JP2018126729A - 気体の分離方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】35〜70℃の温度下で、少なくとも二酸化炭素とメタンを含む気体、例えば、天然ガス又はバイオガスから二酸化炭素を分離しメタンを選択的に含むガスを得る、気体の分離方法の提供。【解決手段】式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含む気体分離膜を用いて、35〜70℃の温度下で、少なくとも二酸化炭素とメタンを含む気体からメタンを分離する、気体の分離方法。(R1は1,1−ジトリフルオロメチル−メチロール基を含む2価の有機基;R2は4価の有機基)【選択図】なし
Description
本発明は、二酸化炭素(CO2)とメタン(CH4)を含むガスから二酸化炭素を分離し、メタン濃度を高める気体の分離方法に関する。特に、二酸化炭素とメタンを含む天然ガスまたはバイオガスから二酸化炭素を分離し、メタン濃度を高める気体の分離方法に関する。
天然ガスは可燃性ガスだけでなく、窒素、酸素、炭酸ガス、水蒸気、硫化水素、亜硫酸ガス、硫黄酸化物ガス等の不燃性ガスを含む。天然ガスは、含まれる可燃性ガスとして軽い炭化水素ガスを含む。炭化水素ガスとしては、メタン、エタン、プロパン、ブタンまたはペンタンを例示することができる。天然ガスは炭化水素ガスの他に、窒素、酸素、炭酸ガス、水蒸気、硫化水素、亜硫酸ガス、または硫黄酸化物ガス等の不燃性ガスを含むため、燃料として使用する際はこれら不燃性ガスを除去し、可燃性ガスの濃度を高め、精製をすることが好ましい。
従来、天然ガスの精製において、天然ガスから二酸化炭素等の酸性ガスを除去し精製する方法として、酸性ガスをアミン類等に吸着させる化学吸収法が用いられてきた。本方法は、酸性ガスをアミンに吸着させることで可燃性ガスの濃度を高め、天然ガスを精製する方法である。しかしながら、本方法を用い、天然ガスを精製するには、精製量に対し大型の気体分離装置を必要とし、建設費用がかかる、また、精製工程で吸収剤として用いるアミンを再利用するための費用がかかる等の問題がある。
比較して、気体分離膜を用いる気体の分離方法は、気体の処理量に対し小型の気体分離装置を使用でき、設置面積が限られた天然ガスの洋上プラント等に有利な方法である。本方法を用いれば、二酸化炭素等の不燃性ガスを除く際、天然ガスを気体分離膜に通過させる駆動力として、採ガス時の天然ガスの圧力を利用することができる。
気体分離膜を用いる天然ガスの精製工程において、気体分離膜の材料は、ポリイミド膜等の高分子膜が用いられている。ポリイミド膜を気体分離膜に用いると、室温(約20℃)から35℃未満までの低温域では、例えば、二酸化炭素とメタンの優れた分離性能を発現する。しかしながら、天然ガスの精製は採ガスと連続して行われ、採ガス時の天然ガスの温度である50℃付近で行われるのが一般的である。ポリイミド膜を用いると、50℃付近では二酸化炭素とメタンの選択性が低下し、メタンの高純度化がはかれない傾向がある。例えば、非特許文献1には、ポリイミド膜による二酸化炭素とメタンの分離選択性は、高温域程、低下することが記載されている。
気体分離膜は、気体分離時の気体の選択性と透過性が相反する関係にあるため、透過性の高い高分子膜は、気体の分離時の気体選択性に劣る。しかしながら、特に前記高温域において、気体の透過性が高く且つ気体分離時の気体選択性に優れた気体分離膜が求められ、従来のポリイミド膜に対し、優れた気体分離性能を有する高分子材料の開発が急がれている。
特許文献1〜4には、2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基(−C(CF3)2OH、以下、HFIP基と呼びことがある)を含むポリイミド構造を有する、気体分離膜が開示されている。
特許文献5には、有機性廃棄物がメタン発酵することで発生する、高濃度の二酸化炭素を含有するバイオガスから二酸化炭素を高効率に分離しメタン濃度を高めることで、バイオガスを精製可能なメタン分離方法、それを用いたメタン分離装置、およびメタン利用システムが開示され、気体分離膜モジュールが使用されている。
Journal of Membrane Science, Vo47, 203−215,1989
本発明は、35℃以上、70℃以下の温度下で、少なくとも二酸化炭素とメタンを含むガス、例えば、天然ガスまたはバイオガスから二酸化炭素を分離し、メタン濃度を高め、選択的にメタンを含むガスを得る、気体の分離方法を提供することを目的とする。
本発明の気体の分離方法を用いると、天然ガスまたはバイオガスの採ガス分離時の実使用温度である温度35℃以上、70℃以下において、HFIP基を有する特定のポリイミドを含む気体分離膜により二酸化炭素とメタンの高い選択性が発現し、メタン濃度を高め、選択的にメタンを含むガスが得られる。
高い二酸化炭素透過性と優れたガス選択性とを同時に満足する気体分離膜であるためには、150kPa、50℃の条件下で、気体透過係数について、CO2透過係数が20Barrer以上、且つ二酸化炭素とメタンとの透過係数比(CO2透過係数/CH4透過係数)が20以上であることが好ましい。
本発明者らが鋭意検討したところ、実施例1〜7に示す様に、2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基(HFIP基)を有する特定のポリイミドを含む気体分離膜を用い二酸化炭素とメタンを含む気体を分離すると、150kPa、50℃の条件下で、CO2透過係数が20Barrer以上、二酸化炭素とメタンとの透過係数比(CO2透過係数/CH4透過係数)20以上が得られ、高い二酸化炭素透過性とガス選択性とを同時に満足することができ、優れた気体分離性能を得られることに到達し、本発明の気体の分離方法を完成させるに至った。
尚、1Barrer=1×10-10cm3(STP)・cm/sec・cm2・cmHgである。
本発明は、以下の発明1〜18を含む。
[発明1]
式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含む気体分離膜を用いて、35℃以上、70℃以下の温度下で、少なくとも二酸化炭素とメタンを含む気体からメタンを分離し、メタン濃度を高める、気体の分離方法。
式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含む気体分離膜を用いて、35℃以上、70℃以下の温度下で、少なくとも二酸化炭素とメタンを含む気体からメタンを分離し、メタン濃度を高める、気体の分離方法。
(式(1)中、R1は、HFIP基を含む2価の有機基であり、R2は4価の有機基である。)
[発明2]
R1が式(2)で表される2価の有機基である、発明1の気体の分離方法。
R1が式(2)で表される2価の有機基である、発明1の気体の分離方法。
(式(2)中、R3は、単結合、酸素原子、硫黄原子、CO、CH2、CH2CH2、SO、SO2、C(CH3)2、C(CH3)(CH2CH3)、NHCO、C(CF3)2、芳香環または脂環であり、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基であり、aおよびbは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、1≦a+b≦4である。)
[発明3]
式(2)で表される2価の有機基が、以下のいずれかの2価の有機基である、発明2の気体の分離方法。
式(2)で表される2価の有機基が、以下のいずれかの2価の有機基である、発明2の気体の分離方法。
[発明4]
R1が式(3)で表される2価の有機基である、発明1の気体の分離方法。
R1が式(3)で表される2価の有機基である、発明1の気体の分離方法。
(式(3)中、R6は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、クロル基、フルオロ基、トリフルオロメチル基、フェニル基、メトキシ基およびニトロ基からなる群から選ばれる1価の基であり、R7は、それぞれ独立に、水素原子、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、スルホ基、アリル基、ブロモ基、クロル基、フルオロ基およびヨード基からなる群から選ばれる1価の基であり、gおよびhはそれぞれ独立に0、1、2のいずれかの整数であり、1≦g+h≦4である)。
[発明5]
式(3)で表される2価の有機基が、以下で表される有機基である、発明4の分離方法。
式(3)で表される2価の有機基が、以下で表される有機基である、発明4の分離方法。
[発明6]
R1が式(4)で表される2価の有機基である、発明1の気体の分離方法。
R1が式(4)で表される2価の有機基である、発明1の気体の分離方法。
(式(4)中、a、bはそれぞれ独立に0〜2の整数であり、a+b≧1である。cは0以上の整数である。dとeはそれぞれ独立に0〜2の整数であり、1≦d+e≦4である。また、式(5)中、次式:
で表される部位は、環構成原子として窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよく、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含む置換基を有していてもよい。)
[発明7]
式(4)で表される2価の有機基が、以下で表される2価の有機基である、発明6の気体の分離方法。
式(4)で表される2価の有機基が、以下で表される2価の有機基である、発明6の気体の分離方法。
[発明8]
R1が式(5)で表される2価の有機基である、発明1の気体の分離方法。
R1が式(5)で表される2価の有機基である、発明1の気体の分離方法。
(式(5)中、fは1または2である。)
[発明9]
式(5)で表される2価の有機基が、以下のいずれかの2価の有機基である、発明8の気体の分離方法。
式(5)で表される2価の有機基が、以下のいずれかの2価の有機基である、発明8の気体の分離方法。
[発明10]
R2が、以下のいずれかの4価の有機基である、発明1〜9の気体の分離方法。
R2が、以下のいずれかの4価の有機基である、発明1〜9の気体の分離方法。
[発明11]
前記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドが、重量平均分量20000以上、500000以下のポリイミドである、発明1〜10の気体の分離方法。
前記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドが、重量平均分量20000以上、500000以下のポリイミドである、発明1〜10の気体の分離方法。
[発明12]
前記気体分離膜が、100℃以上、400℃以下で加熱処理した気体分離膜である、発明1〜11の気体の分離方法。
前記気体分離膜が、100℃以上、400℃以下で加熱処理した気体分離膜である、発明1〜11の気体の分離方法。
[発明13]
前記気体分離膜の温度50℃、圧力150kPaにおける二酸化炭素の透過係数が20Barrer以上であり、二酸化炭素とメタンとの透過係数比(CO2透過係数/CH4透過係数)が20以上である、発明1〜12の気体の分離方法。
前記気体分離膜の温度50℃、圧力150kPaにおける二酸化炭素の透過係数が20Barrer以上であり、二酸化炭素とメタンとの透過係数比(CO2透過係数/CH4透過係数)が20以上である、発明1〜12の気体の分離方法。
[発明14]
二酸化炭素及びメタンを少なくとも含むガスが天然ガスまたはバイオガスである、発明1〜13の気体の分離方法。
二酸化炭素及びメタンを少なくとも含むガスが天然ガスまたはバイオガスである、発明1〜13の気体の分離方法。
[発明15]
前記気体分離膜が中空糸膜である、発明1の気体の分離方法。
前記気体分離膜が中空糸膜である、発明1の気体の分離方法。
[発明16]
前記気体分離膜が複合膜である、発明1の気体の分離方法。
前記気体分離膜が複合膜である、発明1の気体の分離方法。
[発明17]
式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含む気体分離膜を用いて、35℃以上、70℃以下の温度下で、少なくとも窒素と酸素を含む気体から窒素を分離し、酸素濃度を高める、気体の分離方法。
式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含む気体分離膜を用いて、35℃以上、70℃以下の温度下で、少なくとも窒素と酸素を含む気体から窒素を分離し、酸素濃度を高める、気体の分離方法。
(式(1)中、R1は、2−ヒドロキシ−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基を含む2価の有機基であり、R2は4価の有機基である。)
[発明18]
R1が式(2)で表される2価の有機基である、発明17の気体の分離方法。
R1が式(2)で表される2価の有機基である、発明17の気体の分離方法。
(式(2)中、R3は、単結合、酸素原子、硫黄原子、CO、CH2、CH2CH2、SO、SO2、C(CH3)2、C(CH3)(CH2CH3)、NHCO、C(CF3)2、芳香環または脂環であり、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基であり、aおよびbは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、1≦a+b≦4である。)
本発明により、天然ガスまたはバイオガスの採ガス精製時の実使用温度である温度35℃以上、70℃以下において、HFIP基を有する特定のポリイミドを含む気体分離膜を使用することにより、二酸化炭素とメタンの高い選択性が発現し、少なくとも二酸化炭素とメタンを含むガスから二酸化炭素を効率的に分離しメタン濃度を高め、選択的にメタンを含むガスを得る気体の分離方法が提供された。
以下の実施形態における各構成およびそれらの組み合わせは、本発明の実施形態の一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
1.ポリイミド
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が含むポリイミドについて説明する。
[式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド]
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜は、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含む。以後、式(1)で表される繰り返し単位を繰り返し単位(1)、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドをポリイミド(1)と呼ぶことがある。
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が含むポリイミドについて説明する。
[式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミド]
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜は、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドを含む。以後、式(1)で表される繰り返し単位を繰り返し単位(1)、式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドをポリイミド(1)と呼ぶことがある。
(式(1)中、R1は、HFIP基を含む2価の有機基であり、R2は4価の有機基である。)
1−1.有機基R1
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が含むポリイミド(1)において、その繰り返し(1)が含有する2価の有機基R1は、以下の式(2)〜(5)で表される2価の有機基のいずれかであることが好ましい。以下、各々の2価の有機基について詳述する。
[式(2)で表される2価の有機基]
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が含むポリイミド(1)において、その繰り返し(1)が含有する2価の有機基R1は、以下の式(2)〜(5)で表される2価の有機基のいずれかであることが好ましい。以下、各々の2価の有機基について詳述する。
[式(2)で表される2価の有機基]
(式(2)中、R3は、単結合、酸素原子、硫黄原子、CO、CH2、CH2CH2、SO、SO2、C(CH3)2、C(CH3)(CH2CH3)、NHCO、C(CF3)2、芳香環または脂環であり、R4およびR5は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基またはフルオロアルキル基であり、aおよびbは、それぞれ独立に0〜2の整数であり、1≦a+b≦4である。)
本発明の気体の分離方法で用いる気体分離膜が含む、ポリイミド(1)において、その繰り返し(1)が含有する式(2)で表される有機基R1は、ポリイミド(1)の合成のし易さより、好ましくは、以下の有機基である。
[式(3)で表される2価の有機基]
(式(3)中、R6は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、クロル基、フルオロ基、トリフルオロメチル基、フェニル基、メトキシ基およびニトロ基からなる群から選ばれる1価の基であり、R7は、それぞれ独立に、水素原子、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、スルホ基、アリル基、ブロモ基、クロル基、フルオロ基およびヨード基からなる群から選ばれる少なくとも1価の基であり、gおよびhはそれぞれ独立に0、1、2のいずれかの整数であり、g+hは1以上4以下である。)
本発明の気体の分離方法で用いる気体分離膜が含む、ポリイミド(1)において、その繰り返し(1)が含有する式(3)で表される有機基R1は、ポリイミド(1)の合成のし易さより、好ましくは、以下の有機基である。
[式(4)で表される2価の有機基]
(式(4)中、a、bはそれぞれ独立に0〜2の整数であり、a+b≧1である。cは0以上の整数である。dとeはそれぞれ独立に0〜2の整数であり、1≦d+e≦4である。
また、式中、次式
また、式中、次式
で表される部位は、環構成原子として窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよく、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含む置換基を有していてもよい。)
本発明の気体の分離方法で用いる気体分離膜が含む、ポリイミド(1)において、その繰り返し(1)が含有する式(4)で表される有機基は、ポリイミド(1)の合成のし易さより、好ましくは、以下の有機基である。
本発明の気体の分離方法で用いる気体分離膜が含む、ポリイミド(1)において、その繰り返し(1)が含有する式(4)で表される有機基は、ポリイミド(1)の合成のし易さより、好ましくは、以下の有機基である。
[式(5)で表される2価の有機基]
(式(5)中、fは1もしくは2の整数である。)
本発明の気体の分離方法で用いる気体分離膜が含む、ポリイミド(1)において、その繰り返し(1)が含有する式(5)で表される有機基は、ポリイミド(1)の合成のし易さより、好ましくは、以下の有機基である。
本発明の気体の分離方法で用いる気体分離膜が含む、ポリイミド(1)において、その繰り返し(1)が含有する式(5)で表される有機基は、ポリイミド(1)の合成のし易さより、好ましくは、以下の有機基である。
1−2.有機基R2
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が含むポリイミド(1)において、その繰り返し(1)が含有する4価の有機基R2は、脂環、芳香環およびアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有すればよく、特に限定されない。この4価の有機基は、構造中にフッ素原子、塩素原子、酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有していてもよい。また、構造中に水素原子を有する場合には、その水素原子の一部または全部が、アルキル基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が含むポリイミド(1)において、その繰り返し(1)が含有する4価の有機基R2は、脂環、芳香環およびアルキレン基からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有すればよく、特に限定されない。この4価の有機基は、構造中にフッ素原子、塩素原子、酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含有していてもよい。また、構造中に水素原子を有する場合には、その水素原子の一部または全部が、アルキル基、フルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシ基またはシアノ基で置換されていてもよい。
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が含むポリイミド(1)において、その含有する4価の有機基R2は、好ましくは、重合体(1)の合成のし易さにおいて、以下の何れかの4価の有機基である。
1−3.繰り返し単位(1)
以上の中でも、ポリイミド(1)は、特に好ましくは、以下のいずれかの繰り返し単位(1)を含有するものが好ましい。
以上の中でも、ポリイミド(1)は、特に好ましくは、以下のいずれかの繰り返し単位(1)を含有するものが好ましい。
繰り返し単位(1)は、ポリイミド(1)中に規則的に配列されていてもよいし、不規則に配列していてもよい。
1−4.分子量
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が含む、ポリイミド(1)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、20000以上、500000以下であり、特に好ましくは30000以上、200000以下特に好ましい。分子量が20000未満では、ポリイミド(1)を含む気体分離膜の膜強度が不足し、500000より大きいと成膜が困難となる。ここで、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いポリスチレン換算して得られる値である。
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が含む、ポリイミド(1)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは、20000以上、500000以下であり、特に好ましくは30000以上、200000以下特に好ましい。分子量が20000未満では、ポリイミド(1)を含む気体分離膜の膜強度が不足し、500000より大きいと成膜が困難となる。ここで、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により測定し、標準ポリスチレン検量線を用いポリスチレン換算して得られる値である。
2.ポリイミド(1)の製造方法
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が含む、ポリイミド(1)の製造方法について説明する。
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が含む、ポリイミド(1)の製造方法について説明する。
2−1.ポリイミド(1)の製造方法
ポリイミド(1)の製造方法の一例として、下記式(2A)〜(5A)で表されるHFIP基を有するジアミンと、下記式(1A)で表されるテトラカルボン酸二無水物とを原料とし、有機溶媒中で縮重合してポリアミック酸を得て、次いで該ポリアミック酸を脱水閉環させてイミド化することでポリイミド(1)を得る方法を挙げることができる。以下、式(2A)〜(5A)で表されるHFIP基を有するジアミンを、HFIP基を有するジアミン(2A)〜(5A)、式(1A)で表されるテトラカルボン酸二無水物を、テトラカルボン酸二無水物(1A)と呼ぶことがある。
ポリイミド(1)の製造方法の一例として、下記式(2A)〜(5A)で表されるHFIP基を有するジアミンと、下記式(1A)で表されるテトラカルボン酸二無水物とを原料とし、有機溶媒中で縮重合してポリアミック酸を得て、次いで該ポリアミック酸を脱水閉環させてイミド化することでポリイミド(1)を得る方法を挙げることができる。以下、式(2A)〜(5A)で表されるHFIP基を有するジアミンを、HFIP基を有するジアミン(2A)〜(5A)、式(1A)で表されるテトラカルボン酸二無水物を、テトラカルボン酸二無水物(1A)と呼ぶことがある。
これらの方法においては、例えば、気体分離膜の硬さ調整のために、前記原料に、HFIP基を有するジアミン(2A)〜(5A)以外のその他ジアミン、またはテトラカルボン酸二無水物(1A)以外のその他テトラカルボン酸二無水物、あるいはその両方を加えてもよい。その他ジアミン、その他テトラカルボン酸二無水物の含有は、ポリイミド(1)の原料としてのジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の全量に対して、0質量%以上、20質量%以下である。気体の分離性能のためには、その他テトラカルボン酸二無水物はできればないことが好ましい。
ポリイミド(1)HFIP基を有するジアミン(2A)〜(5A)、テトラカルボン酸二無水物(1A)を以下に示す。
(式中のR3〜R5およびa、bは、式(2)中のR3〜R5、およびa、bとそれぞれ同義である。)
(式中のR6、R7およびg、hは、式(3)中のR6、R7およびg、hとそれぞれ同義である。)
(式中のa〜eは、式(4)中のa〜eとそれぞれ同義である。)
(式中のfは、式(5)中のfと同義である。)
(式中のR2は、式(1)のR2と同義である。)
2−3.ポリアミック酸の製造
一般的に、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを縮重合反応させポリアミック酸を得る反応は、モル比で表して1対1で行う。縮重合反応において、原料であるHFIP基を有するジアミン(2A)〜(5A)またはその他のジアミンと、テトラカルボン酸二無水物(1A)または前記その他テトラカルボン酸二無水物の存在比を、モル比で表して1対1とすることが好ましい。以下の有機溶剤の存在下、反応温度は、−20以上、80℃以下で行うのが通常である。
一般的に、ジアミンとテトラカルボン酸二無水物とを縮重合反応させポリアミック酸を得る反応は、モル比で表して1対1で行う。縮重合反応において、原料であるHFIP基を有するジアミン(2A)〜(5A)またはその他のジアミンと、テトラカルボン酸二無水物(1A)または前記その他テトラカルボン酸二無水物の存在比を、モル比で表して1対1とすることが好ましい。以下の有機溶剤の存在下、反応温度は、−20以上、80℃以下で行うのが通常である。
[有機溶剤]
前記縮重合反応において、除熱等のため有機溶媒を用いる。前記縮重合反応において使用する有機溶媒は、反応に阻害しないものでなければ特に限定されない。例えば、アミド系溶媒、芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒、ラクトン類、アルコール類、またはグリコールエーテル類が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記縮重合反応において、除熱等のため有機溶媒を用いる。前記縮重合反応において使用する有機溶媒は、反応に阻害しないものでなければ特に限定されない。例えば、アミド系溶媒、芳香族系溶媒、ハロゲン系溶媒、ラクトン類、アルコール類、またはグリコールエーテル類が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、またはN−メチル−2−ピロリドンを例示することができる。
芳香族系溶媒としては、ベンゼン、アニソール、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、p−クロロフェノール、またはキシレンを例示することができる。
ハロゲン系溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、または1,1,2,2−テトラクロロエタンを例示することができる。
ラクトン類としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、またはα−メチル−γ−ブチロラクトンを例示することができる。
ラクトン類としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、またはα−メチル−γ−ブチロラクトンを例示することができる。
アルコール類としては、n−ブチルアルコールを例示することができる。グリコールエーテル類としては、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、または2−ブトキシエタノールを例示することができる。
2−4.ポリイミド(1)の製造
ポリイミド(1)は、前記縮重合反応で得られたポリアミック酸を加熱し脱水閉環させイミド化することにより得られる。イミド化は、縮重合直後のポリアミック酸を150℃以上、250℃以下に加熱することによって行う。
ポリイミド(1)は、前記縮重合反応で得られたポリアミック酸を加熱し脱水閉環させイミド化することにより得られる。イミド化は、縮重合直後のポリアミック酸を150℃以上、250℃以下に加熱することによって行う。
また、前記縮重合反応で得られたポリアミック酸の溶液に対し、温度0℃以上、50℃以下で、原料中のジアミン全量に対し、それぞれ2モル当量以上10当量以下となる様に、ピリジン、ピコリン、トリエチルアミン等の塩基と無水酢酸を加えることでイミド化し、ポリイミド(1)溶液を得ることができる。得られたポリイミド(1)溶液は、そのまま後述の気体分離膜の製造に供してもよく、あるいは、濃縮または希釈してもよく、あるいは、溶液中から溶媒等を除去してポリイミド(1)単体を得てもよい。
また、ポリイミド(1)の製造は、上述の他に、上記HFIP基を有するジアミン(2A)〜(5A)の少なくとも1種以上と、テトラカルボン酸二無水物(1A)とを必須原料とし、150℃以上で相互に溶融させた後混合させ、無溶媒でポリイミド(1)を得る方法を挙げることができる。
3.気体分離膜
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜は、特に二酸化炭素の透過性に優れ、二酸化炭素とメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を分離し、メタン濃度を高めることができる。
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜は、特に二酸化炭素の透過性に優れ、二酸化炭素とメタンを含む混合ガスから二酸化炭素を分離し、メタン濃度を高めることができる。
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜は、ポリイミド(1)を少なくとも含む。気体分離膜において、ポリイミド(1)の含有率は、40質量%以上であり、好ましくは80質量%以上であり、二酸化炭素とメタンの高い分離性能を得るには、ポリイミド(1)のみからなることが特に好ましい。膜物性を調整するために、ポリイミド(1)以外の各種高分子化合物を成分として含有させてもよい。このような高分子化合物としては、アクリル系重合体、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、またはワックス、シェラック、その他天然樹脂等が使用できる。これらは、2種類以上併用してもかまわない。
本発明の気体の分離方法に用いるポリイミド(1)を含む気体分離膜は、加熱した後、気体分離膜として使用することが好ましい。加熱温度は、50℃以上、400℃以下であり、好ましくは、100℃以上、325℃以下であり、特に、好ましくは、150℃以上、320℃以下である。加熱温度が、50℃より低いと、気体分離膜としての密な分離層を得ることが難しく、400℃より高い温度では、ポリイミド(1)の熱分解が懸念され、気体分離膜として使用するのに十分な機械的強度を得ることが難しい。
加熱時間は、30分以上、24時間以下であり、好ましくは、1時間以上、12時間以下である。
4.気体分離膜の性能
高い二酸化炭素透過性と優れたガス選択性とを同時に満足する気体分離膜であるためには、150kPa、50℃の条件下で、気体透過係数について、CO2透過係数が20Barrer以上、且つ二酸化炭素とメタンとの透過係数比(CO2透過係数/CH4透過係数)が20以上であることが好ましい。
高い二酸化炭素透過性と優れたガス選択性とを同時に満足する気体分離膜であるためには、150kPa、50℃の条件下で、気体透過係数について、CO2透過係数が20Barrer以上、且つ二酸化炭素とメタンとの透過係数比(CO2透過係数/CH4透過係数)が20以上であることが好ましい。
本発明の気体の分離方法により、実施例1〜7に示す様に、圧力150kPa、温度50℃の分離条件下で、CO2透過係数が20Barrer以上、且つ二酸化炭素とメタンとの透過係数比(CO2透過係数/CH4透過係数)20以上が得られる。
好ましくは、圧力150kPa、温度50℃の分離条件下で、CO2透過係数が30Barrer以上、且つ二酸化炭素とメタンとの透過係数比(CO2透過係数/CH4透過係数)30以上である。
5.気体分離膜の形状
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜は、緻密層からなる対称膜であってもよく、または緻密層と多孔質層からなる非対称膜であってもよい。非対称膜の場合、緻密層はガス種によって透過速度が異なり、気体を分離する役割を果たす一方で、多孔質層は、膜形状を保持する為の支持体としての役割を果たすことが可能となる。非対称膜の形状は、例えば、平坦な膜状、中空糸膜状のいずれの形状であってもよい。
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜は、緻密層からなる対称膜であってもよく、または緻密層と多孔質層からなる非対称膜であってもよい。非対称膜の場合、緻密層はガス種によって透過速度が異なり、気体を分離する役割を果たす一方で、多孔質層は、膜形状を保持する為の支持体としての役割を果たすことが可能となる。非対称膜の形状は、例えば、平坦な膜状、中空糸膜状のいずれの形状であってもよい。
対称膜の場合、その厚みは、500nm以上、1mm以下であり、好ましくは、10μm以上、100μm以下である。500nmより薄いと製膜が容易でなく破れやすい、1mmより厚いと、気体が透過し難い。
非対称膜の平坦な膜状とする場合、その緻密層の層厚は、10nm以上、10μm以下であり、好ましくは、30nm以上、1μm以下である。10nmより薄いと製膜が容易でなく破れやすい、10μmより厚いと気体が透過し難い。その多孔質層の層厚は、5μm以上、2mm以下であり、好ましくは、10μm以上、500μm以下である。5μmより薄いと製膜が容易でなく破れやすい、2mmより厚いと気体が透過し難い。
非対称膜を中空糸膜状とする場合には、外側を緻密層、内側を多孔質層とすることが好ましく、内径は、10μm以上、4mm以下であり、好ましくは、20μm以上、1mm以下である、外径は、30μm以上、8mm以下であり、好ましくは、50μm以上1.5mm以下である。内径が10μm未満、外径が30μm未満では、中空糸膜状に製造し難く、内径が1mm未満、外径が8mm未満では、中空糸膜状の気体分離膜として実用に適していない。
6.気体分離膜の製造方法
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜は、ポリイミド(1)を有機溶剤に溶解した溶液とし、基材上にスピンコート、スプレーコート、フローコート、含浸コート、ハケ塗りなど通常用いられる方法で塗布した後、そのままの形状で製膜あるいは成形し製造することができる。
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜は、ポリイミド(1)を有機溶剤に溶解した溶液とし、基材上にスピンコート、スプレーコート、フローコート、含浸コート、ハケ塗りなど通常用いられる方法で塗布した後、そのままの形状で製膜あるいは成形し製造することができる。
有機溶剤の種類は、ポリイミド(1)が溶解し、加熱温度以下で揮発するものであればよく、好ましくは、前述の「2−3.ポリアミック酸の製造」で示した種類の有機溶剤を用いることができる。また、前述の「2.ポリイミド(1)の製造方法」で得られたポリイミド(1)の溶液を用いてもよい。得られた気体分離膜は、製膜後、温度、100℃以上、400℃以下で加熱することが好ましい。
また、「2−3.ポリアミック酸の製造」で得られたポリアミック酸の溶液を基材上に塗布し、100℃以上、400℃以下上記の加熱温度で加熱することで有機溶剤を揮発させるとともに脱水閉環反応を進行させてポリイミド(1)の膜とし、本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜とすることもできる。
溶液中のポリイミド(1)またはその前駆体であるポリアミック酸の濃度は、5質量%以上、50質量%以下であり、好ましくは、10質量%以上、40質量%以下である。
気体分離膜を製造する際に、ポリイミド(1)溶液、またはその前駆体であるポリアミック酸溶液を塗布する基材には、ガラス、シリコンウエハ、金属、金属酸化物、セラミックス、または樹脂を挙げることができる。
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜として、対称膜を製造する場合には、前述のポリアミック酸溶液を用いる場合は、例えば、ガラス基板等の基材にスピンコーターまたはアプリケーター等を用いて湿式塗布した後、空気、窒素またはアルゴン等の乾燥気体中で加熱を行うことで、有機溶剤の蒸発、前記環化脱水反応を経て焼成体を得た後、前記基材から該焼成体を剥離させることで得られる。ポリイミド(1)の溶液を用いる場合は、例えば、ガラス基板やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製基板等の基材にスピンコートまたはアプリケーター等を用いて塗布した後、空気、窒素またはアルゴン等の乾燥気体中で加熱を行うことで、有機溶剤の蒸発を経て焼成体を得た後、前記基材から剥離させることで得られる。
気体分離膜としての非対称膜を得る製造方法として、ポリイミド(1)の溶液を圧力容器内に入れ、その吐出口から、溶液中の有機溶剤と相溶するがポリイミドは溶解しない貧溶媒を満たした浴内に吐出させて、得られたポリイミド膜の表面近傍に存在する溶媒を空気中に蒸発させ、表面側に緻密層を形成した後、浴側は微細な多孔質層を形成させる方法を例示することができる。
この際、貧溶媒としては、水、または水と有機溶剤の混合液が好適に使用される。この混合溶液の組成は、水と有機溶剤の混合液を使用する場合、混合溶液の全質量に対して、水が30質量%以上、90質量%以下を含み、好ましくは、40質量%以上、80質量%以下である。有機溶剤はアルコール系溶剤またはケトン系溶剤を挙げることができる。
アルコール系溶剤としては、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールを例示することができる。ケトン系溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンまたはジエチルケトンを例示することができる。
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜として、複合膜を製造する場合には、ポリイミド(1)を含有する塗布液を多孔質の支持体(多孔質支持体)上に塗布して気体分離層を形成させることが好ましい。塗布液中のポリイミド(1)の含有量は特に限定されないが、0.1質量%以上、30質量%以下であり、0.3質量%以上、10質量%以下であることが特に好ましい。ポリイミド樹脂(1)の含有量が低すぎると、支持体上に塗布製膜した際に、多孔質部位に浸透し、分離層表面に欠陥が生じる為好ましくない。また含有量が高すぎると、多孔質部位が高濃度に充填され、分離層も厚くなり透過性が低下する可能性があるので好ましくない。ポリイミド(1)の分子量、構造、溶液粘度を調整することで、複合膜を適切に製造することが出来る。複合膜を製造する際に、ポリイミド(1)と多孔質支持層の間に、支持層の表面の平滑化のために、シロキサン化合物などの他の層が存在しても良い。
多孔質支持体の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンの含フッ素樹脂等、ポリスチレン、酢酸セルロース、ポリウレタン、ポリアクリロニトリル、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の各種樹脂を挙げることができる。
7.気体の分離方法
本発明の気体の分離方法は、ポリイミド(1)を含む気体分離膜を用いて。気体から特定の種類の気体を分離する方法である。
本発明の気体の分離方法は、ポリイミド(1)を含む気体分離膜を用いて。気体から特定の種類の気体を分離する方法である。
本発明の気体の分離方法は、気体が二酸化炭素のような酸性ガスを含む場合、特に優れた性能を発揮する。本発明の気体の分離方法は、本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が特に二酸化炭素の透過性に優れるので、二酸化炭素と炭化水素を含む気体、特に二酸化炭素とメタンを含む気体の分離に好適に用いることができ、特に、二酸化炭素とメタンを含む気体から、二酸化炭素を分離し、メタン濃度を高めることができる。
本発明の気体の分離方法を用いると50℃において、CO2透過係数は20Barrer以上が得られ、二酸化炭素とメタンとの透過係数比(CO2透過係数/CH4透過係数)20以上が得られる。
実施例に記載の様に、本発明の気体の分離方法を用いると、150kPa、50℃の条件下で、CO2透過係数が20Barrer以上、二酸化炭素とメタンとの透過係数比(CO2透過係数/CH4透過係数)20以上が得られ、高い二酸化炭素透過性とガス選択性とを同時に満足することができる。
二酸化炭素とメタンを含む気体、特に、天然ガスまたはバイオガスからの二酸化炭素の分離は、35℃以上、70℃以下で行う。好ましくは、40℃以上、60℃以下である。さらに好ましくは、45℃以上、55℃以下である。
[気体]
本発明の気体の分離方法において、気体は特に限定されないが、二種以上の気体を含む気体であって、好ましくは、二酸化炭素および炭化水素を含む気体であり、特に、二酸化炭素およびメタンを含む気体である。二酸化炭素およびメタンを含む気体全量に対する二酸化炭素の存在比は、質量%で表わして1%以上、80%以下であり、好ましくは5%以上、60%以下であり、さらに好ましくは、7%以上50%以下である。
本発明の気体の分離方法において、気体は特に限定されないが、二種以上の気体を含む気体であって、好ましくは、二酸化炭素および炭化水素を含む気体であり、特に、二酸化炭素およびメタンを含む気体である。二酸化炭素およびメタンを含む気体全量に対する二酸化炭素の存在比は、質量%で表わして1%以上、80%以下であり、好ましくは5%以上、60%以下であり、さらに好ましくは、7%以上50%以下である。
二酸化炭素およびメタン以外の気体としてはその種類は特に問わないが、水素、ヘリウム、一酸化炭素、硫化水素、酸素、窒素、アンモニア、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、メタン以外の炭化水素、不飽和炭化水素、パーフルオロ化合物等を挙げることができる。ここで、メタン以外の炭化水素としては、エタン、プロパン、ブタンまたはペンタンを例示することができる、不飽和炭化水素としては、エチレン、プロピレンを例示することができる。パーフルオロ化合物としては、テトラフルオロエタンを例示することができる。
本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が分離する気体として、天然ガスを挙げることができ、天然ガスから不燃性ガスである二酸化炭素を分離し、低透過性の可燃性ガス成分である炭化水素であるメタンの高濃度化に有効に使用することができる。
また、本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が分離する気体として、バイオガスを挙げることができる。メタンと二酸化炭素を含むバイオガスから、不燃性ガスである二酸化炭素を分離し、低透過性の可燃性ガスであるメタンの高濃度化に有効に用いることができる。
また、本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜が分離する気体として、石油回収増進法(EOR)による強制石油回収で得られる可燃性ガスを挙げることがでる。強制石油回収で得られるメタンと二酸化炭素を含む可燃性ガスから不燃性ガスである二酸化炭素を分離し、低透過性の可燃性ガスであるメタンの高濃度化に有効に用いることができる。さらに分離回収した二酸化炭素は、強制石油回収のためのガスとして、好適に用いることができる。
8.気体分離装置
本発明の気体の分離方法は、ポリイミド(1)を含む気体分離膜を、気体を分離回収または精製するための手段として用い、気体分離装置に用いることができる。
本発明の気体の分離方法は、ポリイミド(1)を含む気体分離膜を、気体を分離回収または精製するための手段として用い、気体分離装置に用いることができる。
本発明の気体の分離方法は、ポリイミド(1)を含む気体分離膜をハウジング内に収めることで気体分離膜モジュールとし、気体を分離回収または分離精製させるための手段として好適に用いることができる。気体分離膜モジュールの種類としては、スパイラル型、中空糸膜型、プリーツ型、管状型、プレート&フレーム型等を挙げることができる。
また、本発明の気体の分離方法に用いる気体分離膜は、気体分離膜モジュールとして、例えば、特許文献5に記載される吸収液と併用した膜・吸収ハイブリッド法による気体分離回収装置に使用してもよい。
以下に実施例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
実施例1
[ポリイミド(A)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(A)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下の式に示すHFIP−ODAを30.0g(56mmol)、およびBTDAを18.2g(56mmol)加え、さらに、溶媒としてジメチルアセトアミド(DMAc)を85g加えた後、窒素雰囲気下、室温(20℃)で攪拌し反応液を得た。
[ポリイミド(A)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(A)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、以下の式に示すHFIP−ODAを30.0g(56mmol)、およびBTDAを18.2g(56mmol)加え、さらに、溶媒としてジメチルアセトアミド(DMAc)を85g加えた後、窒素雰囲気下、室温(20℃)で攪拌し反応液を得た。
得られた反応液に、ピリジンを17.8g(225mmol)、無水酢酸を15.6g(225mmol)、順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、DMAcを加えてイミド化後の反応液を希釈し、加圧濾過することで、以下の式に示すポリイミド(A)のDMAc溶液を調製した。
ポリイミド(A)のDMAc溶液のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)による分子量の測定結果は、Mw=86000、Mw/Mn=3.2であった。なお、GPCには、東ソー株式会社製、機種名:HLC−8320GPC、カラム:TSKgel SuperHZM−Hを用い、展開溶媒にはテトラヒドロフラン(THF)を用いた。Mwは重量平均分子量、Mnは数平均分子量である。
<気体分離膜の調製>
調製したポリイミド(A)のDMAc溶液をガラス基材上に垂らし、スピンコーターを用い、10秒間かけて回転速度700rpmに上昇させた後、10秒間、回転を保持し、ガラス基材上に均一に塗布した。窒素雰囲気下、180℃下で30分間乾燥して溶媒を除去し、250℃で2時間加熱した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(A)からなる気体分離膜を得た。
調製したポリイミド(A)のDMAc溶液をガラス基材上に垂らし、スピンコーターを用い、10秒間かけて回転速度700rpmに上昇させた後、10秒間、回転を保持し、ガラス基材上に均一に塗布した。窒素雰囲気下、180℃下で30分間乾燥して溶媒を除去し、250℃で2時間加熱した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(A)からなる気体分離膜を得た。
実施例1で用いたのと同じ膜厚計で測定したところ、膜厚は52μmであった。尚、膜厚計には、株式会社ニコン製、機種名:DIGIMICRO MH−15を用いた。
実施例2
[ポリイミド(B)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(B)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記HFIP−ODA、45.4g(85mmol)、6FDA、37.9g(85mmol)、DMAc、152gを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン27.0g(340mmol)、無水酢酸34.8g(340mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することでポリイミド(B)のDMAc溶液を調製した。
[ポリイミド(B)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(B)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記HFIP−ODA、45.4g(85mmol)、6FDA、37.9g(85mmol)、DMAc、152gを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン27.0g(340mmol)、無水酢酸34.8g(340mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することでポリイミド(B)のDMAc溶液を調製した。
反応式中のポリイミド(B)のDMAc溶液の前記GPCでの分子量の測定結果は、Mw=69000、Mw/Mn=2.9であった。
上記ポリイミド(B)からなる気体分離膜は、上記ポリイミド(B)のDMAc溶液をガラス基材に塗布して調製した。
<気体分離膜の調製>
ガラス基材上にポリイミド(B)のDMAc溶液を垂らし、スピンコーターを用いて10秒間かけて回転速度500rpmに上昇させた後、回転速度500rpmで10秒間保持し、ポリイミド(B)のDMAc溶液を、ガラス基材上に均一に塗布した。窒素雰囲気下、180℃の温度下で30分間乾燥して溶媒を除去し、200℃で2時間加熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(B)からなる気体分離膜を得た。
ガラス基材上にポリイミド(B)のDMAc溶液を垂らし、スピンコーターを用いて10秒間かけて回転速度500rpmに上昇させた後、回転速度500rpmで10秒間保持し、ポリイミド(B)のDMAc溶液を、ガラス基材上に均一に塗布した。窒素雰囲気下、180℃の温度下で30分間乾燥して溶媒を除去し、200℃で2時間加熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(B)からなる気体分離膜を得た。
実施例1で用いたのと同じ膜厚計で膜厚を測定したところ、膜厚は80μmであった。
実施例3
[ポリイミド(C)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(C)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記HFIP−ODA、20.0g(38mmol)、ODPA、11.7g(38mmol)、DMAc、67gを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン6.2g(79mmol)、無水酢酸8.1g(79mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することでポリイミド(C)のDMAc溶液を調製した。
[ポリイミド(C)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(C)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記HFIP−ODA、20.0g(38mmol)、ODPA、11.7g(38mmol)、DMAc、67gを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン6.2g(79mmol)、無水酢酸8.1g(79mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することでポリイミド(C)のDMAc溶液を調製した。
反応式中のポリイミド(C)のDMAc溶液の前記GPCでの分子量の測定結果は、Mw=82000、Mw/Mn=3.2であった。
<気体分離膜の調製>
上記ポリイミド(C)からなる気体分離膜は、上記ポリイミド(C)のDMAc溶液をガラス基材に塗布して調製した。
上記ポリイミド(C)からなる気体分離膜は、上記ポリイミド(C)のDMAc溶液をガラス基材に塗布して調製した。
ガラス基材上にポリイミド(C)のDMAc溶液を垂らし、スピンコーターを用いて10秒間かけて回転速度500rpmに上昇させた後、回転速度500rpmで10秒間保持し、ポリイミド(C)のDMAc溶液を、ガラス基材上に均一に塗布した。窒素雰囲気下、180℃の温度下で30分間乾燥して溶媒を除去し、300℃で2時間加熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(C)からなる気体分離膜を得た。
実施例1で用いたのと同じ膜厚計で膜厚を測定したところ、膜厚は43μmであった。
実施例4
[ポリイミド(D)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(D)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記反応式中に示されるHFIP−MDA(58.3g、110mmol)、下記反応式中に示されるBPDA(32.4g、110mmol)、DMAc(220g)を加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン(34.8g、440mmol)、無水酢酸(44.9g、440mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することで、下記反応式中に示されるポリイミド(D)のDMAc溶液を調製した。
[ポリイミド(D)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(D)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記反応式中に示されるHFIP−MDA(58.3g、110mmol)、下記反応式中に示されるBPDA(32.4g、110mmol)、DMAc(220g)を加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン(34.8g、440mmol)、無水酢酸(44.9g、440mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することで、下記反応式中に示されるポリイミド(D)のDMAc溶液を調製した。
ポリイミド(D)のDMAc溶液のGPCでの分子量の測定結果は、Mw=95200、Mw/Mn=1.9であった。
<気体分離膜の調製>
上記ポリイミド(D)の焼成体からなる気体分離膜は、上記ポリイミド(D)のDMAc溶液をガラス基材に塗布して作製した。
上記ポリイミド(D)の焼成体からなる気体分離膜は、上記ポリイミド(D)のDMAc溶液をガラス基材に塗布して作製した。
ガラス基材上にポリイミド(D)のDMAc溶液を垂らし、スピンコーターを用いて10秒間かけて回転速度900rpmに上昇させた後、回転速度900rpmで10秒間保持し、ポリイミド(D)のDMAc溶液を、ガラス基材上に均一に塗布した。窒素雰囲気下、180℃の温度下で30分間乾燥して溶媒を除去し、200℃で2時間加熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(D)からなる気体分離膜を得た。
実施例1で用いたのと同じ膜厚計で膜厚を測定したところ、膜厚は40μmであった。
実施例5
[ポリイミド(E)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(E)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記HFIP−pPD、20.0g(73mmol)、6FDA、32.4g(73mmol)、DMAc、98gを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン12.1g(153mmol)、無水酢酸15.6g(153mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することでポリイミド(E)のDMAc溶液を調製した。
[ポリイミド(E)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(E)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記HFIP−pPD、20.0g(73mmol)、6FDA、32.4g(73mmol)、DMAc、98gを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン12.1g(153mmol)、無水酢酸15.6g(153mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することでポリイミド(E)のDMAc溶液を調製した。
反応式中のポリイミド(E)のDMAc溶液の前記GPCでの分子量の測定結果は、Mw=50000、Mw/Mn=2.2であった。
<気体分離膜の作製>
上記ポリイミド(E)からなる気体分離膜は、上記ポリイミド(E)のDMAc溶液をガラス基材に塗布して調製した。
上記ポリイミド(E)からなる気体分離膜は、上記ポリイミド(E)のDMAc溶液をガラス基材に塗布して調製した。
ガラス基材上にポリイミド(E)のDMAc溶液を垂らし、スピンコーターを用いて10秒間かけて回転速度600rpmに上昇させた後、回転速度600rpmで10秒間保持し、ポリイミド(E)のDMAc溶液を、ガラス基材上に均一に塗布した。窒素雰囲気下、180℃の温度下で30分間乾燥して溶媒を除去し、250℃で2時間加熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(E)からなる気体分離膜を得た。
実施例1で用いたのと同じ膜厚計で膜厚を測定したところ、膜厚は35μmであった
実施例6
[ポリイミド(F)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(F)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記HFIP−ODA、30.0g(55mmol)、ODPA、17.1g(55mmol)、DMAc、100gを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン9.2g(116mmol)、無水酢酸11.8g(116mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することでポリイミド(F)のDMAc溶液を調製した。
[ポリイミド(F)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(F)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記HFIP−ODA、30.0g(55mmol)、ODPA、17.1g(55mmol)、DMAc、100gを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン9.2g(116mmol)、無水酢酸11.8g(116mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することでポリイミド(F)のDMAc溶液を調製した。
反応式中のポリイミド(F)のDMAc溶液の前記GPCでの分子量の測定結果は、Mw=72000、Mw/Mn=2.5であった。
<気体分離膜の調製>
上記ポリイミド(F)からなる気体分離膜は、上記ポリイミド(F)のDMAc溶液をガラス基材に塗布して調製した。
上記ポリイミド(F)からなる気体分離膜は、上記ポリイミド(F)のDMAc溶液をガラス基材に塗布して調製した。
ガラス基材上にポリイミド(F)のDMAc溶液を垂らし、スピンコーターを用いて10秒間かけて回転速度900rpmに上昇させた後、回転速度900rpmで10秒間保持し、ポリイミド(F)のDMAc溶液を、ガラス基材上に均一に塗布した。窒素雰囲気下、180℃の温度下で30分間乾燥して溶媒を除去し、300℃で2時間加熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(F)からなる気体分離膜を得た。
実施例1で用いたのと同じ膜厚計で膜厚を測定したところ、膜厚は43μmであった
実施例7
[ポリイミド(G)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(G)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記HFIP−mTB、30.0g(55mmol)、BTDA、17.8g(55mmol)、DMAc、100gを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン9.2g(116mmol)、無水酢酸11.8g(116mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することでポリイミド(G)のDMAc溶液を調製した。
[ポリイミド(G)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(G)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記HFIP−mTB、30.0g(55mmol)、BTDA、17.8g(55mmol)、DMAc、100gを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン9.2g(116mmol)、無水酢酸11.8g(116mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することでポリイミド(G)のDMAc溶液を調製した。
反応式中のポリイミド(G)のDMAc溶液の前記GPCでの分子量の測定結果は、Mw=86000、Mw/Mn=2.1であった。
<気体分離膜の調製>
上記ポリイミド(G)からなる気体分離膜は、上記ポリイミド(G)のDMAc溶液をガラス基材に塗布して調製した。
上記ポリイミド(G)からなる気体分離膜は、上記ポリイミド(G)のDMAc溶液をガラス基材に塗布して調製した。
ガラス基材上にポリイミド(G)のDMAc溶液を垂らし、スピンコーターを用いて10秒間かけて回転速度500rpmに上昇させた後、回転速度500rpmで10秒間保持し、ポリイミド(G)のDMAc溶液を、ガラス基材上に均一に塗布した。窒素雰囲気下、180℃の温度下で30分間乾燥して溶媒を除去し、200℃で2時間加熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(G)からなる気体分離膜を得た。
実施例1で用いたのと同じ膜厚計で膜厚を測定したところ、膜厚は80μmであった
比較例1
[ポリイミド(P1)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(P1)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記反応式に示されるmTB(23.4g、110mmol)、下記反応式に示される6FDA(48.9g、110mmol)、DMAc(220g)を加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン(34・8g、440mmol)、無水酢酸(44.9g、440mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することで、下記反応式で示されるポリイミド(P1)のDMAc溶液を調製した。
[ポリイミド(P1)からなる気体分離膜の調製]
<ポリイミド(P1)の調製>
窒素導入管および攪拌翼を備えた容量500mLの三口フラスコに、下記反応式に示されるmTB(23.4g、110mmol)、下記反応式に示される6FDA(48.9g、110mmol)、DMAc(220g)を加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌し、以下に示す反応を行った。得られた反応液にピリジン(34・8g、440mmol)、無水酢酸(44.9g、440mmol)を順に加え、さらに24時間攪拌し、イミド化を行った。その後、加圧濾過することで、下記反応式で示されるポリイミド(P1)のDMAc溶液を調製した。
下記反応式中のポリイミド(P1)のDMAc溶液のGPCでの分子量の測定結果は、Mw=86000、Mw/Mn=1.7であった。
上記ポリイミド(P1)の焼成体からなる気体分離膜は、上記ポリイミド(P1)のDMAc溶液をガラス基材に塗布して調製した。
<気体分離膜の調製>
ガラス基材上にポリイミド(P1)のDMAc溶液を垂らし、スピンコーターを用いて10秒間かけて回転速度500rpmに上昇させた後、回転速度500rpmで10秒間保持し、ポリイミド(P1)のDMAc溶液を、ガラス基材上に均一に塗布した。窒素雰囲気下、180℃の温度下で30分間乾燥して溶媒を除去し、250℃で2時間加熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(P1)を250℃で加熱処理することで得られる焼成体からなる気体分離膜を得た。
ガラス基材上にポリイミド(P1)のDMAc溶液を垂らし、スピンコーターを用いて10秒間かけて回転速度500rpmに上昇させた後、回転速度500rpmで10秒間保持し、ポリイミド(P1)のDMAc溶液を、ガラス基材上に均一に塗布した。窒素雰囲気下、180℃の温度下で30分間乾燥して溶媒を除去し、250℃で2時間加熱処理した後、冷却し、ガラス基材からポリイミド膜を剥がすことで、上記ポリイミド(P1)を250℃で加熱処理することで得られる焼成体からなる気体分離膜を得た。
実施例1で用いたのと同じ膜厚計で膜厚を測定したところ、膜厚は74μmであった
比較例2
[マトリミド5218からなる気体分離膜の調製]
3口フラスコに、以下の式に示すマトリミド5218(Huntsman Advanced Materials社製、マトリミドは登録商標)0.6g、THF(16g)を加え、室温で48時間攪拌し、マトリミド5218のTHF溶液を調製した。
[マトリミド5218からなる気体分離膜の調製]
3口フラスコに、以下の式に示すマトリミド5218(Huntsman Advanced Materials社製、マトリミドは登録商標)0.6g、THF(16g)を加え、室温で48時間攪拌し、マトリミド5218のTHF溶液を調製した。
調製したマトリミド5218を直径10cmのPTFE製の皿にマトリミド5218のTHF溶液を入れ、THFの蒸気で満たされたグローブバック中で48時間保持し、溶媒を除去乾燥させ、マトリミド5218の膜を得た。この膜を窒素雰囲気下、200℃で2時間加熱処理した後、冷却することで、マトリミド5218の膜を200℃に加熱し、気体分離膜を得た。
実施例1で用いたのと同じ膜厚計で測定したところ、膜厚は82μmであった。
[気体分離性能の評価]
実施例1〜7、および比較例1〜2で調製した気体分離膜における気体の透過係数を、JIS K 7126−1:2006「プラスチック−フィルムおよびシート−ガス透過度試験方法」に準拠して測定した。本測定には、差圧式ガス透過率測定装置(GTRテック株式会社製 形式GTR−30AS)を用いた。ステンレス鋼製のセルに膜面積3.14cm2以上、15.2cm2以下の気体分離膜を配置し、35℃、50℃、または70℃下、メタンの供給圧力を0.15MPa(150KPa)としてメタンの透過係数を測定した。次いで、メタンの代わりに二酸化炭素を用い、同様にして二酸化炭素の透過係数を測定した。測定したメタンおよび二酸化炭素の透過係数より、メタンと二酸化炭素の透過係数比(CO2透過係数/CH4の透過係数)を算出した。透過係数比はガス選択性の指標となる。
実施例1〜7、および比較例1〜2で調製した気体分離膜における気体の透過係数を、JIS K 7126−1:2006「プラスチック−フィルムおよびシート−ガス透過度試験方法」に準拠して測定した。本測定には、差圧式ガス透過率測定装置(GTRテック株式会社製 形式GTR−30AS)を用いた。ステンレス鋼製のセルに膜面積3.14cm2以上、15.2cm2以下の気体分離膜を配置し、35℃、50℃、または70℃下、メタンの供給圧力を0.15MPa(150KPa)としてメタンの透過係数を測定した。次いで、メタンの代わりに二酸化炭素を用い、同様にして二酸化炭素の透過係数を測定した。測定したメタンおよび二酸化炭素の透過係数より、メタンと二酸化炭素の透過係数比(CO2透過係数/CH4の透過係数)を算出した。透過係数比はガス選択性の指標となる。
表1に、上記実施例1〜7および比較例1〜2で得られた気体分離膜を用い、35℃、50℃、または70℃で測定したメタンの透過係数、二酸化炭素の透過係数、および透過係数比(CO2透過係数/CH4の透過係数)を示す。
気体分離膜の気体分離性能は、メタンと二酸化炭素の気体に対し、二酸化炭素の透過係数が大きい程、単位時間当たりのガス処理量に優れ、また、透過係数比が大きいほどメタンと二酸化炭素の分離性能に優れ、二酸化炭素を分離し、高濃度のメタンを得ることができる。
表1に示す様に、実施例1〜7で調整したHFIP基を有するポリイミド(1)を含む気体分離膜を用いる本発明の気体の分離方法は、比較例1〜2で調製した気体分離膜を用いる本発明の範疇にない気体の分離方法と比較して、35℃以上、70℃以下の範囲で二酸化炭素の透過係数に優れていた。
また、本発明の気体の分離方法は、天然ガスまたはバイオガスにより二酸化炭素を気体分離膜により分離させ、高濃度のメタンを含む気体を得る際に実用上使われる、温度35℃以上、70℃以下において、従来の気体の分離方法と比べて、より多くの天然ガスまたはバイオガスを精製処理できるため、経済性に優れ、大変有用である。
[酸素(02)、窒素(N2)混合ガスに対する気体分離性能の評価]
実施例1〜7で調製した気体分離膜における気体の透過係数を、JIS K 7126−1:2006「プラスチック−フィルムおよびシート−ガス透過度試験方法」に準拠して測定した。本測定には、差圧式ガス透過率測定装置(GTRテック株式会社製 形式GTR−30AS)を用いた。ステンレス鋼製のセルに膜面積3.14cm2以上、15.2cm2以下の気体分離膜を配置し、35℃または50℃において、酸素ガス(02)供給圧力を0.15MPaとして、酸素ガス(02)の透過係数を測定した。次いで、酸素ガス(02)の代わりに窒素ガス(N2)を用い、同様にして窒素ガス(N2)の透過係数を測定した。測定した酸素ガス(02)および窒素ガス(N2)の透過係数より、窒素ガス(N2と)酸素ガス(02)の透過係数比(窒素ガス(N2)/酸素ガス(02)の透過係数)を算出した。透過係数比はガス選択性の指標となる。
実施例1〜7で調製した気体分離膜における気体の透過係数を、JIS K 7126−1:2006「プラスチック−フィルムおよびシート−ガス透過度試験方法」に準拠して測定した。本測定には、差圧式ガス透過率測定装置(GTRテック株式会社製 形式GTR−30AS)を用いた。ステンレス鋼製のセルに膜面積3.14cm2以上、15.2cm2以下の気体分離膜を配置し、35℃または50℃において、酸素ガス(02)供給圧力を0.15MPaとして、酸素ガス(02)の透過係数を測定した。次いで、酸素ガス(02)の代わりに窒素ガス(N2)を用い、同様にして窒素ガス(N2)の透過係数を測定した。測定した酸素ガス(02)および窒素ガス(N2)の透過係数より、窒素ガス(N2と)酸素ガス(02)の透過係数比(窒素ガス(N2)/酸素ガス(02)の透過係数)を算出した。透過係数比はガス選択性の指標となる。
表2に、上記実施例1〜7で調製した気体分離膜を用い、35℃または50℃で測定した酸素の透過係数、窒素の透過係数、および透過係数比(O2透過係数/N2の透過係数)を示す。
本発明の気体の分離方法を用いれば、空気の酸素濃度を高め、酸素濃度の高い気体も得ることができる。
Claims (18)
- 前記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリイミドが、重量平均分量20000以上、500000以下のポリイミドである、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の気体の分離方法。
- 前記気体分離膜が、100℃以上、400℃以下で加熱処理した気体分離膜である、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の気体の分離方法。
- 前記気体分離膜の温度50℃、圧力150kPaにおける二酸化炭素の透過係数が20Barrer以上であり、二酸化炭素とメタンとの透過係数比(CO2透過係数/CH4透過係数)が20以上である、請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の気体の分離方法。
- 二酸化炭素及びメタンを少なくとも含むガスが天然ガスまたはバイオガスである、請求項1至請求項13のいずれか1項に記載の気体の分離方法。
- 前記気体分離膜が中空糸膜である、請求項1に記載の気体の分離方法。
- 前記気体分離膜が複合膜である、請求項1に記載の気体の分離方法。
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