<第1実施形態>
(1)構成
図1は、本実施形態に係る車両の車室前部の構成を示す図である。図1に示すように、車室前部には、車幅方向に延びるインストルメントパネル2が設けられている。インストルメントパネル2の運転席側(図1において左側)にメータユニット3が設けられ、メータユニット3の後方にステアリングハンドル4が設けられている。インストルメントパネル2の車幅方向中央部から車両後方に向けてセンターコンソール5が設けられ、センターコンソール5にシフタ装置1が設けられている。
本実施形態において、車両は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関からなるエンジン(図示せず)のみを動力源とし、上記エンジンの駆動力を車速やエンジン負荷等に応じて自動的に変速しつつ車輪に伝達する有段式の自動変速機(AT)50(図8参照)を備えている。自動変速機50のレンジ(変速レンジ)として、駆動力の伝達が切断されるニュートラルレンジと、駆動力の伝達が切断された上に出力軸がロックされるパーキングレンジと、車両を前進させる方向に駆動力が伝達されるドライブレンジ(前進走行レンジ)と、車両を後退させる方向に駆動力が伝達されるリバースレンジ(後退走行レンジ)とが設けられている。ここで、ニュートラルレンジ及びパーキングレンジは非走行レンジであり、ドライブレンジ及びリバースレンジは走行レンジである。シフタ装置1は、これらの複数のレンジの中から所望のレンジを選択するために運転者により操作される。
図2は、上記センターコンソール5における上記シフタ装置1の配設部分を拡大して示す平面図である。図2以降の図において、符号F及びLは、それぞれ、車両の前及び左を示す。
図2に示すように、シフタ装置1は、パーキングスイッチ8とインジケータ9とを備えている。
パーキングスイッチ8は、押圧式のボタンスイッチであって、レンジをパーキングレンジに切り替えるときに操作される。パーキングスイッチ8の上面に、「P」(パーキングレンジを表す)の文字が表記された文字盤が設けられ、パーキングレンジが選択されると、LED等の光源により、上記「P」の文字が強調表示される。パーキングスイッチ8は、レンジをパーキングレンジに切り替えるためのスイッチとしての機能と、パーキングレンジが選択されていることを表示するインジケータとしての機能とを兼ね備えている。
インジケータ9は、現在選択されている走行レンジを表示するものである。インジケータ9は、パーキングスイッチ8に近接して、前方から順に、「R」(リバースレンジを表す)、「H」(後述するホーム位置を表す)、「D」(ドライブレンジを表す)の文字が並んで表記された文字盤が設けられ、次に説明するメイン操作部7の操作に応じて、リバースレンジ又はドライブレンジの走行レンジが選択されると、LED等の光源により、その選択されたレンジに対応した「R」又は「D」の文字が強調表示される。
本実施形態では、メータユニット3(図1参照)にも現在選択されているレンジが表示される。メータユニット3は、例えばスピードメータとタコメータとの間に表示部を有し、その表示部に、現在選択されているレンジに対応した「P」、「R」、「N」(ニュートラルレンジを表す)、「D」のいずれかの文字が表示される。
図2に示すように、シフタ装置1は、さらにメイン操作部7を備えている。メイン操作部7は、レンジをパーキングレンジ以外のニュートラル、リバース、ドライブのいずれかのレンジに切り替えるときに操作される。
図3〜図5に示すように、メイン操作部7は、シフトレバー(本発明の「操作部材」に相当する)10と、シフトレバー10を前後方向に傾動可能に支持する本体部20とを含む。
シフトレバー10は、上下方向に延びるレバー部12と、レバー部12の上端部に設けられてシフトレバー10の操作時に運転者により把持されるシフトノブ11と、レバー部12の下端部に設けられて車幅方向に延びる円柱状の傾動軸部13と、レバー部12の上下方向の略中間の位置に設けられたブロック体15と、ブロック体15の左側面から左方に突出する棒状のディテント用脚部16と、ブロック体15の右側面から右方に突出する棒状のセンサ用被検出部17とを有する。
本体部20は、上面及び前後左右の側面で形成される筐体21(図3〜図5には左側面及び後側面が切り欠かれている)と、筐体21の左側面の内面に設けられたディテント用誘導部材24と、筐体21の右側面に円弧状開口25を介して設けられた傾動角センサ(本発明の「検出手段」に相当する)29とを有する。
筐体21の上面に前後方向に延びる長円形のゲート22が形成され、このゲート22をシフトレバー10のレバー部12が挿通する。レバー部12のブロック体15は筐体21の内部に配置される。筐体21の左右の側面に円形開口23が形成され、この円形開口23にシフトレバー10の傾動軸部13の左右の端部が回動可能に嵌合される。これにより、シフトレバー10が傾動軸部13を介して本体部20に前後方向に傾動可能に支持される。
シフトレバー10が本体部20に支持された状態で、ブロック体15の左側面に設けられたディテント用脚部16と、筐体21の左側面に設けられたディテント用誘導部材24とが対接する。ディテント用脚部16はブロック体15に対して左右方向に進退可能であり、ブロック体15に内蔵された圧縮スプリング(図示せず)により常時左方に付勢されている。図5に明らかなように、ディテント用誘導部材24のディテント用脚部16との対接面は、左方に凹んだ部分凹球面状の球状受け面24aに形成され、この球状受け面24aにディテント用脚部16の先端部が上記圧縮スプリングの左方への付勢力により常時押し付けられている。
図6に実線で示すように、ディテント用脚部16は球状受け面24aの中心部(凹球面の底部)に対接しているとき、ブロック体15から最も進出する。このとき圧縮スプリングは最も伸びて付勢力が低下する。一方、図6に鎖線で示すように、ディテント用脚部16は球状受け面24aの中心部から離れるほど、ブロック体15の内部に後退する。このとき圧縮スプリングは縮んで付勢力が増大する。そのため、後退したディテント用脚部16は球状受け面24aに強く押し付けられ、その押し付け力がディテント用脚部16を球状受け面24aの中心部に戻す力に変換される。したがって、シフトレバー10に前後方向の操作力が加えられていないときは、シフトレバー10はディテント用脚部16が球状受け面24aの中心部に位置する位置に保持される。このときのシフトレバー10の位置を「ホーム位置」と称する。ホーム位置ではシフトレバー10は鉛直方向に起立した姿勢となる(図4及び図5参照)。
ホーム位置にあるシフトレバー10が操作力を受けて前後方向に傾動すると、ディテント用脚部16が球状受け面24aの中心部から離間し、それに伴いディテント用脚部16を球状受け面24aの中心部に戻す力が発生する。そのため、シフトレバー10に対する操作力が解除されると、シフトレバー10は自ずとホーム位置に復帰する。すなわち、本実施形態のシフタ装置1は、シフトレバー10をホーム位置から前後方向に傾動可能に支持すると共に傾動後のシフトレバー10をホーム位置に自動的に復帰させる本体部20を備えた、モメンタリ式のシフタ装置である。
図3〜図5に戻り、シフトレバー10が本体部20に支持された状態で、ブロック体15の右側面に設けられたセンサ用被検出部17と、筐体21の右側面に設けられた傾動角センサ29とが係合する。傾動角センサ29は、センサ用被検出部17の位置を検出することにより、シフトレバー10がホーム位置から前後方向に傾動したときのシフトレバー10の傾動角度を検出するものである。
図7は、上記シフトレバー10の傾動操作を説明するための左縦断面図である。図中、実線は、シフトレバー10がホーム位置に保持される基準状態を示している。この基準状態では、シフトレバー10は、前後方向に延びるゲート22の中央部で直立姿勢をとる。
図7に破線で示すように、シフトレバー10がホーム位置から後方(本発明の「第1方向」に相当する)に傾動し、レバー部12がゲート22の後端部に当接すると、シフトレバー10はその位置を超えて後方に傾動できない。このときのシフトレバー10の位置を「後方限界位置」(本発明の「第1変位限界位置」に相当する)と称する。同様に、図7に鎖線で示すように、シフトレバー10がホーム位置から前方(本発明の「第2方向」に相当する)に傾動し、レバー部12がゲート22の前端部に当接すると、シフトレバー10はその位置を超えて前方に傾動できない。このときのシフトレバー10の位置を「前方限界位置」(本発明の「第2変位限界位置」に相当する)と称する。すなわち、シフトレバー10は、ホーム位置(実線)と、ホーム位置から後方に離れた後方限界位置(破線)と、ホーム位置から前方に離れた前方限界位置(鎖線)との間で傾動操作が可能である。
シフトレバー10がホーム位置にあるときのシフトレバー10の傾動角度(基準傾動角度という)θoを予め定めておくと、シフトレバー10が後方限界位置にあるときのシフトレバー10の傾動角度(後方限界角度という)θr及びシフトレバー10が前方限界位置にあるときのシフトレバー10の傾動角度(前方限界角度という)θfも予め定まる。したがって、傾動角センサ29で後方限界角度θrが検出されたときは、シフトレバー10が後方限界位置にあることが検出され、前方限界角度θfが検出されたときは、シフトレバー10が前方限界位置にあることが検出される。同様に、傾動角センサ29で基準傾動角度θoが検出されたときは、シフトレバー10がホーム位置にあることが検出される。
図8は、シフタ装置1の制御システムを示すブロック図である。図中、コントローラ60は、周知のCPU、RAM、ROM等を含むマイクロコンピュータからなり、本発明の「制御手段」に相当する。図8では、コントローラ60は、一体のブロックとして表されているが、例えば車体側と自動変速機50側とにそれぞれ分割して設けられた複数のマイクロコンピュータから構成されるものでもよい。
コントローラ60は、上述したメータユニット3、パーキングスイッチ8、インジケータ9、傾動角センサ29、及び自動変速機50の変速アクチュエータ50aと電気的に接続されている。なお、自動変速機50の変速アクチュエータ50aとは、例えば、自動変速機50に内蔵されるクラッチやブレーキ等の摩擦締結要素の締結・解放を切り替えるソレノイドバルブ等のことである。すなわち、コントローラ60は、シフタ装置1の操作状態に基いて、自動変速機50の変速動作を制御する機能も有している。
コントローラ60は、パーキングスイッチ8に内蔵された接点から出力される信号に応じて、パーキングスイッチ8が押圧操作されたか否かを判定し、傾動角センサ29から出力される信号に応じて、シフトレバー10がホーム位置に保持されているか、あるいはシフトレバー10が前後のいずれの方向にどの程度傾動操作されたかを判定する。そして、このようにして判定されるシフタ装置1の操作状態に基いて、コントローラ60は、自動変速機50のレンジの切り替え制御や、メータユニット3及びインジケータ9の表示制御(現在選択されているレンジを表示する制御)等を実行する。
以上のようなコントローラ60の制御の下、本実施形態では、シフタ装置1のシフトパターンが次のように設定されている。
図7に示すように、後方に傾動操作されたシフトレバー10が後方限界位置に到達したか否かの判定に用いる閾値Xが予め後方限界角度θrよりも前方に定められ(つまり閾値Xは後方限界角度θrよりも小さい値である)、前方に傾動操作されたシフトレバー10が前方限界位置に到達したか否かの判定に用いる閾値Yが予め前方限界角度θfよりも後方に定められている(つまり閾値Yは前方限界角度θfよりも小さい値である)。その場合、上記閾値Xは、図9に示すように、1回目の傾動操作を判定するための第1N用閾値X1と、2回目の傾動操作を判定するためのD用閾値X2と2つ設定され、上記閾値Yもまた、図9に示すように、1回目の傾動操作を判定するための第2N用閾値Y1と、2回目の傾動操作を判定するためのR用閾値Y2と2つ設定されている。したがって、第1N用閾値X1及びD用閾値X2は共に後方限界角度θrよりも小さい値であり(X1,X2<θr)、第2N用閾値Y1及びR用閾値Y2は共に前方限界角度θfよりも小さい値である(Y1,Y2<θf)。
また、後方に傾動操作されたシフトレバー10がホーム位置に復帰したか否かの判定に用いる閾値Aが予め基準傾動角度θoよりも後方に定められ、前方に傾動操作されたシフトレバー10がホーム位置に復帰したか否かの判定に用いる閾値Bが予め基準傾動角度θoよりも前方に定められている。
ここで、本実施形態では、第1N用閾値X1と第2N用閾値Y1とR用閾値Y2とは相互に同じ値に設定されている(X1=Y1=Y2)。また、D用閾値X2は第1N用閾値X1よりも小さい値に設定されている(X2<X1=Y1=Y2)。したがって、図9に示すように、後方限界位置に対応する後方限界角度θrと第1N用閾値X1との差を第1N用補正量Δ11とし、上記後方限界角度θrとD用閾値X2との差をD用補正量Δ12とし、前方限界位置に対応する前方限界角度θfと第2N用閾値Y1との差を第2N用補正量Δ21とし、上記前方限界角度θfとR用閾値Y2との差をR用補正量Δ22としたとき、D用補正量Δ12>第1N用補正量Δ11=第2N用補正量Δ21=R用補正量Δ22の関係が成立している。
なお、図7には、後方側の第1N用補正量Δ11とD用補正量Δ12とをまとめてΔr1と記し、前方側の第2N用補正量Δ21とR用補正量Δ22とをまとめてΔr2と記している。
一方、後方側の上記閾値Aと前方側の上記閾値Bとは相互に同じ値に設定されている(A=B)。また、第1N用閾値X1及びD用閾値X2は閾値Aよりも大きい値であり(X1,X2>A)、第2N用閾値Y1及びR用閾値Y2は閾値Bよりも大きい値である(Y1,Y2>B)。X1,X2<θr−θo、Y1,Y2<θo−θfであることはいうまでもない。なお、シフトレバー10の傾動角度は、後方側ほど大きい値となり、前方側ほど小さい値となる。
図9に示すように、現在のレンジが何であるかに拘わらず、シフトレバー10がホーム位置から後方限界位置まで後方(図中「D方向」と記す)に1回傾動操作されると、レンジがニュートラルレンジに設定される。そして、上記1回目の傾動操作がされてから所定時間(例えば2秒)以内に2回目の傾動操作、つまり、シフトレバー10がホーム位置に復帰し、再びホーム位置から後方限界位置まで傾動操作されると、レンジがニュートラルレンジからドライブレンジに切り替わる。
同様に、現在のレンジが何であるかに拘わらず、シフトレバー10がホーム位置から前方限界位置まで前方(図中「R方向」と記す)に1回傾動操作されると、レンジがニュートラルレンジに設定される。そして、上記1回目の傾動操作がされてから所定時間(例えば2秒)以内に2回目の傾動操作、つまり、シフトレバー10がホーム位置に復帰し、再びホーム位置から前方限界位置まで傾動操作されると、レンジがニュートラルレンジからリバースレンジに切り替わる。
上記以外の場合、例えば、2回目の傾動操作が行われなかった場合、2回目の傾動操作が上記所定時間を超えた後に行われた場合、2回目の傾動操作の方向が1回目の傾動操作の方向と異なる場合、2回目の傾動操作が後方限界位置又は前方限界位置まで至らなかった場合等は、いずれも、レンジがニュートラルレンジに維持される。
ここで、コントローラ60は、シフトレバー10がホーム位置から限界位置まで傾動操作されたか否かの判定、及びシフトレバー10が限界位置からホーム位置に復帰したか否かの判定を、上述した閾値X1,X2,Y1,Y2,A,B(図7及び図9参照)を用いて行う。
具体的に、後方への傾動操作(つまりドライブレンジの選択時)については、1回目の操作の際は、シフトレバー10のホーム位置からの後方への傾動角度が第1N用閾値X1以上に増大すれば、シフトレバー10が後方限界位置まで傾動操作されたと判定し、その後、シフトレバー10のホーム位置からの後方への傾動角度が閾値A以下に減少すれば、シフトレバー10がホーム位置に復帰したと判定する。次いで、2回目の操作の際は、シフトレバー10のホーム位置からの後方への傾動角度がD用閾値X2以上に増大すれば、シフトレバー10が後方限界位置まで傾動操作されたと判定する。
同様に、前方への傾動操作(つまりリバースレンジの選択時)については、1回目の操作の際は、シフトレバー10のホーム位置からの前方への傾動角度が第2N用閾値Y1以上に増大すれば、シフトレバー10が前方限界位置まで傾動操作されたと判定し、その後、シフトレバー10のホーム位置からの前方への傾動角度が閾値B以下に減少すれば、シフトレバー10がホーム位置に復帰したと判定する。次いで、2回目の操作の際は、シフトレバー10のホーム位置からの前方への傾動角度がR用閾値Y2以上に増大すれば、シフトレバー10が前方限界位置まで傾動操作されたと判定する。
その場合、上述したように、後方側の2回目の閾値であるD用閾値X2は、後方側の1回目の閾値である第1N用閾値X1、前方側の1回目の閾値である第2N用閾値Y1、及び前方側の2回目の閾値であるR用閾値Y2よりも小さい値に設定されている(X2<X1=Y1=Y2)。すなわち、D用補正量Δ12>R用補正量Δ22の関係が成立している。
この結果、運転者は、ドライブレンジの選択時は、2回目の操作の際、シフトレバー10が後方限界位置に到達する前にシフトレバー10をホーム位置側に戻しても、十分シフトレバー10が後方に1回傾動操作されたと判定され、レンジがドライブレンジに切り替わるのに対し、リバースレンジの選択時は、2回目の操作の際、シフトレバー10がドライブレンジ選択時の2回目の操作の際に後方限界位置に近づくよりも前方限界位置に近づいた後にシフトレバー10をホーム位置側に戻さなければ、シフトレバー10が前方に1回傾動操作されたと判定されず、レンジがリバースレンジに切り替わらない。これにより、ドライブレンジの選択時は、運転者が同じシフトレバー10の操作を2回繰り返す煩わしさを感じることが低減される一方、車両が後退するリバースレンジの選択時は、運転者に対して慎重かつ確実なシフトレバー10の操作を促して、安全性の向上が図られる。
図2に示すように、メイン操作部7のシフトレバー10の側方には、運転者の便宜のために、上述したシフトパターンが記号で表示されている。すなわち、ホーム位置「H」(●)から後方に1回傾動操作すると(▼)ニュートラルレンジ「N」が設定され、2回連続して傾動操作すると(▼▼)ドライブレンジ「D」が設定されること、及び、ホーム位置「H」(●)から前方に1回傾動操作すると(▲)ニュートラルレンジ「N」が設定され、2回連続して傾動操作すると(▲▲)リバースレンジ「R」が設定されることが表示されている。
一方、パーキングレンジ以外のレンジからパーキングレンジに切り替える場合は、シフトレバー10を用いずに、パーキングスイッチ8を押圧操作する。すなわち、現在のレンジがニュートラル、リバース、ドライブのいずれかのレンジであるときにパーキングスイッチ8を押圧操作すると、それだけでレンジがパーキングレンジに切り替わる。
また、パーキングレンジからパーキングレンジ以外のレンジに切り替える場合は、シフトレバー10をホーム位置から前方又は後方に傾動操作すればよく、いちいちパーキングスイッチ8を解除操作する必要はない。すなわち、現在のレンジがパーキングレンジであるときにシフトレバー10を1回後方限界位置又は前方限界位置まで傾動操作すると、それだけでレンジがニュートラルレンジに切り替わり、2回傾動操作すると、それだけでレンジがドライブレンジ又はリバースレンジに切り替わる。
まとめとして、コントローラ60が行うレンジの選択動作を図10のフローチャートに従って説明する。このレンジ選択動作は、シフトレバー10がホーム位置に保持される基準状態からスタートする。
ステップS1で、コントローラ60は、傾動角センサ29で検出される傾動角度が、基準傾動角度θoから、角度(θo−Y1)と前方限界角度θfとの間の角度[(θo−Y1)〜θf](第2N用補正量Δ21に相当する角度:第1範囲角度という)に変化したか否か、言い換えると、シフトレバー10のホーム位置からの前方への傾動角度が第2N用閾値Y1以上に増大したか否か、つまり、シフトレバー10がホーム位置から前方限界位置まで傾動操作(1回目)されたか否かを判定する。その結果、YESのときはステップS2に進み、NOのときはステップS8に進む。
ステップS2で、コントローラ60は、ニュートラルレンジを選択する。次いで、コントローラ60は、ステップS3で、タイマーをカウントし、さらに、ステップS4で、タイマーの値が所定の閾値T以下か否かを判定する。つまり、1回目の傾動操作がされてから所定時間以内か否かを判定する。その結果、YESのときはステップS5に進み、NOのときはリターンする(ニュートラルレンジ確定)。
ステップS5で、コントローラ60は、傾動角センサ29で検出される傾動角度が、上記第1範囲角度[(θo−Y1)〜θf]から、角度(θo−B)と基準傾動角度θoとの間の角度[(θo−B)〜θo](第2範囲角度という)に変化したか否か、言い換えると、シフトレバー10のホーム位置からの前方への傾動角度が閾値B以下に減少したか否か、つまり、シフトレバー10が前方限界位置からホーム位置に復帰したか否かを判定する。その結果、YESのときはステップS6に進み、NOのときはステップS3に戻る。
ステップS6で、コントローラ60は、傾動角センサ29で検出される傾動角度が、上記第2範囲角度[(θo−B)〜θo]から、角度(θo−Y2)と前方限界角度θfとの間の角度[(θo−Y2)〜θf](R用補正量Δ22に相当する角度)に変化したか否か、言い換えると、シフトレバー10のホーム位置からの前方への傾動角度がR用閾値Y2以上に増大したか否か、つまり、シフトレバー10がホーム位置から前方限界位置まで傾動操作(2回目)されたか否かを判定する。その結果、YESのときはステップS7に進み、NOのときはステップS3に戻る。
ステップS7で、コントローラ60は、リバースレンジを選択し、リターンする(リバースレンジ確定)。
一方、ステップS1からステップS8に進んだ場合は、ステップS8で、コントローラ60は、傾動角センサ29で検出される傾動角度が、基準傾動角度θoから、角度(θo+X1)と後方限界角度θrとの間の角度[(θo+X1)〜θr](第1N用補正量Δ11に相当する角度:第3範囲角度という)に変化したか否か、言い換えると、シフトレバー10のホーム位置からの後方への傾動角度が第1N用閾値X1以上に増大したか否か、つまり、シフトレバー10がホーム位置から後方限界位置まで傾動操作(1回目)されたか否かを判定する。その結果、YESのときはステップS9に進み、NOのときはリターンする(レンジ変更なし)。
ステップS9で、コントローラ60は、ニュートラルレンジを選択する。次いで、コントローラ60は、ステップS10で、タイマーをカウントし、さらに、ステップS11で、タイマーの値が所定の閾値T以下か否かを判定する。つまり、1回目の傾動操作がされてから所定時間以内か否かを判定する。その結果、YESのときはステップS12に進み、NOのときはリターンする(ニュートラルレンジ確定)。
ステップS12で、コントローラ60は、傾動角センサ29で検出される傾動角度が、上記第3範囲角度[(θo+X1)〜θr]から、角度(θo+A)と基準傾動角度θoとの間の角度[(θo+A)〜θo](第4範囲角度という)に変化したか否か、言い換えると、シフトレバー10のホーム位置からの後方への傾動角度が閾値A以下に減少したか否か、つまり、シフトレバー10が後方限界位置からホーム位置に復帰したか否かを判定する。その結果、YESのときはステップS13に進み、NOのときはステップS10に戻る。
ステップS13で、コントローラ60は、傾動角センサ29で検出される傾動角度が、上記第4範囲角度[(θo+A)〜θo]から、角度(θo+X2)と後方限界角度θrとの間の角度[(θo+X2)〜θr](D用補正量Δ12に相当する角度)に変化したか否か、言い換えると、シフトレバー10のホーム位置からの後方への傾動角度がD用閾値X2以上に増大したか否か、つまり、シフトレバー10がホーム位置から後方限界位置まで傾動操作(2回目)されたか否かを判定する。その結果、YESのときはステップS14に進み、NOのときはステップS10に戻る。
ステップS14で、コントローラ60は、ドライブレンジを選択し、リターンする(ドライブレンジ確定)。
(2)作用
以上、図面を参照して詳しく説明したように、本実施形態では、運転者により操作されるシフトレバー10と、上記シフトレバー10をホーム位置と当該ホーム位置から前方及び後方に離間した前方限界位置及び後方限界位置との間で傾動可能に支持すると共に、上記ホーム位置から前方又は後方に傾動した後のシフトレバー10を上記ホーム位置に自動的に復帰させる本体部20と、上記シフトレバー10の傾動操作に基いて車両に搭載された自動変速機50のレンジを制御するコントローラ60と、上記シフトレバー10の前方及び後方への傾動角度を検出して上記コントローラ60に出力する傾動角センサ29とを備える車両用シフタ装置1において、上記コントローラ60は、次のような特徴的動作を行う。
すなわち、上記コントローラ60は、上記傾動角センサ29により検出される上記シフトレバー10のホーム位置からの傾動角度が、予め定められた第1N用閾値X1、D用閾値X2、第2N用閾値Y1、及びR用閾値Y2以上まで増大するたびに、上記シフトレバー10が前方又は後方に1回傾動操作されたと判定する。また、上記コントローラ60は、当該前方又は後方への傾動操作が2回繰り返されたときに、上記レンジを走行レンジに切り替える。そして、その際、後方側の閾値X1,X2は、上記後方限界位置に対応する傾動角度θrよりも小さい値に設定され(X1,X2<θr)、前方側の閾値Y1,Y2は、上記前方限界位置に対応する傾動角度θfよりも小さい値に設定されている(Y1,Y2<θf)。
この構成によれば、走行レンジを選択するとき、運転者は、例えばボタンスイッチの押圧操作等することなく、シフトレバー10をホーム位置から前方又は後方に2回傾動操作を繰り返すだけでよい。そのため、走行レンジの選択操作が素早く簡便なものとなる。それでいて、走行レンジを選択しようとする運転者の意思を同じ操作の繰り返しにより確認することができる。
さらに、シフトレバー10は、ホーム位置から前後方向のみに傾動するから、シフトレバー10が傾動する範囲が小さくて済み、当該車両用シフタ装置1のコンパクト化が図られる。しかも、乗員がうっかりシフトレバー10に触れても、つまり、シフトレバー10が不意に1回だけ傾動しても、シフトレバー10が2回同じ方向に繰り返し傾動しない限り、それだけでは走行レンジに切り替わらないから、誤操作に対する安全性が確保される。
その上で、シフトレバー10が前方又は後方に傾動操作されたか否かの判定に用いる閾値X1,X2,Y1,Y2が前方限界位置に対応する傾動角度θf及び後方限界位置に対応する傾動角度θrよりも小さい値に設定されているから、シフトレバー10はホーム位置から前方限界位置又は後方限界位置に到達するよりも手前で前方又は後方に変位操作されたと判定される。そのため、運転者は、シフトレバー10が前方限界位置又は後方限界位置に到達する前にシフトレバー10をホーム位置側に戻しても、シフトレバー10が前方又は後方に1回傾動操作されたと判定される。これにより、走行レンジを選択するとき、運転者が同じ操作を2回繰り返す煩わしさを感じることが低減される。
以上により、本実施形態によれば、誤操作に対する安全性を確保しつつ、素早く簡便に走行レンジを選択することができ、さらには、大型化の抑制及び操作の煩わしさの低減も可能な車両用シフタ装置1が提供される。
特に、本実施形態では、上記コントローラ60は、上記シフトレバー10が前方又は後方に1回傾動操作されると上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、上記シフトレバー10が前方又は後方に2回傾動操作されると上記レンジを走行レンジに切り替える。そして、その際、上記1回目の傾動操作を判定するための閾値X1,Y1と、上記2回目の傾動操作を判定するための閾値X2,Y2との双方が、上記前方限界位置に対応する傾動角度θf及び後方限界位置に対応する傾動角度θrよりも小さい値に設定されている(X1,X2<θr及びY1,Y2<θf)。
この構成によれば、ニュートラルレンジを選択するとき、運転者は、例えばボタンスイッチの押圧操作等することなく、シフトレバー10をホーム位置から前方又は後方に1回傾動操作をするだけでよい。そのため、ニュートラルレンジの選択操作が素早く簡便なものとなる。
その上で、1回目の後方への傾動操作を判定するための閾値X1と、2回目の後方への傾動操作を判定するための閾値X2との双方が、後方限界位置に対応する傾動角度θrよりも小さい値に設定され(X1,X2<θr)、1回目の前方への傾動操作を判定するための閾値Y1と、2回目の前方への傾動操作を判定するための閾値Y2との双方が、前方限界位置に対応する傾動角度θfよりも小さい値に設定されている(Y1,Y2<θf)から、運転者は、1回目の傾動操作も2回目の傾動操作も、シフトレバー10が前方限界位置又は後方限界位置に到達する前にシフトレバー10をホーム位置側に戻しても、シフトレバー10が前方又は後方に1回傾動操作されたと判定される。これにより、走行レンジを選択するとき、運転者が同じ操作を2回繰り返す煩わしさを感じることがより一層低減される。
また、特に、本実施形態では、上記コントローラ60は、上記シフトレバー10が後方に1回傾動操作されたときの傾動角度が予め定められた第1N用閾値X1以上になったときに、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、当該傾動操作の後、上記シフトレバー10が再び後方に傾動操作されたときの当該2回目の傾動角度が予め定められたD用閾値X2以上になったときに、上記レンジを前進方向の走行レンジであるドライブレンジに切り替える。また、上記コントローラ60は、上記シフトレバー10が前方に1回傾動操作されたときの傾動角度が予め定められた第2N用閾値Y1以上になったときに、上記レンジをニュートラルレンジに切り替え、当該傾動操作の後、上記シフトレバー10が再び後方に傾動操作されたときの当該2回目の傾動角度が予め定められたR用閾値Y2以上になったときに、上記レンジを後退方向の走行レンジであるリバースレンジに切り替える。そして、その際、上記第1N用閾値X1及びD用閾値X2は、上記後方限界位置に対応する傾動角度θrよりも小さい値に設定され、上記第2N用閾値Y1及びR用閾値Y2は、上記前方限界位置に対応する傾動角度θfよりも小さい値に設定されている(X1,X2<θr及びY1,Y2<θf)。
この構成によれば、シフトレバー10をホーム位置から相互に異なる後方又は前方に傾動操作することで、走行方向が相互に異なるドライブレンジとリバースレンジとを明確に区別して選択することができる。
その上で、後方への1回目の傾動操作を判定するための第1N用閾値X1と2回目の傾動操作を判定するためのD用閾値X2との双方が後方限界位置に対応する傾動角度θrよりも小さい値に設定され(X1,X2<θr)、前方への1回目の傾動操作を判定するための第2N用閾値Y1と2回目の傾動操作を判定するためのR用閾値Y2との双方が前方限界位置に対応する傾動角度θfよりも小さい値に設定されている(Y1,Y2<θf)から、運転者は、後方への1回目の傾動操作も2回目の傾動操作も、また、前方への1回目の傾動操作も2回目の傾動操作も、シフトレバー10が後方限界位置又は前方限界位置に到達する前にシフトレバー10をホーム位置側に戻しても、シフトレバー10が後方又は前方に1回傾動操作されたと判定される。これにより、ドライブレンジを選択するときもリバースレンジを選択するときも、運転者が同じ操作を2回繰り返す煩わしさを感じることが低減される。
また、特に、本実施形態では、D用補正量Δ12>R用補正量Δ22の関係が成立している。言い換えると、D用閾値X2はR用閾値Y2よりも小さい値に設定されている(X2<Y2)。
この構成によれば、運転者は、ドライブレンジの選択時の2回目の操作の際は、シフトレバー10が後方限界位置に到達する前にシフトレバー10をホーム位置側に戻しても、十分シフトレバー10が後方に1回傾動操作されたと判定され、レンジがドライブレンジに切り替わるけれども、リバースレンジの選択時の2回目の操作の際は、シフトレバー10がドライブレンジ選択時の2回目の操作の際に後方限界位置に近づくよりも前方限界位置に近づいた後にシフトレバー10をホーム位置側に戻さなければ、シフトレバー10が前方に1回傾動操作されたと判定されず、レンジがリバースレンジに切り替わらない。これにより、車両が後退するリバースレンジの選択時は、運転者に対して慎重かつ確実な操作を促して、この点からも安全性の向上を図ることができる。
しかも、以上の構成によれば、シフトレバー10の傾動操作で、ニュートラルレンジ及び走行レンジを素早く簡便に選択することができる。
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、操作部材は、本体部20に傾動可能に支持されたシフトレバー10であったが、これに限らず、例えば、本体部にスライド移動可能に支持されたスライド部材でもよい。そのようなスライド部材の例を図11に示し、第1実施形態と同じ部分は説明を省略し、特徴部分のみ説明を加える。
図11において、シフタ装置101は、本体部(図示せず)に前後方向にスライド移動可能に支持されたスライド部材110を含む。スライド部材110は、操作時に運転者により把持される把持部111を有する。把持部111は、パソコンで用いられるマウスに似た形状である。シフタ装置101は、スライド移動後のスライド部材110を図11に示すホーム位置に自動的に復帰させるモメンタリ式のシフタ装置である。図11に示すように、スライド部材110の側方には、運転者の便宜のために、ホーム位置「H」(●)から後方に後方限界位置まで1回スライド操作すると(▼)ニュートラルレンジ「N」が設定され、後方限界位置まで2回連続してスライド操作すると(▼▼)ドライブレンジ「D」が設定されること、及び、ホーム位置「H」(●)から前方に前方限界位置まで1回スライド操作すると(▲)ニュートラルレンジ「N」が設定され、前方限界位置まで2回連続してスライド操作すると(▲▲)リバースレンジ「R」が設定されることが表示されている。
なお、スライド部材110をホーム位置に復帰させる機構としては、上述のディテント用脚部とディテント用誘導部材とを備えてもよく、あるいは、スライド部材110を後方に付勢する前方側リターンスプリングと前方に付勢する後方側リターンスプリングとをスライド部材110を間に挟んで前後に配設してもよい。
<第3実施形態>
さらに、操作部材は、例えば、本体部に回動可能に支持されたダイヤル部材でもよい。そのようなダイヤル部材の例を図12に示し、第1実施形態と同じ部分は説明を省略し、特徴部分のみ説明を加える。
図12において、シフタ装置201は、本体部(図示せず)に左右方向(反時計回り・時計回り)に回動可能に支持されたダイヤル部材210を含む。ダイヤル部材210は、操作時に運転者により把持される把持部211を有する。把持部211は、回動軸Oが上下方向に延びるように配置されている。シフタ装置201は、回動後のダイヤル部材210を図12に示すホーム位置に自動的に復帰させるモメンタリ式のシフタ装置である。図12に示すように、ダイヤル部材210の前方には、運転者の便宜のために、ホーム位置「H」(●)から右方に右方限界位置(本発明の「第1目標位置」に相当する)まで1回回動操作すると(▼)ニュートラルレンジ「N」が設定され、右方限界位置まで2回連続して回動操作すると(▼▼)ドライブレンジ「D」が設定されること、及び、ホーム位置「H」(●)から左方に左方限界位置(本発明の「第2目標位置」に相当する)まで1回回動操作すると(▲)ニュートラルレンジ「N」が設定され、左方限界位置まで2回連続して回動操作すると(▲▲)リバースレンジ「R」が設定されることが表示されている。
なお、ダイヤル部材210をホーム位置に復帰させる機構としては、ダイヤル部材210を右方に付勢する巻きバネ(トーションバネ)と左方に付勢する巻きバネとの双方を共に回動軸Oに巻き掛けること等が提案される。
<その他の変形例>
上記第1、第2実施形態では、シフタ装置1,101は、ドライブレンジの選択方向が後方、リバースレンジの選択方向が前方であったが、逆に、ドライブレンジの選択方向が前方、リバースレンジの選択方向が後方でもよい。また、操作部材10,110の変位方向が前後方向であったが、これに限らず、例えば左右方向等としてもよい。
上記第3実施形態では、シフタ装置201は、ドライブレンジの選択方向が右方、リバースレンジの選択方向が左方であったが、逆に、ドライブレンジの選択方向が左方、リバースレンジの選択方向が右方でもよい。また、操作部材210の変位方向が左右方向であったが、これに限らず、例えば上下方向等としてもよい(例えば回動軸Oを車幅方向に延びるように配置する)。
上記実施形態では、シフタ装置1,101,201は、有段式の自動変速機(AT)50のレンジを切り替え操作するものであったが、これに限らず、例えば無段式の自動変速機(CVT)のレンジを切り替え操作するものでもよい。
上記実施形態では、シフタ装置1,101,201は、いわゆる左ハンドル車に適用されたが(図1参照)、右ハンドル車にも適用可能である。その場合、例えば、図2に示したパーキングスイッチ8及びインジケータ9とシフトレバー10との配置や、図2、図11、図12に示したシフトパターンの記号表示等は、左右反転させることが好ましい。
上記実施形態では、D用補正量Δ12>R用補正量Δ22の関係が成立していたが、これに代えて又はこれと共に、例えば図13に示すように、第1N用補正量Δ11>第2N用補正量Δ21の関係が成立してもよい。言い換えると、第1N用閾値X1は第2N用閾値Y1よりも小さい値に設定されている(X1<Y1)。
この構成によれば、運転者は、ドライブレンジの選択時の1回目の操作の際は、シフトレバー10が後方限界位置に到達する前にシフトレバー10をホーム位置側に戻しても、十分シフトレバー10が後方に1回傾動操作されたと判定されるけれども、リバースレンジの選択時の1回目の操作の際は、シフトレバー10がドライブレンジ選択時の1回目の操作の際に後方限界位置に近づくよりも前方限界位置に近づいた後にシフトレバー10をホーム位置側に戻さなければ、シフトレバー10が前方に1回傾動操作されたと判定されない。これによっても、車両が後退するリバースレンジの選択時は、運転者に対して慎重かつ確実な操作を促して、安全性の向上を図ることができる。
本実施形態においては、上記前方又は後方への1回目の傾動操作の後に上記シフトレバー10の傾動角度が上記閾値B又はA以下まで低下したときに(ステップS5又はS12でYES)シフトレバー10がホーム位置に復帰したことを報知する報知手段をさらに備えてもよい。これにより、運転者は、シフトレバー10がホーム位置に戻ったので、シフトレバー10を再び前方又は後方に傾動操作してよいことに気付かされる。報知手段としては、例えば、表示により視覚を通じて運転者に情報を報知するものや、音声により聴覚を通じて運転者に情報を報知するものや、振動により触覚を通じて運転者に情報を報知するもの等が好ましく採用可能である。
上記実施形態は、本発明を内燃機関からなるエンジンを備えた車両に適用したものであったが、これに限られないことはいうまでもなく、例えば、動力源として走行用モータを備え、この走行用モータで走行することが可能な電気自動車やハイブリッド自動車等にも本発明を適用することができる。