JP6143155B2 - フィラー微粒子分散性評価装置及びフィラー微粒子分散性評価方法 - Google Patents

フィラー微粒子分散性評価装置及びフィラー微粒子分散性評価方法 Download PDF

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Description

本発明は、一次粒子或いは一次粒子が凝集した凝集粒子からなるフィラー微粒子を含む感光体層におけるフィラー微粒子分散性評価装置及びフィラー微粒子分散性評価方法に関するものである。
近年、画像形成装置の高速化、小型化及びカラー化が急速に進行するなか、電子写真方式の画像形成装置に用いられる感光体の開発の潮流はデバイスへの高機能付加へと向かっている。このような流れの中で、多層構成の透過性の膜からなる感光体を高耐久化するために、感光体層にフィラー微粒子を添加することが行われている。このフィラー微粒子の状態如何によっては感光体の耐久性・電気的特性が著しく変化してくるため、添加・分散したフィラー微粒子の状態を正確にサブミクロン単位で評価する必要性が生じている。
従来、樹脂膜中に含まれるフィラー微粒子の分散状態を評価する一般的な方法として、試料(膜)断面を作製して、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、レーザー顕微鏡(LSM)等の観察装置で観察する方法が広く知られている。さらに、フィラー微粒子を含んだ樹脂を溶媒で溶解し、ろ過フィルター上で顕微鏡観察する方法(特許文献1参照)、樹脂膜を薄片状に切り出して熱分解ないしは燃焼させてから顕微鏡観察する方法(特許文献2参照)等の分析方法等も提案されている。
上記、膜断面のフィラー微粒子の分散状態を顕微観察する方法では、膜断面をウルトラミクロトーム刃や集束イオンビーム(FIB)等の加工により作製しているが、この加工によりフィラー微粒子を構成する一次粒子や凝集粒子の破壊が起こる可能性がある。また、光学顕微鏡観察では、分解能の問題があり、1μm以下の微小粒子の分散状態の観察には適していない。また、透過型電子顕微鏡観察では、薄片の厚みが70nmを越えると電子線が透過できないので、フィラー微粒子の添加量が少ない場合は断面薄膜中にフィラー微粒子が存在しなくなる場合も考えられる。これらのことより、正確なフィラー分散状態評価方法とはいい難いものであった。
また、上記顕微観察方法では、割断した断面情報しか知ることができないため、フィラー微粒子が不均一分散している膜の場合は、時間と工数を掛けて観測点を多数確保しなければならないといった問題があった。さらに、特許文献1,2の方法では、正確さは向上するが、試料調整のためにより多くの時間と工数がかかってしまうという問題があった。
近年、試料調整を必要としないデバイス状態で、簡便・迅速に膜の深さ方向へのサブミクロン単位での構造解析が可能な方法として、レーザー顕微鏡装置が注目されている。レーザー顕微鏡装置の構成としては、レーザー光源と、試料にレーザー光を照射すると共に、試料からの光を受光する分離光学素子と対物レンズとを有する顕微光学系と、分離光学素子を経由した光における特定波長の光を透過するフィルター光学素子と、フィルター光学素子を透過した光を分光する分光手段と、分光手段により分光された光の強度を検出する光検出手段とを備えたものが知られている。本発明者は、このようなレーザー顕微鏡装置を用いることにより、膜中のフィラー微粒子の分散性評価を、試料調整を必要としないデバイス状態のままで、簡便・迅速におこなえる可能性を見出した。
レーザー顕微鏡装置では、フィラー微粒子を分散した透過性の樹脂膜に単色光であるレーザー光を照射した際、膜中のフィラー微粒子で入射光波長と相互作用する粒径のものがあると、レイリー散乱のメカニズムに従って入射光が散乱して、その入射光と同じ波長の微弱な散乱光を観測することができる。また、多層構成の透過性の樹脂膜にレーザー光を照射した際、膜の界面からの反射により、入射光と同じ波長の反射光が観測することができる。これより、フィラー微粒子を分散した多層構成の透過性の樹脂膜にレーザー光を照射した際には、膜の界面からの比較的高強度な反射光と、膜中のフィラー微粒子による微弱な散乱光とを含む入射光と同じ波長の光を観測することができると考えられる。レーザー光を照射した際に観測される入射光と同じ波長の光は、レイリー光と呼ばれている。
レーザー顕微鏡装置を用いて、顕微光学系の焦点面となる膜の微小領域に、レーザー光を照射し、膜からの光を受光してレイリー光を抽出し、その強度を検出して解析すると、微小領域におけるフィラー微粒子の分散状態の情報が取得できる。膜の深さ方向に焦点面を移動させながら、レイリー光を解析してフィラー微粒子の分散状態の位置情報を取得しつつ、レイリー光に含まれる比較的高強度の界面反射光による界面位置情報を加味することで、膜の深さ方向のフィラー微粒子の分散状態がサブミクロン単位で評価が可能と考えられる。
また、一般的なレーザー顕微装置は、深さ方向を含むX−Y−Z方向へ走査する走査機構を有する載置台としての顕微鏡ステージを備えており、試料を深さ方向並びに平面方向に走査しながら上記情報を取得することにより、試料の3次元的な評価をデバイス状態のままおこなう構成となっている。このようなレーザー顕微鏡装置を用いることにより、膜試料としての感光体をデバイス状態のままで、感光体中に含まれるフィラー微粒子の分散状態を3次元的にサブミクロン単位で、簡便・迅速に得ることが可能と考えられる。
一方、近年、感光体としては円筒形状基体上に多層の樹脂膜からなる感光体層を形成したものが多く用いられている。このため、円筒形状試料である感光体をデバイス状態のままで、フィラー微粒子の正確な分散状態を3次元的に、簡便・迅速に得ることが望まれる。しかしながら、上述の一般的なレーザー顕微鏡装置の顕微鏡ステージでは、膜試料として平面状試料を正確に測定することはできるが、円筒形状試料を正確に測定する構成にはなっていない。
一般的なレーザー顕微鏡装置では、載置台を機械的に移動させて、レーザー光が照射される位置に試料の測定点を移動させて静置させる。円筒形状試料を測定する場合、曲率中心が測定点となるように、載置台を機械的に移動させる。この場合、移動手段の駆動機構に用いられている歯車のバックラッシュ分のずれ等により載置台の静止位置がずれ、レーザー光軸と円筒形状試料の曲率中心との僅かなずれが発生しやすい。また、正確な静止位置になっている場合でも、円筒形状試料の真円度のバラツキによる中心軸の僅かなずれが生じ、レーザー光軸と円筒形状試料の曲率中心の僅かなずれが発生しやすい。円筒形状試料の曲率半径が小さくなるほど、レーザー光軸と円筒形状試料の曲率中心の僅かなずれは顕著になる。
このような装置において、円筒形状試料にレーザー光を照射して、レイリー光を検出すると、光強度の膜界面における反射光に関しては、平面状試料と同様な高い空間分解能を有する反射光が検出できる。しかし、指向性のある微弱なフィラー微粒子散乱光の測定は、レーザー光軸と円筒形状試料の曲率中心の僅かなずれによる影響で、光の強度が変化したり、測定位置がずれたりする。このため、フィラー微粒子散乱光の測定精度低下を引き起こしてしまう。
一方、上述のように感光体ではフィラー微粒子の分散状態を正確にサブミクロン単位で評価することが必要となっているが、上記フィラー微粒子散乱光の測定精度低下により、分散状態をサブミクロン単位で正確に得ることは困難となってしまう。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、円筒形状基体上に形成された多層の樹脂膜中のフィラー微粒子の正確な分散状態を、デバイス状態のまま3次元的にサブミクロン単位で、簡便・迅速に得ることのできるフィラー微粒子分散性評価装置及びフィラー微粒子分散性評価方法を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、感光体層中に分散したフィラー微粒子の分散性を評価するフィラー微粒子分散性評価装置であって、レーザー光源と、試料にレーザー光を照射すると共に、該試料からの界面反射光と微弱なフィラー微粒子散乱光とを含むレイリー光を受光する分離光学素子と対物レンズとを有する顕微光学系と、該分離光学素子を経由した光における特定波長の光を透過するフィルター光学素子と、該フィルター光学素子を透過した光を分光する分光手段と、該分光手段により分光された光の強度を検出する光検出手段と、該試料の深さ方向を含むX−Y−Z方向への走査機構を有する載置台とを備えたフィラー微粒子分散性評価装置において、上記試料としての円筒形状試料を円筒形状の中心軸が水平になるよう支持する支持治具と、該支持治具を該レーザー光に対して垂直、且つ、該円筒形状試料の中心軸に対して垂直な方向に移動可能とする支持治具移動手段と、該円筒形状試料表面を観察する表面観察用撮像素子と、該支持治具移動手段による移動量を制御する支持治具移動量制御手段を有することを特徴とするものである。
本発明においては、上記構成のレーザー顕微鏡系を用い、レーザー光を膜試料に照射した際に観測されるレイリー光から、フィラー微粒子の正確な分散状態を、デバイス状態のまま3次元的に、簡便・迅速に取得する。さらに、本発明では、円筒形状試料を正確に測定するために、円筒形状試料の曲率中心とレーザー光軸を合わせるように調整できる構成としている。円筒形状試料は、載置台上で支持治具により円筒形状試料の中心軸が水平になるよう支持される。測定者は、駆動制御手段により支持治具移動手段の駆動を制御して支持治具をレーザー光に対して垂直、且つ、円筒形状試料の軸に対して垂直な方向に移動させながら、表面観察用撮像素子により円筒形状試料の表面を観察し、レーザー光軸と円筒形状試料の曲率中心との一致位置を探し、この位置に支持治具を静止させる。これにより、駆動機構に用いられる歯車のバックラッシュ分のずれ等による載置台の静止位置ずれや、円筒形状試料の真円度のバラツキによる中心軸の僅かなずれが生じていても、円筒形状試料の曲率中心とレーザー光軸を合わせることができる。光軸を合わせた状態で、レイリー光を測定することにより、円筒形状試料においても、フィラー微粒子散乱光を精度良く測定することができる。このため、円筒形状試料においても、フィラー微粒子の分散状態をサブミクロン単位で正確に得ることができる。
本発明によれば、円筒形状基体上に形成された多層の樹脂膜中のフィラー微粒子の正確な分散状態を、デバイス状態のまま3次元的にサブミクロン単位で、簡便・迅速に得ることができるという優れた効果がある。
本実施形態に係るフィラー微粒子分散評価装置の構成を示す断面概念図。 感光体ドラムの層構成を示す図。 円筒形状試料の支持治具および支持治具駆動部並びにチルト調整機構の構成を示す概略図。 本実施形態のフィラー微粒子分散評価装置によるレイリー光プロファイルの一例。 本実施形態のフィラー微粒子分散評価装置による表面層フィラー分散状態のプロファイルの一例。 光軸調整機能を有さないフィラー微粒子分散評価装置による表面層フィラー分散状態のプロファイルの一例。 画像処理部による定量化手法の一例のフローチャート。 表面層のX−Z断面で多数の任意の画像領域を特定した一例を示す図。 表面層のX−Y断面で多数の任意の画像領域を特定した一例を示す図。 本実施形態のフィラー微粒子分散評価装置による中間層フィラー分散状態のプロファイルの一例。 本実施形態のフィラー微粒子分散評価装置による中間層フィラー分散状態取得時のチルト調整状態の一例。
以下、図面を参照して、本発明のフィラー微粒子分散性評価装置及びフィラー微粒子分散性評価方法を実施形態により詳細に説明する。
まず、本実施形態で円筒形状試料(被検体)となる多層構成の光透過性の膜構成として、代表的な感光体ドラムの例を以下に挙げる。
図2(a)、(b)は、感光体ドラムの層構成を示す図である。図2(a)に示すように、感光体ドラムは、導電性基体となるアルミニウムドラム2上に中間層3、電荷発生層4、電荷輸送層5、表面層6を順次形成した多層構成の膜試料1であり、電荷発生層4、電荷輸送層5、表面層6により感光層とした光導電性の感光体である。
図2(b)に示すものは、導電性基体となるアルミドラム2上に中間層3を形成し、その上に電荷発生層4と電荷輸送層5を積層して感光層とした光導電性の感光体である。この感光層の表面側、この場合、電荷輸送層5の所定厚さ部分が補強用のフィラー微粒子を分散させた表面層として構成されるか、或いは電荷輸送層5の全域にフィラー微粒子が分散されたものである。
中間層3は、導電性基体であるアルミニウムドラム2に感光層を接着固定するバインダとしての機能をもち、帯電ムラ等の弊害を抑制するために「フィラー微細粒子」を含有した下引層として設けられている。
電荷発生層4は、特定の波長の光照射により「正と負の電荷対」を発生させる層であり、電荷輸送層5と表面層6は電荷発生層4で発生した正と負の電荷のうち、所定極性の電荷を感光層表面へ輸送する機能を持つ層である。
表面層6は、感光体が実機内で物理的な接触・摩耗により感光層が削れ、感光体特性が低下することを防ぐ機能も有している。図2(a)に示す表面層6には、感光層の耐磨耗性を向上させるためフィラー微粒子が分散されて含有されている。
中間層3、電荷発生層4、電荷輸送層5、表面層6の膜厚は好ましくはそれぞれ、2〜6μm、1μm以下、15〜35μm、3〜10μm程度であり、従って、感光層としての好ましい厚さは18〜46μm程度となる。
中間層3の層厚は、上記のように、一般的に2〜6μmの範囲であるが、バインダとしての十分な機能や、導電性基体に対する光遮蔽効果を良好にならしめるために、中間層3の厚さは3μm以上であることが好ましい。
このうち、本実施形態の装置または方法を、光透過性の膜である表面層6或いは電荷輸送層5、中間層3中に分散されたフィラー微粒子の分散状態の評価に用いるニーズがある。下記、フィラー微粒子分散性評価装置により、膜試料にレーザー光を照射した時に観測されるレイリー光として、表面層6の表面、電荷輸送層5の表面、及び、中間層3の表面(界面)の反射光を受光することが可能である。また、レイリー光として、表面層6或いは電荷輸送層5、中間層3中に分散されたフィラー微粒子の微弱な散乱光を受光することが可能である。
本実施形態に係るフィラー微粒子分散性評価装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るフィラー微粒子分散性評価装置の構成を示す概念図である。図1は、膜試料1からの、フィラー微粒子散乱光を含むレイリー光の一部を測定可能に検出部36に導く構成を示している。
図1のフィラー微粒子分散性評価装置は、レーザー光源30と、載置台としての顕微鏡ステージ(図1には図示せず)上の膜試料1にレーザー光を照射し、膜試料1からの界面反射光と微弱なフィラー微粒子散乱光とを含むレイリー光を受光する分離光学素子(ビームスプリッター33)及び選択可能な対物レンズ34とを有する顕微光学系と、分離光学素子(ビームスプリッター33)を経由した光における特定波長の光を透過するフィルター光学素子37と、フィルター光学素子を透過した光を分光する分光手段(不図示)と、分光された光の強度を検出する光検出手段(検出部36)と、光検出手段により検出され光の強度を用いてフィラー微粒子分散性評価のための画像処理を行う画像処理部38とを備える。顕微光学系の対物レンズ34としては、低倍率の乾燥系対物レンズと、試料の間にエマルジョンオイル(不図示)が充填される油浸レンズとを選択可能に有している。図1のレイリー光及びフィラー微粒子散乱光の測定時は、対物レンズ34は、エマルジョンオイル(不図示)が充填される油浸レンズを用いる。
また、フィラー微粒子分散性評価装置は、顕微鏡ステージ(=載置台)(図1には図示せず)を備えている。この顕微鏡ステージは、X−Y−Z軸方向駆動部が付帯されており、膜試料1のX−Y−Z軸方向への移動が可能である。X−Y−Z軸方向駆動部を駆動して、X−Y−Z軸方向にフィラー微粒子が分散された表面層を有する光透過性の膜試料1の乗った顕微鏡ステージを移動させながら対物レンズで界面反射光と微弱なフィラー微粒子散乱光とを含むレイリー光を集光することでフィラー微粒子の分布マップを作り出す。顕微鏡ステージのX−Y−Z軸方向駆動部としてはピエゾ素子或いはステッピングモータ移動機構を用いた走査が行われる。
このフィラー微粒子分散性評価装置は、顕微鏡ステージを顕微鏡のZ方向に移動することによって、フィラーが分散された光透過性の膜試料1に対してレーザー光軸方向の走査を行うことが可能となる。深さ方向の空間分解能は、後述するように対物レンズのNAに大きく依存しており、高空間分解能を達成する為、測定時には低倍率の乾燥系の対物レンズではなく油浸対物レンズが用いられる。
ここで、膜試料1として、上記感光体ドラムのような円筒形状試料を測定する場合、前述した様にレイリー光測定時に円筒形状試料の曲率半径中心とレーザー光軸が一致していないと、曲率の影響で、正確なフィラー微粒子散乱光を検出することが困難となる。
そこで、本実施形態のフィラー微粒子分散性評価装置では、円筒形状試料40の曲率半径中心とレーザー光軸とを一致させる調整を可能とする構成を備える。図3は、顕微鏡ステージ39上に設けた、円筒形状試料の支持部構成を示す概略図であり、(a)は軸方向断面図、(b)は軸方向側面図である。このフィラー微粒子分散性評価装置は、円筒形状試料40を支持する支持治具(試料受け部)41を備えている。また、円筒形状試料の支持治具41をX−Y−Z軸方向駆動部を有する顕微鏡ステージ39上でレーザー光と垂直で、且つ、円筒形状試料40の軸方向と垂直となる方向に移動するよう駆動する支持治具駆動部42も備えている。そして、円筒形状試料40の中心軸をレーザー光軸に対して垂直に傾き調整するチルト調整機構44と、支持治具駆動部42の駆動量を制御する駆動制御手段(不図示)と、表面観察用撮像素子としての観察用CCD43も備えている。
図3(a)、(b)に示すように、円筒形状試料40の中心軸が水平になるよう支持する支持治具41が支持治具駆動部42の上に設けられており、更に傾き微調整のためのチルト調整機構44を有している。このように支持される円筒形状試料40は、支持治具駆動部42により支持治具41、チルト調整機構44を介して、レーザー光と垂直で、且つ、円筒形状試料40の軸方向と垂直となる方向に移動可能である。支持治具駆動部42は、駆動制御手段(不図示)によりその駆動を制御されることで、支持治具41の位置を制御できる。この構成では、支持治具駆動部42をレーザー光と垂直で、且つ、円筒形状試料40の軸方向と垂直となる方向のみに移動可能としているが、これに限るものではなく、例えば機械的な移動機構を一つ付与し、円筒形状試料40の軸方向に移動可能としても良い。
以下、上記フィラー微粒子分散性評価装置の構成について詳しく説明する。
レーザー光源30から出射されるレーザー光は、フィラー微粒子分散性評価法で測定に用いるレーザー光であり、検出対象となる膜やフィラー微粒子に吸収が無く、レイリー散乱のメカニズムによりフィラー微粒子に依って散乱させられる波長が選択され、数枚のNDフィルター(不図示)の組み合わせを用いて一般には減光された状態である。
一般には、レーザー光強度が高いほど検出されるフィラー微粒子散乱光強度も強くなりS/N比は向上するが、試料破壊や褪色化、強光への応答(発光)などを考慮して決める必要も有る。
また波長が短ければ、波長の4乗に反比例してフィラー微粒子散乱強度が強くなる。
また、レーザー光源30の出射口側には、レーザー光源30より発せられたレーザー光束を集光する集光レンズ31と、この集光レンズ31による焦点上に配置される第1のピンホール32と、が設けられている。
分離光学素子として用いるビームスプリッター33は、誘電体多層膜により、光束を二つに分離するミラーである。ビームスプリッター33としては、レーザー光源30からレーザー光の発信波長域を反射して、円筒形状基体上に形成されたフィラー微粒子を含んだ光透過性の膜試料に照射する機能と、円筒形状基体上に形成されたフィラー微粒子を含んだ光透過性の膜試料からのフィラー微粒子散乱光及び膜界面反射光を含むレイリー光を透過する特性を有する。
対物レンズ34は、集光レンズ31に次ぐ第2の集光レンズである。すなわち、レーザー光の焦点を対物レンズ34の焦点と一致させ、レーザー光が円筒形状基体上に形成された光透過性の膜試料1上の一点になるように照射されるようになっている。なお、対物レンズ34の後焦点に第2のピンホール35を置き、焦点以外のフィラー微粒子散乱光を効率よくカットしている。高い光学系スループットと小さな集光ビームスポットを両立させるため、対物レンズ34への照射レーザー径は、対物レンズ34の入射径と等しい直径に設定される。
また、顕微光学系における空間分解能は、対物レンズ34のNAとコンフォーカルピンホール径に大きく依存しており、本実施形態では高空間分解能を達成するために、測定時には油浸対物レンズを対物レンズ34として用いる。また、対物レンズ34と円筒形状基体上に形成された膜試料1の間にエマルジョンオイル(不図示)が充填されており、油浸対物レンズ+エマルジョンオイルの構成となっている。
図1に示すような反射型のフィラー微粒子分散性評価装置では、レーザー照射と検出を同一の対物レンズ34で行うことになる。
焦点以外の深さ方向からのフィラー微粒子散乱光は、第2のピンホール35の位置で焦点を結ばないため、効率良く妨害光がカットされる(図1に示すように、非焦点からの反射光の行路を示す破線部分のほとんどの反射光が第2のピンホール35により遮蔽される)。但し、円筒形状基体上に形成された膜試料1の膜中では屈折率差に依る色収差や球面収差の影響でビーム径が拡がりを見せるため、これらを油浸対物レンズやエマルジョンオイルを用いて拡がりを押さえることが測定上必要となる。
油浸対物レンズ+エマルジョンオイルの構成は、一般にはガラス程度の屈折率を持つ油をレンズと膜の間に満たして、空気とレンズの屈折の影響を排除する工夫がなされている。すなわち、乾燥系のレンズでは、レンズから空気、更に対象膜と二箇所で光が通る媒質が変化し屈折が生じる。これに対して、油浸対物レンズと合わせて使用するエマルジョンオイルをレンズや膜と近い屈折率となる1.5〜1.6とすると、光の屈折の影響を排除できる様になる。このことは、NAの大きな対物レンズ34を用いた場合、円筒形状試料上に形成された膜試料1の膜中の空間分解能を高める為に有効な手立てとなる。
また、対物レンズ34のNA(開口数)は1.2以上となる油浸レンズとエマルジョンオイルの組み合わせとなっている。NA1.2以上でなければ、深さ方向解析時の空間分解能:1μmを確保できず、特に5μm以下の薄膜の場合は、明瞭なフィラー微粒子分散性評価が不可能になる。
特に、フィラー微粒子の一次粒子径が1μm以下の場合はこの傾向が顕著である。
NAは対物レンズの性能を決める重要な値であり、焦点深度(空間分解能)、明るさに関係する値となる。NAが大きく成る程、空間分解能は向上する。NA(=Numerical Aperture)とも呼び、以下の式で表されるものである。但し、通常、市販対物レンズであれば、単体のNAが記載されている。
NA=n・sinθ
(ここで、nは膜試料1における対象膜と対物レンズ34の間の媒質(ここではエマルジョンオイル)の屈折率、θは光軸と対物レンズ34の最も外側に入る光線とがなす角を示す。)
なお、エマルジョンオイルの屈折率に関しては、メーカー測定値を用いることも出来るし、エマルジョンオイルをスピンコーターでSiウェーハ上に超薄膜塗布して、その後に分光エリプソメータで測定したものを用いることもできる。
また、図1に示すように、本実施形態のフィラー微粒子分散性評価装置における顕微光学系は、物体上の焦点面と共役な関係にあるピンホール(第1のピンホール32,第2のピンホール35)を備えた共焦点顕微光学系である。すなわち、第1のピンホール32が集光レンズ31とビームスプリッター33との間に設けられ、第2のピンホール35がビームスプリッター33と検出部36との前に設けられて、2つのピンホールはそれぞれ焦点を有する共焦点の位置に有る。これにより、共焦点顕微光学系において、合焦点以外からのフィラー微粒子散乱光はピンホールによってブロックされるため、焦点以外の膜内からの不要光や光透過性の膜試料内部からのフィラー微粒子散乱光をほぼ完全に取り除くことが可能となり、深さ方向に優れた空間分解能を達成することができる。
本実施形態のフィラー微粒子分散性評価装置は、フィラー微粒子散乱光と膜界面情報を有したレイリー光を同一の検出光学系で測定することが可能に構成している。
フィルター光学素子37は、円筒形状基体上に形成された膜試料1からのレイリー光である界面反射光とフィラー微粒子散乱光とともに測定可能に検出部36に導く機能として設けられている。
共焦点顕微光学系では、レーザー光を対物レンズ34により、狭い領域に集光して円筒形状基体上に形成されたフィラー微粒子が含有された光透過性の膜試料1に照射するため、通常の分光測定とは比較にならないくらい高強度の励起光になる。
本実施形態のフィラー微粒子分散性評価装置では、円筒形状試料40の曲率中心とレーザー光軸を合わせた状態で、NDフィルター(図示していない)により、レーザー光強度を円筒形状基体上に形成された膜試料1からのレイリー光成分を検出部36で検出可能な程度に弱め、ついでレイリー光成分を検出部36で検出して円筒形状基体上に形成された膜試料1の膜の深さ方向を含めたX−Y−Z方向のフィラー微粒子散乱像情報を取得可能にするものである。
検出部36は、分光手段と光検出手段とから構成される。
このうち、分光手段としては、回折格子によりフィラー微粒子散乱光を分光する分光器が挙げられる。主な機能は、膜やフィラー微粒子を含んだ試料からの微弱な蛍光やラマン光などの成分を波長成分で取り除くことで、分光器に入る直前光路上に焦点面と共役な点(エリア)がある場合には、その部分のX−Y平面内に2つの直行するスリット(クロススリット)を置くことで、スリットの組に共焦点光学系でいう共焦点ピンホール(第2のピンホール35)の役割を担わせることが可能であり、これにより、X−Y−Z軸方向の空間分解能が生じる。
また、光検出手段としては、マルチチャネル検出器(たとえば、CCD:Charge Coupled Device)、シングルチャネル検出器(たとえば、フォトマル若しくはAPD:Avalanche Photodiode)が挙げられる。各層中に分散されたフィラー微粒子の、分散性を評価するためのフィラー微粒子による散乱光は非常に微弱である。このため、光検出手段がレーザー波長域を含む検出波長域を有するフォトマル若しくはAPDの様な高感度検出器を用いることが特に好適で、各層中の微弱な散乱光を検出することが可能となり、層の内部にあるフィラー微粒子の分散性を評価することも可能となる。第2のピンホール35を透過した散乱光は、検出部36に構成された分光器に入射し分散された後、この光検出手段で検出されるようになる。
以上の状態で、レーザー光源30からのレーザー光の焦点位置を円筒形状基板上に形成された膜試料1の膜の深さ方向を含むX−Y−Z方向に走査することに依って、フィラー微粒子を含んだ光透過性の膜試料1で、明瞭な正確なレイリー光プロファイルが得られ、正確な界面反射光や正確なフィラー微粒子散乱光を検出することができ、高分解能なフィラー分散性評価が可能となる。
次に、上記構成のフィラー微粒子分散性評価装置による円筒形状基体上に形成されたフィラー微粒子を含んだ膜試料1における対象膜のフィラー微粒子分散性に関する測定を詳細に説明する。
1.円筒形状試料の曲率中心とレーザー光軸の軸合わせ
図3の支持治具41(試料受け部)に円筒形状試料40を乗せ、対物レンズ34として低倍率(40倍が好ましい)の乾燥系対物レンズを選択する。円筒形状試料40の焦点位置の確認のために、観察用CCD43で観察して意図的に円筒形状試料40の中心で無い任意の位置に支持治具駆動部42を移動させ、円筒形状試料40表面にZ方向移動機構を用いて焦点を合わせる。この時、顕微鏡筐体に付帯の視野絞りを操作し、観察用CCD43の視野内に視野絞りの羽根が見えるように予め視野絞りの大きさを調整しておく。レーザー光軸(この場合、顕微鏡の対物レンズ光軸)と円筒形状試料40の曲率半径が一致していない場合は、視野絞りの羽根が視野内で片側(エッジ)だけ焦点が合い、片側だけ焦点が合わない像が観察される。この位置を座標Aとする。
この状態で、支持治具駆動部42により焦点位置をレーザー光と垂直で、且つ、円筒形状試料40の軸方向と垂直となる方向(図3中、半径方向)に移動させていくと焦点が合わない状態が暫く続き、その後、同様に視野絞りの羽根がフォーカスして見えてくる半径方向位置が現れる。この位置を座標Bとする。この位置でも円筒形状試料40の曲率の影響に依り、視野絞りの羽根が視野内で片側だけ焦点が合う状態になる。この場合、円筒形状試料40の半径方向の中心座標、すなわち曲率中心は下式より導かれる。
(座標A−座標B)÷2+座標B
上式で求められた中心座標(レーザー光軸と曲率中心の一致した座標)に円筒形状試料40を移動後、Z方向に焦点を合わせることで、円筒形状試料40の曲率中心とレーザー光軸が一致し、次ステップで正確な深さプロファイル測定が可能になる。
ここで、電荷発生層4中に分散されたフィラー微粒子の分散性や、膜厚1μm以下の表面層6や中間層3中に分散されたフィラー微粒子の的確なX−Y断面のフィラー微粒子散乱像の取得が、次のような場合に困難となる。
レーザー光軸に対して垂直に位置していると考えられている円筒形状試料40の膜測定評価面に僅かな傾きがある場合でも、レーザー光のX−Y走査範囲が図11(a)に示すように対象膜の厚み範囲内に納まっていれば良い。しかし、図11(b)に示すようにレーザー光のX−Y走査範囲が膜の厚み内に収まらない場合は的確なX−Y断面のフィラー微粒子散乱像の取得が困難となる。
またX−Y走査範囲が膜の厚み内に収まっている場合でも、対象とする膜内でフィラー微粒子の分散性が膜の深さ方向で均一では無い場合、即ち偏りがある場合は、この場合も適切なフィラー微粒子散乱像の取得が不可能になる場合がある。
このため、予め支持治具41の下に円筒形状試料40の対象膜をレーザー光軸に対して垂直に傾き調整するチルト調整機構44で傾きの微調整を行い、特に膜厚1μm以下薄膜でのX−Y断面でのフィラー微粒子の分散性評価を可能ならしめる。
2.試料膜の界面位置情報(レイリー光情報)取得及びフィラー微粒子散乱像情報取得
フィラー微粒子分散性評価装置を図1の構成とする。対物レンズ34は、油浸対物レンズとして、膜試料との間にエマルジョンンオイル(不図示)を満たす。レーザー光源30より出射され、集光レンズ31、第1のピンホール32を経た拡散するレーザー光束を、ビームスプリッター33を介して油浸対物レンズに導き、油浸対物レンズによりエマルジョンオイルを透過させて円筒形状基体上に形成されたフィラー微粒子を含んだ光透過性の膜試料1上に集光させる。
膜試料1上に集光された光束は、膜試料1からフィラー微粒子散乱光情報と膜界面情報を含んだ光として反射され、エマルジョンオイル、油浸対物レンズ34を経て集束しつつビームスプリッター33に戻る。ビームスプリッター33に戻った光は、ビームスプリッター33の特性により、膜界面情報とフィラー微粒子散乱光を含んだレイリー光の一部が検出部36側に向かうようになる。
さらに、この光は検出部36に導かれる前に、フィルター素子37を透過する。フィルター素子37を透過した光は、さらに集光位置に配置された第2のピンホール35を透過して、検出部36に導かれる。そして、検出部36に構成された分光器に入射し分散された後、検出器36でレイリー光及びフィラー微粒子散乱光の強度が検出される。
このような状態で、円筒形状基体上に形成されたフィラー微粒子を含有させた光透過性の膜試料1を載せた顕微鏡ステージ39を必要に応じてX−Y−Z軸方向にピエゾ駆動或いはステッピングモータ移動機構により走査させて、円筒形状基体上に形成されたフィラー微粒子を含んだ膜試料1の対象膜の所定位置での検出を行う。すなわち、レーザー光と同一波長の光強度プロファイルを検出部36の検出器で測定して膜における界面位置情報とフィラー微粒子の散乱像情報を取り出す。
これにより、界面位置情報となるレイリー光の光量変化を確認し、その光量がピークとなる位置から光軸方向の界面の位置を特定することができる。例えば、図4(a)、(b)に示すような被検体である膜の界面位置情報を取得することができるが、ここでは、2つの反射強度のピークが見られ、それぞれのピーク位置を対象膜の表面層界面(エマルジョンオイルとの界面)と、表面層/電荷輸送層界面との界面と特定することができる。
この時、界面反射であるレイリー光を膜界面から取得できるようにする為には、膜と媒体(例えば油浸レンズを用いる場合はエマルジョンオイル)との屈折率差が重要となり、特に膜表面でのレイリー光を確保する為には、次式
反射率R=((N−N1)+κ)/(N+N1)+κ
N:測定対象膜の屈折率
N1:媒体の屈折率
κ:測定対象膜の消光係数
より、界面での反射率:Rが0.1%以上必要であることが見出されている。一般に、屈折率差が大きくなれば界面反射を確保しやすくなるが、その場合は、レンズ−媒体−膜間の屈折率差による収差の影響で、空間分解能の低下を誘発することとなる。この為、測定の為には対象となる膜の屈折率から決まる、−0.2〜−0.1の屈折率差を有するエマルジョンオイルを用いることが好適となる。
そして、検出されたフィラー微粒子散乱像と、取得された膜の界面位置情報とを用いて、フィラー微粒子散乱像を、深さ方向を含むX−Y−Zの位置ごとにプロットして、例えばX−Z断面の深さ方向の位置毎のフィラー微粒子分散状態プロファイルを得る。以上の処理により、曲率を有した円筒形状基体上に形成されたフィラー微粒子を含んだ光透過性の膜試料1から高い空間分解能条件下でのフィラー微粒子分散性画像取得が可能となる。
観察結果としては、X−Z断面におけるフィラー微粒子マッピングデータ及びX−Y断面におけるフィラー微粒子マッピングデータ或いは3Dでのフィラー微粒子マッピングデータが得られれば、定性的なフィラー微粒子の分散状態を判断することが可能である。
さらに、画像処理部38により、得られたフィラー微粒子分散性画像に画像解析のような手法、例えば任意の範囲毎における輝度の分散値を求める等の定量化手法を施すことができる。これにより、定量的にフィラー微粒子の分散状態を評価することもできる。
定量化手法の一例を、図7のフローチャートに示す。
(Step1)
X−Y断面におけるフィラー微粒子散乱像画像、X−Z断面におけるフィラー微粒子散乱像画像を取得する。
(Step2)
取得したフィラー微粒子散乱像画像に対して、任意の画素長さを持つ矩形型の任意の画像領域を決定する。
(Step3)
画像領域内のフィラー微粒子散乱像散乱像の各画素の光の強度にあたる輝度の特徴量を算出する。
(Step4)
(Step2)(Step3)を繰り返し、フィラー微粒子散乱像画像に対して、任意の多数の画像領域内で輝度の特徴量を算出する。なお、図7では、nを充分大きな数とすることで、多数の画像領域内で輝度の特徴量が得られる。
(Step5)
多数の画像領域内の輝度の特徴量を用いてヒストグラムを作成する。
(Step6)
ヒストグラムと感光体ドラム特性との対応をとり、必要な閾値を設定して良・不良判断を行う。
上記定量化手法において、任意の画像領域は、フィラー粒径・フィラー含有率に依って凝集状態の注目すべき範囲が変わるため可変可能なことが好ましい。これは、人が目視でフィラー散乱像の粗密を判断しているアルゴリズムに従っており、人が細かい領域を評価する時は狭い領域の輝度のバラツキを、大きな輝度のドメインを見るときは広い領域の輝度のバラツキを見ていることに準拠している。
また、特徴量としては、各画像領域毎の輝度の分散値、或いは輝度の標準偏差を求めることが好適である。これにより、分散性評価を良好に行うことができる。
また、元画像となるフィラー散乱画像としては、目的によってX−Z断面、X−Y断面を用いることができる。図8は、表面層のX−Z断面で多数の任意の画像領域を特定した一例を示す図である。これにより、深さ方向のフィラー微粒子の散乱像情報を評価することが可能となる。また、図9は、表面層のX−Y断面で多数の任意の画像領域を特定した一例を示す図である。これにより、平面方向のフィラー微粒子の散乱像情報を評価することが可能となる。
同様に感光体層の内部層にあたる中間層中に分散されたフィラー微粒子の分散性を評価することも可能である。内部層中に分散されたフィラー微粒子の分散性をレーザーで光学的に評価する場合、上層にフィラー微粒子が分散された表面層などが有ると、中間層に走査用の光が到達する前に、表面層中のフィラー微粒子の吸収や散乱の影響で光が減衰することがある。このように減衰すると、中間層に到達するレーザーパワーが低下したり、レーザーとしてのコヒーレント性が失われてしまう場合がある。
このような場合、上層に存在するフィラー微粒子よりも投光するレーザー波長が長ければ、フィラー微粒子とレーザー光との相互作用のうち、散乱の影響を軽減することが可能となる。上層でのフィラー微粒子の一次粒子系の大きさが、数十nm〜300nm程であり、このように中間層に分散されているフィラー微粒子が400nm未満程である場合は、400nm以上の波長を有するレーザー光が内部層となる中間層まで良好に到達する。したがって、レーザー波長を400nm以上から850nm以下程度とすることで、中間層中に分散されたフィラー微粒子の分散性を好適に評価することが可能となる。
このようにレーザー波長域をフィラー微粒子の粒子径や凝集径より大きい波長領域とすることで、検出光における「フィラー微粒子やその凝集粒子による散乱や回折の影響する波長域」を避けて、良好な内部層のフィラー微粒子の散乱像情報の評価が可能となる。図10には、中間層のX−Y断面でのフィラー微粒子散乱像を取得した結果を示す。
以下、実施例、比較例に基づき説明する。
<実施例1>
以下の条件で、円筒形状基体上に形成されたフィラー微粒子が分散された膜試料1サンプルである感光体ドラムのフィラー微粒子分散性評価を行った。
(1)膜試料1
図2(a)において、円筒形状基体となる直径40mmのアルミニウムドラム2上に形成されたフィラー微粒子が分散された光透過性の膜として任意の種類の電荷輸送成分を分散させた膜厚22μmの電荷輸送層5と一次粒子径0.3μmのアルミナフィラーが分散された膜厚2.5μmの表面層6を形成したものを準備した。
(2)フィラー微粒子分散性評価装置
図1に示す構成
・レーザー光源30;レーザー光波長 488nm
・対物レンズ34;乾燥系対物レンズ(OLYMPUS Plan FL N 40× NA=0.6)、
油浸対物レンズ(OLYMPUS MPlan Apo 100× NA=1.4(屈折率1.516のエマルジョンオイルを対象膜と対物レンズ34の間に充填)
なお、エマルジョンオイルの屈折率は、メーカー測定値(製品にデータ添付)をそのまま用いた。
(3)測定手順
まず、円筒形状基体上に中間層3と電荷発生層4、電荷輸送層5と表面層6が形成された膜試料1である円筒形状試料40を支持治具41上に静置する。対物レンズ34としては、低倍率の乾燥系対物レンズを選択する。そして、支持治具駆動部42、対物レンズ34、観察用CCD43を用いて、円筒形状試料40の表面観察をおこなう。
先ず、意図的に円筒形状試料40の中心から離れた位置で、顕微鏡の視野絞りの機能を用いて羽根絞りの片側がはっきりと見えるように焦点合わせを実施する。その状態で支持治具駆動部42を用いて円筒形状試料40を、レーザー光と垂直で、且つ、円筒形状試料40の軸方向と垂直となる方向(図3中 半径方向)に移動させていくと羽根絞りは次第に焦点がボケていくが、移動に伴い再度、羽根絞りが明瞭に見える位置が出現する。その両座標を記録し、その中間位置に円筒形状試料40を移動し直して、観察用CCD43で再度焦点合わせをし直す。これにより、円筒形状試料40の曲率中心とレーザー光軸を一致させる。
その後、支持治具41下に設けられたチルト調整機構44を用いて同様に低倍率の乾燥系対物レンズの条件下で、観察用CCDを用いて円筒形状試料40の表面観察を行う。そして、円筒形状試料の曲率中心(頂点)での反射光の輝線が円筒形状試料の長手方向で均一になるように支持治具41のチルト(傾き)調整を行う。
次に、図1に示すような構成とし、対物レンズ34としては、油浸対物レンズを選択し、フィラー微粒子を含んだ膜試料1との間にエマルジョンオイル(不図示)を充填する。そして、レーザー励起光の光束を対物レンズ34で集光して円筒形状基体となる直径40mmのアルミニウムドラム2上に形成されたフィラー微粒子を含んだ光透過性の膜試料1の表面層6中を含む1点に照射し、膜試料1をX−Y−Z方向に走査して、膜試料1からのレイリー光の一部と微弱なフィラー微粒子の散乱像を検出部36の検出器(フォトマル)に導いてレイリー光による界面反射強度分布とフィラー微粒子の散乱像を取得した。図5に、取得した膜界面情報とフィラー微粒子散乱像のX−Z断面のプロファイルを示す。
図5は、円筒形状基体となる直径40mmのアルミニウムドラム2上に形成されたフィラー微粒子が分散された光透過性の膜試料1における膜界面位置情報を付与したフィラー微粒子の散乱像のX−Z断面プロファイルであり、表面層6中に一次粒子径0.3μmのアルミナ粒子を均一に分散させた状態が確認された。
さらに、画像処理部38内において、図7に示すフローに従って、定量化手法による処理を施した。ここで、図8に示すように、X−Z断面で、横方向30画素、縦方向10画素の任意の画像領域を決定し、各画像領域内の輝度の特徴量として輝度の分散値を算出した。これを繰り返して、任意の多数の画像領域内で輝度の特徴量を計算し、ヒストグラム(不図示)を作成した。多数のフィラー微粒子分散性良好サンプルと不良サンプルを測定することで、良・不良判断の為の閾値をヒストグラム上で選択した。これにより、フィラー微粒子分散性を定量的に評価した。
<実施例2>
実施例1においてレーザー励起光の光束を対物レンズ34で集光して円筒形状基体となる直径40mmのアルミドラム2上に形成されたフィラー微粒子を分散させた中間層3中を含む1点に照射し、膜試料1をX−Y方向に走査する。そして、膜試料から微弱な中間層のフィラー微粒子の散乱像を検出部36のAPD検出器に導いて、中間層フィラー微粒子の散乱像を取得した。図10に取得した中間層のX−Y断面のプロファイルを示す。
その後、画像処理部38内において、図7に示すフローに従って、定量化手法による処理を施し、フィラー微粒子分散性を定量的に評価した。
この際、実施例1同様に、支持治具41下に設けられたチルト調整機構44を用いて低倍率の乾燥系対物レンズの条件下で、観察用CCDを用いて円筒形状試料40の表面観察を行う。そして、円筒形状試料の曲率中心(頂点)での反射光輝線が円筒形状試料の長手方向で均一になるように支持治具41でチルト(傾き)調整を行った。
<比較例1>
比較例1として、図1の装置構成で円筒形状試料40の曲率中心とレーザー光軸を一致させなかった場合の油浸レンズ+エマルジョンオイル使用条件下でのフィラー微粒子の散乱像を取得した結果を図6に示す。
図6に示すように、直径40mmの円筒形状試料40の曲率中心とレーザー光軸が一致していないため、図5とは異なりフィラー微粒子を含有した光透過性の膜中の一次粒子径0.3μmアルミナ粒子の明瞭な散乱像を取得することができなかった。また電荷輸送層5と表面層6との界面反射光がかなり乱れることが確認された。
<比較例2>
従来の、円筒形状試料40で支持治具駆動部42を備えていない構成のフィラー微粒子分散性評価装置を用いた。顕微鏡ステージ39のY軸駆動機構で円筒形状試料40の曲率中心とレーザー光軸を合わせようとした。しかし、顕微鏡ステージ39のY軸と円筒形状試料40並びに支持治具41の軸(X軸)が必ずしも垂直ではなく、円筒形状試料40を支持治具41上に静置した際に、円筒形状試料40の曲率中心とレーザー光軸にズレが生じた。このため、正確な表面層と電荷輸送層との界面反射強度分布及びフィラー微粒子散乱像が取得できず、表面層6における深さ方向の位置毎のフィラー微粒子散乱像プロファイルが得られなかった。
<比較例3>
実施例1においてレーザー励起光の光束を対物レンズ34で集光して円筒形状基体となる直径40mmのアルミドラム2上に形成されたフィラー微粒子を分散させた膜厚0.5μmの電荷発生層4中を含む1点に照射し、膜試料1をX−Y方向に走査した。そして、膜試料から微弱な電荷発生層4のフィラー微粒子の散乱像を検出部36のAPD検出器に導いて、電荷発生層フィラー微粒子の散乱像を取得した。
この取得を行う際、支持治具41下にチルト調整機構44を設けず、円筒形状試料40の長手方向のチルト(傾き)調整は行わなかったが、浸漬塗工に伴う中間層3の膜厚傾きが円筒形状試料に有った。しかし、得られた電荷発生層4のX−Y方向のフィラー微粒子散乱像には、中間層3のフィラー微粒子散乱情報が取得した散乱像プロファイルに入ったり、電荷発生層のフィラー散乱情報が片側で途切れたりした。このため、適正なフィラー微粒子散乱像を取得することができなかった。
以上、本実施形態では、支持治具41をレーザー光に対して垂直、且つ、円筒形状試料40の中心軸に対して垂直な方向に移動可能に駆動する支持治具駆動部42を、支持治具移動制御手段とを別途設ける構成を用いて,本発明を説明した。しかし、これに限らず、支持治具41を顕微鏡ステージ39に支持治具41の軸(X軸:軸方向)と顕微鏡ステージ39のY軸(半径方向)が直交するように精密に固定し、支持治具駆動部42を顕微鏡ステージ39の移動機構で、支持治具移動量制御手段を顕微鏡ステージ39の移動量制御手段でそれぞれ兼用することもできる。これによれば、より簡易な構成で実施可能とすることができる。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
レーザー光源30と、膜試料1にレーザー光を照射すると共に、フィラー微粒子が分散された膜試料1からの界面反射光と微弱なフィラー微粒子散乱光とを含むレイリー光を受光するビームスプリッター33等の分離光学素子及び対物レンズ34とを有する顕微光学系と、分離光学素子を経由した光における特定波長の光を透過するフィルター光学素子37と、フィルター光学素子37を透過した光を分光する分光手段と、分光された光の強度を検出する光検出手段としての検出部36と、試料の深さ方向を含むX−Y−Z方向への走査機構を有する顕微鏡ステージ39等の載置台とを備えたフィラー微粒子分散性評価装置である。このフィラー微粒子分散性評価装置で、円筒形状試料40の曲率半径中心とレーザー光軸とを一致させる調整を可能とする構成として、円筒形状試料40が円筒形状の中心軸が水平になるよう支持する支持治具(試料受け部)41と、支持治具41をレーザー光に対して垂直、且つ、円筒形状試料40の中心軸に対して垂直な方向に移動可能に駆動する支持治具駆動部42と、支持治具駆動部の駆動を制御する駆動制御手段(不図示)と、観察用CCD43等の表面観察用撮像素子とを備えている。これによれば、上記実施形態で説明したように、円筒形状基体上に形成された多層の樹脂膜中のフィラー微粒子の正確な分散状態を、デバイス状態のままで3次元的に、簡便・迅速に得ることができる。
(態様B)
(態様A)において、顕微光学系の対物レンズ34としては、低倍率の乾燥系対物レンズと、試料の間にエマルジョンオイル(不図示)が充填される油浸レンズとを選択可能である。これによれば、上記実施形態で説明したように、レイリー光の測定時は、空間分解能をあげることができ、曲率中心と光軸合わせのために円筒形状試料表面を観察する時は、光軸と曲率中心との一致点を観察し易くする。これにより、フィラー微粒子のより正確な分散状態を得ることができる。
(態様C)
(態様A)または(態様B)において、顕微光学系は、物体上の焦点面と共役な関係にあるピンホール(第1のピンホール32,第2のピンホール35)を備えた共焦点顕微光学系である。これによれば、上記実施形態で説明したように、深さ方向に優れた空間分解能を達成することができ、フィラー微粒子のより正確な分散状態を得ることができる。
(態様D)
(態様A)、(態様B)または(態様C)の何れかにおいて、フィルター光学素子は、レイリーと等価な光を透過する機能を備えている。これによれば、上記実施形態で説明したように、界面反射光とフィラー微粒子散乱光とともに測定可能に検出部に導くことができ、フィラー微粒子のより正確な分散状態を得ることができる。
(態様E)
(態様A)、(態様B)、(態様C)または(態様D)の何れかにおいて、分離光学素子はビームスプリッターである。これによれば、上記実施形態で説明したように、円筒形状基体上に形成されたフィラー微粒子を含んだ光透過性の膜試料に照射するとともに、円筒形状基体上に形成されたフィラー微粒子を含んだ光透過性の膜試料からのフィラー微粒子散乱光及び膜界面反射光を含むレイリー光を測定できる。
(態様F)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)または(態様E)の何れかにおいて、顕微光学系に用いられる油浸対物レンズとエマルジョンオイルの組み合わせのNAは1.2以上である。これによれば、上記実施形態で説明したように、優れた空間分解能を達成することができ、フィラー微粒子のより正確な分散状態を得ることができる。
(態様G)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)または(態様F)の何れかにおいて、円筒形状試料の支持治具を載置台に固定し、支持治具移動手段を載置台の移動機構で、支治具移動量制御手段を載置台の移動制御機構でそれぞれ兼用する。これによれば、簡易な構成で、フィラー微粒子の正確な分散状態を得ることができる。
(態様H)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)または(態様G)の何れかにおいて、光検出手段により検出された光の強度に基づきフィラー微粒子分散性の定量化評価のための画像処理をおこなう画像処理部38を有する。これによれば、上記実施形態で説明したように、フィラー微粒子分散性の定量的評価が可能となる。
(態様I)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)、(態様G)または(態様H)の何れかにおいて、支持治具41の下に円筒形状の中心軸をレーザー光軸に対して垂直に傾き調整するチルト調整機構44を有する。これによれば、上記実施形態で説明したように、レーザー光のX−Y走査面と膜界面の平行を保てるようになり、膜厚1μm以下の表面層や中間層、電荷発生層のX−Y断面のフィラー微粒子分散性の散乱像プロファイルが取得できるようになる。
(態様J)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)、(態様G)、(態様H)または(態様I)の何れかにおいて、レーザー光源の波長が400〜850nmの波長域であることを有する。これによれば、上記実施形態で説明したように、レーザー波長域をフィラー微粒子の粒子径や凝集径より大きい波長領域とすることにより、検出光における「フィラー微粒子やその凝集粒子による散乱や回折の影響する波長域」を避けられる様になり中間層、電荷発生層のフィラー微粒子分散性評価が可能となる。
(態様K)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)、(態様G)、(態様H)、(態様I)または(態様J)の何れかにおいて、光検出手段がレーザー波長域を含む検出波長域を有するフォトマル若しくはAPD:Avalanche Photodiodeであることを有する。これによれば、上記実施形態で説明したように、非常に微弱な内部層を含むフィラー微粒子での散乱光を検出することが可能となり表面層、中間層、電化発生層のフィラー微粒子分散性評価が可能となる。
(態様L)
分離光学素子と対物レンズとを有する顕微光学系により、円筒形状試料にレーザー光を照射すると共に、円筒形状試料からのレイリー光を受光して光の強度を光検出手段より検出して界面反射光とフィラー微粒子散乱光を測定するフィラー微粒子分散性評価方法において、円筒形状試料を支持治具により軸方向に水平に支持し、顕微光学系として比較的低倍率の乾燥系対物レンズを選択する。そして、円筒形状試料をレーザー光に対して垂直、且つ、円筒形状試料の軸に対して垂直な方向に移動させながら、表面観察用撮像素子で円筒形状試料の表面を観察し、円筒形状試料の曲率中心とレーザー光の光軸とを合わせる。その後、顕微光学系としてエマルジョンオイルと組み合わせた油浸対物レンズを用いて、レイリー光の測定を行う。これによれば、上記実施形態で説明したように、円筒形状基体上に形成された多層の樹脂膜中のフィラー微粒子の正確な分散状態を、デバイス状態のまままで3次元的に、簡便・迅速に評価できる。
(態様M)
(態様L)において、円筒形状試料が導電性基体の表面に微細粒子を分散させた中間層を下引層として設け、中間層上に感光層を光透過性の膜として形成された光導電性の感光体であり、感光層の表面側の所定厚さ部分が補強用のフィラー微粒子を分散させた表面層として構成され、表面層中に分散されたフィラー微粒子の分散性を、フィラー微粒子散乱像を取得するフィラー微粒子分散性評価方法である。これによれば、上記実施形態に説明したように、感光層の表面側の所定厚さ部分にフィラー微粒子を分散させた表面層のフィラー微粒子分散性評価が可能となる。
(態様N)
(態様L)において、円筒形状試料が導電性基体の表面に微細粒子を分散させた中間層を下引層として設け、中間層上に感光層を光透過性の膜として形成された光導電性の感光体であり、中間層中に分散されたフィラー微粒子の分散性を、フィラー微粒子散乱像を取得するフィラー微粒子分散性評価方法である。これによれば、上記実施形態に説明したように、中間層中のフィラー微粒子分散性評価が可能となる。
(態様O)
(態様L)において、光導電性の感光体における感光層が中間層に接して設けられた電荷発生層と、この電荷発生層上に形成された電荷輸送層とにより構成され、電荷発生層中に分散されたフィラー微粒子の分散性を、フィラー微粒子散乱像を取得することで評価するフィラー微粒子分散性評価方法である。これによれば、上記実施形態に説明したように、電荷発生層中のフィラー微粒子分散性評価が可能となる。
(態様P)
(態様L)において、光導電性の感光体における感光層が中間層に接して設けられた電荷発生層と、この電荷発生層上に形成された電荷輸送層とにより構成され、電荷輸送層中全域に分散されたフィラー微粒子の分散性を、フィラー微粒子散乱像を取得することで評価するフィラー微粒子分散性評価方法である。これによれば、上記実施形態に説明したように、電荷輸送層中全域に分散されたフィラー微粒子分散性評価が可能となる。
(態様Q)
(態様A)、(態様B)、(態様C)、(態様D)、(態様E)、(態様F)、(態様G)、(態様H)、(態様I)、(態様J)または(態様K)の何れかのフィラー微粒子分散性評価装置を用いて測定した円筒形状試料のレイリー光に基づき試料の膜界面における反射光強度を検出し、フィラー微粒子散乱光による深さ位置毎のフィラー微粒子散乱像画像と関連付けるフィラー微粒子分散性評価方法である。これによれば、上記実施形態で説明したように、円筒形状に形成された多層構造の透過性の膜試料においても、正確な分散状態を、デバイス状態のままで3次元的に、簡便・迅速に評価できる。
(態様R)
(態様Q)において、フィラー微粒子散乱画像の任意の画像領域を複数定め、各画像領域内で各画素の光の強度の特徴量を算出し、複数の画像領域の特徴量をヒストグラム化して分散状態の良否を定量的に評価する。これによれば、上記実施形態に説明したように、フィラー微粒子分散性の定量的評価が可能となる。
(態様S)
(態様R)において、上記画像領域の画素範囲は可変である。これによれば、上記実施形態に説明したように、フィラー粒径・フィラー含有率によって凝集状態の注目すべき範囲が変わることに対応でき、適確なフィラー微粒子分散性の定量的評価が可能となる。
(態様T)
(態様R)において、上記特徴量として上記画像領域内の各画素の輝度の分散値を用いる。これによれば、上記実施形態に説明したように、定量的に分散状態の良否を良好に評価することができる。
(態様U)
(態様R)において、上記特徴量として上記画像領域内の各画素の輝度の標準偏差を用いる。これによれば、上記実施形態に説明したように、定量的に分散状態の良否を良好に評価することができる。
(態様V)
(態様R)において、上記フィラー微粒子散乱画像としてフィラー分散X−Z断面画像を用いる。これによれば、上記実施形態に説明したように、深さ方向のフィラー微粒子の散乱像情報を評価することが可能となる。
(態様W)
(態様R)において、上記フィラー微粒子散乱画像としてフィラー分散X−Y断面画像を用いる。これによれば、上記実施形態に説明したように、平面方向のフィラー微粒子の散乱像情報を評価することが可能となる。
1 膜試料
2 アルミニウムドラム
3 中間層
4 電荷発生層
5 電荷輸送層
6 表面層
7 エマルジョンオイル
30 レーザー光源
31 集光レンズ
32 第一のピンホール
33 ダイクロイックミラー
34 対物レンズ
35 第二のピンホール
36 検出器
38 画像処理部
37 レーザー光遮断光学素子
39 顕微鏡ステージ
40 円筒形状試料
41 支持治具
42 支持治具駆動部
43 観察用CCD
44 チルト調整機構
特開2004−294400号公報 特開2004−144649号公報

Claims (23)

  1. 感光体層中に分散したフィラー微粒子の分散性を評価するフィラー微粒子分散性評価装置であって、レーザー光源と、試料にレーザー光を照射すると共に、該試料からの界面反射光と微弱なフィラー微粒子散乱光とを含むレイリー光を受光する分離光学素子と対物レンズとを有する顕微光学系と、該分離光学素子を経由した光における特定波長の光を透過するフィルター光学素子と、該フィルター光学素子を透過した光を分光する分光手段と、該分光手段により分光された光の強度を検出する光検出手段と、該試料の深さ方向を含むX−Y−Z方向への走査機構を有する載置台とを備えたフィラー微粒子分散性評価装置において、
    上記試料としての円筒形状試料を円筒形状の中心軸が水平になるよう支持する支持治具と、
    該支持治具を該レーザー光に対して垂直、且つ、該円筒形状試料の中心軸に対して垂直な方向に移動可能とする支持治具移動手段と、
    該円筒形状試料表面を観察する表面観察用撮像素子と、
    該支持治具移動手段による移動量を制御する支持治具移動量制御手段を有することを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  2. 請求項1のフィラー微粒子分散性評価装置において、
    上記顕微光学系の対物レンズとして、乾燥系対物レンズと、エマルジョンオイルを組み合わせた油浸対物レンズとが選択可能であることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  3. 請求項1または2のフィラー微粒子分散性評価装置において、
    上記顕微光学系は、焦点面と共役な関係にあるピンホールを備える共焦点顕微光学系であることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  4. 請求項1、2または3の何れかのフィラー微粒子分散性評価装置において、
    上記フィルター光学素子は、レイリー光と等価な光を透過する機能を備えたことを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  5. 請求項1、2、3または4の何れかのフィラー微粒子分散性評価装置において、
    上記分離光学素子はビームスプリッターであることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  6. 請求項1、2、3、4または5の何れかのフィラー微粒子分散性評価装置において、
    上記顕微光学系に用いられる油浸対物レンズとエマルジョンオイルの組み合わせのNAは1.2以上であることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  7. 請求項1、2、3、4、5または6の何れかのフィラー微粒子分散性評価装置において、
    上記円筒形状試料の支持治具を上記載置台に固定し、上記支持治具移動手段を該載置台の移動機構で、上記支持治具移動量制御手段を該載置台の移動制御機構でそれぞれ兼用することを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6または7の何れかのフィラー微粒子分散性評価装置において、
    上記光検出手段により検出された光の強度に基づきフィラー微粒子分散性の定量化評価のための画像処理をおこなう画像処理部を有することを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7または8の何れかのフィラー微粒子分散性評価装置において、
    上記支持治具の下に円筒形状の中心軸を水平にならしめるチルト調整機構を有することを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  10. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の何れかのフィラー微粒子分散性評価装置において、
    レーザー光源の波長が400〜850nmの波長域であることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  11. 請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の何れかのフィラー微粒子分散性評価装置において、
    光検出手段がレーザー波長域を含む検出波長域を有するフォトマル若しくはAPD:Avalanche Photodiodeであることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価装置。
  12. 分離光学素子と対物レンズとを有する顕微光学系により、円筒形状試料にレーザー光を照射すると共に、該円筒形状試料からのレイリー光を受光して光の強度を光検出手段より検出して界面反射光とフィラー微粒子散乱光を測定するフィラー微粒子分散性評価方法において、
    上記円筒形状試料を上記レーザー光に対して垂直、且つ、該円筒形状試料の軸に対して垂直な方向に移動させながら、上記顕微光学系として乾燥系対物レンズを用いて表面観察用撮像素子で該円筒形状試料の表面を観察して該円筒形状試料の曲率中心と該レーザー光の光軸とを合わせた後、上記顕微光学系としてエマルジョンオイルと組み合わせた油浸対物レンズを用いて、上記レイリー光の測定を行うことを特徴とするフィラー微粒子分散性評価方法。
  13. 請求項12記載のフィラー微粒子分散性評価方法において、
    円筒形状試料が導電性基体の表面に微細粒子を分散させた中間層を下引層として設け、上記中間層上に感光層を光透過性の膜として形成された光導電性の感光体であり、感光層の表面側の所定厚さ部分が補強用のフィラー微粒子を分散させた表面層として構成され、上記表面層中に分散されたフィラー微粒子の分散性を、フィラー微粒子散乱像を取得することで評価することを特徴とするフィラー微粒子分散性評価方法。
  14. 請求項12記載のフィラー微粒子分散性評価方法において、
    円筒形状試料が導電性基体の表面に微細粒子を分散させた中間層を下引層として設け、上記中間層上に感光層を光透過性の膜として形成された光導電性の感光体であり、上記中間層中に分散されたフィラー微粒子の分散性を、フィラー微粒子散乱像を取得することで評価することを特徴とするフィラー微粒子分散性評価方法。
  15. 請求項12記載のフィラー微粒子分散性評価方法において、
    光導電性の感光体における感光層が中間層に接して設けられた電荷発生層と、この電荷発生層上に形成された電荷輸送層とにより構成され、上記電荷発生層中に分散されたフィラー微粒子の分散性を、フィラー微粒子散乱像を取得することで評価することを特徴とするフィラー微粒子分散性評価方法。
  16. 請求項12記載のフィラー微粒子分散性評価方法において、
    光導電性の感光体における感光層が中間層に接して設けられた電荷発生層と、この電荷発生層上に形成された電荷輸送層とにより構成され、上記電荷輸送層中全域に分散されたフィラー微粒子の分散性を、フィラー微粒子散乱像を取得することで評価することを特徴とするフィラー微粒子分散性評価方法。
  17. 請求項1乃至11の何れかのフィラー微粒子分散性評価装置を用いて測定した該円筒形状試料のレイリー光に基づき該試料の膜界面における反射光強度を検出し、該フィラー微粒子散乱光による深さ位置毎のフィラー微粒子散乱像画像と関連付けることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価方法。
  18. 請求項17のフィラー微粒子分散性評価方法において、
    上記フィラー微粒子散乱画像の任意の画像領域を複数定め、各画像領域内で各画素の光の強度の特徴量を算出し、該複数の画像領域の特徴量をヒストグラム化して分散状態の良否を定量的に評価することを特徴とするフィラー微粒子分散性評価方法。
  19. 請求項18のフィラー微粒子分散性評価方法において、
    上記画像領域の画素範囲は可変であることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価方法。
  20. 請求項18のフィラー微粒子分散性評価方法において、
    上記特徴量として上記画像領域内の各画素の輝度の分散値を用いることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価方法。
  21. 請求項18のフィラー微粒子分散性評価方法において、
    上記特徴量として上記画像領域内の各画素の輝度の標準偏差を用いることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価方法。
  22. 請求項18のフィラー微粒子分散性評価方法において、
    上記フィラー微粒子散乱画像としてフィラー分散X−Z断面画像を用いることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価方法。
  23. 請求項18のフィラー微粒子分散性評価方法において、
    上記フィラー微粒子散乱画像としてフィラー分散X−Y断面画像を用いることを特徴とするフィラー微粒子分散性評価方法。
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