JP6135752B2 - 電荷輸送性ワニス - Google Patents

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Description

本発明は、電荷輸送性ワニスに関し、さらに詳述すると、所定のアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質と、ヘテロポリ酸からなるドーパント物質と、有機シラン化合物とを含む電荷輸送性ワニスに関する。
有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELという)素子には、発光層や電荷注入層として、有機化合物からなる電荷輸送性薄膜が用いられる。
この電荷輸送性薄膜の形成方法は、蒸着法に代表されるドライプロセスと、スピンコート法に代表されるウェットプロセスに大別される。ドライプロセスとウェットプロセスを比べると、ウェットプロセスの方が大面積に平坦性の高い薄膜を効率的に製造できることから、有機EL素子といった薄膜の大面積化が望まれる分野においては、ウェットプロセスにより薄膜が形成されることが多い。
この点に鑑み、本発明者らは、各種電子デバイスに適用可能な電荷輸送性薄膜を、ウェットプロセスで作製するための電荷輸送性ワニスの開発をしてきている(特許文献1参照)。
しかし、近年の有機EL素子分野においては、デバイスの軽量化や薄型化の潮流から、ガラス基板の代わりに有機化合物からなる基板が用いられるようになってきており、従来よりも低温で焼成でき、またその場合にも良好な電荷輸送性を有する薄膜を与えるワニスも求められているが、既存のワニスではこれらの要求に十分対応できないことがあった。
特開2002−151272号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、200℃を下回る低温で焼成可能であるとともに、そのような焼成条件下で作製した薄膜が、高平坦性かつ高電荷輸送性を有し、有機EL素子に適用した場合に優れた輝度特性を発揮させ得る電荷輸送性ワニスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、所定のアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質と、ヘテロポリ酸からなるドーパント物質と、有機シラン化合物とを含む電荷輸送性ワニスを用いることで、200℃未満の低温で焼成可能であるとともに、そのような焼成条件下で作製した薄膜が高平坦性および高電荷輸送性を有すること、並びに当該薄膜を正孔注入層に適用した場合に、優れた輝度特性を実現し得る有機EL素子が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1. 200℃未満の低温焼成用の電荷輸送性ワニスであって、
式(1)で表されるアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質と、ヘテロポリ酸からなるドーパント物質と、有機シラン化合物と、有機溶媒とを含むことを特徴とする電荷輸送性ワニス、
Figure 0006135752
(式(1)中、X1は、−NY1−、−O−、−S−、−(CR78l−または単結合を表し、Y1は、互いに独立して、水素原子、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、またはZ2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表し、R1〜R8は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、Z2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基、−NHY2、−NY34、−C(O)Y5、−OY6、−SY7、−SO38、−C(O)OY9、−OC(O)Y10、−C(O)NHY11、または−C(O)NY1213基を表し、Y2〜Y13は、互いに独立して、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、またはZ2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表し、Z1は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、またはZ3で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表し、Z2は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、またはZ3で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基を表し、Z3は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、またはカルボン酸基を表し、lは、1〜20の整数を表し、mおよびnは、互いに独立して、0以上の整数を表し、1≦m+n≦20を満たす。但し、mまたはnが0であるときは、X1は、−NY1−を表す。)
2. 前記R1〜R4が、水素原子、ハロゲン原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、またはZ2で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基であり、前記R5およびR6が、水素原子、ハロゲン原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基、またはZ2で置換されていてもよいジフェニルアミノ基である1の電荷輸送性ワニス、
3. 前記ヘテロポリ酸が、リンタングステン酸を含む1または2の電荷輸送性ワニス、
4. 前記電荷輸送性物質の質量(WH)に対する前記ドーパント物質の質量(WD)の比(WD/WH)が、1.0≦WD/WH≦11.0を満たす1〜3のいずれかの電荷輸送性ワニス、
5. 前記有機シラン化合物が、ジアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物またはテトラアルコキシシラン化合物である1〜4のいずれかの電荷輸送性ワニス、
6. 1〜5のいずれかの電荷輸送性ワニスを用いて作製される電荷輸送性薄膜、
7. 6の電荷輸送性薄膜を有する電子デバイス、
8. 6の電荷輸送性薄膜を有する有機エレクトロルミネッセンス素子、
9. 前記電荷輸送性薄膜が、正孔注入層または正孔輸送層である8の有機エレクトロルミネッセンス素子、
10. 1〜5のいずれかの電荷輸送性ワニスを基材上に塗布して焼成することを特徴とする電荷輸送性薄膜の製造方法、
11. 200℃未満で焼成することを特徴とする10の電荷輸送性薄膜の製造方法、
12. 6の電荷輸送性薄膜を用いる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法
を提供する。
本発明の電荷輸送性ワニスは、200℃未満の低温で焼成した場合であっても得られる薄膜が高平坦性および高電荷輸送性を有し、当該薄膜を正孔注入層に適用したときに優れた輝度特性を実現し得る有機EL素子が得られる。そのため、本発明の電荷輸送性ワニスを用いることで、製造プロセス条件の温和化による高歩留化や低コスト化、あるいは素子の軽量化、コンパクト化等を図り得る。
また、本発明の電荷輸送性ワニスは、スピンコート法やスリットコート法など、大面積に成膜可能な各種ウェットプロセスを用いた場合でも電荷輸送性に優れた薄膜を再現性よく製造できるため、近年の有機EL素子の分野における進展にも十分対応できる。
さらに、本発明の電荷輸送性ワニスから得られる薄膜は、帯電防止膜や有機薄膜太陽電池の陽極バッファ層等としても使用できる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る電荷輸送性ワニスは、式(1)で表されるアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質と、ヘテロポリ酸からなるドーパント物質と、有機シラン化合物と、有機溶媒とを含むものである。
ここで、電荷輸送性とは、導電性と同義であり、正孔輸送性と同義である。電荷輸送性物質は、それ自体に電荷輸送性があるものでもよく、電子受容性物質と共に用いた際に電荷輸送性があるものでもよい。電荷輸送性ワニスは、それ自体に電荷輸送性があるものでもよく、それにより得られる固形膜が電荷輸送性を有するものでもよい。
Figure 0006135752
式(1)において、X1は、−NY1−、−O−、−S−、−(CR78l−または単結合を表すが、mまたはnが0であるときは、−NY1−を表す。
1は、互いに独立して、水素原子、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、またはZ2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表す。
炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ビシクロブチル基、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基、ビシクロデシル基等の炭素数3〜20の環状アルキル基などが挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニル基の具体例としては、エテニル基、n−1−プロペニル基、n−2−プロペニル基、1−メチルエテニル基、n−1−ブテニル基、n−2−ブテニル基、n−3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、n−1−ペンテニル基、n−1−デセニル基、n−1−エイコセニル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルキニル基の具体例としては、エチニル基、n−1−プロピニル基、n−2−プロピニル基、n−1−ブチニル基、n−2−ブチニル基、n−3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、n−1−ペンチニル基、n−2−ペンチニル基、n−3−ペンチニル基、n−4−ペンチニル基、1−メチル−n−ブチニル基、2−メチル−n−ブチニル基、3−メチル−n−ブチニル基、1,1−ジメチル−n−プロピニル基、n−1−ヘキシニル基、n−1−デシニル基、n−1−ペンタデシニル基、n−1−エイコシニル基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のヘテロアリール基の具体例としては、2−チエニル基、3−チエニル基、2−フラニル基、3−フラニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基等が挙げられる。
7およびR8は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、Z2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基、−NHY2、−NY34、−C(O)Y5、−OY6、−SY7、−SO38、−C(O)OY9、−OC(O)Y10、−C(O)NHY11、または−C(O)NY1213基を表し、Y2〜Y13は、互いに独立して、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、またはZ2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表す。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
その他、R7〜R8およびY2〜Y13のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基としては、上記と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、R7およびR8としては、水素原子、またはZ1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、水素原子、またはZ1で置換されていてもよいメチル基がより好ましく、共に水素原子が最適である。
lは、−(CR78)−で表される2価のアルキレン基の繰り返し単位数を表し、1〜20の整数であるが、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜2がより一層好ましく、1が最適である。
なお、lが2以上である場合、複数のR7は、互いに同一であっても異なっていてもよく、複数のR8も、互いに同一であっても異なっていてもよい。
とりわけ、X1としては、−NY1−または単結合が好ましい。また、Y1としては、水素原子、またはZ1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、水素原子、またはZ1で置換されていてもよいメチル基がより好ましく、水素原子が最適である。
1〜R6は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、Z2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基、−NHY2、−NY34、−C(O)Y5、−OY6、−SY7、−SO38、−C(O)OY9、−OC(O)Y10、−C(O)NHY11、または−C(O)NY1213基を表し(Y2〜Y13は、上記と同じ意味を表す。)、これらハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基としては、上記と同様のものが挙げられる。
特に、式(1)において、R1〜R4としては、水素原子、ハロゲン原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、またはZ2で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基が好ましく、水素原子、フッ素原子、またはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、全て水素原子が最適である。
また、R5およびR6としては、水素原子、ハロゲン原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基、またはZ2で置換されていてもよいジフェニルアミノ基(Y3およびY4がZ2で置換されていてもよいフェニル基である−NY34基)が好ましく、水素原子、フッ素原子、またはフッ素原子で置換されていてもよいジフェニルアミノ基がより好ましく、同時に水素原子またはジフェニルアミノ基がより一層好ましい。
そして、これらの中でも、R1〜R4が、水素原子、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、R5およびR6が、水素原子、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよいジフェニルアミノ基、X1が、−NY1−または単結合、かつ、Y1が、水素原子またはメチル基の組み合わせが好ましく、R1〜R4が、水素原子、R5およびR6が、同時に水素原子またはジフェニルアミノ基、X1が、−NH−または単結合の組み合わせがより好ましい。
式(1)において、mおよびnは、互いに独立して、0以上の整数を表し、1≦m+n≦20を満たすが、得られる薄膜の電荷輸送性とアニリン誘導体の溶解性とのバランスを考慮すると、2≦m+n≦8を満たすことが好ましく、2≦m+n≦6を満たすことがより好ましく、2≦m+n≦4を満たすことがより一層好ましい。
なお、上記Y1〜Y13およびR1〜R8のアルキル基、アルケニル基およびアルキニル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、またはZ3で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基であるZ1で置換されていてもよく、上記Y1〜Y13およびR1〜R8のアリール基およびヘテロアリール基は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、またはZ3で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基であるZ2で置換されていてもよく、これらの基は、さらにハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、またはカルボン酸基であるZ3で置換されていてもよい(ハロゲン原子としては、上記と同様のものが挙げられる。)。
特に、Y1〜Y13およびR1〜R8において、置換基Z1は、ハロゲン原子、またはZ3で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基が好ましく、ハロゲン原子、またはZ3で置換されていてもよいフェニル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
また、置換基Z2は、ハロゲン原子、またはZ3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、またはZ3で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
そして、Z3は、ハロゲン原子が好ましく、フッ素がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
1〜Y13およびR1〜R8では、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基の炭素数は、好ましくは10以下であり、より好ましくは6以下であり、より一層好ましくは4以下である。
また、アリール基およびヘテロアリール基の炭素数は、好ましくは14以下であり、より好ましくは10以下であり、より一層好ましくは6以下である。
本発明で用いるアニリン誘導体の分子量は、通常300〜5000であるが、溶解性を高める観点から、好ましくは4000以下であり、より好ましくは3000以下であり、より一層好ましくは2000以下である。
なお、本発明で用いられるアニリン誘導体の合成法としては、特に限定されるものではないが、ブレティン・オブ・ケミカル・ソサエティ・オブ・ジャパン(Bulletin of Chemical Society of Japan)(1994年 第67巻 p.1749−1752)、シンセティック・メタルズ(Synthetic Metals)(1997年、第84巻、p.119−120)、Thin Solid Films(2012年、520(24)7157−7163)、国際公開2008/032617号、国際公開2008−032616号、国際公開2008−129947号などに記載の方法が挙げられる。
以下、本発明において、好適なアニリン誘導体を挙げるが、これらに限定されるわけではない。
Figure 0006135752
Figure 0006135752
本発明の電荷輸送性ワニスは、ヘテロポリ酸を含む。
ヘテロポリ酸とは、代表的に式(A)で示されるKeggin型あるいは式(B)で示されるDawson型の化学構造で示される、ヘテロ原子が分子の中心に位置する構造を有し、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の酸素酸であるイソポリ酸と、異種元素の酸素酸とが縮合してなるポリ酸である。このような異種元素の酸素酸としては、主にケイ素(Si)、リン(P)、ヒ素(As)の酸素酸が挙げられる。
Figure 0006135752
ヘテロポリ酸の具体例としては、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングストモリブデン酸等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、本発明で用いるヘテロポリ酸は、市販品として入手可能であり、また、公知の方法により合成することもできる。
特に、ドーパント物質が1種類のヘテロポリ酸単独からなる場合、その1種類のヘテロポリ酸は、リンタングステン酸またはリンモリブデン酸が好ましく、リンタングステン酸が最適である。また、ドーパント物質が2種類以上のヘテロポリ酸からなる場合、その2種類以上のヘテロポリ酸の1つは、リンタングステン酸またはリンモリブデン酸が好ましく、リンタングステン酸がより好ましい。
なお、ヘテロポリ酸は、元素分析等の定量分析において、一般式で示される構造から元素の数が多くまたは少ないものであっても、それが市販品として入手し、あるいは、公知の合成方法に従い適切に合成したものである限り、本発明において用いることができる。
すなわち、例えば、一般的には、リンタングステン酸は化学式H3(PW1240)・nH2Oで、リンモリブデン酸は化学式H3(PMo1240)・nH2Oでそれぞれ示されるが、定量分析において、この式中のP(リン)、O(酸素)またはW(タングステン)もしくはMo(モリブデン)の数が多く、または少ないものであっても、それが市販品として入手したもの、あるいは、公知の合成方法に従い適切に合成したものである限り、本発明において用いることができる。この場合、本発明に規定されるヘテロポリ酸の質量とは、合成物や市販品中における純粋なリンタングステン酸の質量(リンタングステン酸含量)ではなく、市販品として入手可能な形態および公知の合成法にて単離可能な形態において、水和水やその他の不純物等を含んだ状態での全質量を意味する。
本発明においては、ヘテロポリ酸、好ましくはリンタングステン酸を、質量比で、電荷輸送性物質1に対して1.0〜11.0程度、好ましくは1.5〜10.0程度、より好ましくは2.0〜9.5程度、より一層好ましくは2.5〜9.0程度、さらに好ましくは3.0〜8.5程度とすることで、有機EL素子に用いた場合に高輝度を与える電荷輸送性薄膜を再現性よく得ることができる。
すなわち、そのような電荷輸送性ワニスは、電荷輸送性物質の質量(WH)に対するヘテロポリ酸の質量(WD)の比が、1.0≦WD/WH≦11.0、好ましくは1.5≦WD/WH≦10.0、より好ましくは2.0≦WD/WH≦9.5、より一層好ましくは2.5≦WD/WH≦9.0、さらに好ましくは3.0≦WD/WH≦8.5を満たす。
本発明の電荷輸送性ワニスには、上述したアニリン誘導体やヘテロポリ酸の他に、公知のその他の電荷輸送性物質やドーパント物質を用いることもできる。
本発明の電荷輸送性ワニスは、有機シラン化合物を含む。
この有機シラン化合物としては、ジアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物またはテトラアルコキシシラン化合物が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
とりわけ、有機シラン化合物としては、ジアルコキシシラン化合物またはトリアルコキシシラン化合物が好ましく、トリアルコキシシラン化合物がより好ましい。
テトラアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物およびジアルコキシシラン化合物としては、例えば、式(2)〜(4)で示されるものが挙げられる。
Si(OR94 (2)
SiR10(OR93 (3)
Si(R102(OR92 (4)
式中、R9は、互いに独立して、Z4で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、またはZ5で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表し、R10は、互いに独立して、Z6で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、またはZ7で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表す。
4は、ハロゲン原子、またはZ8で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表し、Z5は、ハロゲン原子、またはZ8で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基を表す。
6は、ハロゲン原子、Z8で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基(−NHCONH2)、チオール基、イソシアネート基(−NCO)、アミノ基、−NHY14基、または−NY1516基を表し、Z7は、ハロゲン原子、Z8で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基(−NHCONH2)、チオール基、イソシアネート基(−NCO)、アミノ基、−NHY14基、または−NY1516基を表し、Y14〜Y16は、互いに独立して、Z8で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数2〜20のヘテロアリール基を表す。
8は、ハロゲン原子、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、チオール基を表す。
式(2)〜(4)における、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数2〜20のアルキニル基、炭素数6〜20のアリール基、および炭素数2〜20のヘテロアリール基としては、上記と同様のものが挙げられる。
9およびR10において、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基の炭素数は、好ましくは10以下であり、より好ましくは6以下であり、より一層好ましくは4以下である。
また、アリール基およびヘテロアリール基の炭素数は、好ましくは14以下であり、より好ましくは10以下であり、より一層好ましくは6以下である。
9としては、Z4で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基もしくは炭素数2〜20のアルケニル基、またはZ5で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基が好ましく、Z4で置換されていてもよい、炭素数1〜6のアルキル基もしくは炭素数2〜6のアルケニル基、またはZ5で置換されていてもよいフェニル基がより好ましく、Z4で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、またはZ5で置換されていてもよいフェニル基がより一層好ましく、Z4で置換されていてもよい、メチル基またはエチル基がさらに好ましい。
また、R10としては、Z6で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、またはZ7で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基が好ましく、Z6で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、またはZ7で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基がより好ましく、Z6で置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基、またはZ7で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基がより一層好ましく、Z6で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、またはZ7で置換されていてもよいフェニル基がさらに好ましい。
なお、複数のR9は、全て同一であっても異なっていてもよく、複数のR10も、全て同一であっても異なっていてもよい。
4としては、ハロゲン原子、またはZ8で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基が好ましく、フッ素原子、またはZ8で置換されていてもよいフェニル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
また、Z5としては、ハロゲン原子、またはZ8で置換されていてもよい炭素数6〜20のアルキル基が好ましく、フッ素原子、またはZ8で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
一方、Z6としては、ハロゲン原子、Z8で置換されていてもよいフェニル基、Z8で置換されていてもよいフラニル基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基、チオール基、イソシアネート基、アミノ基、Z8で置換されていてもよいフェニルアミノ基、またはZ8で置換されていてもよいジフェニルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子がより好ましく、フッ素原子、または存在しないこと(すなわち、非置換であること)がより一層好ましい。
また、Z7としては、ハロゲン原子、Z8で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Z8で置換されていてもよいフラニル基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、ウレイド基、チオール基、イソシアネート基、アミノ基、Z8で置換されていてもよいフェニルアミノ基、またはZ8で置換されていてもよいジフェニルアミノ基が好ましく、ハロゲン原子がより好ましく、フッ素原子、または存在しないこと(すなわち、非置換であること)がより一層好ましい。
そして、Z8としては、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子または存在しないこと(すなわち、非置換であること)がより好ましい。
以下、本発明で使用可能な有機シラン化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。
ジアルコキシシラン化合物の具体例としては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
トリアルコキシシラン化合物の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、トリエトキシ(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シラン、ドデシルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、(トリエトキシシリル)シクロヘキサン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、トリエトキシフルオロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、トリエトキシ−2−チエニルシラン、3−(トリエトキシシリル)フラン等が挙げられる。
テトラアルコキシシラン化合物の具体例としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラプロポキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、3,3,3−トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、トリエトキシ(4−(トリフルオロメチル)フェニル)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシランが好ましい。
本発明の電荷輸送性ワニス中における有機シラン化合物の含有量は、得られる薄膜の高電荷輸送性を維持する点を考慮すると、電荷輸送性物質およびヘテロポリ酸の総質量に対して、通常0.1〜50質量%程度であるが、好ましくは0.5〜40質量%程度、より好ましくは0.8〜30質量%程度、より一層好ましくは1〜20質量%である。
電荷輸送性ワニスを調製する際に用いられる溶媒としては、電荷輸送性物質およびドーパント物質を良好に溶解し得る高溶解性溶媒を用いることができる。このような高溶解性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等の有機溶媒を用いることができる。これらの溶媒は1種単独で、または2種以上混合して用いることができ、その使用量は、ワニスに使用する溶媒全体に対して5〜100質量%とすることができる。
なお、電荷輸送性物質およびドーパント物質は、いずれも上記溶媒に完全に溶解しているか、均一に分散している状態となっていることが好ましい。
また、本発明の電荷輸送性ワニスは、基板に対する濡れ性の向上、ワニスの表面張力、粘度、沸点等の調整などを目的として、その他の溶媒を含むことが好ましく、このような溶媒を加えることで、用いる塗布方法や焼成温度等に応じたワニス調製が容易になり、高平坦性および高電荷輸送性を有する薄膜を再現性よく得ることができる。
そのようなその他の溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、シクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3−オクチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、へキシレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトン、エチルラクテート、n−ヘキシルアセテート等が挙げられる。これらの溶媒は1種単独で、または2種以上混合して用いることができ、その使用量は、固体が析出しない範囲内であることが好ましく、ワニスに使用する溶媒全体に対して、通常1〜95質量%、好ましくは5〜90質量%である。
本発明のワニスの粘度は、作製する薄膜の厚み等や固形分濃度に応じて適宜設定されるものではあるが、通常、25℃で1〜50mPa・sである。
また、本発明における電荷輸送性ワニスの固形分濃度は、ワニスの粘度および表面張力等や、作製する薄膜の厚み等を勘案して適宜設定されるものではあるが、通常、0.1〜10.0質量%程度であり、ワニスの塗布性を向上させることを考慮すると、好ましくは0.5〜5.0質量%、より好ましくは1.0〜3.0質量%である。
以上で説明した電荷輸送性ワニスを基材上に塗布し、焼成することで基材上に電荷輸送性薄膜を形成させることができる。
ワニスの塗布方法としては、特に限定されるものではなく、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、刷毛塗り、インクジェット法、スプレー法、スリットコート法等が挙げられるが、塗布方法に応じてワニスの粘度および表面張力を調節することが好ましい。
また、本発明のワニスを用いる場合、焼成雰囲気も特に限定されるものではなく、大気雰囲気だけでなく、不活性ガス雰囲気下や真空下といった酸素が十分に存在しない条件下でも均一な成膜面および高い電荷輸送性を有する薄膜を得ることができる。
焼成温度は、得られる薄膜の用途、得られる薄膜に付与する電荷輸送性の程度等を勘案して、概ね100〜260℃の範囲内で適宜設定されるものではあるが、有機EL素子の正孔注入層として用いる場合、140〜250℃程度が好ましく、150〜230℃程度がより好ましいが、本発明のワニスでは、200℃未満、特に150〜190℃の低温焼成が可能である。この場合、より高い均一成膜性を発現させたり、基材上で反応を進行させたりする目的で、2段階以上の温度変化をつけてもよく、加熱は、例えば、ホットプレートやオーブン等、適当な機器を用いて行えばよい。
電荷輸送性薄膜の膜厚は、特に限定されないが、有機EL素子内で正孔注入層として用いる場合、5〜200nmが好ましい。膜厚を変化させる方法としては、ワニス中の固形分濃度を変化させたり、塗布時の基板上の溶液量を変化させたりする等の方法がある。
本発明の電荷輸送性ワニスを用いてOLED素子を作製する場合の使用材料や、作製方法としては、下記のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
使用する電極基板は、洗剤、アルコール、純水等による液体洗浄を予め行って浄化しておくことが好ましく、例えば、陽極基板では使用直前にUVオゾン処理、酸素−プラズマ処理等の表面処理を行うことが好ましい。ただし陽極材料が有機物を主成分とする場合、表面処理を行わなくともよい。
本発明の電荷輸送性ワニスから得られる薄膜からなる正孔注入層を有するOLED素子の作製方法の例は、以下のとおりである。
陽極基板上に本発明の電荷輸送性ワニスを塗布し、上記の方法により焼成を行い、電極上に正孔注入層を作製する。これを真空蒸着装置内に導入し、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極金属を順次蒸着してOLED素子とする。発光領域をコントロールするために任意の層間にキャリアブロック層を設けてもよい。
陽極材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)に代表される透明電極が挙げられ、平坦化処理を行ったものが好ましい。高電荷輸送性を有するポリチオフェン誘導体やポリアニリン誘導体を用いることもできる。
正孔輸送層を形成する材料としては、(トリフェニルアミン)ダイマー誘導体(TPD)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、[(トリフェニルアミン)ダイマー]スピロダイマー(Spiro−TAD)等のトリアリールアミン類、4,4’,4”−トリス[3−メチルフェニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4”−トリス[1−ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(1−TNATA)等のスターバーストアミン類、5,5”−ビス−{4−[ビス(4−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−2,2’:5’,2”−ターチオフェン(BMA−3T)等のオリゴチオフェン類などが挙げられる。
発光層を形成する材料としては、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(Alq3)、ビス(8−キノリノラート)亜鉛(II)(Znq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)(BAlq)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)等が挙げられ、電子輸送材料または正孔輸送材料と発光性ドーパントとを共蒸着することによって、発光層を形成してもよい。
電子輸送材料としては、Alq3、BAlq、DPVBi、(2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール)(PBD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、バソクプロイン(BCP)、シロール誘導体等が挙げられる。
発光性ドーパントとしては、キナクリドン、ルブレン、クマリン540、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy)3)、(1,10−フェナントロリン)−トリス(4,4,4−トリフルオロ−1−(2−チエニル)−ブタン−1,3−ジオナート)ユーロピウム(III)(Eu(TTA)3phen)等が挙げられる。
キャリアブロック層を形成する材料としては、PBD、TAZ、BCP等が挙げられる。
電子注入層を形成する材料としては、酸化リチウム(Li2O)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al23)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、Liq、Li(acac)、酢酸リチウム、安息香酸リチウム等が挙げられる。
陰極材料としては、アルミニウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウム−リチウム合金、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられる。
本発明の電荷輸送性ワニスを用いたPLED素子の作製方法は、特に限定されないが、以下の方法が挙げられる。
上記OLED素子作製において、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の真空蒸着操作を行う代わりに、正孔輸送性高分子層、発光性高分子層を順次形成することによって本発明の電荷輸送性ワニスによって形成される電荷輸送性薄膜を含むPLED素子を作製することができる。
具体的には、陽極基板上に本発明の電荷輸送性ワニスを塗布して上記の方法により正孔注入層を作製し、その上に正孔輸送性高分子層、発光性高分子層を順次形成し、さらに陰極電極を蒸着してPLED素子とする。
使用する陰極および陽極材料としては、上記OLED素子作製時と同様のものが使用でき、同様の洗浄処理、表面処理を行うことができる。
正孔輸送性高分子層および発光性高分子層の形成法としては、正孔輸送性高分子材料もしくは発光性高分子材料、またはこれらにドーパント物質を加えた材料に溶媒を加えて溶解するか、均一に分散し、正孔注入層または正孔輸送性高分子層の上に塗布した後、それぞれ溶媒の蒸発により成膜する方法が挙げられる。
正孔輸送性高分子材料としては、正孔輸送性高分子材料としては、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N’−ビス{p−ブチルフェニル}−1,4−ジアミノフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N’−ビス{p−ブチルフェニル}−1,1’−ビフェニレン−4,4−ジアミン)]、ポリ[(9,9−ビス{1’−ペンテン−5’−イル}フルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N’−ビス{p−ブチルフェニル}−1,4−ジアミノフェニレン)]、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン]−エンドキャップド ウィズ ポリシルシスキノキサン、ポリ[(9,9−ジジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−(p−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]等が挙げられる。
発光性高分子材料としては、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)等のポリフルオレン誘導体、ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)等のポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)などのポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等が挙げられる。
溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロホルム等を挙げることができ、溶解または均一分散法としては撹拌、加熱撹拌、超音波分散等の方法が挙げられる。
塗布方法としては、特に限定されるものではなく、インクジェット法、スプレー法、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、刷毛塗り等が挙げられる。なお、塗布は、窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。
焼成する方法としては、不活性ガス下または真空中、オーブンまたはホットプレートで加熱する方法が挙げられる。
以下、合成例、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、使用した装置は以下のとおりである。
(1)1H−NMR測定:バリアン製高分解能核磁気共鳴装置
(2)基板洗浄:長州産業(株)製 基板洗浄装置(減圧プラズマ方式)
(3)ワニスの塗布:ミカサ(株)製 スピンコーターMS−A100
(4)膜厚測定:(株)小坂研究所製 微細形状測定機サーフコーダET−4000
(5)EL素子の作製:長州産業(株)製 多機能蒸着装置システムC−E2L1G1−N
(6)EL素子の輝度等の測定:(有)テック・ワールド製 I−V−L測定システム
(7)EL素子の寿命測定:(株)イーエッチシー製 有機EL輝度寿命評価システムPEL−105S
[1]電荷輸送性物質の合成
[合成例1]アニリン誘導体の合成
Figure 0006135752
4,4’−ジアミノジフェニルアミン10.00g(50.19mmol)、4−ブロモトリフェニルアミン34.17g(105.40mmol)、およびキシレン(100g)の混合懸濁液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.5799g(0.5018mmol)とターシャルブトキシナトリウム10.13g(105.40mmol)とを加え、窒素下130℃で14時間撹拌した。
その後、反応混合液を濾過し、その濾液に飽和食塩水を加えて分液処理をした後、有機層から溶媒を留去して得られた固体を1,4−ジオキサンを用いて再結晶し、目的のアニリン誘導体を得た(収量:22.37g、収率:65%)。
1H−NMR(CDCl3):δ7.83(S,2H),7.68(S,1H),7.26−7.20(m,8H),7.01−6.89(m,28H).
[2]電荷輸送性ワニスの調製
[実施例1−1]
合成例1で得られたアニリン誘導体0.206gと、リンタングステン酸(関東化学(株)製)0.412gとを、窒素雰囲気下でジエチレングリコールモノメチルエーテル4.0gに溶解させた。得られた溶液に、プロピレングリコールモノメチルエーテル16.0gを加えて撹拌し、そこへ3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)0.021gおよびフェニルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製)0.041gを加えてさらに撹拌し、電荷輸送性ワニスを調製した。
[実施例1−2〜1−8]
アニリン誘導体の使用量およびリンタングステン酸の使用量を、それぞれ、0.155gおよび0.464g、0.124gおよび0.495g、0.103gおよび0.515g、0.088gおよび0.530g、0.077gおよび0.541g、0.069gおよび0.550g、0.056gおよび0.562gとした以外は、実施例1−1と同様の方法で電荷輸送性ワニスを調製した。
[実施例1−9]
合成例1で得られたアニリン誘導体0.309gと、リンタングステン酸0.619gとを、窒素雰囲気下でジエチレングリコールモノメチルエーテル6.0gに溶解させた。得られた溶液に、プロピレングリコールモノメチルエーテル24.0gを加えて撹拌し、そこへペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン(Scientific Industrial Association Ltd.製)0.028gを加えてさらに撹拌し、電荷輸送性ワニスを調製した。
[実施例1−10〜16]
アニリン誘導体の使用量およびリンタングステン酸の使用量を、それぞれ、0.232gおよび0.696g、0.186gおよび0.742g、0.155gおよび0.773g、0.133gおよび0.795g、0.116gおよび0.812g、0.103gおよび0.825g、0.084gおよび0.843gとした以外は、実施例1−9と同様の方法で電荷輸送性ワニスを調製した。
[実施例1−17]
ペンタフルオロフェニルトリエトキシシランの使用量を0.046gとした以外は、実施例1−11と同様の方法で電荷輸送性ワニスを調製した。
[実施例1−18]
N,N’−ジフェニルベンジジン(東京化成工業(株)製)0.148gと、リンタングステン酸0.594gとを、窒素雰囲気下で1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン8.0gに溶解させた。得られた溶液に、シクロヘキサノール12.0gおよびプロピレングリコール4.0gを加えて撹拌し、そこへ3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン0.025gおよびフェニルトリメトキシシラン0.049gを加えてさらに撹拌し、電荷輸送性ワニスを調製した。
なお、N,N’−ジフェニルベンジジンは、1,4−ジオキサンを用いて再結晶し、その後、減圧下でよく乾燥してから用いた。
[実施例1−19]
N,N’−ジフェニルベンジジンの使用量およびリンタングステン酸の使用量を、0.124gおよび0.619gとした以外は、実施例1−18と同様の方法で電荷輸送性ワニスを調製した。
[比較例1]
3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン0.021gおよびフェニルトリメトキシシラン0.041gを加えなかった以外は、実施例1−1と同様の方法で電荷輸送性ワニスを調製した。
[3]有機EL素子の製造および特性評価
[実施例2−1]
実施例1−1で得られたワニスを、スピンコーターを用いてITO基板に塗布した後、50℃で5分間乾燥し、さらに、大気雰囲気下、160℃で15分間焼成し、ITO基板上に30nmの均一な薄膜を形成した。ITO基板としては、インジウム錫酸化物(ITO)が表面上に膜厚150nmでパターニングされた25mm×25mm×0.7tのガラス基板を用い、使用前にO2プラズマ洗浄装置(150W、30秒間)によって表面上の不純物を除去した。
次いで、薄膜を形成したITO基板に対し、蒸着装置(真空度1.0×10-5Pa)を用いてN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(Alq3)、フッ化リチウム、およびアルミニウムの薄膜を順次積層し、有機EL素子を得た。この際、蒸着レートは、α−NPD,Alq3およびアルミニウムについては0.2nm/秒、フッ化リチウムについては0.02nm/秒の条件でそれぞれ行い、膜厚は、それぞれ30nm、40nm、0.5nmおよび120nmとした。
なお、空気中の酸素、水等の影響による特性劣化を防止するため、有機EL素子は封止基板により封止した後、その特性を評価した。封止は、以下の手順で行った。
酸素濃度2ppm以下、露点−85℃以下の窒素雰囲気中で、有機EL素子を封止基板の間に収め、封止基板を接着材(ナガセケムテックス(株)製,XNR5516Z−B1)により貼り合わせた。この際、捕水剤(ダイニック(株)製,HD−071010W−40)を有機EL素子と共に封止基板内に収めた。
貼り合わせた封止基板に対し、UV光を照射(波長:365nm,照射量:6000mJ/cm2)した後、80℃で1時間、アニーリング処理して接着材を硬化させた。
[実施例2−2〜2−17および比較例2]
実施例1−1で得られたワニスの代わりに、それぞれ、実施例1〜2〜1−17、比較例1で得られたワニスを用いた以外は、実施例2−1と同様の方法で有機EL素子を作製した
[実施例2−18〜2−19]
実施例1−1で得られたワニスの代わりに、それぞれ、実施例1−18〜1−19で得られたワニスを用い、160℃で15分間焼成する代わりに180℃で15分間焼成した以外は、実施例2−1と同様の方法で有機EL素子を作製した。
上記で作製した有機EL素子の駆動電圧5Vにおける電流密度および輝度を測定した。結果を表1に示す。
また、実施例2−1〜2−6で作製した有機EL素子の耐久性試験を行った。輝度の半減期(初期輝度5000cd/m2)を表2に示す。
Figure 0006135752
表1に示されるように、所定のアニリン誘導体およびヘテロポリ酸の他に、有機シラン化合物を含む本発明の電荷輸送性ワニスを用いた場合、160〜180℃という200℃未満の低温で焼成しても優れた輝度特性を有するEL素子を製造できたのに対し、有機シラン化合物を含まない電荷輸送性ワニス(比較例2)を用いた場合、良好な輝度特性を実現できなかった。
Figure 0006135752
表2に示されるように、実施例で作製した電荷輸送性薄膜を備える有機EL素子は、優れた耐久性を示した。

Claims (12)

  1. 200℃未満の低温焼成用の電荷輸送性ワニスであって、
    式(1)で表されるアニリン誘導体からなる電荷輸送性物質と、ヘテロポリ酸からなるドーパント物質と、有機シラン化合物と、有機溶媒とを含むことを特徴とする電荷輸送性ワニス。
    Figure 0006135752
    (式(1)中、X1は、−NY1−、−O−、−S−、−(CR78l−または単結合を表し、
    1は、互いに独立して、水素原子、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、またはZ2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表し、
    1〜R8は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、Z2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基、−NHY2、−NY34、−C(O)Y5、−OY6、−SY7、−SO38、−C(O)OY9、−OC(O)Y10、−C(O)NHY11、または−C(O)NY1213基を表し、
    2〜Y13は、互いに独立して、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、またはZ2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表し、
    1は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、またはZ3で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表し、
    2は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、またはZ3で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基を表し、
    3は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、またはカルボン酸基を表し、
    lは、1〜20の整数を表し、mおよびnは、互いに独立して、0以上の整数を表し、1≦m+n≦20を満たす。但し、mまたはnが0であるときは、X1は、−NY1−を表す。)
  2. 前記R1〜R4が、水素原子、ハロゲン原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、またはZ2で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基であり、
    前記R5およびR6が、水素原子、ハロゲン原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基、またはZ2で置換されていてもよいジフェニルアミノ基である請求項1記載の電荷輸送性ワニス。
  3. 前記ヘテロポリ酸が、リンタングステン酸を含む請求項1または2記載の電荷輸送性ワニス。
  4. 前記電荷輸送性物質の質量(WH)に対する前記ドーパント物質の質量(WD)の比(WD/WH)が、1.0≦WD/WH≦11.0を満たす請求項1〜3のいずれか1項記載の電荷輸送性ワニス。
  5. 前記有機シラン化合物が、ジアルコキシシラン化合物、トリアルコキシシラン化合物またはテトラアルコキシシラン化合物である請求項1〜4のいずれか1項記載の電荷輸送性ワニス。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の電荷輸送性ワニスを用いて作製される電荷輸送性薄膜。
  7. 請求項6記載の電荷輸送性薄膜を有する電子デバイス。
  8. 請求項6記載の電荷輸送性薄膜を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 前記電荷輸送性薄膜が、正孔注入層または正孔輸送層である請求項8記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 請求項1〜5のいずれか1項記載の電荷輸送性ワニスを基材上に塗布して焼成することを特徴とする電荷輸送性薄膜の製造方法。
  11. 200℃未満で焼成することを特徴とする請求項10記載の電荷輸送性薄膜の製造方法。
  12. 請求項6記載の電荷輸送性薄膜を用いる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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