JP6196531B2 - 熱硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、熱硬化性樹脂組成物に関する。より詳しくは、電気、機械、自動車分野を始めとする様々な産業分野において有用な熱硬化性樹脂組成物に関する。
熱硬化性樹脂組成物は、熱によって硬化する性質を有する樹脂を含む組成物であり、様々な産業分野において、各用途に求められる物性を有する熱硬化性樹脂組成物の開発が進んでいる。このような熱硬化性樹脂組成物の用途の1つに、電子部品や半導体チップ等を実装した基板に用いられる封止材がある。電子部品や半導体チップ等を基板に実装する場合の実装方式は、高密度実装が可能なことから表面実装方式が多く、その際に電気絶縁性を有する封止材で封止しており、このような封止材としては、従来、有機主成分としてエポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物が汎用されている。
熱硬化性樹脂の原料の1つであるシアネートエステル化合物は、シアナト基(−OCN)を有する化合物であるが、環化三量化してトリアジン環構造を生成しながら重合することが知られており、例えば硬化性樹脂組成物に配合した場合には、トリアジン環構造に起因する耐熱性を発現することができる。そのため、これを含むシアネートエステル系組成物は、電気、機械、自動車分野を始めとする様々な産業分野への適用が検討されている。
シアネートエステル化合物を用いた硬化性樹脂組成物としては、例えば、三官能又は四官能のエポキシ樹脂、硬化剤、1分子内に少なくとも2個のシアネート基を有する化合物及び無機充填剤を必須成分として含有するエポキシ樹脂組成物(特許文献1参照)や、シアネートエステル化合物及び/若しくはそのプレポリマーを単独で、又は、更にエポキシ樹脂を併用してなる熱硬化性樹脂組成物に、硬化触媒として有機アルミニウム化合物とシラノール基等を有する有機ケイ素化合物とを配合した熱硬化性樹脂組成物(特許文献2参照)が開示されている。
国際公開第2007/037500号パンフレット 特開平9−100349号公報
上記のようにシアネートエステル化合物を含有する熱硬化性樹脂組成物として種々のものが開示されている。シアネートエステル化合物を含む樹脂組成物は、一般に遷移金属化合物類、イミダゾールやアミン等の含窒素化合物、アルカリ金属類等の塩基性化合物を硬化触媒として用いて硬化される。硬化反応を効率よく進行させるには200℃を超える高温に曝す必要があるが、半導体及び電子実装において最もよく用いられるエポキシ化合物の場合、200℃以下の硬化条件にて材料設計されているため、通常の設備では200℃を超える温度にすることができず、シアネートエステル化合物を用いる際には専用設備が必要となるという問題があった。また、200℃を超える高温空気に長期間暴露した硬化物は、機械物性の長期劣化挙動において問題があり、機械強度の低下を抑制することについて改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、シアネートエステル化合物を含む熱硬化性樹脂組成物であって、200℃以下の硬化温度で硬化させることができ、200℃を超える高温空気に長期間暴露した硬化物の機械強度の低下を抑制することができる熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、熱硬化性樹脂組成物を200℃以下の硬化温度で硬化させる方法について種々検討し、熱硬化性樹脂組成物の硬化触媒について着目した。そして本発明者は、熱硬化性樹脂組成物の硬化触媒としてメタロセン化合物を用いることにより、熱硬化性樹脂組成物を200℃以下の硬化温度で硬化させることができることを見いだした。また、本発明者は、本発明の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を、200℃を超える高温空気に長期間暴露した場合にも、硬化物の機械強度の低下を抑制することができることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、シアネートエステル化合物とメタロセン化合物とを含む熱硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、シアネートエステル化合物とメタロセン化合物とが含まれるが、これらが含まれる限りその他の成分が含まれてもよい。また、熱硬化性樹脂組成物には、シアネートエステル化合物及びメタロセン化合物がそれぞれ1種類含まれていてもよく、2種類以上含まれていてもよい。
<メタロセン化合物>
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、メタロセン化合物が含まれる。メタロセン化合物は、シアネートエステル化合物の硬化触媒として作用することができる。イミダゾール化合物等の従来のシアネートエステル化合物の硬化触媒の場合、硬化反応速度が遅く300℃以上の熱に曝す必要があったが、メタロセン化合物を硬化触媒として用いることによって、200℃以下の硬化反応温度においても硬化反応を効率よく進行させることができる。また、従来のシアネートエステル化合物の硬化触媒を用いて200℃を超える温度で硬化させた硬化物は、200℃を超える高温空気に長期間暴露した場合には、高温の空気暴露による劣化のため、機械強度が低下するという不具合が生じるが、上述のように本発明の熱硬化性樹脂組成物を200℃以下の硬化温度で硬化させた硬化物は、200℃を超える高温空気に長期間暴露した場合であっても、硬化物の機械強度の低下を抑制することができる。また、熱硬化性樹脂組成物に後述する不飽和結合を有する化合物が含まれる場合には、メタロセン化合物は、シアネートエステル化合物に対する触媒作用を発揮すると同時に、不飽和結合を有する化合物の重合触媒(メタセシス重合反応における触媒)としても機能することができる。不飽和結合を有する化合物による架橋形成には、不飽和結合の重合開始剤である過酸化物やジアゾ化合物が一般的に用いられるが、これらの重合開始剤には、シアネートエステル化合物に対する硬化促進効果は認められない。しかし、メタロセン化合物は、シアネートエステル化合物及び不飽和結合を有する化合物の両者に対して硬化促進作用を発揮することができる。
上記メタロセン化合物としては、ジエン単量体2個をη−配位子として有する有機金属化合物であれば特に制限されないが、周期表の第4族、第5族、第8族、第9族、第10族のいずれかの金属元素を含むものが好ましい。より好ましくは、Zr、Ti、Hf、V、Fe、Ru、Co、Ni、特に好ましくは、Zrを含むものである。金属元素としてZrを含むメタロセン化合物は、樹脂との相溶性に優れ、高濃度であっても樹脂に溶解させることができるため、取扱いが容易となる。
上記メタロセン化合物のジエン単量体(類)は共役でも非共役でもよい。共役単量体には、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン及びシクロペンタジエンが含まれる。好適な非共役ジエンの例には、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン及び1,7−オクタジエン等の直鎖状非環式ジエン;4−メチル−1,5−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン、3,7−ジメチル−1,7−オクタジエン、ジヒドロミルセン及びジヒドロオシメンの混合異性体等の分岐鎖状非環式ジエン;1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン及び1,5−シクロドデカジエン等の無置換及び置換の環式ジエン;テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン等の多環式ジエン;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,6−ジエン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−ブテニル−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン及びノルボルナジエン等のアルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル及びシクロアルキリデンノルボルネンが含まれる。上記ジエンの中で好ましいのは、1,4−ヘキサジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン及びジシクロペンタジエンであり、これらの中では、5−エチリデン−2−ノルボルネン及びジシクロペンタジエンがより好ましい。
上記直鎖状非環式ジエン、分岐鎖状非環式ジエン、無置換及び置換の環式ジエン、多環式ジエン及びノルボルネン化合物の炭素数は3〜30である。
上記メタロセン化合物は、ジエン単量体以外のその他の配位子を有していてもよく、その他の配位子としては、例えば、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン元素のイオン、スルホン酸化合物のイオン、ヒドリドイオン、メチル基等のアルキル基等が挙げられる。その他の配位子としては、塩化物イオン、スルホン酸化合物のイオンが好ましい。
上記メタロセン化合物は、具体的には、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロライド;ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムビスフェニル;ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル);ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル);ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム−ビス(2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル);ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム−ビス(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル);ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム−ビス(2,4−ジフルオロフェニ−1−イル);ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウム−ビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル);ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウム−ビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル);ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウム−ビス−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル;ビス(メチルシクロペンタジエニル)チタニウム−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)−フェニ−1−イル];フェロセン;アセチルフェロセン;アミノフェロセン;ブチルフェロセン;エチルフェロセン;ベンゾイルフェロセン;シクロヘキセニルフェロセン;シクロペンテニルフェロセン;フェロセンカルボン酸;フェロセノイルプロピオン酸;フェロセン酢酸;1−ヒドロキシエチルフェロセン;1−ヒドロキシメチルフェロセン;(p−トルエンスルフィニル)フェロセン;ビニルフェロセン;1,1’−ジアセチルフェロセン;1,1’−ジブチルフェロセン;1,1’−ジメチルフェロセン;1,1’−フェロセンジカルボン酸;1,1’−ジベンゾイルフェロセン;1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン;tert−ブチルフェロセン;N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノフェロセン;1,1’−ビス(ジイソプロピルホスフィノ)フェロセン;1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン;ブロモフェロセン;1,1’−ジブロモフェロセン;1,1’−ジブチリルフェロセン;N,N−ジメチルアミノメチルフェロセン
ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド;ビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナート);ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジブロミド;エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム;エチレンビス(インデニル)ジフェニルジルコニウム;エチレンビス(インデニル)メチルジルコニウムクロリド;エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナート);エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナート);エチレンビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナート);エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド;イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ジメチルシリルビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ジメチルシリルビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ジメチルシリルビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ジメチルシリルビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;ジメチルシリルビス(インデニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナート);ジメチルシリルビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド;ジメチルシリル(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド;ジフェニルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;メチルフェニルシリルビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジブロミド;ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムクロリド;ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムクロリド;ビス(シクロペンタジエニル)シクロヘキシルジルコニウムクロリド;ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムクロリド;ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムクロリド;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロリドモノヒドリド;ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムクロリドモノヒドリド;ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムヒドリド;ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム
ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルハフニウム;ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム;ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム;ビス(シクロペンタジエニル)メトキシジルコニウムクロリド;ビス(シクロペンタジエニル)エトキシジルコニウムクロリド;ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナート);ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(p−トルエンスルホナート);ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナート);ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(トリメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(ヘキシルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)エトキシジルコニウムクロリド;ビス(ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナート;ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(メチルエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(メチルプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド;ビス(メチルブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(メタンスルホナート);ビス(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ハフニウムモノクロリドモノヒドリド;ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノヒドリド;ビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド;ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルハフニウム;ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム;ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジメチルハフニウム;ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド;ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(n−プロピルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム;ビス(1,3−メチル−ブチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド;ビス(1,3−メチル−ブチル−シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム;シクロペンタジエニルジルコニウムトリクロリド;ビス(シクロペンタジエニル)バナジウム;ビス(シクロペンタジエニル)ルテニウム;ビス(シクロペンタジエニル)コバルト;ビス(シクロペンタジエニル)ニッケル等が挙げられる。メタロセン化合物として、好ましくはジルコノセン化合物、チタノセン化合物、フェロセン化合物であり、より好ましくはジルコノセンジクロリドである。
なお、メタロセン化合物として、フェロセンを用いた場合には、フェロセンは、難燃剤としても効果を発揮する。
上記熱硬化性樹脂組成物におけるメタロセン化合物の含有量としては、シアネートエステル化合物、不飽和結合を有する化合物及び後述するその他の硬化性樹脂の合計量100質量%に対し、0.01〜5質量%であることが好ましい。メタロセン化合物の含有量が上記好ましい範囲であれば、シアネートエステル化合物及び不飽和結合を有する化合物を充分に高い反応率で架橋させて熱硬化性樹脂として優れた効果を発揮させることができるため好ましい。より好ましくは0.05〜4質量%、更に好ましくは0.1〜3.5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%、最も好ましくは0.5〜2質量%である。
<シアネートエステル化合物>
本発明の熱硬化性樹脂組成物に含まれるシアネートエステル化合物は、シアナト基(−OCN)を有する限り特に制限されないが、1分子中に少なくとも2個のシアナト基を有することが好ましく、例えば、下記式(1)で表される化合物が好適である。
Figure 0006196531
上記式(1)中、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、又は、ハロゲン基(X)を表す。Rは、同一又は異なって、下記化学式で表される有機基を表す。Rは、同一又は異なって、下記化学式で表される有機基を表す。kは、0又は1である。lは、0〜10の整数を表す。
Figure 0006196531
上記式(1)で表される化合物としては特に限定されないが、例えば、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(4−シアナトフェニル)−1,1−エタン、ビス(4−シアナトフェニル)−2,2−エタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、ジ(4−シアナトフェニル)エーテル、ジ(4−シアナトフェニル)チオエーテル、4,4−{1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)}ビスフェニルシアナト、4,4−ジシアナトフェニル、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1’−ビス−(p−シアナトフェニル)−エタン、2,2’−ビス(p−シアナトフェニル)プロパン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルフェニルシアナト)、2,2’−ビス(p−シアナトフェニル)ヘキサフルオロプロパン、α,α′−ビス(4−シアナトフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン等の二価フェノールのシアン酸エステル;トリス(4−シアネートフェニル)−1,1,1−エタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアネートフェニル)−4−シアネートフェニル−1,1,1−エタン等の三価フェノールのシアン酸エステル;フェノールノボラック型のシアン酸エステル、クレゾールノボラック型のシアン酸エステル、ジシクロペンタジエンビスフェノール型のシアン酸エステル;等が挙げられる。これらの中でも、硬化物の誘電特性や硬化性等の観点から、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンや、フェノールノボラック型のシアン酸エステルが好適である。
上記シアネートエステル化合物としてはまた、上記式(1)で表される化合物が有するシアナト基が環化してトリアジン環構造を形成してなる多量体(例えば、三量体、五量体)を使用することもできる。中でも、操作性や、他の硬化性樹脂への溶解性の観点から、三量体が好適である。多量体を得る手法は、通常の手法で行えばよい。
上記シアネートエステル化合物は、液状であっても固体状であってもよいが、他の硬化性樹脂との溶融混練を考慮すると、高い相溶性を持つか、又は、120℃以下の融点若しくは軟化点を有するものであることが好適である。より好ましくは、100℃以下の融点又は軟化点を有するものである。
なお、融点とは、不活性雰囲気下で結晶が溶けて液状になる状態の温度(℃)を意味する。したがって、非晶質の化合物や、室温で既に液状のものは、融点を有しない。シアネートエステル化合物の融点は、例えば、示差走査熱量測定法(DSC)にて測定することができる。また、軟化点(℃)はJIS K7234(1986年)に準じて測定した値であり、例えば、熱軟化温度測定装置(製品名「ASP−MG4」、メイテック社製)を用いて測定することができる。
上記熱硬化性樹脂組成物におけるシアネートエステル化合物の含有量としては、シアネートエステル化合物、不飽和結合を有する化合物及びその他の硬化性樹脂の合計量100質量%に対し、5〜95質量%であることが好適である。より好ましくは10〜90質量%、更に好ましくは15〜85質量%、特に好ましくは20〜80質量%である。
<不飽和結合を有する化合物>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、更に不飽和結合を有する化合物を含むことが好ましく、不飽和結合を有する化合物を1種又は2種以上使用することができる。
上記不飽和結合を有する化合物は、シアネートエステル化合物以外の化合物であって、不飽和結合とは、シアナト基が有する不飽和結合以外の重合性の不飽和結合を意味する。シアネートエステル化合物以外の不飽和結合を有する化合物(以下、本発明における不飽和結合を有する化合物又は上記不飽和結合を有する化合物ともいう)は、シアナト基が有する不飽和結合以外の重合性の不飽和結合を有する限り、特に制限されないが、ビニル基、アリル基、メタリル基等の炭素数2〜30のオレフィン系脂肪族残基;イソプロペニル基、(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基、不飽和イミド基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有する化合物が好ましい。より好ましくは、ビニル基、アリル基、不飽和イミド基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有する化合物であり、特に好ましくは、不飽和イミド基である。上記不飽和イミド基とは、重合性の不飽和結合を有するイミド基を意味する。
上記不飽和イミド基を有する化合物としては、特に制限されないが、好ましくはマレイミド基又はナジイミド基を有する化合物である。
上記マレイミド基を有する化合物としては、特に制限されないが、ビスマレイミド化合物(ビスマレイミド樹脂)が好ましく、ビスマレイミド化合物としては、分子内に2個以上のマレイミド基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ビスマレイミドとアルデヒド化合物との共縮合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記ビスマレイミド化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、N,N’−p,p’−ジフェニルジメチルシリルビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−メチレンビス(3−クロロ−p−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジシクロヘキシルメタンビスマレイミド、N,N’−ジメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、N,N’−m−キシレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルシクロヘキサンビスマレイミド、N−フェニルマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド等が挙げられる。なかでも、上記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアルデヒド等が挙げられる。
上記ナジイミド基を有する化合物としては、特に制限されないが、芳香族アミン化合物とノルボルネンジカルボン酸無水物とのイミド化反応による生成物が好ましく、ナジイミド化合物としては、分子内に2個以上のナジイミド基を有する化合物であれば特に限定されず、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記ナジイミド化合物としては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンビスナジイミド、N,N’−エチレンビスナジイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスナジイミド、N,N’−m−フェニレンビスナジイミド、N,N’−p−フェニレンビスナジイミド、2,2−ビス[4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(4−ナジイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、N,N’−p,p’−ジフェニルジメチルシリルビスナジイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスナジイミド、N,N’−メチレンビス(3−クロロ−p−フェニレン)ビスナジイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルスルホンビスナジイミド、N,N’−4,4’−ジシクロヘキシルメタンビスナジイミド、N,N’−ジメチレンシクロヘキサンビスナジイミド、N,N’−m−キシレンビスナジイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルシクロヘキサンビスナジイミド、N−フェニルナジイミド等が挙げられる。なかでも、上記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアルデヒド等が挙げられる。
上記ビスマレイミド化合物はまた、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、下記式(2):
Figure 0006196531
(式中、Rは、下記式:
Figure 0006196531
で表される2価の基を表す。Qは、2つの芳香環に直結する基であり、炭素数1〜10の2価の炭化水素基、6フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基及びオキシド基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を表す。)又は下記式(3):
Figure 0006196531
(式中、Qは、置換基があってもよい芳香環からなる2価の基を表す。hは、繰り返し数を表し、平均で0〜10の数である。)で表される化合物等が好適である。上記Qとして具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の2価の基(フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチリデン基等)が好ましい。
上記式(2)で表されるビスマレイミド化合物として具体的には、例えば、1,3−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテルが好ましい。
上記ビスマレイミド化合物としては、4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド、ポリフェニルメタンマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンがより好ましい。
上記ナジイミド化合物はまた、下記式(4):
Figure 0006196531
(式中、Rは、下記式:
Figure 0006196531
で表される2価の基を表す。Qは、2つの芳香環に直結する基であり、炭素数1〜10の2価の炭化水素基、6フッ素化されたイソプロピリデン基、カルボニル基、チオ基、スルフィニル基、スルホニル基及びオキシド基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を表す。)又は下記式(5):
Figure 0006196531
(式中、Qは、置換基があってもよい芳香環からなる2価の基を表す。iは、繰り返し数を表し、平均で0〜10の数である。)で表される化合物等が好適である。上記Qとして具体的には、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等の2価の基(フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチリデン基等)が好ましい。
上記式(4)で表されるナジイミド化合物として具体的には、例えば、1,3−ビス(3−ナジイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−ナジイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−ナジイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−[4−(3−ナジイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2−ビス[4−(3−ナジイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−ナジイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−ナジイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4−ビス(3−ナジイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−ナジイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−ナジイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−ナジイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−ナジイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−ナジイミドフェノキシ)フェニル]エーテルが好ましい。ナジイミド基を有する化合物としては下記のシラン化合物であって、ナジイミド基を有する化合物も好適である。
本発明における不飽和結合を有する化合物は、シラン化合物であることが好ましい。不飽和結合を有する化合物がシラン化合物である場合、シラン化合物としては、重合性の不飽和結合及びケイ素を有する化合物であれば特に制限されないが、シロキサン結合を有し、かつ下記平均組成式(6):
SiO (6)
(式中、Xは、同一又は異なって、イミド基を有する有機骨格を表す。Yは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、同一又は異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び炭素数2〜30の不飽和脂肪族残基からなる群より選択される少なくとも1種の基を表し、置換基を有していてもよい。Zは、同一又は異なって、イミド基を含まず、かつ、炭素数2〜30のオレフィン系脂肪族残基を含む有機骨格を表す。X、Y及びZからなる群から選ばれる少なくとも1種に重合性の不飽和結合を有する。aは0又は3以下の数、bは0又は3未満の数、cは0又は3未満の数、dは0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)で表される化合物であることが好ましい。
上記シラン化合物において、シロキサン骨格(シロキサン結合を必須とする主鎖骨格)の構造は、例えば、鎖状(直鎖状又は分岐状)、ラダー状、網状、環状、かご状、キュービック状等が好ましく例示される。中でも、上記シラン化合物の添加量が少量であっても効果が発揮されやすいため、ラダー状、網状、かご状であることが好ましい。すなわち上記シラン化合物は、ポリシルセスキオキサンを含むものが特に好適である。
なお、上記シラン化合物におけるシロキサン骨格の占める割合としては、シラン化合物100質量%中、10〜80質量%であることが好ましい。より好ましくは15〜70質量%であり、更に好ましくは20〜50質量%である。
上記平均組成式(6)において、Xの好ましい形態は後述するとおりであるが、Yとしては、水酸基又はOR基が好適である。中でもOR基がより好ましく、更に好ましくは、Rが炭素数1〜8のアルキル基であるOR基である。また、Zとしては、ビニル基、アリル基、メタリル基からなる群から選択される少なくとも1つの基を有することが好ましい(これらは置換基を有していてもよい)。また、Xの係数aは、0≦a≦3の数であり、Yの係数bは、0≦b<3の数であり、Zの係数cは、0≦c<3未満の数であり、Oの係数dは、0<d<2の数である。Xの係数aは、0<a≦3の数であることが好ましい。言い換えれば、Xの係数aは、0でない3以下の数であることが好ましい。
上記シラン化合物は、例えば、下記式(7):
Figure 0006196531
(式中、X、Y及びZは、各々上記と同様である。n及びnは、重合度を示す。nは、0でない正の整数であり、nは、0又は正の整数である。)で表すことができる。
なお、「Y/Z−」は、Y又はZが結合していることを表し、「X1〜2−」は、Xが1個又は2個結合していることを表し、「(Z/Y)1〜2−」は、Z又はYが1個結合するか、Z又はYが2個結合するか、又は、Z及びYが1個ずつ、合計2個結合することを表す。「Si−(X/Y/Z)」は、X、Y及びZから選ばれる任意の3種がケイ素原子に結合していることを示す。
上記式(7)において、Si−OmとSi−Omは、Si−OmとSi−Omの結合順序を規定するものではなく、例えば、Si−OmとSi−Omが交互又はランダムに共縮合している形態、Si−OmからなるポリシロキサンとSi−Omのポリシロキサンが結合している形態等が好適であり、縮合構造は任意である。
上記シラン化合物は、上記平均組成式(6)で表すことができるが、該シラン化合物が有するシロキサン骨格(シロキサン結合を必須とする主鎖骨格)は、(SiOと表すこともできる。このようなシラン化合物における(SiO以外の構造は、イミド基を有する有機骨格X、水素原子や水酸基等のY、及び、イミド基を含まず、かつ、炭素数2〜30のオレフィン系脂肪族残基を含む有機基Zであり、これらは主鎖骨格のケイ素原子に結合することとなる。
X、Y及びZは、「鎖」の形態となった繰り返し単位に含まれてもよく、含まれていなくてもよい。例えば、Xは、側鎖として1分子に1つ以上含まれていればよい。上記(SiOにおいて、nは、重合度を表すが、該重合度は、主鎖骨格の重合度を表し、Xは、必ずしもn個存在していなくてもよい。言い換えれば、(SiOの1つの単位に必ず1つのXが存在していなくてもよい。また、Xは、1分子中に1つ以上含まれていればよいが、複数含まれる場合、上述したように、1つのケイ素原子に2以上のXが結合していてもよい。これらは、以下においても同様である。
上記主鎖骨格(SiOにおいて、mは、1以上、2未満の数であることが好ましい。より好ましくはm=1.5〜1.8である。
上記nは、重合度を表し、1〜5000であることが好ましい。より好ましくは1〜2000であり、更に好ましくは1〜1000であり、特に好ましくは1〜200である。
上記nが2である場合のシラン化合物としては、Xが少なくとも1個結合してなる構成単位(以下、「構成単位(I)」とも称す)が2つ含まれる形態と、該構成単位(I)が1つしか含まれない形態が挙げられる。具体的には、下記式:
Figure 0006196531
(式中、AはY又はZであり、X、Y及びZは、各々上記と同様である。)等が好適であり、同一の構成単位(I)を2つ含むホモポリマーの形態と、異なる構成単位(I)を2つ含むホモポリマーの形態と、当該構成単位(I)を1つしか含まないコポリマーの形態(共縮合構造の形態)がある。
上記平均組成式(6)において、Xは、イミド基を有する有機骨格である。Xがイミド結合を有することで、マトリックス樹脂となるシアネートエステル化合物や不飽和炭化水素含有化合物との相溶性を高め、かつ硬化物の耐熱性を飛躍的に向上できるためである。Xが占める割合としては、シラン化合物に含まれるケイ素原子100モルに対して、20〜100モルであることが好ましい。より好ましくは50〜100モル、更に好ましくは70〜100モルである。
上記平均組成式(6)におけるXは、下記式(8)で表される構成単位であることが好適である。すなわち、本発明のシラン化合物は、上記平均組成式(6)中のXが、下記式(8):
Figure 0006196531
(式中、Rは、芳香環、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一又は異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表される構成単位である、シラン化合物を含むことが好適である。このようなシラン化合物を含むことで、硬化物の耐熱性が更に向上されることになる。
上記式(8)で表される構成単位において、x及びzは、同一又は異なって、0以上5以下の整数である。また、yは、0又は1であり、0であることが好ましい。x+zとしては、0以上10以下の整数であればよいが、3〜7であることが好ましく、より好ましくは3〜5であり、特に好ましくは3である。
また上記式(8)中、Rは、芳香環、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。すなわち、Rが芳香族化合物の環構造(芳香環)を有する基、複素環式化合物の環構造(複素環)を有する基及び脂環式化合物の環構造(脂環)を有する基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることを表す。
上記Rとして具体的には、フェニレン基、ナフチリデン基、ノルボルネンの2価基、(アルキル)シクロヘキシレン基、シクロヘキセニル基等が好ましい。
なお、上記式(8)で表される構成単位は、Rがフェニレン基である場合には下記式(8−1)で表される構成単位となり、Rが(アルキル)シクロヘキシレン基である場合には下記式(8−2)で表される構成単位となり、Rがナフチリデン基である場合には下記式(8−3)で表される構成単位となり、Rがノルボルネンの2価基である場合には下記式(8−4)で表される構成単位となり、Rがシクロヘキセニル基である場合には下記式(8−5)で表される構成単位となる。
Figure 0006196531
上記式(8−1)〜(8−5)中、x、y及びzは、各々上記式(8)中のx、y及びzと同様である。
上記式(8−1)中、R〜R11は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。上記R〜R11としては、全てが水素原子である形態が好ましい。
上記式(8−2)中、R12〜R15及びR12´〜R15´は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。上記R12〜R15及びR12´〜R15´としては、R13若しくはR14がメチル基で残りの全てが水素原子である形態、又は、R12〜R15及びR12´〜R15´全てが水素原子である形態、又は、R12〜R15及びR12´〜R15´全てがフッ素原子である形態が好ましい。より好ましくは、R13又はR14がメチル基で残りの全てが水素原子である形態である。
上記式(8−3)中、R16〜R21は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。上記R16〜R21としては、全てが水素原子である形態、又は、全てがフッ素原子である形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記式(8−4)中、R22〜R27は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。上記R22〜R27としては、全てが水素原子である形態、全てがフッ素原子である形態、又は、全てが塩素原子である形態のいずれかの形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記式(8−5)中、R28〜R31、R28´及びR31´は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。上記R28〜R31、R28´及びR31´としては、全てが水素原子である形態、全てがフッ素原子である形態、又は、全てが塩素原子である形態のいずれかの形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記式(8)で表される構成単位の中でも、下記式(8−6):
Figure 0006196531
(式中、R32は、芳香環、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。)で表される構成単位であることが好適である。すなわち、本発明のシラン化合物は、上記平均組成式(4)中のXが上記式(8−6)で表される構成単位である、シラン化合物を含むことが好適である。なお、上記式(8−6)中のR32は、上記式(8)において説明したRと同様であることが好ましい。
上記シラン化合物の特に好ましい形態としては、R32がフェニレン基であるポリ(γ−フタロイミドプロピルシルセスキオキサン);R32がメチルシクロヘキシレン基であるポリ{γ−(へキサヒドロ−4−メチルフタルイミド)プロピルシルセスキオキサン};R31がナフチリデン基であるポリ{γ−(1,8−ナフタルイミド)プロピルシルセスキオキサン};R31がノルボルネンの2価基であるポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピルシルセスキオキサン};R32がシクロヘキセニル基であるポリ〔(cis−4−シクロヘキセン−1,2−イミド)プロピルシルセスキオキサン〕である。これらの化合物の構造は、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MSを測定して同定することができる。
上記シラン化合物は、Xに重合性の不飽和結合を有していても、Y又はZに重合性の不飽和結合を有していてもよく、シラン化合物の構造のいずれかに少なくとも1つの重合性の不飽和結合を有していればよいが、好ましくは、Xが重合性の不飽和イミド結合を有している形態である。
上記シラン化合物を得る方法としては特に限定されないが、例えば、下記の製法(a)及び(b)等が挙げられる。
(a)上記シラン化合物におけるイミド結合を含む有機骨格Xに対応するアミド結合を有する有機骨格X´と、シロキサン結合とを有する平均組成式X´aYbZcSiOdで表される(シラン化合物からなる)中間体を、イミド化させる工程を含む製造方法。
(b)上記シラン化合物におけるイミド結合を含む有機骨格Xに対応するイミド結合を有する有機骨格が、ケイ素原子に結合し、かつ加水分解性基を有するシラン化合物からなる中間体を、加水分解・縮合させる工程を含む製造方法。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が、上記シラン化合物を含む場合、シラン化合物は、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を触媒として用いる反応で得られたものであることが好ましい。この場合、シラン化合物を配合することによる硬化開始温度を下げる効果と、硬化物の耐熱性を上げる効果との両方が得られる。
上記アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物は、中間体をイミド化させる工程及び/又は加水分解・縮合させる工程において触媒として用いることがより好ましい。更に好ましくは、中間体をイミド化させる工程及び加水分解・縮合させる工程において触媒として用いることである。なお、イミド化させる工程と、加水分解・縮合させる工程とは、同時に行っても構わない。
このようなアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物は、シアネートエステル化合物に配合した際にシアネートエステル化合物に対して硬化促進作用を及ぼすことがないものである。なお、例えばシラン化合物を得るための反応において遷移金属化合物を触媒として用いた場合は、このようにして得たシラン化合物の生成物をシアネートエステル化合物に配合したときに、遷移金属化合物がごく微量(例えば、数ppmオーダーの量)残存するだけでシアネートエステル化合物の硬化触媒としても機能してしまうため、配合物にゲル化等が生じて組成物として用いるのが困難となる場合がある。このような遷移金属化合物は、後述するエポキシ基及び/又はグリシジル基を有する化合物にはゲル化を抑えつつ配合できる。このような観点から、上記シラン化合物が、遷移金属化合物を触媒として用いる反応で得られたものである場合は、本発明の組成物はエポキシ基及び/又はグリシジル基を有する化合物を含む熱硬化性樹脂組成物であることが好ましい。
すなわち、上記シラン化合物がアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を触媒として用いる反応で得られたものである場合は、シラン化合物を得るための反応で用いる触媒に起因するゲル化が生じないため、ゲル化を抑えることを目的としてエポキシ基及び/又はグリシジル基を有する化合物を配合しなくてもよい。エポキシ基及び/又はグリシジル基を有する化合物を配合しない本発明の組成物は、当該化合物が配合された本発明の熱硬化性樹脂組成物と比較して、得られる硬化物の耐熱性がより優れる。したがって、上記シラン化合物が、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を触媒として用いる反応で得られたものである場合は、本発明の組成物はエポキシ基及び/又はグリシジル基を有する化合物を含まない組成物であることが好ましい。この場合は、例えば、本発明の組成物はエポキシ基及び/又はグリシジル基を有する化合物以外のマレイミド化合物等の硬化性樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であってもよく、かかる熱硬化性樹脂組成物は本発明の好ましい形態の1つである。
またシラン化合物を得るための反応において上記アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を触媒として用いる場合は、例えばアミン化合物を触媒として用いる場合に比べ、シロキサン結合の形成度がより高く、得られるシラン化合物の生成物中に残存するシラノールの量をより充分に低減することができる。シラノールがシアネートエステル化合物の硬化に影響を与えるため、このようにシラノール量を充分に低減することにより、シアネートエステル化合物を樹脂に配合した組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱性及び機械的強度をより優れたものとすることができる。
上記アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物としては、例えば、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、ハロゲン化物、アセチルアセトネート錯体等が挙げられる。中でも、炭酸塩、フッ化物、アセチルアセトネート錯体が好ましい。これらアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物は、それぞれ、1種又は2種以上を用いることができる。
上記アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の含有割合は、適宜設定すればよいが、例えば、シアネートエステル化合物、不飽和結合を有する化合物及びその他の硬化性樹脂の合計量100重量部に対し、0.01〜10重量部とすることが好適である。より好ましくは0.05〜5重量部であり、更に好ましくは0.1〜3重量部である。
なお、本発明の熱硬化性樹脂組成物が上記シラン化合物を含む場合、シラン化合物は、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を触媒として用いない反応で得られたものであってもよい。例えば、遷移金属化合物及び/又はアミン化合物を触媒として用いる反応で得られたものであっても構わない。この場合も、本発明の作用効果を発揮することができる。
上記シラン化合物の分子量は、例えば、数平均分子量が100〜10000であることが好適である。10000を超える高分子化合物であると、シアネートエステル化合物とより充分に混じり合うことができないおそれがある。また、100未満であると、耐熱分解性等が充分とはならないおそれがある。より好ましくは500〜5000、更に好ましくは1000〜5000である。また、重量平均分子量は100〜10000であることが好適である。より好ましくは500〜5000、更に好ましくは1000〜5000である。
シラン化合物の分子量(数平均分子量及び重量平均分子量)は、例えば、後述する測定条件下、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
<分子量のGPC測定条件>
計測機器:東ソー社製「HLC−8220GPC」
カラム:東ソー社製「TSK−GEL SUPER HZM−N 6.0*150」×4本
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
上記熱硬化性樹脂組成物における上記不飽和結合を有する化合物の含有量としては、シアネートエステル化合物100質量%に対し、10〜500質量%であることが好適である。より好ましくは20〜450質量%、更に好ましくは25〜400質量%である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記不飽和結合を有する化合物として、シラン化合物とシラン化合物以外の上記不飽和結合を有する化合物とを含む形態が好ましい。また、これらの成分を、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。これらの成分を含む限り特に制限されないが、具体的には、シラン化合物としては不飽和イミド基を有するシラン化合物が挙げられ、より好ましくは、シラン化合物の末端に二重結合を有するものである。シラン化合物以外の上記不飽和結合を有する化合物としては、マレイミド基を有する化合物が挙げられ、より好ましくは、ビスマレイミド化合物である。熱硬化性樹脂組成物が、末端に二重結合を有するシラン化合物とビスマレイミド樹脂とを含む場合、これらの化合物の間で架橋構造が形成され、通常の硬化性樹脂の効果による架橋構造との相互網目構造が形成されるため、硬化物の耐久性、耐熱性等の特性がより一層向上されるため好ましい。
上記熱硬化性樹脂組成物が、シラン化合物とシラン化合物以外の上記不飽和結合を有する化合物とを含む場合、これらの化合物の含有量としては、上記不飽和結合を有する化合物の総量100質量%に対し、シラン化合物が5〜80質量%であることが好適であり、より好ましくは10〜75質量%である。シラン化合物以外の上記不飽和結合を有する化合物は、20〜95質量%であることが好適であり、より好ましくは25〜90質量%である。
<その他の硬化性樹脂>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上述したシアネートエステル化合物及び本発明における不飽和結合を有する化合物以外にも、その他の硬化性樹脂として、これらと相溶し得るものを、適宜、1種又は2種以上を使用することができる。例えば、フェノール樹脂、芳香族アミン化合物、ウレタン樹脂等の他、ベンゾオキサジン樹脂等の高耐熱性硬化性樹脂が挙げられる。これらの中でも、樹脂組成物の優れた耐熱性を損なわないという観点からは、フェノール樹脂、芳香族アミン化合物、ベンゾオキサジン樹脂からなる群より選択された1つ以上の化合物を用いることが好適である。また、遷移金属化合物等に起因する熱硬化性樹脂組成物のゲル化を防止する必要がある場合は、これを防止する観点からも、フェノール樹脂、芳香族アミン化合物、ベンゾオキサジン樹脂からなる群より選択された1つ以上の化合物がより好ましい。
上記フェノール樹脂には、多価フェノール類が含まれる。多価フェノール類としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、トリフェノールメタン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェニレン骨格、ビフェニレン骨格又はナフチレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂、ビスフェノール化合物等が挙げられる。また、硬化性の観点から、多価フェノール類の水酸基当量は、例えば、90〜250g/eqであることが好適である。
上記多価フェノール類として好ましくは、構造中に、フェニレン骨格、ビフェニレン骨格又はナフチレン骨格を含むアラルキル基を有する化合物である。このような化合物を用いて得た硬化物は、高温環境下で低弾性率化され、かつフェノール性水酸基が少ないために低吸水化を実現することもでき、したがって、耐半田リフロー性をより向上することが可能になる。また、ナフチレン骨格を含有する化合物は、ガラス転移温度を高く、かつ線膨張係数を低くすることができるため、例えば当該硬化物を半導体装置に適用した場合に、低反り性をより充分に発揮することが可能になる。
上記多価フェノール類としてより好ましくは、下記式(9):
Figure 0006196531
(式中、R33は、フェニレン基、ビフェニレン基又はナフチレン基を表す。−R34(OH)−は、ヒドロキシフェニレン基、1−ヒドロキシナフチレン基又は2−ヒドロキシナフチレン基を表す。R35及びR36は、各々、R33及びR34に導入される基であり、同一又は異なって、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。pの平均値は、1〜10の数であり、qは、0〜5の整数であり、rは、0〜5の整数である。)で表される化合物を含むものである。このような化合物は、多価フェノール類の総量100質量%に対して10質量%以上であることが好ましく、これによって、耐半田リフロー性及び低反り性をより一層発揮することができる。より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。
なお、−R34(OH)−がヒドロキシナフチレン基である場合には、上述したように、ガラス転移温度の上昇や線膨張係数の低下により、低反り性を向上させる効果が得られ、更に芳香族炭素を多く有するため、耐燃性の向上も実現することができる。
上記芳香族アミン化合物としては、例えば、m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノフェニルメタン、2,4−ジアミノトルエン、ジアミノベンゼン、メチレンジアニリン、ビス(クロロアニリノ)メタン、オキシジアニリン、ビス(ヒドロキシアニリノ)メタン、ビス[(アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ビフェニル、ジメチルジアミノビフェニル等が挙げられる。硬化物の強度やガラス転移温度を高める観点からも、芳香族アミン化合物が好適である。
ここで、上記の高耐熱性硬化性樹脂を用いた場合には、シリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)等のワイドギャップ半導体材料を含み、高温の動作上限温度を有する半導体装置の封止材等に特に好適な硬化物を得ることができる。
上記その他の硬化性樹脂の含有割合は、硬化剤や硬化性樹脂の種類等によって適宜設定すればよいが、例えば、シアネートエステル化合物、本発明における不飽和結合を有する化合物及びその他の硬化性樹脂の合計量100重量部に対し、2〜65重量部とすることが好適である。より好ましくは5〜60重量部、更に好ましくは10〜50重量部である。
<その他の成分>
上記熱硬化性樹脂組成物はまた、必要に応じて、上述したシアネートエステル化合物、メタロセン化合物、本発明における不飽和結合を有する化合物及びその他の硬化性樹脂以外のその他の成分を含有していてもよい。例えば、硬化剤;メタロセン化合物以外の硬化促進剤(硬化触媒);無機充填材;有機溶剤や希釈剤等の揮発成分;難燃剤;強化材;カップリング剤;応力緩和剤;離型剤;安定剤;着色剤;可塑剤;可とう化剤;各種ゴム状物;光感光剤;顔料;等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記硬化剤としては特に限定されず、通常使用されているものを1種又は2種以上使用すればよい。硬化剤としては、例えば、アミン類等が挙げられる。アミン類としては、第1級アミン又は第2級アミンを分子中に1又は2個以上有するものが好ましく、例えば、ジエチレントリアミン、トリエラレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン等の脂肪族アミン;イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等の脂環式アミン;N−アミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等のピペラジン型アミン等が挙げられる。なお、アミン類の中でも芳香族アミン化合物については、上述のその他の硬化性樹脂として挙げているが、硬化剤としても、作用することができる。
上記硬化剤の含有割合は、硬化剤や硬化性樹脂の種類等によって適宜設定すればよいが、例えば、シアネートエステル化合物、本発明における不飽和結合を有する化合物及びその他の硬化性樹脂の合計量100重量部に対し、5〜50重量部とすることが好適である。より好ましくは10〜40重量部、更に好ましくは15〜35重量部である。
上記無機充填材としては特に限定されず、通常の実装基板の封止材等で使用されるものを1種又は2種以上用いればよい。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、微粉シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、マグネシア等が挙げられる。
上記無機充填材の含有割合としては、上記熱硬化性樹脂組成物の総量100質量%に対し、50〜95質量%とすることが好適である。より好ましくは60〜93質量%、更に好ましくは70〜90質量%である。このように多量の無機充填材を用いることで、例えば、実装基板の封止材等を得るために用いた場合に、硬化後の基板の反り発生を充分に防ぐことが可能になる。
上記揮発成分としては特に限定されず、通常使用されるものを1種又は2種以上使用すればよい。例えば、後述するエーテル結合、エステル結合及び窒素原子からなる群より選ばれた少なくとも一つ以上の構造を有する化合物を含有してなる溶媒等が挙げられる。
ここで、本発明の硬化性樹脂組成物は、揮発成分を極力含まないことが望まれる用途、すなわち例えば、実装用途、光学用途、オプトデバイス用途、機械部品用途、電機・電子部品用途、自動車部品用途等に用いることができるが、この場合、上記熱硬化性樹脂組成物100質量%中の揮発成分の含有量は、10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、特に好ましくは実質的に揮発成分を含まないことである。実質的に揮発成分を含まないとは、揮発成分の含有量が、組成物を溶解させることができる量未満であることを意味し、例えば、上記硬化性樹脂組成物100質量%中に1質量%以下であることが好適である。なお、印刷インク用途等のように、揮発成分を含んでもよい用途に用いる場合にあっては、上記硬化性樹脂組成物は揮発成分を含んでいてもよく、このような形態も本発明の好適な実施形態の1つである。
上記難燃剤としては特に限定されず、通常使用されるものを1種又は2種以上使用すればよいが、ノンハロゲン化合物やノンアンチモン化合物が好適である。例えば、リン酸エステル、酸化トリフェニルホスフィン、赤リン等のリン含有化合物;メラミン、メラミン誘導体、メラミン変性フェノール樹脂、シアヌル酸誘導体、イソシアヌル酸誘導体、トリアジン環含有化合物等の窒素含有化合物;シクロホスファゼン等のリン及び窒素含有化合物;酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、モリブデン亜鉛、スズ酸亜鉛等の亜鉛化合物;酸化鉄、酸化モリブデン等の金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物等が挙げられる。
上記難燃剤の含有割合は、例えば、シアネートエステル化合物、不飽和結合を有する化合物及びその他の硬化性樹脂の合計量100重量部に対し、2〜30重量部とすることが好適である。より好ましくは5〜20重量部である。
上記強化材としては特に限定されず、通常使用されるものを1種又は2種以上使用すればよい。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアラミド繊維等が挙げられ、これらの織布や不織布等を好適に用いることができる。
上記カップリング剤としては特に限定されず、通常使用されるものを1種又は2種以上使用すればよい。例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。
<熱硬化性樹脂組成物の製造方法>
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、シアネートエステル化合物及びメタロセン化合物を含む限り、その調製方法は特に限定されず、これらの成分を通常の手法で混合することにより得ることができる。例えば、上記シアネートエステル化合物にメタロセン化合物及び必要に応じて配合される不飽和結合を有する化合物及びその他の成分を同時又は順次添加し、適宜ミキサー等を用いて各成分が均一に分散するように混合した後、ニーダー、ロール、1軸押出混練機、2軸押出混練機等を用いて混練することによって得ることができる。なお、混合及び混練工程では、必要に応じて加熱したり冷却したりしてもよい。
上記シアネートエステル化合物、不飽和結合を有する化合物は、溶剤(溶媒、有機溶剤)に溶解又は分散させて用いることができる。溶剤としては、シアネートエステル化合物、不飽和結合を有する化合物を溶解又は分散することができるものであれば特に限定されないが、例えば、エーテル結合、エステル結合及び窒素原子からなる群より選ばれた少なくとも一つ以上の構造を有する化合物を含有してなる溶媒であることが好ましい。
上記エーテル結合を有する化合物としては、例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、ペラトロール、プロピレンオキシド、1,2−エポキシブタン、ジオキサン、トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、シオネール、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、グリセリンエーテル、クラウンエーテル、メチラール、アセタール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、2−フェノキシエタノール、2−(ベンジルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等が好適である。
上記エステル結合を有する化合物としては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、モノブチリン、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、酪酸エステル類、イソ酪酸エステル類、イソ吉草酸エステル類、ステアリン酸エステル類、安息香酸エステル類、ケイ皮酸エチル類、アビエチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、γ−ブチロラクトン類、シュウ酸エステル類、マロン酸エステル類、マレイン酸エステル類、酒石酸エステル類、クエン酸エステル類、セバシン酸エステル類、フタル酸エステル類、二酢酸エチレン類等が好適である。
上記窒素原子を含有してなる化合物としては、例えば、ニトロメタン、ニトロエタン、1−ニトロプロパン、2−ニトロプロパン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、α−トルニトリル、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、ε−カプロラクタム等が好適である。
上記エーテル結合、エステル結合及び窒素原子からなる群より選ばれた構造を複数有する化合物としては、例えば、N−エチルモルホリン、N−フェニルモルホリン、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、フェノキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が好適である。これらの化合物のうち、1種又は2種以上を使用することができる。
上記溶剤の使用量としては、シアネートエステル化合物、不飽和結合を有する化合物及び溶剤の総量100質量%に対し、5〜70質量%であることが好適である。より好ましくは10〜60質量%であり、更に好ましくは10〜50質量%である。
<熱硬化性樹脂組成物の硬化物の製造方法>
本発明はまた、熱硬化性樹脂組成物の硬化物を製造する方法であって、上記製造方法は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を200℃以下の温度で硬化させる工程を含む硬化物の製造方法でもある。
上記熱硬化性樹脂組成物を200℃以下の温度で硬化させる工程では、熱硬化性樹脂組成物がメタロセン化合物を硬化触媒として含むために200℃以下の温度で硬化させることができる。硬化温度を200℃以下とすることにより、硬化物の劣化が、200℃を超える高温空気下に暴露した場合よりも小さく、硬化物の機械強度の低下を抑制することができる。硬化温度は、通常180℃以上である。硬化温度の測定は、示差走査熱量測定法(DSC)にて測定することができる。
上記製造方法における硬化時間は、1〜15時間が好適であり、より好ましくは2〜10時間である。
なお、熱硬化反応は2段階以上で行ってもよい。
上記製造方法は、熱硬化性樹脂組成物を200℃以下の温度で硬化させる工程を含む限り限定されないが、上述の熱硬化性樹脂組成物の調製方法により調製された熱硬化性樹脂組成物を上記硬化工程で硬化することが好ましい。
上記製造方法により得られた硬化物のガラス転移温度は250℃以上であることが好適である。これにより、例えば、実装基板の封止材等のエレクトロニクス実装材料により好適に利用することができる。より好ましくは260℃以上、更に好ましくは275℃以上、特に好ましくは300℃以上である。ガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(DMA)により測定することができる。
上記硬化物は、本発明の熱硬化性樹脂組成物が、メタロセン化合物を硬化触媒として含むため、200℃以下の硬化温度において硬化することができることに起因して、機械強度の低下を長期間抑制できることから、例えば、実装用途、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品用途、電気・電子部品用途、自動車部品用途、印刷インク用途等の種々様々な用途に有用なものである。具体的には、封止材等のエレクトロニクス実装材料、ポッティング材、アンダーフィル材、導電性ペースト、絶縁ペースト、ダイポンド材、印刷インク等に好ましく使用される。中でも、エレクトロニクス実装材料に用いることがより好ましく、特に、実装基板の封止材に極めて有用である。このように上記熱硬化性樹脂組成物を用いてなる封止材もまた、本発明の1つである。封止材として特に好ましくは、半導体封止材である。また、上記硬化物を用いて構成された半導体装置又はプリント配線板もまた、本発明の好ましい形態に含まれる。上記封止材を用いてなる半導体装置は、本発明の1つでもある。
上記封止材は、例えば、半導体部品(素子)を封止する際に使用される部材であるが、本発明の効果を損なわない範囲内で、必要に応じ、例えば、メタロセン化合物以外の硬化促進剤、安定剤、離型剤、カップリング剤、着色剤、可塑剤、可とう化剤、各種ゴム状物、光感光剤、充填材、難燃剤、顔料等を含むことができる。また、上記封止材は、揮発成分を多量に含むと不具合を生じるおそれがあるため、揮発成分を含まないことが望まれており、例えば、上記封止材100質量%中の揮発成分の含有量は、10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、特に好ましくは実質的に揮発成分を含まないことである。
上記封止材を用いてなる半導体装置として具体的には、例えば、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子;コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子;等の素子を搭載し、必要な箇所を本発明の熱硬化性樹脂組成物で封止した形態が挙げられる。なお、本発明の効果を顕著なものとすることができる点で、上記半導体装置は、例えば、シリコンカーバイド(SiC)や窒化ガリウム(GaN)等のワイドギャップ半導体材料を含み、高温の動作上限温度を有する半導体装置が好適なものとして挙げられる。上記熱硬化性樹脂組成物により素子を封止する方法としては、例えば、低圧トランスファー成形法や、インジェクション成形法、圧縮成形法等の通常の手法を用いればよい。
また上記硬化物を用いて構成されたプリント配線板としては、例えば、コンポジットタイプ積層板(片面、両面、多層等)、ガラスエポキシタイプ積層板、アラミドエポキシタイプ積層板、金属ベース配線基板、ビルドアップタイプ配線基板等が挙げられる。これらは、例えば、本発明の熱硬化性樹脂組成物を強化材に含浸又は基材に塗布し、適宜乾燥させた後、硬化させることにより得ることができる。この場合の熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じてメタロセン化合物以外の硬化促進剤(硬化触媒)や難燃剤、充填剤等を更に含むことが好適である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上述の構成よりなり、200℃以下の硬化温度で硬化することができ、このようにして得られた硬化物は、200℃を超える高温空気に長期間暴露した場合にも、機械強度の低下を長期間抑制することができるため、実装用途、光学用途、オプトデバイス用途、表示デバイス用途、機械部品用途、電気・電子部品用途、自動車部品用途、印刷インク用途等の種々様々な用途等に好適に用いることができる。
実施例8及び比較例1について、DSCにより硬化温度を測定したグラフである。 樹脂組成物8を種々の温度で熱処理して得た樹脂硬化物のFT−IRスペクトルである。 樹脂組成物10を種々の温度で熱処理して得た樹脂硬化物のFT−IRスペクトルである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<DSC測定方法>
示差走査熱量測定装置(EXSTAR6000、セイコーインスツル社製)を用い、温度領域50℃〜300℃、昇温速度5℃/分、窒素雰囲気下で測定を行った。
合成例1
ポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピルシルセスキオキサン}の合成
攪拌装置、温度センサー、冷却管を備え付けた500mL4つ口フラスコに、予めモレキュラーシーブで乾燥したジグライム87.9gと、3−アミノプロピルトリメトキシシラン142.5gを投入し、攪拌しながら乾燥窒素流通下で100℃に昇温して系内の水分を除去した。次に100℃のまま反応液温度を維持しながら5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物131.8gを30分かけて4分割投入した。投入終了後9時間で5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物が完全に消費されているのを高速液体クロマトグラフィで確認した。
続いて脱イオン水42.9gを一括投入し冷却管で副生メタノールの還流が掛かるように昇温し、95℃で10時間保持したのち、冷却管をパーシャルコンデンサーに付け替えて再び昇温を開始し、副生メタノール及び縮合水を回収しながら3時間かけて反応液温度を120℃に到達させた。120℃到達時に炭酸セシウム0.65gを投入してそのまま昇温を開始し、縮合水を回収しながら3時間かけて160℃に到達、同温度で2時間保持して室温まで冷却することで反応生成物Aを得た。
反応生成物Aは不揮発分70.0%で濃褐色高粘度液体であり、GPCで分子量測定したところ数平均分子量2340、重量平均分子量2570であった。H−NMR、13C−NMRを測定し、化学式(i)の化合物を含有することを確認した。
H−NMR:0.25−0.45(bs、2H)、1.2−1.45(bs、2H)、1.47(dd、2H)、3.0−3.2(bs、4H)、3.4―3.6(bs、2H)、5.8−6.0(bs、2H)
13C−NMR:9.7、21.5、40.4、44.9、45.7、50.1、134.2、178.0
Figure 0006196531
合成例2
攪拌装置、温度センサー、パーシャルコンデンサー及び捕集器を備え付けた500mL4つ口フラスコに反応生成物A 205.1g、フェノールノボラック型のシアン酸エステル(製品名「Primaset PT−15」LONZA社製)144.8g、及び4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(製品名「BMI1000」大和化成工業社製)86.0gを仕込み、攪拌しながらフラスコ内温を120℃に保持し、Nガスを吹き込みながらフラスコ内圧を1.5kPa以下にしてパーシャルコンデンサーを通じて反応生成物Aに含有するジグライムを3時間かけて捕集器に回収することで、組成物1を得た。収量は370gだった。
合成例3
攪拌装置、温度センサー、パーシャルコンデンサー及び捕集器を備え付けた500mL4つ口フラスコに反応生成物A147.7g、フェノールノボラック型のシアン酸エステル(製品名「Primaset PT−15」LONZA社製)124.2g、及び2,2’−ビス[4−(マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(製品名「BMI4000」大和化成工業社製)228.2gを仕込み、攪拌しながらフラスコ内温を120℃に保持し、Nガスを吹き込みながらフラスコ内圧を1.5kPa以下にしてパーシャルコンデンサーを通じて反応生成物Aに含有するジグライムを3時間かけて捕集器に回収することで、組成物2を得た。収量は431gだった。
合成例4
合成例1の5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物131.8gの代わりにcis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物122.2gを、炭酸セシウム0.65gの代わりにフッ化カリウム0.23gをそれぞれ用いる以外はすべて合成例1と同じ操作により反応生成物Bを得た。
反応生成物Bは不揮発分70.0%で濃褐色高粘度液体であり、GPCで分子量測定したところ数平均分子量2041、重量平均分子量2838であった。H−NMR、13C−NMRを測定し、化学式(ii)の化合物を含有することを確認した。
H−NMR:0.25−0.55(bs、2H)、1.3−1.5(bs、2H)、2.0−2.5(dd、4H)、2.9−3.1(bs、2H)、3.2―3.35(bs、2H)、5.65−5.8(bs、2H)
13C−NMR:10.0、21.0、23.8、39.0、41.1、127.8、180.5
Figure 0006196531
合成例5
攪拌装置、温度センサー、パーシャルコンデンサー及び捕集器を備え付けた500mL4つ口フラスコに反応生成物B 167.5g、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(製品名「Primaset BADCY」LONZA社製)124.2g、及びポリフェニルメタンマレイミド化合物(製品名「BMI2300」大和化成工業社製)114.7gを仕込み、攪拌しながらフラスコ内温を120℃に保持し、Nガスを吹き込みながらフラスコ内圧を1.5kPa以下にしてパーシャルコンデンサーを通じて反応生成物Aに含有するジグライムを3時間かけて捕集器に回収することで、組成物3を得た。収量は353gだった。
実施例及び比較例
攪拌装置、温度センサーを備え付けたセパラブルフラスコに表1及び表2に記載の化合物を表1及び表2の組成で投入し、100℃で30分間溶融混合して樹脂組成物を調製した。混合したのち室温に急冷して固化させて取り出し、DSC測定を行った。測定温度範囲は50℃〜350℃で硬化反応に伴う発熱を調べた。さらに樹脂組成物を150℃×30分、200℃×30分、250℃×30分の条件で熱処理し、熱処理していないものを含めてFT−IRを用いて硬化挙動を調べた。
表1の「配合比」の項目における「化合物1」は、シクロペンテニルフェロセンを意味する。「化合物2」は、ニッケロセンを意味する。「化合物3」は、チタノセンジクロライドを意味する。「化合物4」は、ジルコノセンジクロライドを意味する。「化合物5」は、デカメチルジルコノセンジクロライドを意味する。「化合物6」は、ジルコノセンビス(トリフルオロメタンスルフォネート)を意味する。また、「配合比」の項目における数値は、重量部を意味する。
Figure 0006196531
表2の「配合比」の項目における「化合物7」は、2−フェニルイミダゾール(製品名「2PZ」四国化成工業社製)を意味する。「化合物8」は、ジ−tert−ブチルパーオキサイド(製品名「パーブチルD」日油社製)を意味する。また、「配合比」の項目における数値は、重量部を意味する。
Figure 0006196531
表1及び表2にDSC分析結果をまとめた。さらに図1に実施例8及び比較例1についてのDSC曲線の比較図を示す。比較例1〜3の化合物を使用した場合、硬化発熱が観測されない、あるいは観測されても発熱量は小さかった。かつ比較例1では発熱ピークも2か所に存在することが確認でき、含有成分である複数の化合物種が同時に反応していないことが示唆される。
これに対して、メタロセン化合物類を用いた場合、金属種によらずいずれの化合物であっても硬化発熱量が大きく、かつ非常にシャープな発熱ピークが200℃以下に確認でき、硬化性が非常に高いことが示唆された。
図2及び図3に実施例8及び比較例1で得た樹脂組成物8及び10を種々の温度で熱処理して得た樹脂硬化物のFT−IRスペクトルを示す。2200〜2300cm−1にシアネートエステル基に帰属されるピークが、1350cm−1前後及び1550cm−1付近にトリアジン環骨格に帰属されるピークがそれぞれ確認できる。図3の比較例1ではシアネートエステル基の消失とそれに伴うトリアジン環骨格の生成が200℃を超えた温度でないと促進されないのに対して、図2の実施例8では150℃ですでに進行しており、200℃でほぼ反応が終了していた。また600〜800cm−1には不飽和イミド基及び不飽和イミド基とシアネート基の反応により生じる縮合環骨格に帰属されるピークが、1700〜1800cm−1には不飽和イミド内部のカルボニル基に帰属されるピークがそれぞれ確認できる。樹脂組成物10ではこれらピークの変化が250℃でないと確認できないのに対して、樹脂組成物8では200℃で進行していることが確認できる。
以上のことからメタロセン化合物が樹脂組成物の硬化触媒としてより高い活性を示すことが示唆される。
<半導体封止材性能評価>
樹脂組成物2、3、4、10を用いて表3の組成で半導体封止材を調製し性能評価を行った。封止材の成型品は圧縮成型機を用いて作製した。成型機に設置した金型を175℃に調温し、型内に封止材組成物を仕込んだのち1kPaに減圧しながら、0.5MPaで圧縮成型した。成型時間は300秒で、型から取り外した後、イナートオーブンに移送して窒素流通下、280℃、3時間の条件でポストキュアした。
ポストキュアした成形品を空気雰囲気で225℃に保持したオーブンに放置し、200時
間後及び600時間後に取り出して機械特性評価を行った。機械特性はインストロンを用いて曲げ測定を行った。
表3の「組成」の項目中、「ホスファゼン化合物」は、製品名「SPE−100」(大塚化学社製)を意味する。「カーボンブラック」は、製品名「MA600」(三菱化学社製)を意味する。「含窒素化合物1」は、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール(試薬)を意味する。「含窒素化合物2」は、製品名「アデカスタブCDA−1M」(ADEKA社製)を意味する。「カップリング剤」は、製品名「KBM−403」(信越化学工業社製)を意味する。「カルナバワックス」は、製品名「TOWAX−132」(東亜化成社製)を意味する。「溶融シリカ」は、製品名「S−270」(マイクロン社製)を意味する。「無機難燃剤」は、製品名「Z−10」(タテホ化学工業社製)を意味する。「シリコーン微粒子」は、製品名「X−52−7030」(信越化学工業社製)を意味する。また、「組成」の項目における数値は、重量部を意味する。
Figure 0006196531
表3に封止材組成と機械強度の空気中225℃での経時変化の推移を示す。実施例、比較例のいずれのものでも成型直後の機械特性には遜色はないが、比較例のものでは200時間以降で大幅に機械特性が低下していた。これに対して実施例のものはいずれも機械強度の劣化速度は非常に穏やかで高温長期間の耐久性に優れることが分かった。

Claims (3)

  1. シアネートエステル化合物とメタロセン化合物と含む熱硬化性樹脂組成物であって、
    該組成物は、更に不飽和結合を有する化合物を含み、
    該シアネートエステル化合物は、1分子中に少なくとも2個のシアナト基を有するものであり、
    該不飽和結合を有する化合物は、分子内に2個以上のマレイミド基を有する化合物と不飽和イミド基を2個以上有するシラン化合物とを含むことを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 前記メタロセン化合物は、周期表の第4族、第5族、第8族、第9族、第10族のいずれかの金属元素を含むことを特徴とする請求項に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 熱硬化性樹脂組成物の硬化物を製造する方法であって、
    該製造方法は、請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物を200℃以下の温度で硬化させる工程を含むことを特徴とする硬化物の製造方法。

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