JP6147561B2 - 硬化性樹脂組成物及び封止材 - Google Patents
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Description
XaYbZcSiOd (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、イミド結合を含む有機骨格を表す。Yは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、同一又は異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選択される少なくとも1種の基を表し、置換基を有していてもよい。Zは、同一又は異なって、イミド結合を含まない有機骨格を表す。aは0又は3未満の数、bは0又は3未満の数、cは0又は3未満の数、dは0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)で表される化合物であり、上記硬化剤は、フェノール樹脂と芳香族アミン化合物とを含む硬化性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
以下においては、本発明の硬化性樹脂組成物の必須成分である芳香族アミン化合物、シラン化合物、フェノール樹脂、エポキシ樹脂について順に記載し、その後に本発明の硬化性樹脂組成物が含むことができるそれ以外の成分について記載する。
本発明の硬化性樹脂組成物が含む芳香族アミン化合物は、100℃以上に融点を有する化合物であることが好ましい。100℃以上に融点を有するものであると、硬化性樹脂組成物から得た硬化物の強度及びTgをより充分に向上させることができ、より耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。芳香族アミン化合物の融点として好ましくは102℃以上、より好ましくは105℃以上、更に好ましくは110℃以上である。また、芳香族アミン化合物の融点の上限は、200℃以下であることが好適である。後述するように、本発明の硬化性樹脂組成物においては、シラン化合物が芳香族アミン化合物中に均一に分散した形態が好ましいが、芳香族アミン化合物の融点がこのような範囲であると、シラン化合物とより充分に分子レベルで混じり合うことができるため、芳香族アミン化合物とシラン化合物とを用いることの効果をより充分に発揮することが可能となる。より好ましくは190℃以下である。
本明細書中、融点とは、不活性雰囲気下で結晶が溶けて液状になる状態の温度(℃)を意味する。したがって、非晶質の化合物や、室温で既に液状のものは、融点を有しない。
芳香族アミン化合物や後述するシラン含有組成物の融点は、例えば、示差走査熱量測定法(DSC)にて測定することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、シラン化合物は、シロキサン結合(Si−O−Si結合)を有し、かつ上記平均組成式(1)で表される化合物である。このようなシラン化合物を含むことで、耐熱性、耐圧性、機械的・化学的安定性、熱伝導率性に優れる硬化物を与えることが可能となる。また、高温高圧等の過酷な環境下においても各種物性低下が抑制された硬化物を形成でき、半導体封止材等の実装用途等に好適に使用することができる。
なお、上記シラン化合物におけるシロキサン骨格の占める割合としては、シラン化合物100質量%中、10〜80質量%であることが好ましい。より好ましくは15〜70質量%、更に好ましくは20〜50質量%である。
重合性官能基としては、アルケニル基、アルキニル基等の不飽和炭化水素基、水酸基、ハロゲン原子、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアナート基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、Xが後述する式(3)で表される場合、Xが重合性官能基を有する場合には、R1で表される芳香環、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の環構造が重合性官能基を置換基として有する場合の他、R1で表される芳香環、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の環構造の一部が重合性の不飽和炭化水素構造である場合も含まれる。
Xが後述する式(3−1)〜(3−6)で表される場合についても同様に、Xが重合性官能基を有する場合には、環構造が重合性官能基を置換基として有する場合と、環構造の一部が重合性の不飽和炭化水素構造である場合とがある。
なお、「Y/Z−」は、Y又はZが結合していることを表し、「X1〜2−」は、Xが1又は2個結合していることを表し、「(Z/Y)1〜2−」は、Z又はYが1個結合するか、Z又はYが2個結合するか、Z及びYが1個ずつ、合計2個結合することを表す。「Si−(X/Y/Z)3」は、X、Y及びZから選ばれる任意の3種がケイ素原子に結合していることを示す。
上記式(2)において、Si−Om1とSi−Om2は、Si−Om1とSi−Om2の結合順序を規定するものではなく、例えば、Si−Om1とSi−Om2が交互又はランダムに共縮合している形態、Si−Om1からなるポリシロキサンとSi−Om2のポリシロキサンが結合している形態等が好適であり、縮合構造は任意である。
X、Y及びZは、「鎖」の形態となった繰り返し単位に含まれてもよく、含まれていなくてもよい。例えば、Xは、側鎖として1分子に1つ以上含まれていればよい。上記(SiOm)nにおいて、nは、重合度を表すが、該重合度は、主鎖骨格の重合度を表し、イミド結合を有する有機骨格は、必ずしもn個存在していなくてもよい。言い換えれば、(SiOm)nの1つの単位に必ず1つのイミド結合を有する有機骨格が存在していなくてもよい。また、イミド結合を有する有機骨格は、1分子中に1つ以上含まれていればよいが、複数含まれる場合、上述したように、1つのケイ素原子に2以上のイミド結合を有する有機骨格が結合していてもよい。これらは、以下においても同様である。
上記nは、重合度を表し、1〜5000であることが好ましい。より好ましくは1〜2000、更に好ましくは1〜1000であり、特に好ましくは1〜200である。
上記nが2である場合のシラン化合物としては、ケイ素原子にイミド結合を有する有機骨格(X)が少なくとも1個結合してなる構成単位(以下、「構成単位(I)」とも称す)が2つ含まれる形態と、該構成単位(I)が1つしか含まれない形態が挙げられる。具体的には、下記式:
上記R1として具体的には、フェニレン基、ナフチリデン基、ノルボルネンの2価基、(アルキル)シクロヘキシレン基、シクロヘキセニル基等が好ましい。
なお、上記式(3)で表される構成単位は、R1がフェニレン基である場合には下記式(3−1)で表される構成単位となり、R1が(アルキル)シクロヘキシレン基である場合には下記式(3−2)で表される構成単位となり、R1がナフチリデン基である場合には下記式(3−3)で表される構成単位となり、R1がノルボルネンの2価基である場合には下記式(3−4)で表される構成単位となり、R1がシクロヘキセニル基である場合には下記式(3−5)で表される構成単位となる。
また、芳香族、複素環及び脂環が置換基を有する場合、置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、メチル基、エチル基、ビニル基、クロロプロピル基、メルカプトプロピル基、(エポキシシクロヘキシル)エチル基、グリシドキシプロピル基、N−フェニル−3−アミノプロピル基、(メタ)アクリロキシプロピル基、ヘキシル基、デシル基、オクタデシル基、トリフルオロプロピル基等が好適である。
上記式(3−1)中、R2〜R5は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子及び炭素数6〜14の芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。上記R2〜R5としては、全てが水素原子である形態が好ましい。
上記式(3−2)中、R6〜R9及びR6´〜R9´は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子及び炭素数6〜14の芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。上記R6〜R9及びR6´〜R9´としては、R7若しくはR8がメチル基で残りの全てが水素原子である形態、又は、R6〜R9及びR6´〜R9´全てが水素原子である形態、又は、R6〜R9及びR6´〜R9´全てがフッ素原子である形態が好ましい。より好ましくは、R7又はR8がメチル基で残りの全てが水素原子である形態である。
上記式(3−4)中、R16〜R21は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子及び炭素数6〜14の芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。上記R16〜R21としては、全てが水素原子である形態、全てがフッ素原子である形態、又は、全てが塩素原子である形態のいずれかの形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記式(3−5)中、R22〜R25、R22´及びR25´は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、ハロゲン原子及び炭素数6〜14の芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。上記R22〜R25、R22´及びR25´としては、全てが水素原子である形態、全てがフッ素原子である形態、又は、全てが塩素原子である形態のいずれかの形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
(a)上記シラン化合物におけるイミド結合を含む有機骨格Xに対応するアミド結合を有する有機骨格X´と、シロキサン結合とを有する平均組成式X´aYbZcSiOdで表される(シラン化合物からなる)中間体を、イミド化させる工程を含む製造方法。
(b)上記シラン化合物におけるイミド結合を含む有機骨格Xに対応するイミド結合を有する有機骨格が、ケイ素原子に結合し、かつ加水分解性基を有するシラン化合物よりなる中間体を、加水分解・縮合させる工程を含む製造方法。
シラン化合物の分子量(数平均分子量及び重量平均分子量)は、例えば、後述する測定条件下、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
上記シラン化合物が芳香族アミン化合物中に均一分散された形態のものは、室温(20℃)で固体であることが好適である。室温で固体であると、その取り扱い性や作業性が良く、また、保存や移送にも有利である。
本発明においては、シラン化合物が芳香族アミン化合物中に均一分散された形態のものをシラン含有組成物ともいう。
軟化点(℃)はJIS K7234(1986年)に準じて測定した値であり、例えば、熱軟化温度測定装置(製品名「ASP−MG4」、メイテック社製)を用いて測定することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、フェノール樹脂と芳香族アミン化合物とを硬化剤として用いるものである。フェノール樹脂を用いることで、芳香族アミン化合物のみを硬化剤とした場合に比べて硬化速度を上げることができ、得られる硬化物を柔軟性、機械的強度に優れたものとすることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物が含むフェノール樹脂としては、エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものである限り特に制限されないが、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類等を用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物において、エポキシ樹脂としては、分子内に1個以上のエポキシ基を含む樹脂であれば特に限定されず、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;該エポキシ樹脂を、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール類(フェノール、クレゾール、キシレノール、ナフトール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、スフェノールS等)と、ホルムアルデヒド、アセトアルテヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、ジシクロペンタジエン、テルペン、クマリン、パラキシリレングリコールジメチルエーテル、ジクロロパラキシリレン、ビスヒドロキシメチルビフェニル等とを縮合反応させて得られる多価フェノール類を、更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂;該芳香族結晶性エポキシ樹脂に、更に、上記ビスフェノール類や、テトラメチルビフェノール、テトラメチルビスフェノールF、ハイドロキノン、ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;トリスフェノール型エポキシ樹脂;
なお、本明細書中では、グリシジル基もエポキシ基に含むものとする。
エポキシ樹脂の重量平均分子量は、例えば、後述する測定条件の下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更にイミド基を有する化合物を含むことが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物が含むシラン化合物が、分子内部に重合性不飽和炭素結合を有するものである場合、イミド基を有する化合物を含むと、シラン化合物が架橋構造を形成することができ、これにより、本発明の樹脂組成物から得られる硬化物をより耐熱性の高いものとすることができる。
上記マレイミド化合物としては、ビスマレイミド、例えば、N,N’−エチレンビスマレイミド、N,N’−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−p−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、N,N’−p,p’−ジフェニルジメチルシリルビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’−メチレンビス(3−クロロ−p−フェニレン)ビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジシクロヘキシルメタンビスマレイミド、N,N’−ジメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、N,N’−m−キシレンビスマレイミド、N,N’−4,4’−ジフェニルシクロヘキサンビスマレイミド、N−フェニルマレイミドとホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシフェニルアルデヒドなどのアルデヒド化合物との共縮合物が好適である。また、下記一般式:
不飽和イミド化合物の重量平均分子量は、上記エポキシ樹脂の重量平均分子量と同様に測定することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、更に無機充填材を含むことが好ましい。無機充填材としては特に限定されず、通常の実装基板の封止材等で使用されるものを用いればよい。例えば、シリカフィラー等が挙げられる。
なお、本発明の硬化性樹脂組成物は、無機充填材を多量に含むものであっても、ハンドリング性良く容易に調製でき、芳香族アミン化合物及びエポキシ樹脂に由来する性能を充分に発揮することができるものである。
本発明の硬化性樹脂組成物はまた、上述した各成分以外の添加剤(他の成分とも称す)を含有していてもよい。例えば、有機溶剤や希釈剤等の揮発成分、硬化促進剤、安定剤、離型剤、カップリング剤、着色剤、可塑剤、可とう化剤、各種ゴム状物、光感光剤、難燃剤、顔料等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
ここで、本発明の硬化性樹脂組成物は、揮発成分を極力含まないことが望まれる用途、すなわち例えば、実装用途、光学用途、オプトデバイス用途、機械部品用途、電機・電子部品用途、自動車部品用途等に用いることができるが、この場合、上記硬化性樹脂組成物100質量%中の揮発成分の含有量は、10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、特に好ましくは実質的に揮発成分を含まないことである。実質的に揮発成分を含まないとは、揮発成分の含有量が、組成物を溶解させることができる量未満であることを意味し、例えば、上記硬化性樹脂組成物100質量%中に1質量%以下であることが好適である。なお、印刷インク用途等のように、揮発成分を含んでもよい用途に用いる場合にあっては、上記硬化性樹脂組成物は揮発成分を含んでいてもよく、このような形態も本発明の好適な実施形態の1つである。
硬化性樹脂組成物の粘度は、例えば、フローテスタ(島津製作所社製)を用いて、175±1℃で測定することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、例えば、熱硬化することにより、硬化物とすることができる。硬化方法は特に限定されず、通常の熱硬化手法を採用すればよい。例えば、熱硬化温度は70〜250℃が好適であり、より好ましくは100〜250℃である。また、硬化時間は1〜15時間が好適であり、より好ましくは2〜10時間である。
上記硬化物の形状は、例えば、異形品等の成形体、フィルム、シート、ペレット等が挙げられる。このように本発明の硬化性樹脂組成物を用いてなる硬化物(本発明の硬化性樹脂組成物から形成される硬化物)もまた、本発明の1つである。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定した。
攪拌装置、温度センサー、冷却管を備え付けた300mL4つ口フラスコに、予めモレキュラーシーブで乾燥したジグライム35.1gと、3−アミノプロピルトリメトキシシラン30.8gを投入し、攪拌しながら乾燥窒素流通下で100℃に昇温して系内の水分を除去した。次に100℃のまま反応液温度を維持しながら5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物28.2gを30分かけて4分割投入した。投入終了後9時間で5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物が完全に消費されているのを高速液体クロマトグラフィで確認した。
続いて脱イオン水9.3gを一括投入し冷却管で副生メタノールの還流が掛かるように昇温し、95℃で10時間保持したのち、冷却管をパーシャルコンデンサーに付け替えて再び昇温を開始し、副生メタノール及び縮合水を回収しながら3時間かけて反応液温度を120℃に到達させた。120℃到達時にピリジン1.4gを投入してそのまま昇温を開始し、縮合水を回収しながら3時間かけて160℃に到達、同温度で2時間保持して室温まで冷却した。
反応生成物は不揮発分58.2%で濃褐色高粘度液体(この反応生成液を「シラン化合物溶液」と称す)であり、GPCで分子量測定したところ数平均分子量2340、重量平均分子量2570であった。1H−NMR、13C−NMRを測定し、下記化学式で表されるシラン化合物(ポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)アミノプロピルシルセスキオキサン})を含有することを確認した。
はじめに、芳香族アミン硬化剤を上記のシラン化合物溶液に投入し、150℃で2時間加熱攪拌しながら減圧して溶媒成分を脱揮させることで、芳香族アミンおよびシラン化合物が均一分散した組成物を得た。これと表1に示す他の樹脂組成原料とを80℃にて混練し、加熱式プレス成型機を用いて175℃にて6分間圧縮成型した。得られた成型物を250℃にて3時間硬化させて硬化物を得た。得られた硬化物について、TMA測定によりガラス転移温度(Tg)を、インストロン万能試験機を用いて3点曲げ試験を行い、弾性率、曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
なお、表1に示す実施例1〜3、及び、比較例1の樹脂組成の値は全て重量部である。
表1に示す樹脂組成原料を80℃にて混練し、加熱式プレス成型機を用いて175℃にて6分間圧縮成型した。得られた成型物を250℃にて3時間硬化させて硬化物を得た。得られた硬化物について、実施例1〜3と同様の方法によりガラス転移温度(Tg)、弾性率、曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
エポキシ樹脂:トリス(ヒドロキシフェニル)メタン型エポキシ樹脂(EPPN−501HY、日本化薬社製)
フェノール硬化剤A:フェノールノボラック硬化剤(TD−2131、DIC社製)
フェノール硬化剤B:多官能フェノール硬化剤(MEH−7500、明和化成社製)
アミン硬化剤:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(セイカキュアS、和歌山精化工業社製)
イミド成分:ポリフェニルメタンマレイミド(BMI2300、大和化成工業社製)
Claims (5)
- エポキシ樹脂、シラン化合物、及び、硬化剤を含む硬化性樹脂組成物であって、
該シラン化合物は、シロキサン結合を有し、かつ下記平均組成式(1):
XaYbZcSiOd (1)
(式中、Xは、同一又は異なって、イミド結合を含む有機骨格を表す。Yは、同一又は異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、同一又は異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選択される少なくとも1種の基を表し、置換基を有していてもよい。Zは、同一又は異なって、イミド結合を含まない有機骨格を表す。aは0又は3未満の数、bは0又は3未満の数、cは0又は3未満の数、dは0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)で表される化合物であり、
該硬化剤は、フェノール樹脂と芳香族アミン化合物とを含み、
該シラン化合物の含有割合は、芳香族アミン化合物とシラン化合物との合計量100質量%に対し、10〜90質量%であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。 - 前記芳香族アミン化合物は、100℃以上に融点を有する化合物であることを特徴とする請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記硬化性樹脂組成物は、更に無機充填材を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記無機充填材の含有割合は、硬化性樹脂組成物の総量100質量%に対し、50〜95質量%であることを特徴とする請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を用いてなることを特徴とする封止材。
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