JP5652028B2 - 熱硬化性樹脂組成物、これを用いたプリプレグ及び積層板 - Google Patents
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Description
また、変性イミド樹脂組成物は耐湿性や接着性が改良されるものの、メチルエチルケトン等の汎用性溶剤への可溶性確保のため水酸基とエポキシ基を含有する低分子化合物で変性するので、得られる変性イミド樹脂の耐熱性がポリビスマレイミド樹脂と比較すると大幅に低下する(例えば、特許文献2参照)。
すなわち、本発明は、以下の熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板を提供する。
4.さらに、無機充填材(D)を含有する上記1〜3のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
5.さらに、難燃剤(E)を含有する上記1〜4のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
6.固形分換算による(A)成分と(B)成分の合計量100質量部当たり、(A)成分の含有量が20〜90質量部である上記1〜5のいずれかの熱硬化性樹脂組成物。
7.上記1〜6のいずれかの熱硬化性樹脂組成物を、シート状補強基材中に含浸又は塗工した後、Bステージ化したものであることを特徴とするプリプレグ。
8.絶縁樹脂層が、上記7のプリプレグを用いて形成されたものであることを特徴とする積層板。
従って、半導体パケージや多層プリント配線板の絶縁樹脂層に本発明の熱硬化性樹脂組成物を使用することにより優れた高信頼性を有する電子部品等が得られ、本発明の樹脂組成物は高密度実装、高多層化積層板の製造に好適に使用される。
本発明に係る熱硬化性樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物とも云う)は、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(a)と、下記一般式(I)で表される酸性置換基を有するアミノ化合物(b)を反応させて得られる、N−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A)と、ビスフェノールF型フェノールノボラック型エポキシ樹脂(B)を含有することを特徴とするものである。
これらの中で、反応率が高く、より高耐熱性化できるビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましく、溶剤への溶解性の点から、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンがより好ましく、安価である点からビス(4−マレイミドフェニル)メタンが特に好ましい。
これらの中で、溶解性や合成の収率の点からm−アミノフェノール、p−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、3,5−ジヒドロキシアニリンが好ましく、耐熱性の点からo−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノールがより好ましく、誘電特性や低熱膨張性、安価である点からp−アミノフェノールが特に好ましい。
これらの中で、溶解性の点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、ジメチルアセトアミドが好ましく、低毒性であることや揮発性が高く残溶剤として残りにくい点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
2.0≦(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)≦10.0
に示す範囲であることが望ましい。
この当量比を10.0以下とすることにより、溶剤への溶解性が不足したり熱硬化性樹脂の耐熱性が低下することがなく、2.0以上とすることによりゲル化を起こしたり、熱硬化性樹脂の耐熱性が低下することがない。
また、有機溶媒の使用量は、(a)成分と(b)成分の合計量100質量部当たり、10〜1000質量部とすることが好ましく、100〜500質量部とすることがより好ましく、200〜500質量部とすることが特に好ましい。有機溶剤の使用量が10質量部以上とすることにより溶解性が不足することがなく、また1000質量部以下とすることにより硬化剤(A)の製造に長時間を要することがない。
なお、この反応には、必要により反応触媒を使用することができる。反応触媒の例としては、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等があげられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
BPFノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、大日本インキ工業化学(株)製のEXA−7376シリーズ等が挙げられる。その製造方法は特に制限されないが、公知の方法で、ビスフェノールF型フェノールノボラック樹脂にエピクロルヒドリンを反応させることで得ることができる。
硬化促進剤(C)としては、イミダゾール類及びその誘導体、第三級アミン類及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。その中でもイミダゾール類及びその誘導体が耐熱性や難燃性、銅箔接着性等の点から好ましく、更に下記一般式(V)で表されるイミダゾール基がエポキシ樹脂によって置換された化合物や、下記一般式(VI)で表されるイソシアネート樹脂によって置換された化合物を用いることにより、200℃以下での比較的低温での硬化成形性とワニスやプリプレグの経日安定性に優れるためより好ましい。
また、硬化促進剤(C)として、下記一般式(VII)又は一般式(VIII)で表される化合物が少量の配合使用でよく、また商業的にも安価であることから特に好ましい。
無機充填材(D)としては、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、EガラスやTガラス、Dガラス等のガラス粉や中空ガラスビーズ等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用できる。
これらの中で、誘電特性、耐熱性、低熱膨張性の点からシリカが特に好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられ、乾式法シリカとしてはさらに、製造法の違いにより破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融球状シリカが挙げられる。これらの中で、低熱膨張性及び樹脂に充填した際の高流動性から溶融球状シリカが好ましい。
無機充填材の含有量は、樹脂組成物全体の10〜60体積%であることが好ましく、20〜50体積%であることがより好ましい。無機充填材の含有量を樹脂組成物全体の10〜60体積%にすることで、樹脂組成物の成形性と低熱膨張性を良好に保つことができる。
難燃剤(E)の例としては、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水和物、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、ホスファゼン、赤リン等のリン系難燃剤、三酸化アンチモン、モリブデン酸亜鉛等の無機難燃助剤等が挙げられる。臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤は、近年の環境問題から本発明の目的にそぐわない。
これらの難燃剤の中で、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水和物が、高いガラス転移温度や銅箔接着性を発現することができ、またリンを含有しないことから安全性や環境適応性もかなり高いので好ましい。
金属水和物の中でも、ベーマイト型水酸化アルミニウム(AlOOH)、あるいはギブサイト型水酸化アルミニウム〔Al(OH)3〕を熱処理によりその熱分解温度を300℃以上に調製した化合物、水酸化マグネシウム等の、熱分解温度が300℃以上である金属水和物は、優れた耐熱性を有するためより好ましい。特に、ベーマイト型水酸化アルミニウム(AlOOH)は、350℃以上の特に高い熱分解温度を有するため、難燃性と、特に高い耐熱性が両立することや、耐酸性等の耐薬液性、低吸水率性等に優れるため、特に好ましい。
難燃剤(E)がリン系難燃剤である場合は、固形分換算のポリアゾメチンを有するビスマレイミド誘導体(A)100質量部当たり、リン原子の含有量が0.1〜10.0質量部となるように配合することが好ましく、1.0〜10.0質量部となるように配合することがより好ましく、1.0〜8.0質量%となるように配合することが特に好ましい。0.1質量%以上であると難燃性が不足することがなく、10.0質量部以下であると耐めっき液性などの耐薬品性や耐熱性、銅箔接着性が低下することがない。
熱可塑性樹脂の例としては、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
エラストマーの例としては、ポリブタジエン、アクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性アクリロニトリル等が挙げられる。
有機充填剤の例としては、シリコーンパウダー、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル等の有機物粉末等が挙げられる。
本発明のプリプレグに使用されるシート状補強基材としては、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質の例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物等が挙げられる。
これらのシート状補強基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。
シート状補強基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。該シート状補強基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90重量%となるように、シート状補強基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させることにより、本発明のプリプレグを得ることができる。
金属箔は、電気絶縁材料用途で用いるものであれば特に制限されない。また、成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、多層板を製造することもできる。
なお、各実施例及び比較例で得られた銅張積層板を用いて、以下の方法により性能を測定・評価した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより1cm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機を用いて銅箔の接着性(ピール強度)を測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、評価基板の熱膨張特性を観察することにより評価した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、0.2MPaの条件で4時間までプレッシャー・クッカー処理を行った後、温度288℃のはんだ浴に、評価基板を20秒間浸漬した後、外観を観察することによりはんだ耐熱性を評価した。
(4)銅付き耐熱性(T−300)
銅張積層板から5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用い、300℃で評価基板の膨れが発生するまでの時間を測定することにより評価した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、平山製作所(株)製プレッシャー・クッカー試験装置を用いて、121℃、0.2MPaの条件で5時間までプレッシャー・クッカー処理を行った後、評価基板の吸水率を測定した。
(6)難燃性
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、長さ127mm、幅12.7mmに切り出した試験片を作製し、UL94の試験法(V法)に準じて評価した。
得られた銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、Hewllet・Packerd社製比誘電率測定装置(製品名:HP4291B)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
(8)そり量
AKROMETRIX社製 サーモレイ PS200シャドーモアレ分析を用いて,基板の反り量を評価した。基板のサンプルサイズを40mm×40mm、測定エリアを36mm×36mmとした。室温から260℃まで加熱し、その後50℃まで冷却した時のそり量を測定した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:358.0gとp−アミノフェノール:54.5g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:412.50gを(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)=4.0となる比率で配合し、還流させながら5時間反応させてN−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A−1)の溶液を製造した。
その結果、溶出時間が約19分付近に出現するp−アミノフェノールのピークが消失しており、付加反応物に由来するピーク(B)及び(C)が確認された。ここでピーク(A)は合成原料のビス(4−マレイミドフェニル)メタンであり、ピーク(B)は下記の化学式(IX)に示す反応生成物であり、ピーク(C)は下記の化学式(X)に示す副反応生成物である。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:358.0gとm−アミノフェノール:54.50g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:412.5gを(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)=4.0となる比率で配合し、還流させながら5時間反応させて、N−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A−2)の溶液を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:358.0gとp−アミノ安息香酸:27.40g、及びN,N−ジメチルアセトアミド:385.4gを(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)=10.0となる比率で配合し、160℃で5時間反応させてN−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A−3)の溶液を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積1リットルの反応容器に、m−フェニレンビスマレイミド:268.0gとm−アミノフェノール:109.0g、及びN,N−ジメチルアセトアミド:377.0gを(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)=2.0となる比率で配合し、140℃で5時間反応させてN−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A−4)の溶液を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド:442.0gとp−アミノフェノール:54.5g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:496.5gを(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)=4.0となる比率で配合し、還流させながら5時間反応させてN−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A−5)の溶液を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド:442.0gとo−アミノフェノール:54.5g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:496.5gを(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)=4.0となる比率で配合し、還流させながら5時間反応させてN−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A−6)の溶液を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフォン:408.0gとp−アミノフェノール:54.5g、及びN,N−ジメチルアセトアミド:462.5gを(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)=4.0となる比率で配合し、100℃で2時間反応させてN−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A−7)の溶液を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル:360.0gとp−アミノフェノール:54.5g、及びN,N−ジメチルアセトアミド:414.5gを(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)=4.0となる比率で配合し、100℃で2時間反応させてN−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A−8)の溶液を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:570.0gとp−アミノフェノール:54.5g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:624.5gを(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)=4.0となる比率で配合し、120℃で2時間反応させてN−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A−9)の溶液を製造した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド:282.0gとp−アミノフェノール:54.5g、及びN,N−ジメチルアセトアミド:336.5gを(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)=4.0となる比率で配合し、120℃で2時間反応させてN−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A−10)の溶液を製造した。
希釈溶剤にメチルエチルケトンを使用して、下記の(A)〜(E)成分を第1表〜第4表に示す配合割合(質量部)で混合して樹脂分65質量%の均一な絶縁樹脂組成物ワニスを作製した。次に、得られたワニスを厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。
このプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、温度185℃で90分間プレスを行って、銅張積層板を得た。
得られた銅張積層板を用いて、前述の方法により、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、ガラス転移温度、はんだ耐熱性、吸湿性(吸水率)、難燃性、比誘電率(1GHz)、誘電正接(1GHz)、そり特性を測定・評価した。結果を第1表〜第4表に示す。
(1)酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有する硬化剤(A)として、
実施例1〜18および比較例2では製造例1〜10で得られた硬化剤、比較例1ではビス(4−マレイミドフェニル)メタン、比較例3では2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、
(2)BPFノボラック型エポキシ樹脂(B)として、実施例1〜3、5〜13、18および比較例1ではEXA−7376(DIC社製;商品名、エポキシ当量186)、実施例4、14〜17および比較例3ではEXA−7376H(DIC社製;商品名、エポキシ当量189)、比較例2ではビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名:エピコート828,エポキシ当量186)、
(3)硬化促進剤(C)として、実施例1〜16および比較例1〜3ではP−200〔ジャパンエポキシレジン社製、商品名:前記の化学式(VII)に示す構造のビスフェノールA型エポキシ樹脂と2−フェニルイミダゾールの付加反応物〕、実施例17〜18ではG−8009L〔第一工業製薬(株)、商品名:下記の化学式(VIII)に示す構造のヘキサメチレンジイソシアネート樹脂と2−エチル−4−メチルイミダゾールの付加反応物〕
(4)無機充填材(D)として、溶融シリカ〔アドマテック(株)製、商品名:SO−25R〕、
(5)難燃剤(E)として、ベーマイト型水酸化アルミニウム〔AlOOH:河合石灰社製:商品名BMT−3L〕および水酸化マグネシウム〔Mg(OH)2:関東化学社製〕を使用した。
一方、比較例は、銅箔ピール強度、ガラス転移温度(Tg)、はんだ耐熱性、耐湿性(吸水率)、難燃性、銅付き耐熱性、低誘電特性、低誘電正接性の全てを満たすものは無く、いずれかの特性に劣っている。
従って、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、接着性、耐熱性、耐湿性、難燃性および誘電特性に優れ、基板を加熱した時のそり量が極めて小さい特性を有していることが分かる。
従って、半導体パケージや多層プリント配線板の絶縁樹脂層に本発明の熱硬化性樹脂組成物を使用することにより優れた高信頼性を有する電子部品等が得ることができる。
Claims (7)
- 1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(a)と、下記一般式(I)で表される酸性置換基を有するアミノ化合物(b)を反応させて製造される、N−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A)と、ビスフェノールF型フェノールノボラック型エポキシ樹脂(B)を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、
(A)成分の含有量が、固形分換算による(A)成分と(B)成分の合計量100質量部当たり、20〜90質量部であることを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
(式中、R1は各々独立に、酸性置換基である水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基を示し、R2は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、且つxとyの和は5である。) - N−置換マレイミド基と酸性置換基を有する硬化剤(A)が、下記の一般式(II)で表されるビスマレイミド誘導体である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
(式中、Arは一般式(II−1)、(II−2)、(II−3)又は(II−4)で表される残基であり、R1は各々独立に、酸性置換基である水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基、R2は各々独立に、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、且つxとyの和は5である。)
(式中、R3は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、pは0〜4の整数である。)
(式中、A1は炭素数1〜5のアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、又はスルフォニル基で表される残基、R4及びR5は各々独立に炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を示し、q及びrは各々独立に0〜4の整数である。)
(式中、sは1〜10の整数である。)
- さらに、硬化促進剤(C)を含有する請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
- さらに、無機充填材(D)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- さらに、難燃剤(E)を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物を、シート状補強基材中に含浸又は塗工した後、Bステージ化したものであることを特徴とするプリプレグ。
- 絶縁樹脂層が、請求項6に記載のプリプレグを用いて形成されたものであることを特徴とする積層板。
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