JP5880397B2 - 車両のシフト装置 - Google Patents
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Description
通常、ゲート溝は、運転者の操作性や視認性を考慮した形状に構成される。自動変速モードと手動変速モードとが切替可能な自動変速機を備えた車両のゲート溝は、ドライブ位置やリバース位置等が設定された自動変速用ゲート溝と、シフトアップ位置とシフトダウン位置とが設定された手動変速用ゲート溝とを備え、これら自動変速用ゲート溝と手動変速用ゲート溝とが平行に配設されたH形状に形成されている。
このシフトバイワイヤ装置では、シフトレバーの操作ストロークに機構上の制約がないため、ゲート溝長を短縮化することができ、シフト装置全体としてコンパクト化を図ることが可能である。エンジンを動力源にしない電気自動車やハイブリッド自動車では、エンジン特有のトルク特性を有していないため、トランスミッション機構を搭載していない。そのため、電気自動車等へのシフトバイワイヤ装置の導入は特に増加している。
しかし、特許文献1のシフト装置は、変速時、操作の目標であるシフト位置を含む全てのシフト位置を運転者が目視によって確認することができる反面、全シフト位置を含むH形状のシフトゲート溝全体が車室内に露出されているため、乗員に対してシフトレバー周りの煩雑感を与える虞がある。
請求項5の発明によれば、簡単な構成でシフトレバーをホーム位置に復帰させることができる。
本実施例では、エンジン(図示略)と、自動変速モードと手動変速モードとに運転モードを切替可能な自動変速機2(図12参照)等を備えた車両Vに適用されたシフト装置1を例として説明する。
図2,図3に示すように、シフト装置1は、シフトレバー10と、合成樹脂製の回転ゲートユニット20と、本体部30と、ゲート部40等を備え、運転者によって操作されたシフトレバー10のシフト位置を電気的に検出して自動変速機2の変速段を選択可能に構成されている。
シフトノブ11は、シフト本体12の上側先端に締結固定される。シフト本体12は、円柱状に形成され、下側基端に固着された略球状の搖動部12aを備えている。
ディテント機構13は、シフト操作後、シフトレバー10をホーム位置Hに対応した鉛直姿勢に復帰させるシフトレバー復帰機能と、シフトレバー10の復帰動作に連動して回転ゲートユニット20を初期状態に復帰させる回転ゲートユニット復帰機能とを備えている。このディテント機構13は、搖動子14と、ディテント本体部15と、付勢部16とを備えている。
ディテント本体部15の片側脚部にはシフト本体12の基端部分が貫通され、前側部から前方へ延びる搖動子14が形成されている。ディテント本体部15の他側脚部には、圧縮スプリング(図示略)と、付勢部16が設けられている。圧縮スプリングは他側脚部の基端部内に収容され、付勢部16は他側脚部の先端部に組み付けられている。
付勢部16は、基端部分がディテント本体部15の他側脚部内に進退自在に挿入され、先端部分が圧縮スプリングの付勢力によって後述する誘導部47を付勢するように構成されている。
図2〜図6,図9〜図11に示すように、回転ゲートユニット20は、本体部30の上壁に相当するゲート部40(規制機構)の上部を覆うアッパプレートを構成し、ホーム位置Hに対応したゲート部40の基点(中心)を回転中心として回動自在に設けられている。回転ゲートユニット20は、回転ゲート部21(案内機構)と、スライダ部22等を備えている。
回転ゲート部21は、1対のスリット部27を除いた円形状の上面部分がコンソールボックス5の上部から露出した状態で配設されている。
1対のスリット部27は、回転ゲート部21に一体形成され、初期状態において回転ゲート部21の左右端に位置するように配設されている。
スライダ部22は、左右1対のスリット部27に挿通可能且つ第1案内溝部23及び第3案内溝部25の延設方向と平行方向にスライド可能に構成されている。これにより、スライダ部22は、ゲート部40の基点を中心とした回転ゲートユニット20の回動と一体的に回動する。
縦穴22aは、第2案内溝部24と略同じ寸法で形成され、初期状態において第2案内溝部24の下部に重合するようにスライダ部22の中央部分に形成されている。
図6に示すように、回動部28は、略三角形状に形成され、回動軸29を介してスライダ部22の下部に軸支されている。この回動部28は、シフト本体12が挿通可能な横穴28aを備え、回動軸29を搖動中心として前後方向に搖動可能に構成されている。
横穴28aは、初期状態において第1案内溝部23及び第3案内溝部25の一部とスライダ部22を間に挟んだ状態で重合し且つ縦穴22a(第2案内溝部24)と直交状に配置されている。横穴28aは、回動軸29から横穴28aの左端までの距離が回動軸29から縦穴22a(第2案内溝部24)の前端(後端)までの距離と等しくなるように形成されている。
図2,図3,図7〜図11に示すように、本体部30は、ハウジング31と、前後ポジションセンサ32と、左右ポジションセンサ33と、ゲート部40等を備えている。
ハウジング31は、前後左右の側壁31a〜31dを備え、立方体状に形成されている。
各側壁31a〜31dの上部外側には、1対の係合部34が夫々設けられている。1対の係合部34は、爪状に形成され、夫々隣り合うように配設されている。
左右側壁31c,31dの間には、レバー支持部35が設置されている。このレバー支持部35は、搖動部12aを部分球面によって摺動自在に保持するため、シフトレバー10をハウジング31に対して前後左右方向に搖動可能に支持している。
図2,図3,図9に示すように、この前後ポジションセンサ32は、レバー支持部35を貫通し且つ搖動部12aから左側へ延びる軸部材(図示略)の軸心回りの回転量を検出可能に構成されている。これにより、前後ポジションセンサ32は、シフトレバー10が操作された各シフト位置の前後方向位置に対応した回転量信号をケーブル32aを介してボディ側コントロールユニット7へ出力している(図12参照)。
図3,図9〜図11に示すように、この左右ポジションセンサ33は、前側壁31aに搖動可能に枢着された搖動部材36の左右方向の搖動量を検出可能に構成されている。
搖動部材36は、上部が前側壁31aの内側面に搖動軸37によって左右方向搖動可能に枢支され、中段部に上下方向へ延びる長穴36aが形成されている。この長穴36aには、前側壁31aから離間した状態で搖動子14の前端部が部分的に挿入されている。
それ故、シフトレバー10が左右方向に移動したとき、搖動子14が搖動部材36を搖動軸37を中心として左右方向に搖動し、搖動部材36の下端位置が左右ポジションセンサ33によって検出される。これにより、左右ポジションセンサ33は、シフトレバー10が操作された各シフト位置の左右方向位置に対応した搖動量信号をケーブル33aを介してボディ側コントロールユニット7へ出力している(図12参照)。
ゲート部40は、本体部30に対して、ホーム位置H、ニュートラル位置N、ドライブ位置D、リバース位置R、モード変更位置M、シフトアップ位置SU、シフトダウン位置SDを前後方向位置及び左右方向位置に基づいて夫々設定している。
図3,図7〜図9,図11に示すように、ゲート部40は、本体部30の上壁を構成するように有底筒状に形成され、第1〜第4規制溝部41〜44と、リング状の被係合部45と、複数の被係合部46と、誘導部47等を備えている。
これにより、ホーム位置Hとニュートラル位置Nとの間においてシフトレバー10の他のシフト位置への操作を制限し、シフトレバー10の搖動経路を規制している。
これにより、ニュートラル位置Nとドライブ位置Dとの間においてシフトレバー10の他のシフト位置への操作を制限し、シフトレバー10の搖動経路を規制している。また、シフトレバー10と第2規制溝部42の後端部との接触によって、ドライブ位置Dへの操作完了を判定できる。
複数の被係合部46は、ゲート部40の前後左右の縁部から下方に延びるように形成され各側壁31a〜31dの1対の係合部34に夫々係合可能に設けられている。
尚、本実施例において、複数の係合部26と被係合部45が移動支持機構に相当している。
誘導部47は、ゲート部40の右側領域の裏面に形成された円錐面によって構成され、この円錐面は、シフトレバー10がホーム位置H(初期状態)に位置するとき、付勢部16の進出量が最も大きく、シフトレバー10の搖動角度が大きくなる程、付勢部16の後退量が大きくなるように形成されている。これにより、シフトレバー10の操作力が解除されたとき、シフトレバー10は、ディテント機構13を介して誘導部47から付勢力の反力を受けるため、回転ゲートユニット20の回動を伴ってホーム位置Hに対応した鉛直姿勢に復帰する。
図12に示すように、ボディ側コントロールユニット7は、メータユニット4と、パーキングスイッチ6と、ブレーキスイッチ9と、前後ポジションセンサ32と、左右ポジションセンサ33と、トランスミッション側コントロールユニット8等に電気的に接続され、トランスミッション側コントロールユニット8は、自動変速機2の複数の変速アクチュエータ2aに電気的に接続されている。ボディ側コントロールユニット7は、ブレーキスイッチ9がオフ状態(ブレーキ不作動状態)のとき、運転者の操作によってリバースまたはドライブが選択されてもリバースまたはドライブへの変速を禁止するインターロック機能を備えている。
図13(a)に示すように、シフトレバー10の操作前段階では、シフトレバー10は初期状態であるホーム位置Hに存在し、回転ゲートユニット20(回転ゲート部21)も同様に初期状態に配置されている。
運転者は、シフトレバー10を左方へ直線移動動作することによってシフト本体12をホーム位置Hからニュートラル位置Nへ移動する(図13(b))。このとき、シフト本体12は、第1規制溝部41(第1案内溝部23)に沿って直線状に移動するため、スライダ部22のみが左方にスライドし、回転ゲート部21はゲート部40に対して相対動作しない。
変速操作完了後、運転者がシフトレバー10から手を離してシフトレバー10の操作力を解除したとき、ディテント機構13によってシフトレバー10がホーム位置Hへ自動的に復帰し、このシフトレバー10の復帰動作に連動して回転ゲートユニット20が自動的に初期状態に復帰する(図13(d))。
ボディ側コントロールユニット7は、前後ポジションセンサ32と左右ポジションセンサ33から出力された回転量信号と搖動量信号を受信し、シフトレバー10のリバース位置Rを判定した後、判定されたシフト信号をトランスミッション側コントロールユニット8に出力する。トランスミッション側コントロールユニット8は、シフト信号に基づきリバースに対応した変速アクチュエータ2aへ制御信号を出力する。
図15(b)に示すように、運転者の操作によってドライブが選択された場合、ドライブ表示が反転表示される。また、ドライブが選択された場合、手動変速モードへの切替えが可能であるため、モード変更位置Mへの切替操作方向を示すモード変更表示と、シフトアップ位置SU及びシフトダウン位置SDへの切替操作方向を示す手動変速表示とが点灯される。
この車両Vのシフト装置1によれば、回転ゲート部21からシフトレバー10をニュートラル位置Nからドライブ位置Dへ搖動させるための溝部を省略できるため、車室内に露出された溝部を減少することができ、乗員に与える煩雑感を解消して見栄えを向上できる。また、回転ゲート部21の第1案内溝部23は、シフトレバー10がホーム位置Hからニュートラル位置N以外のシフト位置へ搖動することを制限し、運転者の視線をホーム位置Hからニュートラル位置Nへ誘導することが可能であるため、運転者によるシフトレバー10の誤操作を防止できる。
これにより、平面視にてH形状の溝部に比べて溝部が占有する占有面積を小さくして一層コンパクト化を図ることができる。また、シフトレバー10の操作時、最初のレバー操作であるホーム位置Hからニュートラル位置Nへの搖動を操作が容易な直線移動動作にし、ニュートラル位置Nからドライブ位置Dへの搖動を運転者の意識した操作が必要な回転移動動作にしたため、意図しないドライブ位置Dへの選択を確実に防止できる。
これにより、ホーム位置Hからニュートラル位置Nへの搖動方向に対してニュートラル位置Nからドライブ位置Dへの搖動方向及びニュートラル位置Nからリバース位置Rへの搖動方向の交差角度を大きくすることができ、ニュートラル位置Nからドライブ位置Dへの搖動方向とニュートラル位置Nからリバース位置Rへの搖動方向を180度反対にできるため、運転者に違和感を与えることなく、シフトレバー10の誤操作を防止できる。
これにより、車室内に露出された溝部を形成することなく、シフトレバー10と第2規制溝部42の車体前後方向前側端部又は後側端部との接触によって、運転者がシフトレバー10のドライブ位置D又はリバース位置Rへの操作完了を認識することができる。
1〕前記実施例においては、第2,第3規制溝部を円弧状溝に形成した例を説明したが、第2,第3規制溝部を第1規制溝部に直交する直線状溝に形成しても良い。この場合、アッパプレートに相当するゲート部が本体部側ゲート部に対して第1規制溝部直交方向にスライド可能な移動支持機構を設けることで、本発明の効果を奏することができる。
また、第2,第3規制溝部を第1規制溝部に鋭角に交差する直線状溝に形成することも可能である。
2 自動変速機
10 シフトレバー
13 ディテント機構
21 回転ゲート部
23 第1案内溝部
24 第2案内溝部
25 第3案内溝部
26 係合部
30 本体部
35 レバー支持部
40 ゲート部
41 第1規制溝部
42 第2規制溝部
43 第3規制溝部
45 被係合部
V 車両
H ホーム位置
N ニュートラル位置
D ドライブ位置
R リバース位置
Claims (5)
- シフトレバーと、このシフトレバーをホーム位置から複数のシフト位置へ選択的に搖動可能に支持する本体部とを備え、前記シフトレバーが操作されたシフト位置を電気的に検出して変速段を選択する車両のシフト装置において、
少なくともホーム位置とニュートラル位置とドライブ位置とを前記本体部に対して設定し、前記ホーム位置とニュートラル位置との間において前記シフトレバーの搖動経路を規制する第1規制溝部と、この第1規制溝部に対して交差状に設けられ且つ前記ニュートラル位置とドライブ位置との間において前記シフトレバーの搖動経路を規制する第2規制溝部とを備えた規制機構と、
前記シフトレバーが前記ホーム位置に操作された状態で前記第1規制溝部の上部に重なる案内溝部を備え、前記シフトレバーを前記ホーム位置からニュートラル位置へ案内可能な案内機構と、
前記シフトレバーを前記ホーム位置からニュートラル位置へ搖動するとき、前記案内機構の前記規制機構に対する相対移動を制限し、前記シフトレバーを前記ニュートラル位置からドライブ位置へ搖動するとき、前記案内機構の前記規制機構に対する相対移動を許容する移動支持機構とを備えたことを特徴とする車両のシフト装置。 - 前記第2規制溝部が前記第1規制溝部の片側端部から第1規制溝部内に設定された基点を中心とした円弧状に形成され、
前記移動支持機構は、前記案内機構の前記規制機構に対する円弧状の相対移動を許容することを特徴とする請求項1に記載の車両のシフト装置。 - 前記規制機構は前記ホーム位置とリバース位置との間において前記シフトレバーの搖動経路を規制する第3規制溝部を有し、
前記第1規制溝部を車幅方向へ延設し、前記ホーム位置及びニュートラル位置を前記第1規制溝部の車幅方向内側部分及び外側端部に夫々設定し、
前記第2規制溝部及び第3規制溝部を前記第1規制溝部の外側端部から車体前後方向片側及び他側へ夫々延設したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両のシフト装置。 - 前記第2規制溝部の車体前後方向片側端部にドライブ位置を設定すると共に前記第3規制溝部の車体前後方向他側端部にリバース位置を設定したことを特徴とする請求項3に記載の車両のシフト装置。
- 前記シフトレバーに付勢手段を設け、前記規制機構に設けられた誘導部から前記付勢手段の付勢力の反力を受けることで前記シフトレバーを前記ホーム位置に復帰させることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両のシフト装置。
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