JP2012173112A - ラマン分光測定装置及びラマン分光測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】円筒形状膜試料40にレーザー光を照射して、膜試料からのレイリー光と散乱光と測定するラマン分光測定装置で、円筒形状試料を把持する把持治具41と、把持治具41をレーザー光に対して垂直、且つ、円筒形状試料の軸に対して垂直な方向(図中、X方向)に移動可能に駆動する把持冶具駆動部42と、表面観察用撮像素子としての観察用CCD43を備える。
【選択図】図3
Description
また、請求項2の発明は、請求項1のラマン分光測定装置において、上記顕微光学系の対物レンズとして、乾燥系対物レンズと、エマルジョンオイルと組み合わせた油浸対物レンズとが選択可能であることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2のラマン分光測定装置において、上記顕微光学系は、焦点面と共役な関係にあるピンホールを備える共焦点顕微光学系であることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1,2または3の何れかのラマン分光測定装置において、上記フィルター光学素子は、レイリー光と等価なレーザー光を遮断するレーザー光遮断光学素子を抜き差し可能に備えたことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1,2または3の何れかのラマン分光測定装置において、上記フィルター光学素子は、レイリー光と等価なレーザー光を遮断する第一のレーザー光遮断光学素子と、該第一のレーザー光遮断光学素子よりも該レーザー光の波長の透過率を上げた第二のレーザー光遮断光学素子とを入れ替え可能に備えたことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項4または5のラマン分光測定装置において、上記レーザー光遮断光学素子はノッチフィルターおよび/またはエッジフィルターであることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1,2,3,4,5または6の何れかのラマン分光測定装置において、上記分離光学素子はダイクロイックミラーであることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1,2,3,4,5,6または7の何れかのラマン分光測定装置において、上記顕微光学系に用いられる乾燥系対物レンズのNAは、0.8以下であることを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1,2,3,4,5,6,7または8の何れかのラマン分光測定装置において、上記顕微光学系に用いられる油浸対物レンズとエマルジョンオイルの組み合わせのNAは1.2以上であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、分離光学素子と対物レンズとを有する顕微光学系により、円筒形状試料にレーザー光を照射すると共に、該円筒形状試料からのレイリー光と散乱光とを受光し、フィルター光学素子により該受光したレイリー光の一部または該レイリー光を遮断した散乱光を通過させて分光手段に導き、該分光手段により分光された光の強度を光検出手段より検出して、ラマン散乱光とレイリー光とを測定するラマン分光測定方法において、上記円筒形状試料を上記レーザー光に対して垂直、且つ、該円筒形状試料の軸に対して垂直な方向に移動させながら、上記顕微光学系として乾燥系対物レンズを用いて表面観察用撮像素子で該円筒形状試料の表面を観察して該円筒形状試料の曲率中心と該レーザー光の光軸とを合わせた後、上記顕微光学系としてエマルジョンオイルと組み合わせた油浸対物レンズを用いて、上記ラマン散乱光とレイリー光との測定を行うことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項1乃至9の何れかのラマン分光測定装置を用いて測定した該円筒形状試料のレイリー光に基づき該試料の膜界面における反射光強度を検出し、該ラマン散乱光による深さ毎の分光データプロファイルと関連付けることを特徴とするものである。
まず、本実施形態で円筒形状試料(被検体)となる多層構成の光透過性の膜構成として、代表的な感光体ドラムの例を以下に挙げる。
図2は、感光体ドラムの層構成を示す図である。図2に示すように、感光体ドラムは、導電性基体となるアルミニウムドラム2上に中間層3、電荷発生層4、電荷輸送層5、表面層6を順次形成した多層構成の膜試料1であり、電荷発生層4、電荷輸送層5、表面層6により感光層をなしている。
電荷発生層4は、特定の波長の光照射により「正と負の電荷対」を発生させる層であり、電荷輸送層5と表面層6は電荷発生層4で発生した正と負の電荷のうち、所定極性の電荷を感光層表面へ輸送する機能を持つ層である。
表面層6は、感光体が実機内で物理的な接触・摩耗により感光層が削れ、感光体特性が低下することを防ぐ機能も有している。
レイリー光として、表面層6の表面と電荷輸送層5の表面及び中間層3の表面(界面)の反射光を受光することが可能である。
図1は、本実施形態に係るラマン分光測定装置の構成を示す断面概略図である。図1(a)は、膜試料1からのレイリー光の一部を散乱光とともに測定可能に検出部36に導く構成を示しており、図1(b)は、膜試料1からのレイリー光を遮断してラマン散乱光を検出部36に導く構成を示している。
レーザー光源30から出射されるレーザー光は、共焦点レーザーラマン分光法で励起に用いるレーザー光であり、検出対象となる膜に吸収や蛍光が無く、ラマン活性が有る波長が選択され、数枚のNDフィルターの組み合わせを用いて一般には減光された状態である。用いるレーザー光強度は、出射口で1〜100mW/cm2程度であれば良く、その後、試料となる光透過性の膜試料1上での強度が数nW/μm2〜数μW/μm2の範囲程度になるように調整すれば良い。
一般には、レーザー光強度が高いほど検出されるラマン散乱光強度も強くなりS/N比は向上するが、試料破壊や褪色化、強光への応答などを考慮して決める必要も有る。光透過性の膜試料毎に吸収強度や光耐性などが異なり、レーザー光強度の条件決定は最も重要な項目の一つとなる。
また波長が短ければ、波長の4乗に反比例してラマン散乱強度が強くなる。
有機膜を対象とした場合は、レーザー波長は対象膜の光ダメージと、ラマン測定に好ましく無い膜の蛍光発生を考えると480nm以上であることが好ましく、また前述の様にラマン散乱強度を考えると、波長は短い程好ましく、検討の結果では900nm以下で有ると好適な測定が可能となってくることが判明している。
励起レーザー光の反射光(レイリー光)とラマン散乱光の分離のために用いられるダイクロイックミラー33は、特定の波長を境に二値的に変化する透過率特性を有していることが理想的で有るが、実際の透過率特性は比較的急峻に変化していても、その透過率は0と1とはならない。この為、ダイクロイックミラー33で分離された光にも、ラマン散乱光だけでなく、レイリー光が含まれる。
焦点以外の深さからのラマン散乱光は、第2のピンホール35の位置で焦点を結ばないため、効率良く妨害光がカットされる(図1に示すように、非焦点からの反射光の行路を示す破線部分のほとんどの反射光が第2のピンホール35により遮蔽される)。但し、円筒形状基体上に形成された膜試料1の膜中では屈折率差に依る色収差や球面収差の影響でビーム径が拡がりを見せるため、これらを油浸対物レンズやエマルジョンオイルを用いて拡がりを押さえることが測定上必要となる。
NA=n・sinθ
(ここで、nは膜試料1における対象膜と対物レンズ34の間の媒質(ここではエマルジョンオイル)の屈折率、θは光軸と対物レンズ34の最も外側に入る光線とがなす角を示す。)
フィルター光学素子37は、円筒形状基体上に形成された膜試料1からのレイリー光の一部を散乱光とともに測定可能に検出部36に導くか、円筒形状試料上に形成された膜試料1からのレイリー光を遮断して散乱光を検出部36に導くか、のいずれかに選択可能に設けられている。
このうち、分光手段としては、回折格子によりラマン散乱光を分光する分光器が挙げられる。分光器に入る直前光路上に焦点面と共役な点(エリア)がある場合には、その部分のX−Y平面内に2つの直行するスリット(クロススリット)を置くことで、スリットの組に共焦点光学系でいう共焦点ピンホール(第2のピンホール35)の役割を担わせることが可能であり、これにより、Z軸方向の空間分解能が生じる。またこのクロススリットは、ラマンスペクトル取得時の波長分解能にも寄与する。
図3の把持治具41(試料受け部)に円筒形状試料40を乗せ、対物レンズ34として低倍率(40倍が好ましい)の乾燥系対物レンズを選択する。円筒形状試料40の焦点位置の確認のために、観察用CCD43で観察して意図的に円筒形状試料40の中心で無い任意の位置に把持冶具駆動部42を移動させ、円筒形状試料40表面にZ方向移動機構を用いて焦点を合わせる。この時、顕微鏡筐体に付帯の視野絞りを操作し、観察用CCD43の視野内に視野絞りの羽根が見えるように予め視野絞りの大きさを調整しておく。レーザー光軸(この場合、顕微鏡の対物レンズ光軸)と円筒形状試料40の曲率半径が一致していない場合は、視野絞りの羽根が視野内で片側(エッジ)だけ焦点が合い、片側だけ焦点が合わない像が観察される。この位置を座標Aとする。
この場合、円筒形状試料40のX方向の中心座標、すなわち曲率中心は下式より導かれる。
(座標A−座標B)÷2+座標B
上式で求められた中心座標(レーザー光軸と曲率中心の一致した座標)に円筒形状試料40を移動後、Z方向に焦点を合わせることで、円筒形状試料40の曲率中心とレーザー光軸が一致し、次ステップで正確な深さプロファイル測定が可能になる。
ラマン分光測定装置を図1(a)の構成とする。対物レンズ34は、油浸対物レンズとして、膜試料との間にエマルジョンンオイル(不図示)を満たす。レーザー光源30より出射され、集光レンズ31、第1のピンホール32を経た拡散するレーザー光束を、ダイクロイックミラー33を介して油浸対物レンズに導き、油浸対物レンズによりエマルジョンオイルを透過させて円筒形状基体上に形成された光透過性の膜試料1上に集光させる。膜試料1上に集光された光束は、膜試料1からラマン散乱光を含んだ光として反射され、エマルジョンオイル、油浸対物レンズ34を経て集束しつつダイクロイックミラー33に戻る。ダイクロイックミラー33に戻った光は、ダイクロイックミラー33の特性により、レイリー光の一部及びラマン散乱光(以下、まとめて光)が検出部36側に向かうようになる。
反射率R=((N−N1)2+κ2)/(N+N1)2+κ2)
N:測定対象膜の屈折率
N1:媒体の屈折率
κ:測定対象膜の消光係数
より、界面での反射率:Rが0.1%以上必要であることが見出されている。一般に、屈折率差が大きくなれば界面反射を確保しやすくなるが、その場合は、レンズ−媒体−膜間の屈折率差による収差の影響で、空間分解能とエネルギー密度の低下を誘発することとなる。この為、測定の為には対象となる膜の屈折率から決まる、−0.2〜−0.1の屈折率差を有するエマルジョンオイルを用いることが好適となる。
ラマン分光測定装置を図1(b)の構成とする。対物レンズ34は、油浸対物レンズとして、膜試料との間にエマルジョンンオイル(不図示)を満たす。レーザー光源30より出射され、集光レンズ31、第1のピンホール32を経た拡散するレーザー光束を、ダイクロイックミラー33を介して油浸対物レンズ34に導き、油浸対物レンズ34によりエマルジョンオイルを透過させて円筒形状基体上に形成された光透過性の膜試料1上に集光させる。膜試料1上に集光された光束は、膜試料1からラマン散乱光を含んだ光として反射され、エマルジョンオイル、油浸対物レンズ34を経て集束しつつダイクロイックミラー33に戻る。ダイクロイックミラー33に戻った光は、ダイクロイックミラー33の特性により、レイリー光の一部及びラマン散乱光(以下、まとめて光)が検出部36側に向かうようになる。
<実施例>
以下の条件で、円筒形状基体上に形成された膜試料1サンプルである感光体ドラムの膜構造解析を行った。
(1)膜試料1
図2において、円筒形状基体となる直径40mmのアルミニウムドラム2上に形成された光透過性の膜として任意の種類の成分を分散させて膜厚22μmの電荷輸送層5と膜厚2.5μmの表面層6を形成したもの(表面層6と電荷輸送層5の屈折率:1.54)
図1に示す構成
・レーザー光源30;レーザー光波長 488nm
・対物レンズ34;乾燥系対物レンズ(OLYMPUS Plan FL N 40× NA=0.6)
油浸対物レンズ(OLYMPUS MPlan Apo 100× NA=1.4(屈折率1.516のエマルジョンオイルを対象膜と対物レンズ34の間に充填することにより)、屈折率1.525)
エマルジョンオイル;屈折率1.516(対象膜とエマルジョンオイルとの屈折率差=0.024)
・レーザー光遮断光学素子37;図5の特性(488nmの波長をカットする機能)を有するノッチフィルター
なお、対象膜の屈折率は、Siウェーハ上に対象膜を超薄膜塗布し、分光エリプソメータ(J.A.Woolam社製、WVASE 32)で複素屈折率(屈折率、消光係数)を測定し求めた。また、エマルジョンオイルの屈折率は、メーカー測定値(製品にデータ添付)をそのまま用いた。また、ノッチフィルターの透過率は、分光透過率測定装置(松下テクノトレーディング F20装置)にて透過率値を測定して確認した。
まず、円筒形状基体上に電荷輸送層5と表面層6が形成された膜試料1である円筒形状試料40を把持治具41上に静置する。対物レンズ42としては、低倍率の乾燥系対物レンズを選択する。そして、把持冶具駆動部42、対物レンズ34、観察用CCD43を用いて、円筒形状試料40の表面観察をおこなう。先ず、意図的に円筒形状試料40の中心から離れた位置で、顕微鏡の視野絞りの機能を用いて羽根絞りの片側がはっきりと見えるように焦点合わせを実施する。その状態で把持冶具駆動部42を用いて円筒形状試料40を、レーザー光と垂直で、且つ、円筒形状試料40の軸方向と垂直となる方向(X方向)に移動させていくと羽根絞りは次第に焦点ボケていくが、移動に伴い再度、羽根絞りが明瞭に見える位置が出現する。その両座標を記録し、その中間位置に円筒形状試料40を移動し直して、観察用CCD43で再度焦点合わせをし直す。これにより、円筒形状試料40の曲率中心とレーザー光軸を一致させる。
比較例1として、図1(a)の装置構成で円筒形状試料40の曲率中心とレーザー光軸を一致させなかった場合の「油浸レンズ+エマルジョンオイル」使用条件下で界面反射光「レイリー光洩れ光プロファイル(界面反射強度分布)」を図9に示す。
従来の、円筒形状試料40で把持冶具駆動部42を備えていない構成のラマン分光測定装置を用いた。円筒形状試料40を把持治具41上に静置した際に、円筒形状試料40の曲率中心とレーザー光軸にズレが生じた。このため、正確な「レイリー光洩れ光プロファイル(界面反射強度分布)」が取得できず、電荷輸送層5におけるラマン分光による深さ方向の位置毎の分光データプロファイルが得られなかった。
また、本実施形態によれば、顕微光学系の対物レンズ34としては、低倍率の乾燥系対物レンズと、試料の間にエマルジョンオイル(不図示)が充填される油浸レンズとを選択可能である。レイリー光やラマン散乱光の測定時は、エマルジョンオイルと組み合わせた油浸対物レンズを用いることで、インデックスマッチングを行い、空間分解能をあげることができる。一方、上記曲率中心と光軸合わせのために円筒形状試料表面を観察する時は、乾燥系対物レンズを用いることで、インデックスマッチングを行わず、低倍率・低分解能を有するようにして、光軸と曲率中心との一致点を観察し易くする。さらに、乾燥系レンズが高倍率すぎると、拡大しすぎて曲面が認識し難くなることから、低倍率のものを用いて、光軸と曲率中心との一致点を観察し易くする。
また、本実施形態によれば、顕微光学系は、物体上の焦点面と共役な関係にあるピンホール(第1のピンホール32,第2のピンホール35)を備えた共焦点顕微光学系である。共焦点顕微光学系において、合焦点以外からのラマン散乱光はピンホールによってブロックされるため、焦点以外の膜内からの不要光や光透過性の膜試料内部からのラマン散乱光をほぼ完全に取り除くことが可能となり、深さ方向に優れた空間分解能を達成することができる。
また、本実施形態によれば、フィルター光学素子は、レイリー光と等価なレーザー光を遮断するレーザー光遮断光学素子を抜き差し可能に備えている。このレーザー光遮断光学素子を取り外すことにより、膜試料1からの界面反射光即ちレイリー光を検出部36に測定可能に直接導くことができ、膜の界面位置情報を取得できる様になる。また、このレーザー光遮断光学素子を光路に戻すことにより、ラマン散乱光測定時に妨害光となるレイリー光を取り除くことが可能となり、感度の高いラマン分光法による膜構造解析が可能となる。
また、本実施形態によれば、フィルター光学素子は、レイリー光と等価なレーザー光を遮断する第一のレーザー光遮断光学素子と、第一のレーザー光遮断光学素子よりもレーザー光の波長の透過率を上げた第二のレーザー光遮断光学素子とを入れ替え可能に備える。フィルター光学素子を、第二のレーザー光遮断光学素子に入れ替えることにより、膜試料1からの界面反射光即ちレイリー光を検出部36に測定可能に直接導くことができ、膜の界面位置情報を取得できる様になる。また、フィルター光学素子を、第一のレーザー光遮断光学素子に入れ替えることにより、ラマン散乱光測定時に妨害光となるレイリー光を取り除くことが可能となり、感度の高いラマン分光法による膜構造解析が可能となる。
また、本実施形態によれば、レーザー光遮断光学素子はノッチフィルターおよび/またはエッジフィルターを用いる。ノッチフィルターは特定の波長のみを透過させないようにしたものであり、設計波長を中心にして20nm程度のバンド内の光を除去することができる。しかし、ノッチフィルターは、レイリー光を100%除去できる訳ではない。このレイリー光のフィルターとなる波長領域における透過率を増すことに依って、検出部36の検出器を飽和させてしまう励起レーザー光波長近傍の非常に強いレイリー散乱光が検出器に入射することを防ぎながら、界面位置情報取得に必要なレイリー光を取得できるようにすることが可能である。エッジフィルターは、ある波長より短波長側を完全に除去できるものであり、最適設計を行えば、波長分別設計位置の前後大体30nm程度の間隔を置いて、これより短波長側の光を除去し、反対にラマン散乱光を含む長波長側の光を透過させることができる。
また、本実施形態によれば、分離光学素子はダイクロイックミラー33である。ダイクロイックミラー33は、特定の波長を境に変化する透過率特性を有して波長を分光し得る特性を有しており、円筒形状基体上に形成された光透過性の膜試料1に照射された励起光成分(レイリー光)と光透過性の膜試料から発生したラマン散乱光が一般に分離される。
また、本実施形態によれば、顕微光学系に用いられる乾燥系対物レンズのNAは、0.8以下である。これにより、低倍率・低分解能を有するようにして、光軸と曲率中心との一致点を観察し易くできる。
また、本実施形態によれば、顕微光学系に用いられる油浸対物レンズとエマルジョンオイルの組み合わせのNAは1.2以上である。このように、NAの大きなものを用いることで、光の屈折の影響を排除でき、膜試料1の膜中の空間分解能を高めることができる。
また、本実施形態によれば、円筒形状試料40を把持冶具41により軸方向に水平に把持し、顕微光学系として比較的低倍率の乾燥系対物レンズを選択する。そして、円筒形状試料40をレーザー光に対して垂直、且つ、円筒形状試料40の軸に対して垂直な方向(図3中、X方向)に移動させながら、観察用CCD43撮像素子で円筒形状試料40の表面を観察し、円筒形状試料の曲率中心とレーザー光の光軸とを合わせる。その後、顕微光学系としてエマルジョンオイルと組み合わせた油浸対物レンズを用いて、ラマン散乱光とレイリー光との測定を行う。レイリー光やラマン散乱光の測定時は、エマルジョンオイルと組み合わせた油浸対物レンズを用いることで、インデックスマッチングを行い、空間分解能をあげることができる。一方、曲率中心と光軸合わせのために円筒形状試料表面を観察する時は、乾燥系対物レンズを用いることで、インデックスマッチングを行わず、低倍率・低分解能を有するようにして、光軸と曲率中心との一致点を観察し易くする。さらに、乾燥系レンズが高倍率すぎると、拡大しすぎて曲面が認識し難くなることから、低倍率のものを用いて、光軸と曲率中心との一致点を観察し易くする。
これにより、多層構造の透過性の膜試料の深さ方向解析に必要な情報を付与するための微弱なラマン散乱光を検出しつつ、界面位置情報を含んだレイリー光を、円筒形状試料の曲率の影響を抑えて精度良く測定可能となる。
また、本実施形態によれば、上記ラマン分光測定装置を用いて測定した円筒形状試料のレイリー光に基づき試料の膜界面における反射光強度を検出し、ラマン散乱光による深さ毎の分光データプロファイルと関連付ける。これにより、円筒形状に形成された多層構造の透過性の膜試料においても、非破壊での迅速な、ミクロン単位で膜構造解析が可能となる。
2 アルミニウムドラム
3 中間層
4 電荷発生層
5 電荷輸送層
6 表面層
30 レーザー光源
31 集光レンズ
32 第一のピンホール
33 ダイクロイックミラー
34 対物レンズ
35 第二のピンホール
36 検出器
37 レーザー光遮断光学素子
40 円筒形状試料
41 把持冶具
42 把持冶具駆動部
43 観察用CCD
Claims (11)
- レーザー光源と、試料にレーザー光を照射すると共に、該試料からのレイリー光と散乱光とを受光する分離光学素子と対物レンズとを有する顕微光学系と、該分離光学素子を経由した光における特定波長の光を透過するフィルター光学素子と、該フィルター光学素子を透過した光を分光する分光手段と、該分光手段により分光された光の強度を検出する光検出手段とを備え、該フィルター光学素子は該試料からのレイリー光の一部を通過させるか、該試料からのレイリー光を遮断して散乱光を通過させるかの何れかに選択可能に設けたラマン分光測定装置において、
上記試料としての円筒形状試料を軸方向に水平に把持する把持治具と、該把持冶具を上記レーザー光に対して垂直、且つ、該円筒形状試料の軸に対して垂直な方向に移動可能とする把持冶具駆動部と、該円筒形状試料表面を観察する表面観察用撮像素子とを有することを特徴とするラマン分光測定装置。 - 請求項1のラマン分光測定装置において、上記顕微光学系の対物レンズとして、乾燥系対物レンズと、エマルジョンオイルと組み合わせた油浸対物レンズとが選択可能であることを特徴とするラマン分光測定装置。
- 請求項1または2のラマン分光測定装置において、上記顕微光学系は、焦点面と共役な関係にあるピンホールを備える共焦点顕微光学系であることを特徴とするラマン分光測定装置。
- 請求項1,2または3の何れかのラマン分光測定装置において、上記フィルター光学素子は、レイリー光と等価なレーザー光を遮断するレーザー光遮断光学素子を抜き差し可能に備えたことを特徴とするラマン分光測定装置。
- 請求項1,2または3の何れかのラマン分光測定装置において、上記フィルター光学素子は、レイリー光と等価なレーザー光を遮断する第一のレーザー光遮断光学素子と、該第一のレーザー光遮断光学素子よりも該レーザー光の波長の透過率を上げた第二のレーザー光遮断光学素子とを入れ替え可能に備えたことを特徴とするラマン分光測定装置。
- 請求項4または5のラマン分光測定装置において、上記レーザー光遮断光学素子はノッチフィルターおよび/またはエッジフィルターであることを特徴とするラマン分光測定装置。
- 請求項1,2,3,4,5または6の何れかのラマン分光測定装置において、上記分離光学素子はダイクロイックミラーであることを特徴とするラマン分光測定装置。
- 請求項1,2,3,4,5,6または7の何れかのラマン分光測定装置において、上記顕微光学系に用いられる乾燥系対物レンズのNAは、0.8以下であることを特徴とするラマン分光測定装置。
- 請求項1,2,3,4,5,6,7または8の何れかのラマン分光測定装置において、上記顕微光学系に用いられる油浸対物レンズとエマルジョンオイルの組み合わせのNAは1.2以上であることを特徴とするラマン分光測定装置。
- 分離光学素子と対物レンズとを有する顕微光学系により、円筒形状試料にレーザー光を照射すると共に、該円筒形状試料からのレイリー光と散乱光とを受光し、フィルター光学素子により該受光したレイリー光の一部または該レイリー光を遮断した散乱光を通過させて分光手段に導き、該分光手段により分光された光の強度を光検出手段より検出して、ラマン散乱光とレイリー光とを測定するラマン分光測定方法において、
上記円筒形状試料を上記レーザー光に対して垂直、且つ、該円筒形状試料の軸に対して垂直な方向に移動させながら、上記顕微光学系として乾燥系対物レンズを用いて表面観察用撮像素子で該円筒形状試料の表面を観察して該円筒形状試料の曲率中心と該レーザー光の光軸とを合わせた後、上記顕微光学系としてエマルジョンオイルと組み合わせた油浸対物レンズを用いて、上記ラマン散乱光とレイリー光との測定を行うことを特徴とするラマン分光測定方法。 - 請求項1乃至9の何れかのラマン分光測定装置を用いて測定した該円筒形状試料のレイリー光に基づき該試料の膜界面における反射光強度を検出し、該ラマン散乱光による深さ毎の分光データプロファイルと関連付けることを特徴とするラマン分光測定方法。
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