JP6003785B2 - 車両のシフト装置 - Google Patents
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一般に、かぎ型ゲート式ステーショナリタイプのシフト装置は、ゲート溝が略クランク状のかぎ型に形成され、使用頻度が高いパーキング位置、リバース位置、ドライブ位置等のシフト位置がゲート溝の角部に夫々設定されている。
このシフトバイワイヤ装置では、シフトレバーの操作ストロークに機構上の制約がないため、ゲート溝長を短縮化することができ、シフト装置全体としてコンパクト化を図ることが可能である。エンジンを動力源にしない電気自動車やハイブリッド自動車では、エンジン特有のトルク特性を有していないため、トランスミッション機構を搭載していない。そのため、電気自動車等へのシフトバイワイヤ装置の導入傾向は特に増加している。
一方、特許文献1のH型ゲート式モメンタリタイプのシフト装置は、ゲート溝を短く且つコンパクトにできるものの、乗員がシフトレバーを操作したとき、レバー操作の力加減によってはオーバーストロークを生じ易くなり、目標であるシフト位置を通り越して意図しないシフト位置が選択される虞がある。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記シフトレバーのホーム位置周りの移動経路の途中に、少なくともパーキング位置とリバース位置とドライブ位置とが設定され、前記第2案内機構は、前記パーキング位置とリバース位置とドライブ位置とにおいて、前記移動規制機構によって許容された前記シフトレバーのホーム位置周りの移動操作方向を変更するように案内することを特徴としている。
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項の発明において、前記シフトレバーに付勢手段を設け、前記本体部に設けられた誘導部から前記付勢手段の付勢力の反力を受けることで前記シフトレバーを前記ホーム位置に復帰させることを特徴としている。
また、シフトレバーのホーム位置からの揺動操作を規制解除用操作に設定し、この規制解除用操作と操作方向や操作軌跡が異なるシフトレバーのホーム位置周りの移動操作をシフト位置選択用操作に設定したため、2アクションによる切替え操作のシフト装置を得ることができ、乗員に意識的な変速操作を行わせることができる。しかも、シフトレバーのホーム位置周りの移動操作はシフトレバーのホーム位置から現在選択されている変速段に対応したシフト位置に向けて揺動操作した状態で移動操作したときしか操作できないため、不用意な手の接触や物の当接による誤操作を防止できる。
請求項3の発明によれば、使用頻度が高いパーキング、リバース、ドライブへの変速について乗員によるブラインド操作を可能にできるため、一層変速操作性を向上することができる。
請求項5の発明によれば、簡単な構成で、シフトレバーをホーム位置に復帰させることができる。
本実施例では、エンジン(図示略)と、自動変速モードと手動変速モードとに運転モードを切替可能な自動変速機2(図11参照)等を備えた車両Vに適用されたシフト装置1を例として説明する。このシフト装置1は、第1案内機構3と、第2案内機構4と、移動規制機構5と、ディテント機構6との4つの機構を備えている(図4参照)。
図2〜図4に示すように、シフト装置1は、シフトレバー10と、本体部20と、合成樹脂製の回転ゲート部30と、合成樹脂製のベースゲート部40等を備え、乗員によって移動操作されたシフトレバー10のシフト位置を電気的に検出して自動変速機2の変速段を選択可能に構成されている。
図1〜図4に示すように、シフトレバー10は、乗員による操作前の初期状態において回転ゲート部30(ベースゲート部40)の中央に設定されたホーム位置Hに保持され、乗員の操作によってホーム位置H(初期状態)からパーキング位置P、リバース位置R、ニュートラル位置N、ドライブ位置D、手動変速位置Mへ選択的に揺動可能に構成されている。シフトレバー10によって選択される各シフト位置は、パーキング位置Pがホーム位置Hの前側位置、リバース位置Rがホーム位置Hの右斜め前側位置、ニュートラル位置Nがホーム位置Hの右側位置、ドライブ位置Dがホーム位置Hの右斜め後側位置、手動変速位置Mがホーム位置Hの後側位置に夫々設定されている(図8参照)。
シフトノブ11は、本体部13の上端に締結固定されている。本体部13は、略円柱状に形成され、その下端が略球状の揺動部12の上端に連結されている。
揺動部12は、本体部20に固定されたレバー支持部21に揺動可能に保持されている。
揺動子16は、揺動部12の下端に連結され、下方へ延びた後、屈曲して前方へ延びるように形成されている。
これにより、案内用脚部15と枠部23とにより、乗員によるブラインド操作を可能にして変速操作性を向上させるための第2案内機構4を構成している(図4,図6(a)〜図6(c)参照)。
図2〜図6(c)に示すように、本体部20は、前後左右の側壁部20a〜20d及び左右底壁部20e,20fと、レバー支持部21と、誘導部22と、枠部23と、前後ポジションセンサ24と、左右ポジションセンサ25等を備え、上方が開放された略直方体形状に形成されている。
左右側壁20c,20dの間には、レバー支持部21が架設されている。このレバー支持部21は、上部及び下部を切り欠いた部分球面状の摺動内面を備え、揺動部12を摺動可動に形成されている。これにより、レバー支持部21は、シフトレバー10を本体部20に対して前後左右方向に揺動可能且つホーム位置H周りに旋回可能に支持している。
左底壁部20eは、シフトレバー10がホーム位置Hのとき、ディテント用脚部14の軸心に対して直交するように配設されている。
図4,図6(a)〜図6(c)に示すように、誘導部22は、上部に部分球面部22aが形成され、付勢部14aから付勢力を受けて、その反力を本体部13(シフトレバー10)に作用させるように構成されている。
部分球面部22aは、シフトレバー10がホーム位置Hに位置するとき、付勢部14aの進出量が最も大きく、シフトレバー10の揺動角度が大きくなる程、付勢部14aの後退量が大きくなるように形成されている。それ故、乗員によるシフトレバー10の操作力が解除されたとき、シフトレバー10はディテント機構6を介して誘導部22から付勢力の反力を受けるため、ホーム位置Hで鉛直姿勢に復帰する。
図4〜図6(c)に示すように、枠部23は、上部に略矩形状の凹部23aが形成され、この凹部23aによって案内用脚部15の移動領域を規制している。つまり、枠部23は、案内用脚部15の下端部の移動方向を規制することによって、シフトレバー10の移動操作方向を案内している。
凹部23aは、案内用脚部15の下端部と底部とが離間するように形成され、案内用脚部15の下端部が凹部23aの内部領域から逸脱しない高さの壁部が形成されている。
図2〜図4に示すように、前後ポジションセンサ24は、レバー支持部21を左右方向に貫通し且つ揺動部12から左側へ延びる軸部材(図示略)の軸心回りの回転量を検出可能に構成されている。これにより、前後ポジションセンサ24は、シフトレバー10が操作された各シフト位置の前後方向位置に対応した回転量信号をケーブル24aを介してボディ側コントロールユニット51へ出力している(図11参照)。
図3,図4,図6(a)〜図6(c)に示すように、左右ポジションセンサ25は、前側壁20aの内側に揺動可能に枢着された揺動部材26の左右方向の揺動量を検出可能に構成されている。揺動部材26は、上部が前側壁20aの内側面に揺動軸26aによって左右方向揺動可能に枢支され、中段部に上下方向へ延びる長穴26bが形成されている。この長穴26bには、前側壁20aから離間した状態で揺動子16の前端部分が部分的に挿入されている。それ故、シフトレバー10が左右方向に移動したとき、揺動子16が揺動部材26を揺動軸26aを中心として左右方向に揺動し、揺動部材26の上端位置が左右ポジションセンサ25によって検出される。これにより、左右ポジションセンサ25は、シフトレバー10が操作された各シフト位置の左右方向位置に対応した揺動量信号をケーブル25aを介してボディ側コントロールユニット51へ出力している(図11参照)。
図2〜図4,図7に示すように、回転ゲート部30は、本体部20の上壁部に相当するベースゲート部40の上部を覆うアッパプレートを構成し、円形状の上面部分がコンソールボックス5の上部から露出した状態で配設されている。この回転ゲート部30は、ホーム位置Hに対応したベースゲート部40の基点(中心)と同一位置に中心軸が設定され且つ下側が開放された有底筒状に形成され、前記中心軸を中心として回動自在に設けられている。
開口32aは、係合部32の中間部に設けられ、シフトレバー10の本体部13の径よりも僅かに大きな径の円形に形成されている。突出部32bは、係合部32の一端部下面からから下方へ突出している。この突出部32bは、平面視にて楔状に形成され、係合凹部44P〜44Mに係合可能に形成されている。圧縮スプリング32cは、一端が係合部32の他端に連結され、その他端が係合部32の一端と反対側において回転ゲート部30の背面に固着されている。
1対の爪部33bは、1対の壁部33aの下端から溝部31方向へ夫々突出するように設けられ、係合部32を溝部31の延びる方向に摺動可能に保持している。
複数の係合部34は、回転ゲート部30の下端から所定角度(例えば60°)毎に径方向外側へ突出するように夫々形成されている。
図2〜図4,図8〜図10に示すように、ベースゲート部40は、回転ゲート部30をホーム位置Hに対応した基点を中心として回動自在に支持している。このベースゲート部40は、本体部20に対して、パーキング位置P、リバース位置R、ニュートラル位置N、ドライブ位置D、手動変速位置Mを前後方向位置及び左右方向位置に基づいて夫々設定している。それ故、各シフト位置P〜Mは、シフトレバー10のホーム位置H周りの移動経路の途中に設定されている。
1対の嵌合部42は、ベースゲート部40の夫々の辺から下方に延設され、1対の爪部27に嵌合可能な嵌合穴42aを夫々備えている。
図10に示すように、乗員がパーキング以外の変速段を選択するとき、シフトレバー10を現在の溝部31に沿ってパーキング位置Pに揺動操作するため、突出部32bと係合凹部44Pとの係合が解除され、回転ゲート部30の周方向の移動が許容されシフトレバー10を所望のシフト位置に回動することができる。
回転手段45は、通常、乗員のシフトレバー10の操作に連動するように遊転し、シフト位置がパーキング位置P以外の位置でエンジンが停止されたとき、シフトレバー10の揺動操作を伴うこと無く、回転ゲート部30の初期状態(パーキング位置P)まで回動する。このとき、回転手段45の作動に合わせて自動変速機2等もパーキング状態に変更される。
図11に示すように、ボディ側コントロールユニット51は、メータユニット7と、前後ポジションセンサ24と、左右ポジションセンサ25と、トランスミッション側コントロールユニット52、パーキングスイッチ53と、ブレーキスイッチ54等に電気的に接続されている。トランスミッション側コントロールユニット52は、自動変速機2の複数の変速アクチュエータ2aに電気的に接続されている。
ボディ側コントロールユニット51は、ブレーキスイッチ54がオフ状態(ブレーキ不作動状態)のとき、乗員の操作によってリバースまたはドライブが選択されてもリバースまたはドライブへの変速を禁止するインターロック機能を備えている。
パーキングを選択するとき、乗員はシフトレバー10を前方へ揺動操作することによって本体部13をホーム位置Hからパーキング位置Pへ移動する(図6(b))。このとき、シフトレバー10は溝部31に案内されて直線状に移動する。第2案内機構4によって案内用脚部15の下端部が凹部23aの壁部に突き当るため、目視すること無く乗員は操作完了を認識できる。操作完了後、乗員がシフトレバー10から手を離して操作力を解除したとき、ディテント機構6によってシフトレバー10がホーム位置Hに自動的に復帰する。
ボディ側コントロールユニット51は、前後ポジションセンサ24と左右ポジションセンサ25から出力された回転量信号と揺動量信号を受信し、シフトレバー10のパーキング位置Pを判定した後、判定されたシフト信号をトランスミッション側コントロールユニット52に出力する。トランスミッション側コントロールユニット52は、シフト信号に基づきパーキングに対応した変速アクチュエータ2aへ制御信号を出力する。
乗員がパーキング位置P以外の位置でエンジンを停止したとき、回転手段45によって回転ゲート部30を初期状態(パーキング位置P)まで強制的に回動する。
この車両Vのシフト装置1によれば、車室内に露出されたゲート溝を短縮化してシフト装置1のコンパクト化を図ることができるため、乗員に与える煩雑感を解消し、シフト装置1の見栄えを向上することができる。また、シフトレバー10のホーム位置Hからの揺動操作を規制解除用操作に設定し、この規制解除用操作と操作方向や操作軌跡が異なるシフトレバー10のホーム位置H周りの移動操作をシフト位置選択用操作に設定したため、2アクションによる切替え操作のシフト装置1を得ることができ、乗員に意識的な変速操作を行わせることができる。しかも、シフトレバー10のホーム位置H周りの移動操作はシフトレバー10のホーム位置Hから現在選択されている変速段に対応したシフト位置に向けて揺動操作した状態で移動操作したときしか操作できないため、不用意な手の接触や物の当接による誤操作を防止できる。
実施例2では、被係合部44Aが円状開口41の全周外縁部分に形成されている。
図14に示すように、枠部23Aは、上部に略菱型状の凹部23bが形成され、この凹部23bによって案内用脚部15の移動領域を規制している。つまり、枠部23Aは、案内用脚部15の下端部の移動方向を規制することによって、シフトレバー10の移動操作方向を案内している。
図16(b)〜図16(d)に示すように、乗員がリバース、ニュートラル、ドライブを選択したときも同様に表示される。
1〕前記実施例1,2においては、エンジンを備えた車両に適用した例を説明したが、モータを駆動源とする電気自動車や、エンジン走行とモータ走行を適宜切替可能なハイブリッド車両等種々の駆動タイプの車両に適用することができる。特に、変速機を備えていない電気自動車には好適である。
3 第1案内機構
4 第2案内機構
5 移動規制機構
6 ディテント機構
10 シフトレバー
14a 付勢部
15 案内用脚部
20 本体部
23a 凹部
30 回転ゲート部
31 溝部
32b 突出部
34 係合部
40,40A ベースゲート部
43 リング状被係合部
44,44A 被係合部
44P〜44M 係合凹部
V 車両
H ホーム位置
N ニュートラル位置
D ドライブ位置
R リバース位置
M 手動変速位置
Claims (5)
- シフトレバーと、このシフトレバーをホーム位置から複数のシフト位置へ選択的に揺動可能に支持する本体部とを備え、前記シフトレバーが操作されたシフト位置を電気的に検出して変速段を選択する車両のシフト装置において、
前記シフトレバーのホーム位置からの揺動操作を案内する揺動案内部と、前記シフトレバーのホーム位置周りの移動操作を案内する移動案内部とを備えた第1案内機構と、
前記シフトレバーのホーム位置周りの移動経路の途中に設定された複数のシフト位置と、
前記シフトレバーのホーム位置から現在選択されている変速段に対応したシフト位置に向けて揺動操作した状態で移動操作するときのみ移動操作の規制を解除して前記シフトレバーのホーム位置周りの移動操作を許容する移動規制機構とを備えたことを特徴とする車両のシフト装置。 - 前記シフトレバーのホーム位置周りの移動操作方向をシフト位置に応じて案内する第2案内機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両のシフト装置。
- 前記シフトレバーのホーム位置周りの移動経路の途中に、少なくともパーキング位置とリバース位置とドライブ位置とが設定され、
前記第2案内機構は、前記パーキング位置とリバース位置とドライブ位置とにおいて、前記移動規制機構によって許容された前記シフトレバーのホーム位置周りの移動操作方向を変更するように案内することを特徴とする請求項2に記載の車両のシフト装置。 - 前記移動規制機構が、前記複数のシフト位置に対応して形成された複数の被係合部と、前記複数の被係合部に択一的に係合可能に形成され且つ前記シフトレバーの揺動操作に連動して前記被係合部との係合を解除される係合部とを備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両のシフト装置。
- 前記シフトレバーに付勢手段を設け、前記本体部に設けられた誘導部から前記付勢手段の付勢力の反力を受けることで前記シフトレバーを前記ホーム位置に復帰させることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両のシフト装置。
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