以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1(a)及び図1(b)に示すように、建物1は、2階建ての建物である。また、建物1には、固定的な領域を有する第1住戸Aと、第1住戸Aとは異なる固定的な領域を有する第2住戸Bと、第2住戸Bに属する可変個室Cとが設けられている。ここでは、一例として、建物1は賃貸併用住宅であり、第1住戸Aは賃貸用、第2住戸Bはオーナー用の住戸とする。また、第1住戸Aの住人は、一例として、子供のいない夫婦等、少家族の入居を想定している。第2住戸Bの住人は、一例として、オーナー夫婦と子供2人の家族の入居を想定している。
第1住戸A及び可変個室Cは、建物1の1階に設けられる。第2住戸Bは、建物1の1階と2階とに亘って設けられる。建物1の2階には、第2住戸Bのみが設けられる。ここで、説明の便宜上、図1(a)及び図1(b)中の上方向を北側として、建物1の間取りについて説明する。
図1(a)に示すように、第1住戸Aは、建物1の1階の西側の領域に設けられる。第1住戸Aには、玄関土間10、通路部11、LDK(リビング・ダイニング・キッチン)12、個室13、水回り(トイレ14、洗面所15及び浴室16)、及び、ウォークスルークローゼット17等が設けられる。このように、第1住戸Aは、建物1の1階にすべての占有空間が設けられている。
玄関土間10は、第1住戸Aの北東の角部に設けられる。玄関土間10の北側面には、玄関ドア10aが設けられる。共用室としてのLDK12は、第1住戸Aの南東の位置に設けられる。通路部11は、ホール或いは廊下であり、玄関土間10からLDK12へ通じている。個室13等、他の構成要素は第1住戸A内の適宜の位置に配置される。なお、図1(a)に記載された個室13等の配置位置は一例であり、これに限定されるものではない。
可変個室Cは、建物1の南東の領域に設けられる。可変個室Cと第1住戸Aとは、仕切り壁W2を介して接している。
建物1の北東の領域には、第2住戸Bの玄関土間20、通路部21、階段22、トイレ23が設けられる。玄関土間20は、建物1の1階の北東の角部に設けられる。玄関土間20の北側面には、玄関ドア20aが設けられる。玄関土間20の南側には階段22が設けられ、階段22の南側にはトイレ23が設けられる。通路部21は、ホール或いは廊下であり、玄関土間20から、階段22、トイレ23、及び、可変個室Cへ通じている。通路部21は、玄関土間20、階段22、及び、トイレ23の西側に設けられる。通路部21と、第1住戸Aの通路部11及びLDK12とは、仕切り壁W1を介して接している。第1住戸Aの通路部11と、第2住戸Bの通路部21とが仕切り壁W1を介して接する幅(概ね80cm以上の開口が形成できる幅)は、出入口扉を設置可能な幅となっている(図11の出入口扉31参照)。
通路部21とトイレ23、即ち、第2住戸Bのうち1階に設けられた部分と、可変個室Cとは仕切り壁W3を介して接している。仕切り壁W3には、通路部21と可変個室Cとを往来可能とする出入口扉33が設けられている。仕切り壁W3に出入口扉33を設けることで、可変個室Cは第2住戸Bとの間で往来が可能となっている。即ち、可変個室Cは、第2住戸Bに属する部屋であるといえる。
仕切り壁W1〜W3は、出入口扉33が設けられている部分を除き、所定の防火性能及び防音性能を有する界壁となっている。このように、可変個室Cは、第1住戸A、及び、第2住戸Bの1階部分の両方に対して、界壁である仕切り壁W2及びW3によって区画される。
図1(b)に示すように、建物1の2階には、第2住戸BのLDK(共用室)25、3つの個室26、水回り(トイレ24、洗面所27及び浴室28)、及び、ファミリークローゼット29等が設けられる。3つの個室26は、寝室、及び、2人の子供部屋等として用いられる。建物1の2階に設けられた第2住戸BのLDK25等の各構成要素は、建物1の2階の適宜の位置に設けられる。なお、図1(b)に記載されたLDK25等の配置位置は一例であり、これに限定されるものではない。
ここで、実施形態に係る仕切り壁W3は、間取りの変更等に応じて、出入口扉33を撤去したり、撤去した出入口扉33を再度設置したりすることができる構成となっている。まず、仕切り壁W3に出入口扉33が設置された状態での仕切り壁W3の出入口扉33周りの構成について説明する。図1(a)及び図2(a)に示すように、出入口扉33として、例えば、可変個室C側に向けて扉本体部が開く片開き形式の扉が用いられる。
図2(b)、図3(a)及び図3(b)に示すように、仕切り壁W3の内部には、複数の軽鉄スタッド(壁構成部材)52が立設されている。この軽鉄スタッド52に、石膏ボード等の面材(壁構成部材)45を取り付けることで仕切り壁W3が形成される。具体的には、図2(b)に示すように、建物1の1階の床部を形成する1階床スラブ41上に、仕切り壁W3を形成する位置に沿って(仕切り壁W3の延在方向に沿って)下部ランナー53を2列設ける。同様に、建物1の2階の2階床スラブ42を支持する梁40の下面に、仕切り壁W3を形成する位置に沿って(仕切り壁W3の延在方向に沿って)上部ランナー51を2列設ける。
軽鉄スタッド52の上端は上部ランナー51に固定され、軽鉄スタッド52の下端は下部ランナー53に固定される。このように、上部ランナー51及び下部ランナー53を用いて、軽鉄スタッド52を複数立設する。
仕切り壁W3のうち出入口扉33を設ける領域(以下「扉設置予定部」という)W3aには、出入口扉33を設ける空間を確保するために、下部ランナー53及び軽鉄スタッド52を設けない。
扉設置予定部W3aの両脇には、扉設置予定部W3aの側縁部に沿って軽鉄スタッド52が2本ずつ立設される。以下、扉設置予定部W3aの側縁部に沿って立設された軽鉄スタッド52と、他の軽鉄スタッド52とを区別する必要がある場合、扉設置予定部W3aの側縁部に沿って立設された軽鉄スタッド52を、軽鉄スタッド(下地材)52aとして説明する。軽鉄スタッド52aは、仕切り壁W3のうち扉設置予定部W3a以外の領域(以下「壁形成部(残存部)」という)に埋設される。
扉設置予定部W3aの上方には、扉設置予定部W3aの上側の縁部に沿って水平方向に延在する水平ランナー(下地材)55が2列設けられる。水平ランナー55は壁形成部W3bに埋設される。
水平ランナー55の両端は、扉設置予定部W3aの両脇に立設された軽鉄スタッド52aにそれぞれ固定される。水平ランナー55は、図3(a)に示すように、建物1の1階の天井部43よりも下方側の位置に設けられる。図2(b)に示すように、水平ランナー55と上部ランナー51との間には、軽鉄スタッド52よりも長さの短い軽鉄スタッド54が複数設けられる。
1階床スラブ41上には、扉設置予定部W3aの下側の縁部に沿って延在する床見切り板48が取り付けられる。
軽鉄スタッド52及び54の通路部21側、及び、可変個室C側には、それぞれ複数枚の面材45が仕切り壁W3の延在方向に沿って並べて取り付けられる。面材45は、2枚重ねて軽鉄スタッド52及び54に取り付けられる。軽鉄スタッド52及び54の通路部21側に取り付けられた2枚の面材45と、軽鉄スタッド52及び54の可変個室C側に取り付けられた2枚の面材45との間の空間には、ロックウール等の吸音材46が充填されている。
面材45の上端は、2階床スラブ42の下面の位置まで延びている。面材45の下端は、1階床スラブ41の上面の位置まで延びている(図5(a)参照)。
図3(a)に示すように、軽鉄スタッド52及び54の通路部21側に取り付けられた2枚の面材45と、軽鉄スタッド52及び54の可変個室C側に取り付けられた2枚の面材45との間には、水平ランナー55の扉設置予定部W3a側の面(水平ランナー55の下面)を覆うように端面壁板47が設けられる。端面壁板47は、2枚重ねて水平ランナー55に取り付けら得る。
同様に、図3(b)に示すように、軽鉄スタッド52及び54の通路部21側に取り付けられた2枚の面材45と、軽鉄スタッド52及び54の可変個室C側に取り付けられた2枚の面材45との間には、軽鉄スタッド52aの扉設置予定部W3a側の面を覆うように端面壁板47が設けられる。端面壁板47は2枚重ねて軽鉄スタッド52aに取り付けられる。これにより、扉設置予定部W3aは、側部及び上部が端面壁板47によって、下部が床見切り板48によって囲まれた状態となる。
図3(a)及び図3(b)に示すように、端面壁板47の扉設置予定部W3a側の面には、仕切り壁W3の扉設置予定部W3aに出入口扉33を取り付けるための下地となる下地板49が取り付けられる。出入口扉33は、扉本体33a、及び、扉枠33bより構成される。扉枠33bは、四角枠形状を有している。扉枠33bの上部は、水平方向に延在する下地板49に固定される。扉枠33bの側部は、縦方向に延在する下地板49に固定される。これにより、扉枠33bは、下地板49及び端面壁板47を介して、軽鉄スタッド52a及び水平ランナー55にそれぞれ固定されることとなる。扉枠33bの下部は、床見切り板48に固定される。扉本体33aは、ヒンジを介して扉枠33bの縦枠部分に揺動可能に取り付けられる。
図3(a)に示すように、1階床スラブ41上には、断熱材61や床仕上げ材62等が敷設される。また、可変個室C及び通路部21の天井部43は、2階床スラブ42や梁等、適宜の部材によって吊り下げられた状態で支持される。天井部43の設置高さは、出入口扉33の上部と梁40との間の高さ位置となっている。
次に、間取りの変更等により、仕切り壁W3に設けられた出入口扉33を撤去し、出入口扉33を撤去した後の扉設置予定部W3aを封止する工程について説明する。まず、作業者は、図3(a)に示すように仕切り壁W3に出入口扉33が取り付けられた状態から、出入口扉33の扉枠33bと、下地板49及び床見切り板48との連結を解除し、仕切り壁W3から出入口扉33を取り外す。次に、作業者は、図4(a)及び図4(b)に示すように、仕切り壁W3から端面壁板47及び下地板49と、床見切り板48とを取り外す。これにより、扉設置予定部W3aに軽鉄スタッド52a、水平ランナー55、1階床スラブ41の上面が露出する。このように、天井部43や床仕上げ材62を解体することなく、出入口扉33を取り外すことができる。
次に、作業者は、図5(a)に示すように、建物1の1階の床部を形成する1階床スラブ41上に、扉設置予定部W3aに沿って下部ランナー72を2列設ける。また、作業者は、2本の水平ランナー55の下面に、それぞれ上部ランナー71をビス等によって取り付ける。そして、作業者は、上部ランナー71と、下部ランナー72とに亘って、複数本の軽鉄スタッド(壁構成部材)73を立設する。軽鉄スタッド73の上端は上部ランナー71に固定され、軽鉄スタッド73の下端は下部ランナー72に固定される。なお、図5(a)に示すように、上部ランナー71、下部ランナー72及び軽鉄スタッド73を枠状に予め組んだものを、仕切り壁W3の扉設置予定部W3aに設置してもよい。
次に、作業者は、図5(b)に示すように、扉設置予定部W3aの大きさに合うように切断された面材(壁構成部材)75を用意する。そして、作業者は、図5(b)及び図6(a)に示すように、面材75を、通路部21側から軽鉄スタッド73に2枚取り付け、同様に、可変個室C側から軽鉄スタッド73に2枚取り付ける。このとき、面材75と面材45とが面一となるように、面材75を軽鉄スタッド73に取り付ける。面材75は、面材45と同じ材料を用いる。また、作業者は、軽鉄スタッド73の通路部21側に取り付けられた2枚の面材75と、軽鉄スタッド73の可変個室C側に取り付けられた2枚の面材75との間の空間に、ロックウール等の吸音材46を充填する。これにより、仕切り壁W3のうち扉設置予定部W3aについても、壁形成部W3bと同様に界壁としての機能を発揮させることができる。
なお、面材45における面材75との当接縁において、2枚の面材45の端部の位置を互いに少しずらして重ねる。このずれに対応するように、2枚の面材75の端部の位置を互いに少しずらして重ねる。これにより面材45の端面と面材75の端面とを当接させたときに、当接部分において面材45及び面材75の表裏面間を直線状に貫通する隙間が形成されることがなくなり、防火性能等を向上させることができる。
以上の工程により、図6(b)に示すように、扉設置予定部W3aが面材75によって封止される。また、扉設置予定部W3aに配置される面材75と、壁形成部W3bに配置される面材45とは、軽鉄スタッド52a及び水平ランナー55の位置で、互いに縁が切られている。同様に、扉設置予定部W3aに配置される上部ランナー71、下部ランナー72及び軽鉄スタッド73と、壁形成部W3bに配置される軽鉄スタッド52a及び水平ランナー55等とは、互いに縁が切られている。
このように、予め仕切り壁W3に扉設置予定部W3aと壁形成部W3bとを設定しておくことで、扉設置予定部W3aに配置された出入口扉33を撤去して、扉設置予定部W3aを面材75で封止する場合であっても、扉設置予定部W3a以外の部分に工事等を行う必要が無い。
次に、上述のようにして仕切り壁W3から出入口扉33を撤去して扉設置予定部W3aを面材75で封止された状態(図6(a)に示す状態)から、再度、扉設置予定部W3aに出入口扉33を設置する工程について説明する。図7(a)に示すように、仕切り壁W3は、上述の出入口扉33の撤去工程により、扉設置予定部W3aが面材75で封止されている。この状態で、図7(b)に示すように、仕切り壁W3の内部のうち扉設置予定部W3aには、上部ランナー71、下部ランナー72、及び、軽鉄スタッド73が配置されている。また、仕切り壁W3の内部のうち壁形成部W3bには、上部ランナー51、軽鉄スタッド52、下部ランナー53、軽鉄スタッド54、及び、水平ランナー55が配置されている。なお、図2では、扉設置予定部W3aに配置される上部ランナー71、下部ランナー72、及び、軽鉄スタッド73を、壁形成部W3bの軽鉄スタッド52等と区別するために、二点鎖線で示している。
まず、作業者は、図8(a)に示すように、仕切り壁W3から、通路部21側の面及び可変個室C側の面に取り付けられた面材75をそれぞれ取り外す。次に、作業者は、図8(b)に示すように、仕切り壁W3から、上部ランナー71、下部ランナー72、及び、軽鉄スタッド73を取り外す。これにより、図9(a)に示すように、仕切り壁W3には、扉設置予定部W3aの位置に通路部21と可変個室Cとを貫通する開口部が形成される。
次に、作業者は、図9(b)に示すように、軽鉄スタッド52aの扉設置予定部W3a側の面、及び、水平ランナー55の下側面を覆うように、端面壁板47及び下地板49を取り付ける。また、作業者は、扉設置予定部W3aの下側の縁部に沿って床見切り板48を1階床スラブ41上に取り付ける。
そして、作業者は、図10に示すように、下地板49を下地として、扉設置予定部W3aに出入口扉33の扉枠33bを取り付け、扉枠33bに扉本体33aを取り付ける。このように、予め仕切り壁W3に扉設置予定部W3aと壁形成部W3bとを設定しておくことで、扉設置予定部W3aに配置された面材75、及び、上部ランナー71等を撤去して出入口扉33を設置する場合であっても、扉設置予定部W3a以外の部分に工事等を行う必要が無い。
次に、建物1の間取りを変更する場合について説明する。以下では、具体例として、図1(a)に示すように第2住戸Bに属している可変個室Cを、第1住戸Aに属する部屋に変更する場合について説明する。
可変個室Cを第1住戸Aに属する部屋とするためには、第1住戸Aから可変個室Cへ往来するための扉を設ける必要がある。このため、図11に示すように、可変個室Cと第1住戸AのLDK12とを仕切る仕切り壁W2に、出入口扉32を設ける。これにより、出入口扉32を介して、第1住戸AのLDK12から可変個室Cへ往来することができる。また、仕切り壁W3に設けられていた出入口扉33を、上述した工程によって撤去し、仕切り壁W3の扉設置予定部W3aを面材75で封止する。これにより、第2住戸Bの通路部21から可変個室Cへの往来が不可能となり、可変個室Cの属する先が、第2住戸Bから第1住戸Aに変更されることとなる。
ここで、仕切り壁W2にも、上述した仕切り壁W3と同様に、予め、扉設置予定部と壁形成部とを設定しておく。これにより、仕切り壁W2に出入口扉32を設置する際に、仕切り壁W3に出入口扉33を設置する場合と同様に、仕切り壁W2の扉設置予定部以外の部分に工事等を行う必要が無い。なお、仕切り壁W2に、予め、扉設置予定部と壁形成部とを設定しておくことで、仕切り壁W2から出入口扉32を撤去する場合であっても、仕切り壁W3から出入口扉33を撤去する場合と同様に、仕切り壁W2の扉設置予定部以外の部分に工事等を行う必要が無い。
更に、第1住戸Aと第2住戸Bとの間を建物1の外に出ることなく往来可能とするために、第1住戸Aの通路部11と、第2住戸Bの通路部21とを仕切る仕切り壁W1に出入口扉31を設けてもよい。この仕切り壁W1にも、上述した仕切り壁W3と同様に、予め、扉設置予定部と壁形成部とを設定しておく。これにより、仕切り壁W1に出入口扉31を設置する際に、仕切り壁W3に出入口扉33を設置する場合と同様に、仕切り壁W1の扉設置予定部以外の部分に工事等を行う必要が無い。なお、仕切り壁W1に、予め、扉設置予定部と壁形成部とを設定しておくことで、仕切り壁W1から出入口扉31を撤去する場合であっても、仕切り壁W3から出入口扉33を撤去する場合と同様に、仕切り壁W1の扉設置予定部以外の部分に工事等を行う必要が無い。また、出入口扉31は、第1住戸Aと第2住戸Bとを仕切る仕切り壁W1に設けられるので、所定の防火性能を有する防火扉とするのが好ましい。更には、出入口扉31に予め施錠装置を設けておけば、例えば、一方の住戸を他人に賃貸することになった際に、建物に特段手を加える必要がなくなる。
このような、図1に示す間取りから、可変個室Cの属する住戸を変更し、更に、出入口扉31及び32を設けた図11に示す間取りへの変更は、例えば、第2住戸Bに入居していたオーナー夫婦の子供のうちの一人が結婚して子供が生まれ、この家族(オーナーの子供夫婦とその子供)が第1住戸Aに入居し、オーナー夫婦ともう一人の子供とが第2住戸Bに入居する場合が想定される。このように、建物1に居住する家族構成が変化した場合に、可変個室Cの属する住戸先を変更したり、第1住戸A及び第2住戸B間を容易に往来できるように建物1内に出入口扉31を設けたりすることができる。
また、上述したように、仕切り壁W1〜W3に設けられる出入口扉31〜33は、容易に撤去又は設置が可能であるため、家族構成の変化等によって、再度、図11に示す間取りから、図1(a)に示す間取りへ変更することもできる。
次に、可変個室Cへの給電構造について説明する。上述したように可変個室Cは、第1住戸Aに属する場合と、第2住戸Bに属する場合とに切り替え可能となっている。このため、可変個室Cへは、当該可変個室Cが属する住戸から電力を供給することが好ましい。以下、可変個室Cへの給電構造を、図12を用いて説明する。
図12に示すように、第1住戸A及び第2住戸Bには、それぞれ分電盤110A及び分電盤110Bが備えられている。第1住戸A及び第2住戸Bには、それぞれ電力線が引き込まれており、第1住戸A及び第2住戸Bに引き込まれた電力線は、電力量計101A及び電力量計101Bを介してそれぞれ分電盤110A及び分電盤110Bに接続される。
第1住戸Aの分電盤110Aは、主ブレーカー111Aと、複数の分岐部112Aと、可変個室用分岐部113Aとを備える。分岐部112Aは、第1住戸Aの各部屋のコンセントや空調装置等に電力を供給する。可変個室用分岐部113Aは、第1住戸Aの分電盤110Aから可変個室Cへ電力を供給する場合に用いられる。
同様に、第2住戸Bの分電盤110Bは、主ブレーカー111Bと、複数の分岐部112Bと、可変個室用分岐部113Bとを備える。分岐部112Bは、第2住戸Bの各部屋のコンセントや空調装置等に電力を供給する。可変個室用分岐部113Bは、第2住戸Bの分電盤110Bから可変個室Cへ電力を供給する場合に用いられる。
また、建物1には、第1住戸Aから可変個室Cへの電力供給と、第2住戸Bから可変個室Cへの電力供給とを切り替える切替部120が設けられる。可変個室用分岐部113Aは、配線部115Aを介して切替部120に接続される。可変個室用分岐部113Bは、配線部115Bを介して切替部120に接続される。また、切替部120には、可変個室Cの配線部115Cが接続される。
切替部120は、可変個室用分岐部113A及び可変個室用分岐部113Bと、可変個室Cの配線部115Cとの間に介在して、可変個室用分岐部113A又は可変個室用分岐部113Bと可変個室Cの配線部115Cとを選択的に接続する。切替部120における接続の切り替えは、配線を繋ぎかえる作業によって行ってもよく、スイッチ等によって接続を切り替えてもよい。
切替部120は、例えば、可変個室Cの天井裏に設けてもよく、天井裏以外にも、建物1内の所定の場所や建物1外の所定の場所等、適宜の位置に設けることができる。また、配線方法によっては、配線部115A、115B及び115Cが、界壁としての仕切り壁W1〜W3を横切る(貫通する)場合がある。この場合には、配線部115A〜115Cを設けたことによって仕切り壁W1〜W3での防火性能等が低下することがないように、配線部115A〜115Cを配線する際に法令等で定められた所定の施工方法等を適用することが好ましい。
このように、予め分電盤110A及び分電盤110Bのいずれからも電力供給が可能なように配線部115A等の配線を行っておく。そして、間取りの変更に応じて切替部120において電力の供給元の切り替えを行うことで、可変個室Cが属する先の住戸(第1住戸A又は第2住戸B)から、可変個室Cへ電力を供給することができる。なお、切替部120では電力の供給元を切り替えるものとしたが、電力以外にも、更に、アンテナ線やインターネット回線等の情報コンセント等の切り替えを行うようにしてもよい。
本実施形態は以上のように構成され、仕切り壁W3に扉設置予定部W3aと壁形成部W3bとを予め設定する。そして、扉設置予定部W3aに配置される面材75と、壁形成部W3bに配置される面材45とを、軽鉄スタッド52a及び水平ランナー55の位置で、互いに縁を切っておく。同様に、扉設置予定部W3aに配置される上部ランナー71、下部ランナー72及び軽鉄スタッド73と、壁形成部W3bに配置される軽鉄スタッド52a及び水平ランナー55等とを、互いに縁を切っておく。
これにより、仕切り壁W3のうち、残存させる壁形成部W3bには手を付けることなく扉設置予定部W3aのみを除去できるので、大掛かりな工事を行うことなく扉設置予定部W3aに容易に扉を増設することができる。仕切り壁W1及び仕切り壁W2についても、仕切り壁W3と同様に扉設置予定部及び壁形成部を設定する。このように、本実施形態によれば、間取りの変更の際に大掛かりに手を加える必要がなく、ライフスタイルやライフステージの変化に対応し易い壁構造となる。
また、扉設置予定部W3aと壁形成部W3bとの境界線に沿って、水平方向に延在する水平ランナー55を設ける。水平方向に水平ランナー55が延在することで、扉設置予定部W3aに設置する軽鉄スタッド73等と、壁形成部W3bの軽鉄スタッド54等とは、水平方向に縁が切られることとなる。これにより、例えば、扉設置予定部W3aに設置する軽鉄スタッド73等及び面材75と、壁形成部W3bの軽鉄スタッド54等及び面材45とが水平方向に縁が切られていない場合には、扉設置予定部の軽鉄スタッド73等を除去する際に、扉設置予定部W3aが繋がる床や天井部43に対しても手を加える必要が生じるが、水平方向に縁が切られていることで床や天井部43にまで手を加える必要が無く、容易に出入口扉33を設置することができる。
仕切り壁W1及びW2についても仕切り壁W3と同様に、扉設置予定部と壁形成部との境界線に沿って、水平方向に延在する水平ランナーを設け、扉設置予定部に設置する軽鉄スタッド等と、壁形成部の軽鉄スタッド等とを水平方向に縁を切っておく。これにより、仕切り壁W1及びW2に繋がる床や天井面にまで手を加える必要が無く、容易に出入口扉31及び32を設置することができる。
仕切り壁W1〜W3に扉設置予定部と壁形成部とを予め設定することで、仕切り壁W1〜W3のうち、壁形成部には手を付けることなく、扉設置予定部のみに軽鉄スタッド及び面材等を取り付ければよいため、大掛かりな工事を行うことなく容易に出入口扉31〜33を撤去することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、実施形態では、図2(b)等に示すように、仕切り壁W3において扉設置予定部W3aの側縁部に沿って軽鉄スタッド52aを立設させるものとした。しかしながら、軽鉄スタッド52aを扉設置予定部W3aの縁部に沿って立設させることは必須ではなく、少なくとも、水平方向に延在する水平ランナー55が設けられていればよい。
この場合、仕切り壁W3に繋がる床や天井部43に手を付けることなく、水平方向の任意の位置に、軽鉄スタッド52a及び73を立設して出入口扉31を容易に設置することができる。このように、仕切り壁W3の水平方向の任意の位置に出入口扉31を設置することができるため、間取りを変更する際の設計の自由度が向上する。仕切り壁W1及びW2についても、仕切り壁W3と同様に、少なくとも水平方向に延在する水平ランナーが設けられていればよく、この場合、水平方向の任意の位置に出入口扉31及び32を設置することができる。