JP2017072200A - 電子制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】アクチュエータ駆動部及びアクチュエータが高温となるのを抑制しつつ、パーキングレンジへの切り替えが遅れるのを抑制する電子制御装置を提供する。
【解決手段】電子制御装置は、遅延時間を設定する遅延設定部と、切替要求が入力されてから遅延時間の経過後に切替信号を出力するシフト決定部と、アクチュエータ駆動部と、を備えている。遅延時間内に新たな切替要求が入力された場合、シフト決定部は、最後に入力された切替要求に基づき、シフトレンジを決定する。パーキングレンジへの切替要求が入力された場合、遅延設定部は、パーキングレンジからパーキングレンジ以外のシフトレンジへの切替要求が入力された場合に較べて、遅延時間を短くする。
【選択図】図7

Description

この明細書における開示は、自動変速機のシフトレンジを切り替えるために、アクチュエータの駆動を制御する電子制御装置に関する。
従来、特許文献1に記載のように、自動変速機のシフトレンジを切り替えるために、油圧制御装置(アクチュエータ)の駆動を制御するA/Tコントロールコンピュータ(電子制御装置)が知られている。A/Tコントロールコンピュータは、遅延時間を設定する手段(遅延設定部)と、変速指令を出す手段(シフト決定部)と、を備えている。
変速指令を出す手段は、遅延時間内に変速判断があったときは、最後にあった変速判断に基づいて変速指令を出す。遅延時間を設定することにより、自動変速機のシフトレンジが必要以上に切り替えられるのを抑制することができる。これにより、A/Tコントロールコンピュータにおける油圧制御装置の駆動頻度を低減することができる。
特開平6−11033号公報
上記構成では、油圧制御装置の駆動頻度を低減することによって、A/Tコントロールコンピュータにおける油圧制御装置を駆動させる部分、及び、油圧制御装置が、高温となるのを抑制することができる。ところで、シフトレンジの切り替えとして、パーキングレンジ以外のシフトレンジからパーキングレンジへ切り替えることが考えられる。遅延時間を設定する上記構成では、パーキングレンジへの切り替えが遅れる虞がある。
本開示はこのような課題に鑑みてなされたものであり、アクチュエータ駆動部及びアクチュエータが高温となるのを抑制しつつ、パーキングレンジへの切り替えが遅れるのを抑制する電子制御装置を提供することを目的とする。
本開示は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、括弧内の符号は、ひとつの態様として下記の実施形態における具体的手段との対応関係を示すものであって、技術的範囲を限定するものではない。
本開示のひとつは、車両の自動変速機(500)のシフトレンジを切り替えるために入力された切替要求に応じて、アクチュエータ(400)の駆動を制御し、シフトレンジを切り替える電子制御装置であって、
切替要求に基づき、切替要求が入力されてからシフトレンジの切り替え開始までの遅延時間を設定する遅延設定部(120)と、
切替要求に基づき、切り替えるシフトレンジを決定するとともに、切替要求が入力されてから遅延時間の経過後に切替信号を出力するシフト決定部(140)と、
切替信号に基づき、アクチュエータを駆動させるアクチュエータ駆動部(170)と、
を備え、
遅延時間内に新たな切替要求が入力された場合、シフト決定部は、最後に入力された切替要求に基づき、シフトレンジを決定し、
パーキングレンジへの切替要求が入力された場合、遅延設定部は、パーキングレンジからパーキングレンジ以外のシフトレンジへの切替要求が入力された場合に較べて、遅延時間を短くする。
上記構成では、遅延時間内に新たな切替要求が入力された場合であっても、最後に入力された切替要求のみに基づきシフトレンジが決定される。これによれば、最後に入力された切替要求のみに基づきアクチュエータが駆動する。よって、アクチュエータ駆動部におけるアクチュエータの駆動頻度を低減することができる。したがって、アクチュエータ及びアクチュエータ駆動部が高温となるのを抑制することができる。
また、上記構成では、パーキングレンジへの切替要求が入力された場合、遅延時間が短くされる。これによれば、パーキングレンジへの切り替えが遅れるのを抑制することができる。
第1実施形態に係る電子制御装置の概略構成を示すブロック図である。 モータの駆動に対する温度を示す図である。 モード設定処理の処理手順を示すフローチャートである。 モード設定処理を説明するための図である。 タイミング決定処理の処理手順を示すフローチャートである。 シフトレバーの切替要求及びアクチュエータの駆動を示すタイミングチャートである。 シフトレバーの切替要求及びアクチュエータの駆動を示すタイミングチャートである。 第2実施形態に係る電子制御装置において、モード設定処理を説明するための図である。 シフトレバーの切替要求及びアクチュエータの駆動を示すタイミングチャートである。 シフトレバーの切替要求及びアクチュエータの駆動を示すタイミングチャートである。 第3実施形態に係る電子制御装置において、シフトレバーの切替要求及びアクチュエータの駆動を示すタイミングチャートである。
図面を参照して説明する。なお、複数の実施形態において、共通乃至関連する要素には同一の符号を付与するものとする。
(第1実施形態)
先ず、図1及び図2に基づき、電子制御装置100の概略構成について説明する。
電子制御装置100は、車両用のECUである。車両には、シフトレバー200が配置されている。シフトレバー200は、自動変速機500のシフトレンジを選択するための装置である。自動変速機500をオートマチックトランスミッションと称することもできる。ユーザがシフトレバー200を操作することにより、自動変速機500のシフトレンジが切り替わる。シフトレバー200をセレクターと称することもできる。なお、シフトレバー200ではなく、シフトスイッチを採用することもできる。
シフトレバー200は、少なくともパーキングレンジを含む複数のシフトレンジを選択可能に構成されている。シフトレバー200は、選択されたシフトレンジに応じた信号を出力する。以下、この信号を、切替要求とも称する。以下、パーキングレンジをPレンジと称する。Pレンジは、車両が停止するためのシフトレンジである。Pレンジが選択された場合には、ユーザがアクセルペダルを踏み込んだ場合であっても、車両が動くことが抑制される。また、Pレンジが選択された場合には、駐車時にユーザがパーキングブレーキを掛け忘れた場合であっても、車両の移動が抑制される。
本実施形態では、シフトレバー200において、ドライブレンジ、リバースレンジ、ニュートラルレンジがさらに選択可能とされている。ドライブレンジは、車両が走行するためのシフトレンジである。ドライブレンジが選択された場合、車両は前進する。以下、ドライブレンジをDレンジと称する。リバースレンジは、車両が後退するためのシフトレンジである。以下、リバースレンジをRレンジと称する。
ニュートラルレンジは、自動変速機500と車輪とを切り離すためのシフトレンジである。以下、ニュートラルレンジをNレンジと称する。Nレンジが選択された場合には、Pレンジと同様に、ユーザがアクセルペダルを踏み込んだ場合であっても、車両が動くことが抑制される。しかしながら、Nレンジが選択された場合には、Pレンジと異なり、坂道等での駐車時にユーザがパーキングブレーキを掛け忘れた場合、車両が移動する虞がある。
以下、Dレンジ、Rレンジ、Nレンジをまとめて他レンジと示す。他レンジは、複数のシフトレンジのうちのPレンジ以外のシフトレンジである。他レンジをNotPレンジと称することもできる。
コントロールユニット300は、車両用の制御装置である。コントロールユニット300は、例えば、車速等の走行状態に応じて自動変速機500を制御する。コントロールユニット300は、シフトレバー200の信号が入力され、この信号を電子制御装置100に出力する。すなわち、切替要求は、コントロールユニット300を介して電子制御装置100に入力される。なお、切替要求が、コントロールユニット300を介さず、シフトレバー200から電子制御装置100に直接入力される例を採用することもできる。
電子制御装置100は、切替要求に基づき、アクチュエータ400を駆動させ、自動変速機500のシフトレンジを切り替えるものである。電子制御装置100をシフトバイワイヤコントロールユニットと称することもできる。電子制御装置100は、要求入力部110、遅延設定部120、モード設定部130、シフト決定部140、温度推定部150、電流制限部160、アクチュエータ駆動部170を備えている。電子制御装置100の機能は、メモリに記録されたソフトウェア及びそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供される。
要求入力部110は、シフトレバー200のシフトレンジが切り替えられたか否かを判断する部分である。要求入力部110には、コントロールユニット300を介して切替要求が入力される。要求入力部110は、切替要求の入力タイミングで、シフトレバー200における切り替え前後のシフトレンジに応じた要求信号Aを生成して出力する。要求入力部110は、要求信号Aを遅延設定部120及びシフト決定部140に出力する。
例えば、入力された要求は、切替要求が入力される毎に図示しないメモリへ記憶される。そして、要求入力部110は、メモリに記憶された切替要求と、コントロールユニット300から入力される切替要求と、を比較して、シフトレバー200のシフトレンジが切り替えられた否かを判定する。
遅延設定部120は、要求信号Aに応じて遅延時間Tdを設定するものである。遅延時間Tdは、アクチュエータ400の駆動頻度を低減するために設けられるものである。遅延設定部120は、遅延信号Bを生成し、シフト決定部140に出力する。遅延信号Bは、遅延時間Tdに応じた信号である。
モード設定部130は、アクチュエータ400に対する制御モードを設定するものである。モード設定部130は、モータ410の温度に相関する温度に応じて、複数の制御モードのうちのいずれか1つの制御モードを設定する。以下、モード設定部130が制御モードを設定する処理をモード設定処理と示す。モード設定処理については、下記で詳細に説明する。モード設定部130は、設定した制御モードに基づくモード信号Cを生成する。モード設定部130は、遅延設定部120、シフト決定部140、及び電流制限部160にモード信号Cを出力する。
シフト決定部140は、切り替えるシフトレンジを決定するものである。詳しくは、シフト決定部140が、自動変速機500において、現在のシフトレンジに対して次に切り替えられるシフトレンジを決定する。シフト決定部140は、要求信号Aに応じて、切り替えるシフトレンジを決定する。すなわち、シフト決定部140は、切替要求に応じて、自動変速機500において切り替えるシフトレンジを決定する。シフト決定部140は、自動変速機500のシフトレンジを切り替えるための切替信号Dを生成する。言い換えると、シフト決定部140は、要求信号Aの値に応じて、モータ410の回転角度に基づく切替信号Dを生成する。なお、本実施形態では、モータ410が、スイッチトリラクタンスモータ(SRモータ)とされている。
切替信号Dは、例えば、オンオフが周期的に切り替わるパルス信号である。シフト決定部140は、モータ410におけるU相、V相、W相のそれぞれの通電タイミングを切り替えるため、3つの切替信号Dを出力する。シフト決定部140は、切替信号Dを温度推定部150及び電流制限部160に出力する。
また、シフト決定部140は、要求信号Aが入力されてから遅延時間Td経過後に切替信号Dを出力する。すなわち、シフト決定部140は、切替要求が入力されてから遅延時間Td経過後に切替信号Dを出力する。そのため、シフト決定部140は、遅延時間Td内に要求信号Aが入力された場合、切替信号Dを出力しない。以上によれば、シフト決定部140は、遅延時間Tdに基づき、切替信号Dの出力タイミングを決定する。
遅延時間Tdが設定された後において遅延時間Td内に新たな切替要求が入力された場合、シフト決定部140は、最後に入力された切替要求に基づき、自動変速機500のシフトレンジを決定する。以下、遅延時間Tdに応じて、切替信号Dの出力タイミングを決定する処理を、タイミング決定処理と示す。タイミング決定処理については、下記で詳細に説明する。
温度推定部150は、切替信号Dに応じて、モータ410の温度を推定するものである。言い換えると、温度推定部150は、切替信号Dに応じて、モータ410の温度に相関する温度を検出するものである。すなわち、温度推定部150が推定する温度の値は、モータ410における実際の温度に相関する値である。温度を推定する方法は、下記で説明する。温度推定部150は、推定した温度に基づく温度信号Eをモード設定部130に出力する。温度推定部150は、特許請求の範囲に記載の温度検出部に相当する。温度推定部150を温度取得部と称することもできる。
電流制限部160は、モータ410の駆動電流を制限するものである。駆動電流とは、電子制御装置100がモータ410に付与する電流である。駆動電流を制限する制御モードが設定された場合に、電流制限部160が機能する。切替信号Dは、電流制限部160を介して、シフト決定部140からアクチュエータ駆動部170に入力される。
駆動電流を制限する方法としては、例えば、切替信号Dと、PWM信号と、をAND回路に入力する。駆動電流を制限する制御モードの場合には、例えば、PWM信号のデューティ比を90%から70%程度の値とする。これに対し、駆動電流を制限しない制御モードの場合には、PWM信号のデューティ比を100%とする。これにより、駆動電流を制限する制御モードの場合には、切替信号Dのオン時間を短くすることができる。よって、モータ410の通電時間を短くすることができる。
また、電流制限部160が、アクチュエータ駆動部170に対して、駆動電流の範囲を設定してもよい。言い換えると、電流制限部160が、アクチュエータ駆動部170に対して、許容可能な駆動電流の値を設定してもよい。以下、アクチュエータ駆動部170における許容可能な駆動電流の値を許容電流値と示す。
この例では、電流制限部160が、切替信号Dに加えて許容電流値を示す信号を出力する。この信号に基づき、アクチュエータ駆動部170において、許容電流値が設定される。許容電流値が設定されると、アクチュエータ駆動部170は、駆動電流が許容電流値を超えないように、駆動電流を制限する。なお、許容電流値は、例えば、アクチュエータ駆動部170が切替信号Dにより動作する前に予め設定される。また、アクチュエータ駆動部170が動作している最中に、許容電流値が設定されてもよい。
アクチュエータ駆動部170は、切替信号Dに基づき、モータ410、すなわち、アクチュエータ400を駆動させるものである。本実施形態において、アクチュエータ駆動部170は、スイッチング素子を有するインバータである。切替信号Dに基づき、スイッチング素子がオンオフ制御される。例えば、アクチュエータ駆動部170は、ドライバICを用いて構成されている。
アクチュエータ400は、自動変速機500と機械的に接続され、電子制御装置100の制御に応じて自動変速機500のシフトレンジを切り替えるものである。アクチュエータ400は、モータ410を有している。モータ410の出力軸412は、自動変速機500における図示しないディテント機構と機械的に接続されている。ディテント機構は、自動変速機500の図示しないギアと機械的に接続されている。モータ410が回転することにより、ディテント機構とギアとの接続構造が変化する。この接続構造の変化により、自動変速機500のシフトレンジが切り替わる。
図2に示すように、モータ410の温度は、駆動により急激に上昇する。そして、モータ410の温度は、駆動停止後に下降する。モータ410の温度は、駆動停止後に較べて駆動中の方が、単位時間当たりの変化が大きい。すなわち、モータ410の温度は、駆動により急激に上昇するのに対し、駆動停止後において下降し難い。言い換えると、モータ410の温度を下降させるためには、時間が掛かる。
ところで、シフトレンジを切り替える際、切り替え前後のシフトレンジに応じて、モータ410の仕事量が異なる。モータ410の仕事量は、モータ410の回転角度に基づく値である。言い換えると、モータ410の仕事量は、ディテント機構を動かす量に基づく値である。モータ410の仕事量が大きいほど、モータ410の上昇温度は大きい。切り替え前後のシフトレンジと、モータ410の上昇温度と、の対応関係は、例えば、メモリに予め記憶されている。この対応関係及び切替信号Dに基づき、温度推定部150がモータ410の温度を推定する。
次に、図3及び図4に基づき、モード設定部130のモード設定処理の具体的な制御手順について説明する。
モード設定部130は、例えば、温度推定部150から温度信号Eが入力されるとモード設定処理を開始する。言い換えると、モード設定部130が温度推定部150から温度信号Eを取得することにより、モード設定処理が開始する。なお、モード設定部130は、例えば、所定期間毎にモード設定処理を行ってもよい。
モード設定処理では、モータ410の温度と閾値とを比較して、複数の制御モードのうちのいずれか1つの制御モードを設定する。この閾値として、3つの閾値が予め記憶部に記憶されている。詳しくは、閾値として、第1閾値Th1と、第1閾値Th1よりも高い第2閾値Th2と、第2閾値Th2よりも高い第3閾値Th3と、が記憶されている。本実施形態では、モード設定部130が、制御モードとして、通常モード、第1抑制モード、第2抑制モード、発熱ガードモードを設定する。
図3に示すように、モード設定処理では、先ず、モータ410の温度が第1閾値Th1よりも高いか否かを判定する(S10)。詳しくは、モード設定部130が、温度信号Eの値と、第1閾値Th1に対応する値と、を比較して判定する。第1閾値Th1は、モータ410の温度を判定するための温度である。第1閾値Th1に対応する値とは、モータ410の温度が第1閾値Th1の場合における温度信号Eの値である。
次に、S10においてモータ410の温度が第1閾値Th1よりも高い場合、モータ410の温度が第2閾値Th2よりも高いか否かを判定する(S12)。詳しくは、モード設定部130が、温度信号Eの値と、第2閾値Th2に対応する値と、を比較して判定する。第2閾値Th2は、モータ410の温度を判定するための温度である。第2閾値Th2に対応する値とは、モータ410の温度が第2閾値Th2の場合における温度信号Eの値である。
次に、S12においてモータ410の温度が第2閾値Th2よりも高い場合、モータ410の温度が第3閾値Th3よりも高いか否かを判定する(S14)。詳しくは、モード設定部130が、温度信号Eの値と、第3閾値Th3に対応する値と、を比較して判定する。第3閾値Th3は、モータ410の温度を判定するための温度である。第3閾値Th3に対応する値とは、モータ410の温度が第3閾値Th3の場合における温度信号Eの値である。
次に、S14においてモータ410の温度が第3閾値Th3よりも高い場合、モード設定部130は発熱ガードモードを設定する(S16)。発熱ガードモードが設定される場合には、他の制御モードが設定される場合に較べて、モータ410の温度が高い。そのため、発熱ガードモードが設定される場合には、他の制御モードが設定される場合に較べて、モータ410の発熱を抑制する。
モード設定部130は、発熱ガードモードを示すモード信号Cを遅延設定部120、シフト決定部140、及び電流制限部160へ出力する。発熱ガードモードが設定された場合、アクチュエータ駆動部170は、アクチュエータ400を駆動させない。よって、図4に示すように、発熱ガードモードが設定されている場合には、アクチュエータ400の駆動が禁止される。すなわち、発熱ガードモードが設定されている場合には、モータ410の駆動が禁止される。
以上によれば、モータ410の温度が第3閾値Th3以下の場合にのみ、アクチュエータ駆動部170がアクチュエータ400を駆動させる。第3閾値Th3は、特許請求の範囲に記載の切替禁止閾値に相当する。また、発熱ガードモードは、特許請求の範囲に記載の駆動禁止モードに相当する。通常モード、第1抑制モード、第2抑制モードは、特許請求の範囲に記載の通常駆動モードに相当する。
アクチュエータ駆動部170がアクチュエータ400を駆動させない方法としては、例えば、シフト決定部140が、アクチュエータ駆動部170のスイッチング素子をオンにしない。言い換えると、シフト決定部140は、スイッチング素子をオフにする信号を出力する。よって、シフト決定部140は、切替信号Dを出力しない。
なお、アクチュエータ駆動部170がアクチュエータ400を駆動させない方法としては、電流制限部160が機能してもよい。電流制限部160は、アクチュエータ駆動部170のスイッチング素子をオンしないように機能する。
また、S10においてモータ410の温度が第1閾値Th1以下の場合、モード設定部130は通常モードを設定する(S18)。通常モードが設定される場合には、他の制御モードが設定される場合に較べて、モータ410の温度が低い。そのため、通常モードが設定される場合には、他の制御モードが設定される場合に較べて、モータ410の発熱を抑制せず、アクチュエータ400の応答性を向上させる。
モード設定部130は、通常モードを示すモード信号Cを遅延設定部120、シフト決定部140、及び電流制限部160へ出力する。通常モードが設定されている場合には、アクチュエータ400が切替信号Dに基づき駆動される。言い換えると、通常モードが設定されている場合には、アクチュエータ400の駆動、すなわち、モータ410の駆動が許可される。詳しくは、シフト決定部140が、切替信号Dに基づき、アクチュエータ駆動部170のスイッチング素子をオンオフ制御する。
また、通常モードが設定されている場合、モータ410の駆動電流は制限されない。すなわち、電流制限部160が機能しない。言い換えると、モータ410に対して、充分な量の駆動電流が付与される。これによれば、駆動電流が制限される場合よりも、アクチュエータ400の応答性を向上することができる。
また、通常モードが設定されている場合、遅延設定部120は、シフトレンジの切り替えを遅延させない。言い換えると、遅延設定部120は、遅延時間Tdを0とする。すなわち、遅延設定部120は、遅延時間Tdを設定しない。これによれば、シフトレンジの切り替え開始のタイミングは、遅延しない。よって、シフトレバー200が操作された通りに、自動変速機500のシフトレンジが遅延することなく切り替えられる。
また、S12においてモータ410の温度が第2閾値Th2以下の場合、モード設定部130は第1抑制モードを設定する(S20)。詳しくは、モータ410の温度が、第1閾値Th1よりも高く、且つ、第2閾値Th2以下の場合に、第1抑制モードが設定される。すなわち、第1抑制モードが設定される場合には、通常モードが設定される場合に較べて、モータ410の温度が高い。そのため、第1抑制モードが設定される場合には、通常モードが設定される場合に較べて、モータ410の発熱を抑制する。よって、第1抑制モードを発熱抑制モードと称することもできる。
モード設定部130は、第1抑制モードを示すモード信号Cを遅延設定部120、シフト決定部140、及び電流制限部160へ出力する。第1抑制モードが設定されている場合には、アクチュエータ400の駆動が許可される。また、第1抑制モードが設定されている場合、モータ410の駆動電流は制限されない。
また、第1抑制モードが設定されている場合、Pレンジから他レンジへの切替要求が入力されると、遅延設定部120が遅延時間Tdを設定する。これにより、シフト決定部140におけるシフトレンジの切り替え開始のタイミングは、遅延する。
これに対し、第1抑制モードが設定されている場合、他レンジからPレンジへの切替要求が入力されると、遅延設定部120は、遅延時間Tdを0とする。言い換えると、遅延設定部120は、遅延時間Tdを設定しない。第1抑制モードは、特許請求の範囲に記載の迅速パーキングモードに相当する。第1閾値Th1より高く第2閾値Th2以下の温度範囲は、特許請求の範囲に記載の迅速温度範囲に相当する。第2閾値Th2は、特許請求の範囲に記載の迅速温度範囲の上限値に相当する。
以上によれば、モータ410の温度が第1閾値Th1より高い場合に、Pレンジから他レンジへの切替要求が入力されると、遅延設定部120により遅延時間Tdが設定される。これに対し、モータ410の温度が第1閾値Th1以下の場合に、Pレンジから他レンジへの切替要求が入力されると、遅延時間Tdは0とされる。すなわち、モータ410の温度が第1閾値Th1以下の場合には、モータ410の温度が第1閾値Th1より高い場合に較べて、遅延時間Tdが短くされる。
よって、Pレンジから他レンジへの切替要求が入力される構成において、第1閾値Th1は、特許請求の範囲に記載の遅延短縮閾値に相当する。Pレンジから他レンジへの切替要求が入力される構成において、通常モードは、特許請求の範囲に記載の短遅延モードに相当する。また、Pレンジから他レンジへの切替要求が入力される構成において、第1抑制モード及び第2抑制モードは、特許請求の範囲に記載の長遅延モードに相当する。
また、S14においてモータ410の温度が第3閾値Th3以下の場合、モード設定部130は第2抑制モードを設定する(S22)。詳しくは、モータ410の温度が、第2閾値Th2よりも高く、且つ、第3閾値Th3以下の場合に、第2抑制モードが設定される。すなわち、第2抑制モードが設定される場合には、通常モード及び第1抑制モードが設定される場合に較べて、モータ410の温度が高い。そのため、第2抑制モードが設定される場合には、通常モード及び第1抑制モードが設定される場合に較べて、モータ410の発熱を抑制する。よって、第2抑制モードを発熱抑制モードと称することもできる。
モード設定部130は、第2抑制モードを示すモード信号Cを遅延設定部120、シフト決定部140、及び電流制限部160へ出力する。第2抑制モードが設定されている場合には、アクチュエータ400の駆動が許可される。
また、第2抑制モードが設定されている場合、モータ410の駆動電流は制限される。すなわち、電流制限部160が機能する。第2閾値Th2は、特許請求の範囲に記載の電流制限閾値に相当する。また、第2抑制モードは、特許請求の範囲に記載の電流制限モードに相当する。通常モード及び第1抑制モードは、特許請求の範囲に記載の通常電流モードに相当する。
また、第2抑制モードが設定されている場合、シフトレンジの切替要求が入力されると、遅延設定部120が遅延時間Tdを設定する。詳しくは、第2抑制モードが設定されると、Pレンジから他レンジへの切替要求が入力された場合、及び、他レンジからPレンジへの切替要求が入力された場合に、遅延設定部120が遅延時間Tdを設定する。言い換えると、第2抑制モードが設定されている場合、切替要求が入力されると、遅延時間Tdが0よりも大きい値とされる。これにより、シフトレンジの切り替え開始のタイミングは、遅延する。
以上によれば、モータ410の温度が第2閾値Th2より高い場合に、他レンジからPレンジへの切替要求が入力されると、遅延設定部120により遅延時間が設定される。これに対し、モータ410の温度が第2閾値Th2以下の場合に、他レンジからPレンジへの切替要求が入力されると、遅延時間Tdは0とされる。すなわち、モータ410の温度が第2閾値Th2以下の場合には、モータ410の温度が第2閾値Th2より高い場合に較べて、遅延時間Tdが短くされる。
よって、他レンジからPレンジへの切替要求が入力される構成において、第2閾値Th2は、特許請求の範囲に記載の遅延短縮閾値に相当する。他レンジからPレンジへの切替要求が入力される構成において、通常モード及び第1抑制モードは、特許請求の範囲に記載の短遅延モードに相当する。また、他レンジからPレンジへの切替要求が入力される構成において、第2抑制モードは、特許請求の範囲に記載の長遅延モードに相当する。なお、モード設定部130は、制御モードを設定すると、モード設定処理を終了する。
次に、図5〜図7に基づき、シフト決定部140におけるタイミング決定処理の具体的な制御手順について説明する。なお、図6及び図7は、第1抑制モードが設定された場合におけるタイミングチャートである。
シフト決定部140は、要求信号Aが入力された場合に、タイミング決定処理を開始する。すなわち、シフト決定部140は、切替要求が要求入力部110に入力された場合に、タイミング決定処理を開始する。
図5に示すように、タイミング決定処理において、先ず、シフト決定部140は、モード信号Cに応じて、設定された制御モードが発熱ガードモードか否かを判定する(S30)。S30において発熱ガードモードが設定されている場合、シフト決定部140は、アクチュエータ駆動部170におけるアクチュエータ400の駆動を禁止する(S32)。詳しくは、シフト決定部140が、スイッチング素子をオフにする信号をアクチュエータ駆動部170に出力する。
また、S30において発熱ガードモード以外の制御モードが設定されている場合、シフト決定部140は、遅延信号Bを取得する(S34)。すなわち、シフト決定部140は、遅延時間Tdを取得する。言い換えると、遅延設定部120は、発熱ガードモード以外の制御モードが設定されている場合、遅延信号Bをシフト決定部140に出力する。
次に、シフト決定部140は、現在の時間が遅延時間Td内か否かを判定する(S36)。すなわち、遅延設定部120が設定した遅延時間Tdが終了したか否かを判定する。言い換えると、切替要求が要求入力部110に入力されてから遅延時間Tdが経過したか否かを判定する。S36において現在の時間が遅延時間Td内である場合、再び、現在の時間が遅延時間Td内か否かを判定する(S36)。よって、遅延時間Tdが終了するまでS36の判定を繰り返す。
なお、シフト決定部140は、遅延時間Td内に要求信号Aが入力された場合、この要求信号Aに応じて切替信号Dを出力しない。言い換えると、シフト決定部140は、遅延時間Td内に要求信号Aが入力された場合、アクチュエータ駆動部170のスイッチング素子をオンにしない。すなわち、シフト決定部140は、スイッチング素子をオフにする信号を出力する。これにより、遅延時間Tdが終了するまで、自動変速機500のシフトレンジを切り替えない。
次に、S36において現在の時間が遅延時間Td内ではないと判定した場合、シフト決定部140は、切り替えるシフトレンジを決定し、切替信号Dを電流制限部160に出力する(S38)。これにより、モータ410が駆動し、自動変速機500のシフトレンジが切り替わる。遅延時間Td内に新たな切替要求が入力された場合、自動変速機500において切り替わるシフトレンジは、最後に入力された切替要求のシフトレンジである。一方、遅延時間Td内に新たな切替要求が入力されない場合、自動変速機500において切り替わるシフトレンジは、タイミング決定処理開始時の切替要求におけるシフトレンジである。
なお、S34において取得した遅延時間Tdが0の場合、シフト決定部140は、遅延信号Bの取得後、すぐに切替信号Dを出力する。言い換えると、シフト決定部140は、要求入力部110に切替要求が入力されてから、すぐに切替信号Dを出力する。これにより、シフトレンジの切り替え開始タイミングが遅延しない。シフト決定部140は、切替信号Dを出力すると、タイミング決定処理を終了する。
図6及び図7では、Pレンジ及び他レンジ間においてシフトレンジが切り替えられる構成として、Pレンジ及びDレンジ間が切り替えられる例を示している。図6に示す例では、時間T1において、シフトレバー200がPレンジからDレンジに切り替えられる。本実施形態では、時間T1が遅延時間Td内ではない。時間T1において、遅延設定部120により、遅延時間Tdが設定される。本実施形態では、遅延時間Tdが、0.25秒程度とされている。時間T1以前において、自動変速機500のシフトレンジは、Pレンジとされている。すなわち、アクチュエータ400は、自動変速機500のシフトレンジがPレンジとなるように、モータ410の回転角度が固定されている。
時間T1から所定時間経過後の時間T2において、シフトレバー200がDレンジからPレンジに切り替えられる。しかしながら、時間T2は、遅延時間Td内である。すなわち、時間T2において、時間T1で設定した遅延時間Tdが終了していない。そのため、アクチュエータ400は、時間T2において駆動を開始しない。よって、自動変速機500のシフトレンジは、Pレンジを維持する。
時間T2から所定時間経過後の時間T3において、シフトレバー200がPレンジからDレンジに切り替えられる。しかしながら、時間T3は、遅延時間Td内である。そのため、アクチュエータ400は、時間T3において駆動しない。よって、自動変速機500のシフトレンジは、Pレンジを維持する。
時間T3から所定時間経過後の時間T4において、時間T1で設定した遅延時間Tdが終了する。このとき、シフトレバー200のシフトレンジは、Dレンジとされている。よって、時間T4において、シフト決定部140は、自動変速機500のシフトレンジをPレンジからDレンジに切り替える切替信号Dを出力する。これにより、時間T4において、アクチュエータ400は駆動を開始する。
時間T4から所定時間経過後の時間T5において、アクチュエータ400の駆動が終了し、自動変速機500のシフトレンジがDレンジに切り替わる。なお、時間T4から時間T5までの間、シフトレバー200は、Dレンジを維持している。
図7に示す例では、シフトレバー200が時間T6でPレンジからDレンジに切り替えられる。本実施形態では、時間T6が遅延時間Td内ではない。時間T6において、遅延設定部120により、遅延時間Tdが設定される。時間T6以前において、自動変速機500のシフトレンジは、Pレンジとされている。
時間T6から所定時間経過後の時間T7において、シフトレバー200がDレンジからPレンジに切り替えられる。しかしながら、時間T7は、遅延時間Td内である。そのため、アクチュエータ400は、時間T7において駆動しない。よって、自動変速機500のシフトレンジは、Pレンジを維持する。
時間T7から所定時間経過後の時間T8において、シフトレバー200がPレンジからDレンジに切り替えられる。しかしながら、時間T8は、遅延時間Td内である。そのため、アクチュエータ400は、時間T8において駆動しない。よって、自動変速機500のシフトレンジは、Pレンジを維持する。
時間T8から所定時間経過後の時間T9において、遅延時間Tdが終了する。このとき、シフトレバー200のシフトレンジは、Dレンジとされている。よって、時間T9において、シフト決定部140は、自動変速機500のシフトレンジをPレンジからDレンジに切り替える切替信号Dを出力する。これにより、時間T9において、アクチュエータ400は駆動を開始する。
時間T9から所定時間経過後の時間T10において、シフトレバー200がDレンジからPレンジに切り替えられる。このとき、アクチュエータ400は、自動変速機500のシフトレンジをPレンジからDレンジにするために駆動している。なお、時間T10は、遅延時間Td内ではない。
時間T10から所定時間経過後の時間T11において、アクチュエータ400の駆動が終了し、自動変速機500のシフトレンジがDレンジに切り替わる。時間T11は、遅延時間Td内ではない。時間T11において、遅延設定部120は、遅延時間Tdを設定しない。よって、時間T11において、シフト決定部140は、自動変速機500のシフトレンジをDレンジからPレンジに切り替える切替信号Dを出力する。これにより、時間T11から所定時間経過後の時間T12において、自動変速機500のシフトレンジがPレンジに切り替えられる。なお、シフト決定部140は、時間T10において切替信号Dを出力し、自動変速機500のシフトレンジをPレンジに切り替えてもよい。
次に、上記した電子制御装置100の効果について説明する。
ところで、信号待ち等で車両が停止しているとき、ユーザの遊び、癖等により、ユーザがシフトレバー200のシフトレンジを切り替えることが考えられる。すなわち、車両の走行状態を変更する目的ではない目的で、シフトレバー200のシフトレンジが切り替えられる場合がある。
これに対し、本実施形態では、遅延時間Td内に新たな切替要求が入力された場合であっても、最後に入力された切替要求のみに基づきシフトレンジが決定される。これによれば、最後に入力された切替要求のみに基づきアクチュエータ400が駆動する。よって、アクチュエータ駆動部170におけるアクチュエータ400の駆動頻度を低減することができる。したがって、アクチュエータ400及びアクチュエータ駆動部170が高温となるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、Pレンジへの切替要求が入力された場合、遅延時間Tdが短くされる。そのため、Pレンジへの切り替えが遅れるのを抑制することができる。これによれば、例えば、ユーザがシフトレバー200をPレンジに切り替えた後すぐに降車する場合、降車の際に車両が移動し難い。すなわち、車両の移動が抑制された状態でユーザが降車することができる。
また、本実施形態において、通常モードに加えて第1抑制モードが設定された場合には、Pレンジへの切替要求が入力されると、遅延設定部120が遅延時間Tdを設定しない。これによれば、Pレンジへの切り替えが遅れるのを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態において、モータ410の温度が低い場合、遅延設定部120は、モータ410の温度が高い場合に較べて遅延時間Tdを短くする。これによれば、モータ410の温度が低い場合には、シフトレンジの切り替えが遅れるのを抑制することができる。一方、モータ410の温度が高い場合には、アクチュエータ駆動部170におけるアクチュエータ400の駆動頻度を低減することができる。したがって、アクチュエータ駆動部170及びアクチュエータ400が高温となるのを抑制することができる。以上によれば、シフトレンジの切り替えが遅れるのを抑制しつつ、アクチュエータ400及びアクチュエータ駆動部170が高温となるのを抑制することができる。
また、本実施形態において、第2抑制モードよりもモータ410の温度が低い第1抑制モードが設定された場合には、他レンジからPレンジへの切替要求が入力されると、遅延時間Tdが設定されない。さらに、第1抑制モード及び第2抑制モードよりもモータ410の温度が低い通常モードが設定された場合には、遅延時間Tdが設定されない。よって、モータ410の温度が低い場合に、シフトレンジの切り替えが遅れるのを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態において、通常モード及び第1抑制モードよりもモータ410の温度が高い第2抑制モードが設定された場合には、アクチュエータ400の駆動電流が制限される。よって、アクチュエータ駆動部170及びアクチュエータ400が高温となるのを抑制することができる。一方、第2抑制モードよりもモータ410の温度が低い通常モード及び第1抑制モードが設定された場合には、アクチュエータ400の駆動電流が制限されない。そのため、アクチュエータ400の応答性が低下するのを抑制することができる。以上によれば、アクチュエータ400の応答性が低下するのを抑制しつつ、アクチュエータ駆動部170及びアクチュエータ400が高温となるのを抑制することができる。
また、本実施形態では、モータ410の温度が第3閾値Th3よりも高い場合、シフトレンジの切替要求が入力されても、アクチュエータ駆動部170がアクチュエータ400を駆動させない。そのため、アクチュエータ駆動部170及びアクチュエータ400が高温となるのを効果的に抑制することができる。
(第2実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した電子制御装置100と共通する部分についての説明は割愛する。なお、図9は、第1抑制モードが設定された場合におけるタイミングチャートである。一方、図10は、第2抑制モードが設定された場合におけるタイミングチャートである。
本実施形態では、図8及び図9に示すように、第1抑制モードが設定され、且つ、シフトレバー200がPレンジから他レンジに切り替えられた場合において設定される遅延時間Tdを第1遅延時間Td1と示す。また、図9及び図10に示すように、第2抑制モードが設定され、且つ、シフトレバー200がPレンジから他レンジに切り替えられた場合において設定される遅延時間Tdを第2遅延時間Td2と示す。さらに、第2抑制モードが設定され、且つ、シフトレバー200がPレンジに切り替えられた場合において設定される遅延時間Tdを第3遅延時間Td3と示す。
本実施形態では、第1遅延時間Td1が、第2遅延時間Td2よりも短くされている。さらに、第3遅延時間Td3は、第2遅延時間Td2よりも短くされている。また、本実施形態では、第1遅延時間Td1が、第3遅延時間Td3とほぼ等しい時間とされている。第1遅延時間Td1及び第3遅延時間Td3は、例えば、0.25秒程度とされている。第2遅延時間Td2は、例えば、0.5秒程度とされている。
本実施形態では、第1実施形態に対し、より高精度に、シフトレンジの切り替え開始のタイミングと、アクチュエータ駆動部170及びアクチュエータ400と、を制御することができる。言い換えると、シフトレンジの切り替えが遅れるのを効果的に抑制しつつ、アクチュエータ駆動部170及びアクチュエータ400が高温となるのを効果的に抑制することができる。
(第3実施形態)
本実施形態において、第1実施形態に示した電子制御装置100と共通する部分についての説明は割愛する。
本実施形態では、RレンジからDレンジへの切替要求が入力された場合、遅延設定部120は、Pレンジから他レンジに切り替える場合に較べて、遅延時間Tdを短くする。同様に、DレンジからRレンジへの切替要求が入力された場合、遅延設定部120は、Pレンジから他レンジに切り替える場合に較べて、遅延時間Tdを短くする。
図11に示すように、本実施形態において、RレンジからDレンジへの切替要求が入力された場合、遅延設定部120は、遅延時間Tdを設定しない。同様に、DレンジからRレンジへの切替要求が入力された場合、遅延設定部120は、遅延時間Tdを設定しない。すなわち、シフトレバー200においてRレンジ及びDレンジ間の切り替えがあった場合、遅延設定部120は、遅延時間Tdを0とする。
例えば、通常モード、第1抑制モード、及び第2抑制モードのうちの全ての制御モードにおいて、Rレンジ及びDレンジ間の切り替えがあった場合、遅延設定部120は遅延時間Tdを設定しない。しかしながら、これに限定するものではない。Rレンジ及びDレンジ間の切り替えに対し、例えば、通常モードが設定された場合にのみ、遅延設定部120は遅延時間Tdを設定しない構成でもよい。また、通常モード及び第1制御モードが設定された場合に、遅延設定部120は遅延時間Tdを設定しない構成でもよい。
ところで、駐車する際、ユーザが、Rレンジ及びDレンジ間を頻繁に切り替える場合がある。このとき、ユーザが、RレンジとDレンジとを勘違いして操作することが考えられる。
これに対し、本実施形態では、RレンジからDレンジへの切替要求が入力された場合、及び、DレンジからRレンジへの切替要求が入力された場合には、遅延時間Tdが短い。そのため、Rレンジ及びDレンジ間の切り替えが遅れるのを抑制することができる。これによれば、駐車の際、ユーザが勘違いしてシフトレバー200を操作すると、勘違いして操作したシフトレンジへ遅延することなく切り替わる。そして、この切り替えに応じて、車両が移動する。したがって、ユーザが勘違いをすぐに気付き易い。よって、ユーザが駐車し易い。
また、本実施形態では、Rレンジ及びDレンジ間の切替要求が入力された場合に、シフトレンジの切り替え開始のタイミングが遅延しない。これによれば、Rレンジ及びDレンジ間の切り替えが遅れるのを効果的に抑制することができる。したがって、駐車する際に勘違いして操作した場合であっても、勘違いを効果的に気付き易くすることができる。よって、ユーザが、より駐車し易い。
なお、本実施形態では、Rレンジ及びDレンジ間の切り替えにおいて遅延設定部120が遅延時間Tdを設定しない例を示したが、これに限定するものではない。Rレンジ及びDレンジ間の切替要求が入力された場合、Pレンジから他レンジに切り替える場合に較べて、少なくとも、遅延時間Tdが短くされる構成であればよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
上記実施形態では、電子制御装置100が、Dレンジ、Pレンジ、Rレンジ、Nレンジ間の切り替えを制御する例を示したが、これに限定するものではない。電子制御装置100が、Dレンジ及びPレンジ間のみの切り替えを制御する例を採用することもできる。
また、上記実施形態では、温度推定部150が切替信号Dに基づきモータ410の温度を推定する例を示したが、これに限定するものではない。温度センサにより、モータ410の温度を測定する例を採用することもできる。この例では、温度センサが特許請求の範囲に記載の温度検出部に相当する。
また、上記実施形態では、モータ410の温度に基づき制御モードが設定される例を示したが、これに限定するものではない。アクチュエータ駆動部170の温度に基づき制御モードが設定される例を採用することもできる。
また、上記実施形態では、モード設定部130がモード設定処理を行う例を示したが、これに限定するものではない。モータ410の温度によらず、遅延設定部120が遅延時間Tdを設定する例を採用することもできる。
また、上記実施形態では、Pレンジへの切替要求が入力された場合、遅延設定部120が遅延時間Tdを設定しない例を示したが、これに限定するものではない。Pレンジへの切替要求が入力された場合には、Pレンジから他レンジへの切替要求が入力された場合に較べて、少なくとも、遅延時間Tdが短くされる構成であればよい。
また、上記実施形態では、電子制御装置100が、要求入力部110、遅延設定部120、シフト決定部140、温度推定部150、電流制限部160、アクチュエータ駆動部170を備える例を示した。しかしながら、これに限定するものではない。電子制御装置100が、少なくとも、遅延設定部120、シフト決定部140、及びアクチュエータ駆動部170を備える構成であれば採用することができる。
また、上記実施形態では、各制御モードにおけるアクチュエータ400に対する詳細な制御を示したが、これに限定するものではない。第1制御モードが設定された場合に、駆動電流を制限する例を採用することもできる。この例では、制御モードに応じて、駆動電流を制限する量を変更してもよい。例えば、通常モードに対して、第1制御モードにおける駆動電流を90%程度の値とする。また、通常モードに対して、第2制御モードにおける駆動電流を70%程度の値とする。
また、上記実施形態では、モード設定部130が、4つの制御モードを設定する例を示したが、これに限定するものではない。モード設定部130が、5つ以上の制御モードを設定する例を採用することもできる。なお、特許請求の範囲に記載の遅延短縮閾値及び電流制限閾値の値は、特許請求の範囲に記載の迅速温度範囲内であっても、範囲外であってもよい。
100…電子制御装置、110…要求入力部、120…遅延設定部、130…モード設定部、140…シフト決定部、150…温度推定部、160…電流制限部、170…アクチュエータ駆動部、200…シフトレバー、300…コントロールユニット、400…アクチュエータ、410…モータ、412…出力軸、500…自動変速機

Claims (9)

  1. 車両の自動変速機(500)のシフトレンジを切り替えるために入力された切替要求に応じて、アクチュエータ(400)の駆動を制御し、前記シフトレンジを切り替える電子制御装置であって、
    前記切替要求に基づき、前記切替要求が入力されてから前記シフトレンジの切り替え開始までの遅延時間を設定する遅延設定部(120)と、
    前記切替要求に基づき、切り替える前記シフトレンジを決定するとともに、前記切替要求が入力されてから前記遅延時間の経過後に切替信号を出力するシフト決定部(140)と、
    前記切替信号に基づき、前記アクチュエータを駆動させるアクチュエータ駆動部(170)と、
    を備え、
    前記遅延時間内に新たな前記切替要求が入力された場合、前記シフト決定部は、最後に入力された前記切替要求に基づき、前記シフトレンジを決定し、
    パーキングレンジへの前記切替要求が入力された場合、前記遅延設定部は、前記パーキングレンジから前記パーキングレンジ以外の前記シフトレンジへの前記切替要求が入力された場合に較べて、前記遅延時間を短くする電子制御装置。
  2. 前記遅延設定部は、前記パーキングレンジ以外の前記シフトレンジへの前記切替要求が入力された場合に前記遅延時間を設定し、前記パーキングレンジへの前記切替要求が入力された場合に前記遅延時間を設定しない請求項1に記載の電子制御装置。
  3. 前記パーキングレンジ以外の前記シフトレンジとして、リバースレンジ及びドライブレンジを含む請求項1又は請求項2に記載の電子制御装置であって、
    前記遅延設定部は、前記リバースレンジから前記ドライブレンジへの前記切替要求が入力された場合、及び、前記ドライブレンジから前記リバースレンジへの前記切替要求が入力された場合において、前記パーキングレンジから前記パーキングレンジ以外の前記シフトレンジへの前記切替要求が入力された場合に較べて、前記遅延時間を短くする電子制御装置。
  4. 前記遅延設定部は、
    前記リバースレンジ以外の前記シフトレンジから前記ドライブレンジへの前記切替要求が入力された場合、及び、前記ドライブレンジ以外の前記シフトレンジから前記リバースレンジへの前記切替要求が入力された場合に前記遅延時間を設定し、
    前記リバースレンジから前記ドライブレンジへの前記切替要求が入力された場合、及び、前記ドライブレンジから前記リバースレンジへの前記切替要求が入力された場合に前記遅延時間を設定しない請求項3に記載の電子制御装置。
  5. 前記アクチュエータ駆動部又は前記アクチュエータの温度に相関する温度を検出し、前記温度に基づく温度信号を出力する温度検出部(150)と、
    前記温度信号に基づき、複数の制御モードのうちのいずれか1つの前記制御モードを設定し、設定した前記制御モードに応じたモード信号を出力するモード設定部(130)と、
    を備え、
    前記モード設定部は、前記温度信号に基づき前記温度が迅速温度範囲内か否かを判定し、前記温度が前記迅速温度範囲内の場合に前記制御モードとして迅速パーキングモードを設定し、
    前記迅速パーキングモードが設定された場合、前記パーキングレンジへの前記切替要求が入力されると、前記遅延設定部は、前記パーキングレンジから前記パーキングレンジ以外の前記シフトレンジへの前記切替要求が入力された場合に較べて、前記遅延時間を短くする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子制御装置。
  6. 前記モード設定部は、前記温度信号に基づき前記温度が遅延短縮閾値以下か否かを判定し、前記温度が前記遅延短縮閾値以下の場合に短遅延モードを設定し、前記温度が前記遅延短縮閾値より高い場合に長遅延モードを設定し、
    前記短遅延モードが設定された場合、前記遅延設定部は、前記長遅延モードが設定された場合に較べて、前記遅延時間を短くする請求項5に記載の電子制御装置。
  7. 前記モード設定部は、前記長遅延モードが設定された場合に前記遅延時間を設定し、前記短遅延モードが設定された場合に前記遅延時間を設定しない請求項6に記載の電子制御装置。
  8. 前記アクチュエータに対する駆動電流を制限する電流制限部(160)をさらに備え、
    前記モード設定部は、前記温度信号に基づき前記温度が電流制限閾値より高いか否かを判定して、前記温度が前記電流制限閾値以下の場合に通常電流モードを設定し、前記温度が前記電流制限閾値より高い場合に電流制限モードを設定し、
    前記電流制限モードが設定された場合、前記電流制限部は、前記通常電流モードが設定された場合に較べて前記駆動電流を制限する請求項5〜7のいずれか1項に記載の電子制御装置。
  9. 前記モード設定部は、前記温度信号に基づき前記温度が前記迅速温度範囲の上限値よりも高い切替禁止閾値以下か否かを判定して、前記温度が前記切替禁止閾値以下の場合に通常駆動モードを設定し、前記温度が前記切替禁止閾値より高い場合に駆動禁止モードを設定し、
    前記アクチュエータ駆動部は、前記通常駆動モードが設定された場合に前記アクチュエータを駆動させ、前記駆動禁止モードが設定された場合に前記アクチュエータを駆動させない請求項5〜8のいずれか1項に記載の電子制御装置。
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