JP6537914B2 - ガス分離膜、ガス分離モジュール及びガス分離装置 - Google Patents

ガス分離膜、ガス分離モジュール及びガス分離装置 Download PDF

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Description

本発明は、ガス分離膜、ガス分離モジュール及びガス分離装置に関する。
電力供給の安定性を確保するためには多様なエネルギー源の確保によるベストミックスが課題であり、中でも、火力発電に用いる天然ガス・石油・石炭等の化石資源のより廉価で安定的な確保とその高効率利用が極めて重要である。特に天然ガスに関しては、炭酸ガス濃度が高いために開発が進んでいない天然ガス田が世界中に点在しており、炭酸ガスの効率的な分離技術及び回収した炭酸ガスの貯留技術等の開発が求められている。また、天然ガスやLPG等からの改質による水素生成において炭酸ガスを効率的に分離することができれば、燃料電池自動車や水素インフラ等の実現に向けた水素エネルギーの安定かつ安価な供給に資する。更に、石炭・石油残渣をガス化し炭酸ガスを効率的に分離できれば、IGCC(ガス化複合発電)の発電効率向上ともに炭酸ガスの大気放出抑制を達成でき、環境負荷のない水素エネルギーとして利用することが可能になる。これらの観点からも、炭酸ガスの効率的な分離技術が切望されている。
従来のガス混合物からの炭酸ガス分離技術としては、湿式化学吸収法、湿式物理吸収法、吸着法、膜分離法、深冷分離法等の多様な技術が20世紀に開発されており、使用条件の制約を受けながらも多くの採用例がある。中でも、膜分離法は、根本的に化学反応を伴わないためにランニングコストが非常に低く、膜分離性能が向上すれば1段階の分離膜処理で炭酸ガス濃度を実用レベルにまで低減できる点で、設備コストの低減が期待される。そのため、膜分離法は近年注目されている。
しかしながら、膜分離法では、従来、酢酸セルロース膜やポリイミド膜等の高分子分離膜の他、ゼオライト膜が採用されてきたが、高分子分離膜では、炭酸ガスの透過率(透過性)、選択率(分離選択性)ともに不充分である。ゼオライト膜では、天然ガスからの炭酸ガス分離性能が高く、分離・精製プロセスの合理化が期待できる一方で、膜作製方法が確立されておらず工業化が難しい。このような観点から新たな膜技術が求められており、特許文献1〜5に記載の技術が既に提案されている。
特開2012−187452号公報 特開2013−188742号公報 特開2005−46668号公報 特表2009−523592号公報 国際公開第2013/111732号パンフレット
上述のとおり炭酸ガス分離技術として新たな膜技術が求められているが、特許文献1〜3等の従来の技術をもってしても未だ充分ではない。例えば、特許文献1に記載のガス分離膜は、炭酸ガスの透過性(透過率)や分離選択性(CO/CH)は良好であるものの、製膜性が不充分なため、スパイラル状等の種々の形状に変形してモジュールを作製することが難しく、また、原料の入手の観点から工業的に生産することも困難である。特許文献2には、比較用のガス分離複合膜として、オリゴマーシルセスキオキサンを側鎖に有する6FDポリイミド複合膜c17が開示されているが、炭酸ガスの透過性及び分離選択性が不充分である他、フッ素原子を含むために高コストで、しかも廃棄時に産廃となり得ることから、コスト面や環境面でも課題がある。特許文献3〜5に記載の技術についても、炭酸ガスの透過性及び分離選択性や、生産の容易性、分離の効率性、膜の熱安定性等の点で課題がある。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、炭酸ガス等の所定ガスの透過性及び分離選択性に優れるとともに、高強度で製膜性が良好で、耐熱性や熱安定性にも優れ、工業的に容易に生産可能なガス分離膜を提供することを目的とする。また、このようなガス分離膜を備えるガス分離モジュール及びガス分離装置を提供することも目的とする。
本発明者は、炭酸ガス等の透過性及び分離選択性に優れる膜材料について検討するうち、所定構造のシロキサン化合物が、炭酸ガス等の所定のガスの透過性、及び、その分離選択性に優れるとともに、高強度で製膜性が良好なため、ガス分離膜に特に適した材料であることを見いだした。そして、このシロキサン化合物を用いたガス分離膜は、工業的に容易に生産可能であるうえ、耐熱性や熱安定性が非常に高く、しかもフッ素原子を含まなくても優れたガス透過性及び分離選択性を発揮でき、コスト面や環境面にも優れることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、シロキサン化合物を含むガス分離層を有するガス分離膜であって、
該シロキサン化合物は、シロキサン結合を有し、かつ下記平均組成式(1):
SiO (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、イミド結合及び/又はアミド結合を含む有機基を表す。Yは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、同一又は異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選択される少なくとも1種の基を表し、置換基を有していてもよい。Zは、同一又は異なって、イミド結合及びアミド結合を含まない有機基を表す。aは、0でない3以下の数であり、b及びcは、同一又は異なって、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)で表される、ガス分離膜である。
上記ガス分離膜は、更に、ガス透過性支持体を有することが好ましい。これにより、強度が更に向上し、膜表面積拡大のためにスパイラル状等の形状に変形してモジュールを作製することがより容易となる。
上記ガス分離層は、更に、有機樹脂を含むことが好ましい。これにより、ガス分離膜をより容易に作製することが可能になる。
本発明はまた、上記ガス分離膜を備えるガス分離モジュール、及び、上記ガス分離膜を備えるガス分離装置でもある。
以下に本発明を詳述する。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態である。
〔ガス分離膜〕
本発明のガス分離膜は、シロキサン化合物を含むガス分離層を有するが、必要に応じて更に他の層を有していてもよい。各層はそれぞれ1層であってもよいし、2層以上有してもよい。
<ガス分離層>
上記ガス分離層はシロキサン化合物を含むが、必要に応じてその他の成分を更に含んでいてもよい。各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上であってもよい。
上記ガス分離層の厚みは特に限定されないが、例えば、製膜性をより良好にする観点から、0.01〜10μmであることが好ましい。より好ましくは0.1〜5μmである。ガス分離層を2層以上有する場合は、その1層につき厚みが上記範囲内にあることが好適である。
1)シロキサン化合物
シロキサン化合物は、シロキサン結合(Si−O結合)を有し、かつ上記平均組成式(1)で表されるものである。このようなシロキサン化合物が有するシロキサン骨格(シロキサン結合を必須とする主鎖骨格)は、(SiOと表すこともできる。シロキサン化合物における(SiO以外の構造は、X、Y及びZであり、これらは主鎖骨格のケイ素原子に結合することとなる。
上記シロキサン化合物はまた、ポリシルセスキオキサンであることが好ましい。
上記シロキサン骨格は、例えば、鎖状(直鎖状又は分岐状)、ラダー状、網状、環状、籠状、キュービック状等であることが好ましい。中でも、シロキサン化合物が少量であっても効果が発揮されやすい観点から、ラダー状、網状、又は、籠状であることが好ましい。より好ましくは、ラダー状又は籠状である。なお、本明細書中、籠状構造とは、不完全型籠状構造も含むものとする。
X、Y及びZは、「鎖」の形態となった繰り返し単位に含まれてもよく、含まれていなくてもよい。例えば、Xは、側鎖として1分子に1つ以上含まれていればよい。
なお、シロキサン化合物の構造は、例えば、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MS、FT−IRを測定して同定することができる。
上記(SiOにおいて、nは重合度を表す。重合度は、主鎖骨格の重合度を表すが、アミド結合を有する有機基Xは、必ずしもn個存在していなくてもよい。言い換えれば、(SiOの1つの単位に必ず1つのアミド結合を有する有機基Xが存在していなくてもよい。また、アミド結合を有する有機基Xは、1分子中に1つ以上含まれていればよいが、複数含まれる場合、1つのケイ素原子に2以上のアミド結合を有する有機基が結合していてもよい。
上記nは、1〜5000であることが好ましい。より好ましくは1〜2000、更に好ましくは1〜1000、特に好ましくは1〜200であり、中でも2以上であることが好適である。mは、1以上、2未満の数であることが好ましい。より好ましくは1.5〜1.8である。
ここで、例えば、nが2である場合のシロキサン化合物としては、ケイ素原子にアミド結合を有する有機基(X)が少なくとも1個結合してなる構成単位(「構成単位(I)」とも称す)が2つ含まれる形態と、該構成単位(I)が1つしか含まれない形態が挙げられる。具体的には、下記式:
Figure 0006537914
(式中、AはY又はZであり、X、Y及びZは、各々上記と同様である。)等が好適であり、同一の構成単位(I)を2つ含むホモポリマーの形態と、異なる構成単位(I)を2つ含むホモポリマーの形態と、当該構成単位(I)を1つしか含まないコポリマーの形態(共縮合構造の形態)がある。
上記シロキサン化合物は、例えば、下記式(2):
Figure 0006537914
(式中、X、Y及びZは、各々上記と同様である。n及びnは、重合度を表す。nは、0でない正の整数であり、nは、0又は正の整数である。)で表すことができる。
上記式(2)中、「Y/Z−」は、Y又はZが結合していることを表し、「X1〜2−」は、Xが1個又は2個結合していることを表し、「(Z/Y)1〜2−」は、Z又はYが1個結合するか、Z又はYが2個結合するか、又は、Z及びYが1個ずつ合計2個結合することを表す。「Si−(X/Y/Z)」は、X、Y及びZから選ばれる任意の3種がケイ素原子に結合していることを示す。
上記式(2)において、Si−OmとSi−Omとは、Si−OmとSi−Omとの結合順序を規定するものではなく、例えば、Si−OmとSi−Omとが交互又はランダムに共縮合している形態、Si−OmのポリシロキサンとSi−Omのポリシロキサンとが結合している形態等が好適であり、縮合構造は任意である。
上記シロキサン化合物において、シロキサン骨格の占める割合は、シロキサン化合物100質量%中、10〜80質量%であることが好ましい。より好ましくは15〜70質量%、更に好ましくは20〜50質量%である。
上記平均組成式(1)において、Xは、イミド結合及び/又はアミド結合を含む有機基を表す。イミド結合及び/又はアミド結合を含むことで、炭酸ガス等の所定ガスの透過性及び分離選択性に優れるとともに、高強度で製膜性が良好で、耐熱性や熱安定性にも優れるものとなる。
上記Xで表される有機基として好ましくは、分子量が1000以下の基である。具体的には、イミド結合及びアミド結合からなる群より選択される少なくとも1種と、有機骨格とを含む基であることが好ましい。
上記有機骨格としては特に限定されないが、例えば、置換基を有していてもよい、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数6〜30の芳香族残基(芳香環を有する基)等が挙げられる他、複素環残基(複素環を有する基)も挙げられる。中でも、疎水基又は環構造を含むことが好ましい。なお、置換基としては特に限定されず、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基やアルキニル基等の不飽和炭化水素基、エポキシ基等の重合性官能基等が挙げられる。
特に上記Xがアミド結合を含む有機基である場合、当該有機基は、疎水基を含むことが好ましい。疎水基としては特に限定されないが、例えば、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30のシクロアルキル基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基等が好ましい。より好ましくは、炭素数3〜20の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基であり、直鎖又は分岐鎖アルキル基の中でも直鎖アルキル基が好適である。中でも、耐熱性の観点からは、疎水基は芳香族炭化水素基であることが特に好ましい。芳香族炭化水素基の中でも好ましくは、フェニル基である。
上記Xがイミド結合を含む有機基である場合、当該有機基は、環構造を含むことが好ましい。環構造としては、耐熱性向上の観点から、芳香環、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記有機骨格はまた、疎水基又は環構造に加えて、例えば、(1)炭素数1〜6の(ポリ)アルキレン基を有する構造、(2)2級アミノ基を有する構造、又は、(3)3級アミノ基を有する構造、のいずれか1以上の構造を含むことが好ましい。上記Xで表される有機基として特に好ましくは、これらの(1)〜(3)の構造のうちいずれか1以上の構造の末端に、アミド結合又はイミド結合を介して、疎水基又は環構造を有する構造である。中でも、シロキサン化合物の熱的安定性がより高まる点で、炭素数1〜6の(ポリ)アルキレン基の末端に、アミド結合又はイミド結合を介して、疎水基又は環構造を有する構造が更に好ましい。
上記Xとして特に好ましくは、下記一般式(3)又は(4):
Figure 0006537914
(式中、Rは、上述した疎水基又は環構造を表す。x及びzは、同一又は異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表される構造(基)である。上記平均組成式(1)中のXがこのような構造であると、ガス分離膜の耐熱性や熱安定性がより向上される。
上記式(3)及び(4)中、xとzとの和(x+z)は、0以上10以下の整数であるが、3〜7であることが好ましく、より好ましくは3〜5、更に好ましくは3である。また、yは0であることが好ましい。
上記式(3)及び(4)において、Rは、疎水基又は環構造を表す。特に、上記式(3)ではRは疎水基を表すことが好ましく、また、上記式(4)ではRは環構造(より好ましくは芳香環、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種)を表すことが好ましい。具体的には、上記式(3)では、Rはフェニル基を表すことが特に好ましく、上記式(4)では、Rはフェニレン基、ナフチリデン基、ノルボルネンの2価基、(アルキル)シクロヘキシレン基、シクロヘキセニル基等を表すことが特に好ましい。
上記式(3)で表される構成単位は、例えば、Rがフェニル基を表す場合には下記式(3−1)で表される構成単位となる。また、上記式(4)で表される構成単位は、例えば、Rがフェニレン基を表す場合には下記式(4−1)で表される構成単位となり、Rが(アルキル)シクロヘキシレン基を表す場合には下記式(4−2)で表される構成単位となり、Rがナフチリデン基を表す場合には下記式(4−3)で表される構成単位となり、Rがノルボルネンの2価基を表す場合には下記式(4−4)で表される構成単位となり、Rがシクロヘキセニル基を表す場合には下記式(4−5)で表される構成単位となる。
Figure 0006537914
Figure 0006537914
上記式(4−1)〜(4−5)中、x、y及びzは、各々上記式(4)中のx、y及びzと同様である。
上記式(4−1)中、R〜Rは、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。中でも、R〜Rの全てが水素原子であることが好ましい。
上記式(4−2)中、R〜R10及びR7’〜R10’は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。中でも、R〜R10及びR7’〜R10’のうち、R若しくはRがメチル基で残り全てが水素原子である形態;R〜R10及びR7’〜R10’全てが水素原子である形態;R〜R10及びR7’〜R10’ の全てがフッ素原子である形態;のいずれかが好ましい。より好ましくは、R若しくはRがメチル基で残り全てが水素原子である形態である。
上記式(4−3)中、R11〜R16は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。中でも、R11〜R16の全てが水素原子である形態、又は、全てがフッ素原子である形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記式(4−4)中、R17〜R22は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。中でも、R17〜R22の全てが水素原子である形態、全てがフッ素原子である形態、又は、全てが塩素原子である形態のいずれかの形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記式(4−5)中、R23〜R26、R23’及びR26’は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。中でもR23〜R26、R23’及びR26’の全てが水素原子である形態、全てがフッ素原子である形態、又は、全てが塩素原子である形態のいずれかの形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記式(3)として特に好ましくは、y=0、x+z=3である形態である。具体的には、Rがフェニル基であるポリ〔3−(ベンズアミド)プロピル〕シルセスキオキサンである。
上記式(4)として特に好ましくは、y=0、x+z=3である形態である。具体的には、Rがフェニレン基であるポリ(γ−フタロイミドプロピルシルセスキオキサン);Rがメチルシクロヘキシレン基であるポリ{γ−(へキサヒドロ−4−メチルフタルイミド)プロピルシルセスキオキサン};Rがナフチリデン基であるポリ{γ−(1,8−ナフタルイミド)プロピルシルセスキオキサン};Rがノルボルネンの2価基であるポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピルシルセスキオキサン};Rがシクロヘキセニル基であるポリ〔(cis−4−シクロヘキセン−1,2−イミド)プロピルシルセスキオキサン〕である。
上記平均組成式(1)において、Xで表される有機基が占める割合は特に限定されないが、例えば、シロキサン化合物に含まれるケイ素原子100モル%に対し、20〜100モル%であることが好ましい。より好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは70〜100モル%である。
Xの係数aは、0でない3以下の数である。すなわち0<a≦3を満たす数である。このaは、Xで表される有機基が占める割合が、上記の好ましい範囲になるよう設定することが好適である。例えば、aは0.2以上であることが好ましく、これにより、耐熱性や耐加水分解性等がより向上するとともに、ガス透過性や分離選択性等により優れたものとなる。より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.8以上であり、また、より好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下であり、最も好ましくは1である。
Yは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。中でも、水酸基又はOR基が好適である。より好ましくはOR基であり、更に好ましくは、Rが炭素数1〜8のアルキル基を表す場合のOR基である。
Zは、イミド結合及びアミド結合を含まない有機基を表す。具体的には、アルキル基;アリール基、アラルキル基等の芳香族残基;不飽和脂肪族残基;等が挙げられる。これらは置換基を有していてもよい。好ましくは、置換基を有していてもよい、炭素数1〜8のアルキル基、又は、芳香族残基である。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、フェニル基、ビニル基、クロロプロピル基、メルカプトプロピル基、(エポキシシクロヘキシル)エチル基、グリシドキシプロピル基、N−フェニル−3−アミノプロピル基、(メタ)アクリロキシプロピル基、ヘキシル基、デシル基、オクタデシル基、トリフロオロプロピル基等が挙げられる。
Yの係数b及びZの係数cは、それぞれ、0又は3未満の数である。すなわち0≦b<3、0≦c<3を満たす数である。酸素原子Oの係数dは、0でない2未満の数である。すなわち0<d<2を満たす数である。これらの係数は、Xの係数aが上述した好ましい範囲になるように設定すればよく、特に限定されるものではないが、特に、a+b+cが0.5以上であることが好ましい。より好ましくは0.7以上、更に好ましくは0.7〜1、特に好ましくは1であり、また、dとして特に好ましくは1.5である。
上記シロキサン化合物は、アミド基又はイミド基導入率が20%以上であることが好ましい。これにより、耐熱性や耐加水分解性等がより向上するとともに、ガス透過性や分離選択性等により優れたものとなる。より好ましくは50%以上、更に好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であり、また、好ましくは300%以下、より好ましくは200%以下、更に好ましくは150%以下であり、最も好ましくは100%以下である。
本明細書中、アミド基又はイミド基導入率は、ガスクロマトグラフィ(GC)を用いて反応基質の消費量を追跡することで算出することができる。
ここで、本発明のガス分離膜は、シロキサン化合物がフッ素原子を含まなくても、炭酸ガス等の所定のガスの透過性や分離選択性、強度、製膜性、耐熱性や熱安定性等に優れる点で、コスト面や環境面にも優れている。それゆえ、コスト面や環境面でより良好なものとする観点では、上記シロキサン化合物は、フッ素原子を含まないことが好適である。すなわち、上記X、Y、Zは、フッ素原子を含まないことが好ましい。
上記シロキサン化合物はまた、下記計算式(α)で求められるシラノール基量が、0.1以下であることが好ましい。
[Si−OH結合モル数]/[Si−O結合モル数] (α)
これにより、上記組成物が著しく低粘度化する他、上記組成物やそれを用いて得た硬化物が耐吸湿性(低吸湿性)に極めて優れたものとなる。計算式(α)で求められるシラノール基量は、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.01以下である。特に好ましくは、上記シロキサン化合物が残存シラノール基を有さないことである。
ここで、[Si−OH結合モル数]とは、SiとOHとの結合数をモル数で表す。例えば、1モルのSi原子のそれぞれに2つのOH基が結合している場合には、[Si−OH結合モル数]は2モルとなる。Si−O結合モル数についても同様に数えるものとする。
上記シロキサン化合物として特に好ましくは、籠状又はラダー状のシロキサン骨格(ポリシロキサン骨格)を有することである。ラダー状のシロキサン骨格(ポリシロキサン骨格)を有する場合、耐熱性により優れたものとなる。また、籠状のシロキサン骨格(ポリシロキサン骨格)を有する場合、耐熱性や低吸湿性により優れるとともに、粘度が低減されたものとなる。
ここで、ラダー状のシロキサン骨格とは、シロキサン結合(Si−O結合)からなる直鎖状のシロキサン鎖を2つ有し、1の直鎖状のシロキサン鎖を構成するケイ素原子と他の直鎖状のシロキサン鎖を構成するケイ素原子とが1つの酸素原子を介して結合することにより、当該2つの直鎖状のシロキサン鎖が、平行に位置している骨格を意味する。籠状のシロキサン骨格とは、シロキサン結合(Si−O結合)からなるシロキサン鎖が立体的に結合された骨格を意味し、例えば、〔RSiO1.5(nは2の倍数で、かつ4以上の整数である。Rは、同一又は異なって、上記平均組成式(1)中のX、Y又はZを表し、Rのうち少なくとも1つは、上記Xである。)で表すことができる。
上記シロキサン化合物の分子量は、例えば、数平均分子量が100〜10万であることが好ましい。これにより、耐熱性及び製膜性がより向上される。数平均分子量の上限値としてより好ましくは8万以下、更に好ましくは4万以下、特に好ましくは8000以下、最も好ましくは4000以下である。また、重量平均分子量は100〜15万であることが好ましい。重量平均分子量の上限値としてより好ましくは10万以下、更に好ましくは5万以下、特に好ましくは1万以下である。
本明細書中、重量平均分子量及び数平均分子量は、後述する測定条件下、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
上記シロキサン化合物を得るための方法は特に限定されないが、例えば、Xがイミド基を有する場合は、特開2015−89899号公報の段落〔0072〕〜〔0077〕に記載された製造方法を採用することが好ましい。Xがアミド基とイミド基とを有する場合は、この製造方法と、後述するアミド基を有する場合の製造方法とを適宜組み合わせることが好ましい。
Xがアミド基を有する場合は、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物とによるアミド化反応工程を含む製造方法(i)や、アミノ基含有シラン化合物と疎水性酸塩化物との反応工程と、加水分解・縮合工程とを含む製造方法(ii)を採用することが好ましい。これらの中でも、原料の安定性や安全性が高く、かつ製造効率が良いうえ、シロキサン化合物を高収率で得ることができる観点から、製造方法(i)を採用することが好適である。製造方法(i)では、得られるシロキサン化合物の分子量を適宜設定することも容易に行うことができる。
以下に、これらの製造方法(i)、(ii)について更に説明する。
i)製造方法(i)
製造方法(i)は、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物とによるアミド化反応工程を含む製造方法である。アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物とは、反応率が非常に高く、副生物である水による触媒失活がないため、高収率でシロキサン化合物を得ることができる。また、このアミド化反応工程は、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物との反応工程(単に「反応工程」とも称す)と、加水分解・縮合工程とを含むことが好ましいが、前段の反応工程で生じた副生水を後段の加水分解・縮合工程でのゾルゲル反応に利用することで、製造時の副生物はほぼアルコールのみとなる。アルコールは反応時に乾溜塔で回収することができるため、副生物のろ過回収工程を不要とすることができ、製造効率が良い。また、反応基質の加水分解等を考慮する必要がないため、反応溶媒の脱水処理や反応装置の乾燥等も不要とすることができる他、生成物中に強酸や強塩基が高濃度で残存することがないため、反応後の生成物洗浄工程も不要とすることができる。このように製造方法(i)は、工業的に非常に有利な手法である。
−反応工程−
上記反応工程では、アミノ基含有シラン化合物と有機カルボン酸化合物とを用いるが、これら反応原料は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記アミノ基含有シラン化合物は、アミノ基とアルコキシシリル基とを有する化合物であることが好ましい。例えば、ケイ素原子に、(1)炭素数1〜6のアルキレン基を有する構造、(2)2級アミノ基を有する構造、又は、(3)3級アミノ基を有する構造、のいずれかの構造が結合し、該構造の、ケイ素原子とは反対側の末端に、アミノ基が結合した構造を有するものが好ましい。上記(1)〜(3)の中でも、(1)炭素数1〜6のアルキレン基を有する構造がより好ましい。
上記アミノ基含有シラン化合物として更に好ましくは、例えば、下記式(5):
Figure 0006537914
(式中、R27は、同一若しくは異なって、炭素数1〜20のアルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基を有していてもよい。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表される化合物である。
上記式(5)中、x、y及びzはすべて上記式(3)における各記号と同じであり、yは0であることが好ましく、x及びzの合計は3であることが好ましい。また、R27としては、炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
上記アミノ基含有シラン化合物として特に好ましくは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリ(イソプロポキシ)シラン、3−アミノプロピルトリブトキシシランである。
上記有機カルボン酸化合物とは、1分子中にカルボキシル基(COOH)を1個又は2個以上有する有機化合物であり、特に限定されるものではない。好ましくは、疎水基とカルボキシル基とを有する化合物であり、より好ましくは、R−C(=O)−OH(Rは、疎水基を表す)で表される化合物である。Rで表される疎水基については、上述したとおりである。
上記反応工程において、有機カルボン酸化合物の使用量(添加量)は、当該化合物が有するカルボキシル基の量が、アミノ基含有シラン化合物が有するアミノ基1モルに対し、0.5〜3モルとなるように設定することが好ましい。より好ましくは0.8〜1.2モル、更に好ましくは1モルである。
上記反応工程では、反応温度を室温〜250℃として行うことが好ましい。より好ましくは室温〜200℃である。反応時間としては、反応温度、反応組成によって変わるが、3分〜24時間が好ましい。
上記反応工程は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。
溶媒としては、有機溶媒を1種又は2種以上を用いることが好適である。具体的には、例えば、アミド系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒等が挙げられるが、この中でも、アミド系溶媒やエーテル系溶媒が好ましい。
アミド系溶媒としては特に限定されないが、例えば、N−メチルピロリジノン、N,N’−ジメチルアセタミド、N,N’−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては特に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールジフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジフェニルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等が挙げられる。
−加水分解・縮合工程−
上記加水分解・縮合工程は、上記反応工程で得られた生成物中のアルコキシシリル基を加水分解反応させ、その後、縮合反応させる工程であることが好ましい。加水分解反応により得られたシラノール基(Si(OH))の縮合反応により、本発明におけるシロキサン化合物を得ることができる。
上記加水分解・縮合工程では、水を用いることが好ましい。この際、上記反応工程で副生した水を用いることが好ましいが、必要に応じて水を添加してもよく、添加形態は特に限定されず、滴下してもよいし、一括投入してもよい。
なお、水分濃度の管理は不要であるが、例えば、上記反応工程による生成物中の固形分100質量部に対し、10〜2000質量部の水を用いることが好ましい。より好ましくは10〜500質量部、更に好ましくは20〜400質量部である。
上記加水分解・縮合工程ではまた、触媒を1種又は2種以上用いることが好ましい。
触媒としては、Fe、Al、In、Zr、Co、Ni及びZnからなる群より選択される少なくとも1種を含む金属化合物が好適である。すなわち上記製造方法(i)は、Fe、Al、In、Zr、Co、Ni及びZnからなる群より選択される少なくとも1種を含む金属化合物の存在下で行うことが好適である。これにより、反応がより進行し、シロキサン化合物の製造効率をより一層高めることができる。
上記金属化合物は、Fe、Al、In、Zr、Co、Ni及びZnからなる群より選択される少なくとも1種の金属を含むものであれば特に限定されず、例えば、これらの金属の、ハロゲン化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機カルボン酸塩等が挙げられる。中でも、塩化物と有機カルボン酸塩が好適である。なお、金属化合物は1種又は2種以上を使用することができる。
上記金属化合物の使用量(存在量)は、上記反応工程に供されるアミノ基含有シラン化合物1モルに対し、0.001〜0.2モルであることが好ましい。これによって、金属化合物に由来する作用効果をより充分に発揮することができる。より好ましくは0.002モル以上、更に好ましくは0.003モル以上であり、また、より好ましくは0.15モル以下、更に好ましくは0.1モル以下、特に好ましくは0.05モル以下である。
上記加水分解・縮合工程における反応温度は、室温〜200℃であることが好ましい。より好ましくは室温〜160℃であり、更に好ましくは、副生物としてアルコールが生じる点から、アルコール、水及び溶媒の共沸還流下で保持することである。
上記加水分解・縮合工程は、常圧下、加圧下、減圧下のいずれで行ってよいが、副生アルコールを効率よく反応系外へ留去することで反応が進行しやすい点で、常圧以下で行うことが好ましい。また、反応時間としては、反応温度、反応組成によって変わるが、2〜48時間であることが好適である。
上記製造方法(i)のアミド化反応工程の一例として、有機カルボン酸化合物として安息香酸を用い、アミノ基含有シラン化合物として3−アミノプロピルトリエトキシシランを用いた例を下記式(6)に示す。
Figure 0006537914
ii)製造方法(ii)
製造方法(ii)は、アミノ基含有シラン化合物と疎水性酸塩化物との反応工程と、加水分解・縮合工程とを含む製造方法である。
−反応工程−
上記反応工程では、アミノ基含有シラン化合物と疎水性酸塩化物とを用いるが、これら反応原料は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。アミノ基含有シラン化合物については、製造方法(i)において上述したとおりである。
上記疎水性酸塩化物としては、疎水基(R)を有する酸塩化物であれば特に限定されず、酸塩化物としては、例えば、スルホン酸塩化物、カルボン酸塩化物等が挙げられる。中でも、疎水性酸塩化物は、R−C(=O)−Cl(Rは、疎水基を表す)で表される疎水性カルボン酸塩化物であることが好ましい。なお、Rで表される疎水基については、上述したとおりである。
上記反応工程において、疎水性酸塩化物の使用量(添加量)は、アミノ基含有シラン化合物が有するアミノ基1モルに対し、0.5〜3モルとすることが好ましい。より好ましくは0.8〜1.2モル、更に好ましくは1モルである。
上記アミノ基含有シラン化合物と疎水性酸塩化物との反応は、例えば、アミノ基含有シラン化合物に対し、疎水性酸塩化物によって求電子置換反応させることで、疎水基を側鎖に導入することが好ましい。
上記反応工程では、反応温度を室温〜250℃として行うことが好ましい。より好ましくは室温〜200℃である。反応時間としては、反応温度、反応組成によって変わるが、3分〜24時間が好ましい。
上記反応工程は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。
溶媒としては、有機溶媒を1種又は2種以上を用いることが好適である。具体的には、例えば、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒等が挙げられるが、この中でも、エーテル系溶媒が好ましい。これらエーテル系溶媒は、後の加水分解工程で水に溶けるため、製造工程がシンプルとなって好ましい。
エーテル系溶媒としては、ジグライム、テトラヒドロフラン(THF)、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、中でもジグライムがより好ましい。
上記反応工程はまた、触媒の存在下で行うことが好ましく、触媒として、例えば、塩化水素、トリエチルアミン等の1種又は2種以上を用いることが好適である。
−加水分解・縮合工程−
上記加水分解・縮合工程は、上記反応工程で得られた生成物中のアルコキシシリル基を加水分解反応させ、その後、縮合反応させる工程であることが好ましい。加水分解反応により得られたシラノール基(Si(OH))の縮合反応により、本発明におけるシロキサン化合物を得ることができる。
上記加水分解・縮合工程においては、水を用いることが好ましい。例えば、上記反応工程の生成物中の固形分100質量部に対し、10〜2000質量部の水を添加して反応させることが好適である。水の添加量としてより好ましくは10〜500質量部、更に好ましくは20〜400質量部である。
上記加水分解・縮合工程に用いる水は、イオン交換水、pH調整水等のいずれを用いてもよいが、pH7前後の水を用いることが好ましい。このような水を用いることにより、イオン性不純物量を低減させることが可能となり、低吸湿性又は高絶縁性のポリシロキサン化合物を得ることが可能になる。なお、水の純度は、pH7である方が好ましいが、塩化水素、シュウ酸、ピリジン、トリエチルアミン等は高温で反応系外へ揮散するので、微量添加してpHを2〜12の範囲で調整してもよい。
上記水の使用形態は、上記反応工程の生成物に滴下する形態でもよいし、一括投入する形態でもよい。
上記加水分解・縮合工程では、触媒を1種又は2種以上用いることが好ましい。
触媒としては、亜鉛化合物を少なくとも使用することが好適である。亜鉛化合物としては亜鉛カルボン酸塩が好ましく、飽和脂肪族カルボン酸の亜鉛カルボン酸塩がより好ましい。飽和脂肪族カルボン酸の炭素数は1〜20が好ましく、より好ましくは2〜10、更に好ましくは6〜8である。これらの中でも、水に可溶性の化合物が特に好ましく、最も好ましくは、2−エチルヘキサン酸亜鉛を用いることである。
上記加水分解・縮合工程における反応温度は、室温〜200℃であることが好ましい。より好ましくは室温〜160℃であり、更に好ましくは、副生物としてアルコールが生じるので、アルコール、水、溶媒の共沸還流下で保持することである。
上記加水分解・縮合工程における反応圧力は、常圧下であっても加圧下であっても減圧下であってもよいが、副生アルコールを効率よく反応系外へ留去することで反応が進行しやすいので、常圧以下である方が好ましい。また、反応時間としては、反応温度、反応組成によって変わるが、2〜48時間であることが好適である。
−その他の工程−
上記製造方法(ii)ではまた、ろ過工程及び洗浄工程を行うことが好適である。例えば、上記反応工程で得られた生成物に対してろ過及び洗浄工程を行った後、加水分解・縮合工程に供することが好ましい。洗浄工程では、水や、有機溶媒等の1種又は2種以上を使用して、1回又は2回以上洗浄を行うことが好ましい。有機溶媒は特に限定されず、例えば、アセトン、メタノール、ジエチルエーテル、トルエン等の通常の洗浄工程で使用される溶媒を用いればよい。また上記加水分解・縮合工程の後に、各工程等で用いた溶媒を除去する工程を行うことが好適である。
上記製造方法(ii)の一例として、疎水性酸塩化物としてベンゾイルクロリドを用い、アミノ基含有シラン化合物として3−アミノプロピルトリエトキシシランを用いた反応例を下記式(7)に示す。
Figure 0006537914
2)有機樹脂
本発明のガス分離膜が有するガス分離層は、更に、有機樹脂(有機ポリマーとも称す)を含むことも好適である。上記シロキサン化合物のみを含有成分としてガス分離層を形成することも可能であるが、製膜をより容易に行う観点から、有機樹脂を含むことが好適である。
上記ガス分離層は、シロキサン化合物を1〜100質量%含むガス分離層形成用材料(この総量を100質量%とする)を用いて得られる層であることが好ましい。シロキサン化合物の含有量がこの範囲にあると、炭酸ガス等の所定ガスの透過性及び分離選択性がより高まる。シロキサン化合物の含有量は、より好ましくは30〜100質量%、更に好ましくは50〜100質量%である。ガス分離層が更に有機樹脂を含む場合、ガス分離層形成用材料中のシロキサン化合物と有機樹脂との質量比は10〜100/0〜90であることが好ましい。これにより、製膜がより容易になる。より好ましくは30〜100/0〜70、更に好ましくは40〜100/0〜60、特に好ましくは50〜100/0〜50である。
上記有機樹脂としては特に限定されず、要求物性等によって適宜選択すればよい。具体的には、耐久性等の観点から、溶剤可溶性樹脂を用いることが好適である。溶剤可溶性樹脂とは有機溶剤に可溶な樹脂を意味し、例えば、ジメチルアセトアミド又はN−メチルピロリドン100質量部に対して1質量部以上溶解する樹脂であることが好適である。
上記溶剤可溶性樹脂として具体的には、例えば、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、ポリシクロオレフィン樹脂等が挙げられる。中でも、耐久性や、ガス透過性及び分離選択性をより充分に発揮させる観点から、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂が好ましい。より好ましくはポリ(アミド)イミド樹脂であり、更に好ましくはポリイミド樹脂である。
本明細書中、ポリ(アミド)イミド樹脂とは、狭義のポリイミド樹脂(イミド結合を含み、アミド結合を含まない樹脂を意味し、ここでいうアミド結合とは、アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得ないアミド結合を意味する。)、及び、ポリアミドイミド樹脂(アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得ないアミド結合とイミド結合とを含む樹脂を意味する。)のいずれをも包含する。
なお、ポリイミド樹脂におけるイミド結合は、通常、アミド結合とそれに隣接するカルボキシル基とを有する結合鎖(該結合鎖をアミック酸ともいう。通常は、アミド結合が結合した炭素原子に隣接する炭素原子にカルボキシル基が結合した構造である。)におけるアミド結合とカルボキシル基との脱水反応による形成される。ポリアミック酸から脱水反応によりポリイミド樹脂を生成させる際、分子内に若干量のアミック酸は残存し得る。したがって、本明細書で「ポリイミド樹脂」又は単に「ポリイミド」という場合は、イミド結合を含み、アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得ないアミド結合は含まないが、アミック酸の脱水反応によりイミド結合を形成し得るアミド結合は含まないか若干量含んでいてもよい。
上記溶剤可溶性樹脂はまた、架橋反応(硬化反応)することが可能な反応性基(例えば、エポキシ基やオキセタン環、エチレンスルフィド基等の開環重合性基;アクリル基、メタクリル基、ビニル基等のラジカル硬化性基及び/又は付加硬化性基)を有してもよい。
上記溶剤可溶性樹脂を用いてガス分離層を形成する場合、溶剤可溶性樹脂がそのまま、ガス分離層を構成する樹脂成分となっていてもよいし、溶剤可溶性樹脂が架橋反応等により変化したものが、ガス分離層を構成する樹脂成分となっていてもよい。後者の場合、架橋可能な反応性基の量や製膜時の架橋反応をどの程度進めるかは特に限定されるものではないが、樹脂の溶剤可溶性が維持できる程度であることが好ましい。
<ガス透過性支持体>
本発明のガス分離膜は、上述したガス分離層のみからなるものであってもよいが、更に、他の層を1又は2以上有するものであってもよい。中でも、ガス透過性支持体を1又は2以上更に有することが好ましい。これにより、強度が更に向上し、膜表面積拡大のためにスパイラル状等の形状に変形してモジュールを作製することがより容易になる。
上記ガス透過性支持体を更に有する場合、ガス透過性支持体の、分離対象となるガスが供給される側に、ガス分離層を配置することが好ましい。言い替えれば、ガス分離層の、分離されたガスが放出される側に、ガス透過性支持体を配置することが好ましい。また、ガス透過性支持体とガス分離層との間には他の層が介在していてもよい。
上記ガス透過性支持体は、多孔質性のものであることが好ましい。すなわち多孔質基材であることが好ましい。ガス透過性を高める観点から、多孔質基材の平均細孔径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜5μm、更に好ましくは0.05〜1μmである。また、空隙率は20〜90体積%であることが好ましく、より好ましくは30〜80体積%である。
上記多孔質基材の形状は特に限定されず、例えば、平板状、スパイラル状、管状、中空糸状等のいずれであってもよい。
上記多孔質基材の材料は、有機材料、無機材料のいずれであってもよいが、好ましくは有機材料である。中でも、有機樹脂(有機ポリマーとも称す)がより好ましい。有機樹脂は特に限定されないが、例えば、強度やガス透過性等の観点から、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、シクロオレフィン樹脂等が好ましい。これらの中でも、フッ素化芳香族ポリマー、ポリ(アミド)イミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂、シクロオレフィン樹脂、エポキシ樹脂及び/又はアクリル樹脂がより好ましい。更に好ましくはフッ素化芳香族ポリマーである。
上記無機材料としては特に限定されないが、例えば、アルミナ、ムライト、チタニア等の他、これらの複合物からなるセラミックス等を用いることが好ましい。
上記ガス透過性支持体の厚みは特に限定されないが、例えば、1μm〜3mmであることが好ましい。より好ましくは5〜500μm、更に好ましくは5〜150μmである。
<製造方法>
本発明のガス分離膜の製造方法としては特に限定されないが、例えば、上記シロキサン化合物を含むガス分離層形成用材料を、ガス透過性支持体の表面(又は、支持体とガス分離層との間に他の層を有する場合は、当該他の層の表面)に塗布し、乾燥又は硬化することにより形成する方法(塗布法又はコーティング法と称す);ガス透過性支持体に対して、ガス分離層形成用材料から形成されたフィルムを熱圧着することにより形成する方法;練込法;等が挙げられる。これらの中でも、塗布法を採用することが好ましく、これによってガス分離層と支持体等との密着性がより充分なものとなる。
なお、ガス透過性支持体を有しないガス分離膜を得る場合にも、塗布法を用いることが好ましく、例えば、仮の基材にガス分離層形成用材料を塗布した後、該基材から剥離することによりガス分離膜を得ることができる。
上記ガス分離層形成用材料は、上記シロキサン化合物を含むものであればよいが、必要に応じてその他の成分を更に含んでいてもよい。各含有成分は、それぞれ1種又は2種以上使用することができる。
上記その他の成分としては、上述のとおり有機樹脂を含むことが好ましい。その他、特に限定されないが、例えば、溶媒、表面調整剤、可塑剤等も挙げられ、塗布法を採用する場合は溶媒を少なくとも含むことが好適である。溶媒としては特に限定されず、例えば、クロロホルム、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N’−ジメチルホルマミド等の非極性溶媒が挙げられる。溶媒の含有量は、塗布容易化の観点から、ガス分離層形成用材料の総量100質量%に対し、1〜99質量%とすることが好ましい。より好ましくは50〜95質量%である。
<用途等>
本発明のガス分離膜は、例えば、水素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、酸素、窒素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物;メタン、エタン等の炭化水素;プロピレン等の不飽和炭化水素;テトラフルオロエタンに代表されるパーフルオロ化合物;等のガスを含有するガス混合物から、特定のガスを分離することができるものである。中でも、酸性ガスを選択的に分離する分離膜として有用であり、酸性ガスとしては、炭酸ガス、硫化水素ガス等が好適である。より好ましくは炭酸ガス(CO)である。この場合、本発明のガス分離膜は、炭酸ガスと炭化水素ガス(メタン等)とを含むガス混合物から、炭酸ガスを選択的に分離する分離膜;炭酸ガスと水素ガス(H)とを含むガス混合物から、炭酸ガスを選択的に分離する分離膜;等として有用であり、このような本発明のガス分離膜を備えるガス分離モジュールやガス分離装置は、工業的に極めて有用である。
上記ガス分離膜は、炭酸ガスの透過性を示す透過率(25℃)が、1×10−9・s・Pa以上であることが好ましい。この透過率が大きいほど、炭酸ガスの透過性に優れることを意味する。より好ましくは2×10−9・s・Pa以上、更に好ましくは3×10−9・s・Pa以上である。
本明細書中、炭酸ガスの透過率は、JIS K7126−1(2006年)に従って測定することができる。
上記ガス分離膜はまた、炭酸ガスの分離選択性を示す透過係数(CO/CH)が、5以上であることが好ましい。より好ましくは10以上、更に好ましくは15以上、特に好ましくは18以上、最も好ましくは20以上である。
本明細書中、透過係数(CO/CH)は、上述のように求めた炭酸ガスの透過率を、同様に求めたメタンガスの透過率で除することにより求めることができる。
本発明のガス分離膜は、炭酸ガス等の所定ガスの透過性及び分離選択性に優れるとともに、高強度で製膜性が良好で、しかも工業的に容易に生産可能なものである。更に、耐熱性や熱安定性にも優れるため、高温下でも長時間連続的に安定してガス分離を行うことができる。それゆえ、このようなガス分離膜やこれを備えるガス分離モジュール及びガス分離装置は、天然ガスからの炭酸ガスの効率的な分離技術及び回収した炭酸ガスの貯留技術に極めて有用である他、燃料電池自動車や水素インフラ、環境負荷のない水素エネルギー等の実現に多大な貢献をもたらすものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味するものとする。なお、NMRの分析装置、分子量の測定条件(GPC測定条件)を以下に示す。
<NMR分析装置>
H−NMR:Varian Instruments社製、Unity Plus 400 MHz NMR system
13C−NMR:Varian Instruments社製、Unity Plus 400 MHz NMR system
<GPC測定条件>
計測機器:東ソー社製「HLC−8220GPC」
カラム:Shodex GF−7MHQを2本、
展開液:10mMol/L LiBr添加N,N’−ジメチルホルムアミド
流速:0.6mL/分
温度:40℃
検量線:ポリスチレン標準サンプル(東ソー社製)を用いて作成。
合成例1
ポリ(γ−フタロイミドプロピルシルセスキオキサン)の合成
攪拌装置、温度センサー、冷却管を備え付けた500mL4つ口フラスコに、予めモレキュラーシーブで乾燥したジグライム86.6gと、3−アミノプロピルトリメトキシシラン179.4gを投入し、攪拌しながら乾燥窒素流通下で100℃に昇温して系内の水分を除去した。次に80℃に反応液温度を維持しながら無水フタル酸148.2gを30分かけて4分割投入した。投入終了後3時間で無水フタル酸が完全に消費されているのを高速液体クロマトグラフィで確認した。
続いて脱イオン水54.2gを一括投入し、冷却管で副生メタノールの還流が掛かるように昇温し、6時間保持したのち、冷却管をパーシャルコンデンサーに付け替えて再び昇温を開始し、副生メタノール及び縮合水を回収しながら3時間かけて反応液温度を120℃に到達させた。120℃到達時にピリジン7.9gを投入してそのまま昇温を開始し、縮合水を回収しながら3時間かけて160℃に到達、同温度で2時間保持して室温まで冷却した。
反応生成物は、不揮発分80.6%で濃褐色高粘度液体であり、GPCで分子量測定したところ、数平均分子量2310、重量平均分子量2830であった。H−NMR、13C−NMRを測定し、下記化学式(A)の化合物(これを化合物Aと称す)を含有することを確認した(式中のnは重合度を表す)。
H−NMR:0.3−0.9(bs、2H)、1.5−1.8(bs、2H)、3.4−3.6(bs、2H)、7.1−7.7(bs、4H)
13C−NMR:10.0、22.1、40.4、123.1、132.3、133.7、168.1
Figure 0006537914
実施例1
表1に記載の原料を、撹拌器、温度計、冷却管付のセパラブルフラスコに入れ、150℃で1時間撹拌後、室温に冷却して300メッシュフィルターでろ過することで表の組成のワニスを調製した。次に、PTFE製多孔質フィルム(厚さ80μm、ポアサイズ0.1μm、空隙率50%、東洋濾紙社製)上にアプリケーターを用いて塗布した。塗布厚は、乾燥時の膜厚が4μmになるように設定した。塗布後、窒素ガス流通下のイナートオーブン中に120℃、30分放置後、真空オーブンで150℃、2時間で乾燥した。
得られたガス分離膜について、下記の評価方法に従ってガス透過性を評価した。
なお、表1に記載の原料の重量比は、各原料の不揮発分(固形分)の重量に基づいて算出した値である。
<ガス透過性評価>
ガス透過性評価は差圧法によりJIS K7126−1(2006年)に準じて行った。ガス種は二酸化炭素とメタンとの2種で行い、測定温度は25℃に設定した。測定結果を表1に記す。
比較例1
原料を表1に記載のとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして比較用ガス分離膜(支持体とポリイミド単独膜とからなる膜)を作製し、ガス透過性を評価した。結果を表1に記す。
Figure 0006537914
ガス分離層としてポリイミド単独膜を用いた比較例1では、二酸化炭素とメタンのガス種によらず、透過率は低く透過ガス種の選択性も殆どなかった。これに対し、実施例1では、シロキサン化合物(ポリシロキサン化合物)をポリイミドに分散させることで、二酸化炭素の透過率のみを高めることができ、透過ガス種の選択性を高めることが可能となった。この対比結果より、シロキサン化合物がガス透過性及び分離選択性に大きく寄与したことが分かる。また、表1等には記していないものの、実施例1で得たガス分離膜は、製造が容易なうえ、高強度で製膜性も良好で、しかも耐熱性や熱安定性にも優れるものであった。
以上より、本発明のガス分離膜、すなわち所定構造のシロキサン化合物を含むガス分離層を有するガス分離膜は、炭酸ガス等の所定ガスの透過性及び分離選択性に優れるとともに、高強度で製膜性が良好で、耐熱性や熱安定性にも優れ、工業的に容易に生産可能なものであることを確認した。

Claims (5)

  1. シロキサン化合物を含むガス分離層を有するガス分離膜であって、
    該シロキサン化合物は、シロキサン結合を主鎖骨格に有し、かつ下記平均組成式(1):
    SiO (1)
    (式中、Xは、同一又は異なって、イミド結合及び/又はアミド結合を含む有機基を表す。Yは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、同一又は異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選択される少なくとも1種の基を表し、置換基を有していてもよい。Zは、同一又は異なって、イミド結合及びアミド結合を含まない有機基を表す。X、Y及びZは、主鎖骨格のケイ素原子に結合する。aは、0でない3以下の数であり、b及びcは、同一又は異なって、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)で表される
    ことを特徴とするガス分離膜。
  2. 前記ガス分離膜は、更に、ガス透過性支持体を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のガス分離膜。
  3. 前記ガス分離層は、更に、有機樹脂を含む
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガス分離膜。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のガス分離膜を備える
    ことを特徴とするガス分離モジュール。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のガス分離膜を備える
    ことを特徴とするガス分離装置。
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