以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本発明の建物の床構造を、鉄骨ラーメンユニット構法により構築されたユニット式建物において具体化している。図1は建物10の間取りを示す平面図である。
図1に示すように、建物10は住戸を複数有する集合住宅とされている。建物10においては、例えば第1住戸11a及び第2住戸11bが横並びに配置されている。それら住戸11a,11bの境界部には戸境壁12が設けられており、その戸境壁12により住戸11a,11bの各住戸内空間が仕切られている。なお、建物10は、仮設住宅等の仮設建物として使用されるのに適したものとなっている。
第1住戸11a及び第2住戸11bは、床がフローリング仕上げ(板張り)とされたフローリング空間15と、床がフローリング仕上げではない非フローリング空間16とを有している。フローリング空間15は、洋室15A、キッチン15B、廊下15C、脱衣室15D、トイレ15Eといった複数の空間部を有しており、非フローリング空間16には、和室16A、玄関16B、浴室16Cといった複数の空間部を有している。
住戸11a,11bのそれぞれには、洋室15Aや和室16Aといった空間部を仕切る間仕切壁17が設けられており、間仕切壁17には、隣接する空間部を行き来可能とする出入口18が設けられている。
住戸11a,11bの各洋室15Aにおいて、外壁19には開口部としての掃き出し窓19aが設けられている。掃き出し窓19aは、洋室15Aの床部から上方に向けて延びており、屋外空間への人の出入りが可能となっている。
第1住戸11aと第2住戸11bとは、それら住戸11a,11bの境界線を軸線として互いに線対称に配置された間取りを有している。例えば、住戸11a,11bのいずれにおいても、戸境壁12の隣には洋室15Aやキッチン15Bといったフローリング空間15が配置されており、和室16Aや浴室16Cといった非フローリング空間16は戸境壁12から離間した位置に配置されている。この場合、第1住戸11a及び第2住戸11bの各洋室15A及びキッチン15Bは、戸境壁12を挟んで隣接している。
ちなみに、各住戸11a,11bのキッチン15Bには、給水用の水栓及び流し台といった給水設備がそれぞれ設けられており、住戸11a,11bの間取りが線対称とされていることで、戸境壁12を挟んで両側の各給水設備を集約して配置することが可能となっている。この場合、各住戸11a,11bの給水設備と水道本管等の給水本管とを接続する水配管の設置に関して好都合となる。また、戸境壁12を挟んで両側の対称位置に水栓を設置することが可能となるため、各住戸11a,11bの間取りや水回り設備の設置等についての設計を行う際にその設計工数を削減できる点で有利となり、例えば設計から施工完了までの工期を短縮したい場合等に好都合となる。この場合、隣り合う住戸11a,11bのうち一方を設計すれば、他方はそれを流用すればよいことになる。
建物10は複数の建物ユニット20が連結されることで構築されている。本実施形態では、建物10において4つの建物ユニット20が横並びに配置されており、その並び方向において一端側の2つの建物ユニット20により第1住戸11aが構成され、他端側の2つの建物ユニット20により第2住戸11bが構成されている。なお、隣り合う建物ユニット20の間のユニット境界線をドッキングラインDLとしている。
第1住戸11aのフローリング空間15のうち廊下15C及びトイレ15Eは、第1住戸11aを構成する2つの建物ユニット20の間のドッキングラインDLを跨いだ状態となっている。これは、第2住戸11bについても同様である。また、戸境壁12は、第1住戸11aと第2住戸11bとの間のドッキングラインDLを壁厚み方向に跨いだ状態で、そのドッキングラインDLに沿って延びている。
建物ユニット20の構成について、図2を参照しつつ説明する。図2は建物ユニット20の構成を示す斜視図である。
図2に示すように、建物ユニット20は、四隅に配置された柱21と、柱21の上端部(上仕口)に連結された天井大梁22と、柱21の下端部(下仕口)に連結された床大梁23とを有しており、これら柱21、天井大梁22、床大梁23により直方体状の骨格(フレーム)が形成されている。柱21は四角筒状の角形鋼よりなる。また、天井大梁22及び床大梁23は断面コ字状の溝形鋼よりなり、溝部開放側を互いに向き合わせるようにユニット内側に向けて配置されている。
建物ユニット20において長辺部(桁面)に沿って延び且つ相対する天井大梁22の間には、所定間隔で複数の天井小梁25が架け渡されている。同じく長辺部に沿って延び且つ相対する床大梁23の間には、所定間隔で複数の床小梁26が架け渡されている。天井小梁25及び床小梁26は、それぞれ同一の間隔で且つ短辺側(妻側)の天井大梁22及び床大梁23と平行に延びている。天井小梁25及び床小梁26はそれぞれリップ溝形鋼よりなる。
建物ユニット20において、屋外側及び戸境壁12側の側面部には壁体が設けられており、その壁体は柱21や床大梁23、天井大梁22に取り付けられている。戸境壁12は、隣り合う建物ユニット20の各壁体により構成されており、それら壁体は戸境壁12において所定間隔を隔てて対向する一対の壁体となっている。
次に、第1住戸11aにおけるフローリング空間15の床構成について、図1、図3、図4を参照しつつ説明する。図3はフローリング材33の構成を示す図、図4は図1のA−A線断面図である。なお、図3においては、(a)にフローリング材33の平面図を示し、(b)にフローリング材33の側面図を示す。図4においては床小梁26の図示を省略している。
図4に示すように、フローリング空間15の床部31は、床大梁23の上方に設けられた床下地材32と、その床下地材32の上方に設けられた床材としてのフローリング材33とを有している。床下地材32は合板やパーティクルボード等により形成されており、根太35を挟んで床大梁23及び床小梁26の上に載置されている。床下地材32は、ビス等により根太35を介して床大梁23に対して固定されている。床下地材32の下側には床断熱材34が設けられている。床断熱材34は、硬質ウレタンフォームなどの発泡系断熱材により形成されており、床下地材32の下面に沿って延びている。
なお、床下地材32は、建物ユニット20ごとに設けられたユニット下地材32aと、各建物ユニット20のユニット下地材32a同士を繋ぐ繋ぎ下地材32bとを含んで構成されており、繋ぎ下地材32bは、ドッキングラインDLを挟んで隣り合う床大梁23に架け渡された状態となっている。また、床断熱材34は、建物ユニット20ごとに設けられたユニット断熱材34aと、各建物ユニット20のユニット断熱材34a同士を繋ぐ繋ぎ断熱材34bとを含んで構成されており、繋ぎ断熱材34bは、繋ぎ下地材32bと同様に床大梁23に架け渡された状態となっている。
フローリング材33は、床下地材32の上に載置されており、床下地材32の上面に沿って複数並べられている。フローリング材33は木質系材料等により板状に形成されており、釘36等により床下地材32に対して固定されている。
隣り合うフローリング材33は、本実矧ぎにより互いに矧ぎ合わされている。一方のフローリング材33には、端面から外側に突出した雄実としての実部41が設けられているとともに、他方のフローリング材33には、端面から内側に凹んだ雌実としての溝部42が設けられ、実部41が溝部42に挿し入れられている。この場合、実部41と溝部42とは嵌合しており、それによってフローリング材33同士が接合されている(張り合わされている)。また、実部41及び溝部42は、各フローリング材33において厚み方向の中間位置に配置されており、それら実部41及び溝部42により矧ぎ合わされたフローリング材33の各仕上面は、同一平面を形成している。
なお、本実施形態においては、フローリング材33同士の矧ぎ合わせに、木質系材料の繊維方向を揃えた状態でのフローリング材33同士の接合に加えて、繊維方向を揃えていない状態でのフローリング材33同士の接合を含んでいる。
フローリング材33の取り付け手順について簡単に説明すると、まず、隣り合うフローリング材33のうち一方のフローリング材33を床下地材32の上に載置し、釘36等により固定する。そして、他方のフローリング材33を、そのフローリング材33の溝部42と固定済みのフローリング材33の実部41とを嵌合させつつ床下地材32の上に載置し、釘36等により固定する。つまり、隣り合うフローリング材33のうち、後から取り付ける方のフローリング材33は、先に取り付けたフローリング材33の実部41に対して矧ぎ合わせを行う。
なお、釘36は実部41の付け根に打ち込まれており、フローリング材33同士が矧ぎ合わされることで床面に露出しないようになっている。
図3に示すように、フローリング材33は平面視略長方形状とされている。フローリング材33においては、フローリング材33の4つの辺のうち隣接する長辺及び短辺に実部41が設けられているとともに、実部41とは別の長辺及び短辺に溝部42が設けられている。この場合、一対の長辺のうち一方に実部41があって他方に溝部42があり、一対の短辺のうち一方に実部41があって他方に溝部42があることになる。長辺の実部41を実部41a、短辺の実部41を実部41b、長辺の溝部42を溝部42a、短辺の溝部42を溝部42bとして説明すると、長辺の実部41a及び溝部42aは、長辺に沿ってその長辺の略全体において連続して延びている。また、短辺の実部41b及び溝部42bは、短辺に沿ってその短辺の略全体において連続して延びている。
なお、実部41a,41b及び溝部42a,42bは、隣り合うフローリング材33について互いに嵌合可能であれば、長辺及び短辺に沿って断続的に複数設けられていてもよい。
図1の説明に戻り、フローリング空間15において複数のフローリング材33には、ドッキングラインDLと直交する方向に延びる第1床材51と、ドッキングラインDLと平行に延び且つ第1床材51に矧ぎ合わされている第2床材52と、ドッキングラインDLと平行に延び且つ第1床材51とは矧ぎ合わされていない第3床材53とが含まれている。これら床材51〜53は、フローリング空間15の大きさや形状などに合わせて配置されており、洋室15A及びキッチン15Bにおいては第1床材51が主に配置されており、廊下15C、脱衣室15D及びトイレ15Eにおいては第3床材53が主に配置されている。
床材51〜53の配置はフローリング材33の割り付けとも称し、その割り付けにより床材51〜53の取り付け順などが定められる。なお、第1住戸11aにおいてフローリング材33は、フローリング材33同士の境界部がT字状になるように配置されている。つまり、第1床材51同士の境界部と第2床材52同士の境界部とが同一線上に並ばないように配置されている。この場合、フローリング材33同士の境界部が十字状になっている場合に比べて、つまり、第1床材51同士の境界部と第2床材52同士の境界部とが同一線上に並んでいる場合に比べて、フローリング材33同士の境界部にゴミや埃が溜まりにくくなっている。
なお、図1においては、空間部ごとのフローリング材33の取り付け順を数字で図示している。また、フローリング材33における実部41a,41bの位置を「△」にて示すとともに、その「△」の向きにより実部41の突出方向を示している。
ここでは、洋室15Aにおけるフローリング材33の割り付けについて、図1、図5、図6を参照しつつ説明する。図5は図1のB−B線断面図、図6は図1のC−C線断面図である。なお、図5、図6においては、床大梁23、床小梁26及び床断熱材34の図示を省略している。
図1に示すように、洋室15Aには床材51〜53のうち第1床材51及び第2床材52が設置されている。洋室15Aにおいては、複数の第1床材51が長辺同士で矧ぎ合わされた状態で並べられており、その並び方向はドッキングラインDLと平行に延びている。この場合、隣り合う第1床材51においては、一方の第1床材51の長辺の実部41aと、他方の第1床材51の長辺の溝部42aと嵌合している。各第1床材51は、それぞれの長さ寸法が同じとされた定尺材であり、第1床材51の並び方向において、各第1床材51の短辺の実部41bが一列に並べられているとともに、短辺の溝部42bも一列に並べられている。なお、第1床材51の配置方式は定尺張りに含まれる。
洋室15Aには複数の第2床材52が設けられており、それら第2床材52には、第1床材51の短辺の実部41b側に配置された実側床材52aと、第1床材51の短辺の溝部42b側に配置された溝側床材52bとが含まれている。実側床材52aは、その長辺が第1床材51の短辺と矧ぎ合わされており、この場合、実側床材52aの長辺の溝部42aと第1床材51の短辺の実部41bとが嵌合している。複数の実側床材52aは、第1床材51の並び方向に沿って複数並べられており、隣り合う実側床材52aは短辺同士で矧ぎ合わされている。この場合、実側床材52aの短辺の実部41bが突出している向きは、第1床材51の並び方向において第1床材51の長辺の実部41aが突出している向きとは反対向きとされている。
溝側床材52bは、その長辺が第1床材51の短辺と矧ぎ合わされており、この場合、溝側床材52bの長辺の実部41aと第1床材51の短辺の溝部42bとが嵌合している。複数の溝側床材52bは、実側床材52aと同様に、第1床材51の並び方向に沿って複数並べられており、隣り合う溝側床材52bは短辺同士で矧ぎ合わされている。この場合、溝側床材52bの短辺の実部41bが突出している向きは、実側床材52aと同様に、第1床材51の並び方向において第1床材51の長辺の実部41aが突出している向きとは反対向きとされている。
ここで、洋室15Aにおけるフローリング材33の取り付け順は、図1に図示した番号順のようになる。上述したように、フローリング材33は取り付け済みのフローリング材33の実部41に対して矧ぎ合わせを行うため、洋室15Aにおいては、第1床材51、実側床材52a及び溝側床材52bのうち、最も溝部42側にある溝側床材52bを最初に取り付け、その後、第1床材51、実側床材52aの順で取り付けていく。
床材51,52a,52bごとの取り付けについても同様に、最も溝部42側にある床材を最初とし、その床材に近いものから順に取り付けていく。複数の溝側床材52bについては、間仕切壁17に沿って建物内側から外壁19に向かう順で取り付けていく。間仕切壁17の下部壁面には巾木62が取り付けられており、その巾木62により間仕切壁17と溝側床材52bの仕上面との隙間が覆い隠されている(図5参照)。この場合、溝側床材52b、巾木62の順で取り付ける。なお、巾木62の下方において、第1床材51や第2床材52に関する施工誤差や建方誤差が吸収されている。
なお、各溝側床材52bは、短手方向において長辺の溝部42a側が切断されており、それによって、間仕切壁17と第1床材51との離間距離に合わせた幅寸法とされている。また、溝側床材52bにおける巾木62と上下に重なる部分には隠し釘が打ち込まれている。
各第1床材51については、溝側床材52bとは逆に、外壁19側から建物内側に向かう順で取り付けていく。掃き出し窓19aにはサッシ枠63が取り付けられており、最も掃き出し窓19aに配置された第1床材51は、サッシ枠63の下枠部64の下側に入り込んだ状態となっている(図6参照)。この場合、第1床材51をサッシ枠63よりも先に設置するということができず、第1床材51を下枠部64の下側に挿し入れるように設置するという作業が必要になるため、複数の第1床材51のうちサッシ枠63に隣接する第1床材51を最初に取り付ける。これは、サッシ枠63により第1床材51の取り付け順が制限されていることになる。また、この場合、溝側床材52bの取り付け終わり側が第1床材51の取り付け始め側となるため、溝側床材52bの取り付け作業と第1床材51の取り付け作業とを、作業者は移動しなくても連続して行うことができる。
掃き出し窓19aから最も遠い部分の第1床材51は、洋室15Aとキッチン15Bとの間の出入口18aに対して取り付けられており、床見切り材65aを介してキッチン15Bの第1床材51と隣り合っている(図6参照)。床見切り材65aは、洋室15Aとキッチン15Bとの境界部において第1床材51同士の仕上面の隙間を覆い隠すものであり、床見切り材65aの下方において、第1床材51に関する施工誤差や建方誤差が吸収されている。なお、洋室15A側の第1床材51の長辺の実部41aは切断されており、それによって、第1床材51同士の隙間幅が、床見切り材65aにより覆い隠すことができる程度に小さくなるようにされている。
なお、出入口18aに対して取り付けられた第1床材51は、長手方向において短辺の実部41b側が切断されており、それによって、出入口18aの幅寸法に合わせた長さ寸法とされている。
各実側床材52aについては、各第1床材51と戸境壁12との離間部分に対して、溝側床材52bと同様に建物内側から外壁19に向かう順で取り付けていく。この場合、第1床材51の取り付け終わり側が実側床材52aの取り付け始め側となるため、第1床材51の取り付け作業と実側床材52aの取り付け作業とを、作業者は移動しなくても連続して行うことができる。戸境壁12の下部壁面には、間仕切壁17と同様に巾木62が取り付けられており、その巾木62により戸境壁12と実側床材52aとの境界部が上方から覆い隠されている(図5参照)。この場合、実側床材52a、巾木62の順で取り付ける。
キッチン15B、廊下15C、脱衣室15D及びトイレ15Eについても、洋室15Aと同様に、図1に図示した番号順に床材51〜53を取り付けていく。ここでは、キッチン15B、廊下15C、脱衣室15D及びトイレ15Eにおけるフローリング材33の割り付け及び取り付け順について、洋室15Aとの相違点を中心に、図1、図4、図7を参照しつつ説明する。図7は図1のD−D線断面図である。なお、図7においては床大梁23、床小梁26及び床断熱材34の図示を省略している。
キッチン15Bにおいても、第1床材51、実側床材52a、溝側床材52bが空間形状に合わせて並べられているが、洋室15Aとは異なり、第1床材51を最初に取り付け、その後、実側床材52aを取り付け、最後に溝側床材52bを取り付ける。
第1床材51については、洋室15Aとの間の出入口18a側から建物外側に向かう順で取り付けていき、洋室15Aとは反対側の外壁19に隣接する第1床材51を最後に取り付け、最後に取り付けた第1床材51に対して巾木62(図示略)を取り付ける。ここで、キッチン15Bにおいては外壁19に掃き出し窓19aが設けられておらず、第1床材51をサッシ枠63の下側に挿し入れるように設置するという必要がない。このため、外壁19に隣接する第1床材51を最後に取り付けることが可能となる。
実側床材52aについては、各第1床材51と戸境壁12との離間部分に対して、第1床材51とは逆に、外壁19から建物内側に向かう順で取り付けていく。なお、実側床材52aは、互いに直列な向きで2列に複数並べられており、いずれの列についても外壁19から建物内側に向かう順で取り付ける。
溝側床材52bは、キッチン15Bと廊下15Cとの間の出入口18bに対して取り付けられている。廊下15Cにおいては、複数の第3床材53が互いに並列に配置されており、それら第3床材53は、長辺の実部41aをキッチン15B側に突出させて配置されている。廊下15Cの第3床材53には、ドッキングラインDLを跨ぐ位置に配置された跨ぎ床材53aが含まれている。跨ぎ床材53aは、床見切り材65bを挟んでキッチン15Bの溝側床材52bと隣り合っており(図4参照)、その溝側床材52bと同様に出入口18bに対して取り付けられている。
廊下15Cにおいては、脱衣室15D側(キッチン15Bとは反対側)からキッチン15B側に向けて順に第3床材53を取り付け、跨ぎ床材53aを最後に取り付ける。そして、跨ぎ床材53aの仕上面と溝側床材52bの仕上面との間の隙間を覆い隠す床見切り材65bを取り付ける。
なお、跨ぎ床材53aは、長辺の実部41aが切断されている。また、キッチン15Bの溝側床材52bは、短手方向において長辺の溝部42a側が切断されており、それによって、跨ぎ床材53aとキッチン15Bの各第1床材51との離間距離に合わせた幅寸法とされている。
脱衣室15Dにおいては、廊下15Cと同様に複数の第3床材53が互いに並列に並べられており、それら第3床材53は、長辺の実部41aを廊下15Cの各第3床材53の長辺の実部41aとは反対側に向けて配置されている。脱衣室15Dにおいては、廊下15C側から外壁19(廊下15Cとは反対側)に向けて順に第3床材53を取り付け、外壁19に隣接する第3床材53に巾木62(図示略)を取り付ける。
脱衣室15Dと廊下15Cとの間の出入口18cには敷居67aが設けられており、敷居67aの各長辺側端部のそれぞれには見切り縁68が取り付けられている。脱衣室15D及び廊下15Cのそれぞれにおいて敷居67aに隣接する第3床材53は、いずれも見切り縁68の下側に入り込んだ状態となっている(図7参照)。この場合、脱衣室15D及び廊下15Cのいずれにおいても、敷居67aに隣接する第3床材53をそれぞれ設置した後、それら第3床材53と敷居67aとの間に見切り縁68を取り付ける。見切り縁68は、敷居67aと第3床材53の仕上面との隙間を覆い隠すものであり、見切り縁68の下方において、第1床材51や第3床材53に関する施工誤差や建方誤差が吸収されている。
脱衣室15Dにおいては、外壁19側に洗濯機を設置する設置スペースが確保されており、その設置スペースには給排水管(図示略)が敷設されている。この場合、脱衣室15Dの各第3床材53のうち外壁19側の第3床材53が配管用床材53bとされており、配管用床材53bには、給排水管を上下に貫通させるための貫通孔が設けられている。なお、例えば2つの第3床材53が配管用床材53bとされており、それら配管用床材53bは外壁19側に配置されている。つまり、配管用床材53bは脱衣室15Dにおいて最後に取り付けられる2つの第3床材53とされている。
トイレ15Eにおいては、廊下15Cと同様に複数の第3床材53が互いに並列に並べられており、それら第3床材53は、長辺の実部41aを廊下15Cの各第3床材53の長辺の実部41aと同じ側を向けて配置されている。それら第3床材53には、廊下15Cと同様に跨ぎ床材53aが含まれている。キッチン15Bとトイレ15Eとの間の出入口18dには敷居67bが設けられており、トイレ15Eの跨ぎ床材53aは、敷居67bを挟んでキッチン15Bの各第1床材51と隣り合っている。なお、敷居67aと同様に、敷居67bにも見切り縁68が取り付けられている。
次に、第2住戸11bにおけるフローリング空間15の床構成について説明する。第2住戸11bの床構成は第1住戸11aの床構成とほぼ同じにされているため、ここでは、第1住戸11aとの相違点を中心に説明する。
第2住戸11bにおけるフローリング材33の配置は、間取りと同様に、第1住戸11aとほぼ線対称にされている。ただし、キッチン15Bについては、第1床材51の長辺の実部41a、及び実側床材52aの短辺の実部41bの向きが、第1住戸11aのキッチン15Bとはそれぞれ逆になっている。この場合、第1床材51及び実側床材52aごとの取り付け順が逆になるが、キッチン15Bには、サッシ枠63のようにフローリング材33の取り付け順を制限するものがないため、第1床材51及び実側床材52aを取り付ける作業を行う上で支障はない。
第2住戸11bにおいては、フローリング材33同士の境界部が十字状になっている部分(図1のZ部分)がキッチン15Bにある。これに対して、十字状の境界部は、その境界部の上に設置された流し台(図示略)により覆い隠されているため、その境界部に埃やゴミが溜まるということが生じにくくなっている。
建物10は、建物ユニット製造工場において製造された複数の建物ユニット20が、建築現場において設置及び連結されることで構築されている。ここで、フローリング材33の大部分は建物ユニット製造工場においてあらかじめ建物ユニット20に取り付けておくことができるが、廊下15C及びトイレ15Eの各跨ぎ床材53aは、ドッキングラインDLを跨ぐ位置に配置されるため、建築現場にて取り付けざるを得ない。また、現場後付けとするフローリング材33としては、跨ぎ床材53aの他にも、脱衣室15Dの配管用床材53b、キッチン15Bの溝側床材52bが挙げられ、それらフローリング材33は図1においてドットハッチングにて図示している。
ここでは、廊下15Cの跨ぎ床材53a、及びそれに隣接するキッチン15Bの溝側床材52bの取り付け手順について、図8を参照しつつ説明する。図8はキッチン15Bと廊下15Cとの境界部付近の床構造を示す図である。なお、廊下15C及びトイレ15Eのいずれでも跨ぎ床材53aの取り付け手順は同じであるため、トイレ15Eにおける跨ぎ床材53aの取り付け手順についての説明は省略する。
ちなみに、工場において建物ユニット20にフローリング材33をあらかじめ取り付けておく作業には、第1工程と第2工程とが含まれており、第1工程では、第1床材51を、長辺同士で矧ぎ合わせ且つ短辺の実部41bが一列に並ぶように向きを揃えて床下地材32の上に設置する。その後、第2工程では、第2床材52のうち実側床材52aを、その長辺の溝部42aと各第1床材51の短辺の実部41bとが嵌合するように、それら第1床材51と矧ぎ合わせながら床下地材32の上に設置する。
まず、図8(a)に示すように、ドッキングラインDL周辺におけるフローリング材33、床下地材32及び床断熱材34が取り付けられていない建物ユニット20を、互いに隣接させて設置する。そして、図8(b)に示すように、ドッキングラインDLを跨ぐ位置に、繋ぎ下地材32b及び繋ぎ断熱材34bを設置し、床下地材32及び床断熱材34を構築する。
その後、図8(c)に示すように、床下地材32の上において、廊下15Cにおいて取り付け済みの第3床材53に跨ぎ床材53aを矧ぎ合わせるとともに、キッチン15Bにおいて取り付け済みの第1床材51に溝側床材52bを矧ぎ合わせる。さらに、それら跨ぎ床材53aと溝側床材52bとの間に床見切り材65bを取り付ける。
同様に、トイレ15Eにおける跨ぎ床材53aを設置する部分についても、先に床下地材32及び床断熱材34を構築し、その後、床下地材32の上において、トイレ15Eにおける取り付け済みの第3床材53に跨ぎ床材53aを矧ぎ合わせる。そして、その跨ぎ床材53aと敷居67bとの間に見切り縁68を取り付ける。
また、脱衣室15Dにおける配管用床材53bを設置する部分については、給排水管の工事に合わせて配管用床材53bを、脱衣室15Dにおける取り付け済みの第3床材53に矧ぎ合わせる。そして、外壁19に隣接する配管用床材53bに対して巾木62を取り付ける。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
第1住戸11aの洋室15Aにおいて、各第1床材51の短辺と戸境壁12及び間仕切壁17との間に実側床材52a及び溝側床材52bが設けられているため、各第1床材51を切断して長辺の長さ寸法を調整する必要がない。この場合、仮に実側床材52aや溝側床材52bを切断して短辺の幅寸法を調整するとしても、切断作業を要する実側床材52aや溝側床材52bの数は、第1床材51の長さ調整のために切断作業を要する第1床材51の数に比べて少ないため、床材切断の作業負担を低減できる。したがって、床下地材に対して複数のフローリング材33を取り付ける作業を容易化することができる。
第1床材51及び実側床材52aについては、複数の第1床材51の短辺の各実部41bが、実側床材52aの長辺の溝部42aに対してまとめて嵌合しているため、各第1床材51の短辺の実部41bを切断する必要がない。この場合、実側床材52aの長辺の実部41aを切断しても、切断作業を要する実側床材52aの数は、第1床材51の短辺の実部41bを切断する場合に切断作業を要する第1床材51の数に比べて少ないため、実部切断の作業負担を低減できる。
第1床材51を挟んで実側床材52aとは反対側に溝側床材52bが配置されているとともに、実側床材52a及び溝側床材52bはいずれも第2床材52であるため、第1床材51の取り付け方を、第1床材51の短辺の実部41bが溝側床材52b側に配置されるように変更しても、それに合わせて実側床材52aと溝側床材52bとの位置を入れ替えることができる。このため、各第1床材51の取り付け順に制約があっても、第1床材51の取り付け順に合わせて実側床材52aと溝側床材52bとの位置を入れ替えれば、それら実側床材52a及び溝側床材52bによる第2床材52のレイアウトを変更せずに保持できる。したがって、第1床材51の取り付け順に関係なく、第1床材51及び第2床材52のレイアウトを設定できる。
実側床材52a及び溝側床材52bのそれぞれが、複数の第1床材51の並び方向に沿って並べられている構成において、第1床材51の並び方向において実側床材52a及び溝側床材52bの短辺の実部41bが突出している向きが、第1床材51の長辺の実部41aが突出している向きと反対向きとされているため、複数の溝側床材52bを順に取り付けた場合に、その取り付け終わり側が複数の第1床材51の取り付け始め側となり、それら第1床材51の取り付け終わり側が複数の実側床材52aの取り付け始め側となる。このため、溝側床材52b、第1床材51、実側床材52aの順で取り付ける場合に、それら床材52b,51,52aを連続して取り付けることが容易となり、床材52b,51,52aの取り付け作業の効率を高めることができる。
複数の第1床材51のうち掃き出し窓19aに隣接する第1床材51は、長辺の溝部42a側がサッシ枠63の下側に入り込んだ状態で設けられている。この場合、長辺の実部41aを切断する必要がないため、第1床材51を取り付ける際の作業負担を低減できる。しかも、第1床材51の長辺はサッシ枠63と平行に延びているため、第1床材51の短辺がサッシ枠63と平行に延びている場合に比べて、掃き出し窓19aに隣接する第1床材51の数を少なくできる。これにより、サッシ枠63の下側に第1床材51を挿し入れる際の作業負担を低減できる。
廊下15C及びトイレ15Eの跨ぎ床材53aがドッキングラインDLと平行に延びているため、例えば第1床材51が跨ぎ位置に配置された場合に比べて、跨ぎ位置に配置されるフローリング材33の数を少なくできる。しかも、第1床材51の短辺が実側床材52a及び溝側床材52bの各長辺に合わせて並べられているため、一部の第1床材51が跨ぎ位置に存在するということがない。したがって、各第1床材51を建物ユニット製造工場において建物ユニット20にあらかじめ取り付けておくことが可能となり、建築現場にてフローリング材33を取り付ける作業工数を低減できる。
跨ぎ床材53aは、溝側床材52bを挟んで第1床材51の反対側に配置されているため、第1床材51に加えて溝側床材52bも、工場において建物ユニット20にあらかじめ取り付けておくことが可能となる。この場合、溝側床材52bが第1床材51よりも建物ユニット20の外周側に存在するため、建物ユニット20を工場から施工現場に運搬する際などに、溝側床材52bにより第1床材51を保護することができる。しかも、溝側床材52bが破損した場合には、その溝側床材52bだけを取り替えれば済むため、取り換え作業の負担を小さくできる。なお、第1床材51が破損した場合には、第1床材51を取り替えるために、その第1床材51の実側に配置されている他の第1床材51も取り外す必要があり、取り換え作業の負担が大きくなってしまう。
廊下15Cの跨ぎ床材53aと、その跨ぎ床材53aの長辺の実部41a側に配置されたキッチン15Bの溝側床材52bとの間には、床見切り材65bが設けられているため、跨ぎ床材53aと溝側床材52bとの間の隙間を床見切り材65bにより覆い隠すことができる。つまり、工場先付けしておいたフローリング材33と、現場後付けした跨ぎ床材53aとの間に隙間が生じても、その隙間を覆い隠すことができる。
また、床見切り材65bを挟んで跨ぎ床材53aに隣り合う溝側床材52bにおいては、長辺の実部41aが床見切り材65bとは反対側に配置されているため、その実部41aを切断しなくても床見切り材65bを取り付けることができる。これにより、跨ぎ床材53a及び床見切り材65bの取り付け作業を容易化できる。
廊下15Cの跨ぎ床材53aに隣り合うキッチン15Bの溝側床材52bは、跨ぎ床材53aの幅寸法に合わせて大きさ及び形状が定められているため、建築現場において跨ぎ床材53aを加工する作業を行う必要がない。したがって、跨ぎ床材53aの取り付けに際して、作業工数をより一層低減できる。
フローリング材33の割り付けが、第1住戸11aと第2住戸11bとで線対称とされているため、住戸11a,11bごとにフローリング材33の割り付けが異なる場合に比べて、フローリング材33の取り付け作業を容易化できる。
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、キッチン15Bにおいて第1床材51の両側に第2床材52が設けられていたが、第1床材51の両側のうち一方にだけ第2床材52が設けられていてもよい。例えば、図9に示すように、第1住戸11a及び第2住戸11bの各キッチン15Bにおいて、第1床材51の戸境壁12側にだけ第2床材52が設けられている構成とする。
この構成でも、フローリング材33の配置は、第1住戸11aと第2住戸11bとで線対称となっており、第1床材51と戸境壁12との間に配置された第2床材52が、第1住戸11aにおいては実側床材52aとされており、第2住戸11bにおいては溝側床材52bとされている。この構成によれば、第1住戸11aのキッチン15Bにおいては、各第1床材51の短辺の実部41bを切断する必要がなく、第1床材51の取り付けに際して作業負担を低減できる。
一方、第2住戸11bのキッチン15Bにおいては、実側床材52aが設けられていないため、第1床材51が間仕切壁17と隣接する部分について、各第1床材51の短辺の実部41bを切断する必要が生じてしまう。この場合、第1床材51と掃き出し窓19aのサッシ枠63との間に床見切り材を取り付けることなどによりサッシ枠63による第1床材51の取り付け順の制約を解消し、第1床材51の列方向において長辺の実部41aを逆向きにして、第1床材51の短辺の実部41bを戸境壁12側に配置することが好ましい。
(2)上記実施形態では、床見切り材65bを挟んで隣接する跨ぎ床材53a及び溝側床材52bの両方が建築現場にて取り付けられていたが、溝側床材52bは建物ユニット製造工場においてあらかじめ取り付けられていてもよい。この場合でも、溝側床材52bと跨ぎ床材53aとの間に床見切り材65bが取り付けられる構成であれば、跨ぎ床材53aを建築現場にて後付けすることが可能となる。
(3)上記実施形態では、跨ぎ床材53aが床見切り材65bを挟んで隣接するフローリング材33が溝側床材52bとされていたが、実側床材52aや第1床材51でもよい。例えば、図10に示すように、第1住戸11aのキッチン15Bにおいて、第1床材51が複数の列においてそれぞれ並列に並べられている構成とする。この構成では、上記実施形態では溝側床材52bが配置されていた部分に設けられた複数の第1床材51が、床見切り材65bを挟んで跨ぎ床材53aと隣り合っている。この場合でも、跨ぎ床材53aの長辺の実部41a側に配置された第1床材51又は第2床材52との間に床見切り材65bが設けられている構成を実現できる。ちなみに、この場合でも跨ぎ床材53a(第3床材53)は第1床材51と矧ぎ合わされていない。
なお、図10においては、キッチン15Bに加えて洋室15Aでも、第1床材51が複数の列においてそれぞれ並列に並べられている。また、第1住戸11aに加えて第2住戸11bにおいても、第1床材51が複数の列においてそれぞれ並列に並べられている。
(4)上記実施形態では、第3床材53のいずれかが跨ぎ床材53aとしてドッキングラインDLの跨ぎ位置に配置されていたが、第2床材52(実側床材52a及び溝側床材52b)のいずれかが跨ぎ位置に配置されていてもよい。この場合でも、第2床材52はその長辺がドッキングラインDLと平行に延びる状態で配置されているため、跨ぎ位置に存在するフローリング材33の数を、第1床材51が跨ぎ位置に配置された場合に比べて少なくできる。
(5)上記実施形態では、跨ぎ床材53aが溝側床材52bを挟んで第1床材51とは反対側に配置されていたが、跨ぎ床材53aは、実側床材52aを挟んで第1床材51とは反対側に配置されていてもよい。要は、跨ぎ床材53aは、第2床材52を挟んで第1床材51とは反対側に配置されていればよい。
(6)複数の第1床材51は、互いに並列に並べられていれば、その列がドッキングラインDLと直交する方向に延びるように配置されていてもよい。この場合、各第1床材51はドッキングラインDLと平行に延び、各第2床材52はドッキングラインDLと交差する方向に延びている。
(7)上記実施形態では、実側床材52aは、第1床材51と戸境壁12との間に設けられていたが、第1床材51と床見切り材との間に設けられていてもよく、第1床材51と敷居との間に設けられていてもよい。いずれの場合でも、実側床材52aは床部31の周縁部に沿って延びるように配置されていることになり、各第1床材51の短辺の実部41bを切断するという手間を省くことができる。
(8)上記実施形態では、第2床材52の短辺の実部41bが、第1床材51の並び方向において第1床材51の長辺の実部41aとは反対側に向けて突出している構成としたが、同じ側に向けて突出している構成としてもよい。
(9)フローリング材33により床面が形成されている建物10は、木造軸組構法や枠組構法により構築されていてもよい。