JP5447268B2 - 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板 - Google Patents
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また、近年の環境問題から、鉛フリーはんだによる電子部品の搭載やハロゲンフリーによる難燃化が要求され、そのため従来のものよりも高い耐熱性及び難燃性が必要とされる。
さらに、製品の安全性や作業環境の向上化のため、毒性の低い成分のみで構成され、毒性ガス等が発生しない熱硬化性樹脂が望まれている。
低熱膨張性を発現する樹脂としては、シアネート化合物と無機充填剤とを含む樹脂組成物(例えば、特許文献1参照)、シアネート化合物と無機充填剤とエポキシ樹脂とを含む樹脂組成物(例えば、特許文献2参照)、シアネート化合物と無機充填剤とエポキシ樹脂とフェノール樹脂とを含む樹脂組成物(例えば、特許文献3参照)、シアネート樹脂とアラルキル変性エポキシ樹脂を必須成分として含有する熱硬化性樹脂(例えば、特許文献4および5参照)などが開示されている。
また、特許文献4および5に記載の熱硬化性樹脂は、必須成分であるシアネート樹脂が靭性や硬化反応性に劣る樹脂であり、この熱硬化性樹脂の硬化反応性や強靭性が依然不足しており、これらを銅張積層板や層間絶縁材料として使用した場合も、耐熱性や信頼性、加工性等が不足することがある。
例えば、微細配線形成のため銅箔接着性としては、銅箔ピール強度が1.0kN/m以上であること、特に1.2kN/m以上であることが望まれている。
また、高密度化に伴い基材はより薄型化される方向にあり、熱処理時における基材のそりが小さいことが必要となる。低そり化のためには基材が低熱膨張性であることが有効であり、その熱膨張係数は25ppm/℃以下であること、特に20ppm/℃以下であることが望まれている。
さらに、高密度化のためビルドアップ材等を用いてより高多層化することも必要であり、高いリフロー耐熱性が必要であるが、リフロー耐熱性評価の指針となる銅付き耐熱性(T−300)は、30分以上ふくれ等が生じないことが望まれている。
さらに、高速応答性の要求も増え続けており、基材の比誘電率は5.0以下であること、また誘電正接は0.020以下であることが望まれている。
すなわち、本発明は、以下の熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板を提供するものである。
3.更に、エポキシ樹脂(F)を含有する上記1又は2の熱硬化性樹脂組成物。
4.更に、無機充填剤(G)を含有する上記1〜3のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
5.上記1〜4のいずれかの熱硬化性絶縁樹脂組成物がシート状補強基材中に含侵又は塗工されていることを特徴とするプリプレグ。
6.絶縁樹脂層が、上記1〜4のいずれかの熱硬化性絶縁樹脂組成物又は上記5のプリプレグを用いて形成されたものであることを特徴とする積層板。
次に、本発明の熱硬化性樹脂組成物の各成分について説明する。
また、アルデヒド化合物(C)の使用量は、アルデヒド化合物(C)のアルデヒド基の数〔即ち、アルデヒド化合物(C)の使用量/アルデヒド化合物(C)のアルデヒド基当量〕NCと、アミノ化合物(B)の一級アミノ基の数〔即ち、アミノ化合物(B)の使用量/アミノ化合物(B)の一級アミノ基当量〕NBの比率が、3.0≧NC/NB≧0.1である範囲になるように使用されることが望ましい。NC/NBが3.0を超えると耐熱性や低熱膨張性が不足することがあり、NC/NBが0.1未満であるとガラス転移温度や弾性率が低下することがある。
使用される有機溶媒は、これらの中で溶解性の点からジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶剤として残り難いジメチルアセトアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
有機溶媒の使用量は、溶解性と生産性の観点から、マレイミド化合物(A)、アミノ化合物(B)及びアルデヒド化合物(C)の合計量100質量部当たり、25〜2000質量部とすることが好ましく、40〜1000質量部とすることがより好ましい。
また、更に下記一般式(V)で表されるイミダゾール基がエポキシ樹脂によって置換された化合物や、下記一般式(VI)で表されるイミダゾール基がイソシアネート樹脂によって置換された化合物を使用すると、200℃以下での比較的低温での硬化成形性とワニスやプリプレグの経日安定性に優れるためにより好ましく、一般式(VII)や一般式(VIII)で表される化合物が少量の配合でよく、また商業的にも安価であることから特に好ましい。
これらの中で、誘電特性、耐熱性、耐湿性及び銅箔接着性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が好ましく、難燃性や成形加工性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましく、ドリル加工性が良好となる点や高難燃性となる点から、下記一般式(IX)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂が特に好ましい。なお、該一般式(IX)のmは1以上の正数である。
また、難燃助剤として、三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機難燃助剤を併用する場合、その使用量は、マレイミド化合物(A)、アミノ化合物(B)及びアルデヒド化合物(C)の合計量100質量部(固形分換算)当たり、0.1〜20質量部とすることが好ましく、0.1〜10質量部とすることがより好ましい。20質量部を越えると耐めっき液性等の耐薬品性が低下することがある。
熱可塑性樹脂としては、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
有機充填剤としては、シリコーンパウダー、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、並びにポリフェニレンエーテル等の有機物粉末等が挙げられる。
プリプレグのシート状補強基材として、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物等が挙げられる。これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。
シート状補強基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。該基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90質量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを得ることができる。
成形条件は、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば、多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。
また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
なお、各実施例及び比較例で得られた銅張積層板は、以下の方法により性能を測定・評価した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより1cm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機を用いて銅箔の接着性(ピール強度)を測定した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板の厚み方向(Z方向)の熱膨張特性から測定した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、2atmの条件で4時間プレッシャー・クッカー処理を行った後、温度288℃のはんだ浴に、評価基板を20秒間浸漬した後、外観を観察することによりはんだ耐熱性を評価した。(外観にふくれがあったものを「ふくれ」と記す。)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板の厚み方向(Z方向)の30〜100℃の線熱膨張率を測定した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、長さ127mm、幅12.7mmに切り出した試験片を作製し、UL94の試験法(V法)に準じて評価した。
銅張積層板から5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、300℃で評価基板の膨れが発生するまでの時間を測定することにより評価した。(昇温時にふくれがあったものを「昇温時ふくれ」と記す。)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、Hewllet・Packerd社製比誘電率測定装置(製品名:HP4291B)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
ドリルに径0.105mm(ユニオンツールMV J676)を用い、回転数:160000rpm、送り速度:0.8m/min、重ね枚数:1枚の条件でドリル加工を行い、6000ヒットさせて評価基板を作製し、ドリル穴の内壁粗さを評価した。内壁粗さの評価は、無電解銅めっきを行い(めっき厚:15μm)、穴壁へのめっき染み込み長さの最大値を測定することにより評価した。
マレイミド化合物(A)、アミノ化合物(B)、アルデヒド化合物(C)、難燃剤(D)、及び必要により硬化促進剤(E)、エポキシ樹脂(F)、無機充填剤(G)を併用し、希釈溶剤にシクロヘキサノンを使用して第1表および第2表に示す配合割合(質量部)で混合して樹脂分60質量%の均一なワニスを得た。
次に、上記ワニスを厚さ0.2mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量55質量%のプリプレグを製造した。
さらに、これらのプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、温度230℃で120分間プレスを行って銅張積層板を製造した。
このようにして得られた銅張積層板を用いて、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、耐熱性〔ガラス転移温度(Tg)、はんだ耐熱性及び銅付き耐熱性〕、難燃性、誘電特性〔比誘電率(1GHz)及び誘電正接(1GHz)〕、ドリル加工性を前記の方法で測定・評価した。結果を第1表および第2表に示す。
(A)マレイミド化合物
・BMI:ビス(4−マレイミドフェニル)メタン(ケイアイ化成社製;商品名、マレイミド当量179)
・BMI−70:3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド(ケイアイ化成社製;商品名、マレイミド当量221)
・BMI−80:2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン(ケイアイ化成社製;商品名、マレイミド当量285)
(D)難燃剤
・AlOOH:ベーマイト型水酸化アルミニウム(河合石灰社製:商品名BMT−3L、熱分解温度:400℃)
・Mg(OH)2:水酸化マグネシウム(関東化学社製、熱分解温度:350℃)
・TPP:トリフェニルホスフェート(関東化学社製、リン含有量:9.6〜9.7質量%)
(E)硬化促進剤
・P200:前記の式(VII)の化学式で示されるビスフェノールA型エポキシ樹脂と2−フェニルイミダゾールの付加反応物
・G−8009L:前記の式(VIII)で示されるヘキサメチレンジイソシアネート樹脂と2−エチル−4−メチルイミダゾールの付加反応物
(F)エポキシ樹脂
・MC-3000H:ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製;商品名、エポキシ当量290)
・N−770:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン社製;商品名,エポキシ当量190)
(G)無機充填剤
・溶融シリカ(アドマテックス社製:商品名SO−25R)
これに対し、難燃剤として熱分解温度が300℃以上である金属水和物(D)を含有しない比較例1〜3は、銅箔接着性、高ガラス転移温度、はんだ耐熱性、低熱膨張性、銅付き耐熱性、難燃性、低誘電特性、ドリル加工性において実施例より劣るものである。
Claims (6)
- 下記一般式(I)で表される1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(A)、下記一般式(II)で表される1分子中に2個の1級アミノ基を有するアミノ化合物(B)、一般式(III)で表される1分子中に2個のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物(C)及び、難燃剤として熱分解温度が300℃以上である金属水和物(D)を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
- 更に、硬化促進剤(E)を含有する請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 更に、エポキシ樹脂(F)を含有する請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 更に、無機充填剤(G)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物がシート状補強基材中に含侵又は塗工されていることを特徴とするプリプレグ。
- 絶縁樹脂層が、請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性絶縁樹脂組成物又は請求項5に記載のプリプレグを用いて形成されたものであることを特徴とする積層板。
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