JP2003206583A - 出窓付壁面パネル体および壁面構造体 - Google Patents

出窓付壁面パネル体および壁面構造体

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JP2003206583A
JP2003206583A JP2002355097A JP2002355097A JP2003206583A JP 2003206583 A JP2003206583 A JP 2003206583A JP 2002355097 A JP2002355097 A JP 2002355097A JP 2002355097 A JP2002355097 A JP 2002355097A JP 2003206583 A JP2003206583 A JP 2003206583A
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panel
wall
bay window
wall surface
frame
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JP2002355097A
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Inventor
Shigeyuki Murata
茂幸 村田
Takeshi Kawanishi
毅 川西
Kunio Watanabe
邦夫 渡辺
Takeshi Tanaka
武司 田中
Ichiro Mizutani
一郎 水谷
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Sankyo Aluminium Industry Co Ltd
Sumitomo Mitsui Construction Co Ltd
Original Assignee
Sankyo Aluminium Industry Co Ltd
Sumitomo Mitsui Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 骨組構造体(躯体)と一体化した非耐力壁に
よって腰壁を構築することなく、出窓を有する壁体を形
成するので、住宅の自由な間取りの変更に対応すること
ができる建築計画上の融通性に優れ、地震時の層間水平
変位追従性能、施工性、経済性に優れた出窓を有する出
窓付壁面パネル体を提供する。 【解決手段】 出窓付壁面パネル体1は、出窓付壁面パ
ネル体1の面内方向に配設されたパネル部2と、パネル
部2から面外方向に跳ね出した出窓部3とを備え、パネ
ル部2は、枠組状に形成されたパネル骨組部4と、腰壁
パネル部21とを備え、出窓部3は、パネル骨組部4か
ら片持ち構造で構成された出窓骨組部5を備え、パネル
部2の両側端に、縦方向にパネル間クリアランス8を設
ける。そして、出窓付壁面パネル体1は、パネル部2が
滑動することにより、地震時における面内方向の上下の
層間水平変位への追従能を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、集合住宅、また
は一戸建ての住宅の外壁として利用される出窓を有する
出窓付壁面パネル体、および、集合住宅の外壁として配
設される壁面構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、集合住宅では、外壁面に配置され
たラーメン骨組と、そのラーメン骨組内に組み込まれた
サッシ部材である一般パネル体によって、外壁は形成さ
れる。ラーメン骨組は、所定のスパン長で立設された複
数の縦方向構造部材(例えば柱)と、所定の階高で架設
された横方向構造部材(例えば梁)とによって構成され
ている。また、縦方向構造部材、横方向構造部材を鉄筋
コンクリート造(以下、「RC造」と記す。)、または
鉄骨鉄筋コンクリート造(以下、「SRC造」と記
す。)のラーメン骨組とした場合、外壁をRC造壁体と
する場合が多い。
【0003】図15は従来の1住戸分(1スパン、1階
分)のバルコニー側の外壁面の正面図、図16は図15
の出窓部分の縦断面図である。この壁面開口部Oは、所
定の間隔で対向させて配設されている2本の縦方向構造
部材Pと、上下階の横方向構造部材Cとによって区画さ
れる面で構成される。
【0004】壁面開口部O内には、複数(図15では3
個)のサッシ部材である一般パネル体10が、スパン方
向の左側から直列的に配置されていて(連窓配置)、一
般パネル体10と右端の縦方向構造部材Pの間に、出窓
Wが介在的に配置されている。出窓Wは、横方向構造部
材Cと一体的に構築された腰壁Aの上辺と、上階の横方
向構造部材Cの下辺との間の空間に取り付けられてい
る。出窓Wと腰壁Aは、1個の矩形状の壁体を形成して
いる。
【0005】横方向構造部材C(梁)をRC造で構築す
る場合、外壁である腰壁Aは現場打ち、またはプレキャ
ストコンクリート板(PC板)などのRC造の非耐力壁
として構築されることが多い。非耐力壁とは、長期鉛直
荷重、地震力などの外力に対し、骨組構造体の耐力に構
造設計上有効とされない壁を言い、室内と屋外を遮断す
る外壁面の機能上から構築されるものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】出窓Wの下部にある腰
壁Aは、横方向構造部材Cと一体化して構築された骨組
構造体(躯体)の一部を構成するものである。したがっ
て、出窓Wと腰壁Aを組み合わせた壁体は下記の問題点
を有する。
【0007】(1)腰壁Aは建築計画上の住戸内の間取
りに制約を与える。腰壁Aは、出窓Wの構造、形状、配
置及び住戸内の居室の間取りと密接な関係を有するの
で、各住戸プランの多様性に合わせて腰壁Aの配置、形
状を変えざるを得ない。腰壁Aには、建築計画上の住戸
計画から多様性、融通性が要請される。更に、居住者の
ライフサイクルの変化に対応して自由に間取りを変更で
きないかとの要請もある。しかし、腰壁Aを現場打ちの
RC造、またはPC板とする場合、その構造上から腰壁
Aを取り替えて、自由に間取りを変更することは難し
い。
【0008】(2)出窓Wは、地震時における壁面開口
部Oの上下の層間水平変位に追従する機能を充分に発揮
し得ない。出窓Wと腰壁Aを組み合わせた壁体は、地震
時における骨組構造体の上下階の層間水平変位(壁の面
内方向)に追従することができる構造でなければならな
い。
【0009】ラーメン骨組は、地震には大きな層間水平
変位が生じる。しかも、出窓Wは、下方の腰壁A、上方
の梁と一体化した接合を取らざるを得ない(図16参
照)。出窓Wは、地震時に腰壁Aと一体化した骨組構造
体と略同一の水平変形を生じ、窓ガラスなどの破損を生
じ易い。腰壁Aは、接続している一般パネル体10にも
損傷を与え、ドアー、窓の開閉に支障を来たし、防災避
難上の難点となることもあり得る。腰壁Aは縦方向構造
部材Pと一体化して構築された場合、縦方向構造部材P
の水平変形を拘束して、コンクリートのせん断破壊を生
じさせ易い。
【0010】(3)腰壁A、出窓Wの施工性、経済性が
悪い。腰壁Aは、壁厚が薄い複雑な形状を成し、縦方向
構造部材P、横方向構造部材Cと一体化して構築される
ので、型枠の製作、コンクリートの打設(躯対工事)の
施工性、経済性が悪くなる。出窓Wは、その形状の複雑
性から施工現場にてサッシ枠、窓ガラスを組み立てて腰
壁Aに取り付けられる。その作業能率は熟練したサッシ
職人でも極端に悪い。したがって、腰壁A、出窓Wの施
工は手間がかかり、工期の長期化や低品質化に繋がる虞
がある。
【0011】この発明は、上記したような不都合を解消
するためになされたもので、骨組構造体(躯体)と一体
化した非耐力壁によって腰壁を構築することなく、出窓
を有する壁体を形成するので、住宅の自由な間取りの変
更に対応することができる建築計画上の融通性に優れ、
地震時の層間水平変位追従性能、施工性、経済性に優れ
た出窓を有する出窓付壁面パネル体、および、壁面構造
体を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】この発明の出窓付壁面パ
ネル体は、出窓付壁面パネル体の面内方向に配設された
パネル部と、パネル部から面外方向に跳ね出した出窓部
とを備えている。そして、パネル部は、枠組状に形成さ
れたパネル骨組部と、腰壁パネル部とを備え、出窓部
は、パネル骨組部から片持ち構造で構成された出窓骨組
部を備え、パネル部の両側端に、縦方向にパネル間クリ
アランスを設ける。そして、出窓付壁面パネル体は、パ
ネル部の弾性水平変形による第1水平変形能力と、パネ
ル部の両側端に縦方向に設けられたパネル間クリアラン
スによる第2水平変形能力とにより、地震時における面
内方向の上下の層間水平変位への追従能を有する。
【0013】また、この発明の出窓付壁面パネル体は、
出窓付壁面パネル体の面内方向に配設されたパネル部
と、パネル部から面外方向に跳ね出した出窓部とを備え
ている。そして、パネル部は、枠組状に形成されたパネ
ル骨組部と、腰壁パネル部とを備え、出窓部は、パネル
骨組部から片持ち構造で構成された出窓骨組部を備え、
パネル部の両側端に、縦方向にパネル間クリアランスを
設ける。そして、出窓付壁面パネル体は、パネル部が滑
動することにより、地震時における面内方向の上下の層
間水平変位への追従能を有する。
【0014】次に、この発明の壁面構造体は、相対向す
る縦方向構造部材と、この縦方向構造部材間に横架され
る上下の横方向構造部材とによって囲まれた壁面開口部
に配設され、段落〔0012〕または段落〔0013〕
に記載の出窓付壁面パネル体と、壁面を構成する一般パ
ネル体とを組み合わせて非耐力壁とされている。そし
て、出窓付壁面パネル体のパネル部の両側端および一般
パネル体の両側端に、縦方向にパネル間クリアランスを
設ける。そして、壁面構造体は、パネル部および一般パ
ネル体が滑動することにより、地震時における面内方向
の上下の層間水平変位への追従能を有する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を、複
数階を有する集合住宅のバルコニー側の外壁に適用する
ものについて説明する。
【0016】通常、集合住宅の基準階の平面形式は片廊
下方式が用いられ、1つの共用廊下に接して複数の住戸
を配置し、各住戸を戸境壁で区画し、さらに各住戸にバ
ルコニーを付設する。この平面形式の骨組構造体は、桁
行方向の住戸と共用廊下またはバルコニーとの境界面に
2つのラーメン骨組が対向して配置されている。ラーメ
ン骨組は、所定のスパン長で立設された複数の縦方向構
造部材(柱)と、所定の階高で架設された横方向構造部
材(梁)とによって構成されている。
【0017】縦方向構造部材とは、壁面開口部の左右端
で、縦方向を接続している構造部材を言い、柱、壁(耐
力壁)などの構造部材の他に、柱と一体化された非耐力
壁(袖壁)、スパン中間部で梁に立設されている非耐力
壁(小壁)などをも含むものである。次に、横方向構造
部材とは、壁面開口部の上下端で、横方向を接続してい
る構造部材を言い、梁、床スラブの構造部材の他に、梁
と一体化された非耐力壁(腰壁、たれ壁)をも含むもの
である。すなわち、壁面開口部の周囲に設けられている
構造部材のうち、壁面開口部と縦方向に接続面を有する
ものを縦方向構造部材、横方向に接続面を有するものを
横方向構造部材と呼称するもので、縦方向構造部材と横
方向構造部材とは必ずしも独立した構造部材である必要
はなく、縦方向構造部材と横方向構造部材とが一体化さ
れたものでもよい。骨組構造体の耐力に有効な耐力構造
部材である必要もない。
【0018】図1は1住戸分(1スパン、1階分)のバ
ルコニー側の外壁の正面図である。壁面開口部Oは、所
定の間隔で対向させて配設されている2本の縦方向構造
部材Pと、上下階の横方向構造部材Cとによって区画さ
れる面で構成される。図1に示すように、壁面開口部O
は、横長矩形の正面形状(横方向の幅はOs、縦方向の
高さはOh)である。ここで、縦方向構造部材Pは柱
で、横方向構造部材Cは梁であって、壁面開口部Oは、
柱、梁によって囲まれた1スパンで、1階分に相当する
開口面を構成する。
【0019】壁面開口部O内には、図1の左側から、複
数(図1では3個)の一般パネル体10、出窓付壁面パ
ネル体1が直列的に配置されている(連窓配置)。出窓
付壁面パネル体1は、一般パネル体10と右側の縦方向
構造部材Pの間に配置されている。出窓付壁面パネル体
1と一般パネル体10の高さは、ほぼ壁面開口部Oの高
さ(Oh)と同一である。したがって、壁面開口部Oに
は、横方向構造部材Cと一体的に構築されたRC造の腰
壁(非耐力壁)は設けられていない。一般パネル体10
と出窓付壁面パネル体1を組み合わせて、全体で1個の
壁面構造体を形成する。壁面構造体は、壁面開口部Oの
正面形状に合わせて形成した1つの壁ユニットとして構
成される。
【0020】次に、一般パネル体10は、壁面を構成す
る部材であればよく、サッシ部材の他に、中空パネル部
材、パネル部材、PC部材、その他のものでもよいが、
少なくともサッシ部材を備えているものが望ましい。そ
して、サッシ部材とは、金属製のサッシ窓枠、このサッ
シ窓枠内のガラス(金属製、木造のパネルでもよい。)
を備えたパネル状の部材であり、サッシ外枠に囲まれた
開口部に挿入されものであり、可動サッシ(ドアー、
窓)、固定サッシ(はめ殺し窓)のいずれでもよい。
【0021】(実施形態1)図2〜図10に基づいて実
施形態1を説明する。出窓付壁面パネル体1は、出窓付
壁面パネル体1の面内方向に配設されたパネル部2と、
パネル部2から面外方向に跳ね出した出窓部3から成る
(図2、図3参照)。ここで、面内方向(スパン方向)
とは、壁面開口部Oを構成する壁面内の鉛直面で、面外
方向とは、面内方向に直交する鉛直面を言う。
【0022】パネル部2は、枠組状に形成されたパネル
骨組部4と、腰壁パネル部21を備えている(図3、図
4参照)。パネル部2は、矩形状の正面形状を成す面部
材(パネル)で、高さ(図4のPh)は、ほぼ壁面開口
部Oの高さ(図1、図4のOh)と略同一である。パネ
ル部2の横幅(図4のPw)は任意に設定することがで
きる。パネル部2は、腰壁パネル部21の上部に、出窓
部3と連通するパネル開口部22を積層的に配置した形
状を成す。腰壁パネル部21とパネル開口部22は、横
幅が略同一な矩形の正面形状をなす。
【0023】パネル骨組部4は、相対向する縦枠41
R,41Lと、この縦枠41R,41L間の上辺および
下辺に横架された上枠42、下枠43とで形成されてい
る(図3、図4参照)。パネル骨組部4は、矩形の正面
形状を成すパネル部2の外周部に沿って、枠状の骨組
(枠組)に形成されている。腰壁パネル部21の上辺に
は、中枠44が縦枠41R,41L間に横架されてい
て、パネル骨組部4の、正面形は、「日の字」状を成
す。中枠44は、腰壁パネル部21、出窓部3を取り付
けるために設けられるが、パネル骨組部4の力学的骨組
という観点からは任意的要素である。パネル骨組部4は
平面(二次元)骨組を構成する。骨組とは、線状構造部
材を組み合わせて構成された架構(フレーム)を言う。
縦枠41R,41L、上枠42、下枠43、中枠44
は、任意断面形の線状構造部材で、材質は、骨組として
所要の強度、剛性を有する、アルミニウム、鉄などの金
属製で構成するのが一般的である。
【0024】腰壁パネル部21は、従来技術でRC造の
非耐力壁として構築されていたものを、面部材(パネ
ル)として形成して、パネル部2に組み込んだものであ
る(図2〜図4参照)。腰壁パネル部21は、矩形状の
正面形状を成し、その外周部は、パネル骨組部4の、縦
枠41R,41L、下枠43、中枠44に接合されてい
る。腰壁パネル部21は、壁面開口部O内で壁面を構成
するように配置されていて、面内方向には、所定の壁厚
を有する直線状の水平断面形を成している。図6に示す
ように、腰壁パネル部21は、中空パネル部材として構
成されているが、その壁厚は、任意に設定することがで
きる。腰壁パネル部21の中空部(内部の空隙)内に、
給排水、電気、空調機などの設備装置の配管、配線類な
どを組み込んでも良い。腰壁パネル部21は、中空パネ
ル部材の他に、サッシ部材、平板パネル部材にしてもよ
い。腰壁パネル部21に、掃き出し窓、扉、収納部など
を設けることもできる。
【0025】出窓部3は、パネル部2から屋外方向に跳
ね出した凸部空間で、室内側はパネル部2のパネル開口
部22と連通する(図3〜図6参照)。出窓部3の外面
は、出窓前部34、出窓側部31R,31L、出窓底部
32、出窓頂部33を形成する(図2参照)。出窓前部
34の正面形状は、矩形(図5で、横幅はPw、高さは
Wh)を成す。出窓側部31R,31Lは、左右辺は鉛
直方向に直線状、下辺は水平方向に直線状であるが、上
辺は屋外方向に向かって斜め下方に傾斜している縦置き
台形の外観を成す。出窓側部31R,31Lの上辺に傾
斜面を設けたのは、雨仕舞のためである。出窓前部3
4、出窓側部31R,31L、出窓頂部33には、窓ガ
ラスが組み込まれている。出窓底部32は、室内側から
物を置くことができる底板が取り付けられている。出窓
頂部33には換気ダクトなどの設備配管類を貫通するよ
うに設けることができる(図示省略)。
【0026】出窓部3は、パネル骨組部4から片持ち構
造で形成された出窓骨組部5を備えている(図3、図7
参照)。出窓骨組部5は、出窓部3の凸部空間を形成す
ると共に、出窓部3の自重(鉛直力)をパネル骨組部4
の縦枠41R,41Lに伝達することができる片持ち構
造で構成されている。片持ち構造とは、一端が固定支持
され、他端が自由な構造部材(一種の梁状部材)の構造
を言う。出窓骨組部5は片持ち構造に構成されているの
で、出窓部3の自重を支持するために上下の横方向構造
部材Cと直接に接合する必要が無い。
【0027】出窓骨組部5は、出窓側部31R,31L
と出窓前部34の骨組によって構成される。出窓側部3
1R,31Lは、その外周部に沿って、屋外側の側辺の
縦桟51R,51L、上辺の側部上桟55R,55L、
下辺の側部下桟54R,54Lから成る、略「逆コの字
状」の平面骨組を形成している(図3、図7参照)。側
部上桟55R,55L、側部下桟54R,54Lの室内
側端部はパネル骨組部4の縦枠41R,41Lと接合さ
れている。2つの出窓側部31R,31Lは、出窓部3
の横幅(図5のPw)の距離を置いて配置され、パネル
骨組部4の縦枠41R,41Lから面外方向に跳ね出し
た片持ち構造に構成する。出窓側部31R,31Lは、
その室内側端部はパネル骨組部4の縦枠41R,41L
に固定支持され、屋外側の先端は自由な片持ち構造とな
る。
【0028】側部上桟55R,55L及び側部下桟54
R,54Lの室内側端部と縦枠41R,41Lとの接合
をピン接合とすると、側部上桟55R,55L、側部下
桟54R,54L、縦桟51R,51Lによって略「逆
コの字状」の平面骨組に構成された出窓側部31R,3
1L全体によって片持ち構造を構成する。側部上桟55
R,55L及び側部下桟54R,54Lと縦枠41R,
41Lとの接合を剛接合とすると、側部上桟55R,5
5Lまたは側部下桟54R,54Lのみによって片持ち
構造を構成する。出窓骨組部5は、枠組としての全体的
構成(立体骨組)のみならず、一部の構造部材(桟)に
よって片持ち構造を構成することができる。
【0029】出窓前部34では、矩形状の正面形を成す
出窓前部34の外周部に沿って、上辺に前部上桟53
を、下辺に前部下桟52を配置することによって、平面
骨組を形成している(図3、図5参照)。出窓骨組部5
は、出窓前部34の骨組と出窓側部31R,31Lの骨
組が一体化して、凸部空間を形成する立体(三次元)骨
組を構成する。
【0030】出窓骨組部5を構成する、縦桟51R,5
1L、前部下桟52、前部上桟53、側部下桟54R,
54L、側部上桟55R,55Lは、任意断面形、線状
構造部材で良い。材軸線は、直線状、曲線状など自由に
設定できる。その材質は、枠体として所要の強度、剛性
を有する、アルミニウム、鉄などの金属製板で構成する
のが一般的であるが、合成樹脂などで構成してもよい。
【0031】図7に基づいて、出窓部3の自重(鉛直
力)をパネル骨組部4の縦枠41R,41Lに伝達する
力学的機構を説明する。出窓骨組部5は、出窓前部34
の骨組と出窓側部31R,31Lの骨組が一体化して、
凸部空間を形成する立体的骨組を構成する。出窓側部3
1R,31Lの出窓骨組部5は、略「逆コの字状」の平
面骨組を形成し、片持ち構造を構成する。
【0032】図7に示すように、出窓側部31R,31
Lの屋外側先端に作用する、鉛直力(図7のV)によっ
て、出窓側部31R,31Lと縦枠41R,41Lとの
接合部には水平力(図7のVh)が作用する。この水平
力はパネル骨組部4の縦枠41R,41Lには部材中間
荷重として働くので、縦枠41R,41Lには、面外方
向の曲げモーメント(図7のMy)が生じる。鉛直力
(図7のV)は、出窓側部31R,31Lの出窓骨組部
5、縦枠41R,41Lを介して、縦枠41R,41L
の上下端の取付部材6に水平反力(図7のRh)として
作用する。上下端の水平反力(図7のRh)の作用方向
は逆方向である。出窓部3の鉛直力(図7のV)は、最
終的には、取付部材6を介して横方向構造部材Cに、鉛
直反力(図7のRv)と、水平反力(図7のRh)に置
換される。
【0033】図8に基づいて、パネル骨組部4と横方向
構造部材Cの接合を説明する。パネル骨組部4は、上枠
42、下枠43の位置で複数(図4では、2個づつ)の
取付部材6によって横方向構造部材Cに接合されてい
る。
【0034】図8(a),(b)は出窓付壁面パネル体
1の上側の取付状態およびスライド状態を示す説明図で
ある。図8において、7は鉄筋、6は鉄筋7によって横
方向構造部材Cに取り付けられている取付部材を示す。
この取付部材6には、室外側下端に横方向構造部材Cの
方向へ溝6aが設けられ、室内側中央部に上側へ開放し
た溝6bが横方向構造部材Cの方向へ設けられている。
そして、上枠42の上端部分は、上側へ開放する形状
で、室外側上端に溝6aと相対的に移動可能に係合する
係合突条42aが横方向構造部材Cの方向に室内側へ向
けて設けられ、室内側上端に溝6bと相対的に移動可能
に係合する係合突条42bが横方向構造部材Cの方向に
室外側へ向けて設けられている。
【0035】取付部材6と上枠42との間の面内方向の
接合は、係止片の摩擦力、図示を省略したモルタルによ
って、取付部材6に発生する水平力が小さい段階で外れ
ず、ピン接合部6Pを形成する。しかし、上記した水平
力が大きくなると、両者は滑動し、スライド接合部6S
に変化する。両者が相対的に移動できるスライド手段
は、上枠42の係合突条42a,42bと、取付部材6
の溝6a,6bとに限定されるものでなく、両者が相対
的に移動できる構成であれば、他の構成であってもよ
い。なお、説明を省略するが、出窓付壁面パネル体1の
下辺にも同様な取付部材6が設けられている。
【0036】図9、図10に基づいて地震時における出
窓付壁面パネル体1の面内方向の上下階の層間水平変位
に追従する機能を構造力学的モデルで説明する。出窓付
壁面パネル体1の面内方向での変形は、鉛直変形、水平
変形、回転変形の3種類に分類される。ここで、水平変
形および鉛直変形が拘束され、回転変形が自由な接合部
をピン接合部6P、水平変形および回転変形が自由で鉛
直変形が拘束された接合部をスライド接合部(ローラー
接合部)6Sと言う。このピン接合部6P、スライド接
合部6Sは、力、変形という構造力学的モデルの概念で
あり、接合部の具体的な構造を捨象したものである。そ
して、出窓付壁面パネル体1は正面視矩形であるので、
横方向が水平方向、縦方向が鉛直方向と同意義である。
【0037】出窓付壁面パネル体1と横方向構造部材C
との接合部について説明する。出窓付壁面パネル体1は
取付部材6によって上下階の横方向構造部材C(梁)に
複数個所、例えば上下辺でそれぞれ2個所ずつで固定さ
れている。接合個所および数は任意に選定することがで
きる。
【0038】出窓付壁面パネル体1の上辺に、最初はピ
ン接合部6Pであるが層間変形の変化に応じてスライド
接合部6Sに変化することができる、2個の可変性接合
部を配置する。下辺では全ステップに亘ってピン接合部
6Pである2個の不変性接合部を配置する。この可変性
接合部、不変性接合部は構造力学的なモデルでの分類で
あり、取付部材6を機能からみたものである。なお、上
辺を不変性接合部、下辺を可変性接合部としてもよい。
【0039】出窓付壁面パネル体1と縦方向構造部材
P、一般パネル体10との接合部について説明する。な
お、出窓付壁面パネル体1と縦方向構造部材P(柱)と
の間、出窓付壁面パネル体1と一般パネル体10との間
では、縦方向に構造力学的な接合部が設けられていな
い。出窓付壁面パネル体1と一般パネル体10、または
出窓付壁面パネル体1と縦方向構造部材P相互間では、
縦方向で自由に変形することができるので、出窓付壁面
パネル体1、一般パネル体10は個別にせん断変形、回
転変形をすることができる。
【0040】出窓付壁面パネル体1の層間水平変位追従
機能は、下記の2つの水平変形能力で構成される。第1
水平変形能力は、パネル部2に生じる弾性水平変形によ
る水平変形能力である。第2水平変形能力は、パネル部
2の両側端で縦方向に設けられたパネル間クリアランス
8による壁面内水平変形能力である。
【0041】第1水平変形能力について説明する。図9
は層間水平変位が少ない第1水平変形能力における出窓
付壁面パネル体1の変形状態を示し、出窓付壁面パネル
体1の上下辺に複数のピン接合部6Pが形成されてい
る。パネル骨組部4の水平剛性は低く、しかも、パネル
部2は、腰壁パネル部21の上部にパネル開口部22を
積層的に配置した形状を成しているので、パネル部2の
全体の弾性水平剛性は低い。パネル骨組部4の上枠4
2、下枠43が横方向構造部材C(骨組構造体)に固定
されているので、パネル部2は、パネル開口部22の正
面形状が矩形から平行四辺形になるせん断変形を起こ
す。腰壁パネル部21のせん断変形量はパネル開口部2
2の水平変形量より小さくなるので、パネル部2は、腰
壁パネル部21とパネル開口部22の境界面で屈曲した
平行四辺形に変形する。第1水平変形能力は、パネル部
2の弾性水平変形によって、上下階の層間水平変位に追
従することができる能力である。
【0042】第2水平変形能力について説明する。図1
0は第2水平変形能力における出窓付壁面パネル体1の
変形状態を示す。第1水平変形能力を越えて層間水平変
位が漸増すると、上辺のピン接合部6Pに生じている水
平力が大きくなる。取付部材6を介して横方向構造部材
Cとパネル骨組部4の上枠42との間が、図8(b)に
示すように滑動する。上辺のピン接合部6Pがスライド
接合部6Sに変化するので、出窓付壁面パネル体1には
それ以上の水平力が伝達されず、水平変形も増加するこ
とがない。出窓付壁面パネル体1は、両端のパネル間ク
リアランス8が閉塞するまで滑動する。第2水平変形能
力は、出窓付壁面パネル体1と縦方向構造部材P、また
は出窓付壁面パネル体1と一般パネル体10との接合部
で、縦方向に設けたパネル間クリアランス8により、面
内方向の上下階の層間水平変位に追従する能力であり、
上辺のスライド接合部6Sによる機構である。
【0043】この発明の第1実施形態によれば、出窓付
壁面パネル体1の面内方向水平変形能力は第1水平変形
能力、第2水平変形能力を総計したものであり、優れた
面内方向の水平変形能力を有するものとなる。
【0044】なお、第1水平変形能力、第2水平変形能
力を必ずしも全て備える必要はなく、設計上必要とされ
る層間変形角(=層間変形/階高)に応じて2つの水平
変形能力から適宜、選択して組み合わせることができ
る。また、必ずしも第1水平変形能力の後に第2水平変
形能力のステップに移行する機構とする必要はなく、第
1水平変形能力と第2水平変形能力とが混在して同時に
存在する機構として捉えてもよい。
【0045】面内方向の水平変形能力を層間変形角で表
現すると、通常の設計では、層間変形角が1/300ま
でサッシ部材としての性能低下がないこと、1/150
までサッシ部材が破損しないことが要求されることがあ
る。取付部材6にスライド接合部機能を付加した簡単な
構成にも拘わらず、例えば性能低下の限界を1/10
0、破損限界を1/50にすることが容易に可能であ
り、面内方向水平変形能力を飛躍的に向上させることが
できる。
【0046】一般パネル体10の層間水平変位追従機能
については、出窓付壁面パネル体1と同様である。一般
パネル体10の層間水平変位追従機能は、下記の2つの
水平変形能力で構成される。第1水平変形能力は、一般
パネル体10が有する弾性変形による壁面内水平変形能
力である。一般パネル体10であるサッシ部材は、サッ
シ外枠とサッシ部材との間、サッシ窓枠とガラスとの間
に設計上必要とされる所定の隙間によって、弾性変形を
生じる。第2水平変形能力は、一般パネル体10の両側
端に縦方向へ設けられたパネル間クリアランス8による
壁面内水平変形能力である。
【0047】(構造的特徴)さらに、上記実施形態1の
構造的特徴について説明する。 (1)出窓付壁面パネル体1は、パネル部2と出窓部3
を組み合わせて構成される(図1〜図6参照)。 (2)パネル部2は、従来技術でRC造の非耐力壁とし
て配置されていたものを面部材(パネル)として形成し
た腰壁パネル部21を組み込んでいる。
【0048】(3)出窓部3の出窓骨組部5は、出窓部
3の自重(鉛直力)をパネル骨組部4に伝達することが
できる片持ち構造で構成されている(図3、図7参
照)。出窓部3は、自重を支持するために上下の横方向
構造部材Cと直接には接合されていない。上下階の横方
向構造部材Cの水平変形、鉛直変形は、パネル部2を介
して出窓部3に伝達するだけである。出窓部3の出窓底
部32下方に、下部開放空間Sd(図6参照)を形成す
る。出窓部3の自重を支持する構造部材が横方向構造部
材Cから設けられていないので、下部開放空間Sdは障
害物の無い空間を形成する。下部開放空間Sdに家事用
シンク、収納庫などを出窓部3から吊り下げることがで
きる。家事用シンク、収納庫などの自重も、出窓骨組部
5の片持ち構造で支持される。 (4)出窓付壁面パネル体1は、パネル部2の上下辺の
取付部材6によって、上下階の横方向構造部材Cと接合
されている(図4参照)。
【0049】(5)出窓付壁面パネル体1は、面内方
向、面外方向共、地震時の層間水平変位に追従する機能
は一般パネル体10と同一である(図9、図10参
照)。出窓付壁面パネル体1の出窓骨組部5は片持ち構
造に構成されているので、出窓部3の自重を支持するた
めに上下の横方向構造部材Cと接合されていない。出窓
付壁面パネル体1の面内方向は、パネル部2のみが上下
の横方向構造部材Cと接合されている。したがって、図
1に示す、出窓付壁面パネル体1と一般パネル体10と
を組み合わせて形成した壁面構造体において、出窓を有
する出窓付壁面パネル体1は、面内方向、面外方向の層
間水平変位に追従する機能は、出窓が無い一般パネル体
10と同一になる特徴を有する。
【0050】実施形態1の構造的特徴がもたらす効果に
ついて説明する。 (1)出窓付壁面パネル体1はパネル部2と出窓部3を
組み合わせて構成されるので、出窓部3の外観、構造、
出窓骨組部5の骨組を自由に選択することができる。パ
ネル部2は、出窓部3の無い一般パネル体10と類似の
構造とすることができる。パネル部2と出窓部3を工場
で一体的に製作することができる。パネル部2と出窓部
3を別個に工場で製作して施工現場で組み合わせても良
い。
【0051】(2)パネル部2は腰壁パネル部21を組
み込んでいるので、従来技術で出窓を設置するために構
築されたRC造非耐力壁である腰壁は不要である。従来
技術の種々の問題点を解消することができる。第一に、
建築計画上の住戸内の間取りの自由性、融通性が高ま
る。各住戸の平面プランの多様性、居住者のライフサイ
クルの変化に対応して自由に間取りを変更することがで
きる。第二に、地震時における上下階の層間水平変位に
追従する機能を充分に発揮する。第三に、施工現場で簡
単に取り付けられる。熟練したサッシ職人でなくても、
施工現場で簡単に取り付けられるので作業能率は向上す
る。工期短縮、高品質化が図られる。
【0052】(3)出窓付壁面パネル体1と一般パネル
体10とを組み合わせて、壁面開口部Oを塞ぐ壁面構造
体を形成することができる(図1参照)。壁面構造体
は、柱、梁によって囲まれた1スパン1階分に相当す
る、大きな壁面開口部Oの正面形状に合わせた壁体を構
成することができる。
【0053】(実施形態2)図11、図12は実施形態
2を示す。実施形態1と異なるのは、パネル部2のパネ
ル開口部22の上にたれ壁パネル部23を配置したこ
と、出窓側部31R,31Lの全面に板体を取り付けて
出窓骨組部5を構成したことである。
【0054】出窓部3の高さを小さくすることによっ
て、パネル部2は、腰壁パネル部21、パネル開口部2
2、たれ壁パネル部23が積層的に配置された矩形状の
正面形を成す。たれ壁パネル部23は、腰壁パネル部2
1と同様に、たとえば、中空パネル部材の他に、窓ガラ
ス部材、平板パネル部材などにすることができる。換気
ダクトなどの設備配管類をたれ壁パネル部23を貫通す
るように設けることができる。出窓側部31R,31L
の板体は、薄い金属製の板体が望ましいが、繊維補強コ
ンクリート板、木造、ガラス、合成樹脂などの板体を使
用しても良い。出窓側部31R,31Lは面状(パネル
状)の片持ち構造になるので、線状の部材を組み合わせ
た、略「逆コの字状」の骨組に比べて、剛性、耐力が大
きくなる利点を有する。出窓骨組部5は、その全体的構
成のみならず、一部の構造部材によって片持ち構造を構
成することができるので、出窓部3の外観を自由に変化
させられる。
【0055】(実施形態3)図13、図14は実施形態
3を示す。実施形態1と異なるのは、パネル部2に、た
れ壁パネル部23(パネル開口部22の上)、袖壁パネ
ル部24(パネル開口部22の両側)を設けたこと、出
窓底部32の下に片持ち梁56を設けたことである。
【0056】たれ壁パネル部23、袖壁パネル部24を
設けることによって、出窓部3の正面形状を小さくし、
室内から見た出窓部3の美観を変化させたり、パネル部
2に設備配管類、収納スペース、凹凸部などを設けるこ
とができる。出窓骨組部5は、単一材の片持ち梁56の
みによって出窓部3の自重を支持する片持ち構造を構成
する。出窓骨組部5を立体骨組、平面骨組で構成する場
合に比べて、出窓部3の外観形状、材質を選定する自由
性が拡大する。たとえば、出窓部3の凸部空間を窓ガラ
スのみで形成することができる。
【0057】上記した実施形態は、複数階を有する建築
物を例にして説明したが、一戸建ての住宅にも適用でき
る。一戸建ての住宅の構造種別は、木造、鉄骨造、RC
造などでも良い。
【0058】上記した実施形態はいずれもこの発明を集
合住宅のバルコニー側の外壁に適用した例であるが、こ
の発明はこれに限定されるものではなく、集合住宅のそ
の他の外壁(例えば、共用廊下側の外壁)、居住空間内
の内壁に適用し得る。そして、集合住宅の基準階の平面
形式は片廊下方式に限定されず、中廊下方式、中空コア
ー方式、雁行方式などであってもよい。
【0059】また、建物の用途も集合住宅に限定され
ず、事務所、ホテルなどの用途の建物の構造物にも幅広
く適用でき、建物の階数も低層から高層に亘る広範囲に
適用することができる。この発明は、新築の建築物のみ
ならず、既存の建築物の改修壁面構造体にも幅広く適用
できる。
【0060】出窓付壁面パネル体の正面形状を矩形にし
た例で説明したが、これに限定されるものではなく、こ
の発明は任意の正面形状、壁厚さの出窓付壁面パネル体
に適用し得る。また、出窓付壁面パネル体と一般パネル
体を組み合わせた壁面構造体について説明したが、出窓
付壁面パネル体のみで構成することができる。
【0061】出窓付壁面パネル体は、パネル部を壁面開
口部の寸法に合わせて形成され、工場で予め製作された
後で施工現場に搬入され、建築物の壁面開口部にそのま
ま取り付けられることが一般的である。しかし、この発
明はこれに限定されず、施工現場で部材を製作しながら
壁面開口部に取り付けて出窓付壁面パネル体を形成して
もよい。
【0062】
【発明の効果】以上のように、この発明の出窓付壁面パ
ネル体または壁面構造体によれば、下記の効果を有す
る。 (1)出窓付壁面パネル体はパネル部と出窓部を組み合
わせて構成されるので、出窓部の外観、構造、出窓骨組
部の骨組を自由に選択することができる。パネル部は、
出窓部の無い一般パネル体と類似の構造とすることがで
きる。工場でパネル部と出窓部を一体化して製作するの
が一般的であるが、パネル部と出窓部を別個に製作して
施工現場で組み合わせても良い。
【0063】(2)パネル部は腰壁パネル部を組み込ん
でいるので、RC造の非耐力壁である腰壁を構築する必
要が無い。従来技術の種々の問題点を解消することがで
きる。第一に、建築計画上の住戸内の間取りの自由性、
融通性が高まる。各住戸の平面プランの多様性、居住者
のライフサイクルの変化に対応して自由に間取りを変更
することができる。第二に、地震時における上下階の層
間水平変位に追従する機能を充分に発揮する。第三に、
施工現場で簡単に取り付けられる。熟練したサッシ職人
でなくても、施工現場で簡単に取り付けられるので作業
能率は向上する。工期短縮、高品質化が図られる。
【0064】(3)出窓部の出窓骨組部は、出窓部の自
重(鉛直力)をパネル骨組部に伝達することができる片
持ち構造で構成されているので、出窓部の自重を支持す
る構造部材が横方向構造部材から設けられていない。出
窓付壁面パネル体の面内方向は、パネル部のみが上下の
横方向構造部材と接合されている。したがって、出窓付
壁面パネル体は、面内方向、面外方向共、地震時の層間
水平変位に追従する機能は一般パネル体と同一とするこ
とができる。更に、出窓部の出窓底部の下方に、下部開
放空間を形成するので、下部開放空間を利用して、家事
用シンク、収納庫などを出窓部から吊り下げることがで
きる。
【0065】(4)地震時に、出窓付壁面パネル体が破
損、脱落せず、出窓部の窓ガラスも破損することがな
い。出窓付壁面パネル体の地震時の層間水平変位に追従
する機能は、面内方向、面外方向共、一般パネル体と同
一になる。
【0066】(5)出窓付壁面パネル体の面内方向水平
変形能力は第1水平変形能力、第2水平変形能力を総計
したものであり、優れた面内方向の水平変形能力を有す
るものとなる。なお、取付部材にスライド接合部機能を
付加した簡単な構成にも拘わらず、面内方向水平変形能
力を飛躍的に向上させることができる。
【0067】さらに、この発明の壁面構造体は、柱、梁
によって囲まれた1スパン1階分に相当する1個の大き
な面材(パネル)となる。壁面構造体は一般パネル体と
出窓を有する出窓付壁面パネル体の2種類の部材で構成
される。出窓付壁面パネル体、一般パネル体は、着脱自
在に横方向構造部材に接合されているので、その組み合
わせ方法のバリエーション、取り替え、修繕が容易であ
る。出窓付壁面パネル体によって、従来技術の非耐力壁
に内在している種々の欠点を解消し、出窓が有する特徴
を活用して、美観、利便性優れた快適な室内空間を提供
することができる。壁面構造体は高性能多機能を有し、
施工性、経済性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態である出窓付壁面パネ
ル体を配置した壁面構造体を示す正面図である。
【図2】図1に示した第1実施形態である出窓付壁面パ
ネル体の外観斜視図である。
【図3】図2の、パネル骨組部、出窓骨組部の構成を示
す分解斜視図である。
【図4】第1実施形態である出窓付壁面パネル体のパネ
ル部を示す正面図である。
【図5】第1実施形態である出窓付壁面パネル体の出窓
部を示す正面図である。
【図6】図4のA−A線断面図である。
【図7】出窓部の自重(鉛直力)をパネル骨組部の縦枠
に伝達する力学的機構を説明する縦断面図である。
【図8】(a),(b)はパネル部上側の取付部材の取
付状態およびスライド状態を示す説明図である。
【図9】地震時における出窓付壁面パネル体の上下階の
層間水平変位に追従する機能(第1水平変形能力)を構
造力学的に説明する説明図である。
【図10】地震時における出窓付壁面パネル体の上下階
の層間水平変位に追従する機能(第2水平変形能力)を
構造力学的に説明する説明図である。
【図11】この発明の第2実施形態である出窓付壁面パ
ネル体を示す正面図である。
【図12】図11のB−B線断面図である。
【図13】この発明の第3実施形態である出窓付壁面パ
ネル体を示す正面図である。
【図14】図13のC−C線断面図である。
【図15】従来技術の出窓を有する壁面構造体を示す正
面図である。
【図16】図15のD−D線断面図である。
【符号の説明】
1 出窓付壁面パネル体 2 パネル部 21 腰壁パネル部 22 パネル開口部 23 たれ壁パネル部 24 袖壁パネル部 3 出窓部 31R,31L 出窓側部 32 出窓底部 33 出窓頂部 34 出窓前部 4 パネル骨組部 41R,41L 縦枠 42 上枠 42a,42b 係合突条 43 下枠 44 中枠 5 出窓骨組部 51R,51L 縦桟 52 前部下桟 53 前部上桟 54R,54L 側部下桟 55R,55L 側部上桟 56 片持ち梁 6 取付部材 6a,6b 溝 6P ピン接合部 6S スライド接合部 7 鉄筋 8 パネル間クリアランス 10 一般パネル体 O 壁面開口部 P 縦方向構造部材 C 横方向構造部材 A 腰壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川西 毅 千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目9番1号 三井建設株式会社幕張事務所内 (72)発明者 渡辺 邦夫 千葉県千葉市美浜区中瀬1丁目9番1号 三井建設株式会社幕張事務所内 (72)発明者 田中 武司 富山県高岡市早川70番地 三協アルミニウ ム工業株式会社内 (72)発明者 水谷 一郎 富山県高岡市早川70番地 三協アルミニウ ム工業株式会社内 Fターム(参考) 2E002 EA01 EC02 FA02 FA03 FB02 FB07 FB08 FB09 FB22 JA01 JA02 JB02 JB14 MA12 2E013 AA00 AA06 AB03 AC01 AC08 AD02 AD04 AD05 AE01 AG00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 出窓付壁面パネル体の面内方向に配設さ
    れたパネル部と、パネル部から面外方向に跳ね出した出
    窓部とを備えた出窓付壁面パネル体であって、 パネル部は、枠組状に形成されたパネル骨組部と、腰壁
    パネル部とを備え、 出窓部は、パネル骨組部から片持ち構造で構成された出
    窓骨組部を備え、 パネル部の両側端に、縦方向にパネル間クリアランスを
    設け、 出窓付壁面パネル体は、パネル部の弾性水平変形による
    第1水平変形能力と、パネル部の両側端に縦方向に設け
    られたパネル間クリアランスによる第2水平変形能力と
    により、地震時における面内方向の上下の層間水平変位
    への追従能を有する、 ことを特徴とする出窓付壁面パネル体。
  2. 【請求項2】 出窓付壁面パネル体の面内方向に配設さ
    れたパネル部と、パネル部から面外方向に跳ね出した出
    窓部とを備えた出窓付壁面パネル体であって、 パネル部は、枠組状に形成されたパネル骨組部と、腰壁
    パネル部とを備え、 出窓部は、パネル骨組部から片持ち構造で構成された出
    窓骨組部を備え、 パネル部の両側端に、縦方向にパネル間クリアランスを
    設け、 出窓付壁面パネル体は、パネル部が滑動することによ
    り、地震時における面内方向の上下の層間水平変位への
    追従能を有する、 ことを特徴とする出窓付壁面パネル体。
  3. 【請求項3】 相対向する縦方向構造部材と、この縦方
    向構造部材間に横架される上下の横方向構造部材とによ
    って囲まれた壁面開口部に配設される壁面構造体であっ
    て、 請求項1または請求項2に記載された出窓付壁面パネル
    体と、壁面を構成する一般パネル体とを組み合わせて非
    耐力壁とされ、 出窓付壁面パネル体のパネル部の両側端および一般パネ
    ル体の両側端に、縦方向にパネル間クリアランスを設
    け、 壁面構造体は、出窓付壁面パネル体および一般パネル体
    が滑動することにより、地震時における面内方向の上下
    の層間水平変位への追従能を有する、 ことを特徴とする壁面構造体。
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