JP5507108B2 - 熱硬化性樹脂組成物、繊維複合樹脂組成物及びそれを硬化して得られる成型体 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、繊維複合樹脂組成物及びそれを硬化して得られる成型体 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、繊維複合樹脂組成物及びそれを硬化して得られる成型体に関する。より詳しくは、自動車等の構造部材用途、スポーツ製品用途、プリント配線基板等の実装用途等として有用な熱硬化性樹脂組成物、繊維複合樹脂組成物及びそれを硬化して得られる成型体に関する。
繊維複合樹脂組成物は、繊維を樹脂(母材)の中に複合させることにより強度等の物性を向上させることができるため、構造用部材等の用途に広く用いられるものであるが、昨今、特に炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が自動車・航空機・オートバイ等の構造部材やスポーツ製品等の各種材料用途に、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)がプリント配線基板等の実装用途等に盛んに用いられている。これらの用途においては、弾性率、機械強度等の基本的性能に加えて、耐熱性や低誘電性、低誘電正接等の特性を発揮することが重要である。
従来の繊維強化プラスチックとしては、特定のイミド基を含有するシラン類が開示され、ガラス繊維強化プラスチックを製造するのに適していることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これは、母材とそれに適用される合成樹脂との間の接着性を改善する効果を有するとされている。
特開昭63−146891号公報(第1、9頁)
しかしながら、上述したガラス繊維強化プラスチックにおけるシラン類は、樹脂組成物中におけるシラン化合物の含有割合が特定されていない点で本発明における熱硬化性樹脂組成物とは構成上の相違点があるものであった。そして、弾性率、機械強度等の基本的性能を充分なものとしながら、耐熱性や低誘電性、低誘電正接等の特性をより向上させて、上述した各種用途により好適に適用できるものとすることが望まれるところであった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、弾性率、機械強度等の基本的性能に加えて、特に耐熱性や低誘電性、低誘電正接等の特性に優れ、高温環境下においても各種物性の低下が低い成型体を形成できる繊維複合樹脂組成物として、特に自動車等の構造部材用途、スポーツ製品用途、プリント配線基板等の実装用途等に好適に使用することができる熱硬化性樹脂組成物、繊維複合樹脂組成物及びそれを硬化して得られる成型体を提供することを目的とするものである。
本発明者等は、繊維複合樹脂組成物について種々検討したところ、繊維複合樹脂組成物に含有される熱硬化性樹脂組成物を熱硬化性樹脂及びシラン化合物を必須として含有するものとすると、特定のシラン化合物(I)を繊維と組み合わせることにより、弾性率、機械強度等の基本的性能を充分なものとしながら優れた耐熱性や低誘電性、低誘電正接等の特性を発揮することができることを見いだした。また、上記シラン化合物をイミド結合を有する特定のものとし、また熱硬化性樹脂組成物に対する含有量を特定されたものとすると、上記基本的性能を充分なものとしながら、更に耐熱性や低誘電性、低誘電正接等の特性を優れたものとすることができ、高温環境下においても各種物性の低下が低い成型体を形成できる繊維複合樹脂組成物とすることができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到した。更に、このような繊維複合樹脂組成物が、上述した特性が要求される各種用途、特に、例えば自動車・航空機・オートバイの構造部材用途、スポーツ製品用途、プリント配線基板等の実装用途等に好適に適用し得るものであることを見いだし、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、繊維複合樹脂組成物を調製するために用いられる熱硬化性樹脂組成物であって、上記熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び下記平均組成式(m)で表されるシラン化合物(I)を必須成分として含有し、熱硬化性樹脂組成物を100質量%とすると、シラン化合物(I)が5〜80質量%である熱硬化性樹脂組成物である。
XaYbZcSiOd (m)
式中、Xは、同一若しくは異なって、イミド結合を有する有機骨格を表す。Yは、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。Zは、同一若しくは異なって、イミド結合を有さない有機基を表す。aは、0でない3以下の数であり、bは、0又は3未満の数であり、cは、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。
本発明はまた、上記熱硬化性樹脂組成物及び繊維を含有する繊維複合樹脂組成物であって、上記繊維複合樹脂組成物は、繊維複合樹脂組成物を100質量%とすると、熱硬化性樹脂組成物が25〜75質量%であり、繊維が75〜25質量%である繊維複合樹脂組成物でもある。
本発明は更に、上記繊維複合樹脂組成物を硬化して得られる成型体でもある。
以下に本発明を詳述する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び下記平均組成式(m)で表されるシラン化合物(I)を必須成分として含有し、熱硬化性樹脂組成物を100質量%とすると、シラン化合物(I)が5〜80質量%である。
XaYbZcSiOd (m)
ここで、上記Xの係数aは、0<a≦3の数である。Yの係数bは、0≦b<3の数である。Zの係数cは、0≦c<3の数である。Oの係数dは、0<d<2である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、繊維複合樹脂組成物を調製するために用いられるものであり、当該繊維複合樹脂組成物を硬化して得られる成型体は、(1)耐熱性、(2)弾性率・機械強度、(3)低誘電性、低誘電正接等の特性が顕著に改善することになる。
(1)耐熱性が顕著に向上することにより、従来の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)が適用できなかった自動車等のエンジン周辺部やエンジンへの適用が可能となる。(2)弾性率・機械強度の向上により、繊維強化プラスチックの従来用途である構造部材の物性向上に寄与する。(3)低誘電性、低誘電正接等の特性を発揮することにより、プリント配線基板等の高速伝送信頼性の向上に寄与する。このように、各種物性に優れ、高温環境下においても各種物性の低下が低い成型体を形成できる繊維複合樹脂組成物とすることができ、特に自動車等の構造部材用途、スポーツ製品用途、プリント配線基板等の実装用途等に好適に適用し得るものとなる。
上記シラン化合物(I)は、ケイ素原子にイミド結合を有する有機骨格(X)が少なくとも1個結合してなる構成単位(以下、構成単位(i)とも言う。)とシロキサン結合とを有するものである。例えば、シロキサン骨格、イミド結合を有する有機骨格(X)、構成単位(i)等の構造を適宜選択し、各種ポリマーに対して高い相溶性を示すものとすることにより、該ポリマーに容易に耐熱性等を付与することができる。耐熱性等を付与されたポリマーは、高温環境下においても各種物性の低下が低い硬化物を形成できる。
上記シラン化合物(I)において、「イミド結合を有する有機骨格(X)」とは、イミド結合を必須とするものであればよいが、例えばイミド構造と炭素数1〜6のアルキレン基とを含む構造、イミド構造と2級アミノ基とを含む構造、イミド構造と3級アミノ基とを含む構造等が好ましい。中でもイミド構造と炭素数1〜6のアルキレン基とを含む構造が耐熱性等に優れる点でより好ましい。
上記シラン化合物(I)において、上記イミド結合を有する有機骨格(X)が占める割合としては、シラン化合物(I)に含まれるケイ素原子100モルに対して、100〜20モルであることが好ましい。より好ましくは、100〜50モルであり、更に好ましくは、100〜70モルであり、特に好ましくは、100〜80モルであり、最も好ましくは100モルである。これによれば、耐熱性等を向上させることができるとともに、熱硬化性樹脂への溶解性を向上させたシラン化合物とすることができる。
上記イミド結合を有する有機骨格(X)が結合したケイ素原子には、少なくとも1個のイミド結合を有する有機骨格(X)と、少なくとも1個の酸素原子が結合しており、該酸素原子を介してシロキサン結合を形成している。すなわち、イミド結合を有する有機骨格(X)が結合したケイ素原子には、イミド結合を有する有機骨格(X)と、酸素原子と、場合によりその他の骨格とが結合しており、有機骨格と酸素原子とその他の骨格の結合数の合計が4であり、有機骨格と酸素原子は、ともに1個以上結合している。
上記イミド結合を有さない有機基としては、好ましくは、アルキル基;アリール基、アラルキル基等の芳香族残基;不飽和脂肪族残基からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、これらは置換基があってもよい。特に好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基、又は、アリール基、アラルキル基等の芳香族残基であり、これらの有機基には置換基があってもよい。具体例としては、メチル、エチル、フェニル、ビニル、クロロプロピル、メルカプトプロピル、(エポキシシクロヘキシル)エチル、グリシドキシプロピル、N−フェニル−3−アミノプロピル、(メタ)アクリロキシプロピル、ヘキシル、デシル、オクタデシル、トリフルオロプロピル等が好適である。
上記ケイ素原子に結合するイミド結合を有する有機骨格(X)の結合数としては、1〜3個であり、好ましくは、1〜2個であり、より好ましくは、1個である。また、上記酸素原子(イミド結合を有する有機骨格(X)が結合したケイ素原子に結合する酸素原子)の結合数としては、1〜3個であり、好ましくは、2〜3個であり、より好ましくは、3個である。
その他の有機骨格の結合数としては、0〜2個であり、好ましくは、0〜1個であり、より好ましくは、0個である。ケイ素原子に結合する骨格(基)の好適な組み合わせ(結合数)としては、(イミド結合を有する有機骨格(X)、酸素原子、その他の骨格)が(1、3、0)、(2、2、0)、(1、2、1)、(3、1、0)、(2、1、1)、(1、1、2)である。
上記シラン化合物(I)は、シロキサン骨格(主鎖骨格とも言う。)を有するものであることが好ましい。このようなシロキサン骨格としては、シロキサン結合を必須とするものであればよく、該シロキサン骨格の構造としては、直鎖状又は分岐状のいずれであってもよく、ラダー状、かご状、キュービック状等の構造のポリシルセスキオキサンであることが好適である。上記シラン化合物(I)において、シロキサン骨格の占める割合としては、シラン化合物(I)100質量%中、80〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、70〜15質量%であり、更に好ましくは、50〜20質量%である。
上記シラン化合物(I)は、上述の構成であれば特に限定されないが、好適な実施形態としては、(1)シロキサン結合とイミド結合とを有するシラン化合物であって、該シラン化合物は、シロキサン結合(ポリシロキサン結合)を必須とする主鎖骨格を有し、イミド結合を必須とする構造が主鎖骨格に結合した構造を有する形態、(2)ケイ素原子に、イミド結合を含む有機骨格が少なくとも1個結合してなり、且つ、上記ケイ素原子に酸素原子が少なくとも1個結合してなる、構成単位を必須とし、該構成単位の上記ケイ素原子が酸素原子を介してシロキサン骨格を形成してなる形態、(3)シロキサン結合からなる主鎖骨格と、イミド結合を含む有機骨格からなるシラン化合物であって、該主鎖骨格の少なくとも一部のケイ素原子が該有機骨格と結合してなる構成単位を必須単位として含有する形態、(4)シロキサン結合と、イミド結合を含む有機骨格からなるシラン化合物であって、該シラン化合物は、ポリシロキサン結合を必須とする主鎖骨格を有し、イミド結合を含む有機骨格が主鎖骨格中の少なくとも1個のケイ素原子に結合してなる形態等が挙げられる。
上記好適な実施形態(1)において、「イミド結合を必須とする構造が主鎖骨格に結合した構造」とは、上記イミド結合を必須とする構造(イミド結合を含む有機骨格)の少なくとも1つがシラン化合物(I)の主鎖骨格(シロキサン骨格)に結合した構造であればよい。すなわち、上記イミド結合を必須とする構造を主鎖骨格以外に有する構造であればよい。具体的には、上記シラン化合物(I)はイミド結合を必須とする構造を側鎖に有する形態が好適である。この場合、イミド結合を必須とする構造が「鎖」の形態となった繰り返し単位を有するものに限られず、側鎖として1つ以上含まれればよい。
上記好適な実施形態(2)において、「ケイ素原子に、イミド結合を含む有機骨格が少なくとも1個結合してなり、且つ、前記ケイ素原子に酸素原子が少なくとも1個結合してなる、構成単位」は、下記一般式:
Figure 0005507108
(式中、Xは、イミド結合を有する有機骨格を表す。sは、1〜3の整数であり、2tは、1〜3の整数である。s+2t=4である。)で表されることが好ましい。
上記シラン化合物(I)において、ケイ素原子に対するイミド結合を有する有機骨格(X)の割合を多くすることによって、該シラン化合物の熱硬化性樹脂への溶解性を向上させることができる。熱硬化性樹脂への溶解性の観点からは、上記平均組成式(m)におけるXの係数aが、0.2≦aを満たすことが好ましい。イミド結合を有する有機骨格であるXの係数aが、0.2未満である場合、熱硬化性樹脂への溶解性が低くなり、本発明においてシラン化合物の特性を充分に発揮することができなくなるおそれがある。Xの係数aとして、より好ましくは、0.5≦aである。
上記シラン化合物(I)の耐熱性の観点からは、a≦1.0であることが好ましい。1.0<aである場合、Xが2個以上結合したSiが存在することとなり、耐熱性が劣化するおそれがある。上述したことから、より優れた耐熱性を得るとともに、熱硬化性樹脂への溶解性を向上させる等の観点から、Xの係数aとしては、0.2≦a≦1.0を満たすことが好ましい。より好ましくは、0.5≦a≦1.0である。また、上記平均組成式(m)において、a+b+cが0.5以上であることが好ましく、より好ましくは、0.7以上であり、更に好ましくは、0.7以上1.0以下であり、特に好ましくは、1である。また、酸素の係数であるdは1.50であることが好適である。
上記シラン化合物(I)は、下記計算式(α)で求められるシラノール基量が、0.1以下であることが好ましい。
[Si−OH結合モル数]/[Si−O結合モル数] (α)
これによれば、上記シラン化合物(I)を含む組成物が著しく低粘度化し、また、該組成物やその硬化物が耐吸湿性に極めて優れたものとすることができる。上記計算式(α)で求められるシラノール基量として、より好ましくは、0.05以下であり、更に好ましくは、0.01以下である。特に好ましくは、上記シラン化合物(I)が、残存シラノール基を有さないものである。ここで、[Si−OH結合モル数]とは、SiとOHとの結合数をモル数で表すものである。例えば、1モルのSi原子のそれぞれに2つのOH基が結合している場合には、[Si−OH結合モル数]は2モルとなる。Si−O結合モル数についても同様に数えるものとする。
上記平均組成式(m)において、Yとしては、水酸基、OR基であることが好ましい。より好ましくは、OR基であり、更に好ましくは、Rが炭素数1〜8のアルキル基であるOR基である。また、Zとしては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等の芳香族残基、及び、不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらは置換基があってもよい。より好ましくは、置換基があってもよい、炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基、又は、アラルキル基等の芳香族残基である。
上記シラン化合物(I)は、例えば、
Figure 0005507108
(式中、X、Y及びZは、同一若しくは異なって、上述と同様である。n及びnは、重合度を示し、nは、0でない正の整数であり、nは、0又は正の整数である。)で示される。なお、Y/Z−は、Y又はZが結合していることを表し、X1〜2−は、Xが1又は2個結合していることを表し、(Z/Y)1〜2−は、Z又はYが1個結合するか、Z又はYが2個結合するか、Z及びYが1個ずつ、合計2個結合することを表す。Si−(X/Y/Z)は、X、Y及びZから選ばれる任意の3種がケイ素原子に結合していることを示す。上記式において、Si−OmとSi−Omは、Si−OmとSi−Omの結合順序を規定するものではなく、例えば、Si−OmとSi−Omが交互又はランダムに共縮合している形態、Si−OmからなるポリシロキサンとSi−Omのポリシロキサンが結合している形態等が好適であり、縮合構造は任意である。
上記シラン化合物(I)としては、上記平均組成式(m)で表すことができるが、該シラン化合物(I)のシロキサン骨格(シロキサン結合を必須とする主鎖骨格)は、(SiOと表すこともできる。(SiO以外の構造は、イミド結合を有する有機骨格(イミド結合を必須とする構造)X、水素原子、水酸基等のY、イミド結合を含まない有機基Zであり、これらは主鎖骨格のケイ素原子に結合することとなる。X、Y及びZは、「鎖」の形態となった繰り返し単位に含まれてもよく、含まれていなくてもよい。例えば、Xは、側鎖として1分子に1つ以上含まれていればよい。上記(SiOにおいて、nは、重合度を表すが、該重合度は、主鎖骨格の重合度を表し、イミド結合を有する有機骨格(X)は、必ずしもn個存在していなくてもよい。言い換えれば、(SiOの1つの単位に必ずしも1つのイミド結合を有する有機骨格(X)が存在していなくてもよい。また、イミド結合を有する有機骨格(X)は、1分子中に1つ以上含まれていればよいが、複数含まれる場合、上述したように、1つのケイ素原子に2以上のイミド結合を有する有機骨格が結合していてもよい。
上記主鎖骨格(SiOにおいて、mは、1.0以上2.0未満の数であることが好ましい。より好ましくは、m=1.5〜1.8である。特に好ましくは、m=1.5である。また、上記主鎖骨格(SiOm1n1及び(SiOm2n2において、(n+1)/(n+n+1)の範囲が、上記平均組成式(m)におけるaの好ましい範囲と同様であることが好ましい。更に、上記式中の(X/Y/Z)に結合しているSi原子、及び、(SiOm1)中のSi原子に結合するXの個数は1個であることが好ましい。
上記nは、重合度を表し、1〜5000であることが好ましい。より好ましくは、1〜2000であり、更に好ましくは、1〜1000であり、特に好ましくは、1〜200である。
上記nが2である場合のシラン化合物(I)としては、ケイ素原子にイミド結合を有する有機骨格(X)が少なくとも1個結合してなる構成単位(構成単位(i))が2つ含まれる形態と、該構成単位(i)が1つしか含まれない形態が挙げられる。具体的には、
Figure 0005507108
(式中、Aは、Y又はZであり、X、Y及びZは、上述と同様である。)等が好適であり、同一の構成単位(i)2つを含むホモポリマーの形態と、異なる構成単位(i)2つを含むホモポリマーの形態と、構成単位(i)を1つしか含まないコポリマーの形態(共縮合構造の形態)がある。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を100質量%とすると、シラン化合物(I)が10〜60質量%であることが好ましい。10質量%未満であると、耐熱性等の特性が充分に発揮されなくなるおそれがあり、60質量%を超えると、成型性が低下するおそれがある。
下限は、より好ましくは、12質量%である。更に好ましくは、15質量%である。上限は、より好ましくは、40質量%である。更に好ましくは、30質量%である。
上記イミド結合を有する有機骨格(X)は、下記式(1):
Figure 0005507108
(式中、Rは、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造である。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数である。上記yとしては、0又は1である。)で表される基であることが好ましい。上記Rにおいて、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造とは、Rが芳香族化合物の環構造(芳香環)を有する基、複素環式化合物の環構造(複素環)を有する基及び脂環式化合物の環構造(脂環)を有する基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることを表す。Rとしては、フェニレン基、ナフチリデン基、ノルボルネンの2価基、(アルキル)シクロヘキシレン基、シクロヘキセニル基等が好ましい。なお、Rがフェニレン基である場合、上記Xが下記式(2)で表されるシラン化合物となり、Rが(アルキル)シクロヘキシレン基である場合、上記Xが下記式(3)で表されるシラン化合物となり、Rがナフチリデン基である場合、上記Xが下記式(4)で表されるシラン化合物となり、Rがノルボルネンの2価基である場合、上記Xが下記式(5)で表されるシラン化合物となり、Rがシクロヘキセニル基である場合、上記Xが下記式(6)で表されるシラン化合物となる。
上記式(1)において、x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数である。
なお、x+yとしては、0以上10以下の整数であればよいが、3〜7であることが好ましい。より好ましくは3〜5であり、特に好ましくは3である。
上記yとしては、0又は1であり、0であることが好ましい。
上記平均組成式(m)におけるXが上記式(1)で表される基である場合、本発明のシラン化合物(I)を、本明細書中、シラン化合物(1)ともいう。後述する下記式(2)〜(6)においても同様である。
上記シラン化合物(1)は、非常に高い耐熱性を有し、かつ、各種ポリマーに対して高い相溶性を示すことから、容易に耐熱性を付与することができる。
上記平均組成式XaYbZcSiOdで表されるシラン化合物(I)は、いずれの方法によっても得ることができるが、下記(a)や(b)の製造方法により得ることが好ましい。(a)上記シラン化合物(I)におけるイミド結合を含む有機骨格Xに対応するアミド結合を有する有機骨格X´と、シロキサン結合とを有する平均組成式X´aYbZcSiOdで表される(シラン化合物からなる)中間体をイミド化させる工程を含む製造方法。(b)上記該シラン化合物(I)におけるイミド結合を含む有機骨格Xに対応するイミド結合を有する有機骨格が、ケイ素原子に結合しかつ加水分解性基を有するシラン化合物よりなる中間体を、加水分解・縮合させる工程を含む製造方法。
上記シラン化合物(1)は、平均組成式X´aYbZcSiOdにおけるX´(X´は、アミド結合を含む有機骨格を表す。他は、上記平均組成式に同じ。)が下記式(8)で表されるシラン化合物からなる中間体をイミド化させる工程、又は、下記式(12)で表されるシラン化合物からなる中間体を加水分解し、重縮合させる工程を含む製造方法により得ることが好ましい。これらの製造方法については、後述する。
上記シラン化合物(シラン化合物(1))において、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(2):
Figure 0005507108
(式中、R〜Rは、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物(シラン化合物(2)ともいう。)であることが好ましい。
上記R〜Rとしては、全てが水素原子である形態が好ましい。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記シラン化合物(シラン化合物(1))において、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(3):
Figure 0005507108
(式中、R〜R及びR´〜R´は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物(シラン化合物(3)ともいう。)であることが好ましい。
上記R〜R及びR´〜R´としては、R若しくはRがメチル基で残りの全てが水素原子である形態、又は、R〜R及びR´〜R´全てが水素原子である形態、又は、R〜R及びR´〜R´全てがフッ素原子である形態が好ましい。より好ましくは、R又はRがメチル基で残りの全てが水素原子である形態である。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記シラン化合物(シラン化合物(1))において、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(4):
Figure 0005507108
(式中、R10〜R15は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物(シラン化合物(4)ともいう。)であることが好ましい。
上記R10〜R15としては、全てが水素原子である形態、又は、全てがフッ素原子である形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記シラン化合物(シラン化合物(1))において、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(5):
Figure 0005507108
(式中、R16〜R21は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物(シラン化合物(5)ともいう。)であることが好ましい。
上記R16〜R21としては、全てが水素原子である形態、全てがフッ素原子である形態、又は、全てが塩素原子である形態のいずれかの形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記シラン化合物(シラン化合物(1))において、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(6):
Figure 0005507108
(式中、R22〜R25、R22´及びR25´は、同一若しくは異なって、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子及び芳香族からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物(シラン化合物(6)ともいう。)であることが好ましい。
上記R22〜R25、R22´及びR25´としては、全てが水素原子である形態、全てがフッ素原子である形態、又は、全てが塩素原子である形態のいずれかの形態が好ましい。より好ましくは、全てが水素原子である形態である。
上記x、y及びzは、上述と同様であることが好ましい。
上記シラン化合物(5)及び(6)は、分子内部に不飽和結合を有しており、マレイミド化合物と同様の機構で架橋構造を構築することから、シラン化合物(5)及び(6)のいずれかとマレイミド化合物を配合することで、樹脂組成物として用いることができ、特に、架橋構造が飽和環構造であって架橋後に極性基を発生しないことから、優れた低誘電特性を示す。すなわち、上記シラン化合物(I)の平均組成式におけるXが、同一若しくは異なって、式(5)及び/又は式(6)で表されるものであることが本発明の熱硬化性樹脂組成物における特に好ましい形態である。中でも、化合物(5)が更に好適である。シラン化合物と上記マレイミドの配合比率は両者の不飽和結合の当量比で10/90〜90/10であることが好ましい。より好ましくは15/85〜85/15であり、更に好ましくは20/80〜80/20である。
上記熱硬化性樹脂組成物が、シラン化合物と、マレイミド化合物とが配合されたものであることにより、熱硬化性樹脂組成物を用いて調製される繊維複合樹脂組成物の誘電正接の値を小さくすることができる。更に、上記熱硬化性樹脂組成物は、シラン化合物及びマレイミド化合物に加えて、更に他の化合物が配合されていてもよく、例えば、エポキシ化合物、フェノール化合物等が配合されていてもよい。エポキシ樹脂、フェノール樹脂の少なくともいずれかを配合することによって、比誘電率を低下させることができる。
上記シラン化合物(シラン化合物(1)〜(6))において、上記シラン化合物の平均組成式におけるXは、下記式(7):
Figure 0005507108
(式中、R26は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。)で表されるシラン化合物であることが好ましい。
上記R26は、上記シラン化合物(1)において説明したRと同様であることが好ましい。
上記シラン化合物の特に好ましい形態としては、R26がフェニレン基であるポリ(γ−フタロイミドプロピルシルセスキオキサン)、R26がメチルシクロヘキシレン基であるポリ{γ−(へキサヒドロ−4−メチルフタルイミド)プロピルシルセスキオキサン}、R26がナフチリデン基であるポリ{γ−(1,8−ナフタルイミド)プロピルシルセスキオキサン}、R26がノルボルネンの2価基であるポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピルシルセスキオキサン}、R26がシクロヘキセニル基であるポリ〔(cis−4−シクロヘキセン−1,2−イミド)プロピルシルセスキオキサン〕等のポリシルセスキオキサン構造体である。これらの化合物の構造は、H−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MSを測定して同定することができる。
上記平均組成式におけるXが結合したケイ素原子は、酸素原子との結合数が3であることが好ましい。これによれば、Xが結合したケイ素原子が、他の官能基と結合していないため、耐熱性、耐湿性、耐加水分解性に優れたシラン化合物とすることができる。例えば、Xが結合したケイ素原子が一つの酸素と結合し、他の官能基を有する場合、官能基の種類によって、耐熱性、耐湿性、耐加水分解性が低下するおそれがある。また、上記シロキサン結合を構成するケイ素原子は、酸素原子との結合数が3であることが好ましい。これによれば、シロキサン結合を構成するケイ素原子が、Xで表される有機基以外の官能基と結合していないため、より耐熱性、加水分解性に優れたシラン化合物とすることができる。
上記シラン化合物の分子構造としては、例えば、鎖状構造(直鎖状、分岐状)、ラダー状構造、網状、環状、ラダー状からなる環状構造、かご状等が例示されるが、中でも、上記シラン化合物の添加量が少量であっても効果が発揮されやすいため、ラダー状、網状、かご状であることが好ましい。より好ましくは、ラダー状、かご状であり、特に好ましくは、かご状である。かご状分子構造とすることによって、上記シラン化合物を含む組成物が著しく低粘度化し、また、該組成物やその硬化物が低吸湿性に極めて優れたものとなるとともに、硬化物の機械的強度や耐熱性を更に向上させることができるため、各種用途(特に、半導体用封止材等の電子部品装置等)に更に有用なものとすることが可能となる。更に、ラダー状構造とした場合には、シラン化合物含有組成物の粘度がより低下するとともに、その硬化物の低吸湿化はそれほど顕著ではないが耐熱性を著しく向上することが可能となる。すなわち、上記シラン化合物がラダー状の分子構造を持つ形態もまた、本発明の好適な形態の一つである。ここで、上記ラダー状、網状、かご状の分子構造は、例えば、下記構造式:
Figure 0005507108
(式中、Rは、上記平均組成式における「XaYbZc」で表される有機骨格を表す。)で表すことができる。
上記構造式(a)はランダム(網状)構造(Random structure)であり、構造式(b)はラダー状構造(Ladder structure)であり、構造式(c)は不完全かご型構造(Incomplete condensed cage)、構造式(d)〜(f)はかご型構造(Completely condensed structures)を示す。
上記構造式(c)〜(f)で例示されるように、上記かご状の分子構造を持つシラン化合物は、有機骨格層がシェル部分、無機骨格層がコア部分となる形態が好適である。
上記かご状の分子構造を持つシラン化合物としてはまた、上記平均組成式におけるXが、環構造を有する形態であることが好ましく、中でも、該Xが上記一般式(1)で表される形態、すなわちかご状の分子構造を持つ上記シラン化合物(1)であることが好適である。より好ましくは、上記一般式(1)中のRが、芳香環、飽和脂肪族環状炭化水素及び不飽和脂肪族環状炭化水素からなる群より選択される少なくとも1種の構造である形態である。これらの形態にすることによって、本発明の効果を更に充分に発揮させることが可能となる。なお、芳香環としては、例えば、ベンゼン、ビフェニレン、ターフェニレン、ナフタレン、アントラセン、ペリレン等が挙げられ、飽和脂肪族環状炭化水素としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、ノルボルナン、デカヒドロナフタレン等が挙げられ、不飽和脂肪族環状炭化水素としては、例えば、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン等が挙げられる。
上記かご状の分子構造を持つシラン化合物として更に好ましくは、上記一般式(1)で表されるXが、上記一般式(2)〜(7)で表される構造である形態、すなわち上記シラン化合物(2)〜(7)であることであり、特に好ましくは、上記一般式(1)中のRが、ベンゼン環又はノルボルネン構造のいずれかである形態である。
上記一般式(1)中のRがノルボルネン構造である形態に含まれる化合物の一例を下記式に示す。
Figure 0005507108
上記かご状の分子構造を持つシラン化合物である場合には、上記平均組成式(m)において、a+b+cが0.5以上であることが好ましく、より好ましくは、0.7以上であり、更に好ましくは、0.7以上1.0以下であり、特に好ましくは、1である。また、酸素の係数であるdは1.50であることが好適である。
上記シラン化合物(I)の製造方法としては、通常、シロキサン骨格を形成する工程と、イミド結合を有する有機骨格(X)を形成する工程とが存在することとなる。シロキサン骨格を形成する工程においては、加水分解し、重縮合してシロキサン結合を形成することとなるが、その一例として、以下に説明する。
上記シラン化合物を製造するシラン化合物の製造方法もまた、本発明の好ましい形態である。
上記シラン化合物の製造方法としては、具体的には、下記工程(I)〜(VI)のいずれかを含むものであることが好適である。このような工程を含むことにより、工業的に入手可能な原料を用いることができる、工業的な生産工程に適するように製造することができる、製造ルートや中間体を選択することにより効率よく製造することができるといったような利点がある。
上記製造方法としては、上記シラン化合物(上記シラン化合物(I)又は上記式(1)で表されるシラン化合物(1))を製造する方法であって、該製造方法は、下記平均組成式:
X´aYbZcSiOd
(式中、X´は、同一若しくは異なって、アミド結合を含む有機骨格を表し、Zは、同一若しくは異なって、アミド結合を含まない有機基を表し、Yは、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群より選ばれる少なくとも一つを表す。Rは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表し、置換基があってもよい。aは、0でない3以下の数であり、bは、0又は3未満の数であり、cは、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。)におけるX´が、下記式(8):
Figure 0005507108
(式中、R27は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表されるシラン化合物からなる中間体をイミド化する工程を含むシラン化合物(シラン化合物(1)又はシラン化合物(I))の製造方法でもある。なお、X´が上記「式(8)で表されるシラン化合物からなる中間体」とは、中間体としてX´が式(8)で表されるシラン化合物を用いることをいう。また、上記Y、Z、a、b、c及びdは、上記平均組成式において説明したものとそれぞれ同様であることが好ましく、上記R27、x、y及びzは、上記シラン化合物(1)において説明したR、x、y及びzとそれぞれ同様であることが好ましい。
上記製造方法(製造方法(I)ともいう。)においては、上記式(8)で表される中間体(以下、中間体(8)ともいう)をイミド化する工程(イミド化工程(I)ともいう。)を含むものであれば特に限定されない。イミド化工程(I)は、アミック酸の脱水閉環によりイミド化する工程であり、反応条件を下記に示す。
上記イミド化工程(I)の反応温度としては、80〜300℃であることが好ましい。より好ましくは、100〜200℃であり、更に好ましくは、副生物として水が生じるので、水、溶媒の共沸温度以上で保持することである。反応圧力としては、常温であっても加圧下であっても減圧下であってもかまわないが、副生水を効率よく反応系外へ留去することで反応が進行しやすいので、常圧以下である方が好ましい。具体的には、0.01〜0.5MPa等が好適である。
また反応触媒としては、閉環触媒としてピリジン、トリエチルアミン、イミダゾール、ジアザビシクリウンデセン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の公知公用のアミン、又は、トルエン、キシレン等の水と共沸する溶剤を添加することが望ましい。
反応時間としては、反応温度、反応組成によって変わるが、2〜48時間程度が好適である。
上記製造方法(製造方法(I))は、下記式(9):
Figure 0005507108
(式中、R28は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。R29は、同一若しくは異なって、有機基を表し、R30は、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR30´基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。ここでR30´は、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1であり、pは、0以上3以下の整数である。)で表されるシラン化合物からなる中間体を加水分解し、重縮合する工程を含むことが好ましい。
すなわち、このような製造方法(製造方法(II)ともいう。)は、イミド化工程(I)に加えて、上記式(9)で表される中間体(中間体(9)ともいう)から中間体(8)を得る工程(工程(II−1)ともいう)を含むこととなる。なお、上記R28、x、y及びzは、上記シラン化合物(1)において説明したR、x、y及びzとそれぞれ同様であることが好ましい。また、R29は、アミド結合を含まない有機基であることが好ましい。具体的には、アルキル基、アリール基、アラルキル基等の芳香族残基、不飽和脂肪族残基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらは置換基があってもよい。より好ましくは、置換基があってもよい、炭素数1〜8のアルキル基、又は、アリール基、アラルキル基等の芳香族残基である。特に好ましくは、メチル又はエチルである。R30は、水酸基、OR30´基であることが好ましい。より好ましくは、OR30´基であり、更に好ましくは、R30´が炭素数1〜8のアルキル基であるOR30´基であり、特に好ましくは、R30´がメチル、エチル、又は、プロピルである。pは、0以上2以下の整数であることが好ましい。より好ましくは、0又は1である。
上記工程(II−1)としては、中間体(9)のアルコキシシリル基の加水分解・重縮合反応によりポリシロキサン骨格を形成して中間体(8)を得る工程である。
上記工程(II−1)を含むと、中間体(8)の前駆体として親水性の高い中間体(9)(下記式(9)で表される中間体)を経るため、アルコキシシリル基の加水分解・重縮合反応の反応効率が高くなり、ポリシロキサン骨格の重合度を上げやすいという利点がある。
上記工程(II−1)においては、中間体(9)を水又は水を有する有機溶媒と混合させて中間体(9)を加水分解・縮合することになる。
このような加水分解・縮合反応により、加水分解・縮合物であるポリシロキサン骨格を形成することができることになる。加水分解・縮合物とは、加水分解反応により得られたものを更に縮合反応することによって得られる化合物をいう。
以下に、中間体(9)の加水分解反応及び縮合反応を示す。
PSiR29 (OR30´3−p+(3−p)HO(加水分解)→PSiR29 (OH)3−p+(3−p)R30´OH
PSiR29 (OH)3−p→PSiR29 (OH)→PSiR29 2/u(縮合物)
(式中、R29、R30´及びpは、上述したとおりである。e及びuは任意の数値である。Pは、(COOH)R28CONH[CH[NH][CHを表す。)
このように中間体(9)を加水分解・縮合することにより、ポリシロキサン骨格の重合度が高い中間体(8)を得ることができることとなる。
上記加水分解・縮合反応においては、水を用いることになり、中間体(9)100質量%に対して、10〜50質量%の水を添加して反応させることが好適である。好ましくは、20〜40質量%である。
上記反応に用いる水は、イオン交換水、pH調整水等のいずれを用いてもよいが、pH7前後の水を用いることが好ましい。このような水を用いることにより、組成物中のイオン性不純物量を低減させることが可能となり、低吸湿性又は高絶縁性の樹脂組成物とすることが可能となる。なお、水の純度としては、pH7である方が好ましいが、塩化水素、シュウ酸、又は、ピリジン、トリエチルアミン等は高温で反応系外へ揮散するので微量添加してpHを2〜12の範囲で調整してもよい。
上記水の使用形態としては、中間体(9)に滴下する形態でもよいし、一括投入する形態でもよい。
上記アルコキシシリル基の加水分解・重縮合反応における反応温度としては、室温〜200℃であることが好ましい。より好ましくは、室温〜100℃であり、最も好ましくは、副生物としてアルコールが生じるのでアルコール、水、溶媒の共沸還流下で保持することである。上記反応における圧力としては、常温であっても加圧下であっても減圧下であってもよいが、副生アルコールを効率よく反応系外へ留去することで反応が進行しやすいので、常圧以下である方が好ましい。また反応時間としては、反応温度、反応組成によって変わるが、2〜48時間であることが好適である。
なお、上記中間体(8)は、上記平均組成式におけるXが、下記式(10):
Figure 0005507108
(式中、x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1である。)で表される中間体(中間体(10)ともいう)から得ることもできる。このように、上記中間体(10)から中間体(8)を得る工程(工程(II−2)ともいう)もまた、好適な形態の一つである。なお、中間体(10)がポリ(γ−アミノプロピル)シルセスキオキサンである場合、該中間体(10)は水溶性が高く、現在のところ充分に良溶解性の有機溶剤がみあたらない。工程(II−2)においては中間体(10)と酸無水物が反応するが、水存在下では該反応が酸無水物の有水・開環化により阻害され中間体(8)の収率が工業的に安価に生産するには充分に高くない。よって、中間体(8)を経て上記シラン化合物(1)を製造する工程としては、工程(II−1)を経て工程(I)により得る方法が好適である。
なお、上記x、y及びzは、上記シラン化合物(1)において説明したx、y及びzはとそれぞれ同様であることが好ましい。
上記工程(II−2)としては、中間体(10)から中間体(8)を得る工程であり、この反応条件としては、通常、下記工程(III−1)のアミック酸構造を導入する工程と同様であることが好適である。
上記中間体(9)の製造方法としては特に限定されないが、下記式(11)で表される化合物(化合物(11)という。)から得ることが好ましい。すなわち、化合物(11)から中間体(8)を経由してシラン化合物(上記シラン化合物(I)又は上記式(1)で表されるシラン化合物(1))を得る製造方法は、下記式(11):
Figure 0005507108
(式中、R31は、同一若しくは異なって、有機基を表し、R32は、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR32´基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。ここでR32´は、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1であり、vは、0以上3以下の整数である。)で表される化合物に酸無水物を開環付加して式(9)で表されるシラン化合物からなる中間体を得る工程(工程(III−1)とも言う。)、又は、上記式(11)で表される化合物を加水分解し、重縮合してXが式(10)で表されるシラン化合物からなる中間体(10)を得る工程(工程(III−2)とも言う。)を含むことが好ましい。
すなわち、このような製造方法(製造方法(III)ともいう。)は、イミド化工程(I)に加えて、加水分解・重縮合工程(II−1)を含み、更に、化合物(11)から中間体(9)を得る工程(工程(III−1))を含み、又は、アミック酸構造を導入する工程(II−2)を含み、更に、化合物(11)から中間体(10)を得る工程(工程(III−2))を含むこととなる。このような工程を含むことにより、安価な製造原料を使用できるという利点がある。なお、上記x、y及びzは、上記シラン化合物(1)において説明したx、y及びzとそれぞれ同様であることが好ましい。また、R31、R32及びvとしては、上記式(9)で説明したR29、R30及びpと同様であることが好ましい。
上記工程(III−1)としては、化合物(11)から中間体(9)を得る酸無水物の開環付加工程であり、この反応条件を下記に示す。
上記工程(III−1)における水分濃度としては、酸無水物の有水化により目的化合物の収率が低下するため、溶剤及び反応装置はよく乾燥しておき、反応中は乾燥窒素ガスを流通させる方が好ましい。溶剤の乾燥はモレキュラーシーブ、無水硫酸マグネシウム、無水塩化カルシウム等公知公用の脱水剤を用いてもよいし、反応前に蒸留をかける等してもよい。
上記工程の反応温度としては、室温〜100℃であることが好ましい。より好ましくは、40〜90℃である。室温付近でも十分反応は進行するが、反応生成物によっては反応中に析出して反応系の撹拌が不可能になる場合があるため、室温よりも高めで反応する方が好ましい。上記工程の圧力としては、常温であっても加圧下であっても減圧下であってもかまわない。反応時間としては、反応温度、反応組成によって変わるが、2〜48時間程度が好適である。
上記工程(III−2)としては、化合物(11)のアルコキシシリル基の加水分解・重縮合反応によりポリシロキサン骨格を形成して中間体(10)を得る工程であり、反応条件等は、上記工程(II−1)におけるものと同様であることが好ましい。
上記製造方法(III)の好適な形態としては、工程(III−1)、工程(II−1)及び工程(I)を含む形態(形態(A))及び、工程(III−2)、工程(II−2)及び工程(I)を含む形態(形態(B))が好適である。中でも、形態(A)を用いることがより好ましい。
上記形態(A)は、化合物(11)から酸無水物の開環付加反応により中間体(9)を得て(工程(III−1))、中間体(9)を加水分解・重縮合することにより中間体(8)を得て(工程(II−1))、更に中間体(8)をイミド化することによりシラン化合物(I)又はシラン化合物(1)を得る形態である。また、上記形態(B)は、化合物(11)を加水分解し、重縮合させて中間体(10)を得て(工程(III−2))、中間体(10)から中間体(8)を得て(工程(II−2))、更に中間体(8)をイミド化することによりシラン化合物(I)又はシラン化合物(1)を得る形態である。
本発明の好ましい形態は更に、上記シラン化合物(上記シラン化合物(I)又は上記式(1)で表されるシラン化合物(1))を製造する方法であって、該製造方法は、下記式(12):
Figure 0005507108
(式中、R33は、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。R34は、同一若しくは異なって、有機基を表し、R35は、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR35´基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。ここでR35´は、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1であり、qは、0以上3以下の整数である。)で表されるシラン化合物からなる中間体を加水分解し、重縮合させる工程を含むシラン化合物の製造方法でもある。なお、上記R33、x、y及びzは、上記シラン化合物(1)において説明したR、x、y及びzとそれぞれ同様であることが好ましい。また、R34、R35及びqとしては、上記式(9)で説明したR29、R30及びpと同様であることが好ましい。
上記工程を含む製造方法(製造方法(IV)ともいう。)においては、上記式(12)で表される中間体(以下、中間体(12)ともいう)を加水分解し、重縮合させる工程(加水分解・重縮合工程(IV)ともいう。)を含むものであれば特に限定されない。加水分解・重縮合工程(IV)において、反応条件としては、前述の工程(II−1)と同等である。このような加水分解・重縮合工程(IV)を含むことにより、予め、中間体(12)を高純度化して用いることができるため、得られたシラン化合物(1)の不純物除去工程を省略できるという利点がある。
上記製造方法(製造方法(IV))は、下記式(13):
Figure 0005507108
(式中、Aは、ハロゲン原子又はイソシアネート基を表す。R36は、同一若しくは異なって、有機基を表し、R37は、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR37´基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基を表す。ここでR37´は、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。x及びzは、同一若しくは異なって、0以上5以下の整数であり、yは、0又は1であり、rは、0以上3以下の整数である。)で表される化合物から上記式(12)で表されるシラン化合物からなる中間体を得る工程を含むことが好ましい。
すなわち、このような製造方法(製造方法(V)ともいう。)は、加水分解・重縮合工程(IV)に加えて、化合物(13)から中間体(12)を得る工程(工程(V)ともいう。)を含むこととなる。このような工程を含むことにより、イミド骨格導入のための原料を多岐に選択できるという利点がある。なお、上記x、y及びzは、上記シラン化合物(1)において説明したx、y及びzとそれぞれ同様であることが好ましい。また、R36、R37及びrとしては、上記式(9)で説明したR29、R30及びpと同様であることが好ましい。
また、上記製造方法(IV)は、上記式(9)で表されるシラン化合物からなる中間体(中間体(9))から上記式(12)で表されるシラン化合物からなる中間体(中間体(12))を得る工程を含むこともまた好ましい。
このような製造方法(製造方法(VI)ともいう。)においては、加水分解・重縮合工程(IV)に加えて、中間体(9)から中間体(12)を得る工程(イミド化工程(VI)ともいう。)を含むこととなり、このようなプロセスが好ましい方法の一つである。
なお、上記製造方法(VI)における中間体(9)のR28、R29、R30、x、y、z及びpの好ましい形態は、上記製造方法(II)で説明したのと同様である。
上記イミド化工程(VI)は、アミック酸の脱水閉環によりイミド化する工程であり、この反応条件としては、通常、上記工程(I)のイミド化工程と同様であることが好適である。
また上記中間体(9)は、上述した製造方法(III)における化合物(11)から中間体(9)を得る工程(III−1)と同様の工程により得られるものであることが好ましい。これにより、安価な製造原料を使用できるという利点がある。
上記製造方法(IV)においては、イミド結合を有する有機骨格(X)が少なくとも1個結合してなる構成単位と加水分解・縮合性基とがケイ素原子に結合した構造を有するモノマー(モノマーM)が、単独で又は他のモノマー(モノマーM)と加水分解・縮合することが好適である。具体的には、モノマーMは、下記式:
XfZhYgSi
(式中、X及びZは、上述と同様である。Yは、加水分解性基を表す。f及びgは、同一若しくは異なって、1〜3の整数であり、hは、0〜2の整数である。f+g+h=4である。)で表されるものが好ましい。具体的には、
Figure 0005507108
等が好適である。
上記有機ケイ素モノマーMは、下記式:
ZkYjSi
(式中、Y及びZは、上述と同様である。kは、0〜3の整数であり、jは、1〜4の整数であり、j+k=4である。)で表されるものが好ましい。なお、上記モノマーM及びMにおいて、Yとしては、上述のYで述べた原子や基であることが好適である。
上述のように、モノマーMを必須としたモノマーを2種以上用いることにより、モノマーMに由来するイミド結合を有する有機基がケイ素原子に少なくとも1個結合してなる構成単位からなるポリシロキサン骨格を有するシラン化合物(モノマーMを2種以上共縮合した場合は、共縮合組成からなるポリシロキサン骨格を有するシラン化合物となる)を製造することができる。また、モノマーMに由来するイミド結合を有する有機基がケイ素原子に少なくとも1個結合してなる構成単位と、モノマーMに由来する任意の有機基がケイ素原子に結合してなる構成単位又は結合していない構成単位とが、任意の割合で共縮合してなるポリシロキサン骨格を有するシラン化合物も製造することができる。
上記かご状の分子構造を持つシラン化合物(上記シラン化合物(I)又は上記一般式(1)で表されるシラン化合物(1))もまた、上述した製造方法(上記製造方法(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)等)により製造することが好適である。
上記かご状の分子構造を持つ化合物としては、例えば、下記式(g);
NH−R−SiX (g)
(式中、Rは、芳香族、複素環及び脂環からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造を表す。Xは、同一若しくは異なって、加水分解性基又は水酸基を表し、加水分解性基とは、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基又はアシルオキシ基である。)で表される化合物を出発物質として、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシランを、酸無水物、例えば5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物と、必要に応じて溶剤中で反応させることにより、イミド結合を有する中間体を形成し、これを加水分解・縮合反応に供する工程により、かご状のシルセスオキサンが得られることとなる。
上記溶剤としては、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル等を用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂を含むものであり、該熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアネートエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、フェノール樹脂が好適であり、これら化合物は単独で用いても2種類以上を併用してもよい。中でも、エポキシ樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物が特に好ましい。
なお、上記エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアネートエステル樹脂を用いる場合は、通常硬化触媒/硬化剤が必要である。上記ウレタン樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂は、通常熱のみで硬化しうる。上記フェノール樹脂は、熱のみでも硬化しうるし、硬化触媒/硬化剤を用いて硬化させることもできる。
また熱硬化性樹脂としては、上述の他に、本発明の技術分野において熱硬化性樹脂と認められるものを適宜使用することができる。エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の好ましい形態については、後に詳述する。
また熱硬化性樹脂としては、上述の他に、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂、キシレン樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキッド樹脂、ビニルエーテル樹脂、ポリアニリン樹脂等を用いることができる。
上記シラン化合物の含有量としては、熱硬化性樹脂とシラン化合物との合計質量(ただし、硬化成分を用いた場合は、熱硬化性樹脂とシラン化合物と硬化成分との合計質量)を100質量%とすると、下限値が5質量%である。より好ましくは、10質量%であり、更に好ましくは、15質量%である。上限値としては、80質量%である。より好ましくは、70質量%であり、更に好ましくは、60質量%である。
上記熱硬化性樹脂組成物の粘度としては、150℃において、下限値が120mPa・sであることが好ましい。より好ましくは、150mPa・sであり、更に好ましくは、180mPa・sである。上限値としては、80mPa・sであることが好ましい。より好ましくは、60mPa・sであり、更に好ましくは、40mPa・sである。
上記熱硬化性樹脂組成物の熱軟化温度としては、下限値が45℃であることが好ましい。より好ましくは、70℃である。上限値としては、200℃であることが好ましい。より好ましくは、150℃である。
また融点としては、下限値が80℃であることが好ましい。より好ましくは、100℃である。上限値としては、300℃であることが好ましい。より好ましくは、250℃である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、熱硬化性樹脂と上記シラン化合物(I)を必須成分として含有するものであればよく、その他の成分については必要に応じて含有していてもよい。
上記熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて硬化成分を含んでいてもよい。硬化成分としては、硬化触媒、硬化剤が挙げられる。なお、硬化触媒は樹脂の構造にならないもの、硬化剤は樹脂中に組み込まれるものを意味する。
上記熱硬化性樹脂組成物は、必要に応じて溶剤を含んでいてもよい。上記溶剤としては、上記したエーテル結合、エステル結合及び窒素原子からなる少なくとも1つ以上の構造を有するものが好ましく、含浸や塗布工程の最適粘度となるよう、又は、乾燥工程条件により、単独又は2種類以上の混合物と用いることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には更に、その他の添加剤として、安定剤、離型剤、カップリング剤、着色剤、可塑剤、希釈剤、光感光剤、難燃剤、応力緩和剤、充填材、各種ゴム状物、陰イオン交換体等を必要に応じて配合することができる。
上記熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合における、上記シラン化合物の含有量としては、上述した熱硬化性樹脂組成物における、好ましいシラン化合物の含有量と同様であることが好ましい。また、エポキシ樹脂の含有量としては、熱硬化性樹脂とシラン化合物との合計質量(ただし、硬化成分を用いた場合は、熱硬化性樹脂とシラン化合物と硬化成分との合計質量)100質量%に対して、下限値が10質量%であることが好ましい。より好ましくは、12質量%であり、更に好ましくは、15質量%である。上限値としては、95質量%であることが好ましい。より好ましくは、60質量%であり、更に好ましくは、40質量%である。
以下に、熱硬化性樹脂として好適に用いることができるエポキシ樹脂について、説明する。上記エポキシ樹脂としては、以下のような化合物等が好適である。ビスフェノールA・ビスフェノールF・ビスフェノールS等のビスフェノール類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるエピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を上記ビスフェノールA・ビスフェノールF・ビスフェノールS等のビスフェノール類と更に付加反応させることにより得られる高分子量エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;フェノール・クレゾール・キシレノール・ナフトール・レゾルシン・カテコール・ビスフェノールA・ビスフェノールF・ビスフェノールS等のフェノール類とホルムアルデヒド・アセトアルテヒド・プロピオンアルデヒド・ベンズアルデヒド・ヒドロキシベンズアルデヒド・サリチルアルデヒド・ジシクロペンタジエン・テルペン・クマリン・パラキシリレングリコールジメチルエーテル・ジクロロパラキシリレン・ビスヒドロキシメチルビフェニル等を縮合反応させて得られる多価フェノール類を更にエピハロヒドリンと縮合反応することにより得られるノボラック・アラルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;テトラメチルビフェノール・テトラメチルビスフェノールF・ハイドロキノン・ナフタレンジオール等とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂、及び更に上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール・テトラメチルビスフェノールF・ハイドロキノン・ナフタレンジオール等を付加反応させることにより得られる芳香族結晶性エポキシ樹脂の高分子量体;上記ビスフェノール類やテトラメチルビフェノール・テトラメチルビスフェノールF・ハイドロキノン・ナフタレンジオール等の芳香族骨格を水素化した脂環式グリコール類やエチレングリコール・ジエチレングリコール・トリエチレングリコール・テトラエチレングリコール・PEG600・プロピレングリコール・ジプロピレングリコール・トリプロピレングリコール・テトラプロピレングリコール・ポリプロピレングリコール・PPG・グリセロール・ジグリセロール・テトラグリセロール・ポリグリセロール・トリメチロールプロパン及びその多量体・ペンタエリスリトール及びその多量体・グルコース、フルクトース、ラクトース、マルトース等の単/多糖類とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂;(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル3′,4′−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等のエポキシシクロへキサン骨格を有するエポキシ樹脂;テトラヒドロフタル酸・ヘキサヒドロフタル酸・安息香酸とエピハロヒドリンとの縮合反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ヒダントインやシアヌール酸、メラミン、ベンゾグアナミンとエピハロヒドリンとの縮合反応により得られる室温で固形の3級アミン含有グリシジルエーテル型エポキシ樹脂。中でも、上記脂肪族グリシジルエーテル型エポキシ樹脂やエポキシシクロヘキサン骨格を有するエポキシ樹脂が光照射時の外観劣化抑制を目的とした場合はより好適に用いられる。
上記熱硬化性樹脂組成物におけるエポキシ当量としては、下限値が100g/molであることが好ましい。より好ましくは、120g/molであり、更に好ましくは、150g/molである。上限値としては、450g/molであることが好ましい。より好ましくは、420g/molであり、更に好ましくは、400g/molである。
上記硬化性樹脂としてエポキシ樹脂として用いた場合において、熱硬化性樹脂組成物の粘度、熱硬化性樹脂組成物の熱軟化温度、融点の好ましい範囲としては、上述の熱硬化性樹脂組成物にといて説明した好ましい範囲と同様である。
また、エポキシ樹脂を用いた場合にも、熱硬化性樹脂組成物は、その他の成分を必要に応じて含有していてもよい。例えば、上述した熱硬化性樹脂組成物と同様に、硬化成分、溶剤、その他の添加剤を必要に応じて配合することができる。
次に、上記フェノール樹脂について説明する。上記フェノール樹脂は、熱硬化性樹脂として、若しくは、エポキシ樹脂の硬化剤として使用できる。上記フェノール樹脂としては、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が2以上の有機骨格を介して結合してなる構造を有するものを好適に使用することができる。上記フェノール樹脂において、芳香族骨格とは、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香環である。この芳香族骨格は、フェノール型等の構造を有する部位であり、フェノール型、ハイドロキノン型、ナフトール型、アントラセノール型、ビスフェノール型、ビフェノール型等が好適である。これらの中でもフェノール型が好ましい。また、これらフェノール型等の構造を有する部位は、アルキル基、アルキレン基、アラルキル基、フェニル基、フェニレン基等によって適宜置換されていてもよい。
上記フェノール樹脂において、有機骨格とは、フェノール樹脂を構成する芳香環骨格同士を結合し、炭素原子を必須とする部位を意味するものである。また、炭素数が2以上の有機骨格としては、環構造を有することが好ましい。環構造とは、脂肪族環、芳香族環等といった環を有する構造であり、環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等が好ましい。更に、有機骨格としては、トリアジン環、フォスファゼン環等の窒素原子を含有する環構造及び/又は芳香環を有することが好ましく、中でもトリアジン環及び/又は芳香環を有することが特に好ましい。なお、フェノール樹脂は、上記以外の芳香族骨格や有機骨格を有していてもよく、また、フェノール性水酸基を少なくとも1つ有する芳香族骨格同士が、炭素数が1の有機骨格(メチレン)を介して結合してなる構造を同時に有していてもよい。
また、本発明の熱硬化性樹脂組成物としては、フェノール樹脂とエポキシ樹脂とを併用する形態も好ましい。上記フェノール樹脂とエポキシ樹脂との配合質量比(フェノール樹脂/エポキシ樹脂)としては、30/70以上となるようにすることが好ましく、また、70/30以下となるようにすることが好ましい。30/70未満であると、形成される硬化物の機械物性等が低下するおそれがあり、70/30を超えると、難燃性が不充分となるおそれがある。より好ましくは、35/65以上であり、また、65/35以下である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物が含んでいてもよい硬化成分(具体的には、硬化触媒、硬化剤)について以下に説明する。
上記硬化触媒としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルメチルアミン、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン)、DCMU(3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチル尿素)等のアミン類;例えば、トリフェニルホスフィン、トリブチルヘキサデシルホスフォニウムブロマイド、トリブチルホスフィン、トリス(ジメトキシフェニル)ホスフィン等の有機リン化合物等の1種又は2種以上が好適である。
上記硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂等の種々のフェノール樹脂類;種々のフェノール類とヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザール等の種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂等の各種のフェノール樹脂類等の1種又は2種以上を用いることができる。
本発明はまた、上述した熱硬化性樹脂組成物及び繊維を含有する繊維複合樹脂組成物であって、上記繊維複合樹脂組成物は、繊維複合樹脂組成物を100質量%とすると、熱硬化性樹脂組成物が25〜75質量%であり、繊維が75〜25質量%である繊維複合樹脂組成物でもある。
本発明の繊維複合樹脂組成物は、本発明の熱硬化性樹脂組成物を含有することにより、優れた耐熱性を示し、長期間高温下に放置しても重量低下や機械物性の低下が実質上なく、また低誘電・低誘電正接化等の特性を発揮することができる。
本発明の繊維複合樹脂組成物は、本発明の熱硬化性樹脂組成物と繊維を上記特定の割合で含有するものであればよい。
本発明の繊維複合樹脂組成物における熱硬化性樹脂及びシラン化合物(I)の好ましい形態は、上述した本発明の熱硬化性樹脂組成物におけるのと同様である。
本発明の繊維複合樹脂組成物の調製においては、熱硬化性樹脂組成物を繊維に含浸させ、乾燥することが好ましい。上記乾燥は、例えば熱風オーブン中で行うことができる。乾燥条件は、本発明の技術分野において揮発性成分が充分に除去されたと認められるものであればよいが、例えば乾燥時間は、1〜30分が好ましい。より好ましくは、2〜20分であり、更に好ましくは、3〜10分である。また、乾燥温度は、50〜100℃が好ましい。より好ましくは、60〜95℃であり、更に好ましくは、70〜90℃である。なお、本発明の繊維複合樹脂組成物の調製方法において、添加物、添加される対象物、添加順序は、特に限定されるものではない。
上記繊維としては、本発明の技術分野において通常用いられるものを用いることができ、例えば炭素繊維、セラミクス質繊維、ガラス繊維、有機繊維が挙げられ、これらの1種又は2種類以上を使用することができる。
上記炭素繊維としては、例えばPAN系、ピッチ系が挙げられる。
上記セラミクス質繊維としては、例えば窒化物、炭化物、酸化物、酸窒化物、酸炭化物等が挙げられる。
上記ガラス繊維は、例えば、Nタイプ、NEタイプ、Sタイプ、Tタイプ、Dタイプガラス等が挙げられる。
上記有機繊維は、本明細書中、本発明の技術分野において有機繊維と認められるものであれはよく、炭素繊維以外のものを意味し、例えばレーヨン、パルプ、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン・ポリプロピレン複合繊維、キュープラ、ポリテトラフルオロエチレン等のフルオロポリマー、ポリ塩化ビニル等、ポリ(エーテルケトン)、ポリイミドベンゾオキサゾール、ポリ(フェニレンスルフィド)、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド又はポリエーテルイミド、アクリル樹脂及びポリ(ビニルアルコール)等が挙げられる。
中でも、炭素繊維及び/又はガラス繊維が好ましい。
上記繊維の好ましい形態としては、例えば以下の通りである。
上記シラン化合物(I)が上記式(5)又は式(6)で表されるとき、反応性官能基を表面に有する繊維が好ましい。これにより、当該反応性官能基がシラン化合物(重合性不飽和結合を有する)と化学結合できるため、繊維を複合することにより繊維複合樹脂組成物の物性を向上させる効果がより顕著なものとなる。
上記反応性官能基としては、例えばメタクリロイル基、マレイミド基等のラジカル重合性基、アミノ基、メルカプト基等の付加反応しえる基が挙げられる。
上記反応性官能基を表面に有する繊維を得るための具体的な手段としては、例えば反応性官能基を有するシランカップリング剤でセラミクス質繊維、ガラス繊維を表面処理することが挙げられる。
上記繊維のその他の好ましい形態としては、有機繊維をコロナ表面処理する等してフェノール性水酸基、カルボキシル基を表面に形成させた形態が挙げられる。
上記繊維は、太さが1〜50ミクロンであることが好ましい。1ミクロン未満であると、弾性率、機械強度等の基本的性能が劣ることになるおそれがある。50ミクロンを超えると、成型性が悪化するおそれがある。
下限は、より好ましくは1.5ミクロンであり、更に好ましくは2ミクロンである。上限は、より好ましくは40ミクロンであり、更に好ましくは30ミクロンである。
上記繊維複合樹脂組成物は、繊維複合樹脂組成物を100質量%とすると、熱硬化性樹脂組成物が30〜70質量%であり、繊維が70〜30質量%であることが好ましい。熱硬化性樹脂組成物が30質量%未満であり、繊維が70質量%を超えると、成型性が充分でなくなるおそれがある。熱硬化性樹脂組成物が70質量%を超え、繊維が30質量%未満であると、弾性率、機械強度等の基本的特性が充分でなくなるおそれがある。より好ましくは、熱硬化性樹脂組成物が35〜65質量%であり、繊維が65〜35質量%である。特に好ましくは、熱硬化性樹脂組成物が40〜50質量%であり、繊維が60〜50質量%である。
上記繊維複合樹脂組成物は、測定周波数を1GHzで測定したときの比誘電率の値が3.7以下であることが好ましい。より好ましくは、3.5以下であり、更に好ましくは3.4以下である。また、測定周波数を1GHzで測定したときの誘電正接の値が0.02以下であることが好ましい。より好ましくは、0.01以下であり、更に好ましくは、0.009以下である。このように、低誘電率材料用樹脂組成物の比誘電率の値を小さくする、また、誘電正接の値を小さくすることによって、上述した低誘電体材料用樹脂組成物の用途に用いた場合等に優れた特性を発揮することができる。
本発明の繊維複合樹脂組成物の誘電特性評価は、同軸共振器を用いて測定することができる。例えば、温度センサー、攪拌装置、及び、減圧装置を付帯したセパラブルフラスコ中に上記表に示す配合で化合物を投入して、1kPaの減圧雰囲気下で110℃、5分間の条件で溶融混合した後、2mm厚のスペーサー付ガラス製注型枠に流し込み、200℃のオーブン中に8時間放置後、脱型して繊維複合樹脂組成物の硬化板を得る。
樹脂硬化板から30mm四方の試験片を切り出し、誘電特性の測定を行うことができる。測定は、例えばエーイーティー社製TEMモード同軸共振器を用い、測定温度は23℃、測定周波数は1GHzとして行うことができる。
本発明は更に、上述した繊維複合樹脂組成物を硬化して得られる成型体でもある。
本発明の成型体を、本明細書中、繊維強化樹脂ともいう。
本発明の成型体は、上記繊維複合樹脂組成物を熱硬化することにより得ることができる。
上記硬化温度としては、70〜200℃が好ましい。より好ましくは、80〜150℃である。また硬化時間としては、1〜15時間が好ましい。より好ましくは、5〜10時間である。
上述のようにして得られる硬化物としては、異形品等の成型体、フィルム、シート、ペレット等を挙げることができる。
本発明の成型体は、上述したように弾性率、機械強度等の基本的性能を充分なものとしながら耐熱性や低誘電性、低誘電正接等の特性をより向上させたものであることから、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)として靭性が特に向上されたものが、自動車、航空機、オートバイ等の構造部材、釣竿、ゴルフクラブ、スキー/スノーボード等のスポーツ用品に好適に用いることができる。また、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)として低誘電性、低誘電正接等の特性が特に向上されたものが、プリント配線基板等の実装用途等に好適に用いることができるものである。
本発明の樹脂組成物及びその硬化部材は、上述の構成よりなり、耐熱性、耐圧性、機械的・化学的安定性、熱伝導率性に優れ、高温環境下においても各種物性の低下が低い成型体を形成できる樹脂組成物等として、熱硬化性樹脂組成物、繊維複合樹脂組成物、及び、それを硬化した成型体である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
後述する化学式中のnは、括弧内のシロキサン結合が繰り返されていることを示し、各合成例で得られた化合物の化学式は、合成した化合物の主たる組成を示すものである。
また、得られた化合物の数平均分子量を測定したGPC測定条件、及び、H−NMR(H−NMR、13C−NMR)の測定条件は以下の通りである。
(GPC測定条件)
使用カラム:Shodex GF−7MHQ(昭和電工社製) 2本
溶離液:DMF
流速:0.6ml/min.
カラム温度:40℃
標準物質:ポリスチレン
検出器:RI
打ち込み量:0.5wt%溶液で10μL
(NMR測定条件)
溶媒:CDCl
濃度:5wt%
合成例1
ポリ〔(cis−4−シクロヘキセン−1,2−イミド)プロピルシルセスキオキサン〕の合成
攪拌装置、温度センサー、冷却管を備え付けた500mL4つ口フラスコに、予めモレキュラーシーブで乾燥したジグライム103.7gと、3−アミノプロピルトリメトキシシラン177.6gを投入し、攪拌しながら乾燥窒素流通下で100℃に昇温して系内の水分を除去した。次に80℃に反応液温度を維持しながらcis−4−シクロへキセン−1,2−ジカルボン酸無水物150.7gを30分かけて4分割投入した。投入終了後3時間でcis−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が完全に消費されているのを高速液体クロマトグラフィで確認した。
反応生成物をサンプリングしてH−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MSを測定し、下記化学式:
Figure 0005507108
の化合物を含有することを確認した。
H−NMR:0.72(t、2H)、1.81(m、2H)、2.23(dd、4H)、2.74(m、1H)、2.91(dd、1H)、3.48(dd、2H)、3.72(s、9H)、5.74(m、2H)、11.0(bs、1H)
13C−NMR:9.1、22.2、25.5、26.8、40.6、42.3、43.1、44.7、131.7、168.8、172.7
MALDI−TOF−MS:338(M+Li)
続いて脱イオン水53.4gを一括投入し冷却管で副生メタノールの還流が掛かるように昇温し、6時間保持したのち、冷却管をパーシャルコンデンサーに付け替えて再び昇温を開始し、副生メタノールおよび縮合水を回収しながら3時間かけて反応液温度を120℃に到達させた。120℃到達時にピリジン7.9gを投入してそのまま昇温を開始し、縮合水を回収しながら3時間かけて160℃に到達、同温度で2時間保持して室温まで冷却した。
反応生成物は不揮発分74.3%で濃褐色高粘度液体であり、GPCで分子量測定したところ数平均分子量2041、重量平均分子量2838であった。H−NMR、13C−NMRを測定し、下記化学式:
Figure 0005507108
の化合物を含有することを確認した。
H−NMR:0.25−0.55(bs、2H)、1.3−1.5(bs、2H)、2.0−2.5(dd、4H)、2.9−3.1(bs、2H)、3.2−3.35(bs、2H)、5.65−5.8(bs、2H)
13C−NMR:10.0、21.0、23.8、39.0、41.1、127.8、180.5
合成例2
ポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピルシルセスキオキサン}の合成
攪拌装置、温度センサー、冷却管を備え付けた300mL4つ口フラスコに、予めモレキュラーシーブで乾燥したジグライム35.1gと、3−アミノプロピルトリメトキシシラン30.8gを投入し、攪拌しながら乾燥窒素流通下で100℃に昇温して系内の水分を除去した。次に100℃のまま反応液温度を維持しながら5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物28.2gを30分かけて4分割投入した。投入終了後9時間で5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物が完全に消費されているのを高速液体クロマトグラフィで確認した。反応生成物をサンプリングしてH−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF−MSを測定し、下記化学式:
Figure 0005507108
の化合物を含有することを確認した。
H−NMR:0.40(t、2H)、1.35(m、2H)、1.46(dd、2H)、3.08−3.17(m、1H)、3.20(dd、2H)、3.28−3.37(m、1H)、3.40(s、9H)、3.42(m、1H)、3.48(m、1H)、5.91(s、2H)、6.22(bs、1H)、11.0(bs、1H)
13C−NMR:8.1、21.2、40.6、44.9、45.8、50.3、50.6、52.3、134.5、177.8、178.1
MALDI−TOF−MS:350(M+Li)
続いて脱イオン水9.3gを一括投入し冷却管で副生メタノールの還流が掛かるように昇温し、95℃で10時間保持したのち、冷却管をパーシャルコンデンサーに付け替えて再び昇温を開始し、副生メタノール及び縮合水を回収しながら3時間かけて反応液温度を120℃に到達させた。120℃到達時にピリジン1.4gを投入してそのまま昇温を開始し、縮合水を回収しながら3時間かけて160℃に到達、同温度で2時間保持して室温まで冷却した。
反応生成物は不揮発分58.2%で濃褐色高粘度液体であり、GPCで分子量測定したところ数平均分子量2340、重量平均分子量2570であった。H−NMR、13C−NMRを測定し、下記化学式:
Figure 0005507108
の化合物を含有することを確認した。
H−NMR:0.25−0.45(bs、2H)、1.2−1.45(bs、2H)、1.47(dd、2H)、3.0−3.2(bs、4H)、3.4−3.6(bs、2H)、5.8−6.0(bs、2H)
13C−NMR:9.7、21.5、40.4、44.9、45.7、50.1、134.2、178.0
(実施例1〜8、比較例1〜3:ガラス繊維強化プラスチック)
合成例1〜2で得られた最終生成液をアルミ皿にいれて、160℃5kPaの減圧オーブン内に放置することで揮発分を完全に脱揮して2種類のシラン化合物を単離した。
シラン化合物A:ポリ{γ−(cis−4−シクロヘキセン−1,2−イミド)プロピルシルセスキオキサン}
シラン化合物B:ポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピルシルセスキオキサン}
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製、商品名「EOCN1020−65」)、ジシクロペンタジエン系エポキシ樹脂(日本化薬社製、商品名「XD1000」)とシラン化合物A又はB、ビスマレイミド化合物(大和化成工業社製:商品名「BMI2300」、フェニルマレイミドのホルムアルデヒド架橋体)、フェノール樹脂(DIC社製、商品名「TD2090」)、ビフェニル型フェノールアラルキル樹脂(明和化成社製、商品名「MEH−7851−3H」)、イミダゾール化合物(四国化成工業社製、商品名「2E4MZ」)、メチルエチルケトンを下記表1の比率で溶解し、マトリックス樹脂とした。
なお、下記表1中、エポキシ1は、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂「EOCN1020−65」を表す。エポキシ2は、ジシクロペンタジエン系エポシキ樹脂「XD1000」を表す。フェノール1は、フェノール樹脂「TD2090」を表す。フェノール2は、ビフェニル型フェノールアラルキル樹脂「MEH−7851−3H」を表す。マレイミドは、ビスマレイミド化合物「BMI2300」を表す。シランAは、ポリ{γ−(cis−4−シクロヘキセン−1,2−イミド)プロピルシルセスキオキサン}を表す。シランBは、ポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピルシルセスキオキサン}を表す。2E4MZは、イミダゾール化合物「2E4MZ」を表す。MEKは、メチルエチルケトンを表す。εは、比誘電率を表す。tanδは、誘電正接を表す。
これをガラス繊維(旭化成エレクトロニクス社製、商品名「1037MS」)に含浸させ、80℃×5分の熱風オーブン中で乾燥させた。使用ガラス繊維量と乾燥後重量から含浸樹脂比率を算出したところ、いずれも40±1%であった。その後、真空加熱プレス成型により成型品を得た。成型条件は120℃×3分×1KPa、引き続き180℃×1時間×1KPaの2段階で行なった。
<繊維複合樹脂組成物の誘電特性評価>
温度センサー、攪拌装置、及び、減圧装置を付帯した100mLセパラブルフラスコ中に下記表に示す配合で化合物を投入して、1kPaの減圧雰囲気下で110℃、5分間の条件で溶融混合した後、2mm厚のスペーサー付ガラス製注型枠に流し込み、200℃のオーブン中に8時間放置後、脱型して繊維複合樹脂組成物の硬化板を得た。
樹脂硬化板から30mm四方の試験片を切り出し、誘電特性の測定を行った。測定には、エーイーティー社製TEMモード同軸共振器を用い、測定温度は23℃、測定周波数は1GHzとした。
<TGA分析>
得られた成型品の外観及び触感を確認し、TGA分析を実施した。
TGA分析は、比較としてポリフェニルシルセスキオキサン(小西化学工業社製、製品名「PPSQ−H」)を用い、下記条件で行った。
使用機器:TGA50H(島津製作所社製)
測定条件:温度領域30℃〜550℃
昇温速度:10℃/分
流通ガス:空気50mL/min
秤量10−15mg
<220℃重量減少率>
220℃重量減少率は、220℃、大気中に500時間放置後の成型品重量変化を調べた。
<銅箔ピール強度の測定>
上述した実施例1〜8、比較例1〜3のガラス繊維含浸樹脂組成物を得た後、ガラス繊維含浸樹脂組成物2枚を重ねたものを厚さ12μmのロープロファイル電解銅箔(福田金属箔粉工業社製、品番「CF−T9D−SV」、Rz:1.1μm)2枚でサンドイッチ構造にして真空加熱プレス成型により、銅張積層板を得た。成型条件は120℃×3分×1kPa、引き続き180℃×1時間×1kPaの2段階で行った。
次に塩化鉄(III)水溶液を用いて銅箔をエッチングして長さ100mm×幅10mmに調整し、銅箔の一端をはがして引っ張り試験機に固定してピール強度を測定した。測定条件はJIS C6481に準じた。
<吸湿特性>
上述した実施例1〜8、比較例1〜3のガラス繊維含浸樹脂組成物を得た後、ガラス繊維含浸樹脂組成物2枚を重ねたものを真空加熱プレス成型により、硬化板とした。成型条件は120℃×3分×1kPa、引き続き180℃×1時間×1kPaの2段階で行った。
次にプレッシャークッカーを用いて121℃×2時間×0.2MPaの飽和水蒸気雰囲気中に放置した後、処理前後での重量変化を調べて吸湿率を算出した。
<TMA特性>
上述の手法で得た硬化板を用いて厚さ方向の線膨張特性を調べた。測定装置としてはレーザー熱膨張計(アルバック理工社製、品番「LIX−1」)を用い、測定条件はJIS R3251に準じた。
なお、TMA測定は、信頼性評価の一つである。具体的には、厚み方向(Z方向)の平均熱膨張係数であり、CTE1がTg未満の温度範囲における係数、CTE2がTg以上の温度範囲における係数である。実施例は、いずれもCTE2がCTE1と同等に低い値(比較例では、CTE2が一桁異なって大きい。)を示す。このことは、該組成物の硬化物からなる成型体をプリント基板等に用いた場合に該成型体を用いた素子形成工程等で、成型体と積層された電極(例えば銅箔や銅メッキ)とが膨張、収縮に基づく剥離を起こし難いことを期待できるものである。成型体中には通常、厚み方向に配線(導電ペーストやアンダーフィル材料によって)が形成されるが、実施例のような材料であれば、電気的な接点不良等の問題を起こし難いことになる。
Figure 0005507108
(実施例9〜16、比較例4〜5:炭素繊維強化プラスチック)
合成例1〜2で得られた最終生成液をアルミ皿にいれて、160℃5kPaの減圧オーブン内に放置することで揮発分を完全に脱揮して2種類のシラン化合物を単離した。
シラン化合物A:ポリ{γ−(cis−4−シクロヘキセン−1,2−イミド)プロピルシルセスキオキサン}
シラン化合物B:ポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピルシルセスキオキサン}
液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名「jer828」)、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製、商品名「jer807」)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(日立化成工業社製、商品名「HN2000」)、メチル無水ナジック酸(日立化成工業社製、商品名「MHAC−P」)、マレイミド化合物(大和化成工業社製、商品名「BMI−4000」、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド)、シラン化合物AまたはB、イミダゾール化合物(四国化成社製、商品名「2E4MZ−CN」)、メチルエチルケトンを表2の比率で溶解し、マトリックス樹脂とした。
なお、下記表2中、エポキシ3は、液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂「jer828」を表す。エポキシ4は、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂「jer807」を表す。HN2000は、酸無水物「HN2000」を表す。MHAC−Pは、酸無水物「MHAC−P」を表す。マレイミドは、ビスマレイミド化合物「BMI4000」を表す。シランAは、ポリ{γ−(cis−4−シクロへキセン−1,2−イミド)プロピルシルセスキオキサン}を表す。シランBは、ポリ{γ−(5−ノルボルネン−2,3−イミド)プロピルシルセスキオキサン}を表す。2B4MZ−CNは、イミダゾール化合物「2E4MZ」を表す。MEKは、メチルエチルケトンを表す。220℃重量減少率は、220℃、大気中に500時間放置後の成型品重量変化である。
これを炭素繊維(東レ社製、商品名「T800H」)に含浸させ、80℃×5分の熱風オーブン中で乾燥させた。使用炭素繊維量と乾燥後重量から含浸樹脂比率を算出したところ、いずれも50±1%であった。その後、真空加熱プレス成型により成型品を得た。成型条件は120℃×3分×1KPa、引き続き150℃×30分×1KPaの2段階で行なった。
繊維複合樹脂組成物のTGA測定は、実施例1〜8、比較例1〜3と同様に行った。
Figure 0005507108
上述した実施例1〜8では、熱硬化性樹脂組成物が上述した平均組成式(m)で表されるシラン化合物であるポリ{γ−(cis−4−シクロヘキセン−1,2−イミド)プロピルシルセスキオキサン}又はポリ{γ−(5−ノルボルネン2,3−イミド)プロピルシルセスキオキサン}を必須成分として含有し、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂、フェノール樹脂及びビスマレイミド化合物の混合物を用い、繊維としてガラス繊維を用いたものが示され、低誘電性、低誘電正接の特性がより向上され、高温環境下においてより重量低下が抑制され、銅箔ピール強度がより大きくなり、吸湿率がより低く抑えられ、TMA測定においてガラス転移温度(Tg)前後における平均熱膨張係数差が小さいことが示されている。すなわち、弾性率、機械強度等の基本的性能を充分なものとしながら耐熱性や低誘電性、低誘電正接等の特性をより向上させ、プリント配線基板等の実装用途等に好適に用いることができるものであることが実証されている。これらと比較例1〜3の結果との対比、特に、実施例1〜8と同様に熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂、フェノール樹脂及びビスマレイミド化合物の混合物を用いる比較例3との対比により、熱可塑性樹脂組成物が上述したシラン化合物を必須成分として含有することが本発明の効果を奏するために必須であることが実証されている。
また、実施例9〜16では、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂及びビスマレイミド化合物の混合物を用い、繊維として炭素繊維を用いているが、このようなシラン化合物を用いない比較例4、5と比較して、高温環境下においてより重量低下が抑制されたものとなっている。
したがって、上述した実施例及び比較例では、熱硬化性樹脂組成物が熱硬化性樹脂及び上記平均組成式(m)で表されるシラン化合物を必須成分として含有し、繊維複合樹脂組成物が当該熱硬化性樹脂組成物及び繊維を含有する形態である限り、本発明の効果を生じさせる作用機構は同様である。すなわち、繊維複合樹脂組成物において少なくとも上記3成分を含有するところに本発明の本質的特徴があり、それら3成分が同様の化学的特徴を有するものであり、特定割合で含有されるものであれば、この実施例で示されるような効果を奏することになることは本発明の技術分野において明らかであるといえる。したがって、本発明における必須成分によって構成される繊維複合樹脂組成物とすれば、本発明の有利な効果を発現することは確実であるといえる。少なくとも、繊維としてガラス繊維又は炭素繊維を用いる場合においては、上述した実施例及び比較例で充分に本発明の有利な効果が立証され、本発明の技術的意義が裏付けられている。

Claims (4)

  1. 繊維複合樹脂組成物を調製するために用いられる熱硬化性樹脂組成物であって、
    該熱硬化性樹脂組成物は、熱硬化性樹脂及び下記平均組成式(m)で表されるシラン化合物(I)を必須成分として含有し、熱硬化性樹脂組成物を100質量%とすると、シラン化合物(I)が5〜80質量%であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
    XaYbZcSiOd (m)
    式中、Xは、同一若しくは異なって、イミド結合を有する有機骨格を表す。Xが占める割合は、シラン化合物(I)に含まれるケイ素原子100モルに対して、20〜100モルである。Yは、同一若しくは異なって、水素原子、水酸基、ハロゲン原子及びOR基からなる群より選ばれる少なくとも1種を表す。Rは、同一若しくは異なって、アルキル基、アシル基、アリール基及び不飽和脂肪族残基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を表し、置換基があってもよい。Zは、同一若しくは異なって、イミド結合を有さない有機基を表す。aは、0でない3以下の数であり、bは、0又は3未満の数であり、cは、0又は3未満の数であり、dは、0でない2未満の数であり、a+b+c+2d=4である。
  2. 前記熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂を含有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物及び繊維を含有する繊維複合樹脂組成物であって、
    該繊維複合樹脂組成物は、繊維複合樹脂組成物を100質量%とすると、熱硬化性樹脂組成物が25〜75質量%であり、繊維が75〜25質量%であり、
    該繊維は、炭素繊維及び/又はガラス繊維である
    ことを特徴とする繊維複合樹脂組成物。
  4. 請求項に記載の繊維複合樹脂組成物を硬化して得られることを特徴とする成型体。
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