JP2018027520A - ガス分離膜、ガス分離膜モジュールおよびガス分離装置 - Google Patents

ガス分離膜、ガス分離膜モジュールおよびガス分離装置 Download PDF

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Abstract

【課題】不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下が抑制されたガス分離膜の提供;ガス分離膜モジュール;ガス分離装置。【解決手段】分離層を有するガス分離膜であって、分離層が中空シリカ粒子を含むガス分離膜;ガス分離膜モジュール;ガス分離装置。【選択図】図1

Description

本発明は、ガス分離膜、ガス分離膜モジュールおよびガス分離装置に関する。
高分子化合物からなる素材には、その素材ごとに特有のガス透過性がある。その性質に基づき、特定の高分子化合物から構成された膜によって、所望の気体成分を選択的に透過させて分離することができる(ガス分離膜)。このガス分離膜の産業上の利用態様として、地球温暖化の問題と関連し、火力発電所やセメントプラント、製鉄所高炉等において、大規模な二酸化炭素発生源からこれを分離回収することが検討されている。この膜分離技術は、比較的小さなエネルギーで環境問題の解決ができる手段として着目されており、主としてメタンと二酸化炭素を含む天然ガスやバイオガス(生物の排泄物、有機質肥料、生分解性物質、汚水、ゴミ、エネルギー作物などの発酵、嫌気性消化により発生するガス)から二酸化炭素を除去する手段として利用されている。
実用的なガス分離膜とするためにガス分離に寄与する部位を薄層にしてガス透過性とガス分離選択性を確保するために以下のような方法が知られている。非対称膜(Asymmetric Membrane)として分離に寄与する部分をスキン(Skin)層と呼ばれる薄層にする方法、あるいは機械的強度を有する支持体の上にガス分離に寄与する層(Selective Layer)を設ける薄層複合膜(Thin Film composite)を用いる方法、あるいはガス分離に寄与する高密度の層を含む中空糸(Hollow fiber)を用いる方法などが知られている。
ガス分離膜として、シリカを含む多孔質粒子(含シリカ多孔質粒子)を含む分離層を有するガス分離膜が知られている(特許文献1参照)。
特許文献1には、流体分離のための混合マトリックス膜であって、分散した無機モレキュラーシーブを有する連続相ポリマーを含み、ポリマーが少なくとも20のCO2/CH4選択率を有し、モレキュラーシーブが少なくとも特定の範囲のメソ多孔性を有し、ここで、混合マトリックス膜のCO2透過率がニートポリマーから作製された膜に比較して、少なくとも30%増加し、選択率の減少は10%以下である、混合マトリックス膜が記載されている。特許文献1には、モレキュラーシーブが、CVX−7及びSSZ−13を含む群から選択されることが記載されている。また、特許文献1には、モレキュラーシーブが、アルミノリン酸塩(AlPO)、シリコアルミノリン酸塩(SAPO)、メタロ−アルミノリン酸塩(MeAPO)、エレメントアルミノリン酸塩(EIAPO)、金属シリコアルミノリン酸塩(MeAPSO)及びエレメンタルシリコアルミノリン酸塩(ELAPSO)の少なくとも1つから選択されることも記載されている。
特表2008−520432号公報
Journal of Membrane Science, 103 (1995), 73−82
ここで、ガス分離選択性が高い分離層(特にポリイミドを含む分離層)はBTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)やプロパン、ブタン、ヘキサンなどの高次炭化水素ガスによって可塑化し、性能が劣化することが知られている。例えば、非特許文献1には、ポリイミドを含む分離層のヘキサンまたはトルエンに起因する可塑化に伴うCO2/CH4ガス選択性の劣化が記載されている。
そのため、分離しようとするガスに高次炭化水素が含まれる場合、不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下が生じることがある。現実のガス田においてガス分離膜を実施化する場合、ガス田ごとに不純物ガス組成が異なるため、ガス田によってそれぞれガス分離性が大きく異なる問題がある。
本発明者らが特許文献1に記載の含シリカ多孔質粒子を含む分離層を有するガス分離膜の性能を検討したところ、不純物ガス暴露後のガス分離選択性にさらなる改善が求められることがわかった。
本発明が解決しようとする課題は、不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下が抑制されたガス分離膜を提供することである。
また、本発明が解決しようとする課題は、不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下が抑制されたガス分離膜を有するガス分離膜モジュールおよびこのガス分離膜モジュールを有するガス分離装置を提供することである。
本発明者らが鋭意検討を進めたところ、中空シリカ粒子を分離層に添加することで、不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下が抑制されたガス分離膜を提供できることを見出すに至った。
上記の課題を解決するための具体的な手段である本発明と本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
[1] 分離層を有するガス分離膜であって、
分離層が中空シリカ粒子を含む、ガス分離膜。
[2] 分離層がポリイミドを含む、[1]に記載のガス分離膜。
[3] 分離層の厚みが30〜200nmである、[1]または[2]に記載のガス分離膜。
[4] 中空シリカ粒子の平均粒子直径が30〜80nmである、[1]〜[3]のいずれか一つに記載のガス分離膜。
[5] 分離層の厚みに対する、中空シリカ粒子の平均粒子直径の割合が30〜90%である、[1]〜[4]のいずれか一つに記載のガス分離膜。
[6] 分離層に対する、中空シリカ粒子の質量比率が、0.1質量%以上、20質量%未満である、[1]〜[5]のいずれか一つに記載のガス分離膜。
[7] 分離層に対する、中空シリカ粒子の質量比率が、0.1質量%以上、15質量%未満である、[1]〜[6]のいずれか一つに記載のガス分離膜。
[8] 支持体をさらに有する、[1]〜[7]のいずれか一つに記載のガス分離膜。
[9] 支持体と分離層との間に樹脂層を有し、
樹脂層がシロキサン結合を有する化合物を含む[8]に記載のガス分離膜。
[10] [1]〜[9]のいずれか一つに記載のガス分離膜を有する、ガス分離膜モジュール。
[11] [10]に記載のガス分離膜モジュールを有する、ガス分離装置。
本発明によれば、不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下が抑制されたガス分離膜を提供できる。
本発明によれば、不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下が抑制されたガス分離膜を有するガス分離膜モジュールおよびこのガス分離膜モジュールを有するガス分離装置を提供できる。
本発明のガス分離膜の一例を示す模式図である。 本発明のガス分離膜の他の一例を示す模式図である。 ガス分離膜の不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下を評価する場合に用いる、サンプルの一例を示す模式図である。
以下、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特定の符号で表示された置換基や連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、あるいは複数の置換基等を同時もしくは択一的に規定するときには、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよいことを意味する。また、特に断らない場合であっても、複数の置換基等が近接するときにはそれらが互いに連結したり縮環したりして環を形成していてもよい。
本明細書において化合物(樹脂を含む)の表示については、その化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、所望の効果を奏する範囲で、所定の一部を変化させた誘導体を含む意味である。
本明細書における置換基(連結基についても同様)については、所望の効果を奏する範囲で、その基に任意の置換基を有していてもよい意味である。これは置換または無置換を明記していない化合物についても同義である。
[ガス分離膜]
本発明のガス分離膜は、分離層を有するガス分離膜であって、分離層が中空シリカ粒子を含む。
このような構成により、不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下が抑制されたガス分離膜を提供することができる。
不純物ガスとしては特に限定はないが、BTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)やプロパン、ブタン、ヘキサンなどの高次炭化水素ガスが代表的な例である。その中でもBTX(特にトルエン)暴露後のガス分離選択性低下が抑制されることが好ましい。本発明者は、分離層が含シリカ多孔質粒子および中実シリカ粒子を含む場合は目立った効果がないが、驚くべきことに分離層が中空シリカ粒子を含むことで、分離層の可塑化を抑制して不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下を抑制できることを見出した。
さらに本発明のガス分離膜の好ましい態様では、ガス分離膜の(不純物ガス暴露前の)ガス透過性およびガス分離選択性も高いことが好ましい。本発明者は、分離層が中空シリカ粒子を含まない場合と比べて、分離層が中空シリカ粒子を含む場合にガス透過性およびガス分離選択性もほとんど低下しないことも見出した。
本明細書中、分離層とは、分離選択性を有する層を意味する。分離選択性を有する層とは、厚み0.05〜30μmの膜を形成し、得られた膜に対して、40℃の温度下、ガス供給側の全圧力を0.5MPaにして、二酸化炭素(CO2)及びメタン(CH4)の純ガスを供給した際の、二酸化炭素の透過係数(PCO2)とメタンの透過係数(PCH4)の比(PCO2/PCH4)が、1.5以上となる層を意味する。
以下、本発明のガス分離膜の好ましい態様について説明する。
<構成>
本発明のガス分離膜は、薄層複合膜(ガス分離複合膜と言われることもある)、非対称膜または中空糸であることが好ましく、薄層複合膜であることがより好ましい。
以下においてガス分離膜が薄層複合膜である場合を代表例として説明するときがあるが、本発明のガス分離膜は薄層複合膜に限定されるものではない。
本発明のガス分離膜の好ましい構成を、図面を用いて説明する。図1に示した本発明のガス分離膜10の一例は、支持体4および分離層3を有するガス分離膜10である。
図2に示した本発明のガス分離膜10の他の一例は、支持体4、樹脂層2、分離層3、保護層8をこの順で有するガス分離膜10である。
本明細書において「支持体4、樹脂層2、分離層3、保護層8をこの順で有する」とは、支持体、樹脂層、分離層および保護層の間に他の層が介在してもよい意味である。
また、本明細書において、上下の表現については、特に断らない限り、図1に示したように分離対象となるガスが供給される方向を「上」とし、分離されたガスが出される方向を「下」とする。
ガス分離膜は、図2に示すとおり、保護層8が分離層3と直接接し、保護層8が分離層3よりも分離対象となるガスが供給される側に配置されることが好ましい。
<支持体>
本発明のガス分離膜は、支持体をさらに有することが好ましい。
本発明のガス分離膜は、支持体の多孔質層を有する表面ないし内面に分離層3を形成または配置するようにしてもよく、表面に形成することで簡便に薄層複合膜とすることができる。支持体の多孔質層を有する表面に分離層3を形成することが、高いガス分離選択性、更には高いガス透過性および高い機械的強度を兼ね備えるという利点を有するガス分離膜とする観点から好ましい。
支持体は、多孔質層(Porous Layer)を分離層3側に有することが好ましく、分離層3側に配置された多孔質層と不織布(Non−Woven)の積層体であることがより好ましい。支持体が多孔質層を有することが、十分な塗布性とガス透過性を確保する上で好ましい。
本発明のガス分離膜は、支持体の多孔質層を有する表面に、上記の分離層3をなす塗布液(ドープ)を塗布(本明細書において塗布とは浸漬により表面に付着される態様を含む意味である。)することにより形成することが好ましい。
支持体が有する多孔質層は、高ガス透過性または高ガス分離選択性の付与に合致する目的のものであれば、特に限定されるものではなく、有機物および無機物のいずれの素材であっても構わない。多孔質層は、好ましくは有機高分子の多孔質層である。
多孔質層の厚みは通常1〜3000μm、好ましくは5〜500μmであり、より好ましくは5〜150μmである。
多孔質層の細孔構造は、平均細孔直径が10μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましく、0.2μm以下であることが特に好ましい。
多孔質層の空孔率は好ましくは20〜90%であり、より好ましくは30〜80%である。
また、多孔質層の分画分子量が100,000以下であることが好ましい。
さらに、多孔質層のガス透過性は二酸化炭素透過速度で3×10-5cm3(STP;STPはStandard Temperature and Pressureの略語である)/cm2・cm・sec・cmHg(30GPU;GPUは Gas Permeation Unit の略語である)以上であることが好ましい。
多孔質層の素材としては、従来公知の高分子、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアラミド、ポリエチレンテレフタレート等の各種類の樹脂を挙げることができる。
多孔質層の形状としては、平板型、スパイラル型、管型、中空糸型などいずれの形状をとることもできる。
薄層複合膜においては、分離層側に配置される多孔質層の下部に機械的強度を付与するために織布、不織布、ネット等が設けられることが好ましく、製膜性およびコスト面から不織布が好適に用いられる。不織布としてはポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリアミド等からなる繊維を単独あるいは複数を組み合わせて用いてもよい。不織布は、例えば、水に均一に分散した主体繊維とバインダー繊維を円網や長網等で抄造し、ドライヤーで乾燥することにより製造できる。また、毛羽を除去したり、機械的性質を向上させたりする等の目的で、不織布を2本のロールに挟んで圧熱加工を施すことも好ましい。
<分離層>
本発明のガス分離膜は、分離層を有するガス分離膜であって、分離層が中空シリカ粒子を含む。
(中空シリカ粒子)
本明細書中、中空シリカ粒子とは、中空粒子であって、外殻にシリカを含む粒子のことを言う。また、本明細書中、中空粒子とは、内部に空洞(中空部)を有する構造のものであり、外殻に包囲された空洞を有する粒子のことを言う。
一方、本明細書中、中実シリカ粒子とは、シリカを含む中実粒子のことを言う。また、本明細書中、中実粒子とは、内部に空洞を有さない構造の粒子のことを言う。中実粒子として、単一の層からなる粒子、および、コア(内核とも言われる)とシェル層(外殻とも言われる)を有する粒子などが挙げられる。
本明細書中、含シリカ多孔質粒子とは、多孔質粒子であって、シリカ粒子を含む粒子のことを言う。また、本明細書中、多孔質粒子とは、多数の空洞を有する多孔質である粒子のことを言う。多孔質粒子は、一次粒子が多数の空洞を有する粒子であることが好ましい。
以下、本発明に好ましく用いることができる中空シリカ粒子について説明する。
中空シリカ粒子としては特に制限はない。中空シリカ粒子は一次粒子であっても、二次粒子であってもよい。中空シリカ粒子は一次粒子であることが、中空シリカ粒子の平均粒子直径を小さくし、分離層の厚みを薄くできる観点から好ましい。
中空シリカ粒子は、内部が空気を含むことが好ましい。
中空シリカ粒子の中空部の直径は特に制限はない。中空シリカ粒子の中空部の直径は5〜70nmであることが好ましく、20〜55nmであることがより好ましく、25〜50nmであることが特に好ましい。
中空シリカ粒子の材料、すなわち中空シリカ粒子の中空部を取り囲む外殻の材料としては、シリカ(SiO2)を含むこと以外は特に限定されず、様々な無機物が用いられる。中空シリカ粒子の材料としては、シリカ、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸鉛、酸化鉛、酸化アンチモン、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、及び酸化チタン等が挙げられる。
中空シリカ粒子の外殻は、シリカ(SiO2)を30質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましい。
中空シリカ粒子としては、中空シリカ粒子をシランカップリング剤などの有機物を含む材料で表面処理されたシリカ系中空粒子を使用することもできる。
中空シリカ粒子の平均粒子直径は、例えば10〜100nmとすることができる。本発明では、中空シリカ粒子の平均粒子直径が30〜80nmであることが好ましく、50〜70nmであることがより好ましく、50〜60nmであることが特に好ましい。中空シリカ粒子の平均粒子直径が下限値以上であることが、不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下を抑制する観点から好ましい。中空シリカ粒子の平均粒子直径が上限値以下であることが、分離層の厚みを薄くし、ガス透過性を高める観点から好ましい。
分離層の厚みに対する、中空シリカ粒子の平均粒子直径の割合は、例えば5〜95%とすることができる。本発明では、分離層の厚みに対する、中空シリカ粒子の平均粒子直径の割合が30〜90%であることが好ましく、30〜70%であることがより好ましく、40〜65%であることが特に好ましい。中空シリカ粒子の平均粒子直径の割合が下限値以上であることが、耐可塑性向上の観点から好ましい。中空シリカ粒子の平均粒子直径の割合が上限値以下であることが、分離層の欠陥発生防止の観点から好ましい。
なお、中空シリカ粒子は、中空構造を維持した状態で、安定的に分離層の内部に存在することが好ましい。
本発明では、分離層に対する、中空シリカ粒子の質量比率が、0.1質量%以上、20質量%未満であることが好ましく、0.1質量%以上、15質量%未満であることがより好ましく、0.5〜10質量%であることが特に好ましい。分離層に対する、中空シリカ粒子の質量比率が下限値以上であることが、耐可塑性向上の観点から好ましい。分離層に対する、中空シリカ粒子の質量比率が上限値以下であることが、分離層の欠陥発生防止の観点から好ましい。
中空シリカ粒子の波長589nmの光に対する屈折率が1.15〜1.45であることが好ましく、1.15〜1.40であることがより好ましい。
中空シリカ粒子を調製する方法としては特に制限はない。
中空シリカ粒子は、有機溶剤に分散されたゾルとして調製されてもよい。例えば、イソプロパノール(IPA)分散、4−メチル−2−ペンタノン(MIBK)分散などのゾルとして調製されることが好ましい。
本発明に使用し得る中空シリカ粒子として、特開2015−174972号公報の[0026]〜[0031]の記載を参照することができる。この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
また、市販の中空シリカ粒子を用いてもよい。市販の中空シリカ粒子としては、例えば、スルーリア(登録商標)4110、スルーリア(登録商標)1110(いずれも日揮触媒化成(株)製)、シリナックス(日鉄鉱業社製)等を挙げることができる。
(分離層の厚み)
分離層の厚みとしては機械的強度、ガス分離選択性を維持しつつ高ガス透過性を付与する条件において可能な限り薄いことが好ましい。
特にガス透過性を高める観点から、分離層は薄層であることが好ましい。分離層の厚みは3μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが特に好ましく、100nm以下であることがより特に好ましい。
なお、分離層の厚みは通常には10nm以上であり、実用上、製膜の容易性の観点から30nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましい。特に本発明では、分離層の厚みが30〜200nmであることが好ましく、40〜100nmであることがより好ましい。
本明細書中、分離層の厚みは、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)を用いて界面を特定する方法で求めた。
また、上記に加え、本明細書中、各層を構成するいずれかの原子の原子含有率(組成比)が異なることを利用して、層の特定および界面の特定を行うことができる。接している2層の界面は、厚み方向の組成をESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)およびエッチングで測定して、横軸を層の厚み方向の長さとし、縦軸をいずれかの原子の原子含有率とするグラフを作成した場合に、グラフの傾きがある領域の層の厚み方向の長さの中点とする。層の特定および2層の間の界面の特定を行う場合に注目する原子は、炭素原子、酸素原子、窒素原子、フッ素原子の優先順位とする。まず、優先順位の高い原子に注目して層の特定および2層の間の界面の特定を行う。次に、優先順位の高い原子に注目してもグラフの傾きがない(2層の間で注目した原子の原子含有率が同程度)であり、特定ができなかった場合はその次に優先順位の高い原子に注目して層の特定および2層の間の界面の特定を行う作業を行う。層の特定および2層の間の界面の特定ができるまで、この作業を繰り返す。なお、特に、炭素原子の原子含有率が有用である。
(分離層の樹脂)
分離層が樹脂を含むことが好ましい。
分離層の樹脂は、以下に挙げられるが、これらに限定されるわけではない。具体的には、ポリイミド、ポリアミド類、セルロース類、ポリエチレングリコール類、ポリベンゾオキサゾール類であることが好ましい。
分離層の樹脂がセルロース類またはポリイミドであることが好ましい。本発明では、分離層は、ポリイミドを含むことが中空シリカ添加時に不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下を抑制する観点から好ましい。
ポリイミドは、反応性基を有するポリイミドであることが好ましく、スルホンアミド基を含むポリイミドであることがより好ましい。
以下において、分離層の樹脂が反応性基を有するポリイミドである場合について代表例として説明する。
本発明に用いることができる反応性基を有するポリイミドについて以下に詳しく説明する。
本発明において、反応性基を有するポリイミドは、反応性基を有するポリマーが、ポリイミド単位と、側鎖に反応性基(好ましくは求核性の反応性基であり、より好ましくはカルボキシル基、アミノ基、スルホンアミド基またはヒドロキシル基)を有する繰り返し単位とを含むことが好ましい。
より具体的に説明すれば、反応性基を有するポリマーが、特開2015−160201号公報の[0040]〜[0068]に記載のポリイミド、または、下記式(I)で表される繰り返し単位を少なくとも含むポリイミドであることが好ましい。
分離層の樹脂が、下記式(I)で表される繰り返し単位を少なくとも含むポリイミドであることがより好ましく、スルホンアミド基を含むポリイミドであることが特に好ましい。
Figure 2018027520
式(I)中、RIは水素原子、アルキル基、又はハロゲン原子を示す。Xaはスルホンアミド基、アルコキシスルホニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基及びハロゲン原子から選ばれる極性基を示す。
Rは下記式(I−1)〜(I−28)のいずれか1つで表される構造の基を示す。ここでX1〜X3は単結合又は2価の連結基を、Lは−CH=CH−又は−CH2−を、R1及びR2は水素原子又は置換基を示し、*は式(I)中のカルボニル基との結合部位を示す。Rは式(I−1)、(I−2)又は(I−4)で表される基であることが好ましく、(I−1)又は(I−4)で表される基であることがより好ましく、(I−1)で表される基であることが特に好ましい。
Figure 2018027520
上記式(I−1)、(I−9)及び(I−18)中、X1〜X3は、単結合又は2価の連結基を示す。この2価の連結基としては、−C(Rx2−(Rxは水素原子又は置換基を示す。Rxが置換基の場合、互いに連結して環を形成してもよい)、−O−、−SO2−、−C(=O)−、−S−、−NRY−(RYは水素原子、アルキル基(好ましくはメチル基又はエチル基)又はアリール基(好ましくはフェニル基))、−C64−(フェニレン基)、又はこれらの組み合わせが好ましく、−C(Rx2−がより好ましい。Rxが置換基を示すとき、その具体例としては、特開2015−160201号公報の[0055]〜[0060]に記載の置換基群Zから選ばれる基が挙げられ、中でもアルキル基(好ましい範囲は特開2015−160201号公報の[0055]〜[0060]に記載の置換基群Zに示されたアルキル基と同義である)が好ましく、ハロゲン原子を置換基として有するアルキル基がより好ましく、トリフルオロメチルが特に好ましい。なお、式(I−18)は、X3が、X3よりも左側(紙面の左側。以下、左右について同じ)に記載された2つの炭素原子のいずれか一方、及び、X3よりも右側に記載された2つの炭素原子のうちいずれか一方と連結していることを意味する。
上記式(I−4)、(I−15)、(I−17)、(I−20)、(I−21)及び(I−23)中、Lは−CH=CH−又は−CH2−を示す。
上記式(I−7)中、R1及びR2は水素原子又は置換基を示す。その置換基としては、特開2015−160201号公報の[0055]〜[0060]に記載の置換基群Zから選ばれる基が挙げられる。R1及びR2は互いに結合して環を形成していてもよい。
1、R2は水素原子又はアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
式(I−1)〜(I−28)中に示された炭素原子には、置換基が付加していてもよい。この置換基の具体例としては、特開2015−160201号公報の[0055]〜[0060]に記載の置換基群Zから選ばれる基が挙げられ、なかでもアルキル基又はアリール基が好ましい。
上記式(I)中、RIは水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を示す。このアルキル基は直鎖でも分岐を有してもよい。RIとして採り得るアルキル基は、その炭素数が好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3、さらに好ましくは1又は2である。RIとして採り得るアルキル基はその鎖中にヘテロ原子(好ましくは酸素原子又は硫黄原子)を有していてもよい。RIとして好適な具体例としては、メチル基又はエチル基が挙げられ、メチル基がより好ましい。
Iとして採り得るハロゲン原子としては、例えば臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子及びフッ素原子が挙げられ、より好ましくは臭素原子である。
Iは、より好ましくは水素原子、メチル基又は臭素原子であり、さらに好ましくは、水素原子又はメチル基であり、さらに好ましくは水素原子である。
式(I)中、Xaは、スルホンアミド基、アルコキシスルホニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基及びハロゲン原子から選ばれる極性基である。
aとして採り得るスルホンアミド基は、無置換であっても、置換基を有する形態であってもよい。なかでもXaとして採り得るスルホンアミド基は、無置換であるか、又は、モノアルキル置換もしくはジアルキル置換であることが好ましく、無置換であるか、又は、モノアルキル置換であることがより好ましく、無置換であることが特に好ましい。つまり、Xaとして採り得るスルホンアミド基が置換基を有する場合、この置換基はアルキル基が好ましい。このアルキル基は、直鎖でも分岐を有していてもよく、その炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3がより好ましい。また、このアルキル基は置換基としてハロゲン原子を有することも好ましく、置換基としてフッ素原子を有することがより好ましい。スルホンアミド基が有するアルキル基の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、−CH2CF2CF2CF3、−CH2CF2CF3及び−CH2CF3が挙げられる。
なかでも、スルホンアミド基がモノアルキル置換である場合、このアルキル基はメチル基であるか、置換基としてフッ素原子を有するアルキル基であることが好ましく、より好ましくはメチル基、−CH2CF2CF2CF3又は−CH2CF3である。
また、スルホンアミド基がジアルキル置換である場合、このアルキル基はメチル基であることが好ましい。
また、Xaとして採り得るスルホンアミド基は置換基としてシクロアルキル基を有することも好ましい。このシクロアルキル基は、炭素数が3〜15が好ましく、6〜10がより好ましい。中でも上記シクロアルキル基はアダマンチル基であることが好ましい。Xaとして採り得るスルホンアミド基が置換基としてシクロアルキル基を有する場合、このスルホンアミド基が有するシクロアルキル基の数は1つが好ましい。すなわち、このスルホンアミド基はモノ置換体であることが好ましい。
aとして採り得るスルホンアミド基は無置換であることがさらに好ましい。
aとして採り得るアルコキシスルホニル基は、その炭素数が1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。Xaとして採り得るアルコキシスルホニル基におけるアルコキシ基は、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
aとして採り得るアシルオキシ基は、その炭素数が2〜5が好ましく、2又は3がより好ましく、中でもアセトキシ基が特に好ましい。
aとして採り得るハロゲン原子としては、例えば臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子及びフッ素原子が挙げられ、好ましくは臭素原子である。
aはスルホンアミド基、アルコキシスルホニル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基及びアシルオキシ基が好ましく、より好ましくはスルホンアミド基、アルコキシスルホニル基、カルボキシル基及びヒドロキシル基であり、特に好ましくはスルホンアミド基、カルボキシル基及びヒドロキシル基であり、より特に好ましくはスルホンアミド基である。
上記式(I)の繰り返し単位を有するポリイミドを用いて分離層を形成することで、得られるガス分離膜のガス透過性、ガス分離選択性、可塑化耐性のいずれも、より向上させることができる。その理由は定かではないが、式(I)で表される繰り返し単位がジアミン成分中にCRI 3を3つ有することにより、ポリイミドの平面性ないしパッキング性がほどよく抑制され、自由体積分率が大きくなり、ガス透過性が向上するものと推定される。また、式(I)で表される繰り返し単位がXaとして特定の極性基を有することにより、ポリイミドが適度に緻密化してその運動性が低下し、これにより動的分子径の大きな分子についてはその透過性を効果的に抑えることができ、ガス分離選択性もより向上させることができると推定される。
上記式(I)の繰り返し単位を有するポリイミドは、CRI 3基を3つ有するジアミン成分を有する。このようにアルキル基を多く有するポリイミドは極性が低いために、トルエン等の低極性の不純物との親和性が高まり、可塑化耐性に劣る傾向がある。しかし、式(I)の繰り返し単位を有するポリイミドは、そのジアミン成分中に、3つのCRI 3基に加えて特定の極性基Xaを特定の部位に有する。これにより、高度なガス透過性とガス分離選択性を示し、且つ、極性基により不純物との親和性が抑えられ、可塑化耐性にも優れたガス分離膜を作り出すことができるものと推定される。
ポリイミドは、架橋剤により架橋された形態であってもよい。
例えば、極性基Xaが無置換、又はモノ置換のスルホンアミド基を有する場合、スルホンアミド基のNH基を介して架橋構造を形成させる目的で、オルトチタン酸テトライソプロピルのような金属アルコキシドを架橋剤として用いることができる。また、CRI 3がハロゲン原子を有する場合、求核付加反応させる目的で、ジメチルアミノプロピルトリエトキシシランやテトラメチルエチレンジアミンのような架橋剤を用いることができる。
さらに、本発明に用いるポリイミドが後述する式(II−a)又は(II−b)で表される繰り返し単位を含む場合、ポリイミドは、これらの繰り返し単位に含まれる官能基と反応可能な基を有する架橋剤により架橋された形態であってもよい。
上記式(I)で表される繰り返し単位は、下記式(I−a)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2018027520
式(I−a)中、R及びXaは、それぞれ上記式(I)におけるR及びXaと同義であり、好ましい形態も同じである。
上記式(I−a)で表される繰り返し単位は、下記式(I−b)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2018027520
式(I−b)中、Rは上記式(I−a)におけるRと同義であり、好ましい形態も同じである。
IIは水素原子又は置換基を示す。2つのRIIのうち少なくとも1つのRIIが水素原子であることが好ましく、2つのRIIがいずれも水素原子であることがさらに好ましい。RIIが置換基である場合、特開2015−160201号公報の[0055]〜[0060]に記載の置換基群Zから選ばれる基が好ましく、アルキル基又はシクロアルキル基がより好ましい。
IIとして採り得るアルキル基は、直鎖でも分岐を有していてもよく、その炭素数は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。また、このアルキル基は置換基としてハロゲン原子を有することも好ましく、置換基としてフッ素原子を有することがより好ましい。RIIがアルキル基の場合の好ましい具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、−CH2CF2CF2CF3、−CH2CF2CF3、−CH2CF3が挙げられる。
2つのRIIのうち一方が水素原子で、他方がアルキル基の場合、このアルキル基は、メチル基であるか、置換基としてフッ素原子を有するアルキル基であることが好ましく、より好ましくは、メチル基、−CH2CF2CF2CF3又は−CH2CF3である。
また、2つのRIIがいずれもアルキル基の場合、このアルキル基はメチル基が好ましい。
IIとして採り得るシクロアルキル基は、その炭素数が3〜15であることが好ましく、6〜10であることがより好ましい。RIIがシクロアルキル基の場合、好ましくはアダマンチル基である。2つのRIIのうち一方がシクロアルキル基の場合、他方は水素原子であることが好ましい。
上記式(I−b)で表される繰り返し単位は、下記式(I−c)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
Figure 2018027520
式(I−c)中、Rは式(I−b)におけるRと同義であり、好ましい形態も同じである。
本発明に用いるポリイミドは、上記式(I)で表される繰り返し単位に加えて、下記式(II−a)又は(II−b)で表される繰り返し単位を有してもよい。
Figure 2018027520
Figure 2018027520
上記式(II−a)及び(II−b)中、Rは式(I)中のRと同義であり、好ましい範囲も同じである。R4〜R6は置換基を示す。置換基としては、特開2015−160201号公報の[0055]〜[0060]に記載の置換基群Zから選ばれる基が挙げられる。
4はアルキル基、カルボキシル基又はハロゲン原子であることが好ましい。R4の数を示すl1は0〜4の整数であり、R4がアルキル基の場合、l1は1〜4であることが好ましく、2〜4であることがより好ましく、特に好ましくは3又は4である。R4がカルボキシル基の場合、l1は1〜2であることが好ましく、より好ましくは1である。R4がアルキル基である場合、このアルキル基の炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることが特に好ましい。R4がアルキル基である場合、より特に好ましくはメチル基、エチル基又はトリフルオロメチル基である。
式(II−a)において、ジアミン成分(すなわちR4を有しうるフェニレン基)のポリイミドに組み込まれるための2つの連結部位は、互いにメタ位又はパラ位に位置することが好ましく、互いにパラ位に位置することがより好ましい。
本発明において、上記式(II−a)で表される構造には、上記式(I)で表される構造は含まれないものとする。
5及びR6はアルキル基もしくはハロゲン原子を示すか、又は互いに連結してX4と共に環を形成する基を示すことが好ましい。また、2つのR5が連結して環を形成している形態や、2つのR6が連結して環を形成している形態も好ましい。R5とR6が連結した構造としては特に制限はないが、単結合、−O−又は−S−が好ましい。R5及びR6の数を示すm1及びn1は0〜4の整数であり、1〜4であることが好ましく、2〜4であることがより好ましく、特に好ましくは3又は4である。R5及びR6がアルキル基である場合、このアルキル基の炭素数は1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましく、1〜3であることが特に好ましい。R5及びR6がアルキル基である場合、より特に好ましくはメチル基、エチル基又はトリフルオロメチル基である。
4は上記式(I−1)におけるX1と同義であり、好ましい範囲も同一である。
ポリイミドは、その構造中、上記式(I)で表される繰り返し単位と、上記式(II−a)で表される繰り返し単位と、上記式(II−b)で表される繰り返し単位の総モル量中に占める、式(I)で表される繰り返し単位のモル量の割合が50〜100モル%であることが好ましく、70〜100モル%がより好ましく、80〜100モル%が特に好ましく、90〜100モル%がより特に好ましい。なお、上記式(I)で表される繰り返し単位と、上記式(II−a)で表される繰り返し単位と、上記式(II−b)で表される繰り返し単位の総モル量中に占める、式(I)で表される繰り返し単位のモル量の割合が100モル%であるとは、ポリイミドが、上記式(II−a)で表される繰り返し単位と、上記式(II−b)で表される繰り返し単位のいずれも有しないことを意味する。
ポリイミドは、上記式(I)で表される繰り返し単位からなるか、又は、上記式(I)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有していてもよい。
上記式(I)で表される繰り返し単位以外の繰り返し単位を有する場合には、上記式(I)で表される繰り返し単位以外の残部が、上記式(II−a)又は上記式(II−b)で表される繰り返し単位からなることが好ましい。ここで、「上記式(II−a)又は上記式(II−b)で表される繰り返し単位からなる」とは、上記式(II−a)で表される繰り返し単位からなる態様、上記式(II−b)で表される繰り返し単位からなる態様、並びに、上記式(II−a)で表される繰り返し単位と上記式(II−b)で表される繰り返し単位とからなる態様の3つの態様を含む意味である。
本発明のガス分離膜は、分離層のポリイミドが、分離選択性とガス透過性の観点から、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物(6FDA)に由来する構造を含むポリイミドであることが好ましい。すなわち、母核Rは式(I−1)で表される基であり、X1が−C(Rx2−であり、Rxがトリフルオロメチル基であることが好ましい。
なお、本明細書において「互いに連結して環を形成してもよい」というときには、単結合、二重結合等により結合して環状構造を形成するものであってもよく、また、縮合して縮環構造を形成するものであってもよい。
特開2015−160201号公報の[0055]〜[0060]に記載の置換基群Zは、更に置換基群Zより選択されるいずれか1つ以上の置換基により置換されてもよい。
なお、本発明において、1つの構造部位に複数の置換基があるときには、それらの置換基は互いに連結して環を形成していたり、上記構造部位の一部又は全部と縮環して芳香族環もしくは不飽和複素環を形成していたりしてもよい。
化合物ないし置換基等がアルキル基、アルケニル基等を含むとき、これらは直鎖状でも分岐状でもよく、置換されていても無置換でもよい。またアリール基、ヘテロ環基等を含むとき、それらは単環でも縮環でもよく、置換されていても無置換でもよい。
本明細書において、単に置換基としてしか記載されていないものは、特に断わりのない限り特開2015−160201号公報の[0055]〜[0060]に記載の置換基群Zを参照するものであり、また、各々の基の名称が記載されているだけのとき(例えば、「アルキル基」と記載されているだけのとき)は、この置換基群Zの対応する基における好ましい範囲および/または具体例が適用される。
本発明に用いることができるポリイミドの分子量は、好ましくは重量平均分子量として10,000〜1000,000であることが好ましく、より好ましくは15,000〜500,000であり、さらに好ましくは20,000〜200,000である。
本明細書において分子量及び分散度は特に断らない限りゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、gel permeation chromatography)法を用いて測定した値とし、分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量とする。GPC法に用いるカラムに充填されているゲルは芳香族化合物を繰り返し単位に持つゲルが好ましく、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体からなるゲルが挙げられる。
カラムは2〜6本連結させて用いることが好ましい。
用いる溶媒は、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリジノン等のアミド系溶媒が挙げられる。
測定は、溶媒の流速が0.1〜2mL/分の範囲で行うことが好ましく、0.5〜1.5mL/分の範囲で行うことが最も好ましい。この範囲内で測定を行うことで、装置に負荷がかからず、さらに効率的に測定ができる。
測定温度は10〜50℃で行うことが好ましく、20〜40℃で行うことがより好ましい。
なお、使用するカラム及び溶媒は測定対称となる高分子化合物の物性に応じて適宜選択することができる。
本発明に用いうる反応性基を有するポリイミドは、特定の2官能酸無水物(テトラカルボン酸二無水物)と特定のジアミンとを縮合重合させることで合成することができる。その方法としては一般的な成書(例えば、今井淑夫、横田力男編著、「最新ポリイミド〜基礎と応用〜」、株式会社エヌ・ティー・エス発行、2010年8月25日、3〜49頁など)に記載の手法を適宜選択することができる。
本発明に用いられるポリイミドの合成において、一方の原料であるテトラカルボン酸二無水物の少なくとも1種類は、下記式(IV)で表されることが好ましい。原料とするテトラカルボン酸二無水物のすべてが下記式(IV)で表されることがより好ましい。
Figure 2018027520
式(IV)中、Rは上記式(I)におけるRと同義である。
本発明に用いうるテトラカルボン酸二無水物の具体例としては、例えば以下に示すものが挙げられる。
Figure 2018027520
Figure 2018027520
本発明に用いられるポリイミドの合成において、他方の原料であるジアミン化合物の少なくとも1種類は、下記式(V)で表されることが好ましい。
Figure 2018027520
式(V)中、RI及びXaは、それぞれ上記式(I)におけるRI及びXaと同義である。
式(V)で表されるジアミン化合物の具体例としては、例えば、下記に示すものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において、Meはメチル基、Etはエチル基を意味する。
Figure 2018027520
また、本発明に用いられるポリイミドの合成において、原料とするジアミン化合物として、上記式(V)で表されるジアミン化合物に加えて、下記式(VII−a)又は下記式(VII−b)で表されるジアミン化合物を用いてもよい。
Figure 2018027520
式(VII−a)中、R4及びl1は、それぞれ上記式(II−a)におけるR4及びl1と同義である。式(VII−a)で表されるジアミン化合物には、式(V)で表されるジアミン化合物は含まれない。
式(VII−b)中、R5、R6、X4、m1及びn1は、それぞれ上記式(II−b)におけるR5、R6、X4、m1及びn1と同義である。
式(VII−a)又は(VII−b)で表されるジアミンとして、例えば下記に示すものを用いることができる。
Figure 2018027520
Figure 2018027520
上記式(IV)で表されるモノマーと、上記式(V)、(VII−a)又は(VII−b)で表されるモノマーは、予めオリゴマー又はプレポリマーとして用いてもよい。本発明に用いられるポリイミドは、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体のいずれでもよい。
一般式(I)で表されるポリイミドとしては、後述の実施例で用いるポリイミド(P−02)を好ましく用いることができる。
特開2015−160201号公報の[0040]〜[0068]に記載のポリイミドとしては、特開2015−160201号公報の[0068]の例示ポリイミドP−100において共重合比(モル比)xが20で、yが80としたポリイミド(P−101)を好ましく用いることができる。
ポリイミドとして具体的には、Huntsman Advanced Materials社よりMatrimid(登録商標)の商標で販売されているMatrimid 5218およびHP Polymers GmbH社よりそれぞれ商品名P84および商品名P84HTで販売されているP84またはP84HT等も好ましい。
<保護層>
ガス分離膜は、分離層が最外層であってもよく、分離層上にさらに保護層(Protective Layer)をさらに有してもよい。
分離層上に保護層を有することで、ハンドリング時や使用時に分離層と他の材料との意図しない接触、損傷を防ぐことができる。
(材料)
保護層の材料としては特に制限はない。
保護層に用いられる材料としては、樹脂層に含まれる樹脂と同様の材料を用いることができる。保護層に用いられる材料としては、例えばシリコーン樹脂、ポリイミド、セルロース樹脂、ポリエチレンオキサイドなどを挙げることができる。
また、保護層は、フィラーを含んでいてもよい。保護層に用いられるフィラーとしては特に制限はない。保護層に用いられるフィラーとしては、例えば、特開2015−160201号公報の[0020]〜[0027]に記載の無機粒子を好ましく用いることができ、この公報の内容は本明細書に参照して組み込まれる。
保護層がシロキサン結合を有する化合物を含むことが好ましい。この場合、保護層の50質量%以上がシロキサン結合を有する化合物であることが好ましく、90質量%以上がシロキサン結合を有する化合物であることがより好ましく、99質量%以上がシロキサン結合を有する化合物であることが特に好ましい。保護層がシロキサン結合を有する化合物のみからなることがより特に好ましい。
シロキサン結合を有する化合物は、「少なくともケイ素原子、酸素原子および炭素原子を含む繰り返し単位を有する化合物」であってもよい。また、シロキサン結合を有する化合物は、「シロキサン結合を有し、かつ、繰り返し単位を有する化合物」であってもよく、その中ではポリシロキサン単位を有する化合物であることが好ましい。すなわち、シロキサン結合を有する化合物は、シリコーン樹脂であることが好ましい。
保護層に用いられるシリコーン樹脂としては、ポリジメチルシロキサン(以下、PDMSとも言う)、ポリジフェニルシロキサン(Polydiphenyl siloxane)、ポリジ(トリフルオロプロピル)シロキサン(Polydi(trifluoropropyl)siloxane)、ポリメチル(3,3,3−トリフロオロプロピル)シロキサン(Poly[methyl(3,3,3−trifluoropropyl)siloxane])、ポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)(以下、PTMSPとも言う)から選ばれる少なくとも1種類以上を含むことが好ましい。保護層に用いられるシリコーン樹脂は、ポリジメチルシロキサンまたはポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)を含むことがより好ましく、ポリジメチルシロキサンを含むことが特に好ましい。
保護層に用いられるPDMSなどのシリコーン樹脂は、CO2ガス透過性が高いが、BTXなどの不純物の透過性も高く、分離選択性の高いポリイミドなどを含む分離層の可塑化を抑制できていなかった。
本発明では、中空シリカ粒子を含む分離層を有することで、効果的に分離層の可塑化を抑制できる。
保護層に用いられるシリコーン樹脂としては、市販の材料を用いることができる。例えば、UV9300(Momentive社製のポリジメチルシロキサン(PDMS))、X−22−162C(信越化学工業(株)製)などを好ましく用いることができる。
保護層に用いられるシリコーン樹脂は、保護層を形成するときに有機溶剤を含む組成物として調製することができ、硬化性組成物であることが好ましい。シリコーン樹脂を含む保護層を形成するときに用いることができる有機溶剤としては、特に制限は無く、例えばn−ヘプタンなどを挙げることができる。
(特性)
保護層の厚みは、例えば50〜4000nmとすることができる。保護層の厚みが100〜3200nmであることが耐擦性とガス透過性を両立する観点から好ましく、100〜1000nmであることがより好ましい。
ガス分離膜の分野よりも高い耐久性が求められる水分離の分野においては、分離層の厚みが基本的に2〜3μm以上であり、厚膜であるために保護層は不要である。これに対し、分離層の厚みが基本的に500nm以下であり傷の影響を受けやすい、本発明を含むガス分離膜の分野では、耐擦性を保持しながらも、なるべくガス透過性を高められる程度まで薄膜にすることが好ましい。
<樹脂層>
ガス分離膜は、密着性および塗布性向上の観点で支持体と分離層との間に樹脂層を有することが好ましい。
本発明のガス分離膜は、支持体と分離層との間に樹脂層を有し、樹脂層がシロキサン結合を有する化合物を含むことがより好ましい。
樹脂層とは、樹脂を含む層のことである。樹脂層に用いられる樹脂は、シロキサン結合を有する化合物を含むことが好ましい。シロキサン結合を有する化合物としては特に制限はなく、ジアルキルシロキサンなどを挙げることができる。ジアルキルシロキサンの中では、ポリジメチルシロキサンが好ましい。
樹脂層に用いられる樹脂は、シロキサン結合を有する化合物であり、かつ、重合可能な官能基を有していることが好ましい。このような官能基としては、エポキシ基、オキセタン基、カルボキシル基、アミノ基、ヒドロキシル基およびチオール基を挙げることができる。樹脂層はエポキシ基、オキセタン基、カルボキシル基およびこれらのうち2以上の基を有する樹脂を含むことがより好ましい。このような樹脂は、放射線硬化性組成物への放射線照射を用いた硬化をされて、支持体の上に形成されることが好ましい。
樹脂層に用いられる樹脂は、重合性ジアルキルシロキサンであることがより好ましい。重合性ジアルキルシロキサンは、ジアルキルシロキサン基を有するモノマー、ジアルキルシロキサン基を有する重合性オリゴマー、ジアルキルシロキサン基を有するポリマーである。樹脂層は、ジアルキルシロキサン基を有する部分的に架橋された放射線硬化性組成物から形成されてもよい。ジアルキルシロキサン基としては、−{O−Si(CH32n−で表される基(nは例えば1〜100)を挙げることができる。末端にビニル基を有するポリ(ジアルキルシロキサン)化合物も好ましく用いることができる。
樹脂層の材料としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)(PTMSP)およびポリエチレンオキサイドから選ばれる少なくとも1種類以上であることが好ましく、ポリジメチルシロキサンまたはポリ(1−トリメチルシリル−1−プロピン)であることがより好ましい。本発明のガス分離膜では、樹脂層のシロキサン結合を有する化合物がポリジメチルシロキサンを含むシロキサン結合を有する化合物であることが好ましい。
樹脂層の材料としては市販の材料を用いることができ、例えば、樹脂層の樹脂としては、UV9300(Momentive社製のポリジメチルシロキサン(PDMS))、X−22−162C(信越化学工業(株)製)などを好ましく用いることができる。
樹脂層のその他の材料としては、UV9380C(Momentive社製のビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム=ヘキサフルオロアンチモネート)などを好ましく用いることができる。
樹脂層の材料は、樹脂層を形成するときに有機溶剤を含む組成物として調製することができ、硬化性組成物であることが好ましい。
樹脂層の厚みとしては特に制限はないが、樹脂層の厚みは、20〜1000nmであることが好ましく、20〜900nmであることがより好ましく、30〜800nmであることが特に好ましい。樹脂層の厚みは走査型電子顕微鏡で求めることができる。
<特性、用途>
本発明のガス分離膜は、ガス分離回収法、ガス分離精製法において好適に用いることができる。例えば、水素、ヘリウム、一酸化炭素、二酸化炭素、硫化水素、酸素、窒素、アンモニア、硫黄酸化物、窒素酸化物、メタン、エタンなどの炭化水素、プロピレンなどの不飽和炭化水素、テトラフルオロエタンなどのパーフルオロ化合物などのガスを含有する気体混合物から特定の気体を効率良く分離し得るガス分離膜とすることができる。
本発明のガス分離膜は、酸性ガスと非酸性ガスのガス混合物から、少なくとも1種類の酸性ガスを分離するためのガス分離膜であることが好ましい。酸性ガスとしては、二酸化炭素、硫化水素、硫化カルボニル、硫黄酸化物(SOx)、及び窒素酸化物(NOx)が挙げられ、二酸化炭素、硫化水素、硫化カルボニル、硫黄酸化物(SOx)、及び窒素酸化物(NOx)から選択される少なくとも1種類であることが好ましく、より好ましくは二酸化炭素、硫化水素又は硫黄酸化物(SOx)であり、特に好ましくは二酸化炭素である。
前述の非酸性ガスとしては水素、メタン、窒素、及び一酸化炭素から選択される少なくとも1種類であることが好ましく、より好ましくはメタン、水素であり、特に好ましくはメタンである。本発明のガス分離膜では、非酸性ガスとしてBTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)やプロパン、ブタン、ヘキサンなどの高次炭化水素ガスを含む場合も、酸性ガスと非酸性ガスのガス混合物から、少なくとも1種類の酸性ガスを分離することができる。特に本発明のガス分離膜では、非酸性ガスとしてプロパンを含む場合も、酸性ガスと非酸性ガスのガス混合物から、少なくとも1種類の酸性ガスを分離する場合に、分離選択性のバラツキを小さくすることができる。
本発明のガス分離膜は、特に二酸化炭素/炭化水素(メタン)を含む気体混合物から二酸化炭素を選択分離するガス分離膜とすることが好ましい。さらに、本発明のガス分離膜は、二酸化炭素/炭化水素(メタン)/高次炭化水素(トルエン)を含む気体混合物から二酸化炭素を選択分離するガス分離膜にも用いられることがより好ましい。
とりわけ、分離処理されるガスが二酸化炭素とメタンとの混合ガスである場合においては、40℃、5MPaにおける二酸化炭素の透過速度が10GPU以上であることが好ましく、10〜300GPUであることがより好ましく、15〜300GPUであることが特に好ましい。
なお、1GPUは1×10-6cm3(STP)/cm2・sec・cmHgである。
本発明のガス分離膜は、分離処理されるガスが二酸化炭素とメタンの混合ガスである場合において、40℃、5MPaにおける二酸化炭素の透過流束のメタンの透過流束に対する比であるガス分離選択性αが30以上であることが好ましく、35以上であることがより好ましく、40以上であることが特に好ましく、50を超えることがより特に好ましい。
<ガス混合物の分離方法>
本発明のガス分離膜を用いることで、ガス混合物の分離をすることができる。
本発明のガス分離膜を用いるガス混合物の分離方法において、原料のガス混合物の成分は原料産地や用途又は使用環境などによって影響されるものであり、特に限定されるものではない。
本発明のガス分離膜は、二酸化炭素および二酸化炭素以外のガスを含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に透過させることが好ましい。ガス混合物の分離方法は、二酸化炭素及びメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を選択的に、ガス分離膜を透過させることを含む方法であることが好ましい。ガス分離の際の圧力は3MPa〜10MPaであることが好ましく、4MPa〜7MPaであることがより好ましく、5MPa〜7MPaであることが特に好ましい。また、ガス分離温度は、−30〜90℃であることが好ましく、15〜70℃であることがさらに好ましい。
<ガス分離膜の製造方法>
ガス分離膜の製造方法は、特に制限はない。
(樹脂層を形成する工程)
ガス分離膜の製造方法は、樹脂層を支持体上に形成する工程を含むことが好ましい。
樹脂層を支持体上に形成する方法としては特に制限はないが、樹脂層の材料および有機溶剤を含む組成物を塗布することが好ましい。塗布方法としては特に制限はなく公知の方法を用いることができるが、例えばスピンコート法やディップコート法、バーコート、ダイコート法を適宜用いることができる。
樹脂層の材料および有機溶剤を含む組成物は、硬化性組成物であることが好ましい。樹脂層を形成する場合に硬化性組成物へ照射する放射線としては特に制限はなく、電子線、紫外線(ultraviolet;UV)、可視光または赤外線を用いることができ、用いる材料に応じて適宜選択することができる。
放射線照射時間は1〜30秒間であることが好ましい。
放射エネルギーは10〜500mW/cm2であることが好ましい。
樹脂層を支持体上に形成した後、分離層を形成する前に樹脂層に対して特定の処理を施すことが好ましい。樹脂層に対して施す特定の処理としては、樹脂層に酸素原子を浸透させる酸素原子浸透処理であることが好ましく、プラズマ処理およびコロナ処理であることがより好ましい。
プラズマ処理を行う場合は上記の条件で5秒間以上であることが分離選択性を高め、かつ、耐擦性を高くして分離選択性を低下し難くする観点からより好ましい。一方、プラズマ処理の時間が、上記の条件で1000秒間以下であることが好ましい。
また、プラズマ処理の積算エネルギー量は25〜500000Jが好ましい。
プラズマ処理は定法によればよく、慣用的なものとしては、安定したプラズマを発生させるため減圧プラズマを利用し、大型の真空チャンバ内で被処理体を処理する態様が挙げられる。昨今では大気圧雰囲気下での処理が可能である大気圧プラズマ処理装置が開発されている。そこではプロセス室内にアルゴンガスを主体としたガスを導入し、大気圧雰囲気下で高密度プラズマを安定して発生させることができる。大気圧プラズマ処理装置のシステム構成としては、ガス混合および制御部、反応器および搬送コンベヤ(もしくはXYテーブル)から構成されるものが挙げられる。円形ノズルからスポット的にプラズマジェットを吹き出して処理するものも提案されている。
プラズマ処理条件としては、アルゴン流量が5〜500cm3(STP)/分であることが好ましく、50〜200cm3(STP)/分であることがより好ましく、80〜120cm3(STP)/分であることが特に好ましい。酸素流量が1〜100cm3(STP)/分であることが好ましく、5〜100cm3(STP)/分であることがより好ましい。STPは、standard temperature and pressureの略称である。
プラズマ処理条件としては、真空度が0.6〜15Paであることが好ましい。
プラズマ処理条件としては、放電出力が5〜200Wであることが好ましい。
コロナ処理を行う場合には処理方法は、公知の方法を用いることができるが、コロナ処理の強度は、30〜300Wであることが好ましく、30〜200Wであることがより好ましく、50〜150Wであることが特に好ましい。
コロナ処理の照射量は、0.01〜10J/cm2であることが好ましく、0.1〜5.0J/cm2であることがより好ましく、0.1〜1.0J/cm2であることが特に好ましい。
(分離層を形成する工程)
分離層を形成する工程について説明する。
分離層の形成方法としては特に制限はなく、公知の材料を商業的に入手して形成しても、公知の方法で形成しても、特定の樹脂を用いて後述の方法で形成してもよい。
分離層を形成する方法としては特に制限はないが、分離層の材料および有機溶剤を含む組成物を下層(例えば、支持体または樹脂層)の上に塗布することが好ましい。塗布方法としては特に制限はなく公知の方法を用いることができるが、例えばスピンコート法を用いることができる。
ガス分離膜の分離層を形成する条件に特に制限はないが、温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜80℃がより好ましく、5〜50℃が特に好ましい。
(保護層を形成する工程)
保護層を形成する方法としては特に制限はないが、保護層の材料および有機溶剤を含む組成物を塗布することが好ましい。塗布方法としては特に制限はなく公知の方法を用いることができるが、例えばスピンコート法を用いることができる。
保護層の形成用の硬化性組成物への放射線照射の方法としては特に制限はないが、電子線、紫外線(UV)、可視光または赤外線照射を用いることができ、用いる材料に応じて適宜選択することができる。
放射線照射時間は1〜30秒間であることが好ましい。
放射エネルギーは10〜500mW/cm2であることが好ましい。
[ガス分離膜モジュール]
本発明のガス分離膜モジュールは、本発明のガス分離膜を有する。
ガス分離膜モジュールの例としては、スパイラル型、中空糸型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型などが挙げられる。
ガス分離膜モジュールは、ロール形状のガス分離膜から切り出しを行って加工することによって製造されてもよい。
[ガス分離装置]
本発明のガス分離装置は、本発明のガス分離膜モジュールを有する。
本発明のガス分離装置は、ガスを分離回収又は分離精製させるための手段を有するガス分離装置とすることができる。
本発明のガス分離装置は、例えば、特開2007−297605号公報に記載のような吸収液と併用した膜・吸収ハイブリッド法としてのガス分離回収装置に適用してもよい。
以下に実施例と比較例(なお比較例は公知技術というわけではない)を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
なお、文中「部」及び「%」とあるのは特に示さない限り質量基準とする。
[実施例1]
<樹脂層の形成>
(ジアルキルシロキサン基を有する放射線硬化性ポリマー溶液の調製)
3口フラスコにUV9300(Momentive社製の下記構造のポリジメチルシロキサン(PDMS)、エポキシ当量は950g/molオキシラン、粘度測定法を用いた重量平均分子量9000)39g、X−22−162C(信越化学工業(株)製、下記構造の両末端カルボキシル変性シリコーン、重量平均分子量4600)10g、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)0.007gを加え、n−ヘプタン50gに溶解させた。この組成物を95℃に維持しながら168時間経過させて、ジアルキルシロキサン基を有する放射線硬化性ポリマー溶液(25℃で粘度22.8mPa・s)を得た。
Figure 2018027520
(重合性の放射線硬化性組成物の調製)
放射線硬化性ポリマー溶液を20℃まで冷却した。20℃まで冷却した放射線硬化性ポリマー溶液に対して、固形分が10質量%になるようにn−ヘプタンを添加して希釈した。得られた溶液に対し、光重合開始剤であるIO591(東京化成社製)0.5gおよびチタンイソプロポキシド(aldrich社製)0.1gを添加し、重合性の放射線硬化性組成物を調製した。
<シロキサン結合を有する化合物を含む樹脂層の形成>
PAN(ポリアクリロニトリル)多孔質層(不織布上にポリアクリロニトリル多孔質層が存在、不織布を含め、厚みは約180μm)を支持体とした。
支持体の上に重合性の放射線硬化性組成物を3000rpm(revolutions per minute)、滴下量0.03ml/cm2の条件でスピンコートした。その後、1分間室温で保管した。その後、重合性の放射線硬化性組成物にUV強度24kW/m2、UV照射時間10秒間のUV処理条件でUV処理(Fusion UV System社製、Light Hammer 10、D−バルブ)を行い、重合性の放射線硬化性組成物を硬化させた。このようにして、多孔質層を有する支持体上に、シロキサン結合を有する化合物を含み、厚み120nmの樹脂層を形成した。得られた樹脂層の樹脂を、下記表1および表2中でPDMS系と記載する。
<ポリイミド(P−02)の合成>
下記反応スキームでポリイミド(P−02)の合成に用いるジアミン1を合成した。
Figure 2018027520
(中間体1の合成)
ジアミノメシチレンスルホン酸(和光純薬工業社製)(60g)、アセトニトリル(和光純薬工業社製)(380g)、ピリジン(和光純薬工業社製)(23g)をフラスコに入れた。氷冷下、トリフルオロ酢酸無水物(和光純薬工業社製)(115g)を慎重に滴下した後、70℃で2時間反応させた。冷却後、メタノール(和光純薬工業社製)(30g)を加え、1時間攪拌した。減圧濃縮後、塩酸を用いて精製し、中間体1(110g)を得た。
(中間体2の合成)
アセトニトリル(和光純薬工業社製)(440mL)、中間体1(68g)をフラスコに入れた。塩化チオニル(和光純薬工業社製)(115g)、ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製)(0.9g)を慎重に加えた後、発熱、発泡に注意しながら内温を70℃まで上昇させた。減圧留去後、反応混合物を氷に注ぎ、析出物を精製し、中間体2(65g)を得た。
(中間体3の合成)
アンモニア水(和光純薬工業社製)(90g)をフラスコに入れた。氷冷下、中間体2(43g)をテトラヒドロフラン(和光純薬工業社製)(130g)に懸濁させた液を慎重に加えた。40℃で2時間攪拌した後、減圧濃縮し、精製し、中間体3(30g)を得た。
(ジアミン1の合成)
中間体3(30g)、メタノール(和光純薬工業社製)(100g)をフラスコに入れた。メタンスルホン酸(和光純薬工業社製)(30g)を慎重に加え、発熱に注意しながら昇温し、120℃で30分間攪拌した。冷却した後、反応溶液を炭酸カリウム溶液に注ぎ、析出物を精製し、ジアミン1(11g)を得た。
(ポリイミド(P−02)の合成)
メタクレゾール(和光純薬工業社製)(100g)、ジアミン1(9.00g)、3,5−ジアミノ安息香酸(東京化成工業社製)(0.66g)、6FDA(東京化成工業社製)(19.37g)をフラスコに入れた。トルエン(和光純薬工業社製)(10g)、イソキノリン(和光純薬工業社製)(1.5g)を加えた後、180℃まで加熱し、6時間反応させた。冷却後、アセトン(和光純薬工業社製)で希釈した後、イソプロピルアルコール(和光純薬工業社製)を加えてポリマーを固体として得た。同様の再沈殿を2回繰り返した後、80℃で乾燥し、ポリイミド(P−02)(22g)を得た。
下記表1および表2中、ポリイミド(P−02)のことを、ポリイミドと省略して記載した。
ポリイミド(P−02)
Figure 2018027520
<分離層の形成>
ポリイミド(P−02)50gと、メチルエチルケトン4.95kgを混合して、25℃で30分間攪拌し、固形分濃度が1質量%となる溶液を調製した。そして、中空シリカ粒子A(日揮触媒化成(株)製、スルーリア(登録商標)4110)を、中空シリカ粒子Aの固形分がポリイミドの固形分に対して1質量%の割合になるよう添加し、分散させ、分離層の形成用の塗布液を調製した。
樹脂層上に、調製した分離層の形成用の塗布液をスピンコートし、乾燥して、厚み90nmの分離層を形成した。スピンコートの回転数を変化させる方法を用いて、分離層の厚みを制御した。
中空シリカ粒子(およびSAPO−34粒子などの比較例で用いた粒子)の平均粒子直径は、以下の方法で測定した粒子の直径を、粒子50個の平均として求めた値である。
透過型電子顕微鏡用グリッド上に適度に溶媒で希釈した粒子を滴下し、乾燥後、透過型電子顕微鏡で観察をすることにより、各粒子の直径の観察を行った。
また、分離層にすでに中空シリカ粒子等が組み込まれ、成膜されている場合は、走査型電子顕微鏡によって断面の観察をすることにより、各粒子の直径を観察することが出来る。
樹脂に対する粒子の質量比率を下記表1に記載した。また、分離層の厚みに対する、中空シリカ粒子の平均粒子直径の割合を計算して、下記表1に記載した。
<保護層の形成>
その後、樹脂層の形成に用いたものと同じ重合性の放射線硬化性組成物を、分離層の上に塗布後、樹脂層の形成と同様のUV処理条件でUV処理を行うことで、分離層上に厚み1000nmの保護層を形成した。得られた保護層の樹脂は、樹脂層の樹脂と同様にPDMS系である。
得られたガス分離膜を、実施例1のガス分離膜とした。
[実施例2〜4]
分離層に添加する中空シリカ粒子Aの添加量を下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜4のガス分離膜を得た。
[実施例5]
中空シリカ粒子Aの代わりに、中空シリカ粒子B(日揮触媒化成(株)製、スルーリア(登録商標)1110)を用いた以外は実施例3と同様にして、実施例5のガス分離膜を得た。
[実施例6]
分離層の形成時にポリイミド(P−02)を含む分離層の形成用の塗布液の代わりに、3gの市販の酢酸セルロースL−40(アシル基置換度2.5、株式会社ダイセル製)を45gの塩化メチレンと5gのメタノールの混合溶媒に溶解させた溶液を用いた以外は実施例3と同様にして、実施例6のガス分離膜を得た。下記表1および表2中、用いた酢酸セルロースのことを、セルロースと省略して記載した。
[実施例7および8]
分離層の厚みを下記表1に記載のとおりに変更した以外は実施例2と同様にして、実施例7および8のガス分離膜を得た。
[比較例1]
分離層の形成時に中空シリカ粒子を添加しない以外は実施例1と同様にして、比較例1のガス分離膜を得た。
[比較例2および3]
分離層の形成時に、中空シリカ粒子Aの代わりに中実シリカ粒子A(MEK−AC−4130Y)および中実シリカ粒子B(MEK−AC−2140Z、いずれも日産化学工業(株)製、オルガノシリカゾル)をそれぞれ用いた以外は実施例3と同様にして、比較例2および3のガス分離膜を得た。なお、「ゾル」とは、有機溶剤に粒子が分散したもののことを言う。
[比較例4]
<SAPO−34粒子(シリコアルミノリン酸塩ゼオライト粒子)の調製>
1.0当量のアルミニウムイソプロポキシド(和光純薬工業社製)と0.3当量のTEAOH(Tetraethylammonium Hydroxide、35質量%、Aldrich製)と純水を室温で十分攪拌混合した。その後0.3当量のSiO2(コロイダルシリカLudox SM、Aldrich製)を加え、2時間攪拌した。最後に2当量のリン酸(和光純薬工業社製)を一滴ずつゆっくりと加え、1時間攪拌した。純水は30〜120当量となるようにした。その後、得られた組成物をオートクレーブチューブに移し、マイクロウェーブオーブンで180℃にて1時間、合成処理を行った。合成された粒子の遠心分離を行い、エタノールと水でそれぞれ3回ずつ洗浄した。乾燥後、550℃で6時間焼成を行った。純水の量を調整することで粒径の異なるSAPO−34粒子を得ることができ、平均粒子直径が150nmのSAPO−34粒子を得た。
<SAPO−34粒子の表面修飾>
0.2mlの3−アミノプロピルトリメトキシシラン(東京化成製)をエタノール(メルク製):水:HCl=19:80:0.02の質量比で混合した液と混合し、15分間室温で攪拌した。その後、上記にて得られたSAPO−34粒子を添加し、50℃で40分間攪拌した。一昼夜放置し、揮発性の溶剤を蒸発させた後、オーブン中で純水を蒸発させて、表面修飾されたSAPO−34粒子を得た。表面修飾されたSAPO−34粒子を、含シリカ多孔質粒子Aとした。
<分離層の形成>
分離層形成用の組成物中に含有させる粒子として、中空シリカ粒子Aの代わりに含シリカ多孔質粒子Aを用い、分離層の厚みを1000nmに変更した以外は実施例2と同様にして、比較例4のガス分離膜を得た。
[比較例5]
<SSZ−13粒子の調製>
無機粒子として、SSZ−13粒子を米国特許US 4544538 Aを参考にして合成し、以下の方法で平均粒子直径300nmに調製した。
合成後ボールミルで粉砕を行った。得られたSSZ−13粒子を、含シリカ多孔質粒子Bとした。
<分離層の形成>
分離層形成用の組成物中に含有させる粒子として、含シリカ多孔質粒子Aの代わりに上記の含シリカ多孔質粒子Bを用いた以外は比較例4と同様にして、比較例5のガス分離膜を得た。
[比較例6]
分離層の形成時に中空シリカ粒子Aを添加しない以外は実施例6と同様にして、比較例6のガス分離膜を得た。
[評価]
<ガス分離性能>
得られた各実施例および比較例のガス分離膜のガス分離性能について、高圧耐性のあるSUS316製ステンレスセル(DENISSEN社製)を用い、セルの温度を40℃に調整して評価した。二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)の体積比が13:87の混合ガスをガス供給側の全圧力が5MPa(CO2の分圧:0.65MPa)となるように調整し、CO2、CH4のそれぞれのガスの透過性をTCD(Thermal Conductivity Detector)検知式ガスクロマトグラフィーにより測定した。各実施例および比較例のガス分離膜のガス分離選択性は、この膜のCH4の透過係数PCH4に対するCO2の透過係数PCO2の割合(PCO2/PCH4)として計算した。各実施例および比較例のガス分離膜のCO2透過性は、この膜のCO2の透過度QCO2(単位:GPU)とした。
ガス透過性(CO2の透過度QCO2)が30GPU以上かつ、ガス分離選択性が30以上となる場合は評価をAAとした。
ガス透過性(CO2の透過度QCO2)が25GPU以上30GPU未満かつ、ガス分離選択性が20以上30未満となる場合は評価をAとした。
ガス透過性(CO2の透過度QCO2)が25GPU以上かつガス分離選択性が20未満、もしくは、ガス透過性(CO2の透過度QCO2)が25GPU未満かつガス分離選択性が20以上となる場合は評価をBとした。
ガス透過性(CO2の透過度QCO2)が25GPU未満かつ、ガス分離選択性が20未満となる場合は評価をCとした。
圧力がかからず試験が行えなかった場合は評価をDとした。
なお、ガス透過性の単位は、圧力差あたりの透過流束(透過率、透過度、Permeanceとも言う)を表すGPU(ジーピーユー)単位〔1GPU=1×10-6cm3(STP)/cm2・sec・cmHg〕または透過係数を表すbarrer(バーラー)単位〔1barrer=1×10-10cm3(STP)・cm/cm2・sec・cmHg〕で表す。本明細書中では、GPU単位の場合は記号Qを用いて表し、barrer単位の場合は記号Pを用いて表した。
ガス分離性能の評価は、AA、A、BまたはCであることが実用上必要であり、AA、AまたはBであることが好ましく、AAまたはAであることがより好ましく、AAであることが特に好ましい。
得られた結果を、下記表1および表2に記載した。
<不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下>
各実施例および比較例のガス分離膜10を、支持体側をアルミ板21の側にして四方をカプトンテープ22(寺岡製作所650S♯25)で貼り付け、支持体側がトルエン蒸気に暴露されないように封止したサンプルを調製した(図3参照)。
一辺30cm程度の密封容器内にシャーレを設置し、シャーレにトルエン溶液を注いだ。室温(25℃)において1日間放置し、気液平衡状態に到達した状態でサンプルを容器内に投入し、1時間静置させ、サンプルをトルエン膨潤した。サンプルを取出した後、アルミ板21からガス分離膜10を剥がし、速やかにガス分離性能の試験を実施した。
トルエン膨潤後の結果を、トルエン膨潤を行わずにガス分離選択性の試験を行った別の試験片の結果と比較し、以下の基準で評価した。
AA:トルエン膨潤後のガス分離選択性の低下率が20%未満。
A:トルエン膨潤後のガス分離選択性の低下率が20%以上30%未満。
B:トルエン膨潤後のガス分離選択性の低下率が30%以上40%未満。
C:トルエン膨潤後のガス分離選択性の低下率が40%以上。
不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下の評価は、AAまたはAであることが実用上必要であり、AAであることが好ましい。
得られた不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下(トルエン膨潤後の選択性低下)の結果を、下記表1および表2に記載した。
Figure 2018027520
Figure 2018027520
上記表1および表2より、本発明のガス分離膜は、不純物ガス暴露後のガス分離選択性低下が抑制されたことがわかった。さらに、本発明のガス分離膜の好ましい実施態様では、ガス透過性およびガス分離選択性が高いことがわかった。
一方、比較例1および6より、分離層が粒子を有さない場合は、不純物ガス暴露後のガス分離選択性が大きく低下することがわかった。
比較例2および3より、分離層が中実シリカ粒子のみを有する場合は、不純物ガス暴露後のガス分離選択性が大きく低下することがわかった。
比較例4および5より、分離層が含シリカ多孔質粒子のみを有する場合は、不純物ガス暴露後のガス分離選択性が大きく低下することがわかった。
[実施例101〜108]
−モジュール化−
実施例1〜8で作製したガス分離膜を用いて、特開平5−168869号公報の[0012]〜[0017]を参考に、スパイラル型モジュールを作製した。得られたガス分離膜モジュールを、実施例101〜108のガス分離膜モジュールとした。
作製した各実施例のガス分離膜モジュールは、内蔵するガス分離膜の性能と同様に、良好なものであることを確認した。
作製した各実施例のガス分離膜モジュールは、リーフ(リーフとはスパイラル型モジュールにおいて透過側の空間が中心管に接続されている、封筒状に折り曲げられたガス分離膜の部分のことを言う)の片面の中心の10cm×10cmの領域内よりランダムに1cm×1cmの領域を10点採取し、ESCAおよびエッチングを用いる方法に従い、表面と深さ方向の元素比を算出すると、10点中9点以上で内蔵する分離膜の通りのものであることを確認した。またスパイラル型モジュールは、内蔵するガス分離膜の性能と同様に、良好なものであることを確認した。
2 樹脂層
3 分離層
4 支持体
8 保護層
10 ガス分離膜
21 アルミ板
22 カプトンテープ

Claims (11)

  1. 分離層を有するガス分離膜であって、
    前記分離層が中空シリカ粒子を含む、ガス分離膜。
  2. 前記分離層がポリイミドを含む、請求項1に記載のガス分離膜。
  3. 前記分離層の厚みが30〜200nmである、請求項1または2に記載のガス分離膜。
  4. 前記中空シリカ粒子の平均粒子直径が30〜80nmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  5. 前記分離層の厚みに対する、前記中空シリカ粒子の平均粒子直径の割合が30〜90%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  6. 前記分離層に対する、前記中空シリカ粒子の質量比率が、0.1質量%以上、20質量%未満である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  7. 前記分離層に対する、前記中空シリカ粒子の質量比率が、0.1質量%以上、15質量%未満である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  8. 支持体をさらに有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガス分離膜。
  9. 前記支持体と前記分離層との間に樹脂層を有し、
    前記樹脂層がシロキサン結合を有する化合物を含む、請求項8に記載のガス分離膜。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のガス分離膜を有する、ガス分離膜モジュール。
  11. 請求項10に記載のガス分離膜モジュールを有する、ガス分離装置。
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