JP5607186B2 - エポキシ樹脂組成物、プリプレグおよびそれらの硬化物 - Google Patents
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現在、その熱対策としてはメタルコア基板を使用したり、設計の段階で放熱しやすい構造を組んだり、使用する高分子材料(エポキシ樹脂)に高熱伝導フィラーを細密充填したりするなど、様々な工夫がなされている。しかしながら、高熱伝導部位を繋げるバインダー役のエポキシ樹脂の熱伝導率が低いため、エポキシ樹脂の熱伝導スピードが律速となり、効率的な放熱ができていないのが現状である。
(1)ジヒドロキシナフタレン類とエピハロヒドリンとを反応させることにより得られるエポキシ樹脂、硬化剤及び熱伝導率20W/m・K以上の無機充填材を含有してなるエポキシ樹脂組成物、
(2)半導体封止用途に用いられる(1)に記載のエポキシ樹脂組成物、
(3)請求項1記載のエポキシ樹脂組成物及びシート状の繊維基材からなるプリプレグ、
(4)(1)もしくは(2)に記載のエポキシ樹脂組成物、または請求項3に記載のプリプレグを硬化してなる硬化物、
に関する。
本発明におけるジヒドロキシナフタレン類はエポキシ樹脂の配列を阻害しない点から前記のよう置換基を有しないジヒドロキシナフタレンが好ましい。
本発明において使用できるジヒドロキシナフタレンとして、例えば1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレンなどが挙げられる。
ジヒドロキシナフタレン類は先に挙げた条件を満たす構造の化合物であれば、2種以上の化合物を含んでいても構わないが、硬化時の配列のしやすさを考慮すると単一の化合物が好ましい。
反応終了後、反応物を水洗後、または水洗無しに加熱減圧下でエピハロヒドリンや溶媒等を除去する。また更に加水分解性ハロゲンの少ないエポキシ樹脂とするために、回収したエポキシ樹脂をトルエン、メチルイソブチルケトンなどの溶剤に溶解し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物の水溶液を加えて反応を行ない、閉環を確実なものにすることも出来る。この場合アルカリ金属水酸化物の使用量は前述のジヒドロキシナフタレン類の水酸基1モルに対して通常0.01〜0.3モル、好ましくは0.05〜0.2モルである。反応温度は通常50〜120℃、反応時間は通常0.5〜2時間である。
本発明のエポキシ樹脂組成物における無機充填材の使用量は、エポキシ樹脂組成物中の樹脂成分100質量部に対して通常2〜1000質量部であるが、熱伝導率を出来るだけ高める為には、本発明のエポキシ樹脂組成物の具体的な用途における取り扱い等に支障を来たさない範囲で、可能な限り無機充填材の使用量を増やすことが好ましい。これら無機充填材は1種のみを使用しても、2種類以上を併用してもよい。
(a)アミン系化合物
ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン及びナフタレンジアミン等
(b)酸無水物系化合物
無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びメチルヘキサヒドロ無水フタル酸等
(c)アミド系化合物
ジシアンジアミド、若しくはリノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂等、
多価フェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フルオレンビスフェノール、テルペンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール、ハイドロキノン、レゾルシン、ナフタレンジオール、トリス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン及び1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等);フェノール類(例えば、フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン及びジヒドロキシナフタレン等)と、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド及びフルフラール等)、ケトン類(p−ヒドロキシアセトフェノン及びo−ヒドロキシアセトフェノン等)、若しくはジエン類(ジシクロペンタジエン及びトリシクロペンタジエン等)との縮合により得られるフェノール樹脂;前記フェノール類と、置換ビフェニル類(4,4’−ビス(クロルメチル)−1,1’−ビフェニル及び4,4’−ビス(メトキシメチル)−1,1’−ビフェニル等)、若しくは置換フェニル類(1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(メトキシメチル)ベンゼン及び1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン等)等との重縮合により得られるフェノール樹脂;前記フェノール類及び/又は前記フェノール樹脂の変性物;テトラブロモビスフェノールA及び臭素化フェノール樹脂等のハロゲン化フェノール類
(e)その他イミダゾール類、BF3-アミン錯体、グアニジン誘導体
これら硬化剤の中ではジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン及びナフタレンジアミンなどのアミン系化合物、並びにカテコールとアルデヒド類、ケトン類、ジエン類、置換ビフェニル類又は置換フェニル類との縮合物などの活性水素基が隣接している構造を有する硬化剤がエポキシ樹脂の配列に寄与するため好ましい。
上記の硬化剤は単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は従来知られているのと同様の方法で容易にその硬化物とすることが出来る。例えば、本発明のエポキシ化物、硬化剤及び熱伝導率が20W/m・K以上の無機充填材、並びに必要により硬化促進剤、配合剤、各種熱硬化性樹脂や各種熱可塑性樹脂等を必要に応じて押出機、ニーダ又はロール等を用いて均一になるまで充分に混合して得られた本発明のエポキシ樹脂組成物を、溶融注型法あるいはトランスファー成型法やインジェクション成型法、圧縮成型法などによって成型し、更にその融点以上で2〜10時間加熱することにより本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を得ることが出来る。前述の方法でリードフレーム等に搭載された半導体素子を封止することにより、本発明のエポキシ樹脂組成物を半導体封止用途に用いることができる。
上記のようにして得られるワニスをガラス繊維、カーボン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アルミナ繊維及び紙などの基材に含浸させた後に加熱によって溶剤を除去すると共に、本発明のエポキシ樹脂組成物を半硬化状態とすることにより、本発明のプリプレグを得ることが出来る。尚、ここで言う「半硬化状態」とは、反応性の官能基であるエポキシ基が一部未反応で残っている状態を意味する。該プリプレグを熱プレス成型して硬化物を得ることが出来る。
・エポキシ当量
JIS K−7236に記載された方法で測定し、単位はg/eq.である。
1,5−ジヒドロキシナフタレン80部にエピクロルヒドリン370部、ジメチルスルホキシド92.5部を加えて溶解後、45℃まで昇温し、フレーク状水酸化ナトリウム(純度99%)40部を90分かけて添加した。その後、45℃で90分及び70℃で30分間反応を行い、室温まで冷却した。析出した結晶および無機塩を濾過、次いで水洗を繰り返し、無機塩を除去した後、得られた結晶を真空乾燥した。その結果、エポキシ樹脂(E1)130部を得た。
合成例1の1,5−ジヒドロキシナフタレンを2,6−ジヒドロキシナフタレンに変更する以外は同様の操作手順によりエポキシ樹脂(E2)130部を得た。
1,4−ジヒドロキシナフタレン80部にエピクロルヒドリン370部、ジメチルスルホキシド92.5部を加えて溶解後、45℃まで昇温し、フレーク状水酸化ナトリウム(純度99%)40部を90分かけて添加した。その後、45℃で90分及び70℃で30分間反応を行った。
反応終了後、油層からロータリーエバポレーターを用いて130℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリン等の溶剤を留去した。残留物にメチルイソブチルケトン220部を加え溶解し、水洗を行なった。70℃にまで昇温した。撹拌下で30質量%の水酸化ナトリウム水溶液3部を加え、1時間反応を行なった後、洗浄水が中性になるまで水洗を行ない、得られた溶液を、ロータリーエバポレーターを用いて180℃で減圧下にメチルイソブチルケトン等を留去することにより本発明のエポキシ樹脂(E3)130部を得た。
合成例3の1,4−ジヒドロキシナフタレンを1,6−ジヒドロキシナフタレンに変更する以外は同様の操作手順により本発明のエポキシ樹脂(E4)130部を得た。
合成例3の1,4−ジヒドロキシナフタレンを2,7−ジヒドロキシナフタレンに変更する以外は同様の操作手順により本発明のエポキシ樹脂(E5)130部を得た。
各種成分を表1の割合(部)で配合し、ミキシングロールで混練、タブレット化後、トランスファー成形で樹脂成形体を調製し、160℃で2時間、更に180℃で8時間加熱を行い、本発明のエポキシ樹脂組成物及び比較用樹脂組成物の硬化物を得た。これら硬化物の熱伝導率を測定した結果を表1に示す。なお、熱伝導率は以下の要領で測定した。
熱伝導率:ASTM E1530に準拠した方法で測定
(E1):合成例1で得られたエポキシ樹脂(エポキシ当量139g/eq.)
(E2):合成例2で得られたエポキシ樹脂(エポキシ当量146g/eq.)
(E3):合成例3で得られたエポキシ樹脂(エポキシ当量142g/eq.)
(E4):合成例4で得られたエポキシ樹脂(エポキシ当量144g/eq.)
(E5):合成例5で得られたエポキシ樹脂(エポキシ当量148g/eq.)
(E6):下記式(1)及び(2)で表されるエポキシ樹脂を等モル含有するビフェニル型エポキシ樹脂(商品名:YL−6121H ジャパンエポキシレジン製 エポキシ当量175g/eq.)
(F1):球状アルミナ(商品名:DAW−100 電気化学工業製、熱伝導率38W/m・K)
(F2):窒化ホウ素(商品名:SGP 電気化学工業製、熱伝導率60W/m・K)
ジメチルホルムアミド1000部に合成例2で得られたエポキシ樹脂100部を70℃で溶解させた後、室温に戻した。
ジメチルホルムアミド48部に硬化剤である1,5−ナフタレンジアミン(東京化成製、アミン当量40g/eq.)27部を70℃で溶解させた後、室温に戻した。上記のエポキシ樹脂溶液と硬化剤溶液を、撹拌羽タイプのホモミキサで混合・撹拌して均一なワニスにし、さらに無機充填材として窒化ホウ素(商品名:SGP 電気化学工業製、熱伝導率60W/m・K)242部(樹脂固形分100体積部に対し50体積部)、およびジメチルホルムアミド100部を加えて混合・撹拌し、本発明のエポキシ樹脂(ワニス)を調製した。
このエポキシ樹脂組成物のワニスを、厚さ0.2mmのガラス繊維織布(商品名:7628/AS890AW 旭シュエーベル製)に含浸させ、加熱乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグ4枚とその両側に配した銅箔を重ね合わせた後、温度175℃、圧力4MPaの条件で90分間加熱加圧成型して一体化し、厚さ0.8mmの積層板を得た。この積層板の熱伝導率を測定したところ、4.6W/m・Kであった。
ジメチルホルムアミド1000部に合成例2で得られたエポキシ樹脂(E2)100部を70℃で溶解させた後、室温に戻した。
ジメチルホルムアミド48部に硬化剤である1,5−ナフタレンジアミン(東京化成製、アミン当量40g/eq.)27部を70℃で溶解させた後、室温に戻した。上記のエポキシ樹脂溶液と硬化剤溶液を、撹拌羽タイプのホモミキサで混合・撹拌して均一なワニスにし、さらに無機充填材として(商品名:SGP 電気化学工業製、熱伝導率60W/m・K)242部(樹脂固形分100体積部に対し50体積部)、およびジメチルホルムアミド100部を加えて混合・撹拌し、本発明のエポキシ樹脂(ワニス)を調製した。
このエポキシ樹脂組成物のワニスを、厚さ0.2mmのガラス繊維織布(商品名:7628/AS890AW 旭シュエーベル製)に含浸させ、加熱乾燥してプリプレグを得た。このプリプレグ4枚とその両側に配した銅箔を重ね合わせた後、温度175℃、圧力4MPaの条件で90分間加熱加圧成型して一体化し、厚さ0.8mmの積層板を得た。この積層板の熱伝導率を測定したところ、4.6W/m・Kであった。
実施例6のエポキシ樹脂(E2)100部をYL−6121H100部、1,5−ナフタレンジアミンの量を23部、窒化ホウ素の量を234部に変更する以外は実施例6と同様の操作手順により積層板を得た。この積層板の熱伝導率を測定したところ、3.6W/m・Kであった。
Claims (1)
- ジヒドロキシナフタレン類とエピハロヒドリンとを反応させることにより得られるエポキシ樹脂、下記に記載のアミン系化合物、またはカテコールとアルデヒド類、ケトン類若しくは下記A 群に記載の化合物との縮合物からなる群から選択される少なくとも1 種の硬化剤及び熱伝導率2 0 W / m ・K 以上の無機充填材を含有してなるエポキシ樹脂組成物及び溶剤を含むワニス。
アミン系化合物:
ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン及びナフタレンジアミン
A 群:
ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、( 4 , 4 ’ − ビス( クロルメチル) −1 , 1 ’ − ビフェニル、4 , 4 ’ − ビス( メトキシメチル) − 1 , 1 ’ − ビフェニル、1, 4 − ビス(クロロメチル)ベンゼン、1 , 4 − ビス( メトキシメチル) ベンゼン、1 , 4− ビス( ヒドロキシメチル) ベンゼン
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