JP5672788B2 - ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体とその製造方法、並びに熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板 - Google Patents
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Description
また、近年の環境問題から、鉛フリーはんだによる電子部品の搭載やハロゲンフリーによる難燃化が要求され、そのため従来のものよりも高い耐熱性及び難燃性が必要とされる。
さらに、製品の安全性や作業環境の向上化のため、毒性の低い成分のみで構成され、毒性ガス等が発生しない熱硬化性樹脂が望まれている。
しかしながら、特許文献1〜7に記載のポリアゾメチンは、三次元に架橋し不融、不溶化する熱硬化性樹脂とは異なり、銅張積層板や層間絶縁材料として使用した場合、耐熱性や成形性が不足する場合がある。
また、特許文献8に記載の熱硬化性ポリアゾメチン樹脂は、耐熱性や強靭性の改良が依然不足であり、これらを近年要求される銅張積層板や層間絶縁材料として使用した場合も、耐熱性や信頼性、加工性等が不足する場合がある。
また、高密度化に伴い基材は、より薄型化される方向にあり、熱処理時における基材のそりが小さいことが必要となる。低そり化のためには基材が低熱膨張性であることが有効であり、その熱膨張係数は25ppm/℃以下であること、特に20ppm/℃以下であることが望まれている。高密度化のためビルドアップ材等を用いてより高多層化することも必要であり、高いリフロー耐熱性が必要であるが、リフロー耐熱性評価の指針となる銅付き耐熱性(T−300)は、30分以上ふくれ等が生じないことが望まれている。
さらに、高密度化に伴い基材はより信頼性が要求される方向にあり、ドリル加工時のドリル穴の内壁粗さも小さいことが必要となる。ドリル穴の内壁粗さの評価は、めっき銅の染み込み性により評価され、めっき染み込み長さの最大が20μm以下であること、特に15μm以下であることが望まれている。
高速応答性の要求も増え続けており、基材の比誘電率は5.0以下であること、また誘電正接は0.020以下であることが望まれている。
すなわち、本発明は、以下のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体とその製造方法、並びに熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板を提供するものである。
7.更に、硬化促進剤(B)を含有する上記6の熱硬化性樹脂組成物。
8.更に、無機充填剤(C)を含有する上記6又は7の熱硬化性樹脂組成物。
9.更に、難燃剤(D)を含有する上記6〜8のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
10.上記6〜9のいずれかの熱硬化性絶縁樹脂組成物がシート状補強基材中に含浸又は塗工されていることを特徴とするプリプレグ。
11.絶縁樹脂層が、上記6〜9のいずれかの熱硬化性絶縁樹脂組成物又は上記5のプリプレグを用いて形成されたものであることを特徴とする積層板。
製造法A:一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a)を、一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)と有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより、一般式(V)に示す末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物(c)を製造し、次いで前記化合物(c)と、一般式(VI)に示す1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体を製造する。
製造法B:一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a)と一般式(VI)に示す1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより、一般式(VII)に示す1級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)を製造し、次いでこの化合物(e)と、一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)、又は一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)と一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a)を有機溶媒中で脱水縮合反応させることによりポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)を製造する。
製造法C:一般式(III)に示す1分子中に2個の1級アミノ基を有する化合物(a)と、一般式(VI)に示す1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)とを有機溶媒中でマイケル付加反応させ、一般式(VII)に示す分子中に1級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)を製造し、次いでこのマレイミド誘導体(e)と、一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)、又は一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)と一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a)を、有機溶媒に溶解した混合樹脂溶液を製造し、次いでこの混合樹脂溶液を塗布したものを100〜200℃で熱処理することにより脱水縮合反応させ、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)を製造する。
上記A、B、Cのどの製造方法で本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)を製造してもよく、製造法A及び製造法Bは、特に合成の終点管理がし易い特長を有する製造法であり、また、製造法Cは、本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)の溶剤溶解性が不足する場合に、特に有効な製造法である。
ここで、アミノ化合物(a)とアルデヒド化合物(b)の使用量は、アミノ化合物(a)の一級アミノ基数〔アミノ化合物(a)の使用量/アミノ化合物(a)の一級アミノ基当量〕が、アルデヒド化合物(b)のアルデヒド基数〔アルデヒド化合物(b)の使用量/アルデヒド化合物(b)のアルデヒド基当量〕を超えるように使用されることが望ましい。アミノ化合物(a)の一級アミノ基数が、アルデヒド化合物(b)のアルデヒド基数以下であると合成の収率が著しく低下したり、合成中にゲル化や不溶化を起こしたり、また、これをもとに得られるビスマレイミド誘導体の耐熱性が低下する場合がある。
脱水縮合反応には、必要により任意に反応触媒を使用することができ、該触媒は特に限定されない。反応触媒の例としては、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。脱水縮合反応を効率よく進行させるため、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒が特に好ましい。
反応温度は25〜200℃が好ましく、温度が25℃より低いと反応速度が遅くなり、温度が200℃より高いと反応溶媒に高沸点の溶媒を必要とするため、プリプレグを製造する際、残溶剤を残し易くなり耐熱性が低下する場合がある。溶解性に優れるジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン等と、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤を併用し共沸により副生成物である水を除去しながら反応することが望ましく、反応温度は120〜200℃が特に好ましい。
マレイミド化合物(d)としては、例えば、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、下記一般式(VIII)で表されるポリフェニルメタンマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンなどが挙げられる。
マイケル付加反応で使用される有機溶媒には、前記の脱水縮合反応と同様の溶媒が使用される。また、マイケル付加反応には、前記の脱水縮合反応と同様の反応触媒を任意に使用することができる。
マイケル付加反応の反応温度は25〜200℃が好ましく、100〜160℃が特に好ましい。反応温度が25℃より低いと反応速度が遅く、また反応温度が200℃より高いとゲル化を引き起し易い。
得られたポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)は、少量の試料を取り出し、GPC測定、及び再沈殿により精製した試料のIR測定を行うことにより確認することができる。GPC測定により合成されたビスマレイミド誘導体のピークが出現することを確認し、また、IR測定によりビスマレイミドのイミド基に起因する1710cm-1、及びシッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1のピークが出現することを確認することにより、マイケル付加反応が良好に進行し所望の化合物が製造されていることを確認できる。
製造法Bでは、初めにアミノ化合物(a)とマレイミド化合物(d)とを有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより、分子構造中に1級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)を製造し、次いでこのマレイミド誘導体(e)と、アルデヒド化合物(b)、又はアルデヒド化合物(b)及びアミノ化合物(a)を有機溶媒中で脱水縮合反応させることによりポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)が製造される。
製造法Bにおいて、アミノ化合物(a)は製造法Aのアミノ化合物(a)と同じであり、マレイミド化合物(d)、アルデヒド化合物(b)および有機溶媒は製造法Aのものと同じである。
このマイケル付加反応において、マレイミド化合物(d)と、アミン化合物(a)の使用量は、マレイミド化合物(d)のマレイミド基数〔マレイミド化合物(d)の使用量/マレイミド化合物(d)のマレイミド基当量〕が、アミン化合物(a)の一級アミノ基数〔アミン化合物(a)の使用量/アミン化合物(a)の一級アミノ基当量〕の2.0〜10.0倍の範囲になるように使用することが望ましい。10.0倍を超えると溶剤への溶解性が不足したり熱硬化性樹脂の耐熱性が低下することがあり、2.0倍未満であるとゲル化を起こしたり、熱硬化性樹脂の耐熱性が低下することがある。
アミン化合物(a)、マレイミド化合物(d)、有機溶媒、必要により反応触媒を合成釜に仕込み、必要により加熱・保温しながら0.1〜10時間攪拌し、マイケル付加反応させることにより、一般式(VII)に示す一級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)が製造される。
マイケル付加反応の温度は、80〜200℃が好ましく、100℃〜160℃が特に好ましい。温度が80℃より低いと反応速度が遅くなり、また温度が200℃より高いとゲル化を引き起こし易い。得られた一級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)は、少量の試料を取り出し、GPC測定を行うことにより確認することができる。GPC測定により合成されたマレイミド誘導体のピークが出現することを確認することにより、良好に合成反応が進行し所望の化合物が製造されていることを確認できる。
ここで、アルデヒド化合物(b)とアミノ化合物(a)の使用量は、マレイミド誘導体(e)の一級アミノ基数〔マレイミド誘導体(e)の使用量/マレイミド誘導体(e)の一級アミノ基当量〕と、アミノ化合物(a)の一級アミノ基数〔アミノ化合物(a)の使用量/アミノ化合物(a)の一級アミノ基当量〕の合計が、アルデヒド化合物(b)のアルデヒド基数〔アルデヒド化合物(b)の使用量/アルデヒド化合物(b)のアルデヒド基当量〕の0.1〜4.0倍の範囲になるように使用されることが望ましい。4.0倍を超えると溶剤への溶解性が不足したり熱硬化性樹脂の耐熱性や銅箔接着性が低下することがあり、0.1倍未満であるとゲル化を起こしたり、熱硬化性樹脂の耐熱性や断熱性が低下することがある。
有機溶媒の使用量は、アミン化合物(a)、マレイミド化合物(d)、アルデヒド化合物(b)およびアミノ化合物(a)の合計量100質量部当たり、25〜2000質量部とすることが好ましく、40〜1000質量部とすることがより好ましく、40〜500質量部とすることが特に好ましい。有機溶剤の使用量が25質量部より少ないと溶解性が不足し、また2000質量部より多いと合成に長時間を要し、製造コストが高くなる。使用される有機溶媒は製造法Aの場合と同様である。また、この脱水縮合反応には製造法Aの場合と同様の反応触媒を任意に使用することができる。
脱水縮合反応温度は25〜200℃が好ましい。反応温度が25℃より低いと反応速度が遅くなる。また反応温度が200℃より高い場合には、脱水縮合反応の溶媒に高沸点溶媒を必要とするため、プリプレグを製造する際、残溶剤を残し易くなり耐熱性が低下することがある。有機溶媒として、溶解性に優れるジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノンや、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤を併用し、共沸により副生成物である水を除去しながら脱水縮合反応をすることが望ましく、反応温度は120〜200℃が特に好ましい。
製造法Bで得られたポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)は、製造法Aと同様の方法で、良好に脱水縮合反応が進行し所望の化合物が製造されていることを確認できる。
製造法Cでは、初めに、アミノ化合物(a)とマレイミド化合物(d)とを有機溶媒中でマイケル付加反応させ、1級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)を製造し、次いでこのマレイミド誘導体(e)と、アルデヒド化合物(b)、又はアルデヒド化合物(b)及びアミノ化合物(a)を有機溶媒に溶解した混合樹脂溶液を製造し、次いでこの混合樹脂溶液を塗布したものを100〜200℃で熱処理することにより脱水縮合反応させることによりポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)が製造される。
なお製造法Cにおいても、アミノ化合物(a)は製造法Aのアミノ化合物(a)と同じであり、マレイミド化合物(d)、アルデヒド化合物(b)および有機溶媒は製造法Aのものと同じである。
次いで、得られたマレイミド誘導体(e)と、アルデヒド化合物(b)、又はアルデヒド化合物(b)とアミノ化合物(a)を有機溶媒に溶解して混合樹脂溶液を製造し、次いでこの混合樹脂溶液を塗布したものを熱処理して脱水縮合反応させることにより、本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)が製造される。
ここで、アルデヒド化合物(b)とアミノ化合物(a)の使用量、有機溶媒及びその使用量、並びに反応触媒についても、製造法Bの場合と同様である。
次いで、この混合樹脂溶液を、ガラス基材を用いた含浸塗工やフィルム等の支持体上にキャストすること等により塗布したものを、乾燥機中で100〜200℃で熱処理することにより脱水縮合させ、本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)を製造することができる。
この製造法Cは、本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)自体が乾式で製造されるため、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)自体の溶剤溶解性が不足する場合、特に有効な製造法である。
乾燥機の温度が100℃未満であると、脱水縮合反応が不十分であったり、残溶剤が多くなるため耐熱性や弾性率が低下する場合がある。また、乾燥機の温度が200℃を超えると、ビスマレイミドの重合等によりゲル化が進行し、成形性が低下する場合がある。
製造法Cで得られたポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)は、製造法Aと同様にして、良好に脱水縮合反応が進行し所望の化合物が製造されていることを確認できる。
得られた熱硬化性樹脂組成物は、低熱膨張性、高ガラス転移温度、低誘電性を有し、かつ銅箔接着性、はんだ耐熱性、銅付き耐熱性、難燃性、ドリル加工性の全てにバランスよく優れ、毒性が低く安全性や作業環境にも優れており、電子部品等に好適に用いられる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物に用いられる硬化促進剤(B)としては、イミダゾール類及びその誘導体、第三級アミン類及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。その中でもイミダゾール類及びその誘導体が高弾性率性や難燃性、銅箔接着性等の点から好ましい。
更に下記一般式(IX)で表されるイミダゾール基がエポキシ樹脂によって置換された化合物や、下記一般式(X)で表されるイソシアネート樹脂によって置換された化合物が200℃以下での比較的低温での硬化成形性とワニスやプリプレグの経日安定性に優れるためより好ましく、下記一般式(XI)又は(XII)で表される化合物が少量の配合使用量でよく、また商業的にも安価であることから特に好ましい。
無機充填剤(C)としては、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、ガラス短繊維又は微粉末及び中空ガラス、炭酸カルシウム、石英粉末等が挙げられるが、これらの中で、銅箔接着性、耐熱性、難燃性の点からシリカ、アルミナ、マイカ、タルク等が好ましく、高放熱性の点からシリカ、アルミナが特に好ましい。
難燃剤(D)の例としては、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水和物、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、ホスファゼン、赤リン等のリン系難燃剤、三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機難燃助剤等が挙げられる。臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤は、近年の環境問題から本発明の目的にそぐわない。
これらの難燃剤の中で、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水和物が、高いガラス転移温度や銅箔接着性を発現することができ、またリンを含有しないことから安全性や環境適応性もかなり高いので好ましい。
金属水和物の中でも、ベーマイト型水酸化アルミニウム(AlOOH)、あるいはギブサイト型水酸化アルミニウム〔Al(OH)3〕を熱処理によりその熱分解温度を300℃以上に調整した化合物、水酸化マグネシウム等の、熱分解温度が300℃以上である金属水和物は、優れた耐熱性を有するためより好ましい。特に、ベーマイト型水酸化アルミニウム(AlOOH)は、350℃以上の特に高い熱分解温度を有するため、難燃性と、特に高い耐熱性が両立することや、耐酸性等の耐薬液性、低吸水率性等に優れるため、特に好ましい。
同様に、無機充填剤(C)を含有させる場合、その使用量は、固形分換算のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)100質量部当たり、10〜300質量部とすることが好ましく、20〜200質量部とすることがより好ましく、30〜200質量部とすることが特に好ましい。無機充填剤(C)の含有量が300質量部を超えると耐めっき液性等の耐薬品性や成形性が低下する場合がある。
難燃剤(D)がリン系難燃剤である場合は、固形分換算のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)100質量部当たり、リン原子の含有量が0.1〜10.0質量部となるように配合することが好ましく、1.0〜10.0質量部となるように配合することがより好ましく、1.0〜8.0質量%となるように配合することが特に好ましい。0.1質量%未満であると難燃性が不足する場合があり、10.0質量部を越えると耐めっき液性などの耐薬品性や耐熱性、銅箔接着性が低下する場合がある。
また、難燃剤(D)に難燃助剤を使用することができる。難燃助剤としては、三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機難燃助剤を使用することができる。その使用量は、固形分換算のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)100質量部当たり、0.1〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜10質量部とすることがより好ましい。20質量部を越えると耐めっき液性等の耐薬品性が低下する場合がある。
熱可塑性樹脂としては、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂などが挙げられる。
エラストマーとしては、ポリブタジエン、アクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性アクリロニトリルなどが挙げられる。
有機充填剤としては、シリコーンパウダー、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びポリフェニレンエーテル等の有機物粉末等が挙げられる。
プリプレグのシート状補強基材として、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物等が挙げられる。これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。
シート状補強基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。該基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90質量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを得ることができる。
成形条件は、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。
また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
なお、各実施例及び比較例で得られた銅張積層板は、以下の方法により性能を測定・評価した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより1cm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機を用いて銅箔の接着性(ピール強度)を測定した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板の厚み方向(Z方向)の熱膨張特性から測定した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、2atmの条件で4時間プレッシャー・クッカー処理を行った後、温度288℃のはんだ浴に、評価基板を20秒間浸漬した後、外観を観察することによりはんだ耐熱性を評価した。(外観にふくれがあったものを「ふくれ」と記す。)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板の厚み方向(Z方向)の30〜100℃の線熱膨張率を測定した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、長さ127mm、幅12.7mmに切り出した試験片を作製し、UL94の試験法(V法)に準じて評価した。
銅張積層板から5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、300℃で評価基板の膨れが発生するまでの時間を測定することにより評価した。(昇温時にふくれがあったものを「昇温時ふくれ」と記す。)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、Hewllet・Packerd社製比誘電率測定装置(製品名:HP4291B)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
ドリルに径0.105mm(ユニオンツールMV J676)を用い、回転数:160000rpm、送り速度:0.8m/min、重ね枚数:1枚の条件でドリル加工を行い、6000ヒットさせて評価基板を作製し、ドリル穴の内壁粗さを評価した。内壁粗さの評価は、無電解銅めっきを行い(めっき厚:15μm)、穴壁へのめっき染み込み長さの最大値を測定することにより評価した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積3リットルの反応容器に、テレフタルアルデヒド:134.0g、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル:424.0g、プロピレングリコールモノメチルエーテル:405.7g及びトルエン:278.0gを配合し、攪拌しながら昇温し、約115〜125℃で4時間還流脱水反応を行った後、室温に冷却し、末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約13.7分付近に出現する合成原料であるテレフタルアルデヒド、及び、約12.8分付近に出現する3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニルに由来するピークが消失していた。
さらに、少量取り出した反応溶液を、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行った。その測定結果を第1図に示す。
第1図によれば、アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基に起因する1700cm-1付近、及び2750cm-1、2800cm-1付近のピークは確認されず、また、シッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近の強いピーク、及び1級アミノ基に起因する3440cm-1、及び3370cm-1付近のピークが確認でき、下記化学式(XIII)の化合物が製造されていることを確認される。
この反応溶液を少量取り出し、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合重量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行った。その測定結果を第2図に示す。
第2図によれば、ビスマレイミドのイミド基に起因する1715cm-1付近、及びシッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近のピークが確認でき、下記化学式(XIV)のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体が製造されていることを確認される。
なお、製造実施例1において、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニルの一級アミノ基数は4.0であり、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は2.0である。また、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンのマレイミド基数は、末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物(XIV)の一級アミノ基数の2.0倍である。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、テレフタルアルデヒド:134.0gと、p−フェニレンジアミン:108.0g、及びN、N−ジメチルアセトアミド:601.6gとトルエン:396.6gを配合し、攪拌しながら昇温し、約115〜125℃で4時間還流脱水反応を行った。
次いで、4,4'−ジアミノジフェニルメタン:396.0gを添加し、攪拌しながら昇温し、更に約115〜125℃で4時間還流脱水反応を行った後、室温に冷却し、末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約13.7分付近に出現する合成原料であるテレフタルアルデヒド、及び、約13.2分付近に出現するp−フェニレンジアミン、約12.8分付近に出現する4,4'−ジアミノジフェニルメタンに由来するピークが消失していた。
さらに、少量取り出した反応溶液を、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、アルデヒド基を有する化合物のアルデヒド基に起因する1700cm-1付近、及び2750cm-1、2800cm-1付近のピークは確認されず、また、シッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近の強いピーク、及び1級アミノ基に起因する3440cm-1、及び3370cm-1付近のピークが確認でき、下記化学式(XV)の化合物が製造されていることを確認した。
この反応溶液を少量取り出し、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合質量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、ビスマレイミドのイミド基に起因する1715cm-1付近、及びシッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近のピークが確認でき、下記化学式(XVI)のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体が製造されていることを確認した。
なお、製造実施例2において、p−フェニレンジアミンと4,4'−ジアミノジフェニルメタンの一級アミノ基数の合計は4.0であり、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は2.0である。また、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンのマレイミド基数は、末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物(XVI)の一級アミノ基数の2.0倍である。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン:1140.0gと、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタン:226.0g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:540.5gとトルエン:328.9gを配合し、攪拌しながら115〜125℃で2時間還流した。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.8分付近に出現する4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタンに由来するピークが消失し、また、溶出時間が約11.3分付近に合成原料と異なるピークが出現し、下記化学式(XVII)の化合物が製造されていることを確認した。
この反応溶液を少量取り出し、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合重量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、ビスマレイミドのイミド基に起因する1715cm-1付近、及びシッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近のピークが確認でき、下記化学式(XIII)のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体が製造されていることを確認した。
なお、製造実施例3において、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンのマレイミド基数は、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタンの一級アミノ基数の2.0倍であり、また、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は、化学式(XVIII)の化合物の一級アミノ基数の1.0倍である。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド:1768.0gと、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン:410.0g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:842.2gとトルエン:514.5gを配合し、攪拌しながら115〜125℃で2時間還流した。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.0分付近に出現するビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパンに由来するピークが消失し、また、溶出時間が約11.0分付近に合成原料と異なるピークが出現し、下記化学式(XIX)の化合物が製造されていることを確認した。
この反応溶液を少量取り出し、メタノールとベンゼンの混合溶媒(混合重量比1:1)に滴下して再沈殿させることにより、精製された固形分を取り出し、FT−IR測定を行ったところ、ビスマレイミドのイミド基に起因する1715cm-1付近、及びシッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近のピークが確認でき、下記化学式(XX)のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体が製造されていることを確認した。
なお、製造実施例4において、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンのマレイミド基数は、4,4'−ジアミノ−3,3'−ジメチル−ジフェニルメタンの一級アミノ基数の2.0倍であり、また、テレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は、化学式(XX)の化合物の一級アミノ基数の1.0倍である。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:716.0gと、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン:410.0g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:842.2gとトルエン:514.5gを配合し、攪拌しながら115〜125℃で2時間還流した。次いで、130℃まで昇温して常圧濃縮した後、冷却し、100℃でシクロヘキサノン:1318.8gを添加し、攪拌しながら室温まで冷却してビスマレイミド誘導体(C−1)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.0分付近に出現するビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパンに由来するピークが消失し、また、溶出時間が約11.1分付近に合成原料と異なるピークが出現し、下記化学式(XXI)の化合物〔マレイミド誘導体(C−1)〕が製造されていることを確認した。
なお、製造実施例5において、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンのマレイミド基数は、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパンの一級アミノ基数の2.0倍である。マレイミド誘導体(C−1)は実施例5においてテレフタルアルデヒドと共に有機溶媒に溶解し、熱処理することにより脱水縮合反応し、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)となる。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積5リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:716.0gと、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル:106.0g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:325.6gとトルエン:191.3gを配合し、攪拌しながら115〜125℃で2時間還流した。次いで、130℃まで昇温して常圧濃縮した後、冷却し、100℃でシクロヘキサノン:477.7gを添加し、攪拌しながら室温まで冷却してマレイミド誘導体(C−2)の溶液を得た。
この反応溶液を少量取り出し、GPC測定(ポリスチレン換算、溶離液:テトラヒドロフラン)を行ったところ、溶出時間が約12.8分付近に出現する3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニルに由来するピークが消失し、また、溶出時間が約11.1分付近に合成原料と異なるピークが出現し、下記化学式(XXII)の化合物〔マレイミド誘導体(C−2)〕が製造されていることを確認した。
なお、製造実施例6において、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンのマレイミド基数は、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニルの一級アミノ基数の4.0倍である。マレイミド誘導体(C−2)は実施例6においてテレフタルアルデヒドと共に有機溶媒に溶解し、熱処理することにより脱水縮合反応し、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)となる。
希釈溶剤にメチルエチルケトンを使用し、製造実施例1〜4で得られたポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体A−1、A−2、B−1、B−2、製造実施例5と6で得られたマレイミド誘導体C−1、C−2とアルデヒド化合物、又は比較例に用いるビスマレイミド誘導体と、硬化促進剤、無機充填剤及び難燃剤を、第1表及び第2表に示した配合割合(質量部)で混合して樹脂分60質量%の均一なワニスを得た。
次に、上記ワニスを厚さ0.2mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量55質量%のプリプレグを得た。
さらに、これらのプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、温度230℃で120分間プレスを行って銅張積層板を得た。
このようにして得られた銅張積層板を用いて、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、耐熱性〔ガラス転移温度(Tg)及びはんだ耐熱性〕、難燃性、誘電特性〔比誘電率(1GHz)及び誘電正接(1GHz)〕、ドリル加工性を、前記の方法で測定・評価した。その結果を第1表及び第2表に示す。
(1)硬化促進剤(B)
・P−200(ジャパンエポキシレジン社製:商品名、前記(XI)式で表されるエポキシマスクイミダゾール)
・G−8009L(第一工業製薬社製:商品名、前記(XII)式で表されるイソシアネートマスクイミダゾール)
・溶融シリカ(アドマテックス社製:商品名SO−25R)
(3)難燃剤(D)
・AlOOH:ベーマイト型水酸化アルミニウム(河合石灰社製:商品名BMT−3L、熱分解温度:400℃)
・Mg(OH)2:水酸化マグネシウム(関東化学社製、熱分解温度:350℃)
・TPP:トリフェニルホスフェート(関東化学社製、リン含有量:9.6〜9.7質量%)
(4)ビスマレイミド誘導体
・BMI:ビス(4−マレイミドフェニル)メタン(ケイアイ化成社製:商品名、マレイミド当量179)
・BMI−80:2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイアイ化成社製:商品名、マレイミド当量285)
なお、実施例5におけるテレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は、マレイミド誘導体(C−1)の一級アミノ基数の2.0倍である。
また、実施例6におけるテレフタルアルデヒドのアルデヒド基数は、ビスマレイミド誘導体(C−2)の一級アミノ基数の1.0倍である。
図3及び図4において、ビスマレイミドのイミド基に起因する1715cm-1付近、及びシッフ塩基(−N=CH−)に起因する1620cm-1付近のピークが確認でき、ポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体が製造されていることが確認される。
これに対し、第2表から明らかなように、本発明のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体を含有しない比較例1〜3では、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、高ガラス転移温度、はんだ耐熱性、熱膨張性、銅付き耐熱性、難燃性、低誘電特性、ドリル加工性の全ての特性が、実施例より劣ったプレプリグ及び積層板しか得られていない。
Claims (11)
- 下記一般式(I)で表されるポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体。
(式中、*は結合部分を示す。なお、この*は結合部分が明確でない場合のみに使用する。以下の化学式においても同様である。)
- 下記一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a)を、下記一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)と有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより、下記一般式(V)に示す末端に1級アミノ基を有するポリアゾメチン化合物(c)を製造し、次いで前記化合物(c)と、下記一般式(VI)に示す1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより、請求項1又は2に記載のビスマレイミド誘導体を製造することを特徴とするポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体の製造法。
- 下記一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a)と下記一般式(VI)に示す1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)を有機溶媒中でマイケル付加反応させることにより、下記一般式(VII)に示す1級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)を製造し、次いでこの化合物(e)と、下記一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)、又は下記一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)と下記一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a)とを有機溶媒中で脱水縮合反応させることにより請求項1又は2に記載のビスマレイミド誘導体を製造することを特徴とするポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体の製造法。
- 下記一般式(III)に示す1分子中に2個の1級アミノ基を有する化合物(a)と、下記一般式(VI)に示す1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(d)とを有機溶媒中でマイケル付加反応させ、下記一般式(VII)に示す分子中に1級アミノ基を有するマレイミド誘導体(e)を製造し、次いでこのマレイミド誘導体(e)と、下記一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)、又は下記一般式(IV)に示す1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(b)と下記一般式(III)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(a)を、有機溶媒に溶解した混合樹脂溶液を製造し、次いでこの混合樹脂溶液を塗布したものを100〜200℃で熱処理することにより脱水縮合反応させ、請求項1又は2に記載のビスマレイミド誘導体を製造することを特徴とするポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体の製造法。
- 請求項1又は2に記載のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
- 更に、硬化促進剤(B)を含有する請求項6に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 更に、無機充填剤(C)を含有する請求項6又は7に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 更に、難燃剤(D)を含有する請求項6〜8のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項6〜9のいずれかに記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物がシート状補強基材中に含浸又は塗工されていることを特徴とするプリプレグ。
- 絶縁樹脂層が、請求項6〜9のいずれかに記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物又は請求項10に記載のプリプレグを用いて形成されたものであることを特徴とする積層板。
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