JP6150167B2 - 微粒子分散性評価装置及び微粒子分散性評価方法 - Google Patents

微粒子分散性評価装置及び微粒子分散性評価方法 Download PDF

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本発明は、一次粒子或いは一次粒子が凝集した凝集粒子からなるフィラー微粒子を含む樹脂膜における微粒子分散性評価装置及び微粒子分散性評価方法に関するものである。
近年、画像形成装置の高速化、小型化及びカラー化が急速に進行するなか、電子写真方式の画像形成装置に用いられる転写搬送部材、中間転写体等の樹脂膜からなるベルト部材の開発の潮流はデバイスへの高機能付加へと向かっている。このような流れの中で、樹脂膜からなるベルト部材に導電性を付与するために、樹脂膜にカーボンブラック等のフィラー微粒子を添加することが行われている。カーボンブラックの状態如何によってはベルト部材の導電性などの電気的特性が著しく変化してくるため、添加・分散したカーボンブラックの状態を正確にサブミクロン単位で評価する必要性が生じている。
従来、樹脂膜中に含まれるカーボンブラック等のフィラー微粒子の分散状態を評価する一般的な方法として、試料として樹脂膜の断面を作製し、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、レーザー顕微鏡(LSM)等の装置で顕微観察する方法が広く知られている。さらに、分散状態の定量的評価として、顕微観察したカーボンブラック等のフィラー微粒子の粒度分布を測定し、粒子径で分散性を示す方法も知られている。
一方、近年、試料調整を必要としないデバイス状態で、簡便・迅速に試料の深さ方向へのミクロン単位での構造解析が可能な方法として、共焦点レーザー顕微鏡装置を用いる方法が注目されている。
例えば、特許文献1には、共焦点レーザー顕微鏡装置を用いて、多層構造の膜試料の深さ方向へのミクロン単位での構造解析をおこなう装置が記載されている。共焦点レーザー顕微鏡装置としては、レーザー光源と、試料にレーザー光を照射すると共に、試料からの光を受光する分離光学素子、油浸対物レンズ、および、焦点面と共役な関係にあるピンホールを有する共焦点顕微光学系と、分離光学素子を経由した光における特定波長の光を透過する光を透過するフィルター光学素子と、フィルター光学素子を透過した光を分光する分光手段と、分光手段により分光された光の強度を検出する光検出手段と、試料の深さ方向並びに平面方向への走査機構とを備えたものが記載されている。
試料として樹脂膜の断面を作製し断面を顕微観察する方法では、断面をウルトラミクロトーム刃や集束イオンビーム(FIB)等の加工により作製しているが、この加工によりフィラー微粒子を構成する一次粒子や凝集粒子の破壊が起こる可能性がある。さらに、光学顕微鏡による観察では、分解能の問題があり、1μm以下の微小粒子の分散状態の観察には適していない。また、透過型電子顕微鏡による観察では、薄片の厚みが70nmを越えると電子線が透過できないので、フィラー微粒子の添加量が少ない場合は断面薄膜中にフィラー微粒子が存在しなくなる場合も考えられる。これらのことより、正確なフィラー微粒子の分散状態評価方法とはいい難いものであった。
また、試料として樹脂膜の断面を作製し断面を顕微観察する方法では、割断した断面情報しか知ることができないため、フィラー微粒子が不均一分散している膜の場合は、時間と工数を掛けて観測点を多数確保しなければならないといった問題があった。また、分散状態の定量的評価として、粒度分布を測定し粒子径で示す方法では、局所的な分散状態を把握できないといった問題があった。
一方、本発明者は、上記共焦点レーザー顕微鏡装置を用いることにより、感光体の各層を構成する樹脂層中に分散したフィラー微粒子の分散性評価を、試料断面を作製することなくデバイス状態のままで、簡便・迅速におこなえる可能性を検討した。そして、特願2012−259533号にて、共焦点レーザー顕微鏡装置を用いて、感光体の各層を構成する樹脂層中に分散したフィラー微粒子の分散性を評価する微粒子分散性評価装置を提案している。
上記共焦点レーザー顕微鏡装置で、フィラー微粒子を分散した感光体の樹脂層に単色光であるレーザー光を照射する。この時、樹脂層中のフィラー微粒子に、入射光波長と相互作用する粒径のフィラー微粒子があると、入射光が散乱して、その入射光と同じ波長の微弱な散乱光を観測することができる。なお、レーザー光を照射した際に観測される入射光と同じ波長の光は、レイリー光と呼ばれている。
先願の微粒子分散性評価装置では、上記共焦点レーザー顕微鏡装置において、フィルター素子により、分離光学素子で受光した光におけるレイリー光を通過させるようにしている。このため、樹脂層中のフィラー微粒子により散乱した微弱なレイリー光を抽出することが可能となり、その強度を光検出手段により検出してフィラー微粒子の分散状態の情報を取得することができる。これにより、先願の微粒子分散性評価装置では、膜試料としての感光体をデバイス状態のままで、感光体中に含まれるフィラー微粒子の分散状態を3次元的にサブミクロン単位で、簡便・迅速に得ることができる。
また、先願の微粒子分散性評価装置は、検出されたレイリー光の強度に基づき深さ方向並びに平面方向に関する2次元データを構築し、この2次元データから樹脂層中の粒子の分散性評価をおこなうための画像処理をおこなう画像処理部を有している。この画像処理部を用いて解析を行うことで、先願の微粒子分散性評価装置では、従来の粒子径で分散性を示す方法に比較して、感光層中のフィラー微粒子の分散状態のより詳細な定量的評価を可能としている。
ところが、先願の共焦点レーザー顕微鏡装置を用いた微粒子分散性評価装置で、カーボンブラックからなるフィラー微粒子を分散した樹脂膜の微粒子分散性評価を試みたところ、分散状態評価のための十分なレイリー光が検出できない場合があった。これは、フィラー微粒子の違いによるものと考えられる。一般的に感光体の樹脂層中に含まれるフィラー微粒子は誘電体であるが、カーボンブラックは導電体で、さらに光を吸収してしまう黒体である。このため、カーボンブラックからなるフィラー微粒子は、誘電体からなるフィラー微粒子と比較して、微粒子の散乱効率が低く、分散状態評価のための十分なレイリー光を検出し難いと考えられる。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、フィラー微粒子の種類によらず、樹脂膜中のフィラー微粒子の分散状態の詳細な定量的評価を、デバイス状態のまま3次元的にサブミクロン単位で、簡便・迅速に得ることのできる微粒子分散性評価装置及び微粒子分散性評価方法を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、レーザー光源と、微粒子を分散した樹脂膜からなる試料にレーザー光を照射すると共に、該試料からの微粒子散乱光を含む光を受光する分離光学素子、油浸対物レンズ、および、焦点面と共役な関係にあるピンホールを有する共焦点顕微光学系と、該分離光学素子を経由した光における特定波長の光を透過するフィルター光学素子と、該フィルター光学素子を透過した光を分光する分光手段と、該分光手段により分光された光の強度を検出する光検出手段と、該試料の深さ方向および平面方向への走査機構とを備え、該試料における微粒子の分散性を評価する微粒子分散性評価装置において、
上記フィルター光学素子はレイリー光を透過するものであり、上記光検出手段により検出された光の強度に基づき深さ方向並びに平面方向に関する2次元データを構築し、この2次元データから樹脂膜中の粒子の分散性評価をおこなうための画像処理をおこなう画像処理部を備え、上記レーザー光源が直線偏光で、分散した微粒子の粒径の7.2倍以上の波長のレーザー光を発することが可能であることを特徴とするものである。
本発明によれば、フィラー微粒子の種類によらず、樹脂膜中のフィラー微粒子の分散状態の詳細な定量的評価を、デバイス状態のまま3次元的にサブミクロン単位で、簡便・迅速に得ることができるという優れた効果がある。
本実施形態に係るフィラー微粒子分散評価装置の構成を示す断面概念図。 カーボンブラックフィラー微粒子を分散した樹脂膜の構成を示す図。 試料の載置台と走査機構の構成を示す概略図。 画像処理部による定量化手法の一例のフローチャート。 カーボンブラックフィラー微粒子分散性画像のX−Y断面で多数の任意の画像領域を特定した一例を示す図。 本実施形態の微粒子分散性評価装置により取得したカーボンブラックフィラー微粒子散乱像のX−Y断面のプロファイルの一例。 比較例1の微粒子分散性評価装置により取得したカーボンブラックフィラー微粒子散乱像のX−Y断面のプロファイルの一例。 画像処理部により分散状態の定量的評価のために作製したヒストグラムの例であり、(a)は分散性良の状態、(b)は分散性不良の状態を示す。
以下、図面を参照して、本発明の微粒子分散性評価装置及び微粒子分散性評価方法の実施形態を説明する。
まず、本実施形態で試料(被検体)となる、カーボンブラックからなるフィラー微粒子(以下、カーボンブラックフィラー微粒子という)が分散された樹脂膜試料の例を以下に挙げる。
図2は、カーボンブラックフィラー微粒子を分散した樹脂膜の構成を示す図である。図2に示す樹脂膜1は、厚さ140〜170μm程の単層構成であり、全域にカーボンブラックフィラー微粒子2を分散させることにより樹脂膜1をなしている。
樹脂としてはカーボンブラックフィラー微粒子を添加したあとの体積固有抵抗の経時変化が抑制され、かつ難燃性でトナー離型性に優れ、残トナークリーニング性・耐久性に優れたシームレスベルトが実現できることからフッ素系樹脂が好まれている。フッ素系樹脂としては、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレンーヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンーパーフルオロアルキニビニルエーテル共重合体(PFA)等があるが、この中でもPTFEが好ましい。
本実施形態で測定対象とするカーボンブラックフィラー微粒子としては、具体的にはファーネスブラック、サーマルブラック、ガスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等がある。また、導電性カーボンブラックに限らず、電気抵抗値のコントロールが容易なものであれば着色用のカーボンブラックでも良い。
微粒子であるカーボンブラックの一次粒子径は、0.01μm〜0.1μmの範囲が好ましい。0.01μm以下ではカーボンブラックの凝集力が強くなり分散性が低下し、0.1μmを超えると、たくさん添加しないと充分な導電性が得られなくなってしまう。
樹脂膜をシームレスベルトとした場合の層厚は、一般的に50〜500μmの範囲であるが、より好ましくは50〜250μmの範囲である。50μmより薄い場合にはベルト張力に対して充分な張抗力が得られず、また250μmを超えると柔軟性に欠け、スムースなベルト走行ができなくなる。
本実施形態の微粒子分散性評価装置および微粒子分散性評価方法を、樹脂膜中に分散されたカーボンブラックフィラー微粒子の分散状態の評価に用いるニーズがある。以下の微粒子分散性評価装置としてのカーボンブラック微粒子分散性評価装置により、樹脂膜試料1にレーザー光を照射した時に観測されるレイリー光として、樹脂膜試料1に分散されたカーボンブラックフィラー微粒子の微弱な散乱光を受光することができる。
本実施形態に係るカーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るカーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置の構成を示す概念図である。図1は、樹脂膜試料1からの、カーボンブラックフィラー微粒子散乱光を含むレイリー光を測定可能に検出部6に導く構成を示している。
図1のカーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置は、以下の構成からなる。すなわち、レーザー光源10、共焦点顕微光学系、フィルター光学素子7、分光手段(不図示)、検出部6、画像処理部8、顕微鏡ステージ(図1では不図示)等を備える。共焦点顕微光学系は、顕微鏡ステージ上の樹脂膜試料1にレーザー光を照射し、樹脂膜試料1からの微弱なカーボンブラックフィラー微粒子散乱光を含むレイリー光を受光する分離光学素子(ビームスプリッター3)、油浸対物レンズ4、焦点面と共役な関係にあるピンホールを備える。また、ガルバノスキャナー等の光学的なX−Y走査機構(不図示)を備える。フィルター光学素子7は、分離光学素子(ビームスプリッター3)を経由した光におけるレイリー光を透過する素子である。分光手段(不図示)は、フィルター光学素子を透過した光を分光する。検出部6は、分光手段で分光された光の強度を検出する光検出手段である。画像処理部8は、検出部6により検出され光の強度を用いてカーボンブラックフィラー微粒子分散性評価のための画像処理を行う。なお、図1では、正立型顕微鏡を示しているが、倒立型顕微鏡でもかまわない。
図3に示すように、載置台としての顕微鏡ステージ9には、X−Y−Z軸方向駆動部13が付帯されており、樹脂膜試料1のX−Y−Z軸方向への移動が可能である。また、顕微鏡ステージ9は、樹脂膜試料1を水平にならしめるチルト調整機構14を有している。
共焦点顕微光学系の焦点面となる、顕微鏡ステージ9に載置された樹脂膜試料1の微小領域にレーザー光を照射し、樹脂膜試料1からの光を受光してレイリー光を抽出し、その強度を検出してカーボンブラックフィラー微粒子の分散状態の情報を取得できる。この際、走査機構により、樹脂層のX−Y−Z方向に走査しながら上記情報を取得して解析する。
ここで、測定中の顕微鏡ステージ9の経時でのドリフト等の影響を排除するため、X−Y走査系でX−Y断面情報を取得しながら、Z軸方向駆動部を駆動して、Z軸方向に顕微鏡ステージ9を移動させる。これにより、X−Y−Z軸方向に走査しながら、微弱なカーボンブラックフィラー微粒子散乱光を含むレイリー光を取得して、後述するカーボンブラックフィラー微粒子の後方散乱像を作製する。
顕微鏡ステージ9のX−Y−Z軸方向駆動部13としては一般にはピエゾ素子或いはステッピングモータ移動機構を用いた走査が行われる。但し、X−Y走査系に関しては上記ガルバノスキャナー等の光学的な走査機構(不図示)を用いた方が精度と測定時間の観点で好適である。カーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置は、顕微鏡ステージ9を顕微鏡のZ方向に移動することによって、カーボンブラックフィラー微粒子が分散された樹脂膜試料1に対してレーザー光軸方向の走査を行うことが可能となる。深さ方向の空間分解能は、後述するように油浸対物レンズのNAに大きく依存している。
以下、上記カーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置の構成について詳しく説明する。
レーザー光源10から出射されるレーザー光は、カーボンブラックフィラー微粒子分散性評価法で測定に用いるレーザー光である。このレーザー光は、検出対象となるカーボンブラックフィラー微粒子に強い吸収が無く、レイリー散乱のメカニズムによりカーボンブラックフィラー微粒子により散乱する波長が選択される。また、一般的には数枚のNDフィルター(不図示)の組み合わせにより減光された状態である。
この際、レーザー光源の波長がカーボンブラックフィラー微粒子径の7.2倍未満では、レーザー光とカーボンブラックフィラー微粒子との相互作用となる散乱が、前方散乱が大となるミー散乱や回折散乱の領域となってしまう。このため、後方散乱光を必要とするカーボンブラックフィラー微粒子の散乱光を確保することができない。レーザー光源の波長がカーボンブラックフィラー微粒子径の7.2倍以上とすることで、散乱光が後方散乱を多く有するレイリー散乱の領域となり、カーボンブラックフィラー微粒子の分散性評価に必要な散乱光を取得することが可能となる。
このような条件を満たすためにはレイリー散乱という後方散乱の(装置の受光側に散乱光が戻ってくる)メカニズムが必要である。公知技術においてはレイリー散乱を満たす粒径パラメータ:α=πD/λ(D:粒径、λ:波長)において、α<0.4から、後方散乱を満たすレーザー光源の波長条件を波長が粒子径の7.86倍と考えられていた。しかし、本発明者の検討では、上記理論式よりも小さな7.2倍という値で、好適に分散性評価に必要な散乱光を確保することが可能となり、良好なカーボンブラックフィラー微粒子散乱像を取得できることを確認した(図6参照)。上記レーザー光源とカーボンブラック微粒子径の関係が満たされていない場合は、好適に分散性評価に必要な散乱光を確保することができず、好適なカーボンブラックフィラー微粒子散乱像が取得ができない(図7参照)。
また、後方散乱光を多く含むレイリー散乱の最も効率的な発生メカニズム以下のものである。直線偏光の電場を有した光が粒子(分子)と相互作用を起こす際、直線偏光の電場とそれを打ち消す様な位相が180度ずれた電場を有する(振動数は同じ)光を球面上に放出して、それが入射光や他の粒子の球面波と干渉して散乱光の波として現れる場合である。直線偏光でない光を用いた場合(例えば自然光)もレイリー散乱は発生するが、その散乱効率は直線偏光を用いた場合よりも低下することを確認している。この場合、理論的に粒子は誘電体であることが好ましいが、実施形態として用いる導電体からなるカーボンブラック微粒子を用いた場合も、同様にこのメカニズムが特に有効であることは確認済みである。但し、カーボンブラックフィラー微粒子径の大小、波長の長短に拘らず、粒子とバインダー樹脂との屈折率差が小さければ光学的には透明となり散乱は起こらない。
さらに、一般にはレーザー光強度が高いほど検出されるフィラー微粒子散乱光強度も強くなりS/N比は向上するが、試料破壊や褪色化、強光への応答(発光)などを考慮して決める必要も有る。また波長が短ければ、波長の4乗に反比例してカーボンブラックフィラー微粒子散乱強度が強くなる。
レーザー光源10の出射口側には、レーザー光源10より発せられたレーザー光束を集光する集光レンズ11と、この集光レンズ11による焦点上に配置される第1のピンホール12とが設けられている。
分離光学素子として用いるビームスプリッター3は、誘電体多層膜により、光束を二つに分離するミラーである。ビームスプリッター3としては、レーザー光源10からレーザー光の発信波長域を反射して、カーボンブラックフィラー微粒子を含んだ樹脂膜試料1に照射し、樹脂膜試料1からのカーボンブラックフィラー微粒子散乱光を含むレイリー光を透過する特性を有する。
油浸対物レンズ4は、集光レンズ11に次ぐ第2の集光レンズである。すなわち、レーザー光の焦点を油浸対物レンズ4の焦点と一致させ、レーザー光が樹脂膜試料1上の一点になるように照射されるようになっている。なお、油浸対物レンズ4の後焦点に第2のピンホール5を置き、焦点以外のカーボンブラックフィラー微粒子散乱光を効率よくカットしている。高い光学系スループットと小さな集光ビームスポットを両立させるため、油浸対物レンズ4への照射レーザー径は、油浸対物レンズ4の入射径と等しい直径に設定される。
また、顕微光学系における空間分解能は、油浸対物レンズ4のNAとコンフォーカルピンホール径に大きく依存しており、本実施形態では高空間分解能を達成するために、測定時にはNA1.2以上の油浸対物レンズ4として用いる。また、油浸対物レンズ4と樹脂膜試料1の間にエマルジョンオイル(不図示)が充填されており、油浸対物レンズ+エマルジョンオイルの構成となっている。
図1に示すような反射型(正立型顕微鏡)のカーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置では、レーザー照射と検出を同一の油浸対物レンズ4で行うことになる。
焦点以外の深さ方向からのカーボンブラックフィラー微粒子散乱光は、第2のピンホール5の位置で焦点を結ばないため、効率良く妨害光がカットされる。図1に示すように、非焦点からの反射光(散乱光)の行路を示す破線部分のほとんどの反射光が第2のピンホール5により遮蔽される。但し、樹脂膜試料1の膜中では収差の影響でビーム径が拡がりを見せるため、これらを油浸対物レンズやエマルジョンオイルを用いて拡がりを押さえることが測定上必要となる。
油浸対物レンズ+エマルジョンオイルの構成は、一般にはガラス程度の屈折率を持つ油をレンズと膜の間に満たして、空気とレンズの屈折の影響を排除する工夫がなされている。すなわち、乾燥系のレンズでは、レンズから空気、更に対象膜と二箇所で光が通る媒質が変化し屈折が生じる。これに対して、油浸対物レンズ4と合わせて使用するエマルジョンオイルをレンズや樹脂膜と近い屈折率となる1.5〜1.6とすると、光の屈折の影響を排除できる様になる。このことは、NAの大きな油浸対物レンズ4を用いた場合、樹脂膜試料1の膜中の空間分解能を高める為に有効な手立てとなる。
また、油浸対物レンズ4のNA(開口数)は1.2以上となる油浸レンズとエマルジョンオイルの組み合わせとなっている。NA1.2以上でなければ、深さ方向解析時の空間分解能:1μm以下を確保できず、特にカーボンブラックフィラーの粒子径が0.5μm以下の薄膜の場合は、明瞭なカーボンブラックフィラー微粒子分散性評価が不可能になる。
NAは対物レンズの性能を決める重要な値であり、焦点深度(空間分解能)、明るさに関係する値となる。NAが大きく成る程、空間分解能は向上する。NA(=Numerical Aperture)とも呼び、以下の式で表されるものである。但し、通常、市販対物レンズであれば、単体のNAが記載されている。
NA=n・sinθ
(ここで、nは膜試料1における対象膜と対物レンズ4の間の媒質(ここではエマルジョンオイル)の屈折率、θは光軸と対物レンズ4の最も外側に入る光線とがなす角を示す。)なお、エマルジョンオイルの屈折率に関しては、メーカー測定値を用いることも出来るし、エマルジョンオイルをスピンコーターでSiウェーハ上に超薄膜塗布して、その後に分光エリプソメータで測定したものを用いることもできる。
また、図1に示すように、本実施形態のカーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置における顕微光学系は、試料上の焦点面と共役な関係にあるピンホール(第1のピンホール12,第2のピンホール5)を備えた共焦点顕微光学系である。すなわち、第1のピンホール12が集光レンズ11とビームスプリッター3との間に設けられ、第2のピンホール5がビームスプリッター3と検出部6との前に設けられて、2つのピンホールはそれぞれ焦点を有する共焦点の位置に有る。これにより、共焦点顕微光学系において、合焦点以外からのカーボンブラックフィラー微粒子散乱光はピンホールによってブロックされる。このため、焦点以外の樹脂膜内からの不要光やカーボンブラックフィラー微粒子散乱光をほぼ完全に取り除くことが可能となり、深さ方向に優れた空間分解能を達成することができる。
本実施形態のカーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置は、カーボンブラックフィラー微粒子散乱光と表面の膜界面情報を有したレイリー光を同一の検出光学系で測定することも可能な構成としている。フィルター光学素子7は、樹脂膜試料1からのレイリー光であるカーボンブラックフィラー微粒子散乱光を検出部6に導く機能として設けられている。
本実施形態のカーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置では、膜試料にレーザー光軸を合わせた状態で、NDフィルター(図示していない)により、レーザー光強度を樹脂膜試料1からのレイリー光成分を検出部6で検出可能な程度に弱める。ついで、レイリー光成分を検出部6で検出して樹脂膜試料1の膜の深さ(Z)方向を含めたX−Y方向のカーボンブラックフィラー微粒子散乱像情報を取得可能にするものである。
検出部6は、分光手段と光検出手段とから構成される。
このうち、分光手段としては、プリズムや回折格子によりカーボンブラックフィラー微粒子散乱光を分光する分光器が挙げられる。主な機能は、樹脂膜やカーボンブラックフィラー微粒子を含んだ試料からの微弱な蛍光やラマン光などの成分を波長成分で取り除く。分光器に入る直前光路上に焦点面と共役な点(エリア)がある場合には、その部分のX−Y平面内に2つの直行するスリット(クロススリット)を置くことで、スリットの組に共焦点光学系でいう共焦点ピンホール(第2のピンホール5)の役割を担わせることが可能である。これにより、X−Y−Z軸方向の空間分解能が生じる。
また、光検出手段としては、マルチチャネル検出器(たとえば、CCD:Charge Coupled Device)、シングルチャネル検出器(たとえば、フォトマル若しくはAPD:Avalanche Photodiode)が挙げられる。樹脂膜中に分散されたカーボンブラックフィラー微粒子の、分散性を評価するためのカーボンブラックフィラー微粒子による散乱光は非常に微弱である。このため、光電面がレーザー波長域を含む検出波長域を有するフォトマル若しくはAPDの様な高感度検出器を用いることが特に好適である。これにより、微弱な散乱光を検出することが可能となり、樹脂膜の内部にあるカーボンブラックフィラー微粒子の分散性を評価することも可能となる。第2のピンホール5を透過した散乱光は、検出部6に構成された分光器に入射し分散された後、この光検出手段で検出されるようになる。
以上の状態で、レーザー光源10からのレーザー光の焦点位置を樹脂膜試料1の膜の深さ(Z)方向を含むX−Y方向に走査することに依って、カーボンブラックフィラー微粒子を含んだ樹脂膜試料1で、明瞭な正確なレイリー光プロファイルが得られる。これにより、正確なカーボンブラックフィラー微粒子散乱光を検出することができ、高分解能なカーボンブラックフィラー分散性評価が可能となる。
次に、上記構成のカーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置による、カーボンブラックフィラー微粒子を含んだ樹脂膜試料1におけるカーボンブラックフィラー微粒子分散性に関する測定方法を詳細に説明する。
1.樹脂膜試料の設置
ここで、厚さ140μmの樹脂膜中に分散されたカーボンブラックフィラー微粒子のX−Y断面のカーボンブラックフィラー微粒子散乱像を取得する。この際、レーザー光軸に対して垂直に位置していると考えられている樹脂膜面に僅かな傾きがある場合、適切なカーボンブラックフィラー微粒子散乱像の取得が不可能になることがある。また、対象とする樹脂膜試料1内でカーボンブラックフィラー微粒子の分散性が樹脂膜試料1の深さ方向で均一では無い場合、即ち偏りがある場合、適切なカーボンブラックフィラー微粒子散乱像の取得が不可能になることがある。
このため、予め樹脂膜表面をレーザー光軸に対して垂直に傾き調整するチルト調整機構14で傾きの微調整を行い、特に深さ方向に不均一分散されたカーボンブラックフィラー微粒子の分散性評価を可能ならしめる。
2.樹脂膜のカーボンブラックフィラー微粒子散乱像情報取得
カーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置を図1の構成とする。先ず油浸対物レンズ4と樹脂膜試料1との間にエマルジョンンオイル(不図示)を満たす。レーザー光源10より出射され、集光レンズ11、第1のピンホール12を経た拡散するレーザー光束を、ビームスプリッター3を介して油浸対物レンズ4に導く。油浸対物レンズ4は、エマルジョンオイルを透過させてカーボンブラックフィラー微粒子を含んだ樹脂膜試料1上に集光させる。
樹脂膜試料1上に集光された光束は、樹脂膜試料1からカーボンブラックフィラー微粒子散乱光情報を含んだ光として反射され、エマルジョンオイル、油浸対物レンズ4を経て集束しつつビームスプリッター3に戻る。ビームスプリッター3に戻った光は、ビームスプリッター3の特性により、カーボンブラックフィラー微粒子散乱光を含んだレイリー光の一部が検出部6側に向かうようになる。
さらに、この光は検出部6に導かれる前に、フィルター素子7を透過する。フィルター素子7を透過した光は、さらに集光位置に配置された第2のピンホール5を透過して、検出部6に導かれる。そして、検出部6に構成された分光器に入射し分散された後、検出部6でカーボンブラックフィラー微粒子散乱光の強度が検出される。
この状態で、ガルバノスキャナー等の光学的なX−Y走査系で樹脂膜試料1中を走査しながら、樹脂膜試料1を載せた顕微鏡ステージ9を必要に応じて、ピエゾ駆動或いはステッピングモータ移動機構によりZ軸方向に走査する。これにより、カーボンブラックフィラー微粒子を含んだ樹脂膜試料1の所定位置でのX−Y方向のレイリー光の検出を行う。すなわち、レーザー光と同一波長の散乱光強度プロファイルを検出部6の検出器で測定して樹脂膜試料1におけるカーボンブラックフィラー微粒子の散乱像情報を取り出す。
この時、カーボンブラックフィラー微粒子散乱像であるレイリー光を取得できるようにする為には、樹脂とカーボンブラック(589nmにおける屈折率:1.8、消光係数:7)との複素屈折率差が重要となり、次式
反射率R=((N−N+κ)/(N+N+κ
N:カーボンブラックの屈折率
N1:樹脂の屈折率
κ:カーボンブラックの消光係数
より、界面での反射率:Rが70%以上であることが見出されている。一般に、屈折率差が大きくなれば散乱光を確保しやすくなるが、その場合は、散乱の影響(広義の吸収:ランバート・ベールの法則)で、光の透過性の低下を誘発することとなる。
そして、検出されたカーボンブラックフィラー微粒子散乱光を用いて、カーボンブラックフィラー微粒子散乱像を、深さ方向を含むX−Y−Zの位置ごとにプロットする。例えばX−Y断面の深さ(Z)方向の位置毎のカーボンブラックフィラー微粒子分散状態プロファイルを得る。以上の処理により、カーボンブラックフィラー微粒子を含んだ樹脂膜試料1から高い空間分解能条件下でのカーボンブラックフィラー微粒子分散性画像取得が可能となる。
観察結果としては、X−Y断面におけるカーボンブラックフィラー微粒子マッピングデータ及びX−Z断面におけるカーボンブラックフィラー微粒子マッピングデータ或いは3Dでのカーボンブラックフィラー微粒子マッピングデータが得られる。これにより、定性的なカーボンブラックフィラー微粒子の分散状態を判断することが可能である。
さらに、画像処理部8により、得られたカーボンブラックフィラー微粒子分散性画像に画像解析のような手法、例えば任意の範囲毎における輝度の分散値を求める等の定量化手法を施すことができる。これにより、定量的にカーボンブラックフィラー微粒子の分散状態を評価することもできる。
定量化手法の一例を、図4のフローチャートに示す。
(Step1)
X−Y断面におけるカーボンブラックフィラー微粒子散乱像画像を取得する。
(Step2)
取得したカーボンブラックフィラー微粒子散乱像画像に対して、任意の画素長さを持つ矩形型の任意の画像領域を決定する。
(Step3)
散乱像画像領域内のフィラー微粒子散乱像散乱像の各画素の光の強度にあたる輝度の特徴量を算出する。
(Step4)
(Step2)(Step3)を繰り返し、カーボンブラックフィラー微粒子散乱像画像に対して、例えば図5の様に任意の多数の画像領域内で輝度の分散値を算出する。なお、図6では、画像領域を大きくすることで、一つの画素領域内での輝度の分散値を得ている。
(Step5)
各画素領域内で各画素の輝度の分散値或いは標準偏差値を分散状態の特徴量として算出し、該複数の画像領域の特徴量でヒストグラム化する。
(Step6)
ヒストグラムとカーボンブラックフィラーが分散された樹脂膜試料の特性との対応をとり、必要な閾値を設定して良・不良判断を行う。
この際、区画された各画素領域内を一つの度数として度数分布図を作成し、縦軸が領域度数、横軸が特徴量のデータ区間となるヒストグラム(図8(a)、(b))とする。これにより、例えば分散性が良い「分散性:良」サンプルに対する「分散性:不良」サンプルの判断を、閾値を設定することで定量的に行うことが可能となってくる。
また縦軸が特徴量、横軸がラベリングされた各画素領域となるヒストグラムを作成することでそのサンプル内のどの辺り(エリア)の分散状態が悪いのかを定量的に判断することも可能となる。
上記定量化手法において、任意の画像領域は、カーボンブラックフィラー粒径・カーボンブラックフィラー含有率に依って凝集状態の注目すべき範囲が変わるため可変可能でその範囲は矩形型であることが好ましい。これは、人が目視で画像上のカーボンブラックフィラー散乱像の粗密を判断しているアルゴリズムに従っている。人が細かい領域を評価する時は狭い領域の輝度のバラツキを、大きな輝度のドメインを見るときは広い領域の輝度のバラツキを見ていることに準拠している。
また特徴量としては、画素領域毎の輝度の分散値、或いは輝度の標準偏差を求めることが好適である。これによりカーボンブラックフィラーの分散性評価を良好に行うことができる。
以下、実施例、比較例に基づき説明する。
<実施例1>
以下の条件で、カーボンブラックフィラー微粒子が分散された樹脂膜(シームレスベルト)試料1サンプルである、電子写真装置に用いられる中間転写体としての中間転写ベルトのカーボンブラックフィラー微粒子分散性評価を行った。
(1)樹脂膜(シームレスベルト)試料
図2において、カーボンブラックフィラー微粒子が分散された樹脂膜試料1として膜厚140μmのPTFE樹脂に一次粒子径0.035μmのカーボンブラックフィラー2が分散された中間転写ベルトを準備した。
(2)カーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置
図1に示す構成
・レーザー光源10;レーザー光波長 488nm(微粒子径の13.9倍)
・油浸対物レンズ4;油浸対物レンズ(OLYMPUS MPlan Apo 100× NA=1.4(屈折率1.516のエマルジョンオイルを対象膜と対物レンズ4の間に充填)
なお、エマルジョンオイルの屈折率は、メーカー測定値(製品にデータ添付)をそのまま用いた。
(3)測定手順
まず、カーボンブラックフィラー微粒子が分散された樹脂膜(シームレスベルト)試料1を適当な大きさのシート状に裁断し、スライドガラスに両面テープで固定して載置台9上に静置する。次に、図1に示すような構成とし、対物レンズとしては、油浸対物レンズ4を準備し、カーボンブラックフィラー微粒子を含んだ樹脂膜(シームレスベルト)試料1との間にエマルジョンオイル(不図示)を充填する。
そして、レーザー励起光の光束を油浸対物レンズ4で集光してシート状に形成されたカーボンブラックフィラー微粒子を含んだ樹脂膜試料1の表面から深さ方向(Z方向)1μmの位置に照射する。樹脂膜試料をX−Y方向に走査して、樹脂膜試料から微弱なカーボンブラックフィラー微粒子の散乱像を検出部6の検出器(光電面がGaAsPのAPD)に導いてカーボンブラックフィラー微粒子の散乱像を取得した。図5,6に、取得したカーボンブラックフィラー微粒子散乱像のX−Y断面のプロファイルを示す。
図5は、カーボンブラックフィラー微粒子が分散された樹脂膜(シームレスベルト)試料1におけるカーボンブラックフィラー微粒子の散乱像のX−Y断面プロファイルである。図5に示すように、PTFE樹脂シート中に一次粒子径0.035μmのカーボンブラックフィラー粒子を均一に分散させた状態が確認された。
さらに、画像処理部8内において、図4に示すフローに従って、定量化手法による処理を施した。ここで、図5に示すように、X−Y断面で、元画素数512×512画素、256階調の取得画像に対して、横方向40画素、縦方向40画素の任意の画像領域を決定し、各画像領域内の輝度の特徴量として輝度の分散値を算出した。これを繰り返して、任意の多数の画像領域内で輝度の分散値を計算し、ヒストグラム(図8)を作成した。多数のカーボンブラックフィラー微粒子分散性良好サンプルと不良サンプルを測定することで、良・不良判断の為の閾値をヒストグラム上で選択した。これにより、樹脂膜(シームレスベルト)試料におけるカーボンブラックフィラー微粒子分散性を定量的に評価した。
<実施例2>
実施例1においてレーザー励起光の光束を油浸対物レンズ4で集光してカーボンブラックフィラー微粒子を分散させた樹脂膜試料1(シームレスベルト)の表面から深さ方向(Z方向)1μmの位置に照射し、樹脂膜試料をX−Y方向に走査する。樹脂膜(シームレスベルト)試料1から微弱なカーボンブラックフィラー微粒子の散乱像を検出部6の光電面がGaAsPのAPDからなる検出器に導いて、カーボンブラックフィラー微粒子の散乱像を取得した。図6に取得した樹脂膜のX−Y断面のプロファイルを示す。
その後、画像処理部8内において、図4に示すフローに従って、定量化手法による処理を施し、カーボンブラックフィラー微粒子分散性を定量的に評価した。
この際、レーザー光の波長をカーボンブラックフィラー一次粒子径0.035μmの11.57倍となる405nmとし、樹脂膜試料の分散状態の観察を行った。
この際、波長が405nmと光学的な空間分解能が浅くなっている条件でスライドガラスに両面テープで固定した樹脂膜(シームレスベルト)試料1に傾きがあった。このため、樹脂膜表面近傍(深さ1μm程の位置)でのX−Y断面情報を取得するためにチルト調整機構14を用いて樹脂膜の傾き補正を行った。
<比較例1>
比較例1として、レーザー光の波長をカーボンブラックフィラー粒子径0.06μmに対して、レーザー光源の波長がカーボンブラックフィラー微粒子径の7.2倍未満である6.75倍の405nmとする。この場合のカーボンブラックフィラー微粒子の散乱像を取得した結果を図7に示す。
図7に示すように、レーザー光源の波長がカーボンブラックフィラー微粒子径の7.2倍未満では散乱の多くが前方散乱(ミー散乱)となってしまうため、受光器側に散乱光となるレイリー光が戻って来なくなる。このため、樹脂膜中の粒子径0.06μmカーボンブラックフィラー微粒子の明瞭な散乱像を取得することができなかった。
<比較例2>
従来の、光検出手段により検出された光の強度に基づきカーボンブラックフィラー微粒子分散性の定量評価のための画像処理を行う画像処理部8を備えていない構成のカーボンブラックフィラー微粒子分散性評価装置を用いた。しかし、市販装置標準装備の解析ソフトウェアでは取得した多値画像の輝度の分散値計算を任意の画素サイズで行うことが不可能であったため、得られたカーボンブラックフィラー微粒子の存在を表す取得画像中の輝度を用いた定量化を行うことが出来なかった。
<比較例3>
実施例2においてレーザー励起光の光束を油浸対物レンズ4で集光して、カーボンブラックフィラー微粒子を分散させた厚さ140μmの樹脂膜中の深さ方向の1点に照射した。樹脂膜試料をX−Y方向に走査して、膜試料から微弱なカーボンブラックフィラー微粒子の散乱像を検出部6の光電面がGaAsPのAPD検出器に導いて、カーボンブラックフィラー微粒子の散乱像を取得した。
この際、載置台にチルト調整機構14を設けず試料のチルト(傾き)調整を行わなかったが、スライドガラスに両面テープで固定した樹脂膜(シームレスベルト)試料1に傾きが有った。このため、樹脂膜表面近傍(深さ1μm程の位置)のX−Y方向のカーボンブラックフィラー微粒子散乱像では、走査した際の測定ポイントの一部が表面上に出てしまった。カーボンブラックフィラー散乱X−Y二次元画像が途中で途切れるなど、浅い領域の適正なカーボンブラックフィラー微粒子散乱像を取得することが出来なかった。
以上、本実施形態では、例えばカーボンブラックフィラー微粒子径0.035μmに対してレーザー光源の波長がカーボンブラックフィラー微粒子の7.2倍以上の波長域として488nm(実施例1)、405nm(実施例2)の条件を用いて本発明を説明した。しかし、これに限らず、7.2倍以上あれば、光の浸透深さや光学的な空間分解能に差は生じるものの、405nm、458nm、488nm、514nm、633nm等のレーザー光源を使用することもできる。これによれば、より多様な構成で実施可能とすることができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
レーザー光源10と、微粒子2を分散した樹脂膜からなる試料1にレーザー光を照射すると共に、試料からの微粒子散乱光を含む光を受光するビームスプリッター3等の分離光学素子、油浸対物レンズ4、および、焦点面と共役な関係にあるピンホール12,5を備える共焦点光学系を有する共焦点顕微光学系と、分離光学素子を経由した光における特定波長の光を透過するフィルター光学素子7と、フィルター光学素子を透過した光を分光する分光手段と、分光手段により分光された光の強度を検出する検出部6などの光検出手段と、試料の深さ方向および平面方向への走査機構とを備え、該試料における微粒子の分散性を評価する微粒子分散性評価装置である。この微粒子分散性評価装置において、フィルター光学素子7はレイリー光を透過するものであり、光検出手段により検出された光の強度に基づき深さ方向並びに平面方向に関する2次元データを構築し、この2次元データから樹脂膜中の粒子の分散性評価をおこなうための画像処理をおこなう画像処理部8を備える。さらに、レーザー光源10が直線偏光で、分散した微粒子の粒径の7.2倍以上の波長のレーザー光を発することが可能である。
(態様A)においては、共焦点顕微光学系の焦点面となる樹脂膜の微小領域にレーザー光を照射し、樹脂層からの光を分離光学素子で受光する。そして、分離光学素子で受光した光におけるレイリー光をフィルター光学素子により透過させることで、レイリー光を抽出し、その強度を光検出手段により検出してフィラー微粒子の分散状態の情報を取得する。
また、レーザー光源が、直線偏光で、分散した微粒子の粒径の7.2倍以上の波長のレーザー光を発することを可能とすることで、フィラー微粒子の種類によらず、微粒子分散性評価をおこなうためのフィラー微粒子のレイリー光を良好に検出することができる。以下、詳細に説明する。
共焦点レーザー顕微鏡装置は、共焦点顕微光学系により、レーザー光源からのレーザー光を試料に照射すると共に、試料からレーザーの入射方向に戻る後方散乱光を受光する構造である。このため、微粒子分散性評価のためのレイリー光を良好に検出するためには、微粒子からの後方散乱光をある程度確保することが必要である。そこで、前方散乱光が多く含むミー散乱ではなく、後方散乱光を多く含むレイリー散乱を発生させることが望まれる。
ここで、フィラー微粒子が誘電体である場合は、散乱光が強いため、レイリー散乱を発生させなくともある程度の後方散乱光が確保でき、分散状態評価に用いるレイリー光が容易に検出できていた。しかし、例えばフィラー微粒子がカーボンブラック等では、導電体で、さらに光を吸収してしまう黒体という性質を有しているため、散乱光が弱くなる。このため、分散状態評価のための十分なレイリー光を検出するためには、レイリー散乱のように後方散乱を多く有する散乱を効率よく発生させることが必要となる。
後方散乱光を多く含むレイリー散乱を発生させる最も効果的なメカニズムは、レーザー光源として直線偏光を用いることである。直線偏光でない、円偏光や楕円偏光、一般の無偏光(自然偏光)でも、入射光波長が樹脂膜中のフィラー微粒子と相互作用ものであればレイリー散乱は発生するが、その散乱効率は直線偏光を用いた場合よりも低い。
また、上記実験に示すように、レーザー光の波長を分散したカーボンブラックのフィラー微粒子の粒径の7.2倍以上とすることで、散乱光が後方散乱光を多く有するレイリー散乱の領域となり分散状態評価に必要なレイリー光を検出可能なことを見出した。一方、7.2倍未満では、レーザー光とフィラー微粒子の相互作用となる散乱が、前方散乱が大となるミー散乱の領域となってしまい、分散性評価に必要なレイリー光を良好に検出できない。
なお、このようなレーザー光源を備えた微粒子分散性評価装置で、樹脂膜中の誘電体からなるフィラー微粒子の分散性評価を行った場合でも十分なレイリー光が検出できることは言うまでもない。すなわち、フィラー微粒子の種類によらず、分散性評価に必要なレイリー光を良好に検出できる。
さらに、この微粒子分散性評価装置では、走査機構により樹脂膜の深さ方向並びに平面方向に操作しながら、上記レーザー光源より焦点面となる樹脂膜の微小領域にレーザー光を照射し、樹脂層からの光を受光してフィラー微粒子のレイリー光を検出する。そして、検出されたレイリー光の強度に基づき、画像処理部において、深さ方向並びに平面方向に関する2次元データを構築し、この2次元データから樹脂層中の粒子の分散性評価をおこなうための画像処理をおこなう。このような画像処理部を用いた解析を行うことで、従来の粒子径で分散性を示す方法に比較して、樹脂膜中のフィラー微粒子の詳細な分散状態の定量的評価を可能としている。
よって、本発明の微粒子分散性評価装置は、フィラー微粒子の種類によらず、樹脂膜中のフィラー微粒子の分散状態の詳細な定量的評価を、デバイス状態のまま3次元的にサブミクロン単位で、簡便・迅速に得ることができる。
(態様B)
上記(態様A)において、画像処理部8は、試料の深さ方向または平面方向におけるレイリー光の強度の分布から微粒子散乱光による深さ位置毎のフィラー微粒子散乱像画像とする散乱画像作成手段と、フィラー微粒子散乱光画像の任意の画素領域を複数定め、各画素領域内で各画素の輝度の分散値、または、標準偏差値を分散状態の特徴量として算出し、該複数の画素領域の特徴量をヒストグラム化する演算処理手段とを備える。これによれば、上記実施形態について説明したように、フィラー微粒子の分散状態の詳細な定量的評価をおこなうことができる。
(態様C)
上記(態様A)において、演算処理手段が処理を行う画素領域の画素範囲は矩形型であり、縦・横の画素数を自由に可変できる。これによれば、上記実施形態について説明したように、フィラー粒径・フィラー含有率によって凝集状態の注目すべき範囲が変わることに対応でき、適確なフィラー微粒子分散性の定量的評価が可能となる
(態様D)
上記(態様A)において、演算処理手段によるヒストグラム化は順次ラベリングされた各画素領域内の分散状態の特徴量を元に、特徴量の数値閾値を設定して画素領域毎の良否を判定する判定手段を有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、試料内のどの場所の分散状態が悪いのかを定量的に判断でき、フィラー微粒子の分散状態の詳細な評価が可能となる。
(態様E)
上記(態様A)において、演算処理手段による上記ヒストグラム化は各画素領域内の分散状態の特徴量で範囲を定めた数値幅に、各領域を一つの度数としてプロットした度数分布図であり、該特徴量の数値範囲に閾値を設定してサンプルの良否を判定する判定部を有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、分散性が良い「分散性良サンプル」に対する「分散性不良サンプル」の判断を定量的に行うことが可能となる。
(態様F)
上記(態様A)乃至(態様E)の何れかにおいて、試料の載置台に試料を水平にならしめるチルト調整機構を有する。これによれば、上記実施形態について説明したように、レーザー光のX−Y走査面とフィラー微粒子を含んだ樹脂膜の平行を保てる。このため、樹脂膜内でフィラー微粒子の分散性が樹脂膜の深さ方向で均一では無い場合や偏りがある場合でも、予め樹脂膜表面をレーザー光軸に対して垂直に傾き調整するチルト調整機構で傾きの微調整を行う。これにより、深さ方向に不均一分散されたフィラー微粒子のX−Y散乱像プロファイルが良好に取得できる。
(態様G)
上記(態様A)乃至(態様F)の何れかにおいて、試料の深さ方向および平面方向への走査機構として、平面方向への走査は光学的走査手段を用い、深さ方向への走査は試料の載置台の機械的走査手段を用いる。上記実施形態について説明した樹脂膜では、平面方向に対して、深さ方向の走査範囲が格段に少ない。このような試料の評価には、平面方向(X−Y走査系)をスピードの速い光学的走査、深さ方向(Z走査系)を時間の掛かる走査機構と分けることが測定時間の短縮化の効果が大きく、測定効率を高めることができる。
(態様H)
上記(態様A)乃至(態様G)の何れかにおいて、分離光学素子はビームスプリッターである。これによれば、上記実施形態で説明したように、フィラー微粒子を含んだ樹脂膜にレーザー光を照射するとともに、フィラー微粒子を含んだ樹脂膜からの散乱光を含んだレイリー光を測定できる。
(態様I)
上記(態様A)乃至(態様H)の何れかにおいて、共焦点顕微光学系に用いられる油浸対物レンズとエマルジョンオイルの組み合わせのNAは1.2以上である。これによれば、上記実施形態で説明したように、優れた空間分解能を達成することができ、フィラー微粒子のより正確な分散状態を得ることができる。
(態様J)
上記(態様A)乃至(態様I)の何れかにおいて、光検出手段がレーザー波長域を含む検出波長域を有するフォトマル若しくはAPD(Avalanche Photodiode)である。これによれば、上記実施形態で説明したように、微弱なフィラー微粒子での散乱光を検出することが可能となり樹脂膜中のフィラー微粒子分散性評価が可能となる。
(態様K)
上記(態様A)乃至(態様J)の何れかにおいて、樹脂膜中にカーボンブラックからなるフィラー微粒子を分散した試料の分散性を評価する。これによれば、上記実施形態で説明したように、導電体で、光を吸収する特性を有し、散乱光が微弱なカーボンブラックのようなフィラー微粒子の分散状態の詳細な定量的評価を、デバイス状態のまま3次元的にサブミクロン単位で、簡便・迅速に得ることができる。
(態様L)
分離光学素子、油浸対物レンズ、および、焦点面と共役な関係にあるピンホールを有する共焦点顕微光学系を用いて、樹脂膜中にフィラー微粒子が分散された試料にレーザー光を照射すると共に、該試料からの微粒子散乱光を含む光を受光して、微粒子散乱光に含まれるレイリー光の強度を検出して微粒子分散状態を評価する微粒子分散性評価方法において、試料に照射するレーザー光として、直線偏光で、且つ、分散した微粒子の粒径の7.2倍以上の波長のレーザー光を、試料の深さ方向および平面方向へ照射して、上記レイリー光の強度に基づき深さ方向並びに平面方向に関する2次元データを構築し、この2次元データから樹脂膜中の粒子の分散性評価をおこなう。
これによれば、上記実施形態で説明したように、フィラー微粒子の種類によらず、樹脂膜中のフィラー微粒子の分散状態の詳細な定量的評価を、デバイス状態のまま3次元的にサブミクロン単位で、簡便・迅速に得ることができる
1 樹脂膜試料
2 カーボンブラックフィラー微粒子
3 ダイクロイックミラー(分離光学素子)
4 油浸対物レンズ
5 第二のピンホール
6 検出部
7 フィルター光学素子
8 画像処理部
9 顕微鏡ステージ
10 レーザー光源
11 集光レンズ
12 第一のピンホール
13 X−Y−Z軸方向駆動部
14 チルト調整機構
特開2012−173112号公報

Claims (12)

  1. レーザー光源と、微粒子を分散した樹脂膜からなる試料にレーザー光を照射すると共に、該試料からの微粒子散乱光を含む光を受光する分離光学素子、油浸対物レンズ、および、焦点面と共役な関係にあるピンホールを有する共焦点顕微光学系と、該分離光学素子を経由した光における特定波長の光を透過するフィルター光学素子と、該フィルター光学素子を透過した光を分光する分光手段と、該分光手段により分光された光の強度を検出する光検出手段と、該試料の深さ方向および平面方向への走査機構とを備え、該試料における微粒子の分散性を評価する微粒子分散性評価装置において、
    上記フィルター光学素子はレイリー光を透過するものであり、上記光検出手段により検出された光の強度に基づき深さ方向並びに平面方向に関する2次元データを構築し、この2次元データから樹脂膜中の粒子の分散性評価をおこなうための画像処理をおこなう画像処理部を備え、上記レーザー光源が直線偏光で、分散した微粒子の粒径の7.2倍以上の波長のレーザー光を発することが可能であることを特徴とする微粒子分散性評価装置。
  2. 請求項1の微粒子分散性評価装置において、上記画像処理部は、上記試料の深さ方向または平面方向におけるレイリー光の強度の分布から該微粒子散乱光による深さ位置毎のフィラー微粒子散乱像画像とする散乱画像作成手段と、該フィラー微粒子散乱画像の任意の画素領域を複数定め、各画素領域内で各画素の輝度の分散値、または、標準偏差値を分散状態の特徴量として算出し、該複数の画素領域の特徴量をヒストグラム化する演算処理手段とを備えたことを特徴とする微粒子分散性評価装置。
  3. 請求項2の微粒子分散性評価装置において、上記演算処理手段が処理を行う上記画素領域の画素範囲は矩形型であり、縦・横の画素数を自由に可変できることを特徴とする微粒子分散性評価装置。
  4. 請求項2の微粒子分散性評価装置において、上記演算処理手段によるヒストグラム化は順次ラベリングされた各画素領域内の分散状態の特徴量を元に、特徴量の数値閾値を設定して画素領域毎の良否を判定する判定手段を有することを特徴とする微粒子分散性評価装置。
  5. 請求項2の微粒子分散性評価装置において、上記演算処理手段による上記ヒストグラム化は各画素領域内の分散状態の特徴量で範囲を定めた数値幅に、各領域を一つの度数としてプロットした度数分布図であり、該特徴量の数値範囲に閾値を設定してサンプルの良否を判定する判定部を有することを特徴とする微粒子分散性評価装置。
  6. 請求項1、2、3、4または5の何れかの微粒子分散性評価装置において、上記試料の載置台に上記試料を水平にならしめるチルト調整機構を有することを特徴とする微粒子分散性評価装置。
  7. 請求項1、2、3、4、5または6の何れかの微粒子分散性評価装置において、上記試料の深さ方向および平面方向への走査機構として、平面方向への走査は光学的走査手段を用い、深さ方向への走査は試料の載置台の機械的走査手段を用いることを特徴とする微粒子分散性評価装置。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6または7の何れかの微粒子分散性評価装置において、上記分離光学素子はビームスプリッターであることを特徴とする微粒子分散性評価装置。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7または8の何れかの微粒子分散性評価装置において、上記共焦点顕微光学系に用いられる油浸対物レンズとエマルジョンオイルの組み合わせのNAは1.2以上であることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  10. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の何れかフィラー微粒子分散性評価装置において、上記光検出手段がレーザー波長域を含む検出波長域を有するフォトマル若しくはAPD(Avalanche Photodiode)であることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  11. 請求項1乃至10の何れかの微粒子分散性評価装置において、樹脂膜中にカーボンブラックからなるフィラー微粒子を分散した試料の分散性を評価することを特徴とする微粒子分散性評価装置。
  12. 分離光学素子、油浸対物レンズ、および、焦点面と共役な関係にあるピンホールを有する共焦点顕微光学系を用いて、樹脂膜中にフィラー微粒子が分散された試料にレーザー光を照射すると共に、該試料からの微粒子散乱光を含む光を受光して、微粒子散乱光に含まれるレイリー光の強度を検出して微粒子分散状態を評価する微粒子分散性評価方法において、
    試料に照射するレーザー光として、直線偏光で、分散した微粒子の粒径の7.2倍以上の波長のレーザー光を、試料の深さ方向および平面方向へ照射して、上記レイリー光の強度に基づき深さ方向並びに平面方向に関する2次元データを構築し、この2次元データから樹脂膜中の粒子の分散性評価をおこなうことを特徴とする微粒子分散性評価方法。
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