JP5228718B2 - 粒度分布評価方法及びそのプログラム並びに粒度分布評価装置 - Google Patents

粒度分布評価方法及びそのプログラム並びに粒度分布評価装置 Download PDF

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Description

本発明は、粒子濃度が高濃度である粒子分散体にも適した粒度分布評価方法及びそのプログラム並びに粒度分布評価装置に関する。
光散乱による粒度分布評価方法としては、レーザー光源からの一定波長のレーザー光を粒子群に照射し、粒子径による散乱光の強度分布、つまり粒子径による散乱光強度の空間分布(角度分布)から、対象とする粒子分散体の粒度分布をミー散乱理論等に基づいて評価する方法が一般的である。
この散乱光強度の角度分布から粒度分布を評価する方法に対し、散乱光強度の波長毎の分光分布から粒度分布を評価する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。この波長毎の分光分布から粒度分布を評価する方法は、散乱光強度の角度分布から粒度分布を評価する方法で用いられる極めて高価な短波長レーザーやリング状の受光装置を使わずに粒度分布を測定可能で、かつ安価な装置で実現することができるとされている。
特許文献1によれば、一定散乱角度での各波長λにおける測光データ実測値Iλiと粒子径Dの関係は、Wを各粒子径Dの粒子の試料中の重量%、aijを各粒子径Dの粒子が波長λの光を照射されたときの一定角度での散乱強度とすると、測光データ実測値Iλiと粒子単体による散乱光強度aijとの線形方程式である下記式(1)で表され、この線形方程式を解くことにより、粒度分布に相当するWを導出することができる。
Figure 0005228718
しかしながら、散乱光強度の波長毎の分光分布から粒度分布を評価する方法にて用いられている測光データ実測値Iλiと粒子単体による散乱強度aijとの間の線形性が成立するためには、多数粒子による複数回の散乱現象である多重散乱が生じないことが前提条件であることが知られており、実際、散乱強度実測値から粒度分布を求める光散乱法においては、多重散乱により真の粒度分布より粒度分布導出結果が小さくなるとの報告もある(例えば、特許文献2)。
したがって、波長毎の散乱強度実測値と粒子単体の散乱強度との線形性から粒度分布を導出する方法は、例えば顔料粒子を高濃度で媒質中に分散させたインキや塗料などの多重散乱を生じるような高濃度の粒子分散体の粒度分布を評価するには適当でない。
そこで、特許文献2では、多重散乱を生じるような高濃度の粒子分散体の粒度分布や顔料などの波長により強い光吸収特性を持つ粒子分散体の粒度分布を評価する方法として、粒子分散体を薄膜として形成し、多重散乱や光吸収の影響を低減化する方法が提案されている。
しかしながら、薄膜の厚さにより測光データ実測値が変動してしまうことから、上述のような粒子分散体を薄膜として形成する際には分散体試料に対し精密な厚さの調整が必要とされる。
一方、照射した光が透過しない程度に厚膜化した試料の分光特性実測値(これを「光学的膜厚無限大の分光反射率実測値」というものとする)から、拡散近似法を用いて光学特性であるアルベドα'を導出することが可能であることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
特開平02−226046号公報 特開昭63−269042号公報 H. W. Jensen, S. R. Marschner,M. Levoy, and P. Hanrahan.「A Practical Model for Subsurface Light Transport」,In Proceedings of SIGGRAPH 2001,p511-518, August 2001
本発明は、粒子を媒質に分散させた粒子分散体を対象とし、高価なレーザー光源及び同受光装置を用いることなく、分散体試料の厚さの精密調整を必要とせずに、厚いままでも粒度分布の評価を行うことのできる粒度分布評価方法及びそのプログラム並びに粒度分布評価装置を提供することを目的としている。
本発明は、粒子を媒質に分散させた粒子分散体試料の粒度分布評価方法であって、該粒子分散体試料の光学的膜厚無限大の分光反射率実測値から得られたアルベドと、該粒子分散体試料における粒子の複素屈折率、媒質の屈折率、及び指定の粒子径の範囲から得られた各粒子径の粒子単体の散乱吸収特性とを、アルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式を用いて推定粒度分布を算出することを特徴とする粒度分布評価方法である。
アルベドα'(λ)は、下記式(2)で表される。
Figure 0005228718
上記式(2)において、σ(λ)は波長λにおける粒子分散体の散乱係数、σ(λ)は波長λにおける粒子分散体の吸収係数、g(λ)は波長λの単位面積の光が粒子分散体中を単位長さ進んだ時の散乱光の異方性パラメータである。
散乱係数σ(λ)は、下記式(3)で表される。
Figure 0005228718
上記式(3)において、dmax及びdminは粒度分布における最大粒子径及び最小粒子径、ρ(τ)は粒子径τの粒子の数密度、C(λ,τ)は波長λにおける粒子径τの粒子の散乱断面積である。
吸収係数σ(λ)は、下記式(4)で表される。
Figure 0005228718
上記式(4)において、C(λ,τ)は波長λにおける粒子径τの粒子の吸収断面積である。
異方性パラメータg(λ)は、下記式(5)で表される。
Figure 0005228718
上記式(5)において、g(λ,τ)は波長λにおける粒子径τの粒子の異方性パラメータである。
上記式(2)〜(5)により、アルベドα'(λ)は、任意粒子径の粒子がある数頻度で構成された粒子群を対象とした単位体積当りの等方散乱とみなした光散乱及び光吸収現象により失われた光成分のうち、光散乱現象により失われた割合を意味する。
一方、非特許文献1に示されるように、アルベドα'(λ)が、光学的膜厚無限大の分光反射率実測値から拡散近似法を用いて、下記式(6)として導出することができる。
Figure 0005228718
上記式(6)において、R(λ)は波長λにおける光学的膜厚無限大の分光反射率である。光学的膜厚無限大になるように粒子分散体試料の厚さ物理的に十分に厚くすれば、それ以上に厚くしてもR(λ)は変化しない。
一方、粒子分散体と空気層界面とのフレネル反射・透過の関係から、パラメータA(λ)は、下記式(7)で表される。
Figure 0005228718
上記式(7)において、Fdr(λ)は波長λにおける粒子分散体と空気層界面とのフレネル反射・透過に関係する値であり、下記式(8)で表される。
Figure 0005228718
上記式(8)において、η(λ)は波長λにおける媒質の屈折率である。
そこで、ある粒度分布で粒子群を構成していた場合の各粒子径の粒子単体のミクロ的な散乱吸収特性からのアルベドの導出が可能であることと、アルベドは式(6)による光学的膜厚無限大の分光反射率実測値というマクロ的な計測値とのモデル化が可能であることに着目すれば、式(2)及び式(6)の関係を用いて、対象とする粒子分散体の光学的膜厚無限大の分光反射率実測値を満足するようなアルベド値を求めることにより、粒子分散体の粒度分布を推定し評価できることになる。
上述の粒度分布評価方法において、粒子単体の散乱吸収特性はミー散乱理論を用いて導出した値である。
さらに、上述の粒度分布評価方法において、粒子の複素屈折率及び媒質の屈折率は、多種粒子の複素屈折率及び多種媒質の屈折率データベースを備え、そのデータベースより選択した値である。
このように、粒子を媒質に分散させた粒子分散体試料を対象とし、光学的膜厚無限大の分光反射率実測値から得られたアルベドと、該試料に使用されている粒子の複素屈折率及び媒質の屈折率、指定の粒子径から得られた粒子単体の散乱吸収特性とを、アルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式を用いて推定粒度分布を算出するプログラムを提供することもできる。
この評価方法及びプログラムを利用することで、粒子を媒質に分散させた粒子分散体試料を対象とし、該試料の光学的膜厚無限大の分光反射率実測値を計測する分光特性測定部を備え、この測定部により計測した分光反射率実測値から得られたアルベドと、試料に使用されている粒子の複素屈折率及び媒質の屈折率、指定の粒子径から得られた粒子単体の散乱吸収特性とを、アルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式を用いて推定粒度分布を算出する粒度分布評価装置を提供することもできる。
本発明によれば、分光反射率実測値から微小な単位体積領域におけるミクロ的な散乱吸収特性としてアルベドを導出し、粒子分散体に使用している粒子の複素屈折率と媒質の屈折率及び指定の粒子径における粒子単体の散乱吸収特性理論値をミー散乱理論などにより導出し、それらミクロ的な特性値間の線形関係を表すアルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式から粒度分布を推定している。このアルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式を用いることにより、多重散乱に影響されずに広い粒子濃度範囲での粒度分布を精度良く評価することが可能となる。
また、本発明によれば、粒子を高濃度で媒質に分散させた粒子分散体試料の光学的膜厚無限大の分光反射率実測値を計測している。これにより、従来の光散乱による粒度分布評価技術において評価値に影響を与えている希釈工程を省略することができ、高濃度状態で評価することが可能となる。また、光学的膜厚無限大になるように粒子分散体試料の厚さを物理的に十分に厚くすれば、それ以上に厚くしても分光反射率実測値Rd(λ)は変化しない。これにより、希釈せずに高濃度の粒子分散体試料の粒度分布を評価する従来技術では必要とする精密な薄膜化工程を省略することができ、厚さによる評価値への影響をなくすことが可能となる。また、高価なレーザー光源及び受光装置を用いることなく、安価な分光反射率計測機器を用いることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態による粒度分布評価装置を図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態による粒度分布評価装置の構成を示すブロック図である。図1において、
符号1は粒度分布評価対象の光学的膜厚無限大の粒子分散体サンプル、
符号2は粒子分散体サンプル1の分光反射率を計測する分光反射率測定部、
符号3は分光反射率測定部2によって測定された分光反射率実測値を後述のアルベド算出部7へ転送する分光反射率入力部、
符号4は粒子分散体サンプル1に使用されている媒質及び粒子の素材種類を入力する粒子・媒質の種類入力部、
符号5は媒質素材の屈折率データベース、
符号6は粒子素材の複素屈折率データベース、
符号51は、上記粒子・媒質の種類入力部4から媒質素材(例えば、インキ用ワニス)が入力された際に、これに対応する特定の媒質素材の屈折率データ(例えば、インキ用ワニスの屈折率)、
符号61は、上記粒子・媒質の種類入力部4から粒子素材(例えば、フタロシアニン)が入力された際に、これに対応する特定の粒子素材の複素屈折率データ(例えば、フタロシアニンの複素屈折率)、
符号7は入力された分光反射率実測値と選択された媒質素材の屈折率値からアルベドを算出するアルベド算出部、
符号8は選択された媒質素材の屈折率値と粒子素材の複素屈折率及び任意の粒子径値を用いてミー散乱理論などにより粒子単体の散乱吸収特性である散乱断面積と吸収断面積及び異方性パラメータを算出する粒子単体の散乱吸収特性算出部、
符号9はアルベドと粒子単体の散乱吸収特性の関係を表すアルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式にアルベド算出部7で算出したアルベド値と粒子単体の散乱吸収特性算出部8で算出した散乱断面積と吸収断面積及び異方性パラメータを代入し、その最適解から粒度分布を推定するアルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式最適解算出部、
符号10は粒度分布評価対象の粒子分散体サンプル1に関する前記入力情報及び推定した粒度分布情報を最終的に表示する表示部である。
なお、従来技術との比較のために、特許文献1を参考とした従来技術の一実施形態による粒度分布評価装置の構成を示すブロック図を図2に示す。この図において、
符号11は粒度分布評価対象の膜厚を精密調整した薄膜の粒子分散体サンプル、
符号12は前記粒子分散体サンプル11の分光反射率を計測する分光反射率測定部、
符号13は分光反射率測定部12によって測定された分光反射率実測値を後述の分光反射率−粒子単体散乱吸収特性方程式最適解算出部17へ転送する分光反射率入力部
符号14は粒子分散体サンプル11に使用されている媒質素材の屈折率値を入力する媒質の屈折率入力部、
符号15は粒子分散体サンプル11に使用されている粒子素材の複素屈折率値を入力する粒子の複素屈折率入力部、
符号16は入力された媒質素材の屈折率値と粒子素材の複素屈折率及び任意の粒子径値を用いてミー散乱理論などにより粒子単体の散乱吸収特性である散乱断面積と吸収断面積及び異方性パラメータを算出する粒子単体の散乱吸収特性算出部、
符号17は分光反射率と粒子単体の散乱吸収特性の関係を表す線形方程式に分光反射率測定部12で測定した分光反射率実測値と粒子単体の散乱吸収特性算出部16で算出した散乱断面積と吸収断面積及び異方性パラメータを代入し、その最適解から粒度分布を推定する分光反射率−粒子単体散乱吸収特性方程式最適解算出部、
符号18は粒度分布評価対象の粒子分散体サンプル11に関する前記入力情報及び推定した粒度分布情報を最終的に表示する表示部18である。
このように、従来技術によれば、粒子分散体サンプル11は薄膜化しなければならなかったが、本発明によれば、アルベドを導入することにより粒子分散体サンプル1は厚膜のままで測定することができる。
次に本発明の一実施形態による粒度分布評価方法の処理フローについて説明する。図3は本発明の一実施形態による粒度分布評価方法の処理フローを示す図である。
まず、粒度分布評価対象の光学的膜厚無限大の粒子分散体サンプル1に対し、分光反射率測定部2により、各波長λにおける光学的膜厚無限大の分光反射率R(λ)を計測する(ステップS1)。
次に、粒度分布評価対象の粒子分散体に使用されている媒質及び粒子の素材種類を、媒質素材の屈折率データベース5及び粒子素材の複素屈折率データベース6から選択指定する(ステップS2)。
次に、選択された媒質及び粒子の素材種類に該当する媒質素材の屈折率値及び粒子素材の複素屈折率値を、それぞれ媒質素材の屈折率データベース5及び粒子素材の複素屈折率データベース6から検索し、その媒質素材の屈折率データ51と粒子素材の複素屈折率データ61を設定する(ステップS3)。
次に、検索して設定された媒質素材の屈折率値及び粒子素材の複素屈折率値を用いて、粒子単体の光散乱吸収特性である、波長λにおける粒子径τの粒子の散乱断面積C(λ,τ)と吸収断面積C(λ,τ)及び異方性パラメータg(λ,τ)を、例えば粒子単体の散乱吸収特性を求める一般的手法であるミー散乱理論やレイリー散乱などに基づき算出する(ステップS4)。
なお、ミー散乱理論によれば、各粒子径τは任意範囲での値を対象とすることができるので好ましい。したがって、例えば、印刷用インキを対象とする場合には、一般的に100nm程度の粒子径とされているので、粒子径τは10nmから5000nmの範囲の値を対象とすればよい。
次に、式(8)及び式(7)により、媒質の屈折率をηとして、パラメータFdr(λ)及びA(λ)を算出する(ステップS5)。
次に、ステップS1で計測した光学的膜厚無限大の分光反射率R(λ)とステップS5で算出したA(λ)から、各波長λにおいて式(6)を満足するアルベドα'(λ)を最適化手法により求める(ステップS6)。
次に、仮の粒度分布として各粒子径τの粒子の数密度ρ0'(τ)を初期設定する。ρ0'(τ)の設定方法としては、例えば対数正規分布と仮定し、半値幅と分布平均値を数値設定する(ステップS7)。
次に、式(2)及び式(6)の関係を線形方程式で表したアルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式を用いて、仮の粒子数密度ρ0'(τ)の時の値σ0を算出する。ここで、アルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式は、下記式(9)で表される(ステップS8)。
Figure 0005228718
上記式(9)において、σはアルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式の解、パラメータMは行列であり、下記式(10)で表される。
Figure 0005228718
上記式(9)において、パラメータρは粒子径τの粒子数密度ρのベクトルであり、下記式(11)で表される。
Figure 0005228718
上記式(10)において、パラメータDα'は波長λにおけるアルベドα'(λ)の対角行列であり、下記式(12)で表される。
Figure 0005228718
上記式(10)において、パラメータCは波長λにおける粒子径τの粒子の吸収断面積C(λ,τ)の行列であり、下記式(13)で表される。
Figure 0005228718
上記式(10)において、パラメータCは波長λにおける粒子径τの粒子の散乱断面積C(λ,τ)の行列であり、下記式(14)で表される。
Figure 0005228718
上記式(10)において、パラメータKは波長λにおける粒子径τの粒子の散乱断面積C(λ,τ)と異方性パラメータg(λ,τ)の積の行列であり、下記式(15)で表される。
Figure 0005228718
次に、評価対象の粒度分布範囲内で仮の粒子数密度を変更する。例えば対数正規分布と仮定し、半値幅を固定し分布平均値を順次変更する。そして、順次変更した各粒子数密度ρ'(τ)の時のアルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式の各解σを算出する(ステップS9)。
次に、アルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式の解の値が最も0に近い仮の粒子数密度を正式な粒度分布値ρ(τ)として決定する(ステップS10)。
以上の処理により、粒子分散体の粒度分布を推定でき、さらにその粒度分布を用いて、例えば粒子分散体のメディアン径を得ることができる。
(実施例)
粒子濃度が高い印刷用インキを対象とし、インキ内に分散されている顔料粒子の一次粒子径の粒度分布情報としてメディアン径を評価する。ここで、顔料粒子の一次粒子径とは、粒子分散体の凝集した粒子群の大きさではなく、その凝集を構成する微粒子の大きさである。
対象とする印刷用インキは、顔料粒子として銅フタロシアニンブルーを用い、媒質としてインキ用ワニスに分散させたオフセット印刷用藍インキを用いた。顔料粒子の大きさは、オフセット印刷用途として一般的に使用されている顔料粒子を2種類(サンプルA、サンプルB)、微細化した顔料粒子を2種類(サンプルC、サンプルD)の計4種類を用意した。分光反射率計測用サンプルは、ガラス板にインキをはさみ、白い紙下地と黒い紙下地をガラス板の下に敷いて各下地の分光反射率に違いがない程度にインキ層を厚くし、光学的膜厚無限大の分光反射率計測用サンプルを用意した。光学的膜厚無限大の分光反射率計測には、X−Rite社製分光光度計SpectroEye(測定波長:400〜730nm、10nm間隔)を用いた(ステップS1)。
なお、銅フタロシアニンブルーの複素屈折率は「Phthalocyanine dyes and pigments」(The Porphylin Handbook, 19, pp130-131 (2002),P. Erk, and H. Hengelsberg)の各波長の数値を用い(ステップS2、S3)、ワニスの屈折率は全波長で1.5の値を用いた(ステップS2、S3)。評価対象の粒度分布範囲は、最小粒子径は10nm、最大粒子径は5000nmの範囲を離散化した値(2.5nm間隔)を用いた(ステップS4)。粒子単体の散乱吸収特性は一般的手法であるミー散乱理論に基づき算出した(ステップS4)。媒質の屈折率をηとして、パラメータFdr(λ)及びA(λ)を算出した(ステップS5)。光学的膜厚無限大の分光反射率実測値からアルベドを求める最適化手法として、MathWorks社製数値解析ソフトウエアMATLABの最適化関数を用いた(ステップS6)。仮の粒度分布の設定方法は、対数正規分布を仮定し、標準偏差を固定し、平均値を順次変更する方法を用いた(ステップS7)。
(比較例)
従来手法である静的光散乱手法により、前記印刷用インキを希釈し約50μm程度に薄膜化したサンプルを対象として顔料粒子のメディアン径を計測した。静的光散乱手法には、島津製作所社製粒子径分布測定装置SALD−7000を用いた。
(目視評価)
各手法で求めたメディアン径の推定精度の評価基準として、前記印刷用インキをシクロヘキサンに溶解し超音波分散して、日本電子社製透過型電子顕微鏡JEM−2200FSにより観察し、透過型電子顕微鏡観察画像を目視評価して各サンプルの一次粒子径の概算値を求めた。なお、目視による判別が容易であることから、参考として微細化した顔料粒子のサンプルCの透過型電子顕微鏡画像を図4、サンプルDの透過型電子顕微鏡画像を図5に示す。
各印刷用インキを対象として、本発明の手法により推定したメディアン径、従来手法の静的光散乱手法により推定したメディアン径、透過型電子顕微鏡観察画像による一次粒子径の概算値を表1に示す。
Figure 0005228718
表1に示すように、本発明の手法により推定したメディアン径は、透過型電子顕微鏡観察画像による粒子径の一次粒子径の概算値とほぼ一致することがわかる。一方、比較対象である従来手法の静的光散乱手法により推定したメディアン径は、本発明の手法により推定した値や透過型電子顕微鏡観察画像による粒子径の一次粒子径の概算値とは大きく異なっており、1.4倍から2.6倍もの違いとなっていることがわかる。この原因としては、従来手法である静的光散乱手法では、高濃度での粒子分散体を計測することができないため希釈することが必要であり、この希釈工程により影響を受けたものと考えられる。
なお、図6には本発明により得られた印刷用インキのサンプルA〜Dの粒度分布の出力例を示す。
以上の結果から、本発明の手法によれば、従来の光散乱による粒度分布評価技術において評価値に影響を与えている希釈工程を省略することができ、高濃度状態で粒度分布を精度良く、しかも簡便に評価することが可能となるため、非常に有用であることがわかる。
なお、上述の粒度分布評価装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
本発明の一実施形態による粒度分布評価装置の構成を示すブロック図である。 従来技術の一実施形態による粒度分布評価装置の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態による粒度分布評価方法の処理フローを示す図である。 サンプルCの透過型電子顕微鏡画像である。 サンプルDの透過型電子顕微鏡画像である。 サンプルA〜Dの粒度分布の出力例である。
符号の説明
1・・・光学的膜厚無限大の粒子分散体サンプル
2・・・分光反射率測定部
3・・・分光反射率入力部
4・・・粒子・媒質の種類入力部
5・・・媒質素材の屈折率データベース
6・・・粒子素材の複素屈折率データベース
7・・・アルベド算出部
8・・・粒子単体の散乱吸収特性算出部
9・・・アルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式最適解算出部
10・・・表示部
11・・・膜厚を精密調整した薄膜の粒子分散体サンプル
12・・・分光反射率測定部
13・・・分光反射率入力部
14・・・媒質の屈折率入力部
15・・・粒子の複素屈折率入力部
16・・・粒子単体の散乱吸収特性算出部
17・・・分光反射率−粒子単体散乱吸収特性方程式最適解算出部
18・・・表示部

Claims (6)

  1. 粒子を媒質に分散させた粒子分散体試料の粒度分布評価方法であって、該粒子分散体試料の光学的膜厚無限大の分光反射率実測値から得られたアルベドと、該粒子分散体試料における粒子の複素屈折率、媒質の屈折率、及び指定の粒子径の範囲から得られた各粒子径の粒子単体の散乱吸収特性とを、アルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式を用いて推定粒度分布を算出することを特徴とする粒度分布評価方法。
  2. 前記アルベドは、拡散近似法を用いて導出した値である請求項1に記載の粒度分布評価方法。
  3. 前記粒子単体の散乱吸収特性は、ミー散乱理論を用いて導出した値である請求項1又は2に記載の粒度分布評価方法。
  4. 前記粒子の複素屈折率及び媒質の屈折率は、多種粒子の複素屈折率及び多種媒質の屈折率のデータベースより選択した値である請求項1〜3のいずれかに記載の粒度分布評価方法。
  5. 粒子を媒質に分散させた粒子分散体試料の粒度分布評価プログラムであって、該粒子分散体試料の光学的膜厚無限大の分光反射率実測値から得られたアルベドと、該粒子分散体試料における粒子の複素屈折率、媒質の屈折率、及び指定の粒子径の範囲から得られた各粒子径の粒子単体の散乱吸収特性とを、アルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式を用いて推定粒度分布を算出することを特徴とする粒度分布評価プログラム。
  6. 粒子を媒質に分散させた粒子分散体試料の粒度分布評価装置であって、該粒子分散体試料の光学的膜厚無限大の分光反射率実測値を計測する分光特性測定部を備え、前記分光特性測定部により計測した前記分光反射率実測値から得られたアルベドと、該粒子分散体試料における粒子の複素屈折率、媒質の屈折率及び指定の粒子径の範囲から得られた各粒子径の粒子単体の散乱吸収特性とを、アルベド−粒子単体散乱吸収特性方程式を用いて推定粒度分布を算出することを特徴とする粒度分布評価装置。
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