<第1の実施の形態>
以下、本発明を、車両のシフト装置に具体化した第1の実施の形態を図1および図2に基づいて説明する。シフト装置は、車両の自動変速機の走行レンジを切り替えるための装置である。シフト装置は、たとえばインストルメントパネルにおける運転席と助手席との間に設けられる。
図1に示されるように、シフト装置は、車体に設けられるレバーユニット11と、レバーユニット11に支持されるレバー12と、レバー12が貫通するシフトパネル13とを備えてなる。シフトパネル13には、レバー12の操作を案内するシフトゲート20が形成されている。シフトゲート20は、定められたシフトパターンに応じた形状とされる。本例では、シフトゲート20は、第1、第2および第3の溝21,22,23から全体としてY字状に形成されている。シフトゲート20には、ホームポジションH、ニュートラルポジションN、リバースポジションR、およびドライブポジションDの4つの位置が設定されている。なお、リバースポジションRは本発明の第1の位置、ドライブポジションDは本発明の第2の位置、ニュートラルポジションNは本発明の第3の位置に相当する。
レバー12は、レバーユニット11に設けられる図示しない復帰機構によって、通常、ホームポジションHに保持される。ホームポジションHを基本位置として、レバー12を各シフトポジションに操作することにより、変速機の走行レンジが指定可能とされている。ニュートラルポジションNは変速機のニュートラルレンジに、同じくリバースポジションRはリバースレンジ(後進レンジ)に、ドライブポジションDはドライブレンジ(前進レンジ)に対応している。ニュートラルレンジは、変速機におけるトルク伝達が遮断される走行レンジである。レバー12に対する操作力の印加が解除された際には、復帰機構によって、レバー12はホームポジションHに自動復帰する。
シフト装置の制御装置(図示略)は、レバーユニット11に設けられるポジションセンサ(図示略)を通じて、レバー12が基本位置を起点としてニュートラルポジションN、リバースポジションRおよびドライブポジションDのいずれの位置へ操作されたのかを検出する。当該制御装置は、検出装置の検出結果に基づき、レバー12の位置に応じた電気信号を生成する。変速機は、シフト装置において生成される電気信号に基づき走行レンジを切り替える。
<シフトパターン>
つぎに、シフトゲートの形状、およびシフトパターンについて詳細に説明する。図2に示すように、第1の溝21は、図中の左右方向へ延びる直線状に形成されている。第1の溝21の左端には、第2および第3の溝22,23が形成されている。第2の溝22は図中の左上に、第3の溝23は図中の左下へ延びている。第1の溝21と第2の溝22とは第1の角度θ1を、第1の溝21と第3の溝23とは第2の角度θ2をなしている。第1および第2の角度θ1,θ2はそれぞれ鈍角に、かつ互いに同じ角度に設定されている。
図2に二点鎖線で示されるように、第1の溝21の右端、すなわち第1の溝21における第2および第3の溝22,23と反対側の端部にあるときのレバー12の位置は、ホームポジションHに設定されている。同じく第1〜第3の溝21〜23の交点、すなわち第1の溝21に対する第2および第3の溝22,23の分岐点TPにあるときのレバー12の位置は、ニュートラルポジションNに設定されている。同じく第2の溝22の左上端、すなわち第2の溝22における第1の溝21と反対側の端部にあるときのレバー12の位置は、リバースポジションRに設定されている。同じく第3の溝23の左下端、すなわち第3の溝23における第1の溝21と反対側の端部にあるときのレバー12の位置は、ドライブポジションDに設定されている。シフトパネル13の表面には、各ポジションを示す文字「H」,「R」,「N」,「D」が表示されている。
ニュートラルポジションNは、レバー12を、ホームポジションHを起点として、第1の溝21に沿った第1の方向D1(図中の左方)へ操作することにより選択される。
リバースポジションRは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第2の溝22に沿った第2の方向D2(図中の左上方向)へ操作することにより選択される。第2の方向D2は、第1の方向D1と異なりかつ反対方向でない方向である。
ドライブポジションDは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第3の溝23に沿った第3の方向D3(図中の左下)へ操作することにより選択される。第3の方向D3は、第1および第2の方向D1,D2のいずれとも異なる方向であって、かつ、いずれの反対方向でもない方向である。
このように、レバー12は、ホームポジションHを起点として、分岐点TPであるニュートラルポジションNを介して分岐して操作されることにより、リバースポジションRおよびドライブポジションDを選択可能とされている。
<シフト装置の動作>
つぎに、シフト装置の動作を説明する。
レバー12が運転者によって操作されていないとき、レバー12は、復帰機構によってホームポジションHに保持される。このとき、レバー12に図中の上下方向あるいは右方向の外力が加わったとしても、レバー12が移動することはない。レバー12は、第1の溝21の内側の側縁に当接するからである。したがって、レバー12に図中の上下方向あるいは右方向の外力が加わったとしても、他のポジションに誤操作されることはない。
<H→N>
変速機の走行レンジをニュートラルレンジに切り替える場合には、レバー12をホームポジションHからニュートラルポジションNへ操作する。この場合には、レバー12に対して図中の左方向への外力を印加する。レバー12は、復帰機構の復帰力に抗して、図中の左方向である第1の方向D1へ移動する。レバー12がニュートラルポジションNに至ると、その旨検出装置によって検出されて、変速機の走行レンジがニュートラルレンジに切り替えられる。
ニュートラルポジションNにあるレバー12から運転者が手を離すと、レバー12は、復帰機構の復帰力によって、第1の方向D1と反対方向へ自動的に逆戻りしてホームポジションHに復帰する。
<H→R>
変速機の走行レンジをリバースレンジに切り替える場合には、レバー12をホームポジションHからリバースポジションRへ操作する。この場合には、レバー12に対して図中の左方向への外力を印加し、次いで図中の左上方向へ外力を印加する。すなわち、レバー12を、ニュートラルポジションNへ操作した状態から、さらに左上方向へ操作する。レバー12は、第1の溝21を通過してニュートラルポジションNに至った際に、シフトゲート20の縁(第1の溝21の第1の方向D1へ向けた延長線上にある縁部)に衝突して一旦静止される。この後、レバー12は第1の方向D1から第2の方向D2へ操作方向を変えて操作される。レバー12は、復帰機構の復帰力に抗して、図中の左方向である第1の方向D1へ移動し、次いで図中の左上方向である第2の方向D2へ移動する。レバー12がリバースポジションRに至ると、その旨検出装置によって検出されて、変速機の走行レンジがリバースレンジに切り替えられる。
リバースポジションRにあるレバー12から運転者が手を離すと、レバー12は、復帰機構の復帰力によって、第2の溝22に沿って第2の方向D2と反対方向へ自動的に逆戻りしてニュートラルポジションNへ至る。続いてレバー12は、第1の溝21に沿って第1の方向D1と反対方向へ自動的に逆戻りしてホームポジションHに復帰する。
レバー12は、第2の溝22を第2の方向D2と反対方向へ通過してニュートラルポジションNに至った際、すなわち第1および第2の溝21,22が交わる部位に達した際、慣性によって第1の溝21を越えて変位しようとする。当該変位が許容される構成を採用した場合には、先の「発明が解決しようとする課題」にも記載したように、レバー12に作用する復帰力と慣性とによって、レバー12が振動するおそれがある。この点、本例では、レバー12は、シフトゲート20の縁(第2の溝22の第2の方向D2と反対方向へ向けた延長線上にある縁部)に当接する。これにより、レバー12が第1の溝21を第2の方向D2と反対方向へ越えて変位することが抑制される。したがって、第1および第2の溝21,22の交わる部分におけるレバー12の振動の発生が抑えられる。
また、第1の溝21と第2の溝22とのなす第1の角度θ1は鈍角に設定されている。このため、第1の角度θ1をたとえば直角に設定した場合に比べて、レバー12は、第2の溝22から第1の溝21内へ円滑に移動する。このため、レバー12のリバースポジションRからホームポジションHへの復帰動作が円滑に行われる。換言すれば、レバー12は、リバースポジションRからドライブポジションDへ移動しにくくなる。
<H→D>
変速機の走行レンジをドライブレンジに切り替える場合には、レバー12をホームポジションHからドライブポジションDへ操作する。この場合には、レバー12に対して図中の左方向への外力を印加し、次いで図中の左下方向へ外力を印加する。すなわち、レバー12を、ニュートラルポジションNへ操作した状態から、さらに左下方向へ操作する。レバー12は、第1の溝21を通過してニュートラルポジションNに至った際に、シフトゲート20の縁に衝突して一旦静止される。この後、レバー12は第1の方向D1から第3の方向D3へ操作方向を変えて操作される。レバー12は、復帰機構の復帰力に抗して、図中の左方向である第1の方向D1へ移動し、次いで図中の左下方向である第3の方向D3へ移動する。レバー12がドライブポジションDに至ると、その旨検出装置によって検出されて、変速機の走行レンジがドライブレンジに切り替えられる。
ドライブポジションDにあるレバー12から運転者が手を離すと、レバー12は、復帰機構の復帰力によって、第3の溝23に沿って第3の方向D3と反対方向へ自動的に逆戻りしてニュートラルポジションNへ至る。続いてレバー12は、第1の溝21に沿って第1の方向D1と反対方向へ自動的に逆戻りしてホームポジションHに復帰する。
レバー12は、第3の溝23を第3の方向D3と反対方向へ通過してニュートラルポジションNに至った際、すなわち第1および第3の溝21,23が交わる部位に達した際、慣性によって第1の溝21を越えて変位しようとする。しかし、レバー12は、シフトゲート20の縁(第3の溝23の第3の方向D3と反対方向へ向けた延長線上にある縁部)に当接する。これにより、レバー12が第1の溝21を第3の方向D3と反対方向へ越えて変位することが抑制される。したがって、第1および第3の溝21,23の交わる部分におけるレバー12の振動の発生が抑えられる。
また、第1の溝21と第3の溝23とのなす第2の角度θ2も鈍角に設定されている。このため、第2の角度θ2をたとえば直角に設定した場合に比べて、レバー12は、第3の溝23から第1の溝21内へ円滑に移動する。このため、レバー12のドライブポジションDからホームポジションHへの復帰動作が円滑に行われる。換言すれば、レバー12は、ドライブポジションDからリバースポジションRへ移動しにくくなる。
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)レバー12は、分岐点TPへ向かう第1の方向D1、および分岐点TPから第1の方向D1と異なりかつ反対方向でない第2の方向D2への操作を経てリバースポジションR(第1の位置)を選択可能に設けた。また、レバー12は、分岐点TPへ向かう第1の方向D1、および第2の方向D2と異なりかつ反対方向でない第3の方向D3への操作を経てドライブポジションD(第2の位置)を選択可能に設けた。このため、レバー12がリバースポジションRまたはドライブポジションDからホームポジションHへ自動復帰する際、レバー12が分岐点TPを越えてドライブポジションDまたはリバースポジションRへ向けて移動することが規制される。したがって、ホームポジションHへ自動復帰するレバー12の振動の発生を抑制することができる。このことは、シフト装置の見た目のうえでも好ましい。
(2)レバー12が最終的にリバースポジションRに至るときの操作方向である第2の方向D2、および最終的にドライブポジションDに至るときの操作方向である第3の方向D3は、互いに異なる。誤操作防止の観点から、リバースポジションRおよびドライブポジションDへ至る操作方向は、異ならせることが好ましい。また、このようにすれば、リバースポジションRおよびドライブポジションDへの操作方向を同じとした場合に比べて、ユーザに違和感を与えることも少ない。
(3)分岐点TP、リバースポジションR、およびドライブポジションDは、同一直線上に存在しないように設定されてなる。このようにすれば、分岐点TPからリバースポジションRへ至る操作方向と、分岐点TPからドライブポジションDへ至る操作方向とが、互いに反対方向となることがない。すなわち、分岐点TPおよびリバースポジションR、並びに分岐点TPおよびドライブポジションDをどのように結んだとしても、これら結んだ線が同一直線上に存在することはない。本例の場合、分岐点TPとリバースポジションRとを結ぶ線分、および分岐点TPとドライブポジションDとを結ぶ線分にそれぞれ沿ってレバー12の経路を形成するだけで、前記(1)の効果を奏するシフトゲート20を得ることができる。このため、シフトパターンを簡単に設定することができる。
(4)レバー12は、第1および第2の方向D1,D2への操作のみを経てリバースポジションRに至る。また、第1および第3の方向D1,D3への操作のみを経てドライブポジションDに至る。すなわち、レバー12の操作方向は3方向のみである。このため、ホームポジションHからリバースポジションR、あるいはドライブポジションDへの操作を複雑にすることなく、レバー12の復帰時における振動を抑制することができる。
(5)第1の角度θ1および第2の角度θ2は、同じ角度に設定されてなる。このため、レバー12をホームポジションHからリバースポジションRへ操作する際、ならびにレバー12をホームポジションHからドライブポジションDへ操作する際の方向転換の度合い、およびタイミングがそれぞれ同程度となる。したがって、レバー12をリバースポジションRおよびドライブポジションDへ変位させる際のレバー12の操作性を同程度にすることができる。
(6)また、第1および第2の角度θ1,θ2は、それぞれ鈍角とした。このため、ホームポジションHからリバースポジションRへの操作、およびホームポジションHからドライブポジションDへの操作を滑らかに行うことができる。
(7)第1の溝21に対する第2および第3の溝22,23の分岐点TPには、変速機のニュートラルレンジを指定するニュートラルポジションNが設定されてなる。ホームポジションHから第1の方向D1へレバー12を操作して分岐点TPに至った際、レバー12はシフトゲート20の縁に当接して一旦静止される。この静止する位置にニュートラルポジションNを設定することにより、レバー12がニュートラルポジションNに存在する旨検出装置により安定して検出することができる。
(8)レバー12は、第1の方向D1へ延びて分岐点TPに至る第1の溝21、および分岐点TPを起点として第1の方向D1と異なりかつ反対方向でない第2の方向D2へ延びる第2の溝22を経てリバースポジションRを選択可能に設けた。また、レバー12は、第1の溝21、および分岐点TPを起点として第2の方向D2と異なりかつ反対方向でない第3の方向D3へ延びる第3の溝23を経てドライブポジションDを選択可能に設けた。シフトパターンとして、3方向へ延びる溝を形成するだけでよい。このため、シフトパターンは簡素なものになる。
(9)シフトパターンを工夫するだけで、ホームポジションHへ自動復帰するレバー12の振動の発生を抑制することができる。別部材を設ける必要がない。
<第2の実施の形態>
つぎに、本発明の第2の実施の形態を説明する。本例は、シフトパターンの点で第1の実施の形態と異なる。
図3(a)に示すように、第2および第3の溝22,23は、それぞれ曲線状に形成されている。第2の溝22は、第1の溝21と反対方向(図中の左方向)へ向かうにつれて上方へ湾曲している。第3の溝23は、第1の溝21と反対方向へ向かうにつれて下方へ湾曲している。第2の溝22の第1の溝21と反対側の端部には第4の溝24が、第3の溝23の第1の溝21と反対側の端部には第5の溝25がそれぞれ連続して形成されている。第4および第5の溝24,25は、それぞれ図中の上下方向へ延びる直線状に形成されている。すなわち、互いに直交する第1の溝21および第4の溝24、ならびに第1の溝21および第5の溝25は、それぞれ第2および第3の溝22,23により滑らかに連続している。
そして、第4の溝24の上端、すなわち第2の溝22と反対側の端部にあるときのレバー12の位置は、リバースポジションRに設定されている。同じく第5の溝25の下端、すなわち第3の溝23と反対側の端部にあるときのレバー12の位置は、ドライブポジションDに設定されている。
ニュートラルポジションNは、第1の実施の形態と同様に、ホームポジションHを起点として、レバー12を第1の溝21に沿った第1の方向D1(図中の左方)へ操作することにより選択される。
リバースポジションRは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第2の溝22に沿った第2の方向D2(図中の左上方向)へ操作し、さらに第4の溝24に沿った第4の方向D4(図中の上方向)へ操作することにより選択される。第4の方向は、第1および第2の方向D1,D2のいずれとも異なる方向である。また、第4の方向D4は、第1の方向D1と直交する。
ドライブポジションDは、ニュートラルポジションNを起点として、レバー12を第3の溝23に沿った第3の方向D3(図中の左下)へ操作し、さらに第5の溝25に沿った第5の方向D5(図中の下方)へ操作することにより選択される。第5の方向D5は、第1および第3の方向D1,D3のいずれとも異なる方向、かつ第4の方向D4の反対方向である。また、第5の方向D5は、第1の方向D1と直交する。
さて、リバースポジションRにあるレバー12から運転者が手を離すと、レバー12は、復帰機構の復帰力によって、第4の溝24に沿って第4の方向D4と反対方向(図中の下方)へ移動し、さらに第2の溝22に沿って第2の方向と反対方向(図中の右下方向)へ移動して、ニュートラルポジションNへ至る。続いてレバー12は、第1の溝21に沿って第1の方向D1と反対方向自動的に逆戻りしてホームポジションHに復帰する。この際、レバー12は、第2の溝22を経て滑らかに第1の溝21へ移動する。レバー12が分岐点TPを経て第3の溝23内に移動することはない。したがって、第1および第2の溝21,22の交わる部分におけるレバー12の振動の発生が抑えられる。ドライブポジションDにあるレバー12に対する操作力が解除されたときも、同様である。
なお、本例は、つぎのようにしてもよい。すなわち、図3(b)に示すように、第2および第3の溝22,23を直線状に形成する。換言すれば、先の図2に示される第1の実施の形態のシフトゲート20において、第2および第3の溝22,23における第1の溝21と反対側の端部に、それぞれ第4および第5の溝24,25を連結する。第2および第3の溝22,23の長さは、適宜調節する。
<第3の実施の形態>
つぎに、本発明の第3の実施の形態を説明する。本例は、シフトパターンの点で第2の実施の形態と異なる。
図4(a),(b)に示すように、第2の溝22は、図中の左右方向へ延びる直線状に形成されている。すなわち、第1および第2の溝21,22は、同一直線状に存在する。第2の溝22と第4の溝24とは、互いに直交している。このようにしても、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<第4の実施の形態>
つぎに、本発明の第4の実施の形態を説明する。本例は、シフトパターンの点で第3の実施の形態と異なる。
図5(a)に示すように、第2および第3の溝22,23は、それぞれ直線状に形成されている。第2の溝22は、第1の溝21に対して直交し、かつ図中の下方へ延びている。第3の溝23は、第1の溝21と反対方向(図中の左方向)へ延びている。すなわち、第1および第3の溝21,23は、同一直線上に存在する。
第2の溝22の第1の溝21と反対側の端部(下端)には第4の溝24が、第3の溝23の第1の溝21と反対側の端部(左端)には第5の溝25がそれぞれ連続して形成されている。第4の溝24は、図中の左右方向へ延びる直線状に形成されている。すなわち、第4の溝24は、第1および第3の溝21,23と平行をなしている。第5の溝25は、図中の上下方向へ延びる直線状に形成されている。第5の溝25は、第3の溝23に直交し、かつ上方へ延びている。すなわち、第5の溝25は、第2の溝22と平行をなしている。
さらに本例では、第4の溝24の第2の溝22と反対側の端部(左端)には、第6の溝26が連結されている。第6の溝26は、第4の溝24に直交し、かつ図中の下方へ延びている。すなわち、第6の溝26は、第2の溝22と平行をなしている。
そして、第6の溝26の下端、すなわち第4の溝24と反対側の端部にあるときのレバー12の位置は、リバースポジションRに設定されている。同じく第5の溝25の上端、すなわち第3の溝23と反対側の端部にあるときのレバー12の位置は、ドライブポジションDに設定されている。
ニュートラルポジションNは、第1の実施の形態と同様に、ホームポジションHを起点として、レバー12を第1の溝21に沿った第1の方向D1(図中の左方)へ操作することにより選択される。
リバースポジションRは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第2の溝22に沿った第2の方向D2(図中の下方向)へ操作し、ついで第4の溝24に沿った第4の方向D4(図中の左方向)へ操作し、さらに第6の溝26に沿った第6の方向D6(図中の下方向)へ操作することにより選択される。第6の方向D6は、第2の方向D2と同方向、かつ第5の方向D5と反対方向である。
ドライブポジションDは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第3の溝23に沿った第3の方向D3(図中の左方向)へ操作し、さらに第5の溝25に沿った第5の方向D5(図中の上方)へ操作することにより選択される。第5の方向D5は、第1および第3の方向D1,D3のいずれとも異なる方向であり、かつ直交する。
さて、リバースポジションRにあるレバー12から運転者が手を離すと、レバー12は、復帰機構の復帰力によって、第6の溝26、第4の溝24、第2の溝22、第1の溝21の順で逆戻りしてホームポジションHに復帰する。分岐点TPにおいて、第2の溝22を逆戻りするレバー12の進行方向へ延びる経路は存在しないので、レバー12はシフトゲート20の縁(第1および第3の溝21,23に沿った縁)に当接する。すなわち、レバー12が分岐点TPを第2の方向D2と反対方向へ越えて変位することはなく、レバー12は分岐点TPを経て円滑に第1の溝21を逆戻りする。したがって、ホームポジションHへ自動復帰するレバー12の振動の発生を抑制することができる。
ドライブポジションDにあるレバー12から運転者が手を離すと、レバー12は、復帰機構の復帰力によって、第5の溝25、第3の溝23、第1の溝21の順で逆戻りしてホームポジションHに復帰する。ここで、第2の溝22は、第3の溝23に直交しているので、第3の溝23を逆戻りするレバー12は第2の溝22へ移動しにくい。これに対して、第1の溝21は第3の溝23と同一直線上に存在するので、第3の溝23を逆戻りするレバー12は第1の溝21へ移動しやすい。このため、レバー12の復帰時において、レバー12が分岐点TPを経て第2の溝22に移動することはない。したがって、ホームポジションHへ自動復帰するレバー12の振動の発生を抑制することができる。
なお、本例は、つぎのようにしてもよい。すなわち、図5(b)に示すように、第2の溝22は斜状に形成されている。第2の溝22は、図中の左方へ向かうにつれて下方へ傾斜している。第1の溝21と第2の溝22とがなす第1の角度θ1は、鈍角とされている。このため、リバースポジションRにあるレバー12が復帰する際、レバー12は第2の溝22から第1の溝21へ円滑に移動する。したがって、レバー12の復帰動作が円滑に行われる。
誤操作防止の観点から、リバースポジションRへの操作はドライブポジションDへの操作よりも難しくすることが好ましい。たとえば、ホームポジションHからリバースポジションRへの操作距離を、ホームポジションHからドライブポジションDへの操作距離よりも長くする。また、ホームポジションHからリバースポジションRへ至るまでのレバー12の方向転換の回数を、ホームポジションHからドライブポジションDへ至るまでのレバー12の方向転換の回数よりも多くする。図5(a),(b)に示されるシフトゲート20によれば、操作距離および方向転換の双方の点で、リバースポジションRへの操作をドライブポジションDへの操作よりも難しくすることができる。
<第5の実施の形態>
つぎに、本発明の第5の実施の形態を説明する。本例は、シフトパターンの点で第1の実施の形態と異なる。
図6に示すように、第1および第3の溝21,23は、それぞれ図中の上下方向へ延びる直線状に形成されている。第3の溝23は、分岐点TPを介して図中の下方へ延びている。すなわち、第1および第3の溝21,23は、同一直線上に存在する。第2の溝22は、分岐点TPを介して図中の右方向へ延びる直線状に形成されている。第2の溝22は、第1および第3の溝21,23に対して直交している。
第1の溝21の上端にあるときのレバー12の位置は、ホームポジションHに設定されている。第1〜第3の溝21〜23が交わる分岐点TPにあるときのレバー12の位置は、ニュートラルポジションNに設定されている。第2の溝22の右端にあるときのレバー12の位置は、リバースポジションRに設定されている。第3の溝の下端にあるときのレバー12の位置はドライブポジションDに設定されている。
ニュートラルポジションNは、ホームポジションHを起点として、レバー12を第1の溝21に沿った第1の方向D1(図中の下方)へ操作することにより選択される。
リバースポジションRは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第2の溝22に沿った第2の方向D2(図中の左方向)へ操作することにより選択される。第2の方向D2は、第1および第2の方向D1,D2のいずれとも異なる方向、かつ反対方向でない方向である。
ドライブポジションDは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第3の溝23に沿った第3の方向D3(図中の下方向)へ操作することにより選択される。第3の方向D3は、第1の方向D1と同じ方向である。ドライブポジションDを選択する際には、レバー12を下方へ操作するだけよい。すなわち、レバー12の操作方向を変える必要がない。このため、ドライブポジションDを選択する操作が簡単になる。
さて、リバースポジションRにあるレバー12から運転者が手を離すと、レバー12は、復帰機構の復帰力によって、第2の溝22、および第1の溝21の順で逆戻りしてホームポジションHに復帰する。分岐点TPにおいて、第2の溝22を逆戻りするレバー12の進行方向へ延びる経路は存在しないので、レバー12はシフトゲート20の縁(図中の上下方向に沿って延びる縁)に当接する。すなわち、レバー12が分岐点TPを第2の方向D2と反対方向へ越えて変位することはなく、レバー12は分岐点TPを経て円滑に第1の溝21を逆戻りする。したがって、ホームポジションHへ自動復帰するレバー12の振動の発生を抑制することができる。
ドライブポジションDにあるレバー12から運転者が手を離すと、レバー12は、復帰機構の復帰力によって、第3の溝23、および第1の溝21の順で逆戻りしてホームポジションHに復帰する。第1および第3の溝21,23は同一直線上に存在するので、第3の溝23を逆戻りするレバー12は、円滑に第1の溝21へ進入する。このとき、レバー12が分岐点TPを経て第2の溝22に移動することはない。したがって、ホームポジションHへ自動復帰するレバー12の振動の発生を抑制することができる。
なお、図6に二点鎖線で示すように、レバー12を分岐点TPからリバースポジションRへ操作する際、単数回または複数回の方向転換を行うようにしてもよい。
<第6の実施の形態>
つぎに、本発明の第6の実施の形態を説明する。本例は、シフトパターンの点で第1の実施の形態と異なる。
図7(a)に示すように、第2および第3の溝22,23は、それぞれ図中の左側へ凸となる曲線状に形成されている。第2の溝22の上端、および第3の溝23の下端、および分岐点TPは、それぞれ図中の上下方向へ延びる同一の直線上に位置している。すなわち、レバー12のリバースポジションR、ニュートラルポジションN、およびドライブポジションDは、それぞれ図中の上下方向へ延びる同一の直線上に位置している。本例によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本例は、つぎのようにしてもよい。すなわち、図7(b)に示すように、第3の溝23は、分岐点TPを起点として上方へ延びる直線状に形成されている。第2の溝22は、分岐点TPを起点として下方へ延び、かつ図中の左側へ凸となる曲線状に形成されている。この場合、第3の溝23の上端にあるときのレバー12の位置をドライブポジションD、第2の溝22の下端にあるときのレバー12の位置をリバースポジションRとしてもよい。
なお、誤操作防止の観点から、リバースポジションRへの操作はドライブポジションDへの操作よりも難しくすることが好ましい。たとえば、ホームポジションHからリバースポジションRへの操作距離を、ホームポジションHからドライブポジションDへの操作距離よりも長くする。
<第7の実施の形態>
つぎに、本発明の第7の実施の形態を説明する。本例は、シフトパターンの点で第1の実施の形態と異なる。
図8(a)に示すように、第2の溝22の上端には第4の溝24が、第3の溝23の下端には第5の溝25がそれぞれ連結されている。第4の溝24は、上方へ向かうにつれて右方へ傾斜する直線状に形成されている。第5の溝25は、下方へ向かうにつれて右方へ傾斜する直線状に形成されている。そして、第4の溝24の上端にあるときのレバー12の位置はリバースポジションRに、第5の溝25の下端にあるときのレバー12の位置はドライブポジションDに設定されている。
リバースポジションRは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第2の溝22に沿った第2の方向D2(図中の左上方向)へ操作し、さらに第4の溝24に沿った第4の方向D4(図中の右上方向)へ操作することにより選択される。第4の方向D4は、第1および第2の方向D1,D2のいずれとも異なる方向、かつ反対方向でない方向である。
ドライブポジションDは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第3の溝23に沿った第3の方向D3(図中の左下方向)へ操作し、さらに第5の溝25に沿った第5の方向D5(図中の右下方向)へ操作することにより選択される。第5の方向D5は、第1、第3および第4の方向D1,D3,D4のいずれとも異なる方向である。
リバースポジションRにあるレバー12に対する操作力が解除された際には、レバー12は、復帰機構の復帰力によって、第4の溝24、第2の溝22、および第1の溝21の順に逆戻りしてホームポジションHに至る。このとき、レバー12が第2の溝22から第3の溝23へ移動することはない。したがって、ホームポジションHへ自動復帰するレバー12の振動の発生を抑制することができる。ドライブポジションDにあるレバー12に対する操作力が解除されたときも、同様である。
なお、本例は、つぎのようにしてもよい。すなわち、図8(b)に示すように、第3の溝23は、分岐点TPを起点として上方へ延びる直線状に形成されている。第2の溝22は、分岐点TPを起点として左下方向へ延びている。第2の溝22の下端には第4の溝24が連結されている。第4の溝24は、図中の右下方向へ延びている。この場合、第3の溝23の上端にあるときのレバー12の位置をドライブポジションD、第4の溝24の下端にあるときのレバー12の位置をリバースポジションRとしてもよい。ホームポジションHからリバースポジションRへの操作距離は、ホームポジションHからドライブポジションDへの操作距離よりも長くなる。また、ホームポジションHからリバースポジションRへ至るまでのレバー12の方向転換の回数は、ホームポジションHからドライブポジションDへ至るまでのレバー12の方向転換の回数よりも多くなる。このため、ホームポジションHからリバースポジションRへの操作は、ドライブポジションDへの操作よりも難しくなる。これは、リバースポジションRへの誤操作防止の観点から好ましい。
<第8の実施の形態>
つぎに、本発明の第8の実施の形態を説明する。本例は、シフトパターンの点で第6の実施の形態と異なる。
図9(a)に示すように、第2の溝22の上端(分岐点TPと反対側の端部)には第4の溝24が連結されている。第4の溝24は上方へ延びる直線状に形成されている。第3の溝23の下端(分岐点TPと反対側の端部)には、第5の溝25が連結されている。第5の溝25は下方へ延びる直線状に形成されている。そして、第4の溝24の上端にあるときのレバー12の位置はリバースポジションRに、第5の溝25の下端にあるときのレバー12の位置はドライブポジションDに設定されている。
リバースポジションRは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第2の溝22に沿った第2の方向D2(図中の左側に凸となる曲線に沿った上方向)へ操作し、次いで第4の溝24に沿った第4の方向D4(図中の上方向)へ操作することにより選択される。ドライブポジションDは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第3の溝23に沿った第3の方向D3(図中の左側に凸となる曲線に沿った下方向)へ操作し、次いで第5の溝25に沿った第5の方向D5(図中の下方向)へ操作することにより選択される。
このようにしても、第6の実施の形態と同様に、リバースポジションRあるいはドライブポジションDからホームポジションHへ自動復帰するレバー12の振動の発生を抑制することができる。
なお、本例は、つぎのようにしてもよい。すなわち、図9(b)に示すように、第2および第3の溝22,23は、図中の右側に凸となる曲線状に形成されている。
<第9の実施の形態>
つぎに、本発明の第9の実施の形態を説明する。本例は、シフトパターンの点で第7の実施の形態と異なる。
図10(a)に示すように、第4の溝24の上端(第2の溝22と反対側の端部)には第6の溝26が連結されている。第6の溝26は上方へ延びる直線状に形成されている。第5の溝25の下端(第3の溝23と反対側の端部)には、第7の溝27が連結されている。第7の溝27は下方へ延びる直線状に形成されている。そして、第6の溝26の上端にあるときのレバー12の位置はリバースポジションRに、第7の溝27の下端にあるときのレバー12の位置はドライブポジションDに設定されている。
リバースポジションRは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第2の溝22に沿った第2の方向D2(図中の左上方向)へ操作し、次いで第4の溝24に沿った第4の方向D4(図中の右上方向)へ操作し、さらに第6の溝26に沿った第6の方向(図中の上方向)へ操作することにより選択される。第6の方向は、第1〜第5の方向D1〜D5のいずれとも異なる方向、かつ反対方向でない方向である。
ドライブポジションDは、レバー12を、ニュートラルポジションNを起点として、第3の溝23に沿った第3の方向D3(図中の左下方向)へ操作し、次いで第5の溝25に沿った第5の方向D5(図中の右下方向)へ操作し、さらに第7の溝27に沿った第7の方向(図中の下方向)へ操作することにより選択される。第7の方向D7は、第1〜第5の方向D1〜D5のいずれとも異なる方向、かつ反対方向でない方向である。また、第7の方向D7は、第6の方向D6と反対方向である。
このようにしても、第7の実施の形態と同様に、リバースポジションRあるいはドライブポジションDからホームポジションHへ自動復帰するレバー12の振動の発生を抑制することができる。
なお、本例は、つぎのようにしてもよい。すなわち、図10(a)に示される第2〜第5の溝22〜25の傾斜方向を、図中の左右方向において反対にする。具体的には、図10(b)に示すように、第2の溝22は分岐点TPを起点として図中の右上方向へ、第3の溝23は分岐点TPを起点として図中の右下方向へ延びている。また、第4の溝24は第2の溝22の上端を起点として左上方向へ、第5の溝25は第3の溝23の下端を起点として左下方向へ延びている。リバースポジションR、分岐点TP、およびドライブポジションDは、図中の上下方向へ延びる同一の直線状に位置している。
<第10の実施の形態>
つぎに、本発明の第10の実施の形態を説明する。本例は、シフトパターンの点で第5の実施の形態と異なる。
図11(a)に示すように、第2の溝22は、分岐点TPを起点として、図中の左側へ凸となる曲線状に形成されている。第2の溝22の分岐点TPと反対側の端部は、第3の溝23の分岐点TPと反対側の端部よりも下方に位置している。また、第3の溝23の分岐点TPと反対側の端部と、分岐点TPとは、図中の上下方向へ延びる同一の直線上に位置する。すなわち、ホームポジションH、ニュートラルポジションN、ドライブポジションD、およびリバースポジションRは、図中の上下方向へ延びる同一の直線上に位置する。
本実施の形態によれば、第5の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本例は、つぎのようにしてもよい。すなわち、図11(b)に示すように、第2の溝22は、分岐点TPを起点として、図中の下方へ向かうにつれて第3の溝23から離間するように傾斜する直線状に形成されている。第2の溝22の分岐点TPと反対側の端部と、第3の溝23の分岐点TPと反対側の端部とは、図中の左右方向へ延びる同一の直線状に位置している。
さらに、図11(b)に示されるシフトパターンをつぎのように変更してもよい。すなわち、図11(c)に示されるように、第2の溝22の分岐点TPと反対側の端部には、第4の溝24が連結されている。第4の溝24は、下方へ向かうにつれて図中の右方へ傾斜する直線状に形成されている。第4の溝24の分岐点TPと反対側の端部は、第3の溝23の分岐点TPと反対側の端部の下方に位置している。また、第3の溝23の分岐点TPと反対側の端部と、第4の溝24の分岐点TPと反対側の端部とは、図中の上下方向へ延びる同一の直線状に位置している。第4の溝24の下端にあるときのレバー12の位置は、リバースポジションRに設定されている。すなわち、ホームポジションH、ニュートラルポジションN、ドライブポジションD、およびリバースポジションRは、図中の上下方向へ延びる同一の直線上に位置する。
<第11の実施の形態>
つぎに、本発明の第11の実施の形態を説明する。本例は、シフトパターンの点で第1の実施の形態と異なる。
図12(a)に示すように、第2および第3の溝22,23の傾斜方向を、図中の左右方向において反対にしてもよい。具体的には、第2の溝22は分岐点TPを起点として図中の右上方向へ、第3の溝23は分岐点TPを起点として図中の右下方向へ延びている。リバースポジションR、ホームポジションH、およびドライブポジションDは、図中の上下方向へ延びる同一の直線状に位置している。本実施の形態によれば、第5の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<第12の実施の形態>
つぎに、本発明の第12の実施の形態を説明する。本例は、シフトパターンの点で第7の実施の形態と異なる。
本例では、先の図8(a)に示される第2〜第5の溝22〜25の傾斜方向が、図中の左右方向において反転されている。すなわち、図12(b)に示すように、第2〜第5の溝22〜25の傾斜方向を、図中の左右方向において反対にする。具体的には、第2の溝22は分岐点TPを起点として図中の右上方向へ、第3の溝23は分岐点TPを起点として図中の右下方向へ延びている。また、第4の溝24は第2の溝22の上端を起点として左上方向へ、第5の溝25は第3の溝23の下端を起点として左下方向へ延びている。リバースポジションR、ニュートラルポジションN(分岐点TP)、およびドライブポジションDは、図中の上下方向へ延びる同一の直線状に位置している。本実施の形態によれば、第7の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
<他の実施の形態>
なお、前記各実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。
・各実施の形態では、インストルメントパネルにシフト装置を設けた。しかし、フロアコンソール、およびステアリングコラムなどにシフト装置を設けてもよい。運転者の手の届く範囲であれば、シフト装置の設置場所は適宜に設定可能である。
・各実施の形態において、ニュートラルポジションNを省略してもよい。この場合、たとえば変速機の走行レンジをニュートラルレンジに切り替えるニュートラルスイッチを別途に設ける。
・各実施の形態において、レバー12がホームポジションHから分岐点TPへ至るまでの間に、単数回または複数回の方向転換がなされるようにしてもよい。たとえば、図2に二点鎖線で示される例では、ホームポジションHを起点として、レバー12をまず左方へ操作する。次いで、レバー12を下方に操作した後、再び左方へ操作する。このように、レバー12はホームポジションHから分岐点TPに至るまでの間に、2回の方向転換が行われる。なお、方向転換の方向、および方向転換の回数は適宜設定すればよい。
・図7〜図12に示される各シフトパターンでは、リバースポジションR、ドライブポジションD、およびニュートラルポジションN(分岐点TP)が図中の上下方向へ延びる同一の直線状に位置するように設けたが、同一直線上に存在しないように設けてもよい。たとえば、各溝の長さを変更したり、傾斜の程度を変更したりする。
・第1〜第12の実施の形態において、各溝の接続部分を、適宜滑らかな曲線としてもよい。たとえば、図2に示される第1の実施の形態のシフトゲート20において、第1の溝21および第2の溝22、ならびに第1の溝21および第3の溝23を、それぞれ曲線状に滑らかに接続する。第2〜第12の実施の形態についても同様である。
・図2、図3(a),(b)、図7(a)、図8(a)、図9(a),(b)、図10(a),(b)、および図12(a),(b)に示されるように、図中の上下方向において対称をなすシフトパターンにおいて、対称としなくてもよい。たとえば、図2に示される第1の実施の形態のシフトゲート20において、第2および第3の溝22,23の長さを互いに異ならせてもよい。また、第1および第2の角度θ1,θ2を異ならせてもよい。このように、図中の上下方向において第1の溝21を中心とする線対称としなくても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。図3などのシフトパターンについても同様である。
・第1〜第12の実施の形態では、ホームポジションH、ニュートラルポジションN、リバースポジションR、およびドライブポジションDの4つのシフトポジションを備えたシフト装置を例に挙げて説明したが、これに限定されるのではない。たとえば、図2の上部に二点鎖線で示されるように、第2の溝22の上端に他の溝を連結し、この連結した他の溝の端部に他のポジションを増設してもよい。他のポジションとしては、たとえばパーキングポジションPなどが考えられる。
・第1〜第12の実施の形態において、シフトゲート20に対するホームポジションH、ニュートラルポジションN、リバースポジションR、およびドライブポジションDなどの各シフトポジションは、適宜変更して設定してもよい。
・第1〜第12の実施の形態において、各シフトパターンを図中の左右方向において反転して設けてもよい。たとえば自動車であれば、右ハンドルおよび左ハンドルの違いなどにより、適宜変更する。
・第1〜第12の実施の形態では、シフト装置をインストルメントパネルにおける運転席と助手席との間に設けたが、運転者の手の届く範囲であれば、適宜の場所に設けることも可能である。たとえば、センターコンソール、ステアリングコラム、および運転席と助手席との間のフロアなどにシフト装置を設けてもよい。
<他の技術的思想>
次に、前記実施の形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)車両の変速機の走行レンジを選択するシフト装置であって、基本位置を起点として複数方向へ変位可能とされたレバーを備え、レバーの操作を通じて、少なくとも変速機の後進レンジを指定する第1の位置と、同じく前進レンジを指定する第2の位置とを選択可能とし、レバーは、第1または第2の位置に操作された後に当該レバーに対する操作力が解除されたとき、基本位置に自動復帰するシフト装置において、前記レバーは、基本位置から分岐点TPを介して分岐して操作されることにより第1および第2の位置を選択可能に設け、第1の方向へ延びて前記分岐点TPに至る第1の経路、および前記分岐点TPを起点として第1の方向と異なりかつ反対方向でない第2の方向へ延びる第2の経路を経て第1の位置を選択可能に設ける一方で、前記第1の経路、および前記分岐点TPを起点として第2の方向と異なりかつ反対方向でない第3の方向へ延びる第3の経路を経て第2の位置を選択可能に設けられてなるシフト装置。
(ロ)車両の変速機の走行レンジを選択するシフト装置であって、基本位置を起点として複数方向へ変位可能とされたレバーを備え、レバーの操作を通じて、少なくとも変速機の後進レンジを指定する第1の位置と、同じく前進レンジを指定する第2の位置とを選択可能とし、レバーは、第1または第2の位置に操作された後に当該レバーに対する操作力が解除されたとき、基本位置に自動復帰するシフト装置において、前記レバーは、基本位置から分岐点TPを介して分岐して操作されることにより第1および第2の位置を選択可能に設け、前記第1および第2の位置ならびに前記分岐点TPは、同一直線上に存在しないように設定されてなるシフト装置。
(ハ)車両の変速機の走行レンジを選択するシフト装置であって、基本位置を起点として複数方向へ変位可能とされたレバーを備え、レバーの操作を通じて、少なくとも変速機の後進レンジを指定する第1の位置と、同じく前進レンジを指定する第2の位置とを選択可能とし、レバーは、第1または第2の位置に操作された後に当該レバーに対する操作力が解除されたとき、基本位置に自動復帰するシフト装置において、前記レバーは、基本位置から分岐点TPを介して分岐して操作されることにより第1および第2の位置を選択可能に設け、前記第1および第2の位置、ならびに前記分岐点TPは、同一直線上に設定されてなるシフト装置。