JP6189731B2 - シフト装置 - Google Patents

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Description

本発明は、シフト装置に関する。
特許文献1には、回転つまみを操作することにより変速機のシフトレンジを切り替えるバイワイヤ式のシフト装置が記載されている。このシフト装置は、回転つまみに設けられたカムの回転を規制するC字状のストッパを有している。回転つまみが所定の回転範囲を超えて操作されようとするとき、カムがストッパ(C字の2つの端部)に当接することにより物理的に回転つまみの回転が規制される。また、ストッパの外周にはリングギヤが設けられている。このリングギヤにはモータに連結されたウォームが噛み合っている。モータの駆動を通じてストッパを回転させることにより、ストッパが規制する回転つまみの回転範囲を変更することが可能である。
特表2008−511063号公報
近年では、搭載される車両の仕様などに基づきシフト装置に対する顧客の要求はますます多様化してきている。これらの要求に応えるためにシフト装置の構成についての多岐にわたる研究開発が行われている。
本発明の目的は、新規構成を有するシフト装置を提供することにある。
上記目的を達成し得るシフト装置は、車両の変速機のシフトレンジを選択するために回転操作されるノブと、ノブに対して同軸に設けられるとともに選択されるシフトレンジに応じた回転位置に保持される節度部材と、ノブおよび節度部材の一部分にそれぞれの回転方向において係合する第1の位置と当該ノブとの係合が解除される第2の位置との間を移動する連結部材と、前記連結部材および節度部材の駆動源と、駆動源を制御する制御回路と、を備えている。制御回路は、通常操作時には連結部材を第1の位置に保持するために、また特定条件の成立時には連結部材を第1の位置から第2の位置へ移動させるとともに節度部材をパーキングレンジに対応する回転位置へ移動させるために、駆動源を制御する。
この構成によれば、通常操作時には、ノブと節度部材とは連結部材を介して一体的に回転し、選択されるシフトレンジに応じた回転位置に保持される。これに対し、特定条件の成立時には、連結部材が第1の位置から第2の位置へ移動することにより連結部材とノブとの係合が解除される。すなわち、ノブの回転は節度部材に伝達されない。このため、駆動源の作動を通じて節度部材のみを回転させることが可能となる。節度部材のみをパーキングレンジに対応する回転位置へ移動させることもできる。たとえばノブが把持されるなど、何らかの理由によりノブの回転が規制された状態でシフトレンジをパーキングレンジに切り替える必要があるときに有効である。このような新規構成を有するシフト装置が得られる。
上記のシフト装置において、連結部材はノブと節度部材との回転中心軸に沿った方向における境界部分において第1の位置に弾性保持されることを前提として、前記境界部分に対向するとともに駆動源の作動に連動してノブおよび節度部材の周囲を回転するカム部材を設けてもよい。このカム部材は、自身の回転に伴う連結部材との係合を通じて連結部材をその弾性に抗して第1の位置から第2の位置へ向けて押しのけつつ当該回転方向において節度部材の一部分に当接するカム壁を有することが好ましい。制御回路は、節度部材がパーキングレンジに対応する回転位置に至った旨検出されるとき、駆動源の制御を通じてカム部材を逆回転させて元の位置に復帰させることが望ましい。
この構成によれば、カム部材を回転させることにより連結部材を第1の位置から第2の位置へ移動させることができる。またカム部材の回転を通じて節度部材を押すことにより節度部材をパーキングレンジに対応する回転位置へ移動させることができる。ここで、カム部材が元の位置に戻されない場合、連結部材は第2の位置に保持されつづける。すなわちノブと節度部材との間の動力伝達が切り離された状態に維持される。このため、節度部材がひとたびパーキングレンジに対応する回転位置に達した後は、カム部材を元の位置に戻すことが好ましい。カム部材が元の位置に戻されることにより連結部材は自身を第1の位置に弾性保持しようとする弾性によって第2の位置から第1の位置へ自動復帰する。これにより節度部材は再びノブと一体回転可能となる。また、カム部材を元の位置に戻すことにより、ノブ操作を通じてパーキングレンジから他のシフトレンジへ切り替えるとき、カム部材が節度部材の回転の妨げになることもない。したがって、ノブと一緒に節度部材は円滑に回転可能となる。また、カム部材を利用することによりシフト装置の構成を簡単にすることも可能である。
上記のシフト装置において、ノブと節度部材とはそれらの回転中心軸に沿う方向において互いに接触する状態に維持されることを前提として、前記駆動源を第1の駆動源としたときにおける第2の駆動源と、第2の駆動源の作動を通じてノブの回転を規制するロック位置と当該規制が解除されるアンロック位置との間を移動するロック部材と、を設けてもよい。制御回路は、通常操作時にはロック部材をアンロック位置に保持するために、前記特定条件の成立時にはロック部材をアンロック位置からロック位置へ移動させるために、第2の駆動源を制御することが好ましい。
この構成によれば、節度部材のみを回転させるとき、ノブが節度部材と連れ回りすることが抑制される。
上記のシフト装置において、前記特定条件は、車両の走行用駆動源が停止されることを含んでいてもよい。
この構成によれば、車両の走行用駆動源が停止されたとき、シフトレンジを自動的にパーキングレンジに切り替えることが可能となる。
上記のシフト装置において、ノブは中空の円筒状であって、当該ノブの内部には表示部がノブに対して相対回転可能に設けられていてもよい。
ノブが操作される場合であれ、表示部の位置は維持される。このため、表示部の視認性を確保することができる。
本発明によれば、新規構成のシフト装置が得られる。
シフト装置が設置された車室内の斜視図。 シフト装置の構成を分解して示す斜視図。 シフト装置の構成を示す斜視図。 シフト装置の構成を示す斜視図。 (a)は案内面の形状を示す節度部材の要部正面図、(b),(c)はそれぞれ他の実施の形態における案内面の形状を示す節度部材の要部正面図。 (a)は通常操作時における連結部材の状態を示す要部正面図、(b)は自動復帰動作の初期時における連結部材の状態を示す要部正面図、(c)は節度部材がパーキング位置へ向けて移動するときにおける連結部材の状態を示す要部正面図。 シフト装置の電気的な構成を示すブロック図。 自動復帰動作の手順を示すフローチャート。
以下、シフト装置の一実施の形態を説明する。
<機械的な構成>
図1に示すように、シフト装置11はたとえば車両のセンターコンソール12に設けられる。シフト装置11はケース13およびケース13に対して回転可能に設けられた円柱状のダイヤルノブ14を有している。ケース13はセンターコンソール12の内部に設けられている。ダイヤルノブ14はセンターコンソール12の外部に露出している。ダイヤルノブ14が回転操作されることにより図示しない変速機のシフトレンジが切り替えられる。
図2に示すように、ケース13は上部が開口した有底箱体であるケース本体13aおよびケース本体13aの上部開口を閉塞するカバー13bを有する。カバー13bには孔15が設けられている。
ケース本体13aの内部には、円筒状の節度部材20が回転可能に支持される。節度部材20の上面には環状溝21が形成されている。環状溝21が形成されることにより内周壁22および外周壁23が形成される。外周壁23の上部には2つの切欠24,24が設けられている。これら切欠24,24は節度部材20の半径方向において互いに反対側に設けられている。また節度部材20の周面には環状の段差部25が設けられている。また、節度部材20の周面には2つの突部26,26が設けられている。これら突部26,26は節度部材20の半径方向において互いに反対側に設けられている。
環状溝21には圧縮コイルばね27を介して環状の連結部材30が収容されている。連結部材30の上部には2つの係合突部31,31が設けられている。これら係合突部31,31は連結部材30の半径方向において互いに反対側に設けられるとともに、連結部材30の周面に対して外方へ突出している。また、2つの係合突部31,31は節度部材20の2つの切欠24,24に対してそれぞれ節度部材20の円周方向において一致している。通常、2つの係合突部31,31はそれぞれの下半分程度が2つの切欠24,24に進入した状態に保持される。連結部材30に上方から下方へ向けた外力が印加されたとき、連結部材30は圧縮コイルばね27の弾性力に抗して下方へ移動する。これに伴い2つの係合突部31,31は2つの切欠24,24の内部に進入する。
節度部材20の上部には、円筒状のカム部材40が取り付けられる。カム部材40は節度部材20の周面に設けられた段差部25により支持されるとともに節度部材20に対して摺動回転可能である。カム部材40は、環状の外歯車部41および2つのカム壁42,42を有している。2つのカム壁42,42は外歯車部41の下部、かつ外歯車部41の半径方向において互いに反対側に設けられている。カム壁42は外歯車部41の下面に対する突出高さが異なる第1の壁43および第2の壁44を有している。第2の壁44の突出高さは第1の壁43よりも高く設定されている。また、カム部材40が反時計方向へ回転されるとき、第1の壁43が進行方向先頭となるように第1および第2の壁43,44はそれぞれ設けられている。第1の壁43において、第2の壁44と反対側の端部には、外歯車部41の下面と第1の壁43の下面とを繋ぐように傾斜する傾斜面43aが設けられている。また、第1の壁43と第2の壁44との境界部分には、それらの高低差による当接面44aが形成されている。
また、節度部材20の上部にはダイヤルノブ14がカム部材40に挿入されるかたちで載置されている。ダイヤルノブ14は円筒状のノブベース50aおよびノブベース50aの上部周面に装着される円筒状のノブボディ50bを有している。
ノブベース50aの軸線方向における中間部分には環状の大径部51が設けられている。大径部51の周面には多数の係合凹部52が設けられている。各係合凹部52は大径部51の円周方向において等間隔で並んでいる。またノブベース50aの下部には多数の歯53が設けられている。各歯53はノブベース50aの円周方向において等間隔で並んでいる。ノブベース50aの円周方向において互いに隣り合う2つの歯53,53の間隔は、連結部材30の円周方向における係合突部31の幅より若干長く設定されている。ノブベース50aは各歯53を介して節度部材20の上面に対して摺動可能に支持される。
ノブボディ50bはノブベース50aの上部(大径部51の上面を境界とする上側部分)における周面を覆うかたちで固定されている。ノブボディ50bの下面はノブベース50aの大径部51の上面に接触した状態に維持される。ノブボディ50bはカバー13bの孔15に下方から挿入されて外部に露出した状態に維持される。
ケース本体13aの内部にはホルダ71が固定されている。ホルダ71はノブベース50aの内部に挿入されるかたちで設けられる。
ホルダ71の上部には円板状のカバーパネル72が取り付けられる。カバーパネル72はノブベース50aあるいはノブボディ50bの開口部を内側から塞ぐ。またカバーパネル72はノブベース50aおよびノブボディ50bに対して相対的に回転可能である。カバーパネル72には複数の貫通孔73が設けられている。貫通孔73は変速機のシフトレンジと同数(ここでは4つ)だけ設けられる。各貫通孔73はカバーパネル72の中心からはずれた部位に、かつ中心線の延びる方向に沿って一列に並んでいる。また、カバーパネル72の上面(表面)には、シフトレンジの種別を示す複数のマーク74が設けられている。ここではマーク74として、パーキングレンジを示す「P」、リバースレンジを示す「R」、ニュートラルレンジを示す「R」およびドライブレンジを示す「D」が各貫通孔73に対応して一列に並んでいる。各マーク74は透光性を有する材料により形成されている。
また、ホルダ71の内部にはマーク照明用のライトガイド75およびレンジ報知用の複数のライトガイド76がそれぞれ保持される。ライトガイド75は直方体状に設けられるとともに、その幅はカバーパネル72における各マーク74の形成範囲と同程度に設定されている。ライトガイド75はカバーパネル72における各マーク74の形成範囲の直下に位置する。ライトガイド75は自身の直下に設けられる図示しない光源からの光を各マーク74の背面から照射する。すなわち、各マーク74は背面から照明される。また、各ライトガイド76は矩形薄板状に設けられている。各ライトガイド76の先端部はカバーパネル72の下方から各貫通孔73に嵌められて外部に露出する。各ライトガイド76はそれらの直下に設けられる各光源(図示略)からの光をホルダ71の上部へ導きつつ当該光を外部へ放出する。その時々で選択されるシフトレンジに対応するライトガイド76の光源のみが点灯される。
図3に示すように、ケース13(図3では図示略)の内部にはシフトロック機構80が設けられる。シフトロック機構80は、ソレノイド81およびロック部材82を有している。
ソレノイド81は節度部材20の下方に設けられている。ソレノイド81のプランジャ81aは節度部材20、ひいてはカム部材40の半径方向に沿って延びている。プランジャ81aの先端頭部とソレノイド81との間には引き戻し用の圧縮コイルばね83が介在されている。ソレノイド81に対して給電されたとき、プランジャ81aは圧縮コイルばね83の弾性力に抗してソレノイド81の内部に引き込まれる。ソレノイド81に対する給電が停止されたとき、プランジャ81aは圧縮コイルばね83の弾性力により元の位置へ引き戻される。
ロック部材82はダイヤルノブ14、すなわちノブベース50aの軸線方向(図3中の上下方向)に沿って延びている。ロック部材82の下部はプランジャ81aの先端頭部に回転可能に連結されている。ロック部材82の上部にはノブベース50aへ向けて延びる爪82aが設けられている。また、ロック部材82の下部寄りの部分は、ケース本体13aの内部に設けられる支持軸84を中心として回転可能に支持されている。ロック部材82はプランジャ81aの進退移動に連動して図3に実線で示されるロック位置P1と図3に二点鎖線で示されるアンロック位置P2との間を移動する。
ロック位置P1は、プランジャ81aが引き込まれないときのロック部材82の位置である。ロック部材82がロック位置P1に位置するとき、爪82aはノブベース50aの係合凹部52に進入した状態に維持される。すなわち、爪82aはノブベース50aの回転方向において係合凹部52と係合する。アンロック位置P2は、プランジャ81aが引き込まれたときのロック部材82の位置である。ロック部材82がアンロック位置P2に位置するとき、爪82aはノブベース50aの係合凹部52から抜け出した状態に維持される。すなわち、ノブベース50aの回転方向における爪82aと係合凹部52との係合が解除される。
また図3に示すように、ケース13(図3では図示略)の内部には駆動機構90が設けられる。駆動機構90はモータ91、ウォーム92、二段歯車93および歯車94を有している。モータ91はカム部材40の近傍に設けられている。モータ91の出力軸91aはカム部材40の軸線に対して直交する方向(図3中の左右方向)へ延びている。ウォーム92はモータ91の出力軸91aに対して同軸状に取り付けられている。二段歯車93はカム部材40の軸線と平行に延びる軸線を中心として回転する。二段歯車93の軸線とウォーム92の軸線とは互いに直交するねじれの位置関係にある。二段歯車93の下段部分である大径歯車93aはウォーム92と噛み合っている。二段歯車93の上段部分である小径歯車93bは歯車94を介してカム部材40の外歯車部41に噛み合っている。したがって、モータ91の回転はウォーム92、二段歯車93および歯車94を介してカム部材40の外歯車部41に伝達される。
図4に示すように、通常、カム部材40は基準位置P0に保持される。基準位置P0は節度部材20の円周方向において第1の壁43が連結部材30の係合突部31に近接状態で対向する位置である。また基準位置P0は節度部材20の円周方向において第2の壁44(当接面44a)が間隔をおいて節度部材20の突部26に対向する位置でもある。この間隔はダイヤルノブ14の操作範囲(P,R,N,D)以上に設定される。
また、カム部材40が基準位置P0に保持されているとき、連結部材30の係合突部31における上半分程度は、ノブベース50a下部に設けられた多数の歯53のうち互いに隣り合う2つの歯53,53の間に進入した状態に維持される。また、カム部材40が基準位置P0に保持されているとき、係合突部31の下半分程度は節度部材20の切欠24に進入した状態に維持される。すなわち、カム部材40が基準位置P0に保持されているとき、係合突部31はダイヤルノブ14の回転方向において歯53および切欠24の双方に係合する。したがって、ロック部材82がアンロック位置P2に保持されているとき、ダイヤルノブ14の回転操作に連動して節度部材20も一緒に回転する。このとき、カム部材40はダイヤルノブ14(正確には、ノブベース50a)および節度部材20に対してそれぞれ摺動する。このため、カム部材40は回転することなく基準位置P0に維持される。なお、カム部材40の回転をより確実に規制する観点から、駆動機構90のウォーム92、二段歯車93および歯車94における動力伝達方向は非可逆であることが好ましい。
図5(a)に示すように、節度部材20の下面には案内面95が設けられている。案内面95には節度部材20の回転方向に沿って4つの凹部95p,95r,95n,95dが設けられている。各凹部95p,95r,95n,95dは節度部材20の回転方向において滑らかに連続している。各凹部95p,95r,95n,95dは変速機の各シフトレンジ「P」,「R」,「N」,「D」を切り替える際に操作されるダイヤルノブ14の回転位置に対応する。
<機構の動作>
案内面95はケース13の内部に設けられるピン96を案内する。ピン96は圧縮コイルばね97の弾性力により案内面95に押し付けられる方向へ常時付勢される。節度部材20の回転に伴いピン96の先端は案内面95に対して弾性的に接触した状態で摺動案内されるとともに、各凹部95p,95r,95n,95dに順次係止される。これにより、ダイヤルノブ14を介して適度な節度感(クリック感)などの操作感触が得られる。
なお、ピン96が各凹部95p,95r,95n,95dに係止されるときの節度部材20の回転位置は各シフトレンジ「P」,「R」,「N」,「D」に対応する。ダイヤルノブ14の操作を通じて節度部材20が各シフトレンジ「P」,「R」,「N」,「D」に対応する各回転位置に回転することにより変速機のシフトレンジが切り替えられる。
図6(a)に示すように、また前述したように、通常操作時においては、カム部材40は基準位置P0に保持される。また、連結部材30の係合突部31はダイヤルノブ14の回転方向において歯53および切欠24の双方に係合する第1の位置P11に保持される。したがって、ロック部材82がアンロック位置P2に保持されているとき、ダイヤルノブ14の回転操作に連動して節度部材20も一緒に回転する。
これに対し、ロック部材82がロック位置P1に保持されることによりダイヤルノブ14(ノブベース50a)の回転が規制された状態でモータ91が駆動されたとき、カム部材40はノブベース50aに対して相対的に回転する。ここではカム部材40の回転に伴いカム壁42は連結部材30の係合突部31に近づく方向(図6(a)中の右方向)へ移動する。
図6(b)に示すように、カム部材40の回転に伴いやがて第1の壁43の傾斜面43aが連結部材30の係合突部31に当接する。さらに第1の壁43が図6(b)中の右方向へ移動するにつれて係合突部31が傾斜面43aに案内されるかたちで下方へ押圧される。これにより、係合突部31を含め連結部材30の全体が圧縮コイルばね27の弾性力に抗して下方へ移動する。
図6(c)に示すように、係合突部31が傾斜面43aを相対的に下って傾斜面43aを乗り越えた以降、係合突部31はその大部分が切欠24の内部に押し込まれた第2の位置P12に保持される。そして係合突部31の上面は圧縮コイルばね27の弾性力により第1の壁43の下面に押し付けられた状態で摺動する。カム部材40がさらに回転されると、やがて当接面44aが節度部材20の突部26に当接する。これ以降、カム部材40と一緒に節度部材20が回転する。
このように、モータ91の駆動を通じてカム部材40を回転させることにより節度部材20をダイヤルノブ14(ノブベース50a)と切り離して単独で回転させることが可能である。
<電気的な構成>
つぎに、シフト装置の電気的な構成を説明する。
図7に示すように、シフト装置11は、シフトポジションセンサ101、カムポジションセンサ102および制御回路103を有している。制御回路103にはシフトポジションセンサ101およびカムポジションセンサ102がそれぞれ接続されている。また制御回路103にはモータ91、ソレノイド81および光源104がそれぞれ接続されている。さらに制御回路103には、車両に設けられるエンジンスイッチ105、フットブレーキスイッチ106および変速機107もそれぞれ接続されている。
シフトポジションセンサ101は節度部材20の回転位置に応じた電気信号を生成する。カムポジションセンサ102はカム部材40が基準位置P0に位置していることを検出する。光源104はライトガイド75および複数のライトガイド76に対して個別に光を供給する。光源104は各ライトガイド75,76に対応する複数個の発光ダイオードを含んでいてもよい。エンジンスイッチ105は車両の走行用駆動源である図示しないエンジンを停止あるいは始動させる際の操作を検出する。フットブレーキスイッチ106は図示しないブレーキペダルが踏み込まれていることを検出する。
制御回路103はシフトポジションセンサ101により生成される電気信号に基づきダイヤルノブ14の操作位置、正確には節度部材20の回転位置「P」,「R」,「N」,「D」を検出する。そして制御回路103は節度部材20の回転位置に応じて変速機107のシフトレンジを切り替える旨の指令信号を生成する。また、制御回路103は節度部材20の回転位置、ならびにエンジンスイッチ105、フットブレーキスイッチ106のオンオフ状態に応じてモータ91およびソレノイド81の駆動を制御する。
なお、制御回路103は変速機107のシフトレンジをパーキングレンジに切り替えるべきとして予め設定された特定の事象が検出されるとき、ダイヤルノブ14の操作位置にかかわらず、変速機107のシフトレンジを自動的にパーキングレンジに切り替えるための指令信号を生成する。特定の事象としては、たとえばエンジンが停止されること、あるいはメカニカルキーがキーシリンダから引き抜かれたこと、あるいはドアが開けられたことなどが考えられる。これら特定の事象はエンジンスイッチ105を含む各種のセンサにより検出される。
また制御回路103は、各種のセンサを通じて特定の事象が検出されるとき、その時々のダイヤルノブ14の状態に応じた制御を実行する。すなわち、特定の事象を検出するセンサにより生成される電気信号は、当該ダイヤルノブ14の状態に応じた制御の実行契機となるトリガ信号として機能する。トリガ信号としては、たとえばエンジンスイッチ105がオフされた旨示す電気信号、あるいはメカニカルキーがキーシリンダから引き抜かれた旨示す電気信号、あるいはドアが開けられた旨示す電気信号などである。
たとえば制御回路103は、特定の事象が検出されること、およびダイヤルノブ14がパーキングレンジ「P」以外の他のレンジ「R」,「N」,「D」に対応する回転位置に維持されていることを含む特定条件が成立するとき、ダイヤルノブ14の自動復帰動作を実行する。すなわち、ダイヤルノブ14を自動的にパーキングレンジ「P」に対応する回転位置に切り替える。
<自動復帰動作>
つぎに、制御回路103による自動復帰動作の実行手順を説明する。ここではダイヤルノブ14がパーキングレンジ「P」以外の他のレンジ「R」,「N」,「D」に対応する回転位置に維持されている。またカム部材40は基準位置P0に、ロック部材82はアンロック位置P2にそれぞれ保持されている。
さて、図8のフローチャートに示すように、制御回路103は特定の事象が検出された旨示すトリガ信号を受信したとき(ステップS1001)、ソレノイド81への給電を停止する(ステップS1002)。ソレノイド81への給電が停止されることにより、プランジャ81aがソレノイド81に引き込まれてロック部材82がアンロック位置P2からロック位置P1へ移動する。すなわち、ダイヤルノブ14の回転が規制された状態となる。
つぎに制御回路103は節度部材20をパーキングレンジ「P」に対応する回転位置へ移動させるためにモータ91を駆動する(ステップS1003)。モータ91の駆動を通じてカム部材40が回転することにより、連結部材30の係合突部31とノブベース50aとの係合が解除される。すなわち、節度部材20とノブベース50aとの動力伝達が切り離される。また、カム部材40の第2の壁44、正確にはその当接面44aが節度部材20の突部26に当接する。これによりカム部材40と一緒に節度部材20が回転する。
制御回路103はシフトポジションセンサ101を通じて節度部材20がパーキングレンジ「P」に対応する位置へ至った旨検出されるとき(ステップS1004)、モータ91を停止させる(ステップS1005)。
つぎに制御回路103は、カム部材40を基準位置P0へ復帰させるためにモータ91を逆回転させる(ステップS1006)。これは次回の運転時にはダイヤルノブ14と節度部材20とを再び動力伝達可能に連結するためである。
そして制御回路103はカムポジションセンサ102を通じてカム部材40が基準位置P0へ復帰した旨検出されるとき(ステップS1007)、モータ91を停止させて(ステップS1008)、処理を終了する。カム部材40が基準位置P0に復帰することにより、連結部材30は圧縮コイルばね27の弾性力により上方へ移動する。これに伴い係合突部31は再びノブベース50aおよび節度部材20の双方に係合する位置へ復帰する。次回の運転時にはダイヤルノブ14の操作を通じてシフトレンジを切り替えることができる。このときカム部材40が邪魔になることもない。
ここで、ダイヤルノブ14の回転操作が規制された状態で自動復帰動作が実行される場合も想定されるところ、自動復帰動作の実行開始に際して、回転位置の検出対象である節度部材20はダイヤルノブ14から切り離される。そして節度部材20を単独で回転させることにより節度部材20をパーキングレンジ「P」に対応する回転位置へ移動させる。このため、モータ負荷の増大が抑えられるのでモータ91は過負荷に至りにくい。すなわちモータ91に過電流が流れることが抑制されることによりモータ91が保護される。ユーザは再び車両を運転する際には、通常通りダイヤルノブ14を操作すればよい。
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)自動復帰動作の実行に際して、ダイヤルノブ14と節度部材20との動力伝達を切り離し、節度部材20を単独で回転させる。これにより、ダイヤルノブ14が把持されるなどしてその回転が規制された状態で自動復帰動作が実行されたときであれ、モータ負荷の増大を抑えつつシフトレンジをパーキングレンジ「P」に切り替えることができる。
(2)自動復帰動作の実行に際して、節度部材20を単独で回転させるときにはダイヤルノブ14(ノブベース50a)の回転を規制するようにした。このため、ダイヤルノブ14が節度部材20と連れ動くことがなく、節度部材20のみを回転させることができる。
(3)ダイヤルノブ14の回転は連結部材30を介して節度部材20に伝達されるところ、自動復帰動作の実行に際しては、カム部材40を回転させることにより連結部材30とダイヤルノブ14(ノブベース50a)との係合が解除される。このため、シフト装置11の構成を簡単にすることが可能である。またシフト装置11の体格の小型化にもつながる。
(4)ダイヤルノブ14は、その時々のシフトレンジを報知する表示部として機能するカバーパネル72に対して相対回転する。ダイヤルノブ14の操作の有無にかかわらず、カバーパネル72は常に同じ向きに維持される。このため、カバーパネル72の表示を視認しやすい。
(5)連結部材30によるダイヤルノブ14と節度部材20との連結部位をダイヤルノブ14の半径方向において互いに反対側の2箇所に設定した。このため、節度部材20はダイヤルノブ14に連動して安定して回転する。当該回転に伴うがたつきなども抑制される。
<他の実施の形態>
なお、前記実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・案内面95における各凹部95p,95r,95n,95dの深さは、先の図5(a)に示されるように一定としてもよいし深さを異ならせてもよい。たとえば図5(b)に示すように、パーキングレンジ「P」に対応する凹部95pの深さを他の凹部95r,95n,95dより深く設定してもよい。また、節度部材20の回転方向における各凹部95p,95r,95n,95dの長さについても、先の図5(a)に示されるように一定としてもよいし異ならせてもよい。たとえば図5(c)に示すように、パーキングレンジ「P」に対応する凹部95pの長さを他の凹部95r,95n,95dよりも長く設定してもよい。このようにすれば、シフトレンジをパーキングレンジ「P」に切り替える際にダイヤルノブ14を介して知覚される操作感触が他のシフトレンジに切り替える際と異なる。このため、パーキングレンジ「P」から他のシフトレンジへ、または他のシフトレンジからパーキングレンジ「P」へ向けた操作であることを感覚的に認識することが可能となる。なお、製品仕様などによってはニュートラルレンジ「N」に対応する凹部95nの深さまたは長さを他の凹部と異ならせてもよい。シフトレンジの切り替え操作に対してめりはりを持たせられる。ちなみに、各凹部95p,95r,95n,95dの深さあるいは長さが異なる場合であれ、同じシフトレンジへ切り替える際には常に同一の操作感触が得られる。自動復帰動作が実行される場合、節度部材20は常にパーキングレンジ「P」に対応する位置に戻されるからである。このように、本例のシフト装置11によれば操作の重み付けあるいは操作感を自由に変更することが可能となる。
・図8のフローチャートにおけるステップS1002とステップS1003との処理順序を逆にしてもよい。
・本例では円柱状のダイヤルノブ14を採用したが、ダイヤルノブ14の形状(ノブボディ50bの外郭形状)は適宜変更してもよい。たとえば四角柱あるいは五角柱などの多角柱状、または楕円柱状のノブボディ50bを採用してもよい。
・本例では、連結部材30によるダイヤルノブ14と節度部材20との連結部位を2箇所だけ設けたが、1箇所だけでもよいし3箇所、4箇所またはそれ以上設けてもよい。製品仕様などに応じて適宜設ければよい。
・本例では、ダイヤルノブ14に対して4つの操作位置「P」,「R」,「N」,「D」を設定したが、これら操作位置は変速機107に設定されるシフトレンジに応じて適宜変更すればよい。各凹部95p,95r,95n,95dの個数および配置間隔なども同様である。
・本例では、節度部材20の下面に案内面95を、ケース13の内部にピン96をそれぞれ設けたが、つぎのようにしてもよい。すなわち、案内面95は節度部材20の下面以外の部位、たとえば周面などに設けてもよい。また、節度部材20にピン96を、ケース13に案内面95を設けてもよい。
・本例では、シフトロック機構80の駆動源としてソレノイド81を使用したが、ソレノイド81に代えてモータを利用してもよい。この場合、モータの回転をロック部材82のロック位置P1とアンロック位置P2との間の移動に変換する機構を設ける。
・本例では、ダイヤルノブ14に設けられる表示部としてカバーパネル72(貫通孔73およびマーク74を含む。)およびライトガイド75,76などを有する構成を一例として挙げたが、ライトガイド75,76を使用した表示方法でなくてもよい。また、表示部の構造も適宜に変更可能である。
・本例ではカム部材40の係合突部31によってダイヤルノブ14(ノブベース50a)と節度部材20とを動力伝達可能に連結したが、つぎのようにしてもよい。たとえば係合突部31を独立した部材として設けるとともに、この独立した係合突部31を連結位置と連結解除位置との間で移動させるアクチュエータを設ける。連結位置とはノブベース50aと節度部材20とが動力伝達可能に連結される位置であって本例の第1の位置P11に相当する。連結解除位置とはノブベース50aと節度部材20との連結が解除される位置であって本例の第2の位置P12に相当する。ノブベース50aと節度部材20との連結が解除された状態でモータ91の駆動を通じてカム部材40を回転させる。このようにしても、本例と同様の効果が得られる。
11…シフト装置、14…ダイヤルノブ、20…節度部材、30…連結部材、40…カム部材、42…カム壁、72…カバーパネル(表示部)、81…ソレノイド(第2の駆動源)、82…ロック部材、91…モータ(駆動源、第1の駆動源)、103…制御回路、107…変速機。

Claims (5)

  1. 車両の変速機のシフトレンジを選択するために回転操作されるノブと、
    ノブに対して同軸に設けられるとともに選択されるシフトレンジに応じた回転位置に保持される節度部材と、
    ノブおよび節度部材の一部分にそれぞれの回転方向において係合する第1の位置と当該ノブとの係合が解除される第2の位置との間を移動する連結部材と、
    前記連結部材および節度部材の双方を駆動する単一の駆動源と、
    駆動源を制御する制御回路と、を備え、
    制御回路は、通常操作時には連結部材を第1の位置に保持するために、また特定条件の成立時には連結部材を第1の位置から第2の位置へ移動させるとともに節度部材をパーキングレンジに対応する回転位置へ移動させるために、前記駆動源を制御するシフト装置。
  2. 請求項1に記載のシフト装置において、
    連結部材はノブと節度部材との回転中心軸に沿った方向における境界部分において第1の位置に弾性保持されることを前提として、前記境界部分に対向するとともに駆動源の作動に連動してノブおよび節度部材の周囲を回転するカム部材を設け、
    カム部材は、自身の回転に伴う連結部材との係合を通じて連結部材をその弾性に抗して第1の位置から第2の位置へ向けて押しのけつつ当該回転方向において節度部材の一部分に当接するカム壁を有し、
    制御回路は、節度部材がパーキングレンジに対応する回転位置に至った旨検出されるとき、駆動源の制御を通じてカム部材を逆回転させて元の位置に復帰させるシフト装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のシフト装置において、
    ノブと節度部材とはそれらの回転中心軸に沿う方向において互いに接触する状態に維持されることを前提として、
    前記駆動源を第1の駆動源としたときにおける第2の駆動源と、
    第2の駆動源の作動を通じてノブの回転を規制するロック位置と当該規制が解除されるアンロック位置との間を移動するロック部材と、を設け、
    制御回路は、通常操作時にはロック部材をアンロック位置に保持するために、前記特定条件の成立時にはロック部材をアンロック位置からロック位置へ移動させるために、第2の駆動源を制御するシフト装置。
  4. 請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、
    前記特定条件は、車両の走行用駆動源が停止されることを含むシフト装置。
  5. 請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載のシフト装置において、
    ノブは中空の円筒状であって、当該ノブの内部には表示部がノブに対して相対回転可能に設けられているシフト装置。
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