JP5192198B2 - 多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂及びその製造方法 - Google Patents

多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、半導体の電子部品を搭載する回路基板原料として好適な多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂、エポキシ樹脂組成物、及び多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法等に関する。
従来から、プリント配線基板用の絶縁材料として、コストパフォーマンスに優れるエポキシ樹脂が広く用いられている。近年、配線の高密度化への対応などから、エポキシ樹脂にはさらなる高機能化が求められている。そのような高機能化の要求項目の一つとして、衛星通信などの高周波領域で使用されるプリント配線基板においては、信号の遅滞を防ぐため低誘電率や低誘電正接といった誘電特性に優れる絶縁材料が要求されている。
ここで、誘電特性に優れる材料の一つとして、ポリフェニレンエーテルを使用することが1970年代ごろから知られている。しかしながら、高分子量のポリフェニレンエーテルは溶融粘度が高いため、成形加工性が非常に悪い。また、エポキシ樹脂との相溶性が乏しいため、その配合物の機械的強度に難点がある。
このような事情に鑑み、例えば、特許文献1や特許文献2には、ポリフェニレンエーテルを再分配反応させ、低分子量化した後、エピクロロヒドリンによりエポキシ化する変性ポリフェニレンエーテルの製造方法が開示されている。
特開平9−235349号公報 特許第3248424号公報
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2に記載の方法で製造されたエポキシ化ポリフェニレンエーテルについても、電気特性等の観点から、なお改善の余地を有するものである。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、従来のエポキシ化ポリフェニレンエーテルと比べて、電気特性及び耐熱性に優れた多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意研究を行った結果、特定の構造式で表される多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂が、電気特性及び耐熱性に優れることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 下記一般式(1)で表される多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂:
(式中、nは1〜9の整数を示し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換されていてもよいアルキル基を示し、Yは2価の官能基を示し、Xは下記一般式(2)
(式中、mは1〜20の整数を示し、R,R,R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の官能基を示し、Zはエポキシ基を有する官能基を示す)を示す)。
[2] 前記Yは、アルキレン基又は脂環式基である、上記[1]記載の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂。
[3] 前記Yは、―CH―又は下記一般式(3)
で表される構造を有する基である、上記[1]記載の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂。
[4] 前記Zは、下記一般式(4)
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、又は置換されていてもよいアルキル基を示す)
で表される構造を有する基である、上記[1]〜[3]のいずれか記載の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂。
[5] 上記[1]〜[4]のいずれか記載の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂と、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含む、エポキシ樹脂組成物。
[6] 上記[5]記載のエポキシ樹脂組成物を用いて形成された電子部材。
[7] エポキシプリプレグ、前記エポキシプリプレグを用いた積層板、樹脂シート及び前記樹脂シートを用いた積層板のいずれかである、上記[6]記載の電子部材。
[8] 下記一般式(1)
(式中、nは1〜9の整数を示し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換されていてもよいアルキル基を示し、Yは2価の官能基を示し、Xは下記一般式(2)
(式中、mは1〜20の整数を示し、R,R,R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の官能基を示し、Zはエポキシ基を有する官能基を示す)を示す)
で表される、多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法であって、
(a)高分子量ポリフェニレンエーテルと、多官能フェノール化合物と、ラジカル開始剤とを再分配反応させて、多官能ポリフェニレンエーテルを得る工程と、
(b)前記多官能ポリフェニレンエーテルと、エポキシ化合物とを付加反応させる工程と、
を含む製造方法。
[9] 前記Yは、アルキレン基又は脂環式基である、上記[8]記載の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
[10] 前記アルキレン基は、―CH―又は下記一般式(3)
で表される構造を有する基である、上記[9]記載の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
本発明によれば、電気特性及び耐熱性に優れた多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂は、下記一般式(1)で表される構造を有する。
(式中、nは1〜9の整数を示し、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は置換されていてもよいアルキル基を示し、Yは2価の官能基を示し、Xは下記一般式(2)
(式中、mは1〜20の整数を示し、R,R,R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の官能基を示し、Zはエポキシ基を有する官能基を示す)を示す)。
一般式(1)において、R及びRで示されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子が挙げられる(以下、本実施の形態において同様である)。
また、一般式(1)において、R及びRで示される置換されていてもよいアルキル基の「アルキル基」としては、炭素数が1〜6、好ましくは1〜3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられる。
及びRで示されるアルキル基は、置換可能な位置に、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。かかる置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)などが挙げられる。
及びRとしては、耐熱性と粘度のバランスを向上させる観点から、それぞれ独立して、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、tert−ブチル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、tert−ブチル基である。
及びRは、下記一般式(5)で表されるように、好ましくはフェニル基のオルト位又はパラ位にそれぞれ位置する。
(式中、各記号は前記と同義である)
また、一般式(1)において、nは、1以上9以下、好ましくは1以上7以下の整数を示す。nを9以下とすることにより、溶剤に溶解し易くなり、加工が容易となるというメリットがある。
また、一般式(1)において、Yで示される2価の官能基としては、例えば、アルキレン基、脂環式基等が挙げられる。
「アルキレン基」とは、前記定義「アルキル基」から任意の位置の水素原子をさらに1個除いて誘導される2価の基を意味し、具体的には、メチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、エチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、トリメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられ、好ましくは、メチレン基、エチレン基、メチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、トリメチレン基等である。
「脂環式基」とは、脂肪族の単環、縮合環、橋かけ環構造等を有する環状炭化水素基を意味し、具体的には、下記一般式(3)等で表される構造を有する基等が挙げられる。
Yとしては、特に、―CH―又は下記一般式(3)
で表される構造を有する基であるのが好ましい。
Yが、―CH―で表される構造を有する基であると、多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂の耐熱性が向上する傾向にあるため好ましく、Yが上記一般式(3)で表される構造を有する基であると、多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂の電気特性が良好となる傾向にあるため好ましい。
また、一般式(1)において、Xは下記一般式(2)
(式中、mは1〜20の整数を示し、R,R,R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は1価の官能基を示し、Zはエポキシ基を有する官能基を示す)で示される構造を有する基である。
一般式(2)において、R,R,R及びRで示される1価の官能基としては、例えば、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいシクロアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基等が挙げられる。なお、R〜Rはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
,R,R及びRで示される置換されていてもよいアルキル基の「アルキル基」としては、炭素数が1〜6、好ましくは1〜3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基であり、より好ましくはメチル基である。
,R,R及びRで示される置換されていてもよいシクロアルキル基の「シクロアルキル基」としては、炭素数が3〜8のシクロアルキル基を示し、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基などが挙げられ、好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基である。
,R,R及びRで示される置換されていてもよいアリール基の「アリール基」としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などが挙げられ、好ましくはフェニル基である。
,R,R及びRで示される置換されていてもよいアラルキル基の「アラルキル基」としては、アルキル部分が上記で定義された「アルキル基」であり、アリール部分が上記で定義された「アリール基」であるアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、1−ナフチルメチル基などが挙げられ、好ましくはベンジル基である。
,R,R及びRで示される置換されていてもよいアルコキシ基の「アルコキシ基」としては、炭素数が1〜6、好ましくは1〜3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を示し、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基などが挙げられ、好ましくはメトキシ基、エトキシ基である。
,R,R及びRで示されるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基は、置換可能な位置に、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。かかる置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基)などが挙げられる。
,R,R及びRとしては、エポキシ樹脂との相溶性、多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂の耐熱性等の観点から、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、さらに好ましくはメチル基である。
また、一般式(2)において、mは、ポリフェニレンエーテル単位の平均の繰り返し数を表し、1以上20以下、好ましくは1以上10以下の整数を示す。mを20以下とすることにより、樹脂の溶融粘度を過度に高めることなく、プリプレグ等の製造を円滑に行い得るというメリットがある。
また、一般式(2)において、Zは、エポキシ基を有する官能基を示し、官能基中にエポキシ基を1個以上有する基であれば特に限定されないが、特に、下記一般式(4)
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、又は置換されていてもよいアルキル基を示す)
で表される構造を有する基であるのが、粘度を低減する観点から好ましい。
一般式(4)において、Rで示される置換されていてもよいアルキル基の「アルキル基」としては、上記のR〜Rで示したアルキル基と同様のものが挙げられる。Rとしては、効率的にグリシジル化を行う観点から、好ましくは水素原子、メチル基であり、より好ましくは水素原子である。
本実施の形態の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂の数平均分子量としては、好ましくは8000以下、より好ましくは1000〜7000、さらに好ましくは2000〜6000である。数平均分子量を上記範囲に設定することにより、樹脂の溶融粘度を過度に高めることなく、プリプレグ等の製造を円滑に行い得るというメリットがある。なお、本実施の形態において、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー法(以下、「GPC法」と略記することがある)により測定されるポリスチレン換算値を意味する。
本実施の形態の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂は、いかなる方法で製造されてもよいが、
(a)高分子量ポリフェニレンエーテルと、多官能フェノール化合物と、ラジカル開始剤とを再分配反応させて、多官能ポリフェニレンエーテルを得る工程と、
(b)前記多官能ポリフェニレンエーテルと、エポキシ化合物とを付加反応させる工程と、
を含む方法により製造するのが、製造工程中にゲル化を起こし難く、良好な電気特性を有した樹脂を得る観点から好ましい。
[(a)工程]
本実施の形態の製造方法における(a)工程は、高分子量ポリフェニレンエーテルと、多官能フェノール化合物と、ラジカル開始剤とを再分配反応させて、多官能ポリフェニレンエーテルを得る工程である。
(a)工程における「再分配反応」とは、例えば、学術文献「Journal of organic chemistry,34,297〜303(1969)」に記載されている反応を意味する。即ち、再分配反応とは、ラジカル開始剤の存在下で、数平均分子量が大きいポリフェニレンエーテルと、ポリフェノール性化合物とを反応させて、数平均分子量の小さいポリフェニレンエーテルを得る反応である。
再分配反応の反応機構としては、以下のような機構が考えられる。即ち、まず、ポリフェニレンエーテル及びポリフェノール性化合物が、ラジカル開始剤により共にラジカル化する。次に、ポリフェニレンエーテルの分子内でラジカルが移動する。次に、ラジカルの移動先で、ラジカル化したフェノール性化合物が、ポリフェニレンエーテルの構成ユニットの一部を奪う。このように、再分配反応とは、ポリフェニレンエーテルの構成ユニットをフェノール性化合物に分配していく反応である。ラジカルが消失しない限り、ポリフェニレンエーテルの構成ユニットは次々にフェノール性化合物に分配される。
本実施の形態において「高分子量ポリフェニレンエーテル」とは、数平均分子量が、10,000以上のポリフェニレンエーテルを指す。
本実施の形態において、多官能フェノール化合物としては、フェノール基を好ましくは2.2個以上、より好ましくは2.5個以上有する化合物であり、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ビスフェノールA型ノボラック、α−ナフトール/o−クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂等が挙げられ、好ましくは、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、ジシクロペンタジエン−フェノール樹脂であり、中でも、耐熱性の観点からはフェノールノボラック、クレゾールノボラックがより好ましく、電気特性の観点からはジシクロペンタジエン−フェノール樹脂がより好ましい。
本実施の形態において用いられる原料の高分子量ポリフェニレンエーテル及び多官能フェノール化合物としては、市販品を使用することができる。
本実施の形態において用いられるラジカル開始剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル2,5−ジ−tert−ブチルクミルパーオキシヘキシン−3、2,5−ジメチル2,5−ジ−tert−ブチルパーオキシヘキサン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシベンゼン、ジイソブチリルパーオキサイド、tert−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネイト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネイト、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシベンゾエイト、過酸化ベンゾイル及び過酸化ベンゾイル誘導体等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、過酸化ベンゾイル及び過酸化ベンゾイル誘導体が、反応を制御し易く、また、アルカリ洗浄時にフェノール基数が増加する傾向にあるため好ましい。過酸化ベンゾイルを使用した場合、得られるポリフェニレンエーテルを核磁気共鳴装置により測定すると、通常、ベンジル基やベンゾイル基のピークが観察される。
本実施の形態において、上記再分配反応は、異常反応を抑える観点から、溶媒中で行われるのが好ましい。溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素系であるベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンやジクロロベンゼン、クロロホルム等が挙げられる。
本実施の形態において、上記再分配反応は、反応率を向上させ、高分子量成分を低減させる観点から、ナフテン酸の金属塩、五酸化バナジウム、アニリン、アミン化合物、4級アンモニウム塩、イミダゾール及びホスホニウム塩よりなる群から選択される1種又は2種以上の触媒を用いて行われるのが好ましい。上記再分配反応においては、分子鎖末端に存在するフェノール性水酸基由来の酸素ラジカルが反応点となる。ここで、複数の酸素ラジカル同士が結合することにより、反応が停止する(過酸化物が生成する)場合がある。上記のような触媒を用いることは、当該過酸化物を再度分解して反応点を再生することに寄与し得る。
上記触媒としては、例えば、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸鉛などのナフテン酸塩;五酸化バナジウム;ジメチルアニリン等のアニリン類;アミン化合物、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩;イミダゾール類、ホスホニウム塩等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、触媒は、ラジカル開始剤を投入する前に添加するだけでなく、投入後に添加してもよい。
本実施の形態の製造方法は、上記再分配反応の後に、水及び/又はアルカリ水溶液を用いて多官能ポリフェニレンエーテルを洗浄するのが好ましい。再分配反応を行った場合には、通常、ラジカル開始剤の残渣が残存することとなる。このような洗浄工程を経ることにより、ラジカル開始剤の残渣等、反応系中に存在するアルコールやカルボン酸等を除去することに寄与し得、多官能ポリフェニレンエーテルをエポキシ化する際のエポキシ化反応を促進させる傾向がある。また、エポキシ化反応においてゲル化反応を抑制したり、反応溶液粘度を低粘度化したりすることが可能となる。なお、上記洗浄工程は室温でも実施可能であるが、洗浄速度を早める観点から、60℃以上で実施するのが好ましく、80℃以上で実施するのがより好ましい。
[(b)工程]
本実施の形態の製造方法における(b)工程は、(a)工程に次いで、得られた多官能ポリフェニレンエーテルと、エポキシ化合物とを付加反応させる工程である。
多官能ポリフェニレンエーテルの数平均分子量としては、好ましくは700以上10000以下、より好ましくは1000以上5000以下である。数平均分子量が700以上であると、電気特性が向上する傾向にあり、10000以下であると、粘度が低下して加工し易くなる傾向にある。
ここで、上記多官能ポリフェニレンエーテルの1分子中に含まれるフェノール性水酸基の平均数としては、好ましくは2.2個以上、より好ましくは2.5個以上、さらに好ましくは3.0個以上、上限として好ましくは10個以下、より好ましくは
8個以下である。上記多官能ポリフェニレンエーテルの水酸基個数が2.2個以上であることにより、エポキシ化合物との反応性が向上するというメリットがある。一方、上記多官能ポリフェニレンエーテルの水酸基個数が10個以下であることにより、エポキシ変性時にポリフェニレンエーテルを多く投入しても溶融粘度の急激な上昇を抑え得るというメリットがある。なお、本実施の形態において、多官能ポリフェニレンエーテルの1分子中に含まれるフェノール性水酸基の平均数は、フェノール性水酸基当量と数平均分子量から求められる。
エポキシ化合物としては、例えば、エピクロロヒドリン、2―メチルエピクロロヒドリン等が挙げられ、好ましくはエピクロロヒドリンである。
上記多官能ポリフェニレンエーテルと、エポキシ化合物を付加反応させる方法としては、例えば、触媒の存在下、100℃〜200℃で、1〜20時間反応させる方法を用いることができる。
ここで、触媒としては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムといった水酸化物;ナトリウムメチラートやナトリウムブチラートといったアルキレート塩;テトラブチルアンモニウムクロライドやテトラメチルアンモニウムブロミドといった4級アンモニウム塩;テトラフェニルホスホニウムブロミドやアミルトリフェニルホスホニウムブロミドといったホスホニウム塩;2−メチルイミダゾールや2−メチル−4−イミダゾールといったイミダゾール系触媒;N、N−ジエチルエタノールアミンといったアミン類触媒;塩化カリウム等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本実施の形態の製造方法により得られた多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂は、トルエンやキシレン等の芳香族系の溶剤に対して良好な溶解性を示すだけでなく、ケトン類に対しても良好な溶解性を示し得る。
また、当該多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂は、他のエポキシ樹脂との相溶性に富み、均質なワニスを構成するエポキシ樹脂組成物を与え得る。当該多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂は反応性が高いため、他のエポキシ樹脂と層分離を起こすことなく、均一な硬化物となり得る。
[エポキシ樹脂組成物及び電子部材]
本実施の形態におけるエポキシ樹脂組成物は、多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂と、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含む。本実施の形態のエポキシ樹脂組成物は、金属箔の引き剥がし強さや、半田耐熱性、耐溶剤性、電気特性等に優れた電子部材を実現し得る。
上記エポキシ樹脂組成物中に含まれるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ヒンダート型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン/フェノールエポキシ樹脂、脂環式アミンエポキシ樹脂、脂肪族アミンエポキシ樹脂及びこれらをハロゲン化したエポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
また、上記エポキシ樹脂組成物中に含まれる硬化剤としては、エポキシ樹脂と反応して3次元網状構造を形成し得る硬化剤が好ましい。このような硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、脂肪族ポリアミド等のアミド系硬化剤;ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等のアミン系硬化剤;ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、p−キシレンノボラック樹脂等のフェノール系硬化剤;酸無水物系硬化剤等の顕在型硬化剤や潜在型硬化剤が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。なお、このような硬化剤の配合量としては、エポキシ樹脂組成物全体のエポキシ当量あたり、好ましくは0.1〜10当量、より好ましくは0.3〜3当量、さらに好ましくは0.5〜1.5当量である。
また、本実施の形態におけるエポキシ樹脂組成物は、さらに、難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤としては、例えば、臭素化エポキシ樹脂、エポキシ基含有ホスファゼン化合物、リン酸エステル、縮合リン酸エステル及びホスフィン化合物のキノン誘導体よりなる群から選択される1種以上が用いられる。このような難燃剤の配合量としては、エポキシ樹脂組成物全体の10質量%以上であることが、より確実に難燃性を達成する観点から好適である。なお、難燃剤選択の際、臭素化エポキシ樹脂を選ばなければ、ハロゲンフリーの難燃性樹脂を得ることができる。
本実施の形態の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂がエポキシ樹脂組成物中に占める割合としては、好ましくは40〜90質量%、より好ましくは50〜60質量%である。また、エポキシ樹脂がエポキシ樹脂組成物中に占める割合としては、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは50〜60質量%である。さらに、難燃剤のエポキシ樹脂組成物中に占める割合は、好ましくは10〜50質量%、好ましくは20〜25質量%である。各成分を上記組成とすることで、電気特性が良く、難燃性を維持しながら、耐熱性、接着性、加工性のバランスに優れた硬化物を実現し得る。
本実施の形態のエポキシ樹脂組成物は、さらに、硬化促進剤を含んでもよい。このような硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−メチル−4−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類;トリブチルポスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。これらは単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
本実施の形態のエポキシ樹脂組成物を用いて電子部材等の成形体を得る場合、通常、予めワニスを調製する。ここで、ワニスを調整する際の溶剤としては、例えばジクロロメタンやクロロホルムなどのハロゲン系溶剤やベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶剤に加えて、ケトン類溶剤が挙げられる。ケトン類溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の脂肪族ケトンや、アセトフェノン等の芳香族ケトン等が挙げられる。
また、例えば、ジシアンジアミド等のケトン系溶剤に溶解しにくい硬化剤や硬化促進剤を使用する場合には、主溶剤としてケトン系溶剤を使用した場合であっても、補助溶剤として、例えば、ジメチルホルムアミド、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メシチレン等の溶剤を使用することで、溶解性を向上させることが可能である。
ワニス中の固形分濃度は特に限定されないが、30質量%〜80質量%であるのが好ましい。
本実施の形態の電子部材は、上記エポキシ樹脂組成物を用いて形成される。電子部材の態様としては、例えば、エポキシプリプレグ、エポキシプリプレグを用いた積層板、樹脂シート及び樹脂シートを用いた積層板等が挙げられる。
本実施の形態のエポキシプリプレグは、例えば、上記ワニスを基材に含浸させた後、溶媒の乾燥、加熱により半硬化させて作製することができる。基材としては、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、リンター紙等が挙げられる。基材に含浸するワニスの量は特に限定されないが、乾燥後の樹脂含有量がエポキシプリプレグの質量に対し30〜70質量%となるように含浸させるのが好ましい。
本実施の形態の樹脂シートは、例えば、上記ワニスを金属箔やポリエチレンテレフタレートフィルム等の上にバーコーター等で塗布し、溶剤を乾燥除去することにより作製することができる。得られた樹脂シート(Bステージ化されたフィルム)は、さらに、ホットロール等を用いて両面銅箔積層板にラミネートされ、オーブン内等で加熱処理することにより多層成形体を作製することができる。
本実施の形態の積層板は、例えば、エポキシプリプレグ、樹脂シート及び銅箔を、目的に応じた層構成で積層し、加圧加熱することにより製造することができる。具体的には、例えば、基板上にエポキシプリプレグと硬化性樹脂金属箔複合体を複数枚重ね合わせ、加熱加圧下に各層間を接着すると同時に熱架橋を行い、所望の厚みの積層板を得る方法や、基板上に硬化性樹脂金属箔複合体を複数枚重ね合わせて、加熱加圧下に各層間を接着すると同時に熱硬化を行い、所望の厚みの積層板を得る方法等が挙げられる。金属箔は、表層としても中間層としても用いることができる。また、積層板の製造方法としては、積層と硬化を複数回繰り返して逐次多層化することも可能である。なお、硬化温度としては、例えば、汎用FR4積層板の作製条件として、180℃で1時間硬化の条件を採用し得る。
以下に実施例を示して、本実施の形態をより詳細に説明する。なお、以下において%とは、質量%を意味する。
[測定方法]
本明細書中の物性等の測定方法は以下の通りである。
(1)数平均分子量
昭和電工社製shodex A−804、A−803、A−802、A802をカラムとして使用してゲル浸透クロマトグラフィー分析を行い、分子量既知のポリスチレンの溶出時間との比較で数平均分子量を求めた。
(2)1分子当たりの水酸基個数
ポリフェニレンエーテルを塩化メチレンに溶解後、0.1Nテトラエチルアンモニウムハイドロキシドのメタノール溶液を添加して激しく撹拌した後、318nmにおける吸光度を測定した。1kg当たりのフェノール性水酸基量を、0.1Nテトラエチルアンモニウムハイドロキシドのメタノール溶液を添加しない場合との吸光度の差から算出した(単位:meq/kg)。測定したフェノール性水酸基量と数平均分子量から、1分子当たりの水酸基個数を算出した。
(3)エポキシ当量
JIS K 7236に準じて測定した。
(4)ガラス転位温度(Tg)
積層板作成後、SII社製DSC6220を使用して、昇温速度20℃/分の条件下でDSC法により測定した。
(5)誘電率、誘電正接
JIS C 6481試験項目5.12に基づき、アジレントテクノロジー社製LCRメーター4284Aを用いて測定した。
[製造例1:多官能ポリフェニレンエーテルI]
数平均分子量20000の高分子量ポリフェニレンエーテル(旭化成株式会社製 SA202)100質量部及びフェノールノボラック(群栄化学(株)レヂトップPSM−4261)10質量部をトルエン100質量部に加熱溶解させた。この中に過酸化ベンゾイル20質量部を加え、90℃にて60分間攪拌し再分配反応させた。反応混合物を1000質量部のメタノールに投入し沈殿物を得て、これを濾別した。さらにメタノール1000質量部で濾別物を洗浄し、多官能ポリフェニレンエーテルIを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによる分子量測定の結果、数平均分子量は4300であり、1分子当たりのフェノール性水酸基個数は平均で4.3個であった。
[製造例2:多官能ポリフェニレンエーテルII]
フェノールノボラックを、t−ブチル化したp−クレゾールとジシクロペンタジエンの縮合物(ELIOKEM社製 WINGSTAY L)に変更した以外は製造例1と同様の方法により、多官能ポリフェニレンエーテルIIを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによる分子量測定の結果、数平均分子量は3300であり、また1分子当たりのフェノール性水酸基個数は平均で2.5個であった。
[製造例3:多官能ポリフェニレンエーテルIII]
フェノールノボラックを、クレゾールノボラック(大日本インキ(株)フェノライトKA1163)に変更した以外は製造例1と同様の方法により、多官能ポリフェニレンエーテルIIIを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによる分子量測定の結果、数平均分子量は4600であり、1分子当たりのフェノール性水酸基数は平均で4.5個であった。
[製造比較例1:多官能ポリフェニレンエーテルIV]
フェノールノボラックを、ビスフェノールAに変更した以外は製造例1と同様の方法により、多官能ポリフェニレンエーテルIVを得た。ゲル浸透クロマトグラフィーによる分子量測定の結果、数平均分子量は1900で、分子量20000以上の成分を実質的に含んでいなかった。また1分子当たりのフェノール性水酸基個数は平均で1.7個であった。
[実施例1〜3:多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂I〜III]
得られた多官能ポリフェニレンエーテルI〜IIIを100質量部取り、エピクロロヒドリン240質量部に溶解後、50質量%の水酸化ナトリウム水溶液10質量部を70℃にて60分間かけて添加し、その後70℃で60分間撹拌した。この反応溶液に水50部を加え、撹拌後静置して水層を分離させることで生成塩を除去した後、エピクロロヒドリンを減圧蒸留で除去し、多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂I〜III(多官能エポキシ化PPEI〜III)を得た。
[比較例1:多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂IV]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(旭化成エポキシ(株)、A250)20gと、エポキシクレゾールノボラック樹脂(旭化成エポキシ(株)、ECN1299)20gとを配合し、触媒としてトリ−o−トリルホスフィンを0.1g添加し、十分攪拌した後、160℃まで昇温した。さらに、多官能ポリフェニレンエーテルIVの配合量が60gとなるように添加し、5時間反応させて、多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂IV(多官能エポキシ化PPEIV)を得た。
[比較例2]
エポキシクレゾールノボラック樹脂(旭化成エポキシ(株)、ECN1299)20gを120℃に加熱し、触媒としてトリ−o−トリルホスフィンを0.1g添加し、十分攪拌した後、160℃まで昇温した。さらに、多官能ポリフェニレンエーテルIVの配合量が80gとなるように添加し、反応させようとしたが、反応途中で粘度が上昇し、最終的にはゲル化した。
[積層板]
多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂I〜IVに、臭素化エポキシ樹脂(旭化成エポキシ(株) AER8018)、硬化剤として無水ヘキサヒドロフタル酸及び硬化促進剤として2−メチルイミダゾールを、混合し、ワニスの170℃ゲルタイムが4分〜5分の間になるように、ワニス固形分に対し0.1〜0.3質量%の範囲で調整して添加した。得られた樹脂組成物をガラスクロス(旭シュエーベル株式会社製 商品名2116)に含浸させ、乾燥することにより樹脂含有量50質量%のプリプレグを得た。上記プリプレグを4枚重ね、その上下に厚み35μmの銅箔を重ね合わせたものを温度190℃、圧力20kg/cmの条件下で60分加熱加圧することにより実施例4〜6及び比較例3の積層板を作製した。これらの各積層板に関して、各種物性を評価し表1にまとめた。
表1の結果から明らかなように、本実施の形態の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂を用いた実施例4〜6の積層板は、誘電率及び誘電正接が低く、電気特性が比較例3の積層板と比べて優れていた。これは、高分子量ポリフェニレンエーテルの再分配反応において、多官能のフェノール化合物を用いたことにより、得られる多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂のポリフェニレンエーテル骨格の割合を高めることができたためと推定される。また、実施例4〜6の積層板は、比較例3の積層板と比べてガラス転移温度(Tg)が高く、耐熱性にも優れていた。
特に、多官能フェノール化合物としてジシクロペンタジエン−フェノール樹脂を用いた場合には電気特性に顕著に優れ、また、フェノールノボラックを用いた場合には耐熱性に顕著に優れていた。
本発明の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂は、電気特性及び耐熱性等に優れるため、これを用いて製造された積層板は、プリント配線基板の絶縁材料としての産業上利用可能性を有する。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂:
    (式中、nは1〜9の整数を示し、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロ
    ゲン原子、又はハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基を示し、Yは―CH 2 ―又は下記一般式(3)
    で表される構造を有する2価の官能基を示し、Xは下記一般式(2)
    (式中、mは1〜20の整数を示し、R3,R4,R5及びR6は、それぞれ独立して、
    水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基であり、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよい1価の官能基を示し、Zは下記一般式(4)
    (式中、R 7 は水素原子、ハロゲン原子、又は置換されていてもよいアルキル基を示す)
    で表される構造を有する基を示す)を示す)。
  2. 請求項1記載の多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂と、エポキシ樹脂と、硬化剤とを含む、エポキシ樹脂組成物であって、前記エポキシ樹脂がビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ヒンダート型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスAノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン/フェノールエポキシ樹脂、脂環式アミンエポキシ樹脂、脂肪族アミンエポキシ樹脂及びこれらをハロゲン化したエポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種である、エポキシ樹脂組成物
  3. 請求項記載のエポキシ樹脂組成物を用いて形成された電子部材。
  4. エポキシプリプレグ、前記エポキシプリプレグを用いた積層板、樹脂シート及び前記樹
    脂シートを用いた積層板のいずれかである、請求項記載の電子部材。
  5. 下記一般式(1)
    (式中、nは1〜9の整数を示し、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロ
    ゲン原子、又はハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基を示し、Yは―CH 2 ―又は下記一般式(3)
    で表される構造を有する2価の官能基を示し、Xは下記一般式(2)
    (式中、mは1〜20の整数を示し、R3,R4,R5及びR6は、それぞれ独立して、
    水素原子、ハロゲン原子、又はアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基であり、それぞれハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基で置換されていてもよい1価の官能基を示し、Zは下記一般式(4)
    (式中、R 7 は水素原子、ハロゲン原子、又は置換されていてもよいアルキル基を示す)
    で表される構造を有する基を示す)を示す)
    で表される、多官能エポキシ化ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法であって、
    (a)数平均分子量10,000以上のポリフェニレンエーテルと、多官能フェノール化合物と、ラジカル開始剤とを再分配反応させて、多官能ポリフェニレンエーテルを得る工程と、
    (b)前記多官能ポリフェニレンエーテルと、エポキシ化合物とを付加反応させる工程
    と、
    を含む製造方法。
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