JP2008007045A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイブリッド車両においてシフトポジションが切り替えられる際に発生する異音を抑制する。
【解決手段】HV_ECUは、エンジンが駆動中であり(S100にてYES)、シフトレバー1200の位置がPポジションであると(S110にてYES)、Rポジションに切り替えられたか否かを判断するステップ(S120)と、Rポジションに切り替えられると(S120にてYES)、エンジン停止指令をエンジンECUに送信することを確定するステップ(S130)と、Nポジションに切り替えられると(S150にてYES)、Nポジションに切り替えられてから予め定められた時間T(1)経過後に、エンジン停止指令をエンジンECU280に送信するステップ(S160)とを含むプログラムを実行する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関し、特に、ハイブリッド車両に搭載されるエンジンの制御に関する。
エンジンと電動機とを動力源とするハイブリッド車両には、発電機の機能を兼ね備えた電動機(モータジェネレータ)を用いたものがある。ハイブリッド車両においては、たとえば、遊星歯車機構が搭載され、ピニオンギヤにエンジンの出力軸が、サンギヤに第1の電動機の回転軸が、リングギヤに駆動軸を介して第2の電動機の回転軸が、それぞれ結合される。この遊星歯車機構により、エンジンの出力は駆動軸と第1の電動機とに分割して伝達される。停止状態の車両を発進させる際には、出力効率が悪いエンジンの駆動力を用いずに、第2の電動機のみで駆動軸を回転させて車両を発進させる。したがって、車両停止時には、エンジンは通常停止している。しかし、バッテリの残容量が少ない場合には、車両停止時であってもエンジンを駆動させて第1の電動機で発電した電力をバッテリに充電する必要がある。
このような車両停止時であってもエンジンを駆動させて発電した電力をバッテリに充電する技術に関して、特開2005−105950号公報(特許文献1)に開示された技術がある。
特許文献1に開示された自動車は、内燃機関(エンジン)を備える自動車であって、内燃機関からの動力の少なくとも一部を用いて発電するための発電手段と、発電手段からの発電電力を蓄電するための蓄電手段(バッテリ)と、内燃機関が所定の負荷運転可能状態にあるか否かを推定するための推定手段と、蓄電手段への充電が要求されたとき、充電の要求に拘わらず推定手段により内燃機関が所定の負荷運転可能状態にあると推定されるまで蓄電手段への充電が制限されるよう内燃機関と発電手段とを制御するための制御手段とを含む。
この公報に開示された自動車によると、たとえば、シフトポジションが停止ポジションである場合に、蓄電手段の残容量が少なくなって蓄電手段への充電が要求されると、内燃機関が所定の負荷運転可能状態にあると推定されるまでは、蓄電手段への充電が制限される。内燃機関が所定の負荷運転可能状態にあると推定されると、内燃機関からの動力の一部を用いて発電手段が発電した電力が蓄電手段に充電される。これにより、エンジンの負荷が高い場合に内燃機関の負荷が増加することを抑制しつつ、車両停止時に内燃機関を駆動させて発電した電力をバッテリに充電することができる。
特開2005−105950号公報
ところで、ハイブリッド車両においては、上述のように停止ポジションであってエンジンが駆動している場合であっても、シフトポジションが後退ポジションに切り替えられた場合には、エンジンを停止して電動機の駆動力のみで車両を後退させる。そのため、従来は、シフトポジションが後退ポジションに切り替えられたときに、エンジンを停止する制御信号が出力されていた。また、シフトポジションがニュートラルポジションになると、駆動力を発生させないようにするため、電動機を制御する信号が遮断され、電動機のトルクが略零に制御される。
シフトポジションは、運転者により操作されるシフトレバーによって切り替えられる。シフトレバーは、停止ポジション(Pポジション)、後退ポジション(Rポジション)、ニュートラルポジション(Nポジション)、および前進ポジション(Dポジション)の順に移動するように構成される場合が多い。そのため、運転者が停止中の車両を走行させるために、シフトレバーをPポジションからDポジションに移動する操作を行なう際、シフトレバーは一時的にRポジション、Nポジションを通過する。このようなシフトレバーの操作がPポジションにおいてエンジンが駆動していた場合に行なわれると、Rポジションでエンジンの停止が開始され、エンジントルクが低下し始める。さらに、エンジンが完全に停止する前に、Nポジションに切り替えられると、エンジントルク低下途中に電動機のトルクが略零に制御される。このため、遊星歯車機構を構成するギヤ同士の押付け力が低くなってギヤが振動し、異音が生じるという問題が発生し得る。
しかしながら、特許文献1に開示された自動車においては、このような異音の発生を抑制する技術については考慮されていない。
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであって、その目的は、ハイブリッド車両においてシフトポジションが切り替えられる際に発生する異音を抑制する制御装置を提供することである。
第1の発明に係る制御装置は、シフトポジションが停止ポジションであるときに内燃機関を駆動する場合があり、シフトポジションがニュートラルポジションであると電動機のトルクが略零に制御されるハイブリッド車両の制御装置である。車両は、第1のギヤに内燃機関の出力軸が、第2のギヤに電動機の回転軸が、第3のギヤに駆動軸が、それぞれ結合されるギヤ機構を備える。制御装置は、シフトポジションが後退ポジションであると、内燃機関を停止すると判定するための手段と、後退ポジションおよびニュートラルポジションに関するシフトポジションの推移に基づいて、内燃機関を停止し始める開始時間を設定するための設定手段とを含む。
第1の発明によると、シフトポジションが後退ポジションに切り替えられると、内燃機関を停止すると判定される。後退ポジションおよびニュートラルポジションに関するシフトポジションの推移に基づいて、内燃機関を停止し始める開始時間が設定される。たとえば、シフトポジションが後退ポジションからニュートラルポジションに切り替えられた場合に、ニュートラルポジションに切り替えられた時から予め定められた時間(この時間は、ニュートラルポジションからニュートラルポジション以外に切り替えられるのに十分に長い時間である)が経過した時が開始時間として設定される。そのため、内燃機関を停止し始める開始時間においてシフトポジションがニュートラルポジション以外のポジションであると、内燃機関はニュートラルポジション以外のポジションで停止し始める。そのため、内燃機関のトルクが低下している際に電動機のトルクが略零に制御されることが抑制される。これにより、内燃機関の出力軸が結合される第1のギヤと電動機の回転軸が結合される第2のギヤとの押付け力が低くなることによるギヤの振動を抑制することができる。その結果、ハイブリッド車両においてシフトポジションが切り替えられる際に発生する異音を抑制することができる。
第2の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、設定手段は、シフトポジションが後退ポジションからニュートラルポジションに切り替えられた場合に、ニュートラルポジションに切り替えられた時から予め定められた時間が経過した時を、開始時間として設定するための手段を含む。
第2の発明によると、シフトポジションが後退ポジションからニュートラルポジションに切り替えられた場合に、ニュートラルポジションに切り替えられた時から予め定められた時間が経過した時が、開始時間として設定される。そのため、予め定められた時間を経過する前にニュートラルポジションからニュートラルポジション以外に切り替えられるように時間を設定すると、内燃機関はニュートラルポジション以外のポジションで停止し始める。これにより内燃機関のトルクが低下している際に電動機のトルクが略零に制御されることを抑制することができる。
第3の発明に係る制御装置においては、第1の発明の構成に加えて、設定手段は、内燃機関の駆動中にシフトポジションが停止ポジションから後退ポジションに切り替えられ、かつ後退ポジションからニュートラルポジションに切り替えられた場合に、ニュートラルポジションに切り替えられた時から予め定められた時間が経過した時を、開始時間として設定するための手段を含む。
第3の発明によると、内燃機関の駆動中にシフトポジションが停止ポジションから後退ポジションに切り替えられ、かつ後退ポジションからニュートラルポジションに切り替えられた場合に、ニュートラルポジションに切り替えられた時から予め定められた時間が経過した時が、開始時間として設定される。たとえば、シフトポジションが一時的に後退ポジション、ニュートラルポジションを経由して前進ポジションに切り替えられる場合を想定する。この場合、予め定められた時間を経過する前にニュートラルポジションを既に経由し終えているように時間を設定すると、内燃機関は前進ポジションにおいて停止し始める。これにより、内燃機関のトルクが低下している際に電動機のトルクが略零に制御されることを抑制することができる。そのため、シフトポジションが停止ポジション、後退ポジション、ニュートラルポジションの順に切り替えられた場合に発生する異音を抑制することができる。
第4の発明に係る制御装置においては、第2または第3の発明の構成に加えて、予め定められた時間は、第1の時間である。設定手段は、シフトポジションが後退ポジションに切り替えられてから予め定められた第2の時間が経過するまでにニュートラルポジションに切り替えられない場合は、後退ポジションに切り替えられてから第2の時間が経過した時を、開始時間として設定するための手段を含む。
第4の発明によると、シフトポジションが後退ポジションに第2の時間を超えて保持される場合は、ニュートラルポジションを経由して前進ポジションに切り替えられるのではなく、そのまま後退ポジションに保持されるものとして、第2の時間を超えた時に内燃機関の停止が開始される。そのため、必要以上に内燃機関を駆動することを抑制して燃費を向上させるとともに、電動機により速やかに車両を後退させることができる。
第5の発明に係る制御装置においては、第4の発明の構成に加えて、シフトポジションはシフトレバーによって切り替えられる。シフトレバーは、停止ポジション、後退ポジション、ニュートラルポジション、前進ポジションの順に移動するように構成される。第1の時間は、シフトレバーが停止ポジションから前進ポジションに移動される際に、後退ポジションを通過する時間に基づいて定められる。第2の時間は、シフトレバーが停止ポジションから前進ポジションに移動される際に、ニュートラルポジションを通過する時間に基づいて定められる。
第5の発明によると、シフトレバーは、停止ポジション、後退ポジション、ニュートラルポジション、前進ポジションの順に移動するように構成される。そのため、シフトレバーが停止ポジションから前進ポジションに移動される場合、必ず一時的に後退ポジション、ニュートラルポジションを通過する。第1の時間は、シフトレバーが停止ポジションから前進ポジションに移動される際に、ニュートラルポジションを通過する時間に基づいて定められる。たとえば、第1の時間は、シフトレバーが停止ポジションから前進ポジションに移動される際のニュートラルポジションの通過時間をサンプリングし、サンプリングした時間のうちの最長時間に設定される。そのため、ニュートラルポジションを通過し終えた後に、内燃機関の停止を開始することができる。第2の時間は、シフトレバーが停止ポジションから前進ポジションに移動される際に、ニュートラルポジションを通過する時間に基づいて定められる。たとえば、第2の時間は、シフトレバーが停止ポジションから前進ポジションに移動される際の後退ポジションの通過時間をサンプリングし、サンプリングした時間のうちの最長時間に設定される。そのため、シフトポジションが後退ポジションを経由しているだけであるのか、それとも後退ポジションに保持されているのかを適切に判断して、内燃機関の停止を開始することができる。
第6の発明に係る制御装置においては、第1〜第5のいずれかの発明の構成に加えて、ギヤ機構は、遊星歯車機構である。第1のギヤはピニオンギヤであり、第2のギヤはサンギヤであり、第3のギヤはリングギヤである。電動機は、第1の電動機であり、リングギヤには、駆動軸を介して第2の電動機の回転軸が結合される。
第6の発明によると、ギヤ機構は、遊星歯車機構である。内燃機関の出力軸がプラネタリギヤに、第1の電動機の回転軸がサンギヤに、第2の電動機の回転軸がリングギヤに、それぞれ結合される。そのため、ピニオンギヤとサンギヤとの押付け力、ピニオンギヤとリングギヤとの押付け力が低くなることによるギヤの振動を抑制することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御装置を含むハイブリッド車両全体の制御ブロック図を説明する。なお、本発明に係る制御装置を適用できる車両は、図1に示すハイブリッド車両に限定されない。本発明に係る制御装置は、ガソリンエンジン等の内燃機関(以下、エンジンと記載する)の出力軸に結合されるギヤとモータジェネレータの回転軸に結合されるギヤとが噛み合う機構を有するハイブリッド車両であれば適用できる。
ハイブリッド車両は、エンジン120と、モータジェネレータ(MG)140とを含む。なお、以下においては、説明の便宜上、モータジェネレータ140を、モータジェネレータ140A(またはMG(2)140A)と、モータジェネレータ140B(またはMG(1)140B)と表現するが、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、モータジェネレータ140Aがジェネレータとして機能したり、モータジェネレータ140Bがモータとして機能したりする。このモータジェネレータがジェネレータとして機能する場合に回生制動が行なわれる。モータジェネレータがジェネレータとして機能するときには、車両の運動エネルギが電気エネルギに変換されて、車両が減速される。
ハイブリッド車両は、この他に、エンジン120やモータジェネレータ140で発生した動力を駆動輪160に伝達したり、駆動輪160の駆動をエンジン120やモータジェネレータ140に伝達したりする減速機180と、エンジン120の発生する動力を駆動輪160とモータジェネレータ140B(MG(1)140B)との2経路に分配する動力分割機構(たとえば、後述する遊星歯車機構)200と、モータジェネレータ140を駆動するための電力を充電する走行用バッテリ220と、走行用バッテリ220の直流とモータジェネレータ140A(MG(2)140A)およびモータジェネレータ140B(MG(1)140B)の交流とを変換しながら電流制御を行なうインバータ240と、走行用バッテリ220の充放電状態(たとえば、SOC(State Of Charge))を管理制御するバッテリ制御ユニット(以下、バッテリECU(Electronic Control Unit)という)260と、エンジン120の動作状態を制御するエンジンECU280と、ハイブリッド車両の状態に応じてモータジェネレータ140およびバッテリECU260、インバータ240等を制御するMG_ECU300と、バッテリECU260、エンジンECU280およびMG_ECU300等を相互に管理制御して、ハイブリッド車両が最も効率よく運行できるようにハイブリッドシステム全体を制御するHV_ECU320等を含む。
本実施の形態において、走行用バッテリ220とインバータ240との間には昇圧コンバータ242が設けられている。これは、走行用バッテリ220の定格電圧が、モータ140A(MG(2)140A)やモータジェネレータ140B(MG(1)140B)の定格電圧よりも低いので、走行用バッテリ220からモータジェネレータ140A(MG(2)140A)やモータジェネレータ140B(MG(1)140B)に電力を供給するときには、昇圧コンバータ242で電力を昇圧する。
動力分割機構200は、エンジン120の動力を、駆動輪160とモータジェネレータ140B(MG(1)140B)との両方に振り分けるために、遊星歯車機構(プラネタリギヤ)が使用される。モータジェネレータ140B(MG(1)140B)の回転数を制御することにより、動力分割機構200は無段変速機としても機能する。エンジン120の回転力はキャリア(C)に入力され、それがサンギヤ(S)によってモータジェネレータ140B(MG(1)140B)に、リングギヤ(R)によってモータジェネレータ140A(MG(2)140A)および出力軸(駆動輪160側)に伝えられる。回転中のエンジン120を停止させる時には、エンジン120が回転しているので、この回転の運動エネルギをモータジェネレータ140B(MG(1)140B)で電気エネルギに変換して、エンジン120の回転数を低下させる。
さらに、ハイブリッド車両は、車速センサ1100と、シフトレバー1200のシフトポジションセンサ1300と、エンジン回転数センサ1400とを含む。車速センサ1100、シフトポジションセンサ1300およびエンジン回転数センサ1400は、ハーネスなどを介してHV_ECU320に接続されている。
車速センサ1100は、ドライブシャフトの回転数から車両の速度を算出し、算出結果を表わす信号をHV_ECU320に送信する。
シフトポジションセンサ1300は、シフトレバー1200の位置を検知し、検知結果を表わす信号をHV_ECU320に送信する。シフトレバー1200は、停止ポジション(Pポジション)、後退ポジション(Rポジション)、ニュートラルポジション(Nポジション)、前進ポジション(Dポジション)の順に移動するように構成されている。
エンジン回転数センサ1400は、エンジン120の出力軸であるクランクシャフトの回転数(エンジン回転数NE)を検知し、検知結果を表わす信号をHV_ECU320に送信する。
HV_ECU320は、車速センサ1100、シフトポジションセンサ1300、エンジン回転数センサ1400、ROM(Read Only Memory)に記憶されたマップおよびプログラムに基づいて、車両が所望の走行状態となるように、機器類を制御する。具体的には、HV_ECU320は、エンジン120を制御する信号をエンジンECU280に送信する。HV_ECU320は、モータジェネレータ140、バッテリECU260、およびインバータ240等を制御する信号を、MG_ECU300に送信する。なお、図1においては、各ECUを別構成としているが、2個以上のECUを統合したECUとして構成してもよい(たとえば、図1に、点線で示すように、MG_ECU300とHV_ECU320とを統合したECUとすることがその一例である)。
図2を参照して、動力分割機構200についてさらに説明する。動力分割機構200は、サンギヤ(S)202と(以下、単にサンギヤ202と記載する)、ピニオンギヤ204と、キャリア(C)206(以下、単にキャリア206と記載する)と、リングギヤ(R)208(以下、単にリングギヤ208と記載する)とを含む遊星歯車から構成される。
ピニオンギヤ204は、サンギヤ202およびリングギヤ208と係合する。キャリア206は、ピニオンギヤ204が自転可能であるように支持する。サンギヤ202はMG(1)140Bの回転軸に連結される。キャリア206はエンジン120の出力軸であるクランクシャフトに連結される。リングギヤ208はMG(2)140Aの回転軸および減速機180に連結される。
図1に示すようなハイブリッドシステムを搭載するハイブリッド車両においては、車両の状態について予め定められた条件が成立すると、HV_ECU320は、モータジェネレータ140のモータジェネレータ140A(MG(2)140A)のみによりハイブリッド車両の走行を行なうようにモータジェネレータ140A(MG(2)140A)およびエンジンECU280を介してエンジン120を制御する。たとえば、予め定められた条件とは、走行用バッテリ220のSOCが予め定められた値以上であるという条件等である。このようにすると、発進時や低速走行時等であってエンジン120の効率が悪い場合に、モータジェネレータ140A(MG(2)140A)のみによりハイブリッド車両の走行を行なうことができる。この結果、走行用バッテリ220のSOCを低下させることができる(その後の車両停止時に走行用バッテリ220を充電することができる)。
また、通常走行時には、たとえば動力分割機構200によりエンジン120の動力を2経路に分け、一方で駆動輪160の直接駆動を行ない、他方でモータジェネレータ140B(MG(1)140B)を駆動して発電を行なう。この時、発生する電力でモータジェネレータ140A(MG(2)140A)を駆動して駆動輪160の駆動補助を行なう。また、高速走行時には、さらに走行用バッテリ220からの電力をモータジェネレータ140A(MG(2)140A)に供給してモータジェネレータ140A(MG(2)140A)の出力を増大させて駆動輪160に対して駆動力の追加を行なう。
一方、減速時には、駆動輪160により従動するモータジェネレータ140A(MG(2)140A)がジェネレータとして機能して回生発電を行ない、回収した電力を走行用バッテリ220に蓄える。なお、走行用バッテリ220の充電量が低下し、充電が特に必要な場合には、エンジン120の出力を増加してモータジェネレータ140B(MG(1)140B)による発電量を増やして走行用バッテリ220に対する充電量を増加する。
また、走行用バッテリ220の目標SOCはいつ回生が行なわれてもエネルギが回収できるように、通常は60%程度に設定される。また、SOCの上限値と下限値とは、走行用バッテリ220のバッテリの劣化を抑制するために、たとえば、上限値を80%とし、下限値を30%として設定され、HV_ECU320は、MG_ECU300を介してSOCが上限値および下限値を越えないようにモータジェネレータ140による発電や回生、モータ出力を制御している。なお、ここで挙げた値は、一例であって特に限定される値ではない。
さらに、HV_ECU320は、エンジンECU280やMG_ECU300に制御信号を送信して、エンジン120、モータジェネレータ140を、シフトレバー1200の位置に応じて以下のように制御する。
シフトレバー1200の位置がPポジションである場合、HV_ECU320は、通常はエンジン120、モータジェネレータ140をそれぞれ停止する。走行用バッテリ220の充電量が下限値より低い場合には、HV_ECU320は、Pポジションであってもエンジン120を駆動する。動力分割機構200を介してモータジェネレータ140B(MG(1)140B)に伝達されるエンジン120の動力により、モータジェネレータ140B(MG(1)140B)に発電させる。発生した電力は走行用バッテリ220に充電される。
シフトレバー1200の位置がRポジションである場合、HV_ECU320は、モータジェネレータ140A(MG(2)140A)の出力のみでハイブリッド車両を後退させるようにモータジェネレータ140A(MG(2)140A)を駆動する。この際に行なわれるエンジン120停止処理の詳細については後述する。
シフトレバー1200の位置がNポジションである場合、HV_ECU320は、ハイブリッド車両の駆動力をニュートラル状態とするために、モータジェネレータ140のトルクを略零に制御する。具体的には、HV_ECU320は、MG_ECU300からインバータ240に送信されるモータ制御信号を遮断するように、MG_ECU300へ指令信号を送信する。
シフトレバー1200の位置がDポジションである場合、HV_ECU320は、ハイブリッド車両を前進走行させるため、モータジェネレータ140A(MG(2)140A)を駆動する。
以上のような制御がHV_ECU320により行なわれるハイブリッド車両において、エンジン120の駆動中にPポジションにおいて停止している車両を前進させるために、運転者がシフトレバー1200をDポジションに移動する操作を行なう際、シフトレバーは一時的にRポジション、Nポジションを通過する。従来においては、Rポジションに切り替えられた時点でエンジン120の停止が開始されていた。さらに、エンジン120が完全に停止する前に、Nポジションに切り替えられるため、エンジン120のトルクが低下している際に、モータジェネレータ140のトルクが略零に制御される。そのため、ピニオンギヤ204とサンギヤ202との押付け力、およびピニオンギヤ204とリングギヤ208との押付け力が低くなって各ギヤが振動し、動力分割機構200で異音が生じる場合があった。
このような不具合を解消するために、本実施の形態に係るハイブリッド車両の制御装置においては、以下に述べる制御を実行することにより、シフトレバー1200が切り替えられる際に発生する異音を抑制する。
図3を参照して、本実施の形態に係る制御装置を構成するHV_ECU320で実行されるプログラムの制御構造について説明する。
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、HV_ECU320は、エンジン回転数センサ1400から送信されるエンジン回転数NEに基づいて、エンジン120が駆動中であるか否かを判断する。HV_ECU320は、たとえば、エンジン回転数NEが予め定められた値以上であるときに、エンジンが駆動中であると判断する。エンジンが駆動中であると(S100にてYES)、処理はS110に移される。そうでないと(S100にてNO)、処理はS100に戻される。
S110にて、HV_ECU320は、シフトポジションセンサ1300から送信される信号に基づいて、シフトレバー1200の位置がPポジションであるか否かを判断する。Pポジションであると(S110にてYES)、処理はS120に移される。そうでないと(S110にてNO)、処理はS100に戻される。
S120にて、HV_ECU320は、シフトポジションセンサ1300から送信される信号に基づいて、シフトレバー1200の位置がRポジションに切り替えられたか否かを判断する。Rポジションに切り替えられると(S120にてYES)、処理はS130に移される。そうでないと(S120にてNO)、処理はS120に戻される。
S130にて、HV_ECU320は、エンジン120を停止する指令(エンジン停止指令)をエンジンECU280に送信することを確定する。
S140にて、HV_ECU320は、シフトレバー1200の位置がRポジション切り替え後の経過時間Tを検知する。
S150にて、HV_ECU320は、シフトレバー1200の位置がNポジションに切り替えられたか否かを判断する。なお、HV_ECU320は、シフトレバー1200の位置がRポジション以外の位置に切り替えられたか否かを判断してもよい。Nポジションに切り替えられると(S150にてYES)、処理はS160に移される。そうでないと(S150にてNO)、処理はS170に移される。
S160にて、HV_ECU320は、Nポジションに切り替えられてから予め定められた時間T(1)(第1の時間)経過後に、エンジン停止指令をエンジンECU280に送信する。時間T(1)は、シフトレバー1200がPポジションからDポジションに移動される際のNポジションの通過時間をサンプリングし、サンプリングした時間のうちの最長時間に設定される。なお、時間T(1)の設定方法はこれに限定されない。たとえば、時間T(1)を、サンプリングした時間の中央値に標準偏差を定数倍した値を加算した時間に設定してもよい。
S170にて、HV_ECU320は、経過時間Tが予め定められた時間T(0)(第2の時間)より長いか否かを判断する。時間T(0)は、シフトレバー1200がPポジションからDポジションに移動される際のRポジションの通過時間をサンプリングし、サンプリングした時間のうちの最長時間に設定される。なお、時間T(0)の設定方法はこれに限定されない。たとえば、時間T(0)を、サンプリングした時間の中央値に標準偏差を定数倍した値を加算した時間に設定してもよい。予め定められた時間T(0)より長いと(S170にてYES)、処理はS180に移される。そうでないと(S170にてNO)、処理はS140に戻される。
S180にて、HV_ECU320は、エンジン停止指令をエンジンECU280に送信する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置の動作について説明する。
エンジン120の駆動中(S100にてYES)に、シフトレバー1200の位置がPポジションであると(S110にてYES)、Rポジションに切り替えられたか否かが判断される(S120)。
ここで、まず、図4に示すように、運転者が車両を前進させるために、時刻TRでRポジションに、時刻TNでNポジションに、時刻TDでDポジションに、シフトレバー1200の位置を切り替えた場合の動作について説明する。
従来においては、Rポジションに切り替わった時刻TRでエンジン120の停止が開始され、エンジントルクが低下し始める(図4の一点鎖線)。運転者はDポジションに切り替えようとしているため、シフトレバー1200の位置は、Rポジションで停滞せず、すぐにNポジションに切り替えられる。そのため、エンジン120が完全に停止しておらず、エンジン120のトルクが低下している時刻TNでNポジションに切り替えられて、モータジェネレータ140へのモータ制御信号が遮断される。これにより、ギヤ同士の押付け力が低くなり、ギヤの振動による異音が生じるおそれがあった。
そこで、本実施の形態に係る制御装置においては、時刻TRでRポジションに切り替えられると(S120にてYES)、エンジン停止指令をエンジンECU280に送信することが確定される(S130)。Rポジション切り替え後の経過時間Tが検知される(S140)。経過時間Tが予め定められた時間T(0)を経過するまでは(S170にてNO)、経過時間Tが継続して検知され(S140)、Nポジションに切り替えられたか否かが判断される(S150)。時刻TNでNポジションに切り替えられると(S150にてYES)。時刻TNから予め定められた時間T(1)経過後の時刻TE(1)に、エンジン停止指令がエンジンECU280に送信されて(S160)、エンジン120が停止し始める。すなわち、時刻TRでエンジン停止指令が確定してから時刻TE(1)までの区間は、エンジン停止指令が送信されることが禁止される。
時間T(1)は、シフトレバー1200がPポジションからDポジションに移動される際のNポジションの通過時間をサンプリングし、サンプリングした時間のうちの最長時間である。そのため、エンジン120が停止し始める時刻TE(1)においては、既にDポジションに切り替えられている。これにより、モータジェネレータ140への制御信号が遮断される時刻TNから時刻TDまでの間に、エンジン120の出力トルクが低下することを抑制できる。これにより、エンジン120が連結されるピニオンギヤ204とMG(1)140Bの回転軸が連結されるサンギヤ202との押付け力、ピニオンギヤ204とMG(2)140Aの回転軸が連結されるリングギヤ208との押付け力が低くなることによるギヤの振動を抑制することができる。そのため、シフトレバー1200の位置が切り替えられる際に発生する異音を抑制することができる。
次に、図5に示すように、運転者が車両を後退させるために、時刻TRでRポジションに切り替えたまま、Rポジションに保持される場合の動作について説明する。
時刻TRでRポジションに切り替えられると(S120にてYES)、エンジン停止指令をエンジンECU280に送信することが確定される(S130)。Rポジション切り替え後の経過時間Tが検知される(S140)。時刻TRから時間T(0)を経過するまでは(S170にてNO)、経過時間Tが継続して検知され(S140)、Nポジションに切り替えられたか否かが判断される(S150)。Nポジションに切り替えられないまま(S150にてNO)、時刻TRから時間T(0)を経過したため(S170にてYES)、時刻TRから時間T(0)を経過した時刻TE(2)に、エンジン停止指令がエンジンECU280に送信されて(S180)、エンジン120が停止し始める。すなわち、時刻TRでエンジン停止指令が確定してから時刻TE(2)までの区間は、エンジン停止指令が送信されることが禁止される。
時間T(0)は、シフトレバー1200がPポジションからDポジションに移動される際のRポジションの通過時間をサンプリングし、サンプリングした時間のうちの最長時間である。これにより、Nポジションに切り替えられないまま(S150にてNO)、時刻TRから時間T(0)を経過した場合、シフトレバー1200はRポジションに保持されているものと考えることができる。そのため、時刻TRから時間T(0)を経過した時刻TE(2)でエンジン停止指令を送信することにより、必要以上にエンジン120が駆動することを抑制して燃費を向上させるとともに、モータジェネレータ140A(MG(2)140A)により速やかに車両を後退させることができる。
以上のように、本実施の形態に係る制御装置によれば、Pポジションでのエンジン駆動中に、Rポジションに切り替えられて、かつNポジションに切り替えられた場合、Nポジションに切り替えられてから予め定められた時間が経過した後に、エンジンが停止し始める。そのため、モータジェネレータが略零に制御されるタイミングにエンジントルクが低下することが抑制される。これにより、動力分割機構を構成するギヤ同士の押付け力が低くなることを抑制し、ギヤの振動による異音が生じることを抑制することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の実施の形態に係る制御装置が搭載される車両の構造を示す図である。 本発明の実施の形態に係る制御装置を搭載する車両に含まれる動力分割機構を示す図である。 本発明の実施の形態に係る制御装置を構成するHV_ECUの制御構造を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る制御装置が搭載される車両において、シフトレバーの位置が切り替えられた場合のエンジン回転数のタイミングチャート(その1)である。 本発明の実施の形態に係る制御装置が搭載される車両において、シフトレバーの位置が切り替えられた場合のエンジン回転数のタイミングチャート(その2)である。
符号の説明
120 エンジン、140 モータジェネレータ、160 駆動輪、180 減速機、200 動力分割機構、202 サンギヤ、204 ピニオンギヤ、206 キャリア、208 リングギヤ、220 走行用バッテリ、240 インバータ、242 昇圧コンバータ、260 バッテリECU、280 エンジンECU、300 MG_ECU、320 HV_ECU、1100 車速センサ、1200 シフトレバー、1300 シフトポジションセンサ、1400 エンジン回転数センサ。

Claims (6)

  1. シフトポジションが停止ポジションであるときに内燃機関を駆動する場合があり、前記シフトポジションがニュートラルポジションであると電動機のトルクが略零に制御されるハイブリッド車両の制御装置であって、
    前記車両は、第1のギヤに前記内燃機関の出力軸が、第2のギヤに前記電動機の回転軸が、第3のギヤに駆動軸が、それぞれ結合されるギヤ機構を備え、
    前記制御装置は、
    前記シフトポジションが後退ポジションであると、前記内燃機関を停止すると判定するための手段と、
    前記後退ポジションおよび前記ニュートラルポジションに関するシフトポジションの推移に基づいて、前記内燃機関を停止し始める開始時間を設定するための設定手段とを含む、ハイブリッド車両の制御装置。
  2. 前記設定手段は、前記シフトポジションが前記後退ポジションから前記ニュートラルポジションに切り替えられた場合に、前記ニュートラルポジションに切り替えられた時から予め定められた時間が経過した時を、前記開始時間として設定するための手段を含む、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  3. 前記設定手段は、前記内燃機関の駆動中に前記シフトポジションが前記停止ポジションから前記後退ポジションに切り替えられ、かつ前記後退ポジションから前記ニュートラルポジションに切り替えられた場合に、前記ニュートラルポジションに切り替えられた時から予め定められた時間が経過した時を、前記開始時間として設定するための手段を含む、請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  4. 前記予め定められた時間は、第1の時間であり、
    前記設定手段は、前記シフトポジションが前記後退ポジションに切り替えられてから予め定められた第2の時間が経過するまでに前記ニュートラルポジションに切り替えられない場合は、前記後退ポジションに切り替えられてから前記第2の時間が経過した時を、前記開始時間として設定するための手段を含む、請求項2または3に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  5. 前記シフトポジションはシフトレバーによって切り替えられ、前記シフトレバーは、前記停止ポジション、前記後退ポジション、前記ニュートラルポジション、前進ポジションの順に移動するように構成され、
    前記第1の時間は、前記シフトレバーが前記停止ポジションから前記前進ポジションに移動される際に、前記ニュートラルポジションを通過する時間に基づいて定められ、
    前記第2の時間は、前記シフトレバーが前記停止ポジションから前記前進ポジションに移動される際に、前記後退ポジションを通過する時間に基づいて定められる、請求項4に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  6. 前記ギヤ機構は、遊星歯車機構であり、
    前記第1のギヤはピニオンギヤであり、前記第2のギヤはサンギヤであり、前記第3のギヤはリングギヤであり、
    前記電動機は、第1の電動機であり、
    前記リングギヤには、前記駆動軸を介して第2の電動機の回転軸が結合される、請求項1〜5のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
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