JP5224366B2 - エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび硬化物 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよび硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、熱伝導率が高いエポキシ樹脂と熱伝導率の高い無機充填材とを混合した高熱伝導性エポキシ樹脂組成物に関する。
エポキシ樹脂組成物は、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料などの幅広い分野に利用されている。近年、前記分野のエポキシ樹脂やその硬化物には、高純度化を始め耐熱性、耐湿性、難燃性等、諸特性の一層の向上が求められている。中でも電気・電子産業、自動車産業等の利用分野においては、半導体素子、LED素子から発生する熱の放熱性を向上するために、半導体装置やプリント配線板にはより一層の高熱伝導性が強く要請されている。
高熱伝導性を発現するための手法として、メソゲン基を有するエポキシ樹脂を用いることが特許文献1に報告されている。同文献にはメソゲン基を有するエポキシ樹脂として、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂などが記載されている。またビフェニル骨格以外のエポキシ樹脂としてはフェニルベンゾエート型のエポキシ樹脂が記載されているが、該エポキシ樹脂を製造する際には酸化によるエポキシ化反応を行う必要があることから、安全性やコストに難があり実用的とは言えない。ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂を用いた例としては特許文献2〜4が挙げられ、中でも特許文献4には高熱伝導率を有する無機充填材を併用する手法が記載されている。しかしながら、これら文献に記載の手法により得られる硬化物の熱伝導性は市場の要望を満足するレベルでは無く、比較的安価に入手可能なエポキシ樹脂を用いた、より高い熱伝導率を有する硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物が求められている。
特開平11−323162号公報 特開2003−137971号公報 特開2004−2573号公報 特開2006−63315号公報
本発明はこのような問題を解決すべく検討の結果なされたものであり、その硬化物が高い熱伝導性及び高い耐熱性を有する、特定構造のエポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物を提供するものである。
すなわち本発明は
(1)一般式(1)
Figure 0005224366
(式中、Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示す。R’はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、トリフルオロメチル基、アリール基、メトキシ基を示す。)で表されるエポキシ樹脂、硬化剤及び熱伝導率20W/m・K以上の無機充填材を含有してなるエポキシ樹脂組成物、
(2)半導体封止用途に用いられる前項(1)記載のエポキシ樹脂組成物、
(3)エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材を含むエポキシ樹脂組成物をシート状の繊維基材に保持し半硬化状態としてなるプリプレグに用いられる前項(1)記載のエポキシ樹脂組成物、
(4)前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
に関する。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、その硬化物が熱伝導性及び耐熱性に優れているため、半導体封止材料、プリプレグを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に使用する場合に有用である。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、硬化剤及び熱伝導率20W/m・K以上の無機充填材を含有する。
一般式(1)における炭素数1〜8の炭化水素基としては、炭素数1〜8からなる炭化水素基であれば飽和炭化水素基又は不飽和炭化水素基のどちらでも良く、その構造も直鎖状、分岐状、環状等何ら限定されない。これら炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、一般式(1)におけるアリール基の具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられるが、エポキシ樹脂の配列を阻害しない点からRおよびR’は水素原子が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物が含有する一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は、特開2002−212265号公報に記載されている方法で得られる。本発明のエポキシ樹脂組成物において、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂は単独でまたは他のエポキシ樹脂と併用して使用することができる。併用する場合、本発明のエポキシ樹脂の全エポキシ樹脂中に占める割合は20質量%以上が好ましく、特に30質量%以上が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂と併用しうる他のエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビフェノール、ビスフェノールAD及びビスフェノールI等)やフェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン及びジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒド(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド及びシンナムアルデヒド等)との重縮合物、キシレン等の芳香族化合物とホルムアルデヒドの重縮合物とフェノール類との重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物(ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン及びイソプレン等)との重合物、フェノール類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン及びベンゾフェノン等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジメタノール類(ベンゼンジメタノール及びビフェニルジメタノール等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ジクロロメチル類(α,α’−ジクロロキシレン及びビスクロロメチルビフェニル等)との重縮合物、フェノール類と芳香族ビスアルコキシメチル類(ビスメトキシメチルベンゼン、ビスメトキシメチルビフェニル及びビスフェノキシメチルビフェニル等)との重縮合物、ビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物、並びにアルコール類等をグリシジル化したグリシジルエーテル系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂等が挙げられるが、通常用いられるエポキシ樹脂であればこれらに限定されるものではない。これらを1種類のみ併用しても、2種以上を併用してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物が含有する無機充填材としては、20W/m・K以上の熱伝導率を有するものであれば何ら制限はない。尚、ここでいう熱伝導率とは、ASTM E1530に準拠した方法で測定した値である。この様な特性を有する無機充填材の具体例としては、例えば、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化チタン、酸化亜鉛、炭化タングステン、アルミナ、酸化マグネシウム等の無機粉末充填材、合成繊維、セラミックス繊維等の繊維質充填材、着色剤等が挙げられる。これら無機充填材の形状は、粉末(塊状、球状)、単繊維、長繊維等いずれであってもよいが、特に、平板状のものであれば、無機充填材自身の積層効果によって硬化物の熱伝導性がより高くなり、硬化物の放熱性が更に向上するので好ましい。また、無機充填材の熱伝導率が30W/m・K以上であればエポキシ樹脂組成物の硬化物の熱伝導率が更に向上するので好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物における無機充填材の使用量は、エポキシ樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して通常2〜1000質量部であるが、熱伝導率を出来るだけ高める為には、本発明のエポキシ樹脂組成物の具体的な用途における取り扱い等に支障を来たさない範囲で、可能な限り無機充填材の使用量を増やすことが好ましい。これら無機充填材は1種のみを使用しても、2種類以上を併用してもよい。
また、充填材全体としての熱伝導率を20W/m・K以上に維持できる範囲であれば、熱伝導率が20W/m・K以上の無機充填材に熱伝導率が20W/m・K以下の充填材を併用しても構わないが、出来るだけ熱伝導率の高い硬化物を得るという本発明の目的からして、熱伝導率が20W/m・K以下の充填材の使用は最小限に留めるべきである。併用し得る充填材の種類や形状に特に制限はない。
本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体封止用途に用いる場合、硬化物の耐熱性、耐湿性、力学的性質などの点から、エポキシ樹脂組成物中において80〜93質量%を占める割合で無機充填材を使用するのが好ましい。この場合、残部は一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、硬化剤及びその他必要に応じて添加される添加剤であり、添加剤としては前記併用しうる他のエポキシ樹脂、併用しうる充填材及び硬化促進剤等である。
本発明のエポキシ樹脂組成物が含有する硬化剤としては、例えばアミン系化合物、酸無水物系化合物、アミド系化合物及びフェノール系化合物等が挙げられる。これら各硬化剤の具体例を下記(a)〜(e)に示す。
(a)アミン系化合物
ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン及びナフタレンジアミン等
(b)酸無水物系化合物
無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルヘキサヒドロ無水フタル酸等
(c)アミド系化合物
ジシアンジアミド、若しくはリノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂等、
(d)フェノール系化合物
多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン及び1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等);フェノール類(例えば、フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン及びジヒドロキシナフタレン等)と、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド及びフルフラール等)、ケトン類(p−ヒドロキシアセトフェノン及びo−ヒドロキシアセトフェノン等)、若しくはジエン類(ジシクロペンタジエン及びトリシクロペンタジエン等)との縮合により得られるフェノール樹脂;前記フェノール類と、置換ビフェニル類(4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル及び4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル等)、若しくは置換フェニル類(1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン及び1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン等)等との重縮合により得られるフェノール樹脂;前記フェノール類及び/又は前記フェノール樹脂の変性物;テトラブロモビスフェノールA及び臭素化フェノール樹脂等のハロゲン化フェノール類
(e)その他イミダゾール類、BF3−アミン錯体、グアニジン誘導体
これら硬化剤の中ではジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン及びナフタレンジアミンなどのアミン系化合物、並びにカテコールとアルデヒド類、ケトン類、ジエン類、置換ビフェニル類又は置換フェニル類との縮合物などの活性水素基が隣接している構造を有する硬化剤がエポキシ樹脂の配列に寄与するため好ましい。
上記の硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物において硬化剤の使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5〜2.0当量が好ましく、0.6〜1.5当量が特に好ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物には硬化促進剤を含有させることもできる。用いうる硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール及び2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチレンジアミン、トリエタノールアミン及び1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン及びトリブチルホスフィン等の有機ホスフィン類、オクチル酸スズなどの金属化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート及びテトラフェニルホスホニウム・エチルトリフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボレート及びN−メチルモルホリン・テトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩などが挙げられる。硬化促進剤は、エポキシ樹脂100部に対して0.01〜15部が必要に応じ用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物には必要に応じて、シランカップリング剤、離型剤及び顔料等種々の配合剤、各種熱硬化性樹脂並びに各種熱可塑性樹脂等を添加することができる。熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂の具体例としてはビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、シアナート樹脂、イソシアナート化合物、ベンゾオキサジン化合物、ビニルベンジルエーテル化合物、ポリブタジエンおよびこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、インデン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリエチレン、ジシクロペンタジエン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂は本発明のエポキシ樹脂組成物中において60質量%以下を占める量が用いられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分を均一に混合することにより得られ、その好ましい用途としては半導体封止材やプリント配線版等が挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られているのと同様の方法で容易にその硬化物とすることが出来る。例えば、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、硬化剤及び熱伝導率が20W/m・K以上の無機充填材、並びに必要により硬化促進剤、配合剤、各種熱硬化性樹脂や各種熱可塑性樹脂等を必要に応じて押出機、ニーダ又はロール等を用いて均一になるまで充分に混合して得られた本発明のエポキシ樹脂組成物を、溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更にその融点以上で2〜10時間加熱することにより本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得ることが出来る。前述の方法でリードフレーム等に搭載された半導体素子を封止することにより、本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体封止用途に用いることができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は溶剤を含むワニスとすることもできる。該ワニスは、一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、硬化剤及び熱伝導率が20W/m・K以上の無機充填材、並びに必要に応じてその他の成分を含む組成物を、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グルタル酸ジアルキル、コハク酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル等のエステル類、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ及びソルベントナフサ等の石油系溶剤等の有機溶剤に溶解させることにより得ることが出来る。溶剤の量はワニス全体に対し通常10〜95質量%、好ましくは15〜85質量%である。
上記のようにして得られるワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維及び紙などの基材に含浸させた後に加熱によって溶剤を除去すると共に、本発明のエポキシ樹脂組成物を半硬化状態とすることによりプリプレグを得ることが出来る。尚、ここで言う「半硬化状態」とは、反応性の官能基であるエポキシ基が一部未反応で残っている状態を意味する。該プリプレグを熱プレス成型して硬化物を得ることが出来る。
以下、本発明を実施例で更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。合成例、実施例、比較例において部は質量部を意味する。なお、エポキシ当量、融点は以下の条件で測定した。
・エポキシ当量
JIS K−7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
・融点(DSC)
測定器械;示差走査熱量計(DSC6200 セイコー電子工業株式会社製)
昇温速度;10℃/min.
パン;Alパン
合成例1
攪拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、p−ヒドロキシベンズアルデヒド305部、ヒドラジン一水和物(純度80%)81部、エタノール800部、ジメチルスルホキシド500部、酢酸8部を仕込み、攪拌しながら70℃まで昇温して溶解させた。その後、75℃で4時間反応を行い、室温まで冷却した。析出した結晶を濾過、エタノールで洗浄し、得られた結晶を真空乾燥した。その結果、一般式(2)
Figure 0005224366
で表される多価フェノール化合物120部を得た。得られた多価フェノール化合物の融点は275℃であった。
合成例2
合成例1で得られた化合物240部にエピクロルヒドリン1110部、ジメチルスルホキシド278部を加えて溶解後、45℃まで昇温し、フレーク状水酸化ナトリウム(純度99%)85部を90分間かけて添加した。その後、45℃で2時間及び70℃で3時間反応を行い、室温まで冷却した。析出した結晶および無機塩を濾過、次いで水洗を繰り返し、無機塩を除去した後、得られた結晶を真空乾燥した。その結果、一般式(3)
Figure 0005224366
で表されるエポキシ樹脂(E1)203gを得た。DSC測定の結果、162℃及び179℃の2つにおいて吸熱ピークを観察した。
合成例3
攪拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、4−ヒドロキシアセトフェノン136部、ヒドラジン一水和物(純度80%)32部、エタノール100部を仕込み、攪拌しながら70℃まで昇温して溶解させた。その後、70℃で7時間反応を行い、室温まで冷却した。析出した結晶を濾過、エタノールで洗浄し、得られた結晶を真空乾燥した。その結果、一般式(4)
Figure 0005224366
で表される多価フェノール化合物99部を得た。得られた多価フェノール化合物の融点は230℃であった。
合成例4
合成例3で得られた化合物268部にエピクロルヒドリン1608部、ジメチルスルホキシド268部を加えて溶解後、45℃まで昇温し、フレーク状水酸化ナトリウム(純度99%)85部を90分間かけて添加した。その後、45℃で2時間及び70℃で3時間反応を行い、室温まで冷却した。析出した結晶および無機塩を濾過、次いで水洗を繰り返し、無機塩を除去した後、得られた結晶を真空乾燥した。その結果、一般式(5)
Figure 0005224366
で表されるエポキシ樹脂(E2)185gを得た。DSC測定の結果、161℃及び17
3℃の2つにおいて吸熱ピークを観察した。
実施例1〜2、比較例1
各種成分を表1の割合(部)で配合し、ミキシングロールで混練、タブレット化後、トランスファー成形で樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間加熱を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物及び比較用樹脂組成物の硬化物を得た。これら硬化物の物性を測定した結果を表1に示す。なお、硬化物の物性は以下の要領で測定した。
・ガラス転移温度(DMA):
真空理工株式会社製 TM−7000により昇温速度 2℃/min.の条件で測定。
・熱伝導率:
ASTM E1530に準拠した方法で測定。
表1
実施例1 実施例2 比較例1
配合物の組成
エポキシ樹脂(E1) 100
エポキシ樹脂(E2) 100
エポキシ樹脂(E3) 100
硬化剤(H1) 24 21 23
無機充填材(F1) 205 206 203
無機充填材(F2) 118 121 117
硬化物の物性
ガラス転移温度(℃) 245 240 223
熱伝導率(W/m・K) 4.0 3.9 3.5
注)
(E1):合成例2で得られたエポキシ樹脂(エポキシ当量169g/eq.)
(E2):合成例4で得られたエポキシ樹脂(エポキシ当量190g/eq.)
(E3):下記式(4)及び(5)で表されるエポキシ樹脂を等モル含有するビフェニル型エポキシ樹脂(商品名:YL−6121H ジャパンエポキシレジン製 エポキシ当量175g/eq.)
Figure 0005224366
Figure 0005224366
(H1):1,5−ナフタレンジアミン(東京化成工業製、アミン当量40g/eq.)
(F1):球状アルミナ(商品名:DAW−100 電気化学工業製、熱伝導率38W/m・K)
(F2):窒化ホウ素(商品名:SGP 電気化学工業製、熱伝導率60W/m・K)
実施例3
ジメチルホルムアミド1000部に合成例2で得られたエポキシ樹脂100部を70℃で溶解させた後、室温に戻した。
ジメチルホルムアミド48部に硬化剤である1,5−ジアミノナフタレン(東京化成製、アミン当量40g/eq.)24部を70℃で溶解させた後、室温に戻した。上記のエポキシ樹脂溶液と硬化剤溶液を、撹拌羽タイプのホモミキサで混合・撹拌して均一なワニスにし、さらに無機充填材として窒化ホウ素(商品名:SGP 電気化学工業製、熱伝導率60W/m・K)237部(樹脂固形分100体積部に対し50体積部)、およびジメチルホルムアミド100部を加えて混合・撹拌し、エポキシ樹脂ワニスを調製した。
このエポキシ樹脂組成物のワニスを、厚さ0.2mmのガラス繊維織布(商品名:7628/AS890AW 旭シュエーベル製)に含浸させ、加熱乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグ4枚とその両側に配した銅箔を重ね合わせた後、温度175℃、圧力4MPaの条件で90分間加熱加圧成型して一体化し、厚さ0.8mmの積層板を得た。この積層板の熱伝導率を測定したところ、4.9W/m・Kであった。
以上の結果より、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、高耐熱性と低線膨張率を有することが確認できた。したがって本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物は、電気・電子部品用絶縁材料及び積層板(プリント配線板など)等に使用する場合に極めて有用である。

Claims (4)

  1. 一般式(1)
    Figure 0005224366
    (式中、Rはそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を示す。R’はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、トリフルオロメチル基、アリール基、メトキシ基を示す。)で表されるエポキシ樹脂、アミン系化合物、またはカテコールとアルデヒド類、ケトン類または下記A群に記載の化合物との縮合物からなる群から選択される少なくとも1種の硬化剤及び熱伝導率20W/m・K以上の無機充填材を含有してなるエポキシ樹脂組成物。
    A群:
    ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、(4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン
  2. 半導体封止用途に用いられる請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. エポキシ樹脂、硬化剤及び無機充填材を含むエポキシ樹脂組成物をシート状の繊維基材に保持し半硬化状態としてなるプリプレグに用いられる請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物を硬化してなる硬化物。

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