JP6558373B2 - 電荷輸送性ワニス - Google Patents

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Description

本発明は、電荷輸送性ワニスに関する。
有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子は、ディスプレイや照明といった分野での実用化が期待されており、低電圧駆動、高輝度、高寿命等を目的とし、材料や素子構造に関する様々な開発がなされている。
有機EL素子では複数の機能性薄膜が用いられるが、その中の1つである正孔注入層は、陽極と正孔輸送層または発光層との電荷の授受を担い、有機EL素子の低電圧駆動および高輝度を達成するために重要な機能を果たす。
この正孔注入層の形成方法は、蒸着法に代表されるドライプロセスとスピンコート法に代表されるウェットプロセスとに大別される。これらのプロセスを比べると、ウェットプロセスの方が大面積に平坦性の高い薄膜を効率的に製造できることから、特にディスプレイの分野においては、正孔注入層だけでなく、正孔輸送層、発光層等の上層の形成にもウェットプロセスがよく用いられる(特許文献1参照)。
このような状況下、本発明者らは、アニリン誘導体を電荷輸送性物質として含む電荷輸送性ワニスを種々開発してきている(特許文献2〜7参照)が、正孔注入層用のウェットプロセス材料に関しては、依然として改善が求められている。
特に、有機EL素子の輝度特性に寄与し得ることから、正孔注入層だけでなく正孔輸送層等にもより高い均一性が求められており(特許文献8参照)、平坦性に優れた電荷輸送性薄膜を与え、更に、その膜上にウェットプロセスによって形成される正孔輸送層や発光層の優れた塗布性をも実現できる材料が求められている。
特開2008−78181号公報 国際公開第2006/025342号 国際公開第2008/032616号 国際公開第2008/129947号 国際公開第2010/041701号 国際公開第2010/058777号 国際公開第2013/042623号 特開2008−27646号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高平坦性かつ高電荷輸送性を有し、上層材料の塗布性にも優れ、有機EL素子に適用した場合に優れた輝度特性を発揮させる薄膜を与え得る電荷輸送性ワニスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、電荷輸送性物質と、ドーパント物質と、塩素原子を含有する有機シラン化合物とを含む電荷輸送性ワニスを用いることで、平坦性、電荷輸送性かつ上層材料の塗布性に優れた薄膜を作製できること、および当該薄膜を有機EL素子に適用した場合に良好な輝度特性等を実現できることを見出し、本発明を完成させた。
なお、特許文献3,4には、オリゴアニリン誘導体と電子受容性あるいは正孔受容性ドーパント物質とシラン化合物と有機溶媒からなる電荷輸送性ワニスから得られる薄膜やそれを備える有機EL素子が開示されているが、本発明で用いるシラン化合物やこれを含む電荷輸送性ワニスは具体的に開示されておらず、当該ワニスから得られる薄膜が、その上に塗布される上層材料の塗布性に優れることを教示する記載も示唆する記載もない。
すなわち、本発明は、
1. 電荷輸送性物質と、ドーパント物質と、含塩素一価炭化水素基を置換基として有する有機シラン化合物と、有機溶媒とを含むことを特徴とする電荷輸送性ワニス、
2. 前記含塩素一価炭化水素基を置換基として有する有機シラン化合物が、含塩素一価炭化水素基置換トリアルコキシシラン化合物である1の電荷輸送性ワニス、
3. 前記含塩素一価炭化水素基が、炭素数1〜20の塩化アルキル基および炭素数6〜20の塩化アリール基から選ばれる少なくとも1種である1または2の電荷輸送性ワニス、
4. 含塩素一価炭化水素基を置換基として有する有機シラン化合物が、クロロフェニルトリアルコキシシランである1〜3のいずれかの電荷輸送性ワニス、
5. 前記ドーパント物質が、ヘテロポリ酸である1〜4のいずれかの電荷輸送性ワニス、
6. 1〜5のいずれかの電荷輸送性ワニスを用いて作製される電荷輸送性薄膜、
7. 6の電荷輸送性薄膜を有する電子デバイス、
8. 6の電荷輸送性薄膜を有する有機エレクトロルミネッセンス素子、
9. 前記電荷輸送性薄膜が、正孔注入層または正孔輸送層である8の有機エレクトロルミネッセンス素子、
10. 1〜5のいずれかの電荷輸送性ワニスを基材上に塗布し、溶媒を蒸発させることを特徴とする電荷輸送性薄膜の製造方法
を提供する。
本発明の電荷輸送性ワニスから得られた薄膜は、高平坦性および高電荷輸送性を有し、当該薄膜を正孔注入層に適用したときに良好な輝度特性を実現し得る有機EL素子が得られる。
また、本発明の電荷輸送性ワニスから得られた薄膜は、シラン化合物由来の塩素原子含有一価炭化水素基を含むにもかかわらず、その表面の上層材料に使用される溶媒の接触角はシラン化合物を添加せずに得られた薄膜と差異はない。
さらに、本発明の電荷輸送性ワニスは、スピンコート法やスリットコート法など、大面積に成膜可能な各種ウェットプロセスを用いた場合でも電荷輸送性に優れた薄膜を再現性よく製造できるため、近年の有機EL素子の分野における進展にも十分対応できる。
また、本発明の電荷輸送性ワニスから得られる薄膜は、帯電防止膜や有機薄膜太陽電池の陽極バッファ層等としても使用できる。
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明に係る電荷輸送性ワニスは、電荷輸送性物質と、ドーパント物質と、含塩素一価炭化水素基を置換基として有する有機シラン化合物と、有機溶媒とを含むものである。
ここで、電荷輸送性とは、導電性と同義であり、正孔輸送性と同義である。電荷輸送性物質は、それ自体に電荷輸送性があるものでもよく、ドーパント物質(電子受容性物質)と共に用いた際に電荷輸送性があるものでもよい。電荷輸送性ワニスは、それ自体に電荷輸送性があるものでもよく、それにより得られる固形膜が電荷輸送性を有するものでもよい。
本発明で用いる電荷輸送性物質としては、電荷輸送性を有する物質であれば特に限定されるものではなく、例えば有機EL素子の分野等で用いられる電荷輸送性モノマー、電荷輸送性オリゴマーまたはポリマーが好適に使用できるが、平坦性の高い電荷輸送性薄膜を与える電荷輸送性ワニスを再現性よく調製できることから、電荷輸送性オリゴマーが好ましい。
電荷輸送性オリゴマーの具体例としては、オリゴアニリン誘導体、N,N'−ジアリールベンジジン誘導体、N,N,N',N'−テトラアリールベンジジン誘導体等のアニリン誘導体(アリールアミン誘導体)、オリゴチオフェン誘導体、チエノチオフェン誘導体、チエノベンゾチオフェン誘導体等のチオフェン誘導体、オリゴピロール誘導体等のピロール誘導体等の各種正孔輸送性物質が挙げられるが、中でも、アリールアミン誘導体、チオフェン誘導体が好ましく、アリールアミン誘導体がより好ましい。
本発明において、電荷輸送性オリゴマーの分子量は、有機溶媒に溶解する限り特に限定されるわけではないが、通常200〜9,000である。
分子量は、より高い電荷輸送性に優れる薄膜を再現性よく得る観点から、300以上がより好ましく、400以上がより一層好ましく、平坦性の高い薄膜を再現性よく与える均一なワニスを調製する観点から、8,000以下が好ましく、7,000以下がより好ましく、6,000以下がより一層好ましく、5,000以下がさらに好ましい。
また、薄膜化した場合に電荷輸送性物質が分離することを防ぐ観点から、電荷輸送性オリゴマー等の電荷輸送性物質は分子量分布のない(分散度が1)ことが好ましい(すなわち、単一の分子量であることが好ましい)。
アニリン誘導体の具体例としては、式(1)で表されるものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
Figure 0006558373
式(1)中、X1は、−NY1−、−O−、−S−、−(CR78L−、または単結合を表すが、m1またはm2が0であるときは、−NY1−を表す。
1は、互いに独立して、水素原子、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、またはZ2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表す。
炭素数1〜20のアルキル基の具体例としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ビシクロブチル基、ビシクロペンチル基、ビシクロヘキシル基、ビシクロヘプチル基、ビシクロオクチル基、ビシクロノニル基、ビシクロデシル基等の炭素数3〜20の環状アルキル基などが挙げられる。
炭素数2〜20のアルケニル基の具体例としては、エテニル基、n−1−プロペニル基、n−2−プロペニル基、1−メチルエテニル基、n−1−ブテニル基、n−2−ブテニル基、n−3−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−エチルエテニル基、1−メチル−1−プロペニル基、1−メチル−2−プロペニル基、n−1−ペンテニル基、n−1−デセニル基、n−1−エイコセニル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のアルキニル基の具体例としては、エチニル基、n−1−プロピニル基、n−2−プロピニル基、n−1−ブチニル基、n−2−ブチニル基、n−3−ブチニル基、1−メチル−2−プロピニル基、n−1−ペンチニル基、n−2−ペンチニル基、n−3−ペンチニル基、n−4−ペンチニル基、1−メチル−n−ブチニル基、2−メチル−n−ブチニル基、3−メチル−n−ブチニル基、1,1−ジメチル−n−プロピニル基、n−1−ヘキシニル、n−1−デシニル基、n−1−ペンタデシニル基、n−1−エイコシニル基等が挙げられる。
炭素数6〜20のアリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のヘテロアリール基の具体例としては、2−チエニル基、3−チエニル基、2−フラニル基、3−フラニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、3−イソオキサゾリル基、4−イソオキサゾリル基、5−イソオキサゾリル基、2−チアゾリル基、4−チアゾリル基、5−チアゾリル基、3−イソチアゾリル基、4−イソチアゾリル基、5−イソチアゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基等が挙げられる。
7およびR8は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、Z2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基、または−NHY2、−NY34、−C(O)Y5、−OY6、−SY7、−SO38、−C(O)OY9、−OC(O)Y10、−C(O)NHY11もしくはC(O)NY1213基を表す。
2〜Y13は、互いに独立して、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、またはZ2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基を表す。
1は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、またはZ3で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基である。
2は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、またはZ3で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基である。
3は、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、またはカルボン酸基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
その他、R7、R8およびY2〜Y13のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基としては、上記と同様のものが挙げられる。
これらの中でも、R7およびR8としては、水素原子またはZ1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、水素原子またはZ1で置換されていてもよいメチル基がより好ましく、共に水素原子が最適である。
Lは、−(CR78)−で表される2価のアルキレン基の繰り返し単位数を表し、1〜20の整数であるが、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜2がより一層好ましく、1が最適である。
なお、Lが2以上である場合、複数のR7は、互いに同一であっても異なっていてもよく、複数のR8も、互いに同一であっても異なっていてもよい。
とりわけ、X1としては、−NY1−または単結合が好ましい。また、Y1としては、水素原子またはZ1で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、水素原子またはZ1で置換されていてもよいメチル基がより好ましく、水素原子が最適である。
1〜R4は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アルデヒド基、水酸基、チオール基、スルホン酸基、カルボン酸基、Z1で置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基もしくは炭素数2〜20のアルキニル基、Z2で置換されていてもよい、炭素数6〜20のアリール基もしくは炭素数2〜20のヘテロアリール基、または−NHY2、−NY34、−C(O)Y5、−OY6、−SY7、−SO38、−C(O)OY9、−OC(O)Y10、−C(O)NHY11もしくはC(O)NY1213を表す(Y2〜Y13は、上記と同じ意味を表す。)。これらハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基およびヘテロアリール基としては、上記と同様のものが挙げられる。
特に、式(1)において、R1〜R4としては、水素原子、ハロゲン原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、またはZ2で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基が好ましく、水素原子、フッ素原子、またはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、全て水素原子が最適である。
また、R5およびR6としては、水素原子、ハロゲン原子、Z1で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、Z2で置換されていてもよい炭素数6〜14のアリール基、またはZ2で置換されていてもよいジフェニルアミノ基(Y3およびY4がZ2で置換されていてもよいフェニル基である−NY34基)が好ましく、水素原子、フッ素原子、またはフッ素原子で置換されていてもよいジフェニルアミノ基がより好ましく、同時に水素原子またはジフェニルアミノ基がより一層好ましい。
そして、これらの中でも、R1〜R4が水素原子、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基、R5およびR6が水素原子、フッ素原子、フッ素原子で置換されていてもよいジフェニルアミノ基、X1が−NY1−または単結合、かつ、Y1が水素原子またはメチル基の組み合わせが好ましく、R1〜R4が水素原子、R5およびR6が同時に水素原子またはジフェニルアミノ基、X1が−NH−または単結合の組み合わせがより好ましい。
式(1)において、m1およびm2は、互いに独立して、0以上の整数を表し、1≦m1+m2≦20を満たすが、得られる薄膜の電荷輸送性とアニリン誘導体の溶解性とのバランスを考慮すると、2≦m1+m2≦8を満たすことが好ましく、2≦m1+m2≦6を満たすことがより好ましく、2≦m1+m2≦4を満たすことがより一層好ましい。
特に、Y1〜Y13およびR1〜R8において、置換基Z1は、ハロゲン原子、またはZ3で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基が好ましく、ハロゲン原子、またはZ3で置換されていてもよいフェニル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
また、置換基Z2は、ハロゲン原子、またはZ3で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基が好ましく、ハロゲン原子、またはZ3で置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
そして、Z3は、ハロゲン原子が好ましく、フッ素原子がより好ましく、存在しないこと(すなわち、非置換であること)が最適である。
1〜Y13およびR1〜R8では、アルキル基、アルケニル基およびアルキニル基の炭素数は、好ましくは10以下であり、より好ましくは6以下であり、より一層好ましくは4以下である。
また、アリール基およびヘテロアリール基の炭素数は、好ましくは14以下であり、より好ましくは10以下であり、より一層好ましくは6以下である。
なお、上記アニリン誘導体の合成法としては、特に限定されるものではないが、Bulletin of Chemical Society of Japan,67,pp.1749-1752,(1994)、Synthetic Metals,84,pp.119-120,(1997)、Thin Solid Films,520(24),pp.7157-7163,(2012)、国際公開第2008/032617号、国際公開第2008/032616号、国際公開第2008/129947号等に記載の方法が挙げられる。
式(1)で表されるアニリン誘導体の具体例としては、フェニルジアニリン、フェニルトリアニリン、フェニルテトラアニリン、フェニルペンタアニリン、テトラアニリン(アニリン4量体)、オクタアニリン(アニリン8量体)、ヘキサデカアニリン(アニリン16量体)や、下記式で表されるものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006558373
本発明の電荷輸送性ワニスに用いられる含塩素一価炭化水素基をケイ素原子上の置換基として有する有機シラン化合物としては、例えば、含塩素一価炭化水素基を置換基として有するジアルコキシシラン、トリアルコキシシランが挙げられるが、含塩素一価炭化水素基を置換基として有するトリアルコキシシランが好ましい。
含塩素一価炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜20の塩化アルキル基、炭素数2〜20の塩化アルケニル基、炭素数2〜20の塩化アルキニル基、炭素数6〜20の塩化アリール基等が挙げられるが、炭素数1〜20の塩化アルキル基、炭素数6〜20の塩化アリール基が好ましく、炭素数1〜10の塩化アルキル基、炭素数6〜10の塩化アリール基がより好ましい。
炭素数1〜20の塩化アルキル基の具体例としては、上述した炭素数1〜20のアルキル基の少なくとも1つの水素原子を塩素原子で置換した基等が挙げられる。
より具体的には、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、1−クロロエチル基、1,1−ジクロロエチル基、2−クロロエチル基、2,2−ジクロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタクロロエチル基、3−クロロプロピル基、3,3−ジクロロプロピル基、3,3,3−トリクロロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタクロロプロピル基、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタクロロプロピル基等が挙げられる。
炭素数2〜20の塩化アルケニル基の具体例としては、上述した炭素数2〜20のアルケニル基の少なくとも1つの水素原子を塩素原子で置換した基等が挙げられる。
より具体的には、1−クロロエテニル基、3−クロロ−1−プロペニル基等が挙げられる。
炭素数2〜20の塩化アルキニル基の具体例としては、上述した炭素数2〜20のアルキニル基の少なくとも1つの水素原子を塩素原子で置換した基等が挙げられる。
より具体的には、1−クロロエチニル基、3−クロロ−1−プロピニル基等が挙げられる。
炭素数6〜20の塩化アリール基の具体例としては、上述した炭素数6〜20のアリール基の少なくとも1つの水素原子を塩素原子で置換した基等が挙げられる。
より具体的には、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、パークロロフェニル基、4−クロロ−1−ナフチル基、4−クロロ−2−ナフチル基等が挙げられる。
本発明で好適に用いることができる有機シラン化合物としては、クロロメチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロアルキルトリアルコキシシラン、2−クロロフェニルトリメトキシシラン、3−クロロフェニルトリメトキシシラン、4−クロロフェニルトリメトキシシラン、2−クロロフェニルトリエトキシシラン、3−クロロフェニルトリエトキシシラン、4−クロロフェニルトリエトキシシラン等のクロロフェニルトリアルコキシシランなどが挙げられるが、中でもクロロフェニルトリアルコキシシランが好ましく、4−クロロフェニルトリアルコキシシランがより好ましく、4−クロロフェニルトリメトキシシランが最適である。
含塩素一価炭化水素基を置換基として有する有機シラン化合物の使用量は、得られる薄膜の接触角や有機EL素子特性に悪影響を及ぼさない限り特に限定されるものではないが、電荷輸送性物質およびドーパント物質の総質量に対して、通常0.1〜50質量%程度であり、好ましくは0.5〜40質量%程度、より好ましくは0.8〜30質量%程度、より一層好ましくは1〜20質量%程度である。
本発明の電荷輸送性ワニスに用いられるドーパント物質としては、ワニスに使用する少なくとも一種の溶媒に溶解するものであれば特に限定されず、無機系のドーパント物質、有機系のドーパント物質のいずれも使用できる。
無機系のドーパント物質としては、塩化水素、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;塩化アルミニウム(III)(AlCl3)、四塩化チタン(IV)(TiCl4)、三臭化ホウ素(BBr3)、三フッ化ホウ素エーテル錯体(BF3・OEt2)、塩化鉄(III)(FeCl3)、塩化銅(II)(CuCl2)、五塩化アンチモン(V)(SbCl5)、五フッ化アンチモン(V)(SbF5)、五フッ化砒素(V)(AsF5)、五フッ化リン(PF5)、トリス(4−ブロモフェニル)アルミニウムヘキサクロロアンチモナート(TBPAH)等の金属ハロゲン化物;Cl2、Br2、I2、ICl、ICl3、IBr、IF4等のハロゲン;リンモリブデン酸、リンタングステン酸等のヘテロポリ酸などが挙げられる。
有機系のドーパント物質としては、ベンゼンスルホン酸、トシル酸、p−スチレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、p−ドデシルベンゼンスルホン酸、ジヘキシルベンゼンスルホン酸、2,5−ジヘキシルベンゼンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸、6,7−ジブチル−2−ナフタレンスルホン酸、ドデシルナフタレンスルホン酸、3−ドデシル−2−ナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、4−ヘキシル−1−ナフタレンスルホン酸、オクチルナフタレンスルホン酸、2−オクチル−1−ナフタレンスルホン酸、ヘキシルナフタレンスルホン酸、7−へキシル−1−ナフタレンスルホン酸、6−ヘキシル−2−ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、2,7−ジノニル−4−ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸、2,7−ジノニル−4,5−ナフタレンジスルホン酸、国際公開第2005/000832号記載の1,4−ベンゾジオキサンジスルホン酸化合物、国際公開第2006/025342号記載のアリールスルホン酸化合物、国際公開第2009/096352号記載のアリールスルホン酸化合物、ポリスチレンスルホン酸等のアリールスルホン化合物;10−カンファースルホン酸等の非アリールスルホン化合物;7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)等の有機酸化剤が挙げられる。
これら無機系および有機系のドーパント物質は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
これらのドーパント物質の中でもヘテロポリ酸が好適であり、ドーパント物質としてヘテロポリ酸を用いることで、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)に代表される透明電極からの高正孔受容能のみならず、アルミニウムに代表される金属陽極からの高正孔受容能を示す電荷輸送性に優れた薄膜を得ることができる。
ヘテロポリ酸とは、代表的に式(B1)で示されるKeggin型あるいは式(B2)で示されるDawson型の化学構造で示される、ヘテロ原子が分子の中心に位置する構造を有し、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等の酸素酸であるイソポリ酸と、異種元素の酸素酸とが縮合してなるポリ酸である。このような異種元素の酸素酸としては、主にケイ素(Si)、リン(P)、ヒ素(As)の酸素酸が挙げられる。
Figure 0006558373
ヘテロポリ酸の具体例としては、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、リンタングストモリブデン酸等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なお、本発明で用いるヘテロポリ酸は、市販品として入手可能であり、また、公知の方法により合成することもできる。
特に、ドーパント物質が1種類のヘテロポリ酸単独からなる場合、その1種類のヘテロポリ酸は、リンタングステン酸またはリンモリブデン酸が好ましく、リンタングステン酸が最適である。また、ドーパント物質が2種類以上のヘテロポリ酸からなる場合、その2種類以上のヘテロポリ酸の1つは、リンタングステン酸またはリンモリブデン酸が好ましく、リンタングステン酸がより好ましい。
なお、ヘテロポリ酸は、元素分析等の定量分析において、一般式で示される構造から元素の数が多いもの、または少ないものであっても、それが市販品として入手したもの、あるいは、公知の合成方法にしたがって適切に合成したものである限り、本発明において用いることができる。
すなわち、例えば、一般的には、リンタングステン酸は化学式H3(PW1240)・nH2Oで、リンモリブデン酸は化学式H3(PMo1240)・nH2Oでそれぞれ示されるが、定量分析において、この式中のP(リン)、O(酸素)またはW(タングステン)もしくはMo(モリブデン)の数が多いもの、または少ないものであっても、それが市販品として入手したもの、あるいは、公知の合成方法にしたがって適切に合成したものである限り、本発明において用いることができる。この場合、本発明に規定されるヘテロポリ酸の質量とは、合成物や市販品中における純粋なリンタングステン酸の質量(リンタングステン酸含量)ではなく、市販品として入手可能な形態および公知の合成法にて単離可能な形態において、水和水やその他の不純物等を含んだ状態での全質量を意味する。
また、ドーパント物質としてアリールスルホン酸化合物も好適に使用できる。とりわけ、式(2)または(3)で表されるアリールスルホン酸化合物が好ましい。
Figure 0006558373
1は、OまたはSを表すが、Oが好ましい。
2は、ナフタレン環またはアントラセン環を表すが、ナフタレン環が好ましい。
3は、2〜4価のパーフルオロビフェニル基を表し、pは、A1とA3との結合数を示し、2≦p≦4を満たす整数であるが、A3が2価のパーフルオロビフェニル基であり、かつ、pが2であることが好ましい。
qは、A2に結合するスルホン酸基数を表し、1≦q≦4を満たす整数であるが、2が最適である。
4〜A8は、互いに独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基、または炭素数2〜20のハロゲン化アルケニル基を表すが、A4〜A8のうち少なくとも3つは、ハロゲン原子である。
炭素数1〜20のハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル基、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,4−ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
炭素数2〜20のハロゲン化アルケニル基としては、パーフルオロビニル基、パーフルオロプロペニル基(アリル基)、パーフルオロブテニル基等が挙げられる。
その他、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基の例としては上記と同様のものが挙げられるが、ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
これらの中でも、A4〜A8は、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、または炭素数2〜10のハロゲン化アルケニル基であり、かつ、A4〜A8のうち少なくとも3つは、フッ素原子であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のフッ化アルキル基、または炭素数2〜5のフッ化アルケニル基であり、かつ、A4〜A8のうち少なくとも3つはフッ素原子であることがより好ましく、水素原子、フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基、または炭素数1〜5のパーフルオロアルケニル基であり、かつ、A4、A5およびA8がフッ素原子であることがより一層好ましい。
なお、パーフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子全てがフッ素原子に置換された基であり、パーフルオロアルケニル基とは、アルケニル基の水素原子全てがフッ素原子に置換された基である。
rは、ナフタレン環に結合するスルホン酸基数を表し、1≦r≦4を満たす整数であるが、2〜4が好ましく、2が最適である。
ドーパント物質として用いるアリールスルホン酸化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、電荷輸送性オリゴマーとともに用いた場合の有機溶媒への溶解性を考慮すると、好ましくは2000以下、より好ましくは1500以下である。
以下、本発明において、ドーパント物質として好適なアリールスルホン酸化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるわけではない。
Figure 0006558373
本発明の電荷輸送性ワニスにドーパント物質を含める場合、ドーパント物質の使用量は、ドーパント物質の種類、所望の電荷輸送性の程度等を考慮して適宜決定するため、一概には規定できないが、一般的に、質量比で、電荷輸送性物質1に対して、0.01〜50の範囲内となる。
電荷輸送性ワニスを調製する際に用いられる有機溶媒としては、電荷輸送性物質、ドーパント物質、および有機シラン化合物を良好に溶解し得る高溶解性溶媒を用いることができる。
このような高溶解性溶媒としては、例えば、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、N,N−ジメチルイソ酪酸アミド等の有機溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は1種単独で、または2種以上混合して用いることができ、その使用量は、ワニスに使用する溶媒全体に対して5〜100質量%とすることができる。
なお、電荷輸送性物質、ドーパント物質および有機シラン化合物は、いずれも上記溶媒に完全に溶解しているか、均一に分散している状態となっていることが好ましく、完全に溶解していることがより好ましい。
また、本発明においては、ワニスに、25℃で10〜200mPa・s、特に35〜150mPa・sの粘度を有し、常圧(大気圧)で沸点50〜300℃、特に150〜250℃の高粘度有機溶媒を少なくとも1種類含有させることで、ワニスの粘度の調整が容易になり、その結果、平坦性の高い薄膜を再現性よく与える、用いる塗布方法に応じたワニス調製が可能となる。
高粘度有機溶媒としては、例えば、シクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3−オクチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、へキシレングリコール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
本発明のワニスに用いられる溶媒全体に対する高粘度有機溶媒の添加割合は、固体が析出しない範囲内であることが好ましく、固体が析出しない限りにおいて、添加割合は、5〜90質量%が好ましい。
さらに、基板に対する濡れ性の向上、溶媒の表面張力の調整、極性の調整、沸点の調整等の目的で、その他の溶媒を、ワニスに使用する溶媒全体に対して1〜90質量%、好ましくは1〜50質量%の割合で混合することもできる。
このような溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジアセトンアルコール、γ−ブチロラクトン、エチルラクテート、n−ヘキシルアセテート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの溶媒は1種単独で、または2種以上混合して用いることができる。
本発明のワニスの粘度は、作製する薄膜の厚み等や固形分濃度などに応じて適宜設定されるものではあるが、通常、25℃で1〜50mPa・sである。また、本発明のワニスの表面張力は、用いる塗布法などに応じて適宜設定させるものではあるが、通常、20〜50mN/mである。
また、本発明における電荷輸送性ワニスの固形分濃度は、ワニスの粘度および表面張力等や、作製する薄膜の厚み等を勘案して適宜設定されるものではあるが、通常、0.1〜10.0質量%程度であり、ワニスの塗布性を向上させることを考慮すると、好ましくは0.5〜5.0質量%程度、より好ましくは1.0〜3.0質量%程度である。なお、固形分とは、電荷輸送性物質およびドーパント物質を意味する。
以上で説明した電荷輸送性ワニスを基材上に塗布して焼成することで、基材上に電荷輸送性薄膜を形成させることができる。
ワニスの塗布方法としては、特に限定されるものではなく、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、刷毛塗り、インクジェット法、スプレー法、スリットコート法等が挙げられ、塗布方法に応じてワニスの粘度および表面張力を調節することが好ましい。
また、本発明のワニスを用いる場合、焼成雰囲気も特に限定されるものではなく、大気雰囲気だけでなく、窒素等の不活性ガスや真空中でも均一な成膜面および高い電荷輸送性を有する薄膜を得ることができる。
焼成温度は、得られる薄膜の用途、得られる薄膜に付与する電荷輸送性の程度、溶媒の種類や沸点等を勘案して、100〜260℃程度の範囲内で適宜設定されるものではあるが、得られる薄膜を有機EL素子の正孔注入層として用いる場合、140〜250℃程度が好ましく、145〜240℃程度がより好ましい。
なお、焼成の際、より高い均一成膜性を発現させたり、基材上で反応を進行させたりする目的で、2段階以上の温度変化をつけてもよく、加熱は、例えば、ホットプレートやオーブン等、適当な機器を用いて行えばよい。
電荷輸送性薄膜の膜厚は、特に限定されないが、有機EL素子内で正孔注入層として用いる場合、5〜200nmが好ましい。膜厚を変化させる方法としては、ワニス中の固形分濃度を変化させたり、塗布時の基板上の溶液量を変化させたりするなどの方法がある。
以上説明した本発明の電荷輸送性薄膜は、電荷輸送性と平坦性に優れる。さらに、当該薄膜上においては、有機EL素子の正孔輸送層や発光層をウェットプロセスによって形成する際に用いられるワニス中に含まれるトルエン、キシレン、クロロホルム、3−フェノキシトルエン、テトラリン等の有機溶媒が好適な塗膜を形成できる。
それゆえ、本発明の電荷輸送性ワニスから得られる当該薄膜は、ウェットプロセスによって形成される多層構造を有する有機EL素子等の電子デバイスに好適に使用できる。
本発明の電荷輸送性ワニスから得られる薄膜からなる正孔注入層を有するOLED素子の作製方法の例は、以下のとおりである。
使用する電極基板は、洗剤、アルコール、純水等による液体洗浄を予め行って浄化しておくことが好ましく、例えば、陽極基板では使用直前にUVオゾン処理、酸素−プラズマ処理等の表面処理を行うことが好ましい。ただし陽極材料が有機物を主成分とする場合、表面処理を行わなくともよい。
上記の方法により、陽極基板上に本発明の電荷輸送性ワニスを塗布して焼成し、電極上に正孔注入層を作製する。これを真空蒸着装置内に導入し、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子輸送層/ホールブロック層、陰極金属を順次蒸着してOLED素子とする。なお、必要に応じて、発光層と正孔輸送層との間に電子ブロック層を設けてよい。
陽極材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)に代表される透明電極や、アルミニウムに代表される金属やこれらの合金等から構成される金属陽極が挙げられ、平坦化処理を行ったものが好ましい。高電荷輸送性を有するポリチオフェン誘導体やポリアニリン誘導体を用いることもできる。
なお、金属陽極を構成するその他の金属としては、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、インジウム、スカンジウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ハフニウム、タリウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、プラチナ、金、チタン、鉛、ビスマスやこれらの合金等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
正孔輸送層を形成する材料としては、(トリフェニルアミン)ダイマー誘導体、[(トリフェニルアミン)ダイマー]スピロダイマー、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(α−NPD)、N,N’−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−スピロビフルオレン、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−スピロビフルオレン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジメチル−フルオレン、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジメチル−フルオレン、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニル−フルオレン、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−9,9−ジフェニル−フルオレン、N,N’−ビス(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’,7,7’−テトラキス(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9−スピロビフルオレン、9,9−ビス[4−(N,N−ビス−ビフェニル−4−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−(N,N−ビス−ナフタレン−2−イル−アミノ)フェニル]−9H−フルオレン、9,9−ビス[4−(N−ナフタレン−1−イル−N−フェニルアミノ)−フェニル]−9H−フルオレン、2,2’,7,7’−テトラキス[N−ナフタレニル(フェニル)−アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、N,N’−ビス(フェナントレン−9−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン、2,2’−ビス[N,N−ビス(ビフェニル−4−イル)アミノ]−9,9−スピロビフルオレン、2,2’−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)−9,9−スピロビフルオレン、ジ−[4−(N,N−ジ(p−トリル)アミノ)−フェニル]シクロヘキサン、2,2’,7,7’−テトラ(N,N−ジ(p−トリル))アミノ−9,9−スピロビフルオレン、N,N,N’,N’−テトラ−ナフタレン−2−イル−ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラ−(3−メチルフェニル)−3,3’−ジメチルベンジジン、N,N’−ジ(ナフタレニル)−N,N’−ジ(ナフタレン−2−イル)−ベンジジン、N,N,N’,N’−テトラ(ナフタレニル)−ベンジジン、N,N’−ジ(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン−1,4−ジアミン、N1,N4−ジフェニル−N1,N4−ジ(m−トリル)ベンゼン−1,4−ジアミン、N2,N2,N6,N6−テトラフェニルナフタレン−2,6−ジアミン、トリス(4−(キノリン−8−イル)フェニル)アミン、2,2’−ビス(3−(N,N−ジ(p−トリル)アミノ)フェニル)ビフェニル、4,4’,4”−トリス[3−メチルフェニル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(m−MTDATA)、4,4’,4”−トリス[1−ナフチル(フェニル)アミノ]トリフェニルアミン(1−TNATA)等のトリアリールアミン類、5,5”−ビス−{4−[ビス(4−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−2,2’:5’,2”−ターチオフェン(BMA−3T)等のオリゴチオフェン類などが挙げられる。
発光層を形成する材料としては、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム(III)(Alq3)、ビス(8−キノリノラート)亜鉛(II)(Znq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラート)−4−(p−フェニルフェノラート)アルミニウム(III)(BAlq)、4,4’−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン、2−t−ブチル−9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン、2,7−ビス[9,9−ジ(4−メチルフェニル)−フルオレン−2−イル]−9,9−ジ(4−メチルフェニル)フルオレン、2−メチル−9,10−ビス(ナフタレン−2−イル)アントラセン、2−(9,9−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9−スピロビフルオレン、2,7−ビス(9,9−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9−スピロビフルオレン、2−[9,9−ジ(4−メチルフェニル)−フルオレン−2−イル]−9,9−ジ(4−メチルフェニル)フルオレン、2,2’−ジピレニル−9,9−スピロビフルオレン、1,3,5−トリス(ピレン−1−イル)ベンゼン、9,9−ビス[4−(ピレニル)フェニル]−9H−フルオレン、2,2’−ビ(9,10−ジフェニルアントラセン)、2,7−ジピレニル−9,9−スピロビフルオレン、1,4−ジ(ピレン−1−イル)ベンゼン、1,3−ジ(ピレン−1−イル)ベンゼン、6,13−ジ(ビフェニル−4−イル)ペンタセン、3,9−ジ(ナフタレン−2−イル)ペリレン、3,10−ジ(ナフタレン−2−イル)ペリレン、トリス[4−(ピレニル)−フェニル]アミン、10,10’−ジ(ビフェニル−4−イル)−9,9’−ビアントラセン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’:4’,1’’:4’’,1’’’−クウォーターフェニル]−4,4’’’−ジアミン、4,4’−ジ[10−(ナフタレン−1−イル)アントラセン−9−イル]ビフェニル、ジベンゾ{[f,f’]−4,4’,7,7’−テトラフェニル}ジインデノ[1,2,3−cd:1’,2’,3’−lm]ペリレン、1−(7−(9,9’−ビアントラセン−10−イル)−9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)ピレン、1−(7−(9,9’−ビアントラセン−10−イル)−9,9−ジヘキシル−9H−フルオレン−2−イル)ピレン、1,3−ビス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン、1,3,5−トリス(カルバゾール−9−イル)ベンゼン、4,4’,4”−トリス(カルバゾール−9−イル)トリフェニルアミン、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジメチルフルオレン、2,2’,7,7’−テトラキス(カルバゾール−9−イル)−9,9−スピロビフルオレン、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジ(p−トリル)フルオレン、9,9−ビス[4−(カルバゾール−9−イル)−フェニル]フルオレン、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−スピロビフルオレン、1,4−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン、ビス(4−N,N−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−4−メチルフェニルメタン、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジオクチルフルオレン、4,4”−ジ(トリフェニルシリル)−p−ターフェニル、4,4’−ジ(トリフェニルシリル)ビフェニル、9−(4−t−ブチルフェニル)−3,6−ビス(トリフェニルシリル)−9H−カルバゾール、9−(4−t−ブチルフェニル)−3,6−ジトリチル−9H−カルバゾール、9−(4−t−ブチルフェニル)−3,6−ビス(9−(4−メトキシフェニル)−9H−フルオレン−9−イル)−9H−カルバゾール、2,6−ビス(3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)ピリジン、トリフェニル(4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル)シラン、9,9−ジメチル−N,N−ジフェニル−7−(4−(1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)フェニル)−9H−フルオレン−2−アミン、3,5−ビス(3−(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)ピリジン、9,9−スピロビフルオレン−2−イル−ジフェニル−フォスフィン オキサイド、9,9’−(5−(トリフェニルシリル)−1,3−フェニレン)ビス(9H−カルバゾール)、3−(2,7−ビス(ジフェニルフォスフォリル)−9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)−9−フェニル−9H−カルバゾール、4,4,8,8,12,12−ヘキサ(p−トリル)−4H−8H−12H−12C−アザジベンゾ[cd,mn]ピレン、4,7−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)−1,10−フェナントロリン、2,2’−ビス(4−(カルバゾール−9−イル)フェニル)ビフェニル、2,8−ビス(ジフェニルフォスフォリル)ジベンゾ[b,d]チオフェン、ビス(2−メチルフェニル)ジフェニルシラン、ビス[3,5−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル]ジフェニルシラン、3,6−ビス(カルバゾール−9−イル)−9−(2−エチル−ヘキシル)−9H−カルバゾール、3−(ジフェニルフォスフォリル)−9−(4−(ジフェニルフォスフォリル)フェニル)−9H−カルバゾール、3,6−ビス[(3,5−ジフェニル)フェニル]−9−フェニルカルバゾール等が挙げられ、発光性ドーパントと共蒸着することによって、発光層を形成してもよい。
発光性ドーパントとしては、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−(ジエチルアミノ)クマリン、2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H,11H−10−(2−ベンゾチアゾリル)キノリジノ[9,9a,1gh]クマリン、キナクリドン、N,N’−ジメチル−キナクリドン、トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(III)(Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)(Ir(ppy)2(acac))、トリス[2−(p−トリル)ピリジン]イリジウム(III)(Ir(mppy)3)、9,10−ビス[N,N−ジ(p−トリル)アミノ]アントラセン、9,10−ビス[フェニル(m−トリル)アミノ]アントラセン、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(II)、N10,N10,N10’,N10’−テトラ(p−トリル)−9,9’−ビアントラセン−10,10’−ジアミン、N10,N10,N10’,N10’−テトラフェニル−9,9’−ビアントラセン−10,10’−ジアミン、N10,N10’−ジフェニル−N10,N10’−ジナフタレニル−9,9’−ビアントラセン−10,10’−ジアミン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル、ペリレン、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン、1,4−ビス[2−(3−N−エチルカルバゾリル)ビニル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル、4−(ジ−p−トリルアミノ)−4’−[(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]スチルベン、ビス[3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)]イリジウム(III)、4,4’−ビス[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]ビフェニル、ビス(2,4−ジフルオロフェニルピリジナト)テトラキス(1−ピラゾリル)ボレートイリジウム(III)、N,N’−ビス(ナフタレン−2−イル)−N,N’−ビス(フェニル)−トリス(9,9−ジメチルフルオレニレン)、2,7−ビス{2−[フェニル(m−トリル)アミノ]−9,9−ジメチル−フルオレン−7−イル}−9,9−ジメチル−フルオレン、N−(4−((E)−2−(6((E)−4−(ジフェニルアミノ)スチリル)ナフタレン−2−イル)ビニル)フェニル)−N−フェニルベンゼンアミン、fac−イリジウム(III)トリス(1−フェニル−3−メチルベンズイミダゾリン−2−イリデン−C,C2’)、mer−イリジウム(III)トリス(1−フェニル−3−メチルベンズイミダゾリン−2−イリデン−C,C2’)、2,7−ビス[4−(ジフェニルアミノ)スチリル]−9,9−スピロビフルオレン、6−メチル−2−(4−(9−(4−(6−メチルベンゾ[d]チアゾール−2−イル)フェニル)アントラセン−10−イル)フェニル)ベンゾ[d]チアゾール、1,4−ジ[4−(N,N−ジフェニル)アミノ]スチリルベンゼン、1,4−ビス(4−(9H−カルバゾール−9−イル)スチリル)ベンゼン、(E)−6−(4−(ジフェニルアミノ)スチリル)−N,N−ジフェニルナフタレン−2−アミン、ビス(2,4−ジフルオロフェニルピリジナト)(5−(ピリジン−2−イル)−1H−テトラゾレート)イリジウム(III)、ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジル)ピラゾール)((2,4−ジフルオロベンジル)ジフェニルフォスフィネート)イリジウム(III)、ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジル)ピラゾレート)(ベンジルジフェニルフォスフィネート)イリジウム(III)、ビス(1−(2,4−ジフルオロベンジル)−3−メチルベンズイミダゾリウム)(3−(トリフルオロメチル)−5−(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)イリジウム(III)、ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジル)ピラゾレート)(4’,6’−ジフルオロフェニルピリジネート)イリジウム(III)、ビス(4’,6’−ジフルオロフェニルピリジナト)(3,5−ビス(トリフルオロメチル)−2−(2’−ピリジル)ピロレート)イリジウム(III)、ビス(4’,6’−ジフルオロフェニルピリジナト)(3−(トリフルオロメチル)−5−(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)イリジウム(III)、(Z)−6−メシチル−N−(6−メシチルキノリン−2(1H)−イリデン)キノリン−2−アミン−BF2、(E)−2−(2−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)−6−メチル−4H−ピラン−4−イリデン)マロノニトリル、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−ジュロリジル−9−エニル−4H−ピラン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン、4−(ジシアノメチレン)−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−4−イル−ビニル)−4H−ピラン、トリス(ジベンゾイルメタン)フェナントロリンユーロピウム(III)、5,6,11,12−テトラフェニルナフタセン、ビス(2−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル−ピリジン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)、トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(III)、ビス(1−フェニルイソキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)、ビス[1−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)−イソキノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)、ビス[2−(9,9−ジメチル−9H−フルオレン−2−イル)キノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)、トリス[4,4’−ジ−t−ブチル−(2,2’)−ビピリジン]ルテニウム(III)・ビス(ヘキサフルオロフォスフェート)、トリス(2−フェニルキノリン)イリジウム(III)、ビス(2−フェニルキノリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)、2,8−ジ−t−ブチル−5,11−ビス(4−t−ブチルフェニル)−6,12−ジフェニルテトラセン、ビス(2−フェニルベンゾチアゾラト)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)、5,10,15,20−テトラフェニルテトラベンゾポルフィリン白金、オスミウム(II)ビス(3−トリフルオロメチル−5−(2−ピリジン)−ピラゾレート)ジメチルフェニルフォスフィン、オスミウム(II)ビス(3−(トリフルオロメチル)−5−(4−t−ブチルピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)ジフェニルメチルフォスフィン、オスミウム(II)ビス(3−(トリフルオロメチル)−5−(2−ピリジル)−1,2,4−トリアゾール)ジメチルフェニルフォスフィン、オスミウム(II)ビス(3−(トリフルオロメチル)−5−(4−t−ブチルピリジル)−1,2,4−トリアゾレート)ジメチルフェニルフォスフィン、ビス[2−(4−n−ヘキシルフェニル)キノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)、トリス[2−(4−n−ヘキシルフェニル)キノリン]イリジウム(III)、トリス[2−フェニル−4−メチルキノリン]イリジウム(III)、ビス(2−フェニルキノリン)(2−(3−メチルフェニル)ピリジネート)イリジウム(III)、ビス(2−(9,9−ジエチル−フルオレン−2−イル)−1−フェニル−1H−ベンゾ[d]イミダゾラト)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)、ビス(2−フェニルピリジン)(3−(ピリジン−2−イル)−2H−クロメン−2−オネート)イリジウム(III)、ビス(2−フェニルキノリン)(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオネート)イリジウム(III)、ビス(フェニルイソキノリン)(2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオネート)イリジウム(III)、イリジウム(III)ビス(4−フェニルチエノ[3,2−c]ピリジナト−N,C2’)アセチルアセトネート、(E)−2−(2−t−ブチル−6−(2−(2,6,6−トリメチル−2,4,5,6−テトラヒドロ−1H−ピローロ[3,2,1−ij]キノリン−8−イル)ビニル)−4H−ピラン−4−イリデン)マロノニトリル、ビス(3−トリフルオロメチル−5−(1−イソキノリル)ピラゾレート)(メチルジフェニルフォスフィン)ルテニウム、ビス[(4−n−ヘキシルフェニル)イソキノリン](アセチルアセトネート)イリジウム(III)、白金(II)オクタエチルポルフィン、ビス(2−メチルジベンゾ[f,h]キノキサリン)(アセチルアセトネート)イリジウム(III)、トリス[(4−n−ヘキシルフェニル)キソキノリン]イリジウム(III)等が挙げられる。
電子輸送層/ホールブロック層を形成する材料としては、8−ヒドロキシキノリノレート−リチウム、2,2’,2”−(1,3,5−ベンジントリル)−トリス(1−フェニル−1−H−ベンズイミダゾール)、2−(4−ビフェニル)5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、ビス(2−メチル−8−キノリノレート)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム、1,3−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン、6,6’−ビス[5−(ビフェニル−4−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−2−イル]−2,2’−ビピリジン、3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール、4−(ナフタレン−1−イル)−3,5−ジフェニル−4H−1,2,4−トリアゾール、2,9−ビス(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,7−ビス[2−(2,2’−ビピリジン−6−イル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]−9,9−ジメチルフルオレン、1,3−ビス[2−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾ−5−イル]ベンゼン、トリス(2,4,6−トリメチル−3−(ピリジン−3−イル)フェニル)ボラン、1−メチル−2−(4−(ナフタレン−2−イル)フェニル)−1H−イミダゾ[4,5f][1,10]フェナントロリン、2−(ナフタレン−2−イル)−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、フェニル−ジピレニルフォスフィンオキサイド、3,3’,5,5’−テトラ[(m−ピリジル)−フェン−3−イル]ビフェニル、1,3,5−トリス[(3−ピリジル)−フェン−3−イル]ベンゼン、4,4’−ビス(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)ビフェニル、1,3−ビス[3,5−ジ(ピリジン−3−イル)フェニル]ベンゼン、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム、ジフェニルビス(4−(ピリジン−3−イル)フェニル)シラン、3,5−ジ(ピレン−1−イル)ピリジン等が挙げられる。
電子注入層を形成する材料としては、酸化リチウム(Li2O)、酸化マグネシウム(MgO)、アルミナ(Al23)、フッ化リチウム(LiF)、フッ化ナトリウム(NaF)、フッ化マグネシウム(MgF2)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化ストロンチウム(SrF2)、三酸化モリブデン(MoO3)、アルミニウム、Li(acac)、酢酸リチウム、安息香酸リチウム等が挙げられる。
陰極材料としては、アルミニウム、マグネシウム−銀合金、アルミニウム−リチウム合金、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられる。
電子ブロック層を形成する材料としては、トリス(フェニルピラゾール)イリジウム等が挙げられる。
本発明の電荷輸送性ワニスを用いたPLED素子の作製方法は、特に限定されないが、以下の方法が挙げられる。
上記OLED素子作製において、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の真空蒸着操作を行う代わりに、正孔輸送性高分子層、発光性高分子層を順次形成することによって本発明の電荷輸送性ワニスによって形成される電荷輸送性薄膜を有するPLED素子を作製することができる。
具体的には、陽極基板上に本発明の電荷輸送性ワニスを塗布して上記の方法により正孔注入層を作製し、その上に正孔輸送性高分子層、発光性高分子層を順次形成し、さらに陰極を蒸着してPLED素子とする。
使用する陰極および陽極材料としては、上記OLED素子作製時と同様のものが使用でき、同様の洗浄処理、表面処理を行うことができる。
正孔輸送性高分子層および発光性高分子層の形成法としては、正孔輸送性高分子材料もしくは発光性高分子材料、またはこれらにドーパント物質を加えた材料に溶媒を加えて溶解するか、均一に分散し、正孔注入層または正孔輸送性高分子層の上に塗布した後、それぞれ焼成することで成膜する方法が挙げられる。
正孔輸送性高分子材料としては、ポリ[(9,9−ジヘキシルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N’−ビス{p−ブチルフェニル}−1,4−ジアミノフェニレン)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N’−ビス{p−ブチルフェニル}−1,1’−ビフェニレン−4,4−ジアミン)]、ポリ[(9,9−ビス{1’−ペンテン−5’−イル}フルオレニル−2,7−ジイル)−co−(N,N’−ビス{p−ブチルフェニル}−1,4−ジアミノフェニレン)]、ポリ[N,N’−ビス(4−ブチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン]−エンドキャップド ウィズ ポリシルシスキノキサン、ポリ[(9,9−ジジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4’−(N−(p−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)]等が挙げられる。
発光性高分子材料としては、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)(PDAF)等のポリフルオレン誘導体、ポリ(2−メトキシ−5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)等のポリフェニレンビニレン誘導体、ポリ(3−アルキルチオフェン)(PAT)等のポリチオフェン誘導体、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等が挙げられる。
溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロホルム、3−フェノキシトルエン、テトラリン等が挙げられ、溶解または均一分散法としては撹拌、加熱撹拌、超音波分散等の方法が挙げられる。
塗布方法としては、特に限定されるものではなく、インクジェット法、スプレー法、ディップ法、スピンコート法、転写印刷法、ロールコート法、刷毛塗り等が挙げられる。なお、塗布は、窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。
焼成する方法としては、不活性ガス下または真空中、オーブンまたはホットプレートで加熱する方法が挙げられる。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、使用した装置は以下のとおりである。
(1)基板洗浄:長州産業(株)製 基板洗浄装置(減圧プラズマ方式)
(2)ワニスの塗布:ミカサ(株)製 スピンコーターMS−A100
(3)膜厚測定:(株)小坂研究所製 微細形状測定機サーフコーダET−4000
(4)接触角測定:協和界面化学(株)製 接触角計
(5)素子の作製:長州産業(株)製 多機能蒸着装置システムC−E2L1G1−N
(6)EL素子の輝度等の測定:(有)テック・ワールド製 I−V−L測定システム
[1]電荷輸送性ワニスの調製
[実施例1]
国際公開第2013/084664号記載の方法に従って合成した式[1]で表されるアニリン誘導体0.062gとリンタングステン酸(日本新金属(株)製)0.309gとを、窒素雰囲気下で1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下DMIと略す)4.8gに溶解させた。得られた溶液に2,3−ブタンジオール(以下2,3−BDと略す)5.4g、エチルジグリコールアセテート(以下EDGAcと略す)1.8gを加えて撹拌した。得られた溶液に、4−クロロフェニルトリメトキシシラン0.011gを添加後、再び撹拌し、電荷輸送性ワニスを調製した(固形分3.0質量%)。
Figure 0006558373
[比較例1−1]
式[1]で示されるアニリン誘導体0.062gとリンタングステン酸(日本新金属(株)製)0.309gとを、窒素雰囲気下でDMI4.8gに溶解させた。得られた溶液に2,3−BD5.4g、EDGAc1.8gを加えて撹拌し、電荷輸送性ワニスを調製した(固形分3.0質量%)。
[比較例1−2]
4−クロロフェニルトリメトキシシラン0.011gを、エチルトリメトキシシラン0.011gに代えた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送性ワニスを調製した(固形分3.0質量%)。
[比較例1−3]
4−クロロフェニルトリメトキシシラン0.011gを、トリメトキシ(3,3,3−トリフルオロプロピル)シラン0.011gに代えた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送性ワニスを調製した(固形分3.0質量%)。
[比較例1−4]
4−クロロフェニルトリメトキシシラン0.011gを、トリメトキシ(フェニル)シラン0.011gに代えた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送性ワニスを調製した(固形分3.0質量%)。
[比較例1−5]
4−クロロフェニルトリメトキシシラン0.011gを、トリエトキシ(パーフルオロフェニル)シラン0.011gに代えた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送性ワニスを調製した(固形分3.0質量%)。
実施例1および比較例1−1〜1−5で作製した電荷輸送性ワニスについて、下記手法により接触角を測定した。
インジウム錫酸化物(ITO)基板に各電荷輸送性ワニスをスピンコートにより成膜し、大気中、ホットプレートにて80℃で1分間乾燥し、230℃で15分間の加熱焼成を行って薄膜を作製した。得られた薄膜につき、3−フェノキシトルエンおよびテトラリンの接触角を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0006558373
上層材料に使用される溶媒の接触角が10°以上の場合、積層時に上層材料がはじき、均一な膜が得られない場合がある。表1に示されるように、塩素含有一価炭化水素基を有する有機シラン化合物である4−クロロフェニルトリメトキシシランを添加した実施例1の電荷輸送性ワニスから作製した薄膜上の溶媒の接触角は、有機シラン化合物を添加していない比較例1−1の電荷輸送性ワニスから作製した薄膜上の溶媒の接触角と変化はなく、添加した含塩素有機シラン化合物は上層の濡れ性に影響しない。また、その接触角は3°以下であるため、積層時にはじきも起こらず、上層の塗布性は良好で、上層材料は均一に成膜されることが予想される。
[2]二層素子
電気特性を評価する際の基板には、インジウム錫酸化物が表面上に膜厚150nmでパターニングされた25mm×25mm×0.7tのガラス基板(以下、ITO基板と略す)を用いた。ITO基板は、O2プラズマ洗浄装置(150W、30秒間)を用いて表面上の不純物を除却してから使用した。
[実施例2]
実施例1で得たワニスを、スピンコーターを用いてITO基板に塗布した後、80℃で1分間乾燥し、さらに、大気雰囲気下、230℃で15分間焼成し、ITO基板上に30nmの均一な薄膜(正孔注入層)を形成した。その上に、蒸着装置(真空度1.0×10-5Pa)を用いてN,N'−ジ(1−ナフチル)−N,N'−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、アルミニウムの薄膜を順次積層し、二層素子を得た。膜厚はそれぞれ30nm,100nmとし、蒸着レートは、0.2nm/秒の条件で蒸着を行った。
なお、空気中の酸素、水等の影響による特性劣化を防止するため、二層素子は封止基板により封止した後、その特性を評価した。封止は以下の手順で行った。
酸素濃度2ppm以下、露点−85℃以下の窒素雰囲気中で、素子を封止基板の間に収め、封止基板を接着材((株)MORESCO製、モレスコモイスチャーカット WB90US(P))により貼り合わせた。この際、捕水剤(ダイニック(株)製、HD−071010W−40)を素子と共に封止基板内に収めた。貼り合わせた封止基板に対し、UV光を照射(波長365nm、照射量6,000mJ/cm2)した後、80℃で1時間、アニーリング処理して接着材を硬化させた。
[比較例2−1〜2−5]
実施例1で得られたワニスの代わりに、比較例1−1〜1−5で得られたワニスを用いた以外は、実施例2と同様の方法で二層素子を作製した。
作製した各二層素子について、駆動電圧3Vにおける電流密度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0006558373
表2に示されるように、実施例1のワニスから作製した薄膜は、有機シラン化合物を添加していないワニス(比較例1−1)や、ハロゲン原子を含有しない有機シラン化合物を添加したワニス(比較例1−2,1−4)から作製した薄膜に比べ、優れた電荷輸送性を有していることがわかる。
また、含フッ素有機シラン化合物を添加したワニス(比較例1−3,1−5)から作製した薄膜と比べても、同等程度の電荷輸送性を有していることがわかる。
[3]有機EL素子の製造および特性評価
[実施例3]
実施例1で得られたワニスを用い、実施例2と同様の方法で、ITO基板上に30nmの均一な薄膜を形成した。
次いで、薄膜を形成したITO基板に対し、蒸着装置(真空度1.0×10-5Pa)を用いてN,N'−ジ(1−ナフチル)−N,N'−ジフェニルベンジジン(α−NPD)30nmを積層した。次いで、CBPとIr(PPy)3を共蒸着した。共蒸着はIr(PPy)3の濃度が6%になるように蒸着レートをコントロールし、40nm積層させた。次いで、BAlq、フッ化リチウムおよびアルミニウムの薄膜を順次積層して有機EL素子を得た。この際、蒸着レートは、BAlqおよびアルミニウムについては0.2nm/秒、フッ化リチウムについては0.02nm/秒の条件でそれぞれ行い、膜厚は、それぞれ20nm、0.5nmおよび100nmとした。
そして、実施例2と同様の方法で、有機EL素子を封止基板により封止した。
[比較例3−1]
実施例1−1で得られたワニスの代わりに、比較例1−1で得られたワニスを用いた以外は、実施例3と同様の方法で有機EL素子を作製した。
作製した各素子について、駆動電圧10Vにおける、輝度、電流密度および電流効率を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0006558373
表3に示されるように、比較例3−1の素子と比較した場合、実施例3の素子の輝度が高く、その他の素子特性も維持されていることがわかる。
また、表1〜3の結果から理解できるとおり、含塩素一価炭化水素基を置換基として有する有機シラン化合物を含む、本発明の電荷輸送性ワニスを用いた場合のみ、上層の塗布性を維持しつつ、良好な輝度特性を実現できた。

Claims (10)

  1. 電荷輸送性物質と、ドーパント物質と、含塩素一価炭化水素基を置換基として有する有機シラン化合物と、有機溶媒とを含み、
    前記含塩素一価炭化水素基を置換基として有する有機シラン化合物が、クロロフェニルトリアルコキシシランであることを特徴とする電荷輸送性ワニス。
  2. 前記クロロフェニルトリアルコキシシランが、4−クロロフェニルトリアルコキシシランである請求項1記載の電荷輸送性ワニス。
  3. 前記4−クロロフェニルトリアルコキシシランが、4−クロロフェニルトリメトキシシランである請求項2記載の電荷輸送性ワニス。
  4. 前記電荷輸送性物質が、電荷輸送性オリゴマーである請求項1〜3のいずれか1項記載の電荷輸送性ワニス。
  5. 前記ドーパント物質が、ヘテロポリ酸である請求項1〜4のいずれか1項記載の電荷輸送性ワニス。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の電荷輸送性ワニスを用いて作製される電荷輸送性薄膜。
  7. 請求項6記載の電荷輸送性薄膜を有する電子デバイス。
  8. 請求項6記載の電荷輸送性薄膜を有する有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 前記電荷輸送性薄膜が、正孔注入層または正孔輸送層である請求項8記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  10. 請求項1〜5のいずれか1項記載の電荷輸送性ワニスを基材上に塗布し、溶媒を蒸発させることを特徴とする電荷輸送性薄膜の製造方法。
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