JP6158524B2 - 混ぜご飯の製造方法 - Google Patents
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Description
調味料を混ぜる米飯は、米に水を加えて加熱する工程において米から溶出したアミロースを洗い流す工程を含む炊飯方法により得られる。当該米飯は、高温蒸気による蒸し工程を含み、当該蒸し工程において温水による加水を行う連続式の炊飯方法により容易に実施できる。つまり、蒸し工程を伴う連続式の炊飯方法において、炊飯に通常必要な加水量よりも多い量の温水を注水して、蒸し工程において米から溶出したアミロースを洗い流すことで得られる。
次いで上記で得た米飯と各種の調味料とを混ぜて混ぜご飯とする。調味料は、混ぜご飯として使用される調味料であればよい。本発明において、調味料とはご飯に種々の味付けをするための食材であって、例えば、食用酢であり、砂糖であり、塩であり、しょうゆであり、酒であり、みりんであり、2種以上を混合した調味料でもあり得る。例えば、食用酢に塩やグルタミン酸などのいわゆるうま味調味料を混合した合わせ酢が例示される。本発明においては、調味料としては、食用酢、さらには、食用酢に塩などを加えた合わせ酢が好ましい。酢飯とすることにより、酢飯の味覚に重要な適度なさばき感が付与されるからである。調味料は、粉末状の調味料であり、液状の調味料でもあり得る。好ましくは液状の調味料である。ご飯との混ざりがよく、均一に混合されやすいからである。また、後述するように、連続式の炊飯方法では、コンベアなどの搬送装置上で、調味料を噴霧することができるからである。
図1に示す連続式の炊飯装置(処理能力:米0.5kg/min)を用いて炊飯を行い、一般家庭で汎用されている炊飯器(IHジャー炊飯器:Panasonic SR-SU105)による炊飯との比較を行った。図1に示す炊飯装置1は、米を移送するコンベア2と、高温蒸気による蒸し工程を行う蒸気室3と、蒸気室3内にてコンベア2上を移動する米にその上方から温水を注水する散水装置4を備えている。その他に、当該炊飯装置1は、高温の蒸気を供給する蒸気供給手段と、温水を供給する温水供給手段を備えているが、これらの手段は図示されていない。散水装置4は、蒸気室3内にコンベア2の移動方向において4箇所に備えられ、蒸気室2内のコンベア長を4つの区画に区分した各区画に配置されている(図1の加水1〜4の時間帯を参照)。また、コンベア2の幅方向には、各区画においてコンベア2上を移動する米に均等に温水が注水されるように、複数の散水装置4が適宜配置されている。コンベア2は高温蒸気が供給される収容室5内に収められ、収容室5内に供給された高温蒸気はコンベア2の下方から蒸気室3内に供給される。
連続式の炊飯方式(連続炊飯)では、米の加熱時間(蒸気室入口から蒸気室出口までの移動時間)を22分(炊飯開始から投入した全ての米(仕込み量1kg)が炊きあがるまでの時間が26分)となるように設定した。また、高温蒸気の温度や加水温度を調整し、炊きあがりが炊飯器と同程度の硬さになるように加水量を通常の1.6倍(当該炊飯時間では、通常時の加水量は米量の130%=0.66L/minである。以下同じ。)に設定した。その上で、米の上方から注水された温水がコンベアの下方に流れ落ちるように調整した。具体的には、蒸気室入口方の散水装置から蒸気室出口方に向かって順に0.35L/min、0.25L/min、0.25L/min、0.2L/min(全量で1.05L/min)とした。加水温度は約90℃、蒸気温度は約125℃、蒸気室内温度は99〜100℃であった。
105℃常圧乾燥法により水分含量を測定した。加熱開始から48時間経過まで米飯を加熱し、乾燥後の質量が最小になった値から水分含量を求めた。
コンベアの下方に流れ出た液(米飯洗浄液=廃液)を投入開始4分後から1分経過ごとに15秒間採取し、その液を直接、還元糖量及び全糖量の測定に用いた。還元糖量は、ソモジーネルソン法(Nelson N、A photometric adaptation of the somogyi method for the determination of glucose、Journal of Biological Chemistry、153(2009)、375-380)により、全糖量をフェノール硫酸法(Dubois,M.et al.、Colorimetric method for determination of sugars and related substances.、Anal Chem.、28(1956),350-356)により求めた。参考として、改めて炊飯した際に生じた廃液を、炊飯開始6分後、10分後、14分後、18分後に採取し、採取した廃液を凍結乾燥することで固形物量を測定した。その結果を図2に示した。なお、注水は図2に示す時間帯に行われた。また、図2の経過時間毎に示された3つの棒は左から廃液中の全糖量、固形物重量、還元糖量を示す。
上記で得られた米飯について、保存試験を行い、下記(2)〜(5)の項目について評価した。100gずつに小分けした米飯をそれぞれ食品用のラップに包み、5℃の冷蔵庫内(冷蔵保存)及び約25℃の室温下(室温保存)で保存した米飯をそれぞれ試験試料とした。なお、炊飯器による米飯は釜に触れない中心部分から採取された。
小分けされた米飯をできるだけ米粒同士の隙間がなくなるように広げ、ラップの上から分光測色計(KONICAMINOLTA CM-700d)により測定を行った。測定はSCE方式、測定径8mmで行い、結果はL*(明度)、a*(赤−緑方向)、b*(黄−青方向)で表した。また白色度(WI、ASTEM E 3113-73に基づく計算式(WI=0.847Z-3Y)による)についても比較した。測定は各条件で3個ずつ試料をつくり、10回の測定値の平均値を求めた。その結果を図3に示す。
糊化度は、BAP法(βアミラーゼ-プルラナーゼ法:貝沼ら、「βアミラーゼ-プルラナーゼ(BAP)系を用いた澱粉の糊化度、老化度の新測定法」、J. Jap. Soc. Starch Science、28(4)、235-240)に一部修正を加えた試験方法で測定した。酵素として、ダイズβ−アミラーゼ(長瀬産業製、粗酵素標品5IU/mg)、プルラナーゼ(林原生物化学研究所製、crude 2IU/mg)を用いた。プルラナーゼ170mg、β−アミラーゼ17mgを0.8M酢酸緩衝液(pH6.0)100mlに溶解後、遠心分離し上清を酵素液とした。
糊化度(%)=試料の分解率/完全糊化試料の分解率×100
ただし、分解率(%)=(生成還元糖量−ブランクの還元糖量)/全糖量×100
(糖量はいずれもmaltose当量)
また、糊化度は、別に測定した試料の水分含量を用いて補正した。
物性として粘弾性を測定した。硬さ粘り計(SATAKE、RHS1A、ロードセルA&D社 LC-205-K020)を用いて測定した。装置の操作手順に従い、8gの試料米飯を専用金属製シャーレに採り、18.5kgfで裏表10秒ずつプレスを行って米飯を固めた。固めた米飯を試料台に置き、13.3mm/secのスピードでプランジャー円柱(直径24mm)を二回のクリープ動作で動かして測定した。測定は7回ずつ行った。その結果を図4に示した。
炊飯方法の違いによる食味の差を比較するために、炊飯当日の米飯及び5℃で1日間冷蔵保存した米飯について官能検査を行った。
(水分含量)
試料とした米飯の水分含量は、連続炊飯では約63%、炊飯器では約62%であり、わずかに連続炊飯の水分含量が炊飯器のそれよりも高い傾向にあったが、ほぼ同じような炊飯状態に炊飯できた。
次に、ベルトコンベアの下方に流れ出た廃液を採取して、その廃液中に含まれる糖分を測定したところ、図2に示すような結果となった。図2から理解されるように、炊飯中に生じる廃液は全ての時間帯で糖分を含んでいた。廃液中の還元糖量は検出限界以下であり、廃液中の糖分は多糖類(非還元糖類)であった。また、図には示さないが、廃液にヨウ素試薬を加えた呈色反応では、アミロースの呈色に特徴的な青色を呈し、アミロースとアミロペクチンが存在する場合に示す赤紫色の呈色は示さなかった。また、廃液中の固形物量と全糖類(非還元糖類)の量はほぼ一致することから、廃液中の固形物量はほぼデンプン(アミロース)であると言える。これらのことより、廃液中の非還元糖類のほとんどはアミロースであって、実施例1の炊飯条件では炊飯中に溶出されるアミロースが注水中に洗い流されたと結論づけられる。この点は、廃液中の固形物が示すゲル濾過分析による分子量分布からも確認されている(結果は図示せず。)。また、図2より、アミロースの溶出量は炊飯開始6分後から急上昇し、8分後に溶出のピークとなっており、この時間帯におけるアミロースの溶出量は他の時間帯に比べて多いと推定される。なお、4分後から5分後に掛けてのアミロースの溶出量は少ないが、このことはこの時間帯では米に吸収される温水量が多いためであると考えられる。一方、炊飯器による炊飯は閉鎖系で行われるので、炊飯過程で溶出されたアミロースはおねばとなって米飯に残るものと考えられる。
(1)表面色
米飯の明度(L*)は、炊飯当日、翌日には有意差がみられないものの、連続炊飯による米飯の方がわずかに高く、4日後、7日後になると連続炊飯による米飯の方が有意に高かった。また、赤み−緑を表すa値は連続炊飯による米飯の方がわずかに大きかったが、黄色みを表すb値は連続炊飯による米飯の方が有意に小さかった。明度、a値及びb値から計算される白色度(WI)は連続炊飯による米飯の方が有意に高くなった。また、炊飯当日の米飯を目視で見たところ、後述するように連続炊飯による米飯の方がやや白く、炊飯器による米飯の方がやや黄みがかっていた(比較を示す画像は示さず。)。これらのことから、視覚から看取される老化度(白色度の変化)は、アミロースの洗浄を行った連続炊飯の方が小さいと言える。
冷蔵保存すると、炊飯当日では連続炊飯の場合も炊飯器による場合もいずれもほぼ100%であった糊化度は、炊飯翌日(1日後)には連続炊飯では84.5%、炊飯器では79.7%となり、両者には差がみられた。さらに、保存日数が経つにつれ両者の差が開き、連続炊飯では糊化度の低下が抑えられることが明らかになった。
炊飯当日の硬さは連続炊飯、炊飯器ともにほぼ同値であり、同じくらいの硬さに炊けていることが確認できた。常温で保存した場合、連続炊飯、炊飯器のいずれの米飯も硬さに大きな変化はみられなかった。一方、冷蔵保存した場合、炊飯器の米飯では1日後に5.3kgf、2日後に6.8kgf、3日後に7.5kgfと急激に硬さが上昇したが、連続炊飯の米飯でも硬さの上昇がみられたが、炊飯器に比べると穏やかな上昇であった。
「白さ」について、炊飯当日又は冷蔵保存後のいずれにおいても、連続炊飯による米飯は炊飯器による米飯に比べて有意(p<0.05)に白いと評価された。「光沢」については有意な差はなかったが、冷蔵保存後の米飯において連続炊飯による米飯の方が、光沢があると答えた人が多かった。「外観」についても有意な差はないものの、連続炊飯による米飯の方がおいしそうと評価した人が多かった。
連続式の炊飯方法により、加水量をさらに多くして米飯を炊飯した。加水量を除く炊飯条件は実験1と同様の条件とし、実験1とほぼ同様に加水量を設定した実験例1、それよりもやや多い実験例2、さらにそれよりも多い実験例3の3段階の加水量を設定した。具体的には、加それぞれ蒸気室入口方の散水装置から蒸気室出口方に向かって順に、実験例1の加水量は0.35L/min、0.26L/min、0.25L/min、0.2L/min(全注水量=1.05L/min、通常時の約1.6倍)、実験例2のそれは0.43L/min、0.35L/min、0.35L/min、0.25L/min(全注水量=1.38L/min、通常時の約2.1倍)、実験例3のそれは0.50L/min、0.45L/min、0.45L/min、0.30L/min(全注水量=1.70L/min、通常時の約2.7倍)であった。
実験1と同様にして、米飯(白米)の水分含量を測定した。
実験1と同様にしてコンベアの下方に流れ出た廃液を採取して、その廃液中に含まれる糖分を測定した。測定は実験例1と実験例2の米飯(白米)について行った。
上記で得られた米飯(実験例1〜3、比較例1〜2)及びすし飯(実験例1〜3、比較例1、2)について、物性(粘弾性:硬さ及び粘り)の変化を調べた。100gずつに小分けした米飯をそれぞれ食品用のラップに包み、5℃の冷蔵庫内(冷蔵保存)で保存した米飯をそれぞれ試験試料とした。物性の測定は、実験1と同様にして行った。
(水分含量)
試料とした米飯の水分含量は、実験例1では63.7%、実験例2では65.2%、実験例3では65.5%、比較例1では60.9%、比較例2では63.1%であった。また、炊き増え率は、実施例1では2.3倍、実施例2では2.4倍、実施例3では2.5倍、比較例1では2.3倍、比較例2では2.4倍であり、連続炊飯による米飯は、炊飯器による米飯とほぼ同様の炊飯状態であった。
アミロースの流出量を図6に示した。図6に示すように、加水量を増やすと糖類の流出量が多くなった。糖類中のほとんどがアミロースであったことから、加水量を多くすることで、より多くのアミロースが洗い流されることが示された。
白米の硬さの経時変化を図7に、白米の粘りの経時変化を図8に、すし飯の経時硬さの変化を図9に、すし飯の粘りの経時変化を図10に示した。白米を冷蔵保存した場合、連続炊飯により炊飯された米飯では、加水量を増やすにつれて硬さの上昇が抑えられた。粘りについて、炊飯器により炊飯された米飯(白米)は、加水量を増した場合でも、実施例1と同様に冷蔵保存することにより急激に粘りがなくなった。連続炊飯による米飯(白米)では、炊飯器による炊飯に比べて初期の急激な減少が抑えられ、加水量を増すことにより粘りの減少がさらに抑制された。
1.米飯(白米)の準備
炊飯条件は、加水量以外は実験1と同様の条件とし、実験2の実験例2と同様の加水量を設定した(実験例4)。すなわち、加水量はそれぞれ蒸気室入口方の散水装置から蒸気室出口方に向かって順に、実験例4は0.43L/min、0.35L/min、0.35L/min、0.25L/minであった(全注水量=1.38L/min、通常時の約2.1倍)。また、実験2と同様に炊飯器による炊飯も行った(比較例3)。当該連続炊飯による米飯の水分含量は約66%、炊き増え率は約2.5倍であり、炊飯器による米飯の水分含量は約64%、炊き増え率は約2.4倍であった。連続炊飯による米飯は、炊飯器による米飯の炊飯状態とほぼ同様であった。
実験例4の米飯及び比較例3の米飯に、タピオカ加工澱粉を混ぜたすし酢を混ぜ、すし飯(混ぜご飯)を調製した。実験2で使用した合わせ酢にタピオカ加工澱粉(アセチル化タピオカ澱粉:日本食品化工株式会社製、MT−01)を2w/v%となるように分散し、90℃で10分間加熱後、室温に冷却して用いた。炊飯した米飯(白米)に対して質量比で10%の溶液(タピオカ加工澱粉を含む合わせ酢)を混ぜて、すし飯を得た。また、比較として、タピオカ加工澱粉の2w/v%水溶液を90℃で10分間加熱後、室温に冷却した水溶液及びタピオカ加工澱粉を含まない合わせ酢をそれぞれ同様にして、すし飯を得た。得られた各すし飯について、下記に示す保存試験を行った。なお、米飯に対して10%の水を混ぜたものを対照とした。
上記で調製されたすし飯について保存試験を行い、物性(粘弾性)及び官能試験による味覚の変化を調べた。100gずつに小分けした米飯をそれぞれ食品用のラップに包み、10℃の冷蔵庫内(冷蔵保存)で保存した米飯をそれぞれ試験試料とした。物性の測定は、実施例1と同様にして行った。官能試験は、5人のパネラーに下記の評価項目について5段階評価で採点してもらい、その平均点を求めた。
10℃で24時間、48時間、72時間冷蔵保存したすし飯を5名のパネラーに試食してもらい、次の項目について7段階評価で評価してもらった。項目は、a)つや(なし:1点→あり:7点)、b)褐変(なし:1点→あり7点)、c)透明感(白っぽい:1点→透明感がある:7点)、d)つぶ表面(べちゃべちゃ:1点→パサパサ:7点)、e)粘着(ほぐれにくい:1点→ほぐれやすい:7点、f)硬さ(硬い:1点→柔らかい:7点)、g)弾力(なし:1点→あり:7点)、h)粘り(なし:1点→あり:7点)、f)食感(ぼそぼそ:1点→なめらか:7点)とし、炊飯器で炊飯した飯に10%の水を混ぜたものとの対比で行い、それと同等であれば4点として評価してもらった
(物性:弾粘性)
硬さの変化を図11に、粘りの変化を図12に示した。硬さについては、連続炊飯による実験例4の米飯は、合わせ酢だけを混ぜた場合、澱粉だけを混ぜた場合、澱粉と合わせ酢を混ぜた場合のいずれの場合も、炊飯器による比較例3の米飯に比べて、硬さの上昇が抑えられていた。特に、実験例4の米飯に酢だけを混ぜた場合と、実験例4の澱粉に澱粉と合わせ酢を混ぜた場合を比較すると、酢だけを混ぜた場合に比べて、澱粉と合わせ酢を混ぜた場合の方が、硬さの上昇が抑えられていた。
その結果を図13に示した。官能試験によると、保存時間が経過するにつれ、結着性や粘りにおいて、対照よりも評価が高くなり、全体的な食感も良好に保たれていた。以上のことから、タピオカ澱粉と合わせ酢を用いると、すし飯がおいしく冷蔵保存できることが示された。
炊飯条件は実験1と同様の条件とし、実験1の実験例1及び実験例2とそれぞれ同量の加水量を設定した(実験例5及び6)。すなわち、加水量はそれぞれ蒸気室入口方の散水装置から蒸気室出口方に向かって順に、実験例4は0.35L/min、0.26L/min、0.25L/min、0.2L/min(全注水量=1.05L/min、通常時の約1.6倍)、実験例5は0.43L/min、0.35L/min、0.35L/min、0.25L/min(全注水量=1.38L/min、通常時の約2.1倍)であった。実験例5の米飯の水分含量は約64%、炊き増え率は約2.3倍であり、実験例6の米飯の水分含量は約65%、炊き増え率は約2.5倍であった。
実施例5及び実施例6の米飯に、実施例1の実験3と同様の条件で、タピオカ加工澱粉を混ぜたすし酢を混ぜ、すし飯を調製した。また、比較として、タピオカ加工澱粉を含まない合わせ酢を混ぜ、すし飯を調製した。得られたすし飯について、下記に示す保存試験を行った。なお、米飯に対して10%の水を混ぜたものを対照とした。
上記で調製された混ぜご飯について、実施例1の実験3と同様の条件で保存試験を行い、物性(粘弾性)及び官能試験による味覚の変化を調べた。物性の測定は、実施例1と同様にして行った。官能試験は、9名のパネラーに下記の評価項目について5段階評価で採点してもらい、その平均点を求めた。
10℃で24時間、48時間、72時間冷蔵保存した混ぜご飯を9名のパネラーに試食してもらい、次の項目について5段階評価で評価してもらった。項目は、a)てり(なし:1点→あり:5点)、b)透明感(白濁している:1点→透明感がある:5点)、c)硬さ(硬い:1点→柔らかい:5点)、d)粘り(弱い:1点→強い:5点)、e)ほぐれ(ほぐれにくい:1点→ほぐれやすい:5点)、f)おいしさ(問題があって食べられない:1点、やや問題があり食べにくい:2点、問題があるが食べられる:3点、やや問題があるが食べられる:4点、問題なく食べられる:5点)とし、炊飯しただけの米飯(対照)との対比で行い、それと同等であれば3点として評価してもらった。なお、おいしさについては、対照も含めて上記5段階で絶対評価を行った。
(物性:弾粘性)
硬さの変化を図14に、粘りの変化を図15に示した。硬さについて、実施例4のすし飯及び実施例5のすし飯のいずれにおいても、タピオカ加工澱粉の使用ですし飯の硬さの上昇が抑えられていた。また、粘りについても同様のことが言え、加水量に関係なく、タピオカ加工澱粉の使用ですし飯自体の粘りが低下し、さばき性がよくなることが確認された。また、加水量の少ない実験例5の白米に酢を添加すると粘りの低下が1日後から顕著にみられるが、加水量を増やした実験例6では、酢を加えても粘りの低下は緩やかであり、さらに酢と澱粉を加えると、炊飯当日から適度な粘りがあり、その粘りが3日間ほとんど変化なく保たれた。
その結果を図16に示した。官能試験においても、タピオカ加工澱粉を混ぜたすし飯はほぐれ(さばき性)がよく、物性試験と同様の効果が得られることが確認された。
Claims (5)
- 米に水を加えて加熱する工程において米から溶出したアミロースを洗い流す工程を含む炊飯方法により、米飯を得る工程と、
前記工程で得られた米飯に、調味料とアルファ化されたタピオカ加工澱粉を混合する工程を有する混ぜご飯の製造方法。 - 高温蒸気による蒸し工程を含み、当該蒸し工程において温水による加水を行う連続式の炊飯方法であって、前記蒸し工程において米から溶出したアミロースを洗い流す工程を含む炊飯方法により、米飯を得る工程と、
前記工程で得られた米飯に、調味料とアルファ化されたタピオカ加工澱粉を混合する工程を有する混ぜご飯の製造方法。 - 前記タピオカ加工澱粉は、タピオカ澱粉のエーテル化物及び/又はエステル化物である請求項1又は2に記載の混ぜご飯の製造方法。
- 前記調味料は、すし飯用の調味料である請求項1〜3の何れか1項に記載の混ぜご飯の製造方法。
- 混ぜご飯調整用の調味用組成物であって、
混ぜご飯用の調味料と、アルファ化されたタピオカ加工澱粉を含む調味用組成物。
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