JP6060960B2 - 車両用シフト装置 - Google Patents
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Description
本発明は、車両の変速レンジを切り替えるための車両用シフト装置に関する。
車両用シフト装置として、近年、シフトレバーのポジションを電気的に検出して変速を行う、いわゆるエレキシフターが知られている。エレキシフターは、機械式の変速機を持たない電気自動車またはハイブリッド自動車において使用されることが多かった。ところが、操作部材と変速機との機械的な接続が不要なエレキシフターは、そのデザイン自由度の高さから、機械式の変速機を備えた車両、例えばエンジン(内燃機関)のみを動力源とする従来型の自動車に対しても徐々に用いられつつある。
また、操作部材の操作ストロークに制約がないエレキシフターでは、コンパクト化や操作性の向上を図る観点から、モメンタリ式と呼ばれる機構が採用されることが多い。具体的に、モメンタリ式のエレキシフターでは、所定のホーム位置を起点にシフトレバーが所定の方向に変位操作されると変速レンジが変更され、その後シフトレバーから手が放されると、変更後の変速レンジを維持したまま自動的にシフトレバーがホーム位置に復帰するようになっている。
例えば、特許文献1には、コンソールの表面に十字の案内溝が切られており、この十字の中央をホーム位置として上記案内溝に沿ってシフトレバーが変位するよう構成されたモメンタリ式のエレキシフターであって、ホーム位置から前後にシフトレバーが傾動操作されることで変速レンジがリバースレンジ、ドライブレンジに切り替えられ、ホーム位置から車幅方向にシフトレバーが傾動操作されることで変速レンジがニュートラルレンジ、パーキングレンジに切り替えられるものが開示されている。
ここで、シフト装置は、運転席と助手席との間に位置するセンターコンソール上に設けられることが多い。センターコンソールはその車幅方向の寸法に制約があり、また、シフト装置以外の種々の装置がセンターコンソール上に設けられる場合がある。そのため、シフト装置の車幅方向の寸法をより小さくして、レイアウト性を高めることが求められている。これに対して、特許文献1の装置では、上記十字の案内溝の中央からこの案内溝の各端部までの距離が前後左右で同一となっており、シフトレバーの車幅方向の可動範囲が大きくなるので、車幅方向にシフト装置を十分にコンパクト化できずレイアウト性が悪いという問題がある。
ここで、特許文献1の装置においても、案内溝全体の大きさを小さくすれば、シフト装置を車幅方向にコンパクト化することはできる。しかしながら、このようにした場合には、ドライバーや他の乗員がうっかりシフトレバーに触れてしまうことによりシフトレバーが移動して予期せぬ変速レンジの切り替えが行われるおそれがある。
例えば、乗員の手が誤ってシフトレバーに触れてシフトレバーが前後にわずかに移動しただけで、乗員の意に反して変速レンジがドライブレンジやリバースレンジに切り替わるおそれがある。また、走行レンジが選択された状態で車両が走行しているときに、乗員の意に反して変速レンジがニュートラルレンジに切り替わるおそれがある。特に、このようなニュートラルレンジへの切り替わりが、車両が登坂路を力行しているとき(車両が登坂中で、かつ、アクセルペダルが踏み込み操作されているとき)に生じた場合には、駆動トルクの抜けに伴って車両がドライバーの意に反して減速することになり好ましくない。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、レイアウト性を高めつつ安全性を確保することのできる車両用シフト装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、ドライバーにより踏み込み操作されるアクセルペダルを備えた車両に設けられて、前進方向の走行レンジであるドライブレンジ、後退方向の走行レンジであるリバースレンジ、およびニュートラルレンジの間で車両の変速レンジを切り替えるための車両用シフト装置であって、操作部材と、上記操作部材を少なくとも車幅方向一方側および前後方向に変位可能に支持するとともに、変位後の操作部材を所定のホーム位置に自動的に復帰させる本体部と、上記操作部材がホーム位置から前方へ第1操作量変位操作されると変速レンジがリバースレンジに切り替わり、上記操作部材がホーム位置から後方へ第2操作量変位操作されると変速レンジがドライブレンジに切り替わり、上記操作部材がホーム位置から車幅方向一方側に第3操作量変位操作されると変速レンジがニュートラルレンジに切り替わるように、上記操作部材の操作に応じて車両の変速レンジを制御する制御手段とを備え、上記第1操作量、第2操作量および第3操作量は、上記第3操作量が上記第1操作量および第2操作量よりも小さくなるように予め設定されており、上記制御手段は、車両が登坂中であり且つ上記アクセルペダルが踏み込み操作されている場合には、上記操作部材がニュートラルレンジへの切り替え方向に上記第3操作量変位操作されてもニュートラルレンジへの切り替えを許可しないことを特徴とする車両用シフト装置を提供する(請求項1)。
本発明によれば、ドライブレンジおよびリバースレンジへの切り替えに必要な前後方向の操作量(第1操作量、第2操作量)が比較的大きく確保されているので、これらのレンジへの予期せぬ切り替えを抑制することができる。しかも、ニュートラルレンジへの切り替えに必要な車幅方向の操作量(第3操作量)が小さく抑えられているので、操作部材の車幅方向の可動範囲を小さく抑えて、シフト装置のレイアウト性を高めることができる。
ただし、このようにニュートラルレンジへの切り替えに必要な車幅方向の操作量を小さくした場合には、例えば乗員の手が誤って操作部材に触れるなどしたときに、操作部材が比較的容易に必要操作量(第3操作量)分変位してしまい、ドライバーの意に反して変速レンジがニュートラルレンジに切り替わるという事態が起こり得る。特に、このような不意なニュートラルレンジへの切り替わりが、車両が登坂路を力行しているとき(車両が登坂中で、かつ、アクセルペダルが踏み込まれているとき)に起きると、駆動トルクの抜けに伴って車両が意に反して減速することになり好ましくない。
これに対して、本発明では、操作部材がニュートラルレンジへの切り替え方向に必要な操作量(第3操作量)操作された場合であっても、車両が登坂中であり且つアクセルペダルが踏み込み操作されている場合には、ニュートラルレンジに切り替わらないように構成されている。そのため、ドライバーの意に反してニュートラルレンジに切り替わり上記のような減速が生じるのを抑制することができ、走行中の車両の安全性を確保することができる。
本発明において、上記ニュートラルレンジへの切り替え方向は、車幅方向のうち、運転席に着座しているドライバーから遠ざかる方向に設定されているのが好ましい(請求項2)。
このようにすれば、ニュートラルレンジへの切り替えを容易に行うことができ、良好な操作性を得ることができる。
ここで、上記のように、車両が登坂路を力行している場合にニュートラルレンジへの切り替え操作が行われたとしても、その操作は誤操作である可能性が高い。しかしながら、車両が登坂路を力行しているときであってもエンジン回転数が過剰に上昇したとき(例えば、何らかの原因でアクセルペダルの踏み込み量が過大になったとき等)には、車両の急加速を回避すること等を目的として、ドライバーが意図してニュートラルレンジへの切り替え操作を行う場合がある。
そこで、本発明において、上記制御手段は、車両が登坂中であり且つ上記アクセルペダルが踏み込み操作されている状態であっても、エンジン回転数が予め設定された基準回転数以上のときは、上記操作部材がニュートラルレンジへの切り替え方向に上記第3操作量変位操作されるのに応じてニュートラルレンジへの切り替えを許可するのが好ましい(請求項3)。
このようにすれば、車両の急加速等を回避して安全性を高めることができる。
また、本発明において、上記制御手段は、車両が登坂中であり且つ上記アクセルペダルが踏み込み操作されている状態であっても、上記操作部材に対して予め設定された切替許容操作が行われたときは、ニュートラルレンジへの切り替えを許可するのが好ましい(請求項4)。
このようにすれば、ドライバーが特定の切替許容操作を実施することで、車両が登坂路を力行している場合においてもニュートラルレンジへの切り替えを行うことができるため、ドライバーの意図に合致した変速レンジの切り替えを行うことができ、操作性を高めることができる。
ここで、上記制御手段は、上記操作部材をニュートラルレンジへの切り替え方向に上記第3操作量変位させる操作が所定時間以内に複数回繰り返されたときに、上記切替許容操作が行われたと判定するのが好ましい(請求項5)。
このようにすれば、比較的簡単な構成でドライバーがニュートラルレンジへの切り替えを意図していることを判別することができる。
上記とは別の構成として、上記制御手段は、上記操作部材をニュートラルレンジへの切り替え方向に上記第3操作量変位したときに当該操作部材に加えられている操作力が予め設定された基準力以上であれば、上記切替許容操作が行われたと判定するのが好ましい(請求項6)。
この構成においても、比較的簡単な構成でドライバーがニュートラルレンジへの切り替えを意図していることを判別することができる。
また、上記とは別の構成として、上記制御手段は、上記操作部材をニュートラルレンジへの切り替え方向に上記第3操作量変位した状態が予め設定された基準時間以上継続したときに、上記切替許容操作が行われたと判定するのが好ましい(請求項7)。
この構成においても、比較的簡単な構成でドライバーがニュートラルレンジへの切り替えを意図していることを判別することができる。
以上のように、本発明によれば、レイアウト性を高めつつ安全性を確保することができる。
(1)全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかるシフト装置1が適用された車両の車室前部を示す図である。本図に示すように、車室前部には、メータユニット3やステアリングハンドル4等が設けられるインストルメントパネル2と、インストルメントパネル2の車幅方向中央部から運転席と助手席との間を通って車両後方に延びるセンターコンソール5とが設置されている。以下では、図1に示すように、シフト装置1が、ステアリングハンドル4および運転席が車両右側に設けられたいわゆる右ハンドル車に適用された場合について説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかるシフト装置1が適用された車両の車室前部を示す図である。本図に示すように、車室前部には、メータユニット3やステアリングハンドル4等が設けられるインストルメントパネル2と、インストルメントパネル2の車幅方向中央部から運転席と助手席との間を通って車両後方に延びるセンターコンソール5とが設置されている。以下では、図1に示すように、シフト装置1が、ステアリングハンドル4および運転席が車両右側に設けられたいわゆる右ハンドル車に適用された場合について説明する。
本実施形態において、車両は、ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジン等の内燃機関からなるエンジン(図示省略)と、エンジンの駆動力を減速しつつ車輪に伝達する自動変速機110(図10参照)とを備えている。自動変速機110は、遊星歯車機構を含み、当該歯車機構によって実現される複数の減速比の中から車速やエンジン負荷等に応じた適切な減速比を自動的に選択する有段式の変速機(AT)である。この自動変速機110の変速レンジとしては、駆動力の伝達が切断されるニュートラルレンジと、駆動力の伝達が切断された上に出力軸がロックされるパーキングレンジと、車両を前進させる方向に駆動力を伝達するドライブレンジ(前進走行レンジ)と、車両を後退させる方向に駆動力を伝達するリバースレンジ(後退走行レンジ)とが存在する。
シフト装置1は、変速レンジを、これらドライブレンジとリバースレンジとニュートラルレンジの中から所望のレンジに切り替えるためのものであり、センターコンソール5の上面に設けられるレバーユニット7と、コントローラ(図10参照)101とを備えている。レバーユニット7は、上記変速レンジの切り替え時に操作されるものである。
なお、パーキングレンジは、このレバーユニット7とは別の操作部材の操作により切り替えられるようになっている。本実施形態では、インストルメントパネル2にパーキングレンジを選択するためのパーキングスイッチ8(図10参照)が設けられており、このパーキングスイッチ8の操作によってパーキングレンジへの切り替えが行われる。
選択中の変速レンジは、メータユニット3に表示されるようになっている。すなわち、メータユニット3は、その所定箇所(例えばスピードメータとタコメータとの間)に液晶画面等からなる表示部を有しており、その表示部に、選択中の変速レンジに対応したP(パーキングレンジ),R(リバースグレンジ),N(ニュートラルレンジ),D(ドライブレンジ)のいずれかの文字が表示されるようになっている。
図2〜図9を用いて、レバーユニット7の具体的構造について説明する。なお、以下では、車幅方向すなわち図1の左右方向を単に左右方向といい、図1の右を単に右、図1の左を単に左として説明する。また、車両前後方向を単に前後方向といい、車両前後方向前を単に前、車両前後方向後を単に後という。また、図面において、矢印Fは車両の前方を示し(言い換えると、矢印Fの反対側が車両後方である)、矢印Lは車両の左側、矢印Rは車両の右側を示している。
レバーユニット7は、シフトレバー10と、本体部40と、DRレバー回転センサ52と、Nレバー回転センサ54とを備えている。
シフトレバー10は、請求項にいう「操作部材」に相当するものである。具体的に、本実施形態のシフトレバー10は、ドライバーにより把持される球状のシフトノブ12と、シフトノブ12から下方に延びる棒状のレバー部14と、レバー部14の下端に設けられたブロック状の基部16と、基部16の上方に設けられたレバー側カバー部15と、基部16から右斜め下方に突出する棒状の規制軸24と、基部16から左斜め下方に突出する棒状のディテント用脚部26と、基部16の下部から前方に突出する棒状のNセンサ操作部22とを有している。
ディテント用脚部26の本体部分(先端(下端部)26bよりも上側の部分)26aの内部には、圧縮スプリング(不図示)が設けられており、この圧縮スプリングによって先端26bは下方に押圧されている。これにより、ディテント用脚部26の先端26bは、圧縮スプリングを押し戻す上向きの力を受けると上昇し、その力が減少すると下降するというように、本体部分26aに対して進退自在となっている。
本体部40は、シフトレバー10を支持する機能を有する。本体部40は、上面が開口した箱状の筐体42と、筐体42の上面を覆うように取り付けられるカバー部41と、筐体42内に収容された支持ブロック44と、筐体42の底面上に固定された規制部46と、同じく筐体42の底面上に固定されたディテント用誘導部材48とを有している。
図4に示すように、筐体42の底面は、前後方向からみて略V字状を有し、左右中央から右斜め上方に傾斜する右底面41bと、左右中央から左斜め上方に傾斜する左底面41cとからなり、規制部46は、右底面41b上に設けられ、ディテント用誘導部材48は、左底面41c上に設けられている。
上記DRレバー回転センサ52は、筐体42の左側面の外側に固定されており、Nレバー回転センサ54は、筐体42の前側面の内側に固定されている。
シフトレバー10は、カバー部41に形成された円形のゲート孔41a内にレバー部14が挿通された状態で、本体部40の支持ブロック44に支持されている。なお、この支持状態では、図2に示すように、シフトレバー10のレバー側カバー部15がゲート孔41aを塞ぎ、良好な見栄えが確保されている。
支持ブロック44は、上下に延びる角筒状の本体ブロック44dと、本体ブロック44dの左右両側面から左右外側に突出する円柱状の第1支持軸44b,44cとを有している。支持ブロック44は、一方の第1支持軸44bが、筐体42の左側面に形成された円形の貫通孔42a内にその中心軸を中心として回転可能に挿通され、他方の第1支持軸44cが筐体42の右側面に設けられた支持部材(不図示)にその中心軸を中心として回転可能に支持されることで、筐体42内に、これら第1支持軸44b、44cの中心軸を中心として回転可能に収容されている。
本体ブロック44dは、シフトレバー10の基部16を内側に収容可能な大きさを有しており、シフトレバー10は、基部16がこの本体ブロック44d内に収容されることで本体ブロック44dに支持されている。
具体的には、支持ブロック44には、その前側面と後側面に形成された貫通孔44e,44eに挿通されてこれら側面間にわたって前後に延びる円柱状の第2支持軸44aが設けられている。シフトレバー10は、その基部16に形成された貫通孔16a内にこの第2支持軸44aが挿通されることで、本体ブロック44dに支持されている。
第2支持軸44aの外径と、貫通孔16aの内径とはほぼ同じに設定されている。そのため、貫通孔16a内に第2支持軸44aが挿通されることで、シフトレバー10は、図6に示すように、第2支持軸44aの中心軸すなわち貫通孔16aの中心軸を中心として左右に回転可能すなわち左右に傾動可能に支持される。
ここで、上述のように、支持ブロック44は、第1支持軸44b,44cの中心軸を中心として回転可能である。そのため、支持ブロック44に支持されることで、シフトレバー10は、図7に示すように、支持ブロック44と一体に、第1支持軸44b,44cの中心軸を中心として前後に回転可能すなわち前後に傾動可能に支持される。このように、シフトレバー10は、支持ブロック44によって前後左右に傾動可能に支持される。
本体部40のディテント用誘導部材48は、傾動変位後のシフトレバー10を自動的に元の位置(後述するホーム位置)に戻すためのものである。ディテント用誘導部材48は、下方(詳細には左斜め下方)に凹んだ部分凹球面状、すなわち、断面視で下方に凹む円弧状を有する凹面48aを有している。
シフトレバー10が本体部40に支持された状態において、シフトレバー10のディテント用脚部26の先端26bは、このディテント用誘導部材48の凹面48aと対接している。そして、ディテント用脚部26の先端26bは、この凹面48aに、上記圧縮スプリングによる押圧力を受けて常時押し付けられている。
図8に示すように、ディテント用脚部26の先端26bは、凹面48aの中心部(凹球面の底部)に対接しているとき、ディテント用脚部26の本体部分26aから最も進出する。このとき圧縮スプリングは最も伸びて付勢力は最小となる。一方、ディテント用脚部26の先端26bは、凹面48aの中心部から離れると、ディテント用脚部26の本体部分26aの内部に後退する。このとき、圧縮スプリングは縮みディテント用脚部26の先端26bに加えられる付勢力は増大する。ディテント用脚部26の先端26bの後退量および圧縮スプリングからこの先端26bに加えられる付勢力は、先端26bの凹面48aの中心部からの離間量が大きくなるほど大きくなる。圧縮スプリングから加えられる付勢力が増大すると、ディテント用脚部26の先端26bは凹面48aに強く押し付けられる。そして、この押し付け力は、ディテント用脚部26の先端26bを凹面48aの中心部に戻す力に変換される。
従って、シフトレバー10に対して操作力(シフトレバー10を傾動させる力)が加えられていないときは、シフトレバー10はディテント用脚部26の先端26bが凹面48aの中心部に配置される位置に支持される。以下では、この位置をホーム位置という。このホーム位置ではシフトレバー10は、図3等に示すように、カバー部41に直交して延びる姿勢となる。そして、ホーム位置にあるシフトレバー10が操作力を受けて傾動してディテント用脚部26の先端26bが凹面48aの中心部から離間すると、それに伴いこの先端26bには、凹面48aの中心部に戻そうとする力が発生する。そのため、シフトレバー10に対する操作力が解除されると、シフトレバー10は自ずとホーム位置に復帰する。このように、本実施形態のシフトレバー10は、ホーム位置から傾動可能であるとともに傾動後にホーム位置に自動的に復帰するモメンタリ式の装置である。
本体部40の規制部46は、シフトレバー10の前後および左右の傾動を規制するためのものである。規制部46には、規制溝46aが形成されている。規制溝46aは、T字状を有しており、図4および図9に示すように、前後に延びるDR規制溝46a_1と、DR規制溝46a_1の前後中央(図9にHで示す位置)から右側に延びるN規制溝46a_2とで構成されている。
シフトレバー10の規制軸24の先端(下端部)はこの規制溝46a内に配置されており、規制軸24はこの規制溝46a内のみでしか移動できないようになっている。
すなわち、シフトレバー10は、規制軸24がDR規制溝46a_1の前端と当接する位置と、後端と当接する位置との間でのみ前後に傾動可能となっている。また、シフトレバー10は、規制軸24がDR規制溝46a_1の前後中央にある位置から、規制軸24が右側に向かう向きすなわちシフトノブ12を含むシフトレバー10の上部が左に向かう向きにしか傾動できないように、かつ、規制軸24がN規制溝46a_2の右端と当接する位置までしか傾動できないようになっている。ここで、規制軸24は、シフトレバー10がホーム位置にある状態でDR規制溝46a_1の前後中央に配置される。
以下では、適宜、シフトノブ12を含むシフトレバー10の上部の傾動方向を、シフトレバー10の傾動方向として説明する。すなわち、シフトノブ12を含むシフトレバー10の前方への傾動を、単に前方への傾動といい、シフトノブ12を含むシフトレバー10の上部の後方への傾動を、単に後方への傾動という。また、シフトノブ12を含むシフトレバー10の右側への傾動を、単に右側への傾動といい、シフトノブ12を含むシフトレバー10の上部の左側への傾動を、単に左側への傾動という。また、適宜、規制軸24がDR規制溝46a_1の後端と当接する位置を前方の変位限界位置といい、規制軸24がDR規制溝46a_1の前端と当接する位置を後方の変位限界位置といい、規制軸24がN規制溝46a_2の右端と当接する位置を左側の変位限界位置という。また、シフトレバー10がホーム位置から前方の変位限界位置まで変位する量を前方変位可能量といい、シフトレバー10がホーム位置から後方の変位限界位置まで変位する量を後方変位可能量といい、シフトレバー10がホーム位置から左側の変位限界位置まで変位する量を左側変位可能量という。
ここで、図9に示すように、DR規制溝46a_1の前後中央からN規制溝46a_2の右端まで規制軸24が移動する距離L2は、DR規制溝46a_1の前後中央からDR規制溝46a_1の前端および後端まで規制軸24が移動する各距離L1,L1よりも小さく設定されている。従って、シフトレバー10がホーム位置から左側の変位限界位置まで変位する量である左側変位可能量は、シフトレバー10がホーム位置から前方および後方の変位限界位置まで変位する量である前方変位可能量および後方変位可能量よりも短くなっている。
このように、本実施形態では、左側変位可能量すなわちシフトレバー10が左右方向に変位する量が比較的小さく抑えられており、シフトレバー10のうち少なくともセンターコンソール5から上方に露出する部分の可動範囲の左右方向の寸法が小さく抑えられている。
DRレバー回転センサ52は、シフトレバー10の前後の傾動変位量を検出するためのセンサである。DRレバー回転センサ52には一方の第1支持軸44bが係合しており、DRレバー回転センサ52はこの第1支持軸44bの回転角度を検出する。すなわち、シフトレバー10が前後に傾動変位すると、その変位量に比例した角度だけ第1支持軸44bが回転するため、DRレバー回転センサ52は、シフトレバー10の前後の傾動変位量としてこの第1支持軸44bの回転角度を検出する。
Nレバー回転センサ54は、シフトレバー10の左右の傾動変位量を検出するためのセンサである。Nレバー回転センサ54は、シフトレバー10の左右の傾動変位量として筐体42の前側面に枢着された揺動部材54aの揺動量を検出する。具体的には、図6に示すように、揺動部材54aは上下に長尺な板状部材からなり、その下部が揺動軸54bを介して筐体42の前側面に枢着されることにより、揺動軸54bを中心にして左右に揺動可能に支持されている。揺動部材54aの上下方向中間部には、上下方向に長尺な長穴が形成されており、この長穴にはシフトレバー10のNセンサ操作部22の先端(前端)が挿入されている。このように長穴に挿入されたNセンサ操作部22は、シフトレバー10が左右に傾動するのに伴い揺動部材54aをこの傾動方向と逆方向に押動し、これに伴い揺動部材54aの上端部は揺動する。Nレバー回転センサ54は、この揺動部材54aの上端部の揺動量を検出することで、シフトレバー10の揺動量すなわち左右の傾動変位量を検出する。
(2)制御
図10は、本実施形態のシフト装置1に関する制御系統を示すブロック図である。本図に示されるコントローラ101は、周知のCPU、RAM、ROM等を含むマイクロコンピュータからなるもので、自動変速機110の変速動作を制御する等の機能を有している。なお、図10ではコントローラ101が一体のブロックとして表されているが、コントローラ101は、例えば車体側と自動変速機110側とにそれぞれ分割して設けられた複数のマイクロコンピュータから構成されるものであってもよい。このコントローラ101は、請求項にいう「制御手段」に相当するものである。
図10は、本実施形態のシフト装置1に関する制御系統を示すブロック図である。本図に示されるコントローラ101は、周知のCPU、RAM、ROM等を含むマイクロコンピュータからなるもので、自動変速機110の変速動作を制御する等の機能を有している。なお、図10ではコントローラ101が一体のブロックとして表されているが、コントローラ101は、例えば車体側と自動変速機110側とにそれぞれ分割して設けられた複数のマイクロコンピュータから構成されるものであってもよい。このコントローラ101は、請求項にいう「制御手段」に相当するものである。
コントローラ101は、上述したパーキングスイッチ8、DRレバー回転センサ52、Nレバー回転センサ54、メータユニット3、および自動変速機110(より詳しくは変速アクチュエータ111)と電気的に接続されている。なお、自動変速機110の変速アクチュエータ111とは、例えば、自動変速機110に内蔵されるクラッチやブレーキ等の摩擦締結要素の締結・解放を切り替えるソレノイドバルブ等のことである。
また、車両には、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセル開度センサ102、および、車両の傾きを検出する勾配センサ103が設けられており、コントローラ101は、これらアクセル開度センサ102、勾配センサ103とも電気的に接続されている。
コントローラ101は、シフトレバー10の操作状態に応じてそれぞれ所定の信号を出力するDRレバー回転センサ52、Nレバー回転センサ54およびパーキングスイッチ8からの信号に基づいて、自動変速機50の変速レンジの切り替え制御や、メータユニット3の表示制御(現在の変速レンジを表示する制御)等を実行する。
変速レンジの切り替え制御について具体的に説明する。
コントローラ101は、パーキングスイッチ8から所定の信号が出力されるとパーキングスイッチ8が押圧操作されたと判定して、変速アクチュエータ111に対して変速レンジをパーキングレンジに切り替えるよう指令を出す。
コントローラ101は、DRレバー回転センサ52から入力されるシフトレバー10の前後の傾動変位量を表す信号に基づいて、シフトレバー10が前方の変位限界位置まで傾動したこと、すなわち、シフトレバー10がホーム位置から前方に前方変位可能量(第1操作量)傾動操作されたことが確認されると、変速アクチュエータ111に対して変速レンジをリバースレンジに切り替えるよう指令を出す。
また、コントローラ101は、DRレバー回転センサ52から入力されるシフトレバー10の前後の傾動変位量を表す信号に基づいて、シフトレバー10が後方の変位限界位置まで傾動したこと、すなわち、シフトレバー10がホーム位置から後方に後方変位可能量(第2操作量)傾動操作されたことが確認されると、変速アクチュエータ111に対して変速レンジをドライブレンジに切り替えるよう指令を出す。
一方、コントローラ101は、Nレバー回転センサ54から入力されるシフトレバー10の左右の傾動操作量を表す信号に基づいて、シフトレバー10が左側の変位限界位置まで傾動した、すなわち、シフトレバー10がホーム位置から左側に左側変位可能量(第3操作量)傾動操作されたと判定して、変速アクチュエータ111に対して変速レンジをニュートラルレンジに切り替えるよう指令を出す。
このように、本実施形態では、シフトレバー10がホーム位置から前方へ前方変位可能量傾動操作されることによりリバースレンジに切り替えられ、シフトレバー10が後方へ後方変位可能量操作されることによりドライブレンジに切り替えられ、シフトレバー10が左側へ左側変位可能量傾動操作されることによりニュートラルレンジに切り替えられる。
ただし、コントローラ101は、上記のように、シフトレバー10が左側へ左側変位可能量傾動操作された場合であっても、車両が登坂路を力行しているとき(アクセルONすなわちアクセルペダルが踏み込み操作されておりかつ車両が登坂中であるとき)には、基本的に変速レンジのニュートラルレンジへの切り替えを禁止する。一方で、このような場合、すなわち、車両が登坂路を力行している状態でシフトレバー10が左側へ左側変位可能量傾動操作された場合であっても、エンジン回転数が所定の基準回転数以上である、あるいは、シフトレバー10に対して所定のN許容操作(切替許容操作)がなされたときには、変速レンジのニュートラルレンジへの切り替えを許容する。
上記N許容操作とは、ドライバーが変速レンジをニュートラルレンジに切り替えようとしていることがより明確に判別できる操作であり、本実施形態では、N許容操作として、シフトレバー10を所定時間内に2回以上連続して左側へ左側変位可能量傾動させるという操作が設定されている。
図11を用いて具体的に説明する。
まず、ステップS1にて、コントローラ101は、シフトレバー10がホーム位置から左側に左側変位可能量傾動操作されたか否かを判定する。
ステップS1の判定がNOであって、シフトレバー10が左側へ左側変位可能量傾動操作されていない場合には、コントローラ101は、変速レンジをニュートラルレンジへ切り替えることなくそのまま処理を終了する。
ステップS1の判定がYESの場合は、ステップS2に進む。ステップS2では、コントローラ101は、アクセルONかつ車両が登坂中であるか否かを判定する。具体的には、コントローラ101は、アクセル開度センサ102の検出値に基づいてアクセルONか否かを判定するとともに、勾配センサ103の検出値に基づいて車両が登坂中か否かを判定する。
ステップS2の判定がNOの場合は、ステップS4に進み、コントローラ101は、変速レンジをニュートラルレンジに切り替える。すなわち、コントローラ101は、アクセルOFFの場合(アクセルペダルの踏み込みがなされていない場合)には車両が登坂中か否かによらずシフトレバー10の操作に従って変速レンジをニュートラレンジに切り替えるとともに、車両が登坂中でない場合にはアクセルのON/OFFによらずシフトレバー10の操作に従って変速レンジをニュートラレンジに切り替える。
一方、ステップS2の判定がYESの場合、すなわち、アクセルONかつ車両が登坂中である場合は、ステップS3に進む。ステップS3では、コントローラ101は、エンジン回転数が所定の基準回転数以上であるか否か、および、シフトレバー10に対してN許容操作が実施されたか否か、すなわち、基準時間内にシフトレバー10が左側に連続して2回左側変位可能量傾動操作されたか否かを判定する。コントローラ101は、回転数センサ104の検出値に基づいてエンジン回転数が所定の基準回転数以上か否かを判定する。
ステップS3の判定がYESの場合は、ステップS4に進み、コントローラ101は、変速レンジをニュートラルレンジに切り替える。すなわち、コントローラ101は、アクセルONかつ車両が登坂中であっても、エンジン回転数が基準回転数以上である場合、あるいは、N許容操作が実施された場合には、シフトレバー10の操作に従って変速レンジをニュートラレンジに切り替える。
一方、ステップS3の判定がNOの場合は、コントローラ101は、変速レンジをニュートラルレンジに切り替えることなく処理を終了する。すなわち、コントローラ101は、アクセルONかつ車両が登坂中であって、さらに、エンジン回転数が基準回転数未満、かつ、N許容操作が実施されていない場合には、シフトレバー10が左側へ左側変位可能量傾動操作されても、ニュートラルレンジへの切り替えを禁止する。
このように、本実施形態では、シフトレバー10が左側へ左側変位可能量傾動操作された場合であっても、車両が登坂路を力行しており、エンジン回転数が所定の基準回転数未満、かつ、シフトレバー10に対してN許容操作がなされていないときには、変速レンジのニュートラルレンジへの切り替えを禁止する。
(3)作用等
以上説明したように、本実施形態では、左側変位可能量すなわち変速レンジを切り替えるために必要なシフトレバー10の左側への操作量が比較的小さく抑えられて、シフトレバー10の左右の可動範囲すなわちシフトレバー10の占有領域の左右寸法が小さく抑えられている。そのため、シフトレバー10周囲のレイアウト性を高めることができるとともに、レバーユニット7およびシフト装置1のコンパクト化を図ることができる。特に、センターコンソール5は運転席と助手席との間に位置しており、その左右方向の寸法には上限がある。そのため、上記のように、シフトレバー10がセンターコンソール5上に露出するよう配置されている場合においてシフトレバー10の左右の可動範囲が小さく抑えられれば、センターコンソール5上のレイアウト性を効果的に高めることができる。
以上説明したように、本実施形態では、左側変位可能量すなわち変速レンジを切り替えるために必要なシフトレバー10の左側への操作量が比較的小さく抑えられて、シフトレバー10の左右の可動範囲すなわちシフトレバー10の占有領域の左右寸法が小さく抑えられている。そのため、シフトレバー10周囲のレイアウト性を高めることができるとともに、レバーユニット7およびシフト装置1のコンパクト化を図ることができる。特に、センターコンソール5は運転席と助手席との間に位置しており、その左右方向の寸法には上限がある。そのため、上記のように、シフトレバー10がセンターコンソール5上に露出するよう配置されている場合においてシフトレバー10の左右の可動範囲が小さく抑えられれば、センターコンソール5上のレイアウト性を効果的に高めることができる。
また、本実施形態では、シフトレバー10の左右方向の操作の向きが、運転席に着座しているドライバーから遠ざかる向きであって、ドライバーが操作しやすい方向になっているため、操作性が高められている。
ただし、上記のようにシフトレバー10の左側への必要操作量すなわちニュートラルレンジへの切り替えに必要な操作量が小さく抑えられていると、例えば乗員の手が誤って操作部材に触れるなどしたときに、シフトレバー10がこの操作量分変位してしまい、ドライバーの意に反して変速レンジがニュートラルレンジに切り替わるという事態が起こり得る。特に、このような不意なニュートラルレンジへの切り替わりが、車両が登坂路を力行しているときに起きると、駆動トルクの抜けに伴って車両が意に反して減速することになり好ましくない。
これに対して、本実施形態では、上記のように、アクセルONかつ車両が登坂中の場合すなわち車両が登坂路を力行しているときには、基本的に、シフトレバー10がニュートラルレンジへの切り替え方向(左側)に必要操作量(左側変位可能量)操作されても、ニュートラルレンジへの切り替えを禁止するよう制御される。そのため、上記のように、レイアウト性および操作性を高めつつ、車両の不意の減速を回避して安全性を高めることができる。
一方、エンジン回転数が高い場合(何らかの原因でエンジン回転数が過上昇した場合等)には、アクセルONかつ車両が登坂中であっても、車両の急加速を回避するべくドライバーが変速レンジをニュートラルレンジに切り替えることが考えられる。
これに対して、本実施形態では、上記のように、アクセルONかつ車両が登坂中の場合であっても、エンジン回転数が基準回転数以上という条件下でシフトレバー10がニュートラルレンジへの切り替え方向(左側)に必要操作量(左側変位可能量)されたときには、ニュートラルレンジへの切り替えが許容される。そのため、車両の急加速を回避して安全性を確保することができる。
また、上記のようなエンジン回転数が高いという条件以外にも、アクセルONかつ車両が登坂中の場合において、ドライバーが意図して変速レンジをニュートラルレンジに切り替える場合があり得る。
これに対して、本実施形態では、上記のように、アクセルONかつ車両が登坂中の場合であっても、上記N許容操作が行われたときには、ニュートラルレンジへの切り替えが許容されるようになっている。そのため、ドライバーの意図に合致した変速レンジの切り替えを行うことができ、上記のように安全性を確保しつつ、高い操作性を確保することができる。
また、本実施形態では、ドライブレンジに切り替えるのに必要なシフトレバー10の前方への操作量およびリバースレンジに切り替えるのに必要なシフトレバー10の後方への操作量は、比較的大きく確保されている。そのため、シフトレバー10の予期せぬ前後方向の移動によって変速レンジがドライブレンジあるいはリバースレンジに切り替わるのを抑制することができる。
また、ドライブレンジへの切り替え方向が後方、リバースレンジへの切り替え方向が前方と、従来のシフトレバーの操作方向と同じ方向に設定されているため、ドライバーは違和感なくこれらレンジへの切り替えを行うことができる。
(4)変形例
上記実施形態では、シフトレバー10の左側への操作によって変速レンジがニュートラルレンジに切り替えられる場合について説明したが、この操作方向は右側であってもよい。ただし、上記のように、ドライバーから遠ざかる方向への操作の方がドライバーは操作しやすい。そのため、右ハンドル車の場合には、ニュートラルレンジへの切り替え方向を左側とし、左ハンドル車の場合には、この方向を右側とするのがよい。
上記実施形態では、シフトレバー10の左側への操作によって変速レンジがニュートラルレンジに切り替えられる場合について説明したが、この操作方向は右側であってもよい。ただし、上記のように、ドライバーから遠ざかる方向への操作の方がドライバーは操作しやすい。そのため、右ハンドル車の場合には、ニュートラルレンジへの切り替え方向を左側とし、左ハンドル車の場合には、この方向を右側とするのがよい。
上記実施形態では、N許容操作として、シフトレバー10を所定時間以内に2回以上連続して左側へ左側変位可能量傾動させるという操作、すなわち、所定時間以内に2回以上連続してシフトレバー10をニュートラルレンジへ切り替える方向にこの切り替えに必要な操作量変位させるという操作に設定した場合について説明したが、N許容操作は、ドライバーがニュートラルレンジへの切り替えを意図していると判別できる操作であればよく、上記操作に限られない。例えば、上記操作回数は、2回より多く設定されていてもよい。
また、N許容操作として、シフトレバー10をニュートラルレンジへ切り替える方向(上記実施形態では左側)にこの切り替えに必要な操作量(上記実施形態では左側変位可能量)変位させたときにシフトレバー10に加えられている操作力が予め設定された基準力以上であるというものにしてもよい。なお、変位後のシフトレバー10に加えられている操作力が基準力以上であるか否かは、例えば、上記実施形態において、溝46a_2の端部に規制軸24から受ける圧力を検出する感圧センサを設けてこのセンサの検出値に基づいて判定すればよい。
また、N許容操作として、シフトレバー10を予め設定された基準時間以上継続してニュートラルレンジへの切り替え方向に、この切り替えに必要な操作量変位させる操作としてもよい。なお、通常時(アクセルON且つ車両が登坂中であるという条件以外の条件下)において、ニュートラルレンジへの切り替えを、上記操作が所定時間継続した場合に実施するよう構成したときは、上記基準時間は、この所定時間以上に設定する。
また、上記実施形態では、アクセルON且つ車両が登坂中である場合において、さらに、エンジン回転数とN許容操作の有無に応じて、ニュートラルレンジへの切り替えを許可するかどうかを決定する場合について説明したが、エンジン回転数とN許容操作の有無によらず、アクセルON且つ車両が登坂中であればニュートラルレンジへの切り替えを禁止するようにしてもよい。また、アクセルON且つ車両が登坂中の場合において、エンジン回転数とN許容操作の有無のいずれか一方に応じてニュートラルレンジへの切り替えを許可するかどうかを決定してもよい。ただし、これらの条件に応じてこの決定を行えば、上記のように、安全性および操作性をより高めることができる。
また、上記実施形態では、DRレバー回転センサ52およびNレバー回転センサ54によってシフトレバー10の傾動変位量が所定値(前方変位可能量、後方変位可能量、左側変位可能量)以上になったか否かに応じて変速レンジをドライブレンジ等に切り替える場合について説明したが、シフトレバー10の傾動変位量が所定値以上になることで所定の信号を出力する感圧センサやスイッチを用い、この感圧センサあるいはスイッチからの信号に基づいて変速レンジを切り替えるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、シフトレバー10がホーム位置から各変位限界位置(規制軸24がDR規制溝の各端部と当接する位置)まで移動する量、すなわち、シフトレバー10がホーム位置から移動可能な量の最大値を、変速レンジを切り替えるために必要な操作量(変速レンジの切り替えが実行される量、第1操作量、第2操作量、第3操作量)とした場合について説明したが、この必要操作量は、上記最大量よりも小さくてもよい。
また、上記実施形態のシフト装置1は、エンジン(内燃機関)と車輪との間に介設された有段式の自動変速機50の変速レンジを切り替え操作するものであったが、本発明が適用可能な変速機は、有段式の自動変速機に限られず、例えば無段式の自動変速機(CVT)であってもよい。さらには、電気自動車に用いられる変速機のように、前進/後退を電気的に切り替えるものにも本発明を適用することができる。
1 シフト装置
7 レバーユニット
10 シフトレバー(操作部材)
40 本体部
101 コントローラ(制御手段)
7 レバーユニット
10 シフトレバー(操作部材)
40 本体部
101 コントローラ(制御手段)
Claims (7)
- ドライバーにより踏み込み操作されるアクセルペダルを備えた車両に設けられて、前進方向の走行レンジであるドライブレンジ、後退方向の走行レンジであるリバースレンジ、およびニュートラルレンジの間で車両の変速レンジを切り替えるための車両用シフト装置であって、
操作部材と、
上記操作部材を少なくとも車幅方向一方側および前後方向に変位可能に支持するとともに、変位後の操作部材を所定のホーム位置に自動的に復帰させる本体部と、
上記操作部材がホーム位置から前方へ第1操作量変位操作されると変速レンジがリバースレンジに切り替わり、上記操作部材がホーム位置から後方へ第2操作量変位操作されると変速レンジがドライブレンジに切り替わり、上記操作部材がホーム位置から車幅方向一方側に第3操作量変位操作されると変速レンジがニュートラルレンジに切り替わるように、上記操作部材の操作に応じて車両の変速レンジを制御する制御手段とを備え、
上記第1操作量、第2操作量および第3操作量は、上記第3操作量が上記第1操作量および第2操作量よりも小さくなるように予め設定されており、
上記制御手段は、車両が登坂中であり且つ上記アクセルペダルが踏み込み操作されている場合には、上記操作部材がニュートラルレンジへの切り替え方向に上記第3操作量変位操作されてもニュートラルレンジへの切り替えを許可しないことを特徴とする車両用シフト装置。 - 請求項1に記載の車両用シフト装置において、
上記ニュートラルレンジへの切り替え方向は、車幅方向のうち、運転席に着座しているドライバーから遠ざかる方向に設定されていることを特徴とする車両用シフト装置。 - 請求項1または2に記載の車両用シフト装置において、
上記制御手段は、車両が登坂中であり且つ上記アクセルペダルが踏み込み操作されている状態であっても、エンジン回転数が予め設定された基準回転数以上のときは、上記操作部材がニュートラルレンジへの切り替え方向に上記第3操作量変位操作されるのに応じてニュートラルレンジへの切り替えを許可することを特徴とする車両用シフト装置。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の車両用シフト装置において、
上記制御手段は、車両が登坂中であり且つ上記アクセルペダルが踏み込み操作されている状態であっても、上記操作部材に対して予め設定された切替許容操作が行われたときは、ニュートラルレンジへの切り替えを許可することを特徴とする車両用シフト装置。 - 請求項4に記載の車両用シフト装置において、
上記制御手段は、上記操作部材をニュートラルレンジへの切り替え方向に上記第3操作量変位させる操作が所定時間以内に複数回繰り返されたときに、上記切替許容操作が行われたと判定することを特徴とする車両用シフト装置。 - 請求項4に記載の車両用シフト装置において、
上記制御手段は、上記操作部材をニュートラルレンジへの切り替え方向に上記第3操作量変位したときに当該操作部材に加えられている操作力が予め設定された基準力以上であれば、上記切替許容操作が行われたと判定することを特徴とする車両用シフト装置。 - 請求項4に記載の車両用シフト装置において、
上記制御手段は、上記操作部材をニュートラルレンジへの切り替え方向に上記第3操作量変位した状態が予め設定された基準時間以上継続したときに、上記切替許容操作が行われたと判定することを特徴とする車両用シフト装置。
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