気滅菌した単離用培地2.5mLにフィルター滅菌(0.2μL)した3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの10%水溶液を50μL添加した。これに実施例1で単離した菌株を接種し、300rpm、30℃で48時間振盪培養を行った。培養後の培養液を2.0mL採取し、20,000×g、4℃で5分間の遠心分離を行い上清を除去した。沈殿した菌体に20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を加え、20,000×g、4℃で5分間の遠心分離を行い、上清を除去した。この操作を2回繰り返し、菌体を洗浄した。洗浄した菌体に20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)980μLと10%3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド水溶液20μLを加え、1,000rpm、30℃で18時間振盪し、反応液を後述に示す条件でHPLC分析を行った。
単離した菌株の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドに対する反応性と生成した3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の立体選択性を表1に示す。
Figure 0006201120
20%ee以上の立体選択性が認められた菌株の詳細な結果を表2に示す。
Figure 0006201120
[HPLC分析]
反応液1.0mLを20,000×g、4℃で10分間の遠心分離を行い、上清600μLに超純水400μLを加え、20,000×g、4℃で10分間の遠心分離を行った。3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドから3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸への変換を確認するために、上清をカラム:Intertsil(登録商標) ODS−3(5μm×4.6mm×250mm)、溶媒:0.1%HPO:CHCN(9:1)、流速:0.8mL/分、カラム温度:40℃、検出波長;210nm、保持時間:3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド:9.0分、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸:16.7分にてHPLC分析を行った。この分析により3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドから3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸への変換が確認出来た菌株に関しては、立体選択性の評価を行うために上清をカラム:Sumichiral OA−5000(5μm×4.6mm×150mm)、溶媒:2mM CuSO:2−プロパノール(9:1)、流速1.0mL/分、カラム温度:40℃、検出波長:254nm、保持時間:(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸:22分、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸:26分にてHPLC分析を行った。
菌株番号6−1と23−3の微生物菌体は、16S rDNA塩基配列解析および生理・生化学性状試験の結果に基づいて、それぞれ順に、シネラ・エスピー(Shinella sp.)とアルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)であると同定した。前者のシネラ・エスピー(Shinella sp.)は、「Shinella sp. R−6」と称し2013年2月5日付で独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センターに寄託し(受番号:NITE −1527)、他方、後者のアルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)は、「Arthrobacter sp. S−2」と称し2013年2月5日付で上記特許生物寄託センターに寄託した(受番号:NITE −1526)。
[Arthrobacter sp. S−2株(受託番号:NITE P−152)を用いた光学分割]
1.培地調製
培地(0.2%リン酸二水素カリウム、0.2%リン酸水素二カリウム、0.1%塩化ナトリウム、0.05%酵母エキス、0.02%硫酸マグネシウム七水和物、0.1%ビタミン混合溶液、0.1%微量元素溶液、1%グリセロール、pH 7.0)を2.5 mLずつ試験管に分注し、オートクレーブ滅菌(121 ℃、20分間)した。ビタミン混合溶液(0.02%イノシトール、4 × 10-3%ニコチン酸、4 × 10-3%パントテン酸カルシウム、4 × 10-3%ピリドキシン塩酸塩、4 × 10-3%チアミン塩酸塩、2 × 10-3% 4-アミノ安息香酸、2 × 10-3%リボフラビン、1 × 10-3%葉酸、2 × 10-5%ビオチン)、微量元素溶液(0.5%トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N’,N’-四酢酸一水和物、0.2%硫酸鉄七水和物、0.03%ホウ酸、0.02%塩化コバルト六水和物、0.01%硫酸亜鉛七水和物、3 × 10-3%塩化マンガン七水和物、3 × 10-3%モリブデン酸ナトリウム、2 × 10-3%塩化ニッケル六水和物、1 × 10-3%塩化銅二水和物)。
2.前培養
オートクレーブ滅菌した培地5.0 mL(試験管)に、フィルター滅菌したラセミ体の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの5%水溶液200 μLを添加後、Arthrobactersp. S-2株を植菌し、300 rpm、30 ℃で24時間振盪培養した。
3.本培養
オートクレーブ滅菌した培地500 mL(振盪三角フラスコ)に、フィルター滅菌したラセミ体の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの5%水溶液20 mLをそれぞれ添加後、前培養液5.0 mLを添加し、150 rpm、30 ℃で24時間振盪培養した。
4.集菌
培養液500 mLから、200 mLずつ2つの遠沈管に分注し、9,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を除去した。菌体に20 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)を加え懸濁し、9,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を除去した。この洗浄操作を2回繰返し行った。
5.静止菌体反応
培養液200 mLから集菌し洗浄した菌体を20 mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)100.0 mLで懸濁し、ラセミ体の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド 200 mgを加え、150 rpm、30 ℃で振盪した。
6.HPLCによる反応の追跡
反応開始後それぞれ1, 2, 3, 4, 5時間後に反応液1.0 mLずつを採取し、20,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離した。上清800 μLを20,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離した。上清600 μLを、HPLC分析[カラム:COSMOSIL C18-MS-II(5 μm × 4.6 mm × 150 mm)、展開溶媒:0.1%リン酸‐アセトニトリル(9 / 1)、流速:0.8 mL/分、カラム温度:40℃、保持時間:アミド4.7分、カルボン酸7.6分]した(図1)。
7.反応終了後
反応開始5時間後にアミド約50%がカルボン酸へと転換されたことを確認後、反応液100 mLを遠沈管に分注し、9,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を採取した。菌体に蒸留水10 mLを加え懸濁し、9,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を採取した。この洗浄操作を2回繰返し行った。混合した反応上清に酢酸エチル50 mLを加え、未反応の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを抽出した。この抽出操作を5回繰返し行った。混合した有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓吸引濾過で硫酸ナトリウムを除去後、減圧濃縮、真空下での乾燥を経て、(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド 80.9 mg(43%、サンプリング分を考慮した換算収率)を得た。抽出後の水層に希塩酸を加え、pHを4程度にした後、ジエチルエーテル30 mLを加え、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を抽出した。この抽出操作を5回繰返し行った。混合した有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓吸引濾過で硫酸ナトリウムを除去後、減圧濃縮、真空下での乾燥を経て、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸 89.4 mg(47%、サンプリング分を考慮した換算収率)を得た。立体選択性の評価のために、得られた(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸をキラルカラムでのHPLC分析[カラム:SUMICHIRAL OA-5000(5 μm × 4.6 mm × 150 mm)、展開溶媒:2 mM硫酸銅水溶液‐2-プロパノール(9 / 1)、流速:1.0 mL/分、カラム温度:40 ℃、保持時間:(R) 22.8分、(S) 26.4分]した結果、89.6% eeであった。
[Shinella sp. R−6株(受託番号:NITE P−152)を用いた光学分割]
1.培地調製
培地(0.2%リン酸二水素カリウム、0.2%リン酸水素二カリウム、0.1%塩化ナトリウム、0.05%酵母エキス、0.02%硫酸マグネシウム七水和物、0.1%ビタミン混合溶液、0.1%微量元素溶液、1%グリセロール、pH 7.0)を2.5 mLずつ試験管に分注し、オートクレーブ滅菌(121 ℃、20分間)した。ビタミン混合溶液(0.02%イノシトール、4 × 10-3%ニコチン酸、4 × 10-3%パントテン酸カルシウム、4 × 10-3%ピリドキシン塩酸塩、4 × 10-3%チアミン塩酸塩、2 × 10-3% 4-アミノ安息香酸、2 × 10-3%リボフラビン、1 × 10-3%葉酸、2 × 10-5%ビオチン)、微量元素溶液(0.5%トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン-N,N,N’,N’-四酢酸一水和物、0.2%硫酸鉄七水和物、0.03%ホウ酸、0.02%塩化コバルト六水和物、0.01%硫酸亜鉛七水和物、3 × 10-3%塩化マンガン七水和物、3 × 10-3%モリブデン酸ナトリウム、2 × 10-3%塩化ニッケル六水和物、1 × 10-3%塩化銅二水和物)。
2.前培養
オートクレーブ滅菌した培地5.0 mL(試験管)に、フィルター滅菌したラセミ体の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの5%水溶液200 μLを添加後、Shinellasp. R-2株を植菌し、300 rpm、30 ℃で24時間振盪培養した。
3.本培養
オートクレーブ滅菌した培地500 mL(振盪三角フラスコ)に、フィルター滅菌したラセミ体の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの5%水溶液20 mLをそれぞれ添加後、前培養液5.0 mLを添加し、150 rpm、30 ℃で48時間振盪培養した。
4.集菌
培養液500 mLから、100 mLずつ4つの遠沈管に分注し、9,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を除去した。菌体に20 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)を加え懸濁し、9,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を除去した。この洗浄操作を2回繰返し行った。
5.静止菌体反応
培養液200 mLから集菌し洗浄した菌体を20 mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)100.0 mLで懸濁し、ラセミ体の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド 200 mgを加え、150 rpm、30 ℃で振盪した。
6.HPLCによる反応の追跡
反応開始後それぞれ2, 4, 6, 8, 10, 12時間後に反応液1.0 mLずつを採取し、20,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離した。上清800 μLを20,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離した。上清600 μLを、HPLC分析[カラム:COSMOSIL C18-MS-II(5 μm × 4.6 mm × 150 mm)、展開溶媒:0.1%リン酸‐アセトニトリル(9 / 1)、流速:0.8 mL/分、カラム温度:40℃、保持時間:アミド4.7分、カルボン酸7.6分]した(図2)。
7.反応終了後
反応開始12時間後にアミドがほぼ完全にカルボン酸へと転換されたことを確認後、反応液100 mLを遠沈管に分注し、9,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を採取した。菌体に蒸留水10 mLを加え懸濁し、9,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を採取した。この洗浄操作を2回繰返し行った。混合した反応上清に酢酸エチル50 mLを加え、未反応の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを抽出した。この抽出操作を5回繰返し行った。混合した有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓吸引濾過で硫酸ナトリウムを除去後、減圧濃縮、真空下での乾燥を経て、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド 89.6 mg(47%、サンプリング分を考慮した換算収率)を得た。抽出後の水層に希塩酸を加え、pHを4程度にした後、ジエチルエーテル30 mLを加え、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を抽出した。この抽出操作を5回繰返し行った。混合した有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓吸引濾過で硫酸ナトリウムを除去後、減圧濃縮、真空下での乾燥を経て、(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸 92.4 mg(49%、サンプリング分を考慮した換算収率)を得た。立体選択性の評価のために、得られた(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸をキラルカラムでのHPLC分析[カラム:SUMICHIRAL OA-5000(5 μm × 4.6 mm × 150 mm)、展開溶媒:2 mM硫酸銅水溶液‐2-プロパノール(9 / 1)、流速:1.0 mL/分、カラム温度:40 ℃、保持時間:(R) 22.8分、(S) 26.4分]した結果、91.3% eeであった。
[光学分割(2段階反応)の実施例;Arthrobacter sp. S−2株(受託番号:NITE P−152)を用いた静止菌体反応の回収原料((R)-アミド)に対する、Shinella sp. R−6株(受託番号:NITE P−152)を用いた静止菌体反応による(R)-カルボン酸への変換]
1.菌体の培養までは、前述の実施例3および4と同様。
2.静止菌体反応(2段階目)
培養液100 mLから集菌し洗浄した菌体を20 mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)50.0 mLで懸濁し、Arthrobactersp. S-2株を用いて光学分割した(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド 80.9 mgを加え、150 rpm、30 ℃で振盪した。
3.HPLCによる反応の追跡
反応開始後それぞれ2, 4, 6, 8, 10, 12時間後に反応液1.0 mLずつを採取し、20,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離した。上清800 μLを20,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離した。上清600 μLを、HPLC分析[カラム:COSMOSIL C18-MS-II(5 μm × 4.6 mm × 150 mm)、展開溶媒:0.1%リン酸‐アセトニトリル(9 / 1)、流速:0.8 mL/分、カラム温度:40℃、保持時間:アミド4.7分、カルボン酸7.6分]した(図3)。
4.反応終了後
反応開始12時間後にアミドがほぼ完全にカルボン酸へと転換されたことを確認後、反応液100 mLを遠沈管に分注し、9,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を採取した。菌体に蒸留水10 mLを加え懸濁し、9,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を採取した。この洗浄操作を2回繰返し行った。混合した反応上清に酢酸エチル50 mLを加え、未反応の(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを抽出した。抽出後の水層に希塩酸を加え、pHを4程度にした後、ジエチルエーテル30 mLを加え、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を抽出した。この抽出操作を5回繰返し行った。混合した有機層は無水硫酸ナトリウムで乾燥した。綿栓吸引濾過で硫酸ナトリウムを除去後、減圧濃縮、真空下での乾燥を経て、(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸 65.8 mg(92%、サンプリング分を考慮した換算収率)を得た。Arthrobacter sp. S-2株とShinella sp. R-6株を用いた2段階の通算収率は、40%であった。立体選択性の評価のために、得られた(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸をキラルカラムでのHPLC分析[カラム:SUMICHIRAL OA-5000(5 μm × 4.6 mm × 150 mm)、展開溶媒:2 mM硫酸銅水溶液‐2-プロパノール(9 / 1)、流速:1.0 mL/分、カラム温度:40 ℃、保持時間:(R) 22.8分、(S) 26.4分]した結果、>99.9% eeであった。
[基質濃度の検討;Arthrobacter sp. S−2株(受託番号:NITE P−152)]
1.集菌
培養液500 mLから、100 mLを遠沈管に分注し、9,500 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を除去した。菌体に20 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)を加え懸濁し、9,500 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を除去した。この洗浄操作を2回繰返し行った。
2.静止菌体反応
培養液100 mLから集菌し洗浄した菌体を20 mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)40 mLで懸濁し、4.0 mLずつ試験管10本に分注した。各濃度のラセミ体の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド水溶液1.0 mLを加え、150 rpm、30 ℃で振盪した。
3.HPLCによる反応の追跡
反応開始それぞれ2, 4, 8, 24時間後ごとに反応液を採取し、20,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離した。上清を超純水で適宜希釈し、20,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離した。上清をHPLC分析[カラム:COSMOSIL C18-MS-II(5 μm × 4.6 mm × 150 mm)、展開溶媒:0.1%リン酸‐アセトニトリル(9 / 1)、流速:0.8 mL/分、カラム温度:40℃、保持時間:アミド4.7分、カルボン酸7.6分]した(図5)。
4.結果
以上の検討から、基質濃度2.0%以下の場合、反応時間24時間以内に光学分割が達成されることが示された。
[基質濃度の検討;Shinella sp. R−6株(受託番号:NITE P−152)]
1.集菌
培養液500 mLから、100 mLを遠沈管に分注し、9,500 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を除去した。菌体に20 mM リン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)を加え懸濁し、9,500 × g、4 ℃で10分間遠心分離し、上清を除去した。この洗浄操作を2回繰返し行った。
2.静止菌体反応
培養液100 mLから集菌し洗浄した菌体を20 mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)40 mLで懸濁し、4.0 mLずつ試験管10本に分注した。各濃度のラセミ体の3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド水溶液1.0 mLを加え、150 rpm、30 ℃で振盪した。
3.HPLCによる反応の追跡
反応開始それぞれ2, 4, 8, 24時間後ごとに反応液を採取し、20,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離した。上清を超純水で適宜希釈し、20,000 × g、4 ℃で10分間遠心分離した。上清をHPLC分析[カラム:COSMOSIL C18-MS-II(5 μm × 4.6 mm × 150 mm)、展開溶媒:0.1%リン酸‐アセトニトリル(9 / 1)、流速:0.8 mL/分、カラム温度:40℃、保持時間:アミド4.7分、カルボン酸7.6分]した。
4.結果
以上の検討から、基質濃度0.5%以下の場合、反応時間24時間以内に光学分割が達成されることが示された。
[無細胞抽出液を用いた3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの加水分解反応]
実施例1〜2で用いた単離用培地2.5mLにフィルター滅菌(0.2μL)した3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの10%水溶液を50μL添加した。これに、Shinella sp. R−6(受番号:NITE −1527)と、Arthrobacter sp. S−2(受番号:NITE −1526)をそれぞれ植菌し、300rpm、30℃で48時間振盪培養を行った。培養後の培養液をそれぞれ2.4mLずつ採取し、20,000×g、4℃で5分間の遠心分離を行い、上清を除去した。菌体に20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を加え、20,000×g、4℃で5分間の遠心分離を行った。この洗浄操作を2回繰り返し行った。洗浄した菌体に20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)を600μL加え、ガラスビーズ(0.1mm)を加え、2,500rpm、4℃、60秒間の菌体破砕操作を3回行った(60秒間のインターバル)。破砕した菌体は20,000×g、4℃で5分間の遠心分離を行い上清を無細胞抽出液とした。無細胞抽出液500μLに20mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.0)480μLと10%3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミド水溶液20μLを加え、1,000rpm、30℃で4時間振盪し、前述に示すHPLC分析を行った。
無細胞抽出液での3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドの加水分解反応の結果を表3に示す。
Figure 0006201120
本発明で対象とする光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸は、医農薬中間体として利用出来る。

Claims (10)

  1. ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドに、微生物菌体として受託番号がNITE P−1527であるシネラ・エスピー(Shinella sp.)もしくはその細胞抽出物を作用させて、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸としての(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造する方法。
  2. 前記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸とともに、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドも製造される、請求項1に記載の方法。
  3. 記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドとして、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドが製造される、請求項に記載の方法。
  4. 請求項に記載の方法により得られた光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドに、微生物菌体としてのシネラ・エスピー(Shinella sp.)もしくはその細胞抽出物、または微生物菌体としてのアルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)もしくはその細胞抽出物を作用させて、光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造する方法。
  5. 前記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドが(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドであるときは、アルスロバクター・エスピー(Arthrobacter sp.)もしくはその細胞抽出物を作用させて、(S)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造し、
    前記光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドが(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−メチルプロピオン酸アミドであるときは、シネラ・エスピー(Shinella sp.)もしくはその細胞抽出物を作用させて、(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を製造する、
    請求項に記載の方法。
  6. シネラ・エスピーは、受託番号がNITE P−1527である微生物菌体であり、
    アルスロバクター・エスピーは、受託番号がNITE P−1526である微生物菌体である、
    請求項4または5に記載の方法。
  7. 前記微生物菌体は、3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを主要な窒素源として含む培地を用いた集積培養により単離されたものである、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記微生物菌体またはその細胞抽出物を含む液体に対し、該微生物菌体またはその細胞抽出物を作用させるラセミ体または光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドを、0.1〜40%(w/v)の濃度で添加する、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記作用させる際の反応温度が20〜30℃である、請求項1〜のいずれか1項に記載の方法。
  10. ラセミ体3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸アミドから、(R)−3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸を生成し得る、受託番号がNITE P−1527である微生物菌体。
JP2013042389A 2013-03-04 2013-03-04 光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製造方法 Active JP6201120B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013042389A JP6201120B2 (ja) 2013-03-04 2013-03-04 光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013042389A JP6201120B2 (ja) 2013-03-04 2013-03-04 光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014168431A JP2014168431A (ja) 2014-09-18
JP6201120B2 true JP6201120B2 (ja) 2017-09-27

Family

ID=51691374

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013042389A Active JP6201120B2 (ja) 2013-03-04 2013-03-04 光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6201120B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
PT938584E (pt) * 1996-07-10 2008-08-29 Lonza Ag Processo para o fabrico do ácido (s)-3,3,3-trifluoro-2-hidroxi-2-metilpropiónico ou (r)-3,3,3-trifluoro-2-hidroxi-2-metilpropiónico
JP2000014397A (ja) * 1998-07-01 2000-01-18 Sumitomo Chem Co Ltd 光学活性2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル酢酸類の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014168431A (ja) 2014-09-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1786179A (zh) S-(+)-2,2-二甲基环丙甲酰胺的微生物制备方法
CN109321487B (zh) 假单胞菌zjut126及在生产L-草铵膦中的应用
JP3154646B2 (ja) グリコール酸の微生物学的製造法
JP4857114B2 (ja) 2−ヒドロキシ−4置換ピリジンの製造方法
JP6201120B2 (ja) 光学活性3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸の製造方法
JP5403498B2 (ja) (r)−3−キヌクリジノールの製造方法
JP4197815B2 (ja) 微生物による(s)−3−ハロゲノ−1,2−プロパンジオールの製法
JP4306453B2 (ja) 微生物利用によるs体1,2−プロパンジオールの製法
WO2000037666A1 (fr) Procede de production de derive (r)-2-hydroxy-1-phenoxypropane
CN107586750B (zh) 一株产腈水合酶的菌株及用于生产对羟基苯乙酰胺的方法
JP6269076B2 (ja) (s)−1−ベンジル−3−アミノピペリジンの製造方法
JP3659123B2 (ja) 4−ハロゲノ−3−アルカノイルオキシブチロニトリルの光学分割方法
JP5126707B2 (ja) α−ヒドロキシアシルピリジンの製造方法
JP2002000292A (ja) 微生物培養法による光学活性1,2−ジオール類の製造法
JP4042557B2 (ja) 光学活性テトラヒドロフラン−2−カルボン酸及びそのエステルの製法
JP3789234B2 (ja) 6−ヒドロキシピコリン酸の製造方法
CN101517087B (zh) 制备2-羟基-4-(烷硫基或芳硫基)-1-丁酸的方法
JP4982164B2 (ja) 2−ヒドロキシ−4−置換ピリジンの製造方法
JP2001120296A (ja) 微生物による光学活性4−ハロゲノ−1,3−ブタンジオール及びその誘導体の製法
JP5333966B2 (ja) (s)−3−キヌクリジノールの製造方法
JP4793131B2 (ja) 光学活性2,3−ジクロロ−2−メチル−1−プロパノールおよび光学活性2−メチルエピクロルヒドリンの製造方法
JP2002017386A (ja) インドール−3−カルボン酸誘導体の製造法
JP4547983B2 (ja) 6−ヒドロキシピコリン酸の製造方法
JPH05192190A (ja) 光学活性なカルボン酸誘導体の製造方法
JPH07327692A (ja) 光学活性β−ヒドロキシカルボン酸及びその対掌体エステルの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160224

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161129

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20170124

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170328

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170704

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20170725

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170721

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170810

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6201120

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250