JP6165087B2 - エンジン自動停止始動装置およびエンジン自動停止始動方法 - Google Patents
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Description
アイドルストップによるエンジン停止後、車両をしばらく停車させたい場合、運転者はシフトレバーをDレンジからPレンジに入れる操作をする。DレンジからPレンジに移行する場合、途中にあるRレンジを通過する仕様の車両が多い。Rレンジは、運転者が車両を後方に移動させたい場合の操作位置であるので、車両の制御装置は、Rレンジではエンジンを再始動させる処理をする。一方、Pレンジに移行する場合、Rレンジでは簡単にエンジンが再始動しないようにすることが望ましい。
上記背景より、運転者がシフトレバーをDレンジからPレンジへ設定する場合のエンジン停止継続と、Rレンジへ設定する場合のエンジン始動開始の早期化とが両立する、車両の制御装置が望まれている。
処理装置は、シフト情報検出センサによって検出されたシフトレバーのシフト位置を移動する間の時間、及び、シフトレバーの遷移速度の、少なくともいずれか一方に基づいて再始動条件を変更する。
処理装置は、シフト情報検出センサにより検出されたシフト情報に基づいて、シフトレバーの操作が遅いと判定された場合は、シフトレバーの操作が速いと判定された場合に比べてDレンジからPレンジに至るまでの早いタイミングでエンジンを再始動するように再始動条件を変更する。
再始動ステップは、シフトレバーの操作状態を検出するシフト情報検出センサによって検出されたシフトレバーのシフト位置を移動する間の時間、及び、シフトレバーの遷移速度の、少なくともいずれか一方に基づいて再始動条件を変更するステップを含む。
車両は、シフトレバー10と、シフトレバーセンサ20と、エンジン30と、処理装置40と、記憶装置50と、を備える。
シフトレバー10は、セレクトレバー(select lever)、セレクター(selector)、ギアスティック(Gear stick)、スティックシフター/シフター(Stick shifter / Shifter)と呼ばれることもある。またシフトレバー10は、ギアレバー(Gear lever)、ギアチェンジレバー(Gear change lever)、スピードチェンジレバー(Speed change lever)、これらを略したチェンジレバーと呼ばれることもある。
シフトレバー10は、「P」、「R」、「N」、「D」、「L」の各シフト位置(レンジ位置)を備える。
Pレンジは、駐車中に使用する位置である。
Rレンジは、車両を後退走行させる場合に使用する位置である。
Nレンジは、エンジン30の駆動力を車両に伝達しないようにする位置である。
Dレンジは、車両を前進走行させる場合に使用する位置である。
Lレンジは、車両を前進走行させる場合で、強制的に低いギアを選択するときに使用する位置である。
PからLは、図2に示すようにP−R−N−D−Lの順に位置している。
シフトレバーセンサ20は、各シフト位置についてスイッチを備えたスイッチ型のセンサと、全シフトレンジにわたり電圧を検出するリニアセンサとがある。本実施形態ではスイッチ型で主に説明し、リニアセンサの場合の説明は後述する。
処理装置40は、アイドルストップ機能を実現するために、エンジン30を自動停止、自動再起動するための処理を実行する。
アイドルストップ機能など、処理装置40が備える各機能は、プログラムの実行により実現されるほか、それぞれ一つ以上の電気部品を含む専用のハードウエアとして構成することもできる。
所定のエンジン停止条件の成立によってエンジン30が停止した状態で、運転者によりシフトレバー10をDレンジからPレンジ方向へ操作された場合、途中のRレンジを検出している間でタイマーを作動させるという技術がある。タイマーが閾値を超える前にPレンジへ移行すれば、エンジン30を再始動させない。タイマーが閾値を超えた場合は運転者がシフトレバー10をRレンジへ操作する意志であると判定してエンジン30を再始動させる。すなわち、Pレンジへ移行するときに、Rレンジでタイマーを動作させることで、エンジン再始動に対するフィルタを入れる、ということができる。
一例として、DレンジからRレンジまでのシフトレバー操作が遅ければ、運転者はPレンジではなくRレンジへシフトレバー10を操作したい意志である、と判断して、処理装置40はRレンジでフィルタを入れない。また、DレンジからRレンジまでのシフトレバー操作が速ければ、運転者はRレンジではなくPレンジへシフトレバー10を操作したい意志である、と判断して、処理装置40はRレンジでフィルタを入れる。
なお、以下のタイミングチャートでは、矢印tの方向へ時間が進行するものとする。
図3は、DレンジからRレンジまでのシフトレバー操作が遅い場合の、各シフトレバースイッチ状態を示すタイミングチャートである。
時間T1が所定の閾値である閾値TDNより長い場合(数値の比較では大きい場合)は、処理装置40はDレンジからNレンジまでのシフトレバー操作速度が遅いと判定する。時間T2が所定の閾値である閾値TNRより長い場合は、処理装置40はNレンジからRレンジまでのシフトレバー操作速度が遅いと判定する。
DレンジからNレンジまでのシフトレバー操作速度と、NレンジからRレンジまでのシフトレバー操作速度とが、共に遅いと判定された場合は、処理装置40はRレンジでフィルタであるRタイマーを動作させず、ただちにエンジン30を再始動させる。
図4は、DレンジからRレンジまでのシフトレバー操作が速い場合の、各シフトレバースイッチ状態を示すタイミングチャートである。
図4はシフトレバー10がDレンジからPレンジへ移行をする間を示す。
時間T1が所定の閾値であるTDNより長い場合は、処理装置40はDレンジからNレンジまでのシフトレバー操作速度が遅いと判定する。時間T2が所定の閾値であるTNRより長い場合は、処理装置40はNレンジからRレンジまでのシフトレバー操作速度が遅いと判定する。
DレンジからNレンジまでのシフトレバー操作速度と、NレンジからRレンジまでのシフトレバー操作速度との、どちらか一方でも遅いと判定されなかった場合は、処理装置40はRレンジでフィルタであるRタイマーを動作させる。
処理装置40は、フィルタがオンの間はエンジン30を再始動させない。Rタイマーが所定の閾値である閾値TRより長くなる前に、Rスイッチがオフになれば、エンジン30を再始動させない。
図5は、比較例の動作を示すタイミングチャートである。
比較例は、DレンジからRレンジまでのシフトレバー操作速度を考慮せず、Rスイッチがオンになれば必ずRタイマーを動作させ、Rタイマーの値が閾値TRより大きくなればエンジン30を再始動させる例である。
すなわち、処理装置40は、シフトレバー10の操作が遅いと判定された場合は、シフトレバー10の操作が速いと判定された場合に比べてDレンジからPレンジに至るまでの早いタイミングでエンジン30を再始動するように再始動条件を変更する。
また、処理装置40は、シフトレバー10の操作が遅いと判定された場合は、シフトレバー10の操作が速いと判定された場合に比べて、Rレンジになってからエンジン30を再始動するまでの時間を短くするように再始動条件を変更する。
また、処理装置40は、シフトレバー10の操作が遅いと判定された場合は、シフトレバー10の操作が速いと判定された場合に比べて、Nレンジがオフになってからエンジン30を再始動するまでの時間を短くするように再始動条件を変更してもよい。
これにより、運転者が、車両を後方へ走行させたいときの迅速なエンジン再始動と、車両を駐車させたいときの違和感ない快適な操作性との、両方を実現することができる。
また、Rレンジでのタイマーの閾値TRも、余裕がない数値を選択せざるを得ない比較例より長くすることができる。
以下では、シフトレバー10の遷移速度の検出をする3つの判定処理例と、判定処理の結果に基づく2つのエンジン再始動処理例を、それぞれ説明する。
なお、フローチャートで示す各処理は、たとえば10msに1回のレートで実行される。
処理装置40が行う、NR間判定処理を説明する。
図6は、処理装置40が行うNレンジからRレンジまでの処理手順例を示すフローチャートである。
NR間判定処理は、シフトレバー10の操作により、NスイッチからRスイッチへの移行が速ければNRシフトフラグに1を設定し、NスイッチからRスイッチへの移行が遅ければNRシフトフラグに0を設定する。
ステップS120では、N_ONフラグを1にする。また、NRフラグを0にする。ステップS180へ移行する。
ステップS140では、Rスイッチがオフかを判定する。RスイッチがオンであればステップS190へ移行する。RスイッチがオフであればステップS150へ移行する。
ステップS160では、NRフラグを1にする。また、N_ONフラグを0にする。ステップS170へ移行する。
ステップS180では、NRタイマーを0にすることによりクリアする。その後終了する。
ステップS190はRスイッチがオンの場合の処理である。ステップS190では、NRタイマーをストップする。また、NRフラグを0にする。ステップS200へ移行する。
ステップS210では、NRシフトフラグを1にする。ステップS180へ移行する。
ステップS220ではNRシフトフラグを0にする。ステップS180へ移行する。
処理装置40が行う、NレンジからRレンジまでの処理を説明する。
図7は、処理装置40が行うDレンジからNレンジまでの処理手順例を示すフローチャートである。
DN間判定処理は、シフトレバー10の操作により、DスイッチからNスイッチへの移行が速ければDNシフトフラグに1を設定し、DスイッチからNスイッチへの移行が遅ければDNシフトフラグに0を設定する。
ステップS320では、D_ONフラグを1にする。また、DNフラグを0にする。ステップS380へ移行する。
ステップS340では、Nスイッチがオフかを判定する。NスイッチがオンであればステップS390へ移行する。NスイッチがオフであればステップS350へ移行する。
ステップS360では、DNフラグを1にする。また、D_ONフラグを0にする。ステップS370へ移行する。
ステップS380では、DNタイマーを0にすることによりクリアする。その後終了する。
ステップS390はNスイッチがオンの場合の処理である。ステップS390では、DNタイマーをストップする。また、DNフラグを0にする。ステップS400へ移行する。
ステップS410では、DNシフトフラグを1にする。ステップS380へ移行する。
ステップS420ではDNシフトフラグを0にする。ステップS380へ移行する。
処理装置40が行う、Nレンジ継続時間判定処理を説明する。
処理装置40は、DN間判定処理でシフト遷移速度が速いと判定され、DNシフトフラグが1に設定されていても、Nスイッチがオンの状態が長時間経過した場合は、DNシフトフラグを0にする。すなわち、DレンジからNレンジへの移行が速くても、Nレンジでの時間が長ければ、遅いシフト操作と判定する。
これにより、Nレンジが所定時間継続した場合にはDN間の判定結果は有効でないため、判定結果であるDNシフトフラグを0に初期化することで誤判断を防止することができる。
Nスイッチがオンの状態であるときにNレンジ継続時間判定処理が実行される。
なお、Nレンジ継続時間判定処理は、図7のステップS410でDNシフトフラグを1に設定したあとに実行してもよい。
N経過時間判定処理では、Nタイマーを使用する。Nタイマーは、記憶装置50に格納されている。
ステップS520では、Nタイマーをインクリメントすることにより、カウントアップをする。ステップS530へ移行する。
ステップS540では、NRシフトフラグを0にする。その後終了する。
処理装置40が行う、Rレンジでのエンジン再始動処理の第1実施例を説明する。
図9は、処理装置40が行うエンジン再始動処理の第1実施例を示すフローチャートである。
エンジン再始動処理の第1実施例は、DレンジからNレンジの移行速度と、NレンジからRレンジへの移行速度とが共に遅い場合と、Nレンジで所定時間経過した場合に、Rスイッチオン時にエンジン30を再始動させる。
エンジン再始動処理の第1実施例では、Rタイマーを使用する。Rタイマーは、記憶装置50に格納されている。
ステップS610では、処理装置40は、Lスイッチと、Dスイッチと、Nスイッチと、Pスイッチの、いずれかがオンか否か判定する。いずれかのスイッチがオンであれば、ステップS680へ移行する。これら4つのスイッチが全てオフであればステップS620へ移行する。
ステップS620では、Rスイッチがオンかを判定する。RスイッチがオンであればステップS630へ移行する。RスイッチがオフであればステップS680へ移行する。
ステップS650では、Rタイマーをインクリメントすることにより、カウントアップをする。ステップS660へ移行する。
次にステップS680へ移行する。
ステップS680では、Rタイマーを0にすることによりクリアする。その後終了する。
処理装置40が行う、Rレンジでのエンジン再始動処理の第2実施例を説明する。
図10は、処理装置40が行うエンジン再始動処理の第2実施例を示すフローチャートである。
エンジン再始動処理の第2実施例は、DレンジからNレンジの移行速度が遅い場合と、NレンジからRレンジまでで所定時間経過した場合に、Rスイッチのオンの検出を待たずにエンジン30を再始動させる。
エンジン再始動処理の第2実施例では、NR2タイマーを使用する。NR2タイマーは、記憶装置50に格納されている。
ステップS710では、処理装置40は、Lスイッチと、Dスイッチと、Pスイッチの、いずれかがオンか否か判定する。いずれかのスイッチがオンであれば、ステップS770へ移行する。これら3つのスイッチが全てオフであればステップS720へ移行する。
ステップS720では、Nスイッチがオンかを判定する。NスイッチがオンであればステップS730へ移行する。NスイッチがオフであればステップS770へ移行する。
ステップS740では、NR2タイマーをインクリメントすることにより、カウントアップをする。ステップS750へ移行する。
次にステップS770へ移行する。
ステップS770では、NR2タイマーを0にすることによりクリアする。その後終了する。
シフト情報検出センサとして、シフトレバーセンサ20にリニアセンサを使用する場合は、シフトレバー10の位置を、点ではなく所定の範囲内でP、R、N、D、Lの各位置を検出する。
リニアセンサの場合、センサの所定の範囲をNスイッチやRスイッチなどと対応させる。
図11の矢印Vの方向に検出する電圧が高くなるものとする。
リニアセンサはシフトレバー10がD位置からP位置まで、各位置に応じた電圧を出力する。
なお、図11では簡単のため、L位置を省略している。Lレンジがある場合は、電圧がLS1以下の範囲で、さらにDレンジとLレンジが設定される。
シフトレバーセンサ20にリニアセンサを用いた場合、DレンジからNレンジまでなどの各レンジ間をさらに何分割かして、その分割化した位置間の時間を計ることにより、シフトレバー操作の遷移速度を判定し、上述したエンジン30の再始動条件を変更する構成とすることもできる。
図12は、リニアセンサを用いた場合の、処理装置40付近の概略構成例を示すブロック図である。
リニアセンサ110で検出された電圧はA/Dコンバータ120でデジタルデータに変換され、処理装置40へ送信される。処理装置40では、シフトレバー位置判定処理ユニット130を内部に備える。シフトレバー位置判定処理ユニット130は、デジタルデータに変換されたデジタル値を、前述したLS1などの電圧に相当する値と比較することで各シフト位置を判定する。
また、NRタイマーなど各タイマーのカウントアップは各処理内で実施したが、別途専用のタイマーユニットを使用してもよい。
また、シフトレバー10の遷移速度を直接的に検知できるシフト情報検出センサを使用してもよい。
また、上述した各閾値は固定値でもよいし、変更可能にしてもよい。各閾値を変更可能にするためには、記憶装置50に格納され、運転者による入力操作により変更できるようにしてもよいし、各種運転状況により変更できるようにしてもよい。
Claims (7)
- 少なくともDレンジから、Nレンジ、Rレンジを経てPレンジまで操作されるシフトレバーの操作状態を検出するシフト情報検出センサと、
所定の停止条件の成立によりエンジンを停止し、所定の再始動条件の成立によりエンジンを再始動する処理装置と、を備え、
前記処理装置は、
前記シフト情報検出センサによって検出された前記シフトレバーのシフト位置を移動する間の時間及びその遷移速度の少なくともいずれか一方に基づいて前記シフトレバーの操作が遅いまたは速いと判定し、前記シフトレバーの操作が遅いと判定された場合は、前記Dレンジから前記Rレンジに至るまでの早いタイミングで前記エンジンを再始動するまたは前記Rレンジになってからただちに前記エンジンを再始動するように前記再始動条件を変更する、
エンジン自動停止始動装置。 - 前記処理装置は、
前記シフトレバーの操作が速いと判定された場合は、前記シフトレバーの操作が遅いと判定された場合に比べて、前記Rレンジになってから前記エンジンを再始動するまでの時間を長くする、及び、前記Nレンジがオフになってから前記エンジンを再始動するまでの時間を長くする、の少なくともいずれか一方をするように前記再始動条件を変更する、
請求項1記載のエンジン自動停止始動装置。 - 前記処理装置は、
前記シフトレバーの操作が遅いと判定された場合は、前記Nレンジがオフになってから前記Rレンジがオンとなる前に前記エンジンを再始動するように前記再始動条件を変更する、
請求項1記載のエンジン自動停止始動装置。 - 前記シフトレバーの操作の判定は、前記Dレンジから前記Nレンジに至るまでの時間、及び、前記Nレンジから前記Rレンジに至るまでの時間の、少なくともいずれか一方によって判定する、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンジン自動停止始動装置。 - 前記シフトレバーが遷移する速度は、前記シフトレバーの遷移速度を検知できるセンサにより判定される、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンジン自動停止始動装置。 - 前記処理装置は、
前記Nレンジであることが所定時間以上継続した場合、前記Dレンジから前記Nレンジに至るまでの前記シフトレバーの操作の判定を初期化する、
請求項1または2に記載のエンジン自動停止始動装置。 - 処理装置が行うエンジン自動停止始動方法であって、
所定の停止条件の成立によりエンジンを停止する停止ステップと、
所定の再始動条件の成立によりエンジンを再始動する再始動ステップと、を備え、
前記再始動ステップは、
少なくともDレンジから、Nレンジ、Rレンジを経てPレンジまで操作されるシフトレバーの操作状態を検出するシフト情報検出センサにより検出された前記シフトレバーのシフト位置を移動する間の時間及びその遷移速度の少なくともいずれか一方に基づいて前記シフトレバーの操作が遅いまたは速いと判定し、前記シフトレバーの操作が遅いと判定された場合は、前記Dレンジから前記Rレンジに至るまでの早いタイミングで前記エンジンを再始動するまたは前記Rレンジになってからただちに前記エンジンを再始動するように前記再始動条件を変更するステップを含む、
エンジン自動停止始動方法。
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