JPH10197439A - 回折/散乱光の光強度分布データの比較方法、および粒度分布測定装置 - Google Patents
回折/散乱光の光強度分布データの比較方法、および粒度分布測定装置Info
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Abstract
な比較を行う。 【解決手段】 二つの光強度分布データをベクトルとし
て扱い、両ベトクルの交角に関連した交角指標(例え
ば、cosθ)によって、両光強度分布データの定量的
な比較を行う。粒度分布測定の過程では、実測された光
強度分布データと、逆換算によって求められた光強度分
布データとの比較過程(ステップS4、S5)におい
て、上記の手法を用いることにより、最適な演算条件を
容易、かつ的確に選択することができる。
Description
された分散粒子群から出てくる回折/散乱光の光強度分
布データの比較方法、および、レーザ回折・散乱法を利
用して粒子群の粒度分布を測る粒度分布測定装置に係
り、特に回折/散乱光の光強度分布データ同士の比較が
定量的におこなえるようにするための技術に関する。
布測定では、測定光であるレーザ光が照射された分散粒
子群(液体,気体、固体などの媒体中に分散させられた
粒子群)からの回折/散乱光を複数の光検出素子で検出
するとともに、各光検出素子の検出光量データをベクト
ル成分とする空間的な光強度分布データを、粒子の屈折
率が関係する演算アルゴリズムにより粒度分布データに
換算する構成になっている。このレーザ回折・散乱法に
よる粒度分布測定方式は、測定可能な粒径範囲が非常に
広く、測定時間も短い上に、再現性にも優れることなど
から、粉体(粒子群)を原料や製品とする食料品・医薬
品など各種の分野において、研究段階にある新規開発品
の評価や、製品の品質管理に用いられている。
粒度分布測定による評価や品質管理には次のような問題
がある。粒子群の良否は粒度分布だけではなく、粒子の
表面状態や粒子形状などにも左右される。例えば、粒度
分布が同じでも表面状態が異なる粉末薬は、溶解速度の
変化などで所定の効能を発揮できないことがある。しか
し、従来の粒度分布測定によれば、粒度分布の良否は判
定できるが、粒子の表面状態や粒子形状の評価・判定を
行うことができない。
ータに換算する前の光強度分布データを利用することが
考えられる。この光強度分布データは粒度分布の情報以
外に、粒子の表面状態や粒子形状などの情報を含んでい
る。光強度分布データから粒子の表面状態や粒子形状の
情報を個別に抽出することは難しいが、良品の粒子群に
ついて予め得た基準用の光強度分布データと、評価対象
のサンプル粒子群について測定した光強度分布データと
を比較することにより、サンプル粒子群の粒度分布をは
じめ、粒子の表面状態や粒子形状などを含めた総合的な
評価・判定をおこなうことが考えられるのである。例え
ば、基準用の光強度分布データと、比較対象の光強度分
布データを重ね書きして、目視観察すればよい。
のパターン比較は、主観に頼った定性的な比較であり、
客観性の乏しい曖昧な結果しか得られず、問題の解決に
は至らない。また、光強度分布データは正規分布のよう
な典型的な形状となることはなく、平均値や中央値ある
いは標準偏差値などの代表的数値で評価することもまた
難しい。
度分布データ(ベクトル)を粒度分布データに換算する
ための演算アルゴリズムを実行する上で、粒子の屈折率
を適切な値にセット(演算条件を選択)する必要があ
る。粒子の屈折率は直接測ることは困難なので、理科辞
典などから調べた値で代用しているが、実際の粒子の屈
折率との間に誤差があると、正確な粒度分布データが得
られない。
かを、粒度分布データを逆換算アルゴリズムにより再び
光強度分布データに逆換算して、換算前後の両光強度分
布データの一致度により調べることはできる(特開平0
7−325026号公報参照)。両光強度分布データの
一致度が高いほど屈折率は適切なものとなるので、両者
がよく一致するような屈折率を選択してセットすること
が考えられる。しかし、前述のように、光強度分布デー
タ同士の正確な比較結果が容易でないので、結局、適切
な屈折率をセットすること容易でない。
乱光の光強度分布データ同士の定量的な比較をおこなう
ことのできる回折/散乱光の光強度分布データの比較方
法、および粒度分布測定装置を提供することを課題とす
る。
め、発明者は、様々な角度から検討し、異なる2種類の
分散粒子群にそれぞれレーザ光を照射し、各分散粒子群
からの回折/散乱光を検出して得られた二つの光強度分
布データを比較する上で、これらの光強度分布データを
ベクトルとして扱い、両ベトクルと二つの光強度分布デ
ータのグラフパターン(分布パターン)の関係に注目し
た。そして、グラフパターン同士の差はベクトルのなす
角度(交角)として捉えられるのではないかという推論
を得た。この場合、グラフパターンが同じで差がなけれ
ば、ベクトルの交角は0であり、グラフパターンが全く
一致しなければ交角は90°である。
ータ測定時の粒子群の濃度と関連しているが、粒度分布
や粒子の表面状態や粒子形状などの情報は測定時の粒子
群の濃度とは本質的に関係しないので、これらの情報を
得るにはベクトルの交角を調べれば十分であると考えら
れるのである。上の推論が正しければ、二つのベクトル
のなす角度(交角)に対応する交角指標(例えば、両ベ
クトルの交角の余弦)を算出すれば、この算出された値
が両光強度分布データの定量的な比較結果を示してくれ
る。
るために、先ず、図2に示すように、グラフパターンで
みるとかなり差のある4つの光強度分布データA〜Dに
ついて、以下のチェックをおこなった。光強度分布デー
タAと光強度分布データA〜Dとをそれぞれ比較したの
である。ここでは、交角指標として、交角θの余弦(c
osθ)を用いた。具体的な算出手法については実施例
の項で説明するが、算出結果は、以下のとおりである。
cosθの値が小さくなり(θが大きくなり)、パター
ンの差と対応した結果であることが分かる。
かな差しかない5つの光強度分布データa〜eについ
て、チェックをおこなった。光強度分布データaと光強
度分布データa〜eとをそれぞれ比較したのである。こ
こでも、交角指標として、交角θの余弦(cosθ)を
用いた。算出結果は、以下のとおりである。
sθが小さくなり(θが大きくなり)、パターンの差と
よく対応した結果となっていることが分かる。パターン
の差が微妙な場合でも、cosθは二つの光強度分布デ
ータ同士の定量的比較結果として用いることができる。
正しいことが裏付けられ、両光強度分布データのベクト
ルの交角に対応する交角指標を算出すれば、算出で求め
た値が二つの光強度分布データの比較結果となるという
知見が得られたのである。上記のような知見に基づいて
完成されたこの発明は、次のような構成を備えている。
の光強度分布データの比較方法は、分散粒子群にレーザ
光を照射する過程と、前記分散粒子群からの回折/散乱
光を複数の光検出素子で検出して各検出光量データを成
分とする光強度分布データを得る過程と、異なる二つの
分散粒子群について各々得られた光強度分布データを比
較する過程とを含む方法において、前記比較過程は、前
記各光強度分布データを、各々の検出光量データを成分
とするベクトルとして扱い、これら二つの光強度分布デ
ータのなす角度(交角)に関連した交角指標を算出する
過程と、前記過程で求めた交角指標に基づいて前記二つ
の光強度分布データの差異の程度を判定する過程とを含
むことを特徴とする。
は、分散粒子群にレーザ光を照射する光照射手段と、前
記分散粒子群からの回折/散乱光を複数の光検出素子で
検出して各検出光量データを成分とする光強度分布デー
タを得る光検出手段と、前記実測された光強度分布デー
タを、前記分散粒子群を構成する粒子の屈折率に関係し
た複数種類の係数行列を使った演算アルゴリズムによ
り、前記各係数行列に対応した粒度分布データに換算す
る粒度分布求出手段と、前記各係数行列ごとの粒度分布
データを前記係数行列を使った逆演算アルゴリズムによ
り、各係数行列に対応した光強度分布データに逆換算す
る光強度分布逆求出手段と、前記実測された光強度分布
データと前記逆換算された各係数行列ごとの光強度分布
データとを各々比較して、前記逆換算された複数の光強
度分布データの中から、前記実測された光強度分布デー
タに対して一致度の高い前記逆換算の光強度分布データ
を捜し出し、その逆換算の光強度分布データに対応した
係数行列を最適な演算条件として選択する光強度分布比
較手段と、前記選択された係数行列を使って求められた
粒度分布データを前記分散粒子群の妥当な粒度分布とし
て確定する粒度分布確定手段とを備えた粒度分布測定装
置において、前記光強度分布比較手段は、前記実測され
た光強度分布データおよび前記逆換算された光強度分布
データを、各々の検出光量データを成分とするベクトル
として扱い、前記実測された光強度分布データと前記逆
換算された各係数行列ごとの光強度分布データのなす角
度(交角)に関連した交角指標をそれぞれ算出する交角
度指標算出手段と、前記算出された各係数行列に対応し
た交角指標を比較することにより、前記実測された光強
度分布データに対して一致度の高い前記逆換算の光強度
分布データを捜し出し、その逆換算の光強度分布データ
に対応した係数行列を最適な演算条件として選択する選
択手段を備えたことを特徴とする。
度分布データ(ベクトル)の比較をおこなう際の作用に
ついて説明する。請求項1の回折/散乱光の光強度分布
データの比較方法では、二つの光強度分布データのベク
トルの交角に対応する交角指標を算出し、得られた交角
指標の数値でもって定量的な比較結果が分かる。例え
ば、交角指標が両ベクトルの交角のcosθである場
合、両光強度分布データが完全に一致していれば、co
sθ=1となり、両光強度分布データが全く一致してい
なければ、cosθ=0となり(cosθは負となるこ
とはない)、cosθが大きいほど両光強度分布データ
の一致度が高いことになる。
の表面状態やその形状など(以下、これらを単に物性と
もいう)の総合的な評価をおこなう場合には、予め基準
となる(良品の)粒子群について光強度分布データを測
定して記憶しておき、この基準となる光強度分布データ
と、サンプル粒子群の光強度分布データを比較するため
に両者の交角に対応する交角指標を算出し、算出された
交角指標の数値で両光強度分布データを定量的に比較す
る。両者が一致しているほど、サンプル粒子群の物性は
基準の粒子群に近い物性、すなわち良品であると判断さ
れ、両者の間に大きな差があると、サンプル粒子群は基
準の粒子群から外れた物性、すなわち不良品であると判
断される。
の粒度分布データを求める場合、レーザ光が照射された
分散粒子群からの回折/散乱光を検出する各光検出素子
の検出光量データをベクトル成分とする光強度分布デー
タを、粒子の屈折率が関係する係数行列を使った演算ア
ルゴリズムにより、粒度分布データに換算する。ここ
で、粒子の屈折率は確定していないので、複数種類の屈
折率を適当に設定し、それぞれの屈折率に関係した複数
種類の係数行列(演算条件)を用いて演算を行う。した
がって、粒度分布データは各係数行列ごとに求められ
る。
リズムにより、光強度分布データに逆換算する。逆換算
された各係数行列ごとの光強度分布データの中、実測さ
れた光強度分布データに最も近い値をもつものを見つけ
れば、その逆換算の光強度分布データを求めるのに使っ
た係数行列(演算条件)が適当であったことになる。そ
こで、実測された光強度分布データと逆換算された光強
度分布データをそれぞれベクトルとして扱い、両ベクト
ルの交角指標を各係数行列ごとに求める。これらの交角
指標を比較することにより、実測された光強度分布デー
タに対して、最も一致度の高い逆換算の光強度分布デー
タを捜し出し、最適な係数行列を決定する。この係数行
列を用いて算出された粒度分布データが、測定対象であ
る分散粒子群の妥当な粒度分布データを与えることにな
る。
面を参照しながら詳しく説明する。図1は実施例の粒度
分布測定装置の全体構成をあらわすブロック図である。
すように、透明材料製の試料セル1の中の分散粒子群2
に対して、コリメータ3を介して平行レーザ光を照射す
るレーザ光源4と、分散粒子群2からの回折/散乱光を
検出するよう空間配置された光センサ5a〜5cとが設
けられている。光センサ5aはリングディテクタタイプ
の前方散乱・回折光検出用センサであり、検出面が集光
レンズ6でリング状に結像する回折/散乱光像に対応し
てリング状ないし半リング状に分割されており、各分割
区画が一つの光検出素子となる。また、光センサ5bは
側方散乱光検出用センサであり、光センサ5cは、後方
散乱光検出用センサである。さらに、実施例装置では、
媒液と粒子群を攪拌して粒子群を液媒に分散させる攪拌
器7を備えた分散槽8が設けられている。試料セル1と
分散槽8とは、ポンプ9を介設した流路によって接続さ
れていて、媒液と粒子群の混合物が試料セル1と分散槽
8の間を循環する構成となっている。
検出信号を増幅するプリアンプ11および増幅された検
出信号をディジタル信号に変換するA/D変換部12を
備える。A/D変換部12からの出力信号は、各検出光
量データを成分とした光強度分布データとして光強度分
布メモリ13に記憶される。また、CPU14は、実測
された光強度分布データを粒子の屈折率が関係する係数
行列を使った演算アルゴリズムにより粒度分布データに
換算する演算や、この演算で得られた粒度分布データを
逆換算アルゴリズムにより光強度分布データに逆換算す
る演算をおこなうとともに、二つの光強度分布データの
交角に対応する交角指標を算出する演算などもおこな
う。すなわち、このCPU14は、この発明における粒
度分布求手段、光強度分布逆求出手段、光強度分布比較
手段(交角指標算出手段、選択手段を含む)、粒度分布
確定手段に相当する。
された屈折率に基づいてCPU14が算出した、演算ア
ルゴリズムで使われる係数行列を保持する係数保持部1
5を備えている。さらに、実施例装置は、出力部17と
して、TVモニタや液晶パネルなどの映像表示機器ある
いはおよびプリンタなどの印刷機器を備えている。
布データと粒度分布データの間の変換用の演算アルゴリ
ズムや交角指標を求める過程について説明する。図1に
示すように、分散粒子群2にレーザ光を照射すると、空
間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生ずる。こ
の光強度分布パターンは、粒子の大きさによって変化す
る。実際の試料では大きさの異なる粒子が混在している
ので、光強度分布パターンはそれぞれの粒子からの回折
/散乱光の重ね合わせとなる結果、光強度分布データ
(ベクトル)sは、m個の光検出素子の検出光量データ
に(入射光量)をベクトル成分(要素)si (i=1,
2,・・・,m)とする下記の(1)式で示すs(ベク
トル)としてあらわせる。
測定対象の粒子径範囲(最大粒子径X1 ,最小粒子径X
n+1 )をn分割の粒子径区間〔xj ,xj+1 〕(j=
1,2,・・・,n)に区分けした時に各粒子径区間の
粒子量データをベクトル成分(要素)qj (j=1,
2,・・・,n)とする下記の(2)式で示すq(ベク
トル)としてあらわせる。粒度分布が頻度分布%の場
合、(q1 +q2 +…+qj+…+qn )=1(100
%)となるよう正規化(ノルマライズ)が行われる。
と粒度分布データ(ベクトル)qは、粒子の屈折率と関
連する係数行列(マトリクス)Aを媒介にして、下記の
(3)式で示す関係にある。したがって、粒度分布デー
タ(ベクトル)qを光強度分布データ(ベクトル)sに
逆変換する逆演算アルゴリズムは、(3)式に示される
ように、係数行列Aと粒度分布データ(ベクトル)qの
内積演算となる。
に、粒度分布データ(ベクトル)qを光強度分布データ
(ベクトル)sに変換するためのマトリクスである。A
の成分(要素)aij(i=1,2,・・・,m,j=
1,2,・・・,n)の物理的意味は、粒子径区間〔x
j ,xj+1 〕に属する単位粒子量の粒子群によって回折
/散乱した光のi番目の光検出素子に入射する光量であ
る。aijの数値は予め理論的に計算することができる。
これには、粒子径が照射するレーザ光の波長に比べて十
分に大きい場合はFraunhofer回折理論が適用される。一
方、粒子径が照射するレーザ光の波長と同程度のサブミ
クロンの領域では、Mie 散乱理論が適用される。Fraunh
ofer回折理論はMie 散乱理論の特定の場合の近似、すな
わち、前方微小角散乱において、粒子径が照射するレー
ザ光の波長に比べて十分大きな場合に有効な近似と考え
られる。
ijを求めるには、粒子および、それを分散させるための
媒体の屈折率を操作部16から入力(セット)する。こ
の場合、セットされる屈折率は一般的に複素数であらわ
される。実施例装置では、操作部16から入力された屈
折率に基づいて、それに対応した係数行列AをCPU1
4が算出する構成になっている。つまり、屈折率を変更
すると、異なる係数行列Aが求められる(演算条件とし
ての係数行列Aが変更される)のである。
乗法で求められた粒度分布データ(ベクトル)qの解は
下記の(5)式のとおりである。この(5)式は、光強
度分布データ(ベクトル)sを粒度分布データ(ベクト
ル)qに変換する演算アルゴリズムである。勿論、演算
アルゴリズムや逆演算アルゴリズムは、ここに例示した
ものは一例であり、様々なバリエーションが可能であ
る。
あることを示す。
ル)の交角指標の算出過程について説明する。この実施
例では、交角指標は交角の余弦である。二つの光強度分
布データ(ベクトル)を下記の(6),(7)式に示す
ように、一方をr、他方をsとする。そうすると、光強
度分布データ(ベクトル)rとsの交角指標は交角θの
余弦(cosθ)は下記の(8)式で示すものとなる。
下記の(8)式のcosθは、ベクトルの大きさに依存
しない、すなわち粒子群の分散濃度が結果に影響しない
好ましいかたちである。
の内積である。すなわち、(r,s)=r1 ・s1 +…
…+rm ・sm=Σri ・siである。また、|r|、|
s|はそれぞれr,sの大きさである。すなわち、|r
|=√((r,r))|s|=√((s,s))であ
る。但し、(r,r)は、rとrの内積、(s,s)
は、sとsの内積である。
布測定装置による測定動作を図11に示したフローチャ
ートを参照して説明する。 ステップS1:測定対象である粒子群を溶媒に分散させ
て試料セル1に送り込み、この試料セル1にレーザ光を
照射し、光センサ5a〜5cで回折/散乱光の光強度分
布データ(ベクトル)rを測定する。測定した光強度分
布データは光強度分布メモリ13に記憶する。
類の屈折率を操作部16を介して適宜にセットする。そ
して、CPU14は、まず第1番目の屈折率(具体的に
は媒液との相対屈折率)を使って、光強度分布データを
粒子分布データに換算する演算アルゴリズムに用いる係
数行列Aを求める。さらにCPU14は、この係数行列
Aを使って、(5)式のsにrを代入した演算アルゴリ
ズムを用いた計算により、ステップS1で計測された光
強度分布データ(ベクトル)rを粒子分布データ(ベク
トル)qに換算する。
表された逆換算アルゴリズムより、ステップS2で求め
られた粒子分布データ(ベクトル)qを光強度分布デー
タ(ベクトル)sに逆換算する。
憶されている実測された光強度分布データ(ベクトル)
rと、ステップ3で求められた逆換算の光強度分布デー
タ(ベクトル)sとをベクトルとして扱い、両ベクトル
の交角指標としての余弦(cosθ)を(8)式により
求めて記憶する。
対して、cos θの計算を繰り返して行う。
テップS2に戻り、ステップS5までの処理を繰り返し
実行する。
ら、最も「1」に近いものを選択する。
弦(cosθ)の値が、最も「1」に近い場合、すなわ
ち、両光強度分布データが最も一致していると見做すこ
とができる場合は、そのときの粒子分布データを妥当な
ものとして出力部17に表示出力する。また、そのとき
の係数行列(換言すれば、屈折率)が演算条件として適
当なものであったと判断して、その係数行列を係数保持
部15に保持する。以下、同じ材質で構成される粒子群
の粒子分布データを測定する場合は、係数保持部15に
保持された係数行列を用いて、(5)式の演算アルゴリ
ズムにより、粒子分布データを求めることができる。
れた具体的な測定結果を示す。ここでは測定対象とし
て、例えば粒子径1μm程度のポリスチレンラテックス
粒子群を試料として用いるとともに、媒液として水を用
いた。このときの光強度分布データを図4に示す。
率を例えば下記の7通りでセットするとともに、水の屈
折率については、全て(1.33−0.00i)をセッ
トした。そして、各々の場合について、光強度分布デー
タに対する粒度分布データ(ベクトル)q(1)〜q
(7)を、(5)式の演算アルゴリズムにより求めた。
さらに、求出した各粒度分布データ(ベクトル)q
(1)〜q(7)おのおのについて、(3)式の逆演算
アルゴリズムにより光強度分布データs(1)〜s
(7)を逆換算した。そして、計測された光強度分布デ
ータ(ベクトル)rと、逆換算した各光強度分布データ
(ベクトル)s(1)〜s(7)のそれぞれとの交角θ
の余弦(cosθ)を(8)式に従って求めた。結果
は、以下のとおりである。
分布データ、図8はそのときの逆換算された光強度分布
データである。また、図6は設定の場合に得られた粒
子分布データ、図9はそのときの逆換算された光強度分
布データである。さらに、図7は設定の場合に得られ
た粒子分布データ、図10はそのときの逆換算された光
強度分布データである。
いては、実測された光強度分布データ(図4)とは明ら
かに相違しており、セットされた屈折率が適当でないこ
とが一目で分かる。しかし、設定の光強度分布データ
(図8)と設定の光強度分布データ(図9)について
は、いずれが実測された光強度分布データ(図4)とよ
く一致しているのか、感覚的には捉えることは困難であ
る。しかし、この発明では、cosθの算出値が光強度
分布データの定量比較結果を示しており、設定のco
sθの値が最大であり、両光強度分布データが最もよく
一致し、セットされた屈折率が適当であることが直ちに
分かる。
る。上述した実施例では、二つ光強度分布データの交角
指標を使って両データの差異の程度を判定するという手
法を、逆換算で求められた光強度分布データに対応した
複数の係数行列(つまり、複数の屈折率)の中から、最
適な係数行列(つまり、最適な屈折率)を選択するとい
う過程に適用した。しかし、この発明に係る回折/散乱
光の光強度分布データの比較方法は、例えばサンプル粒
子群の粒度分布をはじめ、粒子の表面状態や粒子の形状
などの総合的な物性の良否を判定する場合にも適用する
ことができる。上述したように回折/散乱光の光強度分
布データは、それ自身に粒度分布の情報以外に、測定対
象であるサンプル粒子群の表面状態や粒子形状などの物
性面の総合的な情報を含んでいるので、そのサンプル粒
子群の光強度分布データを、予め得られている良品の粒
子群の光強度分布データと比較して両者の差異の程度を
知ることにより、サンプル粒子群の良否を判定すること
ができる。
る装置では、図1中に示したような基準光強度分布メモ
リ18が設けられる。この基準光強度分布メモリ18に
は、基準となる光強度分布データ(この例では、良品の
粒子群の光強度分布データ)が予め記憶されている。以
下、図12に示したフローチャートを参照して、サンプ
ル粒子群の良否を判定する装置の動作を説明する。
を測定し(ステップS11)、この光強度分布データ
と、基準光強度分布データとの交角指標としての余弦
(cosθ)を算出する(ステップS12)。求められ
た交角指標cosθが予め定められた所定値よりも大き
いか否かを判断する(ステップS13)。この所定値
は、サンプル粒子群の光強度分布データが、基準となる
良品の粒子群の光強度分布データに対して、どの程度一
致していた場合に、そのサンプル粒子群を良品と判断す
るかを定めた値であり、予め実験的に求められる。交角
指標cosθが所定値よりも大きい場合は、サンプル粒
子群の粒度分布をはじめ、その表面状態や粒子形状など
の総合的な物性が、良品の粒子群に近いものであるの
で、サンプル粒子群を良品と判定する(ステップS1
4)。一方、交角指標cosθが所定値よりも小さい場
合は、サンプル粒子群の総合的な物性が良品の粒子群の
それに対して相当に隔たっているので、そのサンプル粒
子群を不良品と判定する(ステップS15)。以上のよ
うな実施例装置によれば、粉体を扱う医薬や食品などの
製造工程において的確な品質管理を行うことができる。
ではなく、以下のように変形実施することができる。 (1)この発明に係る回折/散乱光の光強度分布データ
の比較方法は、粒度分布測定や粒子群の良品の判定以外
に、例えばサンプル粒子群のランク分けなど、種々の用
途に適用することができる。
布データの交角に対応する交角指標が、交角の余弦であ
ったが、交角指標は、交角の正弦(sinθ)、あるい
は交角そのものであってもよい。正弦の場合は、『0』
の時が両光強度分布データが完全一致となり、『1』の
時が両光強度分布データが全く不一致となる。交角その
ものの場合は、『0°』の時が両光強度分布データが完
全一致となり、『90°』の時が両光強度分布データが
全く不一致となる。
ータの比較方法によれば、二つの光強度分布データの比
較結果が、二つの光強度分布データをベクトルとして取
り扱ったときの両ベクトルの交角に対応する交角指標と
いうかたちで定量的に示されることから、光強度分布デ
ータの比較を容易かつ的確におこなうことができる。
定対象である粒子群の実測された光強度分布データと、
適宜に設定された屈折率に関係した係数行列ごとに逆換
算して得られた複数の光強度分布データとの一致度に基
づいて、最適な係数行列を選択する際に、実測された光
強度分布データと逆換算して得られた光強度分布データ
との交角指標によって、両データの一致度を定量的に判
定することができるので、粒度分布測定の演算アルゴリ
ズムの実行過程における前記係数行列の選択を容易かつ
的確に行うことができる。
ロック図である。
示すグラフである。
例を示すグラフである。
ータを示すグラフである。
タ例のグラフである。
データ例のグラフである。
データ例のグラフである。
布データを示すグラフである。
布データを示すグラフである。
分布データを示すグラフである。
ートである。
チャートである。
Claims (2)
- 【請求項1】 分散粒子群にレーザ光を照射する過程
と、前記分散粒子群からの回折/散乱光を複数の光検出
素子で検出して各検出光量データを成分とする光強度分
布データを得る過程と、異なる二つの分散粒子群につい
て各々得られた光強度分布データを比較する過程とを含
む方法において、前記比較過程は、前記各光強度分布デ
ータを、各々の検出光量データを成分とするベクトルと
して扱い、これら二つの光強度分布データのなす角度
(交角)に関連した交角指標を算出する過程と、前記過
程で求めた交角指標に基づいて前記二つの光強度分布デ
ータの差異の程度を判定する過程とを含むことを特徴と
する回折/散乱光の光強度分布データの比較方法。 - 【請求項2】 分散粒子群にレーザ光を照射する光照射
手段と、前記分散粒子群からの回折/散乱光を複数の光
検出素子で検出して各検出光量データを成分とする光強
度分布データを得る光検出手段と、前記実測された光強
度分布データを、前記分散粒子群を構成する粒子の屈折
率に関係した複数種類の係数行列を使った演算アルゴリ
ズムにより、前記各係数行列に対応した粒度分布データ
に換算する粒度分布求出手段と、前記各係数行列ごとの
粒度分布データを前記係数行列を使った逆演算アルゴリ
ズムにより、各係数行列に対応した光強度分布データに
逆換算する光強度分布逆求出手段と、前記実測された光
強度分布データと前記逆換算された各係数行列ごとの光
強度分布データとを各々比較して、前記逆換算された複
数の光強度分布データの中から、前記実測された光強度
分布データに対して一致度の高い前記逆換算の光強度分
布データを捜し出し、その逆換算の光強度分布データに
対応した係数行列を最適な演算条件として選択する光強
度分布比較手段と、前記選択された係数行列を使って求
められた粒度分布データを前記分散粒子群の妥当な粒度
分布として確定する粒度分布確定手段とを備えた粒度分
布測定装置において、前記光強度分布比較手段は、前記
実測された光強度分布データおよび前記逆換算された光
強度分布データを、各々の検出光量データを成分とする
ベクトルとして扱い、前記実測された光強度分布データ
と前記逆換算された各係数行列ごとの光強度分布データ
のなす角度(交角)に関連した交角指標をそれぞれ算出
する交角度指標算出手段と、前記算出された各係数行列
に対応した交角指標を比較することにより、前記実測さ
れた光強度分布データに対して一致度の高い前記逆換算
の光強度分布データを捜し出し、その逆換算の光強度分
布データに対応した係数行列を最適な演算条件として選
択する選択手段を備えたことを特徴とする粒度分布測定
装置。
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