JP6060943B2 - 車両用シフト装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両の変速レンジを切り替えるための車両用シフト装置、特に、モメンタリ式の車両用シフト装置に関する。
近年、自動車等の車両用のシフト装置として、シフトレバーのポジションを電気的に検出して変速を行う、いわゆるエレキシフタ装置が知られている。エレキシフタ装置は、機械式の変速機を持たない電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載されることが多かったが、シフトレバーと変速機との機械的な接続が不要でデザイン自由度が高いことから、機械式の変速機を備えた車両、例えばエンジン(内燃機関)のみを動力源とする従来型の自動車にも徐々に搭載されつつある。
エレキシフタ装置は、シフトレバーの操作ストロークに制約がないため、コンパクト化や操作性の向上を図る観点から、モメンタリ式と呼ばれる機構が広く用いられる。例えば、モメンタリ式のエレキシフタ装置は、シフトレバーが直立したホーム位置から所定の方向にシフトレバーが移動操作されると変速機のレンジが変更され、その後シフトレバーから手が放されると、変更後のレンジが維持されたままシフトレバーが自動的にホーム位置に復帰するようになっている。このようなモメンタリ式のエレキシフタ装置は、運転者や他の乗員の手や荷物等がうっかりシフトレバーに触れてしまうこと(誤操作)により不意にレンジが切り替わるおそれがある。
そこで、特許文献1には、ホーム位置から第1の方向にシフトレバーが操作されるとレンジがニュートラルレンジに切り替わり、その時点のレバー位置(ニュートラル位置)を起点として別の方向(第2の方向)にシフトレバーが操作されるとレンジが走行レンジ(ドライブレンジ又はリバースレンジ)に切り替わる技術が開示されている。この構成によれば、乗員がうっかりシフトレバーに触れても、ニュートラルレンジが選択されてエンジンの駆動力伝達が切断されるだけに留まり、レンジが走行レンジに切り替わらないので、仮に誤操作があってもその影響を最小限に抑えることができる。
また、特許文献2には、シフトレバーがホーム位置から上方又は下方に第1ストッパまで短い第1距離だけ移動されるとレンジがニュートラルレンジに切り替わり、シフトレバーがホーム位置から上方又は下方に第1ストッパを飛び越して第2ストッパまで長い第2距離だけ移動されるとレンジが走行レンジに切り替わる技術が開示されている。この構成によれば、乗員がうっかりシフトレバーに触れても、シフトレバーが第1ストッパで止まってニュートラルレンジが選択されるだけに留まり、レンジが走行レンジに切り替わらないので、仮に誤操作があってもその影響を最小限に抑えることができる。
また、特許文献3には、シフトレバーにボタンスイッチが設けられ、上記ボタンスイッチが押圧操作されるとレンジがニュートラルレンジに切り替わり、そのボタンスイッチの押圧操作が継続されたままシフトレバーが移動操作されるとレンジが走行レンジに切り替わる技術が開示されている。この構成によれば、ボタンスイッチの押圧操作とシフトレバーの移動操作とが同時に行われない限りレンジが走行レンジに切り替わらないので、運転者の意に反して走行レンジが選択されるような事態を防止することができる。
特許第4373212号公報 特許第4009405号公報 WO2011/090011号公報
上記各技術は、誤操作に対する安全性を確保できる技術であるが、それぞれ、次のような解決すべき問題がある。
特許文献1の場合、走行レンジを選択するには、シフトレバーを第1の方向に操作した後さらに別の第2の方向に操作しなければならず、操作が2段階になると共にシフトレバーのトータルストロークが長くなる。このことは、素早く簡便に走行レンジを選択したい運転者にとって煩わしさを感じる要因となる。また、シフトレバーの移動範囲が大きくなり、装置の大型化を招く。
特許文献2も同様である。すなわち、走行レンジを選択するには、シフトレバーを第1ストッパを飛び越して長い第2距離だけ移動させなければならず、シフトレバーのトータルストロークが長くなる。このことは、素早く簡便に走行レンジを選択したい運転者にとって煩わしさを感じる要因となる。また、シフトレバーの移動範囲が大きくなり、装置の大型化を招く。加えて、ニュートラルレンジを選択するには、シフトレバーを確実に第1ストッパで止めなければならず、この点においても、シフトレバーの素早い操作がし難くなる。
特許文献3の場合、走行レンジを選択するには、ボタンスイッチを押圧操作した状態でシフトレバーを移動操作しなければならず、レバー操作の軽快感が損なわれる。このこともまた、素早く簡便に走行レンジを選択したい運転者にとって煩わしさを感じる要因となる。
一方、前進方向の走行レンジであるドライブレンジを選択する場合と、後退方向の走行レンジであるリバースレンジを選択する場合とでは、車両が後退するリバースレンジを選択する場合のほうが、運転者により慎重な操作を促して、安全性の向上を図る必要がある。
本発明は、モメンタリ式の車両用シフト装置における上記のような現状に鑑みてなされたもので、誤操作に対する安全性確保、素早く簡便なレンジ選択、装置の大型化の抑制、リバースレンジ選択時の安全性向上が可能な車両用シフト装置の提供を目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、運転者により操作される操作部材と、上記操作部材を、ホーム位置と、ホーム位置から第1の方向に離れた第1移動限界位置と、ホーム位置から第1の方向と反対の第2の方向に離れた第2移動限界位置との間で移動可能に支持すると共に、移動後の操作部材をホーム位置に自動的に復帰させる本体部と、上記操作部材の先端部に上記第1の方向及び第2の方向に回動可能に支持された把持部と、上記操作部材及び把持部の操作に基いて車両に搭載された変速機のレンジを制御する制御手段とが備えられ、上記制御手段は、上記操作部材が上記ホーム位置から上記第1移動限界位置に移動操作されたときに、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、さらにその状態から上記把持部が上記第1の方向に回動操作されたときに、上記レンジを前進方向の走行レンジであるドライブレンジに切り替え、上記把持部が上記第1の方向に回動操作され、その状態で上記操作部材が上記ホーム位置から上記第2移動限界位置に移動操作されたときに、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、さらにその状態から上記把持部が上記第2の方向に回動操作されたときに、上記レンジを後退方向の走行レンジであるリバースレンジに切り替えるものであることを特徴とする車両用シフト装置である。
本発明によれば、ドライブレンジを選択するには、運転者は、まず、ボタンスイッチの押圧操作等することなく、操作部材をホーム位置から第1の方向に第1移動限界位置まで移動操作する。これにより、レンジがニュートラルレンジに切り替わる。その際、操作部材は第1移動限界位置を超えて移動できず、第1移動限界位置で確実に止まるから、操作部材の素早い移動操作がし易くなり、操作性が良好となる。
次いで、運転者は、操作部材が第1移動限界位置で止まっている状態で、把持部を第1の方向に回動操作する。これにより、レンジがドライブレンジに切り替わる。その際、把持部の回動方向と操作部材の移動方向とが同じ第1の方向であるから、操作部材の移動操作の方向と把持部の回動操作の方向とが一直線上に並び、把持部を操作部材の移動操作に続けて素早くかつ簡便に回動操作することができる。
一方、リバースレンジを選択するには、運転者は、まず、把持部を第1の方向に回動操作する。そして、その把持部の回動操作を継続したまま、操作部材をホーム位置から第2の方向に第2移動限界位置まで移動操作する。これにより、レンジがニュートラルレンジに切り替わる。その際、操作部材は第2移動限界位置を超えて移動できず、第2移動限界位置で確実に止まるから、操作部材の素早い移動操作がし易くなり、操作性が良好となる。
次いで、運転者は、操作部材が第2移動限界位置で止まっている状態で、把持部を第2の方向に回動操作する。これにより、レンジがリバースレンジに切り替わる。その際、把持部の回動方向と操作部材の移動方向とが同じ第2の方向であるから、操作部材の移動操作の方向と把持部の回動操作の方向とが一直線上に並び、把持部を操作部材の移動操作に続けて素早くかつ簡便に回動操作することができる。
このように、リバースレンジの選択時は、運転者は、まず、把持部を第2の方向とは逆の第1の方向に回動操作しなければならない。また、その回動操作を継続した状態で操作部材を第2移動限界位置に移動操作し、その後、把持部を第2の方向に回動操作する必要がある。したがって、把持部の回動操作が2段階になり、リバースレンジの選択操作が複雑化するだけでなく、把持部の回動操作量が増大する。以上のことから、車両が後退するリバースレンジの選択時は、相対的に複雑な操作で操作部材及び把持部を順番を間違えずにかつ確実に操作することが運転者に求められる。これにより、リバースレンジ選択時の運転者の注意力が高められ、リバースレンジを選択するということが運転者に強く意識づけられ、運転者に対してより慎重な操作を促すことができる。そのため、リバースレンジ選択時の安全性が向上する。
さらに、操作部材の移動範囲は、ホーム位置を挟んで配置されたニュートラルレンジ選択のための第1移動限界位置と第2移動限界位置との間だけであるから、操作部材の移動範囲が小さくて済み、装置のコンパクト化が図られる。
しかも、乗員がうっかり操作部材に触れても、操作部材が第1の方向に移動した場合に限り、ニュートラルレンジが選択されてエンジンの駆動力伝達が切断されるだけであるから、誤操作に対する安全性が確保される。
以上により、本発明によれば、誤操作に対する安全性確保、素早く簡便なレンジ選択、装置の大型化の抑制、リバースレンジ選択時の安全性向上が可能な車両用シフト装置が提供される。
本発明においては、上記把持部は、上記第1の方向を向く部分に、上記把持部の操作部材に対する回動支持軸よりも操作部材の先端部側に位置する第1部分と、反先端部側に延設された第2部分とを有し、上記第1部分が第2の方向に押圧されると上記把持部は第2の方向に回動し、上記第2部分が第2の方向に押圧されると上記把持部は第1の方向に回動すると共に、上記把持部に力を加えて操作部材をホーム位置から第2移動限界位置に移動操作するときは上記第2部分を第2の方向に押圧するよう促す押圧促進手段が設けられていることが好ましい。
この構成によれば、押圧促進手段が把持部の第2部分を押圧するよう促すことにより、リバースレンジの選択時には、把持部の第2部分が第2の方向に押圧されて、把持部が第1の方向に回動操作される。そして、この状態で操作部材がホーム位置から第2移動限界位置に移動操作される。
本発明においては、上記押圧促進手段は、上記第1部分に操作部材の先端部側が第2の方向に傾くように形成された傾斜面であることが好ましい。
この構成によれば、傾斜面の存在により、操作部材をホーム位置から第2移動限界位置に移動操作するときには、把持部の第1部分を押圧することが躊躇され、把持部の第2部分を押圧するよう促される。
本発明においては、上記押圧促進手段は、上記第1部分に配設された車両用機能部品であることが好ましい。
この構成によれば、車両用機能部品の存在により、操作部材をホーム位置から第2移動限界位置に移動操作するときには、把持部の第1部分を押圧することが躊躇され、把持部の第2部分を押圧するよう促される。
本発明においては、上記操作部材が上記第1移動限界位置又は第2移動限界位置にあることを検出する第1位置検出手段及び第2位置検出手段と、上記把持部が上記第1の方向又は第2の方向に回動したことを検出する第1回動検出手段及び第2回動検出手段とが備えられ、上記制御手段は、上記第1・第2位置検出手段及び第1・第2回動検出手段の全てが非検出の状態から第1位置検出手段が検出の状態となったときに、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、さらにその状態から第1回動検出手段が検出の状態となったときに、上記レンジを前進方向の走行レンジであるドライブレンジに切り替え、上記第1・第2位置検出手段及び第1・第2回動検出手段の全てが非検出の状態から第1回動検出手段が検出の状態となり、その状態で第2位置検出手段が検出の状態となったときに、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、さらにその状態から第1回動検出手段が非検出の状態となると共に第2回動検出手段が検出の状態となったときに、上記レンジを後退方向の走行レンジであるリバースレンジに切り替えるものであることが好ましい。
この構成によれば、第1又は第2位置検出手段及び第1又は第2回動検出手段の検出結果に基いて、操作部材及び把持部の操作が認識され、レンジが制御される。
すなわち、ドライブレンジの選択時は、まず、第1・第2位置検出手段及び第1・第2回動検出手段が全て非検出の状態から第1位置検出手段が検出の状態となったときに、操作部材がホーム位置から第1の方向に第1移動限界位置まで移動操作されたと認識されて、レンジがニュートラルレンジに切り替わる。
次いで、その状態から第1回動検出手段が検出の状態となったときに、操作部材が第1移動限界位置で止まっている状態で、把持部が第1の方向に回動操作されたと認識されて、レンジがドライブレンジに切り替わる。
一方、リバースレンジの選択時は、まず、第1・第2位置検出手段及び第1・第2回動検出手段が全て非検出の状態から第1回動検出手段が検出の状態となり、その状態で第2位置検出手段が検出の状態となったときに、把持部が第1の方向に回動操作され、その状態で、操作部材がホーム位置から第2の方向に第2移動限界位置まで移動操作されたと認識されて、レンジがニュートラルレンジに切り替わる。
次いで、その状態から第1回動検出手段が非検出の状態となると共に第2回動検出手段が検出の状態となったときに、操作部材が第2移動限界位置で止まっている状態で、把持部が第2の方向に回動操作されたと認識されて、レンジがリバースレンジに切り替わる。
このように、リバースレンジの選択時は、運転者は、まず、把持部を第2の方向とは逆の第1の方向に回動操作しなければならない。また、その回動操作を継続した状態で操作部材を第2移動限界位置に移動操作し、その後、把持部を第2の方向に回動操作する必要がある。したがって、把持部の回動操作が2段階になり、リバースレンジの選択操作が複雑化するだけでなく、把持部の回動操作量が増大する。以上のことから、車両が後退するリバースレンジの選択時は、相対的に複雑な操作で操作部材及び把持部を順序を間違えずにかつ確実に操作することが運転者に求められる。これにより、リバースレンジ選択時の運転者の注意力が高められ、リバースレンジを選択するということが運転者に強く意識づけられ、運転者に対してより慎重な操作を促すことができる。そのため、リバースレンジ選択時の安全性が向上する。
本発明においては、上記制御手段は、上記第1・第2位置検出手段及び第1・第2回動検出手段の全てが非検出の状態から先に第1回動検出手段、第2回動検出手段、又は第2位置検出手段が検出の状態となったときは、その時点ではレンジの切替えを行わないものであることが好ましい。
この構成によれば、検出手段の検出の順番が違うときは、操作が誤っていると判定され、誤ったレンジの切替えが回避される。
本発明は、モメンタリ式の車両用シフト装置において、誤操作に対する安全性確保、素早く簡便なレンジ選択、装置の大型化の抑制、リバースレンジ選択時の安全性向上が可能なので、この種の車両用シフト装置の信頼性・商品性の向上に寄与する。
本発明の実施形態に係るシフト装置が適用された車両の車室前部の構成を示す図である。 上記車両のセンターコンソールにおける上記シフト装置が配設された部分の平面図である。 上記シフト装置を左後方から見た一部切り欠きの分解斜視図である。 上記シフト装置を左後方から見た一部切り欠きの斜視図である。 上記シフト装置を右後方から見た一部切り欠きの斜視図である。 上記シフト装置に採用されたディテント機構を説明するための平断面図である。 上記シフトレバーのドライブレンジを選択するときの操作を説明するための左縦断面図であって、(a)はシフトレバーがホーム位置にあるときの状態、(b)はシフトレバーが後方に傾動操作されたときの状態、(c)はノブが後方に回動操作されたときの状態を示すものである。 上記シフトレバーのリバースレンジを選択するときの操作を説明するための左縦断面図であって、(a)はシフトレバーがホーム位置にあるときの状態、(b)はノブが後方に回動操作されたときの状態、(c)はノブが後方に回動操作されたままシフトレバーが前方に傾動操作されたときの状態、(d)はノブが前方に回動操作されたときの状態を示すものである。 上記シフト装置の制御システムを示すブロック図である。 上記シフト装置のシフトパターンを説明するためのダイヤグラムであって、(a)はパーキングレンジからのシフトパターン、(b)はリバースレンジからのシフトパターン、(c)はニュートラルレンジからのシフトパターン、(d)はドライブレンジからのシフトパターンを示すものである。 図10に示したシフトパターンを表形式にまとめた図である。 上記シフト装置のコントローラが行うレンジの切り替え動作のフローチャートである。
(1)構成
図1は、本実施形態に係る車両の車室前部の構成を示す図である。図1に示すように、車室前部には、車幅方向に延びるインストルメントパネル2が設けられている。インストルメントパネル2の運転席側(図1において左側)にメータユニット3が設けられ、メータユニット3の後方にステアリングハンドル4が設けられている。インストルメントパネル2の車幅方向中央部から車両後方に向けてセンターコンソール5が設けられ、センターコンソール5にシフト装置1が設けられている。
本実施形態において、車両は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関からなるエンジン(図示せず)のみを動力源とし、上記エンジンの駆動力を車速やエンジン負荷等に応じて自動的に変速しつつ車輪に伝達する機械式の自動変速機(AT)50(図9参照)を備えている。自動変速機50のレンジ(変速レンジ)として、駆動力の伝達が切断されるニュートラルレンジと、駆動力の伝達が切断された上に出力軸がロックされるパーキングレンジと、車両を前進させる方向に駆動力が伝達されるドライブレンジ(前進走行レンジ)と、車両を後退させる方向に駆動力が伝達されるリバースレンジ(後退走行レンジ)とが設けられている。ここで、ニュートラルレンジ及びパーキングレンジは非走行レンジであり、ドライブレンジ及びリバースレンジは走行レンジである。シフト装置1は、これらの複数のレンジの中から所望のレンジを選択するために運転者により操作される。
図2は、上記センターコンソール5における上記シフト装置1の配設部分を拡大して示す平面図である。図2及び図2以降の他の図において、矢印Fは車両の前方を示し、矢印Lは車両の左方を示している。
図2に示すように、シフト装置1は、パーキングスイッチ8とインジケータ9とを備えている。
パーキングスイッチ8は、押圧式のボタンスイッチであって、レンジをパーキングレンジに切り替えるときに操作される。パーキングスイッチ8の上面に、パーキングレンジを表す「P」の文字が表記された文字盤が設けられ、パーキングレンジが選択されると、LED等の光源により、上記「P」の文字が強調表示される。パーキングスイッチ8は、レンジをパーキングレンジに切り替えるためのスイッチとしての機能と、パーキングレンジが選択されていることを表示するインジケータとしての機能とを兼ね備えている。
インジケータ9は、パーキングレンジ以外の現在選択されているレンジを表示するものである。インジケータ9は、パーキングスイッチ8に近接して、前方から順に、リバースレンジを表す「R」、ニュートラルレンジを表す「N」、ドライブレンジを表す「D」の文字が並んで表記された文字盤が設けられ、次に説明するメイン操作部7の操作に応じて、リバース、ニュートラル、ドライブのいずれかのレンジが選択されると、LED等の光源により、その選択されたレンジに対応した「R」、「N」、「D」のいずれかの文字が強調表示される。
本実施形態では、メータユニット3(図1参照)にも現在選択されているレンジが表示される。メータユニット3は、例えばスピードメータとタコメータとの間に表示部を有し、その表示部に、現在選択されているレンジに対応した「P」、「R」、「N」、「D」のいずれかの文字が表示される。
図2に示すように、シフト装置1は、さらにメイン操作部7を備えている。メイン操作部7は、レンジをパーキングレンジ以外のリバース、ニュートラル、ドライブのいずれかのレンジに切り替えるときに操作される。
図3〜図5に示すように、メイン操作部7は、シフトレバー(本発明の「操作部材」に相当する)10と、シフトレバー10を前後方向に傾動可能に支持する本体部20とを含む。
シフトレバー10は、上下方向に延びるレバー部12と、レバー部12の下端部に設けられて車幅方向に延びる円柱状の傾動軸部13と、レバー部12の上端部に設けられて傾動軸部13よりも車幅方向に短く延びる円柱状の回動軸部14と、レバー部12の中間部よりもやや下方の位置に設けられたブロック体15と、ブロック体15の左側面から左方に突出する棒状のディテント用脚部16と、ブロック体15の右側面から右方に突出する棒状のセンサ用脚部17とを有する。
本体部20は、上面及び前後左右の側面で形成される筐体21(図3〜図5には左側面及び後側面が切り欠かれている)と、筐体21の左側面の内面に設けられたディテント用誘導部材24と、筐体21の右側面に円弧状開口25を介して設けられたレバー回動角センサ(本発明の「第1位置検出手段」及び「第2位置検出手段」に相当する)29とを有する。
筐体21の上面に前後方向に延びる長円形のゲート22が形成され、このゲート22をシフトレバー10のレバー部12が挿通する。レバー部12のブロック体15は筐体21の内部に配置される。筐体21の左右の側面に円形開口23が形成され、この円形開口23にシフトレバー10の傾動軸部13の左右の端部が回動可能に嵌合される。これにより、シフトレバー10が傾動軸部13を介して本体部20に前後方向に傾動可能に支持される。
シフトレバー10が本体部20に支持された状態で、ブロック体15の左側面に設けられたディテント用脚部16と、筐体21の左側面に設けられたディテント用誘導部材24とが対接する。ディテント用脚部16はブロック体15に対して左右方向に移動可能であり、ブロック体15に内蔵された圧縮スプリング(図示せず)により常時左方に付勢されている。図5に明らかなように、ディテント用誘導部材24のディテント用脚部16との対接面は、左方に凹んだ部分凹球面状の球状受け面24aに形成され、この球状受け面24aにディテント用脚部16の先端部が上記圧縮スプリングの左方への付勢力により常時押し付けられている。
図6に実線で示すように、ディテント用脚部16は球状受け面24aの中心部(凹球面の底部)に対接しているとき、ブロック体15から最も進出する。このとき圧縮スプリングは最も伸びて付勢力が低下する。一方、図6に鎖線で示すように、ディテント用脚部16は球状受け面24aの中心部から離れるほど、ブロック体15の内部に後退する。このとき圧縮スプリングは縮んで付勢力が増大する。そのため、後退したディテント用脚部16は球状受け面24aに強く押し付けられ、その押し付け力がディテント用脚部16を球状受け面24aの中心部に戻す力に変換される。したがって、シフトレバー10に前後方向の操作力が加えられていないときは、シフトレバー10はディテント用脚部16が球状受け面24aの中心部に位置する位置に保持される。このときのシフトレバー10の位置を「ホーム位置」と称する。ホーム位置ではシフトレバー10は鉛直方向に起立した姿勢となる。
ホーム位置にあるシフトレバー10が操作力を受けて前後方向に傾動すると、ディテント用脚部16が球状受け面24aの中心部から離間し、それに伴いディテント用脚部16を球状受け面24aの中心部に戻す力が発生する。そのため、シフトレバー10に対する操作力が解除されると、シフトレバー10は自ずとホーム位置に復帰する。すなわち、本実施形態のシフト装置1は、シフトレバー10を前後方向に傾動可能に支持すると共に傾動後のシフトレバー10をホーム位置に自動的に復帰させる本体部20を備えた、モメンタリ式のシフト装置である。
シフトレバー10がホーム位置から後方(本発明の「第1の方向」に相当する)に傾動し、レバー部12がゲート22の後端部に当接すると、シフトレバー10はその位置を超えて後方に傾動できない。このときのシフトレバー10の位置を「後方傾動限界位置」(本発明の「第1移動限界位置」に相当する)と称する。同様に、シフトレバー10がホーム位置から前方(本発明の「第2の方向」に相当する)に傾動し、レバー部12がゲート22の前端部に当接すると、シフトレバー10はその位置を超えて前方に傾動できない。このときのシフトレバー10の位置を「前方傾動限界位置」(本発明の「第2移動限界位置」に相当する)と称する。すなわち、シフトレバー10は、ホーム位置と、ホーム位置から後方に離れた後方傾動限界位置との間、及び、ホーム位置と、ホーム位置から前方に離れた前方傾動限界位置との間で傾動操作が可能である。
図3〜図5に戻り、シフトレバー10が本体部20に支持された状態で、ブロック体15の右側面に設けられたセンサ用脚部17と、筐体21の右側面に設けられたレバー回動角センサ29とが係合する。レバー回動角センサ29は、センサ用脚部17の位置を検出することにより、シフトレバー10がホーム位置から前後方向に傾動したときのシフトレバー10の回動角を検出するものである。
シフトレバー10がホーム位置にあるときのシフトレバー10の回動角を基準のゼロとすると、シフトレバー10が後方傾動限界位置にあるときのシフトレバー10の回動角(後方限界角)及び前方傾動限界位置にあるときのシフトレバー10の回動角(前方限界角)が予め定まる。したがって、レバー回動角センサ29で後方限界角が検出されたときは、シフトレバー10が後方傾動限界位置にあることが検出され(本発明の「第1位置検出手段」としての動作)、レバー回動角センサ29で前方限界角が検出されたときは、シフトレバー10が前方傾動限界位置にあることが検出される(本発明の「第2位置検出手段」としての動作)。シフトレバー10が後方傾動限界位置又は前方傾動限界位置にあることが検出されたとき、レバー回動角センサ29はON(検出の状態)であり、それ以外のとき、OFF(非検出の状態)である。
シフトレバー10の操作時に運転者により把持されるシフトノブ(本発明の「把持部」に相当する)11がシフトレバー10の上端部に前後方向に回動可能に支持されている。具体的に、ノブ11は、相互に鏡像関係にある右半部11aと左半部11bとからなり、右半部11aがシフトレバー10の回動軸部14の右端部に回動可能に嵌合され、左半部11bがシフトレバー10の回動軸部14の左端部に回動可能に嵌合される。
両半部11a,11bとも下部分に所定形状の空間部11xが形成され、この空間部11xに右半部用ねじりコイルバネ(以下「右用バネ」と略称する)26a及び左半部用ねじりコイルバネ(同じく「左用バネ」と略称する)26bがそれぞれ収容される。すなわち、回動軸部14の右部分及び左部分にそれぞれ右用バネ26a及び左用バネ26bが巻装され、各バネ26a,26bの一方のアームがレバー部12の上部分に形成された嵌入孔12y(図7及び図8参照)に嵌入され、他方のアームが対応する半部11a,11bの空間部11xに形成された嵌入孔11yに嵌入される。そして、その状態で右半部11aと左半部11bとが相互に結合され、ノブ11が形成される。これにより、ノブ11が回動軸部14を介してシフトレバー10に前後方向に回動可能に支持される。このとき、各バネ26a,26bが対応する半部11a,11bの空間部11xに収容される。また、レバー部12の上部分が空間部11xの下部分を挿通する。
両バネ26a,26bの仕様(コイル径、アームの長さ、ワイヤの太さ、材質等)は種々調整可能である。これにより、コイル径が減少(縮径)する巻き込み方向の変形モーメント力や、コイル径が増大(拡径)する巻き戻し方向の変形モーメント力等が状況に応じて適宜に調整される。その結果、ノブ11に前後方向の操作力が加えられていないときは、ノブ11はシフトレバー10に対して軸方向が一致する姿勢となる。このときのノブ11の位置を「初期位置」と称する。すなわち、初期位置にあるノブ11が操作力を受けて後方に回動する場合も、あるいは前方に回動する場合も、右用バネ26a及び/又は左用バネ26bはノブ11を回動操作前の初期位置に付勢する。その結果、ノブ11は、前後方向の操作力が加えられていないときは、初期位置に保持される。
図3に明らかなように、ノブ11は、全体形状が箱形状に形成され、その後面に、回動軸部(本発明の「回動支持軸」に相当する)14よりもシフトレバー10の上端部側に位置する第1部分11cと、回動軸部14よりもシフトレバー10の下端部側に延設された第2部分11dとを有する(図7及び図8参照)。
第1部分11cが回動軸部14よりも上にあるので、第1部分11cを後方から前方に押圧するとノブ11は前方に回動し(左側面視で反時計回り)、第2部分11dが回動軸部14よりも下にあるので、第2部分11dを後方から前方に押圧するとノブ11は後方に回動する(同じく時計回り)。
第1部分11cは、シフトレバー10の上端部側が前方に傾く傾斜面に形成されている。この傾斜面が形成された範囲以外のノブ11の後面、すなわち第2部分11dは、垂直面に形成されている(図4及び図5参照)。このような傾斜面の存在により、運転者は、ノブ11の後面を前方に押圧するときは、ノブ11の第1部分11cを押圧することが躊躇され(前方に押し難く力が入り難いから)、垂直面であるノブ11の第2部分11dを押圧するよう促される(前方に押し易く力が入り易いから)。
また、第1部分11cに、モードセレクタスイッチ(本発明の「車両用機能部品」に相当する)43が配設されている。モードセレクタスイッチ43は、スポーツモードやエコノミーモード等の走行モードを切り替えるときに指先で押圧操作やスライド操作するものである。このようなモードセレクタスイッチ43の存在により、運転者は、ノブ11の後面を前方に押圧するときは、ノブ11の第1部分11cを押圧することが躊躇され(モードセレクタスイッチ43を誤って操作するおそれがあるから)、そのようなスイッチ類が何も配設されていないノブ11の第2部分11dを押圧するよう促される(誤操作のおそれがないから)。
以上のことから、上記傾斜面及びモードセレクタスイッチ43は、いずれも、ノブ11の後面を前方に押圧するときは、第1部分11cではなく第2部分11dを前方に押圧するよう促す押圧促進手段である。ここで、上述のように、ノブ11の後面の第2部分11dを前方に押圧する操作は、ノブ11を後方に回動しようとする操作である。また、シフトレバー10を前方に傾動しようとする操作でもある。
レバー部12の上部分にドライブ用ノブ回動センサ31(本発明の「第1回動検出手段」に相当する)及びリバース用ノブ回動センサ32(本発明の「第2回動検出手段」に相当する)が内蔵されている。両センサ31,32ともタッチセンサであって、その押圧部31a,32aがレバー部12の上部分の後面及び前面から後方及び前方に突出している。
ノブ11が初期位置から後方に回動し、空間部11xを形成するノブ11の内壁部の後面がレバー部12に当接すると、ノブ11はそれ以上後方に回動できない(図7(c)参照)。このとき、レバー部12の後面から後方に突出するドライブ用ノブ回動センサ31の押圧部31aがノブ11の内壁部の後面で押圧されてドライブ用ノブ回動センサ31がOFF(非検出の状態)からON(検出の状態)となる。つまり、ノブ11が初期位置から後方に回動したことが検出される。同様に、ノブ11が初期位置から前方に回動し、空間部11xを形成するノブ11の内壁部の前面がレバー部12に当接すると、ノブ11はそれ以上前方に回動できない(図8(d)参照)。このとき、レバー部12の前面から前方に突出するリバース用ノブ回動センサ32の押圧部32aがノブ11の内壁部の前面で押圧されてリバース用ノブ回動センサ32がOFF(非検出の状態)からON(検出の状態)となる。つまり、ノブ11が初期位置から前方に回動したことが検出される。
図7は、ドライブレンジを選択するとき、図8は、リバースレンジを選択するときのそれぞれシフトレバー10及びノブ11の操作説明図である。図中、運転者は、ノブ11を把持し、ノブ11に力を加えて、ノブ11を前後に動かすことにより、シフトレバー10を前後に傾動操作し、かつノブ11を前後に回動操作するものとする。
図7(a)及び図8(a)は、シフトレバー10がホーム位置に保持され、かつノブ11が初期位置に保持されているデフォルトの状態を示している。シフトレバー10は前後方向に延びるゲート22の中央部で直立姿勢であり、ノブ11もシフトレバー11と軸方向が一致するため直立姿勢である。
ドライブレンジの選択時は、この状態から、ノブ11の前面を後方に押圧することにより、シフトレバー10を後方に傾動操作し(後方傾動操作力F1)、図7(b)に示すように、シフトレバー10がゲート22の後端部に当接すると、つまりシフトレバー10がホーム位置から後方傾動限界位置まで傾動操作されると、レバー回動角センサ29がONとなる。
そして、さらにその状態から、ノブ11の前面を後方に押圧することにより、初期位置にあるノブ11を後方に回動操作し(後方回動操作力F2)、図7(c)に示すように、ノブ11の内壁部の後面がシフトレバー10の後面に当接すると、ドライブ用ノブ回動センサ31がONとなる。
一方、リバースレンジの選択時は、図8(a)の状態から、まず、図8(b)に示すように、ノブ11の後面の第2部分11dを前方に押圧することにより、初期位置にあるノブ11を後方に回動操作し(後方回動操作力F3)、この状態を継続したまま、ノブ11の後面の第2部分11dを前方に押圧することにより、シフトレバー10を前方に傾動操作し(前方傾動操作力F4)、図8(c)に示すように、シフトレバー10がゲート22の前端部に当接すると、つまりシフトレバー10がホーム位置から前方傾動限界位置まで傾動操作されると、レバー回動角センサ29がONとなる。
そして、さらにその状態から、ノブ11の後面の第1部分11cを前方に押圧することにより、後方に回動操作していたノブ11を今度は前方に回動操作し(前方回動操作力F5)、図8(d)に示すように、ノブ11の内壁部の前面がシフトレバー10の前面に当接すると、リバース用ノブ回動センサ32がONとなる。
ここで、図7(b)に示すように、ノブ11の前面に力を加えてシフトレバー10をホーム位置から後方傾動限界位置まで傾動操作するのに必要な操作力F1は、図7(c)に示すように、ノブ11の前面に力を加えてノブ11を初期位置から後方に回動操作するのに必要な操作力F2よりも小さい値に設定されている(後方傾動操作力F1<後方回動操作力F2)。
このような設定は、ノブ11を初期位置に付勢する右用バネ26a及び左用バネ26bの仕様(コイル径、アームの長さ、ワイヤの太さ、材質等)、ディテント用脚部16を球状受け面24aに押し付ける圧縮スプリングの付勢力、球状受け面24aの曲率等を調整することにより可能である。これにより、ノブ11の前面を前方から後方に押圧してシフトレバー10を後方に傾動操作している最中にノブ11が後方に回動することが抑制される。
また、図8(b)に示すように、ノブ11の後面の第2部分11dに力を加えてノブ11を初期位置から後方に回動操作するのに必要な操作力F3は、図8(c)に示すように、ノブ11の後面の第2部分11dに力を加えてシフトレバー10をホーム位置から前方傾動限界位置まで傾動操作するのに必要な操作力F4よりも小さい値に設定されている(後方回動操作力F3<前方傾動操作力F4)。
このような設定もまた、ノブ11を初期位置に付勢する右用バネ26a及び左用バネ26bの仕様(コイル径、アームの長さ、ワイヤの太さ、材質等)、ディテント用脚部16を球状受け面24aに押し付ける圧縮スプリングの付勢力、球状受け面24aの曲率等を調整することにより可能である。これにより、ノブ11の後面の第2部分11dを後方から前方に押圧してノブ11を後方に回動操作している最中にシフトレバー10が前方に傾動することが抑制される。
また、図7(b)及び図8(c)に示すように、シフトレバー10がゲート22の後端部又は前端部に当接すると、それ以降はノブ11に加えた力は全てノブ11の後方又は前方への回動に用いられる。そのため、図7(c)及び図8(d)に示すように、シフトレバー10が後方又は前方に傾いたまま、ノブ11だけがさらに後方又は前方に傾く。
図9は、シフト装置1の制御システムを示すブロック図である。図中、コントローラ60は、周知のCPU、RAM、ROM等を含むマイクロコンピュータからなり、本発明の「制御手段」に相当する。図9では、コントローラ60は、一体のブロックとして表されているが、例えば車体側と自動変速機50側とにそれぞれ分割して設けられた複数のマイクロコンピュータから構成されるものでもよい。
コントローラ60は、上述したメータユニット3、パーキングスイッチ8、インジケータ9、メイン操作部7の各センサ29,31,32、モードセレクタスイッチ43の他、ブレーキペダル(図示せず)が踏み込まれているか否かを検出するためのブレーキセンサ42、及び自動変速機50の変速アクチュエータ50aと電気的に接続されている。なお、自動変速機50の変速アクチュエータ50aとは、例えば、自動変速機50に内蔵されるクラッチやブレーキ等の摩擦締結要素の締結・解放を切り替えるソレノイドバルブ等のことである。すなわち、コントローラ60は、シフト装置1の操作状態に基いて、自動変速機50の変速動作を制御する機能も有している。
コントローラ60は、パーキングスイッチ8に内蔵された接点からの信号に応じて、パーキングスイッチ8が押圧操作されたか否かを判定する。また、レバー回動角センサ29からの信号に応じて、シフトレバー10が前後のいずれの方向に傾動操作されたかを判定する。さらに、ノブ回動センサ31,32に内蔵された接点からの信号に応じて、ノブ回動センサ31,32が押圧操作されたか否かを判定する。そして、このようにして判定されるシフト装置1の操作状態に基いて、コントローラ60は、自動変速機50のレンジの切り替え制御や、メータユニット3及びインジケータ9の表示制御(現在選択されているレンジや操作無効等の警告を表示する制御)等を実行する。
また、コントローラ60は、いわゆるシフトロック機能を有する。すなわち、コントローラ60は、現在選択されているレンジがパーキングレンジである場合に、ブレーキセンサ42からの信号に基いて、ブレーキペダルが踏み込まれていないことが確認されたときは、パーキングレンジから他のレンジへの切り替えを禁止する。
以上のようなコントローラ60の制御の下、本実施形態では、シフト装置1のシフトパターンが図10(a)〜(d)及び図11に示すように設定されている。
図10(a)は、現在のレンジがパーキングレンジである場合のシフトパターンを示している。図中、中央に白抜き表記された「P」は、シフトレバー10がホーム位置に保持され、かつノブ11が初期位置に保持されている現在のデフォルトの状態で、パーキングレンジが選択されていることを示している。
この「P」の前方及び後方に表記された「N」は、シフトレバー10がホーム位置から前方又は後方に傾動限界位置まで傾動操作されるとレンジがいずれもニュートラルレンジに切り替わることを示している。そして、前方の「N」の前方に「△」印を挟んで表記された「R」は、シフトレバー10の前方への傾動操作の後、さらにノブ11が前方に回動操作されるとレンジがリバースレンジに切り替わることを示しており、後方の「N」の後方に「△」印を挟んで表記された「D」は、シフトレバー10の後方への傾動操作の後、さらにノブ11が後方に回動操作されるとレンジがドライブレンジに切り替わることを示している。
加えて、「P」と前方の「N」との間の逆三角形「▽」は、ノブ11が後方に回動操作された状態でシフトレバー10が前方に傾動操作される必要があること(図8(b)及び図8(c)参照)、言い換えると、ノブ11が後方に回動操作されない状態でシフトレバー10が前方に傾動操作されてもその操作及びそれ以降の操作は無効であることを示している。このことは、以下の図10(b)〜図10(d)においても同様である。
以上をまとめると、現在のレンジがパーキングレンジである場合のシフトパターンは、図11において「現レンジ」が「P」の欄にも示すように、次のようになる。なお、図11において「操作」として「ノブ」「シフトレバー」「ノブ」がこの順に上から下に書かれているのは、この順に操作が行われることを示している。
・ノブ11の後方への回動操作+シフトレバー10の前方への傾動操作 → ニュートラルレンジ
・上記操作+ノブ11の前方への回動操作 → リバースレンジ
・シフトレバー10の後方への傾動操作 → ニュートラルレンジ
・上記操作+ノブ11の後方への回動操作 → ドライブレンジ
図10(b)は、現在のレンジがリバースレンジである場合のシフトパターンを示している。図中、中央に白抜き表記された「R」は、シフトレバー10がホーム位置に保持され、かつノブ11が初期位置に保持されている現在のデフォルトの状態で、リバースレンジが選択されていることを示している。
この「R」の前方及び後方に表記された「N」は、シフトレバー10がホーム位置から前方又は後方に傾動限界位置まで傾動操作されるとレンジがいずれもニュートラルレンジに切り替わることを示している。そして、前方の「N」の前方に「△」印を挟んで表記された「空」は、シフトレバー10の前方への傾動操作の後、さらにノブ11が前方に回動操作されてもその回動操作は無効であることを示している。操作が無効であるときは、レンジの切り替えは起こらず、現在のレンジ(ここではリバースレンジ)が維持される。また、メータユニット3(図1参照)の表示部に、操作が無効である旨が表示される。これに対し、後方の「N」の後方に「△」印を挟んで表記された「D」は、シフトレバー10の後方への傾動操作の後、さらにノブ11が後方に回動操作されるとレンジがドライブレンジに切り替わることを示している。
以上をまとめると、現在のレンジがリバースレンジである場合のシフトパターンは、図11において「現レンジ」が「R」の欄にも示すように、次のようになる。
・シフトレバー10の前方への傾動操作 → ニュートラルレンジ
・上記操作+ノブ11の前方への回動操作 → 無効(リバースレンジ維持)
・シフトレバー10の後方への傾動操作 → ニュートラルレンジ
・上記操作+ノブ11の後方への回動操作 → ドライブレンジ
図10(c)は、現在のレンジがニュートラルレンジである場合のシフトパターンを示している。図中、中央に白抜き表記された「N」は、シフトレバー10がホーム位置に保持され、かつノブ11が初期位置に保持されている現在のデフォルトの状態で、ニュートラルレンジが選択されていることを示している。
この「N」の前方及び後方に表記された「N」は、シフトレバー10がホーム位置から前方又は後方に傾動限界位置まで傾動操作されるとレンジがいずれもニュートラルレンジに切り替わる(維持される)ことを示している(傾動操作は有効である)。そして、前方の「N」の前方に「△」印を挟んで表記された「R」は、シフトレバー10の前方への傾動操作の後、さらにノブ11が前方に回動操作されるとレンジがリバースレンジに切り替わることを示しており、後方の「N」の後方に「△」印を挟んで表記された「D」は、シフトレバー10の後方への傾動操作の後、さらにノブ11が後方に回動操作されるとレンジがドライブレンジに切り替わることを示している。
以上をまとめると、現在のレンジがニュートラルレンジである場合のシフトパターンは、図11において「現レンジ」が「N」の欄にも示すように、次のようになる。
・シフトレバー10の前方への傾動操作 → ニュートラルレンジ
・上記操作+ノブ11の前方への回動操作 → リバースレンジ
・シフトレバー10の後方への傾動操作 → ニュートラルレンジ
・上記操作+ノブ11の後方への回動操作 → ドライブレンジ
図10(d)は、現在のレンジがドライブレンジである場合のシフトパターンを示している。図中、中央に白抜き表記された「D」は、シフトレバー10がホーム位置に保持され、かつノブ11が初期位置に保持されている現在のデフォルトの状態で、ドライブレンジが選択されていることを示している。
この「D」の前方及び後方に表記された「N」は、シフトレバー10がホーム位置から前方又は後方に傾動限界位置まで傾動操作されるとレンジがいずれもニュートラルレンジに切り替わることを示している。そして、前方の「N」の前方に「△」印を挟んで表記された「R」は、シフトレバー10の前方への傾動操作の後、さらにノブ11が前方に回動操作されるとレンジがリバースレンジに切り替わることを示している。これに対し、後方の「N」の後方に「△」印を挟んで表記された「空」は、シフトレバー10の後方への傾動操作の後、さらにノブ11が後方に回動操作されてもその回動操作は無効であることを示している。操作が無効であるときは、レンジの切り替えは起こらず、現在のレンジ(ここではドライブレンジ)が維持される。また、メータユニット3(図1参照)の表示部に、操作が無効である旨が表示される。
以上をまとめると、現在のレンジがドライブレンジである場合のシフトパターンは、図11において「現レンジ」が「D」の欄にも示すように、次のようになる。
・シフトレバー10の前方への傾動操作 → ニュートラルレンジ
・上記操作+ノブ11の前方への回動操作 → リバースレンジ
・シフトレバー10の後方への傾動操作 → ニュートラルレンジ
・上記操作+ノブ11の後方への回動操作 → 無効(ドライブレンジ維持)
なお、現在のレンジがいずれであるかに拘わらず、シフトレバー10をホーム位置に保持したままノブ11だけを前後に回動した場合、その回動操作は無効とされる。
また、パーキングレンジ以外のレンジからパーキングレンジに切り替えたい場合は、シフトレバー10を用いずに、パーキングスイッチ8を押圧操作する。すなわち、現在のレンジがリバース、ニュートラル、ドライブのいずれかのレンジであるときにパーキングスイッチ8を押圧操作すると、それだけでレンジがパーキングレンジに切り替わる。
まとめとして、コントローラ60が行うレンジの切り替え動作を図12のフローチャートに従って説明する。このレンジの選択動作は、シフトレバー10がホーム位置に保持され、かつノブ11が初期位置に保持されるデフォルトの状態からスタートする。このデフォルトの状態では、レバー回動角センサ29、ドライブ用ノブ回動センサ31、及びリバース用ノブ回動センサ32はいずれもOFF(非検出の状態)である。
ステップS1で、コントローラ60は、リバース用ノブ回動センサ32がOFFからON(検出の状態)に切り替わったか否かを判定する。つまり、シフトレバー10の傾動操作より先にノブ11が初期位置から前方に回動操作されたか否かを判定する。その結果、YESのときはリターンし(操作無効)、NOのときはステップS2に進む。
ステップS2で、コントローラ60は、ドライブ用ノブ回動センサ31がOFFからONに切り替わったか否かを判定する。つまり、シフトレバー10の傾動操作より先にノブ11が初期位置から後方回動操作力F3で後方に回動操作されたか否かを判定する。その結果、NOのときはステップS3に進み、YESのときはステップS7に進む。
ステップS3で、コントローラ60は、レバー回動角センサ29が後方限界角を検出することによりOFFからONに切り替わったか否かを判定する。つまり、シフトレバー10がホーム位置から後方傾動操作力F1で後方傾動限界位置まで傾動操作されたか否かを判定する。その結果、YESのときはステップS4に進み、NOのときはリターンする。
なお、この場合のNOの判定の中には、シフトレバー10が傾動操作されなかった場合の他に、前方限界角の検出によりレバー回動角センサ29がOFFからONに切り替わった場合、つまり、シフトレバー10がホーム位置から前方傾動限界位置まで傾動操作された場合も含まれる。
ステップS4で、コントローラ60は、レンジをニュートラルレンジに切り替え、ステップS5に進む。
ステップS5で、コントローラ60は、ドライブ用ノブ回動センサ31がOFFからONに切り替わったか否かを判定する。つまり、シフトレバー10がホーム位置から後方傾動限界位置まで傾動操作された後、さらにノブ11が初期位置から後方回動操作力F2で後方に回動操作されたか否かを判定する。その結果、YESのときはステップS6に進み、NOのときはリターンする(ニュートラルレンジ選択完了)。
ステップS6で、コントローラ60は、レンジをドライブレンジに切り替え、リターンする(ドライブレンジ選択完了)。
一方、ステップS7で、コントローラ60は、レバー回動角センサ29が前方限界角を検出することによりOFFからONに切り替わったか否かを判定する。つまり、シフトレバー10がホーム位置から前方傾動操作力F4で前方傾動限界位置まで傾動操作されたか否かを判定する。その結果、YESのときはステップS8に進み、NOのときはリターンする。
ステップS8で、コントローラ60は、レンジをニュートラルレンジに切り替え、ステップS9に進む。
ステップS9で、コントローラ60は、ドライブ用ノブ回動センサ31がONからOFFに切り替わると共にリバース用ノブ回動センサ32がOFFからONに切り替わったか否かを判定する。つまり、シフトレバー10がホーム位置から前方傾動限界位置まで傾動操作された後、さらに後方に回動操作されていたノブ11が前方回動操作力F5で前方に回動操作されたか否かを判定する。その結果、YESのときはステップS10に進み、NOのときはリターンする(ニュートラルレンジ選択完了)。
ステップS10で、コントローラ60は、レンジをリバースレンジに切り替え、リターンする(リバースレンジ選択完了)。
図12に明らかなように、コントローラ60は、レバー回動角センサ29、ドライブ用ノブ回動センサ31、及びリバース用ノブ回動センサ32がいずれもOFFの状態から、先にドライブ用ノブ回動センサ31がONとなっても、その時点(ステップS2でYESと判定された時点)ではまだレンジの切替えを行わない。同様に、コントローラ60は、先にリバース用ノブ回動センサ32がONとなっても、その時点(ステップS1でYESと判定された時点)ではまだレンジの切替えを行わない。同様に、コントローラ60は、先に前方限界角の検出によりレバー回動角センサ29がONとなっても、その時点(ステップS3でNOと判定された時点)ではまだレンジの切替えを行わない。
(2)作用
以上説明したように、本実施形態に係るシフト装置1は、運転者により操作されるシフトレバー10と、上記シフトレバー10を、ホーム位置と、ホーム位置から後方に離れた後方傾動限界位置と、ホーム位置から前方に離れた前方傾動限界位置との間で傾動可能に支持すると共に、傾動後のシフトレバー10をホーム位置に自動的に復帰させる本体部20と、上記シフトレバー10の上端部に後方及び前方に回動可能に支持されたシフトノブ11と、上記シフトレバー10及びノブ11の操作に基いて車両に搭載された自動変速機50のレンジを制御するコントローラ60とが備えられる。
上記コントローラ60は、上記シフトレバー10が上記ホーム位置から上記後方傾動限界位置に傾動操作されたときに、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、さらにその状態から上記ノブ11が後方に回動操作されたときに、上記レンジを前進方向の走行レンジであるドライブレンジに切り替え、上記ノブ11が後方に回動操作され、その状態で上記シフトレバー10が上記ホーム位置から上記前方傾動限界位置に傾動操作されたときに、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、さらにその状態から上記ノブ11が前方に回動操作されたときに、上記レンジを後退方向の走行レンジであるリバースレンジに切り替えるものである。
この構成によれば、ドライブレンジを選択するには、運転者は、まず、シフトレバー10をホーム位置から後方に後方傾動限界位置まで傾動操作する。これにより、レンジがニュートラルレンジに切り替わる。その際、シフトレバー10は後方傾動限界位置を超えて傾動できず、後方傾動限界位置で確実に止まるから、シフトレバー10の素早い傾動操作がし易くなり、操作性が良好となる。
次いで、運転者は、シフトレバー10が後方傾動限界位置で止まっている状態で、ノブ11を後方に回動操作する。これにより、レンジがドライブレンジに切り替わる。その際、ノブ11の回動方向とシフトレバー10の傾動方向とが同じ後方であるから、シフトレバー10の傾動操作の方向とノブ11の回動操作の方向とが一直線上に並び、ノブ11をシフトレバー10の傾動操作に続けて素早くかつ簡便に回動操作することができる。
一方、リバースレンジを選択するには、運転者は、まず、ノブ11を後方に回動操作する。そして、そのノブ11の後方への回動操作を継続したまま、シフトレバー10をホーム位置から前方に前方傾動限界位置まで移動操作する。これにより、レンジがニュートラルレンジに切り替わる。その際、シフトレバー10は前方傾動限界位置を超えて移動できず、前方傾動限界位置で確実に止まるから、シフトレバー10の素早い移動操作がし易くなり、操作性が良好となる。
次いで、運転者は、シフトレバー10が前方傾動限界位置で止まっている状態で、ノブ11を前方に回動操作する。これにより、レンジがリバースレンジに切り替わる。その際、ノブ11の回動方向とシフトレバー10の傾動方向とが同じ前方であるから、シフトレバー10の傾動操作の方向とノブ11の回動操作の方向とが一直線上に並び、ノブ11をシフトレバー10の傾動操作に続けて素早くかつ簡便に回動操作することができる。
このように、リバースレンジの選択時は、運転者は、まず、ノブ11を前方ではなく逆の後方に回動操作しなければならない。また、その後方への回動操作を継続した状態でシフトレバー10を前方傾動限界位置に傾動操作し、その後、今まで後方に回動操作していたノブ11を今度は前方に回動操作する必要がある。したがって、ノブ11の回動操作が2段階になり、リバースレンジの選択操作が複雑化するだけでなく、ノブ11の回動操作量が増大する。以上のことから、車両が後退するリバースレンジの選択時は、相対的に複雑な操作でシフトレバー10及びノブ11を順番を間違えずにかつ確実に操作することが運転者に求められる。これにより、リバースレンジ選択時の運転者の注意力が高められ、リバースレンジを選択するということが運転者に強く意識づけられ、運転者に対してより慎重な操作を促すことができる。そのため、リバースレンジ選択時の安全性が向上する。
さらに、シフトレバー10の傾動範囲は、ホーム位置を挟んで配置されたニュートラルレンジ選択のための後方傾動限界位置と前方傾動限界位置との間だけであるから、シフトレバー10の傾動範囲が小さくて済み、装置1のコンパクト化が図られる。
しかも、乗員がうっかりシフトレバー10に触れても、シフトレバー10が後方に傾動した場合に限り(前方に傾動した場合はノブ11が後方に回動していないので無効とされる)、ニュートラルレンジが選択されてエンジンの駆動力伝達が切断されるだけであるから、誤操作に対する安全性が確保される。
以上により、本実施形態によれば、誤操作に対する安全性確保、素早く簡便なレンジ選択、装置1の大型化の抑制、リバースレンジ選択時の安全性向上が可能な車両用シフト装置1が提供される。
本実施形態においては、上記ノブ11は、後方を向く部分(後面)に、上記ノブ11のシフトレバー10に対する回動軸部14よりもシフトレバー10の上端部側に位置する第1部分11cと、下端部側に延設された第2部分11dとを有し、上記第1部分11cが前方に押圧されると上記ノブ11は前方に回動し、上記第2部分11dが前方に押圧されると上記ノブ11は後方に回動すると共に、上記ノブ11に力を加えてシフトレバー10をホーム位置から前方傾動限界位置に傾動操作するときは上記第2部分11dを前方に押圧するよう促す押圧促進手段が設けられている。
この構成によれば、押圧促進手段がノブ11の第2部分11dを押圧するよう促すことにより、リバースレンジの選択時には、ノブ11の第2部分11dが前方に押圧されて、ノブ11が後方に回動操作される。そして、この状態でシフトレバー10がホーム位置から前方傾動限界位置に傾動操作される。つまり、運転者は、リバースレンジの選択時に必要な操作順序(ノブ11を後方に回動させた後にシフトレバー10を前方傾動限界位置まで傾動させ、さらにその後にノブ11を前方に回動させるという操作順序)を、特に意識することなく自然に守ることができる。そのため、リバースレンジ選択時の操作性が向上する。
本実施形態においては、上記押圧促進手段は、上記第1部分11cにシフトレバー10の上端部側が前方に傾くように形成された傾斜面である。
この構成によれば、傾斜面の存在により、シフトレバー10をホーム位置から前方傾動限界位置に傾動操作するときには、前方に押し難いノブ11の第1部分11cを押圧することが躊躇され、前方に押し易いノブ11の第2部分11dを押圧するよう促される。
本実施形態においては、上記押圧促進手段は、上記第1部分11cに配設されたモードセレクタスイッチ43である。
この構成によれば、モードセレクタスイッチ43の存在により、シフトレバー10をホーム位置から前方傾動限界位置に傾動操作するときには、上記スイッチ43を誤操作する可能性のあるノブ11の第1部分11cを押圧することが躊躇され、そのような誤操作の可能性のないノブ11の第2部分11dを押圧するよう促される。
本実施形態においては、上記シフトレバー10が上記後方傾動限界位置又は前方傾動限界位置にあることを検出するレバー回動角センサ29と、上記ノブ1が後方又は前方に回動したことを検出するドライブ用ノブ回動センサ31及びリバース用ノブ回動センサ32とが備えられる。
そして、上記コントローラ60は、上記レバー回動角センサ29、ドライブ用ノブ回動センサ31、及びリバース用ノブ回動センサ32の全てがOFFの状態から後方限界角の検出によりレバー回動角センサ29がONとなったときに(ステップS3でYES)、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え(ステップS4)、さらにその状態からドライブ用ノブ回動センサ31がONとなったときに(ステップS5でYES)、上記レンジを前進方向の走行レンジであるドライブレンジに切り替える(ステップS6)。
また、上記コントローラ60は、上記レバー回動角センサ29、ドライブ用ノブ回動センサ31、及びリバース用ノブ回動センサ32の全てがOFFの状態からドライブ用ノブ回動センサ31がONとなり(ステップS2でYES)、その状態で前方限界角の検出によりレバー回動角センサ29がONとなったときに(ステップS7でYES)、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え(ステップS8)、さらにその状態からドライブ用ノブ回動センサ31がOFFとなると共にリバース用ノブ回動センサ32がONとなったときに(ステップS9でYES)、上記レンジを後退方向の走行レンジであるリバースレンジに切り替える(ステップS10)。
この構成によれば、レバー回動角センサ29、ドライブ用ノブ回動センサ31、及びリバース用ノブ回動センサ32の検出結果に基いて、シフトレバー10及びノブ11の操作が認識され、レンジが制御される。
すなわち、ドライブレンジの選択時は、まず、上記センサ29,31,32が全てOFFの状態から後方限界角の検出によりレバー回動角センサ29がONとなったときに、シフトレバー10がホーム位置から後方に後方傾動限界位置まで傾動操作されたと認識されて、レンジがニュートラルレンジに切り替わる。
次いで、その状態からドライブ用ノブ回動センサ31がONとなったときに、シフトレバー10が後方傾動限界位置で止まっている状態で、ノブ11が後方に回動操作されたと認識されて、レンジがドライブレンジに切り替わる。
一方、リバースレンジの選択時は、まず、上記センサ29,31,32が全てOFFの状態からドライブ用ノブ回動センサ31がONとなり、その状態で前方限界角の検出によりレバー回動角センサ29がONとなったときに、ノブ11が後方に回動操作され、その状態で、シフトレバー10がホーム位置から前方に前方傾動限界位置まで傾動操作されたと認識されて、レンジがニュートラルレンジに切り替わる。
次いで、その状態からドライブ用ノブ回動センサ31がOFFとなると共にリバース用ノブ回動センサ32がONとなったときに、シフトレバー10が前方傾動限界位置で止まっている状態で、ノブ11が前方に回動操作されたと認識されて、レンジがリバースレンジに切り替わる。
このように、リバースレンジの選択時は、運転者は、まず、ノブ11を前方とは逆の後方に回動操作しなければならない。また、その回動操作を継続した状態でシフトレバー10を前方傾動限界位置に傾動操作し、その後、ノブ11を前方に回動操作する必要がある。したがって、ノブ11の回動操作が2段階になり、リバースレンジの選択操作が複雑化するだけでなく、ノブ11の回動操作量が増大する。以上のことから、車両が後退するリバースレンジの選択時は、相対的に複雑な操作でシフトレバー10及びノブ11を順序を間違えずにかつ確実に操作することが運転者に求められる。これにより、リバースレンジ選択時の運転者の注意力が高められ、リバースレンジを選択するということが運転者に強く意識づけられ、運転者に対してより慎重な操作を促すことができる。そのため、リバースレンジ選択時の安全性が向上する。
本実施形態においては、上記コントローラ60は、上記センサ29,31,32が全てOFFの状態から先にドライブ用ノブ回動センサ31、リバース用ノブ回動センサ32、又は前方限界角の検出によりレバー回動角センサ29がONとなっても、その時点ではレンジの切替えを行わない。
この構成によれば、上記レバー回動角センサ29、ドライブ用ノブ回動センサ31、及びリバース用ノブ回動センサ32の検出の順番が違うときは、操作が誤っていると判定され、誤ったレンジの切替えが回避される。
(3)変形例
上記実施形態では、ノブ11の後面の第1部分11cに、傾斜面とモードセレクタスイッチ43とを両方設けたが、いずれか一方でもよい。また、傾斜面を第1部分11cを超えて、第2部分11dの上部分まで形成してもよい。第2部分11dの中間部分〜下部分を押圧することが促されることによりノブ11が後方回動することがより確実となる。また、押圧促進手段として、ノブ11の後面の第2部分11dに「押」や「PUSH」等の表示をすることも好ましい。
上記実施形態では、シフト装置1は、ドライブレンジの選択方向が後方、リバースレンジの選択方向が前方であったが、逆に、リバースレンジの選択方向が後方、ドライブレンジの選択方向が前方でもよい。また、シフトレバー10の傾動方向及びノブ11の回動方向を前後方向としたが、これに限らず、例えば左右方向等としてもよい。さらに、シフトレバー10を傾動ではなく、例えばスライド移動してもよい。
上記実施形態では、シフト装置1は、有段式の自動変速機(AT)50のレンジを切り替え操作するものであったが、これに限らず、例えば無段式の自動変速機(CVT)のレンジを切り替え操作するものでもよい。
上記実施形態では、シフト装置1は、いわゆる左ハンドル車に適用されたが(図1参照)、右ハンドル車にも適用可能である。その場合、例えば、図2に示したパーキングスイッチ8及びインジケータ9とシフトレバー10との配置等は、左右反転させることが好ましい。
上記実施形態は、本発明を内燃機関からなるエンジンを備えた車両に適用したものであったが、これに限られないことはいうまでもなく、例えば、動力源として走行用モータを備え、この走行用モータで走行することが可能な電気自動車やハイブリッド自動車等にも本発明を適用することができる。
1 シフト装置
10 シフトレバー(操作部材)
11 シフトノブ(把持部)
11c 第1部分(傾斜面(押圧促進手段))
11d 第2部分
14 回動軸部(回動支持軸)
20 本体部
29 レバー回動角センサ(第1位置検出手段、第2位置検出手段)
31 ドライブ用ノブ回動センサ(第1回動検出手段)
32 リバース用ノブ回動センサ(第2回動検出手段)
43 モードセレクタスイッチ(車両用機能部品(押圧促進手段))
50 自動変速機
60 コントローラ(制御手段)

Claims (6)

  1. 運転者により操作される操作部材と、
    上記操作部材を、ホーム位置と、ホーム位置から第1の方向に離れた第1移動限界位置と、ホーム位置から第1の方向と反対の第2の方向に離れた第2移動限界位置との間で移動可能に支持すると共に、移動後の操作部材をホーム位置に自動的に復帰させる本体部と、
    上記操作部材の先端部に上記第1の方向及び第2の方向に回動可能に支持された把持部と、
    上記操作部材及び把持部の操作に基いて車両に搭載された変速機のレンジを制御する制御手段とが備えられ、
    上記制御手段は、
    上記操作部材が上記ホーム位置から上記第1移動限界位置に移動操作されたときに、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、さらにその状態から上記把持部が上記第1の方向に回動操作されたときに、上記レンジを前進方向の走行レンジであるドライブレンジに切り替え、
    上記把持部が上記第1の方向に回動操作され、その状態で上記操作部材が上記ホーム位置から上記第2移動限界位置に移動操作されたときに、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、さらにその状態から上記把持部が上記第2の方向に回動操作されたときに、上記レンジを後退方向の走行レンジであるリバースレンジに切り替えるものであることを特徴とする車両用シフト装置。
  2. 請求項1に記載の車両用シフト装置において、
    上記把持部は、上記第1の方向を向く部分に、上記把持部の操作部材に対する回動支持軸よりも操作部材の先端部側に位置する第1部分と、反先端部側に延設された第2部分とを有し、
    上記第1部分が第2の方向に押圧されると上記把持部は第2の方向に回動し、上記第2部分が第2の方向に押圧されると上記把持部は第1の方向に回動すると共に、
    上記把持部に力を加えて操作部材をホーム位置から第2移動限界位置に移動操作するときは上記第2部分を第2の方向に押圧するよう促す押圧促進手段が設けられていることを特徴とする車両用シフト装置。
  3. 請求項2に記載の車両用シフト装置において、
    上記押圧促進手段は、上記第1部分に操作部材の先端部側が第2の方向に傾くように形成された傾斜面であることを特徴とする車両用シフト装置。
  4. 請求項2に記載の車両用シフト装置において、
    上記押圧促進手段は、上記第1部分に配設された車両用機能部品であることを特徴とする車両用シフト装置。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の車両用シフト装置において、
    上記操作部材が上記第1移動限界位置又は第2移動限界位置にあることを検出する第1位置検出手段及び第2位置検出手段と、
    上記把持部が上記第1の方向又は第2の方向に回動したことを検出する第1回動検出手段及び第2回動検出手段とが備えられ、
    上記制御手段は、
    上記第1・第2位置検出手段及び第1・第2回動検出手段の全てが非検出の状態から第1位置検出手段が検出の状態となったときに、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、さらにその状態から第1回動検出手段が検出の状態となったときに、上記レンジを前進方向の走行レンジであるドライブレンジに切り替え、
    上記第1・第2位置検出手段及び第1・第2回動検出手段の全てが非検出の状態から第1回動検出手段が検出の状態となり、その状態で第2位置検出手段が検出の状態となったときに、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、さらにその状態から第1回動検出手段が非検出の状態となると共に第2回動検出手段が検出の状態となったときに、上記レンジを後退方向の走行レンジであるリバースレンジに切り替えるものであることを特徴とする車両用シフト装置。
  6. 請求項5に記載の車両用シフト装置において、
    上記制御手段は、
    上記第1・第2位置検出手段及び第1・第2回動検出手段の全てが非検出の状態から先に第1回動検出手段、第2回動検出手段、又は第2位置検出手段が検出の状態となったときは、その時点ではレンジの切替えを行わないものであることを特徴とする車両用シフト装置。
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